ランプ用電流導入端子部材及びランプ
【課題】ランプの電流導入用の封止部に用いる傾斜機能材料の伸縮による影響を緩和し、信頼性の高いランプ用電流導入端子部材及びランプを提供することを目的とする。
【解決手段】導電性を有する第1端部と、前記第1端部よりも導電性の低い第2端部と、を有する第1の傾斜機能材料と、導電性を有する第1端部と、前記第1端部よりも導電性の低い第2端部と、を有する第2の傾斜機能材料と、前記第1の傾斜機能材料の前記第1端部と、前記第2の傾斜機能材料の前記第1端部と、を電気的に導通させつつ、前記第1の傾斜機能材料の前記第1端部と前記第2の傾斜機能材料の前記第1端部との間隙の変化を許容する接続部と、を備えたことを特徴とするランプ用電流導入端子部材が提供される。
【解決手段】導電性を有する第1端部と、前記第1端部よりも導電性の低い第2端部と、を有する第1の傾斜機能材料と、導電性を有する第1端部と、前記第1端部よりも導電性の低い第2端部と、を有する第2の傾斜機能材料と、前記第1の傾斜機能材料の前記第1端部と、前記第2の傾斜機能材料の前記第1端部と、を電気的に導通させつつ、前記第1の傾斜機能材料の前記第1端部と前記第2の傾斜機能材料の前記第1端部との間隙の変化を許容する接続部と、を備えたことを特徴とするランプ用電流導入端子部材が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、傾斜機能材料を用いたランプ用電流導入端子部材及びランプに関する。
【背景技術】
【0002】
メタルハライドランプ等の高輝度放電灯は、SiO2や透光性セラミックス等からなる発光管内にアマルガム、金属ハロゲン化物、キセノン等の発光物質を封入し、発光管に設けられた開口を電極付きの封止部材で閉塞したものである。
【0003】
この封止部材であるランプ用電流導入端子部材には、発光管内に配置される電極(内部電極)との導通性を確保するほか、発光管の開口を確実に密閉して発光管内を所定の圧力に保つための密閉特性が要求される。
【0004】
このような観点から、特許文献1では傾斜機能材料を用いたランプ用電流導入端子部材が開示されている。このランプ用電流導入端子部材は、2本の傾斜機能材料を用い、これらの導電部が対向するように配置して導電性のペーストで接合している。この2本の傾斜機能材料は、発光管の開口に取り付けられた導入管の内部に挿入され、2本の傾斜機能材料の両端側の非導電部と導入管とが溶着される。これにより、上記導通性及び密閉特性を発揮できるほか、傾斜機能材料の導電部を導入管内に密閉でき導電部の酸化防止を図ることができる。
【0005】
しかしながら、傾斜機能材料の両端部を導入管内で溶着する場合、例えば温度によって傾斜機能材料が伸縮すると、その伸縮による応力が傾斜機能材料や導入管に加わる。すなわち、熱膨張係数の違いによって、傾斜機能材料の伸縮量と導入管の伸縮量とに差が発生し、この差が応力として傾斜機能材料や導入管に加わることになる。この応力を吸収しきれないと、傾斜機能材料や導入管にクラック等の不具合を発生させ、ランプの信頼性を低下させる原因になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−308175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、ランプの電流導入用の封止部に用いる傾斜機能材料の伸縮による影響を緩和し、信頼性の高いランプ用電流導入端子部材及びランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、導電性を有する第1端部と、前記第1端部よりも導電性の低い第2端部と、を有する、第1の傾斜機能材料と、導電性を有する第1端部と、前記第1端部よりも導電性の低い第2端部と、を有する第2の傾斜機能材料と、前記第1の傾斜機能材料の前記第1端部と、前記第2の傾斜機能材料の前記第1端部と、を電気的に導通させつつ、前記第1の傾斜機能材料の前記第1端部と前記第2の傾斜機能材料の前記第1端部との間隙の変化を許容する接続部と、を備えたことを特徴とするランプ用電流導入端子部材である。
【0009】
