説明

ランダムにピクセル化された光学部品、その製法及び透明な光学要素の製造における使用

【課題】
他の場所で付与又は選択されたフレーム、または前記光学要素を保持するその他の全ての部材に組み入れるように、得られた光学要素の切削及び/又は穴あけが可能な状態を維持しながら、融通の利くモジュール的な手法で、1つ以上の光学機能を、光学部品に付与することを可能とする構造を提供する。
【解決手段】
光学部品の一面に平行に並置された少なくとも1つの透明なセルの集合体(15)を含み、各セルが、前記光学部品の表面に対し平行な、ランダム分布及びランダム形状のセルのネットワークを形成している隣接するセルとは異なる大きさ及び形状を持つ光学部品(10)による。各セルは密閉され、光学特性を持つ少なくとも1つの物質を含む。本発明はかかる光学部品の製造方法及び光学要素の製造への使用も含む。上記光学要素は特に眼鏡でよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非構造形状を有するセルのネットワークから成る少なくとも一つのパターンを備え、光学機能を組み入れた、ピクセル化された透明な光学部品の製造に関する。本発明は、このような光学部品を含む透明な光学要素の製造に適用される。この光学要素は、特に様々な光学特性を有する眼科用レンズに適用可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明の目的は、他の場所で付与又は選択されたフレーム、または前記光学要素を保持するその他の全ての部材に組み入れるように、得られた光学要素の切削及び/又は穴あけが可能な状態を維持しながら、融通の利くモジュール的な手法で、1つ以上の光学機能を、光学部品に付与することを可能とする構造を提案することである。別の目的は、良好な状態で工業技術に適する光学要素を製造することである。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は従って、光学部品の一面に平行に並置された少なくとも1つの透明なセルの集合体を含み、各セルが、前記光学部品の表面に対し平行な、ランダム分布及びランダム形状のセルのネットワークを形成している隣接するセルとは異なる大きさ及び形状を持つ光学部品を提案する。
【0004】
本発明は更に、各セルが密閉され、光学特性を持つ少なくとも1つの物質を含む、前記に定義したような、少なくとも1つの透明なセルの集合体を含む光学部品を提案する。
【0005】
上記セルは、例えば屈折率、光吸収又は偏光機能、電気的または光刺激に対する反応等に関連するその光学特性に応じて選択された種々の物質で充てんされていても良い。
【0006】
本発明はまた、このような光学部品を含む光学要素に関する。例えば、このような光学要素は、本発明による光学部品によって眼鏡レンズに光学特性を与えることができるように、眼鏡レンズとして構成されていても良い。
【0007】
該構造は従って、特に高度な光学的機能に関わる、数々の用途に役に立つ。該構造には、光学要素の表面におけるピクセルベースの離散化を要し、これにより、光学要素の設計そしてまた実施においても柔軟性が高くなっている。
【0008】
このピクセルベースの離散化は、分布及び形状の両方におけるランダム性を特徴とする。分布に関して、ランダムであるということは、並進における短距離秩序が存在しないという意味である。本発明において短距離とは、瞳孔の直径より短い距離、すなわち5mm未満及び好適には1mm未満の距離を意味する。形状に関して、ランダムであるということは、本発明の記述による表現においては、各セルが、円のセグメント及び/又はアークを含む任意の有限な幾何学的形状を有することができ、各円のセグメントまたはアークは各セル内において同一あるいは異なっている。
【0009】
離散化によってピクセル化された構造を生成することが可能であり、この構造は、明確な形状を持ち、プレーン単位で隣接し、複数の壁によって分離される周期的な一連のセルで構成される。これらの壁により光学部品の透明性不良が発生し、この結果として、このような部品を含む光学要素の透明性不良を引き起こす可能性がある。
【0010】
本発明の記述における表現では、コントラストを大幅に損失することなく、光学部品を通してのイメージ(像)の観察が認識される時、つまり、イメージの品質を損なうことなく、前記光学部品を通してイメージの形成が得られた時、光学部品は透明であると言うことができる。この「透明」という表現の定義は、本発明の記述における表現の範囲で、本明細書において上記に当てはまるすべての対象物に対して、適用可能である。
【0011】
光学部品のセルを分離している壁は、光を回折することにより、光と相互作用する。回折の定義は、光波が物質的に制限される時に観察される、光の拡散効果である(J−P.PEREZ−Optique,Fondements et applications 第7巻−DUNOD−2004年10月、p.262)。したがって、このような壁が起因の光の拡散のために、前記壁を含む光学部品は、劣化したイメージ(像)を伝送する。微細な回折は、肉眼的に明らかな拡散となる。この肉眼で見える拡散又は非干渉性拡散は、光学部品のピクセル化構造の拡散性のハロー(光輪)となり、よって、前記構造を通して観察されるイメージのコントラストの損失となる。このコントラストの損失は、上記で定義したように、透明性の損失とみなされる。この肉眼で見える拡散効果は、本発明の記述における表現から理解されるように、ピクセル化された光学部品を含む光学要素の製造において、許容することはできない。これは特に光学要素が、一方では、上記において定義された意味において透明であり、他方では、このような光学要素の着用者の視界を妨げる可能性のある、表面的な不良を含まない眼科用レンズである場合に、あてはまる。
