説明

ラベル

【課題】成形が容易な簡素な構成からなり、ラベルを被着体に貼着した後にラベルを被着体から剥がす際に易破壊層が意図した模様状に破壊して被着体上にその形状が残り、該残留物によりラベルが剥離されたことを肉眼で容易に判別することが可能であるラベルを提供する。
【解決手段】基材層(A)、易破壊層(B)、および有色接着剤層(C)をこの順で含み、それぞれの層の中で易破壊層(B)の凝集力が最も小さく、有色接着剤層(C)が易破壊層(B)上に30〜95%の面積割合でパターン状に設けられており、且つそのパターンの最小単位が0.1〜305mmのピッチを有していることを特徴とするラベルである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はラベルに関するものである。具体的には、簡素な構成からなり、ラベルを被着体に貼着した後、該ラベルを被着体から剥がす際に易破壊層が意図した模様状に破壊して被着体上にその形状が残り、該残留物によりラベルが剥離されたことを肉眼で容易に判別することが可能であるラベルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、貼替防止を目的として、剥離した際に自身が破壊するラベルが複数提案されている。例えば特許文献1には、粉末フィラーと合成樹脂バインダーからなり剥離時に凝集破壊する凝集破壊層に粘着剤層を積層した貼替防止ラベルが提案されている。このラベルは、ラベル剥離時の凝集破壊層の破壊を主な目的としており、貼着後に剥離した際に凝集破壊層と粘着層とが被着体面方向に全面的に残るようになっている。そのため破壊されたことが分かりづらいという問題がある。
一方、特許文献2に記載の再貼付不正使用防止ラベルは、使用時に除去されるラベル基材と、前記ラベル基材の下側にパターン状に形成される剥離層と、前記剥離層の下側に形成される印刷層と、前記印刷層の下側に形成される粘着層とを含んでいる様態であり、貼着後に剥離した際に被着体にラベルの一部が残るようになっており、この残留物に印刷された情報を持たせることができる。しかしこれは非常に複雑な層構成を必要としており、且つパターン状の剥離層を形成することは容易ではないことから製造工程数が多くなりコスト高となるという問題がある。
また、引用文献3に記載の脆質ラベルは、基材、破壊層および粘着層からなるものであり、粘着層が凹凸を成し、該ラベルを被着体に貼着後に剥離すると、粘着層の少なくとも凸部に対応した部分の破壊層が被着体に残留することで、粘着層の凹凸に対応して破壊層が破壊されるものである。この場合でも破壊を肉眼で容易に判別するために破壊層が有色層或いは金属光沢層等を更に有する必要があり、製造工程数が多くなりコスト高となる問題がある。また粘着剤が連続した層の中で凹凸を形成している場合には、破壊の際に粘着剤層の破断も必要になることから、剥離に要する応力ならびに被着体に残存する部分の形状が安定しないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−30202号公報
【特許文献2】特開2002−72889号公報
【特許文献3】特開平10−222071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、成形が容易な簡素な構成からなり、ラベルを被着体に貼着した後にラベルを被着体から剥がす際に易破壊層が意図した模様状に破壊して被着体上にその形状が残り、該残留物によりラベルが剥離されたことを肉眼で容易に判別することができるラベルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の手段により課題を解決するものである。
即ち本発明は、基材層(A)、易破壊層(B)、および有色接着剤層(C)をこの順で含み、それぞれの層の中で易破壊層(B)の凝集力が最も小さく、有色接着剤層(C)が易破壊層(B)上に30〜95%の面積割合でパターン状に設けられており、且つそのパ
ターンの最小単位が0.1〜305mmのピッチを有していることを特徴とするラベルに関するものである。
【0006】
該ラベルの易破壊層(B)は熱可塑性樹脂、ならびに無機微細粉末および有機フィラーの少なくとも一方を20〜75重量%含み、少なくとも一軸方向に延伸された多孔質の樹脂フィルム層であり、その凝集力が5〜150g/cm幅であることが好ましく、易破壊層(B)に用いる該熱可塑性樹脂はポリオレフィン系樹脂を含むことが好ましい。
該有色接着剤層(C)は着色剤と、感圧接着剤、ディレード型接着剤、ホットメルト型接着剤、再湿型接着剤のいずれか一つからなり、その凝集力が20〜1000g/cm幅であることが好ましく、有色接着剤層(C)に用いる該着色剤は無機顔料、有機顔料、および染料の少なくとも一つを含むことが好ましい。
該基材層(A)は熱可塑性樹脂、ならびに無機微細粉末および有機フィラーの少なくとも一方を0.1〜50重量%含み、その含有量が易破壊層(B)における無機微細粉末および有機フィラーの含有量よりも8重量%以上少ない樹脂フィルム層であり、その凝集力が50〜15000g/cm幅であることが好ましい。
本発明のラベルは該易破壊層(B)と該有色接着剤層(C)との間に更に印刷層(D)を積層しても良く、該有色接着剤層(C)側の表面に更に剥離紙(E)を積層しても良い。
【発明の効果】
【0007】
本発明のラベルによれば、ラベルを被着体に貼着した後にラベルを被着体から剥がす際に、ラベルの有色接着剤層(C)が積層されている部分は易破壊層(B)の層内破壊により剥離が進行するが、有色接着剤層(C)が積層されていない部分は易破壊層(B)が破壊することなく剥離が進行する。結果として、ラベルの剥離により有色接着剤層(C)が積層されている部分は有色接着剤層(C)が易破壊層(B)とともに被着体側に残り、有色接着剤層(C)が積層されていない部分は被着体側には何も残存しない。易破壊層(B)が意図した模様状に破壊して被着体上にその形状が残り、且つ同残留物が被着体外観やラベル外観と比べて着色して見えることから、ラベルが剥離されたことを肉眼で容易に判別することが可能である。
また本発明のラベルは成形が容易な簡素な構成からなり、従来のラベルに比べて安価に製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明のラベルの一様態の断面図である。
【図2】有色接着剤層(C)のパターンの一様態の俯瞰図である。
【図3】有色接着剤層(C)のパターンの別の一様態の俯瞰図である。
【図4】有色接着剤層(C)のパターンの別の一様態の俯瞰図である。
