ラベル付き包装体
【課題】 本発明は、隙間を空けて厚肉ラベルが円筒状胴部に巻き付けられたラベル付き包装体であって、円筒状胴部の中心軸周りに円滑に回転しうるラベル付き包装体を提供する。
【解決手段】 本発明のラベル付き包装体1は、筒状胴部21を有する被着体2と、第1側縁3A及び第2側縁3Bを有し且つ筒状胴部21の周囲に巻付けて接着された厚肉ラベル3と、を備え、厚肉ラベル3が、第1側縁3Aと第2側縁3Bの間に隙間9を空けて巻き付けられており、厚肉ラベル3の第1側縁3Aが、筒状胴部21の周方向一方側Xへ最も偏っている第1偏り縁部3AXを有し、厚肉シートの第2側縁3Bが、筒状胴部21の周方向他方側Yへ最も偏った第2偏り縁部3BYを有し、第1偏り縁部3AX上を通り且つ筒状胴部21の外面における縦方向と平行な仮想縦線Tを引いたときに、第2偏り縁部3BYが、仮想縦線Tよりも周方向他方側Yに位置している。
【解決手段】 本発明のラベル付き包装体1は、筒状胴部21を有する被着体2と、第1側縁3A及び第2側縁3Bを有し且つ筒状胴部21の周囲に巻付けて接着された厚肉ラベル3と、を備え、厚肉ラベル3が、第1側縁3Aと第2側縁3Bの間に隙間9を空けて巻き付けられており、厚肉ラベル3の第1側縁3Aが、筒状胴部21の周方向一方側Xへ最も偏っている第1偏り縁部3AXを有し、厚肉シートの第2側縁3Bが、筒状胴部21の周方向他方側Yへ最も偏った第2偏り縁部3BYを有し、第1偏り縁部3AX上を通り且つ筒状胴部21の外面における縦方向と平行な仮想縦線Tを引いたときに、第2偏り縁部3BYが、仮想縦線Tよりも周方向他方側Yに位置している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被着体の周囲に厚肉ラベルが巻付け装着されたラベル付き包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バイアル瓶、アンプルなどの医療用容器、ガラス瓶などの食品用容器のような各種の被着体の周囲にラベルが巻き付けられた、ラベル付き包装体が知られている。
例えば、特許文献1には、内面に粘着剤が設けられた平面視矩形状(長方形状)の巻付けラベルを、その第1側部を容器の円筒状胴部に接着し、そのラベルを前記円筒状胴部に巻き付けた後、ラベルの第2側部を前記第1側部の上に接着することにより得られる、ラベル付き包装体が開示されている。
【0003】
ところで、医療用容器などのガラス製や陶器製の容器は、異物と接触することによってヒビが入ったり、欠けたり、或いは、割れることがある。このため、巻付けラベルの基材として、発泡樹脂シートのような比較的厚肉の基材が用いられる場合がある。
厚肉基材を用いた厚肉ラベルを容器に巻付ける場合、そのラベルの第1側部の上に第2側部を重ねて接着すると、その重ね合わせ部分が非常に分厚くなる。
このような分厚い重ね合わせ部分においては、大きな段差が生じているので、その厚肉ラベルの上から容器を手で握ったときの感触が悪い上、爪などが段差に引っ掛かり易いという問題点がある。
さらに、前記分厚い重ね合わせ部分を有する容器は、その部分が円筒状胴部の径外方向に突出しているので、円滑に回転しないという問題点もある。
円滑に回転しない容器は、例えば、機械的生産過程で、次のような不都合を生じる。
すなわち、円筒状胴部を有する容器は、生産ラインの搬送コンベアにおいて、横に寝かせて転がしながら搬送されることがある。上記厚肉ラベルが胴部に巻付けられたラベル付き包装体も、回転させながら搬送され、検品、箱詰めなどに供される。このため、厚肉ラベルを巻き付けた後も、円滑に回転しうるラベル付き包装体が求められる。
【0004】
このような諸点に鑑みて、平面視矩形状の厚肉ラベルの第1側縁(第1側部の縁)と第2側縁(第2側部の縁)を突き合わせるようにして、厚肉ラベルを円筒状胴部に巻き付けて接着することが考えられる。
しかしながら、厚肉ラベルを巻き付ける際には、基材が伸びたり或いは巻付け方向が少しずれたりするので、前記第1側縁と第2側縁がピッタリと突き合ったラベル付き包装体を機械的に量産することは困難である。
【0005】
そのため、一般的には、図13に示すように、厚肉ラベル30は、その第1側縁30Aと第2側縁30Bの間に隙間90を残すようにして円筒状胴部210の外面に巻き付けられる。隙間90を空けて巻付けるように設計された厚肉ラベル30を用いれば、巻付け時に基材の伸びや巻きずれを生じても、側部が重ならないラベル付き包装体を確実に生産できる。
しかしながら、かかるラベル付き包装体は、隙間90が円筒状胴部210の縦方向に真っ直ぐ延びているので(第1側縁30Aと第2側縁30Bが縦方向に真っ直ぐ延びているので)、厚肉ラベル30の上から円筒状胴部210を握ったときに、手の平やその他の物などが隙間から露出する胴部210の外面に接触し易い。胴部210に手が接触すると、厚肉ラベルを巻き付けた意義が減殺される。
さらに、上記のように隙間90を空けて巻き付けた場合には、第1側縁30Aにおける外側角部301及び/又は第2側縁30Bにおける外側角部302が搬送ラインの平坦面上に接したときにラベル付き包装体の回転が規制される。特に、図13(b)に示すように、前記隙間90における円筒状胴部210の外面部が平坦面Fに接する又は近接するほどに前記第1側縁30Aと第2側縁30Bが離反していると、そのラベル付き包装体は回転し難くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−229926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、隙間を空けて厚肉ラベルが筒状胴部に巻き付けられたラベル付き包装体であって、隙間から筒状胴部の外面に手などが接触し難く、さらに、筒状胴部の中心軸周りに円滑に回転しうるラベル付き包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のラベル付き包装体は、筒状胴部を有する被着体と、第1側縁及び第2側縁を有し且つ前記第1側縁と第2側縁を向かい合わせるようにして前記被着体の筒状胴部の周囲に巻付けて接着された厚肉ラベルと、を備え、前記厚肉ラベルが、前記第1側縁と第2側縁の間に隙間を空けて巻き付けられており、前記厚肉ラベルの第1側縁が、前記筒状胴部の周方向一方側へ最も偏っている第1偏り縁部を有し、前記厚肉シートの第2側縁が、前記筒状胴部の周方向他方側へ最も偏った第2偏り縁部を有し、前記第1偏り縁部上を通り且つ前記筒状胴部の外面における縦方向と平行な仮想縦線を引いたときに、前記第2偏り縁部が、前記仮想縦線上に位置している又は前記仮想縦線よりも周方向他方側に位置している。
【0009】
本発明の好ましいラベル付き包装体は、前記厚肉ラベルの外面に、厚肉ラベルよりも薄い薄肉フィルムが設けられており、前記薄肉フィルムが、前記厚肉ラベルの第1側縁よりも周方向一方側へ延出された延出片を有し、前記延出片が、前記隙間を覆っていると共に、その端部が前記厚肉ラベルの第2側縁を越えて厚肉ラベルの第2側部の外面に接着されている。
【0010】
本発明の他の好ましいラベル付き包装体は、前記薄肉フィルムのうち、少なくとも前記隙間を覆っている部分の全部又は一部が透明である。
本発明の他の好ましいラベル付き包装体は、被着体に巻き付ける前の前記厚肉ラベルの平面視形状が、平行四辺形である。
【0011】
また、本発明のラベル付き包装体は、円筒状胴部を有する被着体と、第1側縁及び第2側縁を有し且つ前記第1側縁と第2側縁を向かい合わせるようにして前記被着体の円筒状胴部の周囲に巻付けて接着された厚肉ラベルと、を備え、前記厚肉ラベルが、前記第1側縁と第2側縁の間に隙間を空けて巻き付けられており、前記円筒状胴部の中心軸方向から見たときの前記厚肉ラベルの外面の輪郭が、円形である。
【発明の効果】
【0012】
本発明のラベル付き包装体は、厚肉ラベルの上から筒状胴部を握ったときに、手の平などが隙間から露出する胴部の外面に接触し難い。
さらに、本発明のラベル付き包装体は、それを平坦面上に横に寝かした状態で、筒状胴部の中心軸周りに円滑に回転し得る。本発明によれば、例えば、生産ラインの搬送コンベアにおいて円滑に転動させながら搬送できるラベル付き包装体を提供できる。
また、本発明の好ましいラベル付き包装体は、筒状胴部への衝撃を緩和でき、前記筒状胴部の傷付きなどを防止できる。
さらに、本発明の他の好ましいラベル付き包装体は、筒状胴部に収納された収納物を視認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態に係るラベル付き包装体の正面図。
【図2】同包装体を円筒状胴部の中心軸方向から見た上面図。
【図3】図1のIII−III線断面図。
【図4】第1実施形態に係る厚肉ラベルを内面側から見た平面図。
【図5】図4のV−V線断面図。
【図6】第1実施形態の1つの変形例を示し、(a)は、その変形例に係る厚肉ラベルの平面図、(b)は、その変形例に係るラベル付き包装体の正面図、(c)は、同包装体を円筒状胴部の中心軸方向から見た上面図。
【図7】第1実施形態の他の変形例を示し、(a)は、その変形例に係る厚肉ラベルの平面図、(b)は、その変形例に係るラベル付き包装体の正面図、(c)は、同包装体を円筒状胴部の中心軸方向から見た上面図。
【図8】第1実施形態の更なる他の変形例を示し、(a)は、その変形例に係る厚肉ラベルの平面図、(b)は、その変形例に係るラベル付き包装体の正面図、(c)は、同包装体を円筒状胴部の中心軸方向から見た上面図。
【図9】第2実施形態に係る厚肉ラベルを内面側から見た平面図。
【図10】図9のX−X線断面図。
【図11】第2実施形態に係るラベル付き包装体の正面図。
