説明

ラボラトリ用機器のための通風防止デバイス

【課題】計量コンパートメントへのアクセスを向上させると共に、計量容器の高さに適合し得るように計量コンパートメントを保持する。
【解決手段】ラボラトリ用機器用の通風防止デバイス110は、天秤皿131を囲む計量コンパートメントを囲む。この通風防止デバイスは、後方壁部116、前方壁部114、2つの側壁部112,113、少なくとも1つの開口を有する上部カバー111、および、境界端部によって画定された床部115を備える。上部カバーは、少なくとも、2つの側壁部の一方に、および/または前方壁部に、および/または後方壁部に連結され、上部カバー、および上部カバーに連結される壁部は、天秤皿に対して垂直方向に共に移動させることが可能な構成になされる。さらに、垂直方向に移動可能な側壁部および/または前方壁部および/または後方壁部は、床部の隣接する境界端部を過ぎて垂直方向に移動させることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラボラトリ用機器のための通風防止デバイスに関する。後方壁部、前方壁部、2つの側壁部、および上部カバーを備える通風防止デバイスは、天秤皿を囲む計量コンパートメントを囲む。
【背景技術】
【0002】
この種のラボラトリ用機器は、多数の産業分野において、とりわけ研究部門および開発部門のラボラトリにおいて、さらには例えば品質管理などにおける生産区域においても、例えば化学天秤などとして役割を果たす。
【0003】
計量コンパートメントを有する化学天秤が、米国特許第4,700,793A号において詳細に説明されている。化学天秤は、計測結果に対して非常に高度な分解能を有する天秤である。その結果、最小の外部要素が計量物体に対してまたは積載物受容器に対して作用する場合でさえも、計量結果に誤差をもたらすおそれがある。外部影響要素は、安定的であることは殆どなく、そのため、計量物体の正確な重量の判定が不可能となる状況に至るおそれがある。したがって、計量システムが環境による影響を被るのを防ぐために、計量コンパートメントは、いわゆる通風シールドにより囲まれる。
【0004】
米国特許第4,700,793A号において示されるように、化学天秤の通風シールドは、殆どの場合において、2つの摺動可能な側壁部を有し、時としてさらに摺動可能な上部カバーを有する。これは、計量物体が、通常は、側方から、時としてはさらに上方から積載物受容器に送給されるためである。前方壁部は、普通は、天秤のハウジングに剛体的に連結され、構造支持体としての機能によって、通風シールドに安定性を与える。通風シールドは、周囲雰囲気の気流が通風シールドの隙間および開口を通り計量コンパートメント内に伝搬し、計量コンパートメント内において雰囲気の擾乱を生じさせることが不可能となるように、可能な限り密閉された隙間のない構成のものである必要がある。
【0005】
計量コンパートメントおよびとりわけ通風シールドの側壁部の洗浄を容易にするために、傾斜移動により形態合致シートから解除することが可能であり、次いで引張り移動により天秤から取り外すことが可能な、前方壁部および側壁部を有する通風シールドが、米国特許第6,686,545B2号において提案されている。上部カバーは、後方壁部としての役割を果たす天秤ハウジングに直線方向ガイド拘束具を介して連結され、天秤ハウジングの上方を水平方向に摺動され得るものであり、これにより、通風シールドが、上部にて開かれる。さらに、上部カバーも、傾斜移動により、直線方向ガイド拘束具から分離され得る。
【0006】
さらに、実際には、計量コンパートメントの体積によって、天秤の精度が限定されるおそれがあるということが知られている。その理由は、大型の計量コンパートメント内の閉鎖空気は、例えば進入する熱および光の放射によってなど、通風シールドの外部の環境によって、はるかに大きな影響を被るためである。さらに、大型の計量コンパートメント内では、閉鎖体積に比例して、例えば側壁部が閉じられた後になど、面数が少ないほど空気移動が遅くなる。したがって、計量コンパートメント内の空気が非常に迅速に落ち着くには、計量コンパートメントが、小さな体積を有することが役立つ。さらに、限定された高さの計量コンパートメント内の空気は、ほぼごく最小限の程度だけ変位され、計量コンパートメント内の空気が計量コンパートメントの高さに対して安定的な温度プロファイルに落ち着くのに比較的短時間しか要さない。
【0007】
時間が最適化される作業処置の導入により、積載物受容器上へのおよび上からの計量物の載せ降ろしを複数回行うことなく、計量コンパートメント内においてそのままそれぞれ異なる作業が、同時にまたは逐次に実施されるように、より多くの場合なる。このことは、とりわけ、溶液または粉末混合物の準備において、該当する。多機能型計量コンパートメントの構成が、例えば米国特許第6,603,081B2号に開示されている。そこに示されるように、例えば用量分注ユニット、ソース容器および受容容器用のホルダデバイス、保護カバー、ならびに表示器等々の多数の付属品を、ある特定の一連の作業用に最適化された構成で、一時的に設置することが可能である。示される例の中でもとりわけ、通路開口を有する中間床部があり、この中間床部は、計量皿上に設置されることとなる計量容器に応じて、適切な高さに固定させることが可能である。このようにして、計量物の質量を判定するためのみに本来設計された化学天秤が、多機能型ラボラトリ用機器へと変わる。
【0008】
米国特許第6,603,081B2号に開示されている中間床部により、計量コンパートメントの体積を、分割することが可能となり、したがって、部分的に縮小することが可能となるが、既存の通風シールドにより、中間床部中の開口へのアクセス、したがって計量コンパートメントへのアクセスは、突出壁部によって大きく制限される。さらに、中間床部の位置を変更するのにある一定の時間が必要となる。この天秤が、例えばいわゆるグローブボックス内において使用される場合には、中間床部を上昇または下降させることは極めて困難になるおそれがある。
【0009】
しかし、前述のラボラトリ用機器の機能の高まり、および前述のラボラトリ用機器の高精度に関する要件の高まりによって、これらの機器の使いやすさに対して制約が加えられてはならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第4,700,793A号
【特許文献2】米国特許第6,686,545B2号