【図5】有色接着剤層(C)のパターンの別の一様態の俯瞰図である。
【図6】有色接着剤層(C)のパターンの別の一様態の俯瞰図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[ラベル]
本発明のラベルは、図1に示す如く、基材層(A)、易破壊層(B)、及び有色接着剤層(C)をこの順に含み、積層してなるものでり、有色接着剤層(C)は特定のパターン状に設けられたものである。
【0010】
[基材層(A)]
基材層(A)はラベルにおいてそれ自体の強度が高く、(A)層を持って引き剥がしたときに、それ自体は破壊しないものである。
また基材層(A)は、ラベルを被着体に貼付している際に最外層となるものである。
基材層(A)は印刷適性、強度、耐水性、耐久性を有する紙材、樹脂フィルム等を採用し得るが、熱可塑性樹脂からなる層であることが好ましい。
【0011】
熱可塑性樹脂としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等のエチレン系樹脂、あるいはプロピレン系樹脂、ポリメチル−1−ペンテン、エチレン−環状オレフィン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−6,10、ナイロン−6,12等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸、およびこれらのモノマーに共重合可能な他のモノマーと共重合した脂肪族ポリエステル等の熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート、アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド等の熱可塑性樹脂が挙げられる。これらは2種以上混合して用いることもできる。これらの中でも、ポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。更にポリオレフィン系樹脂の中でも、コスト面、耐水性、耐薬品性の面からプロピレン系樹脂、高密度ポリエチレンがより好ましい。
【0012】
かかるプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体でありアイソタクティックないしはシンジオタクティックおよび種々の程度の立体規則性を示すポリプロピレン、プロピレンを主成分とし、これと、エチレン、ブテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1,4−メチルペンテン−1等のα−オレフィンとの共重合体が使用される。この共重合体は、2元系でも3元系でも4元系でもよく、またランダム共重合体でもブロック共重合体であってもよい。
【0013】
これら熱可塑性樹脂から得られる基材層(A)は、一軸延伸あるいは二軸延伸されていても良い。基材層(A)の肉厚は通常10〜500μm、好ましくは20〜300μmの範囲である。10μm未満では基材層(A)の破断強度が低く、基材層(A)を持って易破壊層(B)から引き剥がす際に、途中でラベルが破断してしまい本発明の所期の性能を発揮しづらい。又、500μmを越えてしまうと該層の腰が高くなり、剥がし易さや印刷適性が低下する。
【0014】
基材層(A)は無機微細粉末または有機フィラーの少なくとも一方を含有していても良く、含有していなくても良い。
基材層(A)が無機微細粉末および有機フィラーの少なくとも一方を含有していれば、基材層(A)が不透明となり、ラベルの隠蔽性を高めることができる。逆に含有していなければ、基材層(A)を通して有色接着剤層(C)が被着体からの剥離前でも視認できる。また、基材層(A)への印刷や印刷層(D)の印刷絵柄を工夫して剥離前と剥離後の視認できる絵柄が変化するように工夫することもできる。
含有させる場合には、無機微細粉末として、平均粒径が通常0.01〜15μm、好ましくは0.02〜8μm、更に好ましくは0.03〜4μmのものを使用することができる。具体的には、炭酸カルシウム、焼成クレイ、シリカ、けいそう土、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム、アルミナなどの微細粉末を使用することができる。
【0015】
有機フィラーとしては、主成分である熱可塑性樹脂とは異なる種類の樹脂を選択することが好ましい。例えば、熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂である場合には、有機フィラーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ナイロン−6,ナイロン−6,6、環状オレフィンの単独重合体や環状オレフィンとエチレンとの共重合体等で融点が120℃〜300℃、ないしはガラス転移温度が120℃〜280℃を有するものを使用することができる。
【0016】
基材層(A)が無機微細粉末および有機フィラーの少なくとも一方を含有する場合、基材層(A)は無機微細粉末および有機フィラーの少なくとも一方を0.1〜50重量%を
含むことが好ましく、5〜40重量%を含むことがより好ましい。
また基材層(A)における無機微細粉末および有機フィラーの含有量は、後述する易破壊層(B)の無機微細粉末および有機フィラーの含有量よりも8重量%以上少ないことが好ましく、10重量%以上少ないことがより好ましい。
上記範囲内であれば基材層(A)の強度を後述する易破壊層(B)や有色接着剤層(C)と比べて高く保持しすることが可能である。
その結果、基材層(A)はその凝集力は50〜15000g/cm幅であることが好ましく、100〜12000g/cm幅であることがより好ましく、155〜11000g/cm幅であることが特に好ましい。
【0017】
基材層(A)は、2層構造、3層以上の多層構造のものであってもよく、この多層構造の延伸軸数がそれぞれ1軸/1軸、1軸/2軸、2軸/1軸、1軸/1軸/2軸、1軸/2軸/1軸、2軸/1軸/1軸、1軸/2軸/2軸、2軸/2軸/1軸、2軸/2軸/2軸であっても良い。基材層(A)の多層化により筆記性、印刷性、熱転写適性、耐擦過性、2次加工適性等の様々な機能の付加が可能となる。
ただし基材層(A)の易破壊層(B)と接する側の層を層(A1)としたとき、少なくとも同層(A1)の無機微細粉末および有機フィラーの含有量は、上記同様に易破壊層(B)よりも8重量%以上少ないことが好ましく、10重量%以上少ないことがより好ましい。
【0018】
[易破壊層(B)]
