ラベル、粘着ラベル及び印刷物
【課題】物品に貼り付けられたラベルが、その物品の使用期間を終了した後に再使用されるのを抑制可能とする。
【解決手段】本発明のラベル1は、或る波長の光を透過させる光学機能層13と、前記光学機能層13と向き合い、前記波長の光を吸収する光吸収層15と、前記光学機能層13と前記光吸収層15との間に介在し、前記波長の光を散乱させる中空体を含んだ光散乱層12とを備え、前記光散乱層12は、外部からの受熱によって前記波長における透過率が高まる。
【解決手段】本発明のラベル1は、或る波長の光を透過させる光学機能層13と、前記光学機能層13と向き合い、前記波長の光を吸収する光吸収層15と、前記光学機能層13と前記光吸収層15との間に介在し、前記波長の光を散乱させる中空体を含んだ光散乱層12とを備え、前記光散乱層12は、外部からの受熱によって前記波長における透過率が高まる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば偽造防止に利用可能なラベル並びにそれを含んだ粘着ラベル及び印刷物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、偽造品の流通が大きな社会問題となっている。そこで、例えば、物品に、それが真正品であることを確認可能とするラベルを付することがある。そのようなラベル、所謂偽造防止ラベルとしては、例えば、蛍光インキ及びOVI(optically variable ink)などの機能性インキによって形成した印刷層を含んだラベル、マイクロ印刷及び凹版印刷などの特殊印刷によって形成した印刷層を含んだラベル、ホログラム又は回折格子を含んだラベル、磁気記録によって情報を書き込んだラベル、並びにIC(integrated circuit)タグを含んだラベルがある。
【0003】
これら偽造防止ラベルの多くは、それ自体の偽造が困難である。但し、偽造防止ラベルの中には、これが貼り付けられた物品から比較的容易に剥がすことができるものがある。そのようなラベルは、使用済みの物品から剥がして偽造品に貼り付けるといった不正行為に使用される可能性がある。
【0004】
偽造防止ラベルの中には、その再使用を不可能とするための対策を講じたものもある。
【0005】
例えば、一部の偽造防止ラベルには、切欠きが設けられている。そのような偽造防止ラベルは、これが貼り付けられた物品から引き剥がそうとすると、切欠きの位置から裂けるように設計されている。
【0006】
また、基材が比較的小さな力で脆性破壊を生じる偽造防止ラベルもある。このようなラベルも、これが貼り付けられた物品から引き剥がそうとすると破壊されるように設計されている。
【0007】
更に、比較的小さな力で脆性破壊を生じる脆性層を含み、この脆性層とその観察者側の面に隣接した層との接着強度が場所によって異なっている偽造防止ラベルもある。このようなラベルを、これが貼り付けられた物品から引き剥がすと、接着強度の分布に対応したパターンで脆性層が破壊される。その結果、例えば、脆性層等の一部は物品上に文字列「VOID」に対応したパターンで残り、偽造防止ラベルの脆性層等には、文字列「VOID」に対応したパターンの欠落部を生じる。
【0008】
これら偽造防止ラベルは、引き剥がすことによって物品から剥離した場合には、再使用は不可能であるか又は困難である。しかしながら、これら偽造防止ラベルは、粘着層又は接着層に有機溶剤を滲み込ませると、ラベル本体の損傷なしに剥離できることがある。
【0009】
これを不可能又は困難とするための技術を採用した偽造防止ラベルもある。
例えば、粘着層の材料として、粘着剤とこれに対して難溶性の添加剤との混合物を使用した偽造防止ラベルがある(例えば、特許文献1参照)。この偽造防止ラベルは、有機溶剤を使用して剥離した場合、粘着剤及び添加剤の有機溶剤に対する溶け易さの相違に起因して、粘着層の表面に凹凸を生じる。
【0010】
また、印刷層が有機溶剤に可溶な染料を含有した偽造防止ラベルもある(例えば、特許文献2参照)。この偽造防止ラベルは、有機溶剤を使用して剥離しようとすると、染料が印刷層から滲み出る。
【0011】
なお、このラベルは、ドライヤ等で表面を温めることによって、ラベル本体の損傷や染料の染み出しなしに剥離することができる。加熱による剥離への対策を施した偽造防止ラベルとしては、例えば、加熱によって発泡する発泡粒子を粘着層に含有させた偽造防止ラベルがある(例えば、特許文献3参照)。
【0012】
これら偽造防止ラベルは、有機溶剤又は熱を利用して剥離した場合には、再使用が不可能であるか又は困難である。但し、使用期間を終えた物品については、偽造防止ラベルが、これが貼り付けられた物品の表層とともに除去される可能性を考慮しなければならない。上述した対策では、このようにして除去した偽造防止ラベルの再使用を防ぐことはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2005―266147号公報
【特許文献2】特開平10−204363号公報
【特許文献3】特開2000−293108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、物品に付されたラベルが、その物品の使用期間を終了した後に再使用されるのを抑制可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1側面によると、或る波長の光を透過させる光学機能層と、前記光学機能層と向き合い、前記波長の光を吸収する光吸収層と、前記光学機能層と前記光吸収層との間に介在し、前記波長の光を散乱させる中空体を含んだ光散乱層とを備え、前記光散乱層は、外部からの受熱によって前記波長における透過率が高まるラベルが提供される。
【0016】
本発明の第2側面によると、前記光散乱層は前記中空体が壊されることによって前記波長における透過率が高まるラベルが提供される。
【0017】
本発明の第3側面によると、前記波長は赤外線領域内にあり、前記光学機能層は黒色層である第1又は第2側面に係るラベルが提供される。
【0018】
本発明の第4側面によると、前記波長は近赤外線領域内にあり、前記光学機能層は、近赤外領域の700乃至800nmの波長域と、近赤外領域の800乃至1500nmの波長域でいずれかの波長の透過率差が10%以上である第3側面に係るラベルが提供される。
【0019】
本発明の第5側面によると、前記光学機能層は、前記光散乱層を間に挟んで前記光吸収層の一部と向き合った着色パターンであり、前記光吸収層は、前記光学機能層と同じ色の着色層である第1乃至第4側面の何れか1つに係るラベルが提供される。
【0020】
本発明の第6側面によると、前記波長の光を吸収する光吸収パターンを更に備え、前記光吸収パターンは、前記光学機能層と前記光散乱層との間に介在しているか、又は、前記光学機能層を間に挟んで前記光散乱層と向き合っている第1乃至第4側面の何れか1つに係るラベルが提供される。
【0021】
本発明の第7側面によると、前記光吸収パターンと前記光学機能層とは同じ色である第6側面に係るラベルが提供される。
【0022】
本発明の第8側面によると、第1乃至第7側面の何れか1つに係るラベルと、前記ラベルの前記光吸収層側の主面と向き合った粘着層とを具備した粘着ラベルが提供される。
【0023】
本発明の第9側面によると、第1乃至第7側面の何れか1つに係るラベルと、前記ラベルの前記光吸収層側の主面と向き合った印刷基材と、前記ラベルと前記印刷基材との間に介在して、前記ラベルを前記印刷基材に貼り付けた粘着層とを具備した印刷物が提供される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、物品に付されたラベルが、その物品の使用期間を終了した後に再使用されるのを抑制することが可能となる。
【0025】
第1側面に係るラベルでは、光散乱層の少なくとも一部について、上記中空体を潰す処理(以下、「無効化処理」という)を行うと、その箇所において、光散乱層の上記波長(以下、「第1波長」という)における透過率が高くなる。その結果、このラベルでは、無効化処理の前後において、第1波長の光で照明した場合の分光特性が変化する。
【0026】
それ故、例えば、このラベルを付された物品がその使用期間を終了したときに、上記の無効化処理を行うことにより、第1波長の光で照明した場合の分光特性を変化させることができる。したがって、真正品であるかが不明の物品に付されたラベルについて、第1波長の光で照明した場合の分光特性を測定することにより、先の物品の真偽を判定することができる。
【0027】
第2側面に係るラベルでは、第1波長は赤外線領域内にある。即ち、第1波長は、可視光領域以外の領域に属している。また、このラベルでは、光学機能層は黒色層である。
【0028】
例えば、光学機能層が光散乱層の全面を被覆している場合、光学機能層が黒色層であれば、ラベルに無効化処理が施されているか否かを肉眼によって把握することは、不可能であるか又は極めて困難である。それ故、この場合、上記のラベルが特殊な構成を有していることを悟られ難い。その結果、ラベル自体の偽造を抑止することができる。
【0029】
第3側面に係るラベルは、第2側面に係るラベルのうち、第1波長が近赤外線領域内にあり、光学機能層の第1波長における透過率が30%以上であり、前記光学機能層は、近赤外領域の700乃至800nmの波長域と、近赤外領域の800乃至1500nmの波長域でいずれかの波長の透過率差が10%以上であるものである。即ち、光学機能層の近赤外線領域における透過スペクトルは、第1波長において高い透過率を示すし、前記近赤外領域の700乃至800nmの波長域と、近赤外領域の800乃至1500nmの波長域でいずれかの波長の透過率差が10%以下となる。従って、真偽判定に第1波長の光を利用することを知らない者にとっては、無効化処理を行う前のラベルと無効化処理を行った後のラベルとの相違を判別することは不可能であるか又は困難である。それ故、上記の無効化処理を利用した偽造防止対策を講じていることは、不正行為を行う者に悟られ難い。
