説明

ランプ保持用金具、ランプユニット、及び投写型映像表示装置

【課題】簡易な構造でランプハウジングに対して確実に固定されるランプ保持用金具、及びこれを備えたランプユニット、及びこれを備えた投写型映像表示装置を提供する。
【解決手段】映像表示用の光源であるランプ3を、ランプ3が収容されるランプハウジング4の内部において保持するランプ保持用金具5は、ランプハウジング4の内壁4bとランプ3とに挟まれるとともに弾性を有する弾性部53bと、ランプハウジング4を貫通する開口42bに差し込まれるとともにランプハウジング4の外壁4aに引っ掛けられる掛止部53cとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ランプハウジング内においてランプを保持するためのランプ保持用金具、これを備えたランプユニット、及びこれを備えた投写型映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
映像表示用の光源であるランプを備えた投写型映像表示装置において、ランプを覆うランプハウジングに対してランプを設けるとともに、ランプハウジングに対してランプが固定された状態が保持されるために、ランプを保持するランプ保持用金具を用いることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載される投写型表示装置であるプロジェクタにおいては、ランプハウジングに第1板バネをランプ保持用金具として取り付けることが開示されている。第1板バネは、ランプハウジングの側面部の内面の位置決め面にリフレクタを付勢する金属の一体成形によって形成されている。また、第1板バネは、ランプハウジングの側面部に係合させる部分であるバネ係合部と、同側面部に設けられた穴に入る部分である固定部とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−287812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載される構成においては、ランプハウジングに対するランプ保持用金具の固定が確実でない。即ち、第1板バネの固定部がランプハウジングの側面部の穴に入ったとしても、弾性を有する第1板バネ自体が変形することにより、ランプハウジングの側面部の穴から第1板バネの固定部が抜けるおそれがある。その結果、ランプハウジングの側面部の上端が第1板バネのバネ係合部により挟まれていても、第1板バネが上方に移動するとランプハウジングから第1板バネが外れるおそれがある。ねじ等の固定具を用いてランプ保持用金具を固定することもできるが、固定具を用いる場合には、部品点数が増えるため複雑な構成となる。
【0006】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な構造でランプハウジングに対して確実に固定されるランプ保持用金具、及びこれを備えたランプユニット、及びこれを備えた投写型映像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、映像表示用の光源であるランプを、このランプが収容されるランプハウジングの内部において保持するランプ保持用金具であって、前記ランプハウジングの内壁と前記ランプとに挟まれるとともに弾性を有する弾性部と、前記ランプハウジングを貫通する開口に差し込まれるとともに前記ランプハウジングの外壁に引っ掛けられる掛止部とを有することを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、ランプ保持用金具は、ランプハウジングの内壁とランプとに挟まれるとともに弾性を有する弾性部と、ランプハウジングを貫通する開口に差し込まれるとともにランプハウジングの外壁に引っ掛けられる掛止部とを有している。このため、掛止部が、ランプハウジングの開口に差し込まれてランプハウジングの外壁に引っ掛けられることにより、ランプハウジングに対してランプ保持用金具が確実に固定される。即ち、ランプハウジングを貫通する開口に差し込まれた掛止部は、ランプハウジングの外壁に引っ掛からない状態にしないと、ランプハウジングの開口から抜くことができない。従って、ランプ保持用金具の一部である掛止部の移動は、ランプハウジングの開口により確実に規制され、ランプハウジングに対してランプ保持用金具が確実に固定される。また、ねじ等の固定具を用いずにランプ保持用金具を簡易な構造で固定することができ、部品点数の削減等も図ることができる。