説明

ラミプリル及びベシル酸アムロジピンの固形医薬製剤及びその製造

発明は、ラミプリル、アムロジピンベシル酸塩及び薬学的に許容しうる賦形剤を含んでなる固定用量の安定な固形医薬組成物並びにその製造に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラミプリル、アムロジピンベシル酸塩及び薬学的に許容しうる賦形剤を含んでなる安定な固形医薬組成物、その製造及びその治療的適用に関する。これは、この組成物において2つの活性成分が一緒になって単一の剤形中にあることを意味する。
【背景技術】
【0002】
アムロジピンは、特許文献1及び特許文献2に開示されたように高血圧及び他の医学的適応症の治療用に開発されたカルシウムチャネル遮断薬である。その化学名称は、3−エチル−5−メチル−(+−)−2−[(2−アミノエトキシ)メチル]−4−(2−クロロフェニル)−l,4−ジヒドロ−6−メチルピリジン−3,5−ジカルボキシレートである。
【0003】
アムロジピンは、商品名Norvasc(R)又はIstin(R) の下でモノベンゼンスルホナート塩、アムロジピンベシル酸塩として市販されている。それは、2.5mg、5mg及び10mgの含量の経口錠剤として入手可能である。Norvasc(R)錠中の不活性成分としては、結晶セルロース、無水リン酸水素カルシウム、デンプングリコール酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムが含まれる。
【0004】
アムロジピンベシル酸塩は、水中でわずかに可溶性であり、そして64〜90%の絶対的生物学的利用能を有する。
【0005】
ラミプリル、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、及びその生理学的に許容しうる塩は、特許文献3に開示されている。それは、化学的に(2S,3aS,6aS)−1{−(S)−N−([−1−カルボキシ−3−フェニルプロピル]アラニル}オクタヒドロ−シクロペンタピロール−2−カルボン酸1−エチルエステルとして表され、そして高血圧、心不全及び腎症の治療に用いられる。ラミプリルは、ラミプリル二酸[(2S,3aS,6aS)−1−[(S)−2−[[(S)−1−カルボキシ−3−フェニルプロピル]アミノ]プロパノイル]オクタヒドロシクロペンタ[b]ピロール−2−カルボン酸(「不純物E」)への加水分解によって分解を受けやすい。これは、ラミプリルの活性代謝物であり、そのため製造における制御を必ずしも必要とするわけではない。また、それは、ラミプリルジケトピペラジン[エチル(2S)−2−[(3S,5aS,8aS,9aS)−3−メチル−1,4−ジオキソデカヒドロ−2H−シクロペンタ[4,5]ピロロ[1,2−a]ピラジン−2−イル]−4−フェニルブタノエート(「不純物D」)への環化を受けやすい。これらの不純物は、欧州薬局方に定義されている。
【0006】
複数の活性成分を単一の医薬組成物中で組み合わせることは、常に望ましい。単一組成物中に複数成分を含むことで、一般にコストが下がり、そして個々の症状を治療するにあたって複数薬物よりも単一薬物を服用するという利便性が得られる。多剤混合薬療法(fixed-dose combination therapy)に固有の利点は、必要な丸剤がより少ないため、そのコンプライアンスの改善にある。治療法が簡略化され、そして結果が改善される可能性がより高い。
【0007】
しかし、活性成分の組み合わせには、製剤の開発において直面する障害及び課題がある。
【0008】
薬物のある種の物理的性質、そして特に光及び化学安定性は、長期安定性における全不純物レベルが低下した錠剤の製造に適した製剤の開発において大きな課題をもたらす。
【0009】
アムロジピンは、例えば、比較的低い嵩密度を有する。活性物質は、不十分な流動及び低い水溶解度を示し、錠剤化又は投薬単位の均一性のような問題の原因となることがありうる。また、それは、粘着性及び高度に凝集性の物質でもある。アムロジピンベシル酸塩は、わずかに塩基性の性質であり、そして湿性条件及び光への暴露下で分解する傾向がある。光暴露下で形成される主な分解物は、光分解物であり、酸化条件で形成される不純物−Dである。微小環境のpHが低下すると、光分解物の形成はより多くなる。
【0010】
ラミプリルは、ある種の望ましくない流動特性を有し、例えば、粘着性であり、そして錠剤穿孔器の面及び金型のような表面に付着して、特に高速打錠機の錠剤化に問題が生じることがありうる。ラミプリルは、わずかに酸性の性質であり、そしてアルカリ性条件下で非常に分解を受けやすく、酸化性であり、そしてここにおいて、水分が存在する。ラミプリルの分解は、主に2つの経路:(a)ラミプリル−二酸への加水分解;及び(b)微小環境のpHが上昇したときによりいっそう形成されるラミプリル−ジケトピペラジン(ラミプリル−DKP)への環化又は縮合を経て起こると考えられる。
【0011】
さらに、組成物の安定性は、活性物質と必須の賦形剤との又はさらに第2の活性物質それ自体との配合禁忌(incompatibility)のため損なわれることがありうる。さらに、組成物の安定性は、2つの活性物質と1つ又はそれ以上の必須の賦形剤との配合禁忌のため影響を受けることがありうる。
【0012】