【図12】図11のXII−XII線で切断した拡大端面図。
【図13】従来のラベル付き包装体を示し、(a)は、その正面図、(b)は、それを円筒状胴部の中心軸方向から見た上面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1乃至図3に示すように、本発明の1つのラベル付き包装体1は、円筒状胴部21を有する被着体2と、被着体2の円筒状胴部21に巻き付けられた厚肉ラベルと、を備え、巻き付けられた厚肉ラベル3の第1側縁3Aと第2側縁3Bの間に隙間9が設けられており、円筒状胴部21の中心軸O方向から見たときの厚肉ラベル3の外面の輪郭が円形である。ただし、被着体2の胴部21は、円筒状に限定されるものではない。
以下、各種実施形態を挙げて具体的に説明する。
本明細書において、用語の接頭語として第1及び第2を付しているが、この接頭語は、用語を区別するためのものであり、その優劣や順序などを意味しない。また、各図における基材などの厚みは、実際のものとは異なっていることに留意されたい。
【0015】
<第1実施形態>
[被着体]
被着体2は、筒状胴部を有する。
本発明で用いられる被着体2の筒状胴部の形状は、水平断面における外形が円形である筒状、楕円筒状、又は、多角筒状(六角柱状のような6角以上の多角筒状など)などが挙げられる。被着体2の筒状胴部は、円滑に回転し易いことから、水平断面における外形が円形である筒状が好ましい。
前記水平断面における外形が円形である筒状は、胴部を、その中心軸Oを法線とする平面で切り取ったときの外形が円形である筒状を意味する。このような水平断面における外形が円形である筒状胴部の具体例としては、真円筒状、円錐台筒状などが挙げられる。
本実施形態では、筒状胴部が真円筒状である被着体2を例示している。本明細書において、真円筒状の筒状胴部を「円筒状胴部」という。
【0016】
図示したように、円筒状胴部21を有する被着体2は、円筒状胴部21の中心軸O方向から見たときの外形の輪郭が円形である(被着体2の外形の輪郭は、円筒状胴部21の外面形状に等しい)。すなわち、被着体2は、それを平坦面上に横に寝かし(円筒状胴部21の中心軸Oが平坦面と平行になるように被着体2を平坦面上に置き)且つその被着体2を押したときに、円筒状胴部21の外周面を転動面として、円筒状胴部21の中心軸O周りに円滑に回転しながら移動可能なものである。もっとも、円錐台筒状の筒状胴部も、前記円筒状胴部21と同様に、中心軸O周りに円滑に回転しながら移動可能である。
なお、前記円筒状胴部21の中心軸Oとは、その円の中心を通り且つその筒の縦方向に延びる軸である。円筒状胴部以外の形状の筒状胴部の中心軸は、その水平断面の重心を通り且つその筒の縦方向に延びる軸である。
【0017】
円筒状胴部21の半径は特に限定されないが、余りに小径な円筒状胴部21に対しては厚肉ラベル3を巻き付けることが困難となる場合もあり、一方、余りに大径な円筒状胴部21に対しては厚肉ラベル3を巻き付けても上記問題点が生じ得ないかもしれない。このような点を考慮すると、円筒状胴部21の直径は、0.5cm〜10cmが好ましく、1cm〜5cmがより好ましい。
【0018】
被着体2は、上記のような円筒状胴部21を有しているものであれば特に限定されない。
被着体2としては、例えば、バイアル瓶、アンプルなどの医療用容器;ジャムなどの食品を入れる食品用容器;飲料用容器などの各種容器が挙げられる。また、被着体2は、容器以外にも、例えば、極太油性ペンのような円筒状に形成された商品そのものでもよい。
被着体2の材質は特に限定されず、ガラス製、陶器製、合成樹脂製、金属製などの被着体2が挙げられる。中でも、円筒状胴部21がガラス製又は陶器製である被着体2が用いられる。
また、被着体2が容器である場合には、透明又は非透明でもよいが、収納物を外部から視認できることから、透明な容器が好ましい。
本実施形態では、図1及び図2に示すように、被着体2としてアンプルを図示している。
【0019】
[厚肉ラベル3]
前記厚肉ラベル3は、図4及び図5にも示すように、ラベル基材31と、そのラベル基材31の内面に設けられた粘着剤層32と、を有する。
ラベル基材31は、厚肉であれば特に限定されない。厚肉のラベル基材31の厚みは、例えば、100μm〜3mmであり、好ましくは300μm〜2mmである。ラベル基材31の厚みが余りに薄い場合には、上記問題点が生じ得ないかもしれず、一方、ラベル基材31の厚みが余りに厚いと、巻付け作業などのラベルの取扱性が悪くなる。
厚肉ラベル3は巻き付けて装着されるため、被着体2の円筒状胴部21の曲面に沿って湾曲するような柔軟性を有するラベル基材31が用いられる。
【0020】
前記ラベル基材31の材質は特に限定されず、発泡樹脂シート、合成樹脂製シート(例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系シートなど)、不織布、フェルト、又はこれらから選ばれる少なくとも1種を含む積層体などが挙げられる。緩衝性及び断熱性を有し且つ比較的厚くても柔軟性を有するので、ラベル基材31としては、発泡樹脂シート、不織布又はこれらから選ばれる少なくとも1種を含む積層体が好ましい。このような緩衝性を有するラベル基材31を有する厚肉ラベル3は、ガラス製又は陶器製のような破損し易い円筒状胴部21を有する被着体2に巻き付けるラベルとして好適である。
さらに、前記ラベル基材31としては、加工性の点から、発泡樹脂シート、不織布又はこれらの少なくともいずれか一方を含む積層体がより好ましい。
特に、比較的厚肉に形成でき、安価で且つ加工性に優れることから、ラベル基材31としては、発泡樹脂シート又はこれを含む積層体が特に好ましい。
【0021】
前記発泡樹脂シートの材質は特に限定されず、例えば、ポリスチレンなどのスチレン系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂;ウレタン系樹脂;ポリエチレンテレフタレートなどのエステル系樹脂;塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂から選ばれる1種、又は2種以上の混合物などが挙げられる。これらの樹脂には、必要に応じて、各種フィラー、着色剤、可塑剤、安定剤などの添加剤を適宜添加することができる。
発泡樹脂シートは、物理的発泡、化学的発泡などの公知の発泡方法で作製されたものを用いることができる。
【0022】
発泡樹脂シートの発泡倍率は、優れた緩衝性及び断熱性と適度な柔軟性及び保形性とを具有させるために、好ましくは2倍〜40倍であり、より好ましくは3倍〜30倍であり、特に好ましくは5倍〜20倍である。
発泡樹脂シートの厚みは、優れた緩衝性及び断熱性と適度な柔軟性及び保形性とを有するため、500μm〜2mmが好ましい。
【0023】
ラベル基材31には、必要に応じて、外部から視認できるデザインが表示されていてもよい(ただし、デザインの表示は図示しない)。例えば、ラベル基材31の外面にデザイン印刷層を設けることにより、外部からデザインが見えるようになる。なお、発泡樹脂シートや不織布などのように、直接印刷を施し難いラベル基材31に対しては、その外面にスキン層を形成してそのスキン層に印刷を施す、或いは、印刷を施した薄いフィルムをラベル基材31の外面に積層することにより、前記デザインを表示できる。
【0024】
粘着剤層32は、前記ラベル基材31の内面に粘着剤を塗布することによって設けられている。この粘着剤層32は、ラベル基材31の内面全体に設けられている。例えば、ラベル基材31の内面全体に粘着剤をベタ状に塗布する、又は、ラベル基材31の内面全体に粘着剤を網目状若しくは無数のドット状に塗布することによって、ラベル基材31の内面全体に粘着剤層32を設けることができる。
【0025】
前記粘着剤としては、感圧型粘着剤が好ましいが、感熱型粘着剤を用いることもできる。なお、感圧型粘着剤は、室温で粘着力を有し且つその粘着力が長期間持続している粘着剤であり、従来公知のタックラベルで広く使用されているものである。感熱型粘着剤は、室温で粘着性を示さず、加熱することにより粘着力を発揮し且つその粘着力が長期間持続する粘着剤である。
粘着剤層32の厚みは特に限定されないが、通常、10μm〜30μmである。
ラベル基材31と粘着剤層32の積層体からなる厚肉ラベル3の厚みは、ラベル基材31の厚みと粘着剤層32の厚みの合計である。
【0026】
厚肉ラベル3の平面視形状は、正方形及び長方形ではない。厚肉ラベル3は、横方向に延びる上下一対の上縁3C及び下縁3Dと、横方向第1側にある縦方向に延びる側縁3Aと、厚肉ラベル3の横方向第2側にある縦方向に延びる側縁3Bと、を有する。
前記厚肉ラベル3の横方向第1側にある縦方向に延びる側縁3Aが、第1側縁3Aであり、厚肉ラベル3の横方向第2側にある縦方向に延びる側縁3Bが、第2側縁3Bである。前記第1側縁3A及び第2側縁3Bは、厚肉ラベル3の縦方向と平行に延びていない。前記第1側縁3A及び第2側縁3Bは、その全体が縦方向と非平行に延びているか、或いは、その一部分に縦方向と非平行な縁を含んでいる。また、厚肉ラベル3の横方向に延びる上縁3C及び下縁3Dは、通常、厚肉ラベル3の横方向と平行であることが好ましい。なお、この上縁3C及び下縁3Dの「上」及び「下」は、装着体の上下の向きに対応しているわけではないことに留意されたい。
【0027】
厚肉ラベル3の平面視形状は、円筒状胴部21の周長との関係を考慮して適宜設計できる。
すなわち、本発明の厚肉ラベル3の横方向の長さと円筒状胴部21の周長は、下記関係1及び関係2を満たしている。
関係1:厚肉ラベル3の横方向の長さ<円筒状胴部21の周長
