説明

ラベル型抜き方法及びその装置

【課題】ラベル台紙に抜き型刃の刃跡が残らないようにしたラベル紙型抜き加工を、抜き型刃に貼着剤が付着することがなく、また抜き型刃にラベルが付着することがなく、さらに抜き型刃の高さ調整を容易に、かつ短時間にて行うことができるようにする。
【解決手段】ラベル原紙1の走行途中で、このラベル原紙のラベル紙3からラベル台紙2を剥離して迂回路7を走行させ、その後、このラベル台紙をラベル紙に再貼り付けして走行するようにし、上記ラベル台紙が迂回路を走行している間に、ラベル紙の裏面にダミー紙8を重なり沿わせて走行させ、このダミー紙との重なり位置にてラベル紙の表面側からラベル絵を型抜き装置16にて型抜き加工を行うようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続してラベル絵を印刷した帯状のラベル紙の裏面側に帯状のラベル台紙を貼着剤にて仮着けしてなるラベル原紙からラベル絵の型抜き加工を行うラベル型抜き方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記ラベル絵の型抜き加工は、抜き型刃を周面に設け、あるいはフレキシブルダイを周面に貼り付けてなる抜き胴を用い、この抜き胴と受け胴間に上記ラベル原紙を紙通ししてラベル原紙をハーフカットすることによって行われる。
【0003】
このように台紙に抜き型刃の刃先が入らないようにラベル紙のみをカットするハーフカットは、微妙な切り込み量調整に時間と技術が必要で、切り込み量不足や切り込み過ぎにより後処理機(ラベラー機等)での貼り付け不良、よじれや破れの問題が発生する。
【0004】
このような問題を解決しようとして、ラベル台紙に抜き型刃の刃跡が残らないようにして型抜き加工してラベルを製造する装置及び方法が例えば特許文献1に知られている。この従来のラベル抜き方法及びその装置は、ラベル原紙のラベル台紙から1度ラベル紙を剥離して、ラベル台紙が迂回走行している間にラベルの貼着剤が塗布されている方の裏面側から抜き型刃を押しつけて型抜きし、この型抜きされたラベル絵を上記迂回路を走行してきたラベル台紙紙上に再貼着するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−255002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した従来の技術にあっては、ラベル台紙から剥離したラベル紙の貼着剤が塗布されている裏面側から抜き型刃にて型抜きしているため、抜き型刃の刃先に上記貼着剤が付着してしまい、時間の経過に従って抜き型刃の切れ味が悪くなり、また抜き型刃に貼着剤が付着することにより型抜き後のラベルが抜き型刃に張り付いてしまう等の問題があった。また、貼着剤面(裏側面)から切り込みが行われ、絵柄が見えない状態で上記切り込みが行われるため、型抜き装置の抜き型刃の位置調整がむずかしく、その上、抜き型刃の清掃、メンテナンスにも時間がかかるという問題があった。
【0007】
本発明は上記のことに鑑みなされたもので、台紙に抜き型刃の刃跡が残らないようにしたラベルの型抜き加工を、上記した従来の技術での問題が発生することなく行うことができるようにしたラベル型抜き方法及びその装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係るラベル型抜き方法は、連続してラベル絵を印刷した帯状のラベル紙の裏面に、帯状のラベル台紙を貼着剤にて仮着けしてなるラベル原紙の上記ラベル絵を型抜き装置にて型抜きを行うラベル型抜き方法において、ラベル原紙の走行途中で、このラベル原紙のラベル紙からラベル台紙を剥離して迂回路を走行させ、その後、このラベル台紙をラベル紙に再貼り付けして走行するようにし、上記ラベル台紙が迂回路を走行している間に、ラベル紙の裏面にダミー紙を重なり沿わせて走行させ、このダミー紙との重なり位置にてラベル紙の表面側からラベル絵を型抜き装置にて型抜き加工を行うようにした。
