説明

ラベル付きインモールド成型体およびインモールド用ラベル

【課題】ラベル付きインモールド成型体の成型体に対するラベルの密着性とデラベリング性を両立させること。
【解決手段】熱可塑性樹脂を含む基層(A)と、熱可塑性樹脂と水溶性バインダーを含むヒートシール層(B)とを含むインモールド用ラベル(C)が成型体(D)に付されたラベル付きインモールド成型体(E)であって、該ラベル付きインモールド成型体(E)を40℃の水に4日間浸してもインモールド用ラベル(C)と成型体(D)が剥離しないことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベル付きインモールド成型体とその製造に用いるインモールド用ラベルに関する。より具体的には、熱可塑性樹脂を含む基層(A)とヒートシール層(B)とを含むインモールド用ラベル(C)、および該インモールド用ラベル(C)が成型体(D)に密着性良く付されていて特定条件下におけるデラベリング性に優れているラベル付きインモールド成型体(E)に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレンなどの成型品は、軽量で落下や衝撃などに強くガラスや陶器に比べ安全性が高いことから、包装容器として広い分野で活用されている。特に、ポリエチレンテレフタレートを代表とするポリエステル樹脂からなる延伸ブロー成型によるボトルは、透明性、表面光沢、耐薬品性、耐内圧性において優れており、一般に包装容器として有利な特性が揃っている。このため、食品、洗剤など、広い分野で多量に使用されている。
【0003】
延伸ブロー成型は、ブロー金型内に挿入されたプリフォームを延伸ブローして所定の形状の延伸ブロー成型体となるように成型するものである。このとき、ブロー金型内にあらかじめラベルを取付けておき、延伸ブローにともなって延伸ブロー成型体の表面へのラベルの貼り付けも行うインモールドラベル成型が行われており(例えば特許文献1)、実際に多方面で利用されている。
【0004】
一方、容器包装に係わる分別収集および再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法)の制定にともない、成型体をリサイクルすることが社会的に求められるようになっている。このため、成型体とラベルを分離して、成型体をリサイクルする技術が提案されている(例えば実用新案文献1)。
【0005】
しかしながら、この技術ではラベルが成型体に完全に密着していないことから、ラベルが自然に剥がれてしまうという欠点があった。また、密着性を強くしようとして糊を多量に使用すると、成型体とラベルを分離した後に成型体に糊が残ってしまい、実際にはリサイクルできないという欠点があった。
【0006】
【特許文献1】特開2002−355886号公報
【特許文献2】実開平06−55727号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように従来の技術では、成型体に対するラベルの密着性と、糊残り無く成型体からラベルを分離すること(以後、デラベリング性と表記)を両立させることができなかった。そこで本発明は、これら従来技術の課題を解決し、成型体に対するラベルの密着性とデラベリング性を両立させ、成型体のリサイクルが可能なラベル付きインモールド成型体を提供することを目的とした。また、そのような成型体の製造を可能にするインモールド用ラベルを提供することも目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は鋭意検討を進めた結果、特定の構成と機能を有するヒートシール層を含むインモールド用ラベルをインモールド成型することによって、所期の特性を有するラベル付きインモールド成型体を提供し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、熱可塑性樹脂を含む基層(A)と、ヒートシール樹脂と水溶性バインダーを含むヒートシール層(B)とを含むインモールド用ラベル(C)が成型体(D)に付されたラベル付きインモールド成型体(E)であって、該ラベル付きインモールド成型体(E)を40℃の水に4日間浸してもインモールド用ラベル(C)と成型体(D)が剥離しないラベル付きインモールド成型体(E)である。本発明のラベル付きインモールド成型体(E)は、80℃の1.5重量%水酸化ナトリウム水溶液に15分間浸したとき、インモールド用ラベル(C)が成型体(D)から剥離し、成型体(D)にヒートシール層(B)が残らないものであることが好ましい。
【0010】
また本発明は、熱可塑性樹脂を含む基層(A)と、ヒートシール樹脂と水溶性バインダーを含むヒートシール層(B)とを含むインモールド用ラベル(C)であって、該インモールド用ラベル(C)を成型体(D)に付したラベル付きインモールド成型体(E)を40℃の水に4日間浸してもインモールド用ラベル(C)と成型体(D)が剥離しないことを特徴とするインモールド用ラベル(C)も提供する。なかでも、熱可塑性樹脂を含む基層(A)と、融点50〜120℃の熱可塑性樹脂30〜99重量%および水溶性バインダー70〜1重量%を含むヒートシール層(B)とを含むインモールド用ラベル(C)が好ましい。
【0011】
