説明

ラベル貼り付け機

【課題】ラベル貼り付け機の姿勢が変わったり、ラベル貼り付け機を乱暴に扱ったりしても、ラベルロールが用紙ホルダーから脱落することを防止でき、かつ、ラベルの装填作業を容易に行えるラベル貼り付け機を提供する。
【解決手段】ラベル貼り付け機1は、グリップ10と、グリップ10とともに握持及び解除する操作レバー5と、ラベル保持軸15を有し、ラベル保持軸15にロール状の台紙なしラベル3を装填する用紙ホルダー4と、ラベル保持軸15に設けられ、ラベル保持軸15に対して台紙なしラベル3を装脱可能な解除位置と、台紙なしラベル3がラベル保持軸15から脱落する方向へ移動することを規制する脱落防止位置と、の間で移動可能な脱落防止部材110と、脱落防止部材110を脱落防止位置の方向へ付勢する付勢部材120とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドラベラー等のラベル貼り付け機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯式のラベル貼り付け機を用いて、各種商品その他の被貼り付け体にラベルを貼り付け、商品の価格やその他必要な情報を表示することが行われている。
このラベル貼り付け機の使用にあたっては、ラベルをロール状に巻いた状態で、ラベル貼り付け機における用紙ホルダー等の保持部に装填保持するとともに、この用紙ホルダーからラベルを帯状に繰り出して、ラベル貼り付け機内に挿通し、移送、及び、印字を行う(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来のラベル貼り付け機の用紙ホルダーには、ロール状に巻かれたラベルロールの中央に設けられた孔と対応するラベル保持軸が設けられている。このようなラベルの装填構造は、ラベル保持軸にラベルロールの孔を嵌合させるだけでよく、装填作業が容易であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−291932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した従来のラベル貼り付け機では、装填作業が容易な反面、ラベルロールが用紙ホルダーから脱落し易かった。例えば、ラベルロールを用紙ホルダーに装填した後、帯状になっているラベルの先端をラベル貼り付け機の内部へ挿入する作業時等にラベル貼り付け機の姿勢を変えたり、ラベル貼り付け機を乱暴に扱ったりすると、ラベルロールが用紙ホルダーから脱落するおそれがあった。
【0006】
本発明の課題は、ラベル貼り付け機の姿勢が変わったり、ラベル貼り付け機を乱暴に扱ったりしても、ラベルロールが用紙ホルダーから脱落することを防止でき、かつ、ラベルの装填作業を容易に行えるラベル貼り付け機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。
請求項1の発明は、グリップと、前記グリップとともに握持及び解除する操作レバーと、ラベル保持軸を有し、前記ラベル保持軸にロール状のラベルを装填する用紙ホルダーと、前記ラベル保持軸に設けられ、前記ラベル保持軸に対して前記ラベルを装脱可能な解除位置と、前記ラベルが前記ラベル保持軸から脱落する方向へ移動することを規制する脱落防止位置と、の間で移動可能な脱落防止部材と、前記脱落防止部材を前記脱落防止位置の方向へ付勢する付勢部材と、を備えるラベル貼り付け機である。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載のラベル貼り付け機において、前記脱落防止部材は、前記ラベル保持軸の軸線と交差する方向にスライド移動するように設けられていること、を特徴とするラベル貼り付け機である。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1に記載のラベル貼り付け機において、前記脱落防止部材は、前記ラベル保持軸の軸線に直交する面内で回転移動するように設けられていること、を特徴とするラベル貼り付け機である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ラベル貼り付け機の姿勢が変わったり、ラベル貼り付け機を乱暴に扱ったりしても、ラベルロールが用紙ホルダーから脱落することを防止できる。また、脱落防止部材は、手等で押すことにより簡単に解除位置に移動できるので、ラベルの装填作業を容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態のラベル貼り付け機1の側面図である。