【0012】
この肉眼で見える拡散を減らす一つの手段は、壁レベルでの回折を減らすことである。ここで一組の壁を考慮した場合、各壁による回折を減らすと、肉眼レベルにおいて、これらの壁の拡散態様が減少する。
【0013】
光学部品の表面上に、ランダム分布及び形状のピクセルベースの離散化を生成することで、分離された光源が存在する場合においても、回折を生じない透明な光学部品を得ることができる。セルのネットワークを形成している壁の組織内における脱構築は、回折の好適な方向を離散させる一つの方法である。ランダム分布及び形状のセルのネットワークは従って、周期的なセル形状を有するネットワーク内で観察できる回折を、前記ネットワークを通して観察されるイメージの品質に影響しない回折に変換させることが可能である。この肉眼で見える拡散の結果、回折周波数の幾何学的認識なしでハローが得られるまで、回折されたエネルギーの微視的な拡散が立体角上に起こる。この回折の拡散又は分散は、セルのネットワークを形成している壁のランダム分布の性質と相関する。よって、このようなネットワークを含む光学部品の光学特性と外観の品質が向上する。
【0014】
本発明によるランダムメッシュは、製造に関して、3つの改良例に分けることができる。ランダム分布及びランダム形状のセルのネットワークは、マクロメッシュパターンを示し、該マクロメッシュは光学部品の表面全体を覆うことができ、この改良例においては、本発明による光学部品は、ランダム分布及び形状のセルのネットワークで構成される単独のマクロメッシュを含む。このマクロメッシュはいかなる形状を有していてもよく、例えば円形、四角形、六角形でもよい。ランダム分布及びランダム形状を持つセルのネットワークは、マクロメッシュパターンを示し、該マクロメッシュは光学部品の表面全体にわたって周期的に反復しており、この改良例において本発明による光学部品は、ランダム分布及び形状のセルのネットワークで各々構成されている複数のマクロメッシュを含み、各マクロメッシュが該光学部品の表面全体にわたる周期的な分布に応じて反復している、つまり、この改良例では、ランダム分布及び形状のセルのネットワークで各々構成されるマクロメッシュの周期タイリングの製造が可能である。ランダム分布及びランダム形状のセルのネットワークは、マクロメッシュパターンを示し、該マクロメッシュは、光学部品の表面全体にわたって非周期的に反復し、この改良例において本発明による光学部品は、ランダム分布及び形状のセルのネットワークで各々構成されている複数のマクロメッシュを含み、各マクロメッシュが、該光学部品の表面全体にわたる非周期的な分布に応じて反復している。
【0015】
本発明においては、周期的又は非周期的分布に応じて反復しているマクロメッシュは、光学部品の表面全体にわたって、同一又は異なっている。よって、一つの及び同じ光学部品内において、その表面全体にわたって、同じランダムネットワークまたは、マクロメッシュが互いに異なるランダムネットワークでそれぞれ構成される複数のマクロメッシュを有することが可能である。
【0016】
ランダム分布及びランダム形状のセルのネットワークを有する光学部品においては、各セルは、下記の寸法パラメータにより特徴づけられる。各セルを分離する壁の高さ(h)は、該ネットワークの各セル間でほぼ一定及び同一である。(光学部品の表面に対し平行に測定される)該壁の厚さ(e)は、該ネットワークの該セルを形成している各壁間で、ほぼ一定及び同一である。ノードの数及びそれらノードの幾何学的相対位置決めは、該メッシュの各セルを形成している各ノードの双方向軸(x、y)に基づいて、ランダムに分布されている。ノードの数とそれらノードの相対位置決めにより、各セルの表面面積を規定することが可能となる。ランダム分布は従って、本発明の構想内において可能である、各セルの平均表面面積及び標準偏差により特徴づけることができる。
【0017】
光学部品の表面に対し平行なセルは、好適には0.10〜5μmの範囲の厚さ(e)の壁によって分離されている。有利には、セルの集合体が1〜50μmの高さ(h)の層を形成することである。光学部品の表面に対し平行なセルの、対向する2つの壁の間の上限距離(D)は、500μmである。有利には、セルの距離(D)が1〜200μmの間である。マクロメッシュ内の各セルの表面面積は、同一の表面面積から±70%の間で変動する。有利には、マクロメッシュ内の全てのセルは同一の表面面積、又は±50%以内で変動し、更に選択的には、±10%以内で変動する。
【0018】
本発明の一改良例においては、セルのネットワークを形成している壁の一面上の直線セグメントは、非整列化した連続のサブセグメント及び/又は曲線状のセグメントに分化されている。同様に、セルのネットワークを形成している壁の一面上の円のアークは、非整列化した連続のサブセグメント及び/又は曲線状のセグメントに分化されることが可能である。この最適化により、拡散の屈折率楕円体の制御標準化を達成することが可能となる。
【0019】