【0030】
第4側面に係るラベルは、第1乃至第3側面の何れかに係るラベルのうち、光学機能層は着色パターンであり、光吸収層は光学機能層と同じ色の着色層であるものである。先に説明した通り、このラベルでは、上記の無効化処理により、ラベルの少なくとも一部において、光吸収層が可視化される。ここで、光学機能層が形成しているパターンと光吸収層とが同じ色であれば、上記の処理により、光学機能層が形成していたパターンが観察できなくなるか、又は、観察が極めて困難となる。例えば、光学機能層を一次元又は二次元コード状に設けていた場合、上記無効化処理により、当該コードを観察できなくすることができる。その結果、ラベルに無効化処理が施されていることを、肉眼によって明瞭に把握することが可能となる。それ故、ラベルの再貼付などによって偽造を行う行為を抑制することが可能となる。
【0031】
第5側面に係るラベルは、第1波長の光を吸収する光吸収パターンを更に備えている。この光吸収パターンは、光学機能層と光散乱層との間に介在していてもよく、光学機能層を間に挟んで光散乱層と向き合っていてもよい。
【0032】
このような構成を採用した場合、ラベルを第1波長において観察すると、上記の光吸収パターンに対応した像が観察される。他方、上記の無効化処理を施した後では、光吸収層における第1波長の光の吸収に起因して、光吸収パターンに対応した像が観察できなくなる。それ故、このような構成を採用すると、第1波長における像の観察に基づいて、真偽判定を比較的簡易に行うことが可能となる。
【0033】
第6側面に係るラベルは、第5側面に係るラベルのうち、光吸収パターンと光学機能層とが同じ色のものである。それ故、ラベルを肉眼で観察した場合に、光吸収パターンの存在が悟られ難い。よって、このような構成を採用すると、ラベル自体の偽造を抑止することが可能となる。
【0034】
第7側面に係る粘着ラベルは、第1乃至第6側面の何れか1つに係るラベルを含んでいる。粘着ラベルは、先のラベルを物品に貼り付ける場合に利用可能な一形態である。
【0035】
第8側面に係る印刷物は、第1乃至第6側面の何れか1つに係るラベルを含んでいる。この印刷物は、その使用期間を終了した後にラベルが再使用される可能性が低い。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一態様に係るラベルを概略的に示す平面図。
【図2】図1に示すラベルのII−II線に沿った断面図。
【図3】図1及び図2に示すラベルの無効化処理法の一例を概略的に示す図。
【図4】無効化処理が施されたラベルの一例を概略的に示す平面図。
【図5】図4に示すラベルのV−V線に沿った断面図。
【図6】図1及び図2に示すラベルの一変形例を概略的に示す平面図。
【図7】図6に示すラベルのVII−VII線に沿った断面図。
【図8】図1及び図2に示すラベルの他の変形例を概略的に示す断面図。
【図9】粘着ラベルの一例を概略的に示す断面図。
【図10】印刷物の一例を概略的に示す平面図。
【図11】図10に示す印刷物のXI−XI線に沿った断面図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同様又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。また、ここで「近赤外線領域」とは、700nm乃至1500nmの波長域を意味している。
【0038】
図1は、本発明の一態様に係るラベルを概略的に示す平面図である。図2は、図1に示すラベルのII−II線に沿った断面図である。
【0039】
図1及び図2に示すラベル1は、基材11と、光吸収層15と、光散乱層12と、光学機能層13とを含んでいる。光吸収層15、光散乱層12及び光学機能層13は、この順で基材11上に積層されている。ラベル1は、光学機能層13側の面が前面であり、基材11側の面が背面である。
【0040】
光学機能層13、光散乱層12及び光吸収層15は、この順で基材11上に積層されていてもよい。この場合、ラベル1は、基材11側の面が前面であり、光吸収層15側の面が背面である。
【0041】
基材11は、例えば、樹脂からなるフィルムである。この樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリカーボネート及びポリエチレンなどのプラスチックを使用することができる。基材は、典型的には透明であるが、アルミニウム箔のように不透明であってもよい。但し、ラベル1の基材11側の面を前面とする場合、基材11としては、第1波長の光を、典型的には互いに異なる第1及び第2波長の光を透過させるものを使用する。
【0042】
基材11は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。基材11は省略することができる。
【0043】
光吸収層15は、基材11の一方の主面上に設けられている。
光吸収層15は、第1波長の光を吸収する。具体的には、光吸収層15の第1波長における吸収率は、ラベル1の製造直後における光散乱層12の第1波長における吸収率及び光学機能層13の第1波長における吸収率と比較してより大きい。第1波長の光に対する光吸収層15の吸収率は、例えば70%以上であり、典型的には90%以上である。
【0044】
第1波長が近赤外線領域内にある場合、光吸収層15は、例えば、近赤外線吸収剤と樹脂とを含有している。この近赤外線吸収剤としては、例えば、プロセス墨インキに用いられているカーボンブラックを使用することができる。この樹脂としては、例えば、プロセスインキにおいて一般に使用されているものを使用することができる。
【0045】
光吸収層15は、例えば、印刷法により形成する。この印刷法としては、例えば、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、及びフレキソ印刷法が挙げられる。光吸収層15の厚みは、例えば0.5乃至10μmの範囲内とし、典型的には0.5乃至2μmの範囲内とする。
【0046】
光散乱層12は、光吸収層15の上に設けられている。光散乱層12は、第1波長の光を散乱させる中空体を含んでいる。即ち、光散乱層12は、少なくともラベル1の完成から無効化処理が施されるまでの期間に亘り、第1波長の光を散乱させる。そして、この光散乱層12は、上記の中空体を壊す処理を行うことにより、当該処理が施された位置において、第1波長における透過率が高まるように構成されている。
【0047】
ラベル1の製造直後において、第1波長の光に対する光散乱層12の透過率T1は、例えば、0乃至50%の範囲内にあり、典型的には20乃至40%の範囲内にある。また、無効化処理後において、第1波長の光に対する光散乱層12の透過率T2は、例えば、60乃至100%の範囲内にあり、典型的には70乃至90%の範囲内にある。そして、透過率T2と透過率T1との比は、例えば、1.2以上にあり、典型的には1.75乃至4.5の範囲内にある。
【0048】
光散乱層12が含有している中空体としては、例えば、中空構造を有した有機ポリマーが挙げられる。このような有機ポリマーの組成及び製造方法は、例えば、特開昭56−32513号公報、特開昭61−185505号公報、特開昭60−69103号公報、特開昭63−213509号公報、特開昭63−135409号公報、特開昭60−223873号公報、特開昭63−110208号公報、特開昭61−87734号公報、又は特開昭62−127336号公報に記載されている。
【0049】
光散乱層12が含有している中空体の各々は、典型的には、コア成分と、それを包囲したシェル成分とを備えている。コア成分は、例えば、メタクリル酸、又は、メタクリル酸と他のモノマーとを用いて形成されている。シェル成分は、例えば、スチレンを用いて形成されている。中空体の粒子径は、例えば0.1乃至5μmであり、典型的には0.3乃至1μmである。
【0050】
中空体を保持するポリマーは、典型的には、製膜性を有する水性ポリマーである。このポリマーは、典型的には、乳化重合、溶液重合、又は塊状重合により合成される。中空体を保持するポリマーは、後述する無効化処理において、中空体が壊れるのを妨げない程度の可塑性を有している。水性ポリマーのガラス転移点は、例えば100℃以下であり、典型的には−80℃乃至25℃の範囲内にある。
【0051】
水性ポリマーとしては、例えば、水分散型ポリマー及び水溶解型ポリマーが挙げられる。水分散型ポリマーは、水に分散させることができるポリマーである。水溶解型ポリマーは、水に溶解させることができるポリマーである。
【0052】
水分散性ポリマーを構成するモノマーとしては、例えば、アクリル酸エチルエステル(EA)、アクリル酸ブチルエステル(BA)、アクリル酸2−エチルヘキシルエステル(2EHA)、及びブタジエンが挙げられる。これらモノマーの各々は、単独でホモポリマーを構成していてもよく、他の1種類以上のモノマーと共にコポリマーを構成していてもよい。特に好ましいポリマーは、ヘキサメチレンジイソシアネートとポリカーボネートポリオールとの反応により得られるポリマーである。
【0053】
水溶解性ポリマーを構成するモノマーとしては、例えば、先に水分散性ポリマーについて挙げたモノマーのカルボン酸誘導体が挙げられる。このような誘導体としては、例えば、アクリル酸(Aa)、メタクリル酸、モノメチルイタコン酸(MMI)、及び2−カルボキシエチルアクリル酸エステルが挙げられる。これら誘導体から構成されたポリマーは、モノマー中のカルボキシ基の少なくとも一部を、アルカリ金属塩、アミン塩又はアンモニウム塩の形態にすることにより、水に可溶となる。
【0054】
光散乱層12における中空体と中空体を保持するポリマーとの質量比は、例えば、1:1乃至1:100の範囲内とする。光散乱層12は、可塑剤、湿潤剤、消泡剤、増粘剤、乳化剤、並びに、カルナバワックス及びパラフィンワックスなどのワックスを更に含んでいてもよい。
