説明

ラノリン代替物、その取得方法と用途

【課題】少なくともその重量の二倍まで水、水溶液または水性懸濁液を吸収できるラノリン代替物及びその取得方法と用途の提供。
【解決手段】ラノリン代替物は、好適には触媒なしで、酸素のない雰囲気内で、不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸エステル、不飽和炭化水素またはそれらの不飽和誘導体と、グリセロールなどの、ヒドロキシル基を有するか発生する化合物との混合物からの半合成によって得られる。従来の熱処理または好適には誘電加熱による。ラノリンを上回る水分保持能力を有し、経時的に安定した、真のエマルジョンを形成する。それはまた、ラノリン周知の緩和性、保湿性および吸蔵性も有する。この代替物は、ラノリンの現在および将来の全ての用途に使用できる:化粧品、皮膚科学、および産業用途(ワックス、潤滑剤など)など。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術的背景と提起される問題
羊のスイントから抽出した油脂であるラノリンは、緩和、保湿、乳化といったその特性とその水分吸収能力のために、化粧品、医薬品産業で広く用いられている。
【0002】
これら全ての特性にもかかわらず、ラノリンは動物性なので、スクレイピーによって不安になった消費者の満足を得にくくなっている。残留殺虫剤によるアレルギー反応、強い臭い、変わりやすい組成、供給の不安定さなどは、科学者たちにラノリン代替物の研究をさせる補足的な要因である。
【0003】
油脂化学製品によるラノリン代替の試みは多数ある。
【0004】
検討された第一の解決策は、動物性成分を排除してラノリンの配合を作り直すものである。ラノリンの組成は複雑なので、この解決法は困難である:この方法を継続するには発生するコストが高すぎる。
【0005】
この問題を解決するための第二の解決法は、ラノリンとは組成が異なるが、特性が類似した生成物を製造することである。
【0006】
現在まで、提案された代替物は、その特性、その組成の複雑性、酸性指標として高いいくつかの物理化学的特徴、および/またはその製造コストの面で、完全な満足をもたらしていない。
【背景技術】
【0007】
先行技術:
ラノリン
・ラノリンの組成
ラノリンすなわち羊毛脂は、羊の脂の皮脂分泌物から製造される。これはステロールと長鎖脂肪アルコールの混合物である。ときにこの混合物は、微量成分の形で他の物質(ニッケル、クロム、銅など)も含有している。
その組成は、下表に示すごとく、複雑である。
【0008】
【表1】

【0009】
【表2】

【0010】
・ラノリンの仕様
ラノリンは固体のワックスで、色は琥珀黄で特徴的な臭いがある。水には溶けないが、高温のエタノール、エーテルとクロロホルムに溶ける。
次の表はこの物質の物理化学的特徴をまとめたものである。
【0011】
【表3】

