説明

ラベルされた粘着性付与剤

【課題】 ラベルされた粘着性付与剤、より詳細には、染料でラベルされた粘着性付与剤、そのような染料でラベルされた粘着性付与剤の製造方法、及び染料でラベルされた粘着性付与剤を含む組成物を提供すること。
【解決手段】 染料でラベルされた粘着性付与剤が染料の溶解性/相溶性を増大させ、インク、接着剤、及びコーティングなどの製品に染料を導入する改善された手段を与える。染料が放射線吸収性染料である場合、染料でラベルされた粘着性付与剤はサーマルトランスデューサとして寄与でき、例えば、ホットメルト組成物などの熱可塑性材料を溶融又は軟化させることが要求される用途において使用されることができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明はラベルされた粘着性付与剤に関し、より詳細には、染料でラベルされた粘着性付与剤、そのような染料でラベルされた粘着性付与剤の製造方法、及び染料でラベルされた粘着性付与剤を含む組成物に関する。
【0002】
発明の背景
染料を含むポリマーマトリックスが今日入手可能であるが、それらは種類や色の強度が限定されている。色あせに寄与する要因としては、ホストマトリックスにおける染料の溶解性の不足、染料の移動、光劣化に対する最小限の保護などが挙げられる。
【0003】
多くの染料が、有機溶剤中及びポリマーマトリックス中の両方における限定的な溶解性又は相溶性を有することによって特徴づけられる。それゆえ、幅広く多様な溶剤及び/又はポリマー系で配合されることができるような広い溶解性又は相溶性を有する染料を与える手段が求められている。溶剤及び/又はポリマー系、例えば、接着剤、インク、コーティング、ゴム、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などが有用である。改善された溶解性又は相溶性はまた、より高い染料濃度で配合し、溶剤又はポリマー系においてより強い吸収特性を可能にする。
【0004】
粘着性付与剤は、接着性を改善するためにポリマーマトリックス中に導入される比較的低いモル質量の材料である。粘着性付与剤はしばしば可塑剤として作用して低いせん断速度でのポリマーの粘度を低減するが、それらはまた高いせん断速度では剛性に寄与する。粘着性付与剤は、しばしば、例えばパッケージング、ラベリングなどに使用されるホットメルト接着剤の必須成分となる。
【0005】
粘着性付与剤は、多様なポリマー系で配合されると幅広い溶解性又は相溶性を示す。ロジン酸及びその誘導体は100年以上にもわたり粘着性付与剤として使用されてきた。それらは有用であるのみならず、安価である。その理由は、それらが一般にクラフトパルプ操作からの使用済み蒸解液から得られるからである。
【0006】
ロジン及びその誘導体は接着剤、インク、及びコーティング産業に幅広く使用されている。ロジンはアビエチン酸異性体の混合物である。代表的なロジン誘導体としては、多様な分子量及び軟化点を有するポリマー化ロジン、ロジンのペンタエリスリトールエステル、ロジンのグリセロールエステル、水素化ロジン、及びその他などが挙げられる。
【0007】
赤外線を使用することによって熱可塑性材料を軟化させる又はその表面を溶融するのに十分な温度を生成することが知られている。しかし、ほとんどの熱可塑性材料は赤外線の吸収がほんのわずかであり、その結果、加熱がゆっくりで少ないエネルギー効率で起こる。熱の吸収を増大させ、加熱時間を短くするために、この加熱プロセスを補助する放射線吸収材料、例えばカーボンブラックなどが熱可塑性材料中に組み込まれてきた。
【0008】
しかし、吸収性材料の量が多いと、放射線の吸収が熱可塑性材料の表面で主に起こり、溶融を完了するのに必要な時間が増大し、かえって効率が低下する。また、吸収性材料の有意な量を存在させると熱可塑性材料の機械的性能が低下する。逆に、吸収性材料の使用量がより少ないと、より高い加熱能力が必要となり、このことは熱可塑性材料の表面部分を過剰に加熱しすぎてその熱劣化を引き起こし得る。
【0009】
従って、幅広く多様な溶剤及び/又はポリマー系において配合されることができるような幅広い溶解性又は相溶性を有する染料が当業界で求められている。本発明はこの課題を解決する。
【0010】
発明の概要
吸収特性などの染料の特性は保持しつつ、製品における染料の溶解性又は相溶性を、粘着性付与剤を染料化合物でラベルすることによって劇的に向上させることができることが見出されている。改善された溶解性/相溶性はまた、より高い染料濃度で配合し、溶剤又はポリマー系においてより強い吸収特性を可能にする。接着剤、コーティング、インクなどの、染料でラベルされた粘着性付与剤を含む組成物は製品マトリックスと染料との間の改善された相溶性、製品における染料の増大した安定性、及び染料の環境への放出の低減を示す。熱可塑性材料などの本発明の染料でラベルされた粘着性付与剤を含む組成物は加熱を促進するための放射線の使用に関連する先行技術の問題を解消する。
【0011】
本発明の一つの態様は染料に共有結合した粘着性付与樹脂(本明細書ではまた、染料でラベルされた粘着性付与剤として言及する。)に関する。一つの好適な態様、染料の態様において染料は放射エネルギーを吸収する。特に好ましい放射線吸収染料は近赤外線(NIR)吸収性染料である。本発明の実施において使用されることができる好ましい粘着性付与剤の一つはロジン誘導粘着性付与剤である。
【0012】
本発明の別の態様は、染料に共有結合した粘着性付与樹脂を含む組成物に関する。少なくとも1の染料及び少なくとも1の粘着性付与樹脂を含む組成物であって、少なくとも1の粘着性付与樹脂が少なくとも1の染料に共有結合されている、組成物を包含する。本発明に包含される組成物としては、接着剤、印刷インク、コーティングなどが挙げられる。
【0013】
本発明のさらに別の態様は、染料に共有結合した粘着性付与樹脂を含む組成物で少なくとも一部がコートされている基材に関する。この態様の一つの面は放射エネルギーに曝露すると活性化される材料の表面に存在するホットメルト接着剤である。
【0014】
本発明のさらに別の態様は、染料でラベルされた粘着性付与樹脂を製造する方法であって、染料前駆体フラグメントを粘着性付与樹脂に、染料前駆体が粘着性付与樹脂に共有結合で取り付けられるのに十分な条件下で取り付け、その後、染料をアセンブリすることを含む方法に関する。
【0015】
発明の詳細な記述
全ての引用される書類は本明細書にリファレンスによって組み込まれる。
本発明は粘着性付与剤に共有結合で取り付けられた染料を含む組成物に関する。一つの好ましい態様において、そのような染料は放射線吸収性染料であり、より好ましくは近赤外線吸収性染料である。本発明の染料でラベルされた粘着性付与剤を使用することで溶解性又は相溶性が増大し、インク、接着剤、コーティングなどの製品に染料を組み込む改善された手段が提供されることができる。
【0016】
本発明の一つの態様は、ラベルされた粘着性付与剤に関する。好ましい態様において、染料は少なくとも1の粘着性付与剤に共有結合される。
本発明の目的は、少なくとも1の粘着性付与剤に共有結合されている少なくとも1の染料を含む組成物を提供することである。
【0017】
好ましい態様において染料は放射線吸収性染料である。さらにより好ましくは、染料は近赤外線吸収性染料である。
本発明はまた、染料でラベルされた粘着性付与剤を製造する方法であって、染料前駆体
フラグメントを粘着性付与剤に、染料前駆体が粘着性付与剤に共有結合で取り付けられるのに十分な条件下で取り付け、その後、染料をアセンブリすることを含む方法を提供する。
【0018】
本発明で使用するためのより好ましい粘着性付与剤の一つのクラスはロジン酸類及びそれらの誘導体である。ロジンはアビエチン酸異性体の混合物である。代表的なロジン誘導体としては、多様な分子量及び軟化点を有するポリマー化ロジン、ロジンのペンタエリスリトールエステル、ロジンのグリセロールエステル、水素化ロジン、及びその他などが挙げられる。共有結合で取り付けられた染料クロモフォアを有するアビエチン酸類の誘導体は、特に好ましい態様である。
【0019】
ポリマーなどの材料と混合すると、いくつかの染料はそれらの特性を変化させ、それらの熱安定性を失い又はその材料と化学的に反応若しくは誘電的に相互作用する。本発明の一つの特徴は、粘着性付与剤に共有結合した染料が改善された溶解性又は相溶性、混合物におけるより良い安定性、及び強力な染料特性を示すことである。
【0020】
本発明の染料でラベルされた粘着性付与剤はコーティング、接着剤などの組成物に添加することに適し、染料の特性が要求される用途に提供される。
一般に、本発明の染料でラベルされた粘着性付与剤組成物は、樹脂成分及び染料の均一混合物を得てそれを維持することを助け、樹脂成分における染料の溶解の速度と溶解しやすさを増大させ、それゆえその分散の速度と分散しやすさが増大する。従って、染料でラベルされた粘着性付与剤は、染料の溶解剤及び分散剤として効果的に作用する。驚くべきことに、本発明の染料でラベルされた粘着性付与剤はまた、樹脂成分中に達成できる染料の濃度を増大させる。
【0021】
本発明の更なる特徴は染料でラベルされた粘着性付与剤が染料の毒性を低減させ、染料の環境への放出を抑制することによって環境に優しい特性を有することである。
本発明の実施において特に有用な染料としては、前駆体フラグメントを粘着性付与剤として使用される分子に共有結合させることを可能にする官能基を有する染料、そのような前駆体フラグメントを粘着性付与剤として使用される分子に共有結合させることを可能にする官能基を有する前駆体フラグメントから合成されることができる染料、などが挙げられる。官能基の例としては、エポキシ、カルボン酸、ヒドロキシ、チオール、イソシアネート、キャップされたイソシアネート、アミド、アミン、アセト、アセテート、メチロール、メチロールエーテル、オキサゾリン、カルバメート、ベータ−ヒドロキシアルキルアミドなどが挙げられる。
【0022】
官能基を有する染料の非限定的な例としては、以下のものが挙げられる。
(a) 以下の構造を有するRed #40 (Allura red AC); CAS# 25956-17-6:
【0023】
【化1】

