説明

ランタンアタッチメント付き携帯電灯

【課題】テーブルや床、あるいは地面の上に置く形でもランタンとして使用でき、周囲に光を行き届かせることができるランタンアタッチメント付き携帯電灯を提供する。
【解決手段】携帯電灯1の発光ヘッド3にランタンアタッチメント10が着脱自在に取り付けられる。ランタンアタッチメント10は光透過材料製のスカート部13を備え、スカート部13の一端には携帯電灯1への連結部11、他端にはランタンアタッチメント10自身及び携帯電灯1を平面上に起立させる底面部12が形成されている。底面部12は、携帯電灯1のランプ5に正対する側が、ランプ5からの出射光をスカート部13から周囲に向かう出射光に転換する反射鏡17aとされている。反射鏡17aの少なくとも一部は、ランプ5の光軸から中心がずれた円弧を光軸まわりに回転させた形状となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はランタンアタッチメント付き携帯電灯に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電灯は、通常、一方向に光を照射するものであるが、屋外でキャンプをする場合や、停電時には、周囲全体を照らすランタンとして使えると便利である。そのような要請を満たすため、ランタンとして使えるアタッチメントを付属させた携帯電灯が提案されている。その例を特許文献1に見ることができる。
【0003】
特許文献1に記載された携帯電灯は、携帯電灯に発光部分を覆うフードを組み合わせ、フードを取り外した場合は一般的な携帯電灯として機能し、フードを取り付けた場合はランタンとして使用できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−313123号公報(国際特許分類:F21V13/00、F21L4/00、F21S2/00、F21Y101:02)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された携帯電灯は、フードが球形であるから、ランタンとして使用する場合、フードを下にして吊り下げて使用することになる。従って、吊り下げることのできる支持部が存在しない環境では使いづらい。また、フードによって多少拡散されるとは言うものの、光は依然としてランプの光軸方向を主体として照射されるから、吊り下げた場所の真下は明るいが、周囲には光が行き届かないといったことになりやすい。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、テーブルや床、あるいは地面の上に置く形でもランタンとして使用でき、周囲に光を行き届かせることができるランタンアタッチメント付き携帯電灯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の好ましい実施形態によれば、ランタンアタッチメント付き携帯電灯は、発光部にランタンアタッチメントが取り付けられるものであって、前記ランタンアタッチメントは光透過材料製のスカート部を備え、前記スカート部の一端には当該携帯電灯への連結部、他端にはランタンアタッチメント自身及び当該携帯電灯を平面上に起立させる底面部が形成され、前記底面部は、当該携帯電灯のランプに正対する側が、当該ランプからの出射光を前記スカート部から周囲に向かう出射光に転換する反射鏡とされている。
【0008】
本発明の好ましい実施形態によれば、上記構成のランタンアタッチメント付き携帯電灯において、前記ランタンアタッチメントの反射鏡の少なくとも一部は、前記ランプの光軸から中心がずれた円弧を当該光軸まわりに回転させた形状となっている。
【0009】
本発明の好ましい実施形態によれば、上記構成のランタンアタッチメント付き携帯電灯において、前記ランタンアタッチメントの反射鏡は、裾野部分の方が中心部分に比べて前記ランプの光軸に対する角度が大きくなっている。
【0010】
本発明の好ましい実施形態によれば、上記構成のランタンアタッチメント付き携帯電灯において、前記ランタンアタッチメントのスカート部に、光拡散用の凹凸パターンが形成されている。
【0011】
本発明の好ましい実施形態によれば、上記構成のランタンアタッチメント付き携帯電灯において、前記ランタンアタッチメントが当該携帯電灯の発光部に着脱自在に取り付けられる。
【0012】
本発明の好ましい実施形態によれば、上記構成のランタンアタッチメント付き携帯電灯において、前記ランタンアタッチメントは、当該携帯電灯の筐体に分離不能に連結され、前記ランプの光軸方向にスライド可能となっており、前記反射鏡は、中心に前記ランプの通過を可能とする貫通穴が形成されているとともに、裏面は集光用反射鏡とされている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、ランタンアタッチメントにはそれ自身及び携帯電灯を平面上に起立させる底面部が形成されているから、上から吊り下げるまでもなく、テーブルや床、あるいは地面の上に置いてランタンとして使用でき、使い勝手が良い。また、前記底面部は、携帯電灯のランプに正対する側が、当該ランプからの出射光を前記スカート部から周囲への出射光に転換する反射鏡とされているから、周囲に光を行き届かせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係るランタンアタッチメント付き携帯電灯の側面図にして、携帯電灯とランタンアタッチメントを分離状態で示すものである。
