説明

ラミネート装置用搬送シートの取付け固定方法およびその搬送シートの取付け固定方法を使用したラミネート装置

【課題】 ラミネート装置の搬送シートの破断や破損を低減し、かつその寿命を向上させるための搬送シートを取付け固定する方法およびそのような搬送シートの取付け固定方法を使用したラミネート装置を提供することを目的としている。
【解決手段】 太陽電池モジュールなどをラミネート加工する被加工物を搬送するために搬入側および搬出側に搬送用のローラを有し、さらに被加工物の搬送方向に平行に左右1対の搬送ベルトまたはチェーンを有するラミネート装置(100)において、そのラミネート装置のラミネート部に被加工物(10)を載置して搬入・搬出する搬送シート(130)を前記ローラを介して取付け固定する方法であって、前記搬送シートは、その両端がラミネート装置の左右1対の搬送ベルトまたはチェーンに取付けされる角型棒状部材(403)、板状押え部材(405)、および逆凹型の棒状部材(404)を各2本ずつ使用して取付け固定する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュール等の被ラミネート体を製造するためのラミネート装置用の搬送シートを取付け固定する方法およびそのような搬送シートの取付け固定方法を使用したラミネート装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の太陽電池モジュールを製造するためのラミネート装置として例えば、特許文献1などの公報に記載された公知例がある。ラミネート装置の全体図を図2に示す。
【0003】
このようなラミネート装置により太陽電池モジュールなどの被加工物をラミネート加工するためには、被加工物をラミネート装置に搬入し、またラミネート加工した太陽電池モジュールを搬出するために、以下のような搬送機構が設けられている。その装置の搬入側および搬出側には搬送用のローラが設けられている。さらに装置の被加工物の搬送方向に平行に左右1対の搬送ベルトまたはチェーンが設けられている。搬送シートは、このローラを介して取付けされている。搬送シートは、その装置の両側に設けられた搬送ベルトまたはチェーンを電気式モータなどにより駆動し、ローラを介してエンドレスに走行される。
【0004】
【特許文献1】特開平11−204811号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以下搬送シートの取付け方法の従来例を図13および図14に従って説明する。図13は、搬送シートの取付け部材の配置をラミネート装置の搬入側または搬出側から見た説明図である。図14は、図13のA−A断面図である。
【0006】
搬送シート130は、2本の角型棒状部材131を使用して固定される。その角型棒状部材は、その両端がラミネート装置の左右1対の搬送ベルト402(またはチェーン)に取付けされている。さらにその角型棒状部材は、ラミネート加工する際の被加工物の搬入側と搬出側にそれぞれほぼ対向する位置(図2のX位置とY位置)に設けられている。
【0007】
搬送シート130は、搬送用のローラを介して一方の角型棒状部材を跨ぎ、他方の角型棒状部材においては、搬送シートの両端を重ね合わせて跨ぐように取付けられている。図14は、搬送シートが角型棒状部材131を跨いだ状態を示している。尚図中搬送シートの取付け状態を説明するために隙間があるように描いているが、実際には隙間は無い。ここで角型棒状部材を跨いで取付けられている搬送シートの上部に板材押え部材132を設ける。その板材押え部材にはボルト穴が設けられている。またさらに角型棒状部材にも板状押え部材のボルト穴に対応する位置にネジ穴が加工されている。この2組の角型棒状部材と板材押え部材との間に搬送シートを挟み固定ボルト133にて固定する。
【0008】
搬送シートの従来の取付け固定方法では、角型棒状部材と板状押え部材との間に搬送シートを挟み込み固定ボルトにて固定している。したがってラミネート装置が運転中に搬送シートに作用する張力は、固定ボルトにかかる。このため搬送シートは、搬送シートとボルトとの接触する部分から亀裂が入り最終的に破断してしまうことがある。搬送シートが破断してしまうと搬送シートを取外し、新品の搬送シートを取付けしなくてはならない。またこの搬送シートの取付け取外しの作業が煩雑であり面倒である。
