説明

ランプ用バルブの保持構造

【課題】ドア閉じ時の衝撃等でのバルブの緩みを防ぎ、バルブの脱着を容易にし、バルブの光の遮りによる照度低下を防ぎ、照度を高める。
【解決手段】照明用のバルブ7の光を透過するレンズ12と、レンズに設けられたコネクタハウジング13と、コネクタハウジング内に配置される端子4を一端部に有する一対のバスバー2,3とを備え、一対のバスバーの中間部に、バルブの端子部8に接触する接触ばね部5を設け、一対のバスバーの他端部に、先端のバルブ保持溝6aで板幅方向にバルブを挟持するバルブ保持板6を内向きに突出して設けたランプ用バルブの保持構造を採用する。一対のバルブ保持板6をバルブ挿入方向にテーパ状に配置した。バルブ保持板6’に、バルブの光をレンズに向けて反射させるリフレクタ22、27,28を設けた。バルブ保持板6’とリフレクタを接触ばね部5から一体に延長形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の照明機器であるランプ内に発光体であるバルブを導電金属製のバスバーの接触ばね片とバルブ保持板で接続保持させるランプ用バルブの保持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等に搭載するランプ用バルブの保持構造として、種々の形態のものが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、図6に示す如く、自動車ドア用のカーテシランプ41として、透明樹脂製のレンズ42の内面に一体に前後各一対のターミナル固定部43と後部中央の一つのコネクタハウジング44と前側中央の係止爪45とを設け、コネクタハウジング44上に端子部46を設け、左右一対のバスバー状のターミナル47の前後各一対の脚部47aを各固定部43に挿入固定し、各ターミナル47の中間部の左右一対の保持部47bでバルブ48を挟持し、保持部47bの後端側をコネクタハウジング44側の端子46に電気的に接触させ、コネクタハウジング44と端子46とで成るコネクタ内に電源側の不図示のソケットを後方から挿入してバルブ48を点灯可能とし、係止爪45を自動車ドアに係止させてランプ41を固定することが記載されている。
【0004】
なお、上記ランプ41は、カーテシランプ以外にルームランプ等にも適用可能であることが記載されている。明細書で前後左右上下の方向性は説明の便宜上のものであり、例えばランプ41の取付方向と一致するとは限らない(これは発明の実施形態においても同様である)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4129782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のランプ用バルブの保持構造にあっては、一対のバスバー状の横長のターミナル47の中間の保持部47bでバルブ48を保持部板厚方向に挟持して固定するために、ドアの閉じ時の衝撃や車両走行中の振動等によって、保持部47bの挟持力が低下して、バルブ48が緩み兼ねないという懸念があった。
【0007】
また、横長のターミナル47がバルブ48の径方向両側に長く延長されているために、バルブ48の交換(脱着)作業が面倒であると共に、横長のターミナル47がバルブ48の照射光をターミナル板厚方向に遮って、照度低下を起こし兼ねないという懸念があった。
【0008】
本発明は、上記した点に鑑み、ドア閉じ時の衝撃や車両走行中の振動等によってバルブが緩む心配がなく、それに加えて、バルブの脱着を容易に行うことができ、また、バルブの照射光の遮りによる照度低下を防いだり、照度を高めたりすることのできるランプ用バルブの保持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るランプ用バルブの保持構造は、照明用のバルブの光を透過するレンズと、該レンズに設けられたコネクタハウジングと、該コネクタハウジング内に配置される端子を一端部に有する一対のバスバーとを備え、該一対のバスバーの中間部に、該バルブの端子部に接触する接触ばね部が設けられ、該一対のバスバーの他端部に、先端のバルブ保持溝で板幅方向に該バルブを挟持するバルブ保持板が内向きに突出して設けられたことを特徴とする。
