説明

ラベル貼着装置

【課題】PTPシートのような易変形性シートの所定位置に、複数のラベルからなるラベル群を、一時に且つ精度よく自動貼着することのできるラベル貼着装置を提供する。
【解決手段】ラベル貼着装置10は、ラベル群95を繰り出す繰り出し部20と、軸芯32廻りを回転自在とされ、繰り出し部20によって繰り出されたラベル群95の貼着面を外側にして、ラベル群95を吸引可能な貼着部37が外周に設けられた回転体30と、回転体30の回転に同期して、易変形性シート80を搬送する搬送部50と、を備える。搬送部50により搬送中の易変形性シート80に対して、回転体30の貼着部37が押圧されるとともに、貼着部37におけるラベル群95の吸引が解除されることで、貼着部37による押圧を介して平面状態を確保される易変形性シート80に、ラベル群95が一時に貼着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベル貼着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置として、例えば特許文献1に記載されるものがある。特許文献1に記載される装置は、被着体を搬送するコンベアと、搬送される被着体に向けてラベルを繰り出す繰り出し手段と、貼付ローラと、を備え、被着体の上面に繰り出されたラベルが、貼付ローラを用いて押圧されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−282219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで近年、一のPTPシートの所定位置に、複数のラベル(ラベル群)を貼着した包装形態のニーズがある。図5は、このような包装形態に係るラベル貼着製品99を例示している。ラベル貼着製品99では、PTPシート80のポケット部82に収容される医薬品等の各内包物85に対応して、それぞれ服用日時等を記入可能な複数のラベル90、90…(ラベル群95)が貼着される。このようなラベル貼着製品99は、例えば内包物85が特定の医薬品等の場合に好適に用いることができる。
一方、PTPシート80は、製造中に反り・撓み等の変形を生じていることが多く(図6参照)、上記従来装置によっては、PTPシート80の所定位置に、複数のラベル90、90…からなるラベル群95を、一時に且つ精度よく自動貼着することが難しかった。
【0005】
そこで本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その主な目的とするところは、PTPシートのような易変形性シートの所定位置に、複数のラベルからなるラベル群を、一時に且つ精度よく自動貼着することのできるラベル貼着装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るラベル貼着装置は、易変形性シートに、複数のラベルからなるラベル群を貼着するラベル貼着装置であって、該ラベル群を繰り出す繰り出し部と、軸芯廻りを回転自在とされ、該繰り出し部によって繰り出された該ラベル群の貼着面を外側にして、該ラベル群を吸引可能な貼着部が外周に設けられた回転体と、該回転体の回転に同期して、該易変形性シートを搬送する搬送部と、を備え、該搬送部により搬送中の該易変形性シートに対して、該回転体の該貼着部が押圧されるとともに、該貼着部における該ラベル群の吸引が解除されることで、該貼着部による押圧を介して平面状態を確保される該易変形性シートに、該ラベル群が一時に貼着されるように構成される。
【0007】
本発明に係るラベル貼着装置は好ましくは、該易変形性シートが、ポケット部が成形された成形フィルムと、該成形フィルムに接着されたカバーフィルムと、を備え、該貼着部が、該回転体の外方に所定高さ凸起して設けられるとともに、該成形フィルムの空きスペースに、該ラベル群が貼着されるように構成される。
【0008】
本発明に係るラベル貼着装置はさらに好ましくは、該ラベル群の貼着位置において、該貼着部の前端エッジが、該易変形性シートの前縁辺よりも先行するように構成される。
【0009】
本発明に係るラベル貼着装置はさらに好ましくは、該貼着部が、該回転体の径方向に対して所定角度をなし、該ポケット部との接触を防止する傾斜部を備えて構成される。
【0010】
本発明に係るラベル貼着装置はさらに好ましくは、該貼着部が、該回転体の軸芯を中心とする所定円弧に沿って形成された湾曲面を備えて構成される。
【0011】
本発明に係るラベル貼着装置はさらに好ましくは、該貼着部が、弾性部材によって構成される。
