ラベル印刷システム
【課題】一部のラベルに対して印刷済のラベル用紙を、ユーザの手を煩わせずに再利用できるようにする。
【解決手段】用紙情報DB30は、各ラベル用紙の識別情報に対応づけて当該ラベル用紙上の複数のラベルのうち未印刷のラベルを特定するための未印刷ラベル情報を記憶している。用紙情報検出部12は、印刷対象のラベル用紙から用紙IDを検出する。印刷制御部20は、検出された用紙IDに対応する未印刷ラベル情報を用紙情報DB30から取得し、取得した未印刷ラベル情報に基づいて、当該ラベル用紙上の未印刷のラベルを特定し、特定した未印刷のラベルに対してラベル印刷を行うよう印刷装置10を制御する。未印刷ラベル情報更新部40は、ラベル印刷に応じて、用紙情報DB30内の当該ラベル用紙未印刷ラベル情報を更新する。
【解決手段】用紙情報DB30は、各ラベル用紙の識別情報に対応づけて当該ラベル用紙上の複数のラベルのうち未印刷のラベルを特定するための未印刷ラベル情報を記憶している。用紙情報検出部12は、印刷対象のラベル用紙から用紙IDを検出する。印刷制御部20は、検出された用紙IDに対応する未印刷ラベル情報を用紙情報DB30から取得し、取得した未印刷ラベル情報に基づいて、当該ラベル用紙上の未印刷のラベルを特定し、特定した未印刷のラベルに対してラベル印刷を行うよう印刷装置10を制御する。未印刷ラベル情報更新部40は、ラベル印刷に応じて、用紙情報DB30内の当該ラベル用紙未印刷ラベル情報を更新する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベル印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ラベル印刷の分野では、多数のラベルを含んだロール紙を用いて大量にラベル印刷を行う装置が知られている。また、家庭用等の用途で、カット紙のシートに複数のラベルが形成されたラベル用紙が市販されており、そのようなカット紙ラベル用紙に対する印刷設定を行うパーソナルコンピュータ用のアプリケーションも知られている。
【0003】
印刷しようとするラベルの数がカット紙ラベル用紙に設けられているラベルの数の整数倍と一致しない場合、印刷実行後に、途中まで使用済みのラベル用紙が残ってしまうことになる。
【0004】
特許文献1には、用紙に付されたマーク(例えばバーコード)により、通常用紙及び分割シール等の用紙種類を識別し、識別結果に応じた印刷を行う装置が開示されている。
【0005】
特許文献2には、位置決めマークと記録開始位置とが異なる複数種類のシール用記録用紙に対して、簡単にプリントを行うための方式が開示されている。この方式では、記録用紙に位置決めマークを設ける。プリンタは、位置決めセンサとサーマルヘッドとの距離と、位置決めマークと記録開始位置との距離とに基づき、設定値を求める。パルスモータにより搬送ローラ対を回転させ、記録用紙を送る。この送り中に位置決めセンサで位置決めマークの先端エッジを検出する。この先端エッジを検出したのちのパルスモータの駆動パルス数をカウントし、このカウント値が設定値に達したときに、プリントを開始する。記録用紙を変更する場合には、設定値を隠しコマンドによる入力操作や、パスワード確認による入力操作で、変更する。設定値がみだりに変更されることがなく、異なる記録用紙によるプリントが排除される。この方式は、用紙に既に印刷されている画像や切れ込みなどと、これから印刷する画像との位置を揃えるためのものである。
【0006】
特許文献3には、用紙に適合した書式の選択を容易にし、且つ、書式選択のミスによる印刷ミスの発生を解消するためのプリンタが開示されている。このプリンタは、複数種類の用紙に文字や画像を印刷するものであり、用紙に付された種類識別マークを検出する検出手段と、用紙の種類毎の書式情報を記憶している記憶手段と、上記記憶手段に記憶されている書式情報のうち検出手段より得られた用紙種類情報に応じた書式情報を用いて用紙に応じた適切な書式で印刷を行うよう制御する制御手段とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−313143号公報
【特許文献2】特開2000−335041号公報
【特許文献3】特開2001−063150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、一部のラベルに対して印刷済のラベル用紙を、ユーザの手を煩わせずに再利用できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、印刷装置と、前記印刷装置に投入された印刷対象のラベル用紙から、当該ラベル用紙の識別情報を検出する識別情報検出手段と、各ラベル用紙の識別情報に対応づけて当該ラベル用紙上の複数のラベルのうち未印刷のラベルを特定するための未印刷ラベル情報を記憶する用紙情報記憶装置から、前記識別情報検出手段が検出した前記印刷対象のラベル用紙の識別情報に対応する未印刷ラベル情報を取得し、取得した未印刷ラベル情報に基づいて、当該ラベル用紙上の未印刷のラベルを特定し、特定した未印刷のラベルに対してラベル印刷を行うよう前記印刷装置を制御する印刷制御手段と、前記印刷制御手段の制御に応じて行われた前記ラベル印刷に応じて、前記用紙情報記憶装置内の前記印刷対象のラベル用紙の識別情報に対応づけられた前記未印刷ラベル情報を更新する更新手段と、を備えるラベル印刷システムである。
【0010】
請求項2に係る発明は、前記ラベル用紙の識別情報は、前記印刷装置の用紙搬送方向に沿った当該ラベル用紙の両端部に記録されており、前記識別情報検出手段は、前記印刷装置内の、ラベル用紙に対して画像を印刷する印刷機構よりも前記用紙搬送方向について上流側に配置されており、前記印刷対象のラベル用紙が搬送されて前記印刷機構に到達するまでに当該ラベル用紙の識別情報を検出し、前記印刷制御手段は、前記印刷対象のラベル用紙が前記印刷機構に達するまでに前記識別情報検出手段が検出した前記識別情報に対応する未印刷ラベル情報を前記用紙情報記憶装置から取得し、当該未印刷ラベル情報に基づき特定した当該ラベル用紙上の未印刷のラベルに対してラベル印刷を行うよう前記印刷装置を制御する、ことを特徴とする請求項1に記載のラベル印刷システムである。
【0011】
請求項3に係る発明は、前記ラベル用紙の前記用紙搬送方向に沿った少なくとも一方の端部には、当該ラベル用紙の前記用紙搬送方向に沿った基準方向を示す基準方向情報が記録されており、前記用紙情報記憶装置に記憶される未印刷ラベル情報は、ラベル用紙の前記基準方向を前記用紙搬送方向に合わせてラベル印刷を行う場合における当該ラベル用紙上の未印刷のラベルの位置を特定する情報であり、前記識別情報検出手段は、前記印刷対象のラベル用紙から前記識別情報と共に前記基準方向情報の検出を行い、前記印刷制御手段は、前記基準方向情報の検出の結果により当該ラベル用紙の前記基準方向と前記用紙搬送方向とが一致していないことが判明した場合、前記基準方向と前記用紙搬送方向との関係に応じて前記未印刷ラベル情報を解釈することで当該ラベル用紙上の未印刷のラベルを特定する、ことを特徴とする請求項2に記載のラベル印刷システムである。
【0012】
請求項4に係る発明は、前記印刷制御手段は、前記基準方向情報の検出の結果により当該ラベル用紙の前記基準方向と前記用紙搬送方向とが一致していないことが判明した場合、前記未印刷のラベルに印刷すべき画像を、前記基準方向と前記用紙搬送方向との関係に応じて回転させてから、前記印刷装置に供給する、ことを特徴とする請求項3に記載のラベル印刷システムである。
【0013】
請求項5に係る発明は、前記用紙情報記憶装置は、更に、前記各ラベル用紙の識別情報に対応づけて、当該ラベル用紙のサイズと当該ラベル用紙上の縦横のラベル枚数との組合せにより規定されるラベル用紙種別を、記憶しており、前記未印刷ラベル情報は、当該ラベル用紙上の印刷済のラベルの枚数又は未印刷のラベルの枚数を表す情報であり、前記印刷制御手段は、前記用紙情報記憶装置から、前記識別情報検出手段が検出した前記印刷対象のラベル用紙の識別情報に対応する未印刷ラベル情報とラベル用紙種別を取得し、取得した未印刷ラベル情報及びラベル用紙種別と、前記識別情報検出手段が検出した前記基準方向情報から求められる当該ラベル用紙の前記用紙搬送方向に対する向きと、に基づき当該ラベル用紙上の未印刷のラベルを特定する、ことを特徴とする請求項3又は4のいずれか1項に記載のラベル印刷システムである。
【0014】
請求項6に係る発明は、前記印刷装置により印刷されたラベル用紙に対して後処理を施す後処理装置、を更に備え、前記印刷制御手段は、上位装置から受け取ったラベル印刷指示に含まれる印刷対象のラベルの枚数の情報に従い、前記印刷対象のラベル用紙の識別情報に対応する未印刷ラベル情報から特定される当該ラベル用紙上の未印刷のラベルのうち、当該ラベル印刷指示に応じて印刷するラベルを決定し、決定したラベルに対して印刷を行うよう前記印刷装置を制御すると共に、当該ラベル印刷指示に応じて印刷したラベルを後処理対象として特定する後処理対象ラベル情報を前記後処理装置に伝達するための処理を行い、前記後処理装置は、前記印刷装置により印刷されたラベル用紙のうち、前記後処理対象ラベル情報により特定される後処理対象のラベルに対して選択的に後処理を施す、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のラベル印刷システムである。
【0015】
請求項7に係る発明は、前記後処理装置は、前記印刷装置により印刷されたラベル用紙に対して施すべき後処理が、前記後処理ラベル対象情報により特定される後処理対象のラベルの他にその近傍の未印刷のラベルを含む範囲に対して一括して施される種類のものである場合、当該範囲に対して後処理を施すと共に、前記用紙情報記憶装置内の前記ラベル用紙の識別情報に対応づけられた前記未印刷ラベル情報を、当該後処理が施された未印刷のラベルも印刷済と取り扱われるよう更新する、ことを特徴とする請求項6に記載のラベル印刷システムである。
【0016】
請求項8に係る発明は、印刷装置と、前記印刷装置に投入された印刷対象のラベル用紙から、当該ラベル用紙上の複数のラベルのうち未印刷のラベルを特定するための未印刷ラベル情報を検出する未印刷ラベル情報検出手段と、前記未印刷ラベル情報検出手段が検出した前記未印刷ラベル情報に基づいて、当該ラベル用紙上の未印刷のラベルを特定し、特定した未印刷のラベルに対してラベル印刷を行うよう前記印刷装置を制御する印刷制御手段と、前記印刷制御手段の制御に応じて行われた前記ラベル印刷に応じて、前記印刷対象のラベル用紙に記録された前記未印刷ラベル情報を更新する更新手段と、を備えるラベル印刷システムである。
【0017】
請求項9に係る発明は、前記未印刷ラベル情報は、前記印刷装置の用紙搬送方向に沿った当該ラベル用紙の両端部に記録されており、前記未印刷ラベル情報検出手段は、前記印刷装置内の、ラベル用紙に対して画像を印刷する印刷機構よりも前記用紙搬送方向について上流側に配置されており、前記印刷対象のラベル用紙が搬送されて前記印刷機構に到達するまでに当該ラベル用紙の前記未印刷ラベル情報を検出し、前記印刷制御手段は、前記印刷対象のラベル用紙が前記印刷機構に達するまでに前記未印刷ラベル情報検出手段が検出した前記未印刷ラベル情報に基づき当該ラベル用紙上の未印刷のラベルを特定し、特定した未印刷のラベルに対してラベル印刷を行うよう前記印刷装置を制御する、ことを特徴とする請求項8に記載のラベル印刷システムである。
【0018】
請求項10に係る発明は、前記ラベル用紙の前記用紙搬送方向に沿った少なくとも一方の端部には、当該ラベル用紙の前記用紙搬送方向に沿った基準方向を示す基準方向情報が記録されており、前記ラベル用紙に記録される前記未印刷ラベル情報は、当該ラベル用紙の前記基準方向を前記用紙搬送方向に合わせてラベル印刷を行う場合における当該ラベル用紙上の未印刷のラベルの位置を特定する情報であり、前記未印刷ラベル情報検出手段は、前記印刷対象のラベル用紙から前記未印刷ラベル情報と共に前記基準方向情報の検出を行い、前記印刷制御手段は、前記基準方向情報の検出の結果により当該ラベル用紙の前記基準方向と前記用紙搬送方向とが一致していないことが判明した場合、前記基準方向と前記用紙搬送方向との関係に応じて前記未印刷ラベル情報を解釈することで当該ラベル用紙上の未印刷のラベルを特定する、ことを特徴とする請求項9に記載のラベル印刷システムである。
【0019】
請求項11に係る発明は、前記印刷制御手段は、前記基準方向情報の検出の結果により当該ラベル用紙の前記基準方向と前記用紙搬送方向とが一致していないことが判明した場合、前記未印刷のラベルに印刷すべき画像を、前記基準方向と前記用紙搬送方向との関係に応じて回転させてから、前記印刷装置に供給する、ことを特徴とする請求項10に記載のラベル印刷システムである。
【0020】
請求項12に係る発明は、前記ラベル用紙には、当該ラベル用紙のサイズと当該ラベル用紙上の縦横のラベル枚数との組合せにより規定されるラベル用紙種別が記録されており、前記未印刷ラベル情報は、当該ラベル用紙上の印刷済のラベルの枚数又は未印刷のラベルの枚数を表す情報であり、前記未印刷ラベル情報検出手段は、前記印刷対象のラベル用紙から前記未印刷ラベル情報及び前記基準方向情報と共に前記ラベル用紙種別を検出し、前記印刷制御手段は、前記未印刷ラベル情報検出手段が検出した前記印刷対象のラベル用紙の前記未印刷ラベル情報と前記ラベル用紙種別と、前記未印刷ラベル情報検出手段が検出した前記基準方向情報から求められる当該ラベル用紙の前記用紙搬送方向に対する向きと、に基づき当該ラベル用紙上の未印刷のラベルを特定する、ことを特徴とする請求項10又は11のいずれか1項に記載のラベル印刷システムである。
【0021】
請求項13に係る発明は、前記印刷装置により印刷されたラベル用紙に対して後処理を施す後処理装置、を更に備え、前記印刷制御手段は、上位装置から受け取ったラベル印刷指示に含まれる印刷対象のラベルの枚数の情報に従い、前記未印刷ラベル情報検出手段が検出した前記未印刷ラベル情報から特定される当該ラベル用紙上の未印刷のラベルのうち、当該ラベル印刷指示に応じて印刷するラベルを決定し、決定したラベルに対して印刷を行うよう前記印刷装置を制御し、前記更新手段は、前記印刷制御手段の制御に応じて前記印刷対象のラベル用紙に対してラベル印刷が行われる都度、当該ラベル印刷おいて印刷されたラベルの枚数を表す印刷枚数情報を、当該ラベル用紙に既に記録されている過去の当該ラベル用紙に対するラベル印刷時の印刷枚数情報群の次に記録し、ここで前記未印刷ラベル情報は当該ラベル用紙上に記録された印刷枚数情報の集合であり、前記未印刷ラベル情報検出手段は、前記印刷対象のラベル用紙に記録された各印刷枚数情報を検出し、前記印刷制御手段は、前記未印刷ラベル情報検出手段が前記印刷対象のラベル用紙から検出した各印刷枚数情報が表す枚数の総和を当該ラベル用紙上で印刷済のラベルの総枚数と解釈し、当該ラベル用紙上の前記基準方向についての先頭から当該総枚数のラベルを差し引いた残りを未印刷のラベルと判定し、前記後処理装置は、前記印刷装置により印刷されたラベル用紙に記録されている各印刷枚数情報を検出し、当該ラベル用紙の前記基準方向についての先頭から見て、前記検出された各印刷枚数情報のうちの末尾の印刷枚数情報を除いた残りの印刷枚数情報が表す枚数の総枚数分のラベルの次のラベルを後処理対象の最初のラベルとし、当該最初のラベルから前記末尾の印刷枚数情報が表す枚数分のラベルを後処理対象のラベルとし、それら後処理対象のラベルに対して選択的に後処理を施す、ことを特徴とする請求項8〜12のいずれか1項に記載のラベル印刷システムである。
【0022】
請求項14に係る発明は、前記後処理装置は、前記印刷装置により印刷されたラベル用紙に対して施すべき後処理が、前記後処理ラベル対象情報により特定される後処理対象のラベルの他にその近傍の未印刷のラベルを含む範囲に対して一括して施される種類のものである場合、当該範囲に対して後処理を施すと共に、当該ラベル用紙に対して当該後処理を施した未印刷のラベルの枚数を、印刷済枚数として、当該ラベル用紙に既に記録されている印刷枚数情報群の次に追記する、ことを特徴とする請求項13に記載のラベル印刷システムである。
【発明の効果】
【0023】
請求項1又は請求項8に係る発明によれば、一部のラベルに対して印刷済のラベル用紙を、ユーザの手を煩わせずに再利用できる。
【0024】
請求項2又は請求項9に係る発明によれば、印刷装置内でラベル用紙がどちらの向きに搬送される場合でも、用紙搬送方向に沿った先頭側の識別情報又は未印刷ラベル情報を素早く検出することができる。
【0025】
請求項3又は請求項10に係る発明によれば、印刷装置内でラベル用紙が搬送される向きが正しい向きと異なる場合でも、未印刷のラベルの場所を正しく特定することができる。
【0026】
請求項4又は請求項11に係る発明によれば、ラベル用紙の向きが想定された正しい向きでない場合でも、矩形でないラベルに対し、印刷すべき画像を正しい向きで印刷することができる。
【0027】
請求項5又は請求項12に係る発明によれば、ラベル用紙上の未印刷のラベルの具体的な位置を表す情報よりも情報量の少ない情報で未印刷ラベル情報を表現することができる。
【0028】
請求項6又は請求項13に係る発明によれば、印刷装置で印刷されたラベルに対して選択的に後処理を施すことができる。
【0029】
請求項7又は請求項14に係る発明によれば、未印刷のラベルに対しても後処理が行われてしまう場合に、後処理が施された未印刷のラベルを未印刷ラベル情報に反映させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施形態のシステム構成の一例を示す図である。
【図2】印刷装置の内部構成の一例を模式的に示す図である。
【図3】用紙情報DB内に登録されたデータ内容の一例を示す図である。
【図4】ラベル用紙の一例を示す図である。
【図5】図4のラベル用紙上の一部のラベルが使用された状態を示す図である。
【図6】実施形態のシステムの処理手順の一例を示す図である。
【図7】ラベル用紙の別の一例を示す図である。
【図8】ラベル用紙の向きに応じた制御を行うシステム例の処理手順の一例を示す図である。
【図9】ラベル形状に極性があるラベル用紙の一例を示す図である。
【図10】ラベル用紙の更に別の一例を示す図である。
【図11】システムがラベル用紙に用紙IDを付与する場合の処理手順の一例を示す図である。
【図12】後処理装置を備えるシステム構成の一例を示す図である。
【図13】図12のシステムの用紙情報DB内に登録されたデータ内容の一例を示す図である。
【図14】一部のラベルが使用済みのラベル用紙上の未使用のラベルが何枚か印刷された状態を示す図である。
【図15】図12のシステムの印刷装置側の処理手順の一例を示す図である。
【図16】図12のシステムの後処理装置側の処理手順の一例を示す図である。
【図17】ラベルよりも広い範囲を単位とした後処理の範囲の例を説明するための図である。
【図18】図12のシステムの印刷装置側の処理手順の別の一例を示す図である。
【図19】図12のシステムの後処理装置側の処理手順の別の一例を示す図である。
【図20】未印刷ラベル情報や用紙種別の情報が印刷されたラベル用紙の一例を示す図である。
【図21】図20のラベル用紙を用いるシステムの一例を示す図である。
【図22】図20のラベル用紙を用いるシステムにおける印刷装置側の処理手順の一例を示す図である。
【図23】図20のラベル用紙を用いるシステムにおける後処理装置側の処理手順の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下では、カット紙(枚葉紙)形態のラベル用紙に対するラベル印刷を行うラベル印刷システムについて説明する。個々のラベル用紙上には、複数の粘着式のラベルが行列状に整列配置されている。本実施形態のシステムは、そのようなラベル用紙上の各ラベルに対して、印刷依頼元のコンピュータからの印刷指示に応じてラベル内容を印刷する。
【0032】