本発明では、基層(A)の密度は0.40〜0.98g/cm3であり、基層(A)の熱可塑性樹脂はポリオレフィンであることが好ましい。また、ヒートシール層(B)は、ヒートシール樹脂と水溶性バインダーを含む水性塗料を基層(A)上に塗布して乾燥することにより形成されたものであることが好ましい。ここで、水溶性バインダーはカチオン性水溶性バインダーであることが好ましい。さらに、成型体(D)は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドまたはポリスチレンからなり、また、インジェクション成型、ダイレクトブロー成型、インジェクションブロー成型、延伸ブロー成型、サーモフォーミング成型または圧縮成型により成型されたものであることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下において、本発明のラベル付きインモールド成型体およびインモールド用ラベルについて詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
【0013】
本発明のインモールド用ラベル(C)は、熱可塑性樹脂を含む基層(A)と、ヒートシール樹脂と水溶性バインダーを含むヒートシール層(B)とを有する。典型的な本発明のインモールド用ラベル(C)の構造の具体例を図1に示す。本発明のラベル付きインモールド成型体(E)は、インモールド成形によってインモールド用ラベル(C)が成型体(D)に付された構造を有する。
【0014】
[基層(A)]
本発明の基層(A)は、熱可塑性樹脂を含む層であり、インモールド用ラベル(C)の支持体となる層である。熱可塑性樹脂を含有することにより耐水性や安定性の優れたインモールド用ラベル(C)を得ることができる。
【0015】
(材質)
本発明の基層(A)は熱可塑性樹脂を含有し、耐水性が優れたものであればその材質は特に制限されない。基層(A)に含まれる熱可塑性樹脂の例としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、プロピレン系樹脂、ポリメチル−1−ペンテン等のポリオレフィン系樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン等の官能基含有ポリオレフィン系樹脂、ナイロン−6、ナイロン−6,6等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやその共重合体、ポリブチレンテレフタレート、脂肪族ポリエステル等の熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート、アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン等を挙げることができる。これらの熱可塑性樹脂の中では、加工性に優れることからポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。
【0016】
ポリオレフィン系樹脂のより具体的な例としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、メチル−1−ペンテンなどのオレフィン類の単独重合体、および、これらオレフィン類2種類以上からなる共重合体、および、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、ビニルアルコール、アクリル酸誘導体、ビニルエーテル類などの官能基含有モノマーとの共重合体などが挙げられる。
【0017】
更に、これらポリオレフィン系樹脂の中でも、プロピレン系樹脂が、耐薬品性、コストの面などから好ましい。プロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体でありアイソタクティックないしはシンジオタクティックおよび種々の程度の立体規則性を示すポリプロピレン、プロピレンを主成分とし、これと、エチレン、1−ブテン、1−ヘキサン、1−ヘプタン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンとを共重合させた共重合体を主成分として使用することが望ましい。この共重合体は、2元系でも3元系以上でもよく、またランダム共重合体でもブロック共重合体であってもよい。プロピレン系樹脂には、プロピレン単独重合体よりも融点が低い樹脂を2〜25重量%配合して使用することが好ましい。そのような融点が低い樹脂として、高密度ないしは低密度のポリエチレンを例示することができる。
【0018】
基層(A)には、必要に応じて無機微細粉末、有機フィラー、安定剤、光安定剤、分散剤、滑剤などを添加することができる。無機微細粉末を添加する場合は、粒径が通常0.01〜15μm、好ましくは0.01〜5μmのものを使用する。具体的には、炭酸カルシウム、焼成クレイ、シリカ、けいそう土、白土、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、アルミナ、ゼオライト、マイカ、セリサイト、ベントナイト、セピオライト、バーミキュライト、ドロマイト、ワラストナイト、ガラスファイバーなどを使用することができる。更に無機微細粉末を用いる場合は、事前に無機微細粉末表面を親水性処理および/または親油性処理等で表面処理しておくことが望ましく、表面処理により分散性を向上させ、また基層(A)に印刷性、塗工適性、耐擦過性、ラベリング適性、2次加工適性等の様々な性能を付与することが可能である。表面処理剤としては公知の物が使用でき、具体的には、有機フィラーを添加する場合は、主成分である熱可塑性樹脂とは異なる種類の樹脂を選択することが好ましい。例えば熱可塑性樹脂フィルムがポリオレフィン系樹脂フィルムである場合には、有機フィラーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ナイロン−6、ナイロン−6,6、環状オレフィン、ポリスチレン、ポリメタクリレート等の重合体であって、ポリオレフィン系樹脂の融点よりも高い融点(例えば170〜300℃)ないしはガラス転移温度(例えば170〜280℃)を有し、かつ非相溶のものを使用することができる。