【0012】
本発明に係るラベル貼着装置はさらに好ましくは、該貼着部における回転方向前方の吸引力が、回転方向後方の吸引力よりも大きく構成される。
【0013】
本発明に係るラベル貼着装置はさらに好ましくは、該ラベル群が、該繰り出し部により、所定配置にて一時に繰り出されるように構成される。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るラベル貼着装置によれば、上記したとおりの構成であるため、易変形性シートの所定位置に、複数のラベルからなるラベル群を、一時に且つ精度よく自動貼着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態に係るラベル貼着装置の全体構成を示す一部破断平面図である。
【図2】実施形態に係るラベル貼着装置の全体構成を示す一部破断側面図である。
【図3】実施形態に係るラベル貼着装置における貼着部の吸引孔とラベルとの配置関係を示す図である。
【図4】実施形態に係るラベル貼着装置によるラベル貼着状況を示す図である。
【図5】実施形態に係るラベル貼着製品を示す図である。
【図6】実施形態に係るPTPシートの変形状況を示す図である。
【図7】変形例に係る貼着部の吸引孔とラベルとの配置関係を示す図である。
【図8】他の実施形態に係る貼着部の吸引孔とラベルとの配置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について、図1〜図6を参照して説明する。図1〜図2は実施形態に係るラベル貼着装置10の全体構成を示す図であり、図1は一部破断平面図、図2は一部破断側面図である。図3はラベル貼着装置10における貼着部37の吸引孔41とラベル90との配置関係を示す図、図4はラベル貼着装置10によるラベル貼着状況を示す図である。図5は実施形態に係るラベル貼着製品99を示す図、図6は実施形態に係るPTPシート80の変形状況を示す図である。
【0017】
図1〜図2に示すように、本実施形態に係るラベル貼着装置10は主として、繰り出し部20、回転体30、搬送部50を備える。ラベル貼着装置10により、易変形性シートとしてのPTPシート80に、複数のラベル90、90…からなるラベル群95が自動貼着され、ラベル貼着製品99が得られる。図示しないが、ラベル貼着装置10は、ラベル90ないしラベル群95の貼着有無・位置等の異常を検査するセンサ、カメラ等の検査機構や不良品の排出機構その他必要な構成が適宜付設されていてもよい。
【0018】
PTPシート80は、図5に示すように、平面視略長方形(X:短辺方向、Y:長辺方向)をなし、複数のポケット部82、82…が表面側にそれぞれ凸状に成形された成形フィルム81と、成形フィルム81裏面に接着され、ポケット部82、82…を塞ぐカバーフィルム83(図6等参照)と、から構成される。成形フィルム81としては、熱可塑性のプラスチックフィルム等が用いられ、カバーフィルム83としては、アルミニウム箔等が用いられる。ポケット部82には、内包物85として、例えば錠剤やカプセル剤等の医薬品が収容される。
【0019】
ポケット部82、82…は、図5に示すように、長辺方向Yに沿って適宜間隔で、一の長辺寄りに偏って配置されており、これにより成形フィルム81表面に、空きスペース87が形成されている。空きスペース87の所定部分には、ポケット部82に収容される各内包物85に対応して、ラベル90、90…が長辺方向Yに沿って貼着され、これら複数のラベル90、90…によりラベル群95が構成される。各ラベル90には、各内包物85ごとに服用日時等を薬剤師等が記入可能な適宜の印刷が施されている。そして、一のポケット部82(内包物85)と一のラベル90とを組にして、隣り合う組の間には、服用者の便宜のための切り離し線88がそれぞれ設けられる(図5以外の図では切り離し線88の図示を省略している)。
このような複数のラベル90、90…からなるラベル群95が貼着されたPTPシート80(ラベル貼着製品99)は、例えば内包物85が、過量服用防止のために休薬期間が定められている特定の医薬品等で、各内包物85ごとに服用日時等を服用者に徹底する必要があるような場合に好適に用いられる。
【0020】
PTPシート80は、成形フィルム81と、カバーフィルム83と、をヒートシール等の手法で熱接着することにより製造されるが、成形フィルム81とカバーフィルム83の熱収縮率の相違等に起因して、打ち抜き後のPTPシート80は、図6(a)〜(d)に例示するように、短辺方向Xや長辺方向Yあるいは他の斜め方向等に反り・撓み等の変形を生じ易い。しかも、製造時の温度条件等によって、上記変形の態様は一定しない傾向にあり、このようなPTPシート80の所定位置に、複数のラベル90、90…(ラベル群95)を、一時に且つ精度よく自動貼着することは、従来装置では困難であった。
