説明

ランセットシステム

【解決手段】 ハンドル部と針支承部とを有するランセットを有し、前記針支承部は安全キャップで保護された細い針を保持するものである穿刺システム。前記安全キャップは第1および第2のチャンバーを有し、当該第1のチャンバーはシースとして作用し、前記第2のチャンバーは、前記ランセット本体の針支承部が当該第2のチャンバーに挿入された時に前記針を構造的に損傷させるように位置決めされている表面を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、以下の米国特許出願に対して優先権を主張するものである。すなわち、2007年7月21日付で出願された米国仮特許出願第60/961,411号(名称"A lancet with a very thin and short needle and a safety cap")、2007年12月15日付で出願された米国仮特許出願第61/007,876号(名称"Lancet with a very thin and short needle suitable for a child")、2008年1月9日付で出願された米国仮特許出願第61/010,459号(名称"A safety locking system for a used blood lancet")、2008年1月29日付で出願された米国仮特許出願第61/062,696号(名称"Lancet cap for a lancet with very thin and short needle")、2008年2月24日付で出願された米国仮特許出願第61/030,975号(名称"A lancet cap having flanges")、2008年4月4日付で出願された米国仮特許出願第61/123,099号(名称"Lancet needle reinforcement bar")、2008年4月16日付で出願された米国仮特許出願第61/124,281号(名称"Flat lancet with a thin and short needle")、2008年4月22日付で出願された米国仮特許出願第61/125,096号(名称"A flat lancet")、および2008年5月19日付で出願された米国仮特許出願第61/128,142号(名称"Flat lancet with a pedestal")に対する優先権を主張するものである。前記各出願の開示内容の全体はこの参照により本明細書に組み込まれるものである。
【背景技術】
【0002】
医学的分析に関連して血液は様々な試験の対象となる。血中グルコース値の測定は、糖尿病をモニタリングおよび治療するために用いられ、広く実施されている試験の1つである。糖尿病患者は、血中グルコース値をモニタリングするために頻繁に自己の血中グルコース値を検査する。
【0003】
グルコース試験に用いる血液を採取するために、患者は典型的に針を有するランセットを用いて皮膚を穿刺し、試験用に採血する。典型的には、ランセットは、バネシステムを用いてランセットを患者の皮膚に向かって推進させる穿刺装置と共に用いる。穿刺装置がランセットを起動すると、ランセットの針が穿刺装置の端部に位置する出口孔を通って前方へ押され、患者の皮膚に入る。出口孔を形成する材料は、典型的には少なくとも厚さが1mmで、ランセット針は典型的には長さが約3mmで、出口孔を貫通して患者の皮膚を穿刺することができるようになっている。この針の長さを鑑みると、現在のランセット針は一般的に21〜33ゲージの範囲である。現在のランセット針の実質的な厚さと長さは、利用者、特に子供にとって威圧感を与える可能性がある。
【0004】
患者の皮膚を穿刺する時、ランセットは痛みを生じさせる可能性がある。ランセットによる痛みの度合いは、一般的に、ランセットにより生じた傷の大きさと、傷の位置とに相関する。ランセットによる傷が小さい場合検体として十分な血液が得られない場合があり、一方傷が大きい場合は相当な痛みが生じ、治癒が遅れる。
【0005】
現在のランセットにおいては、通常、当該ランセットに嵌合する単一コンパートメントを有するキャップが提供され、使用前と使用後にランセットの針を覆う。しかしながら、患者は、キャップを外して針を確認しない限り、覆われた針が使用済みであるかどうか判別できない。針を目視点検しても明確に判断できないことがあり、場合によっては、滅菌されていない針を患者が再使用することになりかねない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、現在の穿刺装置の欠点を是正する、改善されたランセットおよび穿刺システムが必要である。本発明のランセットおよび穿刺システムは、この必要に取組んだものであり、生じる痛みおよび威圧感が少なく、不慮の怪我を防止することができる。一実施形態において、本発明のランセットは、ハンドル部と、1若しくはそれ以上の針を有する針支承部とを有する本体を有する。好ましくは、ランセット本体の針支承部は、ランセット本体の遠端部で第1の直径を有する上面と、針支承部の上面に対して近位である第2の直径を有する第2の面とを有する。第1の直径は、第2の直径よりも小さく、一実施形態における前記針支承部の上面は、ランセットの第2の面に向かって外向きにテーパ状になっている。全ての実施形態における針は、好ましくは少なくとも34ゲージである。
【0007】
好ましくは、本発明のランセットは穿刺装置と併用され、この穿刺装置はランセットを保持し、作動時に当該ランセットを前方向に付勢して利用者の皮膚表面を穿刺することができる。前記穿刺装置は開口部を有し、この開口部は、ランセット針および前記ランセットの針支承部の少なくとも上面が当該開口部を貫通することができるサイズである。これにより、現在、採血用ランセットで用いられているものよりも短く細い針を本発明のランセットで用いることができ、より一貫した皮膚表面針入を実現することができる。皮膚表面は好ましくは0.5〜1.0mmの深さで貫通され、試験のために十分な血液を採血する一方で患者の痛みを抑える。
【0008】
本発明の穿刺システムは、さらに、前記ランセットの針を受容する第1および第2のコンパートメントを有する安全キャップを有し、前記第1のコンパートメントは、前記ランセットの前記針が前記キャップの第1のコンパートメントに挿入され、前記キャップが取外し可能に前記ランセットに固定された時に、前記ランセットの前記針を収納するサイズである。前記第2のコンパートメントは、前記ランセットが前記キャップの第2端部に挿入された時に前記ランセットの前記針に接触してこのような針を構造的に損傷させる(compromise)ように配置された表面を含む。安全キャップをランセット本体と一緒に射出成形する実施形態においては、第1のコンパートメントは、ランセット本体の形成時と同時に、ランセットの1若しくはそれ以上の針の周りに形成することができる。そのような実施形態では、ランセットキャップの重量の配分にむらが出ることがあり、そのような場合、安全キャップおよび/またはランセット本体に取付ける補強バーを形成して安全キャップをランセットの針の周りで安定させ、当該安全キャップの第1のコンパートメント内に収納されている時に不意に針が曲がる事態を防止することができる。
【0009】