【0009】
また、上記方法を実施するための装置は、連続してラベル絵を印刷した帯状のラベル紙の裏面に、帯状のラベル台紙を貼着剤にて仮着けしてなるラベル原紙の上記ラベル絵を型抜き装置にて型抜きを行うラベル型抜き装置において、ラベル原紙の走行方向に離隔した位置にラベル台紙に転接する台紙案内ローラを設けると共に、両台紙案内ローラ間に、上流側の台紙案内ローラにてラベル紙から剥離されたラベル台紙を下流側の台紙案内ローラにわたって迂回走行させる迂回路を設け、上記迂回路の内側に、両台紙案内ローラ間を走行するラベル台紙剥離後のラベル紙の裏面にダミー紙を重なり沿わせて走行させるダミー紙走行路を設け、上記ラベル紙のダミー紙が重なって走行する位置に、ダミー紙に対してラベル紙の表面側からこれのラベル絵を型抜きする型抜き装置を設けた構成になっている。
【0010】
上記装置において、型抜き装置に、周面に抜き型刃を設けた抜き胴と、この抜き胴に転接する受け胴とからなる装置、あるいはレーザ照射器のいずれかを用いた。
【発明の効果】
【0011】
上記した本発明に係るラベル型抜き方法及びその装置によれば、ラベル原紙のラベル紙はこれの表面側から型抜き装置にて型抜きされることにより、このラベル紙の裏面に塗布されている貼着剤が型抜き装置の抜き型刃に付着することがなく、したがって抜き型刃の切れ味不良及び抜き型刃側へのラベル貼り付き等の型抜き作業上のトラブルをなくすことができる。また、型抜き装置にレーザ照射器を用いた場合においても、ラベル紙の表側に貼着剤がにじみ出ることがなく、貼着剤にて汚れることなく型抜きを行うことができる。さらに、型抜き装置による型抜きがラベル紙の表面側から行えることにより、ラベル紙のラベル絵を表面側から見ながら型抜き作業を行うことができ、ラベル紙に対する抜き型刃の位置調整を容易に行うことができると共に、抜き型刃に貼着剤が付着しないことにより、この抜き型刃のメンテナンスの容易化を図ることができる。
【0012】
また本発明によれば、ラベル原紙のラベル紙はダミー紙と重なった状態で型抜きが行われ、型抜き後にラベル台紙と再度貼り合わされることにより、ラベル絵の切り残しや、紙繊維の絡みなどがラベル台紙に付着したり、ラベル台紙からラベル絵が剥がし難い等の問題を解決することができる。
【0013】
また、近年積層連続体のラベル原紙のラベル台紙の厚みがコスト面で薄くなる傾向にあるが、本発明のように型抜き時の台紙がダミー紙であることにより、型抜き装置によるハーフカットによる型抜き加工の型抜き加工を、最もよい条件の台紙厚みで抜き加工を行うことができ、抜き型刃の切り込み不足や切り込み過ぎ等の諸問題の発生を防止できる。
【0014】
積層連続体であるラベル原紙にハーフカットを施す場合、微少量の切り込み深さの増減調整を行わなければならないが、型抜き時の台紙がダミー紙であることにより、上記調整にあまり注意を要することなく行うことができ、適正なセットを容易に、かつ短時間で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る装置を概略的に示す説明図である。
【図2】本発明に係る装置の他例を概略的に示す説明図である。
【図3】型抜き状態を示す説明図である。
【図4】型抜き装置にレーザ照射器を用いた例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係るラベル型抜き方法及びその装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1において、1は帯状のラベル台紙2に等間隔に連続してラベル絵が印刷してある帯状のラベル紙3を貼着剤にて仮着けしてなるラベル原紙であり、このラベル原紙1は図1において左方向に位置する給紙装置から給紙されて図中右方向へ直線状に走行されるようになっている。
