説明

ラベル、ラベルの製造方法、プログラム、管理システム、管理方法

【課題】ブリスター包装体に貼付されて、患者の投薬時間の履歴の情報の管理のための機能を有するラベル、および同ラベルの製造方法、同ラベルに関するプログラム、管理システム、管理方法を提供する。
【解決手段】ラベル1は、ベースラベル110、タイムロガー120、カバーラベル130を有する。ベースラベル110には回路が形成されて、ラベル1が貼付されるPTPシート2における各ポケットからの薬剤の排出によって回路が破断する。タイムロガー120は、PTPシート2における耳部203に接合するように配置されて、回路破断によるインピーダンス値の変化の検出、その時間の情報の記憶や無線送信などを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はラベル、ラベルの製造方法、プログラム、管理システム、管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種商品におけるトレーサビリティ等の情報管理が重要となっている。そうした要求の実現のために、ICタグの技術が用いられる場合が多い。例えば下記特許文献1では、薬剤を収容する容器にICタグを付加して、患者の手に渡った後においても、薬剤に関する情報のトレースを可能とする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−211601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
医療においては、患者が処方された薬剤を決められた時間に決められた量だけきちんと服用することが、治療効果が正しく得られるか否かに大きく影響する。したがって医療分野においては、患者の投薬履歴の情報を管理できることが望ましい。ICタグの技術などを有効に活用して、患者の投薬時間の履歴の情報が管理できるような製品やシステムが実現できれば、適切な医療のために極めて有用だと考えられる。
【0005】
そこで本発明が解決しようとする課題は、ブリスター包装体に貼付されて患者の投薬時間の履歴情報の管理のために用いられるラベル、および同ラベルの製造方法、同ラベルに関するプログラム、管理システム、管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るラベルは、薬剤を収容するように縦横に整列して形成された複数のポケット部と、前記ポケット部が形成されていない周縁の領域である耳部と、を備えたブリスター包装体に貼付されるラベルであって、粘着層を備え、前記ブリスター包装体における前記ポケット部に収容された薬剤が排出される側の面に前記粘着層によって貼付される、導電性を有しないベースラベルと、そのベースラベルの表面に電流が流れるように形成されて、前記ポケット部から薬剤が排出されることにより一部が破断されて電気的に変化する回路部と、前記回路部における電気的な変化の時間を記憶する記憶部と、その記憶部に記憶された前記時間の情報を無線送信する送信部と、前記記憶部と前記回路部とに電力を供給する電池部と、前記記憶部を起動する操作を受け付ける起動部と、を備え、前記ベースラベルにおける前記耳部に接合された制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
これにより本発明に係るラベルは、ブリスター包装体の耳部に当たる領域に制御部が配置されるようにブリスター包装体に貼付されて、表面に回路が形成されたベースラベルを備えるラベルであり、制御部は回路の電気的な変化時間を記憶、送信する機能を有するので、ブリスター包装体の耳部の領域を有効に利用して制御部を配置し、ブリスター包装体の薬剤排出時間の記憶や送信などが行える。よって既成のブリスター包装体に変更を加えず(あるいは微小な変更のみで)、ブリスター包装体に貼付するのみで患者の投薬履歴の管理が適切に実行されるラベルが実現できる。さらに記憶部を起動する起動部を備えるので、システム起動の管理が医療機関や薬局などで簡易に行える。
【0008】
また前記記憶部と前記送信部と前記電池部と前記起動部は、前記制御部内において、前記ベースラベルの表面と平行に、平面的に配置されているとしてもよい。
【0009】
この発明によれば、記憶部、送信部、電池部、起動部が平面的に配置されるので、ブリスター包装体のシート形状に変更を与えず、制御部が貼付された状態のブリスター包装体の運搬や保管などが、制御部が貼付されていない場合と同様に行える。
【0010】
また前記制御部は、前記記憶部と前記送信部と前記電池部とを保護するカバー層を備え、そのカバー層は文字表示領域を有するとしてもよい。
【0011】
この発明によれば、制御部にカバー層を設けて、そこに文字表示するので、制御部の保護と兼用するかたちで、ブリスター包装体の耳部において、使用者への文字による注意喚起が行える。
【0012】
また前記記憶部は、前記回路部が電気的に変化した少なくとも年、月、日、時間、分を示す数字を、少なくとも前記ブリスター包装体に収容された薬剤数と同じ記憶上限回数まで記憶するとしてもよい。
【0013】
この発明によれば、患者の投薬時刻における年、月、日、時間、分を示す数字を、少なくともブリスター包装体に収容された薬剤数分記憶するので、患者の投薬履歴情報を適切に記憶することができる。
【0014】
また前記記憶部は、前記起動部が起動操作を受け付けた後に、前記電池部の電力を用いて所定の時間間隔ごとに前記回路部に電流を流す通電手段と、その通電手段により通電された前記回路部におけるインピーダンス値の変化を検出する変化検出手段と、を備えたとしてもよい。
【0015】
この発明によれば、回路部に所定の時間間隔で通電してインピーダンス値の変化を検出するので、例えば常時通電する場合と比べて電池の消費電力を節約できる、あるいは電池の容量を小さくできる。
【0016】
また前記ベースラベルにおける各ポケット部に収容された薬剤の排出位置を囲むように形成された、線状の脆弱な部分であるカット部を備え、前記回路部はそのカット部を跨いで形成されるとしてもよい。
【0017】
この発明によれば、ベースラベルに薬剤の排出位置を囲むように線状の脆弱な部分を形成し、そこを回路部が跨ぐようにするので、薬剤排出時に想定外の位置が破断することによって回路が破断しない不具合を抑制して、薬剤排出時には確実に回路が破断される。
【0018】
また前記送信部による無線送信は前記電池部に蓄えられた電力を用いず、前記送信部から送信された情報を受信する装置から発信される電磁波による電磁誘導で前記制御部内に発生する起電力を用いて送信するとしてもよい。
【0019】
この発明によれば、制御部から投薬履歴情報を送信する時には、その送信のために用いる電力のために電池の電力を用いないので、制御部に備えられた電池部の電力は送信以外の目的に使用すればよい。よって電池部の消費電力を節約できる、あるいは電池の容量を小さくできる。
【0020】
また前記制御部は、無線信号を受信する受信部を備え、前記記憶部は、その受信部で受信した情報を記憶するとしてもよい。
【0021】
この発明によれば、回路部の電気的変化によって検出された薬剤排出時間の履歴を記憶するのみでなく、ラベルおよびブリスター包装体に対して、外部から付加的な情報を記憶させることができる。よって例えば投薬に関する付加的な情報もブリスター包装体に貼付されたラベルに記憶させることで、適切な投薬医療の実現に寄与できる。
【0022】
また前記受信部によって受信される情報は、薬剤を服用したことによる副作用や体調の情報を含むとしてもよい。
【0023】
この発明によれば、回路部の電気的変化によって検出された薬剤排出時間の履歴を記憶するのみでなく、ラベルに対して外部から、薬剤を服用したことによる副作用や体調の情報を送信して記憶させることができる。よって、薬剤を服用したことによる副作用や体調の情報もブリスター包装体に貼付されたラベルに記憶させることで、適切な投薬医療の実現に寄与できる。
【0024】
また本発明に係るラベルの製造方法は、粘着層を備え、ブリスター包装体におけるポケット部に収容された薬剤が排出される側の面に前記粘着層によって貼付される、導電性を有しないベースラベル上に、そのベースラベルの表面に電流が流れるように形成されて、前記ポケット部から薬剤が排出されることにより一部が破断されて電気的に変化する回路部が形成されたベースラベルを製造するベースラベル製造工程と、前記回路部における電気的な変化の時間を記憶する記憶部と、その記憶部に記憶された情報を無線送信する送信部と、前記記憶部と前記回路部に電力を供給する電池部と、前記記憶部を起動する操作を受け付ける起動部と、を備え、前記ベースラベルに貼付される制御部を製造する制御部製造工程と、前記ベースラベル製造工程で製造されたベースラベルに、前記制御部製造工程で製造された制御部を、前記回路部と前記電池部とが電気的に接続されるように貼付する貼付工程と、を備えたことを特徴とする。
