説明

ラベル及びその製造方法

本発明は、奥行きや立体感のあるデザインが得られ、また、例えばホット飲料用として使用した場合に、持つ手が熱くなるのを防止でき、しかも、持った際に容器本体が滑り難いラベル及びその製造方法を提供することを課題とする。本発明に係るラベルは、発泡層を有する発泡シートからなり、ラベルの外面には、凹凸部分を有するように前記発泡シートを押圧により部分的に薄肉化した線状凹部が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、ガラス瓶、金属缶や合成樹脂容器本体に装着されるラベル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
従来より、発泡ポリスチレン等の発泡シート製のラベルが存在し、かかるラベルは、ガラス瓶、金属缶、プラスチック容器等の容器に装着されて断熱性とクッション性とを有するラベルとして使用できることが知られている。前記ラベルには、通常その外面に、商品名、模様等のデザイン等が印刷により施されている。そして、印刷層の表面には、デザイン等の印刷層の保護、他の容器の印刷面とのブロッキング防止や、容器搬送コンベアの適正(つまり防止)のために、滑り性と耐熱性に優れたニス(オーバーコート)を塗布することが多い。
しかしながら、印刷のみによるデザインでは平面的であり、奥行きのあるデザインが得られにくい。印刷によって奥行きのある立体的なデザインを施そうとすれば、インキの付着量に変化を持たせて凹凸を形成することとなるため、インキ量が多くなり必然的にその乾燥が困難となって生産性が落ちるうえに、特殊な印刷装置も必要となる。また、インキによって凹凸を形成する場合にはその凹凸の大きさにも限界がある。更に、上記のように発泡シートの表面にこのようなニスを塗布した場合、印刷層の保護やラベル同士のブロッキング等を防止することができるが、必要以上に滑りやすくなる。このため、ホット飲料が充填されている容器本体を、ラベルを介して手で持つ場合に、ラベルの表面が滑り易いため、落下しないように注意を要する。特に、容器本体が円筒状の金属缶の場合は、直径が長手方向に一定となっていることから、特に注意を要する。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、奥行きや立体感のあるデザインが得られ、また、例えばホット飲料用として使用した場合に、持つ手が熱くなるのを防止でき、しかも、持った際に容器本体が滑り難いラベル及びその製造方法を提供することを課題とする。
【発明の開示】
本発明は、上記課題を解決すべくラベル及びその製造方法としてなされたものであり、ラベルとしての特徴は、容器本体の胴部に装着されるラベルであって、発泡層を有する発泡シートからなり、ラベルの外面には、凹凸部分を有するように前記発泡シートを押圧により部分的に薄肉化した線状凹部が形成されていることにある。
そして、ラベルは、発泡層を有するため、容器本体に装着された際に、容器本体内に充填された飲料が加熱されても、容器本体を持つ手に飲料の熱が伝わり難くなり、断熱効果がある。しかも、ラベルを介して容器本体を持った場合、ラベルの外面は、凹凸部分を有するため、滑り難くなり、不用意に容器本体を落下させてしまうことはなく、凹凸部分は、装飾効果も備えている。
また、ラベルの内面に感熱接着剤層が設けられているのが好ましい。内面の感熱接着剤層によって容器本体にラベルを容易に装着させることができ、ラベルを容器本体に接着させるので装着後におけるラベルの位置ずれも確実に防止される。しかも、接着剤が感熱接着剤であるので、ラベルを加熱して感熱接着剤を活性化させることによって、該ラベルを容器本体に容易且つ迅速に装着することができる。
尚、感熱接着剤層がラベルの内面全体に設けられている場合には容器本体との接着強度を確保しやすいという利点がある一方、接着剤層がラベルの両端部のみに設けられている場合には、接着剤の量が少なくて済む。尚、ラベルの両端部のみに感熱接着剤層を設ける場合には、両感熱接着剤層を介してラベルの両端部をそれぞれ容器本体に接着させる以外に、例えば、ラベルの両端部同士を重ね合わせて筒状のラベルを形成し、該筒状のラベルを容器本体に装着することができる。尚、感熱接着剤層をラベルの内面全体に設けた場合と両端部のみに設けた場合の何れにおいても、ラベルの一端部を容器本体に接着させ、その後、ラベルを容器本体に巻回させてその他端部を一端部上に重ね合わせて接合することができる。