従って、ランプ保持用金具を簡易な構造でランプハウジングに対して確実に固定することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のランプ保持用金具と、発光管及びリフレクタを含む前記ランプと、このランプが収容された前記ランプハウジングとを備えるランプユニットであって、前記弾性部が前記ランプハウジングの内壁と前記ランプとに挟まれることにより、前記掛止部が前記ランプハウジングの外壁に押しつけられて引っ掛けられていることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、ランプユニットは、請求項1に記載のランプ保持用金具を備え、弾性部がランプハウジングの内壁とランプとに挟まれることにより、掛止部がランプハウジングの外壁に押しつけられて引っ掛けられている。このため、ランプ保持用金具の弾性部がランプハウジングの内壁とランプとに挟まれることによって、ランプハウジングに対してランプ保持用金具が確実に固定され、ランプの光軸を適切に位置決めすることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のランプユニットにおいて、前記掛止部は、前記ランプハウジングの外壁に当たって接する当接部と、前記開口に差し込まれるとともに、前記弾性部と前記当接部とを接続する接続部とを有していることを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、掛止部は、ランプハウジングの外壁に当たって接する当接部と、ランプハウジングを貫通する開口に差し込まれるとともに、弾性部と当接部とを接続する接続部とを有している。このため、接続部に、ランプハウジングの内部に引っ張る力を作用させることにより、接続部に接続された当接部を、ランプハウジングの外壁に向けて押しつけることができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のランプユニットにおいて、前記弾性部が前記ランプハウジングの内壁と前記ランプとに挟まれることによって、前記ランプハウジングの内部に引っ張る力が前記接続部に作用して、前記接続部を介して前記弾性部に接続されている前記当接部が、前記ランプハウジングの外壁に対して押しつけられていることを特徴とする。
【0014】
上記構成によれば、弾性部がランプハウジングの内壁とランプとに挟まれることによって、ランプハウジングの内部に引っ張る力が接続部に作用して、接続部を介して弾性部に接続されている当接部が、ランプハウジングの外壁に対して押しつけられている。このため、弾性部と当接部とを接続する接続部に作用する力が、当接部をランプハウジングの外壁に押しつける力となる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項2〜4のいずれか一項に記載のランプユニットを備え、前記ランプを映像表示用の光源として用いることを特徴とする。
上記構成によれば、投写型映像表示装置は、請求項2〜4のいずれか一項に記載のランプユニットを備え、ランプを映像表示用の光源として用いる。このため、映像の光軸を適切に設けることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ランプ保持用金具を簡易な構造でランプハウジングに対して確実に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係る投写型映像表示装置であるプロジェクタを示す斜視図。
【図2】(a)及び(b)は、同実施形態に係るプロジェクタが備えるランプユニットを示す斜視図。
【図3】(a)及び(b)は、同実施形態に係るランプユニットに含まれるランプを示す斜視図。
【図4】(a)及び(b)は、同実施形態に係るランプユニットに含まれるランプハウジングを示す斜視図。
【図5】同実施形態に係るランプハウジングを示す図であって、(a)は上面図、(b)及び(c)は側面図、(d)は下面図。
【図6】同実施形態に係るランプハウジングに設けられるランプ保持用金具を示す図であって、(a)は斜視図、(b)は前方から見た正面図。
【図7】同実施形態に係るランプハウジングにランプ保持用金具が設けられた状態を示す斜視図。
【図8】同実施形態に係るランプハウジングにランプ保持用金具が設けられた状態を示す断面図及びその部分拡大図。
【図9】同実施形態に係るランプ保持用金具によりランプの固定が保持された状態を示す斜視図。
