説明

ラベル

【課題】 視覚的効果を増大させることで、効果的に顧客の注目を集め、購買意欲を効果的に高めることができるラベルを提供する。
【解決手段】 後面8dに接着剤層12を有する後方片部8と、該後方片部8との間に隙間を形成するように後方片部8の前側に位置する前方片部4とを備え、前方片部4と後方片部8にはそれぞれ前方印刷層10と後方印刷層11が設けられ、前方片部4を介して後方印刷層11が透視可能に構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品表示や宣伝広告等に使用するラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品や容器等に貼付して商品表示や宣伝広告等に用いるラベル、特に箱の上面より上に突出するように貼付して使用されるラベルやペットボトル等の容器の肩部に貼付して使用するラベル(いわゆるPOPラベル)としては、基材に接着剤層と表示部としての印刷層とを備えるものが一般的に知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなラベルは、印刷層のデザインによる視覚的効果により、顧客の注目を集め、購買意欲を高めようとするものである。
【特許文献1】特開2001−209322号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来のラベルにあっては、印刷層のデザインは平面的であるので、顧客の注目を高めるものが求められる。
【0004】
そこで、本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされ、視覚的効果を増大させることで、効果的に顧客の注目を集め、購買意欲を効果的に高めることができるラベルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、本発明に係るラベルは、後面に接着剤層を有する後方片部と、該後方片部との間に隙間を形成するように後方片部の前側に位置する前方片部とを備え、前方片部と後方片部にはそれぞれ前方表示部と後方表示部が設けられ、前方片部を介して後方表示部が透視可能に構成されていることを特徴とする。
【0006】
このような構成のラベルにあっては、前方表示部と後方表示部とは前後に離れて位置すること(立体的形状)となる。そして、前方片部を介して後方表示部が透視可能に構成されているので、前方表示部と後方表示部とを重ねて同時に見ることができる。従って、両表示部のデザインが全体として立体的に見えたり、また、前方表示部のデザインが後方表示部のデザインから前方に浮いて見えることとなる。更に、見る角度を変えることによって、両表示部のデザインが動くように見えたりする。
【0007】
特に、前方片部の周縁部の一部が連結片部により後方片部に連結され、該連結片部により前方片部は後方片部との間に隙間が形成されることが好ましい。前方片部と後方片部との間に連結片部を設けることにより隙間を確実に確保することができるという利点がある。
【0008】
更に、連結片部は、前後に対向するように折り返されたV字状部を有していることが好ましい。連結片部にV字状部を設けることにより、前方片部と後方片部との間の隙間を小さくするようにラベルを前後に押さえても、V字状部の弾性復元力によってV字状部が開いて隙間を形成する。従って、V字状部を圧縮して閉じた状態として製造、搬送することができ、使用の際にはV字状部の弾性復元力によって自動的に隙間が確保されて所定形状となる。
【0009】
また更に、後方片部には、前方から見て前方片部より外側に位置するように糊代部が突設され、該糊代部にのみ後方片部の後面に設けられる接着剤層が設けられていることが好ましい。糊代部においては隙間を形成する立体的形状ではなく平面的形状であり、その後面にのみ接着剤層が設けられているので、糊代部を容器等の曲面の形状に沿って容易にしかも確実に貼付することができる。従って、ラベルの良好な貼付状態を得ることができる。尚、糊代部を下方に突設させれば、POPラベルとして好ましい。
【0010】
更に、後方片部には、前方から見て前方片部より外側に位置するように糊代部が突設され、後方片部の後面全域に前記接着剤層が設けられ、該接着剤層のうち前記糊代部以外の部分に設けられる部分を覆うように非接着層を設けて、その部分の接着力を無くしていることが好ましい。接着剤層を設ける際に位置合わせをする必要がないので、容易に接着剤層を形成することができる。また、接着剤層のうち糊代部以外の隙間を形成する立体的形状をなす部分に設けられる部分については、非接着層を被覆して接着力を無くしている。よって、POPラベルとして用いる場合に、この部分の接着剤層に埃等が付着して見栄えが悪くなったりしにくくなる。更に、接着剤層のうち平面的形状である糊代部に設けられている部分で容器等に貼付することとなるので、糊代部を容器等の曲面の形状に沿って容易にしかも確実に貼付することができる。