【0024】
(b) 以下の構造を有するYellow #5 (Tartrazine); CAS# 1934-21-0:
【0025】
【化2】

【0026】
(c) 以下の構造を有するGreen #8 (Solvent green 7); CAS# 6358-69-6:
【0027】
【化3】

【0028】
(d) 以下の構造を有するViolet #2 (Solvent violet 13, alizurol purple); CAS# 81-48-1:
【0029】
【化4】

【0030】
(e) 以下の構造を有するMauveine:
【0031】
【化5】

【0032】
(f) 以下の構造を有するCrocetin:
【0033】
【化6】

【0034】
(g) 以下の構造を有するVitamin A:
【0035】
【化7】

【0036】
(h) 以下の構造を有するCyanadine:
【0037】
【化8】

【0038】
(i) 以下の構造を有するMethyl Red; CAS# 63451-28-5:
【0039】
【化9】

【0040】
(j) 以下の構造を有するOil Red O; CAS# 1320-06-5:
【0041】
【化10】

【0042】
(k) 以下の構造を有するBlankophor B (繊維の増白に使用される蛍光染料であるスチルベン誘導体):
【0043】
【化11】

【0044】
(l) 以下の構造を有するRhodamine B; CAS# 81-88-9:
【0045】
【化12】

【0046】
(m) 以下の構造を有するFlourescein; CAS# 2321-07-5:
【0047】
【化13】

【0048】
好適な態様において、使用される染料は近赤外線吸収性染料である。近赤外線吸収性染料を使用することは使用者の人体に本質的に安全である。その理由は光の密度の当量を生成するのにより少ない近赤外線が求められるからである。さらに、近赤外線源を使用することは紫外線源を使用することよりも有利である。その理由はポリマーなどの基材に関して紫外光による劣化効果が知られているからである。
【0049】
本発明によれば近赤外線吸収性染料は700〜2000nmの範囲内の光エネルギーによって励起される全ての染料である。
粘着性付与剤として知られる粘着性付与樹脂としては、
(i)天然の及び変性したロジン類、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トールオイルロジン、蒸留されたロジン、水素化ロジン、二量化ロジン、ポリマー化ロジンなど、
(ii)天然の及び変性したロジン類のグリセロール及びペンタエリスリトールのエステル類、例えば、ペイルウッドロジンのグリセロールエステル、水素化ロジンのグリセロールエステル、ポリマー化ロジンのグリセロールエステル、水素化ロジンのペンタエリスリトールエステル、ロジンのフェノール変性ペンタエリスリトールエステルなど、
(iii)天然テルペン類のコポリマー及びターポリマー、例えば、スチレン/テルペン及びαメチルスチレン/テルペンなど、
(iv)温和な低温でフリーデル−クラフツ触媒の存在下で、通常、テルペン炭化水素類の重合から得られるポリテルペン樹脂、例えば、ピネンとして知られる二環モノテルペンなど水素化ポリテルペン樹脂も含まれる、
(v)フェノール変性テルペン樹脂及びその水素化誘導体、例えば、酸性媒体中、二環テルペン及びフェノールの縮合から得られる樹脂生成物など、
(vi)オレフィン及びジオレフィンから主になるモノマー類の重合から得られる脂肪族石油炭化水素樹脂、例えば、水素化脂肪族石油炭化水素樹脂など、
(vii)環状石油炭化水素樹脂及びその水素化誘導体、
などの全ての相溶性樹脂又はその混合物などが挙げられる。上記の粘着性付与樹脂の2以上の混合物がいくつかの配合物に必要とされ得る。また環状又は非環状C樹脂及び芳香族変性非環状又は環状樹脂も含まれる。粘着性付与剤のさらなる特定の例としては、以下のものが挙げられるが、これに限定されない。
【0050】
【化14】