【特許文献3】米国特許第6,603,081B2号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的は、計量コンパートメントへのアクセスを向上させると共に、計量容器の高さに適合し得るように計量コンパートメントを保持する、ラボラトリ用機器のための通風シールドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題は、請求項1の特徴を備える通風防止デバイスによって解決される。本発明の他の好ましい実施形態が、従属請求項において提示される。
【0013】
本発明によるラボラトリ用機器のための通風防止デバイスは、天秤皿を囲む計量コンパートメントを囲む。この通風防止デバイスは、後方壁部、前方壁部、2つの側壁部、少なくとも1つの開口を有する上部カバー、および、境界端部によって画定された床部を備える。上部カバーは、少なくとも、2つの側壁部の一方に、および/または前方壁部に、および/または後方壁部に連結される。上部カバー、および上部カバーに連結される壁部は、天秤皿に対して垂直方向に共に移動させることが可能である。本明細書において使用される際に、壁部という語は、少なくとも一方の側壁部、前方壁部、または後方壁部を含む。さらに、垂直方向に移動可能な側壁部および/または前方壁部および/または後方壁部は、床部の隣接する境界端部を過ぎて垂直方向に移動させることが可能である。さらに、上部カバーの任意の垂直方向位置において、少なくとも一方の側壁部は、上部カバーに対して水平方向に摺動可能である。さらに、少なくとも後方壁部は、2つのパネルとして設計されてよく、第1の後方壁部パネルが、上部カバーに連結され、第2の後方壁部パネルが、床部に連結され、これら2つのパネルは、互いに対接して位置する対向面を有し、したがって、互いに対して部分的に重なり、これら2つのパネルは、互いに対して摺動可能である。
【0014】
この通風保護デバイスは、計量コンパートメントへのおよび上部カバーの上方の区域へのアクセスを得ることが同時にさらに困難になることを伴うことなく、通風保護デバイスの高さが、天秤皿の上に配置される受容容器に対して常に適合され得るという利点を有する。上部カバーの上方の区域への自由なアクセスが維持されるこの方式は、少なくとも1つの壁部が、上部カバーと共に垂直方向に摺動可能であるというものである。その結果、上部カバーと共に垂直方向に移動する壁部の上端部は、上部カバーと同一の高さに常に維持されると共に、上部カバーに連結されていない壁部の上端部は、床部から同一の垂直方向距離に常に留まる。したがって、追加の付属デバイスが、上部カバーの上方の区域内に達するまたは配置されることも可能となる。なぜなら、全ての壁部の上端部が、これらの付属品へのアクセスを低下させるか、さらには妨げることとなる上部カバーの上方に、延在するわけではないからである。
【0015】
他の利点としては、計量コンパートメント内に配置される天秤皿は、少なくとも1つの水平方向に摺動可能な側壁部を介して常に手が届き得るため、好都合であり、そのため、計量コンパートメントへのこのアクセスにより、受容容器を、可能な最も容易な様式で天秤皿の上に配置すること、および天秤皿の上から取り除くことが可能となる。側方向におけるアクセスにより、通風シールドは、分解される必要がなく、さらには通風シールドの高さ設定を変更する必要もない。当然ながら、この後者の陳述は、同一の高さの受容容器が継続的に使用される限りのみにおいて、該当する。
【0016】
上部カバーの上方の区域へのアクセスを保つことは、上部カバーが、少なくとも1つの開口を有し、この開口を介することにより、例えば用量物質を受容容器内に充填することが可能となるため、重要である。天秤皿の上に配置された受容容器に対して計量コンパートメントの高さを調節することにより、受容容器の充填開口に手を伸ばすための十分なスペースが残らない場合がある。上部カバーの開口を介して物質を分注することは、用量分注デバイスまたは手によって実施することが可能である。
【0017】
上部カバーの上方に配置される用量分注デバイスであって、例えば駆動/制御ユニットなどのその機能ユニットが後方壁部の背後に配置される用量分注デバイスを使用する場合には、後方壁部が、上部カバーと共に垂直方向に摺動可能であることが好ましい。用量物質の分注が手動により実施される場合には、少なくとも前方壁部が上部カバーに連結され上部カバーと共に垂直方向に移動可能であると好ましく、前方壁部および両側壁部が、上部カバーに連結され、上部カバーと共に移動可能であるとさらによい。したがって、コンソールハウジング、または、本発明による通風シールドを備えるラボラトリ用機器の支持表面は、壁部が天秤皿に対して上方または下方に摺動される際に、壁部の進路に何も存在しないように、設計されなければならない。
【0018】
他の一実施形態においては、上部カバーは、上部カバーフレームおよび上部カバー挿入部を備え、少なくとも1つの開口は、上部カバー挿入部中に配置される。したがって、少なくとも一方の側壁部および/または前方壁部および/または後方壁部は、上部カバーフレームに連結される。本発明によれば、上部カバーフレームは、上部カバー挿入部、および上部カバーフレームに連結される壁部と共に、天秤皿に対して垂直方向に摺動可能である。さらに、上部カバー挿入部は、上部カバーフレームに対して水平方向に摺動可能である。その結果、天秤皿は、上方からの積み降ろしも可能となる。さらに、用量分注デバイスを、上部カバー挿入部に連結させることも可能であり、したがって、上部カバーフレームに対して水平方向に摺動可能であることが可能となる。
【0019】
計量コンパートメントおよび上部カバーのアクセス性を最適化するために、両側壁部が、上部カバーに連結されると好ましく、または、可能な場合には、上部カバーフレームに連結されると好ましく、上部カバーに対して水平方向に摺動可能となると好ましい。
【0020】
計量コンパートメントおよび通風防止デバイスの洗浄をさらに容易化するために、少なくとも一方の側壁部および/または前方壁部は、上部カバーに対して解除可能な連結を有すると好ましく、または、可能な場合には、上部カバーフレームに対して解除可能な連結を有すると好ましい。
【0021】
要望に応じて、上部カバー挿入部が、上部カバーフレーム中にゆるく設置され得るように上部カバー挿入部を構成することが可能である。これにより、上部カバー挿入部の洗浄がさらに容易化されるという単純な事実によって、または、上部カバー挿入部が廃棄部分として設計されてもよいということによって、洗浄プロセスは著しく簡易化され得る。当然ながら、同一のことが床部に関しても該当する。床部は、さらに、2つの部分に分割されてよく、それにより、床部を取り外すために天秤皿を取り出す必要がなくなる。天秤皿および床部の下方には、用量分注デバイスのこぼれた用量物質のためのキャッチトレイがさらに存在してよい。