【0021】
本実施形態に係るラベル貼着装置10の構成について具体的に説明する。繰り出し部20は、図1〜図2に示すように、上記PTPシート80に貼着すべき複数のラベル90、90…(ラベル群95)を一時に繰り出すもので、鋭角な尖端部22が形成された剥離板21を備える。剥離板21には、各ラベル群95が所定配置にて仮貼された長尺の台紙25が、図示しない供給リールによって供給される。台紙25は、剥離板21の尖端部22を介して転回されるとともに、台紙25から剥離されたラベル群95が、所定の斜め角度で順次繰り出される。ラベル群95が剥離された台紙25は、図示しない巻き取りリールによって巻き取られている。
【0022】
回転体30は、図1〜図2に示すように、水平な回転軸31に軸支される円筒形の回転ドラム34と、回転ドラム34の外周に設けられる周設部36と、を備える。回転軸31は、図示しない駆動源に接続され、これにより、回転体30が、回転軸31の軸芯32廻りを回転方向Rに一定速度で連続回転されるように構成されている。
周設部36には、回転体30の径方向rに略沿って外方に所定高さ凸起した複数の貼着部37、37…が設けられる。貼着部37、37…は、それぞれ軸芯32に平行するように、且つ周方向に等間隔をなして設けられている。貼着部37は好ましくは、合成ゴム等の弾性部材によって構成される。本実施形態では、貼着部37が周設部36と一体に成形されている。上記弾性部材としては、耐摩耗性や弾力性、加工性等に優れたものが好ましく、例えばクロロプレンゴムが適している。
【0023】
貼着部37は、図1〜図2に示すように、軸芯32を中心とする所定円弧33に沿って形成された湾曲面39を有する。上記繰り出し部20は、剥離ガイド21の尖端部22がこの円弧33に近接する適宜位置に配設され、回転体30の回転速度に合わせ、各貼着部37が尖端部22の傍を通過する適宜タイミングで間欠的に、ラベル群95が繰り出されるように制御されている。
【0024】
湾曲面39には、図1〜図3に示すように、多数の吸引孔41、41…が設けられる。上記繰り出し部20によって繰り出されたラベル群95は、吸引孔41、41…を介して、各ラベル90の貼着面92を外側にして(図4(a)参照)、湾曲面39に所定配置をなして吸引保持される。湾曲面39は、図3に示すように、平面展開視でラベル群95を含む矩形状に形成されるとともに、ラベル群95の各ラベル90に対して、それぞれ複数の吸引孔41、41…が割り当てられ、且つ各吸引孔41が全体として、軸芯32に平行する周方向の列(列L1、L2、L3)ごとに整列して配置されている。
【0025】
ラベル貼着装置10は、各貼着部37の吸引孔41、41…に、それらが所定の回転位置にある間だけ、吸引力を作用させることのできる吸引調整機構を備える。本実施形態の吸引調整機構は、図1〜図2に示すように、回転ドラム34内に同芯状に設けられる複数の吸引配管62、62…と、回転ドラム34に並設される調整本体部64と、を備えて構成される。吸引配管62、62…は、上記周方向の列(列L1、L2、L3;図3参照)ごとに吸引孔41、41…とそれぞれ連結される。各吸引配管62は、回転ドラム34の一端面に開放された連通口63をそれぞれ有し、連通口63、63…の側に、回転ドラム34と略同径をなす調整本体部64が、回転軸32の回転には追従しないようにして設置される。調整本体部64の回転ドラム34との対向面には、通気溝66が凹設され、通気溝66には、エア吸引ポンプ等の吸引手段67が接続されている。通気溝66は、連通口63、63…の回転軌跡上の所定位置に設けられ(図2参照)、各連通口63が通気溝66を通過する間だけ、対応する吸引孔41、41…が吸引配管62を介して吸引手段67に連通され、吸引力が働くようになっている。
【0026】
搬送部50は、図1〜図2に示すように、回転体30の直下に配設される。搬送部50は、回転体30の軸芯32に直交する搬送方向Aに沿って、PTPシート80、80…を所定速度で搬送する。搬送部50により、各PTPシート80は、ラベル群95の貼着前から貼着後にかけて、途中停止等することなく連続的に搬送される。
