説明

ラミネート型エネルギーデバイスおよびその製造方法

【課題】小型化と共に、コストの低廉化が可能なラミネート型エネルギーデバイスおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】正負極の活物質電極10,12に、電解液とイオンが通過するセパレータ30を介在させながら、正負極の引き出し電極32a,32bが露出するように、かつ正電極と負電極とが交互になるように積層した少なくとも2層以上の積層体を有する複数の単セルC1,C2と、単セルC1,C2同士を重ね合わせると共に、単セルC1,C2間に介在される仕切用ラミネートシート40cと、接続された単セルC1,C2の全体を封止する外装用ラミネートシート40と、外装用ラミネートシート40と仕切用ラミネートシート40cとの間に注入された電解液44とを備え、引き出し電極32a,32bを介して電気的に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラミネート型エネルギーデバイスおよびその製造方法に関し、特に小型化と共に、コストの低廉化可能なラミネート型エネルギーデバイスおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ラミネート型エネルギーデバイスとしては、ラミネート型の電気二重層キャパシタなどが知られている。例えば、ラミネート型のエネルギーデバイスは、電極とセパレータとを積層し電解液を含浸させてなる積層体と、積層体を内部に封止するラミネートシート(アルミニウムラミネートパッケージ)と、積層体を外部と電気的に接続可能とするために積層体からラミネートシートの外部に引き出されるタブ電極とを有している。
【0003】
電気二重層キャパシタに関する技術は種々提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−338848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電気二重層キャパシタは、耐電圧が低く、充電可能な電圧も低い。このため、高電圧が必要な場合には、複数の電気二重層キャパシタを直列接続する。
【0006】
ここで、従来のラミネートパッケージされた電気二重層キャパシタを重ねて、タブ電極を溶接するなどして直列接続した場合には、ラミネートパッケージの間に隙間が生ずるなどして、全体の体積が増加する。
【0007】
また、ラミネートパッケージされた各電気二重層キャパシタは、タブ電極が各引き出し電極(金属箔)に接合されている。ラミネートパッケージされた電気二重層キャパシタ等に用いられるタブ電極は、Niメッキを施したCuや、Al、Ni等で構成され、構成部材の中では比較的高価であり、電気二重層キャパシタの直列数が増えると、全体のコストに影響する。
【0008】
本発明の目的は、小型化と共に、コストの低廉化が可能なラミネート型エネルギーデバイスおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明の一態様によれば、正負極の活物質電極に、電解液とイオンが通過するセパレータを介在させながら、正負極の引き出し電極が露出するように、かつ正電極と負電極とが交互になるように積層した少なくとも2層以上の積層体を有する複数の単セルと、前記単セル同士を重ね合わせると共に、前記単セル間に介在される仕切用ラミネートシートと、接続された前記単セルの全体を封止する外装用ラミネートシートと、前記外装用ラミネートシートと前記仕切用ラミネートシートとの間に注入された電解液とを備え、前記引き出し電極を介して電気的に接続されるラミネート型エネルギーデバイスが提供される。
【0010】
本発明の他の態様によれば、正負極の活物質電極に、電解液とイオンが通過するセパレータを介在させながら、正負極の引き出し電極が露出するように、かつ正電極と負電極とが交互になるように積層した少なくとも2層以上の積層体を備える複数の単セルを重ね合わせる工程と、前記引き出し電極を溶接して、前記複数の単セルを並列接続または直列接続とする工程と、接続された前記引き出し電極および両端側の前記引き出し電極に、タブ電極を溶接する工程と、前記タブ電極の単セル側の端部に、熱可塑性樹脂から成る封止部を設ける工程と、前記各単セルの間に、前記封止部が収まる切込部が形成された仕切用ラミネートシートを挟み込む工程と、外装用ラミネートシートによって、接続された前記単セルを覆う工程と、一部に開口部を形成した状態で、前記外装用ラミネートシートの縁部を融着する工程と、前記開口部を介して、前記外装用ラミネートシートと前記仕切用ラミネートシートとの間に電解液を注入する工程と、前記開口部を融着して封止する工程とを有するラミネート型エネルギーデバイスの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、小型化と共に、コストの低廉化が可能なラミネート型エネルギーデバイスおよびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態により作製された、図8に示すラミネート型エネルギーデバイスを実装したモジュール基板を例示する模式的鳥瞰構造図。
【図2】(a)第1の実施形態に係るエネルギーデバイスを示す模式的鳥瞰構造図、(b)第1の実施形態に係るエネルギーデバイスを実装したモジュール基板例を示す模式的鳥瞰構造図。
【図3】第1の実施形態により作製されるラミネート型エネルギーデバイスにおける電極とセパレータとを積層した積層体を例示する上面図。
【図4】第1の実施形態において(a)図3に示した積層体で用いる封止部付きタブ電極(加工前)を例示する上面図、(b)図3に示した積層体で用いる封止部付きタブ電極(加工後)を例示する上面図。
【図5】(a)第1の実施形態において、図3の積層体のアルミニウム引き出し電極に、図4(b)に示した封止部付きタブ電極を接合したエネルギーデバイスを例示する上面図、(b)コンタクトホール(接合孔)を有しない封止部付きタブ電極を接合したエネルギーデバイスを例示する上面図。
【図6】(a)第1の実施形態において、図3の積層体のI−I線に沿った模式的断面構造図、(b)正負極3枚対の積層体のI−I線に沿った模式的断面構造図。
【図7】第1の実施形態において、図3の積層体のII−II線に沿った模式的断面構造図。
【図8】(a)第1の実施形態において、1つのラミネート型エネルギーデバイスとして完成させた様子を例示する図(コンタクトホール(接合孔)を有する場合)、(b)第1の実施形態において、1つのラミネート型エネルギーデバイスとして完成させた様子を例示する図(コンタクトホール(接合孔)を有しない場合)。
【図9】第1の実施形態において、ラミネート型エネルギーデバイスに設けたタブ電極取り出し用ホールの位置のバリエーション例であって、(a)タブ電極取り出し用ホールを対角線上のコーナー部に設けた例、(b)タブ電極取り出し用ホールをコーナー部に近接して設けた例、(c)タブ電極取り出し用ホールを対向する辺部に設けた例。