【図10】同実施形態に係るランプ保持用金具によりランプの固定が保持された状態を示す断面図及びその部分拡大図。
【図11】同実施形態に係るランプハウジングに対する外枠部材の取付を説明するための斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、上方及び下方を含む上下方向は、図中において矢印Zが示す方向であって、上下方向は鉛直方向に限定されない。また、上下方向に直交する前方及び後方を含む前後方向を、図中において矢印Xで示すとともに、上下方向及び前後方向に直交する右方及び左方を含む左右方向を、図中において矢印Yで示す。
【0019】
図1(a)及び(b)に示すように、プロジェクタ1は、電子部品や光学部品等を内蔵する筐体10を備えた投写型映像表示装置であって、スクリーンや壁等に映像を投写して表示する。筐体10には、筐体10の内部を開放及び閉鎖するランプカバー11が設けられている。
【0020】
開閉するランプカバー11は、図1(a)に示す閉状態と、図1(b)に示す開状態とに遷移する。図1(b)に示すように、筐体10の内部にはランプユニット2が設けられる。ランプカバー11が開状態となることにより、筐体10の内部に設けられたランプユニット2を取り外すこと、及び、筐体10の内部にランプユニット2を取り付けることができる。即ち、ランプユニット2が交換できるように構成されている。
【0021】
図2(a)及び(b)に示すように、ランプユニット2に含まれるランプ3は、箱形のランプハウジング4に収容される。図3に、図2に示したランプハウジング4の図示を省略して、ランプ3の斜視図を示す。また、図4及び図5に、ランプハウジング4のみを図示する。
【0022】
図3(a)及び(b)に示すように、映像表示用の光源であるランプ3は、放電により発光する発光管31と、発光管31が発した光を前方に反射するリフレクタ32と、発光管31を支持する発光管支持部材33と、リフレクタ32の前側端部に設けられたカバーガラス34とを備える放電ランプである。
【0023】
発光管31には、例えば水銀、及びハロゲンガスまたはハロゲン化物の混合物である発光体が封入されている。ランプ3に供給される電力により、発光管31に封入された発光体に高電圧が付加されて、発光管31の内部で絶縁破壊が生じることによって放電が発生する。このようにして発光管31の内部で放電が発生することにより、ランプ3は光を発する。発光管31は前後方向に延びた形状を有している。発光管31の一部はリフレクタ32に挿入されて、発光管31の中央部及び前側端部がリフレクタ32の内部に設けられ、発光管31の後側端部はリフレクタ32の外部に設けられている。
【0024】
リフレクタ32は、発光管31が発した光を反射する反射鏡であって、発光管31を覆うように設けられている。図3(a)に示すリフレクタ32の上側端面32aと右側端面32b、及び図3(b)に示すリフレクタ32の左側端面32cは、平らに形成されている。平面として形成されている上側端面32a及び右側端面32b及び左側端面32cは、図2に示すランプハウジング4に対して押さえつけられる面である。
【0025】
発光管支持部材33は、リフレクタ32の外部であって、リフレクタ32の後側端部に設けられている。発光管支持部材33が発光管31の後側端部を支持することにより、リフレクタ32に対する発光管31の固定が保持されている。
【0026】
リフレクタ32の前側端面に設けられたカバーガラス34は、リフレクタ32とともに発光管31を覆うように設けられている。発光管31の前方に設けられたカバーガラス34により、発光管31が破裂した場合であって、発光管31の破片が飛散することが抑制されている。また、図3(a)に示すように、リフレクタ32の前端の一部は、後方に窪ませて設けられ、カバーガラス34と後方に窪んだリフレクタ32の前端とにより通気口35が形成されている。本実施形態においては、ランプ3の上下左右に通気口35が設けられている。
【0027】
ランプ3には、図1に示す筐体10の内部に設けられた電源回路(図示略)からランプ3に電力を供給するためのケーブル36が接続されている。ケーブル36は、例えば、図3(a)に示すようにリフレクタ32にねじ止めにより接続されるとともに、図3(b)に示すように発光管支持部材33にねじ止めにより接続されている。ケーブル36は、電線と、この電線を被覆する絶縁材とにより構成された柔軟なコードである。ケーブル36の一端はランプ3に接続されるとともに、ケーブル36の他端にはコネクタ37が設けられている。コネクタ37が、図2に示すランプハウジング4の所定の位置に対して固定されるように、ケーブル36は十分な長さを有している。