関係2:厚肉ラベル3の横方向の長さ+巻付け時の隙間9の幅=円筒状胴部21の周長
【0028】
ただし、前記厚肉ラベル3の横方向は、厚肉ラベル3が円筒状胴部21に巻き付けられたときに(巻付け時)、円筒状胴部21の周方向となる方向である。
前記厚肉ラベル3の縦方向は、厚肉ラベル3の面内において前記横方向と直交する方向である。
前記厚肉ラベル3の横方向の長さは、厚肉ラベル3を任意の箇所で横方向に切断したときのその切断面の横方向の長さを意味する。
前記円筒状胴部21の周長は、その円周を意味する。
円筒状胴部以外の形状の筒状胴部の周長は、任意の箇所で切断した水平断面における外形の長さを意味する。
前記巻付け時の隙間9の幅は、下記の通りである。
【0029】
本実施形態の厚肉ラベル3の平面視形状は、図4に示すように、平行四辺形である。
なお、図4は、被着体2に巻き付ける前の厚肉ラベル3を平坦状にした状態で示した平面図である。
【0030】
また、前記平行四辺形の厚肉ラベル3の縦方向の長さ(上縁3Cと下縁3D間の直線の長さ)は、円筒状胴部21の縦方向の長さと同じ又はそれよりも短いことが好ましい。厚肉ラベル3の縦方向の長さが、円筒状胴部21の縦方向の長さと同じ又はそれよりも長いと、巻付け時、厚肉ラベル3の一部分が円筒状胴部21に接着しないからである。
厚肉ラベル3の縦方向の長さが円筒状胴部21の縦方向の長さよりも短い場合、厚肉ラベル3の縦方向の長さは、円筒状胴部21の縦方向の長さの0.7倍以上であることが好ましい。
【0031】
[ラベル付き包装体]
本発明のラベル付き包装体1は、前記厚肉ラベル3の横方向が円筒状胴部21の周方向となるように、厚肉ラベル3を円筒状胴部21の周囲に巻付け、その粘着剤層32を介して厚肉ラベル3を円筒状胴部21の外面に接着することにより得られる。厚肉ラベル3の横方向が円筒状胴部21の周方向となるように厚肉ラベル3を巻き付けるとは、円筒状胴部21の中心軸Oと直交する面内に厚肉ラベル3の横方向を一致させて厚肉ラベル3を巻き付けることである。
【0032】
前記厚肉ラベル3は平行四辺形のラベル基材31が前記関係1を満たしているので、巻き付け時、厚肉ラベル3の第1側縁3Aと第2側縁3Bは重なったり或いは突き合うことはなく、図1に示すように、厚肉ラベル3の第1側縁3Aと第2側縁3Bの間に隙間9が空く。
本実施形態のように平行四辺形の厚肉ラベル3にあっては、その第1側縁3A及び第2側縁3Bは、それぞれ厚肉ラベル3の縦方向に対して傾斜して延びており、平行四辺形の厚肉ラベル3の第1側縁3A及び第2側縁3Bは、互いに平行である。このため、前記隙間9は、円筒状胴部21の縦方向に延びる同幅の帯状であり、その縦方向に対して傾斜している。
【0033】
前記ラベル付き包装体1は、巻き付けられた厚肉ラベル3の第1側縁3Aが円筒状胴部21の周方向一方側Xへ最も偏っている第1偏り縁部3AXを有し且つ前記厚肉ベル3の第2側縁3Bが前記円筒状胴部21の周方向他方側Yへ最も偏った第2偏り縁部3BYを有する。
この第1偏り縁部3AXは、被着体2に巻き付ける前の厚肉ラベル3における横方向第1側において最も外側にある部分に相当し、第2偏り縁部3BYは、被着体2に巻き付ける前の厚肉ラベル3における横方向第2側において最も外側にある部分に相当する。
そして、前記ラベル付き包装体1は、円筒状胴部21に巻き付けられた厚肉ラベル3の前記第1偏り縁部3AX上を通り且つ円筒状胴部21の外面における縦方向と平行な仮想縦線Tを引いたときに、前記第2偏り縁部3BYが、前記仮想縦線T上に位置している又は仮想縦線Tよりも周方向他方側Yに位置している。
【0034】
円筒状胴部21においては、その外面における縦方向は、円筒状胴部21の中心軸Oと平行である。円筒状胴部以外の形状の筒状胴部のうち、直胴状の筒状胴部(任意の箇所で切断した水平断面が同一形状である筒状胴部)は、その外面における縦方向がその中心軸と平行であるが、円錐台筒状の筒状胴部においては、その外面における縦方向は、その中心軸と非平行である、即ち、その中心軸に対して傾斜している。
なお、図1は、円筒状胴部21に巻き付けられた厚肉ラベル3の第2偏り縁部3BYが、第1偏り縁部3AXを通る仮想縦線Tよりも周方向他方側Yに位置する場合を図示している。
【0035】
かかるラベル付き包装体1を円筒状胴部21の中心軸O方向から見たとき、図2に示すように、前記厚肉ラベル3の外面の輪郭は円形である。
つまり、円筒状胴部21の外面において任意の位置で仮想縦線Tを引いたとき、その周方向のいずれの位置においても仮想縦線Tが厚肉ラベル3に交差している。このように厚肉ラベル3が巻付けられているので、被着体2の破損を効果的に防止できる。
【0036】
前記隙間9の幅は特に限定されないが、それが余りに短いと、基材の伸びや巻きずれによりラベルの側部が重なるおそれがあり、一方、それが余りに長いと、円筒状胴部21の外面における厚肉ラベル3の占める面積が小さくなりすぎる。
このような点から、前記隙間9の幅は、3mm〜10mmが好ましく、3mm〜5mmがより好ましい。
なお、前記隙間9の幅は、巻き付けられた厚肉ラベル3の第1側縁3Aと第2側縁3Bとの間における周方向と平行な直線の長さをいう。前記巻き付けられた厚肉ラベル3の第1側縁3Aと第2側縁3Bとの間における周方向と平行な直線の長さが縦方向において異なる場合には、前記隙間9の幅は、そのうちの最小の長さを意味する。
【0037】
上記厚肉ラベル3は、隙間9を空けて巻付け可能に設計されているので、その巻付け時に基材の伸びや巻きずれを生じても、ラベルの側部が重なることなく円筒状胴部21に巻き付けることができる。
また、上記ラベル付き包装体1は、厚肉ラベル3が隙間9を空けて巻き付けられているので、その隙間9から透明な円筒状胴部21に収納された収納物を視認することもできる。
【0038】
上記ラベル付き包装体1は、円筒状胴部21の中心軸O方向から見たときの厚肉ラベル3の外面の輪郭が円形である。かかるラベル付き包装体1は、それを平坦面上に横に寝かした状態で、その円筒状胴部21の中心軸O周りに円滑に回転しながら移動し得る。
本発明のラベル付き包装体1によれば、例えば、生産ラインの搬送コンベアにおいてそれを横に寝かせた状態で円滑に転動させることができ、又、同様に、搬送コンベアにおいてその底面を下にした状態で中心軸O周りに円滑に回転させながら搬送できる。
さらに、上記ラベル付き包装体1は、厚肉ラベル3の上から円筒状胴部21を握ったときに、手の平やその他の物などが隙間9から露出する円筒状胴部21の外面に接触し難く、このため、手触り感も良好である。加えて、持ち手が円筒状胴部21の外面に接触し難いので、持ち手に被着体2の温度や硬さが伝わり難く、断熱性及び緩衝性を有する厚肉ラベル3を被着体2に巻き付けた効果を十分に発揮できる。
【0039】
<第1実施形態の変形例>
上記第1実施形態における厚肉ラベル3は、平面視平行四辺形であったが、本発明の厚肉ラベル3は、平行四辺形に限られず、下記変形例に示すように、本発明の意図する範囲で様々に変更できる。
【0040】
図6(a)の厚肉ラベル3は、横方向に延びる上下一対の上縁3C及び下縁3Dと、縦方向中途部において横方向第1側へ突出した凸形状を有する第1側縁3Aと、縦方向中途部において横方向第1側へ凹んだ凹形状を有する第2側縁3Bと、を有する。この第1側縁3A及び第2側縁3Bの形状は、同図(a)のように、横方向に平行移動したときに重なる、同一形状であることが好ましい。なお、この第1側縁3A及び第2側縁3Bは、略くの字状であるが、弧状などでもよい。
【0041】
この厚肉ラベル3は、上記関係1及び関係2を満たしている。かかる厚肉ラベル3を円筒状胴部21に巻き付けると、同図(b)に示すように、厚肉ラベル3の第1側縁3Aと第2側縁3Bの間に隙間9を有し、厚肉ラベル3の第2偏り縁部3BYが、第1偏り縁部3AX上を通る仮想縦線T上に位置している又は仮想縦線Tよりも周方向他方側に位置したラベル付き包装体1が得られる。かかるラベル付き包装体1は、同図(c)に示すように、円筒状胴部21の中心軸O方向から見たとき、厚肉ラベル3の外面の輪郭が円形である。
【0042】
図7(a)の厚肉ラベル3は、横方向に延びる上下一対の上縁3C及び下縁3Dと、縦方向中途部において横方向第1側へ突出した凸形状を複数有する第1側縁3Aと、縦方向中途部において横方向第1側へ凹んだ凹形状を複数有する第2側縁3Bと、を有する。この第1側縁3A及び第2側縁3Bの形状は、同図(a)のように、横方向に平行移動したときに重なる、同一形状であることが好ましい。なお、この第1側縁3A及び第2側縁3Bは、略鋸刃状であるが、略波状などでもよい。
【0043】
この厚肉ラベル3は、上記関係1及び関係2を満たしている。かかる厚肉ラベル3を円筒状胴部21に巻き付けると、同図(b)に示すように、厚肉ラベル3の第1側縁3Aと第2側縁3Bの間に隙間9を有し、厚肉ラベル3の第2偏り縁部3BYが、第1偏り縁部3AX上を通る仮想縦線T上に位置している又は仮想縦線Tよりも周方向他方側に位置したラベル付き包装体1が得られる。かかるラベル付き包装体1は、同図(c)に示すように、円筒状胴部21の中心軸O方向から見たとき、厚肉ラベル3の外面の輪郭が円形である。
【0044】
図8(a)の厚肉ラベル3は、横方向に延びる上下一対の上縁3C及び下縁3Dと、縦方向上方部において横方向第1側へ突出した凸形状を有する第1側縁3Aと、縦方向下方部において横方向第2側へ突出し且つ前記第1側縁3Aの凸形状の縦長さよりも短い凸形状を有する第2側縁3Bと、を有する。この第1側縁3A及び第2側縁3Bの形状は、回転対称形に形成することもできる。
【0045】