【0055】
光散乱層12は、光散乱性を有しており、通常は白色を呈する。そして、光散乱層12は、少なくともラベル1の完成から無効化処理が施されるまでの期間に亘り、光吸収層15の少なくとも一部を隠蔽している。
【0056】
光散乱層12は、例えば、塗布法により形成する。この塗布は、例えば、エアーナイフコータ、ロールコータ、スプレーコータ、グラビアコータ、マイクログラビアコータ、又はバーコータを用いておこなうことができる。光散乱層12の膜厚は、例えば5乃至20μmの範囲内にあり、典型的には5乃至15μmの範囲内にある。
【0057】
光学機能層13は、光散乱層12の上に設けられている。光学機能層13は、第1波長の光を透過させる。第1波長の光に対する光学機能層13の透過率は、例えば30%以上であり、典型的には30乃至60%の範囲内にある。
【0058】
図1及び図2に示す例では、光学機能層13は、パターン状に形成されている。図1及び図2には、一例として、光学機能層13によるパターンが一次元コード状を構成している場合を描いている。このパターンは、二次元コードを構成していてもよい。或いは、このパターンは、文字、記号、模様及び図形などの他のパターンを構成していてもよい。
【0059】
光学機能層13は、着色していてもよい。例えば、光学機能層13は着色パターンであってもよい。光学機能層13が着色パターンである場合、光学機能層13と光吸収層15とは同じ色であることが好ましい。光学機能層が形成しているパターンと光吸収層とが同じ色であれば、上記の無効化処理の後において、光学機能層が形成していたパターンが観察できなくなるか、又は、その観察が極めて困難となる。その結果、ラベルに無効化処理が施されていることを、肉眼によって明瞭に把握することが可能となる。それ故、ラベルの再貼付などによって偽造を行う行為を、心理的に抑制することが可能となる。
【0060】
光学機能層13は、典型的には、黒色層である。例えば、光学機能層13が光散乱層12の全面を被覆している場合、光学機能層13が黒色層であれば、ラベルに無効化処理が施されているか否かを肉眼によって把握することは、不可能であるか又は極めて困難である。それ故、この場合、上記のラベルが特殊な構成を有していることを悟られ難い。その結果、ラベル自体の偽造を抑止することができる。
【0061】
なお、ここで「黒色」とは、正反射光の強度を測定したときに、波長が400nm乃至700nmの範囲内にある全ての光成分について、反射率が10%以下であることを意味している。
【0062】
第1波長が近赤外領域内にある場合、光学機能層13として、第1波長における透過率が30%以上であり、前記光学機能層は、近赤外領域の700乃至800nmの波長域と、近赤外領域の800乃至1500nmの波長域でいずれかの波長の透過率差が10%以上であるものを使用してもよい。即ち、光学機能層13は、近赤外領域における透過スペクトルが、第1波長において高い透過率を示し、他の多くの波長で低い透過率を示すものであってもよい。ここでは、一例として、光学機能層13は、このような光学特性を有していることとする。また、ここでは、第2波長も近赤外領域内にあり、第2波長における光学機能層13の透過率は、第1波長における光学機能層13の透過率と比較してより低いこと、例えば、第1波長における光学機能層13の透過率との差が10%以上であることとする。
【0063】
上記の光学特性、即ち、近赤外領域内の光のうち、一部の波長域の光を選択的に透過させ、残りの光を吸収する光学特性を有している光学機能層13は、例えば、所定の近赤外線吸収剤と樹脂とを含んでいる。この近赤外線吸収剤は、例えば、上記第2波長の光を吸収する。この近赤外線吸収剤としては、例えば、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、アントラキノン化合物、ジイモニウム化合物、及びシアニン化合物からなる群より選択される少なくとも1つを使用することができる。また、樹脂としては、例えば、プロセスインキにおいて一般に使用されているものを使用することができる。
【0064】
ここで使用する近赤外線吸収剤は、典型的には、光吸収層15において使用する近赤外線吸収剤とは、近赤外線領域の吸収スペクトルが異なっている。例えば、ここで使用する近赤外線吸収剤は、光吸収層15において使用する近赤外線吸収剤と比較して、第1波長の光に対する吸収率がより小さい。或いは、この近赤外線吸収剤として、光吸収層15が含有し得る近赤外線吸収剤として例示した化合物を使用してもよい。
【0065】
光学機能層13は、例えば、印刷法により形成する。この印刷法としては、例えば、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、及びフレキソ印刷法が挙げられる。光学機能層13の厚みは、例えば0.5乃至10μmの範囲内とし、典型的には1乃至5μmの範囲内とする。
【0066】
以上において説明したラベル1の真偽判定は、典型的には、機械読み取りにより行う。例えば、この真偽判定は、特定の波長域の光を検出可能なセンサー、又は、所定の波長域の光を透過するバンドパスフィルタを備えたCCD(Charge Coupled Device)カメラを用いて行うことができる。
【0067】
図1及び図2に示すラベル1を第1波長の光で照明した場合、この光は、光学機能層13を透過し且つ光散乱層12によって散乱される。よって、この場合、ラベル1は、第1波長の光で照明すると、光散乱層12からの散乱光に基づいて、光学機能層13に特有の分光特性を示す。この分光特性は、ラベル1の具体的な構成に対応した特異的なものである。よって、この分光特性を測定することにより、ラベル1の真偽を判定することができる。
【0068】
加えて、このラベル1には、以下で説明する無効化処理を施すことができる。このような処理を施すことにより、ラベル1の不正な再利用を抑止することができる。
【0069】
図3は、図1及び図2に示すラベルの無効化処理法の一例を概略的に示す図である。図4は、無効化処理が施されたラベルの一例を概略的に示す平面図である。図5は、図4に示すラベルのV−V線に沿った断面図である。
【0070】
図3に示す無効化処理法では、サーマルヘッド41をラベル1に接触させて、光散乱層12の少なくとも一部を加熱する。これにより、光散乱層12の加熱された部分が含んでいる中空体の少なくとも一部が壊れる。
【0071】
この無効化処理を行うと、サーマルヘッド41がラベル1と接触した位置で、第1波長における光散乱層12の透過率が高まる。その結果、図5に示すように、光散乱層12内に、第1波長における光散乱層12の透過率が無効化処理前のままである第1領域12aと、第1波長における光散乱層12の透過率が無効化処理前と比較してより高い第2領域12bとが生じる。
【0072】
ラベル1のうち第2領域12bに対応した部分では、第1波長の光は、光学機能層13及び光散乱層12の双方を透過する。そして、この第1波長の光は、光吸収層15によって吸収される。
【0073】
よって、この場合、ラベル1のうち第2領域12bに対応した部分は、第1波長の光で照明すると、主に、光吸収層15における吸収に起因した分光特性を呈する。その結果、この部分では、光学機能層13に特有の分光特性は検出できないか、又は、検出することが極めて困難となる。即ち、無効化処理の前後における当該部分の分光特性は、互いに異なっている。よって、この分光特性の差異に基づいて、ラベル1に上記処理が施されているか否かを判定することができる。
【0074】
このように、光散乱層12における中空体の破壊は、例えば、ラベル1に熱及び/又は圧力を加えることにより行うことができる。或いは、中空体の破壊は、マイクロニードルなどを用いて、物理的に行ってもよい。
【0075】
光散乱層12における中空体の破壊は、不可逆変化である。したがって、いったん無効化処理を施されたラベル1を、処理前の状態に戻すことは不可能である。それ故、ラベル1に上記処理を施すことにより、ラベル1の不正な再利用を確実に抑止することが可能となる。
【0076】
ラベル1の真偽判定は、複数の波長の光を用いて行ってもよい。例えば、ラベル1の真偽判定は、第1波長の光と、第1波長とは異なった第2波長の光とを用いて行ってもよい。或いは、ラベル1の真偽判定は、第1波長の光と、第1波長とは異なった2つ以上の波長の光とを用いて行ってもよい。真偽判定に用いる波長の数は、例えば1乃至5の範囲内とし、好ましくは2乃至5の範囲内とする。真偽判定に用いる波長の数が多すぎると、ラベル1の真偽判定に要する時間が過度に長くなる可能性がある。
【0077】
上述したラベル1には、様々な変形が可能である。
図6は、図1及び図2に示すラベルの一変形例を概略的に示す平面図である。図7は、図6に示すラベルのVII−VII線に沿った断面図である。
【0078】
図6及び図7に示すラベル1は、光学機能層13が光散乱層12の主面全体を被覆していること、及び、ラベル1が光学機能層13を間に挟んで光散乱層12と向き合った光吸収パターン14を更に備えていることを除いては、図1乃至図5を参照しながら説明したラベルと同様の構成を有している。
【0079】
光吸収パターン14は、第1波長の光を吸収する。光吸収パターン14の材料としては、例えば、先に光吸収層15について説明したのと同様のものが挙げられる。
【0080】
光吸収パターン14は、光学機能層13と同色にするか、又は、第1波長の光に対して十分な吸収率を示す限り、薄い色にすることが好ましい。こうすると、ラベル1を肉眼で観察した場合に、光吸収パターン14の存在が分かり難くなる。
【0081】
光吸収パターン14は、光散乱層12に対応した領域のほぼ全体に亘って分布していることが望ましい。こうすると、光学機能層13の分光特性の解析を困難とすることができる。
【0082】