【0028】
コネクタ37は、筐体10の内部にランプユニット2が取り付けられることにより、図1に示す筐体10の内部に設けられたコネクタ(図示略)と接続される。このようにして、筐体10の内部に設けられた電源回路とケーブル36とが電気的に接続されて、電源回路からケーブル36を介してランプ3に発光管31が放電するための電力が供給可能となる。なお、図中において、放電を生じさせるために発光管31の内部に設けられた電極、及びこの電極とケーブル36を構成する電線とを接続する電極線の図示は省略されている。
【0029】
図4(a)及び(b)に示すように、図3に示すランプ3が収容されるランプハウジング4は、ランプ3の左右方向及び上方及び後方を覆うように形成されている。即ち、ランプハウジング4は、左右方向において間隔を空けて設けられた右側壁部41及び左側壁部42と、右側壁部41及び左側壁部42の各々の上側端部を接続する上側壁部43と、図4(b)に示す、右側壁部41及び左側壁部42及び上側壁部43の各々の後側端部を接続する後側壁部44とを有している。また、ランプハウジング4は、右側壁部41及び左側壁部42及び上側壁部43の各々の前側端部を接続するとともに、開口45aが形成された前側壁部45を有している。開口45aは、ランプハウジング4の内部に収容されたランプ3が発する光を、ランプハウジング4の内部から外部に通すための開口である。
【0030】
図5を参照しながら、ランプハウジング4が有する壁部41〜45の各々を説明する。
図5(c)に示すように、右側壁部41には、ランプハウジング4を貫通する開口41a,41bが形成されている。開口41aは、ランプハウジング4にランプ3が収容されたときに、右方から見て、ランプ3の右側端部に設けられた通気口35と重なる位置に設けられている。また、開口41aよりも下方に設けられた開口41bは、右側壁部41により構成されるランプハウジング4の外壁4aにおいて開口するとともに、図6に示すランプ保持用金具5の下側端部が差し込まれる位置に設けられている。
【0031】
また、図5(b)に示すように、左側壁部42には、右側壁部41と同様に、ランプハウジング4を貫通する開口42a,42bが形成されている。開口42aは、ランプハウジング4にランプ3が収容されたときに、左方から見て、ランプ3の左側端部に設けられた通気口35と重なる位置に設けられている。また、開口42aよりも下方に設けられた開口42bは、左側壁部42により構成されるランプハウジング4の外壁4aにおいて開口するとともに、開口41bと同様に、図6に示すランプ保持用金具5の下側端部が差し込まれる位置に設けられている。
【0032】
図5(a)に示すように、上側壁部43には、ランプユニット2の交換作業を行う作業者がランプハウジング4を掴みやすいように把持部43aが形成されている。図5(b)に示すように、把持部43aは、ランプハウジング4の一部を上方に突出させて設けられている。
【0033】
図5(d)に示すように、後側壁部44及び前側壁部45は、前後方向において間隔を空けて設けられている。前側壁部45にはランプ3の前端が押しつけられる。後側壁部44は、ランプハウジング4にランプ3が収容されたときであっても、ランプ3の後側端部と間隔が空くように設けられている。具体的には、ランプユニット2の組み立て作業を行う作業者が、その手やドライバをランプ3と後側壁部44との間に入れることができるように構成されている。
【0034】
本実施形態においては、ランプハウジング4に収容されたランプ3は、図6に示すランプ保持用金具5を用いて、ランプハウジング4に対して保持される。
図6(a)及び(b)に示すように、ランプ保持用金具5は、左右方向に延びる平板状の基部51と、基部51に対して屈曲させて形成されるとともに基部51の右側端部に接続された右側保持部52と、基部51に対して屈曲させて形成されるとともに基部51の左側端部に接続された左側保持部53とを有している。
【0035】
基部51の前側端部であって、かつ、基部51の左側端部及び右側端部には、前後方向において弾性を有する弾性部51aが設けられている。弾性部51aは、基部51に対して下方に屈曲させて形成されている。また、基部51の前端の一部は、前方に突出させて形成されている。また、図6(a)に示すように、基部51には貫通孔51bが設けられている。この貫通孔51bは、図5(d)に示す上側壁部43に形成された突起43bに嵌められる。