【0019】
(成形)
これらの材料を用いてフィルム化することにより、本発明の基層(A)を成形することができる。基層(A)の成形する際には、スクリュー型押出機に接続された単層または多層のTダイやIダイを使用して溶融樹脂をシート状に押し出すキャスト成形、円形ダイを使用し溶融樹脂をチューブ状に押し出し内部の空気圧力で膨張させるインフレーション成形、混練された材料を複数の熱ロールで圧延しシート状に加工するカレンダー成形、圧延成形などを用いることができる。
【0020】
(積層)
基層(A)は公知の種々の方法により積層することが可能である。具体例としては、フィードブロック、マルチマニホールドを使用した多層ダイス方式と、複数のダイスを使用する押出しラミネーション方式などが挙げられる。また、多層ダイスと押出しラミネーションを組み合わせて使用することも可能である。
【0021】
(延伸)
基層(A)は通常用いられる種々の方法のいずれかによって延伸することも可能である。
延伸の温度は、基層(A)に主に用いる熱可塑性樹脂のガラス転移点温度以上から結晶部の融点以下の熱可塑性樹脂の延伸に好適な公知の温度範囲内で行うことができる。具体的には、基層(A)の熱可塑性樹脂がプロピレン単独重合体(融点155〜167℃)の場合は100〜166℃、高密度ポリエチレン(融点121〜136℃)の場合は70〜135℃であり、融点より1〜70℃低い温度である。また、延伸速度は20〜350m/分にするのが好ましい。
【0022】
延伸方法としては、キャスト成形フィルムを延伸する場合は、ロール群の周速差を利用した縦延伸、テンターオーブンを使用した横延伸、圧延、テンターオーブンとリニアモーターの組み合わせによる同時二軸延伸などを挙げることができる。また、インフレーションフィルムの延伸方法としては、チューブラー法による同時二軸延伸を挙げることができる。
【0023】
延伸倍率は特に限定されず、基層(A)に用いる熱可塑性樹脂の特性等を考慮して適宜決定する。例えば、熱可塑性樹脂としてプロピレン単独重合体ないしはその共重合体を使用する時には、一方向に延伸する場合は通常約1.2〜12倍、好ましくは2〜10倍であり、二軸延伸の場合には面積倍率で通常1.5〜60倍、好ましくは4〜50倍である。その他の熱可塑性樹脂を使用する時には、一方向に延伸する場合は通常1.2〜10倍、好ましくは2〜5倍であり、二軸延伸の場合には面積倍率で通常1.5〜20倍、好ましくは4〜12倍である。
【0024】
このようにして得られる積層フィルムは、次式(1)で算出された空孔率が通常5〜60%、好ましくは10〜45%の微細な空孔をフィルム内部に多数有するものである。空孔の存在により、空孔が存在しない延伸フィルムと比較してよりしなやかになる。
空孔率(%)=〔(ρ0 −ρ)/ρ0 〕×100 ・・・(1)
(上式において、ρ0 は真密度であり、ρは密度である。)
【0025】
延伸前の材料が多量の空気を含有するものでない限り、真密度は延伸前の密度にほぼ等しい。
また、空孔を形成することにより基層(A)の密度が下がり、ラベル付きインモールド成型体(E)からインモールド用ラベル(C)を分離する際に比重分離し易くなり、インモールド成型体のリサイクルが容易となる。本発明の基層(A)の密度は好ましくは0.40〜0.98g/cm3、より好ましくは0.50〜0.96g/cm3、更に好ましくは0.60〜0.96g/cm3の範囲である。基層(A)の密度が0.98g/cm3以下であれば水での比重分離が容易であり、0.40g/cm3以上であればインモールド用ラベル(C)の強度も十分である。
【0026】
基層(A)の肉厚は通常10〜500μm、好ましくは20〜300μmの範囲である。10μm以上であれば印刷やラベルへの加工時に腰が強くて加工が容易になり、また、ラベルとしてのラベリング適性も良好である。500μm以下であれば、インモールド用ラベル(C)全体の肉厚が適度な厚さになるため、ラベル付きインモールド成型体(E)の形状に影響することもない。
【0027】
基層(A)は少なくとも1軸に延伸されていることが好ましい。2層構造、3層以上の多層構造のものであってもよく、この多層構造の延伸軸数が例えば1軸/1軸、1軸/2軸、2軸/1軸、1軸/1軸/2軸、1軸/2軸/1軸、2軸/1軸/1軸、1軸/2軸/2軸、2軸/2軸/1軸、2軸/2軸/2軸であっても良い。基層(A)の多層化により印刷性、塗工適性、耐擦過性、ラベリング適性、2次加工適性等の様々な機能の付加が可能となる。
【0028】
[ヒートシール層(B)]
本発明のヒートシール層(B)は、基層(A)上に塗工等により設けることができる。本発明のヒートシール層(B)は、ヒートシール樹脂と水溶性バインダーを含んでいるために優れた耐水性を示すとともに、所定のアルカリ水溶液等で処理すればヒートシール層(B)を選択的に基材(A)と共に成型体(D)から剥離できる。