【図2】前記ランタンアタッチメント付き携帯電灯の側面図にして、携帯電灯とランタンアタッチメントを連結状態で示すものである。
【図3】図2のランタンアタッチメント付き携帯電灯の断面図である。
【図4】ランタンアタッチメントの側面図である。
【図5】ランタンアタッチメントの底面図である。
【図6】図4のA−A線に沿って切断したランタンアタッチメントの断面図である。
【図7】ランタンアタッチメントの反射鏡形状について説明する断面図である。
【図8】携帯電灯の集光特性についての説明図である。
【図9】反射鏡形状による反射特性の違いを説明するための断面図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係るランタンアタッチメント付き携帯電灯の概略構造を示す要部断面側面図である。
【図11】図10と同様の要部断面側面図であって、図10と異なる状態を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1から図9までの図に基づき本発明の第1実施形態に係るランタンアタッチメント付き携帯電灯の構造を説明する。
【0016】
携帯電灯1は、電池を内蔵したグリップ部2に対し、発光部である発光ヘッド3を、図3に示すピボット軸4で角度変更可能に連結した構造である。発光ヘッド3は発光ダイオードからなるランプ5及び集光用反射鏡6を内蔵し、正面はレンズ7で覆われている。集光用反射鏡6とレンズ7は発光ヘッド3の筐体に対しねじリング8により締め付け固定される。グリップ部2はランプ5を点灯/消灯させるためのスイッチ9を有している。
【0017】
発光ヘッド3にランタンアタッチメント10が着脱自在に取り付けられる。ランタンアタッチメント10は円錐台形状であり、直径の小さい方の端が発光ヘッド3への連結部11、直径の大きい方の端が底面部12として形成されている。連結部11と底面部12の間の部分は円錐形のスカート部13となる。
【0018】
スカート部13は、透明樹脂のような光透過材料で形成される。第1実施形態ではスカート部13と連結部11が一体成型されており、連結部11も光透過材料製ということになる。
【0019】
図3に示す通り、ランタンアタッチメント10の内面には、連結部11とスカート部13の境界に、発光ヘッド3を受け止めるための内フランジ14が形成されている。連結部11は円筒形であり、ねじリング8の肩部に係合するスナップフック15が対向2箇所に配置されている。スナップフック15は、図4に示す通り、ランタンアタッチメント10の軸線方向に平行なスリット16を2本、所定間隔で連結部11に設けて形成される。
【0020】
連結部11に発光ヘッド3を押し付けると、スナップフック15が外側に開いて連結部11の中にねじリング8を受け入れる。ねじリング8の端が内フランジ14に突き当たったところでスナップフック15がねじリング8の肩部に係合し、携帯電灯1とランタンアタッチメント10を連結状態とするものである。連結は、一方の手に携帯電灯1を持ち、他方の手にランタンアタッチメント10を持って、両者を引き離すことにより、簡単に解除できる。
【0021】
ランタンアタッチメント10の底面部12を構成するのは、スカート部13の端と、そこに嵌合固定された反射鏡基材17である。反射鏡基材17はランプ5に正対する面が反射鏡17aとなっており、反射鏡17aはランプ5の方に突き出している。反射鏡基材17は合成樹脂製であり、それにメッキや真空蒸着を施して反射鏡17aが形成される。
【0022】
携帯電灯1にランタンアタッチメント10を取り付け、底面部12を下にしてテーブルや床、あるいは地面のような平面の上に置くと、その平面の上にランタンアタッチメント10及び携帯電灯1は起立する。スイッチ9を操作してランプ5を点灯させると、ランプ5からの出射光が反射鏡17aで反射され、スカート部13から周囲に向かう出射光に転換される。これにより、携帯電灯1の周囲が明るく照らし出されることになる。
【0023】
ランプ5と集光用反射鏡6の組み合わせは、図8に示すような集光特性を有する。すなわち、ランプ5の光軸の周囲の狭い領域のみが高照度の集光部となり、その外側は低照度の非集光部となる。このような光に対し、図9のように、球面の反射鏡17aを組み合わせると、斜め上方に反射される光ばかり多くなり、横方向に向かう光が少なくなってしまう。このような事態を避けるため、反射鏡17aは図7に示す形状とされる。すなわち、ランプ5の光軸から中心がずれた円弧を想定し、その円弧を光軸のまわりにぐるりと1回転させる。すると、頂部の尖った凸曲面が形成される。これにより、図8の集光部の光がより横方向に角度付けされて反射されることになり、光の配分が改善される。
【0024】
反射鏡17aは、中心部が上記のように形成された凸曲面となっている他、その凸曲面の裾野部分は、中心部分に比べてランプ5の光軸に対する角度が大きくなっている。これにより、非集光部の光は斜め上方に良く反射されることになる。
【0025】
スカート部13には光拡散用の凹凸パターンが形成される。第1実施形態では、図6に示す通り、スカート部13の内面に、縦方向に延びるかまぼこ状断面の突条18が一定ピッチで多数形成されている。突条18は内フランジ14の直下から反射鏡17の直上までをカバーする長さを備える。突条18が存在することにより、スカート部13からの透過光が拡散され、反射鏡17aにランプ5が写ってまぶしさを感じる度合いが軽減される。