易破壊層(B)は、本発明のラベルを構成する層の中でそれ自体の凝集力が最も弱く、ラベルの基材層(A)を持って引き剥がしたときに、易破壊層(B)が容易に凝集破壊する。ラベルを剥離する際に易破壊層(B)の凝集破壊が同層内部で起こり、引き剥がした基材層(A)側と有色接着剤層(C)側にそれぞれ易破壊層(B)の分離したものが追従する。そのため本発明のラベルは剥離後に再貼付することができない。
易破壊層(B)の形成方法には様々な方法があるが、易破壊層(B)に熱可塑性樹脂ならびに無機微細粉末および有機フィラーの少なくとも一方を含有させることにより、同層(B)の凝集力を低下させてより安定した剥離性を得ることが可能であり、本発明ではこの方法に従う。
【0019】
易破壊層(B)に含有可能な熱可塑性樹脂としては、前記基材層(A)の項で挙げた熱可塑性樹脂が挙げられ、延伸成形が容易であるポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。また易破壊層(B)における無機微細粉末および有機フィラーには、基材層(A)で挙げた無機微細粉末および有機フィラーを使用することができる。基材層(A)と易破壊層(B)の無機微細粉末および有機フィラーは同種のものであっても、異種のものであってもよい。
【0020】
易破壊層(B)においてその凝集力を小さくする主な要件は、無機微細粉末および有機フィラーの含有量である。易破壊層(B)における無機微細粉末および有機フィラーの少なくとも一方の含有量は、20〜75重量%であることが好ましく、25〜70重量%であることがより好ましい。易破壊層(B)の無機微細粉末および有機フィラーの少なくとも一方の含有量が20重量%未満では十分な剥離性が得られず、75重量%を越えては同層(B)の成形安定性が損なわれる。
【0021】
また易破壊層(B)は、二軸延伸されていることが好ましい。無機微細粉末または有機フィラーの少なくとも一方を含有させて延伸成形された易破壊層(B)の内部には、無機微細粉末または有機フィラーを核とした多数の空孔が形成され、脆性な易破壊層(B)を得ることができる。また延伸成形により均一な厚みを有する易破壊層(B)を得る事が可能となる。その結果、易破壊層(B)は、その凝集力が5〜150g/cm幅であること
が好ましく、10〜140g/cm幅であることがより好ましい。
易破壊層(B)の肉厚は、通常0.1〜10μm、好ましくは0.2〜5μmの範囲である。0.1μm未満では均一な膜圧の易破壊層(B)を形成することが困難となり、その弱い凝集力を発揮できずに安定した剥離性が得にくい傾向となる。逆に10μmを越えては剥離性に問題はないが、同層厚み方向の略同位置に剥離応力を集中させづらくなり、剥離力に振れが生じやすくなる。
【0022】
[有色接着剤層(C)]
有色接着剤層(C)は、本発明のラベルを被着体に接着可能とするものであり、着色剤により着色されており、本発明のラベルにおいて、易破壊層(B)よりもその凝集力が強く、接着力が強いことを特徴とする。従ってラベルを被着体に貼付した後に、被着体より基材層(A)を引き剥がそうとしたとき、有色接着剤層(C)内で凝集破壊することなく、また接着面で界面剥離することなく、易破壊層(B)を効果的に破壊することができる。有色接着剤層(C)の凝集力、又は接着力が易破壊層(B)のそれよりも小さい場合は、剥離(凝集破壊)は有色接着剤層(C)内、又は接着面で進行し、所期の目的は達成できない。
【0023】
また有色接着剤層(C)は、易破壊層(B)上に30〜95%の面積割合でパターン状に設けられており、且つそのパターンの最小単位が0.1〜305mmのピッチを有していることを特徴としている。面方向にパターン状に設けることで、ラベルが剥離されたことを肉眼で容易に判別することができる。
有色接着剤層(C)は、所期の目的を達成するために用いる接着剤の凝集力が20〜1000g/cm幅であることが好ましく、25〜800g/cm幅であることがより好ましく、200〜500g/cm幅であることが特に好ましい。有色接着剤層(C)の凝集力が20g/cm幅未満では、強度が不十分で易破壊層(B)を充分に破壊できずに所期の目的を達成しづらい傾向がある。逆に有色接着剤層(C)の凝集力が1000g/cm幅を超えては、接着力が低下したり、微細なパターンを有する有色接着剤層(C)を形成することが困難になる傾向がある。
【0024】
有色接着剤層(C)の易破壊層(B)上における面積割合は、易破壊層(B)の面積を100%とした場合、30〜95%であり、40〜90%が好ましい。
30%未満では被着体との接着力が不十分であり、また易破壊層(B)を充分に破壊できずに所期の目的を達成しづらい。逆に95%を越えては易破壊層(B)を意図した模様状に剥離できずに面方向全体に破壊してしまう恐れがあり、所期の目的を達成しづらい。
また有色接着剤層(C)は、易破壊層(B)上にパターン状に設けられており、且つそのパターンの最小単位が0.1〜305mmのピッチを有していることを特徴としている。同ピッチは1〜150mmであることが好ましく、1.5〜100mmであることがより好ましく、2〜35mmであることが特に好ましい。
ピッチが0.1mm未満では形成できるパターンが微細になりすぎ、ラベルを剥離した際のパターン剥離の再現性が不十分となり、またパターン形成自体が困難となる傾向がある。逆にピッチが305mmを超えては、パターン間の間隔が開きすぎて上記面積割合を満たしづらくなる傾向がある。
【0025】
有色接着剤層(C)を構成する主な成分は接着剤と、着色剤である。
接着剤としては、感圧接着剤、ディレート型接着剤、ホットメルト型接着剤、及び再湿型接着剤などが挙げられる。
【0026】
感圧接着剤としてはゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤が挙げられる。
ゴム系粘着剤の具体例としては、天然ゴム、ポリイソブチレンゴム、ブチルゴム、スチ
レンブタジエンゴム、スチレンイソプレンブロック共重合体、スチレンブタジエンブロック共重合体が挙げられ、これらは単独で又は複数併用して用いられる。或いは、これらゴム系粘着剤にアビエチン酸ロジンエステル、テルペン・フェノール共重合体、テルペン・インデン共重合体などの粘着付与剤を配合したものが挙げられる。
アクリル系粘着剤の具体例としては、2−エチルヘキシルアクリレート・アクリル酸n−ブチル共重合体、2−エチルヘキシルアクリレート・アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル共重合体などのガラス転移点が−20℃以下のものが挙げられる。