この厚肉ラベル3は、上記関係1及び関係2を満たしている。かかる厚肉ラベル3を円筒状胴部21に巻き付けると、同図(b)に示すように、厚肉ラベル3の第1側縁3Aと第2側縁3Bの間に隙間9を有し、厚肉ラベル3の第2偏り縁部3BYが、第1偏り縁部3AX上を通る仮想縦線T上に位置している又は仮想縦線Tよりも周方向他方側に位置したラベル付き包装体1が得られる。かかるラベル付き包装体1は、同図(c)に示すように、円筒状胴部21の中心軸O方向から見たとき、厚肉ラベル3の外面の輪郭が円形である。
【0046】
また、上記第1実施形態のラベル付き包装体1は、その隙間9の幅が縦方向において同じであるが、厚肉ラベル3の形状によっては、隙間9の幅が縦方向において異なるラベル付き包装体1を構成することもできる。
【0047】
<第2実施形態>
第2実施形態は、上記第1実施形態(変形例を含む)の厚肉ラベルの外面に薄肉フィルムが設けられているラベル付き包装体に関する。
以下、第2実施形態の厚肉ラベル及びラベル付き包装体について説明するが、上記第1実施形態と異なる部分について主として説明し、同様の構成についてはその説明を省略し、用語及び図番を援用することがある。
【0048】
図9及び図10に示すように、厚肉ラベル3の外面には、薄肉フィルム5が設けられている。
薄肉フィルム5は、厚肉ラベル3よりも薄いフィルムである。薄肉フィルム5の厚みは、例えば、10μm〜60μmであり、好ましくは10μm〜50mmである。10μm未満のフィルムは取扱性が悪く、一方、60μmを超えると、巻き付けられた厚肉ラベル3の外面に比較的大きな段差が生じ、ラベル付き包装体1が円滑に転動しなくなるおそれがある。
【0049】
薄肉フィルム5の材質は特に限定されず、合成樹脂フィルム、合成紙、紙などが挙げられる。薄肉フィルム5は、透明又は非透明でもよい。隙間9から収納物を視認できるようにするため、延出片51のうち少なくとも隙間9を覆う部分の全部又は一部が透明であるような薄肉フィルム5が好ましく、全体が透明である薄肉フィルム5(例えば、透明な合成樹脂フィルム)がより好ましい。
【0050】
薄肉フィルム5には、必要に応じて、外部から視認できるデザインが表示される。ラベル基材31にデザインが表示されている場合には、全体が透明な薄肉フィルム5を用いることによって、ラベル基材31のデザインを外部から透視できるので、当該薄肉フィルム5にデザインを表示しなくてもよい。
ただし、薄肉フィルム5にデザインを表示する場合には、隙間9を覆っている部分の全部又は一部は、収納物を視認できるようにするため、デザインを表示しないことが好ましい。
【0051】
薄肉フィルム5の内面には、粘着剤層53が設けられている。ラベル基材31の内面に設けられた粘着剤層32と区別するため、以下、ラベル基材31の粘着剤層32を第1粘着剤層といい、薄肉フィルム5の内面に設けられた粘着剤層53を第2粘着剤層という。
この第2粘着剤層53は、粘着剤を用いて形成できる。第2粘着剤層53の粘着剤は、第1粘着剤層32で例示したような粘着剤を用いることができる。
第2粘着剤層53を介して、薄肉フィルム5は、厚肉ラベル3の外面に接着されている。
【0052】
前記薄肉フィルム5の一方の側部は、厚肉ラベル3の第1側縁3Aから外側へ延出されている。従って、厚肉ラベル3の横方向第1側においては、薄肉フィルム5からなる延出片51が延出されている。この延出片51は、第2粘着剤層53を有する薄肉フィルム5であって、厚肉ラベル3の第1側縁3Aから横方向第1側からはみだしている部分である。
この延出片51の横方向の長さ(延出長さ)は、巻付け時に延出片51の端部を厚肉ラベル3の第2側縁3Bを越えて第2側部に接着するため、隙間9の幅よりも長い。
【0053】
なお、図示例では、延出片51を除く、薄肉フィルム5の残部は、厚肉ラベル3の外面全体を被覆する大きさに形成され且つその外面全体に接着されているが、前記薄肉フィルム5の残部(延出片51を除いた薄肉フィルム5)は、厚肉ラベル3の外面よりも小さくてもよい。その残部は、延出片51を厚肉ラベル3に連結する部分なので、延出片51が厚肉ラベル3から取れない程度に適宜設計できる。もっとも、厚肉ラベル3と薄肉フィルム5を積層し易いので、薄肉フィルム5の残部は、厚肉ラベル3の外面全体に接着されていることが好ましい。
【0054】
かかる薄肉フィルム5が設けられた厚肉ラベル3も、上記第1実施形態と同様に円筒状胴部21の周囲に巻き付けられ、巻き付けた厚肉ラベル3の第1側縁3Aと第2側縁3Bの間には隙間9が生じる。そして、前記第1側縁3Aから延出された延出片51を、その隙間9を覆うように巻付け、さらに、その延出片51の端部を、厚肉ラベル3の第2側縁3Bを越えて第2側部の外面に接着することにより、図11及び図12に示すようなラベル付き包装体1が得られる。
得られたラベル付き包装体1は、巻き付けられた厚肉ラベル3の隙間9を延出片51が覆い、この延出片51の端部は、巻き付けられた厚肉ラベル3の第2側部の外面に接着されている。
【0055】
本実施形態のラベル付き包装体1は、隙間9が延出片51で覆われているので、その隙間9から円筒状胴部21の外面が露出していない。このため、ラベル付き包装体1の搬送中に、前記隙間9に異物が当たっても、その異物は直接円筒状胴部21に当たらず、円筒状胴部21への衝撃を緩和できる。特に、図示したように、延出片51の、隙間9を覆っている部分(すなわち、隙間9に対応する延出片51の一部分)が、円筒状胴部21の外面から離反しているので(すなわち、円筒状胴部21の外面、延出片51、及び厚肉ラベル3の第1側縁3Aと第2側縁3Bによって囲われるスペース91が空洞であるので)、前記円筒状胴部21への衝撃を良好に緩和できる。
また、前記スペース91に空気層があるので、断熱効果にも優れている。
【0056】
また、本実施形態のラベル付き包装体1は、延出片51のうち、少なくとも隙間9を覆っている部分の全部又は一部が透明であるので、その部分を通じて、隙間9から透明な円筒状胴部21に収納された収納物を視認することもできる。
ところで、前記延出片51の縁は、薄肉フィルム5の厚み相当分だけ厚肉ラベル3の外面から突出しているが、この延出片51(薄肉フィルム5)の厚みは非常に薄い。このため、本実施形態のラベル付き包装体1も、それを平坦面上に横に寝かした状態で、その円筒状胴部21の中心軸O周りに円滑に回転しながら移動し得る。また、巻付けラベル3の外面に前記薄肉フィルム5の厚み相当分の段差が生じるが、このような比較的小さい段差は、円筒状胴部2を手で握ったときの感触を悪化させるものでもない。
【0057】
なお、前記ラベル付き包装体1においては、延出片51の内面全体に第2粘着剤層53が設けられているが、延出片51の内面のうち隙間9を覆っている部分を、円筒状胴部21に対して接着不能としてもよい。延出片51の、隙間9を覆っている部分を接着不能にすることにより、前記延出片51の、隙間9を覆っている部分が、円筒状胴部21の外面に不用意に接着することはない。このため、延出片51の、隙間9を覆っている部分を、円筒状胴部21から確実に離反させて前記空洞を確保できる。
延出片51の、隙間9を覆っている部分を、円筒状胴部21に対して接着不能とする方法としては、その部分に第2粘着剤層53を設けない方法、或いは、その部分にも第2粘着剤層53を設け且つその部分に対応した第2粘着剤層53の粘着力を隠蔽するためのマスキング層を設ける方法などが挙げられる。そのマスキング層の形成方法としては、例えば、隙間9に対応する第2粘着剤層53の面に、紫外線硬化型インキを塗工することなどが挙げられる。
【0058】
第2実施形態で説明した薄肉フィルム5は、平面視平行四辺形の厚肉ラベル3のみに適用されるわけではなく、上記第1実施形態の変形例で示したような厚肉ラベル3にも適用できる。
【符号の説明】
【0059】
1…ラベル付き包装体、2…被着体、21…被着体の円筒状胴部、3…厚肉ラベル、3A…厚肉ラベルの第1側縁、3B…厚肉ラベルの第2側縁、3AX…厚肉ラベルの第1偏り縁部、3BY…厚肉ラベルの第2偏り縁部、31…ラベル基材、32…粘着剤層、5…薄肉フィルム、51…延出片、9…隙間、O…円筒状胴部の中心軸、T…仮想縦線、X…円筒状胴部の周方向一方側、Y…円筒状胴部の周方向他方側
【技術分野】
【0001】
本発明は、被着体の周囲に厚肉ラベルが巻付け装着されたラベル付き包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バイアル瓶、アンプルなどの医療用容器、ガラス瓶などの食品用容器のような各種の被着体の周囲にラベルが巻き付けられた、ラベル付き包装体が知られている。
例えば、特許文献1には、内面に粘着剤が設けられた平面視矩形状(長方形状)の巻付けラベルを、その第1側部を容器の円筒状胴部に接着し、そのラベルを前記円筒状胴部に巻き付けた後、ラベルの第2側部を前記第1側部の上に接着することにより得られる、ラベル付き包装体が開示されている。
【0003】
ところで、医療用容器などのガラス製や陶器製の容器は、異物と接触することによってヒビが入ったり、欠けたり、或いは、割れることがある。このため、巻付けラベルの基材として、発泡樹脂シートのような比較的厚肉の基材が用いられる場合がある。
厚肉基材を用いた厚肉ラベルを容器に巻付ける場合、そのラベルの第1側部の上に第2側部を重ねて接着すると、その重ね合わせ部分が非常に分厚くなる。
このような分厚い重ね合わせ部分においては、大きな段差が生じているので、その厚肉ラベルの上から容器を手で握ったときの感触が悪い上、爪などが段差に引っ掛かり易いという問題点がある。
さらに、前記分厚い重ね合わせ部分を有する容器は、その部分が円筒状胴部の径外方向に突出しているので、円滑に回転しないという問題点もある。