【0010】
上記構成により、バルブの一端側の端子部が接触ばね部で弾性的に接触され(一対の接触ばね部で挟持されることが好ましい)、バルブすなわちバルブ本体(硝子球)が一対のバルブ保持板でバルブ保持板板幅方向に挟持固定される。板幅方向とは板厚方向とは直交する方向である。従来はバルブ保持板の幅広の面で板厚方向にバルブを挟持したが、本発明ではバルブ保持板の突出先端のバルブ保持溝の幅狭の端面でバルブを保持板板幅方向に挟持するので、バルブ保持板とバルブとの摩擦抵抗が大きく、バルブ保持板がしっかりとバルブを抜け出しなく保持する。また、バルブ保持板はバルブの中心軸心に略直交して位置するから、ほぼバルブ保持溝の幅狭の端面のみでバルブの光を遮ることになり、照度低下が殆ど起こらない。
【0011】
請求項2に係るランプ用バルブの保持構造は、請求項1記載のランプ用バルブの保持構造において、一対の前記バルブ保持板がバルブ挿入方向にテーパ状に配置されたことを特徴とする。
【0012】
上記構成により、ランプへのバルブの装着時に、バルブが一対のテーパ状のバルブ保持板の傾斜面に沿ってスムーズに案内されて、バルブの端子部が接触ばね部に接続される。バルブは一対のバルブ保持板で調芯されて、接触ばね部に正確に位置決めされる。
【0013】
請求項3に係るランプ用バルブの保持構造は、請求項1又は2記載のランプ用バルブの保持構造において、前記バルブ保持板に、前記バルブの光を前記レンズに向けて反射させるリフレクタが設けられたことを特徴とする。
【0014】
上記構成により、バルブの光がリフレクタ(反射板)に反射して反射光としてバルブの直射光と共にレンズから外部に照射される。これにより、ランプの照度がアップする。リフレクタはバスバーの一部を折り曲げることで、バルブ保持板に一体に形成されることが好ましい。
【0015】
請求項4に係るランプ用バルブの保持構造は、請求項3記載のランプ用バルブの保持構造において、前記バルブ保持板と前記リフレクタが前記接触ばね部から一体に延長形成されたことを特徴とする。
【0016】
上記構成により、バスバーの端子と接触ばね部とバルブ保持板とリフレクタとがバスバー母材である導電金属板から打ち抜き及び曲げ加工で一体に形成されることで、バスバーの製造が容易化し、且つバスバーの歩留まりが向上する。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の発明によれば、バルブを一対のバルブ保持板で保持板板幅方向に挟持することで、バルブとの摩擦抵抗を高めて、例えば自動車ドアのカーテシランプや車室灯として、ドア閉時の衝撃や車両走行中の振動によっても、接触ばね部からのバルブの緩みや抜け出しを確実に防止することができる。また、一対のバルブ保持板がほぼ板厚分の狭い面積でバルブの光を遮るのみであるから、バルブの照射光の照度低下を防ぐことができる。また、バスバーの端部にバルブ保持板を設けて、バスバーの延長上にバルブの光を遮る部分をなくしたことによっても、照度低下を防ぐことができる。また、バスバーの延長上にバルブ着脱作業の邪魔になる部分をなくしたことで、バルブの装着作業やメンテナンスを容易に行うことができる。
【0018】
請求項2記載の発明によれば、一対のテーパ状のバルブ保持板に沿ってバルブをスムーズに挿入して、バルブの組付作業性を高めることができる。
【0019】
請求項3記載の発明によれば、ランプの光をリフレクタで反射してランプの照度を高めることができる。バルブ保持板に一体にリフレクタを設ければ、リフレクタ付きバスバーのコストを低く抑えることができる。
【0020】
請求項4記載の発明によれば、端子と接触ばね部とバルブ保持板とリフレクタとを一体に有するバスバーを容易に歩留まり性良く低コストで形成することができ、ランプのコストを低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るランプ用バルブの保持構造の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】同じくバルブをバスバー間に挿着する状態を示す平面図である。
【図3】同じくバルブとバスバーをレンズ側に装着してレンズを構成する状態を示す正面図である。
