説明

ランダム制御式燃料電池電力モジュール

【課題】燃料電池と燃料電池を電源とする負荷との間に複数のコンバータを配置した燃料電池電力モジュールにおいて、複数のコンバータの寿命を延長する。
【解決手段】燃料電池1と負荷2との間に第1〜5のDC−DCコンバータを配置した電力モジュール10において負荷2の電流検出ユニット20により検出した負荷電流値に対して、ランダム制御ユニット30によって予め設定されたモードにより、各DC−DCコンバータをランダムに選択して起動する。
負荷電流変化に応じて各コンバータがランダムに選択されるため、それらの使用頻度が平均化され、寿命が延長される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はランダム制御式燃料電池電力モジュールに関し、特に、負荷電流値に基づき、電力モジュールシステムの動作をランダムに制御し、各コンバータを平均的に使用することにより、故障率を低減し、システムの安定性を向上させるランダム制御式燃料電池電力モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
地球上のエネルギー資源の消費量が増大するに伴い、環境保護に対する意識が益々高まっている。特に、石油などの化石燃料は、益々不足しているため、新たなエネルギーの研究が盛んに行われ、その一環として燃料電池が研究されている。現在、燃料電池は、電力、工業、運輸、宇宙、軍事などの各領域において広く応用されており、例えば、発電所、予備電池、携帯電源、フォークリフト、ロボット、電気自動車、小型潜水艇などの製品に応用されている上、宇宙船および宇宙ステーションの電源にも応用されている。
【0003】
燃料電池が重視される理由は、燃料電池が有する幾つかの特徴が時代のフローに適合するからである。また、燃料電池は、未来の発電の領域において、注目されている。燃料電池の第1の特徴として、高効率であることが挙げられる。燃料電池のエネルギー変換効率は非常に高く、40%以上に達する。また、コジェネレーション(cogeneration)技術を応用し、反応時に放出される廃熱を回収すると、総エネルギー変換効率は、80%が以上に達することが見込まれる。第2の特徴として、クリーンであることが挙げられる。燃料電池は、発電の過程において、汚染物質が殆ど発生しない。第3の特徴として、静粛であることが挙げられる。燃料電池発電所付近で測定される騒音量は非常に低い。
【0004】
しかし、燃料電池にも欠点がある。その1つは、分極損失の問題である。燃料電池の内部の化学特性により、燃料電池が負荷に接続された後、その端子電圧は、負荷電流の変化に伴い、変動しやすく、その変動比率は約50%にも達する。また、負荷電流が大きいほど、燃料電池の端子電圧の変化量も大きくなる。従って、一般に、燃料電池が発生する電圧は、直接利用されず、先ず、電力技術により、燃料電池が出力する電圧を安定させ、安定化された後の電圧を出力して使用する。例えば、高周波スイッチ技術により、DC−DCコンバータ(DC/DC converter)を使用することにより、燃料電池が出力する電圧を安定させる。
【0005】
図1および図2を参照する。図1は、従来の燃料電池電力モジュールを示すブロック図である。図2は、従来の他の燃料電池電力モジュールを示すブロック図である。
【0006】
図1に示すように、従来の燃料電池電力モジュールは、燃料電池40、DC−DCコンバータ50およびコントローラ60を具える。DC−DCコンバータ50は、燃料電池40の出力電圧を受け、DC−DCコンバータ50の出力電圧に変換する。DC−DCコンバータ50の出力電圧は、負荷70に供給される。コントローラ60は、負荷70が必要とする負荷電流に基づき、DC−DCコンバータ50を起動し、出力パワーを増減させ、負荷70に供給する。
【0007】
また、燃料電池の出力パワーの規格に基づき、1000ワットから10000ワットの形式に分けることができるが、高出力パワーを達成するために、コンバータは、一般に、単一の変換モジュールが多数並列に接続されたものが採用される。図2に示すように、従来の他の燃料電池電力モジュールは、燃料電池80と、複数のDC−DCコンバータが並列接続されて構成される電力モジュールシステム90と、からなる。燃料電池80の出力電圧に基づき、複数のDC−DCコンバータの任意の一DC−DCコンバータが制御されて起動し、そのDC−DCコンバータの出力電圧に変換される。
【0008】