【0022】
既述のように、上部カバーは、少なくとも1つの開口を有する。可能な一特徴としては、この開口は、上部カバー中に設置されたスライダによって閉ざされてよい。
【0023】
上部カバーに連結された少なくとも1つの側壁部の水平方向移動を案内するために、少なくとも1つのガイドレールが、上部カバーに配置されてよく、または可能な場合には、上部カバーフレームに配置されてよい。さらに、摺動可能な側壁部は、ガイドレールに沿って案内される少なくとも1つのガイド要素を備える。
【0024】
通風防止デバイスが、ラボラトリ用機器の環境内に存在するあらゆる空気の移動を可能な限り遮断すべきであると仮定した場合に、境界端部の長さ部分にわたって少なくとも延在するシール滑動ストリップ、シールブラシ、またはシールローラが、床部の少なくとも1つの境界端部に沿って配置されると、有利である。これは、床部の境界端部と側壁部との間に存在するおそれのある隙間をシールする役割を果たすと共に、側壁部が境界端部上を平滑に活動することを可能にする。例えばコーティングされたガラスパネルなど、とりわけ損傷を被りやすい表面を有する側壁部については、側壁部が垂直方向に移動される際に側壁部の上で回転し、側壁部の水平方向移動に対して十分に平滑な滑動表面特性を有する、シールローラを使用することも可能である。これらの対策が依然として不十分である場合には、当然ながら、床部の境界端部に沿って支持ローラボールまたはローラボールの列を設置することも可能であり、それにより、ローラボールの回転移動の方向が、それ自体を、側壁部の移動方向に適合させるため、移動方向にかかわらず、ローラボールと側壁部との間には滑動接触移動が全く生じなくなる。個々のローラボール間の隙間、または側壁部とそれらの接触点との間の凹部は、例えばブラシ区分またはシールストリップ区分などにより、十分に埋められる必要があり、それにより、2つの隣接し合うローラボールと、ローラボールに対接し位置する側壁部との間に隙間がなくなり、または、極小の隙間のみが残ることとなる。
【0025】
さらに、垂直方向移動および/または水平方向移動に対して動力を与えるための少なくとも1つの駆動機構が存在してよい。しかし、上部カバーと、上部カバーに連結される壁部とを垂直方向に移動させる役割を果たす少なくとも1つの駆動機構が存在する一方で、他の駆動機構が、少なくとも1つの側壁部を水平方向に移動させる役割を果たすことが好ましい。これらの駆動機構は、入力ユニットを介して人間により操作され得る制御デバイスに接続されてよい。
【0026】
とりわけ小さな計量容器が使用される場合には、上部カバーは、計量コンパートメントの床部に対して、計量容器を交換することがほぼ不可能となるほど近くに位置することが可能である。したがって、操作の便宜性を向上させるために、床部がその表面区域の重心から少なくとも一方の摺動可能な側壁部の方向に下方に傾斜するように、床部を設計することが可能である。さらに、これは、例えば、こぼれた微粉状態の用量物質が側壁部の方向に滑動し、計量コンパートメントの側から外に向かうという利点を有する。同様に、こぼれた液体は、側部に進み、計量コンパートメントから出ることが可能である。可能な場合には、こぼれた用量物質のためのキャッチチャネルまたはキャッチベースンが、境界端部付近の床部中に配置されてもよい。
【0027】
さらに、上部カバーを床部と類似の形状にすることによって、アクセス性を改善することが可能である。したがって、上部カバーは、上部カバーが、少なくとも一方の水平方向に摺動可能な側壁部から上部カバーの重心の方向に下方に傾斜するように、設計される。
【0028】
前方壁部が、透明材料から構成される場合には、計量コンパートメント内への視界は、前方壁部から上部カバーの重心の方向に下方に傾斜する上部カバーの設計により、向上させることが可能である。当然ながら、類似の設計が床部に関しても可能である。さらに、床部および上部カバーは、後方壁部の方向に同様に傾斜した形状を与えられてもよい。
【0029】
本発明による通風防止デバイスは、殆どの多様な種類のラボラトリ用機器において使用することが可能である。例えば、ラボラトリ用機器は、天秤、用量分注機器、またはピペットデバイスもしくは滴定デバイスなどであってよい。
【0030】
さらに先に述べたように、ラボラトリ用機器は、用量分注デバイスを備えることが可能である。用量分注デバイスは、上部カバーの上方に配置され、用量物質用のその送給孔は、好ましくは開口に位置合わせされる。
【0031】
当然ながら、用量分注デバイスは、用量物質用の送給孔が通風防止デバイスの上部カバーの下方の計量コンパートメント内に位置決めされるように、この開口を介して少なくとも部分的に伸びることも可能である。
【0032】
駆動機構が、上部カバーの垂直方向移動のために、または通風防止デバイスの部品の高さ調節のために使用される場合には、好ましくは、センサデバイスが、ラボラトリ用機器の内部に配置され、それにより、天秤皿の上に設置された少なくとも受容容器の高さを検出することが可能となる。
【0033】
1つの可能な実施形態においては、センサデバイスは、2つのレーザダイオードと、2つの光電池を備え、これらは、2つのレーザダイオードにより発せられた光線が、用量分注デバイスの開口または送給孔の直下にて互いに交差するように構成される。
【0034】
以下の図面に基づき、本発明による通風防止デバイスおよびこのデバイスの使用法を、より詳細に説明する。図面においては、図面間において同一である要素は、同一の参照符号を割り当てられる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】用量分注デバイスと、本発明による通風防止デバイスの第1の実施形態とを有する、ラボラトリ用機器の三次元図であって、本発明による通風防止デバイスの第1の実施形態は、両側壁部、前方壁部、および後方壁部の一部が連結された、垂直方向に移動可能な上部カバーを有し、図示される上部カバーの位置が、床部から可能な限り最大の距離の位置に相当する図である。
【図2】一方の側壁部が開かれた状態の、図1のラボラトリ用機器の図であり、図示される上部カバーの位置が、床部からの可能な限り最小の距離の位置に相当する図である。