【図4】本発明に係るランプ用バルブの保持構造の他の実施形態を示す斜視図である。
【図5】図4の構造におけるリフレクタの形状を変えた変形例を示す要部斜視図である。
【図6】従来のランプ用バルブの保持構造の一形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1〜図3は、本発明に係るランプ用バルブの保持構造の一実施形態を示すものである。
【0023】
図1の如く、このランプ用バルブの保持構造1は、左右一対の導電金属製のバスバー2,3の後端部(基端部ないし一端部)に各端子4を一体に形成し、各バスバー2,3の長手方向中間部に各接触ばね片(接触ばね部)5を一体に形成し、各バスバー2,3の前端部(先端部ないし他端部)に各バルブ保持板(バルブ保持部)6を一体に形成して、バルブ7の後半側(基端側)の端子部8を各接触ばね片5で電気的に接続すると共に、バルブ7の前半側のバルブ本体(符号7で代用する硝子球)を左右一対のバルブ保持板6で矢印Aの如く保持板板幅方向に挟持して固定させたものである。
【0024】
端子4と接触ばね片5とバルブ保持板6とこれらを連結する板部9〜11とで各バスバー2,3が構成されている。各バスバー2,3は左右対称に形成されている。端子4は後部側の板部9よりも幅狭に形成された雄端子である。端子4と接触ばね片5と各板部9〜11とバルブ保持板6との板厚は同じであることが、バスバー2,3の切断・折り曲げ加工上好ましい。バスバー2,3は例えば銅合金等で形成される。
【0025】
端子4は後部側の略L字状の板部9の後端の内向き板部9aに直交して続き、板部9の前端部の上下にそれぞれ短いL字状の支持板部10が突設され、各支持板部10の内向きの水平部10aの前端から湾曲状の接触ばね片5が前向きに突出形成され、上下及び左右の各接触ばね片5は対称に形成され、L字状の板部9の前端からやや外向きに開いた湾曲状の板部11が延長形成され、湾曲状の板部11の前端から内向きに、略半円状のバルブ保持溝6aを先端に有する略矩形状のバルブ保持板6が設けられている。
【0026】
左右の接触ばね片5はバルブ7の左右の+極と−極の端子部(電極)8に弾性的に接触しつつ端子部8を上下に挟持固定させている。左右のバルブ保持板6は、図2にも示す如く、湾曲状の外広がりの板部11の前端から斜め後方に向けて逆ハの字状に傾斜しており、バルブ7に対する挿入ガイドとしても作用する。湾曲状の板部11はバルブ保持板6を図1の矢印A’の如く内向きに付勢するばね部としても作用する。
【0027】
図1において、L字状の板部9と湾曲状の板部11とは前後方向に連続してバスバー本体を成す。左右一対のバルブ保持板6は湾曲状の板部11よりも上下に幅広に形成され、湾曲状の板部11はバルブ保持板6の外端(左端ないし右端)6bの上下方向中央に交差し、バルブ保持板6の内端(右端ないし左端)に、バルブ本体7の外周に隙間なく沿うバルブ保持溝6aが形成されている。
【0028】
バルブ本体7は後端寄りの部分を左右の対称な円弧状のバルブ保持溝6aで上下左右のガタつきなく安定に保持される。バルブ本体7の大部分はバルブ保持板6から前方に露出するので、バルブ保持板6やその後方に続く湾曲状の板部11がバルブ7の照射光を遮る心配はない。特にバルブ保持板6はバルブ本体7にほぼ直交する(バルブ本体7の径方向に突出している)ので、バルブ7の光をバルブ保持板6のほぼ板厚分の小さな面積で遮るのみであり、照度低下の心配はない。
【0029】
左右のバルブ保持板6は少し斜め後方を向いているから、バルブ本体7がバルブ保持溝6aで弾性的に斜め後方に押圧されて、バルブ7の前方への抜け出しが防止される。バルブ7の後半の端子部8はバルブ本体7よりも小径(扁平)に形成されているので、バルブ本体7が接触ばね片5の前端に当接してバルブ7の後方への移動が阻止される。
【0030】
なお、湾曲状の板部11に代えて真直な板部を用いることも可能である。その場合も板部(11)は板厚方向の弾性を有することが好ましい。但し、バルブ7の大きさ(外径)にもよるが、板部11を外開きの湾曲状とすることで、板部11の後端側に続くL字状の板部9や、板部11の後端に短い支持板10を介して続く接触ばね片5の左右方向の肥大化が抑止される。また、上下左右各一対の接触ばね片5に代えて、上側の左右一対の接触ばね片5と、不図示の下側の平坦な接触板とを用いて、接触板と接触ばね片5とでバルブ7の端子部8を上下方向に挟持接続させることも可能である。