光吸収パターン14は、例えば、印刷法により形成する。この印刷法としては、例えば、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、及びフレキソ印刷法が挙げられる。或いは、光吸収パターン14は、熱転写リボン、インクジェット法、レーザー印字法を用いて形成してもよい。光吸収パターン14の厚みは、例えば0.5乃至10μmの範囲内とし、典型的には0.5乃至2μmの範囲内とする。
【0083】
図6及び図7に示すラベル1も、第1波長の光で照明したときに、上述した無効化処理の前後において、互いに異なった分光特性を示す。それ故、この分光特性の差異を検出することにより、真偽判定を行うことができる。
【0084】
図8は、図1及び図2に示すラベルの他の変形例を概略的に示す断面図である。図8に示すラベル1は、光吸収パターン14が光学機能層13と光散乱層12との間に介在していることを除いては、図6及び図7を参照しながら説明したラベルと同様の構成を有している。
【0085】
図8に示すラベル1も、第1波長の光で照明したときに、上述した無効化処理の前後において、互いに異なった分光特性を示す。それ故、この分光特性の差異を検出することにより、真偽判定を行うことができる。
【0086】
また、図8に示すラベル1では、光学機能層13を着色層とすることにより、特には光学機能層13を黒色層とすることにより、光吸収パターン14の存在を悟られ難くすることができる。
【0087】
次に、上述したラベル1を含んだ粘着ラベル及び印刷物を説明する。
【0088】
図9は、粘着ラベルの一例を概略的に示す断面図である。
図9に示す粘着ラベル10は、図1及び図2を参照しながら説明したラベル1と、粘着層2とを含んでいる。粘着層2は、ラベル1の背面上に設けられている。
【0089】
この粘着ラベル10は、例えば、真正品であることを確認可能であることが望まれる物品に貼り付ける。なお、粘着ラベル10は、粘着層2の表面を剥離可能に被覆した剥離紙を更に含んでいてもよい。
【0090】
図10は、印刷物の一例を概略的に示す平面図である。図11は、図10に示す印刷物のXI−XI線に沿った断面図である。
【0091】
図10及び図11に示す印刷物100は、図1及び図2を参照しながら説明したラベル1と、粘着層2と、印刷物本体3とを含んでいる。
【0092】
印刷物本体3は、印刷基材3aと印刷層3bとを含んでいる。ラベル1は、粘着層2を介して印刷基材3aに貼り付けられている。
【0093】
印刷基材3aは、例えば、紙、プラスチック、木材、ガラス又は樹脂からなる。印刷基材3aは、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。印刷基材3aは、層形状を有していてもよく、他の形状を有していてもよい。
【0094】
印刷層3bは、印刷基材3a上に設けられている。印刷層3bは、印刷基材3aの全体を被覆していてもよく、一部のみを被覆していてもよい。
【0095】
この印刷物100について、その使用期間終了後に上記の無効化処理を行うこととする。こうすると、真正品であるかが未知の印刷物について、ラベル1が再使用されたものであるか否かを判別することができる。即ち、真正品であるかが未知の印刷物の真偽判定が可能である。従って、不正行為を行う者を牽制することができ、それ故、物品に貼り付けられたラベルが、その物品の使用期間を終了した後に再使用されるのを抑制することができる。その結果、印刷物100の偽造を抑制することができる。
【実施例】
【0096】
以下に、本発明の例を記載する。
【0097】
<例1>
図1及び図2を参照しながら説明したラベル1を、以下の方法により製造した。
【0098】
まず、基材11として、コートボール紙を準備した。次いで、この基材11の一方の主面の一部に、バーコータを用いて、墨インキ(ファインスターR92墨:東洋インキ製造社製)を、乾燥膜厚が2μmとなるように塗布した。このようにして、光吸収層15を形成した。
【0099】
光吸収層15の上に、以下に組成を示すインキAを、バーコータを用いて、乾燥膜厚が10μmとなるように塗布した。このようにして、光散乱層12を形成した。
【0100】
その上に、オフセット印刷機を用いて、以下に組成を示すインキBを、一次元コード状に印刷した。このようにして、パターン状の光学機能層13を形成した。以上のようにして、ラベル1を完成した。
【0101】
[インキAの組成]
ローペイク OP−84J (ダウ・ケミカル社製) 25質量部
アクリルエマルジョンポリマー 12.5質量部
水 30質量部
[インキBの組成]
近赤外線吸収色素 YKR−3081(山本化成工業製) 5質量部
FDカルトンACEメジウム(東洋インキ製造社製) 95質量部
このようにして得られたラベル1を、近赤外線波長を透過するバンドパスフィルタを備えたカメラで観察すると、図1に示すような一次元コードを読み取ることができた。
【0102】
次いで、このラベル1に、無効化処理を施した。具体的には、このラベル1の全面に対して、1kgf/cm2の圧力及び160℃の熱を加えた。この処理の後に、ラベル1を上記のカメラで観察すると、図1に示すような一次元コードを読み取ることができなかった。
【0103】
<例2>
図6及び図7を参照しながら説明したラベル1を、以下の方法により製造した。
【0104】
まず、基材11として、上質紙を準備した。次いで、この基材11の一方の主面の一部に、バーコータを用いて、墨インキ(ファインスターR92墨:東洋インキ製造社製)を、乾燥膜厚が2μmとなるように塗布した。このようにして、光吸収層15を形成した。
【0105】
光吸収層15の上に、上述したインキAを、バーコータを用いて、乾燥膜厚が10μmとなるように塗布した。このようにして、光散乱層12を形成した。
【0106】
光散乱層12の上に、以下に組成を示すインキCを、オフセット印刷機を用いて印刷した。このようにして、光散乱層12の全面を被覆した光学機能層13を形成した。
【0107】
光学機能層13の上に、グラビア校正機を用いて、墨インキ(ファインスターR92墨:東洋インキ製造社製)を、一次元コード状に印刷した。このようにして、光吸収パターン14を形成した。なお、光吸収パターン14の厚みは、1μmとした。
【0108】
[インキCの組成]
ファインスターR181紅 (東洋インキ製造製) 40質量部
ファインスターR235黄 (東洋インキ製造製) 35質量部
ファインスターR31藍 (東洋インキ製造製) 20質量部
YKR−3081(山本化成工業製) 5質量部
このようにして得られたラベル1を、可視光領域の波長を透過するバンドパスフィルタを備えたカメラ1と、近赤外線領域に属する第2波長(850nm)を透過するバンドパスフィルタを備えたカメラ2と、近赤外線領域に属する第1波長(710nm)を透過するバンドパスフィルタを備えたカメラ3とを用いて観察した。
【0109】
次いで、例1と同様の条件において、ラベル1の無効化処理を行った。その後、先と同様に、カメラ1〜3を用いて観察した。
【0110】
これらの結果を、下記表1に示す。表1の「カメラ1」、「カメラ2」及び「カメラ3」の列においては、「○」は一次元コードが観察可能であったことを意味し、「×」は一次元コードが観察不可能であったことを意味している。表1の「真偽判定」の列においては、「○」は、真正品を意味し、「×」は、再利用が不可能となった偽造品を意味している。
【表1】
【0111】
表1に示すように、無効化処理の前では、カメラ1及び3では一次元コードが観察不可能であり且つカメラ2では一次元コードが観察可能であった。これに対し、無効化処理の後では、カメラ1〜3の全てにおいて、一次元コードが観察不可能であった。このように、無効化処理の前後におけるラベル1の分光特性の差異を検出することにより、ラベル1の真偽を判断することができた。
【符号の説明】
【0112】
1…ラベル、2…粘着層、3…印刷物本体、3a…印刷基材、3b…印刷層、10…粘着ラベル、11…基材、12…光散乱層、12a…第1領域、12b…第2領域、13…光学機能層、14…光吸収パターン、15…光吸収層、41…サーマルヘッド、100…印刷物。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば偽造防止に利用可能なラベル並びにそれを含んだ粘着ラベル及び印刷物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、偽造品の流通が大きな社会問題となっている。そこで、例えば、物品に、それが真正品であることを確認可能とするラベルを付することがある。そのようなラベル、所謂偽造防止ラベルとしては、例えば、蛍光インキ及びOVI(optically variable ink)などの機能性インキによって形成した印刷層を含んだラベル、マイクロ印刷及び凹版印刷などの特殊印刷によって形成した印刷層を含んだラベル、ホログラム又は回折格子を含んだラベル、磁気記録によって情報を書き込んだラベル、並びにIC(integrated circuit)タグを含んだラベルがある。
【0003】
これら偽造防止ラベルの多くは、それ自体の偽造が困難である。但し、偽造防止ラベルの中には、これが貼り付けられた物品から比較的容易に剥がすことができるものがある。そのようなラベルは、使用済みの物品から剥がして偽造品に貼り付けるといった不正行為に使用される可能性がある。
【0004】
偽造防止ラベルの中には、その再使用を不可能とするための対策を講じたものもある。
【0005】
例えば、一部の偽造防止ラベルには、切欠きが設けられている。そのような偽造防止ラベルは、これが貼り付けられた物品から引き剥がそうとすると、切欠きの位置から裂けるように設計されている。
【0006】
また、基材が比較的小さな力で脆性破壊を生じる偽造防止ラベルもある。このようなラベルも、これが貼り付けられた物品から引き剥がそうとすると破壊されるように設計されている。
【0007】