上述の変換モジュールが多数並列に接続される技術は、一般に、負荷電流を均一化する方式とマスタスレーブ(Master−Slave)制御方式の2種類に分類される。負荷電流を均一化する方式においては、出力電流が1つの抵抗を経由して均一化バスに接続される。均一化バス上の電流コマンドは、全ての並列接続されたDC−DCコンバータの出力電流信号の平均値であり、この電流信号の平均値は、全ての電力モジュールシステムの共同の基準コマンドとなる。しかし、この負荷電流を均一化する方式は、耐故障性に劣るという欠点を有する。
【0009】
マスタスレーブ制御方式は、1台がマスタDC−DCコンバータを担当し、均一化バスを駆動する出力電流の情報をマスタ電流コマンドとする。他のDC−DCコンバータは、このマスタ電流コマンドを基準にして自身の出力電流を調整する。しかし、このマスタスレーブ制御方式は、システムの信頼度が低いという欠点を有する。
【0010】
また、上述の負荷電流を均一化する方式およびマスタスレーブ制御方式による制御方法は、何れも、固定された順番で各スレーブDC−DCコンバータを起動するため、頻繁に起動されるDC−DCコンバータが破損しやすく、DC−DCコンバータ全体の安定性およびシステムの寿命が影響を受けやすい。
【0011】
従って、DC−DCコンバータを利用して燃料電池の出力電圧を安定させる場合、故障率を低減し、使用寿命を延長し、システムを安定させるために、DC−DCコンバータを平均的に使用することができる回路アーキテクチャが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2008−186726号公報
【特許文献2】特開2006−81353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の第1の目的は、ランダム制御ユニットが一起動モードをランダムに選択し、負荷が必要とする負荷電流値に基づき、選択した起動モードを参照して複数のDC−DCコンバータをランダムに制御し、複数のDC−DCコンバータを平均的に使用することにより、故障率を低減するランダム制御式燃料電池電力モジュールを提供することにある。
本発明の第2の目的は、電流検出ユニットが検出した負荷電流値に基づき、ランダム制御ユニットが、複数のDC−DCコンバータをランダムに制御するランダム制御式燃料電池電力モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の課題を解決するために、本発明は、ランダム制御式燃料電池電力モジュールを提供するものである。本発明のランダム制御式燃料電池電力モジュールは、少なくとも2つのDC−DCコンバータが並列接続されて構成され、負荷が必要とする電力を供給する電力モジュールシステムと、負荷の一負荷電流値を検出する電流検出ユニットと、負荷電流値を読み取り、一制御モードをランダムに選択し、負荷電流値に基づき、DC−DCコンバータを起動するランダム制御ユニットと、から構成する。
【発明の効果】
【0015】
本発明を実施することにより、少なくとも下記の効果が達成される。
1.ランダム制御ユニットが異なるDC−DCコンバータをランダムに選択して起動し、異なるDC−DCコンバータを代わる代わる使用することができるため、特定のDC−DCコンバータが偏って使用されるのを防止することができ、これにより、使用寿命を延長することができる。
2.ランダム制御ユニットが、検出した負荷電流値に基づき、異なるDC−DCコンバータをランダムに選択して起動し、各DC−DCコンバータを平均的に使用することができるため、各DC−DCコンバータの故障率を低減し、電力モジュールシステムの安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】従来の燃料電池電力モジュールを示すブロック図である。
【図2】従来の他の燃料電池電力モジュールを示すブロック図である。
【図3】本発明のランダム制御式燃料電池電力モジュールを示すブロック図である。
【図4】本発明のランダム制御ユニットを示すブロック図である。
【図5】本発明のランダム制御ユニットの起動モードを示す図である。
【図6】本発明のランダム制御ユニットが実行するステップを示すフロー図である。
【図7】本発明のランダム制御ユニットが選択した制御モードを実行するステップを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