本発明においては、光学部品の表面面積単位当たりの、物質により充てんされたセルが占める表面面積として定義づけされた充てん率τが90%より高くなるように、並置されたセルの集合体が形成されていることが好ましい。言い換えれば、セルの集合体が設けられた光学部品の少なくとも一領域内において、集合体のセルが光学部品の表面面積の少なくとも90%を占めるということである。有利には、充てん率が90〜99.5%の間であることである。
【0020】
ランダム分布及びランダムなセル形状のセルのネットワークを有する光学部品においては、各マクロメッシュは下記のパラメータによって特徴づけされる。高さ(hi):各セルを分離する壁の高さ(h)と等しい。マクロメッシュの表面面積:この数値には、規定制限値がない。よって、本発明の一実施形態におけるマクロメッシュは、光学部品の表面全体を覆うことが可能である。この場合、マクロメッシュの面積は、光学部品の表面面積と少なくとも同一であるべきである。本発明の別の実施形態においては、光学部品の表面は周期的あるいは非周期的分布に応じて複数のマクロメッシュによって覆われている。この場合、マクロメッシュの表面面積における制約は、その分布であり、マクロメッシュにより覆われていない自由空間を残さずに、光学部品の表面全体を覆うことが可能である必要がある。従って、このマクロメッシュの重要な特徴は、光学部品の表面面積に対するマクロメッシュ固有の表面面積ではなく、その分布にあることが容易に理解できる。マクロメッシュの周期的又は非周期的分布により、光学部品の表面全体を覆うことができる。マクロメッシュの分布が周期的である場合、この周期性は、二次的なメッシュ、つまり、同一の又は異なる長さの4つの面と2つの並進軸を有するメッシュを示す。利点として、マクロメッシュは、それ自体が四角形又は六角形の形状を有する。非周期的機構の場合、マクロメッシュの分布は、並進の短距離又は長距離秩序なしで、形成される。このようなマクロメッシュ分布は、具体的には、ペンローズタイル(Penrose tiling)に基づいて、形成される。
【0021】
セルの集合体は、剛性の透明な支持体上に直接形成、あるいは可撓性の透明な膜内に形成し、それから剛性の透明な支持体上に転写することができる。前記剛性の透明な支持体の、セル集合体を受け入れる面は、凸状、凹状又は平面である。
【0022】
光学部品の少なくとも幾つかのセル内に含まれる、光学特性を持つ物質は、液状あるいはゲル状である。前記物質は、具体的には、着色性、フォトクロミズム、偏光性及び屈折率の中から選択される、少なくとも一つの光学特性を有する。
【0023】
矯正用レンズの製造への応用には、光学部品の異なるセルが、異なる屈折率を有する物質を含んでいることが望ましい。屈折率は一般に、矯正される眼の予測される屈折異常に基づいて、光学部品の表面にわたって変動するよう適合される。
【0024】
偏光光学特性を持つ光学レンズの製造への適用のため、光学部品のセルは、特に染料と関連する又は関連しない液晶を含む。
【0025】
光学部品のセル集合体は、異なる物質を含む複数のセル群を含むことも可能である。同様に、前述したように、各セルが、1つ以上の光学特性を持つ物質で充てんされていることも可能である。
【0026】
本発明の目的はまた、前述において定義した光学部品の製造方法であって、この製造方法においては、ランダム分布及びランダム形状のセルのネットワークを、幾何学的及び周期的分布のセルのネットワークに基づいたデジタルシミュレーション、及び/又はデジタル最適化により決定し、前記シミュレーション及び/又は最適化は具体的には下記のステップ:周期的に連続する多角形のメッシュを有するセルのネットワークを明確化するステップと、空間内に制限された全ての変位方法から選択された1つ以上の方法によって、平面(2D)内の多角形のメッシュのノード(結節点)を、選択的には、ポイントの周囲、円の周囲及び四角形の周囲で変位させるステップと、前述したような方法によってそれ自体が変位可能なメッシュノード等の新たなポイントを任意に追加するステップと、デジタルシミュレーション及び/又はデジタル最適化によって、メッシュノードをリンクすることができる、セグメント及び直線のヒストグラムを生成するステップと、全ての方向が得られるまで、すなわち、広がり回折を得るために全ての回折の伝播方向の表象が得られるまで、シミュレーション及び/又は最適化の反復を停止するステップとを含み、光学部品の該表面に平行なセルのネットワークを基板上に形成し、該セルのネットワークは、前述したデジタルシミュレーションに基づいて得られるランダム分布及びランダム形状を有し、光学特性を持つ液状またはゲル状の物質を、全体的又は個々にセルに充てんし、物質の反対側においてセルを密閉する。
【0027】
前記方法の好適な実施形態によれば、ランダム分布及び形状のセルのメッシュは、六角形又は四角形の形状の、周期的に反復する多角形のメッシュを含むマトリクスに基づく、デジタルシミュレーション及び/又はデジタル最適化によって決定される。このような方法では、周期的分布及び標準の六角形の形状の、平らな基板に構成されたメッシュは、4つのパラメータにより定義される。すなわち、3つの120°の対称軸上で同一である周期パターンのピッチ(a)2つの隣接セルの間の壁の厚さ(b)セルの高さ(e)液体及び基板媒体のそれぞれの複素屈折率(n、n)。
【0028】
このシミュレーション及び/又は最適化に使用されるモデルにおいて、セルの高さは、回折構造を、単純な2次元位相及び振幅物体としてのみ捉えるのに十分な小ささであると考えられる。回折波は、着用者の網膜の平面上に結像される。光学部品から眼の瞳孔までの距離(d)は、像の形成には、関連しない。伝送される振幅は、三角パターン(120°の3つの軸)を有する2次元のディラック関数(Dirac comb)による個々の六角形パターンのコンボリューションで表すことができ、次に眼の瞳孔であるディスク関数を乗じる。