特許文献4において、アムロジピンとラミプリルのようなACE阻害薬との組み合わせの安定な組成物は、2つの活性成分を物理的に分離する必要なしに、そして安定性を損なうことなしに、薬剤を塩基性にすることを用いて製造できることが見出された。従って、ラミプリル及びアムロジピンベシル酸塩の特定の組み合わせを含んでなる新しい安定な固形剤形が必要とされている。
【0013】
また、より良好な工業スケール製造実現可能性を有することができると同時に、また、特にアムロジピンのラミプリルジケトピペラジン(DKP)及び不純物Dに関して、個々の生成物よりも良好な安定性を示すラミプリル及びアムロジピンの単純化されて安定化された多剤混合薬を処方することが必要とされている。
【0014】
固形多剤混合薬を処方する場合、安定性に加えて、同じ活性成分の対応する自由な組み合わせと生物学的に同等である、患者に都合のよい活性成分の組み合わせの剤形を提供することを目的とする。
【0015】
本明細書に用いられるように、「多剤混合薬又はFDC」は、錠剤又は経口剤形のような単一投薬単位中に存在する2つの薬物又は活性成分の組み合わせのことである。
【0016】
さらに本明細書に用いられるように、「自由な組み合わせ」は、同時に、しかし、2つの投薬単位として投薬される2つの薬物又は活性成分の組み合わせのことである。
【0017】
これらの複合的な生物薬剤学的性質の結果として、それらの自由な組み合わせと生物学的に同等である、ラミプリル及びアムロジピンベシル酸塩の固定された組み合わせの剤形の開発は、難しい。
【0018】
従って、安定でありかつ対応する自由な組み合わせと生物学的に同等なラミプリル及びアムロジピンベシル酸塩の固定された組み合わせの固形投薬製剤が望まれている。
【0019】
アムロジピン及びラミプリルのこのような組み合わせの医薬組成物は、活性成分の配合禁忌のため製造するのが困難である。
【0020】
ラミプリルは、製造中の安定性に関連する問題をアムロジピンのそれよりも多く示すことがある。ラミプリルは、医薬製剤中で不安定になる傾向を示し、製剤のpHは、使用する賦形剤、製造方法及び貯蔵に左右され;高い温度、湿度及び圧縮は、ラミプリルを含む製剤の安定性を決定する要因である。
【0021】
直面する別の課題は、量が多いラミプリルと比較して全錠剤質量中のアムロジピン含量が非常に低くなければならないため、なめらかにされたブレンド(lubricated blend)中のアムロジピンの均質性である。
【0022】
本発明の目的は、基本的に1)物理的に分離不可能な単純化された製剤を製造すること、2)生成物の安定性を達成するために特になんら塩基性化剤を用いることなく改善された製剤を提供すること、である上記の欠点を少なくとも部分的に克服することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】米国特許第4,572,909号
【特許文献2】米国特許第4,879,303号
【特許文献3】米国特許第5,061,722号
【特許文献4】米国特許第2008/0096863号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の目的は、コーティングされた顆粒の形態下のラミプリルがアムロジピンベシル酸塩を含む顆粒外層マトリックス(extragranular matrix)中に埋め込まれた、ラミプリル、アムロジピンベシル酸塩及び薬学的に許容しうる賦形剤を含んでなる、固定用量の安定な経口固形医薬組成物(stable solid oral pharmaceutical fixed dose composition)に関する。
【0025】
好ましい実施態様において、固形組成物は、pH4.7〜5.0、好ましくは4.9の単層錠剤の形態をとり、好ましくは、錠剤が二重ブリスターパック中のさらなる包装である。
【0026】
組成物の好ましい実施態様において、ラミプリルは、全組成物の約2.0%と約20質量%の間、好ましくは全組成物の2.5%又は約10質量%に相当する。
【0027】
好ましい実施態様において、アムロジピンベシル酸塩は、全組成物の約5%と約10質量%の間、そして好ましくは約7.0%に相当する。好ましい実施態様において、薬学的に許容しうる賦形剤は、希釈剤、崩壊剤、固結防止剤(antiadherent)、結合剤、滑沢剤及びそれらの混合物からなる群より選ばれ、そして、ここにおいて、賦形剤混合物のpHは、6.1〜6.3まで、好ましくは6.2である。
【0028】
好ましい実施態様において、ラミプリルの量は、錠剤の全質量の2,5mgと10mgの間、好ましくは2,5mg又は10mgを含む。
【0029】
好ましい実施態様において、アムロジピンベシル酸塩の量は、錠剤の全質量の5mgと10mgの間、好ましくは7mgを含む。
【0030】
好ましい実施態様において、固形組成物は、錠剤の形態下にあり、ここにおいて錠剤の全質量は、80mgと100mgの間、好ましくは100mgである。
【0031】
好ましい実施態様において、組成物は、40℃及びRH75%で6ヵ月後に約3.19%未満(w/w)のラミプリルDKP及び約0.14%未満(w/w)のアムロジピン不純物−Dを有する。
【0032】
本発明の別の目的は、ラミプリル及びアムロジピンベシル酸塩を含んでなる安定な経口医薬組成物の製造方法であって、方法は、