【0025】
これにより本発明のラベルの製造方法では、まず回路部を備えるベースラベルと、インピーダンス値変化の時間の記憶部や送信部などを備える制御部と、を製造し、その後、ベースラベルに制御部を貼付する工程によって、投薬履歴の管理に用いられるラベルを製造することができる。この製造工程は、特に、ベースラベルと制御部とを別の場所で製造、保管することや、ベースラベルに貼付する前に制御部の電子部品における不良品の検査を行えるなどの利点を有する。
【0026】
また本発明に係るプログラムは、ブリスター包装体における薬剤が排出される側の面に電流が流れるように形成されて、薬剤が排出されることにより一部が破断されて電気的に変化する回路部と、その回路部における電気的な変化の時間を記憶する記憶部と、その記憶部に記憶された情報およびID情報を無線送信する送信部と、を備えるラベルが貼付されたブリスター包装体における前記送信部から送信されたID情報を当該患者と関連付けて登録する登録ステップと、前記ブリスター包装体の送信部から送信された電気的な変化の時間の情報を受信する受信ステップと、その受信ステップで受信された前記時間の情報を、前記登録ステップで前記ブリスター包装体と関連付けられた患者の投薬履歴情報として記憶する記憶ステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0027】
これにより本発明に係るプログラムは、薬剤が収容されたブリスター包装体の送信部から無線で同シートのID情報を受信して患者と関連付けて記憶したうえで、ブリスター包装体から送信された薬剤排出時間の情報を受信し、受信した薬剤排出時間を患者と関連付けて記憶する処理を実行させるので、患者の投薬履歴を適切に管理するプログラムが実現される。
【0028】
また本発明に係る管理システムは、ブリスター包装体における薬剤が排出される側の面に電流が流れるように形成されて、薬剤が排出されることにより一部が破断されて電気的に変化する回路部と、その回路部における電気的な変化の時間を記憶する記憶部と、その記憶部に記憶された情報およびID情報を無線送信する送信部と、を備えるラベルと、そのラベルが貼付されたブリスター包装体の前記送信部から送信されたID情報を患者と関連付けて登録する登録手段と、前記ブリスター包装体の送信部から送信された電気的な変化の時間の情報を受信する受信手段と、その受信手段で受信された前記時間の情報を、前記登録手段で前記ブリスター包装体と関連付けられた患者の投薬履歴情報として記憶する記憶手段と、を備えたことを特徴とする。
【0029】
これにより本発明に係る管理システムは、ブリスター包装体に貼付されて、投薬時刻の情報の記憶部、送信部を備えたラベルと、送信されたブリスター包装体の登録手段、送信された投薬時間の受信手段、記憶手段を備えるので、ブリスター包装体に投薬履歴管理機能を有するラベルを貼付するのみで、患者の投薬履歴を適切に管理することができる。
【0030】
また本発明に係る管理方法は、ブリスター包装体における薬剤が排出される側の面に電流が流れるように形成されて、薬剤が排出されることにより一部が破断されて電気的に変化する回路部と、その回路部における電気的な変化の時間を記憶する記憶部と、その記憶部に記憶された情報を無線送信する送信部と、を備えるラベルが貼付されたブリスター包装体を、医療機関又は薬局で患者に処方する処方ステップと、前記患者が、前記薬剤が排出済みの前記ブリスター包装体を前記医療機関又は薬局に返却する返却ステップと、前記返却ステップで返却された前記ブリスター包装体の送信部から送信された、電気的な変化の時刻の情報を受信装置で受信する受信ステップと、その受信ステップで受信された前記情報を前記患者と関連付けて記憶する記憶ステップと、を備えたことを特徴とする。
【0031】
これにより本発明に係る管理方法では、投薬時刻の情報の記憶部、送信部を備えたラベルが貼付されたブリスター包装体に収容された薬剤を患者に処方し、患者は使用済みのブリスター包装体を返却し、返却されたブリスター包装体から投薬時間を無線で受信し、記憶する。したがって投薬履歴管理機能を有するラベルをブリスター包装体に貼付し、患者が使用済みのブリスター包装体を返却する簡易な方法により、患者の投薬履歴が適切に管理できる。
【0032】
また本発明に係るプログラムは、薬剤を服薬したことによる副作用や体調を含む情報の入力を受け付ける入力ステップと、無線信号を受信する受信部と、ブリスター包装体における前記薬剤が排出される側の面に電流が流れるように形成されて、薬剤が排出されることにより一部が破断されて電気的に変化する回路部と、その回路部における電気的変化の時間の情報および前記受信部が受信した情報を記憶する記憶部と、を備えるラベルが貼付されたブリスター包装体に向けて、前記入力ステップで受け付けた、副作用や体調を含む情報を無線送信する送信ステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0033】
これにより本発明に係るプログラムでは、薬剤を服薬したことによる副作用や体調を含む情報の入力を受け付け、薬剤が収容されたブリスター包装体における薬剤排出時間の情報や、無線で受信した情報を記憶する記憶部を有するラベルに対して、副作用や体調を含む情報を送信するので、患者の投薬履歴のみでなく、薬剤を服薬したことによる副作用や体調を含む情報をも適切に管理するプログラムが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施例のラベルおよびPTPシートを示す図。
【図2】PTPシートの例を示す図。
【図3】ベースラベルの例を示す図。
【図4】タイムロガーの例を示す平面図。
【図5】タイムロガーの例を示す側面図。
【図6】上層ラベルの例を示す図。
【図7】ラベルの構成を示す図。
【図8】ラベルの製造工程の一部を示す図。
【図9】タイムロガー付きPTPシートの製造工程を示すフローチャート。
【図10】医療機関におけるシステム構成例を示す図。
【図11】薬局におけるシステム構成例を示す図。
【図12】医療機関における薬剤処方時の処理例を示す図。
【図13】薬局における薬剤処方時の処理例を示す図。
【図14】PTPシートからの薬剤排出を示す図。
【図15】医療機関におけるPTPシート返却時の処理例を示す図。
【図16】PTPシートの廃棄を示す図。
【図17】薬剤処方時の処理手順の例を示すフローチャート。
【図18】処方後の処理手順の例を示すフローチャート。
【図19】PTPシート返却時の処理手順の例を示すフローチャート。
【図20】回路部の第2の例を示す図。
【図21】回路部の第3の例を示す図。
【図22】スマートフォンを用いたシステムの構成例を示す図。
【図23】薬剤投薬時間の取得および表示処理の例を示すフローチャート。
【図24】副作用や体調の情報の送信及び記憶処理の例を示すフローチャート。
【図25】スマートフォンを用いたシステムの別の構成例を示す図。
【図26】図25の構成のもとでの第1の処理手順の例を示すフローチャート。
【図27】図25の構成のもとでの第2の処理手順の例を示すフローチャート。
【図28】図25の構成のもとでの第3の処理手順の例を示すフローチャート。
【図29】図25の構成のもとでの第4の処理手順の例を示すフローチャート。
【図30】タイムロガーの配置形態の第1の変形例を示す図。
【図31】タイムロガーの別の例を示す図。
【図32】タイムロガーの別の内部構成例を示す図。
【図33】上層ラベルを用いない例を示す図。
【図34】タイムロガーの配置形態の第2の変形例における配置手順途中を示す図。
【図35】タイムロガーの配置形態の第2の変形例を示す図。
【図36】タイムロガーの配置形態の第3の変形例における配置手順途中を示す図。
【図37】タイムロガーの配置形態の第3の変形例を示す図。
【図38】タイムロガーの配置形態の第3の変形例の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ説明する。まず図1は、本発明の実施例のラベル1とPTPシート2(Press Through Pack Sheet、ブリスター包装体、ブリスターパック)とを示す図である。ラベル1がPTPシート2の裏面(PTPシート内に収容された物品が排出される側の面)に貼付されて、タイムロガー付きPTPシート10が作成される。ラベル1は、ベースラベル110(下層ラベル)、タイムロガー120、上層ラベル130を備える。
【0036】
図2にはPTPシート2が示されている。図2に例示されたPTPシート2は、略長方形の形状において、縦横方向にマトリクス状に複数のポケット部201(ブリスター部)が形成されている。各ポケット部201内に1個ずつ薬剤202が収容されている。PTPシートは例えば樹脂製として、ポケット部の裏面側(薬剤が排出される側。以下同様に図1における上側の面を裏面、その逆側の面を表面と呼称する。)に例えばアルミニウムシート(アルミニウム箔)が貼付されてポケット部の開口が封鎖されている。使用者がポケット部を押圧することにより、アルミニウムシートが破られて薬剤が排出される。