【0029】
後者の式により、眼の幾何学的収差内で眼の網膜に結像される、フーリエ空間における回折界の式が簡易化される。
【0030】
コンボリューション演算は、単純なフーリエ空間での乗算で表される。遠視野の回折振幅は従って、六角形パターンのフーリエ変換を乗じた、逆ピッチのディラック関数でコンボリューションされる眼の瞳孔(Airy disc)のフーリエ変換である。
【0031】
この式を使用することにより、下記が成立する。瞳孔のフーリエ変換によりコンボリューションされたゼロ回折次数(中央のディッラクピーク)は、像の形成に利用可能なエネルギー全体を組み入れる。スプリアスイメージとして認識されるためには、ゼロ次数のエネルギーは最大化されるべきであり、ゼロ次数より上の次数のエネルギーは、最小化されるべきである。
【0032】
よって、前述した光学部品の製造方法においては、周期的分布及び標準形状のセルのメッシュに基づくデジタルシミュレーションにより、ランダム分布及びランダム形状のセルのメッシュが生成され、このセルのメッシュにおいては、壁での透過は、変調項を位相関数として除外するため、最小化され、セルの形状は、壁のメッシュのノードにより送られる回折線を分割するように調節され、この形状の調節は、中央に位置した2つのランダム変数に基づいて、双方向面(x、y)における各ノードを変位させることにより得られ、スプリアス次数の回折エネルギーは、周期的分布及び標準形状のセルのメッシュの回折像に対応する方向に従って、スクランブリングにより空間に分布される。
【0033】
本発明による方法は従って、セルのランダムメッシュを規定することを可能とし、このセルのランダムメッシュにおいては、好適な回折方向は、分割され、壁の長さの合計は、制御された仕方で基準のメッシュ、すなわち、周期的分布及び標準形状のセルのメッシュと比較して増加され、メッシュの平均表面面積と占有面積は、基準のメッシュ及びランダムメッシュの間で制御される。
【0034】
該方法の改良例においては、ランダム分布及びランダム形状のセルのネットワークは、2次元平面上のポイントの分布に基づいたデジタルシミュレーション又はデジタル最適化によって決定され、前記シミュレーションは、異なるポイントをリンクさせることができるセグメントと直線のヒストグラムを作るのに使用され、新たなポイントを2次元平面上に任意に追加し、全ての方向が得られるまで、すなわち、広がり回折を得るために全ての回折の伝播方向の表象が得られるまで、シミュレーションの反復を停止する。
【0035】
従って、ランダム分布及びランダム形状に基づくピクセル化された光学部品の実施方法により、光学部品を得る手段が設けられ、該光学部品において、セルのネットワークのスプリアスハローのテクスチャは、コヒーレント光の拡散において良く知られる、「スペックル」統計に基づくテクスチャと同様のものである。このスプリアスハローは、眼では認知することができず、いかなる場合においても、このスプリアスハローを含む光学部品による明確な認知の点で、不快感を与えることはない。このスプリアスハローは、前述した拡散ハローとは区別され、このようなネットワークを含む光学部品を通して観察された像のコントラストを減少させるものではない。
【0036】
光学部品のピクセル化構造により、光学部品は所要の輪郭に切削されることができ、これにより、種々の支持体、例えばフレーム又はヘルメット等に組み入れ、適合することが可能となる。該方法はまた、構造の統合性を損なわずに、光学部品を支持体に固定するために、光学部品に穴を開けるステップを含んでいても良い。
【0037】
本発明の更に別の態様は、このような光学部品を切削して作られる透明な光学要素、特に眼鏡レンズに関する。眼鏡レンズは、眼科用レンズを含む。ここで使用される眼科用レンズという表現は、眼を守るため及び/又は視力を補正するために眼鏡フレームに適合されるレンズを意味し、これらのレンズは、無焦点、一焦点、二焦点、三焦点及び累進多焦点レンズから選択される。眼科光学が、本発明の好ましい分野であるが、当然ながら本発明は、例えば光学機器用のレンズ、特に写真撮影又は天文学用のフィルター、光学的照準レンズ、接眼レンズ、点灯装置用光学系等の他のタイプの透明な光学要素に応用可能である。本発明では、眼科光学は眼科用レンズを含むが、コンタクトレンズ及び眼内インプラントも含む。
【0038】
本発明のその他の具体的な特長及び利点は、本明細書に添付の図を参照に、下記の限定的な例示形態の説明により明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
図1に示す光学部品10は、眼鏡レンズ用のブランクとなっている。眼鏡レンズは、上記に定義したように、眼科用レンズから成る。必然的に、眼科用レンズは、本発明に好ましい分野であるが、当然ながら、本発明はその他の種類の透明な光学要素にも応用可能である。
【0040】
図2に、ブランクの光学部品10を、図1において点線で示される所定の輪郭の周囲を切削することにより、得られた眼鏡レンズ11を示す。この輪郭は、ブランクの範囲に含まれるものであれば、任意に決められる。従って、連続して製造されるブランクの光学部品は、様々な種類の眼鏡フレームに適合できるレンズを得るのに、使用することができる。フレームとこのフレームにレンズを固定する方法に適した形状にするため及び/又は審美的な理由により、従来、切削されたレンズの縁は、たやすく削って形を整えることが可能である。例えば、フレームに固定するためのネジを受けるために、レンズ内に穴14を開けることができる。