【0009】
また特許文献1に記載のラミネート装置は、次のような問題もある。ラミネート加工する場合に上チャンバと下チャンバを重ね真空引きする。この時真空度を保つために、上ケース・下ケースと接触する部分にはOリングが設けられている。真空引きの際に上チャンバと下チャンバが重なるときその接触面には搬送シートも挟み込まれる。したがってOリングは、搬送シートを圧迫し搬送シートを磨耗させることになる。被加工物を搬出入しラミネート加工するたびに搬送シートの同じ位置がOリングで押圧され磨耗がさらに激しくなり破断してしまうことがある。このような場合にも、搬送シートを取外し、新品の搬送シートを取付け固定しなくてはならない。
【0010】
本発明は、これらの問題の解決を図ったもので、ラミネート装置にて太陽電池モジュールを製造する場合、ラミネート部の搬送シートの破断や破損を低減し、かつその寿命を向上させるための搬送シートを取付け固定する方法およびそのような搬送シートの取付け固定方法を使用したラミネート装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために本発明のラミネート装置の搬送シートの取付け固定方法は、太陽電池モジュールなどをラミネート加工する被加工物を搬送するために搬入側および搬出側に搬送用のローラを有し、さらに被加工物の搬送方向に平行に左右1対の搬送ベルトまたはチェーンを有するラミネート装置において、そのラミネート装置のラミネート部に被加工物を載置して搬入・搬出する搬送シートを前記ローラを介して取付け固定する方法であって、前記搬送シートは、角型棒状部材、板状押え部材、および逆凹型の棒状部材を各2本ずつ使用して固定され、前記角型棒状部材は、その両端がラミネート装置の左右1対の搬送ベルトまたはチェーンに取付けされ、前記角型棒状部材は、ラミネート加工の際の前記ラミネート装置の被加工物の搬入側と搬出側にそれぞれほぼ対向する位置に設けられ、一方の前記角型棒状部材を跨いで搬送シートを配置し、その搬送シートを、その上に板状押え部材を配置し、前記角型棒状部材と前記板状部材を覆う逆凹型の棒状部材にて固定し、さらに他方の前記角型棒状部材においては、搬送シートをその両端を重ね合わせて跨ぐように配置し、その搬送シートを、その上に板状押え部材を配置し前記角型棒状部材と前記板状押え部材を覆う逆凹型の棒状部材にて固定することを特徴としている。
【0012】
また前記の搬送シートの取付け固定方法に、前記角型棒状部材、前記板状押え部材および逆凹型の棒状部材をその両端にてボルト等で固定し、前記角型棒状部材の両側面に対して搬送シートを逆凹型の棒状部材の両側面に設けた固定用部材により搬送シートを取付け固定する方法を採用することもできる。
【0013】
さらに前記の搬送シートの取付け固定方法に、前記角型棒状部材、前記板状押え部材および逆凹型の棒状部材をその両端にてボルト等で固定し、前記角型棒状部材の上面に対して搬送シートを逆凹型の棒状部材の上面に設けた固定用部材により前記板状押え部材を押圧することにより搬送シートを取付け固定する方法を採用することもできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の搬送シートの取付け固定する方法は上記のようであるから、次のような効果を得ることができる。
<1>本発明の搬送シートを取付け固定する方法を使用することにより、搬送シートにより被加工物を搬送する際に搬送シートに発生する張力を搬送シートの固定部材により受けるので搬送シートが破断しにくくなる。
<2>本発明の搬送シートを取付け固定する方法を使用することにより、搬送シートの取外しと取付けが容易になる。
<3>本発明の搬送シートを取付け固定する方法を使用することにより、搬送シートの寿命が向上する。被加工物を上下のチャンバにて挟み込んで、真空引きしてラミネート加工する際に、上チャンバと下チャンバを重ね真空引きする。この時真空度を保つために、上ケース・下ケースと接触する部分にはOリングが設けられている。真空引きの際に上チャンバと下チャンバが重なるときその接触面には搬送シートも挟み込まれる。したがってOリングは、搬送シートを圧迫し搬送シートを磨耗させることになる。一定回数ラミネート加工した後、容易に搬送シートの位置をずらすことができるので搬送シートの破断にいたるまでの寿命を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施例を添付の図面を参照して説明する。