【0026】
凹凸パターンはかまぼこ状断面の突条に限定されない。三角断面の突条であってもよいし、突条でなく溝であってもよい。点状の凸レンズまたは凹レンズが多数形成された構成でも良い。またランタンアタッチメント10の内面でなく外面に設けてもよく、内外両面に設けてもよい。
【0027】
本発明の第2実施形態を図10、11に示す。第1実施形態の携帯電灯1は、発光ヘッド3に着脱自在に取り付けられるランタンアタッチメント10を備えていたが、第2実施形態の携帯電灯20は、その筐体に分離不能に連結されるランタンアタッチメント30を備える。すなわち携帯電灯20は、ランプ21を内蔵した発光ヘッド22のみ直径が大きくなっており、その発光ヘッド22をランタンアタッチメント30が包み込む。ランタンアタッチメント30は、携帯電灯20の軸線方向における寸法が発光ヘッド22よりも大きく、ランプ21の光軸方向に沿って一定範囲のスライドが可能となっている。ランタンアタッチメント30は反射鏡基材31とレンズ32を備える。反射鏡基材31は、ランタンとして用いるときランプ21に向かい合う面が反射鏡31aとされている他、その裏面は集光用反射鏡31bとされている。反射鏡基材31の中心にはランプ21の通過を可能とする貫通穴33が形成されている。
【0028】
ランタンアタッチメント30では、レンズ32が存在する側の端が底面部、その反対側の端が連結部、その中間がスカート部ということになる。
【0029】
図10のようにランタンアタッチメント30を引っ込めた状態では、ランプ21は貫通穴33を通って反射鏡31bの側に突き出しており、ランプ21が放つ光は集光用反射鏡31bで前方に集光される。すなわち携帯電灯20は通常の携帯電灯として機能する。図11のようにランタンアタッチメント30を前方に引き出すと、ランプ21が貫通穴33から抜け出し、反射鏡31aに向かい合う。これにより、ランプ21からの出射光が反射鏡31aで反射されてランタンアタッチメント30の周囲に向かう出射光に転換され、携帯電灯20はランタンとして機能することになる。
【0030】
第2実施形態の構造では、ランタンアタッチメント30が携帯電灯20から分離しないので、ランタンユニット30を持参し損なったり、どこかに置き忘れたりといった失敗をしなくて済む。
【0031】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明はランタンアタッチメント付き携帯電灯に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 携帯電灯
3 発光ヘッド(発光部)
5 ランプ
6 集光用反射鏡
7 レンズ
10 ランタンアタッチメント
11 連結部
12 底面部
13 スカート部
17 反射鏡基材
17a 反射鏡
18 突条(凹凸パターン)
20 携帯電灯
21 ランプ
22 発光ヘッド(発光部)
30 ランタンアタッチメント
31 反射鏡基材
31a 反射鏡
31b 集光用反射鏡
32 レンズ
33 貫通穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部にランタンアタッチメントが取り付けられる携帯電灯であって、
前記ランタンアタッチメントは光透過材料製のスカート部を備え、前記スカート部の一端には当該携帯電灯への連結部、他端にはランタンアタッチメント自身及び当該携帯電灯を平面上に起立させる底面部が形成され、前記底面部は、当該携帯電灯のランプに正対する側が、当該ランプからの出射光を前記スカート部から周囲に向かう出射光に転換する反射鏡とされていることを特徴とするランタンアタッチメント付き携帯電灯。
【請求項2】
前記ランタンアタッチメントの反射鏡の少なくとも一部は、前記ランプの光軸から中心がずれた円弧を当該光軸まわりに回転させた形状となっていることを特徴とする請求項1に記載のランタンアタッチメント付き携帯電灯。
【請求項3】
前記ランタンアタッチメントの反射鏡は、裾野部分の方が中心部分に比べて前記ランプの光軸に対する角度が大きくなっていることを特徴とする請求項1または2に記載のランタンアタッチメント付き携帯電灯。
【請求項4】
前記ランタンアタッチメントのスカート部に、光拡散用の凹凸パターンが形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のランタンアタッチメント付き携帯電灯。
【請求項5】
前記ランタンアタッチメントが当該携帯電灯の発光部に着脱自在に取り付けられることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のランタンアタッチメント付き携帯電灯。
【請求項6】
前記ランタンアタッチメントは、当該携帯電灯の筐体に分離不能に連結され、前記ランプの光軸方向にスライド可能となっており、前記反射鏡は、中心に前記ランプの通過を可能とする貫通穴が形成されているとともに、裏面は集光用反射鏡とされていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のランタンアタッチメント付き携帯電灯。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate