説明

ラベル印刷装置およびラベル印刷方法

【課題】 ユーザの設定に応じて異なる動作特性を示すラベル印刷装置を提供する。
【解決手段】 内蔵するバッテリから電源を受けて記録媒体上に描画する描画部と、印字速度を固定して印刷を行う第1動作モードと印字濃度を固定して印刷を行う第2動作モードのどちらのモードで印刷を行うかを繰り返し判断し、判断した動作モードを用いて描画部により描画する制御部をもつラベル印刷装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベル等に印刷するラベル印刷装置に関し、印字速度、印字濃度、バッテリ残量等の任意の条件に基づいて動作するラベル印刷装置およびラベル印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ラベル印刷装置においては、通信機能を用いて外部の情報処理装置から印字イメージやコマンドを受け取りこれらに基づいて記録媒体上に画像形成を行うことが知られている。このようなラベル印刷装置においては、バッテリを内蔵することで軽量かつ携帯性に優れたものとすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−191591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなラベル印刷装置の印字処理においては、印字速度、印字濃度、消費電力等の相反する要素に基づいて印刷を行うことになるが、特に、ラベル印刷装置がバッテリ等を電源とする携帯性を重視したものであると、一般的にはバッテリの消耗の防止を重視して消費電力を自動的に抑制することが多い。この結果、印刷の仕様によっては印字速度が遅くなってスループットが低下したり、印字濃度が薄くなりすぎる等の不具合が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
課題を解決する一実施形態は、
電源を供給するバッテリと、
前記バッテリから電源を受け、記録媒体上に描画する描画部と、
印字速度を固定して印刷を行う第1動作モードと印字濃度を固定して印刷を行う第2動作モードのどちらのモードで印刷を行うかを繰り返し判断し、判断した動作モードを用いて前記描画部により描画する制御部と、
を具備することを特徴とするラベル印刷装置である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の一実施形態に係るラベル印刷装置の一例を示すブロック図。
【図2】同じくラベル印刷装置の概観の一例を示す概観図。
【図3】同じくラベル印刷装置の印字処理の一例をしめすフローチャート。
【図4】同じくラベル印刷装置に接続したPCの動作モード選択画面の説明図。
【図5】同じくラベル印刷装置に接続したPCのファクター選択画面の説明図。
【図6】同じくラベル印刷装置の印刷処理の他の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0008】
図1は、本発明の一実施形態に係るラベル印刷装置の一例を示すブロック図、図2は、同じくラベル印刷装置の概観の一例を示す概観図である。
【0009】
本発明の一実施形態に係るラベル印刷装置1は、図1に示すように、ネットワーク等を介してPC等に接続されており、全体の動作を制御し履歴情報管理部の機能を持っているCPU11と、CPU11に接続されているFROM12と、バーコード等が示す管理データやこれに対応した印字イメージ等を記憶するRAM13を有している。
【0010】
さらに、ラベル印刷装置1は、上述したCPU11にそれぞれ接続される、表示制御回路14と、表示制御回路14により表示が制御され操作情報やラベル情報を表示する表示器15と、ラベル印刷装置1内の温度を検出する温度測定部16と、モータ制御回路17と、モータ制御回路17により動作が制御されるステッピングモータ18と、ユーザにより操作情報等が入力されるキー入力部19と、ラベル等の媒体上へのラベル画像の印字のためのヘッド制御回路20と、ヘッド制御回路20により動作が制御されることでラベル等の媒体上へ印字を行なうサーマルヘッド21と、各部への電源を供給する電源回路22と、電源回路22に電源を供給するバッテリ23と、PC3やホストコンピュータ等と印字イメージ等を無線LANや赤外線通信等で送受信するための通信部である通信部28を有している。
【0011】
このような構成による本発明の一実施形態であるラベル印刷装置1は、PC3やホストコンピュータから印刷コマンドを受信し、サーマルヘッド21によりラベル印刷を行う。
【0012】
(動作)
次に、このような構成を有するラベル印刷装置1における印字処理をフローチャートを用いて以下に詳細に説明する。図3は、同じくラベル印刷装置の印字処理の一例をしめすフローチャート、図4は、同じくラベル印刷装置に接続したPCの動作モード選択画面の説明図、図5は、同じくラベル印刷装置に接続したPCのファクター選択画面の説明図、図6は、同じくラベル印刷装置の印刷処理の他の一例を示すフローチャートである。