【0016】
<1>被加工物(太陽電池モジュール)
まず本発明のラミネート装置100が扱う対象である被加工物10の例について説明する。図1は、本発明のラミネート装置にて被加工物として結晶系セルを使用した太陽電池モジュールの構成を示す断面図である。
【0017】
太陽電池モジュールは、図示のように、上側に配置された裏面材12と下側に配置された透明カバーガラス11の間に、充填材13、14を介して複数列のストリング15をサンドイッチした構成を有する。
【0018】
裏面材12は例えばポリエチレン樹脂などの材料が使用される。充填材13、14には例えばEVA樹脂(エチレンビニルアセテート樹脂)などが使用される。ストリング15は、上記のように電極16、17の間に、結晶系セルとしての太陽電池セル18をリード線19を介して接続した構成である。
【0019】
このような太陽電池モジュールは、上記のように構成部材を積層し以下で説明するラミネート装置により、真空の加熱状態下で圧力を加え、EVAを架橋反応させてラミネート加工して得られる。
【0020】
また被加工物10としては、一般に薄膜式と呼ばれる太陽電池モジュールを対象とすることができる。
【0021】
この薄膜式の代表的な構造例では、下側に配置された透明カバーガラスには、予め透明電極、半導体、裏面電極からなる発電素子が蒸着してある。そして、このような薄膜型太陽電池パネルを、透明カバーガラスを下向きに配置し、ガラス上の太陽電池素子の上に充填材を被せ、更に、充填材の上に裏面材を被せた構造で、同じようにラミネート加工することにより得られる。
【0022】
このように被加工物10としての薄膜式の太陽電池モジュールは、結晶系セルが蒸着された発電素子に変わるだけで、基本的な封止構造は前記した結晶系セルの場合と同じである。
【0023】
<2>ラミネート装置の全体構成
図2は、通常のラミネート装置100の側面図である。
同図に示すラミネート装置100の右側には、搬入コンベア200があり、左側には搬出コンベア300がある。
【0024】
搬入コンベア200は、これからラミネート加工をする被加工物10としての太陽電池モジュールをラミネート部に供給するものであり、搬出コンベア300は、ラミネート加工した被加工物10を搬出するものである。
【0025】
そして、これら搬入コンベア200、ラミネート装置100及び搬出コンベア300の順に被加工物10を受け渡しながら、図2の左向きに被加工物10を搬送する。ラミネート装置100には、被加工物10を搬入コンベア200から受け取り、搬出コンベア300に渡すための搬送シート130が設けられている。
【0026】
<3>ラミネート部の上チャンバ
図3は、ラミネート部101を示す断面図である。ラミネート部は、上チャンバ113とそれに対向する位置に配置した下チャンバ121とによって構成されている。
【0027】
上ケース110の内部を水平に仕切るようにしてダイヤフラム112が装着されており、このダイヤフラム112と上ケース110の内壁面で囲まれた空間が上チャンバ113となっている。ダイヤフラム112は、シリコン系のゴムなどの耐熱性のあるゴムなどを使用している。
【0028】
また、上ケース110の上面には上チャンバ113に連通する吸排気口114が設けられており、この吸排気口114を図示しない真空ポンプに接続して上チャンバ113内を真空引きしたり、外気と接続して上チャンバ113内に大気を導入したりできるようになっている。
【0029】
<4>ラミネート部の下チャンバ
下ケース120の内部空間としての下チャンバ121内には板状の熱板122が配置されている。
【0030】
熱板122は、図3又は図4に示すとおり下チャンバ121の底部からサポート体などで支持されている。この熱板の上を搬送シート130により被加工物が搬送される。
【0031】
下ケース120の下面には下チャンバ121に連通するようにして吸排気口123が設けられている。