【発明の効果】
【0011】
このように、本発明に係るラベルにあっては、前方片部と後方片部との間に隙間を形成し、前方片部と後方片部にはそれぞれ前方表示部と後方表示部が設けられ、前方片部を介して後方表示部が透視可能に構成されているので、従来に表示部が一層の場合のようにデザインが平面的に見えることがなく、視覚的効果が増大されて効果的に顧客の注目を集めることができ、購買意欲を効果的に高めることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係るラベルの一実施形態について図面を参酌しつつ説明する。
図1及び図2に本実施形態における立体的な形状を有するPOPラベルとしてのラベル1が示されている。該ラベル1の基材は、前方基材2と後方基材3とで構成されている。前方基材2と後方基材3は、図2(A)のように正面から見るとその外縁は一致する同一形状であって完全に重なり合っているように見えるが、互いの一部は図2(B)のように前後に離間してある。即ち、前方基材2の一部が後方基材3から浮いた状態となるように折り加工された前方基材2と折り加工されていない後方基材3とを前後に重ね合わせて接着し、後方基材3から浮いている前方基材2の部分が箱状となることによって部分的に立体形状としたものである。以下、具体的に説明する。
【0013】
前方基材2は、図2(A)及び(B)に示すように、横方向に長い略長方形状の前方片部4と、前方片部4の上下両端4a,4bからそれぞれ延設された上下一対の連結片部5,6と、下側の連結片部6から下方に突設された突出部7とで構成される。
【0014】
前方片部4は、後方基材3から前方に所定距離離間して位置している。具体的には、前方片部4と後方基材3との間には所定の隙間が形成されており、この隙間は縦方向、横方向共に略一定となっている。即ち、前方片部4は後方基材3と略平行であって、それ自体平坦面を構成している。前方基材2の前方片部4は、その周縁部のうち上端と下端において、上下一対の連結片部5,6により後方基材3に連結されており、両連結片部5,6により、後方基材3との間の隙間が確保されている。つまり、前方片部4は、その上下両端において後方基材3と連結される一方、その両側縁においては後方基材3とは連結されてはおらず、従って、前記隙間は上下方向には連結片部5,6で閉じられ、左右方向には開放されている。
【0015】
上側の連結片部5は、その断面形状が断面略V字形状となったV字状部50を有している。V字状部50は、前方片部4の上端4aから後方に向けて斜め下方に延設された前壁部50aと前壁部50aから上方に延設された後壁部50bとが前後に対向するように折り返し部50cで折り返されて形成されており、前壁部50aと後壁部50bとは上側ほど前後に離れた形状となっている。そして、後壁部50bは後方基材3の前側に重ね合わされて接着されている。尚、後壁部50bの上端である連結片部5の後端5bは、後方基材3の上端8aと面一とされている。
【0016】
一方、下側の連結片部6も、その断面形状が断面略V字形状となったV字状部60を有している。V字状部60は、前方片部4の下端4bから後方に向けて斜め上方に延設された前壁部60aと前壁部60aから下方に延設された後壁部60bとが前後に対向するように折り返し部60cで折り返されて形成されており、前壁部60aと後壁部60bとは下側ほど前後に離れた形状となっている。そして、後壁部60bの下方に突出部7が延設されていて、後壁部60bと突出部7とは一直線状となっており、後壁部60bと突出部7は、後方基材3の前側に重ね合わされて接着されている。
【0017】
突出部7は、下側の連結片部6の後端(後壁部60bの下端)の横方向略中央領域に設けられる。突出部7は、下方に舌片状に伸び、その横方向の長さは前方片部4の横方向の長さより小さくなっている。尚、突出部7の下端7aは後方基材3の下端9aと面一とされている。
【0018】