【0031】
図2の如く、バルブ7は左右一対のバルブ保持板6の前側の傾斜面6cに沿ってスムーズに挿入案内され、且つバルブ7が一対のバルブ保持溝6aで上下左右にセンタリング(調芯)され、それにより、バルブ7の後部の端子部8が左右の接触ばね片5に正確に位置決めされて確実に電気的接続を行う。
【0032】
一対の傾斜状のバルブ保持板6はバルブ7の挿入時に湾曲状の板部11と共に左右外側に弾性的に少し変位した状態でバルブ本体7を挟持するから、バルブ保持板6が板部11と共に復元しようとする弾性力でバルブ本体7がしっかりと挟持固定される。バルブ保持板6は板部11の前端の屈曲部11aを支点に前後方向に少し揺動可能である。このように、弾性の板部11とそれに続く弾性のバルブ保持板6との協働作用でバルブ7がしっかりと挟持固定される。
【0033】
図3の如く、バスバー2,3の端子4は透光性の樹脂製の水平なレンズ12と一体の絶縁樹脂製のコネクタハウジング13の垂直な底壁(基壁)13cの孔部13aに圧入されて、コネクタハウジング13のコネクタ嵌合室13b内に突出する。端子4に続く後側の板部9の後端面9aはコネクタハウジング13の底壁13cの外面に当接し、後側の板部9と、板部9の上下で前方に延びる接触ばね片5と、接触ばね片5に沿って前方に延びる前側の板部11と、前側の板部11に交差するバルブ保持板6とは(すなわち端子4を除くバスバー部分は)、レンズ12の内面12aに沿って水平に配置される。バルブ7はレンズ12の内面12aに沿って左右一対のバルブ保持板6の間に挿入され、上下左右各一対の接触ばね片5で弾性的に接続される。
【0034】
雄端子4とコネクタハウジング13とでコネクタが構成され、コネクタのコネクタ嵌合室13bに後方から不図示の電源側のコネクタが挿入されて、電源側のコネクタの雌端子に雄端子4が挿入接続される。
【0035】
レンズ12の内面12aには不図示の係止爪が一体に立設されており、係止爪が例えば自動車のドアパネルの小孔に挿入係合されて、レンズ12とコネクタハウジング13とバスバー2,3とバルブ7とで成るランプ(照明器具)14がドアに固定される。あるいは、係止爪が自動車の室内の天井パネルの小孔に挿入係合されて、レンズ12とコネクタハウジング13とバスバー2,3とバルブ7とで成るランプ(照明器具)14が天井パネルに固定される。
【0036】
なお、上記実施形態においては、上下左右に計四つの接触ばね片5を設けたが、例えば、バルブ7の端子部(電極)8が上下一対対称に設けられている場合は、上下一対(計二つ)の接触ばね片5を対称に配置し、一方のバスバー2の接触ばね片5を+極の端子部8に接触させ、他方のバスバー3の接触ばね片5を−極の端子部8に接触させる。
【0037】
また、バルブ7の端子部8が上下ではなく前後に設けられている場合は、前側の周上の−極の端子部(電極)を一方のバスバー2の上下の接触ばね片5で挟持し、後端の+極の端子部(電極)を他方のバスバー3の不図示の垂直な接触板に突き当てて接触させる。これらの構成は後述の各実施形態においても適用可能である。
【0038】
また、バルブ7の挿入ガイド性を無視すれば、一対のバルブ保持板6を傾斜状(テーパ状)ではなくバルブ7の中心軸線に対して垂直に配置することも可能であり、この方が、バルブ7の光を板厚方向に遮る面積が減少して、バルブ7の照度低下が一層抑止される。発光体であるバルブ7はフィラメント式に限らずLEDを内蔵したもの等を用いることも可能である。
【0039】
上記実施形態によれば、一対のバルブ保持板6の幅広の面6cではなく側端の幅狭の面6aでバルブ本体7を径方向に強い押接力でしっかりと挟持することで、接触ばね片5からのバルブ7の不意な緩みや抜け出しを防止することができる。また、一対の傾斜状のバルブ保持板6に沿ってバルブ7をスライド式にスムーズに挿入することができ、しかもバルブ保持板6の前方には従来のようなバルブ7の着脱作業性を阻害する(作業者の手指が干渉する)ようなバスバー延長部が存在しないから、バルブ7の組付作業性を高めることができる。
【0040】