【図2】第1実施形態のラベル貼り付け機1の用紙ホルダー4及びプラテンユニット6を開放した状態の側面図である。
【図3】第1実施形態のラベル貼り付け機1の側板2を取り除いた状態の概略側面図である。
【図4】プラテンユニット6の分解斜視図である。
【図5】用紙ホルダー4の分解斜視図である。
【図6】用紙ホルダー4に対して台紙なしラベル3を装着又は取り外し可能な状態を示す図である。
【図7】用紙ホルダー4へ台紙なしラベル3が装着された状態を示す図である。
【図8】第2実施形態のラベル貼り付け機において、用紙ホルダー204に対して台紙なしラベル3を装着又は取り外し可能な状態を示す図である。
【図9】第2実施形態のラベル貼り付け機において、用紙ホルダー204へ台紙なしラベル3が装着された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面等を参照して説明する。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態のラベル貼り付け機1の側面図である。
図2は、第1実施形態のラベル貼り付け機1の用紙ホルダー4及びプラテンユニット6を開放した状態の側面図である。
図3は、第1実施形態のラベル貼り付け機1の側板2を取り除いた状態の概略側面図である。
なお、これらの図を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張して示している。
また、以下の説明では、具体的な数値、形状、材料等を示して説明を行うが、これらは、適宜変更することができる。
【0014】
ラベル貼り付け機1は、左右(紙面表裏)一対の側板2と、台紙なしラベル3の用紙ホルダー4と、操作レバー5と、プラテンユニット6と、印字器7と、貼り付けローラー8と、台紙なしラベル切断装置9と、を有する。
【0015】
左右一対の側板2は、操作者が握持可能なグリップ10を一体に形成するとともに、このグリップ10に対してレバー軸11(図3)のまわりに操作レバー5を回動操作可能としている。
なお、操作レバー5とグリップ10との間には、任意の付勢部材、例えばコイルスプリング12を設けて、操作レバー5をグリップ10に対して、図1に示すような常時(操作レバー5の解放時)離反状態に付勢可能としている。
操作者は、コイルスプリング12の付勢力に抗してグリップ10及び操作レバー5を握持してラベル貼り付け機1内のプラテンユニット6及び印字器7を駆動するとともに、この握持操作を解放後、ラベル貼り付け機1の貼り付けローラー8による台紙なしラベル3の貼り付け操作を行うことになる。
【0016】
台紙なしラベル3は、これをロール状に巻いて用紙ホルダー4に保持するとともに、操作レバー5の操作にともなって、プラテンユニット6により印字器7方向に台紙なしラベル3を帯状に繰り出し、プラテンユニット6の先端部でプラテンユニット6から台紙なしラベル3を分離し、貼り付けローラー8により台紙なしラベル3を被貼り付け体(図示せず)に貼り付け可能とする。
ただし、台紙なしラベル3には所定ピッチで移送用スリット3A等を形成し、プラテンユニット6上を移送する際に、後述する台紙なしラベル切断装置9により、帯状の台紙なしラベル3から単葉のラベル片3Bとすることができる。
なお、移送用スリット3Aに合わせて台紙なしラベル3の両端側から内方部に向かって任意の数の切り目から構成したミシン目3Cを形成し、台紙なしラベル切断装置9による切断作用を容易にすることができる。
【0017】
用紙ホルダー4は、側板2の上部と嵌合するホルダー軸13のまわりに側板2に対して開閉回動可能とした断面半円弧状のホルダーカバー14と、このホルダーカバー14の内部に設けたラベル保持軸15と、側板2への固定用フック16(図2)と、を有し、ラベル保持軸15にロール状の台紙なしラベル3を装填保持可能としてある。