しかも、発泡層が、発泡ポリスチレン系樹脂からなり、線状凹部の幅長は、0.5〜3.0mmに設定されているのが好ましい。発泡ポリスチレン系樹脂層は剛性があるため線状凹部を形成したときのまわりの変形が少なくなると共に、線状凹部の幅長は、0.5〜3.0mmで狭いため、容器本体を持つ手が、発泡シートの凹部となった薄肉部分に触れることはほとんどなく、断熱効果が低下することもない。
また、ラベルの製造方法としての特徴は、発泡層を有する発泡シートからなるラベルの外面を、線状凸部を有する樹脂版で押圧し、前記外面に線状凹部からなるエンボス加工部分を形成することにある。
そして、ラベルの外面を、線状凸部を有する樹脂版で押圧するため、ラベルの外面にキズや亀裂が起こり難くなり、印刷部分を損傷することもない。
その場合、発泡層を有し且つ内面に接着剤層を有する発泡シートからなるラベルの外面にエンボス加工部分を形成することが好ましい。接着剤層を有する発泡シートにエンボス加工部分を形成するので、エンボス加工部分の形成後に接着剤層を別途形成する必要がなくなり、接着剤層の形成が容易である。
また、発泡層を有し且つ内面に感熱接着剤層を有する発泡シートからなるラベルの外面を、線状凸部を有し且つ非加熱状態の押圧版で押圧し、前記外面に線状凹部からなるエンボス加工部分を形成することにある。
そして、押圧版を加熱しないため、ラベルを接着させる接着剤として感熱接着剤を使用している場合であっても、押圧版での押圧時に、感熱接着剤を活性化させるおそれがなく、感熱接着剤付きのラベルが容易に製造できる。感熱接着剤付きのラベルは、容器本体に飲料等の内容物を充填するラインにおいて、ラベルを加熱して感熱接着剤を活性化させて、該ラベルを容器本体に容易且つ迅速に装着することができる。
また、本発明に係るラベルは、容器本体の胴部に装着されるラベルであって、発泡層を有する発泡シートからなり、ラベルの外面には、凹凸部分を有するように前記発泡シートを厚み方向に押圧することにより線状凸部が形成されていることを特徴とする。
該ラベルにあっても、発泡層を有するため、容器本体に装着された際に、容器本体内に充填された飲料が加熱されても、容器本体を持つ手に飲料の熱が伝わり難くなり、断熱効果がある。しかも、ラベルを介して容器本体を持った場合、ラベルの外面は、凹凸部分を有するため、滑り難くなり、不用意に容器本体を落下させてしまうことはなく、凹凸部分は、装飾効果も備えている。
また、ラベルの製造方法としては、発泡層を有する発泡シートからなるラベルの内面を、線状凸部を有する押圧版で押圧し、前記ラベルの外面に線状凸部からなるエンボス加工部分を形成することを特徴とする。
該ラベルの製造方法にあっても、線状凸部を有する押圧版でラベルの内面を押圧するため、ラベルの外面に凸部による装飾効果が得られ、滑り防止と断熱効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の一実施形態を示す正面図である。
図2は、同ラベルの構成を示す断面図である。
図3(a)〜(c)は、ラベルをそれぞれ示す正面図である。
図4は、同ラベルの要部を示す正面図である。
図5(a)は、図1のP−P線矢視断面図、図5(b)は、ラベルの重ね合わせ状態を示す要部断面図である。
図6は、長尺状のラベルの製造工程を示す概略図である。
図7は、同製造工程の要部拡大図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明のラベルの一実施の形態について図面を参酌しながら説明する。図1に容器としての金属缶を示す。金属缶は、ホット飲料が充填される容器本体(缶本体)1と、缶本体1の胴部6に装着されたラベル3とから構成されている。
前記缶本体1は、例えば胴部6上下端に巻き締めにより固着されて胴部6の上下端開口部を閉塞する天蓋7a及び底蓋からなる底部7bを備えている。胴部6は把持可能なサイズに形成されており、例えば、その直径は、40mm乃至100mmである。尚、缶本体1は、例えば、アルミニウム合金板や表面処理鋼板等の製缶用の厚さ0.1乃至0.4mmの金属薄板から形成されたものである。
かかる缶本体1の胴部6の表面には、図5(a)に示すように略全周に亘って前記ラベル3が巻き付けられている。このようにラベル3の端部同士3a,3bを接近させる他、図5(b)に示す如く、端部同士3a,3bを重ね合わせてもよい。