【図10】第1の実施形態において、図9に示したタブ電極取り出し用ホールの位置に合わせて、タブ電極を配置したラミネート型エネルギーデバイスのバリエーション例であって、(a)タブ電極取り出し用ホールを対角線上のコーナー部に設けた例、(b)タブ電極取り出し用ホールを対角線上のコーナー部に設けた別の例、(c)タブ電極取り出し用ホールを対向する辺部に設けた例、(d)タブ電極取り出し用ホールを対向する辺部に設けた別の例。
【図11】比較例としてのラミネート型エネルギーデバイスであって、(a)ラミネート型エネルギーデバイスの単体を例示する図、(b)別のラミネート型エネルギーデバイスの単体を例示する図、(c)ラミネート型エネルギーデバイスの単体を重ね合わせて並列接続する状態を示す図。
【図12】比較例としてのラミネート型エネルギーデバイスであって、(a)正負極を左寄りに形成したラミネート型エネルギーデバイスの単体を例示する図、(b)正負極を右寄りに形成したラミネート型エネルギーデバイスの単体を例示する図。
【図13】比較例としてのラミネート型エネルギーデバイスの単体を重ね合わせて直列接続する状態を示す図。
【図14】第1の実施形態に係るラミネート型エネルギーデバイスの製造工程の一工程であって、2つの単セルを仕切用ラミネートシートを介して対向させた状態を示す図。
【図15】仕切用ラミネートシートの構成例であって、(a)切込部を有する仕切用ラミネートシートの平面図、(b)図15(a)のVII−VII線に沿う模式的断面構造図、(c)図15(a)のVIII−VIII線に沿う模式的断面構造図。
【図16】第1の実施形態に係るラミネート型エネルギーデバイスの製造工程の一工程であって、(a)2つの単セルを仕切用ラミネートシートを介して重ね合わせた状態を示す正面図、(b)2つの単セルを仕切用ラミネートシートを介して重ね合わせた状態を示す上面図。
【図17】単セルが仕切用ラミネートシートを介して重ね合わされた構成の図16のIV−IV線に沿う模式的断面構造図。
【図18】単セルが仕切用ラミネートシートを介して重ね合わされた構成の図16のV−V線に沿う模式的断面構造図。
【図19】単セルが仕切用ラミネートシートを介して重ね合わされた構成の図16のVI−VI線に沿う模式的断面構造図。
【図20】単セルが仕切用ラミネートシートを介して重ね合わされた状態を示す図であって、(a)正極と負極が溶接されて接合された状態を示す正面図、(b)その模式的鳥瞰構造図。
【図21】第1の実施形態に係るラミネート型エネルギーデバイスにおいて、単セルを3個直列接続した構成図。
【図22】第1の実施形態に係るラミネート型エネルギーデバイスにおいて、単セルを4個直列接続した構成図。
【図23】第1の実施形態に係るラミネート型エネルギーデバイスの製造工程の一工程であって、外装用ラミネートシートで、2個直列接続された単セルの全体を覆った状態を示す模式的鳥瞰構造図。
【図24】第1の実施形態に係るラミネート型エネルギーデバイスの製造工程の一工程であって、一部に開口部を形成した状態で、外装用ラミネートシートの縁部を融着した状態を示す概略図。
【図25】第1の実施形態に係るラミネート型エネルギーデバイスの製造工程の一工程であって、(a)開口部を介して、外装用ラミネートシートと仕切用ラミネートシートとの間に電解液を注入する状態を示す模式的鳥瞰構造図、(b)2つ形成された各開口部から電解液44を注入する状態を示す模式的鳥瞰構造図。
【図26】第1の実施形態に係るラミネート型エネルギーデバイスの製造工程の一工程であって、開口部が存在する側の縁部を融着した状態を示す概略図。
【図27】第1の実施形態に係るラミネート型エネルギーデバイスを応用したLEDフラッシュの発光回路の構成例を示す回路図。
【図28】第2の実施形態に係るラミネート型エネルギーデバイスであって、(a)ラミネート型エネルギーデバイスの単体を例示する図、(b)別のラミネート型エネルギーデバイスの単体を例示する図、(c)図28(a)と図28(b)に示されたラミネート型エネルギーデバイスの単体を重ね合わせて並列接続する状態を示す図、(d)並列接続されたラミネート型エネルギーデバイスにタブ電極を接合した状態を示す図、(e)タブ電極取り出し用孔を設けない構成を示す図。
【図29】第2の実施形態に係るラミネート型エネルギーデバイスにおいて、並列接続されたラミネート型エネルギーデバイスの単セルの間に仕切用ラミネートシートを挟んだ状態を示す模式的鳥瞰構造図。
【図30】電気二重層キャパシタ内部電極を例示する正面図。
【図31】リチウムイオンキャパシタ内部電極を例示する正面図。
【図32】リチウムイオン電池内部電極を例示する正面図。
【図33】引き出し電極32と、タブ電極とを溶接により接合する状態を示す説明図。
【図34】(a)仕切用ラミネートシートに切込部を設ける場合の構成を示す模式的断面図、(b)仕切用ラミネートシートに切込部を設けない場合の構成を示す模式的断面図。
【図35】封止部の外部で引き出し電極を溶接して接合した状態を示す模式的断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、図面を参照して、実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0014】
又、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施の形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0015】
[実施の形態]
[第1の実施の形態]
(ラミネート型エネルギーデバイスの基本構造)
図1〜図10を参照して、第1の実施の形態に係るラミネート型エネルギーデバイスに適用される基本構造について説明する。
【0016】
ラミネート型エネルギーデバイス18は、例えば図6、図7に示すように、正負極の引き出し電極32a,32bが露出するように、かつ正電極と負電極とが交互になるように積層した少なくとも2層以上の積層体80とを備え、積層体80は、ラミネートシートを積層体80の前面及び後面から重ねて圧縮封止している。
【0017】
ラミネート型エネルギーデバイス18は、図1に例示するように、モジュール基板100にラミネート型エネルギーデバイス18をスポット接合するためのコンタクトホール(接合孔)20a,20bを備えている。ラミネート型エネルギーデバイス18は、例えば、基本モジュールとして用いられプリント基板に実装されるものを想定しており、一般にモジュール基板100には、ラミネート型エネルギーデバイス18以外にも、例えば、ICチップ160,170、トランス120、その他デバイス部品140などが多数搭載されている。従って、ラミネート型エネルギーデバイス18内に、コンタクトホール20a,20bを備えることにより、限られたスペースでのラミネート型エネルギーデバイス18の搭載に寄与する。また、モジュール実装時に、コンタクトホール(接合孔)20a,20bでのスポット接合を実現しているので、ラミネート型エネルギーデバイス18内部の積層体80に含浸させた電解液への熱負荷を抑え、コイル成分の寄与も小さくなり、高周波特性が良好になる。
