説明

ランフラットタイヤ用ゴム組成物及びそれを用いたランフラットタイヤ

【課題】ランフラット耐久性に優れたランフラットタイヤ用ゴム組成物の提供。
【解決手段】下記一般式(I)で表されるスルフェンアミド系加硫促進剤を含有してなることを特徴とするランフラットタイヤ用ゴム組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランフラットタイヤ用ゴム組成物及びそれを用いたランフラットタイヤに関し、更に詳しくは、サイド補強ゴムと該サイド補強ゴムと隣接する部材であるインナーライナー、プライコーティングゴムとの共加硫性を十分にし、これらの接着を強固とすることによりランフラット耐久性に優れたランフラットタイヤ用ゴム組成物及びそれを用いたランフラットタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の高速化に伴い、タイヤも高性能化への要求が一段と高まる一方、車両の軽量化要求からスペアタイヤ、すなわち、パンクなどによってタイヤの充填内圧が低下しても、荷重を支えてタイヤが継続して走行可能なタイヤが要求されている。
この代表的なものとして、リムフランジの上端近傍からベルト層の端部に至る区域におけるカーカス層の内面側を、三日月状のサイド補強ゴム層によって補強した構造の空気入りラジアルタイヤ(ランフラットタイヤ)が提案され実用化されている。
【0003】
ランフラットタイヤのサイド補強ゴムへの要求特性としては、ランフラット耐久性を向上させること、通常走行時の乗り心地性を維持することなどである。ランフラット耐久性は、サイド補強ゴム自体の厚みや性質などに依存するが、その他に隣接する部材であるインナーライナー、プライコーティングゴムとの接着が十分である必要がある。
【0004】
ランフラットタイヤのサイド補強ゴムと隣接する部材であるインナーライナー、プライコーティングゴムとの接着は、通常、共加硫により行われるが、共加硫するためには、隣接するゴム部材との加硫特性が近いものを選択する必要がある。
【0005】
従来、ランフラットタイヤのサイド補強ゴムと隣接するゴム部材に用いられている加硫促進剤としては、CZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)、NS(N−t−ブチルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド)、DZ(N,N´−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)を用いているが、これらはいずれも隣接するゴム部材との共加硫が未だ十分でない点に課題がある。
【0006】
そこで、本願出願人は、ランフラットタイヤのサイド補強ゴムと隣接するインナーライナーゴム、プライコーティングゴムの間に特定物性のゴムシートを配設するなどの対策を採っている(例えば、特許文献1参照)。
この構造のランフラットタイヤは、ランフラット耐久性に優れるものであるが、ゴムシート等を配設することなく、サイド補強ゴムの配合成分の面から、サイド補強ゴムと隣接する部材であるインナーライナー、プライコーティングゴムとを強固に接着せしめる配合成分等の出現も切望されているのが現状である。
【0007】
一方、自動車用タイヤ、コンベアベルト、ホース等のゴム製品には、強度だけではなく、種々の高い特性を有することが望まれており、特に、ビードフィラーゴムまたはランフラットタイヤ用サイド補強ゴムとして用いた際、ゴムの耐破壊性の低下を抑制しつつ高弾性化を図ることができるよう、フェノール樹脂を添加する方法が用いられている。
例えば、特許文献2には、特定のフェノール樹脂を配合したゴム組成物が開示されており、これによって、より効果的に耐破壊性の低下を抑制しつつ、さらに高弾性化することが可能である。
【0008】
しかしながら、いずれも依然として改善すべき余地がある。上記特許文献2記載のようなフェノール樹脂を配合した場合、従来の加硫促進剤を併用すると、ムーニー粘度が必要以上に上昇して良好な混練作業を実現できない傾向にあり、好適なムーニースコーチタイムをも同時に確保するのは困難な状況にあると考えられる。また、従来の加硫促進剤と上記のような加硫遅延剤とを併用した場合には、加硫遅延剤の配合量によっては加硫ゴムの物理的物性に悪影響を及ぼし、かつ、加硫ゴムの外観の悪化および接着性に悪影響を及ぼすブルーミングの原因になるという問題が生じるなどの課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開WO2007/063831号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献2】特開2005−290321号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者らは、上記従来の課題等に鑑み、これを解消しようとするものであり、加硫後のゴム物性の低下、ブルーミング等の問題を生じる可能性のあるCTPのような加硫遅延剤を使用することなく、ランフラットタイヤに用いられるサイド補強ゴムの配合成分にDCBSと同等以上の加硫遅延効果を有する新規な加硫促進剤を配合することにより、サイド補強ゴムとその隣接部材であるインナーライナー、プライコーティングゴムとの共加硫性を十分にし、これらの接着を強固とすることによりランフラット耐久性に優れたランフラットタイヤ用ゴム組成物及びそれを用いたランフラットタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記従来の課題等について、鋭意検討した結果、ランフラットタイヤに用いられるサイド補強ゴムの配合成分に特定物性となるスルフェンアミド系加硫促進剤を用いることにより、並びに、フェノール樹脂及びメチレン供与体を更に併用することにより、上記目的のランフラットタイヤ用ゴム組成物及びそれを用いたランフラットタイヤが得られることを見い出し、本発明を完成するに至ったのである。
【0012】
すなわち、本発明は、次の(1)〜(20)に存する。
(1) ゴム成分と、硫黄と、下記一般式(I)で表されるスルフェンアミド系加硫促進剤とを含有してなることを特徴とするランフラットタイヤ用ゴム組成物。
【化1】

(2) ゴム成分100質量部に対し、上記一般式(I)で表されるスルフェンアミド系加硫促進剤0.1〜10質量部を含有してなる上記(1)に記載のランフラットタイヤ用ゴム組成物。
(3) ゴム成分100質量部に対し、硫黄0.1〜10質量部を含有してなる上記(1)に記載のランフラットタイヤ用ゴム組成物。
(4) ゴム成分100質量部に対し、硫黄0.1〜10質量部と、上記一般式(I)で表されるスルフェンアミド系加硫促進剤0.1〜10質量部とを含有してなる上記(1)に記載のランフラットタイヤ用ゴム組成物。
(5) 前記ゴム組成物における一般式(I)中のR1及びR2における分岐アルキル基は、α位に分岐を有する上記(1)に記載のゴム組成物。
(6) 前記ゴム組成物における一般式(I)中のR1は、tert−ブチル基であり、n=0である請求項1に記載のゴム組成物。
(7) 前記ゴム組成物における一般式(I)中のR1は、tert−ブチル基であり、R2は、炭素数1〜6の直鎖アルキル基又は炭素数3〜6の分岐アルキル基であり、R3〜R6は、水素原子である上記(1)に記載のゴム組成物。
(8) 前記ゴム組成物における一般式(I)中のR1は、tert−ブチル基であり、n=0であり、R2は、炭素数1〜6の直鎖アルキル基又は炭素数3〜6の分岐アルキル基であり、R3〜R6は、水素原子である上記(1)に記載のゴム組成物。
(9) 前記ゴム組成物における一般式(I)中のR1は、tert−ブチル基であり、n=0であり、R2はメチル基、エチル基、n−プロピル基であり、R3〜R6は、水素原子である上記(1)に記載のゴム組成物。
(10) 前記ゴム組成物における一般式(I)中のR1は、tert−ブチル基であり、n=0であり、R2はエチル基であり、R3〜R6は、水素原子である上記(1)に記載のゴム組成物。