前記ラベル3の構成の一例を図2を用いて説明する。ラベル3は、発泡層10を有する合成樹脂製の発泡シートから構成され、内容物の保温特性に優れる。具体的には、ラベル3は、発泡層10をラベル基材としてその表裏(外内)両面に非発泡層11a,11bが積層されたものであり、外側の非発泡層11aに表印刷がなされてその印刷12を含めて非発泡層11aの表面全体がオーバーコート層13で被覆されている。また、内側の非発泡層11bの裏面側には、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンアクリル酸共重合体、エチレンアクリル酸エステル系樹脂等を主成分としたホットメルトやディレードタック等のような感熱接着剤からなる接着剤層(感熱接着剤層)14が、溶融押出コーティング、ホットメルトコーティング、グラビアコーティング、ロールコーティング等によって全面に塗布されている。
尚、このようにラベル3の内面全体に接着剤層14を設ける以外に、例えば、ラベル3の両端部3a,3bのみに接着剤層14を設けてもよい。尚、図5(b)には、ラベル3の両端部3a,3bのみに接着剤層14が設けられ、一端部3aの接着剤層14によってラベル3が缶本体1に接着されると共に、他端部3bの接着剤層14によってラベル3の両端部3a,3bが接合されている場合が示されている。但し、図5(b)のようにラベル3の両端部3a,3bを重ね合わせる場合であっても、ラベル3の内面全体に接着剤層14を設けることもできる。
また、感熱接着剤は、60℃乃至65℃で接着力が低下しない(容易に剥離しない程度の接着力を有する)ものを使用する。接着剤層14としてアクリル系やゴム系の粘着剤を用いることもできる。
前記発泡層10は、発泡倍率が2乃至10倍、好ましくは3乃至7倍の発泡ポリスチレン系樹脂で構成され、厚さは120乃至400μmである。発泡ポリスチレン系樹脂は、汎用ポリスチレンが使用できるが、それ以外に、ポリスチレンにブタジエン、アクリロニトリル、メタクリル酸、アクリル酸、アクリル酸エステル類等を共重合させたコポリマを主成分とし、他の樹脂や添加剤等がブレンドされ、スチレン成分を60重量%以上(好ましくは80重量%以上)含有したものも好適であり、これらを各種発泡剤等によって発泡したものである。
非発泡層11a,11bは、内側の発泡層10をキズから保護する目的や、発泡層10に直接印刷する場合に比して良好に印刷することができる観点等から設けられるものであり、その厚さは3乃至20μmである。該非発泡層11a,11bは、ポリスチレン系樹脂からなり、具体的には、ポリスチレン、スチレンブタジエン共重合体、スチレンアクリル共重合体等の単体又は混合物の他、これらにポリエチレンやエチレン酢酸ビニル共重合体等をブレンドしたものであってスチレン成分が60重量%以上のものが好ましい。非発泡層11a,11bは、発泡層10と共押し出しすることによって形成される。
尚、非発泡層をポリエチレンやポリプロピレン系樹脂から構成してもよい。また、非発泡層は片面だけでもよく、また両面とも省略することもできる。
以上のような構成のラベル3としては、例えば、特公平7−64005号公報(US5082608)や特開昭59−71850号公報(US4069934)に所載のものを挙げることができる。
前記ラベル3の外面には、エンボス加工が施されている。具体的には、図2及び図4に示す如く線状凹部15が形成されている。かかる線状凹部15の幅Lは、0.5mm〜3.0mmに設定するのが好ましく、特に、0.5mm〜2.0mmが好ましい。線状凹部15の幅をこの範囲で設定するのは、凹部となって断熱効果が低下する薄肉部分に、手が触れ難くするためである。また、線状凹部15の幅をこの範囲にすることにより凹部が形成しやすく凹凸による装飾効果が得られやすい。尚、凹部の深さは、例えば30μm〜50μm程度とする。即ち、ラベル3の厚さは、線状凹部15において他の部分よりも薄くなっている。尚、ラベル3の外面に、線状凹部15に加えて、面状の凹部が形成されていてもよい。
前記線状凹部15を設けてなるエンボス加工部分17は、所望の部分に設けることができる。例えば、図1及び図3(a)に示す如く、曲線(円形)の線状凹部15aにより絵柄等の表示部18の周囲を縁取ったエンボス加工部分17aや、格子状の線状凹部15bから構成されるエンボス加工部分17bからなる。格子状の線状凹部15bからなるエンボス加工部分17bは、ラベル3の両方側に設けられ、且つ、表示部18の周囲を縁取ったエンボス加工部分17aは、ラベル3の中央部分に設けられている。そして、ラベル3の両方側に設けられたエンボス加工部分17bは、ラベル3が缶本体1の胴部6に装着された際に、胴部6の直径方向の把持部分に位置することとなる。