1)ラミプリル及び1つ又はそれ以上の薬学的に許容しうる賦形剤を、結合剤を含む水溶液を用いて造粒して顆粒を形成する工程、
2)顆粒を乾燥する工程;
3)別途、アムロジピンベシル酸塩を薬学的に許容しうる賦形剤とブレンドする工程、
4)工程ii)のラミプリル顆粒を工程iii)のアムロジピンベシル酸塩ブレンドとブレンドする工程;
5)場合により予め滑沢化する工程の後;工程iv)のブレンドを滑沢化する工程;及び
6)混合物を圧縮して錠剤にする工程;
を含む。
【0033】
12.方法の工程1及び3)に用いられる薬学的に許容しうる賦形剤の群が希釈剤、崩壊剤、固結防止剤、結合剤、滑沢剤及びそれらの混合物からなる群より選ばれ、そして賦形剤混合物のpHが、好ましくは6.1〜6.3まで、好ましくは6.2である請求項11の方法。
【0034】
好ましい実施態様において、薬学的に許容しうる賦形剤は、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、アルファー化デンプン、結晶セルロース及びフマル酸ステアリルナトリウムから選ばれる。好ましい実施態様において、方法は、錠剤をコーティングする工程、及び適した二重ブリスターパック中に包装する工程をさらに含む。
【0035】
好ましい実施態様において、本発明の方法は、
1)ヒドロキシプロピルメチルセルロース顆粒としてラミプリルを添加する工程、
1a)ラミプリル顆粒をアルファー化デンプンの半分と共に同時ふるいにかける(co-sift)工程、
2)アムロジピンベシル酸塩を結晶セルロースの半分と共に同時ふるいにかける工程、
3)工程3の物質を工程2物質と混合し、そして混合機中で20分間ブレンドして同質性を達成する工程、
3a)#40メッシュを通して結晶セルロース及びアルファー化デンプンの残りの部分を同時ふるいにかける工程、
3b)工程4及び5を適した混合機中18rpmで15分間ブレンドする工程、
4)フマル酸ステアリルナトリウムを用いて工程6のブレンドを滑沢化する工程、
5)打錠機上で適した杵を用いてブレンドを錠剤に圧縮する工程、
を含む。
【0036】
本発明の別の目的は、固形組成物がpH4.7〜5.0、好ましくは4.9を有する単層錠剤の形態をとる、ラミプリル及びアムロジピンベシル酸塩を含む固定用量の安定な経口固形医薬組成物を製造するための、希釈剤、崩壊剤、固結防止剤、結合剤、滑沢剤及びそれらの混合物からなる群より選ばれる薬学的に許容しうる賦形剤のブレンドの使用であり、ブレンドは6.1〜6.3まで、好ましくは6.2であるpHを有する。
【0037】
好ましい実施態様において、薬学的に許容しうる賦形剤は、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、アルファー化デンプン、結晶セルロース及びフマル酸ステアリルナトリウムから選ばれる。
【0038】
好ましい実施態様において、ラミプリルは、アムロジピンベシル酸塩を含む顆粒外層マトリックス中に埋め込まれれたコーティングされた顆粒の形態下にある。
【0039】
本発明の別の目的は、動脈性高血圧を治療し、そして心筋梗塞のような他の心臓血管疾患、脳血管性障害、及び心及び腎不全を予防する薬剤の製造におけるラミプリル及びアムロジピンベシル酸塩の使用であり、その際、前記薬剤は、請求項1〜10のいずれか1項に記載の固定用量の安定な固形組成物中に存在する。
【0040】
発明の詳述
本発明の固定用量の安定な経口固形医薬組成物は、ラミプリル、アムロジピンベシル酸塩及び薬学的に許容しうる賦形剤を含み、ここにおいて、ラミプリルは、アムロジピンベシル酸塩から物理的に分離されており、そしてなんら塩基性化剤(basifying agent)を添加することなく生じる。
【0041】
特定の実施態様において、配合剤(combination)のpHは、4.7〜5.0の間、又は好ましくは約4.9である。
【0042】
この多剤混合薬の固形剤形は、アムロジピンベシル酸塩が分解を受けず、そしてこの配合剤(combination product)が、完成した包装中にあるとき、同じ用量の個々の参照生成物に関するよりもいっそう少ない低減された及び制御された不純物を示すため、特に好都合である。
【0043】
ラミプリルの安定な医薬製剤の製造は、ある種のタイプのpH依存性分解を受けやすいため、複雑である。
【0044】
ラミプリルDKPの形成は、製剤のpHに、特に非常に低いpH値で著しく左右される。報告された文献には、ラミプリルの微小環境のpHを高めるとDKP不純物の形成が最小限になると記載されている。
【0045】
アムロジピンでは、アムロジピンの光分解性不純物−Dは、アルカリ環境ではより多く、そして弱酸性環境ではより少なく形成される。Istin錠のpHは7.2であるが、CardaceのpHは、約4.2〜4.3である(ラミプリル+アムロジピン錠剤中のpH4.7〜5.0に対して)。
【0046】
FDC生成物中に塩基性の性質である顆粒外アムロジピンベシル酸塩(特別に乾式混合された)を含むことで、FDC錠のpHが4.7〜5.0の間になる。このように、配合製剤(combination formulation)中のラミプリルの安定性が改善された。
【0047】
同様に、ラミプリルの酸性の性質のため、アムロジピンの安定性は、不純物−Dの形成に関して改善された(形成される光分解物は、アルカリ環境ではより多く、そして酸性環境ではより少ない)。