搬送部50は、搬送方向Aに沿って前後に延びる支持床51および押送溝53、53を備える。支持床51上には、上記円弧33の接平面と略同一レベルをなす水平な支持面52が形成されている。支持床51は、容易に屈曲等せず、支持面52の水平を保持可能な堅強な材質のものが好ましく、例えばステンレスその他の金属等を用いて構成される。押送溝53には、支持面52から所定高さ突出して複数の押送爪56、56…が配設される。各押送爪56は、支持床51下方の搬送ベルト57上に固着される(図2参照)。搬送ベルト57は無端帯状をなして、図示しないプーリに前後を巻回されており、搬送ベルト57を介して、押送爪56、56…が搬送方向Aに沿って前進されるようになっている。押送爪56、56…は、左右の押送溝53、53で各一対をなし、一対の押送爪56、56が、PTPシート80の後縁辺80bに当接してPTPシート80を押送する。PTPシート80は、空きスペース87が設けられた側の長辺を前縁辺80aとし、短辺方向X(図5参照)が搬送方向Aに略平行する所定姿勢にて、支持面52上を摺動される。
【0027】
搬送部50は、回転体30の回転に同期して、PTPシート80、80…を搬送する。搬送されるPTPシート80、80…は、貼着部37、37…の配設間隔に対応する所定間隔Dをなす(図2参照)とともに、図示しないエンコーダやサーボモータ等を介して、搬送ベルト57で搬送制御される。これにより、回転体30の貼着部37に吸引保持されたラベル群95と、PTPシート80における空きスペース87の所定部分と、が略同時に貼着位置(=本実施形態では回転体30の最下部)に到達するようになっている。
なお、搬送部50における支持床51の左右両側には、図1〜図2に示すように、各PTPシート80の両短辺に摺接し得る案内レール59、59が付設されている。案内レール59、59により、搬送されるPTPシート80、80…をそれぞれ所定姿勢に保ち易くなる。
【0028】
次に、上記構成のラベル貼着装置10の動作について説明する。
【0029】
繰り出し部20により、所定配置にて一時に繰り出された複数のラベル90、90…(ラベル群95)は、貼着部37の湾曲面39に保持され、図4(a)に示すように、回転方向Rに回転される。ラベル群95は、各ラベル90の貼着面92を外側にして、貼着部37の吸引孔41、41…を介して湾曲面39にぴったりと沿うように湾曲して吸引保持されている。各吸引孔41には、所定の吸引調整機構を介して、吸引力が作用している。繰り出し部20を、複数箇所に適宜分割して設け、ラベル群95のラベル90、90…を複数時に分けて繰り出す構成としてもよいが、本実施形態のように、ラベル群95を一時に繰り出す構成とする場合には、ラベル群95の貼着部37(湾曲面39)への位置合わせが容易になり、吸引区間を短くできるとともに、装置全体の省スペース化等にも繋がる。
また、本実施形態では、図3に示すように、一のラベル90に対してそれぞれ4つの吸引孔41が設けられるが、各ラベル90で、列L1の吸引孔41の数(=2個)が、列L2、L3の吸引孔41の数(=各1個)よりも多数に配置されている。つまり、貼着部37における回転方向R前方の吸引力が、回転方向R後方の吸引力よりも大きくなる(最前列L1における吸引力が、他列L2、L3の各吸引力に比べて最大となる)ように構成されている。これにより、ラベル群95が繰り出し部20から繰り出されて貼着部37に乗り移る際、湾曲面39における各ラベル90の位置ずれ等を確実に防止し易いものとなっている。
回転体30の下方では、PTPシート80が、搬送部50により、搬送方向Aに沿って支持面52上を所定姿勢で搬送されている。
【0030】
そして、図4(b)に示すように、回転体30の貼着部37に吸引保持された複数のラベル90、90…(ラベル群95)が、回転体30の最下部における貼着位置に到達するのと略同時に、搬送部50によって搬送されるPTPシート80の所定部分が、上記貼着位置に到達して、ラベル群95のPTPシート80への貼着が開始される。この貼着は、図4(c)に示すように、搬送されるPTPシート80に対して、上記円弧33に沿って貼着部37の湾曲面39が順次押圧されるとともに、貼着部37におけるラベル群95の吸引が順次解除されることによって進められる。ラベル群95の吸引は、各吸引孔41が上記貼着位置に到達するごと、所定の吸引調整機構を介して、上記周方向の列L1、L2、L3(図3参照)の順に解除される。貼着部37(湾曲面39)による押圧を介して、PTPシート80の空きスペース87が順次平面状態を確保され、貼着部37(湾曲面39)による押圧および各吸引孔41における吸引の解除を介して、この平面状態を確保される上記空きスペース87の所定部分に、複数のラベル90、90…(ラベル群95)が、搬送方向Aに沿って前方から後方に一時に貼着されている。