【0037】
PTPシート2には、使用者が手で持つときなどのために、ポケット部201が形成されていない領域である耳部203が周縁部に設けられている。本発明のPTPシート2においては、後述するタイムロガー配置のための領域として、一部の耳部を広くしておく。図2の例では図示上部の耳部203の長さaを、図示されたbの長さよりも(例えば20、30、35mm以上40、50、60mm以下の範囲で)長くする。
【0038】
図3にはベースラベル110が示されている。ベースラベル110は例えば合成紙などの電気絶縁性を有する材料で、PTPシートと同形状(あるいは天地、左右が2mmほど小さい)に作成される。ベースラベル110の裏面側に電気が流れるように回路部111を、導電性を有する材料で(例えば銀インク、アルミエッチング)形成(印刷)する。
【0039】
回路部111には、後述するタイムロガーとの間の電気的接続のために、接続端子112を形成する。また薬剤排出の際にベースラベルの破断箇所を予め定めるために、ベースラベルの各ポケット部における薬剤通過位置を囲むように線状の脆弱な部分として形成されたU字型のカット113(ハーフカット)を、回路形成の前に形成しておく。回路パターンは図3に例示されているように、U字型のカット113を跨いで形成され、薬剤が排出されてカット113が破断したら、回路部の一部も破断して、全体の抵抗値(広義のインピーダンス値。なお本明細書で、インピーダンスとは、抵抗成分を実数部分としリアクタンス成分を虚数部分とした交流回路におけるインピーダンスも含むとともに、直流回路における抵抗成分のみの場合も含むとする。さらに、直流も交流も含む状況における、電圧と電流との比という、一般的なインピーダンス(電気的インピーダンス)の定義も排除されない。)が変化(増加)するようにする。
【0040】
回路部111の大きさは、例えば25から30mm×40mmで、厚さは2mm程度とすれば好適である。ベースラベル110の表面側には、PTPシートへの貼付のために、粘着材を塗布した粘着層を形成する。なおカット113の形状はU字型に限定されず、O字型(1部のみを繋ぐ)、四角型など薬剤が通過できる任意の形状でよい。
【0041】
図4および図5にはタイムロガー120(電子デバイス、制御部)が示されている。図4は平面図、図5は図4の図示下方側から見た側面図である。タイムロガー120は、基材シート121の図示上面側に、ICチップ123、バッテリー124(電池部)、起動ボタン125(スイッチ部)、そして下面側に接続端子126を備え、これらは電気的に接続されている。
【0042】
ICチップ123は、通常のコンピュータの構造を有し、チップ内にCPU、メモリ123a(記憶部)、タイマ123bなどが形成されて、回路部111の破断時刻を検出し、記憶する等の処理を実行する(詳細は後述)。ICチップ123内にはアンテナ123c(送信部)も形成されて、ICチップ123内に記憶された投薬履歴情報を無線送信する(詳細は後述)。メモリ123aは揮発性のメモリとしてもよく、不揮発性のメモリ(例えばEEPRPM、フラッシュメモリ)としてもよい。バッテリー124は、回路部111に電流を流すためやICチップ123における各種処理のために電力を供給する。起動ボタン125はタイムロガー120の起動のためのボタンである。接続端子126は、上述の回路部111の接続端子112との電気的接続のために装備される。このようにタイムロガー120は、メモリ123a、アンテナ123cを備える既存のICタグに、タイマ123bやバッテリー124等を付加して、時間管理(記憶)の機能を集約的に実現した電子デバイスである。
【0043】
以上の各部を備えたタイムロガー120は、図5に示されるように、保護と厚さ合わせのためのシート128が配置された上で、カバー層ラベル127で全体を図示上方から覆われ保護される。カバー層ラベル127には、製造番号や使用期限、患者への注意喚起などの文字表示やバーコードや2次元コード等のコードが印刷される(後述)。そしてタイムロガー120は、基材シート121の図示下側の面に形成された粘着層129によってベースラベル110に貼付される。図5においてcで示されたタイムロガー120の(ベースラベルの表面と直交方向の)厚さは、例えば2mm以上3mm以下(あるいは4、5、6mm以下など)の範囲内にすれば、タイムロガー付きPTPシート10を薄く構成できるので、PTPシートのシート形状に変更を与えず、タイムロガー120が貼付された状態のPTPシートの運搬や保管などが、タイムロガー120が貼付されていない場合と同様に行えて好適である。
【0044】
図6には上層ラベル130が示されている。上層ラベル130には、患者向けの注意事項の印刷を行ってから、各薬剤の排出通路となるハーフカット131を形成する。上層ラベル130の表面側にはベースラベル110への貼付のための粘着層を形成する。
【0045】
以上の各部材が図7に示されたように一体化されることで、ラベル1が作成される。すなわち、ベースラベル110の裏面側に回路部111を保護するように上層ラベル130を貼付する。そしてタイムロガー120にカバー層ラベル127を貼付する。図7のとおり、カバー層ラベル127には製造番号、使用期限、患者への注意喚起等の文字表示やバーコードや2次元コード等のコード127aが印刷される。
【0046】
患者への注意喚起の文字表示は、例えば「廃棄せず返却して下さい」等のようにする(このような表示の意味は後述)。バーコードや2次元コード等のコード127aには、薬剤名、製造企業名、製造場所、製造年月日、製造番号、使用期限など、タイムロガー付きPTPシート10やそのなかの薬剤202のトレーサビリティに関する情報などが記憶されているとすればよい。カバー層ラベル127が貼付されたタイムロガー120がベースラベル110に貼付される。その際、タイムロガー120の接続端子126とベースラベル110の接続端子112とが電気的に接続されるようにする。これによりタイムロガー付きのラベル1が作成される。図7等より、PTPシート2およびベースラベル110は長方形状であり、その長辺方向の端部に耳部は形成され、タイムロガー120において、ICチップ123とバッテリー124と起動ボタン125とは長方形状における短辺方向に一列に配置される。これにより耳部の空間を有効利用して、投薬履歴管理の制御部を配置することができる。
【0047】
次に図9に示されたフローチャートに沿って、ラベル1、およびタイムロガー付きPTPシート10の製造方法を説明する。図9の製造手順ではまずS10でベースラベル110を作成する。これは上述のとおり合成紙などで作成すればよい。次にS20でベースラベル110上に回路部111を形成する。
【0048】
こうして回路部111が形成されたベースラベル110を、次にS30で巻き取りロールに巻き取る。巻き取りロール4の例が図8に示されている。ベースラベル110を合成紙で作成するなどにより、ベースラベル110は柔軟性を有し、厚さも薄く作成されるので、図8のようにロール4に巻き取って、保管、そして別の場所に運搬することが容易となる。
【0049】
次にS40でタイムロガー120を作成する。タイムロガー120は上述のとおり、基材シート121の一方の面に、ICチップ123、バッテリー124、起動ボタン125を配置し、他方の面に接続端子126を配置する。ICチップ123、バッテリー124、起動ボタン125、接続端子126は、例えば市販の製品を用いればよい。そしてシート128とカバー層ラベル127を貼付する。
【0050】
こうして作成されたタイムロガー120を、次にS50で、ベースラベル110に貼付する。具体的には、図8に示されたとおり、巻き取りロール4を巻き戻して、順次ベースラベル110にタイムロガー120を貼付すればよい。これによりタイムロガー付きラベル1が完成する。そしてS60で、PTPシートにラベルを貼付すれば、タイムロガー付きPTPシート10が完成する。以上のとおり、本発明のタイムロガー付きラベル1、タイムロガー付きPTPシート10の製造手順では、ベースラベル110の製造と、タイムロガー120の製造とを別個に行える利点がある。
【0051】
次に、本発明における投薬履歴管理システムを説明する。図10、図11はそれぞれ医療機関、薬局における投薬履歴管理システムの構成図を示す。本発明における投薬履歴管理システムは、これらの構成を上記タイムロガー付きPTPシート10と組み合わせることで成立する。
【0052】