用紙ホルダー4のラベル保持軸15部分の詳細については、後述する。
【0018】
図4は、プラテンユニット6の分解斜視図である。プラテンユニット6は、用紙ホルダー4から帯状に繰り出された台紙なしラベル3をその上面に移送するもので、プラテンフレーム17と、移送ローラー18と、押付けエレメント19と、を有し、移送ローラー18と押付けエレメント19との間を接離可能とする。
【0019】
プラテンフレーム17は、側板2に設けたプラテン開閉軸20のまわりにこれを回動可能とし、側板2に対してプラテンユニット6全体を開閉し、台紙なしラベル3の挿通装填を可能とする。
プラテンフレーム17は、駆動ギア21及び従動ギア22と、これら駆動ギア21及び従動ギア22のまわりに掛け回した移送用無端ベルト23と、を備えており、駆動ギア21が移送ローラー18のローラーギア24に係合する。
移送用無端ベルト23は、移送ローラー18により移送されてくる台紙なしラベル3をさらに移送可能であって、その表面は、台紙なしラベル3の裏面(糊面)が接触移送されるため、非粘着性の物性を有するシリコーンあるいはフッ素系のゴム材からこれを構成するか、剥離剤等を塗布しておく。
また、このプラテンフレーム17に組み込まれた移送用無端ベルト23は、印字器7による台紙なしラベル3への押印動作の受け台、さらには台紙なしラベル切断装置9による台紙なしラベル3の切断動作の受け台ともなるもので、その内方において印字器7に対向する受圧用プレート(図示せず)を配置してある。
なお、プラテンフレーム17の先端側の左右には、一対の係脱ローラー25を突出形成し、側板2に設けた開閉用つまみ26(図1、図2)に連動してつまみ軸27(図3)のまわりに回動する開閉用係脱片28の係脱用凹部28Aに係脱可能としてある。ただし、つまみ軸27には任意のバネ材(図示せず)を設けて、開閉用係脱片28が係脱ローラー25に係合する方向にこれを付勢している。
すなわち、開閉用つまみ26は、係脱ローラー25に係脱する開閉用係脱片28を操作して、プラテンユニット6と開閉用係脱片28とを互いに係脱可能としている。
【0020】
図3及び図4を参照して、移送ローラー18は、プラテンフレーム17に設けたローラー軸29のまわりに移送方向に所定ピッチでこれを回転可能としてある。
操作レバー5のレバー軸11の下方部に延びる連結アーム30の連結軸31に、移送回動用爪32を往復動可能に取り付けてあり、この移送回動用爪32が移送ローラー18におけるローラーギア24の側面に放射状に設けた複数個の移送用突起33それぞれに係脱可能である。
【0021】
かくして、操作レバー5をグリップ10とともに握持及び解放することにより、連結アーム30、移送回動用爪32及びローラーギア24等を介してローラー軸29のまわりに移送ローラー18を所定ピッチだけ回転して台紙なしラベル3を移送可能とするとともに、移送ローラー18のローラーギア24と駆動ギア21との連結係合により移送用無端ベルト23を回転させて台紙なしラベル3をその上面に移送可能である。
【0022】
さらに移送ローラー18は、その中央円周溝34の左右に所定ピッチで左右一対の移送用爪35を突出形成し、移送用爪35の外周側に左右一対の外周円周溝36を形成してあり、この移送用爪35を台紙なしラベル3の移送用スリット3Aに係脱可能としている。
なお、操作レバー5には、その先端側に二股状のヨーク部5Aを有し、このヨーク部5Aに印字器7(図1)を取り付けている。
【0023】
とくに図4に示すように、押付けエレメント19は、移送ローラー18に台紙なしラベル3を押し付けるためのものであり、エレメントフレーム37と、上下左右二対のバックアップローラー38と、バックアップローラー38の間で中央に位置するバックアップリング39と、ねじりコイルバネ40及び左右一対の板バネ41(付勢部材)と、を有する。