【0051】
無水マレイン酸変性C9粘着性付与剤:C9粘着性付与剤はインデン、メチル−インデン、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどからの低分子量ポリマー又はコポリマーを幅広く指す。
【0052】
【化15】

【0053】
無水マレイン酸変性グリセリンロジンエステル又はペンタエリスリトールロジンエステル
【0054】
【化16】

【0055】
本発明の染料でラベルされた粘着性付与剤を使用する製品は望ましい染料を選択する際の許容範囲が非常に広いという点で有利である。実際上、共有結合性官能基を有する染料前駆体フラグメントからアセンブリされることができる全ての染料が本発明において使用可能である。
【0056】
本発明の染料でラベルされた粘着性付与剤組成物はまた、熱可塑性又は熱硬化性水性(water-borne)接着剤などの水分散性製品と共に使用して光吸収及び色彩を与えることができ、その染料が放射線吸収性である場合、乾燥プロセスを助けることができる。
【0057】
本発明の放射線吸収性の染料でラベルされた粘着性付与剤の一般的な用途は、例えば、シーラント、接着剤、感圧接着剤、弾性接着剤、コーティング、フォーム、電気/電子ポッティング材料、フィルム、ガスケット、レジスト、様々な成型材料、フォトモールディング材料などである。それらは、限定無く、熱可塑性又は熱硬化性水性(water-borne)接着剤などの水分散性製品と共に使用されて、光吸収及び色彩を与え、乾燥プロセスを助けることができる。
【0058】
放射線吸収性染料でラベルされた粘着性付与剤の場合、粘着性付与剤はサーマルトランスデューサとして寄与することができる。それは、例えばダイオードレーザー、ブロードバンドランプ、ハロゲン−タングステンランプなどから、無放射減衰(radiationless decay)、励起エネルギーを熱に変換すること、を通じての近赤外線を吸収することができる。
【0059】
本発明の放射線吸収性染料でラベルされた粘着性付与剤は、例えば、ホットメルト組成物などの熱可塑性材料を溶融又は軟化させることが必要な用途に使用されることができる。
【0060】
ホットメルト組成物は、溶融状態で塗布することができ、冷却すると固体接合線を形成することができる熱可塑性材料である。基板と接触する際にホットメルト組成物は冷えて、固化し、基板表面上又は物体と基板表面との間に強固な結合を形成する。ホットメルト組成物は配合に依存して感圧性にすることができる。
【0061】
ホットメルト組成物は、相変化インク、例えば、インクジェット印刷機用ホットメルトインクなど、ホットメルト接着剤又はコーティングであることができる。さらに、本発明の放射線吸収性染料でラベルされた粘着性付与剤を含む組成物は熱印刷又は記録組成物、
媒体、物品、デバイス、又は方法に組み込まれることができる。
【0062】
本発明の放射線吸収性染料でラベルされた粘着性付与剤を熱可塑性材料に組み込むことは、急速に、均一に、経済的に加熱されることができる熱可塑性材料を与え、放射線吸収性染料でラベルされた粘着性付与剤は熱可塑性材料の機械的強度に悪影響を与えない。
【0063】
本発明の放射線吸収性染料でラベルされた粘着性付与剤を含むコーティング組成物は、所望のコーティング層を形成するために、例えば、プライマー、ベースラッカー、表面仕上げラッカー、クリアラッカー層を生成するために、使用されることができる。これらのコーティングは、染料でラベルされた粘着性付与剤とコーティングのさらなる成分との間の相溶性の問題がそれらの製造又は保管の際、又はコーティング組成物の塗布の際又は後に起こらない。コーティング組成物は安定に保管できる。
【0064】
コーティング層は慣用の塗布方法で所望の基材、例えば、金属、プラスチック、木材、ガラスなどに塗布することができる。塗布方法としては、例えば、スプレッドコーティング、ローラーコーティング、ブレードコーティング、ディップコーティング、特にスプレーコーティングなどが挙げられる。塗布後、コーティング組成物は放射線の作用下で乾燥又は硬化されることができる。
【0065】
本発明の放射線吸収性染料でラベルされた粘着性付与剤の非限定的な例は、例えば、ラミネート層又は物品などの用途に接着剤と共に使用されることができる。ラミネート層又は物品に使用される接着剤は、例えば、近赤外線を使用して様々な着色、不透明、又は反射性基材を間接的に通じて必要に応じて活性化(溶融)されることができる。さらに、硬化が高温、又は周囲温度(20〜25℃)で起こることができ、温度に敏感な基材に有利なものとすることができる。
【0066】
活性化は赤外線ランプなどの線源から熱可塑性組成物を通じて放射線吸収性染料でラベルされた粘着性付与剤に直接照射されることによって促進されることができる。放射線吸収性染料は放射線を吸収し、十分な熱を発生して溶融を起こす。ホットメルト接着剤の場合、本発明は、放射線の活性化を使用して様々な基材に多くの異なる物品を迅速に簡便に接着する手段を提供する。
【0067】
本発明の放射線吸収性染料でラベルされた粘着性付与剤を含む組成物を活性化/溶融する方法は、特に制限されない。その方法は、以下に限定されないが、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、電子ビーム照射装置、ハロゲン蒸気ランプ、発光ダイオード、半導体レーザーを使用する光で照射するなどの様々な技術から適切に選ぶことができる。
【0068】
さらに、本発明の放射線吸収性染料でラベルされた粘着性付与剤組成物は、硬化プロセスを助ける縮重合又は付加重合反応においてモノマー又はオリゴマーとして採用されることができる。
【0069】
本発明の組成物に使用される放射線吸収性染料でラベルされた粘着性付与剤の量は、組成物をやや光機能性にするのに十分なものとすることができるが、特に限定されない。しかし、組成物の100重量部あたり0.001〜10重量部の範囲であることがより好ましい。
【0070】
一般に、放射線吸収性染料でラベルされた粘着性付与剤を熱可塑性材料に組み込むことは、ポリマー材料の組成物内に添加剤を組み込むことを可能にする公知の技術によって達成されることができる。放射線吸収性染料でラベルされた粘着性付与剤は粉末状態の熱可塑性材料の1以上の成分を冷間(cold)混合することによって組み込むことができる。粉
末のブレンド物はそのまま使用されるか、繊維、パネル、シート、フィルム、顆粒などの半製品を形成するために圧縮され又は押し出されることができる。
【0071】
本発明の染料でラベルされた粘着性付与剤を含む組成物は、望ましい末端用途に応じて幅広い様々なアジュバントを含むことができる。望ましいアジュバントとしては、例えば、溶剤、希釈剤、樹脂、結合剤、可塑剤、顔料、無機又は有機の強化充填材又は増量充填材、チキソトロピー剤、指示薬、抑制剤、安定剤、などが挙げられる。そのようなアジュバントの量及び種類、並びに本発明の組成物にそれらを添加する方法は、当業者によく知られている。
【0072】
実施例
以下の実施例1は、一般式1に基づく。
【0073】
【化17】