【0012】
・ラノリンの取得
ラノリンは羊のスイントから抽出されるもので、その動物の汗腺から分泌された皮脂物質である。スイントは、羊毛の繊維の重量の15から75%にあたる。
【0013】
殺された羊の毛のついた皮は、脱毛業者に発送される。皮剥作業の後、皮と羊毛が分離される。
皮は乾燥され、得られた羊原皮は鞣革業者に送られことになる。
一方、羊毛はまだ油脂を含んでいる。つまり、全てのスイントは毛の表面にある。これを除去するために、羊毛はソーダと石鹸の浴内に浸けられる。羊毛は、カーディング(ブラッシング、毛梳き)およびコーミング(短い繊維の除去)ができる状態になる。スイントは、精製後、医薬品または化粧品に再利用される。
【0014】
・羊毛の主たる生産者:
今日、羊毛の取引は主として原毛輸出国(とくにオーストラリアとニュージーランド)と米国、イタリア、日本、韓国のような羊毛織糸の大生産国との間で行われており、旧ソ連と中国のみが、原毛と織糸の両方を生産している。
【0015】
・羊毛などの天然繊維の消費の大幅な減少
羊毛は、新石器時代から、織物製造に用いられている。しかしながら、羊毛製品の安定した需要は、部分的には合成製品によって満たされており、合成製品の品質は、長い歴史を継承している毛織物や編み物のそれと競合している。人工繊維の割合は世界中で増加し続けている(木材や木綿屑から得られるセルロース繊維、石油から得られるポリアミド、ポリアクリル、ポリエステル)。1990年、化学繊維産業は、4250万トンで世界の繊維消費の45%近くを占めている。
【0016】
−ラノリンの機能と用途
ラノリンとその(アセチル化、エトキシル化、水素添加、ヒドロキシル化、などの)誘導体は、化粧品および工業分野できわめて頻繁に使用されている。
ラノリンは、当初、医薬品分野において、水に溶けた活性成分を安定させるために、軟膏に使用された。ついで、その緩和性と保湿性のゆえに、各種の処方において、強く推奨されるようになる。
【0017】
−化粧品および皮膚科的な機能と用途
ラノリンはその緩和性、保湿性、乳化性、吸蔵性のゆえに、化粧品および皮膚科で広く使用されている。ラノリンは、皮膚を柔軟にし、皮膚を保護して、その乾燥を防止する。ラノリンは、その重量の4倍まで水を吸収する能力もある。くわえて、ラノリンは酸化しにくい。
物理的または化学的変換によって得られた、臭い、色彩および触感のより良い特徴を示す、きわめて多数のラノリン誘導体が、好んで使用されている。
それらの注目すべき特性により、ラノリンとその誘導体は、次のような多数の調製物の組成に含まれている:バブルバス、口紅、クリーム、ひげそりクリーム、アフターシェイブローション、パウダー、石鹸、シャンプー。
【0018】
−工業的機能と用途
ラノリンは、工業分野でも、次のような様々な用途で使用されている:ワックス、印刷インク、特定の金属に塗布される防錆、防食保護膜、防水処理のための皮革産業、ペンキ、など。
【0019】
ラノリンを代替する理由
このような全ての特性にもかかわらず、ラノリンは下記の理由から批判が高まっている。
【0020】
−動物性であること
今日の消費者たちは自分の健康と自然を守ることにますます心を砕いている。彼らは、自分たちが使用する製品の中に植物性の成分が含まれることをますます評価している。羊のスクレイピー(TSSE:伝染性亜急性海綿状脳症)と狂牛病(BSE:牛海綿状脳炎)が消費者を不安にさせており、消費者は、クロイツフェルト=ヤコブ病(CJD)の変種に感染し、罹ることを恐れている。
羊のスクレイピーは18世紀半ばから知られているが、この羊の病気に相当するものが雌牛について報告されたのは、1985年になってからである。調査の結果、これらの雌牛は、スクレイピーに罹った羊の骸骨体から製造され、高温で加熱されなかった肉骨粉で飼育されたことがわかった。したがって、羊に固有の病気が雌牛に感染したのであり、これはCJDによってヒトに伝染する可能性がある。
【0021】
−不純物とアレルギー反応の可能性
羊毛には当然、雑草、土、ヤエムグラのような不純物、また殺虫剤などの汚染物質が含まれている。羊毛からこれらの不純物を除去してから脱脂しても、ラノリン(スイント)内の微量の殺虫剤は排除されず、そのことが製品の品質と自分たちの健康を気遣う消費者たちを尻込みさせている。
残留殺虫剤や多環式アルコールが排除されていないラノリンを含有する化粧品にアレルギー反応を示す人もいる。
【0022】
−強い臭い
ラノリンには特徴的な強い臭いがあるので、これを隠すために大量の香料を使用する必要がある。このような大量の香料の添加は、敏感肌の人には必ずしも許容されない。
【0023】
−変わりやすい組成
ラノリンの組成は複雑で変わりやすい(表1参照)。この変動性はとりわけ、羊の種類の多様性、その年齢、飼料のタイプ、場所によって説明される。したがって、一定の品質のラノリンを得ることが困難であることがわかる。
【0024】
これら全ての理由のために、多くの科学者たちはラノリンの代替を研究している。
【0025】
ラノリン代替のための代案
検討された第一の解決法は、動物性の成分を排除してラノリンの配合を再構成するものである。ラノリンの組成の複雑さ(表1と2参照)が、この解決法を困難にする。つまり、発生するコストが、この手段を継続するには高すぎるのである。
【0026】
この問題を解決するための第二の解決法は、ラノリンとは組成が異なるが特性が類似している生成物を製造することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
今日まで、提案された代替物は、完全には満足をもたらしていない。つまり、それらは緩和性、保湿性を有するが、吸水性がないのである。
くわえて、組成の複雑さや、酸価などのいくつかの物理化学的特徴が高いこと、および/または製造コストについては、なお最適化する必要がある。
【0028】
したがって、ラノリンの真の代替物を見つけることには大きな、周知の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0029】
発明の簡単な説明
本発明は、ラノリン代替物を形成する、それ自体新規な工業製品において、少なくともその重量の二倍まで水、水溶液または水性懸濁液を吸収できることを特徴とする製品を提案する。それは、ラノリンを上回る水分保持能力を有し、経時的に安定した、真のエマルジョンを形成する。
【0030】
このラノリン代替物は、好適には触媒なしで、酸素のない雰囲気内で、不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸エステル、不飽和炭化水素またはそれらの不飽和誘導体とヒドロキシル基を有するか発生する化合物の混合物から、半合成によって得られる。
