説明

ラミネートフィルムおよび真空断熱材ならびに真空断熱材適用機器

【課題】優れた難燃性を有するラミネートフィルムおよび真空断熱材を提供すること。
【解決手段】真空断熱材の外包材7は、ラミネートフィルム1の金属箔3側に、熱可塑性樹脂9をラミネートしたものである。ラミネートフィルム1は、外側から順に第一の樹脂フィルム2、第二の樹脂フィルム4、金属箔3を積層したもので、ラミネートフィルム1(外包材7)の表面に位置する第一の樹脂フィルム2は、限界酸素指数値が26以上であり、第一の樹脂フィルム2が燃焼した場合に、第一の樹脂フィルム2が炭化物を形成し、第一の樹脂フィルム2と金属箔3に挟まれた第二の樹脂フィルム4の熱分解を抑えることにより、第一の樹脂フィルム2と金属箔3に挟まれた第二の樹脂フィルム4の燃焼反応を抑制するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた難燃性を有するラミネートフィルムおよび真空断熱材、真空断熱材適用機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化防止の観点から、温冷熱機器の省エネルギー化を推進する活動が盛んとなっている。温冷熱機器の省エネルギー化には、断熱・保温技術が非常に有効であることから、現在、家庭用冷凍冷蔵庫では、断熱技術を高度化した真空断熱材が広く普及している。
【0003】
この真空断熱材をさらに普及させるためには、薄型化をはじめ、耐熱性・耐薬品性の向上や、難燃性・電気絶縁性の付与が必要であり、特にコピー機や液晶プロジェクター等の情報機器分野では、難燃性・電気絶縁性が必須である。真空断熱材の難燃化手段として、アルミニウム箔と、不燃性シートとを無機接着剤で接合したラミネートシート(例えば、特許文献1参照)や、フッ素樹脂フィルムと難燃樹脂フィルム層とアルミニウム箔とからなるラミネートフィルム(例えば、特許文献2参照)を、真空断熱材を構成する外包材として使用することが考えられる。
【特許文献1】特開平5−124152号公報
【特許文献2】特開2000−318086号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示された従来のラミネートシートの構成では、不燃性は確保できるが、不燃性の紙厚が0.1〜1mmと大きいため、ラミネートフィルムの総厚みが大きくなり、このラミネートフィルムを真空断熱材の外包材として使用することを考えると、厚さ1mm程度の真空断熱材が作製できないという課題を有していた。
【0005】
また、上記特許文献2に開示された従来のラミネートシートの構成では、難燃樹脂フィルムとして塩素原子を含有したPVDC(ポリ塩化ビニリデン)フィルムを使用しているため、焼却廃棄するとダイオキシンガスが発生するという課題を有していた。
【0006】
また、難燃樹脂フィルムとして、従来の可燃性フィルムに難燃剤を添加する方法も考えられるが、難燃剤を添加することにより、フィルムの突刺し強度や酸素バリア性が低下するという課題を有していた。
【0007】
本発明では、上記従来の課題を解決するものであり、優れた難燃性を有するラミネートフィルムおよび真空断熱材ならびに真空断熱材適用機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のラミネートフィルムは、複数の樹脂フィルムと金属箔とを積層したラミネートフィルムにおいて、前記金属箔から前記ラミネートフィルムの表面まで少なくとも2層以上の樹脂フィルムが積層され、かつ、前記表面に位置する第一の樹脂フィルムは、限界酸素指数値が26以上であり、前記第一の樹脂フィルムが燃焼した場合に、前記第一の樹脂フィルムが炭化物を形成し、前記第一の樹脂フィルムと金属箔に挟まれた樹脂フィルムの熱分解を抑えることにより、前記第一の樹脂フィルムと金属箔に挟まれた樹脂フィルムの燃焼反応を抑制するものである。
【0009】
樹脂フィルム燃焼のメカニズムは、まず着火源からの輻射熱により樹脂フィルムが熱分解し、可燃性ガスが発生する。その可燃性ガスが酸素と反応し燃焼する際、この燃焼熱により、さらに樹脂フィルムが熱分解することで再び可燃性ガスが発生する燃焼サイクルが形成される。
【0010】
ラミネートフィルムの場合、まず、最外層の第一の樹脂フィルムが収縮を伴いながら燃焼するため、下層の樹脂フィルムが炎に対して剥き出しとなり、下層の樹脂フィルムが燃焼してしまう。
【0011】
そこで本発明では、着火により第一の樹脂フィルムが収縮を伴いながら燃焼し、第一の樹脂フィルムと金属箔に挟まれた樹脂フィルムに延焼したとしても、第一の樹脂フィルムは限界酸素指数値が26以上のフィルムであるために、燃焼部は直ちに自己消火し、炭化物を形成する。
【0012】
また、第一の樹脂フィルムと金属箔に挟まれた樹脂フィルムは燃焼を継続し続けようとするが、第一の樹脂フィルムと金属箔に挟まれた樹脂フィルムの燃焼熱が第一の樹脂フィルムや炭化物、金属箔へ伝わることで、第一の樹脂フィルムと金属箔に挟まれた樹脂フィルムの熱分解を抑制し、燃焼サイクルを停止させることが可能となる。
【0013】
これによって、樹脂フィルムに難燃剤を添加することなく、また、ラミネートフィルムの大幅な厚み増加を招くことなく、ラミネートフィルムの難燃化を達成することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のラミネートフィルムは、樹脂フィルムに難燃剤を添加することなく、また、ラミネートフィルムの大幅な厚み増加を招くことなく、ラミネートフィルムの難燃化を達成することができる。