【0074】
この構造において、染料はアビエチン酸、ロジン酸タイプの粘着性付与剤に共有結合している。含まれる実施例は近赤外線及び蛍光染料のものであるが、本発明は、共有結合手として作用することができる官能基を有する全ての染料及び粘着性付与剤分子に適用される。アビエチン酸において共有結合性結合部分は、エステル基を通じている。スペーサーは、2つの炭素原子と同じくらい短くすることができるが、意図する用途の媒体又はビヒクル中の染料−粘着性付与剤の組み合わせの溶解を容易にし又は溶解度を向上するためにより長いものとしてもよい。染料でラベルされた粘着性付与剤を調製するための2つの非限定的方法を以下に説明する。
【0075】
実施例1:NIR染料でラベルされたロジン粘着性付与剤(1)の製造
染料でラベルされた粘着性付与剤を合成するアプローチは、アビエチン酸分子をヒドロキシル基、アミノ基などの活性官能基を有する官能基含有染料に直接に結合することである。しかし、いくつかの官能基含有染料は合成が困難で、及び/又は汎用の有機溶剤への溶解性に乏しく、それらをアビエチン酸に直接に取り付けようということは大変挑戦的なことである。この場合、望ましい染料−粘着性付与剤分子はアビエチン酸分子を染料前駆体に変換することによって生成してもよい。実施例は近赤外線(NIR)感受性スクワリン酸(squaric acid)染料誘導体1(スキーム1)である。
【0076】
化合物は3つの工程で製造され、アビエチン酸は第1の工程で前駆体として系に導入される。最近、1又は2のアビエチン酸部分を取り付けることが可能になっている。2つのアビエチン酸基を含む染料は、1つだけそのような基を含む染料を超える高い溶解度を与えることが予想される。
【0077】
【化18】