【図3】用量分注デバイスおよび本発明による通風防止デバイスの第2の実施形態を有する、ラボラトリ用機器の三次元図であり、この本発明による通風防止デバイスの第2の実施形態は、一方の側壁部および後方壁部の一部が連結された垂直方向に移動可能な上部カバーを有し、第2の側壁部および前方壁部は、床部に連結される、図である。
【図4】両側壁部用の駆動機構と、上部カバーおよび両側壁部の垂直移動用の直線方向ガイドとを有する、本発明による通風防止デバイスの三次元図である。
【図5】解除可能な前方壁部装着具の三次元詳細図である。
【図6】解除可能な側壁部装着具の三次元詳細図である。
【図7】上部カバーおよび床部の詳細な断面図であり、全高の低い受容容器が天秤皿の上に直立している状態の図である。
【図8】上部カバーおよび床部の詳細な断面図であり、全高の高い受容容器が天秤皿の上に直立しており、上部カバーがセンサデバイスを有する図である。
【図9】用量分注デバイスおよび本発明による通風防止デバイスの第3の実施形態を有するラボラトリ用機器の三次元図であり、上部カバーが、上部カバーフレームと、上部カバーフレームに対して水平方向に摺動可能な上部カバー挿入部とに分割される、図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、用量分注デバイス120と、第1の実施形態における、本発明による通風防止デバイス110とを有する、ラボラトリ用機器100を図示する。通風防止デバイス110は、上部カバー111、境界端部133、134、135、136によって画定された床部115、第1の側壁部112、第2の側壁部113、前方パネル114、および分割された後方壁部116を備える。通風防止デバイス110は、計量コンパートメント140を囲む。
【0037】
通風防止デバイス110は、閉状態において図示され、側壁部112、113および前方壁部114が、透明材料から作製されるため、通風防止デバイス110により囲まれる計量コンパートメント140内への視界は、3つの側から自由である。側壁部112、113は共に、直線水平方向移動において、上部カバー111に対して摺動可能である。これに必要な直線方向ガイド拘束具は、図2のコンテクストにおいて、より詳細に説明される。
【0038】
床部115は、ラボラトリ用機器100のコンソールハウジング130に隙間なく連結される。コンソールハウジング130の内部には、計量セル(図面には図示せず)が配置され、計量セルの積載物受容部が、積載物伝達要素(図示せず)によって天秤皿131に連結され、天秤皿131は、床部115の上方に、したがって計量コンパートメント140の内部に配置される。図示されるように、床部115は、その中心部から2つの側壁部112、113および前方壁部114の方向へと下方に傾斜する。これは、床部115の各表面区域が、図1において図示されるように水平方向へも延在し得ることを拒むものではない。床部115の中心部は、通路開口132を有し、それにより、積載物伝達要素(天秤皿131により視認不能である)が、床部115を通り、計量コンパートメント140内に進むことが可能となる。
【0039】
床部115と同様に、上部カバー111は、角錐台の形状へと、しかし上下が逆の状態に、対応する設計がなされている。通路開口132の代わりに、上部カバー111は、開口119を有する。この開口119は、本明細書において以下でさらに説明される用量分注ヘッド122に対して適合化させることが可能である。
【0040】
分割された後方壁部116は、床部115の隣接する境界端部136全体にわたって幅が延在し、第1の後方壁部パネル117および第2の後方壁部パネル118を備え、第1の後方壁部パネル117は、上部カバー111に隙間なく連結され、第2の後方壁部パネル118は、床部115およびコンソールハウジング130に隙間なく連結される。2つの後方壁部パネル117、118は、それらの表面が互いに対接して位置し、したがって、互いに部分的に重畳し、しかし互いに対して垂直方向に移動可能となるように、互いに対して配置される。
【0041】
上部カバー111および上部カバー111に連結される壁部は、コンソールハウジング130に対して垂直方向に摺動可能である。これが可能となるように、前方壁部114および2つの側壁部112、113が床部115の各隣接する境界端部133、134、135を過ぎて、およびそれらの境界端部133、134、135にそれぞれの順序で隣接するハウジング壁部137、138、139を過ぎて、垂直方向に移動され得ることが、必要である。したがって、好ましくは、コンソールハウジング130のハウジング壁部137、138、139は、垂直方向表面として設計され、側壁部112、113および前方壁部114は、ハウジング壁部137、138、139に部分的に重なる。好ましくは、コンソールハウジング130の高さは、床部115または天秤皿131に対して上部カバー111の垂直方向変位高さに一致する。例えばラボラトリ用テーブルなどのラボラトリ用機器100用の支持表面(図示せず)が、上部カバー111が下方に移動される際に、前方壁部114および側壁部112、113を受容するのに適した凹部を有する場合には、コンソールハウジング130についてさらに低い高さを選択することも可能となる。
【0042】
用量分注デバイス120は、用量分注デバイスハウジング121内に配置された駆動/制御ユニット(図示せず)を有する。分注ヘッド122が、用量分注デバイス120の分注ヘッドホルダ123中に解除可能に設置され、駆動/制御ユニットに結合され得る。さらに、分注ヘッド122の一部が、開口119を通り計量コンパートメント140内に到達する。開口119は、分注ヘッド122の対応する断面形状部分に合致され、分注ヘッド122は、分注ヘッドが分注ヘッドホルダ123中に設置されると、開口119の区域内に配置される。これは、周囲雰囲気の気流が開口119を通り計量コンパートメント140内に進入するのを防ぐ役割を果たす。分注ヘッド122および上部カバー111中の開口119の設計次第では、分注ヘッドホルダ123を省略することもまた可能となり得る。
【0043】
したがって、好ましくは、少なくとも分注ヘッド122が、または図1に図示されるように用量分注デバイス120全体が、上部カバー111に連結され、上部カバー111の垂直方向移動に従う。図1に図示される上部カバー111の位置は、床部115からの可能な限り最大の距離の位置に相当する。
【0044】
図2は、図1のラボラトリ用機器100とほぼ完全に同一であるラボラトリ用機器200を図示する。図1とは異なり、図2のラボラトリ用機器200の通気防止デバイス210は、第1の側壁部112が開状態にある状態で図示され、上部カバー111の位置は、床部115からの可能な限り最少の距離の位置に相当する。