【0018】
具体的には、図3〜図7に例示するように、アルミニウムで構成される引き出し電極32a,32bに用いるAl、Ni、NiめっきしたCu等で構成されるタブ電極34(34a,34b)の封止部(シーラント)36の両面の一部をタブ電極34(34a,34b)のアルミニウム材等が露出するまで削ってタブ電極取り出し用孔20a,20bを形成し、アルミニウムラミネートについてもタブ電極取り出し用孔20a,20bと同じ位置に合わせて孔を予め空けておく。内部電極の積層体80を封止する際には、ラミネートシートを積層体80の前面及び後面からタブ電極取り出し用孔20a,20bと孔との位置を合わせて圧縮し封止する。なお、タブ電極取り出し用孔20a,20b及び孔は、円形の孔である必要はなく、所望の形状の孔を採用することもできる。
【0019】
また、図1等に示すタブ電極取り出し用孔20a,20bは必須の構成ではなく、図3〜図7に示す構成において、タブ電極取り出し用孔20a,20bを設けない構成としても良い。即ち、図5(a)に示すように、タブ電極取り出し用孔20a,20bを設ける場合と、図5(b)に示すように、タブ電極取り出し用孔を設けない場合とがある。タブ電極取り出し用孔を設けない場合には、タブ電極取り出し用孔20a,20bを介した組み込みに代えて、タブ電極34(34a,34b)を介して各種機器への組み込みを行う。
【0020】
ラミネート型エネルギーデバイス18における内部電極構造体(例えば蓄電素子)は、図6、図7に例示するように、少なくとも2層以上の活物質電極10,12に、電解液とイオンが通過するセパレータ30を介在させながら、引き出し電極32(32a,32b)が露出するように、かつ正電極10と負電極12とが交互になるように積層した多層構造の積層体80で構成される。
【0021】
図6(a)、図7および図33に示すように、引き出し電極32(32a,32b)の上側の端部100bは、タブ電極34a,34bの端部100aと溶接されている。なお、符号37aは溶接部を示す。
【0022】
また、図6(b)は、正負極3枚対の場合の構成例を示す。なお、最も外側の活物質電極10,12はセパレータ30を挟んでペアにはなっていないため容量には影響しない。また、最も外側のセパレータ30は省略することも可能であるが、セパレータ自体を袋状にして覆う場合には必要となる。また、図6(b)において図示は省略されているが、正負極3枚対において、活物質電極10,12、引き出し電極32a,32bに対しては、それぞれ共通に電極配線が施されている。
【0023】
セパレータ30は、図6、図7に例示するように、活物質電極10,12全体を覆うように、活物質電極10,12よりも大きいもの(面積の広いもの)を用いる。
【0024】
セパレータ30は、エネルギーデバイスの種類には原理的に依存しないが、特にリフロー対応が必要とされる場合には、耐熱性が要求される。耐熱性が必要ない場合にはポリプロピレン等を、耐熱性が必要な場合にはセルロース系のものを用いることができる。
【0025】
また、外装用ラミネートシート40を前面及び後面から再度圧縮して、タブ電極34a,34bのアルミニウム切断端面が絶縁される。このとき、圧縮され広がった封止部(シーラント)36a,36bにより、切断されたタブ電極34a,34bの先端が覆われて(熱圧縮されて封止部36a,36bの材質が溶けて広がった封止部52a,52bにより、タブ電極34a,34bの切断端面がまとわりつくように覆われて)保護されて、絶縁される(図8(a)参照)。
【0026】
なお、タブ電極取り出し用孔20a,20bを設けない場合には、図8(b)に示すような状態となる。
【0027】
図9は、ラミネート型エネルギーデバイス18に設けたタブ電極取り出し用孔20(20a,20b)の位置取りのバリエーションを例示しており、図10は、図9に示したタブ電極取り出し用孔20(20a,20b)の位置に合わせて、タブ電極34a,34bを配置したラミネート型エネルギーデバイス18のバリエーションを例示する図であって、図10(a)及び(b)は、図9(a)に対応し、図10(c)及び(d)は、図9(c)に対応する。
【0028】
(比較例)
図11〜図13を参照して、比較例に係るラミネート型エネルギーデバイスの構成例について説明する。
【0029】
まず、図11を参照して、ラミネート型エネルギーデバイスを並列接続する場合の比較例について述べる。
【0030】
図11(a)、(b)には、比較例に係るラミネート型エネルギーデバイスの単体が例示される。
【0031】
ラミネート型エネルギーデバイスの単体は、前出の図5に示されるような構成のエネルギーデバイスを外装用ラミネートシート40によって封止した構成となっている。
【0032】
そして、2つのラミネート型エネルギーデバイスを並列接続する場合には、図11(c)に示すように、ラミネート型エネルギーデバイスを重ね合わせ、正極側のタブ電極34a同士、負極側のタブ電極34b同士が、タブ電極取り出し用孔20(20a,20b)で溶接されて接合される。
【0033】
また、タブ電極取り出し用孔20a,20bは必須の構成ではなく、タブ電極取り出し用孔20a,20bを設けない構成としても良い。その場合には、タブ電極取り出し用孔20a,20bを介した溶接に代えて、タブ電極34(34a,34b)を溶接して接合を行う。
【0034】
2つのラミネート型エネルギーデバイスを並列接続した場合には、それぞれのラミネート型エネルギーデバイスの単体がラミネートパッケージされているために、ラミネートパッケージの間に隙間が生ずるなどして、全体の体積が増加してしまう。
【0035】
また、ラミネートパッケージされた各ラミネート型エネルギーデバイスのそれぞれが、タブ電極34a,34bを備えている。タブ電極は、Niメッキを施したCuや、Al、Ni等で構成され、ラミネート型エネルギーデバイスの接続数が増えると、全体のコストに影響する。
【0036】
次に、図12および図13を参照して、ラミネート型エネルギーデバイスを直列接続する場合の比較例について述べる。
【0037】
図12(a)は正極側のタブ電極34aを負極側のタブ電極34bよりも左寄りに形成したラミネート型エネルギーデバイスの単体を例示し、図12(b)は負極側のタブ電極34bを正極側のタブ電極34aよりも右寄りに形成したラミネート型エネルギーデバイスの単体を例示する。
【0038】
ラミネート型エネルギーデバイスの単体は、図5に示されるような構成のエネルギーデバイスを外装用ラミネートシート40によって封止した構成となっている。
【0039】
そして、2つのラミネート型エネルギーデバイスを直列接続する場合には、図13に示すように、ラミネート型エネルギーデバイスを重ね合わせ、略中央で対向する正極側のタブ電極34aと負極側のタブ電極34bとが、タブ電極取り出し用孔20(20a,20b)の位置で溶接されて接合される。
【0040】
なお、タブ電極取り出し用孔20を設けない場合には、外装用ラミネートシート40の外部でタブ電極34aと34bを溶接する。
【0041】