一方、図2(A)及び(B)に示すように、後方基材3は、主部8と主部8の下方に突設される糊代部9とで構成される。尚、本実施形態では、後方基材3が全体として後方片部を構成している。主部8は横方向に長い略長方形状であり、その縦方向(上下方向)の長さは前方片部4の縦方向の長さより長く、横方向の長さは前方片部4の横方向の長さとほぼ同じになっている。そして、主部8の下方には糊代部9が突設され、主部8と糊代部9とは一直線状となっている。糊代部9は、前方基材2の突出部7と同一形状であって両者は接合一体化されている。
【0019】
以上のように構成される前後両基材2,3は、シート状の基材に折り加工等を施し裁断することにより形成されるが、その材質は透明又は半透明のプラスチックシート、例えば、ポリエチレンテレフタレートや二軸延伸ポリプロピレンシートであり、前方から見て後方側が見えるようになっている。尚、前後両基材2,3としてはラミネートされた基材を用いてもよいし、また後方基材として合成紙などの白色プラスチックシートを用いてもよい。また、前方基材2の厚さは、例えば、30μm乃至100μmであって、好ましくは50μm乃至100μmである。
【0020】
そして、糊代部9の後面9bの全域には、ラベル1と容器等とを接着するための接着剤層12が設けられる。即ち、本実施形態においては、主部8には接着剤層12は設けられていない。接着剤層12の接着剤としては、粘着剤などが使用できる。
【0021】
以上のように構成される前方基材2と後方基材3とは、図2(A)及び(B)に示すように、前方基材2と後方基材3との上下、左右端それぞれが面一となって、両基材2,3が前後に重なり合うように配置されて、前方片部4と主部8との間に隙間が形成されるようにして接着される。具体的には、V字状部50,60の後壁部50b,60bが主部8の前側に、突出部7が糊代部9の前側にそれぞれ重ね合わされて接着される。これを前側から見ると、(「前方片部4と〜また、」まで削除)上側の連結片部5の後端5bが主部8の上端8aと面一となる。また、糊代部9は、主部8の下端8bから下方に伸びているので、前方片部4の下側に位置するように見える。尚、突出部7の下端7aは糊代部9の下端9aと面一となる。
【0022】
このように両連結片部5,6によって前方片部4を後方基材3から離間させつつ前方基材2と後方基材3とが接着されることにより、前方片部4は主部8の前側に対向した配置となる。そして、前方片部4と主部8との間には連結片部5,6が介在していて、そのV字状部50,60の後壁部50b,60bの厚みに加えてV字状部50,60の前壁部50a,60aが前方片部4の上下端4a,4bから前方片部4と対向する側に向けて斜め後方に延設しているので、前方片部4は主部8の前側に離れて位置し、前方片部4と主部8との間に隙間が確保される。更に、連結片部5,6はほぼ同形状のV字状部50,60を有していて上下に一対設けられているので、前方片部4と主部8とは略平行となる。
【0023】
そして、前方片部4の後面4dには前方表示部としての前方印刷層10が、主部8の前面8cには後方表示部としての後方印刷層11がそれぞれ設けられる。上述のように、前方片部4は主部8の前側に主部8との間に隙間を形成するように位置しているので、前方印刷層10は後方印刷層11の前側に後方印刷層11との間に隙間を形成するように位置することとなる。また、前方片部4と主部8とは略平行に位置しているので、前方印刷層10と後方印刷層11とは略平行に位置することとなる。更に、前側から見ると、前方印刷層10と後方印刷層11とは重なり合っている。そして、前方片部4は、透視可能に構成されているので、前方片部4を介して後方印刷層11が見える。尚、前方印刷層10は前方片部4の前面4cに設けても良く、後方印刷層11は主部8の後面8dに設けても良い。また、前方印刷層10は透明なインキを使用して前方片部4の全域に施しても良いし、一部の領域に施しても良く、また、不透明なインキを使用して一部の領域に施しても良い。更に、後方印刷層11は透明なインキを使用したものであっても良いが、デザインを鮮明に表示するため白色で不透明な印刷を下地として施し不透明な印刷とするのが好ましい。また更に、突出部7や糊代部9に印刷層を設けても良い。但し、図6(A)及び(B)のようにラベル1を容器100に貼付したとき、ラベル1が貼付される容器自体のデザインを突出部7や糊代部9に設けた印刷層のデザインによって見えなくしてしまわないように、突出部7や糊代部9には印刷層を設けないのが好ましい。
【0024】