本発明の一つの実施形態では、個々のラベル用紙に対して用紙IDと呼ぶ固有の識別情報を付与し、ラベル用紙ごとに、当該ラベル用紙の用紙IDに対応づけて、当該ラベル用紙上のラベルのうち未印刷のラベルを特定する情報である未印刷ラベル情報を記録する。そして、一部使用済みのラベル用紙の再利用時、すなわち当該ラベル用紙上に残った未印刷のラベルに対してラベル内容を印刷する際には、そのラベル用紙の用紙IDに対応する未印刷ラベル情報から当該ラベル用紙上の未印刷のラベルを特定し、特定した未印刷のラベルに対して印刷を行う。
【0033】
ラベル用紙に対応する未印刷ラベル情報は、当該ラベル用紙上の複数のラベルのうち印刷されていない(言い換えれば、使用されていない)ラベルが特定できる情報であれば、どのような情報でもよい。
【0034】
未印刷ラベル情報の例としては、例えば、当該ラベル用紙上のラベルのうち印刷済のラベルの枚数がある。ラベル用紙に対して毎回決まった方向からラベル印刷を行う場合、このような印刷済のラベル枚数が分かれば、そのラベル用紙の先頭から印刷済の枚数のラベルを除いた残りのラベル群が、未印刷のラベル群であると特定される。同様の考え方で、当該ラベル用紙上で未印刷のラベルの枚数を未印刷ラベル情報としてもよい。また、用紙サイズ及びラベル配列が異なる複数の種別のラベル用紙を取り扱う場合には、ラベル用紙の種別と、当該ラベル用紙上の印刷済又は未印刷のラベル数を示す未印刷ラベル情報とを組み合わせることで、当該ラベル用紙上の未印刷のラベル群を特定してもよい。例えば、A4サイズで5行2列のラベル配列(図5参照)である用紙種別のラベル用紙のうち、3枚が印刷済である場合、A4サイズで5行2列という情報から当該ラベル用紙上での個々のラベルの位置が特定され、そのうち基準方向に沿って先頭から3つの印刷済ラベルを除いた残りの7枚のラベルが、未印刷のラベル群として特定される。
【0035】
もちろん、以上は未印刷ラベル情報の一例に過ぎない。この他にも、例えば、ラベル用紙上のラベル配列上での印刷済又は未印刷のラベルを示す情報を、未印刷ラベル情報として用いてもよい。例えば、ラベル用紙上にn行m列(m、nは正の整数)の行列状に配列されたラベルのうちの、印刷済(又は未印刷)の各ラベルの行列上での位置を示す情報を、未印刷ラベル情報とするなどである。もちろん、この場合も、用紙サイズ又はラベル配列(行列)の少なくとも一方が異なる複数の用紙種別のラベル用紙を用いる場合は、ラベル用紙の用紙種別と、その未印刷ラベル情報との組合せにより、未印刷のラベル群の位置が特定される。
【0036】
以上のように、本実施形態のラベル印刷システムは、ラベル用紙が保持する用紙IDに未印刷ラベル情報をリンクして管理することで、部分的に使用済みのラベル用紙を再利用する場合に、未印刷ラベル情報から特定される未印刷のラベルに対してラベル印刷を行う。
【0037】
図1は、本実施形態のラベル印刷システムの一実施形態の概略構成を示す図である。図示のシステムは、印刷装置10、印刷制御部20、用紙情報DB(データベース)30、及び未印刷ラベル情報更新部40を有する。このうち印刷制御部20及び未印刷ラベル情報更新部40は、印刷装置10の筐体内に内蔵されていてもよいし、印刷装置10に接続された印刷サーバ等に内蔵されていてもよい。用紙情報DB30は、印刷装置10又は印刷サーバに内蔵されていてもよいし、印刷制御部20からネットワークを介してアクセス可能なリモートの位置に設置されていてもよい。
【0038】
印刷装置10は、ラベル用紙上の各ラベルに対してラベル情報を印刷するための装置である。印刷装置10は、ラベル用紙から用紙ID等の用紙情報を検出する用紙情報検出部12を有する。
【0039】
図2に印刷装置10の内部構成の一例を模式的に示す。ここで、図2の上下方向は、印刷装置10内を用紙搬送方向(図中矢印Aで示す)に沿って搬送されるラベル用紙100の紙面に垂直な方向である。
【0040】
この例では、印刷装置10内には、用紙に対してインク等の色材により印刷を行うための印刷機構14が設けられると共に、用紙搬送方向Aで示すに沿ってその印刷機構14の上流側に、用紙情報検出部12が設けられる。用紙情報検出部12は、ラベル用紙100が用紙ID等の用紙情報を保持する形態に応じた方法で、用紙情報の検出を行う。例えば、用紙情報がバーコードなどの画像の形でラベル用紙100に印刷されている場合、用紙情報検出部12は、バーコードリーダーのように、光学的な機構により用紙情報を読み取ってその情報を解釈する。また、孔や切り欠きなどのようにラベル用紙100に物理的な変形をもたらすことで用紙情報を表現する方式の場合は、用紙情報検出部12は、そのような変形を光学的に読み取ることで、用紙情報を検出する。また、用紙情報がラベル用紙100に埋め込まれた無線タグに記憶されている場合は、用紙情報検出部12は、無線タグの規格に従って無線により無線タグから用紙情報を読み取る。また、ラベル用紙100の紙指紋を用いて、当該ラベル用紙を識別してもよい。紙指紋は、絡まり合う紙の繊維が構成する微細なランダムパターンであり、用紙ごとにパターンが異なる。この場合、用紙情報検出部12は、ラベル用紙100の特定の位置の紙指紋を読み取り、その紙指紋を当該用紙のIDとして用いる。
【0041】
この例では、用紙情報検出部12が印刷機構14よりも上流に設けられているので、搬送されるラベル用紙100からまず用紙ID等の用紙情報が読み取られ、その後その下流の印刷機構14によりそのラベル用紙100に印刷が行われることになる。したがって、一つの例では、ラベル用紙100に対するラベル印刷が、そのラベル用紙100から読み取られた用紙情報に基づいて制御される。
【0042】
再び図1の説明に戻ると、印刷制御部20は、印刷装置10の動作を制御する装置である。印刷制御部20は、例えばパーソナルコンピュータなどのコンピュータから印刷データを受け取り、その印刷データに従って印刷装置10を制御することにより、ラベル用紙100上の各ラベル120に対してラベル印刷を行う。ここで、印刷制御部20は、用紙情報検出部12がラベル用紙100から読み取った用紙ID等の用紙情報に基づいて、当該ラベル用紙100上での印刷対象のラベルを特定するなどの処理を行う。この印刷対象ラベルの特定にあたって、印刷制御部20は、用紙情報DB30を参照する。
【0043】
用紙情報DB30は、個々のラベル用紙100について、用紙ID等の用紙情報を記憶するデータベースである。用紙情報DB30内に記憶されるデータの一例を、図3に示す。
【0044】
図3の例では、用紙情報DB30には、ラベル用紙100ごとに情報エントリが設けられており、その情報エントリには、そのラベル用紙100の用紙ID、用紙種別情報、及び未印刷ラベル情報が含まれている。
【0045】
用紙IDは、個々のラベル用紙100を一意に特定するものであればどのようなものを用いてもよい。図3の例では、ラベル用紙100ごとに異なる通し番号を用紙IDとしている。
【0046】
用紙種別情報は、当該ラベル用紙100の種別を表す情報である。ラベル用紙の種別は、例えば、当該ラベル用紙のサイズと、当該ラベル用紙上でのラベル120の配列パターンとの組合せで規定される。図示例では、用紙種別情報「001」は、A4サイズでラベル配列パターンが2列5行(合計10枚)のラベル用紙種別(例えば図4に例示するもの)を、「002」はA4サイズでラベル配列が3列4行のラベル用紙種別を示す。なお、この例で用紙サイズとラベルの配列パターンの組合せを用紙種別として用いるのは、その組合せにより、ラベル用紙上の個々のラベルの位置が決まるからである。なお、用紙種別情報は、用紙サイズトラベル配列の組合せに限られるものではなく、ラベル用紙上の個々のラベル用紙の位置を規定する情報であれば、どのような内容の情報であってもよい。
【0047】
また、図3の例では、未印刷ラベル情報として、当該ラベル用紙上のラベルのうち既に使用済み(すなわち印刷済)のラベルの枚数を用いている。これは、ラベル用紙上の各ラベルに対して予め定められた順序で印刷を行う場合(例えばラベル用紙の先頭方向が決まっており、その先頭方向のラベルから順に印刷するなど)の、未印刷ラベル情報の一例である。例えば未印刷ラベル情報がn(nは0以上の整数)である場合、ラベル用紙上のラベルのうち、定められたラベル印刷順序で1〜n番目のラベルまでは使用済みなので、先頭から(n+1)番目のラベルが未印刷のラベルの先頭のものである。このラベルから、その印刷順序に従って今回印刷する枚数分のラベルが、印刷対象のラベルとして特定される。ここで、用紙種別情報から個々のラベルのラベル用紙上での位置が分かるので、先頭から何番目から何番目までのラベルが印刷対象かが分かれば、それら印刷対象のラベルの位置も分かることになる。
【0048】
再び図1の説明に戻ると、印刷制御部20は、用紙情報検出部12がそのラベル用紙100から検出した用紙IDに対応する用紙種別情報と未印刷ラベル情報とを用紙情報DB30から読み出し、読み出した情報に基づいて、そのラベル用紙100上で今回印刷すべき各ラベルの位置を特定する。
【0049】
未印刷ラベル情報更新部40は、ラベル用紙100に対してラベル印刷を行う都度、用紙情報DB30に記憶された当該ラベル用紙100の未印刷ラベル情報を更新する。例えば、ある印刷ジョブでラベル用紙100上の3枚のラベルに対して印刷した場合、未印刷ラベル情報更新部40は、用紙情報DB30内の当該ラベル用紙100の未印刷ラベル情報(使用済み枚数)の値を3だけ増大させる。
【0050】
図4に、本実施形態のシステムで用いられるラベル用紙の一例の外観を示す。図示のように、ラベル用紙100は、台紙110と、当該台紙110の表面上に配列された複数のラベル120とを含んでいる。各ラベル120は、表面が印刷可能な面、裏面が粘着面となっている。図示例では、ラベル用紙100には、2列×5行の10枚の矩形のラベル120が配列されている。
【0051】
図4の例では、ラベル用紙100の周囲のマージン部分(すなわちラベル120が配置されていない部分)のうちラベル用紙100の長手方向に沿った一方の端部に、当該ラベル用紙の基準方向(すなわち用紙搬送方向についての先頭方向)を示すマーク114aが印刷されている。例えば、ユーザは、印刷装置10に対してラベル用紙をセットする際、このマーク114aが印刷された端部が用紙搬送方向に関して当該ラベル用紙の先頭方向に来るようセットする。これにより、そのラベル用紙上のラベル群は、決まった方向から順に使用されていくことになる。図示例では、マーク114aとして、基準方向の向きを指す三角形を用いているが、これは一例に過ぎない。また、ラベル用紙100の長手方向に沿った方向のうち、後述する用紙ID112aの印刷されている側を基準方向とするという取り決めをしておくならば、マーク114aはなくてもよい。
【0052】
図4において、各ラベル120の中央に示された括弧付きの番号は、ラベル用紙100を、マーク114aの側を用紙搬送方向について先頭側にして印刷装置10にて印刷を行った場合の、各ラベル120の印刷順序の一例を示している。この例では、用紙搬送方向について先頭側からラスタ走査順に、各ラベル120が印刷されていく。例えば、図3の用紙ID「00000123」のラベル用紙100の場合、図4に示す2列5行のラベルのうちマーク114a側からラスタ走査順に3枚のラベル120が消費済みであるので、図5で破線の矩形122にて示した(1)〜(3)のラベルが、既に印刷され台紙110上から剥がされている。図5に示すラベル用紙100を用いて次にラベル印刷を行う場合には、未印刷のラベルの先頭である番号(4)のラベル120から使用されることとなる。
【0053】
また、図4の例では、矩形のラベル用紙100の周囲のマージン部分のうち、当該ラベル用紙100の長手方向に沿った先頭側の部分に、当該ラベル用紙100を一意に識別する用紙ID112aが印刷されている。
【0054】
図4の例では、用紙ID112aはバーコードで表現されているが、QRコード(登録商標)などのような他の形式の画像コードで表現されていてももちろんよい。これら用紙ID112aは、例えば、ラベル用紙100を生産する工場にて印刷するようにすればよい。
【0055】
このように図4の例では、ラベル用紙100の基準方向に沿った先端部に用紙ID112aが印刷されている。このため、マーク114aを用紙搬送方向について先頭側となるようにユーザがラベル用紙100を印刷装置10にセットすることで、図2に示した用紙情報検出部12にてその用紙ID112aが読み取られラベル用紙100が識別され、その後その識別結果に応じてその下流の印刷機構14にてラベル印刷が行われることとなる。
【0056】
この実施形態のシステムによるラベル印刷の手順の一例を図6に示す。この例では、まずユーザが印刷装置10の給紙部(図示省略)に対して、マーク114aが用紙搬送方向に沿った先頭側となるよう、ラベル用紙100をセットする。この場合、例えば給紙部等に、ラベル用紙100を正しい向きにセットするための案内(例えばマーク114aを給紙部のトレイのどちら側に向けるかを示すマークなど)を示しておいてもよい。このようにラベル用紙100がセットされた状態で、ユーザは、PC(パーソナルコンピュータ)等の上位装置から本システムに対してラベル印刷の指示を行う。これにより、上位装置から本システムの印刷制御部20に対してラベル印刷指示情報が送られる。このラベル印刷指示情報には、例えば、ラベル120群に対して印刷すべきラベル情報内容のリストが含まれている。このリストに含まれるラベル情報内容の数だけラベル120が消費(印刷)されることとなる。ラベル印刷指示を受けた印刷制御部20は、給紙部に、ラベル用紙100を印刷装置10の用紙搬送路上へ給紙させる。図2に例示したように、用紙搬送方向Aにそって搬送されるラベル用紙100は、まず用紙情報検出部12により用紙ID112aが読み取られる(S10)。印刷制御部20は、用紙情報DB30から読み取られた用紙ID112aに対応する用紙種別情報及び未印刷ラベル情報を、用紙DB30から検索する(S12)。
【0057】
S12の検索の結果に応じ、印刷制御部20はそのラベル用紙100上の印刷対象のラベル群を特定し、それらラベル群に印刷を行うための印刷画像データを生成する(S14)。このS14では、印刷制御部20は、例えば、検索した用紙種別情報から、そのラベル用紙100上の各ラベルの存在場所を特定する。各ラベルの存在場所は、例えば各ラベルの左上隅と右下隅の座標の組などで表される。用紙種別、すなわちラベル用紙のサイズとラベルの配列パターンの組、が分かれば、各ラベルの存在場所は特定される。また、印刷制御部20は、検索した未印刷ラベル情報から、そのラベル用紙100上の先頭から何番目のラベル120までが使用済みであるか、言い換えれば、用紙の先頭から何番目のラベル120が未印刷のラベル群のうちの先頭であるかを特定する。そして、特定した未印刷の先頭のラベルから、ラベル印刷指示情報に含まれる印刷対象のラベル情報内容の数だけのラベル120を、印刷対象のラベル群として特定する。そして、印刷制御部20は、用紙種別情報から特定される各ラベル120の存在場所に基づき、印刷対象の各ラベル120の存在場所に対してラベル印刷指示情報に含まれる個々のラベル情報内容を順に割り付けることにより、印刷画像データを生成する。
【0058】
印刷制御部20は、その印刷画像データを印刷機構14に転送する。印刷機構14は、その印刷画像データをそのラベル用紙100上に印刷する(S16)。これにより、ラベル印刷指示情報に含まれる各ラベル情報内容が、当該ラベル用紙100上の印刷対象の各ラベル120に印刷される。
【0059】
また、印刷制御部20は、未印刷ラベル情報更新部40に対して、当該ラベル用紙100の用紙IDと今回の印刷対象のラベルの枚数とを通知し、未印刷ラベル情報の更新を指示する。この指示に応じて、未印刷ラベル情報更新部40は、用紙情報DB30にアクセスし、当該用紙IDに対応する未印刷ラベル情報を更新する(S18)。すなわち、例えば、未印刷ラベル情報更新部40は、印刷制御部20から通知された用紙IDに対応する未印刷ラベル情報を読み出し、その未印刷ラベル情報が示す使用済みラベル枚数に、今回の印刷対象のラベルの枚数を加算し、その加算結果を当該用紙IDに対応する未印刷ラベル情報として用紙情報DB30に書き戻す。
【0060】
未印刷ラベル情報更新部40による未印刷ラベル情報の更新は、ラベル用紙100に対するラベル印刷(S16)の完了後に行えばよい。ただしこれは一例に過ぎず、例えばこの代わりに、上位装置からラベル印刷指示情報を受け取り、かつラベル用紙100から用紙IDを読み取った後、ラベル印刷が完了する前の段階で、用紙情報DB30内の未印刷ラベル情報を更新してもよい。
【0061】
次に、ユーザが印刷装置10の給紙部にセットしたラベル用紙100の向きが正しいか否かをシステム側で判定し、判定結果に応じた制御を行う例をいくつか説明する。
【0062】
一つの例では、印刷制御部20は、上位装置からラベル印刷指示を受けた場合に、ラベル用紙100が用紙搬送路上の用紙情報検出部12の読取位置を通過したにもかかわらず、用紙情報検出部12から用紙IDが通知されなかった場合、そのラベル用紙100がセットされた向きが誤りであると判定する。この場合、印刷制御部20は、そのラベル用紙100に対する印刷機構14による印刷を行わず、そのラベル用紙100を排紙トレイに出力し、例えばエラーとして印刷動作を一時停止する。このとき、印刷制御部20は、印刷装置10のユーザインタフェース画面に、ラベル用紙の向きが誤っているので印刷しなかったこと、ラベル用紙を正しい向きにセットして印刷再開の指示を行うこと、等を示したメッセージを表示する。ユーザは、このメッセージに従い、ラベル用紙100を正しい向きにセットし直して印刷再開を指示する。用紙ID112aが図4に示すようにラベル用紙100の基準方向の先端に印刷されている構成の場合、このような制御により、誤った向きにセットされたラベル用紙に対してラベル印刷が行われてしまうことがなくなる。
【0063】
また、別の例として、システムがラベル用紙100の向きを検知し、その向きに応じてラベル印刷を制御する例を示す。
【0064】
この例では、図7に示すようなラベル用紙100を用いる。図7の例では、矩形のラベル用紙100の周囲のマージン部分のうち、当該ラベル用紙100の基準方向に沿った両端の部分の、ラベル用紙100の紙面の中心点回りに互いに回転対称の位置に、当該ラベル用紙100を一意に識別する用紙ID112a及び112bが印刷されている。これにより、ラベル用紙100を長手方向についてどちら側を先頭にして印刷装置に挿入しても、印刷装置10内の固定位置に配置された用紙情報検出部12にて用紙ID112a又は112bが読み取られることとなる。
【0065】
ここで、図7の例では、用紙ID112a及び112bの画像コードが、用紙の幅(短手)方向の中央ではなく、一方の端部側に偏った位置に印刷されている。このため、用紙情報検出部12内の画像コード読取装置が、基準方向を用紙搬送方向に合わせた正しい向きにラベル用紙100をセットした場合に用紙ID112aが読み取れる位置に配置されていれば、その読取装置は、搬送されるラベル用紙100の先頭側にある用紙ID112aは読み取るが、後端側にある用紙ID112bは読取範囲から外れるので読み取らない。用紙IDを記憶した無線タグをラベル用紙100に設ける方式の場合、無線タグとして近接型等の通信距離が短い規格のものを、図7の例と同様ラベル用紙100の長手方向の両端のマージン部分の、互いに回転対称かつ当該用紙の幅方向について中央から端部側へ偏った位置に設ければ、図7の例と同様、搬送される用紙100の一方の無線タグの用紙IDのみが読取装置により読み取られることとなる。
【0066】
また、ラベル用紙100の基準方向に沿った後端のマージン部分に、当該用紙100の基準方向に沿った後端を示すマーク114b(図7では破線で示した)が印刷されていてもよい。マーク114bは、マーク114aとは異なったものとする。例えば、マーク114bは、当該マーク114bを用紙搬送方向に沿った先頭側にして当該ラベル用紙100を搬送した場合に、マーク114aとは異なる形状として読み取られるものとすればよい。
【0067】
この例では、システムは、図8に示すような手順を実行すればよい。なお、この手順においてS10a及びS14a以外の各ステップS12,16及び18は、図6の場合と同様の処理でよい。
【0068】