更に、比較的小さな力で脆性破壊を生じる脆性層を含み、この脆性層とその観察者側の面に隣接した層との接着強度が場所によって異なっている偽造防止ラベルもある。このようなラベルを、これが貼り付けられた物品から引き剥がすと、接着強度の分布に対応したパターンで脆性層が破壊される。その結果、例えば、脆性層等の一部は物品上に文字列「VOID」に対応したパターンで残り、偽造防止ラベルの脆性層等には、文字列「VOID」に対応したパターンの欠落部を生じる。
【0008】
これら偽造防止ラベルは、引き剥がすことによって物品から剥離した場合には、再使用は不可能であるか又は困難である。しかしながら、これら偽造防止ラベルは、粘着層又は接着層に有機溶剤を滲み込ませると、ラベル本体の損傷なしに剥離できることがある。
【0009】
これを不可能又は困難とするための技術を採用した偽造防止ラベルもある。
例えば、粘着層の材料として、粘着剤とこれに対して難溶性の添加剤との混合物を使用した偽造防止ラベルがある(例えば、特許文献1参照)。この偽造防止ラベルは、有機溶剤を使用して剥離した場合、粘着剤及び添加剤の有機溶剤に対する溶け易さの相違に起因して、粘着層の表面に凹凸を生じる。
【0010】
また、印刷層が有機溶剤に可溶な染料を含有した偽造防止ラベルもある(例えば、特許文献2参照)。この偽造防止ラベルは、有機溶剤を使用して剥離しようとすると、染料が印刷層から滲み出る。
【0011】
なお、このラベルは、ドライヤ等で表面を温めることによって、ラベル本体の損傷や染料の染み出しなしに剥離することができる。加熱による剥離への対策を施した偽造防止ラベルとしては、例えば、加熱によって発泡する発泡粒子を粘着層に含有させた偽造防止ラベルがある(例えば、特許文献3参照)。
【0012】
これら偽造防止ラベルは、有機溶剤又は熱を利用して剥離した場合には、再使用が不可能であるか又は困難である。但し、使用期間を終えた物品については、偽造防止ラベルが、これが貼り付けられた物品の表層とともに除去される可能性を考慮しなければならない。上述した対策では、このようにして除去した偽造防止ラベルの再使用を防ぐことはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2005―266147号公報
【特許文献2】特開平10−204363号公報
【特許文献3】特開2000−293108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、物品に付されたラベルが、その物品の使用期間を終了した後に再使用されるのを抑制可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1側面によると、或る波長の光を透過させる光学機能層と、前記光学機能層と向き合い、前記波長の光を吸収する光吸収層と、前記光学機能層と前記光吸収層との間に介在し、前記波長の光を散乱させる中空体を含んだ光散乱層とを備え、前記光散乱層は、外部からの受熱によって前記波長における透過率が高まるラベルが提供される。
【0016】
本発明の第2側面によると、前記光散乱層は前記中空体が壊されることによって前記波長における透過率が高まるラベルが提供される。
【0017】
本発明の第3側面によると、前記波長は赤外線領域内にあり、前記光学機能層は黒色層である第1又は第2側面に係るラベルが提供される。
【0018】
本発明の第4側面によると、前記波長は近赤外線領域内にあり、前記光学機能層は、近赤外領域の700乃至800nmの波長域と、近赤外領域の800乃至1500nmの波長域でいずれかの波長の透過率差が10%以上である第3側面に係るラベルが提供される。
【0019】
本発明の第5側面によると、前記光学機能層は、前記光散乱層を間に挟んで前記光吸収層の一部と向き合った着色パターンであり、前記光吸収層は、前記光学機能層と同じ色の着色層である第1乃至第4側面の何れか1つに係るラベルが提供される。
【0020】
本発明の第6側面によると、前記波長の光を吸収する光吸収パターンを更に備え、前記光吸収パターンは、前記光学機能層と前記光散乱層との間に介在しているか、又は、前記光学機能層を間に挟んで前記光散乱層と向き合っている第1乃至第4側面の何れか1つに係るラベルが提供される。
【0021】
本発明の第7側面によると、前記光吸収パターンと前記光学機能層とは同じ色である第6側面に係るラベルが提供される。
【0022】
本発明の第8側面によると、第1乃至第7側面の何れか1つに係るラベルと、前記ラベルの前記光吸収層側の主面と向き合った粘着層とを具備した粘着ラベルが提供される。
【0023】
本発明の第9側面によると、第1乃至第7側面の何れか1つに係るラベルと、前記ラベルの前記光吸収層側の主面と向き合った印刷基材と、前記ラベルと前記印刷基材との間に介在して、前記ラベルを前記印刷基材に貼り付けた粘着層とを具備した印刷物が提供される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、物品に付されたラベルが、その物品の使用期間を終了した後に再使用されるのを抑制することが可能となる。
【0025】
第1側面に係るラベルでは、光散乱層の少なくとも一部について、上記中空体を潰す処理(以下、「無効化処理」という)を行うと、その箇所において、光散乱層の上記波長(以下、「第1波長」という)における透過率が高くなる。その結果、このラベルでは、無効化処理の前後において、第1波長の光で照明した場合の分光特性が変化する。
【0026】
それ故、例えば、このラベルを付された物品がその使用期間を終了したときに、上記の無効化処理を行うことにより、第1波長の光で照明した場合の分光特性を変化させることができる。したがって、真正品であるかが不明の物品に付されたラベルについて、第1波長の光で照明した場合の分光特性を測定することにより、先の物品の真偽を判定することができる。
【0027】
第2側面に係るラベルでは、第1波長は赤外線領域内にある。即ち、第1波長は、可視光領域以外の領域に属している。また、このラベルでは、光学機能層は黒色層である。
【0028】
例えば、光学機能層が光散乱層の全面を被覆している場合、光学機能層が黒色層であれば、ラベルに無効化処理が施されているか否かを肉眼によって把握することは、不可能であるか又は極めて困難である。それ故、この場合、上記のラベルが特殊な構成を有していることを悟られ難い。その結果、ラベル自体の偽造を抑止することができる。
【0029】
第3側面に係るラベルは、第2側面に係るラベルのうち、第1波長が近赤外線領域内にあり、光学機能層の第1波長における透過率が30%以上であり、前記光学機能層は、近赤外領域の700乃至800nmの波長域と、近赤外領域の800乃至1500nmの波長域でいずれかの波長の透過率差が10%以上であるものである。即ち、光学機能層の近赤外線領域における透過スペクトルは、第1波長において高い透過率を示すし、前記近赤外領域の700乃至800nmの波長域と、近赤外領域の800乃至1500nmの波長域でいずれかの波長の透過率差が10%以下となる。従って、真偽判定に第1波長の光を利用することを知らない者にとっては、無効化処理を行う前のラベルと無効化処理を行った後のラベルとの相違を判別することは不可能であるか又は困難である。それ故、上記の無効化処理を利用した偽造防止対策を講じていることは、不正行為を行う者に悟られ難い。
【0030】
第4側面に係るラベルは、第1乃至第3側面の何れかに係るラベルのうち、光学機能層は着色パターンであり、光吸収層は光学機能層と同じ色の着色層であるものである。先に説明した通り、このラベルでは、上記の無効化処理により、ラベルの少なくとも一部において、光吸収層が可視化される。ここで、光学機能層が形成しているパターンと光吸収層とが同じ色であれば、上記の処理により、光学機能層が形成していたパターンが観察できなくなるか、又は、観察が極めて困難となる。例えば、光学機能層を一次元又は二次元コード状に設けていた場合、上記無効化処理により、当該コードを観察できなくすることができる。その結果、ラベルに無効化処理が施されていることを、肉眼によって明瞭に把握することが可能となる。それ故、ラベルの再貼付などによって偽造を行う行為を抑制することが可能となる。
【0031】
第5側面に係るラベルは、第1波長の光を吸収する光吸収パターンを更に備えている。この光吸収パターンは、光学機能層と光散乱層との間に介在していてもよく、光学機能層を間に挟んで光散乱層と向き合っていてもよい。
【0032】
このような構成を採用した場合、ラベルを第1波長において観察すると、上記の光吸収パターンに対応した像が観察される。他方、上記の無効化処理を施した後では、光吸収層における第1波長の光の吸収に起因して、光吸収パターンに対応した像が観察できなくなる。それ故、このような構成を採用すると、第1波長における像の観察に基づいて、真偽判定を比較的簡易に行うことが可能となる。
【0033】
第6側面に係るラベルは、第5側面に係るラベルのうち、光吸収パターンと光学機能層とが同じ色のものである。それ故、ラベルを肉眼で観察した場合に、光吸収パターンの存在が悟られ難い。よって、このような構成を採用すると、ラベル自体の偽造を抑止することが可能となる。
【0034】
第7側面に係る粘着ラベルは、第1乃至第6側面の何れか1つに係るラベルを含んでいる。粘着ラベルは、先のラベルを物品に貼り付ける場合に利用可能な一形態である。
【0035】
第8側面に係る印刷物は、第1乃至第6側面の何れか1つに係るラベルを含んでいる。この印刷物は、その使用期間を終了した後にラベルが再使用される可能性が低い。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一態様に係るラベルを概略的に示す平面図。
【図2】図1に示すラベルのII−II線に沿った断面図。
【図3】図1及び図2に示すラベルの無効化処理法の一例を概略的に示す図。