(11) ゴム成分100質量部に対し、無機充填材を20質量部以上の量で含有してなる上記(1)〜(10)の何れか一つに記載のランフラットタイヤ用ゴム組成物。
(12) 更に、樹脂及びその硬化剤を含有してなる上記(1)〜(11)の何れか一つに記載のランフラットタイヤ用ゴム組成物。
(13) 更に、フェノール樹脂及びメチレン供与体を含有してなる上記(1)〜(11)の何れか一つに記載のランフラットタイヤ用ゴム組成物。
(14) ゴム成分100質量部に対し、フェノール樹脂を1〜40質量部の量で含有してなる上記(13)に記載のランフラットタイヤ用ゴム組成物。
(15) フェノール樹脂及びメチレン供与体の総量100質量%中、該メチレン供与体を5〜80質量%の量で含有してなる上記(13)又は(14)に記載のランフラットタイヤ用ゴム組成物。
(16) メチレン供与体が、ヘキサメチレンテトラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒドアンモニア、α−ポリオキシメチレン、多価メチロールメラミン誘導体、オキサゾリジン誘導体、多価メチロール化アセチレン尿素からなる群より選ばれる少なくとも1種である上記(13)〜(15)の何れか一つに記載のランフラットタイヤ用ゴム組成物。
(17) フェノール樹脂が、ノボラック型フェノール樹脂、ノボラック型クレゾール樹脂、ノボラック型キシレノール樹脂、ノボラック型レゾルシノール樹脂およびこれらの樹脂をオイル変性した樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である上記(13)〜(15)の何れか一つに記載のランフラットタイヤ用ゴム組成物。
(18) ゴム成分が、ジエン系ゴム成分である上記(1)〜(17)の何れか一つに記載のランフラットタイヤ用ゴム組成物。
(19) ゴム成分が、天然ゴム及びポリイソプレンゴムの少なくとも一方を含む上記(1)〜(17)の何れか一つに記載のランフラットタイヤ用ゴム組成物。
(20) 上記(1)〜(19)の何れか一つに記載のランフラットタイヤ用ゴム組成物をサイド補強ゴムに用いたことを特徴とするランフラットタイヤ。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ランフラット耐久性に優れたランフラットタイヤ用ゴム組成物及びそれを用いたランフラットタイヤが提供される。
また、フェノール樹脂及びメチレン供与体などの樹脂及びその硬化剤を更に含有したものでは、ゴムの耐破壊性の低下を抑えながらゴムをより高弾性化することが更に可能となるので、ランフラット耐久性に更に優れたランフラットタイヤ用ゴム組成物及びそれを用いたランフラットタイヤが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のランフラットタイヤの実施形態の一例を示す左半分の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。
本発明のランフラットタイヤ用ゴム組成物は、ゴム成分と、硫黄と、下記一般式(I)で表されるスルフェンアミド系加硫促進剤とを含有してなることを特徴とするものである。
【化2】

【0016】
本発明に用いるゴム成分としては、ランフラットタイヤに用いられるゴムであれば特に限定されず、主鎖に二重結合があるもの(ジエン系ゴム)であれば硫黄架橋可能であるため、上記一般式(I)で表されるスルフェンアミド系加硫促進剤が機能するものであり、例えば、天然ゴム及び/又はジエン合成系ゴムが用いられる。具体的には、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリブタジエンゴム、イソプレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、クロロプレンゴム、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム等の少なくとも1種を使用することができる。
好ましくは、破断強力の点から、天然ゴム及びポリイソプレンゴムの少なくとも一方を含むことが望ましい。
【0017】
本発明の上記一般式(I)で表されるスルフェンアミド系加硫促進剤は、DZ(N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)同等の加硫遅延効果を有し、かつ、ランフラットタイヤに用いられるサイド補強ゴムとその隣接部材であるインナーライナー、プライコーティングゴムとの共加硫性を十分にし、これらの直接加硫接着における接着耐久性に優れておりランフラットタイヤ用のゴム組成物に好適に使用することができるものである。
【0018】
更に、上記一般式(I)で表されるスルフェンアミド系加硫促進剤の中で、特に、R1が、tert−ブチル基であり、x=1又は2、n=0であり、R2は直鎖がより好ましいが、直鎖の中でもメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基であり、最も好ましいのはメチル基、エチル基であり、R3〜R6が好ましくは水素原子であるスルフェンアミド化合物を加硫促進剤として用いることが接着性と加硫遅延効果の点で最も好ましい。これらのスルフェンアミド系加硫促進剤は、本発明で初めて加硫促進剤として用いられるものであり、かつ、従来のスルフェンアミド系加硫促進剤の中で、最も加硫反応に遅効性を与える加硫促進剤として知られるN,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド以上の加硫遅延効果を有しながら十分な加硫促進能力を両立するものであり、しかも、サイド補強ゴムとその隣接部材であるインナーライナー、プライコーティングゴムとの共加硫性を十分にし、これらの直接加硫接着における接着耐久性に優れている。そのため、ランフラットタイヤのサイド補強ゴム等に好適に使用することができる。
【0019】
本発明において、上記一般式(I)で表されるスルフェンアミド化合物中のR1は、炭素数3〜12の分岐アルキル基を表す。このR1が炭素数3〜12の分岐アルキル基であれば、一般式(I)で表される化合物の加硫促進性能が良好であると共に、共加硫を十分にし、接着性能を高めることができる。
上記一般式(I)で表される化合物のR1の具体例としては、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソアミル基(イソペンチル基)、ネオペンチル基、tert−アミル基(tert−ペンチル基)、イソヘキシル基、tert−ヘキシル基、イソヘプチル基、tert−ヘプチル基、イソオクチル基、tert−オクチル基、イソノニル基、tert−ノニル基、イソデシル基、tert−デシル基、イソウンデシル基、tert−ウンデシル基、イソドデシル基、tert−ドデシル基などが挙げられる。
これらの中でも、加硫速度、接着性、人体蓄積性等の点から、R1はα位に分岐を有することが好ましく、更に好ましくは、本発明の効果を更に発現せしめる点から、炭素数3〜12のtert−アルキル基が好ましく、特に、tert−ブチル基、tert−アミル基(tert−ペンチル基)、tert−ドデシル基、中でもtert−ブチル基が合成面、原料入手の観点から経済的に優れており、しかも、DCBS(DZ)と同等の加硫速度が得られ、かつ、更なる接着性の点から特に望ましい。
【0020】
また、上記一般式(I)で表されるスルフェンアミド化合物中のR2は、炭素数1〜10の直鎖又は炭素数3〜10の分岐アルキル基を表す。このR2が炭素数1〜10の直鎖又は炭素数3〜10の分岐アルキル基であれば、一般式(I)で表される化合物の加硫促進性能が良好であると共に、共加硫を十分にし、更に接着性能を高めることができる。