【0048】
従って、このやり方で、2つの活性物質の相乗的pH安定化効果、及び賦形剤の直接圧縮グレード(低水分グレード)の適当な選択により、分解を受けやすい生成物を組み合わせた処方が可能になった。その結果、(アムロジピンの不純物D及びラミプリルDKP)が、それらの個々の革新者の生成物よりも少ないことが見出された。
【0049】
好ましいラミプリル及びアムロジピンベシル酸塩組成物
2つの活性物質は、錠剤又はペレットのような単一の単位剤形に存在し、その中で、ラミプリルはアムロジピンベシル酸塩から物理的に分離されている。
【0050】
2つの活性物質を錠剤剤形中に処方することは、それぞれLupin Laboratories、インド、Libb's Laboratories、ブラジル及びDr. Reddy's Laboratories、インドによってRAMISTAR-Aカプセル、NAPRIX-Aカプセル及びSTAMACEカプセルの商標名の下ですでに市販されているカプセル剤形を超える前記利点が立証され、よく知られているため、必要であった。錠剤剤形は、カプセルシェル中にゼラチンが存在するため処理中に低湿度のような特殊な製造条件を必要としない。
【0051】
薬学的に許容しうる賦形剤は、希釈剤、崩壊剤、固結防止剤、結合剤、滑沢剤及びそれらの混合物からなる群より選ばれ、そしてその際、賦形剤混合物のpHは、6.1〜6.3まで、好ましくは6.2である。
【0052】
アムロジピンベシル酸塩及びラミプリルと共に本発明に使用するために適した薬学的に許容しうる添加剤は、適した希釈剤、例えば結晶セルロース、アルファ化デンプン及び適した滑沢剤、例えばフマル酸ステアリルナトリウム又はフマル酸ステアリルナトリウムから選ばれる。
【0053】
錠剤の好ましい形態では、ラミプリルは、賦形剤と共に顆粒外に(extra granularly)加えたアムロジピンベシル酸塩を含む顆粒外層マトリックス中に埋め込まれた顆粒の形態下で存在する。
【0054】
ラミプリルをHPMCのような結合剤と共に造粒し、そして顆粒を乾燥し、そして顆粒外に加えられたアムロジピンと共に賦形剤とブレンドする。
【0055】
本発明の好ましい組成物は、以下の成分:ラミプリル(2.5〜10%)、アムロジピンベシル酸塩(7%)、希釈剤約35%〜50%、崩壊剤約40〜45%、44%、結合剤約0.4〜2%、0.44〜1.77%及び滑沢剤0.2〜0.6%の1つ又はそれ以上を示された濃度範囲(質量%)で含む。
【0056】
本発明のより好ましい組成物は、以下の成分:アムロジピンベシル酸塩(7%)、希釈剤36.73%〜45.56%、崩壊剤44%、結合剤0.44〜1.77%及び滑沢剤0.5%の1つ又はそれ以上を示された濃度範囲(質量%)で含む。
【0057】
本発明のラミプリル及びアムロジピン多剤混合薬の錠剤について観察された最終的なpHは、4.7から5.0まで、好ましくは4.9であるが、個々の参照生成物のpHは、アムロジピンベシル酸塩(Istin錠)については7.2、ラミプリル(Cardace)については約4.2〜4.3であることがわかった。
【0058】
使用される最終的な一次包装材は、ブリスター包装、すなわちデュープレックス(300micPVC/90gsmPVdC)である。これらの材料は、薬物生成物における太陽光の直接暴露を抑えることによってアムロジピン中の不純物−Dの生成が高まるのを防止する。
【0059】
安定性性能
本発明の組成物中の制御すべき主な不純物は、3−エチル−5−メチル−2−[(2−アミノエトキシ)メチル]−4−(2−クロロフェニル)−6−メチルピリジン−3,5−ジカルボキシレートとして当分野で知られている不純物Dである。
【0060】
ラミプリル及びアムロジピンベシル酸塩は、化学的に不安定であり、そのため分解しやすいことが先行技術でよく知られている。広範な薬物賦形剤適合性研究及び賦形剤特性評価に基づいて、2つの不安定な活性物質を一緒に安定な剤形に処方したところ、観察により、試験製剤が不純物に関して個々の参照生成物よりもより良好であることが見出された。
【0061】
本発明による組成物では、ラミプリル及びアムロジピンが物理的に分離された場合、3.29%であった個々の参照生成物Cardaceに関して、40℃/75%RHで6ヵ月後に、ラミプリルDKP不純物(潜在的分解物)3.19%(w/w)が見出された。試験生成物の不純物プロファイルをRamistar-A及び又はStamaceのような市販銘柄と比較したときに、ラミプリルDKP不純物及びアムロジピン−D不純物が試験製剤中で著しく少ないことが観察された。
【0062】
本発明の経口医薬組成物を、以下の条件;40℃及び相対湿度RH75%、並びに25℃及びRH60%で加速安定性研究にかけた。これらを、ラミプリルと同様にアムロジピンベシル酸塩についてアッセイ、インビトロでの溶解、水分含量及び初期と6ヵ月の時点の間に測定された関連物質に基づいて評価した。
【0063】
本発明の特定の組成物では、アムロジピンベシル酸塩の分解プロファイルにおける影響が低くなっている。
【0064】
その結果、ラミプリル及びアムロジピンの両方が物理的に分離されると、アムロジピン不純物D及びラミプリルDKPが著しく減少する。
【0065】