このランプ用電流導入端子部材によれば、接続部によって第1及び第2の傾斜機能材料の第1端部の間隙の変化を吸収することができ、傾斜機能材料の伸縮による傾斜機能材料及びランプの封止部のクラック等の不具合を抑制することができる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、前記第1の傾斜機能材料の前記第1端部と、前記第2の傾斜機能材料の前記第1端部と、は、直接固定されていないことを特徴とするランプ用電流導入端子部材である。
【0011】
このランプ用電流導入端子部材によれば、傾斜機能材料が膨張しても複数の傾斜機能材料どうしの接触が発生しない。
【0012】
第3の発明は、第1の発明において、前記第1の傾斜機能材料の前記第1端部と、前記第2の傾斜機能材料の前記第1端部と、は、接触していないことを特徴特徴とするランプ用電流導入端子部材である。
【0013】
このランプ用電流導入端子部材によれば、傾斜機能材料が膨張しても第1及び第2の傾斜機能材料どうしの接触が発生しない。
【0014】
第4の発明は、第1〜第3のいずれか1つの発明において、前記接続部は、前記第1及び第2の傾斜機能部の前記第1端部の少なくともいずれかと嵌合しており、前記間隙の変化を前記嵌合した部分の滑りによって許容することを特徴とするランプ用電流導入端子部材である。
【0015】
このランプ用電流導入端子部材によれば、傾斜機能材料が伸縮しても第1及び第2の傾斜機能材料のあいだの電気的導通を保持しつつ、傾斜機能材料と接続部とのあいだの滑りによって傾斜機能材料の伸縮による応力を緩和することができる。
【0016】
第5の発明は、第4の発明において、前記接続部は、円筒状部分を有することを特徴とするランプ用電流導入端子部材である。
【0017】
このランプ用電流導入端子部材によれば、簡単な形状によって傾斜機能材料と接続部とのあいだの滑りを実現することができる。
【0018】
第6の発明は、第5の発明において、前記円筒状部分の内周と、前記第1及び第2の傾斜機能材料の前記第1端部の前記少なくともいずれかの外周と、が接触したことを特徴とするランプ用電流導入端子部材である。
【0019】
このランプ用電流導入端子部材によれば、簡単な形状によって傾斜機能材料と接続部とのあいだの滑りを実現できるとともに、傾斜機能材料と接続部との電気的導通も保持することができる。
【0020】
第7の発明は、第6の発明において、前記円筒状部分は、径方向に弾力が付与されてなることを特徴とするランプ用電流導入端子部材である。
【0021】
このランプ用電流導入端子部材によれば、円筒状部分の径方向における傾斜機能材料の伸縮による応力を吸収して、傾斜機能材料のクラック等の不具合を抑制することができる。
【0022】
第8の発明は、第7の発明において、前記円筒状部分は、スリットを有することを特徴とするランプ用電流導入端子部材である。
【0023】
このランプ用電流導入端子部材によれば、円筒状部分の径方向における傾斜機能材料の伸縮による応力を吸収して、傾斜機能材料のクラック等の不具合を抑制することができる。さらに、接続部を傾斜機能材料に取り付けた際にスリットが拡がることで、傾斜機能材料と接続部との電気的な接触を確実にすることができる。
【0024】
第9の発明は、第5〜第8のいずれか1つの発明において、前記嵌合が解除された状態において、前記円筒状部分の少なくとも一部の内径は、前記第1及び第2の傾斜機能材料の前記第1端部の前記少なくともいずれかの少なくとも一部の外径よりも小さいことを特徴とするランプ用電流導入端子部材である。
【0025】
このランプ用電流導入端子部材によれば、傾斜機能材料と接続部との電気的な接触を確実にすることができる。
【0026】
第10の発明は、第5〜第9のいずれか1つの発明において、前記第1端部は、縮径部をその先端に有し、前記接続部は、前記縮径部に接続されたことを特徴とするランプ用電流導入端子部材である。
【0027】
このランプ用電流導入端子部材によれば、径の増加が抑制され、ランプの封止管への挿入を容易に行うことができるようになる。
【0028】
第11の発明は、第10の発明において、前記接続部と、前記縮径部の付け根の段差部と、のあいだに隙間が設けられたことを特徴とするランプ用電流導入端子部材である。
【0029】
このランプ用電流導入端子部材によれば、傾斜機能材料が膨張した場合の逃げを設けることができ、傾斜機能材料の膨張によるクラック等の不具合を抑制することができる。
【0030】
第12の発明は、第10または第11の発明において、前記接続部の最大外径は、前記第1及び第2の傾斜機能材料の最大外径以下であることを特徴とする記載のランプ用電流導入端子部材である。