【0032】
下チャンバ121は、上方を上ケース110により封止され、吸排気口123から下チャンバ121内を真空引きしたり、この吸排気口123から下チャンバ121内に大気を導入したりできるように構成されている。
【0033】
<5>上チャンバの昇降
前記したラミネート部101の上チャンバ113は、図5に示した昇降装置150の作動によって昇降する。
【0034】
上チャンバは、ラミネート装置100の4隅近傍に設置した昇降装置により水平面を維持した状態で下降して下チャンバに接近して両者が閉合し、あるいは水平面を維持した状態で上チャンバが上昇して下チャンバから離れる。
【0035】
ラミネート加工時は、搬送シート130により被加工物をラミネート部に搬送し、上チャンバを下降し、上下チャンバを閉合した後、ラミネート加工される。
【0036】
<6>ラミネート加工の工程
被加工物10のラミネート加工は、次のようにして行う。
まず、搬送シート130を走行駆動させながら被加工物10を搬送し、ラミネート位置に達すると搬送シートは停止する。
【0037】
図4は、ラミネート装置でラミネート加工する状態を示している。本図によりラミネート加工の工程を説明する。
【0038】
上ケース110を下ケース120上に重ねて気密性を維持した後、吸排気口114,123を真空ポンプにつなぎ、上チャンバ113と下チャンバ121内の空間を減圧する。この時上チャンバと下チャンバ内の真空度を維持するために上ケースにはOリング140が設けられている。また、熱板122を加熱し、搬送シート130を通して被加工物10は加熱される。上チャンバ113と下チャンバ121内が所定の真空度に達し、熱板が所定の温度に達したら、上チャンバ113内に大気を導入する。すると、ダイヤフラム112は下方に膨らみ、被加工物10を熱板122に強く押しつける。被加工物10は熱板122により加熱され、被加工物10内の充填材13,14が溶融する。
【0039】
ラミネート加工が完了したら、下チャンバ121内に大気を導入し、大気圧にして上ケース110を昇降装置150により上昇させる。
【0040】
搬送シート130が走行駆動し被加工物10は図2の左方に進み、搬出位置に達して搬出コンベア300に載って搬出される。被加工物の搬出が完了したら搬送コンベア200から次の被加工物10を受け取り、上記の作動を繰り返す。
【0041】
<7>本発明の実施形態1の説明
本発明の実施形態1を図6、図7および図8により説明する。図6は、ラミネート加工中またはラミネート部へ被加工物10を搬入する前の図2のラミネート装置の搬入側または搬出側から見た搬送シートの取付け状態を示している。図7は、図6における搬入側または搬出側のいずれか一方におけるA−A断面図である。図8は、図6における搬入側または搬出側のもう一方(他方)におけるA−A断面図である。
【0042】
図2に示すラミネート装置には、搬入側および搬出側に搬送用のローラが設けられている。本図では、搬入側に2箇所(R1、R4)、搬出側に2箇所(R2,R3)設けられている。図6に示すように ローラの両端にはプーリ401が取付けされていて、その両側プーリには左右1対の搬送ベルト(またはチェーン)402が設けられている。このラミネート装置のラミネート部に被加工物を搬入・搬出する搬送シート130は以下のように取付け固定されている。
【0043】
搬送シートは、本発明の搬送シート固定部400を2組使用して固定される。搬送シート固定部400は、ラミネート加工の際の被加工物の搬入側と搬出側にそれぞれほぼ対向する位置(図2のX位置、Y位置)に設けられる。その両端は、図6に示すようにラミネート装置の左右1対の搬送ベルト(またはチェーン)402に取付けされている。搬送シート固定部400は、図7および図8に示すように、角型棒状部材403、板状押え部材405および逆凹型の棒状部材404から構成されている。
【0044】
搬送シート130は、搬送用のローラを介して、一方の角型棒状部材を跨ぎ(図7参照)、他方の角型棒状部材においては、搬送シートの両端を重ね合わせて跨ぐように取付けられている(図8参照)。以下詳細に説明する。尚図中搬送シートの取付け状態を説明するために隙間があるように描いているが、実際には隙間は無い。