シリコーン系粘着剤の具体例としては、シリコーンゴムとシリコーンレジンとの混合物が挙げられる。
これら感圧接着剤の形態としては、溶剤型、エマルジョン型、ホットメルト型等が使用され、一般的には溶剤型、エマルジョン型のものを塗工することにより積層する。
【0027】
ディレート型接着剤は、主に熱可塑性樹脂、固体可塑剤、粘着付与剤から成る。熱可塑性樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレン共重合体などのものが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は単独で又は複数併用して用いられる。
【0028】
ディレード型接着剤に用いられる固体可塑剤としては、フタル酸ジフェニル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ジヒドロアビエチル、イソフタル酸ジメチル、フタル酸ジイソヘキシル、安息香酸スクロース、二安息香酸エチレングリコール、三安息香酸トリメチロールエタン、三安息香酸グリセリド、四安息香酸ペンタエリトリット、八酢酸スクロース、クエン酸トリシクロヘキシル、N−シクロヘキシル−p−トルエンスルホンアミド等が挙げられる。これらの固体可塑剤は単独で又は複数併用して用いられる。
【0029】
ディレード型接着剤に用いられる粘着付与剤としては、ロジン、重合ロジン、不均化ロジンおよびその誘導体、ポリテルペン樹脂、テルペン・フェノール樹脂、ロジンフェノールなどのフェノール変性樹脂、アルキルフェノール樹脂、クマロン・インデン樹脂、キシレン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族飽和炭化水素樹脂、芳香族炭化水素樹脂およびその水添物、スチレン系樹脂、ビニルトルエン・α−メチルスチレン共重合体等が挙げられる。これらの粘着付与剤は単独で又は複数併用して用いられる。
【0030】
ディレード型接着剤の熱可塑性樹脂、固体可塑剤、粘着性付与剤の配合比は、全固形分中それぞれ20〜60質量%程度、20〜60質量%程度、20〜60質量%程度であり、ラベルの接着性、保存性等により適宜調節する。また、必要に応じて、防腐剤、染料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、pH調節剤、消泡剤等の各種添加剤を、接着性を阻害しない範囲で添加することができる。
【0031】
ホットメルト型接着剤は、主に熱可塑性樹脂、粘着付与剤、ワックスから成る。熱可塑性樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレン共重合体などの熱可塑性エラストマー、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの非晶質ポリアルファオレフィンなどのオレフィン系ポリマー等が挙げられる。
【0032】
ホットメルト型接着剤に用いられる粘着付与剤としては、ロジン、重合ロジン、不均化ロジンおよびその誘導体、ポリテルペン樹脂、テルペン・フェノール樹脂、ロジンフェノールなどのフェノール変性樹脂、アルキルフェノール樹脂、クマロン・インデン樹脂、キシレン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族飽和炭化水素樹脂、芳香族炭化水素樹脂およびその水添物、スチレン系樹脂、ビニルトルエン・α−メチルスチレン共重合体等が挙げられる。これらの粘着付与剤は、単独で又は複数併用して用いられる。
【0033】
再湿型接着剤としては、にかわ、アラビアゴム、トラガントゴム、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉等の各種澱粉類、デキストリン、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル等のポリビニルエーテル類、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ビスコース等のセルロース誘導体、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、カゼイン、ゼラチン、アルギン酸ソーダ等が挙げられる。これらのなかで、ポリビニルアルコールが加湿環境下における保存性、接着性の点で好適である。
【0034】
再湿型接着剤に使用するポリビニルアルコールの鹸化度は70〜99%のものが使用可能であり、70〜85%のものが好ましい。鹸化度が70%未満の場合、加湿環境下での保存性に劣りブロッキングを生じやすい。鹸化度が99%を超えると再湿型接着剤層に水分を付与しても接着剤の活性化が不十分なため、接着時に大きな圧力が必要となる。
【0035】
再湿型接着剤には、例えば、アルミニウム、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、バリウム、チタン等の炭酸塩、酸化物、水酸化物、硫酸塩等、および天然シリカ、ゼオライト、カオリン、焼成カオリン等の粘土類を含む無機系顔料、澱粉、スチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、パラフィン、天然ワックス、合成ワックス等のブロッキング防止剤や、必要に応じて硬膜剤、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、pH調整剤、消泡剤等の各種添加剤を、接着性を阻害しない範囲で添加することができる。
【0036】
着色剤としては、公知の無機顔料、有機顔料等の顔料、または公知の染料を用いることができる。着色剤は被着体との色差により視認を容易にするものであれば良く、白色顔料や黒色顔料、体質顔料なども含む。
無機顔料としては、例えば、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、硫化亜鉛、タルク、カリオン、炭酸カルシウム、酸化チタン、シリカ、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、ジルコニア、酸化鉄系、水酸化鉄系、酸化クロム系、スピネル型焼成系、クロム酸系、クロムバーミリオン系、紺青系、アルミニウム粉末系、ブロンズ粉末系、またはリン酸カルシウム等の無機物の微粒子を挙げることができる。