【0029】
ヒートシール層(B)に用いることができる水溶性バインターは、「水溶性・水分散型高分子材料の最新技術動向と工業応用」(日本科学情報社刊)にも詳しく記載されているが、以下に例示されるバインダーが使用可能である。
【0030】
まず天然物由来のバインダーとして、澱粉、変性澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン、プルラン、アルギン酸、グアーガム、ローカストビーンカム、キサンタンガム、ペクチン、カラギーナン、アラビアガム、ガティガム、クラヤガム、トラガントガム、サイリウムシームガム、大豆多糖類、タマリンドシードガム、タラガム、寒天、ファーセレラン、グルコマンアン、微結晶セルロール、ウエランガム、カードラン、ジェランンガム、デキストラン、キサンザンガム、キチン、キトサン等が挙げられる。
【0031】
さらに化学合成により製造されるバインダーとして、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸系ポリマー、エチレンイミン系ポリマー、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリアミジン、イソプレン系スルホン酸系ポリマー、ポリエチレン誘導体、ポリビニルピロリドン系共重合体、ポリビニルアセトアミド、ポリジオキソシラン、ポリビニルフェノール、ポリグリセリン、ポリマレイン酸系共重合体、ポリイタコンサン酸系共重合体、2−アクリロアミノー2メチルプロパンスルホン酸ソーダ系共重合物、ナフタレンスルホン酸縮合物、ポリスチレンスルホン酸アンモニウム塩、(メタ)アクロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジシアンジアミド系縮合物、エピクロジメチルアミン縮合物、ジメチルアミン・エチレンクロライド縮合物、アミノメチル系ポリアクリルアミド、ポリビニルアミン、ポリアクリル酸ヒドラジド、ポリビニルイミダゾリン、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリビニルアセトアミド・ビニルアミン共重合物等が挙げられる。
【0032】
上記水溶性バインダーは、親水基の種類により非イオン性水溶性バインダーと、イオン性バインダーに大別され、さらにイオン性水溶性バインダーはカチオン性、アニオン性もしくは両イオン性バインダーに細分化される。本発明では、基層(A)との密着性を維持するために、イオン性水溶性バインダーを用いることが好ましく、特に基層(A)にポリオレフィン系樹脂を含有する場合は、カチオン性水溶性バインダーを用いるのが基層(A)との密着性が優れており、より好ましい。
【0033】
カチオン性水溶性バインダーの例としては、上記水溶性ポリマー例示物中、エチレンイミン系ポリマー、ポリアクリルアミド、ポリビニルアセトアミド、(メタ)アクロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジシアンジアミド系縮合物、エピクロジメチルアミン縮合物、ジメチルアミン・エチレンクロライド縮合物、アミノメチル系ポリアクリルアミド、ポリビニルアミン、ポリアクリル酸ヒドラジド、ポリビニルイミダゾリン、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリビニルアセトアミド・ビニルアミン共重合物等が挙げられる。
カチオン性水溶性バインダーの中でも、エチレンイミン系ポリマーが好ましい。
【0034】
本発明のヒートシール層(B)はヒートシール樹脂を含有する。ヒートシール樹脂は熱可塑性樹脂であることが好ましい。特に融点50〜120℃の熱可塑性樹脂であることが実用上好ましく、融点60〜110℃の熱可塑性樹脂であることが特に好ましい。融点が50℃以上であれば、ベタつきによるラベル同士のブロッキングをより効果的に防ぐことができ、120℃以下であれば、成型体(E)への密着性をより高くしやすい。
【0035】
ヒートシール層(B)に用いることができるヒートシール樹脂としては、例えば、アクリル系重合体、酢酸ビニル系重合体、スチレン系重合体、塩化ビニル系重合体、塩化ビニリデン系重合体、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂、石油樹脂、ロジンエステル、シリコン樹脂、アルキッド樹脂、ポリブタジェン、ブタジエン共重合体、ポリブテン、ブチルゴム、ポリプロピレン、ポリクロロプレン、ポリイソプレンなどの樹脂が使用できる。これらの中では、アクリル系重合体、酢酸ビニル系重合体、スチレン系重合体が好ましく、より具体的な例としては、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタアクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体などが挙げられる。
【0036】
本発明のヒートシール層(B)におけるヒートシール樹脂と水溶性バインダーの配合割合は、ヒートシール樹脂30〜99重量%に対して水溶性バインダー70〜1重量%であることが好ましく、ヒートシール樹脂50〜99重量%に対して水溶性バインダー50〜1重量%であることがより好ましく、ヒートシール樹脂75〜99重量%に対して水溶性バインダー25〜1重量%であることがさらに好ましい。水溶性バインダーの割合が70重量%以下であれば密着性をより高くしやすく、1重量%以上であればデラベリング性をより高くしやすい。