【0078】
5−(メチルスルホニル)オキシ−2−ペンタノン(2)の合成
丸底フラスコに30mLの塩化メチレン及び3g(3.0mmol)の5−ヒドロキシ−2−ペンタノン(Aldrich)を添加した。この溶液に3.1g(3.1mmol)のトリエチルアミン及び3.6g(3.1mmol)のメタンスルホニルクロライド(Aldrich)を添加した。得られた混合物を一晩攪拌した。沈殿物をろ過し、塩化メチレンで洗浄した。ろ液を真空下濃縮した。残渣をさらに精製することなく使用した。
【0079】
アビエチン酸の4−オキソペンチルエステル(3)の合成
アビエチン酸(9.0g、30mmol、Aldrich)の100mLの乾燥THF溶液に、23gのCsCO(75mmol、Aldrich)を添加した。褐色の混合物を室温で2時間攪拌した。化合物2(5−(メチルスルホニル)オキシ−2−ペンタノン)のTHF溶液をこの褐色の溶液に滴下した。得られた混合物を24時間還流した。この混合物を室温に放冷した。残渣をろ過により分離し、エーテルで洗浄した。残渣を回収した。ろ液(有機層)を真空下濃縮した。残渣をジエチルエーテルに再溶解し、その後、水で2度洗浄した。水層を組み合わせて保管した。有機層はNaSOで乾燥し、その後真空下濃縮した。褐色のオイルをその後シリカゲル(0〜20%EtO/ヘキサン、カラムサイズ:高さ18〜20cm、直径5cm)でクロマトグラフィー処理して、4.2gの薄黄色のオイル(全体を通じての収率は36%)を得た。1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 5.76 (1H, s), 5.34 (1H, s), 4.01-4.07 (2H, m), 2.58-2.52 (m, 2H), 2.22 (1H, m), 2.15 (3H, s), 2.12-1.48 (15 H, m), 1.26-1.21 (8H, m), 1.02-0.96 (5H, m), 0.92-0.82 (5H, m); 13C NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 207.28, 178.35, 145.31, 135.57, 122.34, 120.43, 63.58, 50.92, 46.57, 45.19, 39.87, 38.30, 37.14, 34.85, 34.51, 31.55, 29.94, 27.42, 25.65, 22.62, 21.37, 20.82, 18.09, 16.98, 14.08; MS (EI) 計算値(C25H38O3として)= 386.2821;実測値= 386.2819。
【0080】
未反応のアビエチン酸を反応物から回収した。組み合わせた水層にろ過により得た固体残渣を加え、溶液を濃HClで酸性にした。この混合物をエーテルで抽出した。NaSOで乾燥した後溶剤を真空下除去し、約3.5gの未反応のアビエチン酸を得た。反応
したアビエチン酸に基づく反応物の収率は58%であった。
【0081】
ジヒドロペリミジン(4)の合成
Kim et al. (「Dyes and Pigments」2002, 55, pp1-7として公開)のジヒドロペリミジン類の合成のための一般的方法を採用した。250 mLの丸底フラスコに1.4 g の1,8-ジアミノナフタレン(9.0 mmol, Aldrich)、等モル量の化合物3(3.5 g, 9.0 mmol)、15 mgのp-トルエンスルホン酸、及び65 mLのトルエンを装填した。この混合物を窒素下で3時間還流し、水をアゼオトロピックにDean-Stark trapによって除去した。反応混合物を20 mLの飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄し、続いてブラインで洗浄した(2X)。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、その後真空下濃縮した。残渣をシリカゲル (ヘキサン中0-30 %酢酸エチル)でクロマトグラフ処理し、3.5 gのピンク色の粉末 (収率=75 %) mp 65-66°Cを得た。1HNMR (400 MHz, CDCl3) δ7.23-7.12 (4H, m), 6.46-6.42 (2H, m), 5.77 (1H, s), 5.34 (1H, m), 4.40 (2H, b), 4.02 (2H, m), 2.28-1.48 (22 H, m), 1.39-0.80 (14 H, m); 13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 178.38, 145.48, 139.80, 135.68, 134.61, 127.08, 122.37, 120.48, 117.04, 105.87, 66.26, 64.08, 50.98, 46.54, 45.10, 38.29, 37.05, 37.01, 34.88, 34.51, 27.45, 27.08, 25.66, 23.49, 22.64, 21.40, 20.83, 18.08, 16.95, 14.02; MS (EI) 計算値(C35H46N2O2 として)=526.3559; 実測値=526.3569。
【0082】
NIR染料でラベルされたロジン粘着性付与剤−スクワライン染料(1)の合成
de Wit et al. の方法(US5395910、Akzo Nobel N. V.へ、公開日: 1995年3月7日)を採用した。100 mLの丸底フラスコに3.2 g (6.0 mmol)のジヒドロペリミジン4、0.35 g (3.0
mmol)のスクワリン酸(Aldrich)、及び120 mLのn-ブタノール/ベンゼン(3:1/v:v)を添加した。この混合物を還流下3時間加熱し、水をアゼオトロピックにDean-Stark trapによって除去した。その後反応混合物を真空下濃縮し、残渣を200 mLのヘキサンによって希釈した。生成物をろ過し、エーテルで洗浄した。得られた緑色の粉末のほとんどをさらに精製することなく使用した (収率 = 3.1g, 90 %)。 mp 103 °C; 1H NMR (400 MHz, CDCl3)
7.95 (1H, m), 7.31-7.27 (1H, m), 6.87 (1H, m), 6.76 (1H, m), 6.41 (1H, m), 5.72 (1H, s), 5.31 (1H, m), 4.12-4.02 (2H, m), 2.28-1.41 (22 H, m), 1.39-0.80 (14 H, m); 13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ183.83, 178.43, 149.87, 145.44, 143.22, 137.36,
135.75, 133.21, 125.19, 122.41, 122.34, 120.54, 117.89, 117.23, 110.80, 109.87,
108.60, 67.82, 63.88, 50.95, 46.54, 45.11, 38.29, 37.57, 37.10, 34.88, 34.53, 27.42, 27.08, 25.66, 23.97, 23.36, 22.47, 21.40, 20.85, 18.11, 16.97, 14.04; MS (MALDI) M+ = 1130; IR (KBr, cm-1) 3349, 2923, 1720, 1618, 1454, 1362, 1125, 817; UV-NIR (THF) λmax = 810 nm, ε= 1.1 x 105 M-1cm-1 (〜90 % 純度、標準染料5のεと比較して) TLC分析は主に一つの点を示す(Rf値 = 0.4 (ヘキサン中の40 % EtOAcにおける)。ベースライン上に小さな点が観察された。
【0083】
試料の少量をシリカゲル(40 % EtOAc/ヘキサン)でクロマトグラフィ処理した。純粋な生成物と粗生成物のスペクトルデータは同じであるが、純粋な試料の吸光率は1.34 x 105
M-1cm-1である。吸光率の違いから組成生物の純度を90%と見積もった。
【0084】
THF中の染料1のVis-NIRスペクトルを図1Aに示す。810 nmに強いNIR吸収がある。
実施例2:蛍光染料でラベルされた粘着性付与剤誘導体(16)、(17)、(18)及び(19)の製造
いくつかの官能基含有染料が便利であり、汎用の有機溶剤の良好な溶解性を有する。この場合、染料とアビエチン酸との間の直接の結合は好適なスペーサーを使用することによって達成されることができる。これらの例において、この方法はいくつかの蛍光染料でラベルされたアビエチン酸誘導体(スキーム2)を製造するために使用された。この実験からの誘導体の吸収スペクトルは、図2にそれらの対応する前駆体とそれぞれ比較される。
【0085】
【化19】

【0086】
実施例2A:官能基含有染料誘導体(11)、(12)及び(14)の製造
2-アリル-6-[(2-ヒドロキシエチル)メチルアミノ]ベンゾ[de]イソキノリン-1,3-ジオン(11)の合成
【0087】
【化20】

【0088】
i ) CH2=CHCH2NH2, MeOH, 還流, 4 時間;
ii ) CH3NHCH2CH2OH, DMSO, 80°C, 一晩;
N-アリル-4-ブロモ-1,8-ナフタルイミド(10, 0.79g, 2.5mmol)及び2-(メチルアミノ)エタノール(0.188g, 2.5mmol)をジメチルスルホキシド(10mL)に溶解し、80°Cで一晩攪拌した。その後得られた溶液を氷(約25g)に注ぎ、約2gの塩化ナトリウムによって表題化合物11を黄橙色の結晶として沈殿させた{水で洗浄し、オーブン中80°Cで一晩乾燥させた; Rf = 0.27 (酢酸エチル: ヘキサン= 2:3); Rf= 0.28 (酢酸エチル: ヘキサン= 1:1)}, mp. 90-91°C (0.63g, 収率 81.2%)。 1H NMR (300MHz, DMSO-d6) δH 8.71 (d, 1H, J = 8.4Hz, ArH), 8.43 (d, 1H, J = 7.2Hz, ArH), 8.32 (d, 1H, J = 8.4Hz, ArH), 7.74 (t,
1H, J = 7.8Hz, ArH), 7.29 (d, 1H, J = 8.4Hz, ArH), 5.97-5.87 (m, 1H, CH=), 5.13
(d, 1H, J = 3.9Hz, =CH2), 5.08 (s, 1H, =CH2), 4.89 (t, 1H, J = 5.2Hz, D2Oを添加すると消失, OH), 4.64 (d, 2H, J = 4.8Hz, NCH2), 3.76 (q, 2H, J = 5.4Hz, MeNCH2),
3.44 (t, 2H, J = 5.7Hz, CH2O) 及び 3.07 (s, 3H, NCH3); 13C NMR (75MHz, DMSO-d6)
δC 163.4, 162.7, 156.9, 133.0, 132.3, 131.7, 130.6, 129.7, 125.0, 124.7, 122.2,116.1, 114.1, 113.3, 59.3, 58.3 及び 41.4. HRMS: 310.1312; Calcd. C18H18N2O3: 3
10.1317。
【0089】
2-アリル-6-(2-ヒドロキシエトキシ)-ベンゾ[de]イソキノリン-1,3-ジオン (12)の合成
【0090】
【化21】