図8の手順では、印刷装置10の用紙情報検出部12が、搬送されるラベル用紙100から用紙IDと、用紙基準方向を示すマーク114a(又は114b)を読み取る(S10a)。用紙後端を示すマーク114bを用いない例では、印刷制御部20は、用紙情報検出部12にて用紙IDが検出されたにもかかわらず、マーク114aが検出されない場合、ラベル用紙100が逆向きにセットされたと判定する。逆に、マーク114aが検出された場合は、正しい向きにセットされたと判定する。また、用紙後端部を示すマーク114bが印刷されたラベル用紙を用いる場合は、用紙情報検出部12にて用紙IDと共にそのマーク114bが読み取られた場合には、ラベル用紙100が逆向きにセットされたと判定すればよい。
【0069】
そして、S14aにて印刷対象のラベル群を特定する際、印刷制御部20は、S10aで検出したラベル用紙100の向きを考慮する。すなわち、ラベル用紙100が逆向きであると判定した場合、印刷制御部20は、未印刷ラベル情報が示す使用済みのラベルの位置を逆向きに解釈する。当該ラベル用紙100のラベルの配列パターン及びラベルの使用順序が正しい向きの逆向きであることを考慮して、未使用のラベルの先頭と、それ以降の印刷されるラベル群の位置を特定する。なお、S10aでラベル用紙100が正しい向きであると判定した場合は、図6のS14と同様の処理を行えばよい。
【0070】
また、S10aにてラベル用紙100が逆向きにセットされていると判定した場合、印刷制御部20は、S14aにて印刷画像データを生成する場合に、個々のラベル情報内容の画像を逆向きに座標変換して、ラベルの配置を逆から計算してもよい。これにより、例えば、図9に示すように個々のラベル122の形状がラベル用紙100の基準方向に垂直な線に関して対称でない場合(図9の例ではハート形)でも、ラベル情報内容がラベル122内に収まるよう正しく印刷される。なお、図4に例示した矩形のラベル120のようにラベル120の形状が基準方向に垂直な線に関して対称である場合は、ラベル用紙100が逆向きであっても、ラベル情報内容の画像は逆向きにしなくてよい。ここで、ラベル用紙100が逆向きである場合に、個々のラベル情報内容の画像を個別に逆向きに座標変換するのではなく、図6のS14と同様の処理により、正しい向きにセットされた場合の印刷対象の各ラベルに対して印刷すべきラベル情報内容が配列されている印刷画像データを生成し、その印刷画像データ全体を、前後逆向きとなるよう座標変換してもよい。
【0071】
図7のラベル用紙100を用いる場合、ラベル用紙100が正しい向きから90度右又は左に回転した向きで給紙部にセットされた場合、用紙情報検出部12は、用紙ID112a(又は112b)を読み取れない。このような場合、上述の例と同様、印刷制御部20は、ラベル用紙100が誤った向きにセットされていると判定し、印刷機構14に印刷を行わせずに排紙し、誤った向きにセットされている旨を示すメッセージを画面表示する等のエラー処理を行ってもよい。
【0072】
また、さらなる変形として、図10に示すようなラベル用紙100を用いてもよい。この例では、ラベル用紙100の長手方向のみならず短手方向の両端のマージン部分にも、用紙ID112c、112dと、基準方向を示すマーク114c、114dと、が印刷されている。マーク114c、114dは、それぞれの形状により、ラベル用紙100の四辺のうち当該マーク114c又は114dが位置する辺が、図中矢印で示される基準方向に対して左側又は右側のいずれの辺であるかを示す。
【0073】
この例では、ラベル用紙100が印刷装置10の給紙部に対して裏返しにセットされない限り、どの向きにセットされたとしても、用紙情報検出部12はそのラベル用紙100から用紙ID112a〜112dと基準方向のマーク114a〜114dを検出する(図8のS10a)。そして、基準マーク114a〜114dのいずれが検出されたかに応じて、印刷制御部20はそのラベル用紙100がセットされた向きを特定し、特定した向きに応じてラベル用紙100上のラベル配列を特定し、特定したラベル配列に応じて未印刷の先頭のラベルを特定し、この特定の結果に応じて今回の印刷対象のラベル群を特定してもよい。また、ラベル用紙100がセットされた向きの特定結果に応じて、印刷するラベル情報内容の画像(又は1ページ分の印刷画像データ全体)を座標変換(回転)させてもよい(なお、特定された向きが正しい向きの場合は、座標変換は不要)。
【0074】
以上の例では、ラベル用紙100には用紙ID112a〜112dとは別に基準方向を示すマーク114a〜114dが印刷されているが、これは一例に過ぎない。この代わりに、用紙ID112a〜112dを示すバーコード等の画像コードの中に、基準方向の情報が含まれるようにしてもよい。この場合、例えば、基準方向に沿って先頭側のマージンに印刷される用紙ID112aの画像コードには、用紙IDの情報と「基準方向に沿って先頭側である」ことを示す情報とが、基準方向に沿って左側のマージンに印刷される用紙ID112cの画像コードには、用紙IDの情報と「基準方向に沿って左側である」ことを示す情報とが、それぞれ含まれる(他の画像コードも同様)。
【0075】
また、ラベル用紙100の図10に示した各用紙ID112a〜112dの位置に、通信距離の短い無線タグを装着しておき、それら各無線タグに、用紙IDと当該タグの基準方向に対する位置関係を示す情報(例えば「基準方向に沿って先頭側」など)を記憶させておくようにしてもよい。
【0076】
以上の例では、ラベル用紙100に対して用紙ID112a(〜112d)が予め印刷されていたが、これは一例に過ぎない。この代わりに、本実施形態のラベル印刷システムがラベル用紙100に一意な用紙IDを付与して印刷するようにしてもよい。この場合のシステムの処理手順の例を、図11に示す。
【0077】
この例では、未使用のラベル用紙100には、用紙ID112a〜112dは印刷されていない。そして、そのラベル用紙100に対して最初にラベル印刷を行う際に、本システムが、その用紙の四辺のマージン部に用紙ID112a〜112dを印刷する。以下、更に詳しく説明する。
【0078】
図11の手順では、ラベル印刷指示が到来した場合、印刷制御部20は用紙情報検出部12に用紙ID112a〜112及び基準方向を示すマーク114a〜114d等の情報の検出を行わせ(S10a)、用紙ID112a〜112dが検出されたかどうかを判定する(S11)。検出された場合は、図8と同様の処理を実行する(S12〜S18)。
【0079】
S11で用紙ID等が検出されなかった場合、印刷制御部20は、用紙情報DB30に対して用紙IDの発行を依頼する(S20)。この依頼に応じ、用紙情報DB30は、一意な用紙IDを発行すると共に、当該DB30内に当該用紙IDのための情報エントリを作成する。この時点では、この情報エントリ内の未印刷ラベル情報は0(すなわちラベル使用枚数が0)に設定される。また、S20にて、印刷制御部20がラベル用紙100の用紙種別をユーザに問合せ、この問合せに対してユーザが回答した用紙種別を、用紙情報DB30が、発行した用紙IDの情報エントリに登録してもよい。この代わりに、ラベル用紙100を製造する工場等にて、ラベル用紙100に対して用紙種別を表す情報を例えば画像コードを印刷して(あるいは無線タグに記憶させて)おき、S10aで用紙種別情報も読み取り、読み取られた用紙種別情報をS20で印刷制御部20が用紙情報DB30に通知してもよい。この場合、用紙種別情報は、図10の例の用紙ID112a〜112dと同様、ラベル用紙100の四辺それぞれのマージン部分に印刷されているものとする。
【0080】
印刷制御部20は、用紙情報DB30が発行した用紙IDを取得する(S22)。そして、この時点では、印刷対象のラベル用紙100は未使用なので、当該ラベル用紙100上のラベル配列の先頭のラベルから順に、ラベル印刷指示にて指定された枚数のラベルを印刷対象として特定する(S24)。そして、それら印刷対象のラベル群に印刷すべきラベル情報内容と、当該ラベル用紙100の四辺のマージン部分に印刷する用紙ID112a〜112dの画像コードと、を表す印刷画像データを生成する(S26)。このS26では、S10aでラベル用紙100から読み取った基準方向の情報に応じて、印刷画像データの向きを当該ラベル用紙100の向きに合わせるようにする。このようにして生成した印刷画像データを印刷機構14に供給することにより、未使用のラベル用紙100に対してラベル情報内容と共に、用紙ID112a〜112d(図10参照)が印刷される(S16)。そして、未印刷ラベル情報更新部40により、用紙情報DB30内の当該ラベル用紙の未印刷ラベル情報を、印刷したラベルの数に応じて更新する(S18)。
【0081】
図11の処理手順では、新品のラベル用紙100に対して最初にラベル印刷を行う際に用紙ID112a等をその用紙に印刷したが、これは一例に過ぎない。この代わりに、システムにラベル用紙初期化モードを設け、ユーザが新品のラベル用紙100を印刷装置10にセットしてこのモードを指定すると、用紙IDを発行してそのラベル用紙100に印刷するようにしてもよい。
【0082】
次に、図12〜図19を参照して、後処理装置50を含んだシステム構成の例を説明する。この例では、図12に示すように、ラベル印刷システムは、印刷装置10、印刷制御部20、用紙情報DB30及び未印刷ラベル情報更新部40の他に、後処理装置50を備える。後処理装置50は、印刷装置10が出力した印刷結果のラベル用紙100に対して、ラミネート加工、エンボス加工、金箔押し等の後処理を行う装置である。後処理装置50は、ラミネート加工、エンボス加工、金箔押し等の各種後処理機能のうちの一つを実行する装置であってもよいし、複数を実行可能な装置であってもよい。後処理装置50は、印刷装置10に機械的に接続され、印刷装置10の排紙部から出力される印刷結果を自動的に受け取って後処理を行ってもよい。この場合、用紙情報検出部52は省略してもよい。また、後処理装置50が印刷装置10に接続されておらず、ユーザが印刷装置10による印刷結果のラベル用紙100を手動で後処理装置50にセットする構成であってもよい。
【0083】
後処理装置50は、ネットワーク等を介して用紙情報DB30にアクセス可能となっている。
【0084】
一つの例では、後処理装置50は、用紙情報検出部52を内蔵していてもよい。用紙情報検出部52は、印刷装置10の用紙情報検出部12と同様、投入されたラベル用紙100から用紙ID112a等(及び基準方向を示すマーク114a等)を検出する。用紙情報検出部52は、後処理装置50内の用紙搬送路上で後処理を行う機構の上流側に設け、用紙情報検出部52の検出結果に応じて後処理の制御を行うようにしてもよい。
【0085】
なお、後処理装置50が印刷装置10に直結され、印刷装置10の印刷結果を自動的に受け取る構成の場合、後処理装置50に用紙情報検出部52を設ける代わりに、印刷装置10の用紙情報検出部12が検出した用紙IDを後処理装置50に通知する構成としてもよい。
【0086】
図12のシステムでは、用紙情報DB30内の各ラベル用紙の情報エントリには、図3に例示した用紙ID、用紙種別情報、及び未印刷ラベル情報に加え、図13に示すように「今回印刷したラベル数」の情報が含まれる。「今回印刷したラベル数」の欄は、上位装置からのラベル印刷指示に応じてラベル印刷を実行した際、そのときに印刷したラベルの枚数が記録される。例えば、図5に例示したラベルが3枚使用済みのラベル用紙100に対し、今回のラベル印刷指示に従って4枚のラベルに新たに印刷を行ったとする。この場合、印刷結果のラベル用紙100では、図14に示すように、番号(4)〜(7)の合計4枚のラベルが新たに印刷されることとなる。この場合、用紙情報DB30の当該ラベル用紙の情報エントリは、図13の用紙ID「00000123」のエントリに示すように、「今回印刷したラベル数」が「4」に設定される。この「今回印刷したラベル数」の情報は、後処理装置50が後処理の範囲を特定するために用いる。すなわち、「以前印刷して既に使用済みのラベル数」と「今回印刷したラベル数」と「未使用ラベル数」を判別できる情報であればよい。
【0087】
図12の例における印刷制御部20の処理手順の例を図15に示す。図15の例は、図4に例示した一方の端部にのみ用紙ID112aとマーク114aが印刷されたラベル用紙100を使用し、ユーザがマーク114aに従ってそのラベル用紙100を正しい向きに設定することを想定した手順である。図15の手順の各ステップうち、図6に例示したステップと同様の処理を行うステップには同一の符号を付して説明を省略する。
【0088】
この手順では、上位装置からラベル印刷指示を受けた印刷制御部20は、用紙情報検出部12によりラベル用紙100の用紙ID112aが検出されると(S10)、その用紙IDに対応する用紙種別、未印刷ラベル情報、及び「今回印刷したラベル数」を用紙情報DB30から検索する(S12a)。そして、取得した未印刷ラベル情報が示すラベル使用済み枚数に、同じく取得した「今回印刷したラベル数」を加算し、その加算結果とその用紙IDを未印刷ラベル情報更新部40に渡して未印刷ラベル情報の更新を指示する。この指示に応じ、未印刷ラベル情報更新部40は、用紙情報DB30にアクセスし、その用紙IDに対応する未印刷ラベル情報にその加算結果を上書きすると共に、その用紙IDに対応する「今回印刷したラベル数」の値を「0」にリセットする(S13)。
【0089】
その後、印刷制御部20は、図6の手順と同様、印刷対象のラベル群を特定して印刷画像データを生成し(S14)、その印刷画像データを印刷機構14に渡してラベル用紙に対する印刷を実行させる(S16)。そして、印刷制御部20(または未印刷ラベル情報更新部40)は、上位装置からのラベル印刷指示に従って今回印刷したラベル数を、用紙情報DB30の当該ラベル用紙の用紙IDに対応する「今回印刷したラベル数」の欄に登録する(S19)。なお、このようにラベル印刷が完了してから「今回印刷したラベル数」を書き換える代わりに、ラベル印刷が完了する前に、用紙情報DB30内の当該ラベル用紙の「今回印刷したラベル数」を、今回のラベル印刷指示情報にて指示された印刷対象のラベル枚数に書き換えてもよい。
【0090】
図15に例示した印刷制御部20の処理に対応する後処理装置50の処理手順の例を図16に示す。この例では、まず用紙情報検出部52が、後処理対象のラベル用紙100から用紙IDを検出する(S30)。次に後処理装置50は、検出された用紙IDに対応する用紙種別、未印刷ラベル情報、及び「今回印刷したラベル数」を用紙情報DB30から検索し(S32)、検索した情報から後処理対象のラベル群を特定する(S34)。後処理対象のラベル群の特定の仕方は、印刷制御部20による印刷対象のラベル群の特定の方法と同様でよい。すなわち、用紙種別の情報から当該ラベル用紙上の各ラベルの存在場所を特定し、未印刷ラベル情報から未使用の先頭のラベルを特定し、その未使用の先頭のラベルを始点として「今回印刷したラベル数」のラベルを後処理対象として特定すればよい。そして、後処理装置50は、特定したラベル群に対して、ユーザから指定された後処理を実行する。
【0091】
図15及び図16の例は、後処理がラベル単位で実行される場合の例である。ラベル単位で実行可能な後処理には、例えば金箔押しがある。一方、ラベル処理の中には、ラベル単位ではなく、ラベル用紙のある範囲を単位として実行されるものもある。例えば、ラミネート加工は、図17に例示するように、ラベル単位ではなく、用紙搬送方向に垂直な用紙の全幅の範囲に対して一括して施される(用紙搬送方向については加工範囲を指定可能)。図17の例では、太い実線130で囲まれる矩形の範囲が、ラミネート加工の範囲である。この例は、2列5行のラベル用紙100上の番号(4)〜(7)のラベルに今回印刷が行われた場合の、ラミネート加工の範囲を示す。この例では、今回印刷していない番号(8)のラベルに対してもラミネート加工が施されるので、番号(8)のラベルも使用済みとなってしまう。
【0092】
このように後処理がラベル単位でない場合の印刷制御部20の処理手順の例を図18に示す。図18の手順は、図15に示した手順に対してS13aを追加したものである。すなわち、この手順では、後処理装置50が後処理に応じて用紙情報DB30内の未印刷ラベル情報及び「今回印刷したラベル数」を更新する可能性を考慮し、そのような更新が行われたかをS13aで判定する。今回の印刷対象のラベル用紙100に対し、前回のラベル印刷の際に後処理が行われていれば、後処理装置50が用紙情報DB30内のそのラベル用紙の未印刷ラベル情報及び「今回印刷したラベル数」を更新しており、その結果「今回印刷したラベル数」は「0」になっている。そこで、S13aでは、S12aで検索した「今回印刷したラベル数」が「0」かどうかを判定する。判定の結果「0」でなければ、印刷制御部20は、S12aで取得した未印刷ラベル情報が示すラベル使用済み枚数に、同じく取得した「今回印刷したラベル数」を加算し、その加算結果に従って未印刷ラベル情報更新部40に用紙情報DB30内の未印刷ラベル情報等の更新を行わせ(S13)、S14に進む。S12aで検索した「今回印刷したラベル数」が「0」であれば、S13はスキップされ、S14の処理が実行される。S14以降の処理は図15の例と同様でよい。
【0093】
後処理がラベル単位でない場合の後処理装置50の処理手順の例を図19に示す。図19の手順のうち、図16に示したステップと同様のステップには同一符号を付して説明を省略する。
【0094】
図19の手順では、後処理装置50は、S34aにて、後処理対象のラベル群を特定する際、実行する後処理の種類を考慮する。後処理がラベル単位で実行される種類のものであれば、後処理対象のラベル群は図16のS34と同様の方法で求めればよい。一方、ラミネート加工のようにラベルより広い範囲を実行単位とする後処理を実行する場合のS34aの処理は、例えば次のようになる。すなわち、後処理装置50は、S12aで検索した未印刷ラベル情報と「今回印刷したラベル数」から当該ラベル用紙100上で今回新たに印刷されたラベル群を特定し、指示された種類の後処理のために設定可能な後処理範囲のうち、それら特定したラベル群を含んだ最小の範囲を後処理範囲に決定する。この場合、決定された後処理範囲内に含まれるラベル群が、後処理対象のラベル群となる。後処理装置50は、S34aで特定した後処理対象のラベル群に対して後処理を実行する(S36)。また、後処理装置50は、用紙情報DB30内の当該ラベル用紙の未印刷ラベル情報及び「今回印刷したラベル数」を更新する(S38)。後処理がラベル単位のものであれば、S38では、未印刷ラベル情報は、S32で読み出した未印刷ラベル情報が示す使用済みラベル枚数に対して、同じくS32で読み出した「今回印刷したラベル数」を加算したものへと更新すればよい。一方、後処理がラベルよりも広い範囲を単位とするものである場合は、未印刷ラベル情報が示す使用済みラベル枚数に対して「今回印刷したラベル数」を加算した上に、更に今回印刷したラベルの後に続く未印刷のラベルのうちS34aで特定した後処理範囲に含まれるものの数も加算し、その加算結果により未印刷ラベル情報を更新する。例えば、図17の例では、今回印刷しなかった番号(8)のラベルにもラミネート加工が施されるので、このラベル用紙100に対応する未印刷ラベル情報は「8」に更新される。なお、いずれの場合も、S38では、当該ラベル用紙の「今回印刷したラベル数」は「0」に更新する。
【0095】
図18及び図19の処理では、後処理装置50にて未印刷のラベルに対して後処理が行われた場合に、その後処理に応じて、用紙情報DB30の未印刷ラベル情報が適切に更新される。
【0096】
図12〜図19を用いて説明したシステムの例は、ラベル用紙100がユーザによって正しい向きにセットされ印刷装置10に投入されることを想定したものであり、後処理装置50を備えないシステムの例では図6の手順例に対応するものであった。しかしながら、例えば図7〜図11等を参照して説明した、ユーザがラベル用紙100を自由な向きにセットしても、その向きに合わせた各種の処理を行う仕組みは、図12に示す後処理装置50を備えたシステムにも適用可能である。例えば、図4に示すような用紙ID112aが1つしか印刷されていないラベル用紙100を用い、ラベル用紙100が正しい向きにセットされないと用紙情報検出部12及び52が用紙ID112aを検出しないようにし、用紙ID112aが検出されない場合にはラベル印刷を行わずにエラー処理を行ってもよい。また、例えば、図10に例示した四辺に用紙ID112a〜112dと基準方向を示すマーク114a〜114dを備えるラベル用紙100を用い、印刷装置10、又は後処理装置50、又はその両方が、ラベル用紙100がどの向きにセットされても対応できるようにしてもよい。