また、図3(b)に示す如く、エンボス加工部分17a,17cを中央の絵柄等の表示部18に設けることなくラベル3の両側のみに設けても良く、しかも、一方のエンボス加工部分17cは、文字を縁取った線状凹部15cから構成することができる。また、図3(c)に示す如く、エンボス加工部分17dは、ラベル3の長手方向(ラベルの送り方向)の全長にわたって設けても良い。
次に、前記ラベル3の製造方法について図6及び図7を参照しながら説明する。
先ず、長尺状の原反シート(発泡層10の表裏両面に非発泡層11a,11bが積層され、且つ非発泡層11bに接着剤層(感熱接着剤層)14が塗布されたもの)3Aが繰り出され、コロナ放電処理装置20により該シート3Aの表面(外面)にコロナ放電処理を行いながら、原反シート3Aを走行させ表面の活性化を行う。このように、原反シート3Aの表面処理を行うことにより、インキとの親和性を高めることができる。
次に、印刷工程において、オフセット印刷装置、フレキソ印刷装置や凸版輪転印刷装置等の公知の印刷装置21により、紫外線硬化型インキ等で原反シート3Aの外面に印刷を施す。尚、印刷インキは、感熱接着剤層14を活性化させる際の熱によって損傷を受けないように、耐熱性に優れた紫外線硬化型インキを用いるのが好ましい。印刷装置21は、所定の色毎に複数個配置されている。印刷工程の後に、紫外線硬化処理工程において、紫外線ランプ23により紫外線を印刷層に照射して紫外線硬化処理を行う。紫外線硬化型インキ(UVインキ)としては、周知のUVインキを使用でき、例えば、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート等のオリゴマーと、紫外線重合開始剤や顔料等の着色剤、分散剤、添加剤等を含むポリエステル系等のモノマーとが配合されたものなどが例示できる。紫外線硬化型インキの代表的な例として、(株)T&K TOKAの「161」「STP」「171」「VECTA」や、久保井インキ(株)の「UVACE」、マツイカガク(株)の「CP−UV」等が挙げられる。
更に、オーバーコート処理工程において、ニス印刷装置25により印刷層の表面にニスを塗布し、紫外線硬化処理を行う。このようなニスとしては、(株)T&K TOKAの「UVOPニスシリーズ」や、久保井インキ(株)の「UVACEOPニス」等を使用することができる。尚、印刷インキ及びニスとしては、紫外線硬化型の代わりに、電子線硬化型のものを使用することもできる。
その後に、エンボス加工工程において、所定形状の線状凸部を有する押圧版としての樹脂版26を金属製ロールの表面に備えたエンボス胴27と、受胴28との間に、前記印刷等の処理が施された原反シート3Aを送り込み、該シート3Aの所定部分に各ラベル3に応じてエンボス加工を施す。かかる樹脂版26の材質は、硬質の合成樹脂から構成されており、例えば、プラスチックシート等のベース層と硬質の感光性樹脂層(アクリル樹脂やメタクリル樹脂等)とから構成されている。合成樹脂(感光性樹脂)の硬度は、デュロメーター硬さ(シェア硬度)タイプDが50〜80程度、好ましくは60〜70(JIS−K−6253(1997年)「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの硬さ試験方法」による)を使用するのが好ましい。かかる樹脂版26は加熱することなく原反シート3Aを受胴28に所定の力で押圧するが、樹脂版26を使用するため、金属版を使用した場合に比し、紫外線により硬化され硬い被膜からなる印刷層、ニス層のキズ、亀裂が起こり難く、また、衝撃強度に劣るポリスチレン系の発泡樹脂シートの表面の亀裂が起こり難くなる。
また、受胴28は、樹脂や硬質ゴムを表面に施した金属ロール、薄葉紙等を多重に巻き付けた金属ロールを用いることができる。
尚、受胴28の表面には、樹脂版26の線状凸部に略合致して浅い凹部が形成されていてもよい。この場合には、原反シート3Aの受胴28側の面に線状凸部が形成される。この線状凸部が形成された面をラベルの外面とすれば、ラベルの内面には線状凹部が形成されラベルの外面には線状凹部に対応した位置に線状凸部が形成されることとなる。尚、この場合には、感熱接着剤層を有しない原反シートを使用する。また、ラベルの内面に線状凹部を形成しラベルの外面に線状凸部を形成する場合であっても発泡層10が押圧によって圧縮するので、線状凸部の突出の程度は線状凹部の深さの程度よりも小さい。
