説明

ランプ点灯装置

【課題】小型化が実現可能であり、放熱性が向上する構成のランプ点灯装置を提供する。
【解決手段】ランプ点灯装置1は、筐体2と、ランプ3を保持すると共に、少なくとも一部が筐体2の外壁から当該筐体2内に入り込むように組み付けられる保持部材4と、電子部品13が実装される回路基板12と回路基板12を覆うモールド樹脂14とが一体化されてなり、且つ筐体2に収容されるモジュール10とを備えている。モジュール10は、所定方向を厚さ方向とする構成で板状に構成され、且つ保持部材4に対向する側の側壁部10aにおいて部分的に切り欠き部11が形成されており、保持部材4の少なくとも一部、またはランプ3の少なくとも一部の、少なくともいずれか一方が、モジュール10に形成された切り欠き部11の内側に入り込んで配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランプ点灯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ランプ点灯装置は、一般的に、光源となり発光するランプ本体、ランプ本体の保持部及びランプ本体を点灯させるために電力供給を制御するモジュールによって構成されている。この種のランプ点灯装置では、装置のコンパクト化及び低コスト化を図るためには、各構成要素を筺体に組み込んで一体化することが望ましく、このような技術としては、特許文献1のようなものが提供されている。
【0003】
この特許文献1で開示される放電灯ユニット(1)は、放電等(11)を支持する放電灯支持部(21)と、放電等支持部(21)に支持された放電灯(11)に電力を供給する回路部品(スタートランス(63)、ノイズ低減コイル(64)等)とを備えており、これらを電気的に接続する配線(25)は、この配線25の他の部分よりも単位長さ当たりの表面積が大きく設定された放熱部(26)を備えている。この構成では、放熱部(25)に接する物質に放熱部(26)が保持するエネルギーを移動させやすくすることができ、配線(25)を介して放出される熱量を増加させることができるため、回路部品に伝導される熱量を減少させることができる。従って、放電灯(11)によって発生する熱を回路部品に到達し難くすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−198972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のように筐体にランプ本体を組み付けたランプ点灯装置では、ランプ本体と保持部材を一体化してなるユニットを筐体内に入り込ませて組み付ける必要があるため、この入り込んだユニットの一部が筐体内に配置される回路モジュールの配置を制約してしまうという問題がある。このような制約があるため、筐体内において効率的な配置構成を採用することが難しく、例えば、筐体に入り込んだランプユニットの一部とモジュールとをある程度離して横並びに配置すると、筐体全体が前後或いは左右に広がってしまい、装置全体の面積(平面視したときの面積)が大きくなってしまうことになる。また、筐体に入り込んだランプユニットとモジュールとを上下に重ねるように配置することも考えられるが、単に上下に重ねる配置では、装置全体が厚さ方向に大きくなってしまうことになる。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、筐体にランプ本体を組み付けることで装置構成のコンパクト化を実現し得るランプ点灯装置において、筺体内において部品をより効率的に配置することができ、一層の小型化及びコスト低減を図り得る構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るランプ点灯装置は、
筐体と、
ランプを保持すると共に、少なくとも一部が前記筐体の外壁から当該筐体内に入り込むように組み付けられる保持部材と、
電子部品が実装される回路基板と、前記回路基板を覆うモールド樹脂とが一体化されてなり、且つ前記筐体に収容されるモジュールと、
を備え、
前記モジュールは、所定方向を厚さ方向とする構成で板状に構成され、且つ前記保持部材に対向する側の側壁部において部分的に切り欠き部が形成されており、
前記保持部材の少なくとも一部、または前記ランプの少なくとも一部の、少なくともいずれか一方が、前記モジュールに形成された前記切り欠き部の内側に入り込んで配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、保持部材の少なくとも一部、またはランプの少なくとも一部の、少なくともいずれか一方を、モジュールに形成された切り欠き部の内側に入り込ませるように配置することができるため、ランプあるいは保持部材と、モジュールとを極力干渉させずにランプ点灯装置を構成することができる。特に、このような構成を用いない場合に比べ、ランプ、保持部材、モジュール等の構成要素をよりコンパクトにまとめることができ、筺体内の省スペース化を図ることができるため、ランプ点灯装置全体の小型化に寄与することとなる。また、各部品の小型化、或いは部品数の削減等を図りやすくなるため、製造コストを低減し易くなる。