ねじりコイルバネ40及び左右一対の板バネ41は、プラテンユニット6が開閉用係脱片28(図3)から離脱したときに、移送ローラー18と押付けエレメント19とを互いに離反させる付勢部材として機能し、押付けエレメント19から移送ローラー18を離反させ、その間に台紙なしラベル3を挿通可能とする間隙42(図3)を形成可能とする。
ただし、プラテンフレーム17は、係脱ローラー25と開閉用係脱片28との係合により、ねじりコイルバネ40及び板バネ41の付勢力に抗して側板2にこれを固定可能としている。
エレメントフレーム37は、移送ローラー18の円周部に対向する左右一対の支持フレーム43と、支持フレーム43から外方にまたがるように出た左右一対の拡幅フレーム44と、支持フレーム43に設けるとともにバックアップローラー38及びバックアップリング39を取り付ける上下一対の回転軸45と、を有する。
【0024】
バックアップローラー38及びバックアップリング39は、台紙なしラベル3の裏面(糊面)が接触移送されるため、非粘着性の物性を有するシリコーンあるいはフッ素系のゴム材からこれを構成するか、剥離剤等を塗布しておくもので、台紙なしラベル3を移送ローラー18側に押し付け可能である。
また、バックアップローラー38及びバックアップリング39は、台紙なしラベル3の糊面に線接触するため、糊面との粘着力を極力小さくすることができるとともに、所定のバネ弾性をもった押付けが可能である。
バックアップローラー38は、移送ローラー18の移送用爪35の外周部の外周円周溝36に接触回転するとともに、バックアップリング39が、移送ローラー18の移送用爪35の内周部の中央円周溝34に接触回転することにより、移送ローラー18と押付けエレメント19との間に台紙なしラベル3を挟持しつつ、また、移送用爪35が台紙なしラベル3の表面側からその移送用スリット3Aに係合し移送ローラー18の回転によって台紙なしラベル3を移送用無端ベルト23上に送り出す。
【0025】
ねじりコイルバネ40は、エレメントフレーム37における一方の支持フレーム43の外壁面に、移送ローラー18と押付けエレメント19との間において、間隙42からは側方にずれた位置に設けたバネ取付け軸46にこれを取り付けてあり、プラテンフレーム17の内壁面に設けた第1のバネ受け47と、上記一方の支持フレーム43に設けた第2のバネ受け48との間にこれを配置し、プラテンフレーム17(プラテンユニット6)全体を押付けエレメント19に対して常時開放方向(図3)に付勢する。
板バネ41は、移送ローラー18とは反対側の支持フレーム43の背面にこれを取り付け、操作レバー5のレバー軸11部分に当接して、ねじりコイルバネ40と協動して、プラテンフレーム17(プラテンユニット6)全体を押付けエレメント19に対して常時開放方向(図3)に付勢する。
【0026】
支持フレーム43は、その外方に位置している拡幅フレーム44との間に連結アーム30からの移送回動用爪32を往復動可能に配置している。
拡幅フレーム44は、プラテンフレーム17の外壁面に設けたエレメント軸49(図4)のまわりにプラテンフレーム17に対してこれを回動可能としてあり、プラテンユニット6において押付けエレメント19に対してプラテンフレーム17を相対的に開閉可能としている。
したがって、押付けエレメント19は、プラテンフレーム17に設けたエレメント軸49のまわりにこれを回動可能となっている。
【0027】
印字器7は、操作レバー5における二股状のヨーク部5Aの先端部側にこれを取り付け、インキローラー50(図1)により印字器7の活字にインキを塗布し、プラテンユニット6における移送用無端ベルト23の上面に移送されてきた台紙なしラベル3(ラベル片3B)に所定の情報を印字する。
【0028】
貼り付けローラー8は、側板2の先端下方部に位置し、プラテンユニット6における移送用無端ベルト23の先端部分で移送用無端ベルト23から剥離されたラベル片3Bを、ラベル貼り付け機1全体の貼り付け操作にともなって、貼り付けローラー8によるラベル片3Bを被貼り付け体に貼り付ける。
すなわち、貼り付けローラー8は、側板2の端部(図1中、左端下方端部)に位置するとともに、その円周部の一部が側板2の外部に露出しており、側板2の外部に排出するようにプラテンユニット6及びその移送用無端ベルト23を通って側板2の外部に移送されてきたラベル片3Bを、貼り付けローラー8を被貼り付け体に打ち付けるようにして回転させることにより、被貼り付け体に貼り付け可能とする。