また、後処理の実施しやすさを予め考慮して、図14に示すように、番号(4)〜(7)にラベル印刷するのではなく、番号(4)を事前に印刷済みとして処理し、番号(5)〜(8)に印刷、後処理を実施してもよい。
【0097】
次に、用紙情報DB30を用いないシステム構成の例について説明する。この例では、ラベル用紙100の未印刷ラベル情報や用紙種別情報を、用紙情報DB30ではなく、ラベル用紙100自体に持たせる。
【0098】
図20に、この例におけるラベル用紙100の一例を示す。図20において、図4、図5及び図14に例示したラベル用紙100の要素と同一の要素には、同一符号を付して説明を省略する。
【0099】
図4等のラベル用紙100に印刷されていた用紙ID112aの代わりに、図20のラベル用紙100には、用紙種別コード142aが印刷されている。用紙種別コード142aは、当該ラベル用紙100の種別を示す画像コードである。ラベル用紙100の種別は、上述の例の場合と同様、用紙サイズとラベル配列パターン(m行n列)との組合せなどである。用紙種別コード142aは、1つの例では、ラベル用紙100を製造する工場で予め印刷しておけばよい。
【0100】
また、図20のラベル用紙100には、0個以上の印刷枚数コード144a、144bが印刷される。個々の印刷枚数コード144a、144b(以下、区別する必要がない場合は印刷枚数コード144と総称する)は、上位装置からの個々のラベル印刷指示に応じてラベル印刷システムが印刷したラベル枚数を示す画像コードである。印刷枚数コード144は、ラベル印刷指示に応じたラベル印刷を行う都度、ラベル用紙100に対して、予め定められたコード配列順(例えばラスタ走査順)に従って追記されていく。例えば、ラスタ走査順の追記では、ラベル用紙100のマージン部分の中に設定されたコード印刷範囲内の左上隅を起点に、ラベル印刷を行う都度、右方向に向かって印刷枚数コード144を追記していき、その範囲の右端に達すると、再び当該範囲の左端に戻り、1段分下がった位置から印刷枚数コード144を順に右方向に追記していく。なお、この追記は、例えばラベル印刷の際に印刷装置10が実行する。
【0101】
図20は、当該ラベル用紙100に対する1回目のラベル印刷指示で3枚のラベルに印刷を行い、その後そのラベル用紙100を再度印刷装置10にセットして、2回目のラベル印刷指示で2枚のラベルに印刷を行った場合の例である。この例では、ラスタ走査順で最初の印刷枚数コード144aは1回目のラベル印刷指示に対応する印刷枚数「3」を、その右隣の印刷枚数コード144bは2回目のラベル印刷指示に対応する印刷枚数「2」を表す。
【0102】
この例では、ラベル用紙100に印刷された印刷枚数コード144の集合が、未印刷ラベル情報に該当する。すなわち、それら印刷枚数コード144が表すラベル印刷枚数の合計が、当該ラベル用紙100上で既に印刷済のラベルの合計枚数を表している。この印刷済のラベルの合計枚数と、これを用紙種別コード142aから特定される用紙サイズ及びラベル配列パターンと組み合わせることで、基準方向に沿った先頭側からラベル120が印刷されていくという順序規則の下で、未印刷のラベル群の位置が特定される。
【0103】
この例のラベル印刷システムの例を図21に示す。図21において、図1に示した要素と同様の要素には、同一の符号を付して説明を省略する。また、このシステムの処理手順の一例を図22に示す。
【0104】
この例では、用紙情報検出部12は、用紙搬送路上を搬送されるラベル用紙100から用紙種別コード142a及び未印刷ラベル情報(すなわち印刷枚数コード144群)を読み取り、読み取った情報を印刷制御部20に送る(S40)。
【0105】
印刷制御部20は、用紙情報検出部12から送られてくる情報に基づき、当該ラベル用紙100の用紙種別(例えば用紙サイズのラベル配列パターンの組合せ)と、未印刷ラベル情報としての印刷済のラベルの合計枚数とを求める。そして、求めた情報と、上位装置からのラベル印刷指示情報にて指定された今回のラベルの印刷枚数とに基づいて、印刷対象のラベル120群を特定する(S42)。印刷対象のラベル120群の特定は、図6のS14等と同様の方法で行えばよい。
【0106】
また、印刷制御部20の一機能である未印刷ラベル情報更新部40aは、上位装置からのラベル印刷指示情報にて指定された今回のラベルの印刷枚数を示す印刷枚数コード144を生成する(S44)。
【0107】
印刷制御部20は、上位装置からのラベル印刷指示情報と、未印刷ラベル情報更新部40aの生成した印刷枚数コード144とから、ラベル用紙100に印刷すべき印刷画像データを生成する(S46)。この処理では、例えば、ラベル印刷指示情報に含まれる印刷すべき個々のラベル情報内容の画像を、S42で特定した印刷対象の各ラベルの場所へと位置合わせするとともに、S44で生成した印刷枚数コード144の画像を、S50で用紙情報検出部12が読み取った印刷枚数コード144のうちのコード配列順での最後のものの次の位置に位置合わせすることで、印刷画像データが生成される。
【0108】
そして印刷制御部20は、その印刷画像データを印刷装置10に供給する。これにより印刷装置10は、その印刷画像データをラベル用紙100に印刷する(S48)。このラベル印刷により、ラベル用紙100上の印刷対象の各ラベル120に対してそれぞれ対応するラベル情報内容が印刷されると共に、当該ラベル用紙100上のコード印刷範囲内に、今回印刷したラベルの枚数を表す印刷枚数コード144が追記される。
【0109】
また、この例のシステムに、後処理装置50(図12参照)を追加してもよい。この場合、後処理装置50は、後処理指示が入力され、ラベル印刷後のラベル用紙100が投入されると、図23に示すように、まずそのラベル用紙100上の用紙種別コード142a及び印刷枚数コード144群を用紙情報検出部52により読み取る(S50)。次に、読み取った印刷枚数コード144群のうちコード配列順において最後のコード144が表す枚数を「今回印刷したラベル数」と解釈し、その最後のコード144を除くコード144群が表す枚数の合計を、既に使用済みのラベルの合計枚数(未印刷ラベル情報)と解釈する(S52)。そして、求めた「今回印刷したラベル数」と既に使用済みのラベルの合計枚数とから、後処理対象のラベル群を特定する(S54)。この特定の仕方は、上述の用紙情報DB30を用いる例における後処理対象ラベル群の特定の仕方と同様でよい。すなわち、例えば、用紙種別の情報から当該ラベル用紙上の各ラベルの存在場所を特定し、未印刷ラベル情報(既に使用済みのラベルの合計枚数)から未使用の先頭のラベルを特定し、その未使用の先頭のラベルを始点として「今回印刷したラベル数」のラベルを後処理対象として特定すればよい。
【0110】
例えば、図20のラベル用紙100に後処理を行う場合、後処理装置50は、末尾の印刷枚数コード144bが表す「2」枚が今回印刷したラベル124の数であり、そのコード144bを除いた残りの印刷枚数コード144aが表す「3」枚が既に使用済みのラベル122の合計枚数であると解釈する。そして、番号(4)と(5)の2枚のラベル124を後処理対象と判定する。
【0111】
そして、後処理装置50は、特定した後処理対象のラベル群に対して、指示された後処理を実行する。
【0112】
図22及び図23に例示した手順は、ラベル用紙100がユーザによって正しい向きに印刷装置10又は後処理装置50に投入されることを想定したものであった。しかしながら、例えば図7〜図11等を参照して説明した、ユーザがラベル用紙100を自由な向きにセットしてもその向きに合わせた各種の処理を行う仕組みは、ラベル用紙100自体に用紙種別や未印刷ラベルの情報を持たせるこの例のシステムにも適用可能である。例えば、図20のラベル用紙100を用い、ラベル用紙100が正しい向きにセットされないと用紙情報検出部12及び52が用紙種別コード142a及び枚数コード144群を検出しないようにし、用紙種別コード142a及び枚数コード144群が検出されない場合にはラベル印刷を行わずにエラー処理を行ってもよい。また、例えば、図10の例のように、ラベル用紙100の四辺に用紙種別コード142a及び枚数コード144群を印刷し、印刷装置10、又は後処理装置50、又はその両方が、ラベル用紙100がどの向きにセットされても対応できるようにしてもよい。
【0113】
また、図20の例では、用紙種別や未印刷ラベル情報をラベル用紙100に印刷したが、これは一例に過ぎない。この代わりに、ラベル用紙100に無線タグを装着し、その無線タグに用紙種別や未印刷ラベル情報等を記憶させてもよい。無線タグを用いる場合は、ラベル用紙100自身が、当該ラベル用紙100専用の用紙情報DB30を保持しているとみなせばよく、上述の例における用紙情報DB30を用いた各種の制御を実行し得る。
【符号の説明】
【0114】
10 印刷装置、12,52 用紙情報検出部、14 印刷機構、20 印刷制御部、30 用紙情報DB、40,40a 未印刷ラベル情報更新部、50 後処理装置、100 ラベル用紙、112a,112b 用紙ID、20 ラベル。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベル印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ラベル印刷の分野では、多数のラベルを含んだロール紙を用いて大量にラベル印刷を行う装置が知られている。また、家庭用等の用途で、カット紙のシートに複数のラベルが形成されたラベル用紙が市販されており、そのようなカット紙ラベル用紙に対する印刷設定を行うパーソナルコンピュータ用のアプリケーションも知られている。
【0003】
印刷しようとするラベルの数がカット紙ラベル用紙に設けられているラベルの数の整数倍と一致しない場合、印刷実行後に、途中まで使用済みのラベル用紙が残ってしまうことになる。
【0004】
特許文献1には、用紙に付されたマーク(例えばバーコード)により、通常用紙及び分割シール等の用紙種類を識別し、識別結果に応じた印刷を行う装置が開示されている。
【0005】
特許文献2には、位置決めマークと記録開始位置とが異なる複数種類のシール用記録用紙に対して、簡単にプリントを行うための方式が開示されている。この方式では、記録用紙に位置決めマークを設ける。プリンタは、位置決めセンサとサーマルヘッドとの距離と、位置決めマークと記録開始位置との距離とに基づき、設定値を求める。パルスモータにより搬送ローラ対を回転させ、記録用紙を送る。この送り中に位置決めセンサで位置決めマークの先端エッジを検出する。この先端エッジを検出したのちのパルスモータの駆動パルス数をカウントし、このカウント値が設定値に達したときに、プリントを開始する。記録用紙を変更する場合には、設定値を隠しコマンドによる入力操作や、パスワード確認による入力操作で、変更する。設定値がみだりに変更されることがなく、異なる記録用紙によるプリントが排除される。この方式は、用紙に既に印刷されている画像や切れ込みなどと、これから印刷する画像との位置を揃えるためのものである。
【0006】
特許文献3には、用紙に適合した書式の選択を容易にし、且つ、書式選択のミスによる印刷ミスの発生を解消するためのプリンタが開示されている。このプリンタは、複数種類の用紙に文字や画像を印刷するものであり、用紙に付された種類識別マークを検出する検出手段と、用紙の種類毎の書式情報を記憶している記憶手段と、上記記憶手段に記憶されている書式情報のうち検出手段より得られた用紙種類情報に応じた書式情報を用いて用紙に応じた適切な書式で印刷を行うよう制御する制御手段とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−313143号公報
【特許文献2】特開2000−335041号公報
【特許文献3】特開2001−063150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、一部のラベルに対して印刷済のラベル用紙を、ユーザの手を煩わせずに再利用できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、印刷装置と、前記印刷装置に投入された印刷対象のラベル用紙から、当該ラベル用紙の識別情報を検出する識別情報検出手段と、各ラベル用紙の識別情報に対応づけて当該ラベル用紙上の複数のラベルのうち未印刷のラベルを特定するための未印刷ラベル情報を記憶する用紙情報記憶装置から、前記識別情報検出手段が検出した前記印刷対象のラベル用紙の識別情報に対応する未印刷ラベル情報を取得し、取得した未印刷ラベル情報に基づいて、当該ラベル用紙上の未印刷のラベルを特定し、特定した未印刷のラベルに対してラベル印刷を行うよう前記印刷装置を制御する印刷制御手段と、前記印刷制御手段の制御に応じて行われた前記ラベル印刷に応じて、前記用紙情報記憶装置内の前記印刷対象のラベル用紙の識別情報に対応づけられた前記未印刷ラベル情報を更新する更新手段と、を備えるラベル印刷システムである。
【0010】
請求項2に係る発明は、前記ラベル用紙の識別情報は、前記印刷装置の用紙搬送方向に沿った当該ラベル用紙の両端部に記録されており、前記識別情報検出手段は、前記印刷装置内の、ラベル用紙に対して画像を印刷する印刷機構よりも前記用紙搬送方向について上流側に配置されており、前記印刷対象のラベル用紙が搬送されて前記印刷機構に到達するまでに当該ラベル用紙の識別情報を検出し、前記印刷制御手段は、前記印刷対象のラベル用紙が前記印刷機構に達するまでに前記識別情報検出手段が検出した前記識別情報に対応する未印刷ラベル情報を前記用紙情報記憶装置から取得し、当該未印刷ラベル情報に基づき特定した当該ラベル用紙上の未印刷のラベルに対してラベル印刷を行うよう前記印刷装置を制御する、ことを特徴とする請求項1に記載のラベル印刷システムである。
【0011】
請求項3に係る発明は、前記ラベル用紙の前記用紙搬送方向に沿った少なくとも一方の端部には、当該ラベル用紙の前記用紙搬送方向に沿った基準方向を示す基準方向情報が記録されており、前記用紙情報記憶装置に記憶される未印刷ラベル情報は、ラベル用紙の前記基準方向を前記用紙搬送方向に合わせてラベル印刷を行う場合における当該ラベル用紙上の未印刷のラベルの位置を特定する情報であり、前記識別情報検出手段は、前記印刷対象のラベル用紙から前記識別情報と共に前記基準方向情報の検出を行い、前記印刷制御手段は、前記基準方向情報の検出の結果により当該ラベル用紙の前記基準方向と前記用紙搬送方向とが一致していないことが判明した場合、前記基準方向と前記用紙搬送方向との関係に応じて前記未印刷ラベル情報を解釈することで当該ラベル用紙上の未印刷のラベルを特定する、ことを特徴とする請求項2に記載のラベル印刷システムである。
【0012】
請求項4に係る発明は、前記印刷制御手段は、前記基準方向情報の検出の結果により当該ラベル用紙の前記基準方向と前記用紙搬送方向とが一致していないことが判明した場合、前記未印刷のラベルに印刷すべき画像を、前記基準方向と前記用紙搬送方向との関係に応じて回転させてから、前記印刷装置に供給する、ことを特徴とする請求項3に記載のラベル印刷システムである。
【0013】
請求項5に係る発明は、前記用紙情報記憶装置は、更に、前記各ラベル用紙の識別情報に対応づけて、当該ラベル用紙のサイズと当該ラベル用紙上の縦横のラベル枚数との組合せにより規定されるラベル用紙種別を、記憶しており、前記未印刷ラベル情報は、当該ラベル用紙上の印刷済のラベルの枚数又は未印刷のラベルの枚数を表す情報であり、前記印刷制御手段は、前記用紙情報記憶装置から、前記識別情報検出手段が検出した前記印刷対象のラベル用紙の識別情報に対応する未印刷ラベル情報とラベル用紙種別を取得し、取得した未印刷ラベル情報及びラベル用紙種別と、前記識別情報検出手段が検出した前記基準方向情報から求められる当該ラベル用紙の前記用紙搬送方向に対する向きと、に基づき当該ラベル用紙上の未印刷のラベルを特定する、ことを特徴とする請求項3又は4のいずれか1項に記載のラベル印刷システムである。
【0014】
請求項6に係る発明は、前記印刷装置により印刷されたラベル用紙に対して後処理を施す後処理装置、を更に備え、前記印刷制御手段は、上位装置から受け取ったラベル印刷指示に含まれる印刷対象のラベルの枚数の情報に従い、前記印刷対象のラベル用紙の識別情報に対応する未印刷ラベル情報から特定される当該ラベル用紙上の未印刷のラベルのうち、当該ラベル印刷指示に応じて印刷するラベルを決定し、決定したラベルに対して印刷を行うよう前記印刷装置を制御すると共に、当該ラベル印刷指示に応じて印刷したラベルを後処理対象として特定する後処理対象ラベル情報を前記後処理装置に伝達するための処理を行い、前記後処理装置は、前記印刷装置により印刷されたラベル用紙のうち、前記後処理対象ラベル情報により特定される後処理対象のラベルに対して選択的に後処理を施す、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のラベル印刷システムである。
【0015】
請求項7に係る発明は、前記後処理装置は、前記印刷装置により印刷されたラベル用紙に対して施すべき後処理が、前記後処理ラベル対象情報により特定される後処理対象のラベルの他にその近傍の未印刷のラベルを含む範囲に対して一括して施される種類のものである場合、当該範囲に対して後処理を施すと共に、前記用紙情報記憶装置内の前記ラベル用紙の識別情報に対応づけられた前記未印刷ラベル情報を、当該後処理が施された未印刷のラベルも印刷済と取り扱われるよう更新する、ことを特徴とする請求項6に記載のラベル印刷システムである。
【0016】
請求項8に係る発明は、印刷装置と、前記印刷装置に投入された印刷対象のラベル用紙から、当該ラベル用紙上の複数のラベルのうち未印刷のラベルを特定するための未印刷ラベル情報を検出する未印刷ラベル情報検出手段と、前記未印刷ラベル情報検出手段が検出した前記未印刷ラベル情報に基づいて、当該ラベル用紙上の未印刷のラベルを特定し、特定した未印刷のラベルに対してラベル印刷を行うよう前記印刷装置を制御する印刷制御手段と、前記印刷制御手段の制御に応じて行われた前記ラベル印刷に応じて、前記印刷対象のラベル用紙に記録された前記未印刷ラベル情報を更新する更新手段と、を備えるラベル印刷システムである。
【0017】
請求項9に係る発明は、前記未印刷ラベル情報は、前記印刷装置の用紙搬送方向に沿った当該ラベル用紙の両端部に記録されており、前記未印刷ラベル情報検出手段は、前記印刷装置内の、ラベル用紙に対して画像を印刷する印刷機構よりも前記用紙搬送方向について上流側に配置されており、前記印刷対象のラベル用紙が搬送されて前記印刷機構に到達するまでに当該ラベル用紙の前記未印刷ラベル情報を検出し、前記印刷制御手段は、前記印刷対象のラベル用紙が前記印刷機構に達するまでに前記未印刷ラベル情報検出手段が検出した前記未印刷ラベル情報に基づき当該ラベル用紙上の未印刷のラベルを特定し、特定した未印刷のラベルに対してラベル印刷を行うよう前記印刷装置を制御する、ことを特徴とする請求項8に記載のラベル印刷システムである。
【0018】
請求項10に係る発明は、前記ラベル用紙の前記用紙搬送方向に沿った少なくとも一方の端部には、当該ラベル用紙の前記用紙搬送方向に沿った基準方向を示す基準方向情報が記録されており、前記ラベル用紙に記録される前記未印刷ラベル情報は、当該ラベル用紙の前記基準方向を前記用紙搬送方向に合わせてラベル印刷を行う場合における当該ラベル用紙上の未印刷のラベルの位置を特定する情報であり、前記未印刷ラベル情報検出手段は、前記印刷対象のラベル用紙から前記未印刷ラベル情報と共に前記基準方向情報の検出を行い、前記印刷制御手段は、前記基準方向情報の検出の結果により当該ラベル用紙の前記基準方向と前記用紙搬送方向とが一致していないことが判明した場合、前記基準方向と前記用紙搬送方向との関係に応じて前記未印刷ラベル情報を解釈することで当該ラベル用紙上の未印刷のラベルを特定する、ことを特徴とする請求項9に記載のラベル印刷システムである。
【0019】
