説明

ラベル剥離治具

【課題】ラベルの端部を確実に剥離し、かつ、作業性の高いラベル剥離治具を提供する。
【解決手段】ラベルを吸引して剥離し、剥離したラベルをワークに貼り付けるラベル剥離治具であって、ラベルのうち一つの端部を第1吸着面において吸引するための第1吸引孔と、第1吸引孔の吸引動作を制御するスイッチと、を備える第1吸引ブロックと、円弧状の第2吸着面を備え、端部以外のラベルの領域を吸引するための第2吸引孔を備える第2吸引ブロックと、第2吸着面が第1吸着面から突出するように第2吸引ブロックを押し出し可能なブロック押出機構と、を備えることを特徴とするラベル剥離治具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベルを吸引して剥離し、剥離したラベルをワークに貼り付けるラベル剥離治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、台紙上に並べて貼り付けられたラベルを吸引して台紙から剥がし、製品などの所定の位置にシールを貼り付ける装置が知られている。
【0003】
例えば、円弧状の吸着面でラベルを吸着し、吸着盤本体の回転に伴ってラベルを製品に貼り付ける貼付装置が知られている。この貼付装置では、円弧状の吸着面に複数の吸引孔が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−179386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ラベルを吸引して剥離する場合、ラベルのうち最初に剥離される部分である端部を剥離するためには大きな吸引力が必要となる。そのため、ラベルの端部を確実に剥離すべく、ラベルよりも面積が大きいラベル剥離治具が用いられる。
【0006】
しかしながら、このようなラベル剥離治具を用いると、作業者がラベル剥離治具を用いて手動で台紙からラベルを剥離し、手動でラベルをワークに貼り付けようとする場合に、ラベルの端部の位置を目視で確認しにくくなり、作業性が低下する。
【0007】
そこで、ラベルの端部を確実に剥離し、かつ、作業性の高いラベル剥離治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
開示のラベル剥離治具は、ラベルを吸引して剥離し、剥離したラベルをワークに貼り付けるラベル剥離治具であって、前記ラベルのうち一つの端部を第1吸着面において吸引するための第1吸引孔と、第1吸引孔の吸引動作を制御するスイッチと、を備える第1吸引ブロックと、円弧状の第2吸着面を備え、前記端部以外のラベルの領域を吸引するための第2吸引孔を備える第2吸引ブロックと、第2吸着面が第1吸着面から突出するように第2吸引ブロックを押し出し可能なブロック押出機構と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
開示のラベル剥離治具によれば、ラベルの端部を確実に剥離し、かつ、作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ラベル剥離装置の一例を示す全体構成図である。
【図2】ラベル剥離治具の一例を示す構成図である。
【図3】ラベル剥離治具の部分拡大図である。
【図4】ラベル剥離治具の底面図である。
【図5】ブロック押出機構がラベル把持用ブロックを押し出した状態のラベル剥離治具を示す構成図である。
【図6】作業者がラベル剥離治具を把持した状態を示す図である。
【図7】(a)〜(d)は、ラベル剥離治具がラベルを剥離する動作を示す図である。
【図8】(a)は、ブロック押出機構がラベル把持用ブロックを押し出す前の状態を示す図であり、(b)は、ブロック押出機構がラベル把持用ブロックを押し出している状態を示す図である。
【図9】(a)〜(e)は、ラベル貼付治具がラベルを貼り付ける動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
まず、図1を参照して、本実施形態のラベル剥離装置の全体構成を説明する。図1は、本実施形態のラベル剥離装置10の一例を示す全体構成図である。図1に示されるように、ラベル剥離装置10は、ラベル剥離治具20と、第1吸引装置60と、第2吸引装置62と、を備える。ラベル剥離治具20は、ラベルを吸引して剥離し、剥離したラベルをワークに貼り付ける。本実施形態のラベル剥離治具20は、作業者により把持されるものである。
【0012】
ラベル剥離治具20は、ハンドル30(第1吸引ブロック)と、ラベル把持用ブロック50(第2吸引ブロック)と、を備える。また、ハンドル30は、第1吸着面32と、スイッチ36と、突起部38と、ブロック押出機構40と、を備える。