【0009】
請求項2の発明では、モジュールにおいて、切り欠き部を挟む両側にそれぞれ電子部品が配置され、保持部材の少なくとも一部、またはランプの少なくとも一部の、少なくともいずれか一方が、切り欠き部の両側の電子部品間に介在するように、切り欠き部の内側に入り込んで配置されている。
この構成によれば、筐体内において保持部材或いはランプの両側方のスペースを利用してモジュール内の電子部品をより効率的に配置することができる。また、切り欠き部の存在により、切り欠き部の一方側の電子部品から他方側の電子部品に対して熱が伝わり難くなるため、特に切り欠き部側において局所的な熱の集中を効果的に抑制することができる。
【0010】
請求項3の発明では、切り欠き部の両側に配される電子部品が、動作時に発熱する発熱部品とされている。発熱部品を所定側にまとめて効率的に配置しようとした場合、これら複数の発熱部品で生じる熱が集中してしまうことが懸念されるが、切り欠き部の両側に発熱部品を配置する構造とすることで、一方側の発熱部品と他方側の発熱部品との間で互いに熱が伝達し難くなり、放熱性の面でも有利となる。
【0011】
請求項4の発明では、切り欠き部は、モジュールの外側に近づくにつれて幅が大きくなるように構成されている。このように構成することで、外側の空隙をより広く確保することができ、ランプあるいは保持部材を切り欠き部に入り込ませやすくなる。また、外側ほど隙間を大きくすることができるため、外側の熱伝導遮断効果をより高めることができる。
【0012】
請求項5の発明では、モジュールには、当該モジュールの外部からの信号が入力される複数の入力端子と、当該モジュールの外部へ信号を出力するための複数の出力端子とが設けられており、複数の入力端子及び複数の出力端子は、モジュールにおいて切り欠き部が形成される側壁部側に寄せて配置されている。
この構成によれば、入力端子及び出力端子を切り欠き部が形成されるモジュールの側壁部にまとめて配置することができるため、これら入力端子や出力端子と接続するための部品(バスバー等)を効率的に配置することができ、これらの接続スペースについても省スペース化を図りやすくなる。
【0013】
請求項6の発明では、複数の入力端子は、切り欠き部が形成された側壁部の内の切り欠き部によって分離された一方側寄りに配置され、複数の出力端子は、当該側壁部の内の切り欠き部によって分離された他方側寄りに配置されている。
この構成によれば、入力端子に接続するための部品(入力端子用のバスバー等)を効率的に配置できると共に、出力端子に接続するための部品(出力端子用のバスバー等)も効率的に配置することができ、接続スペースについて一層の省スペース化を図りやすくなる。
【0014】
請求項7の発明では、モジュールには、当該モジュールの外部から入力される又は当該モジュールの外部に出力される所定の検査信号が入力又は出力される検査端子が設けられており、検査端子は、切り欠き部が形成される側壁部とは反対の側壁部寄りに配置されている。
このように、モジュールの切り欠き部が形成される側壁部に対して反対側の側壁部に検査端子を配置すれば、入出力端子側を効率的に構成できることに加え、その反対側についても検査端子及びその関連部品を効率的に配置することができ、省スペース化、小型化を図る上で一層有利となる。
【0015】
請求項8の発明では、モジュールには、回路基板を積層構造で固定すると共に、筺体に固定される第1のリードフレームと、ボンディングワイヤを介して回路基板に電気的に接続される第2のリーフレームと、第2のリードフレームに実装されるリードフレーム実装部品と、が設けられており、第2のリードフレームは、当該第2のリードフレームに積層構造で固定される絶縁部材及び熱伝導部材を介して筺体に固定されている。
この構成では、回路基板に実装される電子部品については、第1のリードフレームを介して筺体外部へ熱を放出しやすくなり、第2のリードフレームに実装される電子部品については、第2のリードフレーム、絶縁部材、及び熱伝導部材を介して筺体外部へと熱を放出することができる。また、これらは積層の構造であるため、平面方向の省スペース化が図られ、装置全体のコンパクト化に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係るランプ点灯装置を概略的に例示する平面図である。
【図2】図2は、図1のランプ点灯装置のA−A断面を概略的に示す断面概略図である。
【図3】図3は、図1のランプ点灯装置に用いられるモジュールを概略的に示す平面図である。
【図4】図4は、図3のモジュールにおける回路基板を概略的に示す平面図である。
【図5】図5は、図3のモジュールの断面概略図である。