【0041】
ブランクの光学部品10の一般的な形状は、工業規格に沿ったものであって良く、例えば、直径70mm(ミリメートル)の丸い輪郭の形状で、凸状表面12と凹状裏面13を有する(図3)。従って、従来の切削、トリミング及びドリル工具を使用して、ブランクの光学部品10からレンズ11を得ることができる。
【0042】
図1及び2において、表面層の部分的な除去により、ブランクの光学部品10及びレンズ11のピクセル化された構造が明らかとなる。この構造は、透明な部品の層17の内部に形成された、セル又はマイクロタンク15のネットワークで構成されている。これらの図においては、図を観察しやすくするために、層17及びセル15の寸法が、ブランクの部品10及びその基板16に比べ、誇張されている。
【0043】
(ブランクの光学部品10の表面に平行な)セル15の側面の寸法形状(D)は、1ミクロンよりも大きく、数ミリメートルの範囲まで及ぶ。このセルのネットワークは従って、マイクロエレクトロニクス又はマイクロメカニカル装置の分野において良く知られる技術により製造できる。具体的及び非限定的な実施例としては、ホット(熱)印刷、熱エンボス加工、マイクロ成形、フォトリソグラフィー(ハード、ソフト、ポジ型、ネガ型)、マイクロコンタクト印刷、スクリーン印刷又はマテリアルジェット印刷をも含むマイクロデポジション等の方法が挙げられる。
【0044】
吸収壁18を形成する層17の高さ(h)は、好適には1〜50μmである。壁18の厚さ(d)が0.1〜5.0μmであることにより、特に高い充てん率を得ることができる。
【0045】
セルのネットワーク15を組み入れた層17は、眼科用レンズに良くあるように、所定数の付加的な層19及び20(図3)に覆われていてもよい。これらの層は一般に、衝撃強さ、引っかき抵抗性、着色性、非反射性、非汚染性及びその他の機能を備える。例示におけるセルのネットワークを組み入れた層17は、透明基板16のすぐ上に設けられるが、それらの間に、衝撃強さ、引っかき抵抗性及び着色機能を備える層等の1つ以上の中間層が設けられていても良い。
【0046】
透明基板16は、眼科光学において通常使用される、ミネラルガラス又は異なるポリマ材料から作られていてもよい。使用可能なポリマ材料は、非包括的な表示として、ポリカーボネート;ポリアミド;ポリイミド;ポリスルホン;ポリエチレンテレフタレート及びポリカーボネートの共重合体;ポリオレフィン、特にポリノルボルネン;ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)の重合体及び共重合体、;特にビスフェノールA由来の(メタ)アクリル重合体及び共重合体を含む、(メタ)アクリル重合体及び共重合体;チオ(メタ)アクリル重合体及び共重合体;ウレタン及びチオウレタン重合体及び共重合体;エポキシ重合体及び共重合体;及びエピスルフィド重合体及び共重合体が、挙げられる。
【0047】
セルのネットワークを組み入れた層17は、好適には、光学部品の凸状の表面12に位置し、凹状の裏面13は、必要に応じて加工及び研磨により再形成できるように、そのままの状態で保持される。光学部品は、レンズの凹面上に位置していても良い。当然ながら光学部品は、平らな光学要素に組み入れることも可能である。
【0048】
マイクロタンク15は、液状又はゲル状の、光学特性を有する物質で充てんされている。光学部品の表面の前処理は、壁、及びマイクロタンクの底部の材料の湿潤を促進させるために、必要に応じて適用されてもよい。光学特性を持つ物質を形成する溶液又は懸濁液は、ネットワークの全てのマイクロタンクに対し同一であってよく、その場合、シルクスクリーン印刷等の方法、スピン工程、ローラー又はスクレーパーを使用した物質拡散法、又は噴霧工程によっても、光学部品を適切な溶液に単純に浸すことによって導入することができる。また、マテリアル印刷ヘッドを使用して、個々のマイクロタンクに局所的に射出することも可能である。
【0049】
充てんされたマイクロタンクの集合体を密閉するには通常、樹脂膜を、壁18の上端部に応用、接着、熱融着又は熱積層させる。また、密閉する箇所に、マイクロタンクに含まれる光学特性を持つ物質とは混合しない、溶液内で重合可能な物質を堆積させてから、この物質を例えば熱又は照射により重合させることも可能である。
【0050】
マイクロタンク15のネットワークが一旦完成すると、光学部品は付加的な層、又は被覆加工19,20を受け入れることができ、光学部品の製造過程が終了する。このタイプの光学部品は、連続的に製造されて、保管され、後に顧客の必要に応じて取り出され、個々に切削処理が施される。
【0051】
光学特性を持つ物質が、液状又はゲル状のまま保持されない場合、例えば、物質が堆積された時点から、適切な段階において加熱及び/又は照射シーケンスにより、固形化処理を適用することができる。
【0052】
一改良例においては、マイクロタンクのネットワークから成る光学部品が、可撓性の透明膜の形状で構成されている。このような膜は、上述したものと同様の手法により生成することができる。この場合、膜は平面で凹凸のない支持体上に生成される。
【0053】