具体的には、ラミプリルが造粒され、そしてアムロジピンが顆粒外部分に加えられた製剤中でアムロジピン中の不純物レベルが極めて低く、目標限度内であることが研究された。この組成物は、参照生成物のそれより非常に低い不純物レベルを示す。顆粒外的なアムロジピンの添加は、これにより、適当な賦形剤で処方した場合、別なやり方ではそれぞれ非常に不安定である2つの活性物質間の粒子と粒子の接触が最小限となるため、製剤に有意な安定性をもたらした。
【0066】
2つの個々の活性成分を単一剤形中に処方することは、化学的不安定性の観点で課題であった。
【0067】
これは、賦形剤又はプラセボブレンドを適当な比率で適当に選択し、そして活性成分と混合することによって達成された。生成物を安定化する活性物質周辺の微小環境で所望のpHにする際、重要な役割を果たすのがプラセボのpHであった。
【0068】
従って、多剤混合薬生成物中の潜在的分解物のパーセンテージに対する「プラセボブレンドのpH」の効果を研究するため、異なるpHの異なるプラセボブレンドを製剤中に用い、そして安定性を評価した。
【0069】
安定性結果は、製剤の安定性におけるプラセボのpHの有意な寄与を明らかに示している。ここで、製剤中のプラセボの適当なpHの選択は、生成物中の不純物レベルに左右される(すなわち、アムロジピンから生じる不純物D及びラミプリルからのラミプリルDKP)。
【0070】
プラセボのpH6.4及び6.7を有する製剤との比較においてラミプリルDKPのレベルが最低であったため、6.1と6.3の間、好ましくは6.2のpHをもたらすプラセボ
の使用が最終的に選ばれた。
【0071】
配合剤の安定化に関与する活性物質の周辺の微小環境のpHの有意な寄与があり、そしてこの推論は予想することができなかった。
【0072】
錠剤プラセボの単位質量を50mlの精製水に加え、そしてきれいなガラスロッドを用いて手で撹拌し、そして適当な較正されたpH計を用いてpHを記録した。
【0073】
均質性及び均一性性能
生成物の安定化の後、強力かつ拡張性のある(scalable)製剤の開発が課題であった。
【0074】
次いで、実際に、目的は、均質性及び均一性を達成すること、すなわち、活性物質(特にアムロジピン)の適当な均質性を達成するためにラミプリル顆粒と製剤の顆粒外部分の嵩密度を適合させることであった。
【0075】
アムロジピン及び結晶セルロースの嵩密度は、それぞれ0.313g/ml及び0.347g/mlであることがわかったので、密度が0.277g/mlであることがわかったラミプリル顆粒と適合させることは困難であった。
【0076】
従って、ラミプリル顆粒の嵩密度を高める必要があった。
【0077】
これは、ラミプリル顆粒及びアルファー化デンプンの嵩密度が、顆粒外部分の嵩密度の近くに達するように、さらに嵩高い賦形剤と混合する(これによりアルファー化デンプンとして)ことによって行った(これによりアムロジピンベシル酸塩+結晶セルロース)。
【0078】
次いで、適当な均質性を達成し、そして活性物質の分布を改善するため、嵩密度に基づいて同時ふるいにかけて混合する(co-sifting mixing)方法論を選んだ。この方法を用いた結果は、「幾何学的に(geometrically)」混合する方法を用いるよりも良好であった。
【0079】
溶解性能
ラミプリル及びアムロジピンベシル酸塩の組み合わせを含んでなる錠剤の「溶解性能」を0.1N HCl、pH4.5酢酸緩衝液及びpH6.8リン酸緩衝液のような多元的媒体の溶解条件における各参照生成物の溶解性能と比較した。溶解の進行を初期点と60分の間のさまざまな時点でモニターした。
【0080】
結果は、本発明のアムロジピンベシル酸塩の組み合わせを含んでなる錠剤の溶解性能は、それぞれ活性成分ラミプリル又はアムロジピンを単独で含む錠剤の溶解性能と同等であることを示している。
【0081】
生物学的同等性
生物学的同等性研究は、無作為化クロスオーバー(randomized crossover)研究において標準的な健常成人男性被験者について絶食条件下で、試験生成物:本発明の錠剤、ラミプリル10mg及びアムロジピンベシル酸塩5mgの多剤混合薬と参照生成物:Aventis Pharma Ltd.、インドのCardace(R)(ラミプリル)錠10mg及びPfizer、英国のISTIN(R)(アムロジピンベシル酸塩)錠5mgの自由な用量の組み合わせの間で実施した。
【0082】
方法論:
全46人の健常な成人男性被験者を本研究に登録した。投薬前に少なくとも10時間、各期間中の投薬後48時間まで被験者を施設中に閉じこめた。少なくとも10時間の一夜断食後、被験者に各期間中240mLの水と共に研究薬物(無作為化スケジュール当たりとして試験生成物又は両方の参照生成物の単回経口用量)を投与した。投薬前から216.00時間(投薬後)まで各研究期間中に被験者から全29個の血液サンプル(各6mL)を採取した。変更可能な(ambulatory)基準において投薬後72.00、120.00、168.00及び216.00時間のサンプルを採取した。ラミプリル、ラミプリラト及びアムロジピンの血將中濃度の分析を有効なLC−MS/MS分析法によって行った。非コンパートメント法(non compartmental method)を使用して薬物濃度時間プロファイルを用いて薬物動態学的パラメーターを算出した。製剤の薬物動態学的パラメーターの統計的比較を行ってラミプリル、ラミプリラト及びアムロジピンの生物学的同等性を評価した。