以上の構成からなるラベル1は、以下のように製造される。長手方向に印刷層を備えた長尺シートを例えば上下に一対、それぞれの印刷層が向かい合わせになるように配置する。そして、上下両長尺シートを上下の印刷層のデザインが位置合わせされるようにタイミングを合わせて長手方向に送り出す。そして、送り出す途中において、上側の長尺シートは長手方向に折り目が形成されるように折り曲げられる。折り曲げられた上側の長尺シートの断面形状は、印刷層を備え平坦な面を形成している平坦部と、平坦部の幅方向の両端からそれぞれ平坦部と対向するように斜め下方に延設された斜部と、それぞれの斜部から平坦部と略平行となる向きで斜部と対向するように延設された接合部とで構成される形状である。また、下側の長尺シートには、印刷層とは反対側の面に接着剤層が長手方向に設けられる。この場合、接着剤層が不用意に接着しないようにハクリ紙等により被覆しておくのが好ましい。そして、上側の長尺シートを下側の長尺シートの上側に接着剤により接合する。具体的には、平坦部と両斜部とで囲まれる空間が下側の長尺シートの印刷層を囲むようにして、上側の長尺シートの両接合部が下側の長尺シートに接着される。この状態で、平坦部は下側の長尺シートとの間に隙間を形成する。そして、この隙間が小さくなるように平坦部を押さえてラベル1の所定形状ごとに打ち抜く。これにより、平坦部が前方片部4となり、両斜部と両接合部とが連結片部5,6となり、更に、下側の長尺シートが後方片部(後方基材3)となってラベル1が製造される。尚、折り加工に際し、いわゆる罫線加工を折り目に施していると折りやすくなる。また、下側の長尺シートには、予め全面に接着剤層を有するハクリ紙付のシートを用いてもよい。この場合には、接着剤層とは反対側の面に印刷層を設け、その後ハクリ紙を剥して主部8dとなる部分の接着剤層に非接着処理として印刷を施し、再度ハクリ紙を貼り付けた後、折り曲げた上側の長尺シートと貼り合わせる。
【0025】
このようにして製造されたラベル1は、前方片部4と主部8との間に形成される隙間を小さくした状態で搬送される。使用に際しては、図6(A)及び(B)に示すように、押し潰された状態から上下両連結片部5,6の弾性復元力によって自動的に隙間が確保されて図1に示すような所定形状となり、そして、接着剤層12が設けられている糊代部9を、例えばペットボトル等の容器100の肩部に貼付することで使用状態(表示状態)となる。尚、折癖等がついて自動的に隙間を確保しにくい場合には、糊代部9を容器100の肩部に貼付する前に隙間を確保しておくとよい。該ラベル1は、図6のように容器100の肩部から前方片部4と主部8とが上方に突出するように容器100に貼着される。従って、肩部からラベル1が上方に起立状態で突出していることから目立ちやすいうえに、突出している部分が立体的であるためより一層目立つこととなり宣伝効果が非常に大きいものである。しかも、その突出している部分において、前方印刷層10と後方印刷層11とが立体的に見えることとなるため、その部分が特に目立つのである。また、立体的な部分、即ち、隙間を介して前後二重になっている前方片部4と主部8の部分は貼着しない構成であって一重の部分であるところの糊代部9にのみ接着剤層12を設けて貼着する構成であるので、容器100が曲面であっても曲面に沿って容易且つ強固に貼着できる。
【0026】
以上のようにして製造され使用されるラベル1は、前方片部4は前方から見て後方側が見えるようになっているので、前方から見ると前方片部4を介して後方印刷層11を見ることができる。そして、後方印刷層11の前側には、前方印刷層10が後方印刷層11との間に隙間を形成して設けられている。従って、両印刷層10,11のデザインが全体として立体的に見えたり、また、前方印刷層10のデザインが後方印刷層11のデザインから前方に浮いて見えることとなる。更に、見る角度を変えることによって、両印刷層10,11のデザインが動くように見えたりする。従って、従来のラベル1における印刷層が一層である場合のように、デザインが平面的に見えることがなく、視覚的効果が増大されて効果的に顧客の注目を集めることができ、購買意欲を効果的に高めることができる。尚、前方片部4にレンズ状のエンボスを施すと、その凹凸形状により一種のレンズ効果が得られ、デザインがより立体的に見えて視覚的効果がより一層高まる。
【0027】
また、連結片部5,6は前方片部4と主部8との間に介在するように設けられているので、前方片部4と主部8との間の隙間は連結片部5,6の前後方向の厚みによって確保される。しかも、連結片部5,6はV字状部50,60を有し、前壁部50a,60aは前方片部4の上下端4a,4bから斜め後方に延設されているので、前方片部4は主部8の前側に離れて位置し、前方片部4と主部8との間の隙間が確保される。また、ラベル1が前後に押さえられて前方片部4と主部8との間の隙間が小さくなっても、V字状部50,60の弾性復元力によって前方片部4は前側に押し戻されて自動的に隙間が確保され所定形状となる。従って、両連結片部5,6を押さえて隙間が小さくなった状態で製造、搬送することができ、使用状態(表示状態)においては自動的に隙間が確保され所定形状となる。