図10、図11のシステムは、コンピュータ301、タグリーダ(タグリーダ/ライタ)302、管理プログラム(を記憶した記憶メディア)303を備える。コンピュータ301は例えば市販のパーソナルコンピュータでよい。コンピュータ301はメモリ304(データベース)を備える(図15参照)。管理プログラム303は、本発明における投薬管理に関する処理全般を司るコンピュータプログラムであり、記憶メディア(例えばCD−ROM等)に記憶された状態で医療機関や薬局に納入される。管理プログラム303は、後述の図17、図19などのフローチャートにおけるコンピュータの処理部分をコンピュータ301に(自動的に)実行させるプログラムである。なお管理プログラム303はインターネットからダウンロードする方式でもよい。
【0053】
タグリーダ302はタイムロガー120から投薬履歴情報などを取得するために装備される。本発明においてタグリーダ302は、例えば13.56MHzの周波数帯域の無線通信を用いた既存の非接触ICタグリーダ(あるいはICタグリーダ/ライタ)を援用すればよい。
【0054】
すなわち、タグリーダ302は、送信部と受信部とを有し、送信部から電磁波を送信して、その電磁波の到達範囲内にタイムロガー120があると、電磁誘導によりタイムロガー120内に起電力が発生する。この起電力により、ICチップ123からの指令でアンテナ123cから、メモリ123a内に記憶された投薬履歴情報を含む信号が送信される。タグリーダ302は、アンテナ123cから発信された信号を受信部で受信して投薬履歴情報を取得する。また薬剤処方時には、同様の方法によってタグリーダ302はタイムロガー120から当該タイムロガー(あるいはそれが貼付されたPTPシート)のID(メモリ123a内に記憶されている)を受信する。
【0055】
以上のシステム構成のもとで投薬履歴管理処理が実行される。以下で、タイムロガー付きPTPシート10を用いた投薬履歴管理処理の処理手順を説明する。まず図10から図13を参照しつつ、図17に示された薬剤処方時の投薬履歴管理処理手順を説明する。
【0056】
薬剤処方時の投薬履歴管理処理手順ではまず、S100で、医療機関又は薬局に、図10、図11のようにコンピュータ301、タグリーダ302、管理プログラム303などを配置する。上述のとおり、コンピュータ301、タグリーダ302は既存のものでもよい。医療機関又は薬局において管理プログラム303をコンピュータ301にインストールする。なおS100の手順は予め行っておけばよい。
【0057】
次にS110で、患者に薬剤を処方する。薬剤202は、上述のタイムロガー付きPTPシート10内に収容されているとする。医師又は薬剤師は患者に薬剤を渡す前に以下の処理を行う。まずS120で、医師、薬剤師などがタイムロガー120における起動ボタン125を押すことによって、タイムロガー120を起動する。これによりタイムロガー120の情報処理機能などが起動し、例えばタイマ123bは時刻算出を開始し、ICチップ123のCPUは後述の図18の処理を開始する。
【0058】
次にS130で医師、薬剤師などは、図12や図13に示されているように、タグリーダ302によってタイムロガー120(あるいはタイムロガー付きPTPシート10)のIDを読み取る。読取原理は上述のとおり通常の非接触ICカードリーダの原理と同様とすればよい。タイムロガー120IDは、例えばタイムロガー120の製造段階、あるいはタイムロガー120のPTPシート2への貼付段階で、個々のタイムロガー120ごとの固有の番号、記号などとして記憶させておく。コンピュータ301は、続くS140で、タイムロガーIDを患者ID(予め定められている)と関連付けて記憶する。次にS150で、医師又は薬剤師は患者に対して、空になってもタイムロガー付きPTPシート10を破棄せずに、次回来院(来店)時にタイムロガー付きPTPシート10を返却するように説明する。
【0059】
以上の処理は、薬剤処方が医療機関、薬局のどちらでなされても処理される。そして薬剤が薬局で処方された場合には次のS160が実行される。S160では、薬局のコンピュータ301から医療機関のホストコンピュータ301に処方情報が転送される。ここで処方情報は、例えば処方した薬剤のタイムロガー付きPTPシート10のタイムロガーIDと、それに関連付けられた患者ID(あるいは患者名)、処方日時(起動ボタン125を押した時刻あるいはタイムロガーIDを読み取った時刻、詳しくは例えば年(西暦年の下2桁)、月、日、時間、分)である。なお図11で矢印で示されているように、薬局での薬剤処方に先立って、処方箋を発行した医療機関から薬局へ処方箋番号などの患者情報を送信すればよい。以上が図17の処理手順である。
【0060】
なおS120では、起動ボタン125が押されたら、回路部111に最初の通電を実行して、適切なインピーダンス値であるか否かを判定してもよい。これにより、回路部が破断した不良品が検出できる。適切な初期インピーダンス値は予め、例えばメモリ123aに記憶しておけばよい。
【0061】
次に図14を参照しつつ、図18に示された、薬剤処方後の投薬履歴管理処理手順を説明する。図18の処理手順は、例えば予めプログラム化してメモリ123aに記憶しておき、ICチップ123でそれを呼び出して自動的に実行すればよい。
【0062】
薬剤処方後の投薬履歴管理処理手順では、まずS200で前回検出時から所定時間経過したかを判定する。ここで前回の検出とは、次のS210の回路部の通電を前回行ったことを指すとする。経過時間はタイマ123bで算出する。所定時間は例えば5分、10分、15分、20分、30分などとすればよい。所定時間を経過している場合(S200:YES)はS210へ進み、まだ所定時間を経過していない場合(S200:NO)はS200を繰り返して所定時間の経過を待つ。
【0063】
次にS210で回路部111に通電する。これによりバッテリー124から供給される電力で、回路部111に電流が流れる。
【0064】
続いてS220で、回路部111のインピーダンス値が前回から増加したか否かを判定する。上述のとおり、回路部111はベースラベル110におけるU字型のカット113を跨ぐように形成され、薬剤が排出され(図14参照)、対応するポケット部201におけるカット113が破断されると、その部分の回路部111も破断されて、回路部111のインピーダンス値が増加する。
【0065】
したがって前回検出時と今回検出時の間で患者が薬剤を排出した場合、前回検出時のインピーダンス値よりも今回検出時のインピーダンス値が増加することとなる。S220ではこうしたインピーダンスの増加を検出する。インピーダンス値の増加を検出した場合(S220:YES)はS230に進み、インピーダンス値の増加を検出しない場合(S220:NO)はS200へ戻って上記処理を繰り返す。なおインピーダンス値の増加は、例えばICチップ123内に電流値センサを組み込んで、電流値の減少によって検出すればよい。
【0066】
S230に進んだら、タイマ123bで算出された現在時刻をメモリ123aに記憶する。より具体的には、現在時刻は例えば年(西暦の下2桁)、月、日、時間(24時間表示)、分の10桁数字とする。S230における現在時刻は近似的な意味での投薬時刻である。したがってメモリ123aには、S230でインピーダンス値が増加が検出される毎に、その時刻が順次新しく別の場所に書き込まれていって、投薬時刻の履歴が形成される。メモリ123aは、こうした10桁数字をPTPシート2のポケット数分、あるいは例えば最低50回は記憶できる記憶容量を備えるようにする。またバッテリーは、以上の処理が例えば最低1.5ヶ月から2ヶ月程度は実行可能な容量とする。
【0067】
なおS230の処理においては、一度に複数の薬剤を服用する場合を考慮する必要がある。したがってS230では、検出されたインピーダンス値の増加幅から何錠服用されたか(いくつのポケット部が破られたか)をICチップで算出して、この服用錠数と同じ数だけ、タイマ123bで算出された現在時刻をメモリ123aに記憶する。あるいは、S230において現在時刻(近似的な意味で投薬時間)のみでなく服薬錠数も記憶するように変更してもよい。
【0068】
さらにS230では現在時刻そのものでなく、現在時刻に相当する値を用いてもよい。現在時刻相当値は例えば、起動ボタン125オンからの経過時間、あるいは起動ボタン125オン以降におけるS210の通電実行回数の積算値がある。この場合タイマ123bの時刻合わせが不要となる。要するに、前記記憶部に、前記回路部におけるインピーダンス値が時間に相当する相当値を、少なくとも前記PTPシートに収容された薬剤数と同じ記憶上限回数まで記憶させる相当値記憶手段が備えられている。メモリ123aに現在時刻そのものを記憶する場合は、例えばS130でのタイムロガー読取りの際に、コンピュータ301が有する現在時刻の数値情報をタグリーダ302から送信し、タイムロガー120はそれを受信してメモリ123aに記憶し、ICチップ123はそれとタイマ123bを利用して現在時刻を算出する。
【0069】
次にS240で、その時点でのインピーダンス値を記憶する。これはメモリ123aに順次上書きして記憶していけばよい。S240で記憶されたインピーダンス値が、上記S220で前回のインピーダンス値として用いられる。