当該技術に熟知する者が本発明の技術モード、目的および長所を簡単に理解できるように、本発明の実施形態を図面に沿って詳細に説明する。
【0018】
図3は、本発明のランダム制御式燃料電池電力モジュールを示すブロック図である。図4は、本発明のランダム制御ユニットを示すブロック図である。図5は、本発明のランダム制御ユニットの起動モードを示す図である。図6は、本発明のランダム制御ユニットが実行するステップを示すフロー図である。図7は、本発明のランダム制御ユニットが選択した制御モードを実行するステップを示すフロー図である。
【0019】
図3を参照する。図3に示すように、本実施形態によるランダム制御式燃料電池電力モジュール100は、電力モジュールシステム10、電流検出ユニット20およびランダム制御ユニット30により構成する。
【0020】
電力モジュールシステム10は、燃料電池1と直列接続され、燃料電池1が出力する直流電圧を補償するのに使用される。これにより、燃料電池1が出力する直流電圧は、さらに安定する。電力モジュールシステム10は、2以上のDC−DCコンバータ10a、10b、10c、10d・・・10nが並列接続されて構成され、負荷2が必要とする電力を供給する。
【0021】
電流検出ユニット20は、負荷2の負荷電流値を検出し、負荷電流信号をランダム制御ユニット30に出力する。
【0022】
ランダム制御ユニット30は、負荷電流信号を受信し、負荷電流信号を対応する負荷電流値に変換する。ランダム制御ユニット30は、負荷電流値に基づき、n個のDC−DCコンバータ10a、10b、10c、10d・・・10nをランダムに起動する。
【0023】
ランダム制御ユニット30は、先ず、電流検出ユニット20が検出した負荷電流値を読み取る。その後、起動モード中の一起動モードをランダムに選択し、それを制御モードとする。その後、制御モード中の負荷電流値に対応するモードに基づき、制御信号を出力し、各DC−DCコンバータ10a、10b、10c、10d・・・10nを制御する。
【0024】
詳細に述べると、ランダム制御ユニット30は、マイクロコントローラであって、n個のDC−DCコンバータに対して、予め複数の電流値を画定する。複数の電流値として少なくとも1つの最小電流値および少なくとも1つの最大電流値を設定し、それらの間に複数の電流区間を区分して形成する。
複数の電流値が、LC1、LC2、LC3、・・・LCnであるとすると、負荷電流LCがLC1とLC2との間に介在するとき、第1の電流区間3であると画定し、負荷電流LCがLC2とLC3との間に介在するとき、第2の電流区間4であると画定し、負荷電流LCがLC3とLC4との間に介在するとき、第3の電流区間5であると画定する(図4を参照)。
即ち、負荷電流LCがLCn-1とLCnとの間に介在するとき、第n−1の電流区間であると画定する。LC1は、最小電流値であり、LCnは、最大電流値である。また、nは、2より大きい正の整数である。
【0025】
ランダム制御ユニット30には、最小電流値と最大電流値との間に画定されるn−1個の電流区間に基づき、n個の起動モードが予め設定される。各電流区間は、少なくとも1つの対応するスイッチ情報を有する。また、各スイッチ情報のモードは、各DC−DCコンバータの起動状態にそれぞれ対応する。
【0026】
ランダム制御ユニット30は、負荷電流値を読み取った後、負荷電流値に対応する電流区間を判断する。負荷電流値が最小電流値よりも小さいとき、任意の一DC−DCコンバータをランダムに起動し、起動モード中の一起動モードをランダムに選択し、それを制御モードとする。
【0027】
負荷電流値が最小電流値と最大電流値との間に介在するとき、ランダム制御ユニット30は、電流区間に基づき、制御モード中の対応する一スイッチ情報を選択し、そのスイッチ情報に基づき、制御信号を出力してDC−DCコンバータを制御する。
【0028】
電流信号が最大電流値より大きいとき、全てのDC−DCコンバータがすでに起動されたことから、起動モード中の他の一起動モードをランダムに選択し、それを新たな制御モードとする。
【0029】
図4を参照する。図4に示すように、具体的な数を例示して詳細な説明を行う。本実施形態において、電力モジュールシステム10は、第1のDC−DCコンバータ10a、第2のDC−DCコンバータ10b、第3のDC−DCコンバータ10cおよび第4のDC−DCコンバータ10dを具える(図3を合わせて参照)。