【0045】
まず図7の搬送シートの取付け固定方法を説明する。一方の角型棒状部材403においては、搬送シート130はその角型棒状部材を跨いで取付けされている。この部材上を跨いでいる搬送シートの上部に板状押え部材405を設ける。その板状押え部材には複数のボルト穴が設けられている。またさらに角型棒状部材にも板状押え部材のボルト穴に対応する位置にネジ穴が加工されている。さらにその上から前記角型棒状部材403、搬送シート130および板状押え部材405を覆う逆凹型の棒状部材404を設ける。逆凹型の棒状部材にも、角型棒状部材のネジ穴と板状押え部材のボルト穴に対応する位置にボルト穴が設けられている。図7のように前記角型棒状部材403、搬送シート130および板状押え部材405を覆う逆凹型の棒状部材404を固定用のボルト406にて固定する。
【0046】
次に図8の搬送シートの取付け固定方法を説明する。他方の角型棒状部材403においては、搬送シート130はその角型棒状部材を搬送シートを張った状態で両側を重ね合わせて跨ぐように取付けされている。この部材上を跨いでいる搬送シートの上部に図7と同じように板状押え部材405を設ける。その他は、図7と同様な方法で搬送シートは取付け固定されている。
【0047】
このように本発明の搬送シートの取付け固定方法は、2組の角型棒状部材、板状押え部材と逆凹型の棒状部材にて搬送シートを張った状態で挟みボルトにて固定する方法である。
【0048】
逆凹型の棒状部材404と搬送シート130が当たる角部(C部)には円弧状に面取りがなされている。また角型棒状部材403と搬送シート130が当たる角部(D部)にも円弧状に面取りがなされている。
【0049】
搬送シート130をこのような構造の固定部材で取付けし固定しているのでラミネート装置の運転中に搬送シートに発生する張力は、搬送シートが固定ボルトと接触している部分にかかることがなく、搬送シートが板状押え部材および逆凹型の棒状部材と接触する部分全体で受けることになるので破断しにくくなった。
【0050】
また搬送シートは、まず図7のように搬送シートの長さ方向のほぼ中央部を一方の角型棒状部材を跨ぐように配置し板状押え部材と逆凹型の棒状部材により上から押えて取付け固定する。次に搬送シートの両側を図8のように他方の角型棒状部材を重ね合わせて跨ぐように配置して板状押え部材と逆凹型の棒状部材により上から押えて取付け固定する。したがって搬送シートを張って取付け固定することが容易となった。
【0051】
<8>本発明の実施形態2の説明
本発明の実施形態2を図9および図10により説明する。図9は、ラミネート加工中またはラミネート部へ被加工物10を搬入する前の図2のラミネート装置の搬入側または搬出側から見た搬送シートの取付け状態を示している。図10(a)は、図9における搬入側または搬出側のいずれか一方におけるA−A断面図である。図10(b)は、図9におけるB−B断面図である。図10(a)および図10(b)は、実施形態1の説明における搬送シートの長さ方向の中央部を固定する図7に相当する状態を示している。図8に相当する状態の図面は、省略している。尚図中搬送シートの取付け状態を説明するために隙間があるように描いているが、実際には隙間は無い。
【0052】
一方の角型棒状部材413において搬送シート130はその角型棒状部材を跨いで取付けされている。この部材上を跨いでいる搬送シートの上部に板状押え部材415を設ける。さらに逆凹型の棒状部材414を角型棒状部材413、搬送シート130および板状押え部材415を覆うように取付ける。その逆凹型の棒状部材414および板状押え部材415の両端には、それぞれの対応する位置にボルト穴が設けられている。また角型棒状部材413には、逆凹型の棒状部材414および板状押え部材415のボルト穴に対応する位置にネジ穴が加工されている。まず図10(a)に示すように、前記角型棒状部材413、板状押え部材415および逆凹型の棒状部材414をその両端のネジ穴とボルト穴を利用して固定ボルト406にて固定する。この状態で搬送シート130は、角型棒状部材と板状押え部材との間で押圧される。
【0053】