【0036】
平板状の右側基部52aを有する右側保持部52には、左右方向において弾性を有する弾性部52bが設けられている。弾性部52bは、その中央部分が左方に膨らんだ湾曲部を含む部位である。弾性部52bは、右側基部52aの一部と前後方向において間隔を空けて上下方向に延びるとともに、弾性部52bの上側端部及び下側端部が右側基部52aに接続されている。また、右側基部52aの前端の一部は、前方に突出させて形成されている。
【0037】
また、右側保持部52の下側端部には、図5(c)に示す開口41bに差し込まれるとともにランプハウジング4の外壁4aに引っ掛けられる掛止部52cが設けられている。掛止部52cは、ランプハウジング4の外壁4aに当たって接する当接部52dと、開口41bに差し込まれるとともに、右側基部52a及び弾性部52bと当接部52dとを接続する接続部52eとにより構成されている。
【0038】
平板状の左側基部53aを有する左側保持部53には、左右方向において弾性を有する弾性部53bが設けられている。弾性部53bは、その中央部分が右方に膨らんだ湾曲部を含む部位である。弾性部53bは、左側基部53aの一部と前後方向において間隔を空けて上下方向に延びるとともに、弾性部53bの上側端部及び下側端部が左側基部53aに接続されている。また、左側基部53aの前端の一部は、前方に突出させて形成されている。
【0039】
また、左側保持部53の下側端部には、図5(b)に示す開口42bに差し込まれるとともにランプハウジング4の外壁4aに引っ掛けられる掛止部53cが設けられている。掛止部53cは、ランプハウジング4の外壁4aに当たって接する当接部53dと、開口42bに差し込まれるとともに、左側基部53a及び弾性部53bと当接部53dとを接続する接続部53eとにより構成されている。
【0040】
以下、図7〜図10を参照しながら、ランプ3がランプ保持用金具5により保持されたランプユニット2の組み立て工程の一例を説明する。
図7及び図8に示すように、ランプハウジング4には、ランプ3が収容される前に、ランプ保持用金具5が設けられる。
【0041】
図8に示すように、ランプハウジング4にランプ保持用金具5が取り付けられたとき、掛止部52cは開口41bに差し込まれるとともに、掛止部53cは開口42bに差し込まれた状態となる。このとき、ランプハウジング4の内部から掛止部52c,53cを開口41b,42bに差し込まれるが、当接部52d,53dがランプハウジング4の内壁4bと干渉しないように、右側保持部52及び左側保持部53の全体をしならせる。接続部52e,53eが開口41b,42bに差し込まれることにより、掛止部52c,53cが、ランプハウジング4の外壁4aに引っ掛かる状態となる。
【0042】
そして、図9及び図10に示すように、ランプ保持用金具5が取り付けられたランプハウジング4に、ランプ3が下方から入れられる。このようにして、ランプハウジング4にランプ3が収容される。
【0043】
図10に示すように、ランプハウジング4にランプ3が収容されたとき、弾性部52bが、右側壁部41により構成されるランプハウジング4の内壁4bとランプ3とに挟まれるとともに、弾性部53bが、左側壁部42により構成されるランプハウジング4の内壁4bとランプ3とに挟まれた状態となる。本実施形態においては、弾性部52bは、内壁4bとリフレクタ32の右側端面32bとに挟まれるとともに、弾性部53bは、内壁4bとリフレクタ32の左側端面32cとに挟まれる。このとき、弾性部52bが内壁4bとランプ3とに挟まれることによって、ランプハウジング4の内部に引っ張る力が接続部52eに作用して、接続部52eを介して弾性部52bに接続されている当接部52dが、右側壁部41により構成されるランプハウジング4の外壁4aに対して押しつけられる。同様に、弾性部53bが内壁4bとランプ3とに挟まれることによって、ランプハウジング4の内部に引っ張る力が接続部53eに作用して、接続部53eを介して弾性部53bに接続されている当接部53dが、左側壁部42により構成されるランプハウジング4の外壁4aに対して押しつけられる。
【0044】