ランダム制御ユニット30には、第1の電流値LC1、第2の電流値LC2、第3の電流値LC3および第4の電流値LC4が予め設定される。第1の電流値LC1は、最小電流値であり、第4の電流値LC4は最大電流値である。最小電流値と最大電流値との間には、第1の電流区間3、第2の電流区間4および第3の電流区間5が順番に画定される。第1の電流区間3は、第1の電流値LC1と第2の電流値LC2との間に介在する。第2の電流区間4は、第2の電流値LC2と第3の電流値LC3との間に介在する。第3の電流区間5は、第3の電流値LC3と第4の電流値LC4との間に介在する。
【0030】
図5を参照する。図5に示すように、ランダム制御ユニット30には、第1の起動モード31、第2の起動モード32、第3の起動モード33および第4の起動モード34が予め設けられる。第1の起動モード31は、スイッチ情報31a、31b、31c、31dを有する。第2の起動モード32は、スイッチ情報32a、32b、32c、32dを有する。第3の起動モード33は、スイッチ情報33a、33b、33c、33dを有する。第4の起動モード34は、スイッチ情報34a、34b、34c、34dを有する。各スイッチ情報のモードは、第1のDC−DCコンバータ10a、第2のDC−DCコンバータ10b、第3のDC−DCコンバータ10cおよび第4のDC−DCコンバータ10dの起動状態にそれぞれ対応する。
【0031】
さらに詳細に述べると、第1の起動モード31中、スイッチ情報31aは、負荷電流値が最小電流値よりも小さいときに対応し、1000というモードとなる。0は、停止を示し、1は、起動を示す。従って、1000というモードは、第1のDC−DCコンバータ10aを起動し、第2のDC−DCコンバータ10bを停止し、第3のDC−DCコンバータ10cを停止し、第4のDC−DCコンバータ10dを停止することを表す。
【0032】
同様に、スイッチ情報31bは、第1の電流区間3に対応し、1100、1010および1001というモードに対応する。0は、停止を示し、1は、起動を示す。従って、1100、1010および1001は、3種類の状況を示す。第1の状況は、第1のDC−DCコンバータ10aを起動し、第2のDC−DCコンバータ10bを起動し、第3のDC−DCコンバータ10cを停止し、第4のDC−DCコンバータ10dを停止することを表す。第2の状況は、第1のDC−DCコンバータ10aを起動し、第2のDC−DCコンバータ10bを停止し、第3のDC−DCコンバータ10cを起動し、第4のDC−DCコンバータ10dを停止することを表す。第3の状況は、第1のDC−DCコンバータ10aを起動し、第2のDC−DCコンバータ10bを停止し、第3のDC−DCコンバータ10cを停止し、第4のDC−DCコンバータ10dを起動することを表す。同様に、スイッチ情報31cは、第2の電流区間4に対応し、1110、1101および1011というモードとなる。同様に、スイッチ情報31dは、第3の電流区間5に対応し、1111というモード、すなわち、すべてのコンバータが起動するモードとなる。
【0033】
第2の起動モード32中、スイッチ情報32aは、負荷電流値が最小電流値よりも小さいときに対応し、0100というモードに対応する。スイッチ情報32bは、第1の電流区間3に対応し、0110、0101および1100というモードに対応する。スイッチ情報32cは、第2の電流区間4に対応し、1110、0111および1101というモードに対応する。スイッチ情報32dは、第3の電流区間5に対応し、1111というモードに対応する。
【0034】
第3の起動モード33中、スイッチ情報33aは、負荷電流値が最小電流値よりも小さいときに対応し、0010というモードに対応する。スイッチ情報33bは、第1の電流区間3に対応し、0110、1010および0011というモードに対応する。スイッチ情報33cは、第2の電流区間4に対応し、1110、0111および1011というモードを含む。スイッチ情報33dは、第3の電流区間5に対応し、1111というモードに対応する。
【0035】
第4の起動モード34中、スイッチ情報34aは、負荷電流値が最小電流値よりも小さいときに対応し、0001というモードに対応する。スイッチ情報34bは、第1の電流区間3に対応し、0101、1001および0011というモードに対応する。スイッチ情報34cは、第2の電流区間4に対応し、1101、1011および0111というモードに対応する。スイッチ情報34dは、第3の電流区間5に対応し、1111というモードに対応する。