また、バルブ保持板6はその板幅をバルブ7の径方向に位置させ、バルブ7の照射光を遮る面積がバルブ保持板6の板厚にほぼ等しく非常に小さいから、バルブ7の照度低下を防止することができる。これは、バルブ保持板6の前方にバスバー延長部が存在しないことによっても奏功される。バルブ保持板6はバルブ7の光を前方に反射するリフレクタとしても作用する。
【0041】
また、一対のバルブ保持板6でバルブ7を径方向に挟持することで、バルブ(特にバルブ本体)7のガタつきを防止することができ、且つ一対の傾斜状のバルブ保持板6でバルブ7を調芯することで、接触ばね片5とバルブ7の端子部8との電気的接続の信頼性を高めることができる。また、バルブ本体7の側面(外周面)に汚れや異物が付着している場合は、バルブ7を一対のバルブ保持板6の間に挿入する際に、バルブ保持溝6aの周端との摩擦で汚れや異物が除去されるから、バルブ7の寿命低下を防ぐことができる。これらの効果は後述の各実施形態においても同様に奏される。
【0042】
図4は、本発明に係るランプ用バルブの保持構造の他の実施形態を示すものである。
【0043】
このランプ用バルブの保持構造21は、上記図1の実施形態の構成に加えて、左右一対のバルブ保持板6’にリフレクタ(反射板)22を一体に設けたことを特徴としている。図4の実施形態で各バルブ保持板6’は図1のバルブ保持板6のようにテーパ状に傾斜しておらず、バルブ7の中心軸線に直角に配置されている。これら以外の構成は図1の実施形態と同様であるので、同様の構成部分には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0044】
リフレクタ22はバルブ保持板6’の上端に直交して前向きに延びており、リフレクタ22の前端22aはバルブ7の前端(先端)と略同位置ないしそれよりも前方に位置していることが好ましい。リフレクタ22の前方への突出長さはバルブ保持板6’の上下長さと略同程度である。リフレクタ22の左右方向幅はバルブ保持板6’の左右方向幅と同じである。リフレクタ22の外端(左端又は右端)22bはバルブ本体7の外周よりも外側(左側又は右側)に張り出している。
【0045】
各リフレクタ22の内面22cはバルブ本体7の右半又は左半の外面に対向している(左側のリフレクタ22はバルブ本体7の左半に対向し、右側のリフレクタ22はバルブ本体7の右半に対向し、リフレクタ22とバルブ本体7との間には隙間23が位置している。一対のリフレクタ22の間にも隙間24があるが、隙間24をなくすべく、リフレクタ22の左右方向幅をバルブ保持板6’の幅よりも内向きに延長することも可能である。
【0046】
リフレクタ22の内面22cは図3の例のレンズ12の内面12aに対向している。レンズ12の内側にバルブ7が位置し、バルブ7の内側にリフレクタ22が位置し、リフレクタ22の内側に自動車のドアパネルないし天井パネル等が位置する。リフレクタ22を含むバスバー2’,3’は光反射性の良い銅合金等で形成することが好ましい。リフレクタ22のみを反射性のよい部材で形成することも可能である。
【0047】
バルブ7の上向きの照射光がリフレクタ22の内面22cに反射して(反射光を符号25で示す)、バルブ7の下向きの直射光26と共にレンズ12(図3)から外部に照射される。バルブ7の直射光26に加えてリフレクタ22からの反射光25によってランプ(図3の符号14)の照度が増加する。図4で、符号6a’は、バルブ保持板6の円弧状のバルブ保持溝、11は前側のばね性の板部、5は中間の接触ばね片、9は後端側の端子4に続く固定側の板部、2’,3’は全体としての一対のバスバーをそれぞれ示している。ランプとは図3におけるような全構成すなわち照明機器を言う。
【0048】
図5は、図4のリフレクタ22の一変形例を示すものであり、一方のバスバー2”のバルブ保持板6’に後向きのリフレクタ(反射板)28を一体に設け、他方のバスバー3”のバルブ保持板6’に前向きのリフレクタ(反射板)27を一体に設けている。
【0049】
前後の各リフレクタ27,28は左右一対のバルブ保持板6’の全幅に渡って左右方向に延長され、前側のリフレクタ27の延長端27aは一方のバルブ保持板6’の外端6b’とほぼ同一垂直面に位置し、後側のリフレクタ28の延長端28aは他方のバルブ保持板6’の外端6b’とほぼ同一垂直面に位置している。