PTPシート80は、その製造中に様々に変形され得る(図6(a)〜(d)参照)が、上記によって空きスペース87の所定部分が平面状態を確保されることで、各ラベル90にしわ、弛み、浮き、歪み、位置ずれ等の不具合を生じさせることなく、PTPシート80の所定位置に、ラベル群95を精度よく貼着できる。搬送部50が支持床51(支持面52)を備えた構成により、上記平面状態を一層確保し易いものとなっている。
【0031】
また、貼着部37の湾曲面39が、上記円弧33に沿って形成されていることから、ラベル90、90…(ラベル群95)を挟んで、PTPシート80に均一な押圧力が及ぼされ易い。さらに、貼着部37が弾性部材によって構成されていることから、上記押圧力が比較的強いものであっても、PTPシート80を傷めるおそれも低い。特に本実施形態では、上記貼着位置において、貼着部37の前端エッジ37aが、PTPシート80の前縁辺80aよりも所定寸法dだけ先行するように構成されており(図4(b)参照)、先行する前端エッジ37a近傍を介してPTPシート80の前縁辺80a近傍がまず確実な平面状態とされ、そこに各ラベル90の前端が貼られるため、これに引き続く各ラベル90の貼着がスムーズとなり、ラベル群95を非常に精度よく貼着することが可能となる。上記寸法dは通常、数ミリ程度であるが、保持部37やPTPシート80の材質、ラベル群95の貼着位置等に応じて、最適な値が設定される。
【0032】
その後、図4(d)に示すように、ラベル群95を貼着し終えた貼着部37が回転方向Rに回転される一方で、ラベル群95を貼着されたPTPシート80が搬送方向Aに沿って搬送され、貼着部37の湾曲面39と、ラベル群95を貼着されたPTPシート80と、が離反する。本実施形態では、貼着部37の後端面に、回転体30の径方向rに対して所定の傾斜角度47をなす傾斜部46が設けられている。このため、ポケット部82の近傍にまでラベル90が貼着されるような場合であっても、貼着部37との接触によりポケット部82が破損するのを確実に防止できる。周設部36は、ポケット部82の上方を通過するように貼着部37の湾曲面39から凹陥して設けられ、押送爪56は周設部36に衝突しない高さに構成される。
複数のラベル90、90…からなるラベル群95を貼着されたPTPシート80(ラベル貼着製品99)は、図示しない後工程により、集積、包装、箱詰め等の必要な処置が適宜施される。図4(d)に示すように、貼着部37’の湾曲面39’には、次のラベル90’、90’…(ラベル群95’)が吸引保持されるとともに、押送爪56’によって、次のPTPシート80’が準備されており、以下、上記動作が繰り返される。これにより、PTPシート80、80’、…に、ラベル群95、95’…が次々と貼着される。
【0033】
このように、ラベル貼着装置10によれば、ポケット部82を有するPTPシート80の所定位置に、複数のラベル90、90…からなるラベル群95を、一時に自動貼着することができる。しかも、ラベル貼着装置10によれば、PTPシート80に反り・撓み等の変形が生じたものであっても、貼着部37による押圧を介してPTPシート80の平面状態を確保して、各ラベル90を精度よく貼着することが可能となる。また、ラベル貼着装置10は、上記したとおりのコンパクトな構成であるが、生産性が良好であり、大量のラベル貼着製品99を、短時間で効率的に得ることができる。
【0034】
上記実施形態の変形例を図7に示す。変形例では、貼着部37の後端面が回転体30の径方向r上に設けられるとともに、各ポケット部82に対応する所定位置に、図7に示す切欠部49、49…が形成されている。このような切欠部49によっても、上記傾斜部46(図4(d)参照)と同様に、ポケット部82の破損を防止することが可能である。一方、上記傾斜部46によれば、貼着部37の後端面の加工が容易であり、各ラベル90の全面(特にポケット部82の近傍)を貼着部37の湾曲面39で確実に押圧し得るという利点がある。
【0035】
以上の実施形態の記述は、本発明をこれに限定するものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の修正や設計変更等が可能である。
例えば、回転体30の形状・大きさ、貼着部37の配設数、吸引孔41の配置等は、適宜変更してよい。上記実施形態では、PTPシート80の所定位置に、複数のラベル90、90…(ラベル群95)が貼着される例を説明したが、各ラベル90は、互いに同一である必要はなく、それぞれ形状・大きさや印刷内容等が異なっていて構わない。また、ラベル90、90…が一枚状に連設され、切り離し線88で各ラベル90を切断分離して使用するようなものにも、本発明を適用することができる。