【0036】
次に、ランダム制御ユニット30が第1の起動モード31を制御モードとする場合を例に挙げて説明する。負荷電流LCが増大し続け、最小電流値(即ち、第1の電流値LC1)より大きくなり、電流検出ユニット20が検出する負荷電流値が第1の電流値LC1と第2の電流値LC2との間に介在するとき、ランダム制御ユニット30は、第1の電流区間3に対応すると判断する。従って、ランダム制御ユニット30は、第1の起動モード31中のスイッチ情報31bに基づき、第1のDC−DCコンバータ10aおよび第2のDC−DCコンバータ10bを起動し、第3のDC−DCコンバータ10cおよび第4のDC−DCコンバータ10dを停止する。或いは、第1のDC−DCコンバータ10aおよび第3のDC−DCコンバータ10cを起動し、第2のDC−DCコンバータ10bおよび第4のDC−DCコンバータ10dを停止する。或いは、第1のDC−DCコンバータ10aおよび第4のDC−DCコンバータ10dを起動し、第2のDC−DCコンバータ10bおよび第3のDC−DCコンバータ10cを停止する。
【0037】
負荷電流LCが増大し続け、電流検出ユニット20が検出する負荷電流値が第2の電流値LC2と第3の電流値LC3との間に介在するとき、ランダム制御ユニット30は、第2の電流区間4に対応すると判断する。ランダム制御ユニット30は、第1の起動モード31中のスイッチ情報31cに基づき、第1のDC−DCコンバータ10a、第2のDC−DCコンバータ10bおよび第3のDC−DCコンバータ10cを起動し、第4のDC−DCコンバータ10dを停止する。或いは、第1のDC−DCコンバータ10a、第2のDC−DCコンバータ10bおよび第4のDC−DCコンバータ10dを起動し、第3のDC−DCコンバータ10cを停止する。或いは、第1のDC−DCコンバータ10a、第3のDC−DCコンバータ10cおよび第4のDC−DCコンバータ10dを起動し、第2のDC−DCコンバータ10bを停止する。
【0038】
負荷電流LCが増大し続け、電流検出ユニット20が検出する負荷電流値が第3の電流値LC3と第4の電流値LC4との間に介在するとき、ランダム制御ユニット30は、電流信号が第3の電流区間5に対応すると判断する。ランダム制御ユニット30は、第1の起動モード31中のスイッチ情報31dに基づき、制御信号を出力して全てのDC−DCコンバータ10a、10b、10c、10dを起動すると同時に、他の起動モードをランダムに選択し、それを新たな制御モードとする。
【0039】
以上のように電力モジュールシステム10をランダムに制御することにより、異なるDC−DCコンバータ10a、10b、10c、10dを代わる代わる使用することができるため、特定のDC−DCコンバータが偏って使用されるのを防止することができる。これにより、使用寿命を延長し、故障率を低減することができると同時に、システムの安定性を向上させることができる。
【0040】
図6を参照する。図6に示すように、本実施形態のランダム制御ユニット30は、下記のステップを行う。
【0041】
ステップ10:複数の電流値を画定する。これらの電流値中には、最小電流値および最大電流値を設定して、これらを複数の電流区間に区分する。各起動モードは、各電流区間において、少なくとも1つの対応するスイッチ情報を有する。
【0042】
ステップ20:負荷電流値を読み取る。
【0043】
ステップ30:負荷電流値に対応する電流区間を判断する。
【0044】
ステップ40:制御モードを実行する。ランダム制御ユニット30は、先ず、起動モード中の一起動モードをランダムに選択し、それを制御モードとする。その後、負荷電流値に対応する電流区間に基づき、選択した制御モードの対応するスイッチ情報により、DC−DCコンバータを起動する。
【0045】
図7を参照する。図7に示すように、本実施形態によるランダム制御ユニットが制御モードを実行するステップは下記のステップからなる。
【0046】
ステップ401:負荷電流値が最小電流値より小さいとき、任意の一DC−DCコンバータをランダムに起動する。
【0047】
ステップ402:負荷電流値が最小電流値と最大電流値との間に介在する場合において、負荷電流値が増大し続け、他の電流区間に変動したとき、他のDC−DCコンバータをさらにランダムに起動する。また、負荷電流値が減少し続け、他の電流区間に変動したとき、任意の一DC−DCコンバータをランダムに停止する。
【0048】