【0031】
このランプ用電流導入端子部材によれば、ランプ用電流導入端子部材の径が第1及び第2の傾斜機能材料の最大外径よりも大きくならず、封止管への挿入が容易になる。
【0032】
第13の発明は、第5〜第12のいずれか1つの発明において、前記接続部の材料は、前記第1及び第2の傾斜機能材料の前記第1端部に含まれる材料と同じであることを特徴とするランプ用電流導入端子部材である。
【0033】
このランプ用電流導入端子部材によれば、第1端部と接続部とのあいだの伸縮差による応力の発生を低減でき、傾斜機能材料の径方向の伸縮によるクラック等の不具合の発生を抑制できる。
【0034】
第14の発明は、第1〜第3のいずれか1つの発明において、前記接続部は、前記第1の傾斜機能材料の前記第1端部と前記第2の傾斜機能材料の前記第1端部とをむすぶ方向に沿って伸縮可能とされたことを特徴とするランプ用電流導入端子部材である。
【0035】
このランプ用電流導入端子部材によれば、接続部によって傾斜機能材料の伸縮による応力を吸収することができ、傾斜機能材料の伸縮による傾斜機能材料及びランプの封止部のクラック等の不具合を抑制することができる。
【0036】
第15の発明は、第14の発明において、前記接続部は、可撓性を有することを特徴とするランプ用電流導入端子部材である。
【0037】
このランプ用電流導入端子部材によれば、可撓性を有する接続部によって傾斜機能材料の伸縮による応力を吸収するとともに、傾斜機能材料と接続部とのあいだの電気的導通を確保することができる。
【0038】
第16の発明は、第15の発明において、前記接続部は、スプリング部を有することを特徴とするランプ用電流導入端子部材である。
【0039】
このランプ用電流導入端子部材によれば、接続部のスプリング部によって傾斜機能材料の伸縮による応力を吸収するとともに、複数の傾斜機能材料の軸のずれが発生しても、両者間の電気的導通を確保できる。
【0040】
第17の発明は、第16の発明において、前記スプリング部の最大外径は、前記第1及び第2の傾斜機能材料の最大外径以下であることを特徴とするランプ用電流導入端子部材である。
【0041】
このランプ用電流導入端子部材によれば、ランプ用電流導入端子部材の径が第1及び第2の傾斜機能材料の最大外径よりも大きくならず、封止管への挿入が容易になる。
【0042】
第18の発明は、第16または第17の発明において、前記スプリング部の両側に設けられた前記接続部の端部は、前記第1及び第2の傾斜機能材料の前記第1端部にそれぞれ固定されてなることを特徴とするランプ用電流導入端子部材である。
【0043】
このランプ用電流導入端子部材によれば、第1及び第2の傾斜機能材料とスプリング部との直接接合によって傾斜機能材料と接続部との電気的導通を確保できる。
【0044】
第19の発明は、第1の発明において、前記接続部は、前記第1及び第2の傾斜機能材料の前記第1端部の少なくともいずれかと嵌合した嵌合部と、前記嵌合部に接続されたスプリング部と、を有することを特徴とするランプ用電流導入端子部材である。
【0045】
このランプ用電流導入端子部材によれば、嵌合によってスプリング部と傾斜機能材料とを容易に接続することができ、傾斜機能材料と接続部との電気的導通も確保できるようになる。
【0046】
第20の発明は、第19の発明において、前記スプリング部が、前記嵌合部に溶接されたことを特徴とするランプ用電流導入端子部材である。
【0047】
このランプ用電流導入端子部材によれば、傾斜機能材料は嵌合部と容易に接続され、スプリング部は嵌合部に確実に接続される。これにより、傾斜機能材料と接続部との電気的導通を確保できる。
【0048】
第21の発明は、第16〜第20のいずれか1つの発明において、前記スプリング部の材料が、前記傾斜機能材料の前記第1端部に含まれる材料と同じであることを特徴とするランプ用電流導入端子部材である。
【0049】
このランプ用電流導入端子部材によれば、傾斜機能材料と接続部とのあいだの伸縮差による応力の発生を低減できる。
【0050】
第22の発明は、発光管と、発光管に接続された封止管と、前記封止管に挿入された第1〜第21のいずれか1つの発明のランプ用電流導入端子部材と、を備え、前記ランプ用電流導入端子部材の前記第2端部が、前記封止管と溶着されたことを特徴とするランプである。
【0051】