【0015】
また、本発明の真空断熱材は、真空断熱材に難燃性を付与することが可能となるため、難燃性を必須とする複写機や液晶プロジェクター、ノートパソコンなどの情報機器に真空断熱材を配設することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
請求項1に記載のラミネートフィルムの発明は、複数の樹脂フィルムと金属箔とを積層したラミネートフィルムにおいて、前記金属箔から前記ラミネートフィルムの表面まで少なくとも2層以上の樹脂フィルムが積層され、かつ、前記表面に位置する第一の樹脂フィルムは、限界酸素指数値が26以上であり、前記第一の樹脂フィルムが燃焼した場合に、前記第一の樹脂フィルムが炭化物を形成し、前記第一の樹脂フィルムと金属箔に挟まれた樹脂フィルムの熱分解を抑えることにより、前記第一の樹脂フィルムと金属箔に挟まれた樹脂フィルムの燃焼反応を抑制することを特徴とするものである。
【0017】
これにより、樹脂フィルムに難燃剤を添加することなく、また、ラミネートフィルムの大幅な厚み増加を招くことなく、ラミネートフィルムの難燃化を達成することができる。
【0018】
なお、ここで金属箔とは、金属を薄く延ばしたものを指す。また、金属箔の種類については、特に指定するものではなく、アルミニウム箔や、銀箔、金箔、ニッケル箔、銅箔、ステンレス箔などが考えられるが、プロセスコストの安価なアルミニウム箔を用いることが好ましい。また、金属箔の厚みは、用途に応じて自由に決定すればよい。
【0019】
また、樹脂フィルムと金属箔との積層方法については、特に指定するものではなく、金属箔への樹脂の吹き付けや、接着剤や熱による接合方法が利用できる。また、積層の形態についても、特に指定するものではなく、複数の樹脂フィルム間に塗料を用いた意匠を挿入してもよい。また、金属箔のうち、樹脂フィルムが積層されている面とは異なる面に、熱可塑性樹脂フィルムや接着剤を取り付け、ラミネートフィルムにヒートシール性や接着性を付与しても良い。
【0020】
ここで、限界酸素指数値とは、日本工業規格(JIS)で定められたプラスチックの燃焼試験方法(JIS−K 7201)より求められる限界酸素指数値のことであり、一般的に難燃性プラスチックとは限界酸素指数値が26以上のプラスチックのことを指す。
【0021】
また、第一の樹脂フィルムの種類については、特に指定するものではなく、限界酸素指数値が26以上の樹脂フィルムであれば良い。
【0022】
限界酸素指数値が26以上の樹脂フィルムとは、具体的には、PPS(ポリフェニレンサルファイド;限界酸素指数値44)樹脂フィルムや、PI(ポリイミド;限界酸素指数値59)樹脂フィルム、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン;限界酸素指数値95)樹脂フィルム、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体;限界酸素指数値95)樹脂フィルム、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体;限界酸素指数値95)樹脂フィルム、ETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体;限界酸素指数値30)樹脂フィルムのように難燃性を有する樹脂フィルムであれば良い。
【0023】
また、第一の樹脂フィルムの厚みについては、特に指定するものではないが、厚みが大きいほど、燃焼時の炭化物形成量が多くなるため、ラミネートフィルムの難燃効果が大きくなるが、ラミネートフィルムの総厚みが大きくなるため、第一の樹脂フィルムの厚みは12〜50μm程度が好ましい。
【0024】
請求項2に記載のラミネートフィルムの発明は、請求項1に記載の発明において、金属箔からラミネートフィルムの表面まで積層された複数の樹脂フィルムのそれぞれの限界酸素指数値と厚みの積を合計したものを、前記金属箔から前記表面まで積層された複数の前記樹脂フィルムのそれぞれの厚みの和で割った値が、26以上であることを特徴とするものであり、この条件を満たすようにラミネートフィルムを設計することにより、ラミネートフィルムの難燃性確保の指針が明確となる。
【0025】
請求項3に記載のラミネートフィルムの発明は、請求項1または2に記載の発明における第一の樹脂フィルムが、フッ素樹脂フィルムであることを特徴とするものであり、フッ素樹脂フィルムは、他のエンジニアリングプラスチックと比較して、限界酸素指数値が高いため、ラミネートフィルムにより高い難燃性を付与することができる。
【0026】
なお、フッ素樹脂フィルムの種類については、特に指定するものではなく、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン;限界酸素指数値95)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体;限界酸素指数値95)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体;限界酸素指数値95)ETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体;限界酸素指数値30)などが挙げられる。
【0027】
また、フッ素樹脂フィルムの厚みについても、特に指定するものではないが、厚みが大きいほど、燃焼時の炭化物形成量が多くなるため、ラミネートフィルムの難燃効果が大きくなるが、ラミネートフィルムの総厚みが大きくなるため、フッ素樹脂フィルムの厚みは12〜50μm程度が好ましい。