【図4】無効化処理が施されたラベルの一例を概略的に示す平面図。
【図5】図4に示すラベルのV−V線に沿った断面図。
【図6】図1及び図2に示すラベルの一変形例を概略的に示す平面図。
【図7】図6に示すラベルのVII−VII線に沿った断面図。
【図8】図1及び図2に示すラベルの他の変形例を概略的に示す断面図。
【図9】粘着ラベルの一例を概略的に示す断面図。
【図10】印刷物の一例を概略的に示す平面図。
【図11】図10に示す印刷物のXI−XI線に沿った断面図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同様又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。また、ここで「近赤外線領域」とは、700nm乃至1500nmの波長域を意味している。
【0038】
図1は、本発明の一態様に係るラベルを概略的に示す平面図である。図2は、図1に示すラベルのII−II線に沿った断面図である。
【0039】
図1及び図2に示すラベル1は、基材11と、光吸収層15と、光散乱層12と、光学機能層13とを含んでいる。光吸収層15、光散乱層12及び光学機能層13は、この順で基材11上に積層されている。ラベル1は、光学機能層13側の面が前面であり、基材11側の面が背面である。
【0040】
光学機能層13、光散乱層12及び光吸収層15は、この順で基材11上に積層されていてもよい。この場合、ラベル1は、基材11側の面が前面であり、光吸収層15側の面が背面である。
【0041】
基材11は、例えば、樹脂からなるフィルムである。この樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリカーボネート及びポリエチレンなどのプラスチックを使用することができる。基材は、典型的には透明であるが、アルミニウム箔のように不透明であってもよい。但し、ラベル1の基材11側の面を前面とする場合、基材11としては、第1波長の光を、典型的には互いに異なる第1及び第2波長の光を透過させるものを使用する。
【0042】
基材11は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。基材11は省略することができる。
【0043】
光吸収層15は、基材11の一方の主面上に設けられている。
光吸収層15は、第1波長の光を吸収する。具体的には、光吸収層15の第1波長における吸収率は、ラベル1の製造直後における光散乱層12の第1波長における吸収率及び光学機能層13の第1波長における吸収率と比較してより大きい。第1波長の光に対する光吸収層15の吸収率は、例えば70%以上であり、典型的には90%以上である。
【0044】
第1波長が近赤外線領域内にある場合、光吸収層15は、例えば、近赤外線吸収剤と樹脂とを含有している。この近赤外線吸収剤としては、例えば、プロセス墨インキに用いられているカーボンブラックを使用することができる。この樹脂としては、例えば、プロセスインキにおいて一般に使用されているものを使用することができる。
【0045】
光吸収層15は、例えば、印刷法により形成する。この印刷法としては、例えば、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、及びフレキソ印刷法が挙げられる。光吸収層15の厚みは、例えば0.5乃至10μmの範囲内とし、典型的には0.5乃至2μmの範囲内とする。
【0046】
光散乱層12は、光吸収層15の上に設けられている。光散乱層12は、第1波長の光を散乱させる中空体を含んでいる。即ち、光散乱層12は、少なくともラベル1の完成から無効化処理が施されるまでの期間に亘り、第1波長の光を散乱させる。そして、この光散乱層12は、上記の中空体を壊す処理を行うことにより、当該処理が施された位置において、第1波長における透過率が高まるように構成されている。
【0047】
ラベル1の製造直後において、第1波長の光に対する光散乱層12の透過率T1は、例えば、0乃至50%の範囲内にあり、典型的には20乃至40%の範囲内にある。また、無効化処理後において、第1波長の光に対する光散乱層12の透過率T2は、例えば、60乃至100%の範囲内にあり、典型的には70乃至90%の範囲内にある。そして、透過率T2と透過率T1との比は、例えば、1.2以上にあり、典型的には1.75乃至4.5の範囲内にある。
【0048】
光散乱層12が含有している中空体としては、例えば、中空構造を有した有機ポリマーが挙げられる。このような有機ポリマーの組成及び製造方法は、例えば、特開昭56−32513号公報、特開昭61−185505号公報、特開昭60−69103号公報、特開昭63−213509号公報、特開昭63−135409号公報、特開昭60−223873号公報、特開昭63−110208号公報、特開昭61−87734号公報、又は特開昭62−127336号公報に記載されている。
【0049】
光散乱層12が含有している中空体の各々は、典型的には、コア成分と、それを包囲したシェル成分とを備えている。コア成分は、例えば、メタクリル酸、又は、メタクリル酸と他のモノマーとを用いて形成されている。シェル成分は、例えば、スチレンを用いて形成されている。中空体の粒子径は、例えば0.1乃至5μmであり、典型的には0.3乃至1μmである。
【0050】
中空体を保持するポリマーは、典型的には、製膜性を有する水性ポリマーである。このポリマーは、典型的には、乳化重合、溶液重合、又は塊状重合により合成される。中空体を保持するポリマーは、後述する無効化処理において、中空体が壊れるのを妨げない程度の可塑性を有している。水性ポリマーのガラス転移点は、例えば100℃以下であり、典型的には−80℃乃至25℃の範囲内にある。
【0051】
水性ポリマーとしては、例えば、水分散型ポリマー及び水溶解型ポリマーが挙げられる。水分散型ポリマーは、水に分散させることができるポリマーである。水溶解型ポリマーは、水に溶解させることができるポリマーである。
【0052】
水分散性ポリマーを構成するモノマーとしては、例えば、アクリル酸エチルエステル(EA)、アクリル酸ブチルエステル(BA)、アクリル酸2−エチルヘキシルエステル(2EHA)、及びブタジエンが挙げられる。これらモノマーの各々は、単独でホモポリマーを構成していてもよく、他の1種類以上のモノマーと共にコポリマーを構成していてもよい。特に好ましいポリマーは、ヘキサメチレンジイソシアネートとポリカーボネートポリオールとの反応により得られるポリマーである。
【0053】
水溶解性ポリマーを構成するモノマーとしては、例えば、先に水分散性ポリマーについて挙げたモノマーのカルボン酸誘導体が挙げられる。このような誘導体としては、例えば、アクリル酸(Aa)、メタクリル酸、モノメチルイタコン酸(MMI)、及び2−カルボキシエチルアクリル酸エステルが挙げられる。これら誘導体から構成されたポリマーは、モノマー中のカルボキシ基の少なくとも一部を、アルカリ金属塩、アミン塩又はアンモニウム塩の形態にすることにより、水に可溶となる。
【0054】
光散乱層12における中空体と中空体を保持するポリマーとの質量比は、例えば、1:1乃至1:100の範囲内とする。光散乱層12は、可塑剤、湿潤剤、消泡剤、増粘剤、乳化剤、並びに、カルナバワックス及びパラフィンワックスなどのワックスを更に含んでいてもよい。
【0055】
光散乱層12は、光散乱性を有しており、通常は白色を呈する。そして、光散乱層12は、少なくともラベル1の完成から無効化処理が施されるまでの期間に亘り、光吸収層15の少なくとも一部を隠蔽している。
【0056】
光散乱層12は、例えば、塗布法により形成する。この塗布は、例えば、エアーナイフコータ、ロールコータ、スプレーコータ、グラビアコータ、マイクログラビアコータ、又はバーコータを用いておこなうことができる。光散乱層12の膜厚は、例えば5乃至20μmの範囲内にあり、典型的には5乃至15μmの範囲内にある。
【0057】
光学機能層13は、光散乱層12の上に設けられている。光学機能層13は、第1波長の光を透過させる。第1波長の光に対する光学機能層13の透過率は、例えば30%以上であり、典型的には30乃至60%の範囲内にある。
【0058】
図1及び図2に示す例では、光学機能層13は、パターン状に形成されている。図1及び図2には、一例として、光学機能層13によるパターンが一次元コード状を構成している場合を描いている。このパターンは、二次元コードを構成していてもよい。或いは、このパターンは、文字、記号、模様及び図形などの他のパターンを構成していてもよい。
【0059】
光学機能層13は、着色していてもよい。例えば、光学機能層13は着色パターンであってもよい。光学機能層13が着色パターンである場合、光学機能層13と光吸収層15とは同じ色であることが好ましい。光学機能層が形成しているパターンと光吸収層とが同じ色であれば、上記の無効化処理の後において、光学機能層が形成していたパターンが観察できなくなるか、又は、その観察が極めて困難となる。その結果、ラベルに無効化処理が施されていることを、肉眼によって明瞭に把握することが可能となる。それ故、ラベルの再貼付などによって偽造を行う行為を、心理的に抑制することが可能となる。
【0060】
光学機能層13は、典型的には、黒色層である。例えば、光学機能層13が光散乱層12の全面を被覆している場合、光学機能層13が黒色層であれば、ラベルに無効化処理が施されているか否かを肉眼によって把握することは、不可能であるか又は極めて困難である。それ故、この場合、上記のラベルが特殊な構成を有していることを悟られ難い。その結果、ラベル自体の偽造を抑止することができる。
【0061】
なお、ここで「黒色」とは、正反射光の強度を測定したときに、波長が400nm乃至700nmの範囲内にある全ての光成分について、反射率が10%以下であることを意味している。
【0062】