【0013】
本発明に係る発行システムは、図1のブロック図に示すように、一例として、ラベル印刷装置1へ発行命令を行うPC(personal computer)3を用いることで、ラベル印刷を行う。初めに、ラベル印刷装置1は、一例として、CPU11の制御下において通信部28でPC3から印刷データの指示信号があるかどうかを監視し、印刷データの指示信号であるフォーマット番号、変更データ、ラベル発行要求を受信すると、CPU11の制御下にある印刷コマンド解析部26により、これらフォーマット番号に応じて、予め登録されたラベルイメージのフォーマットの一つを特定し、これを変更データに従って変更する。そして、イメージ描画部27は、印刷コマンド解析部26が特定して変更したラベルイメージのフォーマットに従ってイメージを生成する。そして、CPU11の制御下において、ヘッド制御回路20およびサーマルヘッド21は、イメージ描画部27により生成したイメージに基づいて、ラベル上にラベル印刷を行う。
【0014】
本発明の一実施形態に係るラベル印刷装置1は、上述した印字処理において、「デスクトップ型動作モード」、「ポータブル型動作モード」、「変動型動作モード」の三つの動作モードによって、印字処理を行うものである。すなわち、「デスクトップ型動作モード」は、印字速度を固定のまま、印字濃度微調値に応じて印加パルスを変化させる制御モードである。「ポータブル型動作モード」は、印字濃度微調値に応じて、印加パルスの長さを変化させ、その印加パルスを基準として印字速度を決定する動作モードである。また、「変動型動作モード」は、設定された印字速度と印字濃度微調値に応じて計算した印加パルスに基づいて上述した「デスクトップ型動作モード」と「ポータブル型動作モード」との一方にそのつど切替えて印字動作を行う動作モードである。
【0015】
次に、この動作モードについて、図3および図6のフローチャート、図4および図5のPC3の設定画面を用いて、以下に詳細に説明する。
すなわち、本発明の一実施形態であるラベル印刷装置1のCPU11は、通信部28を介してPC3から印字コマンドを受信するか、または、操作部であるキー入力部19から印字のための操作に対応する印字コマンドを検出すると(ステップS11)、操作部であるキー入力部19でユーザにより設定された印字濃度微調値、または、PC3のモード設定アプリケーション部32の印字濃度微調値の入力画面から設定された印字濃度微調値、または、事前にRAM13等に記憶されている印字濃度微調値を読み出す(ステップS12)。同様に、CPU11は、操作部であるキー入力部19でユーザにより設定された印字濃度微調モード、または、PC3のモード設定アプリケーション部32による図4に示す設定画面により設定された印字濃度微調モード、または、事前にRAM13等に記憶されている印字濃度微調モードを読み出す(ステップS13)。
【0016】
そして、CPU11が、読み出した印字濃度微調モードを「デスクトップ型動作モード」であると判断すれば、予め設定された印字速度を固定のまま、印字濃度微調値に応じて印加パルスを変化させて、イメージ描画部27より描画を行う(ステップS15)。また、CPU11は、読み出した印字濃度微調モードが「ポータブル型動作モード」であると判断すると、印字濃度微調値に応じて印加パルスの長さを変化させ、その印加パルスを基準として印字速度を決定して、イメージ描画部27より描画を行う(ステップS16)。
【0017】
また、CPU11が、読み出した印字濃度微調モードを「変動型動作モード」であると判断すれば、設定された印字速度と印字濃度微調値に応じて計算した印加パルスに基づいて、上述した「デスクトップ型動作モード」と「ポータブル型動作モード」との一方にそのつど切替えて、切替えた動作モードにより、イメージ描画部27よって描画を行う(ステップS17)。
【0018】
このとき、CPU11は、「デスクトップ型動作モード」か、「ポータブル型動作モード」かを判断する際に、設定された印字速度と印字濃度微調値に応じて計算した印加パルスの長さを予め与えられた閾値とを比較し、比較結果に応じて動作モードを決定する。
【0019】
また、この印加パルスの長さを計算し、閾値と比較する処理は、図6のフローチャートのステップS18に示すように、一例として、PC3のモード設定アプリケーション部32による図5に示す設定画面により重要視する要素をさらに追加し、追加した要素も条件(バッテリ残量、消費電力、機体の温度、等)として参考にして、動作モードを決定することが好適である。
【0020】