一実施形態において、第1および第2のコンパートメントは、安全キャップの対向する端部に配置することができ、第2のコンパートメントの表面は、第1のコンパートメントと第2のコンパートメントとの間の仕切りの一部とすることができる。選択的に、キャップの第2のコンパートメントは、取外し自在にランセットに固定可能にすることができる。例えば、ランセット本体には、キャップの第1のコンパートメントの溝と係合するねじ山を設けることができる。キャップはまた、キャップの第1端部と第2端部とを区別するインジケータを有することにより、ランセット針が不意に損傷されないようにすることができる。さらに、キャップの第1端部はフランジまたはその他の支持材を有し、キャップが第1端部の上に立脚させることができる。
【0010】
別の実施形態においては、ランセット本体およびキャップの第2のコンパートメントは、ランセットが一旦キャップの第2のコンパートメントに挿入された後は針刺し事故(needle stick injuries)を防止するよう、不動状態に固定する構造とする。例えば、前記ランセット本体の遠位部は、当該遠位部よりも近位にあるランセット本体の部分の円周を超えて延出する、突出した、好ましくは円錐形の部分を有することができ、安全キャップの第2のコンパートメントの内壁は、前記ランセット本体の突出部分を保持する環状の凹部を有することができる。あるいは、第2のコンパートメントの内壁は、ランセット本体の突出部分と係合して、ランセットが安全キャップから抜けるのを防止する、内向きに延出したフランジを有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、先行技術によるランセットの透視図である。
【図2】図2は、2本の針を有する本発明のランセットの一実施形態の透視図である。
【図3】図3は、本発明の安全キャップの一実施形態に挿入した後の、2本の針を有する本発明のランセットの一実施形態の透視図である。
【図4A】図4Aは、穿刺装置内での、図1の先行技術によるランセットの遠位部の断面図である。
【図4B】図4Bは、穿刺装置内での、本発明のランセットの一実施形態の断面図である。
【図5A】図5Aは、先行技術によるランセットによる利用者の皮膚針入を示す断面図である。
【図5B】図5Bは、先行技術によるランセットによる利用者の皮膚針入を示す、別の断面図である。
【図5C】図5Cは、本発明のランセットの一実施形態による利用者の皮膚針入を示す断面図である。
【図5D】(該当説明なし)
【図6A】図6Aは、本発明の別のランセットの透視図である。
【図6B】図6Bは、図6Aのランセットの側面の平面図である。
【図6C】図6Cは、図6Aのランセットと併用する安全キャップの透視図である。
【図6D】図6Dは、図6Cの安全キャップの側面の断面図である。
【図6E】図6E〜6Hは、図6Cの安全キャップと図6Aのランセットとの併用を示す透視図である。
【図6F】図6E〜6Hは、図6Cの安全キャップと図6Aのランセットとの併用を示す透視図である。
【図6G】図6E〜6Hは、図6Cの安全キャップと図6Aのランセットとの併用を示す透視図である。
【図6H】図6E〜6Hは、図6Cの安全キャップと図6Aのランセットとの併用を示す透視図である。
【図7A】図7Aは、本発明の安全キャップの透視図である。
【図7B】図7Bは、図7Aの安全キャップ断面図である。
【図7C】図7Cは、安全キャップの第2のチャンバーを示す、図7Aの安全キャップの平面図である。
【図7D】図7Dは、本発明のランセットの一実施形態の遠端部の透視図である。
【図7E】図7Eは、図7Dのランセット上で保持される図7Aの安全キャップの透視図である。
【図7F】図7Fは、図7Aの安全キャップの第2のチャンバーに挿入した後の、図7Dのランセットを示す断面図である。
【図8A】図8Aは、本発明のランセットの一実施形態の平面図である。
【図8B】図8Bは、図8Aのランセットの側面図である。
【図8C】図8Cは、本発明のランセットの別の実施形態の平面図である。
【図8D】図8Dは、図8Cのランセットの側面図である。
【図9A】図9Aは、本発明のランセットのさらに別の実施形態の平面図である。
【図9B】図9Bは、図9Bのランセット上で保持される図7Aの安全キャップの平面図である。
【図9C】図9Cは、図9Cのランセットの側面図である。
【図10】図10は、先行技術による穿刺装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
定義
本明細書で用いたように、次の用語とその変形は、以下の意味を有する。ただし、そのような用語が用いられている文脈により、異なる意味が明確に意図されている場合は除く。
【0013】
「約」は、言及されたパラメータまたは測定値の20%以内、好ましくは、そのようなパラメータまたは測定値の10%以内を意味する。
【0014】
「チャンバー」は、閉鎖された、または部分的に閉鎖された空間を意味する。本発明の安全キャップは、1若しくはそれ以上のチャンバーを含み、その各々は、針、および/または本発明のランセットの針支承部を受容する開口部を含む。
【0015】
「内向き」は、文脈により、装置または部品の内部に向かって、または長軸に向かう方向に、という意味である。
【0016】
「ランセット」は、血液検体を得るために個人の皮膚表面を穿刺することができる1若しくはそれ以上の針を有する装置を意味する。
【0017】
「穿刺装置」は、ランセットを保持し、ランセットの1若しくはそれ以上の針を個人の皮膚表面を貫通するように突出させることができる装置を意味する。
【0018】
略語「mm」は、ミリメートルを指す。
【0019】
「針」は、鋭頭な器具を意味する。
【0020】
「外向き」は、表面から遠ざかる方向に、という意味である。表面が装置または部品の内部にある場合、外向きとは、文脈により、装置または部品の外部に向かって、または長軸から離れた地点へ向かって、という意味である。
【0021】
本明細書で用いたように、「有する(comprise)」、および例えば「comprising」および「comprises」などの前記の語の変形は、他の追加物、部品、整数、または工程を除外することを意図していない。
【0022】
本明細書で用いる「a」、「an」、および「the」、および同様な指示物は、文脈における用い方によりそうではないと示されない限り、単数と複数の両方を含有するものと解釈すべきである。
【0023】
ランセット
第1の実施形態によると、本発明は、血液検体を得るための改善されたランセット10に関する。例えば図2に示したように、本発明のランセット10は、ハンドル24部と、1若しくはそれ以上の針40を保持する針支承部30とを有する本体20を有する。ハンドル部24は、患者がランセットを保持し、操作できるように構成され、また、好ましくは、穿刺装置60により保持されるように構成されている。
【0024】
針支承部
図1に示したように、先行技術によるランセット10は、典型的には、針支承部30の遠位面38から延出した1本の針40を有する。図4Aは、さらに、現在のランセットを現在の穿刺装置60内で用いた時に、針支承部30の遠位面38が穿刺装置の内腔65の内側表面66に接触することにより、ランセット本体20の外向きの進行を止め、ランセット本体20が穿刺装置60の出口開口部62を貫通して穿刺装置60の遠位面64を超えるのを防止する様子を図示する。これにより、ランセット10の針40のみが利用者の皮膚と接触する。さらに、針40は、出口開口部62の全体または一部分を十分に貫通できる長さでなければならない。この追加された長さは針40の直径に影響を与える。長い針は、折れることなく利用者の皮膚を十分に穿刺できる強度にするためには、直径が大きくなければならないからである。
【0025】