【図6】図6は、図1のランプ点灯装置を分解した構成を概略的に示す分解斜視図である。
【図7】図7は、図1のランプ点灯装置において筐体内に収容されるモジュールやバスバー等の構成を概略的に示す斜視図である。
【図8】図8は、図7からモジュールを省略した構成を示す斜視図である。
【図9】図9は、図7からバスバー及びバスバー搭載部品を省略した構成を示す斜視図である。
【図10】図10は、図1のランプ点灯装置において、モジュール及びランプの配置を概略的に示す斜視図である。
【図11】図11(A)は、図1のランプ点灯装置の変形例1についてのモジュール構成を概略的に示す平面図であり、図11(B)は、変形例2についてのモジュール構成を概略的に示す平面図である。
【図12】図12(A)は、図1のランプ点灯装置の変形例3についてのモジュール構成を概略的に示す平面図であり、図12(B)は、変形例4についてのモジュール構成を概略的に示す平面図である。
【図13】図13(A)は、図1のランプ点灯装置の変形例5についてのモジュール構成を概略的に示す平面図であり、図13(B)は、変形例6についてのモジュール構成を概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
以下、本発明のランプ点灯装置1を具現化した実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るランプ点灯装置を概略的に例示する平面図である。図2は、図1のランプ点灯装置のA−A断面を概略的に示す断面概略図である。なお、図1では、筐体2の上壁部を省略して示している。また、図1、図2で一部の部品(ランプ3の要部をなす放電灯など)を省略して示している。図3は、図1のランプ点灯装置に用いられるモジュールを概略的に示す平面図である。図3では、回路基板に実装される部品や領域AR1、AR2に配置される部品(発熱部品等)などは省略して示している。図4は、図3のモジュールにおける回路基板を概略的に示す平面図である。図5は、図3のモジュールの断面概略図である。図6は、図1のランプ点灯装置を分解した構成を概略的に示す分解斜視図である。図6では、バスバーについては、二点鎖線にて概略的に示しバスバー搭載部品については図示を省略している。図7は、図1のランプ点灯装置において筐体内に収容されるモジュールやバスバー等の構成を概略的に示す斜視図である。図8は、図7からモジュールを省略した構成を示す斜視図である。図9は、図7からバスバー及びバスバー搭載部品を省略した構成を示す斜視図である。図10は、図1のランプ点灯装置において、モジュール及びランプの配置を概略的に示す斜視図である。
【0018】
(ランプ点灯装置の構成)
まず、図1、図2等を参照し、第1実施形態に係るランプ点灯装置1の構成について説明する。
図1に示すように、ランプ点灯装置1は、光源となるランプ3、ランプ3を点灯させるために電力供給の制御を行うモジュール10、モジュール10等を内部に設ける筐体2及びランプ3を筐体2に保持する保持部材4を備えている。ランプ3は、装置全体のコンパクト化の観点から、筐体2に組み込まれることによって一体として構成されている。また、図2に示すように、モジュール10は、筐体2内部に配置されると共にランプ3と接続され、回路基板12、電子部品13及びモールド樹脂14等を備えている。
【0019】
ランプ3は、図6に示すように、保持部材4によって保持されると共に、該保持部材4が筐体2に固定されることで、安定して筐体2に組み付けられている。また、ランプ3は、発光部及び発光部を覆う透明な保護部材等を備え、これらが筺体2の外部に露出した構成をなしており、発光部において光を発生させ、特定の場所や物体に光を照射することで、暗所での視環境を良好にするように機能する。ランプ3を点灯するための電力供給は、モジュール10によって制御され、モジュール10と接続された配線を通じて行われる。なお、ランプ3は、HIDランプ、LED、電球、その他公知のランプなどによって構成されている。
【0020】
筐体2は、図2及び図6に示すように、一つの空間を閉じるように壁部が配置されてなる箱状のケースとして構成されている。なお、本実施形態では、ランプ3の照射方向とは反対側(即ち、ランプ3が延出する側とは反対側)に配置される壁部を底壁部とし、底壁部より立ち上がる壁部を側壁部とし、底壁部に対向する壁部を上壁部としている。また、本明細書では、底壁部及び上壁部が対向する方向(底壁部或いは上壁部の壁面と直交する方向)を厚さ方向としており、上壁部には、当該上壁部を厚さ方向に貫通する開口部2dが設けられており、ランプ3及び保持部材4からなるユニットが開口部2dに挿し込まれるようになっている。また、底壁部及び底壁部より立ち上がる側壁部からなる部分をベース部材2cとし、ベース部材2cを覆う上壁部をカバー部材2bとしている。なお、本明細書では、筐体2の厚さ方向を上下方向として説明する。
【0021】