請求項11に係る発明は、前記印刷制御手段は、前記基準方向情報の検出の結果により当該ラベル用紙の前記基準方向と前記用紙搬送方向とが一致していないことが判明した場合、前記未印刷のラベルに印刷すべき画像を、前記基準方向と前記用紙搬送方向との関係に応じて回転させてから、前記印刷装置に供給する、ことを特徴とする請求項10に記載のラベル印刷システムである。
【0020】
請求項12に係る発明は、前記ラベル用紙には、当該ラベル用紙のサイズと当該ラベル用紙上の縦横のラベル枚数との組合せにより規定されるラベル用紙種別が記録されており、前記未印刷ラベル情報は、当該ラベル用紙上の印刷済のラベルの枚数又は未印刷のラベルの枚数を表す情報であり、前記未印刷ラベル情報検出手段は、前記印刷対象のラベル用紙から前記未印刷ラベル情報及び前記基準方向情報と共に前記ラベル用紙種別を検出し、前記印刷制御手段は、前記未印刷ラベル情報検出手段が検出した前記印刷対象のラベル用紙の前記未印刷ラベル情報と前記ラベル用紙種別と、前記未印刷ラベル情報検出手段が検出した前記基準方向情報から求められる当該ラベル用紙の前記用紙搬送方向に対する向きと、に基づき当該ラベル用紙上の未印刷のラベルを特定する、ことを特徴とする請求項10又は11のいずれか1項に記載のラベル印刷システムである。
【0021】
請求項13に係る発明は、前記印刷装置により印刷されたラベル用紙に対して後処理を施す後処理装置、を更に備え、前記印刷制御手段は、上位装置から受け取ったラベル印刷指示に含まれる印刷対象のラベルの枚数の情報に従い、前記未印刷ラベル情報検出手段が検出した前記未印刷ラベル情報から特定される当該ラベル用紙上の未印刷のラベルのうち、当該ラベル印刷指示に応じて印刷するラベルを決定し、決定したラベルに対して印刷を行うよう前記印刷装置を制御し、前記更新手段は、前記印刷制御手段の制御に応じて前記印刷対象のラベル用紙に対してラベル印刷が行われる都度、当該ラベル印刷おいて印刷されたラベルの枚数を表す印刷枚数情報を、当該ラベル用紙に既に記録されている過去の当該ラベル用紙に対するラベル印刷時の印刷枚数情報群の次に記録し、ここで前記未印刷ラベル情報は当該ラベル用紙上に記録された印刷枚数情報の集合であり、前記未印刷ラベル情報検出手段は、前記印刷対象のラベル用紙に記録された各印刷枚数情報を検出し、前記印刷制御手段は、前記未印刷ラベル情報検出手段が前記印刷対象のラベル用紙から検出した各印刷枚数情報が表す枚数の総和を当該ラベル用紙上で印刷済のラベルの総枚数と解釈し、当該ラベル用紙上の前記基準方向についての先頭から当該総枚数のラベルを差し引いた残りを未印刷のラベルと判定し、前記後処理装置は、前記印刷装置により印刷されたラベル用紙に記録されている各印刷枚数情報を検出し、当該ラベル用紙の前記基準方向についての先頭から見て、前記検出された各印刷枚数情報のうちの末尾の印刷枚数情報を除いた残りの印刷枚数情報が表す枚数の総枚数分のラベルの次のラベルを後処理対象の最初のラベルとし、当該最初のラベルから前記末尾の印刷枚数情報が表す枚数分のラベルを後処理対象のラベルとし、それら後処理対象のラベルに対して選択的に後処理を施す、ことを特徴とする請求項8〜12のいずれか1項に記載のラベル印刷システムである。
【0022】
請求項14に係る発明は、前記後処理装置は、前記印刷装置により印刷されたラベル用紙に対して施すべき後処理が、前記後処理ラベル対象情報により特定される後処理対象のラベルの他にその近傍の未印刷のラベルを含む範囲に対して一括して施される種類のものである場合、当該範囲に対して後処理を施すと共に、当該ラベル用紙に対して当該後処理を施した未印刷のラベルの枚数を、印刷済枚数として、当該ラベル用紙に既に記録されている印刷枚数情報群の次に追記する、ことを特徴とする請求項13に記載のラベル印刷システムである。
【発明の効果】
【0023】
請求項1又は請求項8に係る発明によれば、一部のラベルに対して印刷済のラベル用紙を、ユーザの手を煩わせずに再利用できる。
【0024】
請求項2又は請求項9に係る発明によれば、印刷装置内でラベル用紙がどちらの向きに搬送される場合でも、用紙搬送方向に沿った先頭側の識別情報又は未印刷ラベル情報を素早く検出することができる。
【0025】
請求項3又は請求項10に係る発明によれば、印刷装置内でラベル用紙が搬送される向きが正しい向きと異なる場合でも、未印刷のラベルの場所を正しく特定することができる。
【0026】
請求項4又は請求項11に係る発明によれば、ラベル用紙の向きが想定された正しい向きでない場合でも、矩形でないラベルに対し、印刷すべき画像を正しい向きで印刷することができる。
【0027】
請求項5又は請求項12に係る発明によれば、ラベル用紙上の未印刷のラベルの具体的な位置を表す情報よりも情報量の少ない情報で未印刷ラベル情報を表現することができる。
【0028】
請求項6又は請求項13に係る発明によれば、印刷装置で印刷されたラベルに対して選択的に後処理を施すことができる。
【0029】
請求項7又は請求項14に係る発明によれば、未印刷のラベルに対しても後処理が行われてしまう場合に、後処理が施された未印刷のラベルを未印刷ラベル情報に反映させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施形態のシステム構成の一例を示す図である。
【図2】印刷装置の内部構成の一例を模式的に示す図である。
【図3】用紙情報DB内に登録されたデータ内容の一例を示す図である。
【図4】ラベル用紙の一例を示す図である。
【図5】図4のラベル用紙上の一部のラベルが使用された状態を示す図である。
【図6】実施形態のシステムの処理手順の一例を示す図である。
【図7】ラベル用紙の別の一例を示す図である。
【図8】ラベル用紙の向きに応じた制御を行うシステム例の処理手順の一例を示す図である。
【図9】ラベル形状に極性があるラベル用紙の一例を示す図である。
【図10】ラベル用紙の更に別の一例を示す図である。
【図11】システムがラベル用紙に用紙IDを付与する場合の処理手順の一例を示す図である。
【図12】後処理装置を備えるシステム構成の一例を示す図である。
【図13】図12のシステムの用紙情報DB内に登録されたデータ内容の一例を示す図である。
【図14】一部のラベルが使用済みのラベル用紙上の未使用のラベルが何枚か印刷された状態を示す図である。
【図15】図12のシステムの印刷装置側の処理手順の一例を示す図である。
【図16】図12のシステムの後処理装置側の処理手順の一例を示す図である。
【図17】ラベルよりも広い範囲を単位とした後処理の範囲の例を説明するための図である。
【図18】図12のシステムの印刷装置側の処理手順の別の一例を示す図である。
【図19】図12のシステムの後処理装置側の処理手順の別の一例を示す図である。
【図20】未印刷ラベル情報や用紙種別の情報が印刷されたラベル用紙の一例を示す図である。
【図21】図20のラベル用紙を用いるシステムの一例を示す図である。
【図22】図20のラベル用紙を用いるシステムにおける印刷装置側の処理手順の一例を示す図である。
【図23】図20のラベル用紙を用いるシステムにおける後処理装置側の処理手順の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下では、カット紙(枚葉紙)形態のラベル用紙に対するラベル印刷を行うラベル印刷システムについて説明する。個々のラベル用紙上には、複数の粘着式のラベルが行列状に整列配置されている。本実施形態のシステムは、そのようなラベル用紙上の各ラベルに対して、印刷依頼元のコンピュータからの印刷指示に応じてラベル内容を印刷する。
【0032】
本発明の一つの実施形態では、個々のラベル用紙に対して用紙IDと呼ぶ固有の識別情報を付与し、ラベル用紙ごとに、当該ラベル用紙の用紙IDに対応づけて、当該ラベル用紙上のラベルのうち未印刷のラベルを特定する情報である未印刷ラベル情報を記録する。そして、一部使用済みのラベル用紙の再利用時、すなわち当該ラベル用紙上に残った未印刷のラベルに対してラベル内容を印刷する際には、そのラベル用紙の用紙IDに対応する未印刷ラベル情報から当該ラベル用紙上の未印刷のラベルを特定し、特定した未印刷のラベルに対して印刷を行う。
【0033】
ラベル用紙に対応する未印刷ラベル情報は、当該ラベル用紙上の複数のラベルのうち印刷されていない(言い換えれば、使用されていない)ラベルが特定できる情報であれば、どのような情報でもよい。
【0034】
未印刷ラベル情報の例としては、例えば、当該ラベル用紙上のラベルのうち印刷済のラベルの枚数がある。ラベル用紙に対して毎回決まった方向からラベル印刷を行う場合、このような印刷済のラベル枚数が分かれば、そのラベル用紙の先頭から印刷済の枚数のラベルを除いた残りのラベル群が、未印刷のラベル群であると特定される。同様の考え方で、当該ラベル用紙上で未印刷のラベルの枚数を未印刷ラベル情報としてもよい。また、用紙サイズ及びラベル配列が異なる複数の種別のラベル用紙を取り扱う場合には、ラベル用紙の種別と、当該ラベル用紙上の印刷済又は未印刷のラベル数を示す未印刷ラベル情報とを組み合わせることで、当該ラベル用紙上の未印刷のラベル群を特定してもよい。例えば、A4サイズで5行2列のラベル配列(図5参照)である用紙種別のラベル用紙のうち、3枚が印刷済である場合、A4サイズで5行2列という情報から当該ラベル用紙上での個々のラベルの位置が特定され、そのうち基準方向に沿って先頭から3つの印刷済ラベルを除いた残りの7枚のラベルが、未印刷のラベル群として特定される。
【0035】
もちろん、以上は未印刷ラベル情報の一例に過ぎない。この他にも、例えば、ラベル用紙上のラベル配列上での印刷済又は未印刷のラベルを示す情報を、未印刷ラベル情報として用いてもよい。例えば、ラベル用紙上にn行m列(m、nは正の整数)の行列状に配列されたラベルのうちの、印刷済(又は未印刷)の各ラベルの行列上での位置を示す情報を、未印刷ラベル情報とするなどである。もちろん、この場合も、用紙サイズ又はラベル配列(行列)の少なくとも一方が異なる複数の用紙種別のラベル用紙を用いる場合は、ラベル用紙の用紙種別と、その未印刷ラベル情報との組合せにより、未印刷のラベル群の位置が特定される。
【0036】
以上のように、本実施形態のラベル印刷システムは、ラベル用紙が保持する用紙IDに未印刷ラベル情報をリンクして管理することで、部分的に使用済みのラベル用紙を再利用する場合に、未印刷ラベル情報から特定される未印刷のラベルに対してラベル印刷を行う。
【0037】
図1は、本実施形態のラベル印刷システムの一実施形態の概略構成を示す図である。図示のシステムは、印刷装置10、印刷制御部20、用紙情報DB(データベース)30、及び未印刷ラベル情報更新部40を有する。このうち印刷制御部20及び未印刷ラベル情報更新部40は、印刷装置10の筐体内に内蔵されていてもよいし、印刷装置10に接続された印刷サーバ等に内蔵されていてもよい。用紙情報DB30は、印刷装置10又は印刷サーバに内蔵されていてもよいし、印刷制御部20からネットワークを介してアクセス可能なリモートの位置に設置されていてもよい。
【0038】
印刷装置10は、ラベル用紙上の各ラベルに対してラベル情報を印刷するための装置である。印刷装置10は、ラベル用紙から用紙ID等の用紙情報を検出する用紙情報検出部12を有する。
【0039】
図2に印刷装置10の内部構成の一例を模式的に示す。ここで、図2の上下方向は、印刷装置10内を用紙搬送方向(図中矢印Aで示す)に沿って搬送されるラベル用紙100の紙面に垂直な方向である。
【0040】
この例では、印刷装置10内には、用紙に対してインク等の色材により印刷を行うための印刷機構14が設けられると共に、用紙搬送方向Aで示すに沿ってその印刷機構14の上流側に、用紙情報検出部12が設けられる。用紙情報検出部12は、ラベル用紙100が用紙ID等の用紙情報を保持する形態に応じた方法で、用紙情報の検出を行う。例えば、用紙情報がバーコードなどの画像の形でラベル用紙100に印刷されている場合、用紙情報検出部12は、バーコードリーダーのように、光学的な機構により用紙情報を読み取ってその情報を解釈する。また、孔や切り欠きなどのようにラベル用紙100に物理的な変形をもたらすことで用紙情報を表現する方式の場合は、用紙情報検出部12は、そのような変形を光学的に読み取ることで、用紙情報を検出する。また、用紙情報がラベル用紙100に埋め込まれた無線タグに記憶されている場合は、用紙情報検出部12は、無線タグの規格に従って無線により無線タグから用紙情報を読み取る。また、ラベル用紙100の紙指紋を用いて、当該ラベル用紙を識別してもよい。紙指紋は、絡まり合う紙の繊維が構成する微細なランダムパターンであり、用紙ごとにパターンが異なる。この場合、用紙情報検出部12は、ラベル用紙100の特定の位置の紙指紋を読み取り、その紙指紋を当該用紙のIDとして用いる。
【0041】
この例では、用紙情報検出部12が印刷機構14よりも上流に設けられているので、搬送されるラベル用紙100からまず用紙ID等の用紙情報が読み取られ、その後その下流の印刷機構14によりそのラベル用紙100に印刷が行われることになる。したがって、一つの例では、ラベル用紙100に対するラベル印刷が、そのラベル用紙100から読み取られた用紙情報に基づいて制御される。
【0042】
再び図1の説明に戻ると、印刷制御部20は、印刷装置10の動作を制御する装置である。印刷制御部20は、例えばパーソナルコンピュータなどのコンピュータから印刷データを受け取り、その印刷データに従って印刷装置10を制御することにより、ラベル用紙100上の各ラベル120に対してラベル印刷を行う。ここで、印刷制御部20は、用紙情報検出部12がラベル用紙100から読み取った用紙ID等の用紙情報に基づいて、当該ラベル用紙100上での印刷対象のラベルを特定するなどの処理を行う。この印刷対象ラベルの特定にあたって、印刷制御部20は、用紙情報DB30を参照する。
【0043】
用紙情報DB30は、個々のラベル用紙100について、用紙ID等の用紙情報を記憶するデータベースである。用紙情報DB30内に記憶されるデータの一例を、図3に示す。
【0044】
図3の例では、用紙情報DB30には、ラベル用紙100ごとに情報エントリが設けられており、その情報エントリには、そのラベル用紙100の用紙ID、用紙種別情報、及び未印刷ラベル情報が含まれている。
【0045】
用紙IDは、個々のラベル用紙100を一意に特定するものであればどのようなものを用いてもよい。図3の例では、ラベル用紙100ごとに異なる通し番号を用紙IDとしている。
【0046】
用紙種別情報は、当該ラベル用紙100の種別を表す情報である。ラベル用紙の種別は、例えば、当該ラベル用紙のサイズと、当該ラベル用紙上でのラベル120の配列パターンとの組合せで規定される。図示例では、用紙種別情報「001」は、A4サイズでラベル配列パターンが2列5行(合計10枚)のラベル用紙種別(例えば図4に例示するもの)を、「002」はA4サイズでラベル配列が3列4行のラベル用紙種別を示す。なお、この例で用紙サイズとラベルの配列パターンの組合せを用紙種別として用いるのは、その組合せにより、ラベル用紙上の個々のラベルの位置が決まるからである。なお、用紙種別情報は、用紙サイズトラベル配列の組合せに限られるものではなく、ラベル用紙上の個々のラベル用紙の位置を規定する情報であれば、どのような内容の情報であってもよい。
【0047】
また、図3の例では、未印刷ラベル情報として、当該ラベル用紙上のラベルのうち既に使用済み(すなわち印刷済)のラベルの枚数を用いている。これは、ラベル用紙上の各ラベルに対して予め定められた順序で印刷を行う場合(例えばラベル用紙の先頭方向が決まっており、その先頭方向のラベルから順に印刷するなど)の、未印刷ラベル情報の一例である。例えば未印刷ラベル情報がn(nは0以上の整数)である場合、ラベル用紙上のラベルのうち、定められたラベル印刷順序で1〜n番目のラベルまでは使用済みなので、先頭から(n+1)番目のラベルが未印刷のラベルの先頭のものである。このラベルから、その印刷順序に従って今回印刷する枚数分のラベルが、印刷対象のラベルとして特定される。ここで、用紙種別情報から個々のラベルのラベル用紙上での位置が分かるので、先頭から何番目から何番目までのラベルが印刷対象かが分かれば、それら印刷対象のラベルの位置も分かることになる。
【0048】
再び図1の説明に戻ると、印刷制御部20は、用紙情報検出部12がそのラベル用紙100から検出した用紙IDに対応する用紙種別情報と未印刷ラベル情報とを用紙情報DB30から読み出し、読み出した情報に基づいて、そのラベル用紙100上で今回印刷すべき各ラベルの位置を特定する。
【0049】
未印刷ラベル情報更新部40は、ラベル用紙100に対してラベル印刷を行う都度、用紙情報DB30に記憶された当該ラベル用紙100の未印刷ラベル情報を更新する。例えば、ある印刷ジョブでラベル用紙100上の3枚のラベルに対して印刷した場合、未印刷ラベル情報更新部40は、用紙情報DB30内の当該ラベル用紙100の未印刷ラベル情報(使用済み枚数)の値を3だけ増大させる。
【0050】
図4に、本実施形態のシステムで用いられるラベル用紙の一例の外観を示す。図示のように、ラベル用紙100は、台紙110と、当該台紙110の表面上に配列された複数のラベル120とを含んでいる。各ラベル120は、表面が印刷可能な面、裏面が粘着面となっている。図示例では、ラベル用紙100には、2列×5行の10枚の矩形のラベル120が配列されている。
【0051】
図4の例では、ラベル用紙100の周囲のマージン部分(すなわちラベル120が配置されていない部分)のうちラベル用紙100の長手方向に沿った一方の端部に、当該ラベル用紙の基準方向(すなわち用紙搬送方向についての先頭方向)を示すマーク114aが印刷されている。例えば、ユーザは、印刷装置10に対してラベル用紙をセットする際、このマーク114aが印刷された端部が用紙搬送方向に関して当該ラベル用紙の先頭方向に来るようセットする。これにより、そのラベル用紙上のラベル群は、決まった方向から順に使用されていくことになる。図示例では、マーク114aとして、基準方向の向きを指す三角形を用いているが、これは一例に過ぎない。また、ラベル用紙100の長手方向に沿った方向のうち、後述する用紙ID112aの印刷されている側を基準方向とするという取り決めをしておくならば、マーク114aはなくてもよい。
【0052】
図4において、各ラベル120の中央に示された括弧付きの番号は、ラベル用紙100を、マーク114aの側を用紙搬送方向について先頭側にして印刷装置10にて印刷を行った場合の、各ラベル120の印刷順序の一例を示している。この例では、用紙搬送方向について先頭側からラスタ走査順に、各ラベル120が印刷されていく。例えば、図3の用紙ID「00000123」のラベル用紙100の場合、図4に示す2列5行のラベルのうちマーク114a側からラスタ走査順に3枚のラベル120が消費済みであるので、図5で破線の矩形122にて示した(1)〜(3)のラベルが、既に印刷され台紙110上から剥がされている。図5に示すラベル用紙100を用いて次にラベル印刷を行う場合には、未印刷のラベルの先頭である番号(4)のラベル120から使用されることとなる。
【0053】
また、図4の例では、矩形のラベル用紙100の周囲のマージン部分のうち、当該ラベル用紙100の長手方向に沿った先頭側の部分に、当該ラベル用紙100を一意に識別する用紙ID112aが印刷されている。
【0054】
図4の例では、用紙ID112aはバーコードで表現されているが、QRコード(登録商標)などのような他の形式の画像コードで表現されていてももちろんよい。これら用紙ID112aは、例えば、ラベル用紙100を生産する工場にて印刷するようにすればよい。
【0055】
このように図4の例では、ラベル用紙100の基準方向に沿った先端部に用紙ID112aが印刷されている。このため、マーク114aを用紙搬送方向について先頭側となるようにユーザがラベル用紙100を印刷装置10にセットすることで、図2に示した用紙情報検出部12にてその用紙ID112aが読み取られラベル用紙100が識別され、その後その識別結果に応じてその下流の印刷機構14にてラベル印刷が行われることとなる。
【0056】