即ち、図8の部分拡大図に示すように、ランプ3がランプハウジング4に収容されていない状態においては、当接部53dが外壁4aに引っ掛かった状態は維持されないが、図10の部分拡大図に示すように、ランプ3がランプハウジング4に収容された状態においては、当接部53dが外壁4aに引っ掛かった状態が維持される。なお、同様に、ランプ3がランプハウジング4に収容されていない状態においては、当接部52dが外壁4aに引っ掛かった状態は維持されず、ランプ3がランプハウジング4に収容された状態においては、当接部52dが外壁4aに引っ掛かった状態が維持される。従って、ランプ保持用金具5は、右側保持部52でランプ3の右側端部を保持するとともに、左側保持部53でランプ3の左側端部を保持する。
【0045】
また、本実施形態においては、ランプハウジング4にランプ3が収容されたとき、リフレクタ32の上側端部であって、かつ、リフレクタ32の右側端部及び左側端部が、図6に示す弾性部51aにより前方に押さえつけられる。即ち、ランプ3の上側端部がランプハウジング4の前側壁部45に押さえつけられている。このようにして、本実施形態においては、ランプ保持用金具5は、ランプ3を左右方向においてランプハウジング4に押さえつけるとともに、ランプ3を前後方向においてランプハウジング4に押さえつけている。
【0046】
図11に示すように、ランプハウジング4にランプ3が収容された後に、ランプ3の通気口35に差し込まれる風向調整部材6と、ランプ3の脱落を防止する外枠部材7とがランプハウジング4に取り付けられる。
【0047】
金属板により形成された風向調整部材6は、通気口35に差し込まれて、ランプ3の内部に向けて延びる風向板61を含んでいる。本実施形態においては、ランプ3の右側端部に設けられた通気口35と、ランプ3の左側端部に設けられた通気口35とに、それぞれ風向調整部材6が設けられている。従って、右側端部に設けられた通気口35を通してランプ3内に冷却風が流入する場合であっても、左側端部に設けられた通気口35を通してランプ3内に冷却風が流入する場合であっても、発光管31に適切に冷却風を案内することができる。
【0048】
風向調整部材6と同様に金属板により形成された外枠部材7は、左右方向に延びる平板状の基部71と、基部71に対して屈曲させて形成されるとともに基部71の右側端部に接続された右側枠部72と、基部71に対して屈曲させて形成されるとともに基部71の左側端部に接続された左側枠部73とを有している。
【0049】
基部71の後側端部であって、かつ、基部71の左側端部及び右側端部には、前後方向において弾性を有する弾性部71aが設けられている。弾性部71aは、基部71に対して上方に屈曲させて形成されている。また、基部71の前側端部には、基部71に対して上方に屈曲させて形成された四角枠部74が設けられている。四角枠部74の上端が、後方に折り曲げられて形成されることにより、四角枠部74は、ランプハウジング4の上側壁部43の前側端部に設けられた突起43cに引っ掛かって止められる掛止部74aを有している。
【0050】
本実施形態においては、外枠部材7をランプハウジング4の取り付ける場合には、ランプ3の右側端部及び左側端部に設けられた通気口35に風向板61を差し込んで風向調整部材6をランプハウジング4に設けた後に、ランプハウジング4に対して外枠部材7を設ける。このとき、リフレクタ32の下側端部であって、かつ、リフレクタ32の右側端部及び左側端部が、弾性部71aにより前方に押さえつけられる。即ち、ランプ3の下側端部がランプハウジング4の前側壁部45に押さえつけられる。さらに、上側壁部43の突起43cに掛止部74aが引っ掛けられることによって、外枠部材7の基部71によりリフレクタ32の下側端部が上方に押さえつけられて、リフレクタ32の上側端面32aが上側壁部43に押さえつけられる。このようにして、外枠部材7は、ランプ3を前後方向においてランプハウジング4に押さえつけるとともに、ランプ3を上下方向においてランプハウジング4に押さえつけている。
【0051】
図2(b)に示すように、基部71には開口71bが形成されている。この開口71bは、下方から見てランプ3の下側端部に設けられた通気口35と重なる位置に設けられている。また、基部71と同様に、左側枠部73には開口73aが形成されるともに、図2(a)に示すように、右側枠部72にも開口72aが形成されている。開口72aは、右方から見てランプ3の右側端部に設けられた通気口35と重なる位置に設けられている。また、開口73aは、左方から見てランプ3の左側端部に設けられた通気口35と重なる位置に設けられている。
【0052】
開口71b,72a,73aには、それぞれ、格子状に形成された格子部材75が設けられている。格子部材75は、例えば、金属製の網であるメッシュにより形成されて、スポット溶接により外枠部材7に固定されている。このようにして、発光管31が破裂した場合であって、発光管31の破片がランプユニット2の外部に飛散することが抑制されている。