【0070】
次にS250で、全ての薬剤がPTPシート2から排出されたか否かを判定する。この判定は具体的には、現時点でのインピーダンス値が、全薬剤が排出された後のインピーダンス値に達したか否かを判定すればよい。全ての薬剤が排出されたと判定された場合(S250:YES)は図18の処理を終了し、まだ全ての薬剤が排出されていないと判定された場合(S250:NO)はS200へ戻って上記手順を繰り返す。以上が図18の処理手順である。なおS250の処理は省いて、電池が切れるまで図18の処理を実行するとしてもよい。
【0071】
次に図15、図16を参照しつつ、図19に示されたPTPシート返却以後の投薬履歴管理処理手順を説明する。PTPシート返却以後の投薬履歴管理処理手順では、まずS300で患者が、カバー層ラベル127における返却するようにとの文字表示に注意喚起される等して、医療機関に次回来院した時(あるいは薬局に次回来店した時)に、薬剤が排出されたタイムロガー付きPTPシート10を持参し、返却する。
【0072】
次にS310で、医療機関または薬局において、返却されたタイムロガー付きPTPシート10から投薬履歴を読み取る。読取方法は、上述のとおり、タグリーダ302の送信部から電磁波を送信して、その電磁波の到達範囲内にタイムロガー120があると、電磁誘導によりタイムロガー120内に起電力が発生する。この起電力によりアンテナ123cから、ICチップ123のメモリ123a内に記憶された投薬履歴情報を含む信号が送信される。タグリーダ302は、アンテナ123cから発信された信号を受信部で受信して投薬履歴情報を取得する。
【0073】
なおメモリ123a内に、個々の投薬時間そのものが記憶されている場合は、コンピュータ301は投薬時間の履歴そのものを受信する。またメモリ123a内に、投薬時刻相当値(上述の現在時刻相当値)が記憶されている場合は、コンピュータ301は、受信した相当値と、記憶されている起動ボタンのオン時刻とから、個々の投薬時間そのものの履歴を算出する。要するに、相当値記憶手段によって記憶された相当値から、投薬時間の履歴を算出する時間算出手段が備えられている。
【0074】
次にS310でコンピュータ301は、受信(あるいは算出)された投薬履歴を、当該患者IDと関連付けてデータベース304に格納する。タイムロガー付きPTPシート10が薬局に返却された場合は、薬局から医療機関へ情報を送信して医療機関のデータベース304に格納するとしてもよい。そしてICチップ123は、続くS320でメモリ123a内の記憶を消去する。次にS330で、医療機関又は薬局はPTPシートを廃棄する。この廃棄処理においては、該当する地方自治体における電池等の廃棄ルールに従って、例えばバッテリー124部分とそれ以外とに分離して、それぞれを廃電池、廃プラスティックとして廃棄すればよい。このために、タイムロガー120においてバッテリー124の周囲にミシン目を形成して、バッテリー124を切り取りやすくしてもよい。以上が図19の処理手順である。
【0075】
上記実施例は特許請求の範囲に記載された趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更できる。例えば上記では患者はタイムロガー付きPTPシート10を返却したが、このうちタイムロガー120のみを切り離して返却するとしてもよい。そのために例えば図7のベースラベル110におけるタイムロガー120の図示下方の位置に、患者が切り離しやすいように図示水平方向にハーフカット(ミシン目)を形成してもよい。要するに、制御部をPTPシートから切り離すためのカット部が備えられているとすればよい。
【0076】
またベースラベル110に形成される回路部111のパターンも図3に限定されない。図3の例では、図示縦1列に並んだカット113に対して並列な回路パターンが形成されているが、図20に示されているように、個々のカット113に対して独立な回路を形成してもよい。この場合、上記S220でのインピーダンス値の変化(増加)の検出は、全ての回路数のうちで電流値がゼロの回路数が増えたか否かの検出に変更される。
【0077】
また回路部111のパターンは図21のように形成してもよい。図21のベースラベル110”では、接続端子112が2個であり、全てのカット部113のそれぞれを跨ぐように形成された回路が並列に接続された回路部111が形成されている。この例では接続端子112が少なくて(最小個)すみ、1つのインピーダンス値の変化を検出するのみでよい(例えば図3の例では2つのインピーダンス値の変化を検出する)。本発明では、図3、図20、図21の例に限定されず、薬剤の排出がインピーダンス値の変化(回路部111の電気的な変化)として検出されるような回路部111の形成パターンであればよい。
【0078】
また本発明は、スマートフォン(携帯電話に電話以外の情報処理機能を付加した携帯情報通信端末)等の情報通信端末を用いてタイムロガー付きPTPシート10に付加的な情報が書き込めるように上記実施例を変更してもよい。そうした実施例における具体的なシステム構成例が図22に示されている。図22のシステムは、タイムロガー付きPTPシート10に加えて、スマートフォン400、サーバ500を備える。
【0079】
スマートフォン400は、本発明に関係する構成として、CPU401、RAM402、ROM403、ディスプレイ/タッチパネル404、通信部405を備える。CPU401は各種情報処理を司り、RAM402は揮発性のメモリであり、CPU401の作業領域を構成する。ROM403は各種情報を記憶する不揮発性のメモリである。ディスプレイ/タッチパネル404は各種情報を表示するとともに、ユーザからの接触による入力を受け付ける。通信部405は、電話回線網、通信網を介して、他の通信機器、携帯電話などと無線で通話や通信を行う。
【0080】
スマートフォン400のROM403には、プログラム406、タグリーダ/ライタソフトウェア407が記憶されている。プログラム406は、本発明のために必要な機能をスマートフォン400に実行させるプログラムである。具体的には、プログラム406は、後述する図23、図24に示された処理(のうちでCPU401が自動的に実行する処理)を実行するプログラムである。
【0081】
タグリーダ/ライタソフトウェア407は、スマートフォン400にタグリーダ/ライタの機能を実行させるためのソフトウェアである。タグリーダ/ライタソフトウェア407を起動すると、例えば通信部405から周辺に電磁波が出力される。そして、電磁波到達範囲内にタグ(タイムロガー120)が存在すると、電磁波により供給された電力でタグ(タイムロガー120)が無線を送受信できるようになり、スマートフォン400の側からタグ(タイムロガー120)の情報の読み取り、書き込みが可能となる。
【0082】
サーバ500(サーバ装置)は通常のコンピュータと同様の装備、機能を有し、本発明のためのプログラム406をスマートフォン400にダウンロードするために配置されている。具体的には、スマートフォン400からサーバ500にアクセスして、プログラム406のダウンロードを指令すると、サーバ500のメモリ501に記憶されたプログラム406が通信網を介して、スマートフォン400のROM403に格納される。
【0083】
以上の構成のもとで、上述の投薬履歴管理システムにスマートフォン400の利用を追加して投薬に関係した情報処理をさらに充実させる。その具体的な処理手順は、図23および図24に示されている。図23には、スマートフォン400の側で投薬時間などをタイムロガー付きPTPシート10から読み出す手順が示されている。図24には、スマートフォン400の側から副作用や体調などに関する情報をタイムロガー付きPTPシート10に書き込む手順が示されている。なお図23、図24の処理は、例えば所定の投薬期間中に患者が実行するとすればよい。図23、図24の処理のうちでユーザが実行する処理以外はCPU401が自動的に実行すればよい。
【0084】
図23の処理手順では、まず手順S400で、ユーザ(患者)がスマートフォン400において、タグリーダ/ライタソフトウェア407を起動する。これにより上述のとおり、スマートフォン400から周辺に電磁波が出力されて、電磁波到達範囲内にタイムロガー付きPTPシート10が存在する場合、タイムロガー付きPTPシート10で無線信号の送受信が可能となる。これによりタイムロガー付きPTPシート10は、手順S430で、メモリ123aに記憶されている、薬剤IDと、その時点までの投薬時間(あるいは投薬量も含んでもよい)の履歴を無線送信する。
【0085】