円滑に回転しない容器は、例えば、機械的生産過程で、次のような不都合を生じる。
すなわち、円筒状胴部を有する容器は、生産ラインの搬送コンベアにおいて、横に寝かせて転がしながら搬送されることがある。上記厚肉ラベルが胴部に巻付けられたラベル付き包装体も、回転させながら搬送され、検品、箱詰めなどに供される。このため、厚肉ラベルを巻き付けた後も、円滑に回転しうるラベル付き包装体が求められる。
【0004】
このような諸点に鑑みて、平面視矩形状の厚肉ラベルの第1側縁(第1側部の縁)と第2側縁(第2側部の縁)を突き合わせるようにして、厚肉ラベルを円筒状胴部に巻き付けて接着することが考えられる。
しかしながら、厚肉ラベルを巻き付ける際には、基材が伸びたり或いは巻付け方向が少しずれたりするので、前記第1側縁と第2側縁がピッタリと突き合ったラベル付き包装体を機械的に量産することは困難である。
【0005】
そのため、一般的には、図13に示すように、厚肉ラベル30は、その第1側縁30Aと第2側縁30Bの間に隙間90を残すようにして円筒状胴部210の外面に巻き付けられる。隙間90を空けて巻付けるように設計された厚肉ラベル30を用いれば、巻付け時に基材の伸びや巻きずれを生じても、側部が重ならないラベル付き包装体を確実に生産できる。
しかしながら、かかるラベル付き包装体は、隙間90が円筒状胴部210の縦方向に真っ直ぐ延びているので(第1側縁30Aと第2側縁30Bが縦方向に真っ直ぐ延びているので)、厚肉ラベル30の上から円筒状胴部210を握ったときに、手の平やその他の物などが隙間から露出する胴部210の外面に接触し易い。胴部210に手が接触すると、厚肉ラベルを巻き付けた意義が減殺される。
さらに、上記のように隙間90を空けて巻き付けた場合には、第1側縁30Aにおける外側角部301及び/又は第2側縁30Bにおける外側角部302が搬送ラインの平坦面上に接したときにラベル付き包装体の回転が規制される。特に、図13(b)に示すように、前記隙間90における円筒状胴部210の外面部が平坦面Fに接する又は近接するほどに前記第1側縁30Aと第2側縁30Bが離反していると、そのラベル付き包装体は回転し難くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−229926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、隙間を空けて厚肉ラベルが筒状胴部に巻き付けられたラベル付き包装体であって、隙間から筒状胴部の外面に手などが接触し難く、さらに、筒状胴部の中心軸周りに円滑に回転しうるラベル付き包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のラベル付き包装体は、筒状胴部を有する被着体と、第1側縁及び第2側縁を有し且つ前記第1側縁と第2側縁を向かい合わせるようにして前記被着体の筒状胴部の周囲に巻付けて接着された厚肉ラベルと、を備え、前記厚肉ラベルが、前記第1側縁と第2側縁の間に隙間を空けて巻き付けられており、前記厚肉ラベルの第1側縁が、前記筒状胴部の周方向一方側へ最も偏っている第1偏り縁部を有し、前記厚肉シートの第2側縁が、前記筒状胴部の周方向他方側へ最も偏った第2偏り縁部を有し、前記第1偏り縁部上を通り且つ前記筒状胴部の外面における縦方向と平行な仮想縦線を引いたときに、前記第2偏り縁部が、前記仮想縦線上に位置している又は前記仮想縦線よりも周方向他方側に位置している。
【0009】
本発明の好ましいラベル付き包装体は、前記厚肉ラベルの外面に、厚肉ラベルよりも薄い薄肉フィルムが設けられており、前記薄肉フィルムが、前記厚肉ラベルの第1側縁よりも周方向一方側へ延出された延出片を有し、前記延出片が、前記隙間を覆っていると共に、その端部が前記厚肉ラベルの第2側縁を越えて厚肉ラベルの第2側部の外面に接着されている。
【0010】
本発明の他の好ましいラベル付き包装体は、前記薄肉フィルムのうち、少なくとも前記隙間を覆っている部分の全部又は一部が透明である。
本発明の他の好ましいラベル付き包装体は、被着体に巻き付ける前の前記厚肉ラベルの平面視形状が、平行四辺形である。
【0011】
また、本発明のラベル付き包装体は、円筒状胴部を有する被着体と、第1側縁及び第2側縁を有し且つ前記第1側縁と第2側縁を向かい合わせるようにして前記被着体の円筒状胴部の周囲に巻付けて接着された厚肉ラベルと、を備え、前記厚肉ラベルが、前記第1側縁と第2側縁の間に隙間を空けて巻き付けられており、前記円筒状胴部の中心軸方向から見たときの前記厚肉ラベルの外面の輪郭が、円形である。
【発明の効果】
【0012】
本発明のラベル付き包装体は、厚肉ラベルの上から筒状胴部を握ったときに、手の平などが隙間から露出する胴部の外面に接触し難い。
さらに、本発明のラベル付き包装体は、それを平坦面上に横に寝かした状態で、筒状胴部の中心軸周りに円滑に回転し得る。本発明によれば、例えば、生産ラインの搬送コンベアにおいて円滑に転動させながら搬送できるラベル付き包装体を提供できる。
また、本発明の好ましいラベル付き包装体は、筒状胴部への衝撃を緩和でき、前記筒状胴部の傷付きなどを防止できる。
さらに、本発明の他の好ましいラベル付き包装体は、筒状胴部に収納された収納物を視認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態に係るラベル付き包装体の正面図。
【図2】同包装体を円筒状胴部の中心軸方向から見た上面図。
【図3】図1のIII−III線断面図。
【図4】第1実施形態に係る厚肉ラベルを内面側から見た平面図。
【図5】図4のV−V線断面図。
【図6】第1実施形態の1つの変形例を示し、(a)は、その変形例に係る厚肉ラベルの平面図、(b)は、その変形例に係るラベル付き包装体の正面図、(c)は、同包装体を円筒状胴部の中心軸方向から見た上面図。
【図7】第1実施形態の他の変形例を示し、(a)は、その変形例に係る厚肉ラベルの平面図、(b)は、その変形例に係るラベル付き包装体の正面図、(c)は、同包装体を円筒状胴部の中心軸方向から見た上面図。
【図8】第1実施形態の更なる他の変形例を示し、(a)は、その変形例に係る厚肉ラベルの平面図、(b)は、その変形例に係るラベル付き包装体の正面図、(c)は、同包装体を円筒状胴部の中心軸方向から見た上面図。
【図9】第2実施形態に係る厚肉ラベルを内面側から見た平面図。
【図10】図9のX−X線断面図。
【図11】第2実施形態に係るラベル付き包装体の正面図。
【図12】図11のXII−XII線で切断した拡大端面図。
【図13】従来のラベル付き包装体を示し、(a)は、その正面図、(b)は、それを円筒状胴部の中心軸方向から見た上面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1乃至図3に示すように、本発明の1つのラベル付き包装体1は、円筒状胴部21を有する被着体2と、被着体2の円筒状胴部21に巻き付けられた厚肉ラベルと、を備え、巻き付けられた厚肉ラベル3の第1側縁3Aと第2側縁3Bの間に隙間9が設けられており、円筒状胴部21の中心軸O方向から見たときの厚肉ラベル3の外面の輪郭が円形である。ただし、被着体2の胴部21は、円筒状に限定されるものではない。
以下、各種実施形態を挙げて具体的に説明する。
本明細書において、用語の接頭語として第1及び第2を付しているが、この接頭語は、用語を区別するためのものであり、その優劣や順序などを意味しない。また、各図における基材などの厚みは、実際のものとは異なっていることに留意されたい。
【0015】
<第1実施形態>
[被着体]
被着体2は、筒状胴部を有する。
本発明で用いられる被着体2の筒状胴部の形状は、水平断面における外形が円形である筒状、楕円筒状、又は、多角筒状(六角柱状のような6角以上の多角筒状など)などが挙げられる。被着体2の筒状胴部は、円滑に回転し易いことから、水平断面における外形が円形である筒状が好ましい。
前記水平断面における外形が円形である筒状は、胴部を、その中心軸Oを法線とする平面で切り取ったときの外形が円形である筒状を意味する。このような水平断面における外形が円形である筒状胴部の具体例としては、真円筒状、円錐台筒状などが挙げられる。
本実施形態では、筒状胴部が真円筒状である被着体2を例示している。本明細書において、真円筒状の筒状胴部を「円筒状胴部」という。
【0016】
図示したように、円筒状胴部21を有する被着体2は、円筒状胴部21の中心軸O方向から見たときの外形の輪郭が円形である(被着体2の外形の輪郭は、円筒状胴部21の外面形状に等しい)。すなわち、被着体2は、それを平坦面上に横に寝かし(円筒状胴部21の中心軸Oが平坦面と平行になるように被着体2を平坦面上に置き)且つその被着体2を押したときに、円筒状胴部21の外周面を転動面として、円筒状胴部21の中心軸O周りに円滑に回転しながら移動可能なものである。もっとも、円錐台筒状の筒状胴部も、前記円筒状胴部21と同様に、中心軸O周りに円滑に回転しながら移動可能である。
なお、前記円筒状胴部21の中心軸Oとは、その円の中心を通り且つその筒の縦方向に延びる軸である。円筒状胴部以外の形状の筒状胴部の中心軸は、その水平断面の重心を通り且つその筒の縦方向に延びる軸である。
【0017】
円筒状胴部21の半径は特に限定されないが、余りに小径な円筒状胴部21に対しては厚肉ラベル3を巻き付けることが困難となる場合もあり、一方、余りに大径な円筒状胴部21に対しては厚肉ラベル3を巻き付けても上記問題点が生じ得ないかもしれない。このような点を考慮すると、円筒状胴部21の直径は、0.5cm〜10cmが好ましく、1cm〜5cmがより好ましい。
【0018】