また、ラベル把持用ブロック50は、第2吸着面52を備える。ラベル把持用ブロック50は、ハンドル30と独立して、ハンドル30の軸(図1では、直方体形状のハンドル30の中心の軸)と平行な方向に移動することができる。
【0013】
第1吸着面32には、後述する第1吸引孔34(図1には不図示)が形成されている。第1吸引孔34は第1吸引装置60と接続されており、第1吸引孔34に吸引力を生じさせることができる。
また、第2吸着面52には、後述する第2吸引孔54(図1には不図示)が形成されている。第2吸引孔54は第2吸引装置62と接続されており、第2吸引孔54に吸引力を生じさせることができる。
【0014】
ここで、図2〜図4を参照して、ラベル剥離治具20の構成を詳細に説明する。図2は、ラベル剥離治具20の一例を示す構成図である。図3は、図2に示されるラベル剥離治具20の部分拡大図である。図4は、ラベル剥離治具20の底面図である。
【0015】
図4に示されるように、第1吸着面32には、複数の第1吸引孔34が形成されている。また、第2吸着面52には、複数の第2吸引孔54が形成されている。第1吸引孔34の数や形状、第2吸引孔54の数や形状は特に限定されるものではないが、第1吸引孔34における吸引力が第2吸引孔54における吸引力よりも大きいことが好ましい。そのため、例えば、第1吸引孔34の面積は、第2吸引孔54の面積よりも大きいことが好ましい。
【0016】
また、第1吸着面32に形成された第1吸引孔34は、ラベルが最初に剥離される部分であるラベルの端部を吸引する。そのため、ラベル剥離時において、第1吸着面32がラベルの端部を吸引するように、ラベル剥離治具20は用いられる。
ここで、図3に示されるように、本実施形態のハンドル30は、第1吸引孔34に隣接した突起部38を備える。第1吸着面32を基準とする突起部38の長さは、ラベルLの厚さより短いことが好ましい。例えば、第1吸着面32を基準とする突起部38の長さは、0.1mm以下であることが好ましい。第1吸着面32を基準とする突起部38の長さをラベルLの厚さより短くすることにより、ラベル剥離治具20を用いて作業者がラベルを剥離する際、突起部38がラベルの端部に引っ掛かり、第1吸着面32がラベルの端部を吸引しやすく、かつ、ラベルを適切にラベル剥離治具20に位置決めしやすくなる。
【0017】
また、図2に示されるように、第2吸着面52は、断面形状が円弧状である。第2吸着面52に形成された第2吸引孔54は、第1吸着面32によって吸引されたラベルの端部以外の部分の領域を吸引する。上述したように、第1吸着面32がラベルの端部を吸引した状態で、円弧状の第2吸着面52に沿ってラベル剥離治具20を回転させることにより、ラベル全面を剥離することができる。
【0018】
また、スイッチ36は、第1吸引孔34の吸引動作を制御する。スイッチ36を押すと第1吸引孔34から第1吸引装置60までの吸引経路が遮断され、スイッチ36を開放すると第1吸引孔34から第1吸引装置60までの吸引経路が接続される。例えば、第1吸引孔34から第1吸引装置60までの吸引系路上に弁を設け、スイッチ36を押すことにより弁が閉じ、第1吸引孔34から第1吸引装置60までの吸引経路が遮断される構成とすることができる。
【0019】
次に、図2及び図5を参照して、ブロック押出機構40について説明する。図5は、ブロック押出機構40がラベル把持用ブロック50を押し出した状態のラベル剥離治具20を示す構成図である。
ブロック押出機構40は、ハンドル30の内部を介してラベル把持用ブロック50と接続されている。ブロック押出機構40は、例えば、ばね42を備えており、図2に示されるようにブロック押出機構40がラベル把持用ブロック50を押し出していない状態では、第1吸着面32と第2吸着面52とが連続的につながっている。
【0020】
これに対し、図5に示されるようにブロック押出機構40がラベル把持用ブロック50を押し出すと、ラベル把持用ブロック50がハンドル30と独立して、ハンドル30の軸と平行な方向(図5の下方向)に移動する。その結果、第2吸着面52が第1吸着面32から突出するように、第1吸着面32と第2吸着面52とは不連続となる。
【0021】
この際、スイッチ36を押すことにより、第1吸引孔34の吸引動作を停止しておくと、図5に示されるように、ラベルLは第2吸着面52に吸引された状態を維持するが、第1吸着面32から距離Dだけ離れる。ここで、距離Dは、例えば、5mmである。このように、ブロック押出機構40がラベル把持用ブロック50を押し出し、ラベルLの端部が第1吸着面32から離れることにより、作業者が目視でラベルLの端部の位置を容易に確認することができる。