有機顔料としては、例えば、フタロシアニン系、アゾ系、縮合アゾ系、アゾレーキ系、アンスラキノン系、ペリレン・ペリノン系、インジゴ・チオインジゴ系、イソインドリノン系、アゾメチンアゾ系、ジオキサジン系、キナクリドン系、アニリンブラック系、トリフェニルメタン系、またはカーボンブラック等の有機物の微粒子を挙げることができる。
【0037】
染料としては、例えば、アゾ系、アントラキノン系、キノンフタロン系、スチリル系、ジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系、オキサジン系、トリアジン系、キサンタン系、メタン系、アゾメチン系、アクリジン系またはジアジン系等の化合物を挙げることができる。
これら顔料または染料は単体で、あるいは二種以上を混合して用いることができる。またこれらの顔料または染料はいずれの形態でもよく、あるいは従来公知の方法によって各種の分散処理が施されたものであってもよい。
【0038】
有色接着剤層(C)は、上記の成分からなる混合物を必要に応じて、溶媒を加えて希釈したり加熱した後に、均一に混合して塗料化し、次に挙げる一般的な塗工方式によって易破壊層(B)上に直接塗工して、または後述する剥離紙(E)上に塗工し乾燥した後に易破壊層(B)に接圧して、積層し形成することができる。
かかる塗工は、キスコート塗工、フレキソ塗工、スクリーン塗工、バーコート塗工、コ
ンマコート塗工、ナイフコート塗工、ロールコート塗工、カーテンコート塗工、グラビアコート塗工、リバースコート塗工、リバースグラビアコート塗工等により行われ、必要により乾燥工程を経て、有色接着剤層(C)が形成される。
特にグラビアコート塗工、フレキソ塗工、およびスクリーン塗工等の方法によれば、種々のパターン形状を形成しやすい。
またパターン形状の形成については、予めエンボス加工を付与した剥離紙(E)を用いて有色接着剤層(C)表面に接圧してエンボス形状を転写する手法や、予めエンボス加工を付与した剥離紙(E)上に塗料を塗工し乾燥した後に易破壊層(B)に接圧してエンボス形状を転写する方法なども挙げられる。
【0039】
易破壊層(B)と有色接着剤層(C)との接着力が小さく界面剥離が懸念される場合には、上記有色接着剤層(C)を設ける前に易破壊層(B)側表面にアンカーコート剤を塗布しておくことが好ましい。該アンカーコート剤としては、ポリウレタン樹脂、ポリイソシアネート・ポリエーテルポリオール樹脂、ポリイソシアネート・ポリエステルポリオール・ポリエチレンイミン樹脂、アルキルチタネートなどが使用でき、これらは一般に、メタノール、酢酸エチル、トルエン、ヘキサンなどの有機溶剤、または水に溶解して使用される。アンカーコート剤の塗布量は、塗布・乾燥後の固形分量で0.01〜5g/m2、好ましくは0.02〜2g/m2の範囲である。
【0040】
[ラベルの形成]
本発明のラベルは、基材層(A)、易破壊層(B)を積層した積層フィルムを形成し、次いでこれに有色接着剤層(C)を積層することで形成することができる。以下、基材層(A)と易破壊層(B)の積層物を積層フィルムと呼称する。
【0041】
[積層フィルムの成形]
基材層(A)および易破壊層(B)をシート状に形成する成形方法は特に限定されず、公知の種々の方法が使用できる。具体例としては、スクリュー型押出機に接続された単層または多層のTダイやIダイを使用して溶融樹脂をシート状に押し出すキャスト成形、円形ダイを使用して溶融樹脂をチューブ状に押し出し内部の空気圧力で膨張させるインフレーション成形、混練された材料を複数の熱ロールで圧延しシート状に加工するカレンダー成形、圧延成形などが挙げられる。
基材層(A)および易破壊層(B)を積層する方法も特に限定されず、公知の種々の方法が使用できる。具体例としては、フィードブロック、マルチマニホールドを使用した多層ダイス内で積層して共押出する方式や、複数のダイスを使用する押出しラミネーション方式等がある。又、基材層(A)が多層構造である場合などは多層ダイスと押出しラミネーションを組み合わせて使用することも可能である。
【0042】
[延伸]
本発明のラベルは易破壊層(B)が少なくとも一軸方向に延伸されていることが好ましい。これを達成するためには基材層(A)および易破壊層(B)は、積層して積層フィルムとした後に、これを少なくとも1軸方向に延伸して各層を延伸することが好ましい。本発明の易破壊層(B)は脆弱で強度が低く、通常肉厚も薄い為、易破壊層(B)単層での延伸成形は極めて困難である。基材層(A)は支持体として易破壊層(B)を積層した後にこれを延伸することにより、易破壊層(B)の延伸成形が容易となる。
【0043】
本発明の易破壊層(B)は、延伸を行うことにより内部への空孔形成、薄膜化や厚みの均一化が容易となる。延伸方法としては、キャスト成形フィルムを延伸する場合は、ロール群の周速差を利用した縦延伸、テンターオーブンを使用した横延伸、圧延、テンターオーブンとリニアモーターの組み合わせによる同時二軸延伸、テンターオーブンとパンタグラフの組み合わせによる同時二軸延伸、インフレーション成形法による同時二軸延伸などを挙げることができる。
延伸倍率は特に限定されず、用いる熱可塑性樹脂の特性等を考慮して適宜決定する。例えば、熱可塑性樹脂としてプロピレン単独重合体ないしはその共重合体を使用する時には一方向に延伸する場合は約1.2〜12倍、好ましくは2〜10倍であり、二軸延伸の場合には面積倍率で1.5〜60倍、好ましくは4〜50倍である。その他の熱可塑性樹脂を使用する時には一方向に延伸する場合は1.2〜10倍、好ましくは2〜5倍であり、二軸延伸の場合には面積倍率で1.5〜20倍、好ましくは4〜12倍である。
【0044】
延伸時の温度は、用いる熱可塑性樹脂のガラス転移点温度以上から結晶部の融点以下の熱可塑性樹脂に好適な公知の温度範囲内で行うことができる。具体的には、熱可塑性樹脂がプロピレン単独重合体(融点155〜167℃)の場合は100〜164℃、高密度ポリエチレン(融点121〜134℃)の場合は70〜133℃であり融点より1〜70℃低い温度である。また、ポリエチレンテレフタレート(融点246〜252℃)では結晶化が急激に進まない温度を選択する。また、延伸時のライン速度は20〜350m/分であるのが好ましい。
【0045】
[印刷]
本発明のラベルには、易破壊層(B)と有色接着剤層(C)との間に更に印刷層(D)を積層しても良い。易破壊層(B)上に印刷を設けることで、ラベルを被着体から剥がした際の被着体上の残留物から、パターンと、印刷情報とを共に視認できることから、剥離されたことを肉眼でより容易に判別することが可能となる。
[印刷層(D)]
該印刷層(D)は、上記積層フィルムの成形後、有色接着剤層(C)を設ける前に、積層フィルムの易破壊層(B)側表面に従来公知の印刷手法や印刷インキを用いて設けることができる。