被着体2は、上記のような円筒状胴部21を有しているものであれば特に限定されない。
被着体2としては、例えば、バイアル瓶、アンプルなどの医療用容器;ジャムなどの食品を入れる食品用容器;飲料用容器などの各種容器が挙げられる。また、被着体2は、容器以外にも、例えば、極太油性ペンのような円筒状に形成された商品そのものでもよい。
被着体2の材質は特に限定されず、ガラス製、陶器製、合成樹脂製、金属製などの被着体2が挙げられる。中でも、円筒状胴部21がガラス製又は陶器製である被着体2が用いられる。
また、被着体2が容器である場合には、透明又は非透明でもよいが、収納物を外部から視認できることから、透明な容器が好ましい。
本実施形態では、図1及び図2に示すように、被着体2としてアンプルを図示している。
【0019】
[厚肉ラベル3]
前記厚肉ラベル3は、図4及び図5にも示すように、ラベル基材31と、そのラベル基材31の内面に設けられた粘着剤層32と、を有する。
ラベル基材31は、厚肉であれば特に限定されない。厚肉のラベル基材31の厚みは、例えば、100μm〜3mmであり、好ましくは300μm〜2mmである。ラベル基材31の厚みが余りに薄い場合には、上記問題点が生じ得ないかもしれず、一方、ラベル基材31の厚みが余りに厚いと、巻付け作業などのラベルの取扱性が悪くなる。
厚肉ラベル3は巻き付けて装着されるため、被着体2の円筒状胴部21の曲面に沿って湾曲するような柔軟性を有するラベル基材31が用いられる。
【0020】
前記ラベル基材31の材質は特に限定されず、発泡樹脂シート、合成樹脂製シート(例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系シートなど)、不織布、フェルト、又はこれらから選ばれる少なくとも1種を含む積層体などが挙げられる。緩衝性及び断熱性を有し且つ比較的厚くても柔軟性を有するので、ラベル基材31としては、発泡樹脂シート、不織布又はこれらから選ばれる少なくとも1種を含む積層体が好ましい。このような緩衝性を有するラベル基材31を有する厚肉ラベル3は、ガラス製又は陶器製のような破損し易い円筒状胴部21を有する被着体2に巻き付けるラベルとして好適である。
さらに、前記ラベル基材31としては、加工性の点から、発泡樹脂シート、不織布又はこれらの少なくともいずれか一方を含む積層体がより好ましい。
特に、比較的厚肉に形成でき、安価で且つ加工性に優れることから、ラベル基材31としては、発泡樹脂シート又はこれを含む積層体が特に好ましい。
【0021】
前記発泡樹脂シートの材質は特に限定されず、例えば、ポリスチレンなどのスチレン系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂;ウレタン系樹脂;ポリエチレンテレフタレートなどのエステル系樹脂;塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂から選ばれる1種、又は2種以上の混合物などが挙げられる。これらの樹脂には、必要に応じて、各種フィラー、着色剤、可塑剤、安定剤などの添加剤を適宜添加することができる。
発泡樹脂シートは、物理的発泡、化学的発泡などの公知の発泡方法で作製されたものを用いることができる。
【0022】
発泡樹脂シートの発泡倍率は、優れた緩衝性及び断熱性と適度な柔軟性及び保形性とを具有させるために、好ましくは2倍〜40倍であり、より好ましくは3倍〜30倍であり、特に好ましくは5倍〜20倍である。
発泡樹脂シートの厚みは、優れた緩衝性及び断熱性と適度な柔軟性及び保形性とを有するため、500μm〜2mmが好ましい。
【0023】
ラベル基材31には、必要に応じて、外部から視認できるデザインが表示されていてもよい(ただし、デザインの表示は図示しない)。例えば、ラベル基材31の外面にデザイン印刷層を設けることにより、外部からデザインが見えるようになる。なお、発泡樹脂シートや不織布などのように、直接印刷を施し難いラベル基材31に対しては、その外面にスキン層を形成してそのスキン層に印刷を施す、或いは、印刷を施した薄いフィルムをラベル基材31の外面に積層することにより、前記デザインを表示できる。
【0024】
粘着剤層32は、前記ラベル基材31の内面に粘着剤を塗布することによって設けられている。この粘着剤層32は、ラベル基材31の内面全体に設けられている。例えば、ラベル基材31の内面全体に粘着剤をベタ状に塗布する、又は、ラベル基材31の内面全体に粘着剤を網目状若しくは無数のドット状に塗布することによって、ラベル基材31の内面全体に粘着剤層32を設けることができる。
【0025】
前記粘着剤としては、感圧型粘着剤が好ましいが、感熱型粘着剤を用いることもできる。なお、感圧型粘着剤は、室温で粘着力を有し且つその粘着力が長期間持続している粘着剤であり、従来公知のタックラベルで広く使用されているものである。感熱型粘着剤は、室温で粘着性を示さず、加熱することにより粘着力を発揮し且つその粘着力が長期間持続する粘着剤である。
粘着剤層32の厚みは特に限定されないが、通常、10μm〜30μmである。
ラベル基材31と粘着剤層32の積層体からなる厚肉ラベル3の厚みは、ラベル基材31の厚みと粘着剤層32の厚みの合計である。
【0026】
厚肉ラベル3の平面視形状は、正方形及び長方形ではない。厚肉ラベル3は、横方向に延びる上下一対の上縁3C及び下縁3Dと、横方向第1側にある縦方向に延びる側縁3Aと、厚肉ラベル3の横方向第2側にある縦方向に延びる側縁3Bと、を有する。
前記厚肉ラベル3の横方向第1側にある縦方向に延びる側縁3Aが、第1側縁3Aであり、厚肉ラベル3の横方向第2側にある縦方向に延びる側縁3Bが、第2側縁3Bである。前記第1側縁3A及び第2側縁3Bは、厚肉ラベル3の縦方向と平行に延びていない。前記第1側縁3A及び第2側縁3Bは、その全体が縦方向と非平行に延びているか、或いは、その一部分に縦方向と非平行な縁を含んでいる。また、厚肉ラベル3の横方向に延びる上縁3C及び下縁3Dは、通常、厚肉ラベル3の横方向と平行であることが好ましい。なお、この上縁3C及び下縁3Dの「上」及び「下」は、装着体の上下の向きに対応しているわけではないことに留意されたい。
【0027】
厚肉ラベル3の平面視形状は、円筒状胴部21の周長との関係を考慮して適宜設計できる。
すなわち、本発明の厚肉ラベル3の横方向の長さと円筒状胴部21の周長は、下記関係1及び関係2を満たしている。
関係1:厚肉ラベル3の横方向の長さ<円筒状胴部21の周長
関係2:厚肉ラベル3の横方向の長さ+巻付け時の隙間9の幅=円筒状胴部21の周長
【0028】
ただし、前記厚肉ラベル3の横方向は、厚肉ラベル3が円筒状胴部21に巻き付けられたときに(巻付け時)、円筒状胴部21の周方向となる方向である。
前記厚肉ラベル3の縦方向は、厚肉ラベル3の面内において前記横方向と直交する方向である。
前記厚肉ラベル3の横方向の長さは、厚肉ラベル3を任意の箇所で横方向に切断したときのその切断面の横方向の長さを意味する。
前記円筒状胴部21の周長は、その円周を意味する。
円筒状胴部以外の形状の筒状胴部の周長は、任意の箇所で切断した水平断面における外形の長さを意味する。
前記巻付け時の隙間9の幅は、下記の通りである。
【0029】
本実施形態の厚肉ラベル3の平面視形状は、図4に示すように、平行四辺形である。
なお、図4は、被着体2に巻き付ける前の厚肉ラベル3を平坦状にした状態で示した平面図である。
【0030】
また、前記平行四辺形の厚肉ラベル3の縦方向の長さ(上縁3Cと下縁3D間の直線の長さ)は、円筒状胴部21の縦方向の長さと同じ又はそれよりも短いことが好ましい。厚肉ラベル3の縦方向の長さが、円筒状胴部21の縦方向の長さと同じ又はそれよりも長いと、巻付け時、厚肉ラベル3の一部分が円筒状胴部21に接着しないからである。
厚肉ラベル3の縦方向の長さが円筒状胴部21の縦方向の長さよりも短い場合、厚肉ラベル3の縦方向の長さは、円筒状胴部21の縦方向の長さの0.7倍以上であることが好ましい。
【0031】
[ラベル付き包装体]
本発明のラベル付き包装体1は、前記厚肉ラベル3の横方向が円筒状胴部21の周方向となるように、厚肉ラベル3を円筒状胴部21の周囲に巻付け、その粘着剤層32を介して厚肉ラベル3を円筒状胴部21の外面に接着することにより得られる。厚肉ラベル3の横方向が円筒状胴部21の周方向となるように厚肉ラベル3を巻き付けるとは、円筒状胴部21の中心軸Oと直交する面内に厚肉ラベル3の横方向を一致させて厚肉ラベル3を巻き付けることである。
【0032】
前記厚肉ラベル3は平行四辺形のラベル基材31が前記関係1を満たしているので、巻き付け時、厚肉ラベル3の第1側縁3Aと第2側縁3Bは重なったり或いは突き合うことはなく、図1に示すように、厚肉ラベル3の第1側縁3Aと第2側縁3Bの間に隙間9が空く。
本実施形態のように平行四辺形の厚肉ラベル3にあっては、その第1側縁3A及び第2側縁3Bは、それぞれ厚肉ラベル3の縦方向に対して傾斜して延びており、平行四辺形の厚肉ラベル3の第1側縁3A及び第2側縁3Bは、互いに平行である。このため、前記隙間9は、円筒状胴部21の縦方向に延びる同幅の帯状であり、その縦方向に対して傾斜している。
【0033】
前記ラベル付き包装体1は、巻き付けられた厚肉ラベル3の第1側縁3Aが円筒状胴部21の周方向一方側Xへ最も偏っている第1偏り縁部3AXを有し且つ前記厚肉ベル3の第2側縁3Bが前記円筒状胴部21の周方向他方側Yへ最も偏った第2偏り縁部3BYを有する。
この第1偏り縁部3AXは、被着体2に巻き付ける前の厚肉ラベル3における横方向第1側において最も外側にある部分に相当し、第2偏り縁部3BYは、被着体2に巻き付ける前の厚肉ラベル3における横方向第2側において最も外側にある部分に相当する。