また逆凹型の棒形状部材414の両側面に複数のネジ孔を加工してある。次に、逆凹型の棒形状部材414の両側面から角型棒状部材413の両側面に対して搬送シート130を複数の押えボルト411および固定ナット412などの固定用部材により搬送シートを固定する。押えボルト411の先端で搬送シ−ト130を角型棒状部材413の両側面に対して固定するので搬送シートの固定部分に傷つかないような工夫をすることが望ましい。例えば、押えボルトの先端には樹脂パッドを埋め込んだり、図示していないが逆凹型の棒状部材の内側側面と搬送シートの間に押えプレートを設けたりする方法でも良い。
【0054】
他方の角型棒状部材413においては、搬送シート130はその角型棒状部材上を搬送シートを張った状態で両側を重ね合わせて跨ぐように取付けされている。こちらも上記と同様の方法で搬送シートは、取付け固定方法される。
【0055】
本実施形態の搬送シートの取り付け固定する構成を採用することにより搬送シ−トの取付け取外しをさらに容易にすることが可能となる。ラミネート加工時に搬送シートが上チャンバのOリング140により傷がつき多数回の加工によりその損傷部分から破断することもあるが、本実施形態のような搬送シートの取付け固定方法を使用することにより、一定回数ラミネート加工した後、搬送シート130をずらして再度固定して使用することも可能となる。これにより搬送シートの寿命を格段に向上させることが可能となる。
【0056】
<9>本発明の実施形態3の詳細説明
本発明の実施形態3を図11および図12により説明する。図11は、ラミネート加工中またはラミネート部へ被加工物10を搬入する前の図2のラミネート装置の搬入側または搬出側から見た搬送シートの取付け状態を示している。図12(a)は、図11における搬入側または搬出側のいずれか一方におけるA−A断面図である。図12(b)は、図11におけるB−B断面図である。図12(a)および図12(b)は、実施形態1の説明における搬送シートの長さ方向の中央部を固定する図7に相当する状態を示している。図8に相当する状態の図面は、実施形態2の説明同様省略している。尚図中搬送シートの取付け状態を説明するために隙間があるように描いているが、実際には隙間は無い。
【0057】
一方の角型棒状部材413において搬送シート130はその角型棒状部材上を跨いで取付けされている。この部材上を跨いでいる搬送シートの上部に板状押え部材415を設ける。さらに逆凹型の棒状部材416を角型棒状部材413、搬送シート130および板状押え部材415を覆うように取り付ける。その逆凹型の棒状部材416および板状押え部材415の両端には、それぞれの対応する位置にボルト穴が設けられている。また角型棒状部材413には、逆凹型の棒状部材416および板状押え部材415のボルト穴に対応する位置にネジ穴が加工されている。まず図12(a)に示すように、前記角型棒状部材413、板状押え部材415および逆凹型の棒状部材416をその両端のネジ穴とボルト穴を利用して固定ボルト406にて固定する。この状態で搬送シート130は、角型棒状部材と板状押え部材との間で押圧される。
【0058】
また逆凹型の棒形状部材416の上面に複数のネジ孔を加工してある。次に、逆凹型の棒形状部材416の上面から角型棒状部材413の上面に対して搬送シート130を板状押え部材415を介して複数の押えボルト411により押圧し固定ナット412により固定する。
【0059】
他方の角型棒状部材403においては、搬送シート130はその角型棒状部材上を搬送シートを張った状態で両側を重ね合わせて跨ぐように取付けされている。こちらも上記と同様の方法で搬送シートは、取付け固定方法される。
【0060】
本実施形態の搬送シートの取付け固定する方法を採用することにより搬送シ−トの取付け取外しをさらに容易にすることが可能となる。その結果実施形態2と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】被加工物としての太陽電池モジュールの構造を示す断面図。
【図2】ラミネート装置の全体図。
【図3】ラミネート装置のラミネート部を示す断面図。
【図4】図3のラミネート部でラミネート加工をする状態を示す図。
【図5】ラミネート装置の昇降装置の斜視図。
【図6】本発明の搬送シートを取付け固定する実施形態1の説明図。