【0046】
本発明のラベルは、通常のラベルと同様に被着体に貼着した状態で使用者に情報を提供する目的から、必要に応じて基材層(A)側の表面に印刷を設けることも可能である。
該情報として、例えば、ロゴマーク、商品名、会社名、使用期限、注意書き、キャラクター等の意匠、バーコード、パターン等が挙げられる。
こうした印刷は、積層フィルム単体の状態で行ってもよいし、有色接着剤層(C)や剥離紙(E)を積層した構造とした後に行ってもよい。前者の場合は基材層(A)側表面への印刷と、易破壊層(B)側表面への印刷(印刷層(D)の設置)とを同時に行ってもよい。
印刷としては、オフセット印刷、凸版印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、レタープレス印刷、インクジェット記録方式、感熱記録方式、熱転写記録方式、電子写真記録方式などの公知の方法を用いることが可能である。
【0047】
[剥離紙(E)]
本発明のラベルは、被着体に貼着する以前の取り扱いを容易とするために、必要に応じて該有色接着剤層(C)側の表面に更に剥離紙(E)を積層した様態としても良い。
剥離紙(E)には、通常用いられているものが使用でき、例えば、上質紙やクラフト紙をそのまま、またはこれにカレンダー処理したり樹脂を塗工したりフィルムラミネートしたもの、あるいはグラシン紙、コート紙、プラスチックフィルムなどにシリコーン処理を施したものが使用できる。
ラベルの有色接着剤層(C)を介し設けられる剥離紙(E)には、有色接着剤層(C)との剥離性を良好にするため、有色接着剤層(C)に接触する面にシリコーン処理が施されたものを用いることが好ましい。
【0048】
[評価技法]
[凝集力]
ラベルを構成する基材層(A)、易破壊層(B)、有色接着剤層(C)それぞれの層の剥離に対する強度を本発明では凝集力で整理する。凝集力は何れも剥離強度試験から求めた剥離強度とした。具体的には、基材層(A)および易破壊層(B)の剥離強度は後記の手法により求めて、有色接着剤層(C)の剥離強度はJIS−K−6854−2:1999の180度剥離による剥離接着強さ試験方法に従って剥離強度を求めた。有色接着剤層(C)の剥離強度(凝集力)は20〜1000g/cm幅であることが好ましく、25〜800g/cm幅であることがより好ましい。
【0049】
[基材層(A)の剥離強度]
厚み1mmのアルミ板に接着剤(東洋モートン社製、商品名「TM595」および「CAT56」の標準混合物)を25g/m2となるように、且つ端部の約30mm幅は未塗工とし把持部(つかみしろ)を形成するように塗工し、これと積層フィルムの基材層(A)面を接するように重ね合わせ、圧着し、これを恒温室(温度20℃、相対湿度65%)に1週間保管した後、これを幅10mm、長さ300mmに切り取り、引張試験機((株)島津製作所製、商品名:オートグラフAGS−5KND)を使用し、引張速度300mm/分にて、アルミ板側と積層フィルム側それぞれの把持部を180゜の角度で剥離させ、基材層(A)の剥離が安定している時の応力を、または基材層(A)の凝集力が非常に強く安定して剥離せずに破断してしまう場合には破断直前の最大応力を、ロードセルにより測定する。
【0050】
基材層(A)の剥離強度(凝集力)は50〜15000g/cm幅であることが好ましく、より好ましくは100〜12000g/cm幅である。剥離強度が50g/cm幅未満では、易破壊層(B)や有色接着剤層(C)の凝集力に負けてラベルの剥離がスムーズに進行しづらい。15000g/cm幅を超えてはラベルとして機能上問題はないが、本発明の材料選定上、同様の基材層(A)は得にくい。
基材層(A)が多層構造である場合は、易破壊層(B)と接する層を層(A1)とし、これの剥離強度を測定した。具体的には同様の樹脂組成物や成形条件を用いて層(A1)と易破壊層(B)の2層構造からなる積層フィルムを別途成形して、上記手法により測定をした。
【0051】
[易破壊層(B)の剥離強度]
積層フィルムを恒温室(温度20℃、相対湿度65%)に12時間保管した後、易破壊層(B)面に粘着テープ(ニチバン(株)製、商品名:セロテープ CT−18)を貼着し、これを幅10mm、長さ300mmに切り取り、その一端の粘着テープを手で約30mm剥がして粘着テープ側と積層フィルム側の把持部を形成する。引張試験機((株)島津製作所製、商品名:オートグラフAGS−5KND)を使用し、引張速度300mm/分にて、それぞれの把持部を180゜の角度で剥離させ、易破壊層(B)の剥離が安定している時の応力をロードセルにより測定する。
易破壊層(B)の剥離強度(凝集力)は5〜150g/cm幅であることが好ましく、より好ましくは10〜140g/cm幅である。剥離強度が5g/cm幅未満では、印刷、印字、断裁等の二次加工時において簡単に剥離が生じる可能性があり、二次加工性に問題が生じる。150g/cm幅を超えては、易破壊層(B)が剥離しないか、剥離に要する応力を高くする必要があり実用的でない。
【0052】
[有色接着剤層(C)の面積割合]
本発明のラベル上にパターン状に形成されている有色接着剤層(C)のラベル面積に対する面積割合およびパターン間のピッチは、その創作時に、所望の値で規定することができるが、以下の評価技法により確認することもできる。
デジタルマイクロスコープ((株)キーエンス社製、商品名:VH−8000)を用い
て、得られたラベルの有色接着剤層(C)側の面をデジタルマイクロスコープのレンズに垂直に配置し、10倍の倍率で観察し、観察画像を撮影して保存し、自動画像処理解析装置((株)ニレコ社製、商品名:ルーゼックスAP)に取り込む。
次いで画像処理解析装置にて観察画像の2値化処理を行い、全画像領域に対する有色域を有色接着剤層(C)のラベル面積に対する面積割合として解析を行い、百分率で求める。用いる着色剤が白色顔料等であり、ラベルとの色差が小さい場合には、得られたラベルの有色接着剤層(C)側の面を、表面が平坦で透明なガラス板に重ね合わせ、ラベル上に2kgのローラーを2往復させて圧着して貼付後、ラベルを引き剥がし、ガラス板上に残存している易破壊層(B)および有色接着剤層(C)を上記技法により観察して、面積割合を求める。
【0053】
[パターン間のピッチ]
有色接着剤層(C)におけるパターン間のピッチは、上記の面積割合の評価で得た観察画像からパターンの最小単位間の距離を計測して、観察倍率から算出して求める。
【実施例】
【0054】