そして、前記ラベル付き包装体1は、円筒状胴部21に巻き付けられた厚肉ラベル3の前記第1偏り縁部3AX上を通り且つ円筒状胴部21の外面における縦方向と平行な仮想縦線Tを引いたときに、前記第2偏り縁部3BYが、前記仮想縦線T上に位置している又は仮想縦線Tよりも周方向他方側Yに位置している。
【0034】
円筒状胴部21においては、その外面における縦方向は、円筒状胴部21の中心軸Oと平行である。円筒状胴部以外の形状の筒状胴部のうち、直胴状の筒状胴部(任意の箇所で切断した水平断面が同一形状である筒状胴部)は、その外面における縦方向がその中心軸と平行であるが、円錐台筒状の筒状胴部においては、その外面における縦方向は、その中心軸と非平行である、即ち、その中心軸に対して傾斜している。
なお、図1は、円筒状胴部21に巻き付けられた厚肉ラベル3の第2偏り縁部3BYが、第1偏り縁部3AXを通る仮想縦線Tよりも周方向他方側Yに位置する場合を図示している。
【0035】
かかるラベル付き包装体1を円筒状胴部21の中心軸O方向から見たとき、図2に示すように、前記厚肉ラベル3の外面の輪郭は円形である。
つまり、円筒状胴部21の外面において任意の位置で仮想縦線Tを引いたとき、その周方向のいずれの位置においても仮想縦線Tが厚肉ラベル3に交差している。このように厚肉ラベル3が巻付けられているので、被着体2の破損を効果的に防止できる。
【0036】
前記隙間9の幅は特に限定されないが、それが余りに短いと、基材の伸びや巻きずれによりラベルの側部が重なるおそれがあり、一方、それが余りに長いと、円筒状胴部21の外面における厚肉ラベル3の占める面積が小さくなりすぎる。
このような点から、前記隙間9の幅は、3mm〜10mmが好ましく、3mm〜5mmがより好ましい。
なお、前記隙間9の幅は、巻き付けられた厚肉ラベル3の第1側縁3Aと第2側縁3Bとの間における周方向と平行な直線の長さをいう。前記巻き付けられた厚肉ラベル3の第1側縁3Aと第2側縁3Bとの間における周方向と平行な直線の長さが縦方向において異なる場合には、前記隙間9の幅は、そのうちの最小の長さを意味する。
【0037】
上記厚肉ラベル3は、隙間9を空けて巻付け可能に設計されているので、その巻付け時に基材の伸びや巻きずれを生じても、ラベルの側部が重なることなく円筒状胴部21に巻き付けることができる。
また、上記ラベル付き包装体1は、厚肉ラベル3が隙間9を空けて巻き付けられているので、その隙間9から透明な円筒状胴部21に収納された収納物を視認することもできる。
【0038】
上記ラベル付き包装体1は、円筒状胴部21の中心軸O方向から見たときの厚肉ラベル3の外面の輪郭が円形である。かかるラベル付き包装体1は、それを平坦面上に横に寝かした状態で、その円筒状胴部21の中心軸O周りに円滑に回転しながら移動し得る。
本発明のラベル付き包装体1によれば、例えば、生産ラインの搬送コンベアにおいてそれを横に寝かせた状態で円滑に転動させることができ、又、同様に、搬送コンベアにおいてその底面を下にした状態で中心軸O周りに円滑に回転させながら搬送できる。
さらに、上記ラベル付き包装体1は、厚肉ラベル3の上から円筒状胴部21を握ったときに、手の平やその他の物などが隙間9から露出する円筒状胴部21の外面に接触し難く、このため、手触り感も良好である。加えて、持ち手が円筒状胴部21の外面に接触し難いので、持ち手に被着体2の温度や硬さが伝わり難く、断熱性及び緩衝性を有する厚肉ラベル3を被着体2に巻き付けた効果を十分に発揮できる。
【0039】
<第1実施形態の変形例>
上記第1実施形態における厚肉ラベル3は、平面視平行四辺形であったが、本発明の厚肉ラベル3は、平行四辺形に限られず、下記変形例に示すように、本発明の意図する範囲で様々に変更できる。
【0040】
図6(a)の厚肉ラベル3は、横方向に延びる上下一対の上縁3C及び下縁3Dと、縦方向中途部において横方向第1側へ突出した凸形状を有する第1側縁3Aと、縦方向中途部において横方向第1側へ凹んだ凹形状を有する第2側縁3Bと、を有する。この第1側縁3A及び第2側縁3Bの形状は、同図(a)のように、横方向に平行移動したときに重なる、同一形状であることが好ましい。なお、この第1側縁3A及び第2側縁3Bは、略くの字状であるが、弧状などでもよい。
【0041】
この厚肉ラベル3は、上記関係1及び関係2を満たしている。かかる厚肉ラベル3を円筒状胴部21に巻き付けると、同図(b)に示すように、厚肉ラベル3の第1側縁3Aと第2側縁3Bの間に隙間9を有し、厚肉ラベル3の第2偏り縁部3BYが、第1偏り縁部3AX上を通る仮想縦線T上に位置している又は仮想縦線Tよりも周方向他方側に位置したラベル付き包装体1が得られる。かかるラベル付き包装体1は、同図(c)に示すように、円筒状胴部21の中心軸O方向から見たとき、厚肉ラベル3の外面の輪郭が円形である。
【0042】
図7(a)の厚肉ラベル3は、横方向に延びる上下一対の上縁3C及び下縁3Dと、縦方向中途部において横方向第1側へ突出した凸形状を複数有する第1側縁3Aと、縦方向中途部において横方向第1側へ凹んだ凹形状を複数有する第2側縁3Bと、を有する。この第1側縁3A及び第2側縁3Bの形状は、同図(a)のように、横方向に平行移動したときに重なる、同一形状であることが好ましい。なお、この第1側縁3A及び第2側縁3Bは、略鋸刃状であるが、略波状などでもよい。
【0043】
この厚肉ラベル3は、上記関係1及び関係2を満たしている。かかる厚肉ラベル3を円筒状胴部21に巻き付けると、同図(b)に示すように、厚肉ラベル3の第1側縁3Aと第2側縁3Bの間に隙間9を有し、厚肉ラベル3の第2偏り縁部3BYが、第1偏り縁部3AX上を通る仮想縦線T上に位置している又は仮想縦線Tよりも周方向他方側に位置したラベル付き包装体1が得られる。かかるラベル付き包装体1は、同図(c)に示すように、円筒状胴部21の中心軸O方向から見たとき、厚肉ラベル3の外面の輪郭が円形である。
【0044】
図8(a)の厚肉ラベル3は、横方向に延びる上下一対の上縁3C及び下縁3Dと、縦方向上方部において横方向第1側へ突出した凸形状を有する第1側縁3Aと、縦方向下方部において横方向第2側へ突出し且つ前記第1側縁3Aの凸形状の縦長さよりも短い凸形状を有する第2側縁3Bと、を有する。この第1側縁3A及び第2側縁3Bの形状は、回転対称形に形成することもできる。
【0045】
この厚肉ラベル3は、上記関係1及び関係2を満たしている。かかる厚肉ラベル3を円筒状胴部21に巻き付けると、同図(b)に示すように、厚肉ラベル3の第1側縁3Aと第2側縁3Bの間に隙間9を有し、厚肉ラベル3の第2偏り縁部3BYが、第1偏り縁部3AX上を通る仮想縦線T上に位置している又は仮想縦線Tよりも周方向他方側に位置したラベル付き包装体1が得られる。かかるラベル付き包装体1は、同図(c)に示すように、円筒状胴部21の中心軸O方向から見たとき、厚肉ラベル3の外面の輪郭が円形である。
【0046】
また、上記第1実施形態のラベル付き包装体1は、その隙間9の幅が縦方向において同じであるが、厚肉ラベル3の形状によっては、隙間9の幅が縦方向において異なるラベル付き包装体1を構成することもできる。
【0047】
<第2実施形態>
第2実施形態は、上記第1実施形態(変形例を含む)の厚肉ラベルの外面に薄肉フィルムが設けられているラベル付き包装体に関する。
以下、第2実施形態の厚肉ラベル及びラベル付き包装体について説明するが、上記第1実施形態と異なる部分について主として説明し、同様の構成についてはその説明を省略し、用語及び図番を援用することがある。
【0048】
図9及び図10に示すように、厚肉ラベル3の外面には、薄肉フィルム5が設けられている。
薄肉フィルム5は、厚肉ラベル3よりも薄いフィルムである。薄肉フィルム5の厚みは、例えば、10μm〜60μmであり、好ましくは10μm〜50mmである。10μm未満のフィルムは取扱性が悪く、一方、60μmを超えると、巻き付けられた厚肉ラベル3の外面に比較的大きな段差が生じ、ラベル付き包装体1が円滑に転動しなくなるおそれがある。
【0049】
薄肉フィルム5の材質は特に限定されず、合成樹脂フィルム、合成紙、紙などが挙げられる。薄肉フィルム5は、透明又は非透明でもよい。隙間9から収納物を視認できるようにするため、延出片51のうち少なくとも隙間9を覆う部分の全部又は一部が透明であるような薄肉フィルム5が好ましく、全体が透明である薄肉フィルム5(例えば、透明な合成樹脂フィルム)がより好ましい。
【0050】
薄肉フィルム5には、必要に応じて、外部から視認できるデザインが表示される。ラベル基材31にデザインが表示されている場合には、全体が透明な薄肉フィルム5を用いることによって、ラベル基材31のデザインを外部から透視できるので、当該薄肉フィルム5にデザインを表示しなくてもよい。
ただし、薄肉フィルム5にデザインを表示する場合には、隙間9を覆っている部分の全部又は一部は、収納物を視認できるようにするため、デザインを表示しないことが好ましい。
【0051】
薄肉フィルム5の内面には、粘着剤層53が設けられている。ラベル基材31の内面に設けられた粘着剤層32と区別するため、以下、ラベル基材31の粘着剤層32を第1粘着剤層といい、薄肉フィルム5の内面に設けられた粘着剤層53を第2粘着剤層という。
この第2粘着剤層53は、粘着剤を用いて形成できる。第2粘着剤層53の粘着剤は、第1粘着剤層32で例示したような粘着剤を用いることができる。
第2粘着剤層53を介して、薄肉フィルム5は、厚肉ラベル3の外面に接着されている。
【0052】