スマートフォン400は、手順S410で、タイムロガー付きPTPシート10から送信された薬剤IDと、その時点までの投薬時間(あるいは投薬量も含んでもよい)の履歴を受信する。そしてS420でスマートフォン400は、受信した薬剤IDと、その時点までの投薬時間(あるいは投薬量も含んでもよい)の履歴を、ディスプレイ/タッチパネル404に表示する。以上の処理によって、患者は、現在時点までの投薬時間の履歴を自分で知ることができるので、例えば、適切に所定量を所定時間に服薬していることや、薬を飲み忘れていたことなどを自ら認識することができる。よって、適切な投薬習慣に寄与する。
【0086】
図24の処理では、まず手順S500でユーザ(患者)がユーザ(患者)がスマートフォン400において、タグリーダ/ライタソフトウェア407を起動する。これにより上述のとおり、スマートフォン400から周辺に電磁波が出力されて、電磁波到達範囲内にタイムロガー付きPTPシート10が存在する場合、タイムロガー付きPTPシート10で無線信号の送受信が可能となる。
【0087】
続いてS510でユーザは、ディスプレイ/タッチパネル404により、服薬したことによる副作用や、現在の体調について入力する。この入力は、例えば文字(や記号)入力でもよく、あるいはプログラム406によって用意された選択肢がディスプレイ/タッチパネル404に表示されて、そのなかからユーザが選択する方式でもよい。入力された内容は、入力した日時の情報(タイマ123bによって取得)とともに、(一時)記憶すればよい。S510の入力は、図24に示されたタイミングでなくてもよく、別の時点で入力されたものを記憶しておく形態でもよい。
【0088】
そしてスマートフォン400は、S520で入力、記憶された、副作用や体調に関する情報と、入力された日時情報(副作用・体調メモ)を、無線送信する。送信された情報を、タイムロガー付きPTPシート10は、S530で受信する。続くS540で、タイムロガー付きPTPシート10は、受信した副作用・体調(日時)メモを、メモリ123aに記憶する。
【0089】
以上の処理によって、タイムロガー付きPTPシート10のメモリ123aには、投薬履歴の情報のみでなく、副作用や体調に関する情報も記憶される。この情報は、上記S310で医療機関で読み取ればよい。これにより、医者の側で、副作用や体調に関する詳細な情報が取得できるので、この情報を利用して、より適切な投薬医療を実現できる。
【0090】
次に、図25から図29には、スマートフォンをさらに活用した実施例が示されている。この実施例では、スマートフォンを用いて医療機関に投薬履歴を送信したり、医療機関からスマートフォンに投薬の正規時間の情報を送信して、正規時間が来て投薬がなされていなければアラームで報知する、等の処理を実行する。
【0091】
図25のシステム構成例を説明する。スマートフォン400の内部構成は図22とほぼ同様であるが(同じ要素は同じ符号で示されており、重複する説明は省略する)、図25では近距離無線通信部408を備える。そしてタイムロガー120(タイムロガー付きPTPシート10)にも近距離無線通信部150が備えられている。
【0092】
近距離無線通信部408と近距離無線通信部150との間で、近距離無線通信(例えばブルートゥース(登録商標)、wi−fi(登録商標))が実行されて情報が送受信される。スマートフォン400のROM403には、本実施例の処理手順がプログラム化されたアプリケーションソフトウェア409(ソフトウェア)が格納されている。このソフトウェア409は、例えば上述の図22を用いた方法と同様にダウンロードすればよい。
【0093】
医療機関のコンピュータ301は、上述のとおり、主に患者の投薬情報などの情報を蓄積するためのデータベース360を備える。そしてコンピュータ301は、情報処理を司るCPU305や、CPUの作業領域としての揮発性の記憶部や、CPUの情報処理のために必要なプログラムやデータを記憶する不揮発性の記憶部を備える(図示なし)。またコンピュータ301においては、例えばキーボードやマウス等のようにユーザからの入力を受け付ける任意の入力部306を備える。
【0094】
図25の構成例のもとでのシステムの処理手順の例が、図26から図29に示されている。図26に示された処理手順は、タイムロガーが検出した投薬時間が、スマートフォン、さらには医療機関へと送信される処理手順である。図26には、左側からタイムロガー120の処理、スマートフォン400の処理、医療機関での処理が示されている。図26の処理のうちでユーザが実行する処理以外は、それぞれタイムロガー120、CPU401、CPU305が自動で処理すればよい。
【0095】
図26の処理手順ではまず、S600でユーザが、電源オンされたスマートフォン400に格納されている、本実施例に係るアプリケーションソフトウェア409(アプリ)を起動する。このアプリ409によって後述のS640、S650が実行される。なおアプリ409は、スマートフォン400が電源オンになると自動的に起動する形態でもよい(以下の図27以降でも同様)。
【0096】
そしてS610とS620で、タイムロガー120とスマートフォン400とが所定の近距離無線通信範囲内に入ることにより、周知のように自動的に近距離無線通信接続が確立される。次にS630でタイムロガー120が、自身のメモリ123aに記憶された薬剤ID,投薬時間(の履歴)等の情報を、近距離無線通信部150によって送信する。
【0097】
そしてS640で、スマートフォン400のCPU401は、S630で送信された薬剤ID,投薬時間(の履歴)を近距離無線通信部408で受信する。続けてスマートフォン400のCPU401は、受信した薬剤ID、投薬時間(の履歴)を医療機関のコンピュータ301へ送信する。この送信は通信部405を用いて、公衆回線網(携帯電話網)を介して行えばよい。
【0098】
医療機関のコンピュータ301は、S660でこれを受信して、S670で自身が備えたデータベース304における該等する薬剤IDに対応させるかたちで、投薬時間(の履歴)を記憶する。以上が図26の処理手順である。以上の手順により、投薬時間の情報が、スマートフォンを介して自動的にタイムロガーから医療機関に伝達される。したがってこの実施形態の場合には、患者が使用済みのタイムロガー付きPTPシートを医療機関に返却する処理を省いてもよい。
【0099】
次に、図27には患者の副作用や体調などをスマートフォンを用いて医療機関に送信する処理手順が示されている。図27の処理ではまずS700で、ユーザ(患者)が、電源オンされたスマートフォン400において、本発明に係るアプリ409を起動する。このアプリ409によって後述のS720が実行される。
【0100】
次にS710でユーザは、ディスプレイ/タッチパネル404を用いて、副作用、体調のメモ等を入力する。なおこの入力は、例えば予め用意された選択肢がディスプレイ404に表示されて、その中から選択する形態とすればユーザの利便性を向上できる。続くS720でスマートフォン400のCPU401は、S710で入力された副作用、体調のメモ等を、現在日時とともに、(そして患者に処方された薬剤IDとともに)通信部405を用いて送信する。
【0101】
送信された副作用、体調のメモ等を、医療機関のコンピュータ301は、S730で携帯電話網(公衆回線網)を介して受信する。そしてS740でコンピュータ301のCPU305は、受信した副作用、体調のメモ等を薬剤IDと関連付けてデータベース304に記憶する。以上が図27の処理手順である。この手順により、スマートフォン400を用いて患者が副作用や体調などの情報を簡素な手順に医療機関に送信でき、医療機関の側でも自動的に整理して記憶できる。
【0102】
次に、図28には医療機関から患者のスマートフォンへ正規の投薬時間の情報を送信する処理手順が示されている。図28の手順ではまずS800で、医師(看護師、薬剤師、あるいは他の医療関係者)が、当該患者に処方した薬剤の投薬正規時間を入力する。
【0103】
一方、ユーザ(患者)はS810で、電源オンされたスマートフォン400において本実施例に関するアプリ409を起動する。このアプリ409によって後述のS830、S850、S860が実行される。そしてS830でユーザは、投薬正規時間の送信を要求する要求信号を送信する。なおS830の処理はアプリ409が自動的に実行する形態でもよい。
【0104】
医療機関のコンピュータ301は、S820で要求信号を受信する。要求信号の受信を受けて、コンピュータ301のCPU305は、S840で投薬正規時間を送信する。
【0105】
S850でスマートフォン400は、S840で送信された投薬正規時間を受信する。そしてS860でスマートフォン400のCPU401は、受信した投薬正規時間を自身の記憶部、例えばROM403に記憶する。以上が図28の処理である。この処理手順により、ユーザは投薬の正規時間の情報を簡易に(自動的に)取得できる。なお投薬正規時間以外の情報(例えば投薬に関する注意事項など)も一緒に送信して、それをユーザが受信し、スマートフォン400に表示して確認できるようにしてもよい。
【0106】