【0022】
次に、図6を参照して、ラベル剥離治具20の操作方法について説明する。図6は、作業者がラベル剥離治具20を把持した状態の一例を示す図である。図6に示される例では、ブロック押出機構40は、作業者の親指により押される。また、スイッチ36は、作業者の人差し指により押される。このように、本実施形態のラベル剥離治具20によれば、作業者がブロック押出機構40やスイッチ36を片手で操作することができ、作業性が向上する。
【0023】
次に、図7を参照して、作業者がラベル剥離治具20を用いてラベルを剥離する動作について説明する。まず、図7(a)に示されるように、作業者がラベル剥離治具20をラベルLの上方に移動する。この際、第1吸着面32がラベルLの端部の上に位置するように、ラベル剥離治具20を移動させることが好ましい。
なお、図7(a)〜(d)において、第2吸引装置62は常に吸引動作をしており、第2吸着面52の第2吸引孔54に吸引力を生じさせている。また、図7(a)において、作業者がスイッチ36を押すことにより、第1吸引孔34からの吸引動作を停止する。なお、図7(a)の状態では、ラベルは台紙に貼り付けられている。
【0024】
次に、図7(b)に示されるように、作業者がラベル剥離治具20を下方に移動し、突起部38をラベルLの端部に引っ掛ける。この際、作業者はスイッチ36を解放し、第1吸引孔34から吸引力を生じさせる。上述したように、第1吸着面32を基準とする突起部38の長さをラベルLの厚さより短くしておくことにより、第1吸着面32がラベルLの端部を吸引しやすくなる。
また、第1吸引孔34における吸引力を第2吸引孔54における吸引力よりも大きくすることにより、第1吸着面32がラベルLの端部を確実に剥離することができる。
【0025】
次に、図7(c)に示されるように、作業者が円弧状の第2吸着面52に沿ってラベル剥離治具20を回転させ、ラベルLの全面を台紙から剥離する。この際も、作業者はスイッチ36は開放した状態を維持し、第1吸引孔34から吸引力を生じさせる。
最後に、図7(d)に示されるように、作業者がラベル剥離治具20を元の姿勢(ハンドル30の軸が鉛直方向となる姿勢)に戻し、スイッチ36を押して、第1吸引孔34からの吸引動作を停止する。
このようにして、作業者がラベル剥離治具20を用いて、ラベルLを剥離することができる。
【0026】
次に、図8を参照して、ラベル剥離治具20がラベルLを把持したまま、作業者がラベルLの端部の位置を目視で確認する動作について説明する。図8(a)、(b)において、第2吸引装置62は常に吸引動作をしており、第2吸着面52の第2吸引孔54に吸引力を生じさせている。また、図8(a)、(b)において、作業者がスイッチ36を押して、第1吸引孔34からの吸引動作を停止する。
まず、図8(a)に示されるように、作業者がラベル剥離治具20を元の姿勢に戻した状態とする。
【0027】
次に、図8(b)に示されるように、作業者がブロック押出機構40を押すことにより、ブロック押出機構40がラベル把持用ブロック50を押し出す。この際、第2吸引孔54には吸引力が生じたままであるため、ラベルLは第2吸着面52に把持される。一方、第1吸引孔34からの吸引動作は停止しているため、ラベルLは第1吸着面32から離れる。具体的には、ラベルLの前方の端部は第1吸着面32から距離Dだけ離れる。そのため、作業者が目視でラベルLの端部の位置を容易に確認することができる。
【0028】
次に、図9を参照して、作業者がラベル剥離治具20を用いてラベルをワークの所定の位置に貼り付ける動作について説明する。図9(a)〜(e)において、第2吸引装置62は常に吸引動作をしており、第2吸着面52の第2吸引孔54に吸引力を生じさせている。また、図9(a)〜(e)において、作業者がスイッチ36を押して、第1吸引孔34からの吸引動作を停止する。
【0029】
まず、図9(a)に示されるように、作業者がラベル剥離治具20をワークの上方に移動する。この際、作業者がブロック押出機構40を押すことにより、ブロック押出機構40がラベル把持用ブロック50を押し出し、ラベルLを第1吸着面32から離れさせる。そのため、作業者が目視によりラベルLの端部の位置を確認することができ、ラベルLを貼り付けるワークの所定の位置の上方に正確に作業者がラベル剥離治具20を移動することができる。
【0030】
次に、図9(b)に示されるように、作業者が目視によりラベルLの端部の位置を確認した状態で、ラベル剥離治具20を下方に移動し、ラベルLの端部をワークの所定の位置に貼り付ける。