【0045】
第1の側壁部112は、第1のガイドレール261、および第1のガイドレールに対して平行に延在する第2のガイドレール262に沿って、直線方向移動において案内されるガイド要素227を備える。ガイドレール261、262は共に、上部カバー111にしっかりと連結され、第1のハウジング壁部138に対して平行に延在する。
【0046】
ラボラトリ用機器200の通風防止デバイス210は、可能な限り、ラボラトリ用機器200の周囲にて発生するあらゆる周囲空気の移動を遮るべきであるため、第1の側壁部112の方向に向く境界端部133は、第1のシール滑動ストリップ251を備える。同様に、第2のシール滑動ストリップ252が、第2の側壁部113と隣接する境界端部134との間に配置され、第3のシール滑動ストリップ253が、第1の壁部114と隣接する境界端部135との間に配置される。図2に図示されるように、第1の側壁部112と接触状態にある第1のシール滑動ストリップ251は、コンソールハウジング130の第1のハウジング壁部138のほぼ全体にわたって延在する。このシールストリップは、床部115の境界端部133と第1の側壁部112との間の生じ得る隙間をシールする役割を果たし、境界端部133に対して第1の側壁部112の平滑な滑動を可能にする役割を果たし、それにより、第1の側壁部112は、引っ掛かることがなくなることとなる。
【0047】
さらに、図2は、角度付きレバーの形態の第1の随伴移動ラッチ225を図示する。随伴移動ラッチは、用量分注デバイスハウジング121中のスロット263によって形成され、ガイドレール261、262に対して平行に延在する、直線方向経路に沿って、移動可能である。この直線移動は、用量分注デバイスハウジング121の内部に配置された駆動機構(図示せず)によって行われる。この駆動機構は、図4のコンテクスト内でより詳細に以下で説明されることとなる。第1の随伴移動ラッチ225は、単純な旋回運動を介してガイド要素227に結合されてよく、これにより、第1の随伴移動ラッチ225の直線移動が、第1の側壁部112に伝達される。同様に、第2の側壁部113のための第2の随伴移動ラッチが存在してもよく、その場合には、両随伴移動ラッチが、駆動機構によって同期的に移動される。第1の随伴移動ラッチ225に結合されない場合には、第1の側壁部112は、手動により移動させることが可能である。
【0048】
図3は、図1および図2から既に知られている用量分注デバイス120を有する、ラボラトリ用機器300の三次元図を示す。ラボラトリ用機器300は、本発明の第2の実施形態による通風防止デバイス310をさらに備え、垂直方向に移動可能な上部カバー311は、第1の側壁部112および第1の後方壁部パネル117に連結される。図1および図2のラボラトリ用機器とは異なり、第2の側壁部313および前方壁部314は、床部115にしっかりと連結される。さらに、シール滑動ストリップの代わりに、シールローラ351が、第1の側壁部112の方向に向く境界端部に配置される。
【0049】
図3においては、ラボラトリ用機器300の通風防止デバイス310が、第1の側壁部112がやはり開状態にある状態において、示され、上部カバー311の位置は、床部115から可能な限り最少の距離の位置に相当する。この第2の実施形態に関しては、分注ヘッド122を用量分注デバイス120の分注ヘッドホルダ123内に設置することは、より困難になるが、依然として分注ヘッドホルダ123に対する、または開口119に対するアクセスは十分なものである。これは、第1の側壁部112の上端部が、上部カバー311と同一の高さに常に位置するためである。この第2の実施形態は、分注ヘッド122を取り出す際に、この装置の操作者が、分注ヘッドに固着するおそれのある用量物質に対するある程度の保護を依然として有する、という利点を有する。これは、前方壁部314および第2の側壁部313が、上部カバー311の上方に立設することによって、透明な機械的保護障壁を形成するためである。分注ヘッド122が、取り外されると、それにより、上部カバー311の直上にて送給孔を視覚的に検査することが可能となり、必要な場合には、分注ヘッド122をラボラトリ用機器300から完全に取り外す前に、分注ヘッド122を可撓性吸引デバイス399により洗浄することが可能である。
【0050】
図1から図3に図示される実施形態の変形バージョンにおいては、当然ながら、前方壁部のみ、または2つの側壁部のみ、または前方壁部および側壁部の一方のみを、上部カバーに連結することもまた可能である。あるいは、これらの壁部が、上部カバーまたは床部のいずれかに連結され得る(それらはいずれも望ましい)ように、これらの壁部の固定手段を設計することもまた可能である。さらなる可能性としては、床部に連結される側壁部が、直線方向移動において摺動することが可能となるように設計されてもよい。
【0051】
図4は、図1の通風防止デバイス110と同一の通風防止デバイス110の後方からの三次元図を示す。全てのハウジングパネルおよび用量分注デバイス全体が、上記において既に説明された駆動機構480のいくつかの詳細を示すために、省略されている。コンソールハウジング130は、同時に床部115の基部を形成するため、コンソールハウジング130のみが、上部カバー111と、上部カバー111に連結される2つの側壁部112、113および前方壁部114との垂直方向ガイド機構をより良好に図示するために、この図面において依然として示される。駆動機構480は、モータ481を有し、モータ481の運動が、歯付きベルトドライブ482を介して第1の随伴移動ラッチ225および第2の随伴移動ラッチ226に伝達される。両随伴移動ラッチ225、226は、水平方向に摺動可能な側壁部112、113のガイドレール261、262に対して平行に延在する長手方向ガイド拘束具483上において案内され、互いに無関係に、それぞれに関連付けされる側壁部112、113に結合させることが可能である。
【0052】
さらに、2つの垂直方向ガイド484が、上部カバー111と、上部カバー111に連結される要素、すなわち側壁部112、113、前方壁部114、第1の後方壁部パネル117、および駆動機構480との垂直方向可動性を示すために、図4において概略的に図示される。当然ながら、通風防止デバイス110もまた、垂直方向移動のための駆動ユニットを有するが、明瞭化のため、この垂直方向駆動機構は、ここには図示されない。
【0053】
通風防止デバイス110の洗浄を容易化するために、少なくとも前方壁部114および側壁部112、113を取り外すための簡単な方式があると有利である。