このようにして2つのラミネート型エネルギーデバイスを直列接続した場合には、それぞれのラミネート型エネルギーデバイスの単体がそれぞれラミネートパッケージされているために、ラミネートパッケージの間に隙間が生ずるなどして、全体の体積が増加する。
【0042】
また、ラミネートパッケージされた各ラミネート型エネルギーデバイスのそれぞれが、タブ電極34a,34bを備えているため高コストである。
【0043】
第1の実施の形態に係るラミネート型エネルギーデバイスは、図14〜図26に示すように、正負極の活物質電極10,12に、電解液とイオンが通過するセパレータ30を介在させながら、正負極の引き出し電極32a・32bが露出するように、かつ正電極と負電極とが交互になるように積層した少なくとも2層以上の積層体80を有する複数の単セルC1、C2と、単セルC1、C2同士を重ね合わせると共に、単セルC1、C2間に介在される仕切用ラミネートシート40cと、接続された単セルC1、C2の全体を封止する外装用ラミネートシート40と、外装用ラミネートシート40と仕切用ラミネートシート40cとの間に注入された電解液44とを備え、引き出し電極32a・32bを介して電気的に接続される。
【0044】
各単セルC1、C2の引き出し電極32a・32bは、互いの正極と負極が接続されて複数の単セルC1、C2の全体が直列接続されている。
【0045】
接続は、引き出し電極32a・32bの露出部の溶接によって行われる。
【0046】
2つの単セルC1、C2同士を重ね合わせる際に、一方の正極と、他方の負極とが対向するように配置する。
【0047】
接続された引き出し電極32a・32bおよび両端側の前記引き出し電極32a・32bには、タブ電極およびタブ電極34a・34bが接合される。
【0048】
タブ電極の数は、直列接続される単セルの数に1を加えた総数となる。
【0049】
仕切用ラミネートシート40cは、金属箔42を2枚の熱可塑性樹脂のフィルム43で挟んだ構成を有する。
【0050】
タブ電極34cおよびタブ電極34a・34bの単セルC1、C2側の端部には、熱可塑性樹脂から成る封止部36bおよび封止部36a・36bが設けられ、仕切用ラミネートシート40cの縁部には、封止部36a・36bが収まる切込部40dが形成されている。
【0051】
切込部40dは、熱可塑性樹脂のフィルム43の溶融によって、端部から金属箔42が露出しないように封止される。
【0052】
仕切用ラミネートシート40cの数は、接続される単セルC1、C2の数から1減算した総数となる。
【0053】
引き出し電極32a・32bとタブ電極34a・34bとは、封止部36a・36b内で接合され、外装用ラミネートシート40を圧縮封止する際に、同時に圧縮され広がった封止部52a・52bにより、タブ電極34a・34bの端部が覆われて絶縁される。
【0054】
外装用ラミネートシート40は、熱可塑性樹脂のフィルムと高融点樹脂のフィルムとによって、金属箔を挟んだ構成を有し、高融点樹脂のフィルム側が外側となるようにして、接続された単セルC1、C2を覆う。
【0055】
(製造方法)
図14〜図26を参照して、第1の実施の形態に係るラミネート型エネルギーデバイスの製造方法について説明する。
【0056】
第1の実施の形態に係るラミネート型エネルギーデバイスの製造方法は、図14〜図26に示すように、正負極の活物質電極10,12に、電解液とイオンが通過するセパレータ30を介在させながら、正負極の引き出し電極32a,32bが露出するように、かつ正電極と負電極とが交互になるように積層した少なくとも2層以上の積層体80を備える複数の単セルC1,C2を重ね合わせる工程と、引き出し電極32a,32bを溶接して、複数の単セルC1,C2を直列接続とする工程と、接続された引き出し電極32a,32bおよび両端側の引き出し電極32a,32bに、タブ電極34cおよびタブ電極34a,34bを溶接する工程と、タブ電極34cおよびタブ電極34a,34bの単セルC1,C2側の端部に、熱可塑性樹脂から成る封止部36a,36bを設ける工程と、各単セルC1,C2の間に、封止部36a,36bが収まる切込部40dが形成された仕切用ラミネートシート40cを挟み込む工程と、外装用ラミネートシート40によって、接続された単セルC1,C2を覆う工程と、一部に開口部40eを形成した状態で、外装用ラミネートシート40の縁部を融着する工程と、開口部40eを介して、外装用ラミネートシート40と仕切用ラミネートシート40cとの間に電解液44を注入する工程と、開口部40eを融着して封止する工程とを有する。
【0057】
ここで、開口部40eを融着して封止する工程は、真空中で行われても良い。
【0058】
(a)まず、図5に示すような構成を有する2つのエネルギーデバイス(以下、単セルと呼ぶ)C1、C2を用意する。この際に、一方の単セルC1は、正極側のタブ電極34aを負極側のタブ電極34bよりも左寄りに形成し、他方の単セルC2は、負極側のタブ電極34bを正極側のタブ電極34aよりも右寄りに形成する。
【0059】
(b)次に、図14に示すように、単セルC1、C2を仕切用ラミネートシート40cを介して対向させる。この際に、単セルC1の負極側のタブ電極34bと、単セルC2の正極側のタブ電極34aとが後述する仕切用ラミネートシート40cに形成される切込部40dを介して対向するように位置合わせされる。
【0060】
ここで、図15に仕切用ラミネートシート40cの構成例を示す。
【0061】
仕切用ラミネートシート40cは、図15(b)に示すように、アルミ箔や銅箔等の金属箔42を2枚の熱可塑性樹脂(ポリプロピレン等)のフィルム43で挟んだ構成を有している。
【0062】
また、図15(a)に示すように、仕切用ラミネートシート40cの上側の縁部には、単セルC1、C2のタブ電極が対向する位置に合わせて切込部40dが形成されている。
【0063】
なお、切込部40dは、専用カッター等で仕切用ラミネートシート40cの端部を切断して形成される。但し、切断したままの状態では、切断面から金属箔42が露出し、単セルC1、C2側のタブ電極34a,34bと短絡する虞があるので、切込部40dの縁部を例えば160℃程度に加熱して溶融させ、切断面の金属箔42を熱可塑性樹脂で覆って絶縁している(図15(c)参照)。
【0064】
(c)次に、図16(a)に示すように、2つの単セルC1、C2を仕切用ラミネートシート40cを介して重ね合わせ、単セルC1の負極34bと、単セルC2の正極34aとがタブ電極取り出し用孔20(20a,20b)の位置で溶接されて接合される。
【0065】
なお、タブ電極取り出し用孔20(20a,20b)を設けない構成とすることもできる。
【0066】
この場合には、単セルC1、C2が仕切用ラミネートシートを介して重ね合わされた構成の図16(a)のIV−IV線に沿う断面は図17に示すような構造となっており、図16のV−V線に沿う断面は図18に示すような構造となっており、図16のVI−VI線に沿う断面は図19に示すような構造となっている。
【0067】