【0091】
i ) CH2=CHCH2NH2, MeOH, 還流 , 4 時間;
iii ) KOH, HOCH2CH2OH, 140°C, 4 時間.
エチレングリコール(15 mL)中のN-アリル-4-ブロモ-1,8-ナフタルイミド(10, 0.79g, 2.5mmol)を140℃で2.5 mmol(0.14g)の水酸化カリウムの存在下で4時間加熱した。反応溶液を室温に冷却した後、水(50 mL)を加え、水性溶液をクロロホルムで抽出した。有機層を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下エバポレートした。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して(ヘキサン/酢酸エチル= 1:1(体積比), Rf = 0.17)灰色の結晶として純粋な表題化合物12を得た。mp. 144-145°C (0.60g, 収率 80.5 %)。 1H NMR (300MHz, CDCl3) δH 8.54-8.50 (m, 2H, ArH), 8.48 (d, 1H, J = 7.2Hz, ArH), 7.63 (t, 1H, J =7.5Hz, ArH), 7.01 (d, 1H, J = 8.1Hz, ArH), 6.06-5.93 (m, 1H, CH=), 5.35 (d, 1H, J = 19.5Hz, =CH2), 5.22 (d, 1H, J = 7.8Hz, =CH2), 4.78 (d,
2H, J = 5.4Hz, NCH2), 4.40 (t, 2H, J = 3.9Hz, OCH2), 4.19 (d, 2H, J = 3.9Hz, OCH2) 及び 2.49 (t, 1H, J = 5.1Hz, D2Oを添加すると消失, OH). 13C NMR (75MHz, CDCl3) δC 164.3, 163.8, 160.1, 133.6, 132.5, 131.9, 129.5, 128.7, 126.2, 123.5, 122.4, 117.7, 115.3, 106.2, 70.6, 61.4 及び 42.5. HRMS: 297.1000, Calcd. C17H15NO4: 297.1001。
【0092】
7-ジメチルアミノ-2-オキソ-2H-クロメン-3-カルボン酸 2-ヒドロキシエチルエステル(14)の合成
【0093】
【化22】