尚、エンボス加工を施す際の樹脂版26、受胴28、原反シート3Aの温度は、感熱接着剤が活性化し難い温度である60℃以下、特に50℃以下とすることが好ましい。
そして、エンボス加工の終了した原反シート3Aを巻き取る。ロール状に巻き取られた原反シート3Bは、適宜所定の幅にスリットされた後、図示省略のラベル装着装置により、スリットされたロールより繰り出されながら所定の形状に切断され、ラベル3が製作され、所定の形状に切断されたラベル3は、吸着ドラム等の搬送手段で搬送される際に、熱風や赤外線によって感熱接着剤を加熱して活性化させ、飲料が充填された缶本体1の胴部6に巻付けられる。
以上のように飲料が充填された金属缶はホットベンダーやホットウォーマー等で温められて、ホット飲料として販売される。ラベル3の感熱接着剤はホットベンダー等による加熱温度の60乃至65℃では接着力が低下しないため、ラベル3は剥離することなく胴部6への固着状態が維持される。
そして、缶本体1も飲料と同様に高温に温められているが、ラベル3のうえから缶本体1を把持することができるので、持つ手が熱くならない。しかも、エンボス加工された部分を把持できるため、スベリ難くなっており、缶本体1をしっかりと握ることができる。
また、発泡ポリスチレンの発泡層10を有するラベル3は、ポリエチレンやポリプロピレンの発泡層10を有するものに比べ剛性を有し、感熱接着剤によって全周に接着しているため、薄肉のスチールやアルミニウムから形成される金属缶の胴部6の補強効果を有し好ましい。
尚、ラベル3の構成は上述した以外にも様々なものが適応可能である。例えば、内面側の非発泡層11bが無くても良く、この場合には、発泡層10に接着剤層14が積層されても良い。また、外面側に別途印刷を施した厚さ20乃至50μm程度のポリスチレン系樹脂フィルムをラミネートした上でエンボス加工しても良い。また、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂等の発泡ポリオレフィンから発泡層10を構成してもよい。例えば、発泡ポリエチレンからなる発泡層10をラベル基材とし、その裏面側に接着剤層14を、表面側には非発泡層11aとしてのポリエチレン層を設けると共に、該ポリエチレン層の表面に印刷12を施してその印刷12を含めてオーバーコート層13を設ける。但し、発泡ポリスチレン系樹脂を用いたものが剛性に優れ、樹脂版26によるエンボス加工性にも優れており、即ち、発泡ポリエチレンに比べてエンボスが入りやすいため、好ましい。
また、前記容器本体は、金属缶以外に、ガラス瓶や合成樹脂容器であっても良く、ガラス瓶の場合には、破瓶防止効果もある。更に、エンボス加工によってスクリューキャップ付き容器の開栓時に容器胴部をしっかりと握ることができ、好ましい。また、合成樹脂製のカップ状容器であって電子レンジにより加熱して食する食品容器のラベルとしても好ましい。前記容器本体に充填される内容物は、加熱される飲料以外に、冷却されるものであっても良い。特に氷菓子等の冷凍用容器の滑り防止効果は有効であるが、内容物には限定されない。
しかも、押圧版26は、前記の如く樹脂製とすることでラベル3の表面にキズ等を付けないものを容易且つ安価に製造することができるが、加熱することなく押圧できるものであれば、真鍮(黄銅)等の金属であっても良い。かかる金属製の押圧版の場合には、原反ラベルの表面にキズ等を付けないように、凸部のエッジをR状にするのが好ましい。
また、前記実施の形態の前記ラベルの製造方法においては、原反シート3Aの表面へのコロナ放電処理工程と、シート3Aへの印刷工程とを同一工程で行ったが、予め原反シート3Aにコロナ放電処理を施しておいて、コロナ放電処理工程と印刷工程以後の工程とは別工程で行っても良い。