【0028】
請求項4に記載の真空断熱材の発明は、少なくとも芯材と前記芯材を覆うガスバリア性の外包材とから構成され、前記外包材の内部を減圧してなり、少なくとも熱源と対向する前記外包材が、請求項1から3のいずれか一項に記載のラミネートフィルムを第一の樹脂フィルムが最外層となるように含むことを特徴とするものである。これにより、真空断熱材の外包材に難燃性が付与されるため、難燃性が求められる箇所へ真空断熱材が配設可能となる。
【0029】
なお、芯材の種類については、特に指定するものではなく、連通ウレタンフォームなどの発泡系芯材や、グラスウールやロックウールなどの繊維系芯材、パーライトや湿式シリカ、乾式シリカなどの粉末系芯材など、従来公知の芯材が利用できる。
【0030】
請求項5に記載の真空断熱材の発明は、請求項4に記載の発明において、外包材の端部が、難燃テープにより保護されていることを特徴とするものである。外包材の端部は、金属箔や樹脂フィルムが剥き出しであるため、真空断熱材の難燃性や電気絶縁性が確保できない。そこで外包材の端部を難燃テープにより保護することで、真空断熱材に難燃性や電気絶縁性を付与することが可能となる。
【0031】
なお、端部とは、外包材を所定の寸法に裁断する際に生じる裁断面を指す。
【0032】
また、難燃テープの種類については特に指定するものではなく、UL(Under−writer´s Laboratory)規格で定められたテープの燃焼試験方法(UL−510FR)の基準に合格したものであれば良いが、難燃テープが収縮することにより、外包材の端部が剥き出しとなることが考えられるため、テープの収縮の少ないガラスクロステープを用いることが好ましい。
【0033】
また、難燃テープによる真空断熱材の保護方法については、特に指定するものではないが、真空断熱材の片面の周縁部から、難燃テープで外包材の端部が見えなくなるように覆い、真空断熱材の他面の周縁部へ難燃テープを折り返す保護方法や、真空断熱材のうち、ヒレ部を熱源と対向する面と反対の面へ折り返し、ヒレ部が動かないように難燃テープを貼付することで、外包材の端部を保護する方法が考えられる。なお、ヒレ部とは、真空断熱材において芯材の無い部分を指す。
【0034】
請求項6に記載の真空断熱材の発明は、請求項4または5に記載の発明における芯材が、少なくとも無機粉体を含むことを特徴とするものである。無機粉体は、グラスウールやその他真空断熱材に使用される芯材と比較して、真空断熱材の内圧上昇に伴う断熱性能の劣化が小さいため、耐熱性や難燃性を必要とする条件において使用する真空断熱材として非常に有効であり、また、芯材が粉末状であるため、真空断熱材に曲げ加工や折り曲げ加工を施しやすくなる。
【0035】
なお、上記の芯材に酸化チタンや酸化アルミニウムやインジウムドープ酸化錫等の赤外線吸収率が小さい物質を輻射抑制材として添加することで、芯材自体の赤外線吸収率を小さくすることができる。
【0036】
また、芯材とは別に、水分吸着剤や気体吸着剤を併用することで、芯材から発生する水分や、真空断熱材へ侵入する気体を取り除くことができ、断熱効果を長期にわたって保持することができる。
【0037】
請求項7に記載の電子写真装置の発明は、請求項4から6のいずれか一項に記載の真空断熱材を、熱源を覆うように配設したことを特徴とする電子写真装置である。これにより、電子写真装置の定着器部分の断熱および保温が可能となり、電子写真装置の消費電力を低減することが可能となる。
【0038】
なお、電子写真装置とは、熱定着ローラーと、前記熱定着ローラーに圧接しながら回転する加圧ローラーとを備え、像担持体で形成されたトナー像を転写材上に定着させる定着装置を有する複写機や印刷機、ファクシミリのことである。
【0039】
また、電子写真装置の種類に関しては、特に指定するものではなく、中間ベルト方式や転写ドラム方式、タンデム方式等、従来公知の技術が利用できる。
【0040】
請求項8に記載の画像投影装置の発明は、請求項4から6のいずれか一項に記載の真空断熱材を、熱源もしくは筐体に配設したことを特徴とする画像投影装置である。これにより、画像投影装置の熱源から発生する熱を、筐体へ伝わりにくくできることから、使用者に不快感を与えることなく、快適に機器を操作することが可能となる。
【0041】
なお、画像投影装置とは、少なくとも光源と光源を赤色光、緑色光、青色光に分解するフィルターと、投影レンズとを備えたものであり、液晶プロジェクターやDLP(デジタルライトプロセッシング)プロジェクターや、プロジェクションテレビのことである。
【0042】
請求項9に記載の電気湯沸し器の発明は、請求項4から6のいずれか一項に記載の真空断熱材を、貯湯容器の外周を覆うように配設したことを特徴とする電気湯沸し器である。これにより、貯湯容器の熱を断熱することにより、外部へ逃げる熱を少なくすることができ、消費電力の削減が可能となる。
【0043】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0044】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるラミネートフィルムの断面図である。図1において、ラミネートフィルム1は、第一の樹脂フィルム2と、金属箔3と、第一の樹脂フィルム2と金属箔3に挟まれた第二の樹脂フィルム4とを積層させたものである。
【0045】
以上のように構成されたラミネートフィルム1について、以下その動作、作用を説明する。
【0046】