【0028】
更に、連結片部5,6はV字状部50,60を有したほぼ同じ形状で上下に一対設けられているので、前方片部4と主部8とは略平行となる。従って、前方片部4に設けられる前方印刷層10と主部8に設けられる後方印刷層11とは略平行に位置するので、前側から見たときにデザインが歪んで見えたりずれて見えたりしない。また、上下の連結片部5,6のうち一方側の連結片部が前後方向に押さえられて一方側の隙間が小さくなったとしても、他方側の連結片部は前壁部と後壁部とが離れた状態のままであるので、他方側の隙間は小さくならずに確保される。
【0029】
また、主部8には、その下端8bに下方に伸びる平面的形状の糊代部9が突設され、この糊代部9の後面9bにのみ接着剤層12が設けられているので、糊代部9を容器等の曲面の形状に沿って容易にしかも確実に貼付することができる。即ち、隙間を形成している部分においては貼着せず、隙間を形成していない部分のみにおいて貼着するので、ラベル1を容器等が曲面であってもしっかりと貼付することができ、良好な表示状態を維持することができる。
【0030】
更に、本実施形態では、ラベル1は、前方基材2と後方基材3とで構成され、それらを接着することにより形成されている。従って、前方基材2と後方基材3とをそれぞれ別々に製造することができるので、ラベル1の製造が容易となる。
【0031】
また、V字状部50,60を複数有する場合、例えば、蛇腹折りした形状であっても良い。即ち、前方片部4から延設されたV字状部50,60の後壁部50b,60bから更に後方側にV字状部50,60が延設された形状とした場合であっても良い。
【0032】
尚、本実施形態では、上下両連結片部5,6は断面略V字形状であるV字状部50,60を有する場合について説明したが、これに限られず、V字状部を有さない場合であっても良く、例えば、前方片部4と主部8とを直線的に連結する形状とした場合であっても良い。例えば、図3(A)及び(B)に示すように、上側の連結片部5は、前方片部4の上端4aから後方に前方片部4と略直角となるように延設されて形成される。そして、上側の連結片部5の後端5bから下方に前方片部4と略平行となるように後方片部8が延設される。一方、下側の連結片部6は、前方片部4の下端4bから後方に前方片部4に略直角となるように延設された水平壁部61と、水平壁部61から上方に延設された垂直壁部62とで形成される。そして、垂直壁部62が後方片部8に接着される。尚、垂直壁部62は上側の連結片部5付近まで延設されている場合であってもよく、この場合には後方印刷層11は垂直壁部62に設けられる。
【0033】
このように前方片部4と後方片部8とが、連結片部5,6を介して連結されることにより、連結片部5,6により前方片部4と後方片部8との間の隙間が確保される。但し、連結片部5,6がV字状部50,60を有することによって、V字形状50,60の弾性復元力によって前方片部4と後方片部8との間の隙間が自動的に確保されるという利点がある。尚、ロールにする場合には、一方に寝かせておき貼り付け前に隙間を確保すればよい。
【0034】
また、図3(A)及び(B)のようにラベル1の基材を一枚としてもよい。即ち、一枚の基材13を折り曲げることによって前方片部4と後方片部8と上下両連結片部5,6とを形成した場合であっても良い。
【0035】
更に、図1の構成では上下両連結片部5,6が上下に対称な形状となるように一対設けられたものであったが、上下で異なった形状で一対設ける場合であっても良い。例えば、図4(A)及び(B)に示すように、上側の連結片部5はV字状部50を有して前方片部4の横方向全域に伸びる形状とする一方、下側の連結片部6は、前方片部4の下端4bから上方に延設されてその全体が後方基材3に接着されるようにしてもよい。この下側の連結片部6のようにその厚みのみによって隙間を確保するようにしてもよい。尚、この場合、前方片部4と後方片部8とは平行ではなく上側ほど離れており、従って前方片部4と後方片部8との間の隙間も上側ほど大きくなる。
【0036】
また更に、連結片部を左右に一対設けたり、上下左右それぞれに一対ずつ設けたりしてもよい。更に、連結片部を一つだけ設けてもよい。例えば、図5(A)に示すように、上側の連結片部5のみ設け、前方片部4の下端4bは後方片部8とは連結せずに離間した状態としてもよい。この場合、前方片部4と後方片部8とは例えば略平行とする。