【0031】
用途
出願人は、化粧品と皮膚科市場、およびラノリンの他の全ての用途のためのラノリン代替物、ならびに独創的調製法を発見した。
【0032】
出願人は、化粧品市場向けのラノリン代替物を発見したが、その水、水溶液または水性懸濁液の吸収能力、およびその緩和性と保湿性のゆえに、該代替物を多数の調製物の組成に含むことが可能である。
【0033】
化粧品への応用例:
−バブルバス、
−口紅、
−乾燥肌の手入れクリーム、
−ひげ剃りクリーム、
−アフターシェイブローション、
−パウダー、
−石鹸、
−シャンプー、
−ウォータープルーフの日焼け止めクリーム、
−メイク落とし、
−浴用オイル、
−リップバーム、
−軟膏、
−リップスティック、など。
【0034】
工業への応用例:
−ワックス、
−印刷インク、
−特定の金属に塗布される防錆、防食保護膜、
−防水処理のための皮革工業、
−潤滑剤の添加剤、
−ペンキ、など。
【0035】
このリストは全てを網羅するものではない。このラノリン代替物は、ラノリンの現在および将来の全ての用途に使用できる。
本発明は、好適には触媒なしで、酸素のない雰囲気内で、ヒドロキシル基を有するか発生する化合物とともに、様々な比率の不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸エステル、不飽和炭化水素、あるいはそれらの不飽和誘導体を熱処理することに特に関わるが、それに限定されない。
【0036】
発明の説明
本発明は、ラノリン代替物であり、少なくともその重量の二倍まで水、水溶液または水性懸濁液を吸収できることを特徴とする、それ自体新規な工業製品を提案する。該ラノリン代替物は、ラノリンを上回る水分保持能力を有し、経時的に安定した、真のエマルジョンを形成する。
【0037】
該ラノリン代替物はまた、ラノリンの周知の緩和性、保湿性および吸蔵性も有する。それは皮膚を柔軟にし、皮膚を保護し、その乾燥を防止する。
その製造法は、以前のものに比べて単純かつ経済的である。
このラノリン代替物は、好適には触媒なしで、酸素のない雰囲気内で、不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸エステル、不飽和炭化水素またはそれらの不飽和誘導体とヒドロキシル基を有するか発生する化合物の混合物から、半合成によって得られる。
【0038】
本発明は、この生成物の特性に関するものである。
意外なことに、該生成物は、少なくともその重量の2倍まで水を吸収することができる。くわえて、形成されたエマルジョンは、経時的に、また40℃で複数回乾燥器にかけた後でも安定している。この現象はラノリンでは認められず、反対に、15日未満でその全ての水分が放出される。
【0039】
この水分吸収能力にくわえて、生成物は緩和性、保湿性、乳化性、吸蔵性がある。該生成物は、皮膚を柔軟にし、皮膚を保護し、その乾燥を防止する。
【0040】
本発明の特徴は、ヒドロキシル基を有するか発生する試薬を反応媒質に添加することに由来する。単純化のために、これらの試薬を「OH試薬」と呼ぶ。
【0041】
重合塩基とその特性
本出願人は、誘電加熱の独創的方法に関する仏国特許出願第9813770号と国際公開第00/26265号(PCT/FR99/02646)を出願した。この方法はとくに本書の対象であるラノリン代替物の調製に適用される。
【0042】
これらの特許によれば、単体または混合物の、不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸エステル、不飽和炭化水素、これらの化合物の不飽和誘導体の重合法は、重合を実施するために試薬または反応混合物が誘電加熱にかけられることを特徴とする。
【0043】
好適には、以下の通りである。
−加熱はマイクロ波周波数を用いて行われる。
加熱は無線周波数を用いて行われる。
−触媒の有無をとわず実施される。
−不均質または均質の触媒を試薬または反応混合物に添加できる。
−モンモリロナイトのような、無線周波数またはマイクロ波周波数に反応する触媒を試薬または反応混合物に添加できる。
−試薬または反応混合物、また場合によって触媒は、マイクロ波周波数または無線周波数を受けるのに適したバッチまたは不連続型の反応炉内に置かれる。
−試薬または反応混合物、また場合によって触媒は、連続反応を行うのに適した反応炉内に置かれる。
−周波数は、約30GHzと約300MHzの間に含まれる。
−周波数は、2.45GHzまたは915MHzである。
−周波数は、約300MHzと約3MHzの間に含まれる。
−周波数は、13.56MHzまたは27.12MHzである。
−試薬または反応混合物、また場合によって触媒にかけられる温度は、200と400℃の間に、好適には220と350℃の間に含まれる。
−昇温時間は、3と60分の間で、好適には3と20分の間で選択される。
−反応時間は、15分と15時間の間に、好適には15分と360分の間に、さらに好適には15と120分の間に含まれる。
−酸素が通常の、または濃い、好適には不活性の雰囲気下で;減圧して、好適には50と10mm水銀柱の間で;雰囲気を定期的に更新して、重合を実施する。
−所望の粘度に応じて、重合温度未満の温度まで試薬または反応混合物を自然冷却させ、あるいは強制冷却して、重合を停止する。
【0044】
しかしながら、従来の熱処理で実施することもできる。
【0045】
これらの「OH試薬」を添加せずに、出願人は上述の方法で、不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸エステル、不飽和炭化水素またはこれらの物質の誘導体の重合体を得る。
【0046】
これらの重合体は、化粧品の配合物に推奨される緩和性、保湿性、および吸蔵性を、それら単独で有する。それらはまた吸水能力も有するが、この能力はラノリンのそれと比較すると限定されている:重合体は、その重量の80%まで水分を吸収する。形成された重合格子構造は、水を蓄え、エマルジョンを形成するのに十分である。しかしながら、これらのエマルジョンは安定していない:水分は24時間未満で放出される。
【0047】
技術的問題は、得られた重合体の特性をラノリンのそれにできる限り近づけるようにすることであった。この理由のために、反応媒質の中に、すなわちヒドロキシル基を有するか発生する十分な量の「OH試薬」を添加する。
【0048】
意外なことに、得られた生成物は当初の特性(緩和性、保湿性、吸蔵性)を保っているが、今度は水分を少なくともその重量の二倍まで吸収するということがわかった。くわえて、形成されたエマルジョンは、経時的に、また40℃で複数回乾燥器にかけた後でも安定している。この現象は、15日未満に水を全て放出するラノリンでは見られない。