上記一般式(I)で表される化合物のR2の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基,tert−ブチル基、n−アミル基(n−ペンチル基)、イソアミル基(イソペンチル基)、ネオペンチル基、tert−アミル基(tert−ペンチル基)、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、n−オクチル基、イソ−オクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基などが挙げられる。これらの中でも、合成のし易さや原材料コストなどの効果の点から、炭素数1〜8の直鎖又は炭素数3〜8の分岐アルキル基、更に炭素数1〜6の直鎖又は炭素数3〜6の分岐アルキル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基が好ましい。R2が炭素数3〜10の分岐アルキル基である場合は、加硫速度、接着性、低人体蓄積性等の点から、R2はα位に分岐を有することが好ましい。
特に好ましくは、サイド補強ゴムとその隣接部材であるインナーライナー、プライコーティングゴムとの共加硫性を十分にし、これらの直接加硫接着における接着耐久性に更に優れる点で、上記炭素数の分岐アルキル基よりも上記炭素数の直鎖アルキル基が望ましい。これは分岐になると加硫が更に遅れるため生産性が低下したり、直鎖アルキル基と同じ炭素数で比較した場合接着性が低下するためである。これらの中でも、炭素数4以下の直鎖アルキル基であるメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基が最も望ましい。
また、上記一般式(I)で表されるスルフェンアミド化合物中のR3〜R6は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖アルキル基又はアルコキシ基、炭素数3〜4の分岐のアルキル基又はアルコキシ基であり、これらは同一であっても異なっていてもよく、なかでも、R3とR5が、炭素数1〜4の直鎖アルキル基又はアルコキシ基、炭素数3〜4の分岐のアルキル基又はアルコキシ基であることが好ましい。また、R3〜R6が、炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基の場合、炭素数1であることが好ましく、水素原子であることが特に好ましい。好ましいいずれの場合も、化合物の合成のし易さ及び加硫速度が遅くならないためである。
上記一般式(I)で表されるスルフェンアミド化合物のR3〜R6の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基,tert−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基,tert−ブトキシ基が挙げられる。
【0021】
本発明において、上記一般式(I)で表されるスルフェンアミド化合物中のR1、R2がどちらも分岐アルキル基の場合は、DCBS(DZ)と同等の加硫速度とし、かつ、更なる接着性能確保、加硫速度と接着性のバランスの点から、R1はtert−ブチル基、R2は、イソプロピル基、1−メチルプロピル基、R3〜R6は、水素原子の組み合わせが好ましい。R1、R2が上記組み合わせ以外の分岐アルキル基の場合は合成の困難性が増すこととなる。
【0022】
また、上記一般式(I)で表されるスルフェンアミド化合物中のR1、R2の特に好ましい組み合わせとしては、R1がtert−ブチル基であり、R2が炭素数1〜10の直鎖アルキル基、R3〜R6は、水素原子の組み合わせである。この組み合わせの中でも、ベストモードとなる組み合わせとしては、R1がtert−ブチル基であり、R2が炭素数4以下となるメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基となる場合であり、更に好ましくは、R2が炭素数3以下、特に好ましくは炭素数2以下であるこの組み合わせの場合に、加硫速度がDCBS(DZ)と同等、更なる接着性能確保、人体蓄積性の見地から最も性能バランスが良いものとなる。
上記ベストモードとなる組み合わせは、薬品の凝縮性を評価する簡易メジャーの一つであるオクタノール/水分配係数(logPOW)の数値から確認することができる。本発明では、このlogPの値は小さいほど、上記加硫速度、接着性能確保、人体蓄積性のバランスがより良好となる。
本発明(後述する実施例等を含む)において、上記オクタノール/水分配係数(logP)の測定は、JIS Z 7260−117(2006)に準拠して、高速液体クロマトグラフィー法により実施することができ、下記式により定義される。
logP=log(「Co」/「Cw」)
C0:1−オクタノール層中の被験物質濃度
Cw:水層中の被験物質濃度
【0023】
上記一般式(I)で表されるスルフェンアミド化合物中のxは1又は2の整数を表し、また、nは、0又は1の整数を表し、合成のし易さや原材料コストなどの効果の点から、nは、0であるものが望ましい。
以上のように、本発明に用いる上記一般式(I)で表されるスルフェンアミド化合物の中で好ましい化合物から更に好ましい化合物を順番にまとめてみると、具体的には、ムーニースコーチタイムが早くなりすぎず加工時にゴム焦げを起こさず、作業性の低下、かつ接着性の低下を回避する点等から、1)上記一般式(I)のR1は、tert−ブチル基であり、n=0、R2は、炭素数1〜10の直鎖アルキル基又は炭素数3〜10の分岐アルキル基であり、R3〜R6は、水素原子であるもの、2)上記一般式(I)中のR1は、tert−ブチル基であり、nは0又は1の整数、R2は、炭素数1〜6の直鎖アルキル基又は炭素数3〜6の分岐アルキル基であり、R3〜R6は、水素原子であるもの、3)上記一般式(I)中のR1は、tert−ブチル基であり、n=0であり、R2は、炭素数1〜6の直鎖アルキル基又は炭素数3〜6の分岐アルキル基であり、R3〜R6は、水素原子であるもの、4)上記一般式(I)中のR1は、tert−ブチル基であり、n=0であり、R2は炭素数4以下の直鎖アルキル基(好ましくは炭素数3以下の直鎖アルキル基)であり、R3〜R6は、水素原子であるもの、5)上記一般式(I)中のR1は、tert−ブチル基であり、n=0であり、R2は炭素数2以下の直鎖アルキル基(メチル基、エチル基)であり、R3〜R6は、水素原子であるものが好ましいものとなる(降順する程、好適なスルフェンアミド化合物となる)。
なお、上記一般式(I)で表されるスルフェンアミド化合物中のR1が炭素数3〜12の分岐アルキル基以外の各官能基(例えば、n−オクタデシル基等)や炭素数が12を超える分岐アルキル基である場合、また、R2が炭素数1〜10の直鎖又は炭素数3〜10の分岐アルキル基以外の各官能基(例えば、n−オクタデシル基等)や炭素数10を超える直鎖又は分岐アルキル基である場合、更にR3〜R6が上記範囲外の各官能基、各炭素数の範囲外である場合、更にまた、nが2以上の場合には、本発明の目的の効果を発揮することが少なく、好適なムーニースコーチタイムが遅くなり加硫時間が長くなることによる生産性低下、若しくは、接着性が低下したり、または、促進剤としての加硫性能やゴム性能が低下したりすることがある。更に、xが3以上では、安定性の点で好ましくない。また、上記一般式(I)で表されるスルフェンアミド化合物中のR1、R2がそれぞれ分岐アルキル基である場合に、α位以外に分岐を有するもの、例えば、2−エチルヘキシル、2−エチルブチルなどの場合には、加硫速度、接着性能確保、人体蓄積性のバランスが悪化する傾向となるので、α位に分岐があることが望ましい。
【0024】