ステップ403:すべてのDC−DCコンバータがすでに起動したとき、起動モード中の他の一起動モードをランダムに選択し、それを新たな制御モードとする。
【0049】
以上のように、本発明のランダム制御式燃料電池電力モジュールは、ランダム制御ユニットが異なるDC−DCコンバータをランダムに選択して起動し、異なるDC−DCコンバータを代わる代わる使用することができるため、特定のDC−DCコンバータが偏って使用されるのを防止することができ、これにより、使用寿命を延長することができる。さらに、ランダム制御ユニットが、検出した負荷電流値に基づき、異なるDC−DCコンバータをランダムに選択して起動し、各DC−DCコンバータを平均的に使用することができるため、各DC−DCコンバータの故障率を低減し、電力モジュールシステムの安定性を向上させることができる。
【0050】
上述の各実施形態は、本発明の特徴を示すものであり、その目的は、当該技術に熟知するものが本発明のモードを理解し、実施することであり、本発明の範囲を限定することではない。従って、本発明の主旨を逸脱しない範囲における修飾または変更は、全て本発明の特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0051】
100 ランダム制御式燃料電池電力モジュール
1 燃料電池
2 負荷
3 第1の電流区間
4 第2の電流区間
5 第3の電流区間
10 電力モジュールシステム
10a 第1のDC−DCコンバータ
10b 第2のDC−DCコンバータ
10c 第3のDC−DCコンバータ
10d 第4のDC−DCコンバータ
10n 第nのDC−DCコンバータ
20 電流検出ユニット
30 ランダム制御ユニット
31 第1の起動モード
31a スイッチ情報
31b スイッチ情報
31c スイッチ情報
31d スイッチ情報
32 第2の起動モード
32a スイッチ情報
32b スイッチ情報
32c スイッチ情報
32d スイッチ情報
33 第3の起動モード
33a スイッチ情報
33b スイッチ情報
33c スイッチ情報
33d スイッチ情報
34 第4の起動モード
34a スイッチ情報
34b スイッチ情報
34c スイッチ情報
34d スイッチ情報
40 燃料電池
50 DC−DCコンバータ
60 コントローラ
70 負荷
80 燃料電池
90 電力モジュールシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2以上のDC−DCコンバータが並列接続されて構成され、負荷に応じて必要とする電力を供給する電力モジュールシステムと、
前記負荷の一負荷電流値を検出する電流検出ユニットと、
前記負荷電流値を読み取り、
予め最大電流と最小電流との間を負荷電流値に対応して複数の区間に定め、
前記負荷電流値に基づき、上記2以上のDC−DCコンバータの起動する数とそれらの組み合わせを設定した制御モードから一制御モードをランダムに選択し、該制御モードに基づいて前記DC−DCコンバータをランダムに起動するランダム制御ユニットと、により構成したことを特徴とするランダム制御式燃料電池電力モジュール
【請求項2】
前記ランダム制御ユニットは、マイクロコントローラであることを特徴とする請求項1記載のランダム制御式燃料電池電力モジュール。
【請求項3】
前記ランダム制御ユニットには、複数のDC−DCコンバータの起動する順序を定めた複数の起動モードが予め設定され、前記ランダム制御ユニットが実行するステップは、
複数の電流値を画定するステップと、
前記負荷電流値を読み取るステップと、
前記負荷電流値に対応する電流区間を判断するステップと、
前記選択した制御モードを実行するステップと、からなり、
前記複数の電流値を画定するステップにおいて、前記電流値は、最小電流値および最大電流値の間を複数の電流区間に区分して定め、
前記各起動モードは、前記各電流区間において、少なくとも1つの対応するスイッチ情報を有し、
前記選択した制御モードを実行するステップにおいて、前記起動モード中の一起動モードをランダムに選択して、それを制御モードとし、前記負荷電流値に対応する電流区間に基づき、前記制御モードの対応するスイッチ情報により、前記DC−DCコンバータを起動することを特徴とする請求項1記載のランダム制御式燃料電池電力モジュール。
【請求項4】
前記選択した制御モードを実行するステップは、
前記負荷電流値が前記最小電流値より小さいとき、任意の一DC−DCコンバータをランダムに起動するステップと、