これらの生成物は、ラノリンのそれを上回る水分保持能力を有する。
【0049】
ヒドロキシル基を有するか発生するOH試薬を添加することによって、エステル化および/またはアミド化によって形成された生成物の酸性度が低下し、それによって熱劣化のおそれと加水分解反応が制限されることに注目すべきである。したがって、形成された生成物ははるかに安定している。
【0050】
同様に、不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸エステル、不飽和炭化水素、それらの不飽和誘導体の所与の初期混合物にOH試薬を添加することによって、最終生成物の粘度が変化する。
【0051】
これらのラノリン代替物の製造
ラノリン代替物は、好適には触媒なしで、酸素のない雰囲気内で、ヒドロキシル基を有するか発生する一つまたは複数のOH試薬とともに、不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸エステル、不飽和炭化水素、それらの不飽和誘導体、あるいは様々な比率のこれら化合物の混合物を熱処理することによって得られる。
【0052】
熱処理は、出願人の前述の特許に記載のごとく、試薬を、従来のまたは誘電式の加熱にかけることによって実施される。
【0053】
A 従来の熱処理:
従来の熱処理は、常に攪拌しながら、好適には触媒なしに、不活性の雰囲気下で、100と400℃の間、より良くは230と350℃の間で実施される。反応温度は、混合物の成分の沸騰および/または劣化の温度に依存する。
【0054】
合計反応時間は、使用された一つまたは複数の試薬と得ようとする粘度に依存する。これは好適には3時間と24時間の間であり、好適には3時間と10時間の間に位置する。
【0055】
B 誘電加熱による熱処理:
より低い投資コストに結びつく、時間とエネルギーの利得を理由に、上述の特許に記載のごとく、誘電加熱、すなわちマイクロ波周波数または高周波数での加熱を好適に利用するが、当業者の便宜のために上述の特許の抜粋を以下に掲載するので、当業者はその実施の詳細について有利に参照することができるだろう。さらに当業者は、出願人が同日に出願した、誘電加熱実施のために改良した装置に関する特許出願も参照できるだろう。
【0056】
好適には触媒なしに実施するのであるが、全く意外なことに、触媒なしで、グリセロールなどの反応物質によって遊離脂肪酸のエステル化が実現できることが確認された。
【0057】
同じくきわめて意外なことに、予想に反して、妨害または競合する反応が発生してこの手段の研究が阻止されるようなことはなく、良い結果が得られることが確認された。
【0058】
マイクロ波周波数MWは、約300MHzと約30GHzの間に含まれ、好適には915MHz(許容差1.4%の周波数)または2.45GHz(許容差2%の周波数)である。
【0059】
高周波HFは、約3MHzと約300MHzの間に含まれ、好適には13.56MHz(許容差0.05%の周波数)または27.12MHz(許容差0.6の周波数)である。
【0060】
反応温度は、常に攪拌しながら、好適には触媒なしに、不活性の雰囲気下で、100と400℃の間、より良くは230と350℃の間に位置する。反応温度は、混合物の成分の沸騰および/または劣化温度に依存する。
【0061】
合計反応時間は、使用された一つまたは複数の試薬と、得ようとする粘度に依存する。これは好適には15分と15時間の間であり、好適には15分と2時間の間に位置する。
【0062】
反応媒質に添加するOH試薬の量は、結果として得られる重合体で達成しようとする水分吸収レベルと、所期の粘度に依存する。「OH試薬」は、反応の最初に、途中で、あるいは最後に、反応媒質内に導入することができる。
反応の終わりにこれらの物質を添加することは、反応時間が増加するため、一般に、経済的に有利ではない。しかしながら、場合によってはこれを利用することができる。
【0063】
この方法で得られた物質は、その処理によって臭い、色などの追加の特性がもたらされるならば、水素添加、脱色、脱臭、その他の機能化など、追加の処理にかけることができる。
【0064】
試薬(従来のまたは誘電加熱による熱処理)
本発明において、試薬は植物性の油脂の中から、およびそのいくつかが前記油脂に由来するポリテルペンの中から選択することができる。
【0065】
植物性の油として、とりわけ、菜種油、ひまわり油、落花生油、オリーブ油、クルミ油、トウモロコシ油、大豆油、亜麻油、紅花油、杏仁油、甘扁桃油、大麻油、グレープシード油、コプラ油、パーム油、綿実油、ババス油、ホホバ油、ゴマ油、アルガン油、アザミ油、パンプキンシード油、ラズベリー油、カランジャ(Karanja)油、ニーム油、ナデシコ油、ブラジルナッツ油、ヒマシ油、脱水ヒマシ油、ヘーゼルナッツ油、小麦胚芽油、ルリヂサ油、月見草油、キリ油、トール油などを挙げることができる。
【0066】
これらの植物性の油脂、ならびにその誘導体は、それらの反応性を高めたり、反対に反応性を低下させたりするために、事前に処理することができる。本発明は単体の試薬、ならびに二つ以上の成分からなる反応混合物にも関するものである。これらの反応混合物は、それぞれの成分を同じ比率で有することもできるし、特定の成分比率を多くすることもできる。
【0067】
不飽和炭化水素として、単体または混合物で、かつ非制限的な例として、アルケン、例えば、一つまたは複数のテルペン炭化水素、すなわち一つまたは複数のイソプレン重合体、あるいはイソブテン、スチレン、エチレン、ブタジエン、イソプレン、プロペンの一つまたは複数の重合体、あるいはこれらのアルケンの共重合体を挙げることができる。
【0068】
不飽和脂肪酸としては、単体または混合物で、かつ非制限的な例として、オレイン酸、パルミトレイン酸、ミリスチン酸、ペトロセレン酸、エルカ酸などの一つまたは複数の一価不飽和脂肪酸;例えば、リノール酸、アルファおよびガンマリノール酸、アラキドン酸などの一つまたは複数の多価不飽和脂肪酸;リカン酸、リノールおよびリノレン酸の異性体などの共役ジエンまたは共役トリエンを含む一つまたは複数の酸;リシノール酸などの一つまたは複数のヒドロキシル基を含む一つまたは複数の酸、を用いることができる。
【0069】
不飽和脂肪酸エステルとして、単体または混合物で、かつ非制限的な例として、モノアルコールおよび/またはポリオールと少なくとも一つの不飽和脂肪酸との間のエステル化によって得られた一つまたは複数のエステル;ワックス;リン脂質;スフィンゴ脂質;糖脂質、を用いることができる。
【0070】