本発明において、上記一般式(I)で表される化合物の代表例としては、N−メチル−N−t−ブチルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミド、N−エチル−N−t−ブチルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミド、N−n−プロピル−N−t−ブチルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミド、N−イソプロピル−N−t−ブチルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミド、N−n−ブチル−N−t−ブチルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミド、N−イソブチル−N−t−ブチルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミド、N−sec−ブチル−N−t−ブチルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミド、N−メチル−N−イソアミルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミド、N−エチル−N−イソアミルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミド、N−n−プロピル−N−イソアミルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミド、N−イソプロピル−N−イソアミルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミド、N−n−ブチル−N−イソアミルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミド、N−イソブチル−N−イソアミルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミド、N−sec−ブチル−N−イソアミルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミド、N−メチル−N−tert−アミルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミド、N−エチル−N−tert−アミルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミド、N−n−プロピル−N−tert−アミルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミド、N−イソプロピル−N−tert−アミルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミド、N−n−ブチル−N−tert−アミルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミド、N−イソブチル−N−tert−アミルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミド、N−sec−ブチル−N−tert−アミルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミド、N−メチル−N−tert−ヘプチルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミド、N−エチル−N−tert−ヘプチルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミド、N−n−プロピル−N−tert−ヘプチルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミド、N−イソプロピル−N−tert−ヘプチルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミド、N−n−ブチル−N−tert−ヘプチルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミド、N−イソブチル−N−tert−ヘプチルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミド、N−sec−ブチル−N−tert−ヘプチルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミド等が挙げられる。これらの化合物は、単独で又は2種以上を混合して(以下、単に「少なくとも1種」という)用いることができる。
好ましくは、更なる接着性能の点から、N−メチル−N−t−ブチルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミド、N−エチル−N−t−ブチルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミド、N−n−プロピル−N−t−ブチルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミド、N−イソプロピル−N−t−ブチルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミド、N−イソブチル−N−t−ブチルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミド、N−sec−ブチル−N−t−ブチルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミドが好ましい。
これらの中でも、特に、共加硫を更に十分にし、優れた接着性能を発揮せしめる点で、N−メチル−N−t−ブチルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミド、N−エチル−N−t−ブチルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミド、N−i−プロピル−N−t−ブチルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミドを用いることが望ましい。
これらの化合物は、1種でも組み合わせて使用してもよい。また、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾ−ルスルフェンアミド(TBBS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾ−ルスルフェンアミド(CBS)、ジベンゾチアゾリルジスルフィド(MBTS)などの汎用の加硫促進剤と組み合わせて使用することも可能である。
【0025】
本発明の上記一般式(I)で表されるスルフェンアミド化合物の好ましい製造方法としては、下記方法を挙げることができる。
すなわち,対応するアミンと次亜塩素酸ソーダの反応によりあらかじめ調製したN−クロロアミンとビス(ベンゾチアゾ−ル−2−イル)ジスルフィドを、アミンおよび塩基存在下、適切な溶媒中で反応させる。塩基としてアミンを用いた場合は、中和を行い、遊離のアミンに戻した後、得られた反応混合物の性状に従って、ろ過、水洗、濃縮、再結晶など適切な後処理をおこなうと、目的とするスルフェンアミドが得られる。
本製造方法に用いる塩基としては,過剰量用いた原料アミン,トリエチルアミンなどの3級アミン、水酸化アルカリ,炭酸アルカリ、重炭酸アルカリ、ナトリウムアルコキシドなどが挙げられる。特に、過剰の原料アミンを塩基として用いたり、3級アミンであるトリエチルアミンを用いて反応を行い、水酸化ナトリウムで生成した塩酸塩を中和し、目的物を取り出した後、ろ液からアミンを再利用する方法が望ましい。
本製造方法に用いる溶媒としては、アルコールが望ましく、特にメタノールが望ましい。
【0026】
例えば、N−エチル−N−t−ブチルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミドでは、N−t−ブチルエチルアミンに次亜塩素酸ナトリウム水溶液を0℃以下で滴下し、2時間攪拌後油層を分取した。ビス(ベンゾチアゾ−ル−2−イル)ジスルフィド、N−t−ブチルエチルアミンおよび前述の油層を、メタノ−ルに懸濁させ、還流下2時間攪拌した。冷却後、水酸化ナトリウムで中和し、ろ過、水洗、減圧濃縮した後、再結晶することで目的とするBEBS(白色固体)を得ることができる。