第一の樹脂フィルム2は、外部からの衝撃に対して金属箔3を保護するとともに、自己消火性を有するフィルムである。
【0047】
金属箔3は、ラミネートフィルム1にガスバリア性や水蒸気バリア性を付与する役割を果たすものである。
【0048】
第一の樹脂フィルム2と金属箔3に挟まれた第二の樹脂フィルム4は、ラミネートフィルム1の耐ピンホール性を向上させる役割を果たすものである。
【0049】
以上のように構成されたラミネートフィルムの難燃性について確認した結果を実施例1から実施例3に示し、比較例を比較例1から比較例3に示す。
【0050】
なお、ラミネートフィルム1を幅100mm、長さ200mmに切り出し、図2に示すように、第一の樹脂フィルム2が外側となるように、長辺を二つ折りしたサンプルを燃焼試験サンプルとし、UL―94における20mm垂直燃焼試験に準拠した方法で評価を行った。
【0051】
また、難燃性の判断基準は、UL−94における20mm垂直燃焼試験の評価基準に従い、評価結果がV−0相当、V−1相当、V−2相当いずれかの難燃グレードに適合するのであれば、ラミネートフィルム1に難燃性が付与されているものとした。
【0052】
(実施例1)
厚さ25μmのETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体;限界酸素指数値30)フィルムと、厚さ12μmPEN(ポリエチレンナフタレート;限界酸素指数値21)フィルムと、厚さ6μmアルミニウム箔とを、それぞれ接着剤により複層することでラミネートフィルムを手に入れた。
【0053】
このラミネートフィルムは、ETFEフィルムの限界酸素指数値と厚みの積が、25μm×30=750μmとなり、PENフィルムの限界酸素指数値と厚みの積が、12μm×21=252μmとなり、ETFEフィルムの厚みとPENフィルムの厚みの和が、25μm+12μm=37μmとなるので、アルミニウム箔(金属箔)からラミネートフィルムの表面まで積層されたETFEフィルムとPENフィルムのそれぞれの限界酸素指数値と厚みの積を合計したもの(750μm+252μm=1002μm)を、アルミニウム箔(金属箔)からラミネートフィルムの表面まで積層されたETFEフィルムとPENフィルムのそれぞれの厚みの和(37μm)で割った値は、1002μm÷37μm=27.08となり、この値は26以上である。
【0054】
また、本実施例のラミネートフィルムを評価したところ、第1回、第2回接炎時の合計残炎時間は0秒であり、支持クランプまでの燃焼および発炎させる滴下物も確認できなかったため、難燃グレードはV−0相当であり、ラミネートフィルムに難燃性が付与されていると判断した。
【0055】
(実施例2)
厚さ12μmのFEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体;限界酸素指数値95)フィルムと、厚さ12μmPET(ポリエチレンテレフタレート;限界酸素指数値20)フィルムと、厚さ6μmアルミニウム箔とをそれぞれ接着剤により複層することでラミネートフィルムを手に入れた。
【0056】
このラミネートフィルムは、FEPフィルムの限界酸素指数値と厚みの積が、12μm×95=1140μmとなり、PETフィルムの限界酸素指数値と厚みの積が、12μm×20=240μmとなり、FEPフィルムの厚みとPETフィルムの厚みの和が、12μm+12μm=24μmとなるので、アルミニウム箔(金属箔)からラミネートフィルムの表面まで積層されたFEPフィルムとPETフィルムのそれぞれの限界酸素指数値と厚みの積を合計したもの(1140μm+240μm=1380μm)を、アルミニウム箔(金属箔)からラミネートフィルムの表面まで積層されたFEPフィルムとPETフィルムのそれぞれの厚みの和(24μm)で割った値は、1380μm÷24μm=57.5となり、この値は26以上である。
【0057】
また、本実施例のラミネートフィルムを評価したところ、第1回、第2回接炎時の合計残炎時間は0秒であり、支持クランプまでの燃焼および発炎させる滴下物も確認できなかったため、難燃グレードはV−0相当であり、ラミネートフィルムに難燃性が付与されていると判断した。
【0058】
(実施例3)
厚さ16μmのPPS(ポリフェニレンサルファイド;限界酸素指数値44)フィルムと、厚さ12μmPET(ポリエチレンテレフタレート;限界酸素指数値20)フィルムと、厚さ6μmアルミニウム箔とをそれぞれ接着剤により複層することでラミネートフィルムを手に入れた。
【0059】
このラミネートフィルムは、PPSフィルムの限界酸素指数値と厚みの積が、16μm×44=704μmとなり、PETフィルムの限界酸素指数値と厚みの積が、12μm×20=240μmとなり、PPSフィルムの厚みとPETフィルムの厚みの和が、16μm+12μm=28μmとなるので、アルミニウム箔(金属箔)からラミネートフィルムの表面まで積層されたPPSフィルムとPETフィルムのそれぞれの限界酸素指数値と厚みの積を合計したもの(704μm+240μm=944μm)を、アルミニウム箔(金属箔)からラミネートフィルムの表面まで積層されたPPSフィルムとPETフィルムのそれぞれの厚みの和(28μm)で割った値は、944μm÷28μm=33.7となり、この値は26以上である。
【0060】
また、本実施例のラミネートフィルムを評価したところ、第1回、第2回接炎時の合計残炎時間は3秒であり、支持クランプまでの燃焼および発炎させる滴下物も確認できなかったため、難燃グレードはV−0相当であり、ラミネートフィルムに難燃性が付与されていると判断した。
【0061】