このランプによれば、接続部によって傾斜機能材料の伸縮による応力を吸収することができ、傾斜機能材料の伸縮による傾斜機能材料及びランプの封止部でのクラック等の不具合を抑制することができる。これにより、封止管とランプ用電流導入端子部材の第2端部との溶着の信頼性及び発光管内部の電極とランプ用電流導入端子部材との電気的導通の信頼性を向上でき、ランプの寿命低下を防止することができる。
【発明の効果】
【0052】
本発明の態様によれば、ランプの電流導入用の封止部に用いる傾斜機能材料の伸縮による影響を緩和することで、信頼性の高いランプ用電流導入端子部材及びランプが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本実施形態に係るランプ用電流導入端子部材が適用されるランプの構成を例示する模式的断面図である。
【図2】本実施形態に係るランプ用電流導入端子部材の構成を例示する模式図である。
【図3】スリットを備えた接続部を例示する模式図である。
【図4】縮径部を有する傾斜機能材料を例示する模式的断面図である。
【図5】棒状の接続部を例示する模式的断面図である。
【図6】スプリング部を有する接続部を例示する模式的断面図である。
【図7】他の接続部を例示する模式的断面図である。
【図8】傾斜機能材料の製造方法を例示する模式図である。
【図9】他の傾斜機能材料を例示する模式図である。
【図10】参考例に係るランプ用電流導入端子部材が適用されたランプの構成を例示する模式的断面図である。
【図11】シミュレーション計算に用いたモデルを例示する模式図である。
【図12】傾斜機能材料における伸び長さのシミュレーション結果を例示する図である。
【図13】封止管における伸び長さのシミュレーション結果を例示する図である。
【図14】参考例と本実施形態との比較を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0055】
図1は、本実施形態に係るランプ用電流導入端子部材が適用されるランプの構成を例示する模式的断面図である。
図2は、本実施形態に係るランプ用電流導入端子部材の構成を例示する模式図である。
本実施形態に係るランプ用電流導入端子部材110は、第1の傾斜機能材料10(1)と、第2の傾斜機能材料10(2)と、接続部13と、を備える。第1の傾斜機能材料10(1)の第1端部10aと、第2の傾斜機能材料10(2)の第1端部10aと、は、接続部13によって接続されている。接続部13は、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)の対向する第1端部10aを電気的に導通させる。また、接続部13は、第1の傾斜機能材料10(1)の第1端部10aと、第2の傾斜機能材料10(2)の第1端部10aと、の間隙の変化を許容する役目を果たす。
ここで、本実施形態において、2つの傾斜機能材料を分けて示す場合には第1の傾斜機能材料10(1)及び第2の傾斜機能材料10(2)と表示し、総称して示す場合には傾斜機能材料10と表示する。
【0056】
ここで、本実施形態に係るランプ用電流導入端子部材110が適用されるランプ210について説明する。
図1(a)はランプの全体を例示する模式的断面図、図1(b)はランプが適用される光源装置を例示する模式的断面図である。
図1(a)に表したように、ランプ210は、発光管211と、その両側に接続された封止管213と、を有する。封止管213の内部には、封止管213と溶着されたランプ用電流導入端子部材110が挿入されている。
【0057】
発光管211は、SiO2や透光性セラミックス等によって中空の内部空間211aを有する球体状に形成されている。封止管213は、発光管211の内部空間211aと連通するように発光管211の両側に接続されている。封止管213の材料は、発光管211の材料と同じであることが望ましい。図1に表した例では、発光管211を中心に、2つの封止管213が対向して設けられている。
【0058】
発光管211の内部空間211aには、水銀、アマルガム、金属ハロゲン化物、キセノン等の発光物質が封入される。すなわち、内部空間211aに発光物質を入れた状態で封止管213内に本実施形態に係るランプ用電流導入端子部材110を挿入し、封止管213と溶着することによって、発光物質を内部空間211aに密封することができる。
【0059】