図2に示すように、筐体2の底壁部の上面に載置・固定される構成でモジュール10が配置されており、筐体2の上壁部に形成された開口部2d内に挿し込まれる構成でランプ3及び保持部材4からなるユニットが配置されている。このように組み付けられることにより、ランプ3及び保持部材4からなるユニットが筐体2の内外に跨る構成で筐体外に突出している。
【0022】
保持部材4は、図6に示すように、略円筒状に形成され、ランプ3の外周を囲むように配置されている。この保持部材4は、ランプ3を保持する構成で当該ランプ3と一体化されており、この一体化されたユニットが筐体2の上壁部に構成される開口部2dに挿し込まれた構成で筐体2に固定されている。より具体的には、保持部材4の少なくとも一部が開口部2dに入り込んだ状態で固定されるようになっており、これにより、ランプ3は、開口部2dに直接的に接触することなく、上壁部から一定の距離を隔てて配置されることになる。このように構成されているため、ランプ3から発生する熱が筐体2に伝わることを効果的に抑制することができ、また、ランプ3と上壁部との接触によるランプ3へのダメージを回避することができる。
【0023】
モジュール10は、図3、図4に示すように、所定方向を厚さ方向とする構成で板状に構成されており、図2に示すように、筐体2の内部において筐体2の底壁部に載置されるように固定され、かつランプ3等と電気的に接続されている。また、このモジュール20は、図3に示すように、回路基板12の上面全体をモールド樹脂14で被覆する構成となっており、これにより回路基板12が封止されている。また、このモジュール10の一方の側壁部10aにおいてモジュール内部から外部に向かって突出する構成で端子20が延出している。
【0024】
また、図2、図4に示すように、回路基板12には電子部品13が実装されており、回路基板12以外の部分(後述の第2のリードフレーム40等)にも電子部品(後述のリードフレーム実装部品32)が設けられている。そして、これら電子部品13、32を被覆して封止するようにモールド樹脂14が配され、これらがモジュール10として一体化されている。電子部品13やリードフレーム実装部品32は、公知の電子部品として構成されており、例えば、MOSFET、IGBT及びFRD等などが用いられている。また、モジュール10は、一方の側壁部10aが、筺体2におけるいずれかの側壁部とほぼ平行となるように当該いずれかの側壁部と対向して配置されており、他方の側壁部10bが、筐体2における他の側壁部とほぼ平行となるように当該他の側壁部と対向して配置されている。
【0025】
回路基板12は、例えば耐熱性及び耐湿性に優れるセラミック材などによって構成されている。この回路基板12は、リードフレームやボンディングワイヤを介して外部からの電流供給や信号入力、或いは外部に対する信号の出力などが可能となっており、例えば、回路基板12に実装される電子部品13により、ランプ3への電力の供給制御等が行われるようになっている。
【0026】
(ランプ点灯装置の具体的構成)
次に、第1実施形態に係るランプ点灯装置1の具体的構成について詳述する。
図10に示すように、モジュール10には、保持部材4と対向する側の側壁部10aにおいて、他方の側壁部10b側に凹むように部分的に切り欠き部11が形成されている。なお、以下の説明では、側壁部10aと側壁部10bが対向する方向(図3に示す矢印Dの方向)を前後方向とし、上下方向及び前後方向と直交する方向(図3に示す矢印Wの方向)を左右方向として説明する。この切り欠き部11は、モジュール10の側壁部10aにおいて左右方向中央部の位置に形成されており、ランプ3の下方における一部分が、この切り欠き部11の内側に入り込んで配置されている。
【0027】
このようにランプユニットを筐体2に組み付けて小型化を実現しようとする構成において、更に筐体内においてランプ3や保持部材4とモジュール10とを干渉させないようにしており、このような構成を用いない場合に比べ、ランプ3あるいは保持部材4が入り込む分だけ自由なスペースを形成して筐体内の省スペース化を図ることができるため、一層の小型化を実現できる。また、装置を小型化することで、部品数の削減ができ、装置全体としてコストカットを実現できる。なお、保持部材4の少なくとも一部、またはランプ3の少なくとも一部の、少なくともいずれか一方が、モジュール10に形成された切り欠き部11の内側に入り込んで配置されていれば、同様の効果が得られる。
【0028】
また、モジュール10において、切り欠き部11を挟む両側に電子部品(MOSFET、IGBT、FRD等)が配置され、ランプ3の一部分が、電子部品間に介在するように、切り欠き部11の内側に入り込んで配置されている(図示略)。これによって、狭いスペースも使用して部品配置を効率良く行い、モジュール10内のスペースを有効に利用することができ、装置の小型化を実現することができる。また、回路基板12あるいは他の電子部品等と距離を取ることで、回路基板12等からの熱伝導等による影響を受け難くすることができる。なお、保持部材4の少なくとも一部、またはランプ3の少なくとも一部の、少なくともいずれか一方が、電子部品間に介在するように、モジュール10に形成された切り欠き部11の内側に入り込んで配置されていれば、同様の効果が得られる。