この実施形態のシステムによるラベル印刷の手順の一例を図6に示す。この例では、まずユーザが印刷装置10の給紙部(図示省略)に対して、マーク114aが用紙搬送方向に沿った先頭側となるよう、ラベル用紙100をセットする。この場合、例えば給紙部等に、ラベル用紙100を正しい向きにセットするための案内(例えばマーク114aを給紙部のトレイのどちら側に向けるかを示すマークなど)を示しておいてもよい。このようにラベル用紙100がセットされた状態で、ユーザは、PC(パーソナルコンピュータ)等の上位装置から本システムに対してラベル印刷の指示を行う。これにより、上位装置から本システムの印刷制御部20に対してラベル印刷指示情報が送られる。このラベル印刷指示情報には、例えば、ラベル120群に対して印刷すべきラベル情報内容のリストが含まれている。このリストに含まれるラベル情報内容の数だけラベル120が消費(印刷)されることとなる。ラベル印刷指示を受けた印刷制御部20は、給紙部に、ラベル用紙100を印刷装置10の用紙搬送路上へ給紙させる。図2に例示したように、用紙搬送方向Aにそって搬送されるラベル用紙100は、まず用紙情報検出部12により用紙ID112aが読み取られる(S10)。印刷制御部20は、用紙情報DB30から読み取られた用紙ID112aに対応する用紙種別情報及び未印刷ラベル情報を、用紙DB30から検索する(S12)。
【0057】
S12の検索の結果に応じ、印刷制御部20はそのラベル用紙100上の印刷対象のラベル群を特定し、それらラベル群に印刷を行うための印刷画像データを生成する(S14)。このS14では、印刷制御部20は、例えば、検索した用紙種別情報から、そのラベル用紙100上の各ラベルの存在場所を特定する。各ラベルの存在場所は、例えば各ラベルの左上隅と右下隅の座標の組などで表される。用紙種別、すなわちラベル用紙のサイズとラベルの配列パターンの組、が分かれば、各ラベルの存在場所は特定される。また、印刷制御部20は、検索した未印刷ラベル情報から、そのラベル用紙100上の先頭から何番目のラベル120までが使用済みであるか、言い換えれば、用紙の先頭から何番目のラベル120が未印刷のラベル群のうちの先頭であるかを特定する。そして、特定した未印刷の先頭のラベルから、ラベル印刷指示情報に含まれる印刷対象のラベル情報内容の数だけのラベル120を、印刷対象のラベル群として特定する。そして、印刷制御部20は、用紙種別情報から特定される各ラベル120の存在場所に基づき、印刷対象の各ラベル120の存在場所に対してラベル印刷指示情報に含まれる個々のラベル情報内容を順に割り付けることにより、印刷画像データを生成する。
【0058】
印刷制御部20は、その印刷画像データを印刷機構14に転送する。印刷機構14は、その印刷画像データをそのラベル用紙100上に印刷する(S16)。これにより、ラベル印刷指示情報に含まれる各ラベル情報内容が、当該ラベル用紙100上の印刷対象の各ラベル120に印刷される。
【0059】
また、印刷制御部20は、未印刷ラベル情報更新部40に対して、当該ラベル用紙100の用紙IDと今回の印刷対象のラベルの枚数とを通知し、未印刷ラベル情報の更新を指示する。この指示に応じて、未印刷ラベル情報更新部40は、用紙情報DB30にアクセスし、当該用紙IDに対応する未印刷ラベル情報を更新する(S18)。すなわち、例えば、未印刷ラベル情報更新部40は、印刷制御部20から通知された用紙IDに対応する未印刷ラベル情報を読み出し、その未印刷ラベル情報が示す使用済みラベル枚数に、今回の印刷対象のラベルの枚数を加算し、その加算結果を当該用紙IDに対応する未印刷ラベル情報として用紙情報DB30に書き戻す。
【0060】
未印刷ラベル情報更新部40による未印刷ラベル情報の更新は、ラベル用紙100に対するラベル印刷(S16)の完了後に行えばよい。ただしこれは一例に過ぎず、例えばこの代わりに、上位装置からラベル印刷指示情報を受け取り、かつラベル用紙100から用紙IDを読み取った後、ラベル印刷が完了する前の段階で、用紙情報DB30内の未印刷ラベル情報を更新してもよい。
【0061】
次に、ユーザが印刷装置10の給紙部にセットしたラベル用紙100の向きが正しいか否かをシステム側で判定し、判定結果に応じた制御を行う例をいくつか説明する。
【0062】
一つの例では、印刷制御部20は、上位装置からラベル印刷指示を受けた場合に、ラベル用紙100が用紙搬送路上の用紙情報検出部12の読取位置を通過したにもかかわらず、用紙情報検出部12から用紙IDが通知されなかった場合、そのラベル用紙100がセットされた向きが誤りであると判定する。この場合、印刷制御部20は、そのラベル用紙100に対する印刷機構14による印刷を行わず、そのラベル用紙100を排紙トレイに出力し、例えばエラーとして印刷動作を一時停止する。このとき、印刷制御部20は、印刷装置10のユーザインタフェース画面に、ラベル用紙の向きが誤っているので印刷しなかったこと、ラベル用紙を正しい向きにセットして印刷再開の指示を行うこと、等を示したメッセージを表示する。ユーザは、このメッセージに従い、ラベル用紙100を正しい向きにセットし直して印刷再開を指示する。用紙ID112aが図4に示すようにラベル用紙100の基準方向の先端に印刷されている構成の場合、このような制御により、誤った向きにセットされたラベル用紙に対してラベル印刷が行われてしまうことがなくなる。
【0063】
また、別の例として、システムがラベル用紙100の向きを検知し、その向きに応じてラベル印刷を制御する例を示す。
【0064】
この例では、図7に示すようなラベル用紙100を用いる。図7の例では、矩形のラベル用紙100の周囲のマージン部分のうち、当該ラベル用紙100の基準方向に沿った両端の部分の、ラベル用紙100の紙面の中心点回りに互いに回転対称の位置に、当該ラベル用紙100を一意に識別する用紙ID112a及び112bが印刷されている。これにより、ラベル用紙100を長手方向についてどちら側を先頭にして印刷装置に挿入しても、印刷装置10内の固定位置に配置された用紙情報検出部12にて用紙ID112a又は112bが読み取られることとなる。
【0065】
ここで、図7の例では、用紙ID112a及び112bの画像コードが、用紙の幅(短手)方向の中央ではなく、一方の端部側に偏った位置に印刷されている。このため、用紙情報検出部12内の画像コード読取装置が、基準方向を用紙搬送方向に合わせた正しい向きにラベル用紙100をセットした場合に用紙ID112aが読み取れる位置に配置されていれば、その読取装置は、搬送されるラベル用紙100の先頭側にある用紙ID112aは読み取るが、後端側にある用紙ID112bは読取範囲から外れるので読み取らない。用紙IDを記憶した無線タグをラベル用紙100に設ける方式の場合、無線タグとして近接型等の通信距離が短い規格のものを、図7の例と同様ラベル用紙100の長手方向の両端のマージン部分の、互いに回転対称かつ当該用紙の幅方向について中央から端部側へ偏った位置に設ければ、図7の例と同様、搬送される用紙100の一方の無線タグの用紙IDのみが読取装置により読み取られることとなる。
【0066】
また、ラベル用紙100の基準方向に沿った後端のマージン部分に、当該用紙100の基準方向に沿った後端を示すマーク114b(図7では破線で示した)が印刷されていてもよい。マーク114bは、マーク114aとは異なったものとする。例えば、マーク114bは、当該マーク114bを用紙搬送方向に沿った先頭側にして当該ラベル用紙100を搬送した場合に、マーク114aとは異なる形状として読み取られるものとすればよい。
【0067】
この例では、システムは、図8に示すような手順を実行すればよい。なお、この手順においてS10a及びS14a以外の各ステップS12,16及び18は、図6の場合と同様の処理でよい。
【0068】
図8の手順では、印刷装置10の用紙情報検出部12が、搬送されるラベル用紙100から用紙IDと、用紙基準方向を示すマーク114a(又は114b)を読み取る(S10a)。用紙後端を示すマーク114bを用いない例では、印刷制御部20は、用紙情報検出部12にて用紙IDが検出されたにもかかわらず、マーク114aが検出されない場合、ラベル用紙100が逆向きにセットされたと判定する。逆に、マーク114aが検出された場合は、正しい向きにセットされたと判定する。また、用紙後端部を示すマーク114bが印刷されたラベル用紙を用いる場合は、用紙情報検出部12にて用紙IDと共にそのマーク114bが読み取られた場合には、ラベル用紙100が逆向きにセットされたと判定すればよい。
【0069】
そして、S14aにて印刷対象のラベル群を特定する際、印刷制御部20は、S10aで検出したラベル用紙100の向きを考慮する。すなわち、ラベル用紙100が逆向きであると判定した場合、印刷制御部20は、未印刷ラベル情報が示す使用済みのラベルの位置を逆向きに解釈する。当該ラベル用紙100のラベルの配列パターン及びラベルの使用順序が正しい向きの逆向きであることを考慮して、未使用のラベルの先頭と、それ以降の印刷されるラベル群の位置を特定する。なお、S10aでラベル用紙100が正しい向きであると判定した場合は、図6のS14と同様の処理を行えばよい。
【0070】
また、S10aにてラベル用紙100が逆向きにセットされていると判定した場合、印刷制御部20は、S14aにて印刷画像データを生成する場合に、個々のラベル情報内容の画像を逆向きに座標変換して、ラベルの配置を逆から計算してもよい。これにより、例えば、図9に示すように個々のラベル122の形状がラベル用紙100の基準方向に垂直な線に関して対称でない場合(図9の例ではハート形)でも、ラベル情報内容がラベル122内に収まるよう正しく印刷される。なお、図4に例示した矩形のラベル120のようにラベル120の形状が基準方向に垂直な線に関して対称である場合は、ラベル用紙100が逆向きであっても、ラベル情報内容の画像は逆向きにしなくてよい。ここで、ラベル用紙100が逆向きである場合に、個々のラベル情報内容の画像を個別に逆向きに座標変換するのではなく、図6のS14と同様の処理により、正しい向きにセットされた場合の印刷対象の各ラベルに対して印刷すべきラベル情報内容が配列されている印刷画像データを生成し、その印刷画像データ全体を、前後逆向きとなるよう座標変換してもよい。
【0071】
図7のラベル用紙100を用いる場合、ラベル用紙100が正しい向きから90度右又は左に回転した向きで給紙部にセットされた場合、用紙情報検出部12は、用紙ID112a(又は112b)を読み取れない。このような場合、上述の例と同様、印刷制御部20は、ラベル用紙100が誤った向きにセットされていると判定し、印刷機構14に印刷を行わせずに排紙し、誤った向きにセットされている旨を示すメッセージを画面表示する等のエラー処理を行ってもよい。
【0072】
また、さらなる変形として、図10に示すようなラベル用紙100を用いてもよい。この例では、ラベル用紙100の長手方向のみならず短手方向の両端のマージン部分にも、用紙ID112c、112dと、基準方向を示すマーク114c、114dと、が印刷されている。マーク114c、114dは、それぞれの形状により、ラベル用紙100の四辺のうち当該マーク114c又は114dが位置する辺が、図中矢印で示される基準方向に対して左側又は右側のいずれの辺であるかを示す。
【0073】
この例では、ラベル用紙100が印刷装置10の給紙部に対して裏返しにセットされない限り、どの向きにセットされたとしても、用紙情報検出部12はそのラベル用紙100から用紙ID112a〜112dと基準方向のマーク114a〜114dを検出する(図8のS10a)。そして、基準マーク114a〜114dのいずれが検出されたかに応じて、印刷制御部20はそのラベル用紙100がセットされた向きを特定し、特定した向きに応じてラベル用紙100上のラベル配列を特定し、特定したラベル配列に応じて未印刷の先頭のラベルを特定し、この特定の結果に応じて今回の印刷対象のラベル群を特定してもよい。また、ラベル用紙100がセットされた向きの特定結果に応じて、印刷するラベル情報内容の画像(又は1ページ分の印刷画像データ全体)を座標変換(回転)させてもよい(なお、特定された向きが正しい向きの場合は、座標変換は不要)。
【0074】
以上の例では、ラベル用紙100には用紙ID112a〜112dとは別に基準方向を示すマーク114a〜114dが印刷されているが、これは一例に過ぎない。この代わりに、用紙ID112a〜112dを示すバーコード等の画像コードの中に、基準方向の情報が含まれるようにしてもよい。この場合、例えば、基準方向に沿って先頭側のマージンに印刷される用紙ID112aの画像コードには、用紙IDの情報と「基準方向に沿って先頭側である」ことを示す情報とが、基準方向に沿って左側のマージンに印刷される用紙ID112cの画像コードには、用紙IDの情報と「基準方向に沿って左側である」ことを示す情報とが、それぞれ含まれる(他の画像コードも同様)。
【0075】
また、ラベル用紙100の図10に示した各用紙ID112a〜112dの位置に、通信距離の短い無線タグを装着しておき、それら各無線タグに、用紙IDと当該タグの基準方向に対する位置関係を示す情報(例えば「基準方向に沿って先頭側」など)を記憶させておくようにしてもよい。
【0076】
以上の例では、ラベル用紙100に対して用紙ID112a(〜112d)が予め印刷されていたが、これは一例に過ぎない。この代わりに、本実施形態のラベル印刷システムがラベル用紙100に一意な用紙IDを付与して印刷するようにしてもよい。この場合のシステムの処理手順の例を、図11に示す。
【0077】
この例では、未使用のラベル用紙100には、用紙ID112a〜112dは印刷されていない。そして、そのラベル用紙100に対して最初にラベル印刷を行う際に、本システムが、その用紙の四辺のマージン部に用紙ID112a〜112dを印刷する。以下、更に詳しく説明する。
【0078】
図11の手順では、ラベル印刷指示が到来した場合、印刷制御部20は用紙情報検出部12に用紙ID112a〜112及び基準方向を示すマーク114a〜114d等の情報の検出を行わせ(S10a)、用紙ID112a〜112dが検出されたかどうかを判定する(S11)。検出された場合は、図8と同様の処理を実行する(S12〜S18)。
【0079】
S11で用紙ID等が検出されなかった場合、印刷制御部20は、用紙情報DB30に対して用紙IDの発行を依頼する(S20)。この依頼に応じ、用紙情報DB30は、一意な用紙IDを発行すると共に、当該DB30内に当該用紙IDのための情報エントリを作成する。この時点では、この情報エントリ内の未印刷ラベル情報は0(すなわちラベル使用枚数が0)に設定される。また、S20にて、印刷制御部20がラベル用紙100の用紙種別をユーザに問合せ、この問合せに対してユーザが回答した用紙種別を、用紙情報DB30が、発行した用紙IDの情報エントリに登録してもよい。この代わりに、ラベル用紙100を製造する工場等にて、ラベル用紙100に対して用紙種別を表す情報を例えば画像コードを印刷して(あるいは無線タグに記憶させて)おき、S10aで用紙種別情報も読み取り、読み取られた用紙種別情報をS20で印刷制御部20が用紙情報DB30に通知してもよい。この場合、用紙種別情報は、図10の例の用紙ID112a〜112dと同様、ラベル用紙100の四辺それぞれのマージン部分に印刷されているものとする。
【0080】
印刷制御部20は、用紙情報DB30が発行した用紙IDを取得する(S22)。そして、この時点では、印刷対象のラベル用紙100は未使用なので、当該ラベル用紙100上のラベル配列の先頭のラベルから順に、ラベル印刷指示にて指定された枚数のラベルを印刷対象として特定する(S24)。そして、それら印刷対象のラベル群に印刷すべきラベル情報内容と、当該ラベル用紙100の四辺のマージン部分に印刷する用紙ID112a〜112dの画像コードと、を表す印刷画像データを生成する(S26)。このS26では、S10aでラベル用紙100から読み取った基準方向の情報に応じて、印刷画像データの向きを当該ラベル用紙100の向きに合わせるようにする。このようにして生成した印刷画像データを印刷機構14に供給することにより、未使用のラベル用紙100に対してラベル情報内容と共に、用紙ID112a〜112d(図10参照)が印刷される(S16)。そして、未印刷ラベル情報更新部40により、用紙情報DB30内の当該ラベル用紙の未印刷ラベル情報を、印刷したラベルの数に応じて更新する(S18)。
【0081】
図11の処理手順では、新品のラベル用紙100に対して最初にラベル印刷を行う際に用紙ID112a等をその用紙に印刷したが、これは一例に過ぎない。この代わりに、システムにラベル用紙初期化モードを設け、ユーザが新品のラベル用紙100を印刷装置10にセットしてこのモードを指定すると、用紙IDを発行してそのラベル用紙100に印刷するようにしてもよい。
【0082】
次に、図12〜図19を参照して、後処理装置50を含んだシステム構成の例を説明する。この例では、図12に示すように、ラベル印刷システムは、印刷装置10、印刷制御部20、用紙情報DB30及び未印刷ラベル情報更新部40の他に、後処理装置50を備える。後処理装置50は、印刷装置10が出力した印刷結果のラベル用紙100に対して、ラミネート加工、エンボス加工、金箔押し等の後処理を行う装置である。後処理装置50は、ラミネート加工、エンボス加工、金箔押し等の各種後処理機能のうちの一つを実行する装置であってもよいし、複数を実行可能な装置であってもよい。後処理装置50は、印刷装置10に機械的に接続され、印刷装置10の排紙部から出力される印刷結果を自動的に受け取って後処理を行ってもよい。この場合、用紙情報検出部52は省略してもよい。また、後処理装置50が印刷装置10に接続されておらず、ユーザが印刷装置10による印刷結果のラベル用紙100を手動で後処理装置50にセットする構成であってもよい。
【0083】
後処理装置50は、ネットワーク等を介して用紙情報DB30にアクセス可能となっている。
【0084】
一つの例では、後処理装置50は、用紙情報検出部52を内蔵していてもよい。用紙情報検出部52は、印刷装置10の用紙情報検出部12と同様、投入されたラベル用紙100から用紙ID112a等(及び基準方向を示すマーク114a等)を検出する。用紙情報検出部52は、後処理装置50内の用紙搬送路上で後処理を行う機構の上流側に設け、用紙情報検出部52の検出結果に応じて後処理の制御を行うようにしてもよい。
【0085】
なお、後処理装置50が印刷装置10に直結され、印刷装置10の印刷結果を自動的に受け取る構成の場合、後処理装置50に用紙情報検出部52を設ける代わりに、印刷装置10の用紙情報検出部12が検出した用紙IDを後処理装置50に通知する構成としてもよい。
【0086】
図12のシステムでは、用紙情報DB30内の各ラベル用紙の情報エントリには、図3に例示した用紙ID、用紙種別情報、及び未印刷ラベル情報に加え、図13に示すように「今回印刷したラベル数」の情報が含まれる。「今回印刷したラベル数」の欄は、上位装置からのラベル印刷指示に応じてラベル印刷を実行した際、そのときに印刷したラベルの枚数が記録される。例えば、図5に例示したラベルが3枚使用済みのラベル用紙100に対し、今回のラベル印刷指示に従って4枚のラベルに新たに印刷を行ったとする。この場合、印刷結果のラベル用紙100では、図14に示すように、番号(4)〜(7)の合計4枚のラベルが新たに印刷されることとなる。この場合、用紙情報DB30の当該ラベル用紙の情報エントリは、図13の用紙ID「00000123」のエントリに示すように、「今回印刷したラベル数」が「4」に設定される。この「今回印刷したラベル数」の情報は、後処理装置50が後処理の範囲を特定するために用いる。すなわち、「以前印刷して既に使用済みのラベル数」と「今回印刷したラベル数」と「未使用ラベル数」を判別できる情報であればよい。
【0087】
図12の例における印刷制御部20の処理手順の例を図15に示す。図15の例は、図4に例示した一方の端部にのみ用紙ID112aとマーク114aが印刷されたラベル用紙100を使用し、ユーザがマーク114aに従ってそのラベル用紙100を正しい向きに設定することを想定した手順である。図15の手順の各ステップうち、図6に例示したステップと同様の処理を行うステップには同一の符号を付して説明を省略する。
【0088】