ランプ用電流導入端子部材110の内部空間211a側の端から内部空間211aには電極線217が延出している。一方の封止管213に挿入されたランプ用電流導入端子部材110の電極線217には内部電極215aが設けられ、他方の封止管213に挿入されたランプ用電流導入端子部材110の電極線217には内部電極215bが設けられている。これらの内部電極215a及び215bは、発光管211の内部空間211aに設けられる2極になる。
【0060】
ランプ用電流導入端子部材110の内部空間211a側とは反対側の端には電極線219が延出している。電極線219は、傾斜機能材料10を介して電極線217と導通している。これにより、ランプ210の外部から2つのランプ用電流導入端子部材110のそれぞれの電極線219に電圧を印加することによって、内部電極215a及び215bのあいだに所定の電圧が印加され、内部空間211aに封入された発光物質の発光が行われる。
【0061】
図1(b)に表したように、光源装置310には、ランプ210に電流を供給する安定器313が設けられている。ランプ210は、必要に応じて設けられた例えば凹型の反射鏡311の内側に配置される。ランプ210から延出する電極線219は、配線315に接続され、この配線315が安定器313と接続されている。したがって、安定器313から供給される電流は、配線315を介して2つの電極線219に送られ、ここからランプ210の内部電極215a及び215bに送られる。これにより、内部電極215a及び215bのあいだに所定の電圧が印加されることになる。
【0062】
次に、本実施形態に係るランプ用電流導入端子部材110を図2に基づき説明する。
図2(a)は、本実施形態に係るランプ用電流導入端子部材を例示する模式的断面図、図2(b)は、接続部の模式的斜視図である。
図2(a)に表したように、本実施形態に係るランプ用電流導入端子部材110は、第1の傾斜機能材料10(1)と、第2の傾斜機能材料10(2)と、これらを接続する接続部13と、を備える。
【0063】
傾斜機能材料10は、導電性を有する第1端部10aと、第1端部10aに比べて導電性の低い第2端部10bと、を有する。傾斜機能材料10は、第1端部10aと第2端部10bとのあいだで機能が漸次的に変化する材料である。本実施形態のランプ用電流導入端子部材110で適用される傾斜機能材料10では、第1端部10aから第2端部10bに向けて導電性が漸減する。また、傾斜機能材料10では、第1端部10aの熱膨張係数に比べて第2端部10bの熱膨張係数の方が封止管213の熱膨張係数に近い。
【0064】
ランプ210の内部空間211a側に配置される第1の傾斜機能材料10(1)には、電極線217が挿入され、内部空間211aとは反対側に配置される第2の傾斜機能材料10(2)には、電極線219が挿入される。電極線217は、第2端部10bから第1端部10aまで達しない途中まで挿入される。また、電極線219は、第2端部10bから第1端部10aまで達しない途中まで挿入される。したがって、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び(2)が接続部13で接続されても、電極線217と219は、直接接触しない。しかしながら、傾斜機能材料10の第1端部10a側は高い導電性を有しているため、電極線217及び219は、それぞれ第1端部10aと電気的に導通することになる。
【0065】
図2(b)に表したように、接続部13は、円筒状部分13aを有している。接続部13には、導電性を有する材料(例えば、Moを含む金属)が用いられる。なお、接続部13の材料として、第1端部10aの材料に含まれる材料と同じ材料を用いるようにしてもよい。これにより、第1端部10aと接続部13とのあいだの伸縮差による応力の発生を低減でき、傾斜機能材料10の径方向の伸縮によるクラック等の不具合の発生を効果的に抑制することができる。
【0066】
円筒状部分13aの内径と、第1端部10aの外径と、はほぼ等しく設けられ、円筒状部分13aの内側に、第1端部10aの外側が挿入される。すなわち、嵌合が解除された状態において、円筒状部分13aの少なくとも一部の内径は、第1及び第2の傾斜機能材料の10(1)及び10(2)の少なくともいずれかの少なくとも一部の外径よりも小さい。第1及び第2の傾斜機能材料10は、接続部13の円筒状部分13aの両側から嵌合によって接続され、これにより、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)は、接続部13によってほぼ同軸上に接続されることになる。