【0094】
i ) a) 乾燥EtOH, 触媒量のピペリジニウムアセテート, 室温, 48時間;
b) 還流, 一晩.
ii ) HOCH2CH2OH, 触媒量のH2SO4, 100℃, Ar, 一晩.
7-ジエチルアミノ-2-オキソ-2H-1-ベンゾピラン-3-カルボン酸(13, 1.04 g, 4.0 mmol)のエチレングリコール(25 mL, 約0.362 mol)溶液に濃硫酸を数滴添加した。アルゴン雰囲気下、その混合物を100℃で一晩攪拌した。反応溶液を室温に冷却した後、塩水(saline)(25 mL)を添加し、水溶液をジクロロメタン(3´100 mL)で抽出した。有機相を集めて、塩水(10 mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥した。溶剤を減圧下除去した後、残渣をクロマトグラフィー(シリカゲル;溶離剤:酢酸エチル)で精製して,表題化合物14(1.05 g, 収率86%)を黄色のペーストとして得た。このペーストは真空下乾燥するとゆっくりと結晶化した。mp. 106-108°C (黄色結晶)。 1H NMR (300MHz, CD3OD) δH 8.47 (s, 1H, ArH), 7.34 (d,
1H, J = 9.0 Hz, ArH), 6.62 (dd, 1H, J = 6.3, 2.4 Hz, ArH), 6.43 (d, 1H, J = 2.4
Hz, ビニル基), 4.45-4.42 (m, 2H, OCH2), 3.97-3.92 (m, 2H, OCH2), 3.52 (t, 1H, J
= 6.3 Hz, D2Oを添加すると消失, OH), 3.44 (q, 4H, J = 6.9 Hz, PhNCH2) 及び 1.23 (t, 6H, J = 7.2 Hz, CH3); 13C NMR (75MHz, CD3OD) δC 164.8, 158.8, 158.6, 153.2,
149.9, 131.4, 109.9, 108.4, 107.9, 96.7, 67.1, 61.0, 45.2 及び 12.5; HRMS: 305.1263, Calcd. C16H19NO5: 305.1263。
【0095】
実施例2B:蛍光染料でラベルしたロジン類(16)、(17)、(18)及び(19)の製造
一般的手順:
(i) アルコール(9, 11, 12 又は 14, 1.0 mmol)のジクロロメタン(25 mL)溶液にトリエチルアミン(105.2 mg, 0.14 mL, 1.04 mmol)及びメタンスルホニルクロライド(120 mg,
1.04 mmol)を添加した。この混合物を室温で一晩攪拌した。その後、溶剤を真空下除去し、残渣を更に精製することなく使用した。
【0096】
(ii) アビエチン酸(0.404 g, 1.0 mmol)のTHF(5 mL)溶液に炭酸セシウム(0.77g, 2.5 mmol)を添加し、褐色の混合物を室温で2時間攪拌した。
(iii) 合成(a)からの化合物のTHF溶液に合成(b)からの褐色溶液を滴下し、得られた混合物を24時間還流した。溶剤を真空下除去した。
【0097】
以下の蛍光染料でラベルされたロジン類(16)、(17)、(18)及び(19)を得た。
蛍光染料でラベルされたロジン(16):7-イソプロピル-1,4a-ジメチル-1,2,3,4,4a,4b,5,6,10,10a-デカヒドロ-フェナンスレン-1-カルボン酸 2-{2-[2-(1,3-ジオキソ-3a, 12b-ジヒドロ-1H,3H-6チア-2-アザ-ベンゾ[a] ピエレン-2-イル)エトキシ-]エトキシ}エチルエステル
残渣をシリカゲルでクロマトグラフ処理して(溶離剤: クロロホルム:ヘキサン = 1:3)、0.216 g (収率 30 %, 第一のオレンジバンド)の表題化合物16を、オレンジ色の結晶として得た。mp. 295°C (dec.)。 1H NMR (300MHz, CDCl3) δH 8.56 (d, 1H, J = 8.1Hz,
ArH), 8.37 (d, 1H, J = 8.1Hz, ArH), 8.16 (t, 2H, J = 8.4Hz, ArH), 7.49 (d, 1H, J = 2.4Hz, ArH), 7.35 (s, 2H, ArH), 7.26 (d, 1H, J = 2.4Hz, ArH), 5.74 (s, 1H, >C=CH-cyclo), 5.36 (s, 1H, >C=CH-cyclo), 4.42 (t, 2H, J = 6.0 Hz, OCH2), 4.22-4.09 (m, 2H, OCH2), 3.82 (t, 2H, J = 6.0 Hz, OCH2), 3.69 (t, 2H, J = 2.4 Hz, OCH2),
3.62-3.61 (m, 2H, OCH2), 2.85-2.81 (m, 2H, OCH2), 2.24 (t, 2H, J = 13.2 Hz, cyclo-CH2), 1.90-1.00 (m, 12H, cyclo-CH2+CH), 1.61 (s, 3H, CH3) 及び 1.22-1.15 (m, 9H, CH3); 13C NMR (75MHz, CDCl3) δC 178.7, 164.1, 163.7, 145.9, 140.8, 136.9, 132.8, 131.8, 131.0, 130.6, 130.2, 128.1, 127.8, 127.1, 126.6, 126.3, 125.7, 124.4, 124.1, 121.3, 120.6, 119.4, 118.2, 70.7, 70.3, 69.3, 68.1, 63.7, 59.1, 47.8, 44.9, 39.3, 38.1, 37.1, 36.7, 34.7, 33.6, 30.3, 27.6, 25.4, 24.2, 21.9, 18.8 及
び 16.7; HRMS: 719.3274, Calcd. C44H49NO6S: 719.3281。
【0098】
蛍光染料でラベルされたロジン(17):7-イソプロピル-1,4a-ジメチル-1,2,3,4,4a,4b,5,6,10,10a-デカヒドロ-フェナンスレン-1-カルボン酸 2-[(2-アリル-1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[de]イソキノリン-6-イル)メチルアミノ]エチルエステル
残渣をシリカゲルでクロマトグラフ処理して(溶離剤:クロロホルム:ヘキサン:酢酸エチル= 1:8:1)、0.47 g (収率 79 %)の表題化合物17を黄色の結晶として得た。mp. 64-66°C。 1H NMR (300MHz, CDCl3) δH 8.56 (d, 1H, J = 7.2Hz, ArH), 8.49 (t, 2H, J = 7.2Hz, ArH), 7.66 (t, 1H, J = 7.2Hz, ArH), 7.23 (d, 1H, J = 8.1Hz, ArH), 6.08-5.90 (m, 1H, CH=), 5.72 (s, 1H, >C=CH-cyclo), 5.33 (d, 1H, J = 17.1Hz, >C=CH-cyclo), 5.21 (d, 2H, J = 10.5 Hz, =CH2), 4.79 (d, 2H, J = 5.4 Hz, NCH2), 4.38-4.30 (m, 2H, NCH2), 3.63 (d, 2H, J = 5.4 Hz, OCH2), 3.09 (s, 3H, PhNCH3), 2.04-1.59 (m, 14H, cyclo-CH2+CH), 1.18 (s, 3H, CH3), 1.00 (dd, 6H, J = 4.8, 2.1, CH3) 及び 0.77 (s, 2H, CH3); 13C NMR (75MHz, CDCl3) δC 178.5, 164.4, 163.8, 156.5, 145.7, 135.8, 132.7, 132.6, 131.4, 131.1, 130.4, 126.2, 125.6, 123.2, 122.5, 120.4, 117.5, 116.1, 115.5, 61.4, 55.5, 51.1, 46.8, 45.3, 42.4, 41.9, 38.4, 37.1, 35.1, 34.7, 27.6, 25.8, 22.6, 21.6, 21.0, 18.2, 17.1 及び 14.1; HRMS: 594.3464, Calcd. C38H46N2O4: 594.3458。
【0099】
蛍光染料でラベルされたロジン(18):7-イソプロピル -1,4a-ジメチル -1,2,3,4,4a,4b,5,6,10,10a-デカヒドロ -フェナンスレン-1-カルボン酸 2-(2-アリル-1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[de]イソキノリン-6-イルオキシ)エチルエステル