【0037】
更に、図5(B)に示すように、上側には連結片部を設けずに下側のみ連結片部を設けてもよい。尚、この下側の連結片部6は、前方片部4の下端4bから下方に凸の円弧形状となるように延設されて形成され、その後端部6aは前方片部4の前面と同じ側の面で後方片部8に接着される。そして、前方片部4の上端4aはそのまま後方片部8へとつながっている。この場合、前方片部4と後方片部8とは平行ではなく下側ほど離れているので、前方片部4と後方片部8との間の隙間は下側ほど大きくなっている。
【0038】
何れにしても、前方片部4の周縁部の一部が連結片部により後方片部8に連結されることにより、連結片部によって前方片部4と後方片部8との間の隙間が確保される。
【0039】
また更に、連結片部を設けない場合であっても良く、例えば、図5(C)に示すように、後方片部8の上端8aから斜め下方に延設して前方片部4を形成し、前方片部4の下端4bをフリーな状態とする場合であっても良い。但し、連結片部を設けることによって前方片部4と後方片部8との間の隙間が確実に確保されるという利点がある。
【0040】
尚、後方片部の後面8d全体に接着剤層12を設け、接着剤層12のうち主部8dに設けられた部分に非接着層としての印刷層を被覆し、この部分の接着力が無くなるようにした場合であってもよい。この場合、接着剤層12のうち平面的形状の糊代部9に設けられている部分については非接着層によって被覆されていないので、ラベル1を容器100等の曲面形状に沿って強固に貼付することができる。また、非接着層を設けずに接着剤層12全体を容器100の側面や天面に貼付する場合であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態に係るラベルを示す斜視図。
【図2】(A)は同ラベルの正面図、(B)は(A)のP−P線断面図。
【図3】(A)は他の実施形態におけるラベルを示す正面図、(B)は(A)のQ−Q線断面図。
【図4】(A)は他の実施形態におけるラベルを示す正面図、(B)は(A)のR−R線断面図。
【図5】(A)乃至(C)は他の実施形態におけるラベルを示す断面図。
【図6】(A)は同ラベルの使用状態を説明する正面図、(B)は同ラベルの使用状態を説明する側面図。
【符号の説明】
【0042】
1…ラベル、2…前方基材、3…後方基材(後方片部)、4…前方片部、5,6…連結片部、7…突出部、8…主部(後方片部)、9…糊代部、10…前方印刷層(前方表示部)、11…後方印刷層(後方表示部)、12…接着剤層、50、60…V字状部、100…容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
後面に接着剤層を有する後方片部と、該後方片部との間に隙間を形成するように後方片部の前側に位置する前方片部とを備え、前方片部と後方片部にはそれぞれ前方表示部と後方表示部が設けられ、前方片部を介して後方表示部が透視可能に構成されていることを特徴とするラベル。
【請求項2】
前方片部の周縁部の一部が連結片部により後方片部に連結され、該連結片部により前記隙間が確保されることを特徴とする請求項1に記載のラベル。
【請求項3】
連結片部は、前後に対向するように折り返されたV字状部を有していることを特徴とする請求項2に記載のラベル。
【請求項4】
後方片部には、前方から見て前方片部より外側に位置するように糊代部が突設され、該糊代部にのみ前記接着剤層が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のラベル。
【請求項5】
後方片部には、前方から見て前方片部より外側に位置するように糊代部が突設され、後方片部の後面全域に前記接着剤層が設けられ、該接着剤層のうち前記糊代部以外の部分に設けられる部分を覆うように非接着層を設けて、その部分の接着力を無くしていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のラベル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−349838(P2006−349838A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−173923(P2005−173923)
【出願日】平成17年6月14日(2005.6.14)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)