【0027】
これらのスルフェンアミド系加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対し、0.1〜10質量部、好ましくは、0.5〜5.0質量部、更に好ましくは、0.8〜2.5質量部とすることが望ましい。
この加硫促進剤の含有量が0.1質量部未満であると、十分に加硫しなくなり、一方、10質量部を越えると、ブルームが問題となり、好ましくない。
【0028】
本発明に用いる硫黄は、加硫剤となるものであり、その含有量は、ゴム成分100質量部に対し、0.1〜10質量部、好ましくは、1.0〜7.0質量部、更に好ましくは、3.0〜7.0質量部とすることが望ましい。
この硫黄の含有量が0.1質量部未満であると、十分に加硫しなくなり、一方、10質量部を越えると、ゴムの老化性能が低下し、好ましくない。
【0029】
本発明のゴム組成物には、上記ゴム成分、硫黄、加硫促進剤の他に、ランフラットタイヤ用ゴム組成物で通常使用される充填材を含有することができ、例えば、カーボンブラック、シリカ等の無機充填材を含有することができる。
これらの無機充填材の合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、20質量部以上、好ましくは、30〜150質量部含むことが望ましく、より好ましくは、35〜100質量部の範囲である。
【0030】
用いるカーボンブラックとしては特に制限はなく、従来ゴムの補強用充填材として慣用されているものの中から任意のものを選択して用いることができる。カーボンブラックとしては、例えば、GPF、FEF、SRF、HAF、ISAF、SAF等が挙げられる。好ましくは、窒素吸着比表面積(N2SA)が30〜150m2/g、かつジブチルフタレート(DBP)吸油量が80〜140cm3/100gのカーボンブラックである。カーボンブラックを用いることにより、諸物性の改良効果は大きくなる。
【0031】
用いることができるシリカにおいても特に制限はなく、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられるが、中でも破壊特性優れる湿式シリカが好ましい。また、上記カーボンブラックと併用して用いることができる。
充填材としてシリカを用いる場合は、所望によりシランカップリング剤を含有することができる。このシランカップリング剤としては、特に制限はなく、従来ゴム組成物に使用されている公知のもの、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド,γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン,γ−アミノプロピルトリエトキシシラン,N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン,N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどを用いることができる。所望により用いられるシランカップリング剤の配合量は、シリカに対して、通常1〜20質量%の範囲で選定される。シランカップリング剤の量を上記範囲にすることによってカップリング剤としての効果が充分に発揮され、ゴム成分のゲル化を引き起こすことがない。カップリング剤としての効果及びゲル化防止などの点から、このシランカップリング剤の好ましい配合量は、5〜15質量%の範囲である。
【0032】
本発明のランフラットタイヤ用ゴム組成物には、ランフラット耐久性を更に向上させる点から、樹脂及びその硬化剤を含有せしめることが好ましい。
用いることができる樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性の樹脂が使用される。これらの中でもフェノール樹脂が特に好ましい。
前記フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類を縮合させて得られるオリゴマー及びポリマーである。フェノール類としては、フェノール、各クレゾール、キシレノールおよびtert−ブチルフェノールなどの低級アルキルフェノールとノニルフェノール、カシュー油、リグニンなどの高級フェノール、レゾルシン、カテコール、などの二価のフェノールなどが使用される。アルデヒド類は、ホルムアルデヒドが主に使用される。
フェノール樹脂として、例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、レゾルシン−ホルムアルデヒド樹脂、クレゾール樹脂などが挙げられる。
フェノール樹脂は100%フェノール樹脂のほか、天然樹脂変性フェノール樹脂、油変性フェノール樹脂等を用いることができる。
【0033】
また、上記フェノール樹脂などの樹脂は、硬化剤を使用して硬化させる2ステップレジンであるノボラック型樹脂を使用することが好ましい。
硬化剤として、例えば、ヘキサメチレンテトラミン、ヘキサメトキシメチルメラミンなどのメチレン供与体などが挙げられる。これらの組み合わせは自由に選ぶことができ、樹脂及びその硬化剤はそれぞれ複数選択しても良い。また、硬化剤が内添された樹脂を用いてもよい。
【0034】
特に、好ましい樹脂及びその硬化剤としては、フェノール樹脂及びメチレン供与体を含有せしめることが望ましい。
本発明に用いるフェノール樹脂は、ゴムの耐破壊性の低下を抑えながらゴムをより高弾性化することができる。用いることができるフェノール樹脂としては、上述の他、具体的には、ノボラック型フェノール樹脂、ノボラック型クレゾール樹脂、ノボラック型キシレノール樹脂、ノボラック型レゾルシノール樹脂、またはこれらの樹脂をオイル変性した樹脂などが挙げられ、これらの樹脂を少なくとも1種用いるのがよい。
また、上記フェノール樹脂のオイル変性に用いるオイルとしては、ロジン油、トール油、カシュー油、リノール酸、オレイン酸およびリノレイン酸が挙げられ、これらのオイルを少なくとも1種用いるのがよい。
【0035】
これらフェノール樹脂などの樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、1〜40質量部、好ましくは、5〜30質量部、より好ましくは、10〜20質量部の量である。上記フェノール樹脂などの樹脂の含有量が1質量部未満であると、ゴム組成物の高弾性化の効果が更に充分に発揮されないおそれがあり、一方、40質量部を超えると、ゴム組成物の柔軟性が損なわれることがある。
【0036】
本発明に用いるメチレン供与体は、上記フェノール樹脂の硬化剤として作用するものであり、例えば、ヘキサメチレンテトラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン等の多価メチロールメラミン誘導体、オキサゾリジン誘導体、多価メチロール化アセチレン尿素、アセトアルデヒドアンモニア、α−ポリオキシメチレン、パラホルムアルデヒドなどが挙げられ、これらのうち少なくとも1種を用いるのが好ましい。なかでも、硬化速度が速く、より高弾性化したゴム組成物が得られるという点から、ヘキサメチレンテトラミン、ヘキサメトキシメチルメラミンが好適である。
【0037】
これらメチレン供与体などの硬化剤の含有量は、上記フェノール樹脂及びメチレン供与体の総量(樹脂及びその硬化剤の総量)100質量%中、通常5〜80質量%、好ましくは30〜60質量%の量である。メチレン供与体などの硬化剤の含有量が5質量%未満であると、フェノール樹脂等の硬化が充分に進まないことがあり、一方、80質量%を超えると、ゴムの架橋系に悪影響を及ぼす場合がある。
【0038】
本発明のランフラットタイヤ用ゴム組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、通常ゴム工業界で用いられる各種薬品、例えば、プロセス油、老化防止剤、スコーチ防止剤、亜鉛華、ステアリン酸などを含有させることができる。
【0039】