すなわち、PC3のモード設定アプリケーション部32による図5に示す設定画面においてユーザが「バッテリ残量」を指定すると、図1のバッテリ23の電荷残量も考慮した上で、「デスクトップ型動作モード」と「ポータブル型動作モード」のどちらにすべきかが決定される。また、PC3のモード設定アプリケーション部32による図5に示す設定画面においてユーザが「消費電力」を指定すると、印字コマンドにより指定された印字処理の消費電力の大きさも考慮した上で、「デスクトップ型動作モード」と「ポータブル型動作モード」のどちらにすべきかが決定される。また、PC3のモード設定アプリケーション部32による図5に示す設定画面においてユーザが「温度」を指定すると、図1に示す温度測定部16が測定した機体温度の高さも考慮した上で、「デスクトップ型動作モード」と「ポータブル型動作モード」のどちらにすべきかが決定される。また、これらの条件は、同時に二つまたは三つ以上の条件を選択することも可能である。
【0021】
以上、詳細に説明したように、本発明の一実施形態に係るラベル印刷装置1においては、単に印字速度を維持したい場合は図4の設定画面の「デスクトップ型動作モード(印字速度は固定)」を選択し、印字濃度を一定に固定したい場合は図4の設定画面の「ポータブル型動作モード(印字濃度は固定)」を選択し、条件(バッテリ残量、消費電力、温度等)に応じて、二つのモードを切替えていきたい場合は、図4の設定画面の「変動型動作モード」を選択する。さらに、モード決定のための要素を特定したい場合は、図5の設定画面において「バッテリ残量、消費電力、温度等」を選択する。
【0022】
これにより、例えば、バッテリ内臓のラベル印刷装置であるにも関わらず、ユーザが希望して設定すれば、この設定に応じて高品質の印刷が可能になったり、印刷のスループットを維持することも可能となる。また、バッテリの維持を第一に設定することや、消費電力、また、機内の温度に注目させることもユーザの意思に応じて可能とするものである。
【0023】
以上記載した様々な実施形態は複数同時に実施することが可能であり、これらの記載により、当業者は本発明を実現することができるが、更にこれらの実施形態の様々な変形例を思いつくことが当業者によって容易であり、発明的な能力をもたなくとも様々な実施形態へと適用することが可能である。従って、本発明は、開示された原理と新規な特徴に矛盾しない広範な範囲に及ぶものであり、上述した実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0024】
1…ラベル印刷装置、3…携帯端末、11…CPU、12…FROM、13…RAM、14…表示制御回路、15…表示器、16…温度測定部、17…モータ制御回路、18…ステッピングモータ、19…キー入力部、20…ヘッド制御回路、21…サーマルヘッド、22…電源回路、23…バッテリ、28…通信制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源を供給するバッテリと、
前記バッテリから電源を受け、記録媒体上に描画する描画部と、
印字速度を固定して印刷を行う第1動作モードと印字濃度を固定して印刷を行う第2動作モードのどちらのモードで印刷を行うかを繰り返し判断し、判断した動作モードを用いて前記描画部により描画する制御部と、
を具備することを特徴とするラベル印刷装置。
【請求項2】
前記制御部は、設定部から設定された印字速度および印字濃度の少なくとも一方に基づいて、前記動作モードの判断を繰り返し行うことを特徴とする請求項1記載のラベル印刷装置。
【請求項3】
前記制御部は、外部装置から印字コマンドを受けた際に、前記動作モードの判断を行うことを特徴とする請求項1記載のラベル印刷装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記バッテリの電荷残量に基づいて、前記動作モードの判断を行うことを特徴とする請求項1記載のラベル印刷装置。
【請求項5】
前記制御部は、外部装置から、前記バッテリの電荷残量、前記バッテリが消費する消費電力、前記ラベル印刷装置が有する温度検出部が検出する温度の内の少なくとも一つが指定されると、指定された事項に基づいて、前記動作モードの判断を行うことを特徴とする請求項1記載のラベル印刷装置。
【請求項6】
バッテリから電源を受けて、記録媒体上に描画をするラベル印刷装置のラベル印刷方法であって、
印字速度を固定して印刷を行う第1動作モードと印字濃度を固定して印刷を行う第2動作モードのどちらのモードで印刷を行うかを繰り返し判断し、判断した動作モードを用いて描画することを特徴とするラベル印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−183674(P2012−183674A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46916(P2011−46916)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】