【0018】
この直線状の走行路に、ラベル台紙2の下側面に転接する2個の台紙案内ローラ4a,4bが走行方向に間隔を有して設けられていると共に、この両台紙案内ローラ4a,4bの間に2個(複数個)の案内ローラ5a,5bにより上記走行路の下側に延設される迂回路5が形成されており、給紙装置から給紙されてきたラベル原紙1のうち、下側のラベル台紙2は上流側の台紙案内ローラ4aの位置でラベル紙3から剥離されて迂回路5を走行し、その後、下流側の台紙案内ロー4bの位置にてラベル原紙1の走行路に復帰するようになっている。
【0019】
上記上流側の台紙案内ローラ4aの位置にてラベル台紙2が剥離された上側のラベル紙3は、そのまま走行路を下流側の台紙案内ローラ4bに向けて直線状に走行して、この下流側の台紙案内ローラ4bの位置にて上記迂回路5を経たラベル紙3に合流して再び貼り合わされて下流側へ走行されるようになっている。下流側の台紙案内ローラ4bにはニップローラ6が対設してある。
【0020】
上記ラベル紙3の直線状の走行路の下側で、かつ迂回路5の内側にダミー紙走行路7が設けられている。このダミー紙走行路7のダミー紙8は、上流側と下流側のダミー紙案内ローラ9a,9bに案内されて、これの上面が両台紙案内ローラ4a,4b間を直線状に走行するラベル紙3の下面(裏面)に重なり沿って同一方向で、かつ同一速度で走行するようになっている。
【0021】
上記ダミー紙8は、ダミー紙供給ロール10から供給され、巻き取りロール11にて巻き取るようになっている。なお、このダミー紙8は繰り返し使用することができるように、両ロール10,11は逆転してダミー紙8を巻き戻しできるようになっている。このダミー紙走行路7の下流側のダミー紙案内ローラ9bにはニップローラ12が対設してある。
【0022】
図2にて示したダミー紙走行路7aは、ダミー紙8がループ状になっていて同一方向に走行して繰り返し使用できるようになっている。この装置7aにおける案内ローラ13a,13bのいずれかが駆動ローラとなっている。
【0023】
上記ラベル紙3の直線走行路には、抜き胴14と受け胴15とからなる型抜き装置16が設けられている。抜き胴14はラベル紙3の上側(表面側)に位置され、また受け胴15はダミー紙8の下側に位置されていて、それぞれの周面がラベル紙3、ダミー紙8の走行方向と同一で、かつ同一速度の周速で回転するようになっている。そして抜き胴14の周面には所定形状の抜き型刃17が設けられており、両胴14,15の回転により図3に示すようにラベル紙3からラベル絵18が型抜きされるようになっている。このときの抜き型刃17の高さはラベル紙3の厚さよりわずかに高くなっていて、ラベル紙3を打ち抜いてダミー紙8にわずかに刃跡が残る程度の高さになっている。
【0024】
上記構成において、給紙装置から給紙されるラベル原紙1のラベル台紙2は、上流側の台紙案内ローラ4aでラベル紙3から剥離されて迂回路5を通り、下流側の台紙案内ローラ4bに巻き掛けられて通常の走行路に戻される。そして上記ラベル台紙2が剥離された後のラベル紙3はそのまま直線状の走行路を走行される。
【0025】
上記直線状の走行路を走行するラベル紙3は、ダミー紙走行路7,7aにて走行されるダミー紙8と重なって走行される。このダミー紙8と重なった状態で型抜き装置16にてラベル紙3の表面側から型抜き加工される。その後、このラベル紙3は上記下流側の台紙案内ローラ4bの位置で上記迂回路5を通ってきたラベル台紙2に再貼り合わせされて一体状になって下流側へ走行される。
【0026】
このときにおいて上記ラベル紙3は、これの表面側から型抜き装置16の抜き型刃17にて型抜きされるので、型抜き装置16の抜き型刃17にラベル紙3の裏面に塗布されている貼着剤が付着することがない。
【0027】