【0029】
台紙なしラベル切断装置9は、操作レバー5に連動して、不図示の切断コマを台紙なしラベル3の幅方向に往復動させることにより、台紙なしラベル3を単葉のラベル片に切断する。
【0030】
次に、用紙ホルダー4のラベル保持軸15部分の詳細について説明する。
図5は、用紙ホルダー4の分解斜視図である。
用紙ホルダー4のホルダーカバー14には、ラベル保持軸15が一体成形されている。
ラベル保持軸15には、脱落防止部材110と、付勢部材120と、ビス130とが取り付けられている。
【0031】
脱落防止部材110は、略扇形に形成されており、長孔110aが開口されている。また、長孔110aの長手方向と同一方向に軸部110bが突出して形成されている。脱落防止部材110は、長孔110aにビス130を貫通させて、ビス130がラベル保持軸15のビス孔15aにねじ込まれることにより、取り付けられている。ビス130は、脱落防止部材110の移動を規制しないように取り付けられている。したがって、脱落防止部材110は、長孔110aの範囲で移動可能に設けられている。
【0032】
図6は、用紙ホルダー4に対して台紙なしラベル3を装着又は取り外し可能な状態を示す図である。
図7は、用紙ホルダー4へ台紙なしラベル3が装着された状態を示す図である。
なお、図6は、図7と対比しやすいように、ホルダー軸13を中心とした用紙ホルダー4の回転量を図2よりも少なくして示している。
図6に示す状態では、脱落防止部材110は、ラベル保持軸15に対して台紙なしラベル3を装脱可能な解除位置にある。
一方、図7に示す状態では、脱落防止部材110は、台紙なしラベル3がラベル保持軸15から脱落する方向、すなわち、図7では、台紙なしラベル3が紙面手前方向へ移動することを規制する脱落防止位置にある。
このように、脱落防止部材110は、解除位置と脱落防止位置との間でスライド移動可能となっている。
【0033】
付勢部材120は、一端が脱落防止部材110の軸部110bに嵌められていて、他端がラベル保持軸15のバネ受け部15bに当接している圧縮コイルバネである。したがって、付勢部材120は、脱落防止部材110を脱落防止位置の方向へ付勢する。
【0034】
図6に示す解除位置に脱落防止部材110を移動させるためには、使用者は、図6中の矢印Pの方向へ脱落防止部材110を手、又は台紙なしラベル3の中心に設けられた孔の壁面等で押すことが必要である。しかし、この作業はごく簡単な作業であり、台紙なしラベル3の装着や取り外しにおいて、煩雑になるようなものではない。一方、ひとたび台紙なしラベル3が用紙ホルダー4へ正しく装着されると、図7のように脱落防止部材110が付勢部材120の付勢力によって、常に脱落防止位置にあることとなる。したがって、台紙なしラベル3が用紙ホルダー4から脱落することを確実に防止できる。
【0035】
以上説明したように、第1実施形態によれば、脱落防止部材110をスライド移動可能に設け、付勢部材120により脱落防止部材110を脱落防止位置方向へ付勢している。よって、脱落防止部材110は、ラベル貼り付け機1の姿勢が変わったり、ラベル貼り付け機1を乱暴に扱ったりしても、台紙なしラベル3が用紙ホルダーから脱落することを防止できる。また、脱落防止部材110は、手等で押すことにより簡単に解除位置に移動できるので、台紙なしラベル3の装填作業を容易に行える。
【0036】
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態のラベル貼り付け機において、用紙ホルダー204に対して台紙なしラベル3を装着又は取り外し可能な状態を示す図である。
図9は、第2実施形態のラベル貼り付け機において、用紙ホルダー204へ台紙なしラベル3が装着された状態を示す図である。
第2実施形態のラベル貼り付け機は、用紙ホルダー204のラベル保持軸215部分の形態が異なる他は、第1実施形態と同様である。よって、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0037】