残渣をシリカゲルでクロマトグラフ処理して(溶離剤: クロロホルム/ヘキサン/酢酸エチル= 1:3:1)、0.251 g (収率43 %)の表題化合物18を薄黄色のペーストとして得た。1H NMR (300MHz, CDCl3) δH 8.63-8.50 (m, 3H, ArH), 7.75-7.62 (m, 1H, ArH), 7.05 (dd,
1H, J = 6.6, 1.8 Hz, ArH), 6.06-5.93 (m, 1H, -CH=), 5.77 (s, 1H, >C=CH-cyclo), 5.38 (s, 1H, >C=CH-cyclo), 5.33 (d, 1H, J = 17.1 Hz, =CH2), 5.22 (d, 1H, J = 10.2 Hz, =CH2), 4.79 (d, 2H, J = 5.1 Hz, NCH2), 4.69-4.59 (m, 2H, OCH2), 4.49 (s, 2H, OCH2), 2.08-1.23 (m, 15H, cyclo-CH2+CH), 1.20 (s, 3H, CH3), 0.99 (dd, 6H, J =
3.9, 3.0, CH3) 及び 0.83 (s, 1H, CH3); 13C NMR (75MHz, CDCl3) δC 178.6, 164.4,
163.8, 159.9, 142.2, 134.7, 133.6, 132.6, 132.0, 129.7, 129.0, 128.9, 128.8, 126.4, 125.1, 124.3, 123.7, 117.6, 106.1, 71.7, 67.3, 67.1, 62.5, 48.5, 46.4, 45.0, 43.7, 42.5, 38.9, 38.0, 37.8, 27.2, 31.8, 29.1, 17.9, 16.8 及び 14.7; MS {EI}:
580, Calcd. C37H43NO5-H: 580。
【0100】
蛍光染料でラベルされたロジン(19):7-ジエチルアミノ-2-オキソ-2H-クロメン-3-カルボン酸 2-(7-イソプロピル-1,4a-ジメチル-1,2,3,4,4a,4b, 5,6,10,10a-デカヒドロ-フェナンスレン-1-カルボキシロキシ)エチルエステル
残渣をシリカゲルでクロマトグラフ処理して(溶離剤:クロロホルム/ヘキサン/酢酸エチル= 1:8:1)、0.272 g (収率 48 %)の表題化合物19を褐色のペーストとして得た。1H NMR (300MHz, CDCl3) δH 8.36 (s, 1H, ArH), 7.32 (t, 1H, J = 9.0 Hz, ArH), 6.59 (dd, 1H, J = 9.0, 2.4 Hz, ArH), 6.45 (d, 1H, J = 2.1 Hz, -CH=), 5.66 (s, 1H, >C=CH-cyclo), 5.26 (s, 1H, >C=CH-cyclo), 4.47 (s, 2H, OCH2), 4.35-4.15 (m, 2H, OCH2), 3.44 (q, 4H, J = 7.2 Hz, NCH2), 2.07-1.57 (m, 11H, cyclo-CH2+CH), 1.26 (s, 4H, cyclo-CH2), 1.24 (s, 6H, CH3), 1.21 (s, 3H, CH3), 0.98 (dd, 6H, J = 6.9 Hz, CH3) 及び 0.80 (s, 1H, CH3); 13C NMR (100MHz, CDCl3) δC 178.4, 163.5, 158.6, 158.2, 153.2, 149.4, 145.2, 135.5, 131.3, 122.5, 120.7, 109.7, 108.2, 107.7, 96.8, 62.7, 62.3, 50.9, 46.7, 45.2, 38.4, 37.2, 34.9, 34.7, 27.4, 25.7, 24.1, 22.6, 21.5, 20.9, 18.2, 17.1, 14.1 及び 12.5; HRMS: 589.3395, Calcd. C36H47NO6: 589.3403。
【0101】
実施例1及び2において、試験された染料のクラスは、スクワリン酸染料(810 nmに強いNIR吸収を有する。)、クマリン染料、及びいくつかのナフタルイミド誘導体の染料を含む。官能基含有染料誘導体は高収率で合成され得られることに注目されたい。これらの染料のアビエチン酸エステル誘導体の向上した溶解性又は相溶性は、それらを有機インク配合物のための染料として有用な候補にする。
【0102】
装置
UV-vis-NIR吸収スペクトルは、Perkin Elmer Lambda 2500 spectrometerによって集めた。蛍光スペクトルはSPEX Fluorolog 2.1.2 fluorescence spectrometerで記録した。蛍光の減衰曲線は、シングルフォトンタイミング技術(single photon timing technique)によってナノ秒励起パルスを使用して測定した。1H-及び13C-NMRスペクトルは400又は300
MHzでVarian XL400又はXL 300 spectrometerを使用して記録した。1H-NMRの測定はCDCl3又はDMSO-d6中で行った。CDCl3の残留溶剤ピークは7.26 ppmにシングレットで、DMSO-d6のものは2.50 ppmにクインテットで、それぞれ現れ、参照標準として選択した。高分解能マススペクトルは、VG 70-250S(double focusing)mass spectrometerで70 eVで得られた。融点はFisher-Johns融点装置で測定し、補正していない。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】図1は、実施例1で合成されたスクワリン酸染料でラベルしたロジン(化合物1)の紫外−可視吸収スペクトルである。
【図2】図2a〜2dは、THF溶液中のアビエチン酸エステル(実線)及びその前駆体(破線)のUV及び発光スペクトルを示す。図2aは、ベンゾチオキサンテン(化合物9)でラベルしたエステル(化合物16)を比較する。図2bは、ナフタルイミド(化合物11)でラベルしたエステル(化合物17)を比較する。図2cは、ナフタルイミド(化合物12)でラベルしたエステル(化合物18)を比較する。図2dは、クマリン(化合物14)でラベルしたエステル(化合物19)を比較する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
染料に共有結合した粘着性付与剤。
【請求項2】
染料が放射線吸収性染料である、請求項1の粘着性付与剤。
【請求項3】
粘着性付与剤がロジン誘導粘着性付与剤である、請求項1の粘着性付与剤。
【請求項4】
染料に共有結合したロジン誘導粘着性付与剤を含む請求項1の粘着性付与剤。
【請求項5】
請求項1の粘着性付与剤を含む組成物。
【請求項6】
接着剤である請求項5の組成物。
【請求項7】
インクである請求項5の組成物。
【請求項8】
コーティングである請求項5の組成物。
【請求項9】
粘着性付与剤が染料に共有結合したロジン誘導粘着性付与剤を含む請求項5の組成物。
【請求項10】
少なくとも1の染料及び少なくとも1の粘着性付与樹脂を含む組成物であって、少なくとも1の粘着性付与樹脂が少なくとも1の染料に共有結合されている、組成物。
【請求項11】
染料が放射線吸収性染料である、請求項10の組成物。
【請求項12】
染料が近赤外線吸収性染料である、請求項11の組成物。
【請求項13】
組成物が熱硬化性組成物である、請求項10の組成物。
【請求項14】
熱硬化性組成物がホットメルト組成物である、請求項13の組成物。
【請求項15】
熱硬化性組成物を硬化することによって得られるコーティングが−30℃未満のガラス転移温度を有する、請求項14の組成物。
【請求項16】
染料及び粘着性付与樹脂の合計含量が組成物の100重量部あたり0.001〜10重量部の範囲内である、請求項10の組成物。
【請求項17】
少なくとも一部が請求項1の組成物でコートされている基材。
【請求項18】
染料でラベルされた粘着性付与樹脂を製造する方法であって、染料前駆体フラグメントを粘着性付与樹脂に、染料前駆体が粘着性付与樹脂に共有結合で取り付けられるのに十分な条件下で取り付け、その後、染料をアセンブリすることを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−19439(P2008−19439A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−179917(P2007−179917)
【出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【出願人】(590000824)ナショナル スターチ アンド ケミカル インベストメント ホールディング コーポレイション (112)
【出願人】(507231909)
【出願人】(507231910)
【出願人】(507231921)
【Fターム(参考)】