【0029】
さらに、切り欠き部11の両側に配置される上記電子部品(MOSFET、IGBT、FRD等)は、動作時に発熱する発熱部品となっている。この構成では、回路基板12及び他の電子部品と距離を取ることができ、発熱部品から回路基板12及び他の電子部品への熱伝導による影響を低減することができる。また、発熱部品はモジュール10の切り欠き部11やモジュール10側面に近接するため、発熱部品が発熱する際には、モジュール10の切り欠き部11やモジュール10側面から熱を逃がし易くなり、放熱性を高めることができる。
【0030】
また、図10に示すように、モジュール10の切り欠き部11は、モジュール10の外側に向かうにつれて切り欠き幅が大きくなるように形成されている。具体的には、切り欠き部11の奥側の部分が幅W1となっており、切り欠き部11の外側の部分が幅W2(W1<W2)となっており、前後方向(矢印Dの方向)において後方の外側となるにつれて切り欠き部11の幅が次第に大きくなるように構成されている。なお、ここでは、左右方向(矢印Wの方向)を幅方向としている。また、前後方向において、側壁部10a側を後方、側壁部10b側を前方としている。このようなモジュール10の切り欠き部11は、2つの面で構成される単純な形状であるため、モジュール10の形成を簡易に行うことができる。また、モジュール10の外側に向かって切り欠き部11が広がる形状であるため、ランプ3あるいは保持部材4が切り欠き部11に入り込みやすい構造になる。また、切り欠き面がモジュール10の外側に向かう形で形成されることで、回路基板12及び電子部品からの熱伝導に対して、放熱性を向上させることができる。なお、図11(B)のように、平面摸式図で、モジュール10の切り欠き部11が半円状であり、モジュール10の外側に向かうにつれて切り欠き幅が大きくなるように形成してもよい。同様に、単純な形状であるため、図11(A)に示す切り欠き部11の形状と同様な効果が得られる。
【0031】
ランプ点灯装置1は、モジュール10の外部からの電源入力信号や点灯指示信号等が入力される入力端子20aと、モジュール10の外部へとこれら信号が出力される出力端子20bとを備えている。また、図1及び図10に示すように、入力端子20a及び出力端子20bは、モジュール10において、切り欠き部11が形成される1つの側壁部10aにまとめて配置されている。これによって、電気エネルギーの供給源であるバスバー50の接続部の省スペース化を図ることができる。入力端子20a及び出力端子20bはバスバー50と接続されるが、モジュール10の2以上の面に両端子が配置されている場合、すべての面においてバスバー50を固定し、あるいは両端子に接続する必要があるため、バスバー50の接続面積が増大してしまう。そのため、入力端子20a及び出力端子20bをモジュール10の側面の片側にまとめて配置することで、バスバー50との接続スペースを削減できる。
【0032】
図10に示すように、入力端子20aは、切り欠き部11を介して分離された側壁部10aの一方側に配置され、出力端子20bは、側壁部10aの一方側に対する他方側に配置されている。これによって、バスバー50の配線距離を短縮することができる。図7〜図9に示すように、筐体2の内部において、モジュール10の上側にバスバー50が配置されており、さらに、バスバー50の上側に入力側関連部品51及び出力側関連部品52が配置されている。
【0033】
入力側関連部品51は、入力側関連部品51近傍に位置する入力端子20aに、出力側関連部部品は、出力端子20b近傍に位置する出力端子20bにそれぞれ接続されている。モジュール10の入力側の端子に接続すべき部品及び出力側に接続すべき部品がある場合に、入力端子20a及び出力端子20bがモジュール10の側壁部10aの上記一方側及び他方側に混在して配置すると、端子と部品間の距離が大きくなるものもあり、結果的にバスバー50の配線距離が長くなってしまう。そのため、部品の配置構成によって、モジュール10の切り欠き部11のある側面を入力側領域と出力側領域に分けて、バスバー50を接続し易いように入力端子20a及び出力端子20bをそれぞれまとめて配置することでバスバー50の配線距離を短縮することができる。
【0034】
入力側関連部品51としては、コンデンサ、トランス及び入力フィルタ等が挙げられる。一方、出力側関連部品52として、ランプ3及びスターター等が挙げられる。それぞれの電子部品の配置箇所に対応して、入力端子20a及び出力端子20bの配置箇所を分けて、接続のし易い箇所にそれぞれの端子をまとめて配置している。
【0035】