ラベル保持軸215には、脱落防止部材210と、付勢部材220と、ビス230とが取り付けられている。
【0038】
脱落防止部材210は、略長円形状に形成されており、不図示の貫通孔をビス230が貫通してラベル保持軸215のビス孔軸215cに取り付けられている。ビス孔軸215cは、中央にビス孔を有し、外周が円筒形状の柱状に形成された部分である。ビス230は、脱落防止部材210の回転移動を規制しないように取り付けられているので、脱落防止部材210は、ビス230を中心として回転移動可能である。
【0039】
なお、図8は、図9と対比しやすいように、ホルダー軸13を中心とした用紙ホルダー204の回転量を少なくして示している。
図8に示す状態では、脱落防止部材210は、ラベル保持軸215に対して台紙なしラベル3を装脱可能な解除位置にある。
一方、図9に示す状態では、脱落防止部材210は、台紙なしラベル3がラベル保持軸215から脱落する方向、すなわち、図9で台紙なしラベル3が紙面手前方向へ移動することを規制する脱落防止位置にある。
【0040】
ここで、ラベル保持軸215は、台紙なしラベル3のロール内径部分が嵌合するように外周が円筒状に形成されているが、上述のビス孔軸215cの中心は、ラベル保持軸215の外周の円筒の中心線(仮想の中心線)から若干位置がずれて設けられている。よって、脱落防止部材210がビス孔軸215cを中心として回転すると、脱落防止部材210の先端部分がラベル保持軸215の外周の円筒より外周側へ突出する脱落防止位置と、脱落防止部材210の先端部分がラベル保持軸215の外周の円筒より内周側へ位置する解除位置とに切り替えることができる。
このように、脱落防止部材210は、解除位置と脱落防止位置との間で回転移動可能となっている。
【0041】
また、脱落防止部材210には、ビス230の延在する方向と同一方向にピン210aが突出して形成されている。なお、図8及び図9において、ピン210aは、紙面奥方向に突出して形成されているが、破線として示すと不明瞭となるので、これらの図では、ピン210aと付勢部材220とは、透視図として実線で示している。
【0042】
付勢部材220は、ねじりコイルバネであり、脱落防止部材210を脱落防止位置方向へ付勢する。具体的には、付勢部材220は、ピン210aに掛けられており、他端がラベル保持軸215に突出して設けられたピン215aに掛けられており、コイル部分がビス孔を有するビス孔軸215cに嵌められている。付勢部材220により付勢されて脱落防止位置まで回転させられた脱落防止部材210は、ラベル保持軸215に突出して設けられたピン215bに当接して位置が決められる。以上の構成により、付勢部材220は、脱落防止部材210を脱落防止位置の方向へ付勢している。
【0043】
図9に示す解除位置に脱落防止部材210を移動させるためには、使用者は、図8中の矢印Qの方向へ脱落防止部材210を手、又は台紙なしラベル3の中心に設けられた孔の壁面等で押すことが必要である。しかし、この作業はごく簡単な作業であり、台紙なしラベル3の装着や取り外しにおいて、煩雑になるようなものではない。一方、ひとたび台紙なしラベル3が用紙ホルダー204へ正しく装着されると、図9のように脱落防止部材210が付勢部材220の付勢力によって、常に脱落防止位置にあることとなる。したがって、台紙なしラベル3が用紙ホルダー4から脱落することを確実に防止できる。
【0044】
以上説明したように、第2実施形態によれば、脱落防止部材210を回転移動可能に設け、付勢部材220により脱落防止部材210を脱落防止位置方向へ付勢している。よって、脱落防止部材210は、ラベル貼り付け機の姿勢が変わったり、ラベル貼り付け機を乱暴に扱ったりしても、台紙なしラベル3が用紙ホルダーから脱落することを防止できる。また、脱落防止部材210は、手等で押すことにより簡単に解除位置に移動できるので、台紙なしラベル3の装填作業を容易に行える。
【0045】
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