【0083】
結論
ラミプリル、ラミプリラト及びアムロジピンの統計分析に基づいて、試験生成物:ラミプリル及びアムロジピンの錠剤10/5mgは、絶食条件下の吸収の速度及び範囲に関して参照生成物(1):Cardace(ラミプリル錠I.P)及び参照生成物(2):ISTIN[アムロジピン(ベシル酸塩として)]と生物学的に同等であると結論を下された。
【0084】
製造方法
ラミプリル及びアムロジピンベシル酸塩を含んでなる安定な経口医薬組成物の製造方法は、以下の工程:
1.ラミプリル及び1つ又はそれ以上の薬学的に許容しうる賦形剤を、結合剤を含む水溶液を用いて造粒して顆粒を形成し、そして顆粒を乾燥する工程、
2.別途、アムロジピンベシル酸塩を薬学的に許容しうる賦形剤とブレンドする工程、
3.工程2のラミプリル顆粒を工程3)のアムロジピンベシル酸塩ブレンドとブレンドする工程;
4.場合により予め滑沢化する工程の後;工程3)のブレンドを滑沢化する工程;及び
5.混合物を錠剤に圧縮する工程;
含む。
【0085】
好ましくは工程1)において、許容しうる賦形剤は、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウムからなる群より選ばれる。好ましくは、許容しうる結合剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなセルロース誘導体からなる群より選ばれる。
【0086】
好ましい実施態様において、錠剤の均質性を達成するため、方法は、以下の工程
1)ヒドロキシプロピルメチルセルロース顆粒としてラミプリルを添加する工程、
1a)ラミプリル顆粒をアルファー化デンプンの半分と共に同時ふるいにかける工程、
2)アムロジピンベシル酸塩を結晶セルロースの半分と共に同時ふるいにかける工程、
3)工程3の物質を工程2の物質と混合し、そして混合機中で20分間ブレンドして同質性を達成する工程、
3a)#40メッシュを通して結晶セルロース及びアルファー化デンプンの残りの部分を同時ふるいにかける工程、
3b)工程4及び5を適した混合機中18rpmで15分間ブレンドする工程、
4)フマル酸ステアリルナトリウムを用いて工程6の混合物を滑沢化する工程、
5)打錠機上で適した杵を用いてブレンドを錠剤に圧縮する工程、
を含む。
【0087】
実施例1.pH6.2のプラセボを用いた組成物
【表1】

【0088】
方法:
1.ラミプリルをヒドロキシプロピルメチルセルロース顆粒として添加した。
2.ラミプリル顆粒をアルファー化デンプンと共に幾何学的に混合した。
3.アムロジピンベシル酸塩及び結晶セルロースを幾何学的に混合し、そしてそれらを工程2の物質とブレンド、そして混合機中で20分間ブレンドして同質性を達成した。
4.フマル酸ステアリルナトリウムを用いてブレンドを滑沢化した。
5.錠剤圧搾器上で適した杵を用いてブレンドを錠剤に圧縮した。
6.錠剤を乳白色デュープレックス中に包装し、そして6ヵ月の加速安定性研究にかけて、潜在的分解物のパーセンテージについて初期及び6ヵ月の間隔で分析した。
【0089】
【表2】

【0090】
結晶セルロース及びアルファー化デンプンの異なる比率を用いて、製剤のさらなる試験において2つの活性物質の安定化におけるプラセボのpHの効果の研究を試験した。
【0091】
実施例2:pH6.0のプラセボを用いた組成物
【表3】

【0092】
方法:
1.ラミプリルをヒドロキシプロピルメチルセルロース顆粒として添加した。
2.ラミプリル顆粒を結晶セルロースと幾何学的にブレンドした。
3.アムロジピンベシル酸塩及びアルファー化デンプンを幾何学的にブレンドし、そしてそれらを工程2の物質と混合し、そして混合機中で25分間ブレンドして同質性を達成した。
4.フマル酸ステアリルナトリウムを用いてブレンドを滑沢化した。
5.打錠機上で適した杵を用いてブレンドを錠剤に圧縮した。
6.錠剤を乳白色デュープレックス中に包装し、そして6ヵ月の促進安定性研究にかけ、潜在的分解物のパーセンテージについて初期及び6ヵ月の間隔で分析した。
【0093】
【表4】

【0094】
実施例3:pH6.7のプラセボを用いた組成物
【表5】

【0095】
方法:
1.ラミプリルをヒドロキシプロピルメチルセルロース顆粒として添加した。
2.ラミプリル顆粒をアルファー化デンプンと幾何学的にブレンドした。
3.アムロジピンベシル酸塩及び結晶セルロースを幾何学的にブレンドし、そしてそれらを工程2の物質と混合し、そして混合機中で25分間ブレンドして同質性を達成した。
4.フマル酸ステアリルナトリウムを用いてブレンドを滑沢化した。
5.打錠機上で適した杵を用いてブレンドを錠剤に圧縮した。
6.錠剤を乳白色デュープレックス中に包装し、そして6ヵ月の促進安定性研究にかけ、潜在的分解物のパーセンテージについて初期及び6ヵ月の間隔で分析した。
【0096】
【表6】

【0097】
実施例番号1、2及び3の安定性結果は、製剤の安定性におけるプラセボのpHの有意な寄与を明らかに示している。ここで、製剤中のプラセボの適当なpHの選択は、生成物中の不純物のレベルに左右される(すなわち、アムロジピンから生じる不純物D及びラミプリルからのラミプリルDKP)。6.4及び6.7のプラセボpHを有する製剤と比較してラミプリルDKPのレベルが最低であったため、pH6.2となるプラセボの使用が最終的に選ばれた。