以下に製造例、実施例、比較例および試験例を用いて、本発明を更に具体的に説明する。以下に示す材料、使用量、割合、操作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例に制限されるものではない。
また、各実施例で使用する基材層(A)および脆性な易破壊層(B)の原料を表1にまとめて示す。
【0055】
【表1】

【0056】
[樹脂組成物の調製]
表1に記載の原料を表2に記載の配合比率で混合したものを、210℃に設定した2軸混練機にて溶融混練し、次いで230℃に設定した押出機にてストランド状に押し出し、冷却後にストランドカッターにて切断して表2に記載の樹脂組成物(a〜g)のペレットを作成して、以降の製造例で使用した。
【0057】
【表2】

【0058】
[積層フィルムの製造例]
(製造例1〜7)
表2に記載の樹脂組成物(a〜g)を、基材層(A)、易破壊層(B)を構成するものとして表3に記載の組合せで使用し、これを230℃に設定した2台の押出機にてそれぞれ溶融混練した後、250℃に設定した共押出ダイに供給し、ダイ内で積層してシート状に押し出し、これを冷却装置により60℃まで冷却して無延伸シートを得た。
この無延伸シートを140℃まで加熱し、ロール群の周速差を利用して縦方向(MD)に5倍延伸した。次いで、この5倍延伸シートを、テンターオーブンを用いて再び約145℃まで加熱して横方向(TD)に8倍延伸した後、更に160℃まで加熱して熱処理を行い、2軸延伸フィルムを得た。
【0059】
次いで60℃まで冷却し、耳部をスリットした後、この2軸延伸フィルムの両面にコロナ放電による表面処理を施し、表3に記載の層厚みと凝集力を有する2層構造(基材層(A)/易破壊層(B)、延伸軸数:2軸/2軸)の積層フィルムを得た。
製造例5において易破壊層(B)に樹脂組成物gを用いたものは、延伸成形時に易破壊層(B)側に粗大な破れが多発し、安定して製膜をすることができなかった。そのため後の評価を行わなかった。製造例1〜7で得られた積層フィルムを表3に示す。
【0060】
(製造例8)
表2に記載の樹脂組成物dおよびeを、それぞれ基材層(A)、易破壊層(B)を構成するものとして使用し、これを230℃に設定した2台の押出機にてそれぞれ溶融混練した後、250℃に設定した押出ダイに供給し、ダイ内で積層してシート状に押し出し、これを冷却装置により60℃まで冷却して無延伸シートを得た。
この無延伸シートを130℃まで加熱し、ロール群の周速差を利用して縦方向(MD)に5倍延伸した後、更に160℃まで加熱して熱処理を行い、1軸延伸フィルムを得た。
次いで60℃まで冷却し、耳部をスリットした後、この1軸延伸フィルムの両面にコロナ放電による表面処理を施し、表3に記載の層厚みと凝集力を有する2層構造(基材層(A)/易破壊層(B)、延伸軸数:1軸/1軸)の積層フィルムを得た。製造例8で得られた積層フィルムを表3に示す。
【0061】
(製造例9)
表2に記載の樹脂組成物cを、250℃に設定した押出機で溶融混練して、Tダイよりシート状に押し出し、これを冷却装置にて60℃まで冷却して無延伸シートを得た。
この無延伸シートを140℃まで加熱し、ロール群の周速差を利用して縦方向(MD)に5倍延伸して1軸延伸フィルムを得た。次いで、表2に記載の樹脂組成物dと樹脂組成物eをそれぞれ個別の250℃に設定した2台の押出機で溶融混練して、Tダイよりシート状に押し出し、1軸延伸フィルムの表面および裏面にそれぞれ溶融ラミネートし、基材
層(A2)/基材層(A1)/易破壊層(B)の積層構造を有する樹脂シートを得た。
【0062】
次いで、この積層構造を有する樹脂シートを、テンターオーブンを用いて再び約120℃まで加熱して横方向(TD)に8倍延伸した後、更に160℃まで加熱して熱処理を行い、2軸延伸フィルムを得た。
次いで60℃まで冷却し、耳部をスリットした後、この2軸延伸フィルムの両面にコロナ放電による表面処理を施し、表3に記載の層厚みと凝集力を有する3層構造(基材層(A2)/基材層(A1)/易破壊層(B)、延伸軸数:1軸/2軸/1軸)の積層フィルムを得た。製造例9で得られた積層フィルムを表3に示す。
【0063】
【表3】

【0064】
(実施例1〜7、比較例1、3)
上記製造例で得た表4に記載の積層フィルムの基材層(A)もしくは層(A2)側の表面に、輪転シール印刷機を用いて商品名や希望小売価格を含む表印刷を施した。
次いで、表4に記載の感圧接着剤(東洋インキ製造(株)製、商品名:オリバイン BPS8170、商品名:オリバイン BPS1109、商品名:オリバイン BPS5448の何れか)100重量部と、着色剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名:イルガジンDPP RED BO)5重量部を均一に混合した着色接着剤を、剥離紙(D)(王子タック(株)製、上質紙系ポリラミシート、商品名:L7C)のシリコーン塗工面側に、2mmφのドットを、縦横にピッチ約2.5mmの一定間隔で(図1参照)ラベルにおける面積割合が50%となり、乾燥時の塗布量20g/m2となるようにシルクスクリーンを用いて塗工し、乾燥させて有色接着剤層(C)を形成した。
次いで各積層フィルムの易破壊層(B)側表面に、上記有色接着剤層(C)が接するように重ね合わせて圧着積層し、基材層(A)(もしくは基材層(A2/A1))/易破壊層(B)/有色接着剤層(C)/剥離紙(D)の順に積層したラベルを得た。
比較例1、3のラベルは、易破壊層(B)よりも有色接着剤層(C)の方が凝集力の小さい様態のものである。
【0065】
(比較例2)
上記製造例5で得た易破壊層(B)に樹脂組成物fを用いた積層フィルムは、2軸延伸成形時に易破壊層(B)側に粗大な破れが多発し、安定して製膜をすることができなかった。そのため後の評価およびラベルの成形を行わなかった。
(比較例4)
感圧接着剤に着色剤を加えない以外は、上記実施例4と同様の方法でラベルを得た。
(比較例5)
有色接着剤層(C)をパターンで設けず乾燥時の塗布量20g/m2となるようにナイフコーターで全面に設けた以外は、上記実施例2と同様の方法でラベルを得た。
【0066】
(実施例8)
有色接着剤層(C)におけるドットパターンを、一辺3mmの星型とし、鱗(連続した正三角形)状に配置したパターン(図2参照)とし、ピッチを約22.1mmに変更した以外は、上記実施例4と同様の方法でラベルを得た。
【0067】
(実施例9)
湿式電子写真方式の印刷機(ヒューレットパッカード社製、商品名:インディゴws4500)を用いて、上記製造例2で得た積層フィルムの基材層(A)側にあらかじめ赤字ゴシック体24ポイントで「運だめし」の文字を表印刷した。