前記薄肉フィルム5の一方の側部は、厚肉ラベル3の第1側縁3Aから外側へ延出されている。従って、厚肉ラベル3の横方向第1側においては、薄肉フィルム5からなる延出片51が延出されている。この延出片51は、第2粘着剤層53を有する薄肉フィルム5であって、厚肉ラベル3の第1側縁3Aから横方向第1側からはみだしている部分である。
この延出片51の横方向の長さ(延出長さ)は、巻付け時に延出片51の端部を厚肉ラベル3の第2側縁3Bを越えて第2側部に接着するため、隙間9の幅よりも長い。
【0053】
なお、図示例では、延出片51を除く、薄肉フィルム5の残部は、厚肉ラベル3の外面全体を被覆する大きさに形成され且つその外面全体に接着されているが、前記薄肉フィルム5の残部(延出片51を除いた薄肉フィルム5)は、厚肉ラベル3の外面よりも小さくてもよい。その残部は、延出片51を厚肉ラベル3に連結する部分なので、延出片51が厚肉ラベル3から取れない程度に適宜設計できる。もっとも、厚肉ラベル3と薄肉フィルム5を積層し易いので、薄肉フィルム5の残部は、厚肉ラベル3の外面全体に接着されていることが好ましい。
【0054】
かかる薄肉フィルム5が設けられた厚肉ラベル3も、上記第1実施形態と同様に円筒状胴部21の周囲に巻き付けられ、巻き付けた厚肉ラベル3の第1側縁3Aと第2側縁3Bの間には隙間9が生じる。そして、前記第1側縁3Aから延出された延出片51を、その隙間9を覆うように巻付け、さらに、その延出片51の端部を、厚肉ラベル3の第2側縁3Bを越えて第2側部の外面に接着することにより、図11及び図12に示すようなラベル付き包装体1が得られる。
得られたラベル付き包装体1は、巻き付けられた厚肉ラベル3の隙間9を延出片51が覆い、この延出片51の端部は、巻き付けられた厚肉ラベル3の第2側部の外面に接着されている。
【0055】
本実施形態のラベル付き包装体1は、隙間9が延出片51で覆われているので、その隙間9から円筒状胴部21の外面が露出していない。このため、ラベル付き包装体1の搬送中に、前記隙間9に異物が当たっても、その異物は直接円筒状胴部21に当たらず、円筒状胴部21への衝撃を緩和できる。特に、図示したように、延出片51の、隙間9を覆っている部分(すなわち、隙間9に対応する延出片51の一部分)が、円筒状胴部21の外面から離反しているので(すなわち、円筒状胴部21の外面、延出片51、及び厚肉ラベル3の第1側縁3Aと第2側縁3Bによって囲われるスペース91が空洞であるので)、前記円筒状胴部21への衝撃を良好に緩和できる。
また、前記スペース91に空気層があるので、断熱効果にも優れている。
【0056】
また、本実施形態のラベル付き包装体1は、延出片51のうち、少なくとも隙間9を覆っている部分の全部又は一部が透明であるので、その部分を通じて、隙間9から透明な円筒状胴部21に収納された収納物を視認することもできる。
ところで、前記延出片51の縁は、薄肉フィルム5の厚み相当分だけ厚肉ラベル3の外面から突出しているが、この延出片51(薄肉フィルム5)の厚みは非常に薄い。このため、本実施形態のラベル付き包装体1も、それを平坦面上に横に寝かした状態で、その円筒状胴部21の中心軸O周りに円滑に回転しながら移動し得る。また、巻付けラベル3の外面に前記薄肉フィルム5の厚み相当分の段差が生じるが、このような比較的小さい段差は、円筒状胴部2を手で握ったときの感触を悪化させるものでもない。
【0057】
なお、前記ラベル付き包装体1においては、延出片51の内面全体に第2粘着剤層53が設けられているが、延出片51の内面のうち隙間9を覆っている部分を、円筒状胴部21に対して接着不能としてもよい。延出片51の、隙間9を覆っている部分を接着不能にすることにより、前記延出片51の、隙間9を覆っている部分が、円筒状胴部21の外面に不用意に接着することはない。このため、延出片51の、隙間9を覆っている部分を、円筒状胴部21から確実に離反させて前記空洞を確保できる。
延出片51の、隙間9を覆っている部分を、円筒状胴部21に対して接着不能とする方法としては、その部分に第2粘着剤層53を設けない方法、或いは、その部分にも第2粘着剤層53を設け且つその部分に対応した第2粘着剤層53の粘着力を隠蔽するためのマスキング層を設ける方法などが挙げられる。そのマスキング層の形成方法としては、例えば、隙間9に対応する第2粘着剤層53の面に、紫外線硬化型インキを塗工することなどが挙げられる。
【0058】
第2実施形態で説明した薄肉フィルム5は、平面視平行四辺形の厚肉ラベル3のみに適用されるわけではなく、上記第1実施形態の変形例で示したような厚肉ラベル3にも適用できる。
【符号の説明】
【0059】
1…ラベル付き包装体、2…被着体、21…被着体の円筒状胴部、3…厚肉ラベル、3A…厚肉ラベルの第1側縁、3B…厚肉ラベルの第2側縁、3AX…厚肉ラベルの第1偏り縁部、3BY…厚肉ラベルの第2偏り縁部、31…ラベル基材、32…粘着剤層、5…薄肉フィルム、51…延出片、9…隙間、O…円筒状胴部の中心軸、T…仮想縦線、X…円筒状胴部の周方向一方側、Y…円筒状胴部の周方向他方側
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状胴部を有する被着体と、第1側縁及び第2側縁を有し且つ前記第1側縁と第2側縁を向かい合わせるようにして前記被着体の筒状胴部の周囲に巻付けて接着された厚肉ラベルと、を備え、
前記厚肉ラベルが、前記第1側縁と第2側縁の間に隙間を空けて巻き付けられており、
前記厚肉ラベルの第1側縁が、前記筒状胴部の周方向一方側へ最も偏っている第1偏り縁部を有し、
前記厚肉シートの第2側縁が、前記筒状胴部の周方向他方側へ最も偏った第2偏り縁部を有し、
前記第1偏り縁部上を通り且つ前記筒状胴部の外面における縦方向と平行な仮想縦線を引いたときに、前記第2偏り縁部が、前記仮想縦線上に位置している又は前記仮想縦線よりも周方向他方側に位置している、ことを特徴とするラベル付き包装体。
【請求項2】
前記厚肉ラベルの外面に、厚肉ラベルよりも薄い薄肉フィルムが設けられており、
前記薄肉フィルムが、前記厚肉ラベルの第1側縁よりも周方向一方側へ延出された延出片を有し、
前記延出片が、前記隙間を覆っていると共に、その端部が前記厚肉ラベルの第2側縁を越えて厚肉ラベルの第2側部の外面に接着されている、請求項1に記載のラベル付き包装体。
【請求項3】
前記薄肉フィルムのうち、少なくとも前記隙間を覆っている部分の全部又は一部が透明である、請求項2に記載のラベル付き包装体。
【請求項4】
被着体に巻き付ける前の前記厚肉ラベルの平面視形状が、平行四辺形である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のラベル付き包装体。
【請求項5】
円筒状胴部を有する被着体と、第1側縁及び第2側縁を有し且つ前記第1側縁と第2側縁を向かい合わせるようにして前記被着体の円筒状胴部の周囲に巻付けて接着された厚肉ラベルと、を備え、
前記厚肉ラベルが、前記第1側縁と第2側縁の間に隙間を空けて巻き付けられており、
前記円筒状胴部の中心軸方向から見たときの前記厚肉ラベルの外面の輪郭が、円形である、ことを特徴とするラベル付き包装体。
【請求項1】
筒状胴部を有する被着体と、第1側縁及び第2側縁を有し且つ前記第1側縁と第2側縁を向かい合わせるようにして前記被着体の筒状胴部の周囲に巻付けて接着された厚肉ラベルと、を備え、
前記厚肉ラベルが、前記第1側縁と第2側縁の間に隙間を空けて巻き付けられており、
前記厚肉ラベルの第1側縁が、前記筒状胴部の周方向一方側へ最も偏っている第1偏り縁部を有し、
前記厚肉シートの第2側縁が、前記筒状胴部の周方向他方側へ最も偏った第2偏り縁部を有し、
前記第1偏り縁部上を通り且つ前記筒状胴部の外面における縦方向と平行な仮想縦線を引いたときに、前記第2偏り縁部が、前記仮想縦線上に位置している又は前記仮想縦線よりも周方向他方側に位置している、ことを特徴とするラベル付き包装体。
【請求項2】
前記厚肉ラベルの外面に、厚肉ラベルよりも薄い薄肉フィルムが設けられており、
前記薄肉フィルムが、前記厚肉ラベルの第1側縁よりも周方向一方側へ延出された延出片を有し、
前記延出片が、前記隙間を覆っていると共に、その端部が前記厚肉ラベルの第2側縁を越えて厚肉ラベルの第2側部の外面に接着されている、請求項1に記載のラベル付き包装体。
【請求項3】
前記薄肉フィルムのうち、少なくとも前記隙間を覆っている部分の全部又は一部が透明である、請求項2に記載のラベル付き包装体。
【請求項4】
被着体に巻き付ける前の前記厚肉ラベルの平面視形状が、平行四辺形である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のラベル付き包装体。
【請求項5】
円筒状胴部を有する被着体と、第1側縁及び第2側縁を有し且つ前記第1側縁と第2側縁を向かい合わせるようにして前記被着体の円筒状胴部の周囲に巻付けて接着された厚肉ラベルと、を備え、
前記厚肉ラベルが、前記第1側縁と第2側縁の間に隙間を空けて巻き付けられており、
前記円筒状胴部の中心軸方向から見たときの前記厚肉ラベルの外面の輪郭が、円形である、ことを特徴とするラベル付き包装体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−201403(P2012−201403A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69197(P2011−69197)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】
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