【0036】
図8(a)〜(e)には、他の実施形態を示している。図8(a)に示すPTPシート180では、搬送方向Aの前方側にポケット部182が設けられ、貼着部137には、ラベル190(ラベル群195)に対応する吸引孔141が配置されている。
また、図8(b)に示すPTPシート280では、ポケット部282が二列に設けられ、貼着部237には、ラベル290(ラベル群295)に対応して吸引孔241が配置されている。
また、図8(c)に示すPTPシート380では、ポケット部382の前後両側にラベル390、390がそれぞれ貼着され、一対の貼着部337、337には、ラベル390(ラベル群395)に対応して吸引孔341が配置されている。
また、図8(d)に示すPTPシート480では、ポケット部482が千鳥状に設けられるとともに、ラベル490も千鳥状に貼着され、ポケット部482を避けるようにジグザグ形状に構成された貼着部437には、ラベル490(ラベル群495)に対応して吸引孔441が配置されている。
また、図8(e)に示すPTPシート580では、ポケット部582の周囲にラベル590が貼着され、ポケット部582を避けるようにくり抜き状に構成された貼着部537には、ラベル590(ラベル群595)に対応して吸引孔541が配置されている。
このように、上記実施形態のPTPシート80に替えて、様々な形態のものを用いることができ、貼着部37の形状・大きさや吸引孔41の配置等も適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0037】
10 ラベル貼着装置
20 繰り出し部
30 回転体
32 軸芯
37 貼着部
37a 前端エッジ
39 湾曲面
41 吸引孔
46 傾斜部
50 搬送部
52 支持面
80 PTPシート
80a 前縁辺
81 成形フィルム
82 ポケット部
83 カバーフィルム
87 空きスペース
90 ラベル
95 ラベル群
99 ラベル貼着製品
R 回転方向
r 径方向
A 搬送方向



【特許請求の範囲】
【請求項1】
易変形性シートに、複数のラベルからなるラベル群を貼着するラベル貼着装置であって、
該ラベル群を繰り出す繰り出し部と、
軸芯廻りを回転自在とされ、該繰り出し部によって繰り出された該ラベル群の貼着面を外側にして、該ラベル群を吸引可能な貼着部が外周に設けられた回転体と、
該回転体の回転に同期して、該易変形性シートを搬送する搬送部と、を備え、
該搬送部により搬送中の該易変形性シートに対して、該回転体の該貼着部が押圧されるとともに、該貼着部における該ラベル群の吸引が解除されることで、
該貼着部による押圧を介して平面状態を確保される該易変形性シートに、該ラベル群が一時に貼着されるラベル貼着装置。
【請求項2】
該易変形性シートが、ポケット部が成形された成形フィルムと、該成形フィルムに接着されたカバーフィルムと、を備え、
該貼着部が、該回転体の外方に所定高さ凸起して設けられるとともに、該成形フィルムの空きスペースに、該ラベル群が貼着される請求項1に記載のラベル貼着装置。
【請求項3】
該ラベル群の貼着位置において、該貼着部の前端エッジが、該易変形性シートの前縁辺よりも先行する請求項2に記載のラベル貼着装置。
【請求項4】
該貼着部が、該回転体の径方向に対して所定角度をなし、該ポケット部との接触を防止する傾斜部を備えた請求項3に記載のラベル貼着装置。
【請求項5】
該貼着部が、該回転体の軸芯を中心とする所定円弧に沿って形成された湾曲面を備えた請求項4に記載のラベル貼着装置。
【請求項6】
該貼着部が、弾性部材によって構成される請求項5に記載のラベル貼着装置。
【請求項7】
該貼着部における回転方向前方の吸引力が、回転方向後方の吸引力よりも大きくされた請求項6に記載のラベル貼着装置。
【請求項8】
該ラベル群が、該繰り出し部により、所定配置にて一時に繰り出される請求項7に記載のラベル貼着装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−101817(P2012−101817A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251141(P2010−251141)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(000137904)株式会社ミューチュアル (37)
【Fターム(参考)】