例えば膜は、比較的大きな規模で工業的に製造され、適切な寸法形状に切削され、ブランクの光学部品の基板16に転写される。この転写は、可撓性の膜を、膜の熱成形により、又は真空下における物理的な接着効果によっても、接着させることによって実施できる。この膜には次に、前述した例と同様、様々な塗布工程を行うことができ、あるいは、前述したように、1つ以上の付加的な層で塗布された基板16に転写させることもできる。
【0054】
本発明のある応用分野においては、マイクロタンク15に導入された物質の光学特性は、屈折率に関連する。物質の屈折率は、補正レンズを得るために、光学部品の表面に亘って調整されている。本発明の第1の改良例においては、マイクロタンク15のネットワークの製作工程において、異なる屈折率の物質を導入することにより、この調整が行われる。
【0055】
本発明の別の改良例においては、後に照射により屈折率を調整することができる物質をマイクロタンク15に導入することにより、調整が行われる。矯正光学機能は、その後、表面にわたってエネルギーが変動する光をブランク部品10又はガラス11に当てることにより付加され、これにより患者の視力を矯正するために必要な屈折率プロファイルを得る。この光は一般的にレーザーにより生成され、書き込み装置はCD−ROM又はその他の光学記録媒体への書き込みに使用されるものと同様のものである。感光性物質の光照射の程度の差は、レーザー出力の調節及び/又は照射時間の選択によって決まる。
【0056】
この応用例において使用可能な物質は、例えば、メソ多孔質物質又は液晶が挙げられる。これらの液晶は、例えば照射により引き起こされる重合反応により、調節可能である。従って、これらの液晶は、液晶を通る光波に所定の光学遅延を導入するために選択された状態に調節される。メソ多孔質物質の場合では、物質の屈折率は、多孔率の変動により制御される。その他の可能性としては、照射により引き起こされる重合反応中に屈折率を変化させる特性により良く知られる、感光性重合体を使用することである。この屈折率の変化は、物質密度の変化と、化学的構造における変化に起因する。重合反応の際に、体積の変動が非常に小さい感光性重合体を使用することが好ましい。
【0057】
溶液又は懸濁液の選択重合は、光学部品の表面に対し空間的に分化させた放射線の存在下で達成され、これにより所要の屈折率を調整することができる。この調整は、矯正される患者の眼の、予測される屈折異常に従って、予め決定される。
【0058】
本発明の別の応用例において、ゲル状又は液状の状態で、マイクロタンクに導入された物質は、偏光性を有する。この応用例において使用される物質では、特に液晶が挙げられる。
【0059】
本発明の別の応用例においては、液状又はゲル状の状態で、マイクロタンクに導入される物質は、フォトクロミック特性を有する。この応用例において使用される物質では、例えば、スピロオキサジン、スピロ−インドリン−[2.3’]−ベンゾオキサジン、クロメン、スピロオキサジン、ホモアザアダマンタン、スピロフルオレン−(2H)−ベンゾピラン、ナフト[2、1−b]ピラン核等の、中央パターンを含有するフォトクロミック化合物が挙げられる。
【0060】
本発明においては、光学特性を持つ物質は、透過速度を修正するのに適した、染料又は顔料であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1は本発明による光学部品の正面図である。
【図2】図2は上記光学部品から得られた光学要素の正面図である。
【図3】図3は本発明の第一の態様による光学部品の断面図である。
【図4】図4は、本発明の態様であって、光学部品の表面全体を覆うことができる単一のマクロメッシュの正面図であって、このマクロメッシュはランダム分布及び形状のセルのネットワークを含む。
【図5】図5はペンローズネットワークに係るマクロメッシュの非周期的な分布の正面図である。
【図6】図6は壁の各直線セグメントが曲線状のセグメントに分化されているマクロメッシュの正面図である。
【図7】図7は壁の各直線セグメントが、非整列化した連続のサブセグメントに分化されているマクロメッシュの正面図である。
【符号の説明】
【0062】
10 ブランクの光学部品
11 レンズ
12 凸状の表面
13 凹状の裏面
14 穴
15 セル又はマイクロタンク
16 基板
17 層
18 壁
19 付加的な層又は被覆加工
20 付加的な層又は被覆加工

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学部品の一面に平行に並置された少なくとも1つの透明なセルの集合体を含み、各セルが、前記光学部品の表面に対し平行な、ランダム分布及びランダム形状のセルのネットワークを形成している隣接するセルとは異なる大きさ及び形状を持つ光学部品。
【請求項2】
各セルが密閉され、光学特性を持つ少なくとも1つの物質を含む、前記の少なくとも1つの透明なセルの集合体を含む、請求項1に記載の光学部品。
【請求項3】
前記セルが円のセグメント及び/又はアークを含む任意の有限な幾何学的形状を有し、各円のセグメントまたはアークは各セル内において同一あるいは異なっており、前記光学部品の全表面にわたる分布が並進における短距離秩序を有さない、請求項1又は2に記載の光学部品。
【請求項4】
ランダム分布及びランダム形状のセルのネットワークは、マクロメッシュパターンを示し、前記マクロメッシュは光学部品の表面全体を覆うことができる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項5】