本発明のランセット10の針支承部30は、穿刺装置60の出口開口部62を完全に貫通できるようなサイズに構成されている点、すなわち、遠位面38が軸方向外向きに、少なくとも穿刺装置60の外側遠位面64まで延出し、その際、当該遠位面38が外側遠位面64とほぼ同一平面となるようなサイズに構成されている(図4Bに示す)点で、先行技術によるランセットとは異なる。前記遠位面38は、前記針支承部30の遠端部の表面であり、前記遠位面からランセット10の針40が軸方向に外向きにランセット本体20から延出し、前記遠位面は、針40が利用者の皮膚を完全に穿刺した時(すなわち、針40が、針40の遠端部すなわち先端43から近端部42へ針入した時)に利用者の皮膚に接触する。
【0026】
好ましくは、前記針支承部30の遠位面38は、前記穿刺装置60の外側の遠位面64を超えて軸方向に延出する。従って、遠位面38の領域は、併用する穿刺装置60の出口開口部62で囲まれた領域よりも小さくなっており、当該出口開口部62に嵌入される形状となっている。当業者であれば理解するように、前記針支承部30および前記遠位面38の形状およびサイズは、様々なサイズの穿刺装置および出口開口部62に対応して変更することができる。
【0027】
血液検体を得るための本発明の構造の針支承部30を有するランセット10の利点の1つを図5に示すが、これはすなわち、針40による皮膚針入の深さがこのような針支承部30を用いることにより正確に予測可能となることである。本発明のランセット10が、前記針支承部30の遠位面38が皮膚表面80に接触するために十分な力で皮膚表面80に向かって射出される場合、図5Cに示したように、針40はその全長分(すなわち、その近端部42から遠端部43まで)が予測可能に利用者の皮膚に針入する。先行技術によるランセットおよび穿刺装置を用いる時、ランセット10の針40は、利用者の皮膚の状態により、利用者の皮膚に、より深く、またはより浅く針入することがある。
【0028】
例えば、皮膚温度が低温であったり、皮膚が乾燥している場合、皮膚の針針入に対する抵抗が増し、通常であれば穿刺装置の特定の設定を用いて適切な針入ができる患者が、その設定での穿刺手順を実行した結果、不適切な皮膚針入となることがある(図5Bに示す)。そうなると、その患者は、さらなる穿刺手順を行う必要が出るという不便な状態になり、その結果、さらなる痛みを受け、さらなるランセット10を用いる必要が生じる。
【0029】
他方、利用者の皮膚が良く潤っていたり、温かい場合、図5Aに示したように、利用者の穿刺装置60の同じ設定が、不必要に深い皮膚針入につながることがある。そのような深い針入の結果として、より大きな痛みが生じかねない。本発明の穿刺システムのランセット10においてペデスタル(pedestal:台座部)を用いることにより、一貫した穿刺深さを実現することができる。これは、ランセット10とランセット10を推進するシステムとがハウジング内で組合わされている単回使用、使い捨て穿刺装置などのように、穿刺装置60が深さ調節機能を含まないシステムにおいて特に便利である。
【0030】
針支承部30の遠位面38の表面領域は、遠位面38から延出する針40の長さよりも深く針40が利用者の皮膚に針入するのを防止することにより、本発明のランセット10が一貫した深さの針入を実行するのを助長する。前記遠位面38の表面積が比較的小さいことも、利用者の皮膚表面に圧迫力をかけることにより、一貫した針針入に役立つと考えられる。本発明のランセットによる皮膚表面の針入を、図5Dの図示において、先行技術によるランセットによる皮膚針入と対比させたが、同図は、先行技術によるランセットの比較的大きい表面領域により皮膚表面にかけられる圧迫力(そのような表面が利用者の皮膚と接触する場合)よりも大きな圧迫力を、本発明のランセットの比較的小さい表面領域(図面読者から見て右側)にかけることができることを示している。遠位面38の表面積は、好ましくは、少なくとも0.5mm、より好ましくは、約.8mm〜3mmであるが、より大きな表面も可能である。遠位面38は、好ましくは、基本的に平坦である。平坦な表面は利用者の皮膚表面に最大の圧迫力をかけるからである。
【0031】
ペデスタル
一実施形態において、針支承部30は、近端部33における第1の、より大きい直径から、第2の直径を有する遠端部32まで、テーパ状にすることができ、前記第2の直径は前記第1の直径よりも小さい。このテーパ部は、ランセット本体の遠位面38に対して近位である(すなわち、軸方向には、ハンドル部24の方に近い)針支承部30の外側表面36が、(ランセット10の外向きの進行を止めるために)、前記ランセット本体20の遠位面38が少なくとも前記穿刺装置60の遠位面64と同一平面となり、好ましくは、前記穿刺装置60の遠位面64を超えて軸方向に延出する地点で、当該穿刺装置60の内腔65の内側表面66に接触するように構成されている。本実施形態を、図4Bおよび図6に示す。関連する実施形態において、テーパ部は、針支承部30の外側表面36上の地点から針40自体まで延出することが可能であり、これにより遠位面38の表面積を小さく、または無視できる大きさ(例えば、1mm未満の表面積を有する)することができる。
【0032】
例えば図2および図7に示した別の実施形態においては、針支承部30は、ペデスタル50、すなわち、軸方向に外向きに(すなわち、ハンドル部24から遠ざかるように)針支承部30の外側表面36から離れるように延出する、1若しくはそれ以上の壁52を有する突出部を有する。ペデスタル50は、ペデスタルの遠端部に位置するランセット本体20の遠位面38を取囲む。本実施形態において、ペデスタル50は、穿刺装置60の出口開口部62に嵌入する形状およびサイズである。
【0033】
本発明の穿刺装置60は、基本的に、円筒形の出口開口部を有するので、そのような穿刺装置60と併用する構成になっているペデスタル50もまた、好ましくは円筒形であり、そのような出口開口部よりも小さい直径を有する。大抵の穿刺装置60は直径が約3mmの出口開口部を有するので、ペデスタル50の直径は、好ましくは約1mm〜約3.5mm、より好ましくは約1.5mm〜約2.0mmであるが、それ以外の直径も可能である(出口開口部62のサイズに依存する)。このような出口開口部62における穿刺装置60の壁厚は一般的に約1.0mmであるので、ランセット本体20の外側表面36が出口開口部62の近端部と面一となる地点で穿刺装置60の内側表面66に接触する場合、出口開口部62を貫通できるよう、壁52の長さは少なくとも約1.0mmとすべきである。
【0034】

本発明のランセット10の針支承部30の構造は、ランセットと併用する針40を、本発明のランセット内で用いる針よりも短く、かつ細くすることができるものである。本発明の針40は、針40の近位部(底部)42が針支承部30の遠位面38から延出している地点から測った時に、好ましくは、長さが約0.5mm〜1.0mmである。この長さで針を用いることにより、本発明のランセットは、より少ない痛みで血液検体を得ることができる。これは、少なくとも一部分は、ヒトの皮膚の外層、すなわち表皮および真皮の解剖学的構造によるものと考えられている。穿刺装置60の深さ調節システムを用いると、0.5mm未満の針入深さでも、特に小児や乳児など、場合によっては、血液検査に十分な血液を出すことができる。
【0035】
表皮、すなわち皮膚の外層は血管がなく、神経繊維もほとんどなく、深さが約0.5mmであるが、小児および乳児の表皮はこれよりも薄いことがあり、皮膚肥厚の人は、わずかにより厚い表皮であることがある。表皮の下にある真皮は、2つのサブレイヤー、すなわち上側の乳頭層と下側の網状層とを有する。乳頭層は血管と、触覚および圧力のための特別な神経受容体とを有するが、血管と痛覚神経繊維との両方を多数有する網状層よりは痛覚神経繊維が少ない。真皮の深さは一般的に約0.5mm〜1mmで、乳頭層の厚さは約0.125mm〜0.25mmである。従って、長さ0.3mm〜約1.0mm、より好ましくは0.5mm〜約0.75mmの針による穿刺は、一般的に、網状層の痛覚神経繊維に衝撃を与えることなく乳頭層の血管を切るのに十分である。
【0036】
このことを鑑みると、乳児や幼児用には、長さ0.5mmなど、短い針長さを用いることが望ましい。小児や皮膚が薄い成人用には0.75mmという針長さが適切で、成人用には、一般的に、1.0mmの針長さを用いることができる。一般的に、本発明のランセットにおいては、適切な血液検体を得るために必要な最短の針長さを用いるべきである。穿刺装置60の深さ調節機能を用いると、針入深さをさらに調節することができる。例えば、本発明のランセット10を非常に幼い幼児に用いる場合、例えば深さ調節機能をより浅いレベルに設定することにより、針入深さを0.5mm未満にすることさえできる。
【0037】
本発明のランセット10において用いる針40はまた、好ましくは、現在のランセットで用いる針よりもかなり細い。市販されている様々な直径の針を本発明のランセットにおいて用いることができるが、好ましくは、少なくとも34ゲージ(すなわち34ゲージか、それよりも細い)の針、より好ましくは、36〜40ゲージの針、より好ましくは、44ゲージの針など、少なくとも40ゲージの針を用いる。ゲージ径は、以下の表1に近似値で示したように。メートル法単位で表すことができる。
【0038】
【表1】

【0039】
直径が小さい針は、直径が大きい針と比べ、生じさせる痛みが少なく、付ける傷が小さく(組織の損傷が少ない)、傷の直りが早い。非常に細く短い針で穿刺する場合、発生される組織損傷は少ない。糖尿病患者によく見られるような過大な皮膚肥厚が手の指に形成される可能性も少なくなる。
【0040】
針40は、中実または中空のいずれでも良く、様々な材料で形成することができる。針を貫通して流体を抜き出さない本発明の穿刺用途には、中実の針が好ましい。針40は、金属、セラミック、プラスチック、またはその他の適切な材料で作ることができる。好ましくは,後述するように、安全キャップ100のチャンバーの壁の1つに向かって付勢した時に変形したり、その他の形で損なわれるよう、ステンレス鋼のような材料を用いる。
【0041】
例えば図6および図7に示したように、1本の針40を本発明のランセット10において用いることができる。別の実施形態においては、例えば図2および図4に示したように、複数の針40を本発明のランセット10と併用することができる。好ましくは、本実施形態の針40の各々は、針支承部30により保持された、それ以外の針40の各々に関して平行な構成となるように配置する。各針40は、それ以外の各針に対して略平行であるが、ランセット10において3若しくはそれ以上の針40を用いる実施形態においては、針は、好ましくは非直線形となるように配置することにより、本体20の針支承部30でよりコンパクトな針40配置を提供する。針40はまた、ランセット10の動きの方向に対して略垂直な皮膚に向かってランセット10を付勢した時に、結果として針40の先端が患者の皮膚に針入する構成になるよう、様々な間隔でランセット10から突出することができる。
【0042】
ランセット本体
本発明のランセット10のランセット本体20は、好ましくは、針支承部30(上述した)とハンドル部24とを有する。ランセット本体20は、好ましくは、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、またはポリプロピレンのような有機高分子プラスチック材料で形成する。医療級プラスチック材料が当業者に知られている。
【0043】
例えば図2および図6に示したように、ランセットの利用者が操作し易いよう、比較的太い直径でハンドル部25を形成することができる。安全キャップ100の縁を係合する面を提供し、安全キャップ100をランセット本体20に固定し易くするため、図2および図6に示す実施形態で示したように、円周方向の突出部すなわちリム26をハンドル部24の遠端部に設けることができる。
【0044】
しかし、ランセットの製造に必要な材料の量を削減するために、輪郭がより細いランセットを形成することもでき、例えば、ACCU?CHECK(登録商標)Softclix穿刺装置(ドイツManheimのベーリンガーマンハイム社(Boehringer Manheim GmbH)から入手できる)と併用する。そのような「平坦な」ランセットは、図8Aおよび8Bに示したように、テーパ状の針支承部30を、または図8Cおよび8Dに示したように、ペデスタル50を、本発明のランセット10のその他の特徴と共に有する。
【0045】
安全キャップ
特に血液に触れた使用済みのランセットでの針刺し事故を防止するために、好ましくは、安全キャップ100を、本発明のランセット10と併用するために設ける。本発明の安全キャップ100は2つのチャンバーを有し、第1のチャンバー110は、使用前にランセット10の針40を密閉し、保護する第1の開口部112を有し、第2のチャンバー120は、使用済みのランセットの針40を入れることができる第2の開口部122を有する。図6に示した安全キャップ100の実施形態においては、安全キャップ100は2つの対向する端部を有し、第1のチャンバー110の第1の開口部112は第1の端部102に位置し、第2のチャンバー120の第2の開口部122は第2の端部104に位置する。これらの図示した実施形態においては、安全キャップ100は略円筒形であり、図6に見られるように、第1のチャンバー110および第2のチャンバー120の開口部は円筒の対向する端部に位置し、仕切り105によって隔てられている。
【0046】
本実施形態においては、第2のチャンバー120に対して近位である安全キャップ100の外側表面は、カラーバンドなどのようなインジケータを有する。キャップを正しく用いた場合、インジケータは、ランセット10が既に使用済みであるかどうかを、すなわち、キャップが第2のチャンバー120内に保持されていることを利用者に示すことにより、利用者にわからせることができる。さらに、安全キャップ100は、1若しくはそれ以上のフランジ106を設けるなどにより、安全キャップ100が支持面上で支持される(すなわち、立つ)ことができる構成とする。安全キャップ100がフランジ106により支持面上で支持される時、第2のチャンバーの第2の開口部122は、好ましくは上向き、すなわち支持面から離れる向きとする。こうすることにより、利用者が安全キャップ100を保持する必要なく、使用済みのランセット10を第2のチャンバーに便利に挿入することができる。
【0047】
本実施形態における安全キャップ100の第1のチャンバー110は、針40、および未使用の滅菌ランセットの針支承部30の少なくとも一部を覆う構造であり、針40を保護するシースとして作用し、また、好ましくは、針40の無菌性の維持も助ける。第1のチャンバー110は、例えば、針40および針支承部30が第1のチャンバー110内に嵌入する図6Eに見られるように、針40を構造的に損傷させることなく針40、および針支承部30の少なくとも一部を密閉するサイズおよび形状とする。本実施形態において、安全キャップ100の第1のチャンバー110は、当業者に知られている様々な方法のうち、任意のものにより、針40上でしっかり保持することができる。例えば、ランセット10の針支承部30のねじ山34(図2に示す)は、ランセット10を安全キャップ100に可逆的に固定するために、安全キャップ100の第1のチャンバー110内の対応するねじ山121と係合することができる。あるいは、第1のチャンバー110は、針40の周りに成形し、摩擦嵌めによってこれに固定し、および/または、安全キャップ100を針40から外した時に折れる構造となった共成形の突張り部により、針支承部30に固定することができる。