【0037】
ヒートシール層(B)は水溶性バインダーを含むことから水性塗料を用いて調製することが好ましい。具体的には、水性塗料を基層(A)の表面に塗布して乾燥することによりヒートシール層(B)を形成することが好ましい。環境面でも溶剤を使用しない水性塗料を用いることが望ましいことから、ヒートシール樹脂は例えばエマルジョン重合されたものや、懸濁重合したもの、あるいは押し出し機などで機械的に粉砕して水溶媒中に分散させたもの等の水系ディスパージョンを用いて調製することが好ましい。
【0038】
ヒートシール層(B)には、耐水性を更に向上するために、架橋剤を含有することが好ましく、その具体的な例としては、エポキシ化ポリアミドポリアミン、尿素・ホルマリン樹脂、メラミン・ホルマリン樹脂、ジアルデヒドデンプン、多官能エポキシ系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、グリオキザール、オキサゾリン系架橋剤、ホウ砂、硝酸ジルコニウム塩等が挙げられる。更には必要に応じて、ブロッキング防止剤、滑剤、帯電防止剤、分散剤、増粘剤、消泡剤、防腐剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、界面活性剤、水性染料、着色顔料等を適宜添加することができる。
【0039】
基層(A)とヒートシール層(B)の積層は、公知の塗工方法により行われる。具体的には、ロール塗工、ブレード塗工、バー塗工、エアーナイフ塗工、グラビア塗工、リバース塗工、ダイ塗工、リップ塗工、スプレー塗工、コンマ塗工、サイズプレス塗工の塗工手段を用いることができる。
【0040】
ヒートシール層(B)の乾燥塗工量は、使用する基材フィルムにより適宜選択されるが、通常は0.05〜30g/m2が好ましく、0.1〜20g/m2がより好ましく、0.2〜10g/m2が更に好ましい。
【0041】
乾燥塗工量が0.05g/m2以上であれば、インモールド成型の際に十分な接着強度を発揮することができる。また乾燥塗工量が30g/m2以下であれば、インモールド成型する際に溶融したヒートシール層(B)がラベルからはみ出て金型に付くことがなく、連続成型しても金型にラベル形状が残ってラベル付きインモールド成型体(E)の見栄えが悪くなることもない。
また塗工量が多くなると、1回の塗工では塗工しきれず、複数回の重ね塗工が必要となり生産コストも高くなること等の問題が生じる。
【0042】
[印刷層]
本発明のインモールド用ラベル(C)は、必要により表面に印刷による層を設けることが可能である。
印刷は、オフセット印刷、凸版印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、レタープレス印刷、インクジェット記録方式、感熱記録方式、熱転写記録方式、電子写真記録方式などの公知の手法を用いることが可能である。
【0043】
[成型体(D)]
本発明のインモールド用ラベル(C)は、種々の材質を有する成型体(D)にインモールド成形により付することができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレンなどからなる成型体に使用でき、中でもポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートを用いるのが好ましい。溶融温度(成型温度)の高いポリエチレン、ポリプロピレン等と組み合わせて使用すると、より高い密着性が得られ好ましい。比重が水よりも重いポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレンと組み合わせて使用すると、ラベル(C)と成型体(D)との剥離後の比重分離が容易であり好ましい。
【0044】
成型体(D)の成型には公知の手法が用いられる。たとえば溶融した樹脂を金型に流し込むインジェクション成型、溶融した樹脂を円形のダイからチューブ状に押出し金型内部で溶融状態のまま膨らませるダイレクトブロー成型、インジェクション成型により形成されたプリフォーム(小型容器形状成型体)を適宜温度に調整後し容器形状に膨らませるインジェクションブロー成型、成型したプリフォームを樹脂の融点より低い温度で延伸ロッドと空気圧により容器形状に膨らませる延伸ブロー成型、シート状に成型した樹脂を加熱により軟化させ差圧により金型形状に加工するサーモフォーミング成型、金型内で樹脂を溶融して圧力により金型形状に加工する圧縮成型などが挙げられる。
本発明はこれら成型手法何れにも適応でき、特に成型温度が低く従来のインモールド用ラベルでは充分な密着力を得ることが困難で有った延伸ブロー成型にも対応できる利点を有する。
【0045】
[インモールド用ラベルの密着性]
本発明のラベル付きインモールド成型体(E)におけるインモールド用ラベル(C)と成型体(D)は、密着性が高く、水に対する耐久性が高い。すなわち、ラベル付きインモールド成型体(E)を手などで変形させても、成型体(D)へのラベル(C)の追従性が高く剥がれにくい。また、ラベル付きインモールド成型体(E)を40℃の水に4日間浸しても、ラベル(C)と成型体(D)[例えばポリエチレンテレフタレート成型体(D)]は剥離しない。なお、ここでいう「剥離しない」とは、まったくラベル(C)が成型体(D)から剥がれていない状態と、部分的には剥がれているものの過半量は剥がれていない(ラベル(C)の全面積の50%未満が剥がれているが50%以上は成型体(D)に付いている)状態の両方を含む。