また、図16(b)、図34(b)に示すように、タブ電極が対向する位置に合わせた切込部を設けない構成とすることもできる。この場合には、封止部36aと36bを熱融着し、タブ電極34aと34bは封止部36aおよび36bの外で溶接して接合する。
【0068】
即ち、図34(a)に示すように、仕切用ラミネートシート40cに切込部を設ける場合には、タブ電極34a、34bと引き出し電極32a、32bの溶接部37a、37bをまとめて溶接する。また、封止部36aと36bを熱融着する。
【0069】
一方、図34(b)に示すように、仕切用ラミネートシート40cに切込部を設けない場合には、封止部36aと、仕切用ラミネートシート40cと、36bとを対向する位置で熱融着する。また、タブ電極34aと34bは、封止部36aおよび36bの上方の何れかの位置において溶接して接合される。
【0070】
以上の工程により、単セルC1、C2が仕切用ラミネートシートを介して重ね合わされ、単セルC1の負極側のタブ電極34bと、単セルC2の正極側のタブ電極34aとが溶接によって接合された状態となる。タブ電極34a、34bの溶接法としては、例えば、超音波溶接や抵抗溶接等が適用される。
【0071】
また、溶接によって接合されたタブ電極34cについて、図16では、対向する位置に、単セルC1側のタブ電極34bと単セルC2のタブ電極34aの両方が設けられている場合について示したが、これに限らず、単セルC1側のタブ電極34bと単セルC2のタブ電極34aの一方を省略することができる。即ち、図20に示すタブ電極34cは、単セルC1側のタブ電極34bまたは単セルC2のタブ電極34aの何れか一方で構成することができる。
【0072】
ここで、第1の実施の形態に係るラミネート型エネルギーデバイスにおいて、タブ電極の数は、直列接続される単セルの数に1を加えた総数となる。即ち、図20に示す例では、直列接続される単セルの数は「2」であるから、タブ電極の数は「2+1=3」となる。同様に、例えば直列接続される単セルの数が「3」の場合にはタブ電極の数は「4」(図21参照)、単セルの数が「4」の場合にはタブ電極の数は「5」(図22参照)というようになる。
【0073】
なお、図20(a)および図20(b)に示すタブ電極取り出し用孔20a,20bは必須の構成ではなく、タブ電極取り出し用孔20a,20bを設けない構成としても良い。この場合には、図35に示すように、引き出し電極32a、32bは、封止部36cの外部で溶接される。なお、図20(a)において符号37a、37b、37cは溶接部を示す。
【0074】
一方、比較例(図13参照)では、タブ電極の数は、直列接続される単セルの数の2倍となる。即ち、直列接続される単セルの数が「2」の場合にはタブ電極の数は「4」、単セルの数が「3」の場合にはタブ電極の数は「6」、単セルの数が「4」の場合にはタブ電極の数は「8」になる。
【0075】
このように、第1の実施の形態に係るラミネート型エネルギーデバイスによれば、比較例に比べ、タブ電極の使用数を減らすことができ、コストの低廉化を図ることができる。
【0076】
また、第1の実施の形態に係るラミネート型エネルギーデバイスでは、直列数に応じた電圧を取り出すことができる。例えば、図20に示すように直列接続される単セルの数が2の場合には、34aと34cとの間で、例えば、約2.5V、34aと34bとの間で例えば、約5Vの電圧を得ることができる。また、図21に示すように直列接続される単セルの数が3の場合には、左側から順に例えば、約2.5V、例えば、約5V、例えば、約7.5Vの電圧を得ることができる。また、図22に示すように直列接続される単セルの数が4の場合には、左側から順に例えば、約2.5V、例えば、約5V、例えば、約7.5V、例えば、約10Vの電圧を得ることができる。
【0077】
なお、仕切用ラミネートシート40cの数は、接続される単セルの数から1減算した総数となる。即ち、接続される単セルの数が2の場合には仕切用ラミネートシート40cの数は1枚(図20参照)、単セルの数が3の場合には仕切用ラミネートシート40cの数は2枚(図21参照)、単セルの数が4の場合には仕切用ラミネートシート40cの数は3枚(図22参照)というようになる。
【0078】
(d)次に、図23に示すように、単セルC1、C2が仕切用ラミネートシート40cを介して重ね合わされ、単セルC1の負極側のタブ電極34bと、単セルC2の正極側のタブ電極34aとが溶接によって接合された状態で、外装用ラミネートシート40で全体を覆う。
【0079】
外装用ラミネートシート40は、熱可塑性樹脂(ポリプロピレン等)のフィルムと高融点樹脂(ナイロンやPET等)のフィルムとによって、金属箔(アルミ箔)を挟んだ構成を有している。
【0080】
外装用ラミネートシート40は、高融点樹脂のフィルム側が外側となるようにして、タブ電極34a、34c,34bが露出するように接続された単セルの全体を覆う。
【0081】
(e)次に、図24に示すように、一部に開口部40eを形成した状態で、外装用ラミネートシート40の縁部を例えば160℃程度に加熱して融着する。図24に示す例では、右側の縁部を開口部40eとし、他の縁部を融着している。
【0082】
この際に、封止部(シーラント)36も溶融されて広がり、タブ電極34cが封止され、且つ絶縁される。
【0083】
また、タブ電極34a、34bについても、仕切用ラミネートシート40cおよび外装用ラミネートシート40の縁部が溶融された際に封止、絶縁される。
【0084】
(f)次に、図25(a)に示すように、開口部40eを介して、外装用ラミネートシート40と仕切用ラミネートシート40cとの間に矢印Pのように電解液44を注入して、単セルを電解液に浸漬させる。なお、図25(b)に示すように、セルを2直列とした場合には、開口部40eは仕切用ラミネートシート40cによって2つ形成されるので、各開口部40eから電解液44を注入する。
【0085】
(g)次に、図26に示すように、開口部40eが存在する側の縁部を例えば160℃程度に加熱して融着して、ラミネート型エネルギーデバイスが完成される。
【0086】
なお、開口部40eを融着して封止する工程は、真空中で行われるようにするとよい。この場合には、封止後、大気圧に押されてセル内の密着性が向上される。
【0087】
以上のようにして製造される第1の実施の形態に係るラミネート型エネルギーデバイスは、体積を減らして小型化と共に、タブ電極の使用数を低減してコストの低廉化を図ることができる。
【0088】
(応用例)
図27は、第1の実施形態に係るラミネート型エネルギーデバイスを応用したLEDフラッシュの発光回路の構成例を示す。
【0089】
この発光回路において、キャパシタC11、C12、C13として、図21に示すような3つの単セルを直列接続したラミネート型エネルギーデバイスが適用され、V3として例えば、約2.5V、V2として例えば、約5V、V1として例えば、約7.5Vの電圧が得られるようになっている。
【0090】
また、チャージャーIC200を介して、充電用のバッテリがスイッチングトランジスタ(MOSトランジスタ)Q1、Q2、Q3に接続されている。