【0048】
第2のチャンバー120も、少なくとも針支承部30の遠位部を保持し、実施形態によっては、針40の一部を保持する構成とする。しかし、第2のチャンバー120は、針が第2のチャンバー120に挿入され、第2のチャンバーの内側表面に向かって押された時に、針40を曲げ、変形させ、折るなど、構造的に損傷させることにより使用不能にする構成とする。好ましくは、第2のチャンバー120は、針支承部30を保持する構成とするが、針支承部30が完全に第2のチャンバー120内に挿入された時に第2のチャンバー120が針40を完全に収納できるほど十分深くない深さを有する。針支承部30を第2のチャンバー120に完全に挿入するのに十分な力がかかった時、針40は下面125と接触する位置に来、曲がるか折れ、ランセット10を安全、または少なくとも使用不能にする。下面は、好ましくは、ランセット本体20が第2のチャンバー120に完全に挿入された時に針40の軸方向に関して直角となる(曲がった、または損傷した針の部分は含まない)構成とするが、比較的太い針を用いる場合など、特定の実施形態においては、鋭角の下面125が好ましいことがある。針40は、針40の細さの故に、また、その短さにより、このようなキャップ内で物理的に使用不能にし、利用者がこのような使用不能化を手で(すなわち、さらなる機構を使わずに)実行できるようにすることができる。
【0049】
本発明のランセット10で用いる短く細い針、特に金属針は、ポリエチレンなどのプラスチック材料で作られた安全キャップ100内で使用不能にすることができるが、現在のランセット針の長さおよび直径では、そのような針のための本発明によるソリューションは非実際的となる(すなわち、大きい針は押しつぶされないであろう)。特定の長さおよび直径の針40のための安全キャップ100として用いる適度に硬いプラスチック材料の選択は、当業者の能力範囲内にある。本発明のランセット10および安全キャップ100のいくつかの組合せにおいては、製造上の理由から、例えば、安全キャップ100を共成形したランセット10から離し易くするために、比較的柔軟なプラスチック材料を安全キャップ100の成形に用いるのが効果的であることがある。本発明のランセット10をそのような比較的柔軟なプラスチックから作る時は、場合によっては、針40は、曲がったり折れるのではなく、下面125に突き刺さる傾向がある。そのような場合、図6および図7Aに示したように、傾斜した内側表面124を第2のチャンバー120に設けると効果的である。本実施形態における内側表面124は、ランセット本体20が第2のチャンバー120に完全に挿入された時に針40の軸方向に関して鋭角となる角度で傾斜している。針40がこのような傾斜面と鋭角で、すなわち、90°未満の角度で接触する位置に来て、例えば、下面125に向かって下向きに利用者が力をかけた時、これは、針40を曲げ、もしかすると折り、および/または針40を弱くして、下面125と接触する位置に来た時にこれがさらに曲がり、折れるようにする作用がある。
【0050】
安全キャップ100の第2のチャンバー120は、好ましくは、安全キャップ100が使用済みのランセットを覆っている時にキャップを所定位置に保持するために、第2のチャンバー120内でランセットの針支承部30を固定する機構を設ける。このような固定は、図3に示したように、第2のチャンバー120の内側表面の対応するねじ山と係合する針支承部30のねじ山を用いるなど、可逆的なものであっても良い。しかし、好適な実施形態においては、安全キャップ100の第2のチャンバー120は、ランセット10の針支承部30に不動状態に固定される。すなわち、可逆化を意図せず、また、ランセット10が一旦第2のチャンバー120内で固定された後は、安全キャップ100またはランセット10のいずれかを破壊するなど、その構造を損なわずに安全キャップ100をランセット10から外すことができないように固定する。
【0051】
安全キャップの第2のチャンバー120内で本発明のランセットを不動状態に固定する機構の1つを、図7および図9に示す。本実施形態においては、第2のチャンバー120のリム127に隣接した構造は、安全キャップ100をランセット10上で不動状態にしっかり保持するために、ランセット10の対応する構造と係合する構成、好ましくは、針支承部30の構造と係合する構成となっている。図7および図9に示す実施形態においては、ランセットをしっかり保持するために、リム127から内向きに突出する複数のフランジ123を設ける。一旦ランセット10が第2のチャンバー120に挿入された後にフランジ123を保持するため、1若しくはそれ以上の嵌合部35をランセット本体20に、好ましくは針支承部30に形成する。図7および図9の実施形態において、嵌合部35は環状の溝であり、嵌合部35の遠位に、針支承部30にショルダ39を設ける。本実施形態において、ランセット本体20が第2のチャンバー120に挿入されると、ショルダ39がフランジ123を超えて押され、フランジ123が嵌合部(溝)35に係合する。幾分柔軟性があるプラスチック材料を用いること、および/またはショルダ39上で丸みの付いた面を用いることにより、ショルダ39が第2のチャンバー120に入ってフランジ129を超えることが容易になる。それで、フランジ123はランセットが安全キャップ100から外れるのを妨げ、および/または防止するのである。
【0052】
一実施形態において、フランジ123は、半球形状とすることができ、好ましくは、針支承部30を第2のチャンバー120に入れる時にショルダ39がフランジ123を超え易くするために、(角度を付けるではなく)滑らかなものとする。ただし、チャンバーの内部に面した(すなわち、下面125に向かう)フランジ123の部分は、好ましくは、一旦安全キャップ100の第2のチャンバー120に挿入された後にランセット10を外すのが難しくなるよう、第2のチャンバー120の内壁に対して鋭角または直角な面などのように角度の付いた表面を含む。あるいは、そのようなフランジ123は、内向き、かつ下向き(すなわち、下面125に向かって)突出することにより、フック形の環状リムを形成することができる。別の実施形態においては、ランセット本体20に、フランジ123と同様な1若しくはそれ以上のフランジを設けることができ、その代わり、安全キャップに、ランセット本体20上でそのようなフランジを受容する1若しくはそれ以上の嵌合部を設けることができる。本実施形態において、ランセット本体20上のフランジは、ランセット本体20と一緒に成形し、一体的にこれに取付けることができる。安全キャップ100をランセット10と一緒に成形し、第1のチャンバー110を、ランセット本体20上に設けたフランジの周りに嵌るサイズにした場合、フランジは、安全キャップ100に接続することができ、利用者が安全キャップ100にねじり運動をかけるなどして安全キャップ100をランセット10から外した時に安全キャップ100から離れる構造とすることができる。ランセット本体20、特に針支承部30を第2のチャンバー120内に不動状態に固定することにより、針40を例えば針廃棄容器内に安全に廃棄する必要がなくなる。