【0046】
[インモールド用ラベルのデラベリング性]
本発明のラベル付きインモールド成型体(E)におけるインモールド用ラベル(C)と成型体(D)は、40℃よりも高い温水中に浸すことにより分離する。かかる温水の温度は、好ましくは70〜100℃、より好ましくは75〜100℃、更に好ましくは80〜95℃であり、通常の温水であっても良いしアルカリ水であっても良い。短時間で分離を達成するためにはアルカリ水を用いるのが好ましい。アルカリ水を使用する場合は、PETボトルリサイクル推進協議会の自主設計ガイドラインに記載されている様な1.5重量%アルカリ濃度水が望ましい。インモールド用ラベル(C)を成型体(D)から分離する際には、温水やアルカリ水の中で本発明のラベル付きインモールド成型体(E)を静置してもよいし、温水やアルカリ水を攪拌したり、ラベル付きインモールド成型体(E)を振動させたりしてもよい。また、インモールド用ラベル(C)に集中的に温水やアルカリ水を放水してもよい。さらに、インモールド用ラベル(C)の上から圧力をかけて前後に振動させることによって、分離時間を短縮してもよい。本発明のラベル付きインモールド成型体(E)では、これらの分離操作によってヒートシール層(B)が成型体(D)上に残存しないという特徴を有する。
【実施例】
【0047】
以下に実施例、比較例および試験例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。以下に示す材料、使用量、割合、操作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例に制限されるものではない。
【0048】
本発明の製造例に使用する樹脂組成物を表1にまとめて示す。
【0049】
【表1】

【0050】
(調製例1)表面処理剤の調製
環流冷却器、温度計、滴下ロート、撹拌装置およびガス導入管を備えた反応器に、ジアリルアミン塩酸塩(60重量%濃度水溶液)500重量部と、アクリルアミド(40重量%濃度水溶液)13重量部および水40重量部を入れ、窒素ガスを流入させながら系内温度を80℃に昇温した。攪拌下で、滴下ロートを用いて重合開始剤と過硫酸アンモニウム(25重量%濃度水溶液)30重量部を4時間に渡り滴下した。滴下終了後1時間反応を続け、粘稠な淡黄色液状物を得た。これを50g取り、500ml中のアセトン中に注いで白色の沈殿を生じさせた。沈殿を濾別しさらに2回100mlのアセトンでよく洗浄した後、真空乾燥して白色固体状の重合体(水溶性カチオンコポリマー)を得た。得られた重合体のGPCより求めた重量平均分子量は55,000であった。
【0051】
(調製例2)表面処理重質炭酸カルシウムの調製
重質炭酸カルシウム(平均粒子径8μm、日本セメント社製乾式粉砕品)40重量%と水60重量%を充分に攪拌混合してスラリー状とし、調製例1にて製造した重合体を表面処理剤として重質炭酸カルシウム100重量部当たり0.06重量部加え、テーブル式アトライター型媒体攪拌ミル(直径1.5mmのガラスビーズ、充填率170%、周速10m/sec)を用いて湿式粉砕した。次いで、主成分が炭素数14のアルカンスルホン酸ナトリウムと炭素数16のアルカンスルホン酸ナトリウムの混合物(2重量%濃度水溶液)50部を加えて攪拌した。次いで350メッシュのスクリーンを通して分級し、350メッシュを通過したスラリーを媒体流動乾燥機((株)奈良機械製作所製MSD−200)で乾燥した。得られた炭酸カルシウムの平均粒子径をマイクロトラック(日機装(株)製)測定したところ1.5μmであった。
【0052】
(製造例1)基層Aの製造1
熱可塑性樹脂組成物aを230℃に設定した押出機にて混練した後、250℃に設定した押出ダイに供給しシート状に押し出し、これを冷却装置により冷却して無延伸シートを得た。この無延伸シートを140℃に加熱して縦方向に4倍延伸した。可塑性樹脂組成物cを250℃に設定した押出機で混練した後、シート状に押し出し、上記4倍延伸フィルムの裏面に積層し、更に熱可塑性樹脂組成物dを250℃に設定した押出機で混練した後、シート状に押し上記4倍延伸フィルムの表面に積層し、3層構造の積層フィルムを得た。次いで、この3層構造の積層フィルムを60℃まで冷却し、テンターオーブンを用いて再び約140℃に加熱して横方向に10倍延伸した後、160℃に調整した熱セットゾーンにより熱処理を行った。その後60℃に冷却して耳部をスリットし、3層〔(d/a/c)=(30/40/30)μm:延伸層構成(1軸/2軸/1軸)〕構造の肉厚100μm、密度0.86g/cm3の白色積層フィルムを得た。
【0053】
(製造例2)基層Aの製造2
熱可塑性樹脂組成物aと熱可塑性樹脂組成物bを、それぞれ230℃に設定した押出機にて混練した後、250℃に設定した一台の共押出ダイに供給し、ダイ内でb/a/bの順に積層したものをシート状に押し出し、これを冷却装置により冷却して3層の無延伸シートを得た。この無延伸シートを150℃に加熱して縦方向に5倍延伸した。次いで60℃まで冷却した後、再び150℃まで加熱してテンターで横方向に8倍延伸し、160℃でアニーリング処理し、60℃まで冷却した。その後、コロナ放電処理し、次いで耳部をスリットし、3層〔(b/a/b)=(10/60/10)μm:延伸層構成(2軸/2軸/2軸)〕構造の肉厚80μm、密度0.76g/cm3の白色積層フィルムを得た。