【0053】
図2に示すように、右側枠部72及び左側枠部73は、ねじ76を用いてランプハウジング4に対して固定される。ねじ76により、右側枠部72及び左側枠部73とともに、風向調整部材6がランプハウジング4に対して固定される。ランプハウジング4に外枠部材7を取り付けた後に、図2(a)に示すように、ランプハウジング4に形成された開口46を覆う開口カバー81と、ランプユニット2に係る情報が記憶されるICチップ82とがランプハウジング4に対してねじ止めされる。また、図2(b)に示すように、コネクタ37がランプハウジング4に対してねじ止めされるとともに、ケーブル36を覆うケーブルカバー83がランプハウジング4に設けられる。
【0054】
以上のように構成されたランプユニット2を備えるプロジェクタ1は、ランプ3を用いて映像を表示する。具体的には、例えば、液晶パネルを備えたプロジェクタ1は、ランプ3が発した光を液晶パネルに透過させることにより映像を生成するとともに、この映像をスクリーン等に投写して表示する。ランプ3の寿命が尽きて点灯できなくなったときには、ランプユニット2を交換することにより、点灯可能なランプ3に交換される。
【0055】
本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)ランプ3をランプハウジング4の内部において保持するランプ保持用金具5は、ランプハウジング4の内壁4bとランプ3とに挟まれるとともに弾性を有する弾性部52b,53bと、ランプハウジング4を貫通する開口41b,42bに差し込まれるとともにランプハウジング4の外壁4aに引っ掛けられる掛止部52c,53cとを有する。このため、掛止部52c,53cが、ランプハウジング4の開口41b,42bに差し込まれてランプハウジング4の外壁4aに引っ掛けられることにより、ランプハウジング4に対してランプ保持用金具5が確実に固定される。即ち、ランプハウジング4を貫通する開口41b,42bに差し込まれた掛止部52c,53cは、ランプハウジング4の外壁4aに引っ掛からない状態にしないと、ランプハウジング4の開口41b,42bから抜くことができない。従って、ランプ保持用金具5の一部である掛止部52c,53cの移動は、ランプハウジング4の開口41b,42bにより確実に規制され、ランプハウジング4に対してランプ保持用金具5が確実に固定される。また、ねじ等の固定具を用いずにランプ保持用金具5を簡易な構造で固定することができ、部品点数の削減等も図ることができる。従って、ランプ保持用金具5を簡易な構造でランプハウジング4に対して確実に固定することができる。
【0056】
(2)ランプユニット2は、ランプ保持用金具5と、発光管31及びリフレクタ32を含むランプ3と、ランプ3が収容されたランプハウジング4とを備えている。弾性部52b,53bがランプハウジング4の内壁4bとランプ3とに挟まれることにより、掛止部52c,53cがランプハウジング4の外壁4aに押しつけられて引っ掛けられている。このため、ランプ保持用金具5の弾性部52b,53bがランプハウジング4の内壁4bとランプ3とに挟まれることによって、ランプハウジング4に対してランプ保持用金具5が確実に固定され、ランプ3の光軸を適切に位置決めすることができる。
【0057】
(3)掛止部52c,53cは、ランプハウジング4の外壁4aに当たって接する当接部52d,53dと、開口41b,42bに差し込まれるとともに、弾性部52b,53bと当接部52d,53dとを接続する接続部52e,53eとを有している。このため、接続部52e,53eに、ランプハウジング4の内部に引っ張る力を作用させることにより、接続部52e,53eに接続された当接部52d,53dを、ランプハウジング4の外壁4aに向けて押しつけることができる。
【0058】
(4)弾性部52b,53bがランプハウジング4の内壁4bとランプ3とに挟まれることによって、ランプハウジング4の内部に引っ張る力が接続部52e,53eに作用して、接続部52e,53eを介して弾性部52b,53bに接続されている当接部52d,53dが、ランプハウジング4の外壁4aに対して押しつけられている。このため、弾性部52b,53bと当接部52d,53dとを接続する接続部52e,53eに作用する力が、当接部52d,53dをランプハウジング4の外壁4aに押しつける力となる。