その後、図9(c)に示されるように、作業者がラベル把持用ブロック50をワークに押し付け、ブロック押出機構40により押し出されていたラベル把持用ブロック50の押し出し量を次第に小さくする。
【0031】
次に、図9(d)に示されるように、作業者が円弧状の第2吸着面52に沿ってラベル剥離治具20を回転させ、ラベルLをワークに貼り付ける。なお、この際も第2吸引装置62は常に吸引動作をしており、第2吸着面52の第2吸引孔54に吸引力を生じさせているが、ラベルLがワークに粘着する力よりも第2吸引孔54に生じる吸引力を弱くしておくことにより、ラベル剥離治具20に把持されたラベルLがワークに貼り付けられる。
【0032】
最後に、図9(e)に示されるように、作業者がラベル剥離治具20を元の姿勢(ハンドル30の軸が鉛直方向となる姿勢)に戻す。
このようにして、作業者がラベル剥離治具20を用いて、ラベルLをワークの所定の位置に貼り付けることができる。
以後、図7を参照して説明したラベルを剥離する動作に戻ることにより、次のラベルを剥離することができる。
【0033】
以上説明したように、本実施形態のラベル剥離治具20は、第1吸引孔34における吸引力を第2吸引孔54における吸引力よりも大きくすることにより、第1吸着面32がラベルLの端部を確実に剥離することができる。また、スイッチ36により第1吸引孔34からの吸引動作を停止した状態で、ブロック押出機構40がラベル把持用ブロック50を押し出すことにより、作業者が目視によりラベルLの端部を確認することが可能となり、ラベル剥離治具20の作業性が向上する。
【0034】
以上、本発明のラベル剥離治具について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。また、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【0035】
(付記)
なお、本発明は、以下の付記に記載されるように構成することができる。
【0036】
(付記1)
ラベルを吸引して剥離し、剥離したラベルをワークに貼り付けるラベル剥離治具であって、
前記ラベルのうち一つの端部を第1吸着面において吸引するための第1吸引孔と、第1吸引孔の吸引動作を制御するスイッチと、を備える第1吸引ブロックと、
円弧状の第2吸着面を備え、前記端部以外のラベルの領域を吸引するための第2吸引孔を備える第2吸引ブロックと、
第2吸着面が第1吸着面から突出するように第2吸引ブロックを押し出し可能なブロック押出機構と、
を備えることを特徴とするラベル剥離治具。
【0037】
(付記2)
第1吸引ブロックは、第1吸引孔に隣接した突起部を備える、付記1に記載のラベル剥離治具。
【0038】
(付記3)
第1吸着面を基準とする前記突起部の長さは、0.1mm以下である、付記2に記載のラベル剥離治具。
【0039】
(付記4)
第1吸引孔の吸引力は、第2吸引孔の吸引力よりも大きい、付記1乃至3のいずれかに記載のラベル剥離治具。
【0040】
(付記5)
第1吸引孔の面積は、第2吸引孔の面積より大きい、付記4に記載のラベル剥離治具。
【符号の説明】
【0041】
10 ラベル剥離装置
20 ラベル剥離治具
30 ハンドル
32 第1吸着面
34 第1吸引孔
36 スイッチ
38 突起部
40 ブロック押出機構
42 ばね
50 ラベル把持用ブロック
52 第2吸着面
54 第2吸引孔
60 第1吸引装置
62 第2吸引装置
L ラベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベルを吸引して剥離し、剥離したラベルをワークに貼り付けるラベル剥離治具であって、
前記ラベルのうち一つの端部を第1吸着面において吸引するための第1吸引孔と、第1吸引孔の吸引動作を制御するスイッチと、を備える第1吸引ブロックと、
円弧状の第2吸着面を備え、前記端部以外のラベルの領域を吸引するための第2吸引孔を備える第2吸引ブロックと、
第2吸着面が第1吸着面から突出するように第2吸引ブロックを押し出し可能なブロック押出機構と、
を備えることを特徴とするラベル剥離治具。
【請求項2】
第1吸引ブロックは、第1吸引孔に隣接した突起部を備える、請求項1に記載のラベル剥離治具。
【請求項3】
第1吸引孔の吸引力は、第2吸引孔の吸引力よりも大きい、請求項1又は2に記載のラベル剥離治具。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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