【0054】
(製造例3)基層Aの製造3
熱可塑性樹脂組成物eを230℃に設定した押出機にて混練した後、250℃に設定した押出ダイに供給しシート状に押し出し、これを冷却装置により冷却して無延伸シートを得た。この無延伸シートをコロナ放電処理し、次いで耳部をスリットし、肉厚100μm、密度0.89g/cm3の透明フィルムを得た。
【0055】
(製造例4)基層Aの製造4
熱可塑性樹脂組成物eを230℃に設定した押出機にて混練した後、250℃に設定した押出ダイに供給しシート状に押し出し、これを冷却装置により冷却して無延伸シートを得た。この無延伸シートを150℃に加熱して縦方向に5倍延伸した。この縦延伸フィルムを60℃まで冷却し、テンターオーブンを用いて再び約150℃に加熱して横方向に8倍延伸した後、160℃に調整した熱セットゾーンにより熱処理を行った。その後60℃に冷却して耳部をスリットし、肉厚80μm、密度0.91g/cm3の透明フィルムを得た。
【0056】
(実施例1〜5、比較例1〜2)インモールド用ラベルおよびラベル付きインモールド成型体の製造
表2に記載したヒートシール性樹脂のディスパージョン、水溶性バインダー、紙力増強剤、ブロッキング防止剤、および水を、表3に記載される組成と固形分濃度になるように混合して水性塗料(水系コート剤)を調製した。この水性塗料をスロットダイコーターにてライン速度20m/minで表3に記載される基層(A)(製造例1〜4)の表側にそれぞれ塗工し、80℃に設定した乾燥温度にて長さ10mのオーブンで乾燥して、7種類のインモールド用ラベル(C)を得た。得られた各インモールド用ラベル(C)のヒートシール層(B)の乾燥後塗工量は表3の通りであった。
【0057】
【表2】

【0058】
各実施例、比較例にて得たインモールド用ラベル(C)を高さ70mm、幅90mmに切り抜き、図2に示すようにヒートシール層(B)の反対の印刷面(A−1)が延伸ブロー成型機(ヨーキ産業(株)製、商品名:PET−2W型)の25℃に設定された金型(2)の内壁(2−a)に接するように真空減圧吸引孔(4)から減圧吸引して装着固定した。その後、予めインジェクション成型機にてプリフォーム(小型容器形状)に成型したポリエチレンテレフタレート(日本ユニペット(株)製、商品名:ユニペットRT543)を赤外線ヒーターにて95℃に加熱し、金型保持時間10秒で延伸ブロー成型し、高さ200mm、胴回り210mmの円筒型ラベル付きインモールド成型体(E)を得た。
【0059】
また、これとは別に、各実施例、比較例にて得たインモールド用ラベル(C)を高さ70mm、幅90mmに切り抜き、図3に示すように、ヒートシール層(B)の反対の印刷面(A−1)が中空容器製造用成型機の25℃に設定された金型(12)の内壁(12−a)に接するように真空減圧吸引孔(14)から減圧吸引して装着固定した。その後200℃に加熱溶融したポリプロピレン(日本ポリプロピレン(株)製:商品名「EG8」)をショットサイクル12秒でダイレクトブロー成型しラベル付きインモールド成型体(E)を得た。
【0060】
更に、各実施例、比較例にて得たインモールド用ラベル(C)を高さ70mm、幅90mmに切り抜き、図3に示すように、ヒートシール層(B)の反対の印刷面(A−1)が中空容器製造用成型機の15℃に設定された金型(12)の内壁(12−a)に接するように真空減圧吸引孔(14)から減圧吸引して装着固定した。その後180℃に加熱溶融した高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製:商品名「HB330」)をショットサイクル18秒でダイレクトブロー成型しラベル付きインモールド成型体(E)を得た。
【0061】
(試験例)
得られた各ラベル付きインモールド成型体(E)の密着性、耐水密着性、デラベリング性を以下のようにして評価した。
【0062】
(1)密着性
ラベル付きインモールド成型体(E)を手で変形させ、成型体へのラベルの追従性を観察して以下の4段階で評価した。
極めて良好(◎) ラベルが成型体の変形に追従し剥がれない。
良好(○) ラベルが部分的に剥がれる。
やや良好(△) ラベルの面積の半分以上が剥がれる。
不良(×) ラベルが完全に剥がれる。
【0063】
(2)耐水密着性
ラベル付きインモールド成型体(E)を40℃の水(水道水)に4日間浸し、成型体へのラベルの追従性を観察して以下の4段階で評価した。
極めて良好(◎) ラベルが成型体の変形に追従し剥がれない。
良好(○) ラベルが部分的に剥がれる。
やや良好(△) ラベルの面積の半分以上が剥がれる。
不良(×) ラベルが完全に剥がれる。
【0064】
(3)デラベリング性
ラベル付きインモールド成型体(E)を水酸化ナトリウム(和光純薬製:試薬1級)を1.5重量%に溶解した80℃の温水(水道水)に15分間浸け、ラベルの剥がれ具合を観察して以下の4段階で評価した。
極めて良好(◎) 10分以内にラベルが剥離し、成型体にヒートシール層が残らない。
良好(○) 15分以内にラベルが剥離し、成型体にヒートシール層が残らない。
やや良好(△) 剥離はするが成型体にヒートシール層が残る。
不良(×) 剥離しない。
【0065】
以上の評価の結果をまとめて表3に記す。