【0050】
バルブ保持板6’に直交して続く板部11’は図4の実施形態の板部11よりも幅広に且つ真直に形成され、バルブ保持溝6a’は図4におけるよりも小さく形成されている。それら以外の構成は図4の実施形態と同様であるので図示を省略する。
【0051】
一方(右側)の垂直なバルブ保持板6’の上端から前方にリフレクタ27が水平に屈曲延長され、リフレクタ27は他方(左側)のバルブ保持板6’の前方にかけて左側に延長されている(左側の延長部分を符号27bで示す)。それと前後回転対称に、他方(左側)の垂直なバルブ保持板6’の上端から後方にリフレクタ28が水平に屈曲延長され、リフレクタ28は一方(右側)のバルブ保持板6’の後方にかけて右側に延長されている(右側の延長部分を符号28bで示す)。前後の各リフレクタ27,28は同一水平面上に位置している。各リフレクタ27,28の側方延長部27b,28bと各バルブ保持板6’の上端との間には僅かな隙間29が位置している。
【0052】
図5の実施形態によれば、バルブ保持溝6a’の後方に突出したバルブ本体7(図4参照)の後端部ないし後半部からの上向きの照射光が後方のリフレクタ28の内面28cに反射してレンズ12(図3参照)から外部に照射され、バルブ保持溝6a’の前方に突出したバルブ本体7の大部分ないし前半部からの上向きの照射光が前側のリフレクタ27の内面27cに反射してレンズ12から外部に照射される。バルブ7の直射光とリフレクタ27,28の反射光とでランプの照度が増加する。
【0053】
なお、図4の例のようにバルブ7の前側のみにリフレクタ22を設ける場合は、図5の後側のリフレクタ28は削除して前側のリフレクタ27のみとすることも可能である。また、図4の例で、一対のバルブ保持板6’を図1の例のようにテーパ状に傾斜させる場合は、左右のリフレクタ22の前部内端同士の干渉を防ぐために、リフレクタ22の形状を略台形状とする。同様に図5の例で、一対のバルブ保持板6’をテーパ状に傾斜させる場合は、前後のリフレクタ27,28を相互干渉のない形状とする。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明に係るランプ用バルブの保持構造は、自動車ドアに装着するカーテシランプや自動車の室内灯等として、ドア閉時の衝撃や車両走行中の振動等によるバルブの緩み等を防ぎ、しかもバルブをランプに作業性良く着脱し、加えてバルブの照度の低下防止や照度アップを図るために利用することができる。
【符号の説明】
【0055】
2,3,2’,3’ バスバー
4 端子
6a,6a’ バルブ保持溝
6,6’ バルブ保持板
7 バルブ
8 端子部
5 接触ばね部
12 レンズ
13 コネクタハウジング
22,27,28 リフレクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明用のバルブの光を透過するレンズと、該レンズに設けられたコネクタハウジングと、該コネクタハウジング内に配置される端子を一端部に有する一対のバスバーとを備え、該一対のバスバーの中間部に、該バルブの端子部に接触する接触ばね部が設けられ、該一対のバスバーの他端部に、先端のバルブ保持溝で板幅方向に該バルブを挟持するバルブ保持板が内向きに突出して設けられたことを特徴とするランプ用バルブの保持構造。
【請求項2】
一対の前記バルブ保持板がバルブ挿入方向にテーパ状に配置されたことを特徴とする請求項1記載のランプ用バルブの保持構造。
【請求項3】
前記バルブ保持板に、前記バルブの光を前記レンズに向けて反射させるリフレクタが設けられたことを特徴とする請求項1又は2記載のランプ用バルブの保持構造。
【請求項4】
前記バルブ保持板と前記リフレクタが前記接触ばね部から一体に延長形成されたことを特徴とする請求項3記載のランプ用バルブの保持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−129006(P2012−129006A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277888(P2010−277888)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】