本発明のランフラットタイヤ用ゴム組成物は、ロール、インターナルミキサー等の混練り機を用いて混練りすることによって得られ、その用途については特に制限はないが、特にサイド補強ゴム用として好適に使用される。
本発明のランフラットタイヤは、本発明のランフラットタイヤ用ゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて、上記のように各種薬品を含有させた本発明のランフラットタイヤ用ゴム組成物が未加硫の段階でサイド補強ゴムに押出し加工され、タイヤ成形機上で通常の方法により貼り付け成形され、生タイヤが成形される。この生タイヤを加硫機中で加熱加圧して、ランフラットタイヤが得られる。
【0040】
次に、本発明のランフラットタイヤの一例について添付図面に従って説明する。
図1は、本発明のランフラットタイヤの一例を示す左半分の部分断面図であって、該ランフラットタイヤAは、ビードコア1、カーカス層2、サイドゴム層3、トレッドゴム層4、ベルト層5、インナーライナー6、ビードフィラー7を有し、タイヤサイドゴム層3とインナーライナー6との間に断面略三日月状のサイド補強層(サイド補強ゴム)8を介装した構造となるものである。なお、10はショルダー区域である。
【0041】
本発明のランフラットタイヤにおいては、例えば、サイド補強層8を本発明のゴム組成物、すなわち、ゴム成分と、硫黄と、上記一般式(I)で表されるスルフェンアミド系加硫促進剤とを含有してなるランフラットタイヤ用ゴム組成物で構成することにより、サイド補強層8と隣接する部材であるインナーライナー、プライコーティングゴムの加硫特性を考慮して、これらの部材の加硫速度を調整することが可能となり、サイド補強層8と隣接する部材(インナーライナー、プライコーティングゴム)との共加硫性を十分にし、これらの接着を強固とすることによりランフラット耐久性に優れたランフラットタイヤを得ることができ、特に、ランフラット走行において、耐久性が大幅に向上し、その走行距離を著しく伸ばすことができる。
更に、サイド補強層8を、ゴム成分と、硫黄と、上記一般式(I)で表されるスルフェンアミド系加硫促進剤と、フェノール樹脂及びメチレン供与体と含有してなるランフラットタイヤ用ゴム組成物で構成することにより、ゴムの耐破壊性の定価を抑えながらゴムをより高弾性化することができるため、ランフラット走行において、耐久性が更に大幅に向上し、その走行距離を更に著しく伸ばすことができる。
【実施例】
【0042】
次に、本発明に用いる加硫促進剤の製造例、並びに、本発明のランフラットタイヤ用ゴム組成物、並びに、このゴム組成物を用いたランフラットタイヤの実施例及び比較例に基づいて更に詳述するが、本発明は、これらの製造例、実施例に何ら限定されるものではない。
下記各製造例で得られた加硫促進剤のオクタノール/水分配係数(logP)を、JIS Z 7260−117(2006)に準拠して、高速液体クロマトグラフィー法により測定した。高速液体クロマトグラフィーは、島津製作所社製のものを使用した。
【0043】
〔製造例1:N−エチル−N−t−ブチルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミドの合成〕
N−t−ブチルエチルアミン16.4g(0.162mol)に12%次亜塩素酸ナトリウム水溶液148gを0℃以下で滴下し、2時間攪拌後油層を分取した。ビス(ベンゾチアゾ−ル−2−イル)ジスルフィド39.8g(0.120mol)、N−t−ブチルエチルアミン24.3g(0.240mmol)および前述の油層を、メタノ−ル120mlに懸濁させ、還流下2時間攪拌した。冷却後、水酸化ナトリウム6.6g(0.166mol)で中和し、ろ過、水洗、減圧濃縮した後、再結晶することで目的とするN−エチル−N−t−ブチルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミドを41.9g(収率66%)の白色固体(融点60〜61℃)として得た。
得られたN−エチル−N−t−ブチルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミドのスペクトルデータを以下に示す。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ=1.29(t,3H,J=7.1Hz,CH3(エチル))、1.34(s,9H,CH3(t−ブチル))、2.9−3.4(br−d,CH2)、7.23(1H,m)、7.37(1H,m)、7.75(1H,m)、7.78(1H,m):13C−NMR(100MHz,CDCl3)δ=15.12、28.06、47.08、60.41、120.70、121.26、123.23、125.64、134.75、154.93、182.63:質量分析(EI、70eV):m/z;251(M+−CH4)、167(M+−C614N)、100(M+−C75NS2):IR(KBr,cm-1):3061,2975,2932,2868,1461,1429,1393,1366,1352,1309,1273,1238,1198,1103,1022,1011,936,895,756,727。
このN−エチル−N−t−ブチルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミドのオクタノール/水分配係数(logP)は、4.9であった。
【0044】
〔製造例2:N−メチル−N−t−ブチルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミドの合成〕
N−t−ブチルエチルアミンの代わりにN−t−ブチルメチルアミン14.1g(0.162mol)用いて実施例1と同様に行い、N−メチル−N−t−ブチルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミドを46.8g(収率82%)の白色固体(融点56〜58℃)として得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ=1.32(9H,s,CH3(t−ブチル))、3.02(3H,s,CH3(メチル))、7.24(1H,m)、7.38(1H,m)、7.77(1H,m)、7.79(1H,m):13C−NMR(100MHz,CDCl3)δ=27.3、41.9、59.2、120.9、121.4、123.3、125.7、135.0、155.5、180.8:質量分析(EI,70eV)m/z;252(M+)、237(M+−CH3)、223(M+−C26)、195(M+−C49)、167(M+−C512N)、86(M+−C74NS2)。
このN−メチル−N−t−ブチルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミドのオクタノール/水分配係数(logP)は、4.5であった。
【0045】
〔製造例3:N−n−プロピル−N−t−ブチルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミド
の合成〕
N−t−ブチルエチルアミンの代わりにN−n−プロピル−t−ブチルアミン18.7g(0.162mol)を用いて実施例1と同様に行い、N−n−プロピル−N−t−ブチルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミドを白色固体(融点50〜52℃)として得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:0.92(t,J=7.3Hz,3H),1.34(s,9H),1.75(br,2H),3.03(brd,2H),7.24(t,J=7.0Hz,1H),7.38(t,J=7.0Hz,1H),7.77(d,J=7.5Hz,1H),7.79(d,J=7.5Hz,1H)。
13C−NMR(100MHz,CDCl3)δ:11.7,23.0,28.1,55.3,60.4,120.7,121.3,123.3,125.7,134.7,154.8,181.3.