【図7】図6における搬入側または搬出側のいずれか一方におけるA−A断面図である。
【図8】図6における搬入側または搬出側のもう一方(他方)におけるA−A断面図である。
【図9】本発明の搬送シートを取付け固定する実施形態2の説明図。
【図10】(a)は、図9における搬入側または搬出側のいずれか一方におけるA−A断面図。(b)は、図9におけるB−B断面図である。
【図11】本発明の搬送シートを取付け固定する実施形態3の説明図。
【図12】(a)は、図11における搬入側または搬出側のいずれか一方におけるA−A断面図である。(b)は、図11におけるB−B断面図である。
【図13】搬送シートを取付け固定する従来例の説明図。
【図14】図13のA―A断面図。
【符号の説明】
【0062】
10 被加工物
13,14 充填材
100 ラミネート装置
101 ラミネート部
112 ダイヤフラム
122 熱板
130 搬送シート
131 角型棒状部材
132 板状押え部材
133 固定ボルト
140 Oリング
150 昇降装置
200 搬入コンベア
300 搬出コンベア
400 搬送シート固定部
401 プーリ
402 搬送チェーン(搬送ベルト)
403 角型棒状部材
404 逆凹型の棒状部材
405 板状押え部材
406 固定ボルト
411 押えボルト
412 固定ナット
413 角型棒状部材
414 逆凹型の棒状部材
415 板状押え部材
416 逆凹型の棒状部材








【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池モジュールなどをラミネート加工する被加工物を搬送するために搬入側および搬出側に搬送用のローラを有し、さらに被加工物の搬送方向に平行に左右1対の搬送ベルトまたはチェーンを有するラミネート装置において、そのラミネート装置のラミネート部に被加工物を載置して搬入・搬出する搬送シートを前記ローラを介して取付け固定する方法であって、
前記搬送シートは、角型棒状部材、板状押え部材、および逆凹型の棒状部材を各2本ずつ使用して固定され、
前記角型棒状部材は、その両端がラミネート装置の左右1対の搬送ベルトまたはチェーンに取付けされ、
前記角型棒状部材は、ラミネート加工の際の前記ラミネート装置の被加工物の搬入側と搬出側にそれぞれほぼ対向する位置に設けられ、
一方の前記角型棒状部材を跨いで搬送シートを配置し、その搬送シートを、その上に板状押え部材を配置し、前記角型棒状部材と前記板状部材を覆う逆凹型の棒状部材にて固定し、
さらに他方の前記角型棒状部材においては、搬送シートをその両端を重ね合わせて跨ぐように配置し、その搬送シートを、その上に板状押え部材を配置し、前記角型棒状部材と前記板状押え部材を覆う逆凹型の棒状部材にて固定する
ことを特徴とする搬送シートを取付け固定する方法。
【請求項2】
前記角型棒状部材、前記板状押え部材および逆凹型の棒状部材をその両端にてボルト等で固定し、前記角型棒状部材の両側面に対して搬送シートを逆凹型の棒状部材の両側面に設けた固定用部材により固定する請求項1に記載の搬送シートを取付け固定する方法。
【請求項3】
前記角型棒状部材、前記板状押え部材および逆凹型の棒状部材をその両端にてボルト等で固定し、前記角型棒状部材の上面に対して搬送シートを逆凹型の棒状部材の上面に設けた固定用部材により前記板状押え部材を押圧することにより固定する請求項1に記載の搬送シートを取付け固定する方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の搬送シートを取付け固定する方法を使用した太陽電池モジュールをラミネート加工するラミネート装置。






















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−30233(P2010−30233A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−197103(P2008−197103)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000004374)日清紡ホールディングス株式会社 (370)
【Fターム(参考)】