図28の処理によってスマートフォン400に記憶された投薬正規時間の情報を用いて、本発明では、正規の投薬時間が過ぎても投薬されていない場合にスマートフォンから患者へアラームを発することができる。図29にその処理手順の例が示されている。
【0107】
図29の処理では、まずS900でユーザ(患者)は、電源オンされたスマートフォン400において本実施例に関するアプリ409を起動する。このアプリ409により後述のS930、S950からS970が実行される。そしてS910とS920で、タイムロガー120とスマートフォン400とが所定の近距離無線通信範囲内に入ることにより、自動的に近距離無線通信接続される。
【0108】
続いてS940でタイムロガー120は、上述のS630と同様に薬剤ID,投薬時間(の履歴)を近距離無線通信で送信する。送信された薬剤ID,投薬時間(の履歴)を、スマートフォン400はS930で受信する。
【0109】
そしてS950で、スマートフォン400のCPU401は、投薬正規時間が過ぎているか否かを判別する。投薬正規時間が過ぎている場合(S950:YES)は、S960に進み、投薬正規時間が過ぎていない場合(S950:NO)は図29の処理を終了する。
【0110】
S960に進んだらCPU401は、現在時刻までに投薬されているか否かを判別する。既に投薬されている場合(S960:YES)は、図29の処理を終了し、まだ投薬されていない場合(S960:NO)は、S970に進む。
【0111】
S970に進んだらCPU401は、例えばスマートフォン400が備えた音声出力部、又はディスプレイ404(あるいはその両方)を用いて、音声又は映像(文字表示)等で患者に投薬を促すアラームを出力する。スマートフォン400の処理のうちで、S930からS960の処理は例えば所定の周期ごとに繰り返し実行するとすればよい。
【0112】
以上が図29の処理手順である。図28、29の処理手順により、投薬正規時間の情報が医療機関から患者のスマートフォンに自動的に送信され、スマートフォンの側で自動的にタイムロガーから投薬時間を取得して正規時間に投薬されていなければアラームで注意喚起する。したがって自動的な処理によって正規時間での投薬を促すことができる。よって適切な投薬習慣の確立に寄与できる。
【0113】
上記では、タイムロガー120をブリスターパックの耳部203の表面側(あるいは裏面側)に接合したが、本発明はそうした形態に限定されない。図30に示された例では、タイムロガー120をブリスターパックの耳部203の先端側に接合している。この例の場合、タイムロガー120の大きさが耳部203の広さによる制約を受けない利点がある。なお図30を含めて、明確化のために図面において厚さを強調する場合がある。
【0114】
また上記実施例における起動ボタン125は、図4などの例には限定されない。図31、32には別の実施形態が示されている。この例では、起動ボタン125の替わりに、絶縁体で作成された絶縁シートをタイムロガー120の起動操作のために備えている。
【0115】
具体的に図31、32では、タイムロガー120の主要な内部構造としては、基板142の上にICチップ123、電池124を配置する。ICチップ123内には上述の近距離無線通信部150が形成されているとすればよい。電池124は、基板142上に形成された電池用凹部124a内に収容されて、電池124と電極124bの間に出荷時には絶縁シート124cが挟持されている。
【0116】
基板142、およびICチップ123、電池124は上側カバー140と下側カバー141の間に収容される。例えば上側カバー140と下側カバー141のそれぞれに係合部(図示なし)を形成しておき、それらの係合により図31に示すようにカバー140、141が閉じられて、耳部203の先端側にタイムロガー120が配置される。
【0117】
その際、カバー140に形成された孔部143から絶縁シート124cの先端部を出しておく。この絶縁シート124cの先端部をユーザーが摘んで引き抜くことにより、電池124と電極124bとが電気的に接続されてタイムロガー120が起動する。これによりタイムロガー120の起動のための構成が、絶縁シートを用いて簡素化される。
【0118】
また上述の上層ラベル130を備えない構成としてもよい。図33には、そうした形態の例が示されている。この形態では、ベースラベル160の表面に、タイムロガー120から導体からなる回路部162と、薬剤の排出口の外縁に沿った形状の切込み部161と、が形成されている。
【0119】
図33の例では切込み部162は薬剤の排出口の外縁に沿った2本の半円形状とされ、排出口のうちで切込み部161が形成されていない位置を通って回路部162は形成されている。これにより薬剤の排出によって確実に回路部162は破断される。こうしたベースラベル160をPTPシート2の薬剤排出側の面に貼り付けることによって、タイムロガー付きPTPシートが作成される。
【0120】
タイムロガー120を耳部203に接合する形態には以下の例もある。図34、図35の例では、タイムロガー120をブリスター側に折り返して耳部203に接合している。その配置手順では、まず図34のように、PTPシート2の薬剤排出側の面にタイムロガー付きラベルを貼り付ける。その際、タイムロガー120は耳部203からはみ出す位置にする。そして図35に示すように、タイムロガー120の部分を180度折り返して、タイムロガー120の片側の面(主表面)を耳部203のブリスター側に面接触させる。そしてこの状態でタイムロガー120を耳部203に接合(貼付)する。この配置形態の場合、PTPシートにおける薬剤排出側をフラットにできる。
【0121】
また図36から図38の例では、耳部203に形成された凹部にタイムロガー120を収容する。具体的には、図36に示すように、PTPシートの耳部203に、ブリスターと同方向に膨出した膨出部230bを形成する。膨出部230bの大きさ、形状は、タイムロガー120が隙間無く(あるいは微小な隙間を有して)収容されるのに適した大きさ、形状であればよい。
【0122】
そして図37のように、膨出部230b内にタイムロガー120を収容する。この際、図38に示す断面図のように、開口部230aを通じて膨出部230bによる凹部の内部にタイムロガー120の全てを収容すればよい。この状態で、タイムロガー120を例えば膨出部230b内に貼り付けて固定を安定化する。図36から図38の形態でも、PTPシートにおける薬剤排出側をフラットにできる利点がある。なお図34から図38の形態でも、絶縁シート124cは、ユーザが抜き取ってタイムロガー120が起動できるような適切な位置に配置すればよい。
【0123】
なお上記では、スマートフォン400を用いたが、本発明はこれに限定されず、携帯電話を含むあらゆる無線通信装置、さらには無線通信機能付きのコンピュータなどを用いてもよい。また上記で医療機関は薬局などとしてもよい。
【符号の説明】
【0124】
1 ラベル
2 PTPシート(ブリスター包装体)
10 タイムロガー付きPTPシート
110 ベースラベル
120 タイムロガー(制御部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を収容するように縦横に整列して形成された複数のポケット部と、前記ポケット部が形成されていない周縁の領域である耳部と、を備えたブリスター包装体に貼付されるラベルであって、
粘着層を備え、前記ブリスター包装体における前記ポケット部に収容された薬剤が排出される側の面に前記粘着層によって貼付される、導電性を有しないベースラベルと、
そのベースラベルの表面に電流が流れるように形成されて、前記ポケット部から薬剤が排出されることにより一部が破断されて電気的に変化する回路部と、
前記回路部における電気的変化の時間を記憶する記憶部と、その記憶部に記憶された前記時間の情報を無線送信する送信部と、前記記憶部と前記回路部とに電力を供給する電池部と、前記記憶部を起動する操作を受け付ける起動部と、を備え、前記ベースラベルにおける前記耳部に接合された制御部と、
を備えたことを特徴とするラベル。
【請求項2】
前記記憶部と前記送信部と前記電池部と前記起動部は、前記制御部内において、前記ベースラベルの表面と平行に、平面的に配置されている請求項1に記載のラベル。
【請求項3】
前記制御部は、前記記憶部と前記送信部と前記電池部とを保護するカバー層を備え、そのカバー層は文字あるいはコードの表示領域を有する請求項1又は2に記載のラベル。
【請求項4】
前記記憶部は、前記回路部が電気的に変化した少なくとも年、月、日、時間、分を示す数字を、少なくとも前記ブリスター包装体に収容された薬剤数と同じ記憶上限回数まで記憶する請求項1ないし3のいずれか1項に記載のラベル。
【請求項5】
前記記憶部は、
前記起動部が起動操作を受け付けた後に、前記電池部の電力を用いて所定の時間間隔ごとに前記回路部に電流を流す通電手段と、