【0098】
配合剤の安定化に関与する活性物質の周りの微小環境のpHの有意な寄与があった。
【0099】
生成物の安定化後、以下の実験は、均質性及び均一性を達成する方法
並びに強力でありかつ拡張性のある(scalable)製剤の開発を示している。
【0100】
実施例4:
【表7】

【0101】
方法:
1.ラミプリルをヒドロキシプロピルメチルセルロース顆粒として添加した。
2.#30メッシュふるいを通してラミプリル顆粒を結晶セルロースと共に同時ふるいにかけた。
3.アムロジピンベシル酸塩及びアルファー化デンプンを同時ふるいにかけ、そしてそれらを工程2の物質と混合し、そして混合機中で5分間ブレンドして同質性を達成した。
4.フマル酸ステアリルナトリウムを用いてブレンドを滑沢化した。
5.打錠機上で適した杵を用いてブレンドを錠剤に圧縮した。
6.錠剤を乳白色デュープレックス中に包装し、そして6ヵ月の加速安定性研究にかけ、潜在的分解物のパーセンテージについて初期及び6ヵ月間隔で分析した。
【0102】
実施例4及び5において、API及び賦形剤の量は、実施例1〜3と異なる。
【0103】
【表8】

【0104】
適当な均質性を達成し、そして活性物質の分布を改善するため、嵩密度に基づく異なる混合方法論を用いた。
【0105】
ここでの目的は、活性物質(特にアムロジピン)の適当な均質性を達成するために製剤のラミプリル顆粒と顆粒外部分の嵩密度を合わせることであった。
【0106】
アムロジピン及び結晶セルロースの嵩密度は、それぞれ0.313g/ml及び0.347g/mlであることがわかったため、密度が0.277g/mlであることがわかったラミプリル顆粒と合わせることにした。
【0107】
従って、ラミプリル顆粒及びアルファー化デンプンの嵩密度が顆粒外部分の嵩密度近くに到達するように、さらに嵩高い賦形剤と混合することによって(これによりアルファー化デンプンとして)ラミプリル顆粒の嵩密度を高めた(これによりアムロジピンベシル酸塩+結晶セルロース)。
【0108】
この方法論を用いた以下の試験は、製剤中の良好な均質性を達成するための方法を示している。
【0109】
実施例5:
【表9】

【0110】
方法:
1.ラミプリルをヒドロキシプロピルメチルセルロース顆粒として添加した。
2.ラミプリル顆粒をアルファー化デンプンの半分と共に同時ふるいにかけた。
3.アムロジピンベシル酸塩を結晶セルロースの半分と共に同時ふるいにかけ、そしてそれらを工程2の物質とブレンド、そして混合機中で20分間ブレンドして均質性を達成した。
4.#40メッシュを通して結晶セルロース及びアルファー化デンプンの残りの部分を同時ふるいにかけた。
5.工程2、3及び4を適した混合機中18rpmで15分間ブレンドした。
6.フマル酸ステアリルナトリウムを用いて工程5のブレンドを滑沢化した。
7.打錠機上で適した杵を用いてブレンドを錠剤に圧縮した。
【0111】
【表10】

【0112】
実施例6:生物学的同等性溶解プロファイル
本発明の生成物の溶解プロファイルを、参照生成物の溶解プロファイルと比較した。本研究は、以下のように確立された多元的媒体溶解(multimedia dissolution)プロフィル研究条件ごとに実施した。
【0113】
ラミプリル+アムロジピン10/5mg錠の多元的媒体溶解プロファイル
【表11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラミプリル、アムロジピンベシル酸塩及び薬学的に許容しうる賦形剤を含んでなる固定用量の安定な経口固形医薬組成物であって、コーティングされた顆粒形態のラミプリルが、アムロジピンベシル酸塩を含む顆粒外層マトリックス中に埋め込まれる、上記組成物。
【請求項2】
固形組成物がpH4.7〜5.0、好ましくは4.9を有する単層錠剤の形態をとる請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
錠剤がデュプレックスブリスターパック中のさらなる包装である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
ラミプリルが全組成物の約2.0質量%と約20質量%の間、好ましくは全組成物の約2.5質量%又は約10質量%に相当する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
アムロジピンベシル酸塩が全組成物の約5質量%と約10質量%の間、そして好ましくは約7.0質量%に相当する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
薬学的に許容しうる賦形剤が希釈剤、崩壊剤、固結防止剤、結合剤 滑沢剤及びそれらの混合物からなる群より選ばれ、そして賦形剤混合物のpHが、6.1〜6.3、好ましくは6.2である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
ラミプリルの量が錠剤の全質量の2.5mgと10mgの間、好ましくは2.5mg又は10mgを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の固形組成物。