植物性の油脂、炭化水素ならびにその誘導体は、それらの反応性を高めたり、反対に反応性を低下させたりするための事前処理、例えば、水素添加、ヒドロキシル化、エポキシ化、亜リン酸化、スルホン化、などにかけることができる。
【0071】
動物性の油脂は好適には使用できないが、とくにマッコウクジラ油、イルカ油、鯨油、アザラシ油、鰯油、鰊油、鮫油、肝油、牛脚油、豚や馬の脂を挙げることができる。
【0072】
本発明において、ヒドロキシル基を有するか発生するOH試薬は、アルコール、アミノアルコール、エポキシドの中から選択することができる。
【0073】
アルコールとして、単体または混合物で、一級、二級および/または三級のモノまたはポリアルコールを用いることができる。これは、非制限的な例として、メタノール、エタノール、ブタノール、グリセロール、グリコール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、ネオペンチルグリコール、ペンタエリトリトール、ビタミン(例えば、トコフェロール、アスコルビン酸、レチノール)、ステロール(フィトステロールを含む)、ヘミアセタール(例えば、1−エトキシ−1−エタノール)およびそれらの類似体、とすることができる。
【0074】
アミノアルコールとしては、単体または混合物で、かつ非制限的な例として、モノエタノールアミンMEA、ジエタノールアミンDEA、トリエタノールアミンTEA、3−アミノ−1,2プロパンジオール、1−アミノ−2−プロパノール、2−2’−アミノエトキシエタノール、を用いることができる。
【0075】
エポキシドとして、単体または混合物で、かつ非制限的な例として、1,2−エポキシ−9−デセン、3−4エポキシ−1−ブテン、2−3エポキシ−1−プロパノール、2−3エポキシ−1−プロパノールと脂肪酸の間のエステル化によって得られた脂肪エステル(例えば、Cardura E10(登録商標))、を用いることができる。
アルコール、アミノアルコール、エポキシドならびにそれらの誘導体は、それらの反応性を高めたり、反対に反応性を低下させたりするための事前処理、例えば、水素添加、ヒドロキシル化、エポキシ化、亜リン酸化、スルホン化、などにかけることができる。
【0076】
触媒または添加剤の中で、非制限的な例として、通常の酸性触媒(パラトルエンスルホン酸、スルホン酸、リン酸、過塩素酸、など)、通常の塩基性触媒(ソーダ、水酸化カリウム、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のアルコラート、酢酸ナトリウム、トリエチルアミン、ピリジン誘導体、など)、Amberlite(登録商標)、Amberlyst(登録商標)、Purolite(登録商標)、Dowex(登録商標)、Lewatit(登録商標)型の酸性および/または塩基性樹脂、ゼオライトと酵素、カーボンブラック、活性炭素繊維を意味するものとする。
【0077】
本発明は、0.1から30%の、好適には0.1から6%の「OH試薬」、好適には1または3%を添加し、とくに0.1から5、好適には1または3%のグリセロールを添加することを特徴とし、OH試薬がグリセロール、ソルビトール、MEA、ポリグリセロール、ビタミンCまたはEから選択されることを特徴とする方法に関するものである。
【発明を実施するための形態】
【0078】
以下に、本発明の具体的かつ非制限的な実施例を示す。
【実施例】
【0079】
実施例
以下の実施例は、不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸エステル、不飽和炭化水素、またはそれらの不飽和誘導体の混合物から形成した重合塩基の水分吸収能力が、ヒドロキシル基を有するか発生する化合物を反応媒質に添加することによって増加することを明らかにすることを可能にする。
【0080】
I.水分吸収
1.エマルジョン化の手順
水分吸収能力の試験は二つの仕方で実現される。
1−磁石を用いて60℃に加熱してエマルジョン化(手順1)
2−タービンフィンを用いて60℃に加熱してエマルジョン化(手順2)
【0081】
a−手順1
必要な器具:
−250mLのビーカー
−加熱プレート付き磁気攪拌器
−50mLのビュレット
手順:
−ビーカー内にあるラノリン代替物の質量m1を秤量する
−加熱装置を用いて攪拌(磁石)しながら、生成物を60℃に加熱する
−生成物が吸水しなくなるまで、冷水を目盛り付きのビュレットを用いて滴下する
−吸収された水の質量m2を記録する
−吸水能力を算定する((m2/m1)×100)
−エマルジョンの安定性を定期的に検査する
この手順によって生成物の効率がはっきり理解できる。
【0082】
b−手順2
手順2は、手順1に比べて、より正確でより完全である。
必要な器具:
−ステンレスのビーカー(100−250−500mL)
−水浴
−HEIDOLPH攪拌器、280−2200rpm(0から10段階)、凝結防止タービン付き
−ピペット
−へら
−METTLER TOLEDO MP220 pH計
−HETTICH UNIVERSAL遠心分離器(100%で毎分4000U)
必要な試薬:
−1から0.1%青色水溶液
−Kathon CG溶液
−pH=7と4と11の溶液
手順:
1−500mLのステンレスビーカー内で油を秤量する(m1)
2−水浴内で油を60℃に加熱する
3−4で攪拌
4−250mLのステンレスビーカー内で水を秤量する(m2、ここでは200%)
5−水に3滴の青色溶液と3滴のKathon CGを添加
6−別の水浴で水を80℃(温度計)に加熱
7−ピペットを用いて水を滴下して添加する
8−エマルジョン化したら、6で攪拌しながら残りの水を手早く添加する
9−エマルジョン化が終わるように添加後5分間待つ
10−へらでかき混ぜながら冷水浴内でエマルジョンを冷却する
11−校正済みのpH計でエマルジョンの伝導性を確認する
12−毎分4000U(100%)で15分間遠心分離する
13−終了したら、位相差の有無を観察する(青色液で確認)
14−40および50℃の乾燥器にかけて、経時的安定性テストを実施する
【0083】
c−凡例
CAE(1)=%で表した、手順1によって得られた吸水能力
CAE(2)=%で表した、手順2によって得られた吸水能力
S(1)=日数で表した、手順1によって得られたエマルジョンの安定性
S(2)=日数で表した、手順2によって得られたエマルジョンの安定性
R(2)=有無で表した、遠心分離後の水の放出
【0084】
2−吸水能力に対するグリセロール添加と粘度の影響
下表に記載の物質は、同じ不飽和脂肪酸および/または不飽和脂肪酸エステルおよび/または不飽和炭化水素および/またはそれらの不飽和誘導体の熱処理から得られたものである。
合成の終わりに所望の粘度が得られるように、混合物内の各化合物の比率だけが変動する。
【0085】
【表4】