【0066】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明のインモールド用ラベルを用いれば、成型体に対するラベルの密着性とデラベリング性がともに優れているラベル付きインモールド成型体を容易に製造することができる。また、本発明のラベル付きインモールド成型体は、清涼飲料、酒、醤油、油、洗剤容器などとして多方面に利用可能であり、応用範囲は極めて広い。また、使用後にラベルと容器の分離が容易であり、リサイクル性に優れていることから需要も多いものと期待される。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明のインモールド用ラベルの断面図である。
【図2】ラベル付きPETボトル製造用のインモールド成型機の断面図である。
【図3】ラベル付きポリプロピレンボトルおよびポリエチレンボトル製造用のインモールド成型機の断面図である。
【符号の説明】
【0069】
A:基層
A−1:ラベル表面
B:ヒートシール層
C:インモールド用ラベル
2、12:金型
2−a、12−a:内壁
3:プリフォーム
4、14:吸引孔
5:延伸ロッド
6:ダイ
7:パリソン
8:空気吹き込みノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂を含む基層(A)と、ヒートシール樹脂と水溶性バインダーを含むヒートシール層(B)とを含むインモールド用ラベル(C)が成型体(D)に付されたラベル付きインモールド成型体(E)であって、
該ラベル付きインモールド成型体(E)を40℃の水に4日間浸してもインモールド用ラベル(C)と成型体(D)が剥離しないラベル付きインモールド成型体(E)。
【請求項2】
ラベル付きインモールド成型体(E)を80℃の1.5重量%水酸化ナトリウム水溶液に15分間浸したとき、インモールド用ラベル(C)が成型体(D)から剥離し、成型体(D)にヒートシール層(B)が残らない請求項1に記載のラベル付きインモールド成型体(E)。
【請求項3】
水溶性バインダーがカチオン性水溶性バインダーである請求項1または2に記載のラベル付きインモールド成型体(E)。
【請求項4】
ヒートシール樹脂と水溶性バインダーを含む水性塗料を基層(A)上に塗布して乾燥することによりヒートシール層(B)が形成された請求項1〜3のいずれか一項に記載のラベル付きインモールド成型体(E)。
【請求項5】
ヒートシール層(B)が融点50〜120℃の熱可塑性樹脂30〜99重量%および水溶性バインダー70〜1重量%を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載のラベル付きインモールド成型体(E)。
【請求項6】
基層(A)の密度が0.40〜0.98g/cm3である請求項1〜5のいずれか一項に記載のラベル付きインモールド成型体(E)。
【請求項7】
基層(A)の熱可塑性樹脂がポリオレフィンである請求項1〜6のいずれか一項に記載のラベル付きインモールド成型体(E)。
【請求項8】
成型体(D)が、インジェクション成型、ダイレクトブロー成型、インジェクションブロー成型、延伸ブロー成型、サーモフォーミング成型および圧縮成型からなる群より選択される成型法により成型された請求項1〜7のいずれか一項に記載のラベル付きインモールド成型体(E)。
【請求項9】
成型体(D)が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリカーボネートおよびポリスチレンからなる群より選択される材料からなる請求項1〜8のいずれか一項に記載のラベル付きインモールド成型体(E)。
【請求項10】
熱可塑性樹脂を含む基層(A)と、ヒートシール樹脂と水溶性バインダーを含むヒートシール層(B)とを含むインモールド用ラベル(C)であって、
該インモールド用ラベル(C)を成型体(D)に付したラベル付きインモールド成型体(E)を40℃の水に4日間浸してもインモールド用ラベル(C)と成型体(D)が剥離しないインモールド用ラベル(C)。
【請求項11】
ラベル付きインモールド成型体(E)を80℃の1.5重量%水酸化ナトリウム水溶液に15分間浸したとき、インモールド用ラベル(C)が成型体(D)から剥離し、成型体(D)にヒートシール層(B)が残らない請求項10に記載のインモールド用ラベル(C)。
【請求項12】
熱可塑性樹脂を含む基層(A)と、融点50〜120℃の熱可塑性樹脂30〜99重量%および水溶性バインダー70〜1重量%を含むヒートシール層(B)とを有する請求項10または11に記載のインモールド用ラベル(C)。
【請求項13】
水溶性バインダーがカチオン性水溶性バインダーである請求項10〜12のいずれか一項に記載のインモールド用ラベル(C)。
【請求項14】
基層(A)の密度が0.40〜0.98g/cm3である請求項10〜13のいずれか一項に記載のインモールド用ラベル(C)。
【請求項15】
基層(A)の熱可塑性樹脂がポリオレフィンである請求項10〜14のいずれか一項に記載のインモールド用ラベル(C)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−168354(P2006−168354A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−334663(P2005−334663)
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【出願人】(000122313)株式会社ユポ・コーポレーション (73)
【Fターム(参考)】