各実施形態において、ラベル貼り付け機は、台紙無しラベル3を用いる例を挙げて説明したが、これに限らず、例えば、台紙付きのラベルを取り扱うものであってもよい。
【0046】
また、各実施形態において、脱落防止部材は、スライド移動する形態と、回転移動する形態であり、それぞれ、圧縮コイルバネと、ねじりコイルバネとを付勢部材とする例を挙げて説明した。これに限らず、脱落防止部材の移動形態は、どのような動きをしてもよい。また、付勢部材は、脱落防止部材を脱落防止位置の向きへ付勢するものであればよく、例えば、板バネを用いてもよいし、エラストマーや樹脂の弾性を利用するものとしてもよく、どのような形態のものであってもよい。
【0047】
なお、第1実施形態及び第2実施形態と変形形態とは、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した各実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0048】
1 ラベル貼り付け機
2 側板
3 台紙なしラベル
3A 移送用スリット
3B 単葉のラベル片
3C ミシン目
4 用紙ホルダー
5 操作レバー
5A ヨーク部
6 プラテンユニット
7 印字器
8 貼り付けローラー
9 台紙なしラベル切断装置
10 グリップ
11 レバー軸
12 コイルスプリング
13 ホルダー軸
14 ホルダーカバー
15 ラベル保持軸
15a ビス孔
15b バネ受け部
16 固定用フック
17 プラテンフレーム
18 移送ローラー
19 押付けエレメント
20 プラテン開閉軸
21 駆動ギア
22 従動ギア
23 移送用無端ベルト
24 ローラーギア
25 係脱ローラー
26 開閉用つまみ
27 つまみ軸
28 開閉用係脱片
28A 係脱用凹部
29 ローラー軸
30 連結アーム
31 連結軸
32 移送回動用爪
33 移送用突起
34 中央円周溝
35 移送用爪
36 外周円周溝
37 エレメントフレーム
38 バックアップローラー
39 バックアップリング
40 ねじりコイルバネ
41 板バネ
42 移送ローラー18と押付けエレメント19との間の間隙
43 支持フレーム
44 拡幅フレーム
45 回転軸
46 バネ取付け軸
47 第1のバネ受け
48 第2のバネ受け
49 エレメント軸
50 インキローラー
110 脱落防止部材
110a 長孔
110b 軸部
120 付勢部材
130 ビス
204 用紙ホルダー
210 脱落防止部材
210a ピン
215 ラベル保持軸
215a ピン
215b ピン
215c ビス孔軸
220 付勢部材
230 ビス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリップと、
前記グリップとともに握持及び解除する操作レバーと、
ラベル保持軸を有し、前記ラベル保持軸にロール状のラベルを装填する用紙ホルダーと、
前記ラベル保持軸に設けられ、前記ラベル保持軸に対して前記ラベルを装脱可能な解除位置と、前記ラベルが前記ラベル保持軸から脱落する方向へ移動することを規制する脱落防止位置と、の間で移動可能な脱落防止部材と、
前記脱落防止部材を前記脱落防止位置の方向へ付勢する付勢部材と、
を備えるラベル貼り付け機。
【請求項2】
請求項1に記載のラベル貼り付け機において、
前記脱落防止部材は、前記ラベル保持軸の軸線と交差する方向にスライド移動するように設けられていること、
を特徴とするラベル貼り付け機。
【請求項3】
請求項1に記載のラベル貼り付け機において、
前記脱落防止部材は、前記ラベル保持軸の軸線に直交する面内で回転移動するように設けられていること、
を特徴とするラベル貼り付け機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−75699(P2013−75699A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217536(P2011−217536)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)サトーホールディングス株式会社 (1,153)
【Fターム(参考)】