【0054】
図5は、前方壁部のための解除可能固定構成具の三次元詳細図を示す(図1において先に示されたが、本明細書においては語られていない)。図面スペースを節約するために、上部カバー111、第2の側壁部113、および、上部カバー111から分離された前方壁部114の破断部分のみが示される。前方壁部114と上部カバー111との間を解除可能な連結にするために、上部カバー111に隣接して位置する前方壁部114の隅部に、2つのピン582をそれぞれ有するピンブロック581が存在する。2つのピン582が、ホルダ585中に形成された2つの着座溝583、584内において係合され得る。これらのホルダ585の中の1つが、前方壁部114に対向する上部カバー111の各隅部のそれぞれに配置される。この前方壁部固定構成具を備える前方壁部114は、片手による移動により、ホルダ585から解除され、またはホルダ585に装着することが可能である。さらに、2つのピン582を有する前方壁部114の構成により、前方壁部は、上部カバー111に対して固定的に位置決めされ、ホルダ585内において前後に揺動することが不可能となる。
【0055】
図6は、側壁部用の解除可能な固定構成具の三次元詳細図を示す(先行の図面において第1の側壁部112に関して図示されたが、本明細書においては語られていない)。ガイド要素227は、重力方向に逆らって配向される2つのスロット形状凹部681を有し、それにより第1の側壁部112は、第1のガイドレール261および第2のガイドレール262から懸下され得る。前方壁部の2つのピンの場合において既述したように、2つのガイドレール261、262は、懸下される側壁部112に対して安定性を与え、それにより、側壁部112の可動性は、ガイドレール261、262からの解除のための、水平方向への摺動移動に、および、重力方向に逆らった旋回移動および引張り移動に限定される。
【0056】
図7は、図1のコンテクストにおいて説明された要素と共にほぼ同一である上部カバー711および床部115の詳細断面図を示す。上部カバー711は、上部カバーフレーム712および上部カバー挿入部713を有することに関してのみ、図1に図示される上部カバーとは異なる。上部カバー挿入部713は、上部カバーフレーム712中にゆるく配置され、それにより、上部カバー挿入部713は、洗浄を行うために通風シールドから容易に取り外すことが可能となる。この図面には、さらに、上部カバー711内に、または可能である場合には、上部カバー挿入部713、天秤皿131、積載物伝達要素781、および、概略的に図示される計量セル780の一部内に配置される、分注ヘッド122が図示される。当然ながら、分注ヘッド122もまた、上部カバー挿入部713にしっかりと連結され得る。天秤皿131の上に直立して図示される受容容器790は、その全高が、天秤皿131からの上部カバー711の最小距離Hminにほぼ等しいため、可能な限り最小のサイズであるが、上部カバー711を通過して到達する分注ヘッド122の部分が考慮されなければならない。さらに図7から明らかなことは、床部115および上部カバー711の角錐形状設計の主な理由である。急傾斜面を有する床部115および上部カバー711の形状により、ピンセットを保持する手791のイメージによって概略的に示されるように、受容容器790の交換が、支障なく依然として可能になる。当然ながら、アクセスの容易さは、床部115および上部カバー711の傾斜部間にある角度αの幅に左右される。さらに、この構成より、天秤皿131上の受容容器790を観察することがさらに容易になる。さらに、床部115および上部カバー711のこれらの形状は、天秤皿131および受容容器790から空気流を遠ざけるのにより優れて適しており、そのため、短時間で計量セル780から計量結果が得られる。
【0057】
図7のように、図8もまた、上部カバー811および床部815の詳細断面図を示し、天秤皿131の上に直立して示される受容容器890は、上部カバー811と天秤皿131との間の最大距離Hmaxとほぼ等しい全高を有する。
【0058】
しかし、図8の上部カバー811および床部815は、本発明によるラボラトリ用機器の作動を向上させる補助的構成部をさらに有する点において、図7とは異なる。故に、通風障壁リング816が、床部815の傾斜部に沿って上昇する空気流に対して天秤皿131を保護するために、床部815の上に形成される。当然ながら、通風障壁リング816の代替として、天秤皿131は、床部815の上端部が天秤皿131の積載物担持表面と同一平面となるように、床部815内に十分奥に配置されてよい。他の構成部として、上部カバー811は、センサデバイス810を備え、これにより、上部リムの位置と、可能な場合にはさらに受容容器890の充填開口の位置とを判定することが可能となる。そのようなセンサデバイス810の代表例として、図8は、レーザダイオード813およびフォトダイオード812を図示し、フォトダイオード812の信号が、ラボラトリ用機器の制御デバイス(図示せず)に送信され、制御デバイスが、上部カバー811を垂直方向に移動させるために駆動機構を制御する。2つのレーザダイオード811および2つの光電池812からなる構成により、より正確な検出が可能であり、好ましくは、レーザダイオードの光線は、分注ヘッド122の送給孔124の若干下方にて互いに交差する。
【0059】
当然ながら、例えば画像処理システム、ホールセンサ(Hall sensor)、誘導式近接スイッチ、静電容量式近接スイッチ、および超音波センサ等々などの、多数の他の既知のセンサデバイス810が使用可能である。
【0060】
三次元図において、図9は、用量分注デバイス920と、通風防止デバイス910の第3の実施形態とを有する、ラボラトリ用機器900を図示し、通風防止デバイス910の第3の実施形態は、上部カバーフレーム912および上部カバー挿入部913に分割された、上部カバー911を有する。開口919が、上部カバー挿入部913中に配置される。分注ヘッド122が、分注ヘッドホルダ123内に配置される。送給孔を有する分注ヘッドホルダ123の底部が、開口919を通り計量コンパートメント内に達する。
【0061】
他の特徴としては、上部カバー挿入部913と、上部カバー挿入部913に連結される用量分注デバイス920とが、上部カバーフレーム912に対して水平方向に移動可能である。その結果、通風シールドの上方に向く開口999を露出させることが可能となり、それにより、上方から、受容容器(図示せず)を天秤皿131の上に設置すること、および天秤皿131から取り除くことも可能になる。これは、好ましくはロボットアームである適切なローディングデバイスによって、達成することが可能である。