その通電手段により通電された前記回路部におけるインピーダンス値の変化を検出する変化検出手段と、を備えた請求項1ないし4のいずれか1項に記載のラベル。
【請求項6】
前記ベースラベルにおける各ポケット部に収容された薬剤の排出位置を囲むように形成された、線状の脆弱な部分であるカット部を備え、
前記回路部はそのカット部を跨いで形成される請求項1ないし5のいずれか1項に記載のラベル。
【請求項7】
前記送信部による無線送信は、前記電池部に蓄えられた電力を用いず、前記送信部から送信された情報を受信する装置から発信される電磁波による電磁誘導で前記制御部内に発生する起電力を用いて送信する請求項1ないし6のいずれか1項に記載のラベル。
【請求項8】
前記制御部は、無線信号を受信する受信部を備え、前記記憶部は、その受信部で受信した情報を記憶する請求項1ないし7のいずれか1項に記載のラベル。
【請求項9】
前記受信部によって受信される情報は、薬剤を服用したことによる副作用や体調の情報を含む請求項8に記載のラベル。
【請求項10】
粘着層を備え、ブリスター包装体におけるポケット部に収容された薬剤が排出される側の面に前記粘着層によって貼付される、導電性を有しないベースラベル上に、そのベースラベルの表面に電流が流れるように形成されて、前記ポケット部から薬剤が排出されることにより一部が破断されて電気的に変化する回路部が形成されたベースラベルを製造するベースラベル製造工程と、
前記回路部における電気的変化の時間を記憶する記憶部と、その記憶部に記憶された情報を無線送信する送信部と、前記記憶部と前記回路部に電力を供給する電池部と、前記記憶部を起動する操作を受け付ける起動部と、を備え、前記ベースラベルに貼付される制御部を製造する制御部製造工程と、
前記ベースラベル製造工程で製造されたベースラベルに、前記制御部製造工程で製造された制御部を、前記回路部と前記電池部とが電気的に接続されるように貼付する貼付工程と、
を備えたことを特徴とするラベルの製造方法。
【請求項11】
ブリスター包装体における薬剤が排出される側の面に電流が流れるように形成されて、薬剤が排出されることにより一部が破断されて電気的に変化する回路部と、その回路部における電気的変化の時間を記憶する記憶部と、その記憶部に記憶された情報およびID情報を無線送信する送信部と、を備えるラベルが貼付されたブリスター包装体における、前記送信部から送信されたID情報を、当該患者と関連付けて登録する登録ステップと、
前記ブリスター包装体の送信部から送信された電気的変化の時間の情報を受信する受信ステップと、
その受信ステップで受信された前記時間の情報を、前記登録ステップで前記ブリスター包装体と関連付けられた患者の投薬履歴情報として記憶する記憶ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項12】
ブリスター包装体における薬剤が排出される側の面に電流が流れるように形成されて、薬剤が排出されることにより一部が破断されて電気的に変化する回路部と、その回路部における電気的な変化の時間を記憶する記憶部と、その記憶部に記憶された情報およびID情報を無線送信する送信部と、を備えるラベルと、
そのラベルが貼付されたブリスター包装体の前記送信部から送信されたID情報を患者と関連付けて登録する登録手段と、
前記ブリスター包装体の送信部から送信された電気的変化の時間の情報を受信する受信手段と、
その受信手段で受信された前記時間の情報を、前記登録手段で前記ブリスター包装体と関連付けられた患者の投薬履歴情報として記憶する記憶手段と、
を備えたことを特徴とする管理システム。
【請求項13】
ブリスター包装体における薬剤が排出される側の面に電流が流れるように形成されて、薬剤が排出されることにより一部が破断されて電気的に変化する回路部と、その回路部における電気的変化の時間を記憶する記憶部と、その記憶部に記憶された情報を無線送信する送信部と、を備えるラベルが貼付されたブリスター包装体を、医療機関又は薬局で患者に処方する処方ステップと、
前記患者が、前記薬剤が排出済みの前記ブリスター包装体を前記医療機関又は薬局に返却する返却ステップと、
前記返却ステップで返却された前記ブリスター包装体の送信部から送信された、電気的変化の時刻の情報を受信装置で受信する受信ステップと、
その受信ステップで受信された前記情報を前記患者と関連付けて記憶する記憶ステップと、
を備えたことを特徴とする管理方法。
【請求項14】
薬剤を服薬したことによる副作用や体調を含む情報の入力を受け付ける入力ステップと、
無線信号を受信する受信部と、ブリスター包装体における前記薬剤が排出される側の面に電流が流れるように形成されて、薬剤が排出されることにより一部が破断されて電気的に変化する回路部と、その回路部における電気的変化の時間の情報および前記受信部が受信した情報を記憶する記憶部と、を備えるラベルが貼付されたブリスター包装体に向けて、前記入力ステップで受け付けた副作用や体調を含む情報を無線送信する送信ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項15】
ブリスター包装体における薬剤が排出される側の面に電流が流れるように形成されて、薬剤が排出されることにより一部が破断されて電気的に変化する回路部と、その回路部における電気的変化の時間を記憶する記憶部と、その記憶部に記憶された情報を無線送信する送信部と、を備えるラベルが貼付されたブリスター包装体を、医療機関又は薬局で患者に処方する処方ステップと、
その処方ステップで処方された前記ブリスター包装体の前記送信部から、患者が所持する無線通信端末に、前記電気的変化の時間の情報を送信する第1送信ステップと、
患者が所持する前記無線通信端末から、医療機関又は薬局に備えられた通信端末に、第1送信ステップで送信された前記電気的変化の時間の情報を送信する第2送信ステップと、
を備えたことを特徴とする管理方法。
【請求項16】
ブリスター包装体における薬剤が排出される側の面に電流が流れるように形成されて、薬剤が排出されることにより一部が破断されて電気的に変化する回路部と、その回路部における電気的変化の時間を記憶する記憶部と、その記憶部に記憶された情報を無線送信する送信部と、を備えるラベルが貼付されたブリスター包装体の前記送信部から送信された前記電気的変化の時間の情報を、受信する受信ステップと、
その受信ステップで受信された前記電気的変化の時間の情報を、医療機関又は薬局に備えられた通信端末に送信する送信ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項17】
ブリスター包装体における薬剤が排出される側の面に電流が流れるように形成されて、薬剤が排出されることにより一部が破断されて電気的に変化する回路部と、その回路部における電気的変化の時間を記憶する記憶部と、その記憶部に記憶された情報を無線送信する送信部と、を備えるラベルが貼付されたブリスター包装体を、医療機関又は薬局で患者に処方する処方ステップと、
その処方ステップで処方された前記ブリスター包装体の前記送信部から、患者が所持する無線通信端末に、前記電気的変化の時間の情報を送信する第1送信ステップと、
医療機関又は薬局から、患者が所持する無線通信端末に、正規の投薬時間の情報を送信する第2送信ステップと、
前記第2送信ステップによって送信された正規の投薬時間を過ぎ、かつ前記第1送信ステップによって送信された情報に前記電気的変化が示されていない場合に、患者が所持する無線通信端末により警報を発する警報ステップと、
を備えたことを特徴とする管理方法。
【請求項18】
ブリスター包装体における薬剤が排出される側の面に電流が流れるように形成されて、薬剤が排出されることにより一部が破断されて電気的に変化する回路部と、その回路部における電気的変化の時間を記憶する記憶部と、その記憶部に記憶された情報を無線送信する送信部と、を備えるラベルが貼付されたブリスター包装体の前記送信部から送信された前記電気的変化の時間の情報を、受信する第1受信ステップと、
医療機関又は薬局から送信された正規の投薬時間の情報を受信する第2受信ステップと、
前記第2受信ステップによって送信された正規の投薬時間を過ぎ、かつ前記第1受信ステップによって送信された情報に前記電気的変化が示されていない場合に、所定の警報手段から警報を発するように制御する警報ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate

【図38】
image rotate


【公開番号】特開2013−31638(P2013−31638A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−117471(P2012−117471)
【出願日】平成24年5月23日(2012.5.23)
【出願人】(591037476)株式会社岩田レーベル (32)
【Fターム(参考)】