第1波長が近赤外領域内にある場合、光学機能層13として、第1波長における透過率が30%以上であり、前記光学機能層は、近赤外領域の700乃至800nmの波長域と、近赤外領域の800乃至1500nmの波長域でいずれかの波長の透過率差が10%以上であるものを使用してもよい。即ち、光学機能層13は、近赤外領域における透過スペクトルが、第1波長において高い透過率を示し、他の多くの波長で低い透過率を示すものであってもよい。ここでは、一例として、光学機能層13は、このような光学特性を有していることとする。また、ここでは、第2波長も近赤外領域内にあり、第2波長における光学機能層13の透過率は、第1波長における光学機能層13の透過率と比較してより低いこと、例えば、第1波長における光学機能層13の透過率との差が10%以上であることとする。
【0063】
上記の光学特性、即ち、近赤外領域内の光のうち、一部の波長域の光を選択的に透過させ、残りの光を吸収する光学特性を有している光学機能層13は、例えば、所定の近赤外線吸収剤と樹脂とを含んでいる。この近赤外線吸収剤は、例えば、上記第2波長の光を吸収する。この近赤外線吸収剤としては、例えば、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、アントラキノン化合物、ジイモニウム化合物、及びシアニン化合物からなる群より選択される少なくとも1つを使用することができる。また、樹脂としては、例えば、プロセスインキにおいて一般に使用されているものを使用することができる。
【0064】
ここで使用する近赤外線吸収剤は、典型的には、光吸収層15において使用する近赤外線吸収剤とは、近赤外線領域の吸収スペクトルが異なっている。例えば、ここで使用する近赤外線吸収剤は、光吸収層15において使用する近赤外線吸収剤と比較して、第1波長の光に対する吸収率がより小さい。或いは、この近赤外線吸収剤として、光吸収層15が含有し得る近赤外線吸収剤として例示した化合物を使用してもよい。
【0065】
光学機能層13は、例えば、印刷法により形成する。この印刷法としては、例えば、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、及びフレキソ印刷法が挙げられる。光学機能層13の厚みは、例えば0.5乃至10μmの範囲内とし、典型的には1乃至5μmの範囲内とする。
【0066】
以上において説明したラベル1の真偽判定は、典型的には、機械読み取りにより行う。例えば、この真偽判定は、特定の波長域の光を検出可能なセンサー、又は、所定の波長域の光を透過するバンドパスフィルタを備えたCCD(Charge Coupled Device)カメラを用いて行うことができる。
【0067】
図1及び図2に示すラベル1を第1波長の光で照明した場合、この光は、光学機能層13を透過し且つ光散乱層12によって散乱される。よって、この場合、ラベル1は、第1波長の光で照明すると、光散乱層12からの散乱光に基づいて、光学機能層13に特有の分光特性を示す。この分光特性は、ラベル1の具体的な構成に対応した特異的なものである。よって、この分光特性を測定することにより、ラベル1の真偽を判定することができる。
【0068】
加えて、このラベル1には、以下で説明する無効化処理を施すことができる。このような処理を施すことにより、ラベル1の不正な再利用を抑止することができる。
【0069】
図3は、図1及び図2に示すラベルの無効化処理法の一例を概略的に示す図である。図4は、無効化処理が施されたラベルの一例を概略的に示す平面図である。図5は、図4に示すラベルのV−V線に沿った断面図である。
【0070】
図3に示す無効化処理法では、サーマルヘッド41をラベル1に接触させて、光散乱層12の少なくとも一部を加熱する。これにより、光散乱層12の加熱された部分が含んでいる中空体の少なくとも一部が壊れる。
【0071】
この無効化処理を行うと、サーマルヘッド41がラベル1と接触した位置で、第1波長における光散乱層12の透過率が高まる。その結果、図5に示すように、光散乱層12内に、第1波長における光散乱層12の透過率が無効化処理前のままである第1領域12aと、第1波長における光散乱層12の透過率が無効化処理前と比較してより高い第2領域12bとが生じる。
【0072】
ラベル1のうち第2領域12bに対応した部分では、第1波長の光は、光学機能層13及び光散乱層12の双方を透過する。そして、この第1波長の光は、光吸収層15によって吸収される。
【0073】
よって、この場合、ラベル1のうち第2領域12bに対応した部分は、第1波長の光で照明すると、主に、光吸収層15における吸収に起因した分光特性を呈する。その結果、この部分では、光学機能層13に特有の分光特性は検出できないか、又は、検出することが極めて困難となる。即ち、無効化処理の前後における当該部分の分光特性は、互いに異なっている。よって、この分光特性の差異に基づいて、ラベル1に上記処理が施されているか否かを判定することができる。
【0074】
このように、光散乱層12における中空体の破壊は、例えば、ラベル1に熱及び/又は圧力を加えることにより行うことができる。或いは、中空体の破壊は、マイクロニードルなどを用いて、物理的に行ってもよい。
【0075】
光散乱層12における中空体の破壊は、不可逆変化である。したがって、いったん無効化処理を施されたラベル1を、処理前の状態に戻すことは不可能である。それ故、ラベル1に上記処理を施すことにより、ラベル1の不正な再利用を確実に抑止することが可能となる。
【0076】
ラベル1の真偽判定は、複数の波長の光を用いて行ってもよい。例えば、ラベル1の真偽判定は、第1波長の光と、第1波長とは異なった第2波長の光とを用いて行ってもよい。或いは、ラベル1の真偽判定は、第1波長の光と、第1波長とは異なった2つ以上の波長の光とを用いて行ってもよい。真偽判定に用いる波長の数は、例えば1乃至5の範囲内とし、好ましくは2乃至5の範囲内とする。真偽判定に用いる波長の数が多すぎると、ラベル1の真偽判定に要する時間が過度に長くなる可能性がある。
【0077】
上述したラベル1には、様々な変形が可能である。
図6は、図1及び図2に示すラベルの一変形例を概略的に示す平面図である。図7は、図6に示すラベルのVII−VII線に沿った断面図である。
【0078】
図6及び図7に示すラベル1は、光学機能層13が光散乱層12の主面全体を被覆していること、及び、ラベル1が光学機能層13を間に挟んで光散乱層12と向き合った光吸収パターン14を更に備えていることを除いては、図1乃至図5を参照しながら説明したラベルと同様の構成を有している。
【0079】
光吸収パターン14は、第1波長の光を吸収する。光吸収パターン14の材料としては、例えば、先に光吸収層15について説明したのと同様のものが挙げられる。
【0080】
光吸収パターン14は、光学機能層13と同色にするか、又は、第1波長の光に対して十分な吸収率を示す限り、薄い色にすることが好ましい。こうすると、ラベル1を肉眼で観察した場合に、光吸収パターン14の存在が分かり難くなる。
【0081】
光吸収パターン14は、光散乱層12に対応した領域のほぼ全体に亘って分布していることが望ましい。こうすると、光学機能層13の分光特性の解析を困難とすることができる。
【0082】
光吸収パターン14は、例えば、印刷法により形成する。この印刷法としては、例えば、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、及びフレキソ印刷法が挙げられる。或いは、光吸収パターン14は、熱転写リボン、インクジェット法、レーザー印字法を用いて形成してもよい。光吸収パターン14の厚みは、例えば0.5乃至10μmの範囲内とし、典型的には0.5乃至2μmの範囲内とする。
【0083】
図6及び図7に示すラベル1も、第1波長の光で照明したときに、上述した無効化処理の前後において、互いに異なった分光特性を示す。それ故、この分光特性の差異を検出することにより、真偽判定を行うことができる。
【0084】
図8は、図1及び図2に示すラベルの他の変形例を概略的に示す断面図である。図8に示すラベル1は、光吸収パターン14が光学機能層13と光散乱層12との間に介在していることを除いては、図6及び図7を参照しながら説明したラベルと同様の構成を有している。
【0085】
図8に示すラベル1も、第1波長の光で照明したときに、上述した無効化処理の前後において、互いに異なった分光特性を示す。それ故、この分光特性の差異を検出することにより、真偽判定を行うことができる。
【0086】
また、図8に示すラベル1では、光学機能層13を着色層とすることにより、特には光学機能層13を黒色層とすることにより、光吸収パターン14の存在を悟られ難くすることができる。
【0087】
次に、上述したラベル1を含んだ粘着ラベル及び印刷物を説明する。
【0088】
図9は、粘着ラベルの一例を概略的に示す断面図である。
図9に示す粘着ラベル10は、図1及び図2を参照しながら説明したラベル1と、粘着層2とを含んでいる。粘着層2は、ラベル1の背面上に設けられている。
【0089】
この粘着ラベル10は、例えば、真正品であることを確認可能であることが望まれる物品に貼り付ける。なお、粘着ラベル10は、粘着層2の表面を剥離可能に被覆した剥離紙を更に含んでいてもよい。
【0090】
図10は、印刷物の一例を概略的に示す平面図である。図11は、図10に示す印刷物のXI−XI線に沿った断面図である。
【0091】
図10及び図11に示す印刷物100は、図1及び図2を参照しながら説明したラベル1と、粘着層2と、印刷物本体3とを含んでいる。
【0092】
印刷物本体3は、印刷基材3aと印刷層3bとを含んでいる。ラベル1は、粘着層2を介して印刷基材3aに貼り付けられている。
【0093】
印刷基材3aは、例えば、紙、プラスチック、木材、ガラス又は樹脂からなる。印刷基材3aは、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。印刷基材3aは、層形状を有していてもよく、他の形状を有していてもよい。