【0053】
図6に示したランセット10および安全キャップ100の組合せの実施形態において、針支承部30は、近端部33のより大きい外径から、針40に隣接した遠端部31のより小さい直径までテーパ状になった、円錐形の部分を有する。円錐形の部分が下面37を有するように、環状で櫛形の溝35が、円錐形の部分に対して近位である針支承部30に形成されている。安全キャップ100の第2のチャンバー120は、円錐形の部分を保持する逆空間と共に形成され、さらに、一旦第2のチャンバー120に挿入された後に円錐形の針支承部をロックする作用をする円周方向の突出部を含む。本実施形態において、ランセット本体20、または少なくとも針支承部30は、第2のチャンバー120に押込れた時に円錐形の部分の近端部33が十分に圧迫されて、円周方向の突出部126を超え、第2のチャンバー120の反転されたサイズおよび形状の空間に入るのに十分変形可能なプラスチックで形成されている。それにより、円周方向の突出部126の近位面は、円錐形の針支承部30の下面に接触して針支承部30を第2のチャンバー内に保持する作用をする。一旦円錐形の部分が安全キャップ100内に挿入されると、安全キャップ100またはランセット10の構造を損傷させる危険を冒さずしてこれを外すことはできない。
【0054】
図6E〜図6Hは、本実施形態の安全キャップ100およびランセット10の使用法を示す。図6Eは未使用のランセット10を示し、そこでは、第1のチャンバー110が未使用で滅菌済みの針40を覆っている。図6Fは、使用前に、ランセット10を安全キャップ100の第1のチャンバー110から外した状態を示している。使用後には、安全キャップ100は、図6Gに示したように、フランジ106の下面が支持面上で安全キャップ100を支持するように、平坦な支持面上に置くことができ、同図においては、使用済みのランセット10が第2のチャンバー120の開口部122の上部に位置している。図6Hに示したように、針支承部30が完全に第2のチャンバー120内に入った時、針40は下面125と接触する位置に来ることにより、針40を折る。第2のチャンバー120は、針支承部30が挿入された時に針40を構造的に損傷させる1若しくはそれ以上の追加的内側表面124を有することができることを、当業者は理解されよう。
【0055】
図7は、ランセット10および安全キャップ100の組合せのさらに別の実施形態を示し、これにおいては、ランセット本体20および安全キャップ100の両方を単一の射出成形工程で製造することができるので、製造コストおよび時間を節約することができる。本実施形態においては、安全キャップ100は、針40の遠位部の周りに成形し、従って、第1のチャンバー110は、針支承部30ではなく、ランセット10の針40のみを覆い、保持する(同様な実施形態を示す図9Cに最もよく見られる)。本発明のランセット10では直径が細い針40を使うので、このように形成される安全キャップ100は、好ましくは、図3および図6に示したものよりも小さい。大きく重いキャップを直接針40に取付けると、針40が曲がる傾向があるからである。図示した実施形態では、安全キャップ100は略円筒形であるが、その他の形状も可能である。
【0056】
一実施形態においては、特に、安全キャップ100の第1のチャンバー110が針40のみを保持する時に、ランセット10上に保持されている時の安全キャップ100を安定化させる、1若しくはそれ以上のフランジ130を設けている。図9に示したように、フランジ130は、安全キャップ100から下向きに、すなわち、ランセット本体20の針支承部30に向かって延出しており、好ましくは、針40に対して、および/またはペデスタル(存在する場合)の壁52に対して平行である。1つのフランジ130を図9に示したが、ランセット10上に保持されている時の安全キャップ100を安定化させるために、複数のフランジ130を設けることもできる。
【0057】
フランジ130を用いる一実施形態において、フランジ130は、針支承部30まで延出して、これに接触し、安全キャップ100の重量を部分的に支持する。この場合、フランジ130は、針支承部30と一緒に一体成形することができる。本実施形態において安全キャップ100を針40から外すためには、安全キャップ100を、好ましくはねじることにより、フランジ130と針支承部30との間、および/または、フランジ130と安全キャップ100との間の接続部を破壊する。
【0058】
図9に示した好適な実施形態においては、フランジ130は安全キャップ100と一緒に成形されており、安全キャップ100が針40上に保持されている時、フランジ130は針支承部30に向かって延出するが、針支承部30に接触しない。すなわち、その遠端部は、針支承部30の表面の隣接位置で終端する。本実施形態において、フランジ130は、好ましくは、隣接する針支承部30の外側表面36に対して略平行な下面132を有する。このような下面132を含めると、安全キャップ100が不意に動いた時に針40が曲がらないよう保護するのに役立つ。図9Bに見られるように、キャップが横方向に、すなわち下面132の長さに沿って付勢されると、下面132の側端部は、針支承部30の外側表面36と接触する位置に来る。例えば、図9Bに示された安全キャップ100が、図面読者から見て左側に付勢された場合、フランジ130の側端133は外側表面36に接触し、その方向への安全キャップ100のさらなる運動に抵抗する。
【0059】
図7および図9に示された安全キャップ100は、第2のチャンバー120の底部中央に円筒形のコンパートメントを有し、これは、ランセット10の針支承部30をしっかり収納する構造であり、図示した実施形態においては、ペデスタル50を収納する形状および寸法となっている。さらに、第2のチャンバー120の内壁は、円筒形のチャンバーから第2のチャンバー120のリム127に向かって傾斜しており、使用済みのランセット10の針支承部30を円筒形のコンパートメントに入れ易くなっている。
【0060】
穿刺装置
SOFTCLIX II装置(ドイツManheimのベーリンガーマンハイム社(Boehringer Manheim GmbH)から入手できる)、BDランセット装置(米国ニュージャージー州Franklin Lakesのベクトンディッキンソンアンドカンパニー(Becton,Dickinson and Company)から入手できる)、またはPENTLET PLUS装置(米国カリフォルニア州Milpitasのライフスキャン(LifeScan)から入手できる)など、様々な市販の穿刺装置を本発明のランセット10および安全キャップ100と併用することができる。図10に示したように、一実施形態において、穿刺装置60は、基本的にペンの形をした長い円筒形ハウジング68を有することができる。穿刺装置60はその内部にエジェクタ、すなわち、穿刺プロセスにおいて内部(内腔)65(図4を参照)を通り、装置60の利用者の皮膚上の好ましい穿刺部位に向かって、また、穿刺後はこれから遠ざかるようにランセット10を案内する機構を含む。穿刺プロセス時に、ランセット10の針40は、穿刺装置60の出口開口部62を貫通する。この機構は、例えば、手動で張力を与えるバネで駆動することができる。機構の設定をするために、ハウジング58上にコッキングレバー63が存在することができ、機構をトリガするために、穿刺装置60のハウジング68上にトリガボタン67が存在することができる。穿刺装置60は再使用可能とすることができ、使用後に取外し、未使用の清潔なランセット10と交換できる1若しくはそれ以上のランセット10を可逆的に保持することができる。