【0086】
目的は次の二つの基準を達成することである:200%を超える吸水能力と、形成されたエマルジョンの経時的安定性。
【0087】
【表5】

【0088】
OH試薬を添加しないとき、不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸エステル、不飽和炭化水素、またはそれらの不飽和誘導体の重合体は、その重量の80%まで吸水する。
形成された重合格子構造によって、水を蓄えることが可能になる。しかしながら、ラノリンと比較して、その吸水能力は限定されている。くわえて、水は1日未満で放出される。
同様に、複雑な重合格子内に水が浸透しにくいことを指摘するのも重要である(例:CM91/00)。
【0089】
【表6】

【0090】
グリセロールを最初の混合物に添加してから合成を開始する。
【0091】
このとき、得られた生成物は、少なくともその重量の二倍まで吸水する。
形成されたエマルジョンは、粘度の低い生成物(40℃で600と1000cP)の場合を除いて、常温で安定している。これらの生成物が安定するためには、吸水量を減らさなければならない。それらの吸水能力は、80と200%の間にある。
【0092】
生成物とその粘度の選択は、所望の用途と効果に依存する。生成物の粘度が高いほど、得られたエマルジョンが濃くなる。
【0093】
3−エマルジョンの安定性
形成されたエマルジョンは、その安定性を制御するために「40℃で高熱処理−遠心分離器」のいくつかのサイクルにかけられる。
得られた結果は下表に示されている。
【0094】
【表7】