(比較例1)
厚さ12μmのETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体;限界酸素指数値30)フィルムと、厚さ12μmPEN(ポリエチレンナフタレート;限界酸素指数値21)フィルムと、厚さ6μmアルミニウム箔とをそれぞれ接着剤により複層することでラミネートフィルムを手に入れた。
【0062】
このラミネートフィルムは、ETFEフィルムの限界酸素指数値と厚みの積が、12μm×30=360μmとなり、PENフィルムの限界酸素指数値と厚みの積が、12μm×21=252μmとなり、ETFEフィルムの厚みとPENフィルムの厚みの和が、12μm+12μm=24μmとなるので、アルミニウム箔(金属箔)からラミネートフィルムの表面まで積層されたETFEフィルムとPENフィルムのそれぞれの限界酸素指数値と厚みの積を合計したもの(360μm+252μm=612μm)を、アルミニウム箔(金属箔)からラミネートフィルムの表面まで積層されたETFEフィルムとPENフィルムのそれぞれの厚みの和(24μm)で割った値は、612μm÷24μm=25.5となり、この値は26未満である。
【0063】
また、本実施例のラミネートフィルムを評価したところ、第1回、第2回接炎時の合計残炎時間は30秒を越え、支持クランプまでの燃焼を確認したため、難燃グレードはV−2にも適合しないことから、本比較例ではラミネートフィルムに難燃性を付与することができなかった。
【0064】
(比較例2)
厚さ12μmのNy(ナイロン;限界酸素指数値24)フィルムと、厚さ12μmPET(ポリエチレンテレフタレート;限界酸素指数値20)フィルムと、厚さ6μmアルミニウム箔とをそれぞれ接着剤により複層することでラミネートフィルムを手に入れた。
【0065】
このラミネートフィルムは、Nyフィルムの限界酸素指数値と厚みの積が、12μm×24=288μmとなり、PETフィルムの限界酸素指数値と厚みの積が、12μm×20=240μmとなり、Nyフィルムの厚みとPETフィルムの厚みの和が、12μm+12μm=24μmとなるので、アルミニウム箔(金属箔)からラミネートフィルムの表面まで積層されたNyフィルムとPETフィルムのそれぞれの限界酸素指数値と厚みの積を合計したもの(288μm+240μm=528μm)を、アルミニウム箔(金属箔)からラミネートフィルムの表面まで積層されたNyフィルムとPETフィルムのそれぞれの厚みの和(24μm)で割った値は、528μm÷24μm=22となり、この値は26未満である。
【0066】
また、本実施例のラミネートフィルムを評価したところ、第1回、第2回接炎時の合計残炎時間は30秒を越え、支持クランプまでの燃焼を確認したため、難燃グレードはV−2にも適合しないことから、本比較例ではラミネートフィルムに難燃性を付与することができなかった。
【0067】
(比較例3)
厚さ15μmのNy(ナイロン;限界酸素指数値24)フィルムと、厚さ12μmNy(ナイロン;限界酸素指数値24)フィルムと、厚さ6μmアルミニウム箔とをそれぞれ接着剤により複層することでラミネートフィルムを手に入れた。
【0068】
このラミネートフィルムは、厚さ15μmのNyフィルムの限界酸素指数値と厚みの積が、15μm×24=360μmとなり、厚さ12μmのNyフィルムの限界酸素指数値と厚みの積が、12μm×24=288μmとなり、二つのNyフィルムの厚みとPETフィルムの厚みの和が、15μm+12μm=27μmとなるので、アルミニウム箔(金属箔)からラミネートフィルムの表面まで積層された二つのNyフィルムのそれぞれの限界酸素指数値と厚みの積を合計したもの(360μm+288μm=648μm)を、アルミニウム箔(金属箔)からラミネートフィルムの表面まで積層された二つのNyフィルムのそれぞれの厚みの和(27μm)で割った値は、648μm÷27μm=24となり、この値は26未満である。
【0069】
また、本実施例のラミネートフィルムを評価したところ、第1回、第2回接炎時の合計残炎時間は30秒を越え、支持クランプまでの燃焼を確認したため、難燃グレードはV−2にも適合しないことから、本比較例ではラミネートフィルムに難燃性を付与することができなかった。
【0070】
以上のように構成されたラミネートフィルムにおいて、難燃性について確認した結果(実施例1〜3および比較例1〜3)を(表1)に示す。(表1)の結果から、金属箔からラミネートフィルムの表面まで積層された複数の樹脂フィルムのそれぞれの限界酸素指数値と厚みの積を合計したものを、前記金属箔から前記表面まで積層された複数の前記樹脂フィルムのそれぞれの厚みの和で割った値が、26以上であれば、ラミネートフィルムに難燃性が付与されることが確認できた。
【0071】
【表1】

(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2における真空断熱材の断面図であり、図4は、本発明の実施の形態2における外包材の断面図である。図3において、真空断熱材5は、芯材6を外包材7で覆ったものであり、外包材7の周縁部に難燃テープ8を貼付したものである。また、図4において、外包材7は、ラミネートフィルム1の金属箔3側に、熱可塑性樹脂9をラミネートしたものである。
【0072】
以上のように構成された真空断熱材5について、以下その動作、作用を説明する。
【0073】
芯材6は、真空断熱材5の骨材として空間を形成する役割を果たし、真空排気後の真空断熱材5の断熱部を形成するものである。
【0074】
外包材7は、芯材6を大気から隔離する役割を果たし、真空断熱材5の真空度を低く保つものである。