【0091】
また、スイッチSを介して、キャパシタC11、C12、C13の単セルを直列接続したラミネート型エネルギーデバイスと発光ダイオード(LED)および抵抗器Rsが接続されている。
【0092】
スイッチングトランジスタQ3がオンのときには、キャパシタC13がチャージャーIC200によって充電される。
【0093】
また、スイッチングトランジスタQ2がオンのときには、キャパシタC13およびC12がチャージャーIC200によって充電される。
【0094】
また、スイッチングトランジスタQ1がオンのときには、キャパシタC11、C12、C13がチャージャーIC200によって充電される。
【0095】
スイッチングトランジスタQ1・Q2・Q3がオフになり、スイッチSがオンになると、キャパシタC11・C12・C13が放電し、発光ダイオード(LED)が駆動される。
【0096】
このように、小型化と共に、コストの低廉化が可能な第1の実施形態に係るラミネート型エネルギーデバイスの特性を活かして、LEDフラッシュの発光装置の小型化、低廉化を図ることができる。
【0097】
[第2の実施の形態]
第2の実施形態に係るラミネート型エネルギーデバイスは、図28および図29に示すように、正負極の活物質電極10,12に、電解液とイオンが通過するセパレータ30を介在させながら、正負極の引き出し電極32a・32bが露出するように、かつ正電極と負電極とが交互になるように積層した少なくとも2層以上の積層体を有する複数の単セルC3,C4と、単セルC3,C4同士を重ね合わせると共に、単セルC3,C4間に介在される仕切用ラミネートシート40cと、接続された単セルC3,C4の全体を封止する外装用ラミネートシート40と、外装用ラミネートシート40と仕切用ラミネートシート40cとの間に注入された電解液44とを備え、引き出し電極32a・32bを介して電気的に接続される。
【0098】
各単セルC3,C4の引き出し電極32a・32bは、正極同士および負極同士が接続されて複数の単セルC3,C4の全体が並列接続されている。
【0099】
接続は、引き出し電極32a・32bの露出部の溶接によって行われる。
【0100】
接続された引き出し電極32a・32bには、タブ電極34a・34bが接合される。
【0101】
仕切用ラミネートシート40cは、金属箔42を2枚の熱可塑性樹脂のフィルム43で挟んだ構成を有する。
【0102】
タブ電極34a・34bの単セルC3,C4側の端部には、熱可塑性樹脂から成る封止部36a・36bが設けられ、仕切用ラミネートシート40cの縁部には、封止部36a・36bが収まる切込部40dが形成されている。
【0103】
切込部40dは、熱可塑性樹脂のフィルム43の溶融によって、端部から金属箔42が露出しないように封止される。
【0104】
仕切用ラミネートシート40cの数は、接続される単セルC3,C4側の数から1減算した総数となる。
【0105】
引き出し電極32a・32bとタブ電極34a・34bとは、封止部36a・36b内で接合され、外装用ラミネートシート40を圧縮封止する際に、同時に圧縮され広がった封止部52a・52bにより、タブ電極34a・34bの端部が覆われて絶縁される。
【0106】
外装用ラミネートシート40は、熱可塑性樹脂のフィルムと高融点樹脂のフィルムとによって、金属箔を挟んだ構成を有し、高融点樹脂のフィルム側が外側となるようにして、接続された単セルC3,C4を覆う。
【0107】
図28および図29を参照して、第2の実施形態に係るラミネート型エネルギーデバイスの製造方法について説明する。
【0108】
なお、第1の実施形態に係るラミネート型エネルギーデバイスと同一の構成については同一符号を付して重複した説明は省略する。
【0109】
ここで、第1の実施形態に係るラミネート型エネルギーデバイスと第2の実施形態に係るラミネート型エネルギーデバイスの違いは、前者が単セルを直列接続していたのに対して、後者は単セルを並列接続する点である。
【0110】
第2の実施の形態に係るラミネート型エネルギーデバイスの製造方法は、図28〜図29に示すように、正負極の活物質電極10,12,13に、電解液とイオンが通過するセパレータ30を介在させながら、正負極の引き出し電極32a,32bが露出するように、かつ正電極と負電極とが交互になるように積層した少なくとも2層以上の積層体を備える複数の単セルC3,C4を重ね合わせる工程と、引き出し電極32a,32bを溶接して、複数の単セルC3,C4を並列接続とする工程と、接続された引き出し電極32a,32bおよび両端側の引き出し電極32a,32bに、タブ電極34a,34bを溶接する工程と、タブ電極34a,34bの単セルC3,C4側の端部に、熱可塑性樹脂から成る封止部36a,36bを設ける工程と、各単セルC3,C4の間に、封止部36a,36bが収まる切込部40dが形成された仕切用ラミネートシート40cを挟み込む工程と、外装用ラミネートシート40によって、接続された単セルC3,C4を覆う工程と、一部に開口部40eを形成した状態で、外装用ラミネートシート40の縁部を融着する工程と、開口部40eを介して、外装用ラミネートシート40と仕切用ラミネートシート40cとの間に電解液44を注入する工程と、開口部40eを融着して封止する工程とを有する。
【0111】
ここで、開口部40eを融着して封止する工程は、真空中で行われても良い。
【0112】
(a)まず、図28(a)、(b)に示すように、第1の実施形態の説明で述べた図3に示すような構成の2つのエネルギーデバイス(以下、単セルと呼ぶ)C3、C4を用意する。
【0113】
(b)次に、図28(c)に示すように、単セルC3、C4について、それぞれの引き出し電極32a同士、32b同士が対向するように重ね合わせる。
【0114】
(c)次に、引き出し電極32a同士、32b同士を溶接して接合する。溶接法としては、例えば、超音波溶接や抵抗溶接等が適用される。
【0115】
(d)次に、図28(d)に示すように、接合された引き出し電極32aおよび32bに、タブ電極34a、34bを溶接して接合する。
【0116】
これにより、タブ電極の使用数を低減することができる。第2の実施形態に係るラミネート型エネルギーデバイスでは、接合された引き出し電極に対して一つずつのタブ電極を設けるだけで足りるため、タブ電極に掛かる費用を低減することができる。
【0117】
(e)次に、図28(d)の状態のデバイスをラミネートパッケージする。その手順は、第1の実施形態に係るラミネート型エネルギーデバイスにおける製造方法と同様である。
【0118】
即ち、まず図15に示すような仕切用ラミネートシートを用意する。この際に、仕切用ラミネートシートにおいて、図28(d)に示すエネルギーデバイスの封止部(シーラント)36a,36bに対応する位置に切込部を設ける。
【0119】
なお、各切込部について、縁部の熱可塑性樹脂を加熱溶融して切断面を予め絶縁しておく点も第1の実施形態に係るラミネート型エネルギーデバイスの製造方法と同様である。
【0120】