【0059】
(5)プロジェクタ1は、ランプユニット2を備え、ランプ3を映像表示用の光源として用いる。このため、上記(1)〜(4)に記載の効果を得ることができ、また、映像の光軸を適切に設けることができる。
【0060】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の設計変更をすることが可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。例えば、上記実施形態を以下のように変更してもよく、以下の変更を組み合わせて実施してもよい。
【0061】
・ランプ保持用金具5は、左右方向におけるランプ3の両側端部を保持するものでなくてもよい。また、ランプ保持用金具5の形状を適宜変更してもよい。例えば、ランプ保持用金具は、右側保持部52と左側保持部53とが分離されたものであってもよい。また、例えば、ランプ保持用金具5は、左右方向におけるランプ3の両側端部のうち一方の端部を保持するものであってもよい。
【0062】
・投写型映像表示装置は、液晶パネルに光を透過させることにより映像を生成するプロジェクタ1に限定されない。例えば、DMD(Digital Micromirror Device)を用いて光を選択的に反射させることにより映像を生成するプロジェクタに本発明を適用することもできる。
【符号の説明】
【0063】
1…プロジェクタ(投写型映像表示装置)、2…ランプユニット、3…ランプ、4…ランプハウジング、4a…外壁、4b…内壁、5…ランプ保持用金具、6…風向調整部材、7…外枠部材、10…筐体、31…発光管、32…リフレクタ、33…発光管支持部材、34…カバーガラス、35…通気口、36…ケーブル、37…コネクタ、41…右側壁部、42…左側壁部、41a,41b,42b,42b…開口、43…上側壁部、43b,43c…突起、44…後側壁部、45…前側壁部、45a…開口、51…基部、51a…弾性部、52…右側保持部、52a…右側基部、53…左側保持部、53a…左側基部、52b,53b…弾性部、52c,53c…掛止部、52d,53d…当接部、52e,53e…接続部、61…風向板、71…基部、71a…弾性部、72…右側枠部、73…左側枠部、72a,73a…開口、74…四角枠部、74a…掛止部、75…格子部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像表示用の光源であるランプを、このランプが収容されるランプハウジングの内部において保持するランプ保持用金具であって、
前記ランプハウジングの内壁と前記ランプとに挟まれるとともに弾性を有する弾性部と、前記ランプハウジングを貫通する開口に差し込まれるとともに前記ランプハウジングの外壁に引っ掛けられる掛止部とを有する
ことを特徴とするランプ保持用金具。
【請求項2】
請求項1に記載のランプ保持用金具と、発光管及びリフレクタを含む前記ランプと、このランプが収容された前記ランプハウジングとを備えるランプユニットであって、
前記弾性部が前記ランプハウジングの内壁と前記ランプとに挟まれることにより、前記掛止部が前記ランプハウジングの外壁に押しつけられて引っ掛けられている
ことを特徴とするランプユニット。
【請求項3】
前記掛止部は、前記ランプハウジングの外壁に当たって接する当接部と、前記開口に差し込まれるとともに、前記弾性部と前記当接部とを接続する接続部とを有している
ことを特徴とする請求項2に記載のランプユニット。
【請求項4】
前記弾性部が前記ランプハウジングの内壁と前記ランプとに挟まれることによって、前記ランプハウジングの内部に引っ張る力が前記接続部に作用して、前記接続部を介して前記弾性部に接続されている前記当接部が、前記ランプハウジングの外壁に対して押しつけられている
ことを特徴とする請求項3に記載のランプユニット。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか一項に記載のランプユニットを備え、前記ランプを映像表示用の光源として用いることを特徴とする投写型映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−83624(P2012−83624A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−230905(P2010−230905)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】