【0062】
2つの側壁部112、113、前方壁部114、および第1の後方壁部パネル117は、上方カバーフレーム912に連結される。上方カバーフレーム912、上方カバー挿入部913、用量分注デバイス920、および、上方カバーフレーム912に連結される壁部112、113、114、115は、天秤皿131に対して共に上下に移動する。
【0063】
特定の例の実施形態を提示することにより、本発明を説明したが、例えば個々の実施形態の構成部を互いに組み合わせることによって、および/または、これらの例において説明された実施形態の個々の機能ユニットを相互交換することによってなど、無数の他の変形形態を、本発明の知識から生み出すことが可能であることが、明らかであると考えられる。他の可能性の中でもとりわけ、例えば上部カバーが充填開口に正確に合致する開口を有し、それにより、用量物質を開口を介して手動によって分注することも可能である、本発明のコンセプトからなる実施形態を考えることが可能である。当然ながら、固体物質用の用量分注デバイス、および液体用の用量分注デバイスを、本発明による通風防止デバイスと共に使用することが可能である。温度センサ、攪拌機構、および他のデバイスを、この開口を通り受容容器内に誘導することも可能である。
【符号の説明】
【0064】
900、300、200、100 ラボラトリ用機器
910、410、310、210、110 通風防止デバイス
911、811、711、311、111 上部カバー
112 第1の側壁部
313、113 第2の側壁部
314、114 前方壁部
815、115 床部
116 後方壁部
117 第1の後方壁部パネル
118 第2の後方壁部パネル
919、119 開口
920、120 用量分注デバイス
121 用量分注デバイスハウジング
122 分注ヘッド
123 分注ヘッドホルダ
124 送給孔
130 コンソールハウジング
131 天秤皿
132 通路開口
133 第1の側壁部に対向する境界端部
134 第2の側壁部に対向する境界端部
135 前方壁部に対向する境界端部
136 後方壁部に対向する境界端部
137 第3のハウジング壁部
138 第1のハウジング壁部
139 第2のハウジング壁部
140 計量コンパートメント
225 第1の随伴移動ラッチ
226 第2の随伴移動ラッチ
227 ガイド要素
251 第1のシール滑動ストリップ
252 第2のシール滑動ストリップ
253 第3のシール滑動ストリップ
261 第1のガイドレール
262 第2のガイドレール
263 スロット
351 シールローラ
399 吸引デバイス
480 駆動機構
481 モータ
482 歯付きベルトドライブ
483 長手方向ガイド
484 垂直方向ガイド
581 ピンブロック
582 ピン
583、584 着座溝
585 ホルダ
681 凹部
712、912 上部カバーフレーム
713、913 上部カバー挿入部
780 計量セル
781 積載物伝達要素
790、890 受容容器
791 手
810 センサデバイス
812 フォトダイオード
813 レーザダイオード
816 通風障壁リング
999 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラボラトリ用機器(100、200、300、900)用の通風防止デバイス(110、210、310、410、910)であって、天秤皿(131)を囲む計量コンパートメント(140)を囲み、後方壁部(116)、前方壁部(114、314)、2つの側壁部(112、113、313)、少なくとも1つの開口(119、919)を有する上部カバー(111、311、711、811、911)、および、境界端部(133、134、135、136)によって画定された床部(115、815)を備える、通風防止デバイス(110、210、310、410、910)において、前記上部カバー(111、311、711、811、911)は、前記2つの側壁部(112、113、313)の少なくとも一方に、および/または前記前方壁部(114、314)に、および/または前記後方壁部(116)に連結され、前記上部カバー(111、311、711、811、911)、および前記上部カバー(111、311、711、811、911)に連結される前記壁部(112、113、114、115、116、313、314)は、前記天秤皿(131)に対して上下に共に移動させることが可能であり、前記垂直方向に移動可能な側壁部(112、113、313)および/または前記前方壁部(114、314)および/または前記後方壁部(116)は、前記床部(115、815)の各隣接する境界端部(133、134、135、136)を過ぎて垂直方向に移動させることが可能であり、前記上部カバー(111、311、711、811、911)の任意の垂直方向位置において、少なくとも一方の側壁部(112、113、313)が、前記上部カバー(111、311、711、811、911)に対して水平方向への移動において摺動可能であることを特徴とする、通風防止デバイス(110、210、310、410、910)。
【請求項2】
前記上部カバー(111、311、711、811、911)は、上部カバーフレーム(712、912)および上部カバー挿入部(713、913)を備え、前記少なくとも1つの開口(119、919)は、前記上部カバー挿入部(713、913)に配置され、前記少なくとも一方の側壁部(112、113、313)および/または前記前方壁部(114、314)および/または前記後方壁部(116)は、前記上部カバーフレーム(712、912)に連結され、前記上部カバーフレーム(712、912)に連結される壁部および前記上部カバー挿入部(713、913)と共に前記上部カバーフレーム(712、912)は、前記天秤皿(131)に対して垂直方向に摺動可能であり、前記上部カバー挿入部(713、913)は、前記上部カバーフレーム(712、912)に対して水平方向に摺動可能であることを特徴とする、請求項1に記載の通風防止デバイス(110、210、310、410、910)。
【請求項3】
両側壁部(112、113、313)は、前記上部カバー(111、311、711、811、911)に連結され、前記上部カバー(111、311、711、811、911)に対して水平方向に摺動可能であり、または、可能な場合には、前記上部カバーフレーム(712、912)に対して水平方向に摺動可能であることを特徴とする、請求項1または2に記載の通風防止デバイス(110、210、310、410、910)。