【0094】
印刷層3bは、印刷基材3a上に設けられている。印刷層3bは、印刷基材3aの全体を被覆していてもよく、一部のみを被覆していてもよい。
【0095】
この印刷物100について、その使用期間終了後に上記の無効化処理を行うこととする。こうすると、真正品であるかが未知の印刷物について、ラベル1が再使用されたものであるか否かを判別することができる。即ち、真正品であるかが未知の印刷物の真偽判定が可能である。従って、不正行為を行う者を牽制することができ、それ故、物品に貼り付けられたラベルが、その物品の使用期間を終了した後に再使用されるのを抑制することができる。その結果、印刷物100の偽造を抑制することができる。
【実施例】
【0096】
以下に、本発明の例を記載する。
【0097】
<例1>
図1及び図2を参照しながら説明したラベル1を、以下の方法により製造した。
【0098】
まず、基材11として、コートボール紙を準備した。次いで、この基材11の一方の主面の一部に、バーコータを用いて、墨インキ(ファインスターR92墨:東洋インキ製造社製)を、乾燥膜厚が2μmとなるように塗布した。このようにして、光吸収層15を形成した。
【0099】
光吸収層15の上に、以下に組成を示すインキAを、バーコータを用いて、乾燥膜厚が10μmとなるように塗布した。このようにして、光散乱層12を形成した。
【0100】
その上に、オフセット印刷機を用いて、以下に組成を示すインキBを、一次元コード状に印刷した。このようにして、パターン状の光学機能層13を形成した。以上のようにして、ラベル1を完成した。
【0101】
[インキAの組成]
ローペイク OP−84J (ダウ・ケミカル社製) 25質量部
アクリルエマルジョンポリマー 12.5質量部
水 30質量部
[インキBの組成]
近赤外線吸収色素 YKR−3081(山本化成工業製) 5質量部
FDカルトンACEメジウム(東洋インキ製造社製) 95質量部
このようにして得られたラベル1を、近赤外線波長を透過するバンドパスフィルタを備えたカメラで観察すると、図1に示すような一次元コードを読み取ることができた。
【0102】
次いで、このラベル1に、無効化処理を施した。具体的には、このラベル1の全面に対して、1kgf/cm2の圧力及び160℃の熱を加えた。この処理の後に、ラベル1を上記のカメラで観察すると、図1に示すような一次元コードを読み取ることができなかった。
【0103】
<例2>
図6及び図7を参照しながら説明したラベル1を、以下の方法により製造した。
【0104】
まず、基材11として、上質紙を準備した。次いで、この基材11の一方の主面の一部に、バーコータを用いて、墨インキ(ファインスターR92墨:東洋インキ製造社製)を、乾燥膜厚が2μmとなるように塗布した。このようにして、光吸収層15を形成した。
【0105】
光吸収層15の上に、上述したインキAを、バーコータを用いて、乾燥膜厚が10μmとなるように塗布した。このようにして、光散乱層12を形成した。
【0106】
光散乱層12の上に、以下に組成を示すインキCを、オフセット印刷機を用いて印刷した。このようにして、光散乱層12の全面を被覆した光学機能層13を形成した。
【0107】
光学機能層13の上に、グラビア校正機を用いて、墨インキ(ファインスターR92墨:東洋インキ製造社製)を、一次元コード状に印刷した。このようにして、光吸収パターン14を形成した。なお、光吸収パターン14の厚みは、1μmとした。
【0108】
[インキCの組成]
ファインスターR181紅 (東洋インキ製造製) 40質量部
ファインスターR235黄 (東洋インキ製造製) 35質量部
ファインスターR31藍 (東洋インキ製造製) 20質量部
YKR−3081(山本化成工業製) 5質量部
このようにして得られたラベル1を、可視光領域の波長を透過するバンドパスフィルタを備えたカメラ1と、近赤外線領域に属する第2波長(850nm)を透過するバンドパスフィルタを備えたカメラ2と、近赤外線領域に属する第1波長(710nm)を透過するバンドパスフィルタを備えたカメラ3とを用いて観察した。
【0109】
次いで、例1と同様の条件において、ラベル1の無効化処理を行った。その後、先と同様に、カメラ1〜3を用いて観察した。
【0110】
これらの結果を、下記表1に示す。表1の「カメラ1」、「カメラ2」及び「カメラ3」の列においては、「○」は一次元コードが観察可能であったことを意味し、「×」は一次元コードが観察不可能であったことを意味している。表1の「真偽判定」の列においては、「○」は、真正品を意味し、「×」は、再利用が不可能となった偽造品を意味している。
【表1】
【0111】
表1に示すように、無効化処理の前では、カメラ1及び3では一次元コードが観察不可能であり且つカメラ2では一次元コードが観察可能であった。これに対し、無効化処理の後では、カメラ1〜3の全てにおいて、一次元コードが観察不可能であった。このように、無効化処理の前後におけるラベル1の分光特性の差異を検出することにより、ラベル1の真偽を判断することができた。
【符号の説明】
【0112】
1…ラベル、2…粘着層、3…印刷物本体、3a…印刷基材、3b…印刷層、10…粘着ラベル、11…基材、12…光散乱層、12a…第1領域、12b…第2領域、13…光学機能層、14…光吸収パターン、15…光吸収層、41…サーマルヘッド、100…印刷物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
或る波長の光を透過させる光学機能層と、前記光学機能層と向き合い、前記波長の光を吸収する光吸収層と、前記光学機能層と前記光吸収層との間に介在し、前記波長の光を散乱させる中空体を含んだ光散乱層とを備え、前記光散乱層は、外部からの受熱によって前記波長における透過率が高まるラベル。
【請求項2】
前記光散乱層は前記中空体が壊されることによって前記波長における透過率が高まる請求項1に記載のラベル。
【請求項3】
前記波長は赤外線領域内にあり、前記光学機能層は黒色層である請求項1又は2に記載のラベル。
【請求項4】
前記波長は近赤外線領域内にあり、前記光学機能層は、近赤外領域の700乃至800nmの波長域と、近赤外領域の800乃至1500nmの波長域でいずれかの波長の透過率差が10%以上である請求項3に記載のラベル。
【請求項5】
前記光学機能層は、前記光散乱層を間に挟んで前記光吸収層の一部と向き合った着色パターンであり、前記光吸収層は、前記光学機能層と同じ色の着色層である請求項1乃至4の何れか1項に記載のラベル。
【請求項6】
前記波長の光を吸収する光吸収パターンを更に備え、前記光吸収パターンは、前記光学機能層と前記光散乱層との間に介在しているか、又は、前記光学機能層を間に挟んで前記光散乱層向き合っている請求項1乃至4の何れか1項に記載のラベル。
【請求項7】
前記光吸収パターンと前記光学機能層とは同じ色である請求項6に記載のラベル。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載のラベルと、前記ラベルの前記光吸収層側の主面と向き合った粘着層とを具備した粘着ラベル。
【請求項9】
請求項1乃至7の何れか1項に記載のラベルと、
前記ラベルの前記光吸収層側の主面と向き合った印刷基材と、
前記ラベルと前記印刷基材との間に介在して、前記ラベルを前記印刷基材に貼り付けた粘着層と
を具備した印刷物。
【請求項1】
或る波長の光を透過させる光学機能層と、前記光学機能層と向き合い、前記波長の光を吸収する光吸収層と、前記光学機能層と前記光吸収層との間に介在し、前記波長の光を散乱させる中空体を含んだ光散乱層とを備え、前記光散乱層は、外部からの受熱によって前記波長における透過率が高まるラベル。
【請求項2】
前記光散乱層は前記中空体が壊されることによって前記波長における透過率が高まる請求項1に記載のラベル。
【請求項3】
前記波長は赤外線領域内にあり、前記光学機能層は黒色層である請求項1又は2に記載のラベル。
【請求項4】
前記波長は近赤外線領域内にあり、前記光学機能層は、近赤外領域の700乃至800nmの波長域と、近赤外領域の800乃至1500nmの波長域でいずれかの波長の透過率差が10%以上である請求項3に記載のラベル。
【請求項5】
前記光学機能層は、前記光散乱層を間に挟んで前記光吸収層の一部と向き合った着色パターンであり、前記光吸収層は、前記光学機能層と同じ色の着色層である請求項1乃至4の何れか1項に記載のラベル。
【請求項6】
前記波長の光を吸収する光吸収パターンを更に備え、前記光吸収パターンは、前記光学機能層と前記光散乱層との間に介在しているか、又は、前記光学機能層を間に挟んで前記光散乱層向き合っている請求項1乃至4の何れか1項に記載のラベル。
【請求項7】
前記光吸収パターンと前記光学機能層とは同じ色である請求項6に記載のラベル。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載のラベルと、前記ラベルの前記光吸収層側の主面と向き合った粘着層とを具備した粘着ラベル。
【請求項9】
請求項1乃至7の何れか1項に記載のラベルと、
前記ラベルの前記光吸収層側の主面と向き合った印刷基材と、
前記ラベルと前記印刷基材との間に介在して、前記ラベルを前記印刷基材に貼り付けた粘着層と
を具備した印刷物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−73134(P2013−73134A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213728(P2011−213728)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
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