この手順では、上位装置からラベル印刷指示を受けた印刷制御部20は、用紙情報検出部12によりラベル用紙100の用紙ID112aが検出されると(S10)、その用紙IDに対応する用紙種別、未印刷ラベル情報、及び「今回印刷したラベル数」を用紙情報DB30から検索する(S12a)。そして、取得した未印刷ラベル情報が示すラベル使用済み枚数に、同じく取得した「今回印刷したラベル数」を加算し、その加算結果とその用紙IDを未印刷ラベル情報更新部40に渡して未印刷ラベル情報の更新を指示する。この指示に応じ、未印刷ラベル情報更新部40は、用紙情報DB30にアクセスし、その用紙IDに対応する未印刷ラベル情報にその加算結果を上書きすると共に、その用紙IDに対応する「今回印刷したラベル数」の値を「0」にリセットする(S13)。
【0089】
その後、印刷制御部20は、図6の手順と同様、印刷対象のラベル群を特定して印刷画像データを生成し(S14)、その印刷画像データを印刷機構14に渡してラベル用紙に対する印刷を実行させる(S16)。そして、印刷制御部20(または未印刷ラベル情報更新部40)は、上位装置からのラベル印刷指示に従って今回印刷したラベル数を、用紙情報DB30の当該ラベル用紙の用紙IDに対応する「今回印刷したラベル数」の欄に登録する(S19)。なお、このようにラベル印刷が完了してから「今回印刷したラベル数」を書き換える代わりに、ラベル印刷が完了する前に、用紙情報DB30内の当該ラベル用紙の「今回印刷したラベル数」を、今回のラベル印刷指示情報にて指示された印刷対象のラベル枚数に書き換えてもよい。
【0090】
図15に例示した印刷制御部20の処理に対応する後処理装置50の処理手順の例を図16に示す。この例では、まず用紙情報検出部52が、後処理対象のラベル用紙100から用紙IDを検出する(S30)。次に後処理装置50は、検出された用紙IDに対応する用紙種別、未印刷ラベル情報、及び「今回印刷したラベル数」を用紙情報DB30から検索し(S32)、検索した情報から後処理対象のラベル群を特定する(S34)。後処理対象のラベル群の特定の仕方は、印刷制御部20による印刷対象のラベル群の特定の方法と同様でよい。すなわち、用紙種別の情報から当該ラベル用紙上の各ラベルの存在場所を特定し、未印刷ラベル情報から未使用の先頭のラベルを特定し、その未使用の先頭のラベルを始点として「今回印刷したラベル数」のラベルを後処理対象として特定すればよい。そして、後処理装置50は、特定したラベル群に対して、ユーザから指定された後処理を実行する。
【0091】
図15及び図16の例は、後処理がラベル単位で実行される場合の例である。ラベル単位で実行可能な後処理には、例えば金箔押しがある。一方、ラベル処理の中には、ラベル単位ではなく、ラベル用紙のある範囲を単位として実行されるものもある。例えば、ラミネート加工は、図17に例示するように、ラベル単位ではなく、用紙搬送方向に垂直な用紙の全幅の範囲に対して一括して施される(用紙搬送方向については加工範囲を指定可能)。図17の例では、太い実線130で囲まれる矩形の範囲が、ラミネート加工の範囲である。この例は、2列5行のラベル用紙100上の番号(4)〜(7)のラベルに今回印刷が行われた場合の、ラミネート加工の範囲を示す。この例では、今回印刷していない番号(8)のラベルに対してもラミネート加工が施されるので、番号(8)のラベルも使用済みとなってしまう。
【0092】
このように後処理がラベル単位でない場合の印刷制御部20の処理手順の例を図18に示す。図18の手順は、図15に示した手順に対してS13aを追加したものである。すなわち、この手順では、後処理装置50が後処理に応じて用紙情報DB30内の未印刷ラベル情報及び「今回印刷したラベル数」を更新する可能性を考慮し、そのような更新が行われたかをS13aで判定する。今回の印刷対象のラベル用紙100に対し、前回のラベル印刷の際に後処理が行われていれば、後処理装置50が用紙情報DB30内のそのラベル用紙の未印刷ラベル情報及び「今回印刷したラベル数」を更新しており、その結果「今回印刷したラベル数」は「0」になっている。そこで、S13aでは、S12aで検索した「今回印刷したラベル数」が「0」かどうかを判定する。判定の結果「0」でなければ、印刷制御部20は、S12aで取得した未印刷ラベル情報が示すラベル使用済み枚数に、同じく取得した「今回印刷したラベル数」を加算し、その加算結果に従って未印刷ラベル情報更新部40に用紙情報DB30内の未印刷ラベル情報等の更新を行わせ(S13)、S14に進む。S12aで検索した「今回印刷したラベル数」が「0」であれば、S13はスキップされ、S14の処理が実行される。S14以降の処理は図15の例と同様でよい。
【0093】
後処理がラベル単位でない場合の後処理装置50の処理手順の例を図19に示す。図19の手順のうち、図16に示したステップと同様のステップには同一符号を付して説明を省略する。
【0094】
図19の手順では、後処理装置50は、S34aにて、後処理対象のラベル群を特定する際、実行する後処理の種類を考慮する。後処理がラベル単位で実行される種類のものであれば、後処理対象のラベル群は図16のS34と同様の方法で求めればよい。一方、ラミネート加工のようにラベルより広い範囲を実行単位とする後処理を実行する場合のS34aの処理は、例えば次のようになる。すなわち、後処理装置50は、S12aで検索した未印刷ラベル情報と「今回印刷したラベル数」から当該ラベル用紙100上で今回新たに印刷されたラベル群を特定し、指示された種類の後処理のために設定可能な後処理範囲のうち、それら特定したラベル群を含んだ最小の範囲を後処理範囲に決定する。この場合、決定された後処理範囲内に含まれるラベル群が、後処理対象のラベル群となる。後処理装置50は、S34aで特定した後処理対象のラベル群に対して後処理を実行する(S36)。また、後処理装置50は、用紙情報DB30内の当該ラベル用紙の未印刷ラベル情報及び「今回印刷したラベル数」を更新する(S38)。後処理がラベル単位のものであれば、S38では、未印刷ラベル情報は、S32で読み出した未印刷ラベル情報が示す使用済みラベル枚数に対して、同じくS32で読み出した「今回印刷したラベル数」を加算したものへと更新すればよい。一方、後処理がラベルよりも広い範囲を単位とするものである場合は、未印刷ラベル情報が示す使用済みラベル枚数に対して「今回印刷したラベル数」を加算した上に、更に今回印刷したラベルの後に続く未印刷のラベルのうちS34aで特定した後処理範囲に含まれるものの数も加算し、その加算結果により未印刷ラベル情報を更新する。例えば、図17の例では、今回印刷しなかった番号(8)のラベルにもラミネート加工が施されるので、このラベル用紙100に対応する未印刷ラベル情報は「8」に更新される。なお、いずれの場合も、S38では、当該ラベル用紙の「今回印刷したラベル数」は「0」に更新する。
【0095】
図18及び図19の処理では、後処理装置50にて未印刷のラベルに対して後処理が行われた場合に、その後処理に応じて、用紙情報DB30の未印刷ラベル情報が適切に更新される。
【0096】
図12〜図19を用いて説明したシステムの例は、ラベル用紙100がユーザによって正しい向きにセットされ印刷装置10に投入されることを想定したものであり、後処理装置50を備えないシステムの例では図6の手順例に対応するものであった。しかしながら、例えば図7〜図11等を参照して説明した、ユーザがラベル用紙100を自由な向きにセットしても、その向きに合わせた各種の処理を行う仕組みは、図12に示す後処理装置50を備えたシステムにも適用可能である。例えば、図4に示すような用紙ID112aが1つしか印刷されていないラベル用紙100を用い、ラベル用紙100が正しい向きにセットされないと用紙情報検出部12及び52が用紙ID112aを検出しないようにし、用紙ID112aが検出されない場合にはラベル印刷を行わずにエラー処理を行ってもよい。また、例えば、図10に例示した四辺に用紙ID112a〜112dと基準方向を示すマーク114a〜114dを備えるラベル用紙100を用い、印刷装置10、又は後処理装置50、又はその両方が、ラベル用紙100がどの向きにセットされても対応できるようにしてもよい。
また、後処理の実施しやすさを予め考慮して、図14に示すように、番号(4)〜(7)にラベル印刷するのではなく、番号(4)を事前に印刷済みとして処理し、番号(5)〜(8)に印刷、後処理を実施してもよい。
【0097】
次に、用紙情報DB30を用いないシステム構成の例について説明する。この例では、ラベル用紙100の未印刷ラベル情報や用紙種別情報を、用紙情報DB30ではなく、ラベル用紙100自体に持たせる。
【0098】
図20に、この例におけるラベル用紙100の一例を示す。図20において、図4、図5及び図14に例示したラベル用紙100の要素と同一の要素には、同一符号を付して説明を省略する。
【0099】
図4等のラベル用紙100に印刷されていた用紙ID112aの代わりに、図20のラベル用紙100には、用紙種別コード142aが印刷されている。用紙種別コード142aは、当該ラベル用紙100の種別を示す画像コードである。ラベル用紙100の種別は、上述の例の場合と同様、用紙サイズとラベル配列パターン(m行n列)との組合せなどである。用紙種別コード142aは、1つの例では、ラベル用紙100を製造する工場で予め印刷しておけばよい。
【0100】
また、図20のラベル用紙100には、0個以上の印刷枚数コード144a、144bが印刷される。個々の印刷枚数コード144a、144b(以下、区別する必要がない場合は印刷枚数コード144と総称する)は、上位装置からの個々のラベル印刷指示に応じてラベル印刷システムが印刷したラベル枚数を示す画像コードである。印刷枚数コード144は、ラベル印刷指示に応じたラベル印刷を行う都度、ラベル用紙100に対して、予め定められたコード配列順(例えばラスタ走査順)に従って追記されていく。例えば、ラスタ走査順の追記では、ラベル用紙100のマージン部分の中に設定されたコード印刷範囲内の左上隅を起点に、ラベル印刷を行う都度、右方向に向かって印刷枚数コード144を追記していき、その範囲の右端に達すると、再び当該範囲の左端に戻り、1段分下がった位置から印刷枚数コード144を順に右方向に追記していく。なお、この追記は、例えばラベル印刷の際に印刷装置10が実行する。
【0101】
図20は、当該ラベル用紙100に対する1回目のラベル印刷指示で3枚のラベルに印刷を行い、その後そのラベル用紙100を再度印刷装置10にセットして、2回目のラベル印刷指示で2枚のラベルに印刷を行った場合の例である。この例では、ラスタ走査順で最初の印刷枚数コード144aは1回目のラベル印刷指示に対応する印刷枚数「3」を、その右隣の印刷枚数コード144bは2回目のラベル印刷指示に対応する印刷枚数「2」を表す。
【0102】
この例では、ラベル用紙100に印刷された印刷枚数コード144の集合が、未印刷ラベル情報に該当する。すなわち、それら印刷枚数コード144が表すラベル印刷枚数の合計が、当該ラベル用紙100上で既に印刷済のラベルの合計枚数を表している。この印刷済のラベルの合計枚数と、これを用紙種別コード142aから特定される用紙サイズ及びラベル配列パターンと組み合わせることで、基準方向に沿った先頭側からラベル120が印刷されていくという順序規則の下で、未印刷のラベル群の位置が特定される。
【0103】
この例のラベル印刷システムの例を図21に示す。図21において、図1に示した要素と同様の要素には、同一の符号を付して説明を省略する。また、このシステムの処理手順の一例を図22に示す。
【0104】
この例では、用紙情報検出部12は、用紙搬送路上を搬送されるラベル用紙100から用紙種別コード142a及び未印刷ラベル情報(すなわち印刷枚数コード144群)を読み取り、読み取った情報を印刷制御部20に送る(S40)。
【0105】
印刷制御部20は、用紙情報検出部12から送られてくる情報に基づき、当該ラベル用紙100の用紙種別(例えば用紙サイズのラベル配列パターンの組合せ)と、未印刷ラベル情報としての印刷済のラベルの合計枚数とを求める。そして、求めた情報と、上位装置からのラベル印刷指示情報にて指定された今回のラベルの印刷枚数とに基づいて、印刷対象のラベル120群を特定する(S42)。印刷対象のラベル120群の特定は、図6のS14等と同様の方法で行えばよい。
【0106】
また、印刷制御部20の一機能である未印刷ラベル情報更新部40aは、上位装置からのラベル印刷指示情報にて指定された今回のラベルの印刷枚数を示す印刷枚数コード144を生成する(S44)。
【0107】
印刷制御部20は、上位装置からのラベル印刷指示情報と、未印刷ラベル情報更新部40aの生成した印刷枚数コード144とから、ラベル用紙100に印刷すべき印刷画像データを生成する(S46)。この処理では、例えば、ラベル印刷指示情報に含まれる印刷すべき個々のラベル情報内容の画像を、S42で特定した印刷対象の各ラベルの場所へと位置合わせするとともに、S44で生成した印刷枚数コード144の画像を、S50で用紙情報検出部12が読み取った印刷枚数コード144のうちのコード配列順での最後のものの次の位置に位置合わせすることで、印刷画像データが生成される。
【0108】
そして印刷制御部20は、その印刷画像データを印刷装置10に供給する。これにより印刷装置10は、その印刷画像データをラベル用紙100に印刷する(S48)。このラベル印刷により、ラベル用紙100上の印刷対象の各ラベル120に対してそれぞれ対応するラベル情報内容が印刷されると共に、当該ラベル用紙100上のコード印刷範囲内に、今回印刷したラベルの枚数を表す印刷枚数コード144が追記される。
【0109】
また、この例のシステムに、後処理装置50(図12参照)を追加してもよい。この場合、後処理装置50は、後処理指示が入力され、ラベル印刷後のラベル用紙100が投入されると、図23に示すように、まずそのラベル用紙100上の用紙種別コード142a及び印刷枚数コード144群を用紙情報検出部52により読み取る(S50)。次に、読み取った印刷枚数コード144群のうちコード配列順において最後のコード144が表す枚数を「今回印刷したラベル数」と解釈し、その最後のコード144を除くコード144群が表す枚数の合計を、既に使用済みのラベルの合計枚数(未印刷ラベル情報)と解釈する(S52)。そして、求めた「今回印刷したラベル数」と既に使用済みのラベルの合計枚数とから、後処理対象のラベル群を特定する(S54)。この特定の仕方は、上述の用紙情報DB30を用いる例における後処理対象ラベル群の特定の仕方と同様でよい。すなわち、例えば、用紙種別の情報から当該ラベル用紙上の各ラベルの存在場所を特定し、未印刷ラベル情報(既に使用済みのラベルの合計枚数)から未使用の先頭のラベルを特定し、その未使用の先頭のラベルを始点として「今回印刷したラベル数」のラベルを後処理対象として特定すればよい。
【0110】
例えば、図20のラベル用紙100に後処理を行う場合、後処理装置50は、末尾の印刷枚数コード144bが表す「2」枚が今回印刷したラベル124の数であり、そのコード144bを除いた残りの印刷枚数コード144aが表す「3」枚が既に使用済みのラベル122の合計枚数であると解釈する。そして、番号(4)と(5)の2枚のラベル124を後処理対象と判定する。
【0111】
そして、後処理装置50は、特定した後処理対象のラベル群に対して、指示された後処理を実行する。
【0112】
図22及び図23に例示した手順は、ラベル用紙100がユーザによって正しい向きに印刷装置10又は後処理装置50に投入されることを想定したものであった。しかしながら、例えば図7〜図11等を参照して説明した、ユーザがラベル用紙100を自由な向きにセットしてもその向きに合わせた各種の処理を行う仕組みは、ラベル用紙100自体に用紙種別や未印刷ラベルの情報を持たせるこの例のシステムにも適用可能である。例えば、図20のラベル用紙100を用い、ラベル用紙100が正しい向きにセットされないと用紙情報検出部12及び52が用紙種別コード142a及び枚数コード144群を検出しないようにし、用紙種別コード142a及び枚数コード144群が検出されない場合にはラベル印刷を行わずにエラー処理を行ってもよい。また、例えば、図10の例のように、ラベル用紙100の四辺に用紙種別コード142a及び枚数コード144群を印刷し、印刷装置10、又は後処理装置50、又はその両方が、ラベル用紙100がどの向きにセットされても対応できるようにしてもよい。
【0113】
また、図20の例では、用紙種別や未印刷ラベル情報をラベル用紙100に印刷したが、これは一例に過ぎない。この代わりに、ラベル用紙100に無線タグを装着し、その無線タグに用紙種別や未印刷ラベル情報等を記憶させてもよい。無線タグを用いる場合は、ラベル用紙100自身が、当該ラベル用紙100専用の用紙情報DB30を保持しているとみなせばよく、上述の例における用紙情報DB30を用いた各種の制御を実行し得る。
【符号の説明】
【0114】
10 印刷装置、12,52 用紙情報検出部、14 印刷機構、20 印刷制御部、30 用紙情報DB、40,40a 未印刷ラベル情報更新部、50 後処理装置、100 ラベル用紙、112a,112b 用紙ID、20 ラベル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置と、
前記印刷装置に投入された印刷対象のラベル用紙から、当該ラベル用紙の識別情報を検出する識別情報検出手段と、
各ラベル用紙の識別情報に対応づけて当該ラベル用紙上の複数のラベルのうち未印刷のラベルを特定するための未印刷ラベル情報を記憶する用紙情報記憶装置から、前記識別情報検出手段が検出した前記印刷対象のラベル用紙の識別情報に対応する未印刷ラベル情報を取得し、取得した未印刷ラベル情報に基づいて、当該ラベル用紙上の未印刷のラベルを特定し、特定した未印刷のラベルに対してラベル印刷を行うよう前記印刷装置を制御する印刷制御手段と、
前記印刷制御手段の制御に応じて行われた前記ラベル印刷に応じて、前記用紙情報記憶装置内の前記印刷対象のラベル用紙の識別情報に対応づけられた前記未印刷ラベル情報を更新する更新手段と、
を備えるラベル印刷システム。
【請求項2】
前記ラベル用紙の識別情報は、前記印刷装置の用紙搬送方向に沿った当該ラベル用紙の両端部に記録されており、
前記識別情報検出手段は、前記印刷装置内の、ラベル用紙に対して画像を印刷する印刷機構よりも前記用紙搬送方向について上流側に配置されており、前記印刷対象のラベル用紙が搬送されて前記印刷機構に到達するまでに当該ラベル用紙の識別情報を検出し、
前記印刷制御手段は、前記印刷対象のラベル用紙が前記印刷機構に達するまでに前記識別情報検出手段が検出した前記識別情報に対応する未印刷ラベル情報を前記用紙情報記憶装置から取得し、当該未印刷ラベル情報に基づき特定した当該ラベル用紙上の未印刷のラベルに対してラベル印刷を行うよう前記印刷装置を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載のラベル印刷システム。
【請求項3】
前記ラベル用紙の前記用紙搬送方向に沿った少なくとも一方の端部には、当該ラベル用紙の前記用紙搬送方向に沿った基準方向を示す基準方向情報が記録されており、
前記用紙情報記憶装置に記憶される未印刷ラベル情報は、ラベル用紙の前記基準方向を前記用紙搬送方向に合わせてラベル印刷を行う場合における当該ラベル用紙上の未印刷のラベルの位置を特定する情報であり、
前記識別情報検出手段は、前記印刷対象のラベル用紙から前記識別情報と共に前記基準方向情報の検出を行い、
前記印刷制御手段は、前記基準方向情報の検出の結果により当該ラベル用紙の前記基準方向と前記用紙搬送方向とが一致していないことが判明した場合、前記基準方向と前記用紙搬送方向との関係に応じて前記未印刷ラベル情報を解釈することで当該ラベル用紙上の未印刷のラベルを特定する、
ことを特徴とする請求項2に記載のラベル印刷システム。
【請求項4】
前記印刷制御手段は、前記基準方向情報の検出の結果により当該ラベル用紙の前記基準方向と前記用紙搬送方向とが一致していないことが判明した場合、前記未印刷のラベルに印刷すべき画像を、前記基準方向と前記用紙搬送方向との関係に応じて回転させてから、前記印刷装置に供給する、
ことを特徴とする請求項3に記載のラベル印刷システム。
【請求項5】