【請求項4】
前記側壁部(112、113、313)の少なくとも一方および/または前記前方壁部(114、314)は、前記上部カバー(111、311、711、811、911)に解除可能に連結され、あるいは、可能な場合には、前記上部カバーフレーム(712、912)に解除可能に連結されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の通風防止デバイス(110、210、310、410、910)。
【請求項5】
前記上部カバー挿入部(713、913)は、前記上部カバーフレーム(712、912)中にゆるく設置され得ることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の通風防止デバイス(110、210、310、410、910)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの開口(119、919)は、上部カバー(111、311、711、811、911)中に配置された、または可能な場合には前記上部カバー挿入部(713、913)中に配置されたスライダによって、閉ざすことが可能であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の通風防止デバイス(110、210、310、410、910)。
【請求項7】
前記上部カバー(111、311、711、811、911)に連結された前記少なくとも一方の摺動可能な側壁部(112、113、313)を水平方向に案内するために、少なくとも1つのガイドレール(261、262)が、前記上部カバーに配置され、または可能な場合には、前記上部カバーフレーム(712、912)に配置され、前記摺動可能な側壁部(112、113、313)は、前記ガイドレール(261、262)に沿って滑動するように拘束された少なくとも1つのガイド要素(227)を備えることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の通風防止デバイス(110、210、310、410、910)。
【請求項8】
前記境界端部(133、134、135、136)の長さ部分に少なくともわたって延在する、シール滑動ストリップ(251、252、253)、シールブラシ、またはシールローラ(351)が、前記床部(115、815)の少なくとも1つの境界端部(133、134、135、136)上に配置されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の通風防止デバイス(110、210、310、410、910)。
【請求項9】
垂直方向移動および/または水平方向移動に対して動力を与える役割を果たす少なくとも1つの駆動機構(480)が存在することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の通風防止デバイス(110、210、310、410、910)。
【請求項10】
前記床部(115、815)は、その表面区域の重心から前記水平方向に摺動可能な側壁部(112、113、313)の少なくとも一方の方向に下方に傾斜するように形状設定されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の通風防止デバイス(110、210、310、410、910)。
【請求項11】
前記上部カバー(111、311、711、911)は、前記前方壁部(114、314)から、および/または前記少なくとも一方の水平方向に摺動可能な側壁部(112、113、313)から、その表面区域の重心の方向に下方に傾斜するように形状設定されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の通風防止デバイス(110、210、310、410、910)。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の通風防止デバイス(110、210、310、410、910)を備える、ラボラトリ用機器(100、200、300、900)、具体的には、天秤、用量分注機器、ピペットデバイス、または滴定デバイス。
【請求項13】
用量分注デバイス(120、920)を備え、前記用量分注デバイス(120、920)は、用量物質用のその送給孔(124)が、前記開口(119、919)と位置合わせされた状態において、前記通風防止デバイス(110、210、310、410、910)の前記上部カバー(111、311、711、811、911)の上方に配置されるように配置され、または、前記用量分注デバイス(120、920)が、前記開口(119、919)を少なくとも部分的に通過して達するように、したがって、用量物質用のその送給孔(124)が、前記通風防止デバイス(110、210、310、410、910)の前記上部カバー(111、311、711、811、911)の下方に、すなわち前記計量コンパートメント(140)内に配置されるように配置されることを特徴とする、請求項12に記載のラボラトリ用機器(100、200、300、900)。
【請求項14】
前記天秤皿(131)の上に設置された受容容器の少なくとも高さを検出することがそれによって可能なセンサデバイス(810)が存在することを特徴とする、請求項13に記載のラボラトリ用機器(100、200、300、900)。
【請求項15】
前記センサデバイス(810)は、2つのレーザダイオード(813)および2つの光電池(812)を備え、前記レーザダイオード(813)により発せられた光線は、前記開口(119、919)または前記送給孔(124)の直下にて互いに交差することを特徴とする、請求項14に記載のラボラトリ用機器(100、200、300、900)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−266435(P2010−266435A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−100490(P2010−100490)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(599082218)メトラー−トレド アクチェンゲゼルシャフト (130)
【住所又は居所原語表記】Im Langacher, 8606 Greifensee, Switzerland
【Fターム(参考)】