また更に、上記実施形態においては、発泡シートに感熱接着剤を施した感熱接着剤付きのラベル3としたが、熱収縮性の発泡シートを用いたラベル3としてもよい。熱収縮性の発泡シートは、片面(印刷面)のみに非発泡層を有するものの他、両面に非発泡層を有するものであってもよい。発泡層や非発泡層の材質、厚さ、発泡倍率は上述したのと同様であって、その収縮率については120℃(グリセリン浴に10秒間浸漬)で30%乃至70%である。また、発泡シートとして熱収縮性のものを使用する場合においても上述したのと同様の方法でエンボス加工することができる。このようにラベル3を熱収縮性の発泡シートから構成する場合には、ロールから繰り出して個々のラベル3にカットした後に、ラベル3の内面の一端部3aにホットメルト等の接着剤を塗布して接着剤層14を形成すると共に他端部3bにはケトン系やエステル系等のポリスチレン系樹脂を溶解可能な溶剤を塗布し、一端部3aを容器本体1に貼着し巻き付けて他端部3bを一端部3a上に重ね合わせて接着し筒状に形成した後、熱風等のヒータによってラベル3を加熱収縮させて容器本体1の胴部6に完全に装着させる。また、ロールから繰り出して個々のラベル3にカットした後に、そのラベル3を円柱状のマンドレル等に巻回し両端部3a,3bを重ね合わせて該重ね合わせ部をヒートシールして接合することによって筒状とした後、該筒状のラベル3を容器本体1に嵌挿し、ヒータ等の加熱手段で加熱収縮させて容器本体1に装着することもできる。このようにラベル3を容器本体1に接着させずに装着してもよい。
以上のように、本発明のラベルは、容器本体に装着することにより、該容器本体を持つ手が非常に熱くなったり、冷たくなったりすることなく把持することができる。しかも、該ラベルの外面には、凹凸部分を有するように線状凹部が形成されていることから、凹凸部分を把持することによりラベルが滑り難くなり、容器本体を不用意に落し難くなると共に、凹凸部分が装飾効果を発揮し、高級感も得られ、奥行き、立体感のあるデザインが容易に得られる。
また、本発明のラベルの製造方法においては、ラベルの外面を、線状凸部を有する樹脂版で押圧するため、ラベルの外面にキズや亀裂が発生するのを防止でき、簡単な構成によりラベルを製造することができる。
また、本発明のラベルの製造方法においては、押圧版を加熱しないため、ラベルを接着させる接着剤に感熱接着剤を使用した感熱接着剤付きのラベルが容易に製造できる利点がある。
【図1】

【図2】


【図4】


【図6】

【図7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の胴部に装着されるラベルであって、発泡層を有する発泡シートからなり、ラベルの外面には、凹凸部分を有するように前記発泡シートを押圧により部分的に薄肉化した線状凹部が形成されていることを特徴とするラベル。
【請求項2】
ラベルの内面に感熱接着剤層が設けられている請求項1に記載のラベル。
【請求項3】
前記発泡層が、発泡ポリスチレン系樹脂からなり、前記線状凹部の幅長は、0.5〜3.0mmに設定されている請求項1に記載のラベル。
【請求項4】
発泡層を有する発泡シートからなるラベルの外面を、線状凸部を有する樹脂版で押圧し、前記外面に線状凹部からなるエンボス加工部分を形成することを特徴とするラベルの製造方法。
【請求項5】
発泡層を有し且つ内面に接着剤層を有する発泡シートからなるラベルの外面にエンボス加工部分を形成する請求項4に記載のラベルの製造方法。
【請求項6】
発泡層を有し且つ内面に感熱接着剤層を有する発泡シートからなるラベルの外面を、線状凸部を有し且つ非加熱状態の押圧版で押圧し、前記外面に線状凹部からなるエンボス加工部分を形成することを特徴とするラベルの製造方法。
【請求項7】
容器本体の胴部に装着されるラベルであって、発泡層を有する発泡シートからなり、ラベルの外面には、凹凸部分を有するように前記発泡シートを厚み方向に押圧することにより線状凸部が形成されていることを特徴とするラベル。
【請求項8】
発泡層を有する発泡シートからなるラベルの内面を、線状凸部を有する押圧版で押圧し、前記ラベルの外面に線状凸部からなるエンボス加工部分を形成することを特徴とするラベルの製造方法。

【国際公開番号】WO2004/040535
【国際公開日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【発行日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−548064(P2004−548064)
【国際出願番号】PCT/JP2003/013828
【国際出願日】平成15年10月29日(2003.10.29)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】