【0095】
(40℃で)1000cPを越える粘度の生成物は、その重量の二倍を超える水を吸収し、真のエマルジョンを形成する。
これらのエマルジョンは、40℃の乾燥器にかけてから15日でその水分を全て放出するラノリンとは反対に、安定している。
したがって、これらのラノリン代替物は、ラノリンに匹敵する吸水能力を有するが、その保持力はより優れている。
【0096】
4−グリセロールの割合の影響
下表に示す生成物は、不飽和脂肪酸および/または不飽和脂肪酸エステルおよび/または不飽和炭化水素および/またはそれらの不飽和誘導体の、同じ混合物(生成物の性質と割合が同一)の熱処理から得られたものである。
混合物に導入されるグリセロールの量だけが異なる
【0097】
【表8】

【0098】
水分吸収能力はグリセロールの割合とともに増加する。
形成されたエマルジョンは安定していない。先の場合と同様、生成物は十分な粘性を持たない。つまり、重合塩基は粘り気を十分には生じない。
所与の混合物の粘性がグリセロールの割合とともに減少することに注目すべきである。
【0099】
5−様々な試薬の吸収能力の比較
下表に示す生成物は、不飽和脂肪酸および/または不飽和脂肪酸エステルおよび/または不飽和炭化水素および/またはそれらの不飽和誘導体の、同じ混合物(生成物の性質と割合が同一)の熱処理から得られたものである。
【0100】
ヒドロキシル基を有するか発生する化合物だけが変化する。反応媒質に添加する量は、合成の途中で反応することがあるOH試薬のヒドロキシル基および立体障害のために反応しないヒドロキシル基に応じて変動する。
【0101】
【表9】

【0102】
II−配合
1−OHなしで重合したひまわり油の緩和性、保湿性と吸蔵性
出願人は、仏国特許出願第9813770号と国際公開第00/26265号(PCT/FR99/02646)を出願した。
【0103】
この特許において、出願人は、成分の全部または一部を重合ひまわり油(HTP)に換えて配合したハンドクリームの利点を示している。
【0104】
【表10】

【0105】
変更した配合の利点は次の通りである。
― 塗布の際にあまり塗らなくてよい
― 軟和性が高い(皮膚を柔軟にする)
― 皮膚の水和のためのバリヤを形成する
【0106】
重合ひまわり油は次の理由のために化粧品製造者に有利である。
− 水の比率を上げたのに、配合の軟和力はより高い
− HTPは粘性を付与する力がある
− HTPは共乳化剤である(増粘剤)
【0107】
2−エマルジョンを用いた用途
下表は多機能栄養クリームの配合を示している。
【0108】
【表11】

【0109】
CM68/00とCM72/00を基にした配合物は、次のように、対照よりも有利な化粧品特性をもたらす。
−広がりはやや劣るにもかかわらず、迅速に浸透
−皮膚上での柔らかく滑らかな最終的感覚
−油っぽい感覚の減少
【0110】
3−その他の用途
【0111】
【表12】