このN−n−プロピル−N−t−ブチルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミドのオクタノール/水分配係数(logP)は、5.3であった。
【0046】
〔製造例4:N−i−プロピル−N−t−ブチルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミド
の合成〕
N−t−ブチルエチルアミンの代わりにN−i−プロピル−t−ブチルアミン18.7g(0.162mol)を用いて実施例1と同様に行い、N−i−プロピル−N−t−ブチルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミドを白色固体(融点68〜70℃)として得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:1.20−1.25(dd,(1.22ppm:J=6.4Hz,1.23ppm:J=6.4Hz)6H),1.37(s,9H),3.78(m,J=6.3Hz,1H),7.23(t,J=7.0Hz,1H),7.38(t,J=7.0Hz,1H),7.77(d,J=7.5Hz,1H),7.79(d,J=7.5Hz,1H)。
13C−NMR(100MHz,CDCl3)δ:22.3,23.9,29.1,50.6,61.4,120.6,121.2,123.2,125.6,134.5,154.5,183.3.
このN−i−プロピル−N−t−ブチルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミドのオクタノール/水分配係数(logP)は、5.1であった。
【0047】
〔製造例5:N,N−ジ−i−プロピルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミドの合成〕
N−t−ブチルエチルアミンの代わりにN−ジ−i−プロピルアミン16.4g(0.162mol)を用いて実施例1と同様に行い、N,N−ジ−i−プロピルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミドを白色固体(融点57〜59℃)として得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ:1.26(d,J=6.5Hz,12H),3.49(dq,J=6.5Hz,2H),7.24(t,J=7.0Hz,1H),7.37(t,J=7.0Hz,1H),7.75(d,J=8.6Hz,1H),7.79(d,J=8.6Hz,1H)。
13C−NMR(100MHz,CDCl3)δ:21.7,22.5,55.7,120.8,121.3,123.4,125.7,134.7,155.1,182.2。
質量分析(EI,70eV),m/z266(M+),251(M+−15),218(M+−48),209(M+−57),182(M+−84),167(M+−99),148(M+−118),100(M+−166:base).
【0048】
〔製造例6:N−n−ブチル−N−t−ブチルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミドの合成〕
N−t−ブチルエチルアミンの代わりにN−t−ブチル−n−ブチルアミン20.9g(0.162mol)を用いて実施例1と同様に行い、N−n−ブチル−N−t−ブチルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミドを42.4g(収率60%)の白色固体(融点55〜56℃)として得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ=0.89(3H,t,J=7.32Hz,CH3(n−Bu))、1.2−1.4(s+m,11H,CH3(t−ブチル)+CH2(n−ブチル))、1.70(br.s,2H,CH2)、2.9−3.2(br.d,2H,N−CH2)、7.23(1H,m)、7.37(1H,m)、7.75(1H,m)、7.78(1H,m);13C−NMR(100MHz,CDCl3)δ:14.0、20.4、27.9、31.8、53.0、60.3、120.6、121.1、123.1、125.5、134.6、154.8、181.2;質量分析(EI,70eV)、m/z294(M+)、279(M+−CH3)、237(M+−C49)、167(M+−C818N)、128(M+−C74NS2):IR(neat):1707cm-1,3302cm-1
このN−n−ブチル−N−t−ブチルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミドのオクタノール/水分配係数(logP)は、5.8であった。
【0049】
〔実施例1〜9及び比較例1〜6〕
<サイド補強ゴム、プライコーティングゴムの調製>
下記表1及び表2に示す配合組成により、常法に従ってバンバリーミキサーを用いて混練りした後、それぞれの未加硫ゴムを得た、これらの未加硫ゴムを用いて下記評価方法により加硫特性(TO.1 INDEX,TO.9 INDEX)を評価した。
これらの結果を下記表1及び表2に示す。
【0050】
<加硫特性の測定>
JSRトレーディング社製キュラストメーターW型試験機を用いてJIS K3200−2:2001に準拠して160℃で測定した。表1では比較例1を、表2では比較例4を夫々基準(100)として指数表示で評価した。数値が高いほど加硫特性に優れていることを示す。
【0051】
<各試供タイヤの作製>
下記表1及び表2に示す各サイド補強ゴム、プライコーティングゴム(共通)を用いて各試作タイヤ(タイヤサイズ245/40ZR18)を常法により作製した。それぞれのタイヤについて下記各評価方法により補強ゴム−プライ間の剥離試験、ランフラット(RF)ドラム走行距離、ランフラット走行による走行時のプライコーティングゴム部の界面剥離発生の有無を判定した。補強ゴム−プライ間の剥離試験、ランフラット(RF)ドラム走行距離の各評価は、表1では比較例1を、表2では比較例4を夫々基準(100)として指数表示で評価した。数値が高いほどランフラット耐久性に優れていることを示す。
これらの結果を下記表1及び表2に示す。
【0052】
<補強ゴム−プライ間の剥離試験>
補強ゴムを含むタイヤサイド部を幅30mm、長さ100mmで切り出す。プライコーティングゴムと補強ゴム層間に切り込みを入れ、オ−トグラフ型試験機のチャックに前記サンプルのプライと補強ゴムの一旦を掴ませ前記矩形の長さ方向に向かって引張速度50mm/分にて剥離してその時の引張力を測定した。
【0053】
<RFドラム走行距離の測定>
各試作タイヤ(タイヤサイズ245/40ZR18)を常圧でリム組みし、内圧230kPaを封入してから38℃の室温中に24時間放置後、バルブのコアを抜き内圧を大気圧を大気圧として、荷重5.19kN(530kg)、速度89km/h、室温38℃の条件でドラム走行テストを行った。この際の故障発生めでの走行距離をランフラットドラム走行距離とした。数値が高いほど、ランフラット耐久性に優れていることを示す。
【0054】
<界面剥離の有無の評価方法>
ランフラットドラム走行後の各タイヤのプライコーティングゴム部における界面剥離の有無を観察した。
【0055】
【表1】

【0056】
【表2】

【0057】
上記表1中の*1〜*14は下記のとおりである。
*1:N−フェニル−N´−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン
(大内新興化学工業社製、商品名:ノクセラー6C)
*2:N,N´−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド
(大内新興化学工業社製、商品名:ノクセラーDZ)
*3:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド
(大内新興化学工業社製、商品名:ノクセラーCZ)
*4:N−t−ブチルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド
(大内新興化学工業社製、商品名:ノクセラーNS)