上記型抜き装置16による型抜き時において、抜き胴14の抜き型刃17がラベル紙3を貫通するが、このときの刃先による刃跡はダミー紙8につけられて、上記迂回路5を走行することにより型抜き装置16をバイパスしたラベル台紙2には上記刃跡が残ることがない。
【0028】
このときにおけるダミー紙8には、上記したように抜き型刃17による刃跡がつけられるが、このときの刃跡は浅いので繰り返し使用することができる。なお、ダミー紙8は、このように抜き型刃17による刃跡が繰り返しつけられるので丈夫な紙が望ましく、あるいはレーザ不燃材であってもよい。
【0029】
上記抜き胴14における抜き型刃17の切り込み高さの増減調整を微少量にわたって行うことができるが、ダミー紙8における刃跡の深さの大小はあまり問題にならないので、上記切り込み高さの増減調整を概略的に行うことができる。
【0030】
上記した実施の形態では、ラベル紙1はラベル台紙2に一層のラベル紙3を仮着けした例を示したが、2層、3層のラベル紙をラベル台紙2に仮着けするようにしたラベル原紙1を用いてもよい。この場合の抜き型刃17は2層、3層のラベル紙3を貫通して型通しして型抜きする。
【0031】
上記した実施の形態においての型抜き装置16は、抜き胴14と受け胴15に代えて図4に示すようにレーザ照射器19を用いてもよい。この場合、レーザがラベル紙3を貫通することによりラベル18が抜かれる。このときのレーザによる抜き跡がダミー紙8につけられるが、ラベル台紙2にはこの抜き跡はつけられない。
【符号の説明】
【0032】
1…ラベル原紙、2…ラベル台紙、3…ラベル紙、4a,4b…台紙案内ローラ、5…迂回路、5a,5b,13a,13b…案内ローラ、6,12…ニップローラ、7,7a…ダミー紙走行路、8…ダミー紙、9a,9b…ダミー紙案内ローラ、10…ダミー紙供給ロール、11…巻き取りロール、14…抜き胴、15…受け胴、16…型抜き装置、17…抜き型刃、18…ラベル絵、19…レーザ照射器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続してラベル絵を印刷した帯状のラベル紙の裏面に、帯状のラベル台紙を貼着剤にて仮着けしてなるラベル原紙の上記ラベル絵を型抜き装置にて型抜きを行うラベル型抜き方法において、
ラベル原紙の走行途中で、このラベル原紙のラベル紙からラベル台紙を剥離して迂回路を走行させ、その後、このラベル台紙をラベル紙に再貼り付けして走行するようにし、
上記ラベル台紙が迂回路を走行している間に、ラベル紙の裏面にダミー紙を重なり沿わせて走行させ、このダミー紙との重なり位置にてラベル紙の表面側からラベル絵を型抜き装置にて型抜き加工を行うようにした
ことを特徴とするラベル型抜き方法。
【請求項2】
連続してラベル絵を印刷した帯状のラベル紙の裏面に、帯状のラベル台紙を貼着剤にて仮着けしてなるラベル原紙の上記ラベル絵を型抜き装置にて型抜きを行うラベル型抜き装置において、
ラベル原紙の走行方向に離隔した位置にラベル台紙に転接する台紙案内ローラを設けると共に、両台紙案内ローラ間に、上流側の台紙案内ローラにてラベル紙から剥離されたラベル台紙を下流側の台紙案内ローラにわたって迂回走行させる迂回路を設け、
上記迂回路の内側に、両台紙案内ローラ間を走行するラベル台紙離隔後のラベル紙の裏面にダミー紙を重なり沿わせて走行させるダミー紙走行路を設け、
上記ラベル紙のダミー紙が重なって走行する位置に、ダミー紙に対してラベル紙の表面側からこれのラベル絵を型抜きする型抜き装置を設けた
ことを特徴とするラベル型抜き装置。
【請求項3】
型抜き装置に、周面に抜き型刃を設けた抜き胴と、この抜き胴に転接する受け胴とからなる装置、あるいはレーザ照射器のいずれかを用いたことを特徴とする請求項2記載のラベル型抜き装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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