【0112】
【表13】

【0113】
結論
これらの実施例は、これらの生成物の有効性を示している。すなわち、これらの生成物はラノリンの真の代替物である。
【0114】
これらの生成物は、その重量の少なくとも二倍まで水分を吸収する能力を有しており、ラノリンを上回る保持能力を有する。
【0115】
ラノリン同様、それらは緩和性、保湿性、吸蔵性を有する。それらは皮膚を柔軟にし、保護して、その乾燥を防止する。
【0116】
生成物とその粘度の選択は、所望の用途と効果に依存する。物質の粘度が高くなり、水を蓄えることができる重合格子を形成するほど、得られたエマルジョンは濃くなり、経時的安定性が高くなる。
【0117】
媒質に添加されるOH試薬の量は、所望の水分吸収能力に依存する。
【0118】
本発明は、当業者が直接利用可能なすべての実施態様と変型例にも関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0119】
【特許文献1】仏国特許出願第9813770号
【特許文献2】国際公開第00/26265号パンフレット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラノリン代替物であって、少なくともその重量の二倍まで水、水溶液または水性懸濁液を吸収し、ラノリンを上回る水分保持能力をもつ、経時的に安定した真のエマルジョンを形成するように、触媒あり又はなしで、通常の又は酸素の制御された大気雰囲気内で、以後「OH試薬」と称する、移動性の水素を有するか発生する化合物とともに、不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸エステル、不飽和炭化水素、またはそれらの不飽和誘導体を、様々な比率で熱処理することによって得られることを特徴とする、ラノリン代替物。
【請求項2】
マイクロ波周波数と無線周波数から選択された周波数を用いて加熱が行われることを特徴とする、請求項1に記載のラノリン代替物。
【請求項3】
触媒を用いて、あるいは触媒なしに実施されることを特徴とする、請求項1または2に記載のラノリン代替物。
【請求項4】
触媒あり又はなしで、試薬または反応混合物が、マイクロ波周波数または無線周波数を受けるのに適したバッチまたは不連続型の反応炉内に置かれることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一つに記載のラノリン代替物。
【請求項5】
触媒あり又はなしで、試薬または反応混合物が、連続反応を行うのに適した反応炉内に置かれることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一つに記載のラノリン代替物。
【請求項6】
触媒あり又はなしで、試薬または反応混合物にかけられる温度が、200と350℃の間に含まれることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一つに記載のラノリン代替物。
【請求項7】
反応時間が15分と6時間の間に含まれることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一つに記載のラノリン代替物。
【請求項8】
通常の又は酸素の制御された大気雰囲気下で;減圧して、50と10mm水銀柱の間で;雰囲気を定期的に更新して、重合を行うことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一つに記載のラノリン代替物。
【請求項9】
合計反応時間が、使用される一つまたは複数の試薬と、得ようとする粘度に依存することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一つに記載のラノリン代替物であって、該時間は、15分と7時間の間に位置する。
【請求項10】
反応媒質に添加するOH試薬の量が、結果として得られる重合体で達成しようとする水分吸収レベルならびに所期の粘度に依存しており、反応の最初に、途中で、あるいは最後に「OH試薬」を反応媒質内に導入することができることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一つに記載のラノリン代替物。
【請求項11】
得られた生成物が、その熱処理によって追加の特性がもたらされるならば、追加の処理にかけられることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一つに記載のラノリン代替物。
【請求項12】
追加の処理が、水素添加、脱色、脱臭、ろ過であることを特徴とする、請求項11に記載のラノリン代替物。
【請求項13】
追加の特性が、改善された臭い、色、手触りであることを特徴とする、請求項11に記載のラノリン代替物。
【請求項14】
前記試薬が、植物性の油脂の中から、およびそのいくつかが前記油脂に由来するポリテルペンの中から選択されることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一つに記載のラノリン代替物。
【請求項15】
不飽和脂肪酸として、単体または混合物で、一つまたは複数の一価不飽和脂肪酸;一つまたは複数の多価不飽和脂肪酸;共役ジエンまたは共役トリエンを含む一つまたは複数の酸;一つまたは複数のヒドロキシル基を含む一つまたは複数の酸、を用いることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一つに記載のラノリン代替物。
【請求項16】
一価不飽和脂肪酸が、オレイン酸、パルミトレイン酸、ミリスチン酸、ペトロセレン酸、エルカ酸であることを特徴とする、請求項15に記載のラノリン代替物。
【請求項17】
多価不飽和脂肪酸が、リノール酸、アルファおよびガンマリノール酸、アラキドン酸であることを特徴とする、請求項15に記載のラノリン代替物。
【請求項18】
共役ジエンまたは共役トリエンを含む酸が、リカン酸、リノールおよびリノレン酸の異性体であることを特徴とする、請求項15に記載のラノリン代替物。
【請求項19】
一つまたは複数のヒドロキシル基を含む酸が、リシノール酸であることを特徴とする、請求項15に記載のラノリン代替物。
【請求項20】
不飽和脂肪酸エステルとして、単体または混合物で、モノアルコールおよび/またはポリオールと少なくとも一つの不飽和脂肪酸との間のエステル化によって得られた一つまたは複数のエステル;ワックス;リン脂質;スフィンゴ脂質;糖脂質、を用いることを特徴とする、請求項1から19のいずれか一つに記載のラノリン代替物。
【請求項21】
前記植物性の油脂、炭化水素ならびにその誘導体が、水素添加、ヒドロキシル化、エポキシ化、亜リン酸化、スルホン化から選択された、それらの反応性を高めたり、反対に反応性を低下させたりするための事前処理にかけられることを特徴とする、請求項1から20のいずれか一つに記載のラノリン代替物。
【請求項22】
ヒドロキシル基を有するか発生する「OH試薬」が、アルコール、アミノアルコール、エポキシドの中から選択されることを特徴とする、請求項1から21のいずれか一つに記載のラノリン代替物。
【請求項23】
触媒または添加剤として、酸性触媒、塩基性触媒、Amberlite(登録商標)、Amberlyst(登録商標)、Purolite(登録商標)、Dowex(登録商標)、Lewatit(登録商標)型の酸性および/または塩基性樹脂、ゼオライトと酵素、カーボンブラック、活性炭素繊維を意味することを特徴とする、請求項1から22のいずれか一つに記載のラノリン代替物。
【請求項24】
酸性触媒が、パラトルエンスルホン酸、スルホン酸、リン酸、過塩素酸であることを特徴とする、請求項23に記載のラノリン代替物。
【請求項25】
塩基性触媒が、ソーダ、水酸化カリウム、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のアルコラート、酢酸ナトリウム、トリエチルアミン、ピリジン誘導体であることを特徴とする、請求項23に記載のラノリン代替物。
【請求項26】
0.1から30%の「OH試薬」を添加することを特徴とする、請求項1から25のいずれか一つに記載のラノリン代替物。
【請求項27】
1から10%のグリセロールを添加することを特徴とする、請求項26に記載のラノリン代替物。
【請求項28】
請求項1に記載の少なくとも一つの生成物を含有することを特徴とする、化粧品、皮膚科、または工業的用途の配合物。

【公開番号】特開2009−167417(P2009−167417A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60378(P2009−60378)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【分割の表示】特願2003−510750(P2003−510750)の分割
【原出願日】平成14年6月28日(2002.6.28)
【出願人】(504006412)
【氏名又は名称原語表記】ALDIVIA SA
【Fターム(参考)】