【0061】
このようなペン形の穿刺装置60は、好ましくは、深さ調節制御ノブ69を含む。例えば、より多量な血液を出したり、肥厚状態の皮膚を穿刺するなど、より深い穿刺が好ましい場合には、針がより深く皮膚に針入するようにノブ69を調節することができる。一実施形態において、ランセット上に取付ける1若しくはそれ以上の針の長さは、1若しくはそれ以上の他の針とは異なるようにすることができる。穿刺装置60の深さ調節制御ノブ63を調節することにより、患者はこのように1つの針穿刺、または2若しくはそれ以上の穿刺を選択することができる。
【0062】
さらに別の実施形態において、穿刺装置60は、利用者に提供する前に本発明のランセット10を予め装置に搭載する、単回使用装置とすることができる。このような装置は、典型的に、トリガボタン67が作動した時に出口開口部62を通ってランセット10を推進するバネ機構を密閉する、プラスチック製ハウジングを有する。針40は、使用後は典型的に、本実施形態の穿刺装置60のハウジングの中へ縮退する。
【0063】
使用方法
本発明のランセット10は、手により手動的に、または穿刺装置60により機械的に、のいずれかで患者の皮膚を穿刺するのに用いることができる。両方の場合において、ランセット10の利用者はまず、穿刺部位での感染を防止するために、アルコール綿棒を用いるなどして、皮膚のうち、針で穿刺する皮膚領域を清浄化する。手動で用いる場合、ランセット本体20のハンドル部24を手の指で持ち、ランセット10の針40を清浄化した領域に向け、皮膚に突刺す。針40を直ちに皮膚から引抜く。
【0064】
穿刺装置60と共に用いる場合、好ましくは安全キャップ100を含むものである、本発明のランセット10を、まず穿刺装置60の穿刺ホルダ内に挿入し、安全キャップ100を外すことにより、針40を露出させる。次に、穿刺装置60を閉じ、穿刺手順のためにランセット10を固定する。次に、穿刺装置60の外側の遠位表面64を、穿刺すべき皮膚上に置く。必要であれば、穿刺装置60をコッキング(cocking)する。すなわち、コッキングレバー(図10を参照)を用いるなどして、張力バネに張力をかける。次に、トリガボタン67を押下げるなどして穿刺装置60を作動させることにより、ランセット10を利用者の皮膚に推進させ、皮膚を穿刺する。針支承部30の遠位面38は、穿刺装置60の出口開口部62内へ進み、好ましくは出口開口部を完全に貫通し、好ましくは、針40が皮膚を穿刺した後に利用者の皮膚と接触する。
【0065】
穿刺後、血液の小さい液滴が穿刺部位に、通常は体積2〜20μl分、自然に現れる。そうでなければ、血液検体は、突刺した皮膚を軽く搾ることにより得ることができる。ランセットで穿刺する皮膚の領域は、手の指、掌、踵、足、耳たぶ、または好ましい血液検体が得られる任意の身体の部位とすることができる。特定の試験のために適切な量が一旦得られたら、グルコース計で用いるテストストリップ上などで、検体を試験に供することができる。血液検体のその他の成分や特性を調べる別の分析試験もまた、本発明のランセットで得た血液検体を用いて行うことができる。
【0066】
穿刺手順において本発明のランセット10の1つを用いた後、針40およびランセットの針支承部30の少なくとも一部が好ましくは安全キャップ100の第2のチャンバー120に挿入され、針40を構造的に損傷させる。穿刺装置60を用いる場合、使用済みのランセット10を穿刺装置60のホルダから外す前にランセット10を第2のチャンバー120に挿入することができ、一旦針40が安全キャップ120の第2のチャンバー120内で固定された後は、安全キャップ100を被せた使用済みのランセット10の全体を穿刺装置60から取出して、針刺し事故を回避することができる。あるいは、ランセットを装置60のから外してから、安全キャップ100の第2のチャンバー120に入れることができる。次に、安全キャップ10で安全にふたをした使用済みのランセット10を廃棄することができる。
【実施例1】
【0067】
血中グルコース値のモニタリングを必要とする患者が、血液検体を得るために、本明細書に記載したランセットを用いた。ランセットは、長さ2mm、直径1.75mmのペデスタル上に取付られけた、長さ1mm、直径0.15mmの針を有していた。患者はまた、長さ3mm、太さ0.3mmの針を有する従来のランセットも用いた。両方のランセットでの穿刺手順を行ったが、これは、ライフスキャン(Lifescan)が生産する「One?Touch(登録商標)」穿刺装置、またはアボットラボラトリーズ(Abbott Laboratories)が生産する「Freestyle(登録商標)」を用いて行った。患者の指先の皮膚から血液を採取した。
【0068】
全患者とも、本発明のランセットを用いた時に、従来のランセットを使用する時よりも穿刺時に経験した痛みが少なかったことを報告した。本発明のランセットで穿刺した全患者は、グルコース試験に十分な量の血液を出すことができた。
【実施例2】
【0069】
糖尿病患者30名が、本発明のランセットを試験するための一般無作為臨床試験に参加した。ランセットの針は、長さ0.75mm、直径0.15mmであった。ペデスタルは、長さ2.25mmであり、ペデスタルの上面の直径は1.75mmであった。
【0070】
患者は、ランセットを用いる時に経験した痛みを、以下の表2に詳しく記載したように、0〜3の範囲の疼痛スケールを用いて評価するよう依頼された。
【0071】
【表2】

【0072】
本発明のランセットを用いた全患者は、本ランセットの使用に関して「0」という痛みの数値を報告した。他のランセットについて報告された痛みの数値は、0〜3の範囲であり、平均値は1.5、中央値は1であった。全患者とも、新規のランセットは無痛であったと主張している。
【0073】
結論
本発明は、様々な効果がある。本発明の短く細い針は、皮膚に穿刺した時、痛みがより少ない。さらに、細い針による穿刺傷では、太い針による穿刺傷よりも傷の直りが早い本発明の別の効果は、短く細い針は、それほどこわく見えず、しばしば長く太い針に恐れを感じる糖尿病の小児にとって非常に助かることである。それほどこわく見えない針を用いることにより、糖尿病患者のコンプライアンスも向上するはずであり、そのような患者による血中グルコース値のモニタリングの向上により、失明、肝不全、および四肢切断を含む糖尿病の合併症の発生率を低減することができる。
【0074】
別の効果は、本発明の細く短い針は、簡単に折ることができることである。一旦鋭い針が扁平化し、曲がり、折れ、または押しつぶされると、怪我の可能性が相当に少なくなる。別の効果は、ランセットのカバー用キャップが2つのコンパートメントを有するので、使用済みのランセット針による不慮の針刺し事故を防止することができることである。一旦カバー用キャップの使用済みコンパートメントにねじ入れられた後、ランセットは破壊され、安全にロックされて、不慮の怪我を防止する。キャップを回してランセットから外しても、曲がり、扁平化し、または折れた針を偶然再使用することはできない。
【0075】
本発明を特定の好適な実施形態に関して相当に詳しく説明したが、その他の実施形態も可能である。本発明の方法について開示した手順は、制限的なものとしては意図しておらず、また、各手順が必ずしもその方法に必須であることを示すことも意図しておらず、例示的な手順であるに過ぎない。従って、付属する特許請求の範囲は、本開示内容に含めた好適な実施形態の説明だけに制限すべきではない。