また、ランプ点灯装置1は、モジュール10の外部から検査信号が入出力される検査端子を備えている(図示略)。検査端子は、切り欠き部11が形成される側壁部10aに対して反対側の側壁部10aに配置されている。これによって、バスバー50の接続部の省スペース化を図ることができる。検査端子はバスバー50と接続されるが、モジュール10の複数の面に検査端子が配置されている場合、すべての面においてバスバー50を固定したりあるいは両端子に接続したりする必要があるため、バスバー50の接続面積が増大してしまう。そのため、検査端子をモジュール10の側面の片側にまとめて配置することで、バスバー50との接続スペースを削減できる。また、入力端子20a及び出力端子20bの配置される側面とは異なるモジュール10の側面に検査端子を配置することで、配線及び接続部の構成が複雑になることを回避できる。
【0036】
また、図5に示すように、ランプ点灯装置1は、モジュール10内において、第1のリードフレーム30及び第2のリードフレーム31を備えている。第1のリードフレーム30は、回路基板12を上面において接着剤で固定すると共に、筐体2の底壁部の上面に固定されている。第2のリードフレーム31は、回路基板12と電気的に接続されていると共に、電気的に接続される電子部品13を実装している。また、第2のリードフレーム31は、絶縁部材40及び熱伝導部材41を介して筐体2の底壁部の上面に固定されている。ここで、絶縁部材40は、例えば電気絶縁性が高いエポキシ樹脂等が用いられ、熱伝導部材41は、例えば銅箔等が用いられる。
【0037】
また、回路基板12とリードフレーム実装部品32、回路基板12と第2のリードフレーム31は、ワイヤボンディング部15によって電気的に接続されている。これによって、回路基板12及び回路基板12に実装される電子部品13は、第1のリードフレーム30を介して筐体2外部へと熱を放出することができる。一方で、第2のリードフレーム31に実装される電子部品は、第2のリードフレーム31及び熱伝導性の優れた部材を介して筐体2外部へと熱を放出することができる。また、これらは積層の構造であるため、平面方向の省スペース化が図られ、装置全体のコンパクト化に貢献することができる。
【0038】
これら構成部材の寸法として、絶縁樹脂40の厚さが200μm程度、熱伝導樹脂41の厚さが100μm程度、第1のリードフレーム30及び第2のリードフレーム31の厚さが200μm程度、接着剤の厚さが200〜400μm程度である。なお、これらはいずれも回路基板12の板面と直交する方向を厚さ方向とする。
【0039】
(第1実施形態の主な効果)
本実施形態に係るランプ点灯装置1では、保持部材4の少なくとも一部、またはランプ3の少なくとも一部の、少なくともいずれか一方(図1等の例では、ランプ3の一部をなす配線部等)を、モジュール10に形成された切り欠き部11の内側に入り込ませるように配置することができるため、ランプ3あるいは保持部材4と、モジュール10とを極力干渉させずにランプ点灯装置を構成することができる。特に、このような構成を用いない場合に比べ、ランプ3、保持部材4、モジュール10等の構成要素をよりコンパクトにまとめることができ、筺体内の省スペース化を図ることができるため、ランプ点灯装置全体の小型化に寄与することとなる。また、各部品の小型化、或いは部品数の削減等を図りやすくなるため、製造コストを低減し易くなる。なお、図1等の例では、ランプ3の一部を切り欠き部11に入り込ませる構造を例示しているが、切り欠き部11に入り込ませる部分は図1の例に限られるものではなく、ランプ3の他の部分であってもよい。或いは保持部材4を図1等に示す構造とは異なる構造とし、この保持部材4を切り欠き部11の内側に入り込ませるようにしてもよい。要するに、ランプ3のユニット部分のいずれかであれば、切り欠き部11の内側に入り込ませることで省スペース化を図ることができる。
【0040】
また、図1等に示す構成では、モジュール10において、切り欠き部11を挟む両側にそれぞれ電子部品が配置され、保持部材4の少なくとも一部、またはランプ3の少なくとも一部の、少なくともいずれか一方(図1等の例ではランプ3の一部)が、切り欠き部11の両側の電子部品間に介在するように、切り欠き部11の内側に入り込んで配置されている。
この構成によれば、筐体2内において保持部材4或いはランプ3の両側方のスペースを利用してモジュール10内の電子部品をより効率的に配置することができる。また、切り欠き部11の存在により、切り欠き部11の一方側の電子部品から他方側の電子部品に対して熱が伝わり難くなるため、特に切り欠き部11側において局所的な熱の集中を効果的に抑制することができる。
【0041】
また、図1等に示す構成では、切り欠き部11の両側に配される電子部品(領域AR1に配置される電子部品及び領域AR2に配置される電子部品)が、いずれも動作時に発熱する発熱部品(例えば、MOSFET、IGBT、FRDなどの通電によって発熱する部品)とされている。このような発熱部品を所定側にまとめて効率的に配置しようとした場合、これら複数の発熱部品で生じる熱が集中してしまうことが懸念されるが、切り欠き部11の両側に発熱部品を配置する構造とすることで、一方の領域AR1側の発熱部品と他方側の領域AR2側の発熱部品との間で互いに熱が伝達し難くなり、放熱性の面でも有利となる。