ランダム分布及びランダム形状を持つセルのネットワークは、マクロメッシュパターンを示し、前記マクロメッシュは光学部品の表面全体にわたって周期的に反復する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項6】
ランダム分布及びランダム形状のセルのネットワークは、マクロメッシュパターンを示し、前記マクロメッシュは、光学部品の表面全体にわたって非周期的に反復する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項7】
周期的又は非周期的分布に応じて反復しているマクロメッシュは、光学部品の表面全体にわたって、同一又は異なっている、請求項5又は6に記載の光学部品。
【請求項8】
前記マクロメッシュは前記光学部品の表面面積と少なくとも同一の表面面積を有する、請求項4に記載の光学部品。
【請求項9】
前記光学部品の表面全体を覆うマクロメッシュの反復は、前記マクロメッシュの周期的あるいは非周期的分布からなり、前記分布が前記光学部品の表面の少なくとも1種のマクロメッシュにより覆われていない自由空間を残さない、請求項5〜7のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項10】
前記マクロメッシュの分布の周期性が同一の又は異なる長さの4つの面と2つの並進軸を有する二次的なメッシュを示す、請求項5に記載の光学部品。
【請求項11】
前記マクロメッシュは四角形及び六角形の形状から選ばれる形状を有する、請求項5に記載の光学部品。
【請求項12】
マクロメッシュの分布の非周期性が、並進の短距離又は長距離秩序なしで形成される、請求項6に記載の光学部品。
【請求項13】
前記マクロメッシュの非周期的反復がペンローズタイルを含む、請求項6に記載の光学部品。
【請求項14】
前記セルは、0.10〜5μmの範囲の厚さの壁によって分離されている、請求項1〜13のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項15】
セルの集合体が1〜50μmの高さ(h)の層を形成する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項16】
光学部品の表面に対し平行なセルの、対向する2つの壁の間の上限距離(D)は500μmである、請求項1〜15のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項17】
前記距離(D)が1〜200μmの間である、請求項16に記載の光学部品。
【請求項18】
マクロメッシュ内の各セルの表面面積は、同一の表面面積から±70%の値の間である、請求項1〜17のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項19】
マクロメッシュ内の各セルの表面面積は、同一の表面面積から±50%の値の間である、請求項18に記載の光学部品。
【請求項20】
マクロメッシュ内の各セルの表面面積は、同一の表面面積から±10%の値の間である、請求項18に記載の光学部品。
【請求項21】
充てん率が90〜99.5%である、請求項1〜20のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項22】
セルのネットワークを形成している壁の一面上の直線セグメントは、非整列化した連続のサブセグメント及び/又は曲線状のセグメントに分化されている、請求項1〜21のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項23】
セルのネットワークを形成している壁の一面上の円のアークは、非整列化した連続のサブセグメント及び/又は曲線状のセグメントに分化される、請求項1〜22のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項24】
セルの集合体は、剛性の透明な支持体上に直接形成、あるいは可撓性の透明な膜内に形成し、それから剛性の透明な支持体上に転写される、請求項1〜23のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項25】
前記剛性の透明な支持体の、セル集合体を受け入れる面は、凸状、凹状又は平面である、請求項24に記載の光学部品。
【請求項26】
光学部品の少なくとも幾つかのセル内に含まれる、光学特性を持つ物質は、液状あるいはゲル状である、請求項1〜25のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項27】
前記物質は、着色性、フォトクロミズム、偏光性及び屈折率の中から選択される、少なくとも一つの光学特性を有する、請求項26に記載の光学部品。
【請求項28】
基材上に前記光学部品の表面に対し平行な、ランダム分布及びランダム形状のセルのネットワークを形成し、光学特性を持つ液状またはゲル状の物質を、全体的又は個々にセルに充てんし、物質の反対側においてセルを密閉する、各ステップを含んで成る、請求項1〜27のいずれか1項に記載の光学部品の製造方法。
【請求項29】