次いで、真裏に位置する易破壊層(B)側に、感圧接着剤(東洋インキ製造(株)製、商品名:オリバイン BPS1109)100重量部と、着色剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名:イルガジン RED 2031)5重量部を均一に混合した着色接着剤を、白抜きゴシック体20ポイントで「当たり」または「はずれ」の逆版文字を約20mmのピッチ(図6参照)で、面積割合で90%となり、乾燥時の塗布量20g/m2となるようにフレキソ印刷機を用いて塗工し、乾燥させて有色接着剤層(C)を形成してラベルを得た。
次いで有色接着剤層(C)上に剥離紙(D)(王子タック(株)製、上質紙系ポリラミシート、商品名:L7C)をシリコーン塗工面が接するように重ね合わせて後の評価に使用した。
【0068】
(実施例10)
湿式電子写真方式の印刷機(ヒューレットパッカード社製、商品名:インディゴws4500)を用いて、上記製造例2で得た積層フィルムの基材層(A)側にあらかじめ赤字ゴシック体24ポイントで「運だめし」の文字を表印刷し、更に易破壊層(B)側にあらかじめ赤ベタ印刷を施した以外は、上記実施例9と同様の方法でラベルを得た。
【0069】
(評価)
(易破壊層(B)の剥離性)
上記実施例および比較例のラベルを3cm×4cmに断裁し、剥離紙(D)を剥がしたのち、これを平滑なガラス板に貼着し、その後手でラベルを引き剥がしてガラス板上の状
態を確認した。
実施例1〜10、比較例4、および比較例5のラベルによれば、剥離は易破壊層(B)の凝集破壊により安定して行われ、ガラス板上の残存物より易破壊層(B)(の一部)および有色接着剤層(C)に設けたパターンの通りの剥離を確認できた。またこれらのラベルは剥離後に再貼付することはできなかった。
比較例1のラベルは、剥離が殆どガラス板と有色接着剤層(C)の界面破壊により行われ、再貼付防止の所期の目的を達成できなかった。
比較例3のラベルは、剥離が殆ど有色接着剤層(C)の凝集破壊により行われ、再貼付防止の所期の目的を達成できなかった。
【0070】
(剥離後の視認性)
上記実施例および比較例のラベルを3cm×4cmに断裁し、剥離紙(D)を剥がしたのち、これを坪量64g/m2、白色のコピー用紙に貼着し、その後ラベルを引き剥がしてコピー用紙上の状態を確認した。
実施例1〜10、比較例1および比較例3のラベルによれば、コピー用紙上の残存物から剥離の事実およびパターンを容易に視認することができた。但し比較例1および比較例3のラベルでは剥離が殆ど有色接着剤層(C)の凝集破壊で行われ、再貼付防止の所期の目的は達成できなかった。
特に、実施例9のラベルによれば、引き剥がして確認したところ、コピー用紙上に赤地に白抜きで「当たり」または「はずれ」の文字が鮮明に確認できた。赤地の部分は易剥離層(B)と有色接着剤層(C)の積層物であり、白抜き文字の部分はコピー用紙の表面である。更に実施例10のラベルは、引き剥がし後に実施例9と同様の効果が得られる上に、引き剥がす前にコピー用紙側からうっすら透けて見える「当たり」または「はずれ」の文字が見えなくなり、隠蔽の効果が向上した。
【0071】
比較例4のラベルによれば、剥離はパターン通りであったものの、白地に白い易破壊層(B)が重なり、剥離後の視認性は劣るものであった。
比較例5のラベルによれば、有色接着剤層(C)の着色は透けて見えるものの、全面に白い易破壊層(B)が重なり、実施例の様態と比べて剥離後の視認性は劣るものであった。
【0072】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層(A)、易破壊層(B)、および有色接着剤層(C)をこの順で含み、それぞれの層の中で易破壊層(B)の凝集力が最も小さく、有色接着剤層(C)が易破壊層(B)上に30〜95%の面積割合でパターン状に設けられており、且つそのパターンの最小単位が0.1〜305mmのピッチを有していることを特徴とするラベル。
【請求項2】
易破壊層(B)が、熱可塑性樹脂、ならびに無機微細粉末および有機フィラーの少なくとも一方を20〜75重量%含み、少なくとも一軸方向に延伸された多孔質の樹脂フィルム層であり、その凝集力が5〜150g/cm幅であることを特徴とする請求項1に記載のラベル。
【請求項3】
易破壊層(B)に用いる熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂を含むことを特徴とする請求項2に記載のラベル。
【請求項4】
有色接着剤層(C)が、着色剤と、感圧接着剤、ディレード型接着剤、ホットメルト型接着剤、再湿型接着剤のいずれか一つからなり、その凝集力が20〜1000g/cm幅であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のラベル。
【請求項5】
有色接着剤層(C)に用いる着色剤が、無機顔料、有機顔料、および染料の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項4に記載のラベル。
【請求項6】
基材層(A)が、熱可塑性樹脂、ならびに無機微細粉末および有機フィラーの少なくとも一方を0.1〜50重量%含み、その含有量が易破壊層(B)における無機微細粉末および有機フィラーの含有量よりも8重量%以上少ない樹脂フィルム層であり、その凝集力が50〜15000g/cm幅であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のラベル。
【請求項7】
易破壊層(B)と有色接着剤層(C)との間に印刷層(D)を設けることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載のラベル。
【請求項8】
有色接着剤層(C)側の表面に、剥離紙(E)を設けることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載のラベル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−3182(P2013−3182A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130929(P2011−130929)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(000122313)株式会社ユポ・コーポレーション (73)
【Fターム(参考)】