【0042】
また、切り欠き部11は、モジュール10の外側に近づくにつれて幅が大きくなるように構成されている。このように構成することで、外側の空隙をより広く確保することができ、ランプ3あるいは保持部材4を切り欠き部11に入り込ませやすくなる。また、外側ほど隙間を大きくすることができるため、外側の熱伝導遮断効果をより高めることができる。
【0043】
また、モジュール10には、当該モジュール10の外部からの信号が入力される複数の入力端子20aと、当該モジュール10の外部へ信号を出力するための複数の出力端子20bとが設けられており、複数の入力端子20a及び複数の出力端子20bは、モジュール10において切り欠き部11が形成される側壁部10a側に寄せて配置されている。
この構成によれば、入力端子20a及び出力端子20bを切り欠き部11が形成される側壁部10a側にまとめて配置することができるため、これら入力端子20aや出力端子20bと接続するための部品(バスバー等)を効率的に配置することができ、これらの接続スペースについても省スペース化を図りやすくなる。
【0044】
また、複数の入力端子20aは、切り欠き部11が形成された側壁部10aの内の切り欠き部11によって分離された一方側寄りに配置され、複数の出力端子20bは、当該側壁部10aの内の切り欠き部11によって分離された他方側寄りに配置されている。
この構成によれば、入力端子20aに接続するための部品(入力端子20a用のバスバー等)を効率的に配置できると共に、出力端子20bに接続するための部品(出力端子20b用のバスバー等)も効率的に配置することができ、接続スペースについて一層の省スペース化を図りやすくなる。
【0045】
また、モジュール10には、当該モジュール10の外部から入力される又は当該モジュール10の外部に出力される所定の検査信号が入力又は出力される複数の検査端子22が設けられており、これら検査端子22は、切り欠き部11が形成される側壁部10aとは反対の側壁部10b寄りに配置されている。
このように、モジュール10の切り欠き部11が形成される側壁部10aに対して反対側の側壁部10bに検査端子22を配置すれば、入出力端子20b側を効率的に構成できることに加え、その反対側についても検査端子22及びその関連部品(検査端子22に関連するバスバー等)を効率的に配置することができ、省スペース化、小型化を図る上で一層有利となる。
【0046】
また、モジュール10には、回路基板12を積層構造で固定すると共に、筺体に固定される第1のリードフレーム30と、ボンディングワイヤを15介して回路基板12に電気的に接続される第2のリーフレーム31と、第2のリードフレーム31に実装されるリードフレーム実装部品32と、が設けられており、第2のリードフレーム31は、当該第2のリードフレーム30に積層構造で固定される絶縁部材40及び熱伝導部材41を介して筺体2に固定されている。
この構成では、回路基板12に実装される電子部品については、第1のリードフレームを介して筺体外部へ熱を放出しやすくなり、第2のリードフレーム31に実装される電子部品については、第2のリードフレーム31、絶縁部材40、及び熱伝導部材41を介して筺体外部へと熱を放出することができる。また、これらは積層の構造であるため、平面方向の省スペース化が図られ、装置全体のコンパクト化に貢献することができる。
【0047】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。図12(A)及び(B)は、本発明の実施形態に係わるランプ点灯装置1において、モジュール10の切り欠き部11の形状を概略的に説明する平面摸式図である。図13(A)及び(B)は、本発明の実施形態に係わるランプ点灯装置1において、モジュール10の切り欠き部11の形状を概略的に説明する平面摸式図である。なお、以下の説明では、上述した実施形態と異なる部分について主に述べ、重複する部分については説明を省略または簡略化する。
【0048】
図12(A)及び(B)に示すように、平面図において、モジュール10の切り欠き部11が四角形状になるように形成されている。これによって、単純な形状なので、形成も簡易に行うことができる。また、切り欠き部11の両側に配置される電子部品間の熱伝導を遮断する構造となっている。さらに、切り欠き部11の表面積が大きく、回路基板12及び電子部品からの熱伝導に対して、放熱性を向上させることができる。
【0049】