【請求項8】
アムロジピンベシル酸塩の量が錠剤の全質量の5mgと10mgの間、好ましくは7mg含まれる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の固形組成物。
【請求項9】
錠剤の全質量が80mgと100mgの間、好ましくは100mgである、錠剤の形態下の請求項1〜8のいずれか1項に記載の固形組成物。
【請求項10】
40℃及びRH75%で6ヵ月後、約3.19%未満(w/w)のラミプリルDKP及び約0.14%未満(w/w)のアムロジピン不純物−Dを有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
ラミプリル及びアムロジピンベシル酸塩を含んでなる安定な経口医薬組成物の調製方法であって、
1)ラミプリル及び1つ又はそれ以上の薬学的に許容しうる賦形剤を、結合剤を含む水溶液を用いて造粒して顆粒を形成する工程、
2)顆粒を乾燥する工程;
3)別途、アムロジピンベシル酸塩を薬学的に許容しうる賦形剤とブレンドする工程、
4)工程ii)のラミプリル顆粒を工程iii)のアムロジピンベシル酸塩ブレンドと混合する工程;
5)場合により予め滑沢化する工程の後;工程iv)のブレンドを滑沢化する工程;及び
6)混合物を圧縮して錠剤にする工程;
を含む、上記方法。
【請求項12】
方法の工程1及び3)に用いられる薬学的に許容しうる賦形剤の群が、希釈剤、崩壊剤、固結防止剤、結合剤、滑沢剤及びそれらの混合物からなる群より選ばれ、そして賦形剤混合物のpHが6.1〜6.3まで、好ましくは6.2である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
薬学的に許容しうる賦形剤がヒドロキシルプロピルメチルセルロース、アルファー化デンプン、結晶セルロース及びフマル酸ステアリルナトリウムから選ばれる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
錠剤をコーティングする工程及び適したデュプレックスブリスターパック中に包装する工程をさらに含む、請求項11〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
1)ラミプリルをヒドロキシプロピルメチルセルロース顆粒として添加する工程、
1a)ラミプリル顆粒をアルファー化デンプンの半分と共に同時ふるいにかける工程、
2)アムロジピンベシル酸塩を結晶セルロースの半分と共に同時ふるいにかける工程、
3)工程3の物質を工程2の物質と混合し、そして混合機中で20分間ブレンドして同質性を達成する工程、
3a)#40メッシュを通して結晶セルロース及びアルファー化デンプンの残りの部分を同時ふるいにかける工程、
3b)工程4及び5を適した混合機中18rpmで15分間ブレンドする工程、
4)フマル酸ステアリルナトリウムを用いて工程6のブレンドを滑沢化する工程、
5)打錠機上で適した杵を用いてブレンドを錠剤に圧縮する工程、
を含む、請求項11〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
ラミプリル及びアムロジピンベシル酸塩を含む固定用量の安定な経口固形医薬組成物を製造するための、希釈剤、崩壊剤、抗粘着剤、結合剤、滑沢剤及びそれらの混合物からなる群より選ばれる薬学的に許容しうる賦形剤のブレンドがpH6.1〜6.3、好ましくは6.2を有するブレンドの使用であって、固形組成物がpH4.7〜5.0、好ましくは4.9を有する単層錠剤の形態をとる、上記使用。
【請求項17】
薬学的に許容しうる賦形剤が、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、アルファー化デンプン、結晶セルロース及びフマル酸ステアリルナトリウムから選ばれる、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
ラミプリルが、アムロジピンベシル酸塩を含む顆粒外層マトリックス中に埋め込まれたコーティングされた顆粒の形態下にある、請求項16又は17に記載の使用。
【請求項19】
動脈性高血圧の治療、並びに心筋梗塞のような他の心臓血管疾患、脳血管性障害、及び心及び腎不全の予防のための薬剤の製造におけるラミプリル及びアムロジピンベシル酸塩の使用であって、該薬剤が、請求項1〜10のいずれか1項に記載された固定用量の安定な固形組成物中に存在する、上記使用。

【公表番号】特表2013−520485(P2013−520485A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554429(P2012−554429)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【国際出願番号】PCT/IB2010/051616
【国際公開番号】WO2011/104588
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(397056695)サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (456)
【Fターム(参考)】