(f)次に、図29に示すように、単セルC3とC4との間に、仕切用ラミネートシート40cを挟み込む。この際に、仕切用ラミネートシート40cの各切込部40dがタブ電極34a、34bの封止部(シーラント)36a、36bに到来するように位置合わせする。
【0121】
(g)次に、タブ電極34a、34bを露出させた状態で、外装用ラミネートシート(アルミニウムラミネート)で全体を覆う(図23参照)。
【0122】
(h)次に、開口部40eを形成した状態で、外装用ラミネートシート40および仕切用ラミネートシート40cの縁部を融着し、電解液44を注入した後に、開口部40eを融着して封止することによりラミネート型エネルギーデバイスが完成される。
【0123】
このようにして製造されたラミネート型エネルギーデバイスは、タブ電極の数を減らしてコストを低廉化可能であるのに加えて、小型化を図ることができる。
【0124】
なお、図28(d)におけるタブ電極取り出し用孔20a,20bは必須の構成ではなく、図28(e)に示すように、タブ電極取り出し用孔を設けない構成としても良い。
【0125】
また、図29において、符号37ca、37cbは溶接部を示す。具体的には、例えば図35に示すように、引き出し電極32aおよび32bの端部とタブ電極34cの端部とが溶接される。図35において符号37cは溶接部を示す。
【0126】
第2の実施の形態に係るラミネート型エネルギーデバイスでは、単セルを接合した後に一枚の外装用ラミネートシートでパッケージしているため、体積を減らすことができ、デバイスの小型化を図ることができる。
【0127】
なお、開口部を融着して封止する工程を真空中で行った場合には、封止後、大気圧に押されてセル内の密着性が向上される。
【0128】
また、並列接続する単セルの数は2個の場合に限られず、3個以上の単セルを並列接続する場合にも適用することができる。
【0129】
(電気二重層キャパシタ)
例えば、電気二重層キャパシタにおいて、第1の実施の形態または第2の実施の形態に係る構成や製造方法を適用して、タブ電極の使用数を低減してコストの低廉化やキャパシタの小型化を図ることができる。
【0130】
図30は、電気二重層キャパシタ内部電極の基本構造を例示している。電気二重層キャパシタ内部電極は、少なくとも1層の活物質電極10,12に、電解液とイオンが通過するセパレータ30を介在させ、引き出し電極32a,32bが活物質電極10,12から露出するように構成され、引き出し電極32a,32bは電源電圧に接続されている。引き出し電極32a,32bは、例えば、アルミ箔から形成され、活物質電極10,12は、例えば、活性炭から形成される。セパレータ30は、活物質電極10,12全体を覆うように、活物質電極10,12よりも大きいもの(面積の広いもの)を用いる。セパレータ30は、エネルギーデバイスの種類には原理的に依存しないが、特にリフロー対応が必要とされる場合には、耐熱性が要求される。耐熱性が必要ない場合にはポリプロピレン等を、耐熱性が必要な場合にはセルロース系のものを用いることができる。電気二重層キャパシタ内部電極には、電解液が含浸されており、セパレータ30を通して、電解液とイオンが充放電時に移動する。
【0131】
(リチウムイオンキャパシタ)
また、例えば、リチウムイオンキャパシタにおいて、本発明における第1の実施の形態または第2の実施の形態に係る構成や製造方法を適用して、タブ電極の使用数を低減してコストの低廉化やキャパシタの小型化を図ることができる。
【0132】
図31は、リチウムイオンキャパシタ内部電極の基本構造を例示している。リチウムイオンキャパシタ内部電極は、少なくとも1層の活物質電極11,12に、電解液とイオンが通過するセパレータ30を介在させ、引き出し電極33a,32bが活物質電極10,12から露出するように構成され、引き出し電極33a,32bは電源電圧に接続されている。正極側の活物質電極12は、例えば、活性炭から形成され、負極側の活物質電極11は、例えば、Liドープカーボンから形成される。正極側の引き出し電極32bは、例えば、アルミ箔から形成され、負極側の引き出し電極33aは、例えば、銅箔から形成される。セパレータ30は、活物質電極11,12全体を覆うように、活物質電極11,12よりも大きいもの(面積の広いもの)を用いる。リチウムイオンキャパシタ内部電極には、電解液が含浸されており、セパレータ30を通して、電解液とイオンが充放電時に移動する。
【0133】
(リチウムイオン電池)
また、例えば、リチウムイオン電池において、本発明における第1の実施の形態または第2の実施の形態に係る構成や製造方法を適用して、タブ電極の使用数を低減してコストの低廉化や電池の小型化を図ることができる。
【0134】
図32は、リチウムイオン電池内部電極の基本構造を例示している。リチウムイオン電池内部電極は、少なくとも1層の活物質電極11,13に、電解液とイオンが通過するセパレータ30を介在させ、引き出し電極33a,32bが活物質電極11,13から露出するように構成され、引き出し電極33a,32bは電源電圧に接続されている。正極側の活物質電極13は、例えば、LiCoOから形成され、負極側の活物質電極11は、例えば、Liドープカーボンから形成される。正極側の引き出し電極32bは、例えば、アルミ箔から形成され、負極側の引き出し電極33aは、例えば、銅箔から形成される。セパレータ30は、活物質電極11,13全体を覆うように、活物質電極11,13よりも大きいもの(面積の広いもの)を用いる。リチウムイオン電池内部電極には、電解液が含浸されており、セパレータ30を通して、電解液とイオンが充放電時に移動する。
【0135】
以上説明したように、本発明によれば、小型化と共に、タブ電極の使用数を低減してコストの低廉化が可能なラミネート型エネルギーデバイスおよびその製造方法を提供することができる。
【0136】
[その他の実施の形態]
上記のように、実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面は例示的なものであり、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0137】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態などを含む。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明のラミネート型エネルギーデバイスは、LED−Flashモジュール、通信(高出力)モジュール、太陽電池モジュール、電源モジュール、玩具等のバックアップ用電源、エネルギーハーベスティング用蓄電素子、センサーネットワーク用蓄電素子などとして適用可能である。また、ラミネート型エネルギーデバイスとしては、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ、リチウムイオン電池などに適用できる。
【0139】