前記負荷電流値が前記最小電流値と前記最大電流値との間に介在する場合において、前記負荷電流値が増大し続け、他の前記電流区間に変動したとき、他のDC−DCコンバータをさらにランダムに起動し、前記負荷電流値が減少し続け、他の電流区間に変動したとき、任意の一DC−DCコンバータをランダムに停止するステップと、
すべての前記DC−DCコンバータがすでに起動したとき、起動モード中の他の一起動モードをランダムに選択するステップと、からなることを特徴とする請求項3記載のランダム制御式燃料電池電力モジュール。
【請求項5】
n個のDC−DCコンバータを備え、前記ランダム制御ユニットには、n個の起動モードが予め設けられ、前記最小電流値と前記最大電流値との間には、n−1個の前記電流区間が画定され、前記nは、2より大きい正の整数であることを特徴とする請求項3記載のランダム制御式燃料電池電力モジュール。
【請求項6】
第1のDC−DCコンバータ、第2のDC−DCコンバータ、第3のDC−DCコンバータおよび第4のDC−DCコンバータを備え、前記ランダム制御ユニットには、第1の起動モード、第2の起動モード、第3の起動モードおよび第4の起動モードが予め設けられ、前記最小電流値と前記最大電流値との間には、第1の電流区間、第2の電流区間および第3の電流区間が順番に画定されることを特徴とする請求項3記載のランダム制御式燃料電池電力モジュール。
【請求項7】
前記スイッチ情報のモードは、前記第1のDC−DCコンバータ、前記第2のDC−DCコンバータ、前記第3のDC−DCコンバータおよび前記第4のDC−DCコンバータの起動状態にそれぞれ対応し、
前記第1の起動モードにおいて、負荷電流値が前記最小電流値より小さいとき、第1のDC−DCコンバータを起動し、前記第1の起動モードの前記第1の電流区間に対応する前記スイッチ情報は、1100、1010および1001であり、前記第1の起動モードの前記第2の電流区間に対応する前記スイッチ情報は、1110、1101および1011であり、前記第1の起動モードの前記第3の電流区間に対応する前記スイッチ情報は、1111であり、
前記第2の起動モードにおいて、負荷電流値が前記最小電流値より小さいとき、第2のDC−DCコンバータを起動し、前記第2の起動モードの前記第1の電流区間に対応する前記スイッチ情報は、0110、0101および1100であり、前記第2の起動モードの前記第2の電流区間に対応する前記スイッチ情報は、1110、0111および1101であり、前記第2の起動モードの前記第3の電流区間に対応する前記スイッチ情報は、1111であり、
前記第3の起動モードにおいて、負荷電流値が前記最小電流値より小さいとき、第3のDC−DCコンバータを起動し、前記第3の起動モードの前記第1の電流区間に対応する前記スイッチ情報は、0110、1010および0011であり、前記第3の起動モードの前記第2の電流区間に対応する前記スイッチ情報は、1110、0111および1011であり、前記第3の起動モードの前記第3の電流区間に対応する前記スイッチ情報は、1111であり、
前記第4の起動モードにおいて、負荷電流値が前記最小電流値より小さいとき、第4のDC−DCコンバータを起動し、前記第4の起動モードの前記第1の電流区間に対応する前記スイッチ情報は、0101、1001および0011であり、前記第4の起動モードの前記第2の電流区間に対応する前記スイッチ情報は、1101、1011および0111であり、前記第4の起動モードの前記第3の電流区間に対応する前記スイッチ情報は、1111であって、
ここで、各スイッチ情報の数列の表示において、0はDC−DCコンバータの停止を、1は、起動を示し、これらの数の表記はそれぞれ各コンバータの順序、すなわち、1000というモードは、第1のDC−DCコンバータの起動、第2〜4のDC−DCコンバータの停止を表し、以下同様とする、
ことを特徴とする請求項6記載のランダム制御式燃料電池電力モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−138736(P2011−138736A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19727(P2010−19727)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(509122197)中興電工機械股▲ふん▼有限公司 (10)
【Fターム(参考)】