また、図13(A)に示すように、平面図において、モジュール10の切り欠き部11が半月状になるように形成されている。なお、図13(B)に示すように、平面図において、モジュール10の切り欠き部11がD字状になるように形成してもよい。これによって、切り欠き部11のスペースが大きいため、ランプ3あるいは保持部材4が切り欠き部11に入り込みやすい構造になる。また、切り欠き部11の両側に配置される電子部品間の熱伝導を遮断する構造となっている。さらに、切り欠き部11の表面積が大きく、回路基板12及び電子部品からの熱伝導に対して、放熱性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0050】
1…ランプ点灯装置
2…筐体
2a…外壁部
2b…カバー部材
2c…ベース部材
2d…開口部
3…ランプ
4…保持部材
10…モジュール
10a…側壁部
11…切り欠き部
12…回路基板
13…電子部品
14…モールド樹脂
15…ワイヤボンディング部
20…端子
20a…入力端子
20b…出力端子
30…第1のリードフレーム
31…第2のリードフレーム
32…リードフレーム実装部品
40…絶縁部材
41…熱伝導部材
50…バスバー
51…入力側関連部品
52…出力側関連部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
ランプを保持すると共に、少なくとも一部が前記筐体の外壁から当該筐体内に入り込むように組み付けられる保持部材と、
電子部品が実装される回路基板と、前記回路基板を覆うモールド樹脂とが一体化されてなり、且つ前記筐体に収容されるモジュールと、
を備え、
前記モジュールは、所定方向を厚さ方向とする構成で板状に構成され、且つ前記保持部材に対向する側の側壁部において部分的に切り欠き部が形成されており、
前記保持部材の少なくとも一部、または前記ランプの少なくとも一部の、少なくともいずれか一方が、前記モジュールに形成された前記切り欠き部の内側に入り込んで配置されていることを特徴とするランプ点灯装置。
【請求項2】
前記モジュールにおいて、前記切り欠き部を挟む両側にそれぞれ電子部品が配置され、
前記保持部材の少なくとも一部、または前記ランプの少なくとも一部の、少なくともいずれか一方が、前記切り欠き部の両側の電子部品間に介在するように、前記切り欠き部の内側に入り込んで配置されていることを特徴とする請求項1に記載のランプ点灯装置。
【請求項3】
前記切り欠き部の両側に配される電子部品は、動作時に発熱する発熱部品であることを特徴とする請求項2に記載のランプ点灯装置。
【請求項4】
前記切り欠き部は、前記モジュールの外側に近づくにつれて幅が大きくなるように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のランプ点灯装置。
【請求項5】
前記モジュールには、当該モジュールの外部からの信号が入力される複数の入力端子と、当該モジュールの外部へ信号を出力するための複数の出力端子とが設けられており、
前記複数の入力端子及び前記複数の出力端子は、前記モジュールにおいて前記切り欠き部が形成される側壁部側に寄せて配置されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のランプ点灯装置。
【請求項6】
前記複数の入力端子は、前記切り欠き部が形成された側壁部の内の前記切り欠き部によって分離された一方側寄りに配置され、前記複数の出力端子は、当該側壁部の内の前記切り欠き部によって分離された他方側寄りに配置されていることを特徴とする請求項5に記載のランプ点灯装置。
【請求項7】
前記モジュールには、当該モジュールの外部から入力される又は当該モジュールの外部に出力される所定の検査信号が入力又は出力される検査端子が設けられており、
前記検査端子は、前記切り欠き部が形成される側壁部とは反対の側壁部寄りに配置されていることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のランプ点灯装置。
【請求項8】
前記モジュールには、
前記回路基板を積層構造で固定すると共に、前記筺体に固定される第1のリードフレームと、
ボンディングワイヤを介して前記回路基板に電気的に接続される第2のリーフレームと、
前記第2のリードフレームに実装されるリードフレーム実装部品と、
が設けられており、
前記第2のリードフレームは、当該第2のリードフレームに積層構造で固定される絶縁部材及び熱伝導部材を介して前記筺体に固定されていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のランプ点灯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−38015(P2013−38015A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175212(P2011−175212)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】