ランダム分布及びランダム形状のセルのネットワークを、幾何学的及び周期的分布のセルのネットワークに基づいたデジタルシミュレーション、及び/又はデジタル最適化により決定し、前記シミュレーション及び/又は最適化は具体的には下記のステップ:周期的に連続する多角形のメッシュを有するセルのネットワークを明確化するステップと、空間内に制限された全ての変位方法から選択された1つ以上の方法によって、平面(2D)内の多角形のメッシュのノード(結節点)を、選択的には、ポイントの周囲、円の周囲及び四角形の周囲で変位させるステップと、前述したような方法によってそれ自体が変位可能なメッシュノード等の新たなポイントを任意に追加するステップと、デジタルシミュレーション及び/又は最適化によって、メッシュノードをリンクすることができる、セグメント及び直線のヒストグラムを生成するステップと、全ての方向が得られるまで、すなわち、広がり回折を得るために全ての回折の伝播方向の表象が得られるまで、シミュレーション及び/又は最適化の反復を停止するステップとを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
ランダム分布及び形状のセルのメッシュは、六角形又は四角形の形状の、周期的に反復する多角形のメッシュを含むマトリクスに基づく、デジタルシミュレーション及び/又はデジタル最適化によって決定される、請求項28又は29に記載の方法。
【請求項31】
周期的分布及び標準形状のセルのメッシュに基づくデジタルシミュレーション及び又は最適化により、ランダム分布及びランダム形状のセルのメッシュが生成され、このセルのメッシュにおいては、壁での透過は、変調項を位相関数として除外するため、最小化され、セルの形状は、壁のメッシュのノードにより送られる回折線を分割するように調節され、この形状の調節は、中央に位置した2つのランダム変数に基づいて、双方向面(x、y)における各ノードを変位させることにより、得られ、スプリアス次数の回折エネルギーは、周期的分布及び標準形状のセルのメッシュの回折像に対応する方向に従って、スクランブリングにより空間に分布される、請求項28〜30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記デジタルシミュレーションがセルのランダムメッシュを規定し、このセルのランダムメッシュにおいては、好適な回折方向は、分割され、壁の長さの合計は、制御された仕方で基準のメッシュ、すなわち、周期的分布及び標準形状のセルのメッシュと比較して増加され、メッシュの平均表面面積と占有面積は、基準のメッシュ及びランダムメッシュの間で制御される、請求項28〜31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
ランダム分布及びランダム形状のセルのネットワークを決めるステップは、2次元平面上のポイントに基づいたデジタルシミュレーションによって行われる、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
ランダム分布及びランダム形状のセルのネットワークを決めるステップは、2次元平面上のポイントに基づいたデジタル最適化によって行われる、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記光学部品の製造が、セルの集合体の剛性の透明な支持体上への形成を含む、請求項28〜34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記光学部品の製造が、セルの集合体の可撓性の透明な膜内に形成と、引き続き剛性の透明な支持体上への転写を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記剛性の透明な支持体の、セル集合体を受け入れる面は、凸状、凹状又は平面である、請求項28〜36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
請求項28〜37のいずれか1項に記載の透明な光学部品を製造するステップと、前記光学部品を、光学要素のための所定の形状に対応する前記表面に規定された輪郭に沿って切削する少なくとも一つのステップとを含んでなる透明な光学要素の製造方法。
【請求項39】
光学要素を支持体に固定するために、光学部品に穴を開けるステップを更に含む、請求項38に記載の製造方法。
【請求項40】
請求項1〜27のいずれか1項に記載の光学部品の、眼科用レンズ、コンタクトレンズ、眼内インプラント、光学機器用のレンズ、フィルター、光学的照準レンズ、接眼レンズ、及び点灯装置用光学系から選ばれる透明な光学要素の製造への使用。
【請求項41】
請求項1〜27のいずれか1項に記載の光学部品を切削することにより製造された眼鏡レンズ。
【請求項42】
前記光学部品に少なくとも一つの穴をあけ、レンズをフレームに固定する、請求項41に記載の眼鏡レンズ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−501953(P2009−501953A)
【公表日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−522099(P2008−522099)
【出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際出願番号】PCT/IB2006/002911
【国際公開番号】WO2007/010414
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(505425373)エシロール アンテルナシオナル (コンパニー ジェネラレ ドプテイク) (74)
【Fターム(参考)】