【0075】
難燃テープ8は、外包材7の端面を保護することで、真空断熱材5に難燃性および電気絶縁性を確保する役割を果たすものである。
【0076】
熱可塑性樹脂9は、ラミネートフィルム1にヒートシール性を付与する役割を果たすものである。
【0077】
以上のように構成された真空断熱材5の難燃性について確認した結果を実施例4から実施例6に示し、比較例を比較例4から比較例6に示す。
【0078】
なお、真空断熱材5の難燃性は、有効断熱部が幅100mm、長さ100mmとなるように芯材6、外包材7を用意して真空断熱材5を作製したのち、難燃テープ8を貼付したものを燃焼試験サンプルとし、UL―94における20mm垂直燃焼試験に準拠した方法で評価を行った。また、難燃性の判断基準は、UL−94における20mm垂直燃焼試験の評価基準に従い、評価結果がV−0相当、V−1相当、V−2相当いずれかの難燃グレードに適合するのであれば、真空断熱材5に難燃性が付与されているものとした。
【0079】
(実施例4)
実施例1よりなるラミネートフィルム1の金属箔3側にCPPフィルムをラミネートすることで外包材を作製し、芯材となるグラスウールをこの外包材で覆い、内部を減圧することで真空断熱材を手に入れた。そして真空断熱材の外包材の端部にガラスクロステープを貼付したものを燃焼試験サンプルとした。
【0080】
この真空断熱材の難燃性を評価したところ、第1回、第2回接炎時の合計残炎時間は0秒であり、支持クランプまでの燃焼および発炎させる滴下物も確認できなかったため、難燃グレードはV−0相当であり、真空断熱材に難燃性が付与されていると判断した。
【0081】
(実施例5)
実施例2よりなるラミネートフィルム1の金属箔3側にCPPフィルムをラミネートすることで外包材を作製し、芯材となるグラスウールをこの外包材で覆い、内部を減圧することで真空断熱材を手に入れた。そして真空断熱材の外包材の端部にガラスクロステープを貼付したものを燃焼試験サンプルとした。
【0082】
この真空断熱材の難燃性を評価したところ、第1回、第2回接炎時の合計残炎時間は0秒であり、支持クランプまでの燃焼および発炎させる滴下物も確認できなかったため、難燃グレードはV−0相当であり、真空断熱材に難燃性が付与されていると判断した。
【0083】
(実施例6)
実施例3よりなるラミネートフィルム1の金属箔3側にCPPフィルムをラミネートすることで外包材を作製し、芯材となるグラスウールをこの外包材で覆い、内部を減圧することで真空断熱材を手に入れた。そして真空断熱材の外包材の端部にガラスクロステープを貼付したものを燃焼試験サンプルとした。
【0084】
この真空断熱材の難燃性を評価したところ、第1回、第2回接炎時の合計残炎時間は2秒であり、支持クランプまでの燃焼および発炎させる滴下物も確認できなかったため、難燃グレードはV−0相当であり、真空断熱材に難燃性が付与されていると判断した。
【0085】
(比較例4)
実施例1よりなるラミネートフィルム1の金属箔3側にCPPフィルムをラミネートすることで外包材を作製し、芯材となるグラスウールをこの外包材で覆い、内部を減圧することで真空断熱材を手に入れた。
【0086】
この真空断熱材の難燃性を評価したところ、第1回、第2回接炎時の合計残炎時間は30秒を越え、支持クランプまでの燃焼を確認したため、難燃グレードはV−2にも適合しないことから、真空断熱材に難燃性を付与することができなかった。これは、外包材の端部が難燃テープにより保護されていないため、接炎と同時にCPPフィルムが燃焼したことが原因である。
【0087】
(比較例5)
実施例2よりなるラミネートフィルム1の金属箔3側にCPPフィルムをラミネートすることで外包材を作製し、芯材となるグラスウールをこの外包材で覆い、内部を減圧することで真空断熱材を手に入れた。
【0088】
この真空断熱材の難燃性を評価したところ、第1回、第2回接炎時の合計残炎時間は30秒を越え、支持クランプまでの燃焼を確認したため、難燃グレードはV−2にも適合しないことから、真空断熱材に難燃性を付与することができなかった。これは、外包材の端部が難燃テープにより保護されていないため、接炎と同時にCPPフィルムが燃焼したことが原因である。
【0089】
(比較例6)
実施例3よりなるラミネートフィルム1の金属箔3側にCPPフィルムをラミネートすることで外包材を作製し、芯材となるグラスウールをこの外包材で覆い、内部を減圧することで真空断熱材を手に入れた。
【0090】
この真空断熱材の難燃性を評価したところ、第1回、第2回接炎時の合計残炎時間は30秒を越え、支持クランプまでの燃焼を確認したため、難燃グレードはV−2にも適合しないことから、真空断熱材に難燃性を付与することができなかった。これは、外包材の端部が難燃テープにより保護されていないため、接炎によりCPPフィルムが燃焼したことが原因である。
【0091】
以上のように構成された真空断熱材において、難燃性について確認した結果(実施例4〜6および比較例4〜6)を(表2)に示す。(表2)の結果から、ラミネートフィルムの表面に位置する第一の樹脂フィルムの限界酸素指数値を26以上とし、かつ、金属箔からラミネートフィルムの表面まで積層された複数の樹脂フィルムのそれぞれの限界酸素指数値と厚みの積を合計したものを、前記金属箔から前記表面まで積層された複数の前記樹脂フィルムのそれぞれの厚みの和で割った値が、26以上のラミネートフィルムを、第一の樹脂フィルムが最外層となるように外包材として用い、外包材の端部を難燃テープで保護することにより、真空断熱材に難燃性が付与されることが確認できた。
【0092】
【表2】

(実施の形態3)
本発明の実施例4と同一の外包材7を用い、芯材6の種類を変更したときの真空断熱材5の断熱効果を確認した結果を、実施例7および実施例8に示し、比較例を比較例7および比較例8に示す。
【0093】
また、性能評価は、真空断熱材5の初期熱伝導率および、120℃の恒温炉にて30日間エージングを行った後の熱伝導率にて行った。なお、熱伝導率の測定は、英弘精機社製Auto−Λを用い、平均温度24℃の条件で行った。評価の基準は、エージング後の熱伝導率が初期熱伝導率の130%以内であれば芯材に優位性があると判断した。
【0094】
(実施例7)
乾式シリカ(日本アエロジル社製 アエロジル300 平均粒径:7nm)よりなる酸化珪素化合物と、カーボンブラック(東海カーボン社製 トーカブラック#7100F 平均粒径:42nm)よりなる導電性粉体を重量比が95:5となるよう混合したものを、ポリエチレンテレフタレートとポリプロピレンよりなる不織布袋に充填することで真空断熱材5の芯材6を作製した。
【0095】
この芯材6を実施例4で用いた外包材7で覆い、内部を減圧することで真空断熱材5を作製したところ、初期熱伝導率は0.0036W/mKであった。この真空断熱材5を120℃の恒温炉にて30日間エージングしたのち、再び熱伝導率を測定したところ、0.0042W/mKであり、初期熱伝導率の116%であったため、芯材6の優位性が確認できた。
【0096】
(実施例8)
湿式シリカ(トクヤマ社製 トクシールNP)よりなる酸化珪素化合物を、ポリエチレンテレフタレートとポリプロピレンよりなる不織布袋に充填することで真空断熱材5の芯材6を作製した。この芯材6を実施例4で用いた外包材7で覆い、内部を減圧することで真空断熱材5を作製したところ、初期熱伝導率は0.0080W/mKであった。この真空断熱材5を120℃の恒温炉にて30日間エージングしたのち、再び熱伝導率を測定したところ、0.0094W/mKであり、初期熱伝導率の118%であったため、芯材6の優位性が確認できた。
【0097】
(比較例7)
実施例4で作製した真空断熱材5の熱伝導率を測定したところ、初期熱伝導率は0.0024W/mKであった。この真空断熱材5を120℃の恒温炉にて30日間エージングしたのち、再び熱伝導率を測定したところ、0.0047W/mKであり、初期熱伝導率の167%であったため、芯材6の優位性が確認できなかった。
【0098】
(比較例8)
連通ウレタンフォームからなる芯材を実施例4で用いた外包材7で覆い、内部を減圧することで真空断熱材を作製したところ、初期熱伝導率は0.0069W/mKであった。この真空断熱材を120℃の恒温炉にて30日間エージングしたのち、再び熱伝導率を測定したところ、0.0102W/mKであり、初期熱伝導率の148%であったため、芯材の優位性が確認できなかった。
【0099】
以上のように構成された真空断熱材において、難燃性について確認した結果(実施例7および実施例8、比較例7および比較例8)を(表3)に示す。(表3)の結果から、芯材に無機粉体を用いることにより、真空断熱材の内圧上昇に伴う断熱性能の劣化が小さくなることが確認できた。
【0100】
【表3】

(実施の形態4)
図5は本発明の実施の形態4における電子写真装置の模式図である。図5に示されるように定着装置10を有する電子写真装置11における記録紙12への印刷は、感光ドラム13の表面に静電荷画像を形成し、そこにトナー収容部14からトナーを吸着させた後、転写ドラム15を介して記録紙12に転写する。
【0101】
このトナー像が転写された記録紙12を定着装置10に搬入し、高温に保たれた熱定着ローラー16と加圧ローラー17の間に記録紙12を通過させることによりトナーを溶融定着させる。
【0102】
熱定着ローラー16と加圧ローラー17の周囲は、所定の高い温度を保つために、熱定着ローラー16と加圧ローラー17を囲むように真空断熱材5を配設した。
【0103】
これにより、熱定着ローラー16から発する熱を真空断熱材5により断熱することで、熱定着ローラー16の保温が可能となる。また、熱に弱い制御装置(図示せず)や、トナー収容部14及び感光ドラム13等の転写装置を、トナーに悪影響が及ばない45℃以下に長期間維持することができる。
【0104】
(実施の形態5)
図6は本発明の実施の形態5における画像投影装置の模式図である。図6に示すように画像投影装置18は、光源19と、ダイクロイックミラー20と、液晶パネル21と、ダイクロイックプリズム22と、ファン23と、電源部24と、電子基板25と、投影レンズ26と、筐体27とから構成されている。
【0105】
画像投影装置18の投影原理は、光源19からの光がダイクロイックミラー20で赤色光、緑色光、青色光の三原色に分離される。光はそれぞれ液晶パネル21を透過し、ダイクロイックプリズム22で再合成された後、投影レンズ26を介して画像がスクリーン上に拡大投影されるものである。
【0106】
画像投影装置18の光源19は、120℃程度に上昇することで、筐体温度が40℃以上となるため、光源19と筐体27の間に真空断熱材5を配設した。
【0107】
これにより、光源19から発生する熱を真空断熱材5で断熱することで、筐体温度を40℃以下に抑え、低温火傷を防止することが可能となる。
【0108】
(実施の形態6)
図7は本発明の実施の形態6における電気湯沸し器の模式図である。図7において、電気湯沸し器28は本体の内部に湯を沸かすとともに貯湯する貯湯容器29を有し、上部を開閉可能な上蓋30で覆っている。
【0109】
貯湯容器29の底面には、ドーナツ状のヒーター31が密接して装着されており、湯温は、制御装置32が温度検知器33からの信号を取り込み、ヒーター31を制御して所定の温度を保つ。また、同じく底面に設けた吸込口34からモーター35により駆動されるポンプ36を経て、お湯の出口である吐出口37までが出湯管38により連通しており、出湯は押しボタン39を押してモーター30を起動することにより行う。
【0110】
更に、貯湯容器29の側面と、底面のヒーター31の外側にはそれぞれ、真空断熱材5が配設されており、貯湯容器29の熱が逃げて湯温が低下することを抑えている。
【0111】
従来から難燃性、電気絶縁性が必須となるために断熱材を配設できなかったヒーター周りを断熱することにより、約7%の消費電力量の低減が図れ、その性能を長期間維持することができた。また、本体底面においても空間を設けて断熱する必要がなくなり、貯湯容器より下部の容積を小さくすることができ、給湯装置を小型化することができた。
【産業上の利用可能性】
【0112】
以上のように、本発明のラミネートフィルムは、樹脂フィルムに難燃剤を添加することなく、また、ラミネートフィルムの大幅な厚み増加を招くことなく、ラミネートフィルムの難燃化を達成することができ、本発明のラミネートフィルムを外包材に用いた真空断熱材は、難燃性の必要な箇所に取り付けることにより、有効な断熱効果が得られる。真空断熱材の取り付け箇所の例としては、恒温槽や半導体製造装置等の産業用設備や、コンピューターやプリンター、複写機、プロジェクター等の情報機器、ジャーポットや炊飯器、電子レンジ、給湯器等の調理家電、壁紙や包装材料等の生活素材など、あらゆるケースが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の実施の形態1におけるラミネートフィルムの断面図
【図2】本発明の実施の形態1におけるラミネートフィルムの燃焼試験サンプルを表す模式図
【図3】本発明の実施の形態2における真空断熱材の断面図
【図4】本発明の実施の形態2における真空断熱材の外包材の断面図
【図5】本発明の実施の形態4における電子写真装置の模式図
【図6】本発明の実施の形態5における画像投影装置の模式図
【図7】本発明の実施の形態6における電気湯沸し器の模式図
【符号の説明】
【0114】
1 ラミネートフィルム
2 第一の樹脂フィルム
3 金属箔
4 第二の樹脂フィルム
5 真空断熱材
6 芯材
7 外包材
8 難燃テープ
10 定着装置
11 電子写真装置
16 熱定着ローラー
18 画像投影装置
19 光源
27 筺体
28 電気湯沸し器
29 貯湯容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の樹脂フィルムと金属箔とを積層したラミネートフィルムにおいて、前記金属箔から前記ラミネートフィルムの表面まで少なくとも2層以上の樹脂フィルムが積層され、かつ、前記表面に位置する第一の樹脂フィルムは、限界酸素指数値が26以上であり、前記第一の樹脂フィルムが燃焼した場合に、前記第一の樹脂フィルムが炭化物を形成し、前記第一の樹脂フィルムと金属箔に挟まれた樹脂フィルムの熱分解を抑えることにより、前記第一の樹脂フィルムと金属箔に挟まれた樹脂フィルムの燃焼反応を抑制することを特徴とするラミネートフィルム。
【請求項2】
金属箔からラミネートフィルムの表面まで積層された複数の樹脂フィルムのそれぞれの限界酸素指数値と厚みの積を合計したものを、前記金属箔から前記表面まで積層された複数の前記樹脂フィルムのそれぞれの厚みの和で割った値が、26以上であることを特徴とする請求項1に記載のラミネートフィルム。
【請求項3】
第一の樹脂フィルムが、フッ素樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1または2に記載のラミネートフィルム。
【請求項4】
少なくとも芯材と前記芯材を覆うガスバリア性の外包材とから構成され、前記外包材の内部を減圧してなり、少なくとも熱源と対向する前記外包材が、請求項1から3のいずれか一項に記載のラミネートフィルムを第一の樹脂フィルムが最外層となるように含むことを特徴とする真空断熱材。
【請求項5】
外包材の端部が、難燃テープにより保護されていることを特徴とする請求項4に記載の真空断熱材。
【請求項6】
芯材が、少なくとも無機粉体を含むことを特徴とする請求項4または5に記載の真空断熱材。
【請求項7】
請求項4から6のいずれか一項に記載の真空断熱材を、熱源を覆うように配設したことを特徴とする電子写真装置。
【請求項8】
請求項4から6のいずれか一項に記載の真空断熱材を、熱源もしくは筐体に配設したことを特徴とする画像投影装置。
【請求項9】
請求項4から6のいずれか一項に記載の真空断熱材を、貯湯容器の外周を覆うように配設したことを特徴とする電気湯沸し器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−137012(P2006−137012A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−326113(P2004−326113)
【出願日】平成16年11月10日(2004.11.10)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成15年度新エネルギー・産業技術総合開発機構「高性能、高機能真空断熱材」に関する委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】