【0076】
本明細書で引用した全引用文献は、引用によって、その全体をここに組み込む。本開示内容で明記した全寸法は、例としてのものであるに過ぎず、制限的なものとしては意図しない。さらに、これらの図面に示した寸法比は、必ずしもスケール表示ではない。当業者なら本開示内容に関して理解されるように、本開示において開示された全ての装置または装置の全ての部分の実寸は、その意図される用途によって決まる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穿刺システムであって、
(a)ランセットであって、
(i)近端部と遠端部とを有する針支承部であって、当該近端部は第1の直径を有する近位面を有し、当該遠端部は第2の直径を有する遠位面を有し、当該第2の直径は当該第1の直径よりも小さいものである、前記針支承部と、
(ii)前記針支承部の前記近端部に取着されたハンドル部と、
(iii)前記針支承部の前記遠位面から延出した外側部分を有する針であって、当該針の当該外側部分は近端部と、遠端部と、当該近端部と当該遠端部との間の長手方向の伸長部とを有し、当該針の近端部は前記針支承部の遠位面と接触しているものである、前記針と
を有するランセットと、
(b)前記ランセットを保持し、作動時に当該ランセットを前方向に付勢して利用者の皮膚表面を穿刺することができる穿刺装置であって、出口開口部を有するものである、前記穿刺装置と
を有し、
前記針支承部の前記遠端部は、前記穿刺装置の前記出口開口部を貫通し、前記針が前記利用者の皮膚に完全に針入した時に当該利用者の皮膚に接触するものである
穿刺システム。
【請求項2】
請求項1記載の穿刺システムにおいて、前記ランセットの前記針支承部の遠端部はペデスタル(台座部)を有し、当該ペデスタルは、前記針支承部の近位面から前記針支承部の遠位面へ軸方向外向きに延出した1若しくはそれ以上の壁を有し、当該1若しくはそれ以上の壁は前記遠位面を取囲むものである。
【請求項3】
請求項2記載の穿刺システムにおいて、前記ペデスタルは円筒形であり、直径が約1ミリメートル〜約3.5ミリメートルである。
【請求項4】
請求項3記載の穿刺システムにおいて、前記ペデスタルは直径が約1.5ミリメートル〜約2.0ミリメートルである。
【請求項5】
請求項2記載の穿刺システムにおいて、前記1若しくはそれ以上の壁は長さが少なくとも1.0ミリメートルである。
【請求項6】
請求項1記載の穿刺システムにおいて、前記遠位面は表面積が少なくとも0.8平方ミリメートルである。
【請求項7】
請求項1記載の穿刺システムにおいて、前記針の前記長手方向の伸長部は約0.3ミリメートル〜約1.0ミリメートルである。
【請求項8】
請求項1記載の穿刺システムにおいて、前記針は直径が約0.2ミリメートル未満である。
【請求項9】
請求項1記載の穿刺システムにおいて、前記針支承部の前記直径は、前記針支承部の前記近端部上の地点から前記遠端部に亘ってテーパ状になっているものである。
【請求項10】
請求項9記載の穿刺システムにおいて、前記テーパ部は、前記針支承部の前記近端部上の前記地点から前記針まで伸長しているものである。
【請求項11】
穿刺システムであって、
(a)ランセットであって、
(i)近端部と遠端部とを有する針支承部と、
(ii)前記針支承部の前記近端部に取着されたハンドル部と、
(iii)前記針支承部の前記遠端部から延出した外側部分を有する針であって、当該針の外側部分は近端部と、遠端部と、当該近端部と当該遠端部との間の長手方向の伸長部とを有するものである、前記針と
を有するランセットと、
(b)安全キャップであって
(i)少なくとも前記ランセットの前記針を受容する第1の開口部を有する第1のチャンバーであって、前記キャップの第1の端部が取外し可能に前記ランセットに固定された時に前記針を収納するものである、前記第1のチャンバーと、
(ii)前記ランセット本体の前記針支承部を受容する第2の開口部を有する第2のチャンバーであって、前記針支承部が当該安全キャップの第2のチャンバーに挿入された時に前記針に接触して前記針を構造的に損傷させるように位置決めされている表面を有するものである、前記第2のチャンバーと
を有する前記安全キャップと
を有する穿刺システム。
【請求項12】
請求項11記載の穿刺システムにおいて、前記第2のチャンバーは、前記針支承部が当該第2のチャンバー内に挿入された時に前記針を完全に収納できるほど十分に深くないものである。
【請求項13】
請求項11記載の穿刺システムにおいて、前記第2のチャンバーは、前記ランセットが当該第2のチャンバーに完全に挿入された時に前記針の軸方向に対して鋭角となる角度で傾斜している内側表面を有するものである。
【請求項14】
請求項11記載の穿刺システムにおいて、前記ランセットの前記針支承部は、前記安全キャップの第2のチャンバーに不動状態に固定できるものである。
【請求項15】
請求項11記載の穿刺システムにおいて、前記安全キャップの第2のチャンバーは、前記針支承部の1若しくはそれ以上の嵌合部(receptacle)と係合する1若しくはそれ以上の突出部を有し、前記安全キャップを前記ランセットに固定するものである。
【請求項16】
請求項11記載の穿刺システムにおいて、前記安全キャップは、さらに、
前記安全キャップを支持面上で支持するように構成されているフランジを有し、前記第2のチャンバーの前記開口部は、当該フランジの支持面により前記安全キャップが支持される際に当該支持面から離れる方向に向いているものである。
【請求項17】
請求項11記載の穿刺システムにおいて、前記第1のチャンバーおよび前記第2のチャンバーは、前記安全キャップの対向する端部に位置するものである。
【請求項18】
請求項17記載の穿刺システムにおいて、前記安全キャップの第2の端部は、当該安全キャップの第1の端部と第2の端部とを区別するためのインジケータを有するものである。
【請求項19】
請求項11記載の穿刺システムにおいて、前記第1のチャンバーは、前記ランセットの針のみを保持するシース(外筒)を有し、さらに、
前記安全キャップから当該ランセットまで延出し、前記ランセット上で前記安全キャップを支持するフランジを有するものである。
【請求項20】
請求項11記載の穿刺システムにおいて、前記針の前記長手方向の伸長部は約0.3ミリメートル〜約1.0ミリメートルである。
【請求項21】
請求項11記載の穿刺システムにおいて、前記針は直径が約0.2ミリメートル未満である。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図6G】
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【図6H】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−534115(P2010−534115A)
【公表日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518323(P2010−518323)
【出願日】平成20年7月21日(2008.7.21)
【国際出願番号】PCT/US2008/070666
【国際公開番号】WO2009/015097
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(510020125)
【Fターム(参考)】