前記用紙情報記憶装置は、更に、前記各ラベル用紙の識別情報に対応づけて、当該ラベル用紙のサイズと当該ラベル用紙上の縦横のラベル枚数との組合せにより規定されるラベル用紙種別を、記憶しており、
前記未印刷ラベル情報は、当該ラベル用紙上の印刷済のラベルの枚数又は未印刷のラベルの枚数を表す情報であり、
前記印刷制御手段は、前記用紙情報記憶装置から、前記識別情報検出手段が検出した前記印刷対象のラベル用紙の識別情報に対応する未印刷ラベル情報とラベル用紙種別を取得し、取得した未印刷ラベル情報及びラベル用紙種別と、前記識別情報検出手段が検出した前記基準方向情報から求められる当該ラベル用紙の前記用紙搬送方向に対する向きと、に基づき当該ラベル用紙上の未印刷のラベルを特定する、
ことを特徴とする請求項3又は4のいずれか1項に記載のラベル印刷システム。
【請求項6】
前記印刷装置により印刷されたラベル用紙に対して後処理を施す後処理装置、を更に備え、
前記印刷制御手段は、上位装置から受け取ったラベル印刷指示に含まれる印刷対象のラベルの枚数の情報に従い、前記印刷対象のラベル用紙の識別情報に対応する未印刷ラベル情報から特定される当該ラベル用紙上の未印刷のラベルのうち、当該ラベル印刷指示に応じて印刷するラベルを決定し、決定したラベルに対して印刷を行うよう前記印刷装置を制御すると共に、当該ラベル印刷指示に応じて印刷したラベルを後処理対象として特定する後処理対象ラベル情報を前記後処理装置に伝達するための処理を行い、
前記後処理装置は、前記印刷装置により印刷されたラベル用紙のうち、前記後処理対象ラベル情報により特定される後処理対象のラベルに対して選択的に後処理を施す、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のラベル印刷システム。
【請求項7】
前記後処理装置は、前記印刷装置により印刷されたラベル用紙に対して施すべき後処理が、前記後処理ラベル対象情報により特定される後処理対象のラベルの他にその近傍の未印刷のラベルを含む範囲に対して一括して施される種類のものである場合、当該範囲に対して後処理を施すと共に、前記用紙情報記憶装置内の前記ラベル用紙の識別情報に対応づけられた前記未印刷ラベル情報を、当該後処理が施された未印刷のラベルも印刷済と取り扱われるよう更新する、
ことを特徴とする請求項6に記載のラベル印刷システム。
【請求項8】
印刷装置と、
前記印刷装置に投入された印刷対象のラベル用紙から、当該ラベル用紙上の複数のラベルのうち未印刷のラベルを特定するための未印刷ラベル情報を検出する未印刷ラベル情報検出手段と、
前記未印刷ラベル情報検出手段が検出した前記未印刷ラベル情報に基づいて、当該ラベル用紙上の未印刷のラベルを特定し、特定した未印刷のラベルに対してラベル印刷を行うよう前記印刷装置を制御する印刷制御手段と、
前記印刷制御手段の制御に応じて行われた前記ラベル印刷に応じて、前記印刷対象のラベル用紙に記録された前記未印刷ラベル情報を更新する更新手段と、
を備えるラベル印刷システム。
【請求項9】
前記未印刷ラベル情報は、前記印刷装置の用紙搬送方向に沿った当該ラベル用紙の両端部に記録されており、
前記未印刷ラベル情報検出手段は、前記印刷装置内の、ラベル用紙に対して画像を印刷する印刷機構よりも前記用紙搬送方向について上流側に配置されており、前記印刷対象のラベル用紙が搬送されて前記印刷機構に到達するまでに当該ラベル用紙の前記未印刷ラベル情報を検出し、
前記印刷制御手段は、前記印刷対象のラベル用紙が前記印刷機構に達するまでに前記未印刷ラベル情報検出手段が検出した前記未印刷ラベル情報に基づき当該ラベル用紙上の未印刷のラベルを特定し、特定した未印刷のラベルに対してラベル印刷を行うよう前記印刷装置を制御する、
ことを特徴とする請求項8に記載のラベル印刷システム。
【請求項10】
前記ラベル用紙の前記用紙搬送方向に沿った少なくとも一方の端部には、当該ラベル用紙の前記用紙搬送方向に沿った基準方向を示す基準方向情報が記録されており、
前記ラベル用紙に記録される前記未印刷ラベル情報は、当該ラベル用紙の前記基準方向を前記用紙搬送方向に合わせてラベル印刷を行う場合における当該ラベル用紙上の未印刷のラベルの位置を特定する情報であり、
前記未印刷ラベル情報検出手段は、前記印刷対象のラベル用紙から前記未印刷ラベル情報と共に前記基準方向情報の検出を行い、
前記印刷制御手段は、前記基準方向情報の検出の結果により当該ラベル用紙の前記基準方向と前記用紙搬送方向とが一致していないことが判明した場合、前記基準方向と前記用紙搬送方向との関係に応じて前記未印刷ラベル情報を解釈することで当該ラベル用紙上の未印刷のラベルを特定する、
ことを特徴とする請求項9に記載のラベル印刷システム。
【請求項11】
前記印刷制御手段は、前記基準方向情報の検出の結果により当該ラベル用紙の前記基準方向と前記用紙搬送方向とが一致していないことが判明した場合、前記未印刷のラベルに印刷すべき画像を、前記基準方向と前記用紙搬送方向との関係に応じて回転させてから、前記印刷装置に供給する、
ことを特徴とする請求項10に記載のラベル印刷システム。
【請求項12】
前記ラベル用紙には、当該ラベル用紙のサイズと当該ラベル用紙上の縦横のラベル枚数との組合せにより規定されるラベル用紙種別が記録されており、
前記未印刷ラベル情報は、当該ラベル用紙上の印刷済のラベルの枚数又は未印刷のラベルの枚数を表す情報であり、
前記未印刷ラベル情報検出手段は、前記印刷対象のラベル用紙から前記未印刷ラベル情報及び前記基準方向情報と共に前記ラベル用紙種別を検出し、
前記印刷制御手段は、前記未印刷ラベル情報検出手段が検出した前記印刷対象のラベル用紙の前記未印刷ラベル情報と前記ラベル用紙種別と、前記未印刷ラベル情報検出手段が検出した前記基準方向情報から求められる当該ラベル用紙の前記用紙搬送方向に対する向きと、に基づき当該ラベル用紙上の未印刷のラベルを特定する、
ことを特徴とする請求項10又は11のいずれか1項に記載のラベル印刷システム。
【請求項13】
前記印刷装置により印刷されたラベル用紙に対して後処理を施す後処理装置、を更に備え、
前記印刷制御手段は、上位装置から受け取ったラベル印刷指示に含まれる印刷対象のラベルの枚数の情報に従い、前記未印刷ラベル情報検出手段が検出した前記未印刷ラベル情報から特定される当該ラベル用紙上の未印刷のラベルのうち、当該ラベル印刷指示に応じて印刷するラベルを決定し、決定したラベルに対して印刷を行うよう前記印刷装置を制御し、
前記更新手段は、前記印刷制御手段の制御に応じて前記印刷対象のラベル用紙に対してラベル印刷が行われる都度、当該ラベル印刷おいて印刷されたラベルの枚数を表す印刷枚数情報を、当該ラベル用紙に既に記録されている過去の当該ラベル用紙に対するラベル印刷時の印刷枚数情報群の次に記録し、ここで前記未印刷ラベル情報は当該ラベル用紙上に記録された印刷枚数情報の集合であり、
前記未印刷ラベル情報検出手段は、前記印刷対象のラベル用紙に記録された各印刷枚数情報を検出し、
前記印刷制御手段は、前記未印刷ラベル情報検出手段が前記印刷対象のラベル用紙から検出した各印刷枚数情報が表す枚数の総和を当該ラベル用紙上で印刷済のラベルの総枚数と解釈し、当該ラベル用紙上の前記基準方向についての先頭から当該総枚数のラベルを差し引いた残りを未印刷のラベルと判定し、
前記後処理装置は、前記印刷装置により印刷されたラベル用紙に記録されている各印刷枚数情報を検出し、当該ラベル用紙の前記基準方向についての先頭から見て、前記検出された各印刷枚数情報のうちの末尾の印刷枚数情報を除いた残りの印刷枚数情報が表す枚数の総枚数分のラベルの次のラベルを後処理対象の最初のラベルとし、当該最初のラベルから前記末尾の印刷枚数情報が表す枚数分のラベルを後処理対象のラベルとし、それら後処理対象のラベルに対して選択的に後処理を施す、
ことを特徴とする請求項8〜12のいずれか1項に記載のラベル印刷システム。
【請求項14】
前記後処理装置は、前記印刷装置により印刷されたラベル用紙に対して施すべき後処理が、前記後処理ラベル対象情報により特定される後処理対象のラベルの他にその近傍の未印刷のラベルを含む範囲に対して一括して施される種類のものである場合、当該範囲に対して後処理を施すと共に、当該ラベル用紙に対して当該後処理を施した未印刷のラベルの枚数を、印刷済枚数として、当該ラベル用紙に既に記録されている印刷枚数情報群の次に追記する、
ことを特徴とする請求項13に記載のラベル印刷システム。
【請求項1】
印刷装置と、
前記印刷装置に投入された印刷対象のラベル用紙から、当該ラベル用紙の識別情報を検出する識別情報検出手段と、
各ラベル用紙の識別情報に対応づけて当該ラベル用紙上の複数のラベルのうち未印刷のラベルを特定するための未印刷ラベル情報を記憶する用紙情報記憶装置から、前記識別情報検出手段が検出した前記印刷対象のラベル用紙の識別情報に対応する未印刷ラベル情報を取得し、取得した未印刷ラベル情報に基づいて、当該ラベル用紙上の未印刷のラベルを特定し、特定した未印刷のラベルに対してラベル印刷を行うよう前記印刷装置を制御する印刷制御手段と、
前記印刷制御手段の制御に応じて行われた前記ラベル印刷に応じて、前記用紙情報記憶装置内の前記印刷対象のラベル用紙の識別情報に対応づけられた前記未印刷ラベル情報を更新する更新手段と、
を備えるラベル印刷システム。
【請求項2】
前記ラベル用紙の識別情報は、前記印刷装置の用紙搬送方向に沿った当該ラベル用紙の両端部に記録されており、
前記識別情報検出手段は、前記印刷装置内の、ラベル用紙に対して画像を印刷する印刷機構よりも前記用紙搬送方向について上流側に配置されており、前記印刷対象のラベル用紙が搬送されて前記印刷機構に到達するまでに当該ラベル用紙の識別情報を検出し、
前記印刷制御手段は、前記印刷対象のラベル用紙が前記印刷機構に達するまでに前記識別情報検出手段が検出した前記識別情報に対応する未印刷ラベル情報を前記用紙情報記憶装置から取得し、当該未印刷ラベル情報に基づき特定した当該ラベル用紙上の未印刷のラベルに対してラベル印刷を行うよう前記印刷装置を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載のラベル印刷システム。
【請求項3】
前記ラベル用紙の前記用紙搬送方向に沿った少なくとも一方の端部には、当該ラベル用紙の前記用紙搬送方向に沿った基準方向を示す基準方向情報が記録されており、
前記用紙情報記憶装置に記憶される未印刷ラベル情報は、ラベル用紙の前記基準方向を前記用紙搬送方向に合わせてラベル印刷を行う場合における当該ラベル用紙上の未印刷のラベルの位置を特定する情報であり、
前記識別情報検出手段は、前記印刷対象のラベル用紙から前記識別情報と共に前記基準方向情報の検出を行い、
前記印刷制御手段は、前記基準方向情報の検出の結果により当該ラベル用紙の前記基準方向と前記用紙搬送方向とが一致していないことが判明した場合、前記基準方向と前記用紙搬送方向との関係に応じて前記未印刷ラベル情報を解釈することで当該ラベル用紙上の未印刷のラベルを特定する、
ことを特徴とする請求項2に記載のラベル印刷システム。
【請求項4】
前記印刷制御手段は、前記基準方向情報の検出の結果により当該ラベル用紙の前記基準方向と前記用紙搬送方向とが一致していないことが判明した場合、前記未印刷のラベルに印刷すべき画像を、前記基準方向と前記用紙搬送方向との関係に応じて回転させてから、前記印刷装置に供給する、
ことを特徴とする請求項3に記載のラベル印刷システム。
【請求項5】
前記用紙情報記憶装置は、更に、前記各ラベル用紙の識別情報に対応づけて、当該ラベル用紙のサイズと当該ラベル用紙上の縦横のラベル枚数との組合せにより規定されるラベル用紙種別を、記憶しており、
前記未印刷ラベル情報は、当該ラベル用紙上の印刷済のラベルの枚数又は未印刷のラベルの枚数を表す情報であり、
前記印刷制御手段は、前記用紙情報記憶装置から、前記識別情報検出手段が検出した前記印刷対象のラベル用紙の識別情報に対応する未印刷ラベル情報とラベル用紙種別を取得し、取得した未印刷ラベル情報及びラベル用紙種別と、前記識別情報検出手段が検出した前記基準方向情報から求められる当該ラベル用紙の前記用紙搬送方向に対する向きと、に基づき当該ラベル用紙上の未印刷のラベルを特定する、
ことを特徴とする請求項3又は4のいずれか1項に記載のラベル印刷システム。
【請求項6】
前記印刷装置により印刷されたラベル用紙に対して後処理を施す後処理装置、を更に備え、
前記印刷制御手段は、上位装置から受け取ったラベル印刷指示に含まれる印刷対象のラベルの枚数の情報に従い、前記印刷対象のラベル用紙の識別情報に対応する未印刷ラベル情報から特定される当該ラベル用紙上の未印刷のラベルのうち、当該ラベル印刷指示に応じて印刷するラベルを決定し、決定したラベルに対して印刷を行うよう前記印刷装置を制御すると共に、当該ラベル印刷指示に応じて印刷したラベルを後処理対象として特定する後処理対象ラベル情報を前記後処理装置に伝達するための処理を行い、
前記後処理装置は、前記印刷装置により印刷されたラベル用紙のうち、前記後処理対象ラベル情報により特定される後処理対象のラベルに対して選択的に後処理を施す、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のラベル印刷システム。
【請求項7】
前記後処理装置は、前記印刷装置により印刷されたラベル用紙に対して施すべき後処理が、前記後処理ラベル対象情報により特定される後処理対象のラベルの他にその近傍の未印刷のラベルを含む範囲に対して一括して施される種類のものである場合、当該範囲に対して後処理を施すと共に、前記用紙情報記憶装置内の前記ラベル用紙の識別情報に対応づけられた前記未印刷ラベル情報を、当該後処理が施された未印刷のラベルも印刷済と取り扱われるよう更新する、
ことを特徴とする請求項6に記載のラベル印刷システム。
【請求項8】
印刷装置と、
前記印刷装置に投入された印刷対象のラベル用紙から、当該ラベル用紙上の複数のラベルのうち未印刷のラベルを特定するための未印刷ラベル情報を検出する未印刷ラベル情報検出手段と、
前記未印刷ラベル情報検出手段が検出した前記未印刷ラベル情報に基づいて、当該ラベル用紙上の未印刷のラベルを特定し、特定した未印刷のラベルに対してラベル印刷を行うよう前記印刷装置を制御する印刷制御手段と、
前記印刷制御手段の制御に応じて行われた前記ラベル印刷に応じて、前記印刷対象のラベル用紙に記録された前記未印刷ラベル情報を更新する更新手段と、
を備えるラベル印刷システム。
【請求項9】
前記未印刷ラベル情報は、前記印刷装置の用紙搬送方向に沿った当該ラベル用紙の両端部に記録されており、
前記未印刷ラベル情報検出手段は、前記印刷装置内の、ラベル用紙に対して画像を印刷する印刷機構よりも前記用紙搬送方向について上流側に配置されており、前記印刷対象のラベル用紙が搬送されて前記印刷機構に到達するまでに当該ラベル用紙の前記未印刷ラベル情報を検出し、
前記印刷制御手段は、前記印刷対象のラベル用紙が前記印刷機構に達するまでに前記未印刷ラベル情報検出手段が検出した前記未印刷ラベル情報に基づき当該ラベル用紙上の未印刷のラベルを特定し、特定した未印刷のラベルに対してラベル印刷を行うよう前記印刷装置を制御する、
ことを特徴とする請求項8に記載のラベル印刷システム。
【請求項10】
前記ラベル用紙の前記用紙搬送方向に沿った少なくとも一方の端部には、当該ラベル用紙の前記用紙搬送方向に沿った基準方向を示す基準方向情報が記録されており、
前記ラベル用紙に記録される前記未印刷ラベル情報は、当該ラベル用紙の前記基準方向を前記用紙搬送方向に合わせてラベル印刷を行う場合における当該ラベル用紙上の未印刷のラベルの位置を特定する情報であり、
前記未印刷ラベル情報検出手段は、前記印刷対象のラベル用紙から前記未印刷ラベル情報と共に前記基準方向情報の検出を行い、
前記印刷制御手段は、前記基準方向情報の検出の結果により当該ラベル用紙の前記基準方向と前記用紙搬送方向とが一致していないことが判明した場合、前記基準方向と前記用紙搬送方向との関係に応じて前記未印刷ラベル情報を解釈することで当該ラベル用紙上の未印刷のラベルを特定する、
ことを特徴とする請求項9に記載のラベル印刷システム。
【請求項11】
前記印刷制御手段は、前記基準方向情報の検出の結果により当該ラベル用紙の前記基準方向と前記用紙搬送方向とが一致していないことが判明した場合、前記未印刷のラベルに印刷すべき画像を、前記基準方向と前記用紙搬送方向との関係に応じて回転させてから、前記印刷装置に供給する、
ことを特徴とする請求項10に記載のラベル印刷システム。
【請求項12】
前記ラベル用紙には、当該ラベル用紙のサイズと当該ラベル用紙上の縦横のラベル枚数との組合せにより規定されるラベル用紙種別が記録されており、
前記未印刷ラベル情報は、当該ラベル用紙上の印刷済のラベルの枚数又は未印刷のラベルの枚数を表す情報であり、
前記未印刷ラベル情報検出手段は、前記印刷対象のラベル用紙から前記未印刷ラベル情報及び前記基準方向情報と共に前記ラベル用紙種別を検出し、
前記印刷制御手段は、前記未印刷ラベル情報検出手段が検出した前記印刷対象のラベル用紙の前記未印刷ラベル情報と前記ラベル用紙種別と、前記未印刷ラベル情報検出手段が検出した前記基準方向情報から求められる当該ラベル用紙の前記用紙搬送方向に対する向きと、に基づき当該ラベル用紙上の未印刷のラベルを特定する、
ことを特徴とする請求項10又は11のいずれか1項に記載のラベル印刷システム。
【請求項13】
前記印刷装置により印刷されたラベル用紙に対して後処理を施す後処理装置、を更に備え、
前記印刷制御手段は、上位装置から受け取ったラベル印刷指示に含まれる印刷対象のラベルの枚数の情報に従い、前記未印刷ラベル情報検出手段が検出した前記未印刷ラベル情報から特定される当該ラベル用紙上の未印刷のラベルのうち、当該ラベル印刷指示に応じて印刷するラベルを決定し、決定したラベルに対して印刷を行うよう前記印刷装置を制御し、
前記更新手段は、前記印刷制御手段の制御に応じて前記印刷対象のラベル用紙に対してラベル印刷が行われる都度、当該ラベル印刷おいて印刷されたラベルの枚数を表す印刷枚数情報を、当該ラベル用紙に既に記録されている過去の当該ラベル用紙に対するラベル印刷時の印刷枚数情報群の次に記録し、ここで前記未印刷ラベル情報は当該ラベル用紙上に記録された印刷枚数情報の集合であり、
前記未印刷ラベル情報検出手段は、前記印刷対象のラベル用紙に記録された各印刷枚数情報を検出し、
前記印刷制御手段は、前記未印刷ラベル情報検出手段が前記印刷対象のラベル用紙から検出した各印刷枚数情報が表す枚数の総和を当該ラベル用紙上で印刷済のラベルの総枚数と解釈し、当該ラベル用紙上の前記基準方向についての先頭から当該総枚数のラベルを差し引いた残りを未印刷のラベルと判定し、
前記後処理装置は、前記印刷装置により印刷されたラベル用紙に記録されている各印刷枚数情報を検出し、当該ラベル用紙の前記基準方向についての先頭から見て、前記検出された各印刷枚数情報のうちの末尾の印刷枚数情報を除いた残りの印刷枚数情報が表す枚数の総枚数分のラベルの次のラベルを後処理対象の最初のラベルとし、当該最初のラベルから前記末尾の印刷枚数情報が表す枚数分のラベルを後処理対象のラベルとし、それら後処理対象のラベルに対して選択的に後処理を施す、
ことを特徴とする請求項8〜12のいずれか1項に記載のラベル印刷システム。
【請求項14】
前記後処理装置は、前記印刷装置により印刷されたラベル用紙に対して施すべき後処理が、前記後処理ラベル対象情報により特定される後処理対象のラベルの他にその近傍の未印刷のラベルを含む範囲に対して一括して施される種類のものである場合、当該範囲に対して後処理を施すと共に、当該ラベル用紙に対して当該後処理を施した未印刷のラベルの枚数を、印刷済枚数として、当該ラベル用紙に既に記録されている印刷枚数情報群の次に追記する、
ことを特徴とする請求項13に記載のラベル印刷システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2013−111868(P2013−111868A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260602(P2011−260602)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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