また、電気二重層キャパシタ内部電極としては、LED−Flash、モータ駆動用パワー電源(例えば、玩具向け)、電気自動車用蓄電素子(例えば、回生、スタータ用として)、太陽電池や振動発電からのエネルギー蓄電素子、高出力通信向けパワー蓄電素子、耐環境性蓄電素子(例えば、道路鋲、自転車用ライトの蓄電素子)などに適用できる。リチウムイオンキャパシタ内部電極としては、太陽電池や風力発電からのエネルギー蓄電素子、モータ駆動用パワー電源などに適用できる。リチウムイオン電池キャパシタ内部電極としては、携帯機器用のバッテリ、電気自動車用蓄電素子(定常運転時)、大規模蓄電素子(一般家庭向け)などに適用できる。
【符号の説明】
【0140】
10,12,13…活物質電極
18…ラミネート型エネルギーデバイス
20a,20b…コンタクトホール
24a、24b…電極パッド
25a、25b…はんだ付け部
30…セパレータ
32a、32b…引出し電極
34(34a,34b)…タブ電極
36a,36b、52a、52b…封止部(シーラント)
37a、37b、37c、37ca、37cb…溶接部
40…外装用ラミネートシート
40c…仕切用ラミネートシート
40d…切込部
40e…開口部
42…金属箔
43…熱可塑性樹脂のフィルム
52a,52b…封止部
80…積層体
100…モジュール基板
120…トランス
140…他デバイス部品
160,170…ICチップ
200…チャージャーIC
C1,C2,C3…単セル
Q1,Q2,Q3…スイッチングトランジスタ
Rs…抵抗器
S…スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正負極の活物質電極に、電解液とイオンが通過するセパレータを介在させながら、正負極の引き出し電極が露出するように、かつ正電極と負電極とが交互になるように積層した少なくとも2層以上の積層体を有する複数の単セルと、
前記単セル同士を重ね合わせると共に、前記単セル間に介在される仕切用ラミネートシートと、
接続された前記単セルの全体を封止する外装用ラミネートシートと、
前記外装用ラミネートシートと前記仕切用ラミネートシートとの間に注入された電解液と
を備え、前記引き出し電極を介して電気的に接続されることを特徴とするラミネート型エネルギーデバイス。
【請求項2】
各単セルの前記引き出し電極は、互いの正極と負極が接続されて複数の前記単セルの全体が直列接続されていることを特徴とする請求項1に記載のラミネート型エネルギーデバイス。
【請求項3】
各単セルの前記引き出し電極は、正極同士および負極同士が接続されて複数の前記単セルの全体が並列接続されていることを特徴とする請求項1に記載のラミネート型エネルギーデバイス。
【請求項4】
前記接続は、前記引き出し電極の露出部の溶接によって行われることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のラミネート型エネルギーデバイス。
【請求項5】
2つの単セル同士を重ね合わせる際に、一方の正極と、他方の負極とが対向するように配置することを特徴とする請求項2または4に記載のラミネート型エネルギーデバイス。
【請求項6】
接続された前記引き出し電極および両端側の前記引き出し電極には、タブ電極が接合されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のラミネート型エネルギーデバイス。
【請求項7】
前記タブ電極の数は、直列接続される単セルの数に1を加えた総数となることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載のラミネート型エネルギーデバイス。
【請求項8】
前記仕切用ラミネートシートは、金属箔を2枚の熱可塑性樹脂のフィルムで挟んだ構成を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のラミネート型エネルギーデバイス。
【請求項9】
前記タブ電極の単セル側の端部には、熱可塑性樹脂から成る封止部が設けられ、
前記仕切用ラミネートシートの縁部には、前記封止部が収まる切込部が形成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のラミネート型エネルギーデバイス。
【請求項10】
前記切込部は、熱可塑性樹脂のフィルムの溶融によって、端部から前記金属箔が露出しないように封止されることを特徴とする請求項9に記載のラミネート型エネルギーデバイス。
【請求項11】
前記仕切用ラミネートシートの数は、接続される単セルの数から1減算した総数となることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のラミネート型エネルギーデバイス。
【請求項12】
前記引き出し電極と前記タブ電極とは、前記封止部の外部で接合され、
前記外装用ラミネートシートを圧縮封止する際に、同時に圧縮され広がった前記封止部により、前記タブ電極の端部が覆われて絶縁されることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載のラミネート型エネルギーデバイス。
【請求項13】
前記外装用ラミネートシートは、熱可塑性樹脂のフィルムと高融点樹脂のフィルムとによって、金属箔を挟んだ構成を有し、
前記高融点樹脂のフィルム側が外側となるようにして、接続された前記単セルを覆うことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のラミネート型エネルギーデバイス。
【請求項14】
正負極の活物質電極に、電解液とイオンが通過するセパレータを介在させながら、正負極の引き出し電極が露出するように、かつ正電極と負電極とが交互になるように積層した少なくとも2層以上の積層体を備える複数の単セルを重ね合わせる工程と、
前記引き出し電極を溶接して、前記複数の単セルを並列接続または直列接続とする工程と、
接続された前記引き出し電極および両端側の前記引き出し電極に、タブ電極を溶接する工程と、
前記タブ電極の単セル側の端部に、熱可塑性樹脂から成る封止部を設ける工程と、
前記各単セルの間に、前記封止部が収まる切込部が形成された仕切用ラミネートシートを挟み込む工程と、
外装用ラミネートシートによって、接続された前記単セルを覆う工程と、
一部に開口部を形成した状態で、前記外装用ラミネートシートの縁部を融着する工程と、
前記開口部を介して、前記外装用ラミネートシートと前記仕切用ラミネートシートとの間に電解液を注入する工程と、
前記開口部を融着して封止する工程と
を有することを特徴とするラミネート型エネルギーデバイスの製造方法。
【請求項15】
前記開口部を融着して封止する工程は、真空中で行われることを特徴とする請求項14に記載のラミネート型エネルギーデバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2013−115411(P2013−115411A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263498(P2011−263498)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】