*5:N−メチル−N−t−ブチルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミド
*6:N−エチル−N−t−ブチルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミド
*7:N−n−プロピル−N−t−ブチルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミド
*8:N−i−プロピル−N−t−ブチルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミド
*9:N,N−ジ−i−プロピルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミド
*10:N−n−ブチル−N−t−ブチルベンゾチアゾ−ル−2−スルフェンアミド
*11:CYREZ 964RPC(サイテック社製)
*12:スミライトレジン PR−50235(住友ベークライト社製)
*13:スミライトレジン PR−BSN−21(住友ベークライト社製)
*14:スミライトレジン PR−51587(住友ベークライト社製)
【0058】
上記表1は、ゴム成分と、硫黄と、上記一般式(I)で表されるスルフェンアミド系加硫促進剤とを含有してなるランフラットタイヤ用ゴム組成物等の実施例及び比較例であり、この表1の評価結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例1〜6は、本発明の範囲外となる比較例1〜3に較べて、加硫特性に優れると共に、剥離効力、RFドラム走行距離及び界面剥離の有無の評価結果からランフラット耐久性に優れることが判った。
【0059】
上記表2は、ゴム成分と、硫黄と、上記一般式(I)で表されるスルフェンアミド系加硫促進剤に、更に、フェノール樹脂及びメチレン供与体を含有してなるランフラットタイヤ用ゴム組成物等の実施例及び比較例であり、この表2の評価結果から明らかなように、更に、フェノール樹脂及びメチレン供与体を含有してなる本発明範囲となる実施例7〜9は、本発明の範囲外となる比較例4〜6、並びに、フェノール樹脂及びメチレン供与体を含有しない上記実施例1〜6に較べて、加硫特性に優れると共に、剥離効力、RFドラム走行距離及び界面剥離の有無の評価結果からランフラット耐久性に更に優れることが判った。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明では、乗用車等のランフラットタイヤなどに好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0061】
A ランフラットタイヤ
1 ビードコア
2 カーカス層
3 サイドゴム層
4 トレッドゴム層
5 ベルト層
6 インナーライナー
7 ビードフィラー
8 サイド補強層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム成分と、硫黄と、下記一般式(I)で表されるスルフェンアミド系加硫促進剤とを含有してなることを特徴とするランフラットタイヤ用ゴム組成物。
【化1】

【請求項2】
ゴム成分100質量部に対し、上記一般式(I)で表されるスルフェンアミド系加硫促進剤0.1〜10質量部を含有してなる請求項1に記載のランフラットタイヤ用ゴム組成物。
【請求項3】
ゴム成分100質量部に対し、硫黄0.1〜10質量部を含有してなる請求項1に記載のランフラットタイヤ用ゴム組成物。
【請求項4】
ゴム成分100質量部に対し、硫黄0.1〜10質量部と、上記一般式(I)で表されるスルフェンアミド系加硫促進剤0.1〜10質量部とを含有してなる請求項1に記載のランフラットタイヤ用ゴム組成物。
【請求項5】
前記ゴム組成物における一般式(I)中のR1及びR2における分岐アルキル基は、α位に分岐を有する請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項6】
前記ゴム組成物における一般式(I)中のR1は、tert−ブチル基であり、n=0である請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項7】
前記ゴム組成物における一般式(I)中のR1は、tert−ブチル基であり、R2は、炭素数1〜6の直鎖アルキル基又は炭素数3〜6の分岐アルキル基であり、R3〜R6は、水素原子である請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項8】
前記ゴム組成物における一般式(I)中のR1は、tert−ブチル基であり、n=0であり、R2は、炭素数1〜6の直鎖アルキル基又は炭素数3〜6の分岐アルキル基であり、R3〜R6は、水素原子である請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項9】
前記ゴム組成物における一般式(I)中のR1は、tert−ブチル基であり、n=0であり、R2はメチル基、エチル基、n−プロピル基であり、R3〜R6は、水素原子である請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項10】
前記ゴム組成物における一般式(I)中のR1は、tert−ブチル基であり、n=0であり、R2はエチル基であり、R3〜R6は、水素原子である請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項11】
ゴム成分100質量部に対し、無機充填材を20質量部以上の量で含有してなる請求項1〜10の何れか一つに記載のランフラットタイヤ用ゴム組成物。
【請求項12】
更に、樹脂及びその硬化剤を含有してなる請求項1〜11の何れか一つに記載のランフラットタイヤ用ゴム組成物。
【請求項13】
更に、フェノール樹脂及びメチレン供与体を含有してなる請求項1〜11の何れか一つに記載のランフラットタイヤ用ゴム組成物。
【請求項14】
ゴム成分100質量部に対し、フェノール樹脂を1〜40質量部の量で含有してなる請求項13に記載のランフラットタイヤ用ゴム組成物。
【請求項15】
フェノール樹脂及びメチレン供与体の総量100質量%中、該メチレン供与体を5〜80質量%の量で含有してなる請求項13又は14に記載のランフラットタイヤ用ゴム組成物。
【請求項16】
メチレン供与体が、ヘキサメチレンテトラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒドアンモニア、α−ポリオキシメチレン、多価メチロールメラミン誘導体、オキサゾリジン誘導体、多価メチロール化アセチレン尿素からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項13〜15の何れか一つに記載のランフラットタイヤ用ゴム組成物。
【請求項17】
フェノール樹脂が、ノボラック型フェノール樹脂、ノボラック型クレゾール樹脂、ノボラック型キシレノール樹脂、ノボラック型レゾルシノール樹脂およびこれらの樹脂をオイル変性した樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項13〜15の何れか一つに記載のランフラットタイヤ用ゴム組成物。
【請求項18】
ゴム成分が、ジエン系ゴム成分である請求項1〜17の何れか一つに記載のランフラットタイヤ用ゴム組成物。
【請求項19】
ゴム成分が、天然ゴム及びポリイソプレンゴムの少なくとも一方を含む請求項1〜17の何れか一つに記載のランフラットタイヤ用ゴム組成物。
【請求項20】
請求項1〜19の何れか一つに記載のランフラットタイヤ用ゴム組成物をサイド補強ゴムに用いたことを特徴とするランフラットタイヤ。

【図1】
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【公開番号】特開2010−150502(P2010−150502A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−157151(P2009−157151)
【出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】