【0067】
接続部13は、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)のそれぞれの第1端部10aのあいだを電気的に導通させる。すなわち、接続部13と第1端部10aとの嵌合によって、接続部13の円筒状部分13aの内周と、第1端部10aの外周とが接触する。これにより、一方側の傾斜機能材料10の電極線217と、他方側の傾斜機能材料10の電極線219とが、電気的に導通する状態になる。
【0068】
また、接続部13は、第1の傾斜機能材料10(1)の第1端部10aと、第2の傾斜機能材料10(2)の第1端部10aと、の間隙の変化を許容する。例えば、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び(2)の第1端部10aの少なくともいずれかと接続部13とが嵌合によって接続されることで、両者間の滑りによって傾斜機能材料10の伸縮による応力を吸収することができる。ここで、ランプ用電流導入端子部材110の両端に設けられる第2端部10bは、それぞれ封止管213の内壁と溶着される。したがって、ランプ用電流導入端子部材110と封止管213との熱膨張係数の差によって両者間に伸縮の差が発生した場合、この差を接続部13によって吸収することになる。
【0069】
図2(a)に表したように、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)のそれぞれの第1端部10aは、分離している。つまり、それぞれの第1端部10aは直接固定されていないことから、ランプ用電流導入端子部材110に圧縮応力や引っ張り応力が加わった場合、それぞれの第1端部10aが独立して移動できることになる。接続部13は、それぞれの第1端部10aを接続しつつ、それぞれの第1端部10aの独立した移動を許容することで、ランプ用電流導入端子部材110に加わる圧縮及び引っ張り応力を吸収することになる。
【0070】
図2(a)に表したランプ用電流導入端子部材110では、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)の対向する第1端部10aは接触しておらず、あいだに隙間が設けられている。このような隙間が設けられていることで、傾斜機能材料10の伸縮に起因する圧縮及び引っ張り応力を吸収して、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)の接触を防止することができる。
【0071】
なお、ランプ用電流導入端子部材110に加わる引っ張り応力のみを吸収すればよい場合には、対向する第1端部10aが当接していてもよい。また、接続部13として円筒状部分13aを有する例を示しているが、円筒以外の筒状部分を有していてもよい。
【0072】
また、第1端部10aの縁にはC面取りやR面取りが施されていてもよい。また、第1端部10aが球状や半球状になっていてもよい。このような面取りや球状等が形成されることで、第1端部10aに筒状の接続部13を挿入しやすくなる。さらに、第1端部10aにR面取りや球状等が形成されることで、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)に軸ずれが発生しても、この軸ずれを吸収して、第1端部10aと接続部13との確実な接触を確保することができる。
【0073】
図3は、スリットを備えた接続部を例示する模式図である。
図3(a)は、本実施形態に係るランプ用電流導入端子部材を例示する模式的断面図、図3(b)は、接続部の模式的斜視図である。
図3(a)及び(b)に表したように、この接続部13は、円筒状部分13aにスリット13bを有している。スリット13bは、円筒状部分13aの一部を分離する。図3に表したスリット13bでは、軸方向(筒の延びる方向)の全体にわたりスリット13bが設けられているが、軸方向の一部にスリット13bが設けられていてもよい。また、スリット13bは軸方向に限定されず、軸に対して斜めに設けられていたり、軸周りに螺旋状に設けられていてもよい。
【0074】
このようなスリット13bを有する接続部13では、円筒状部分13aの径方向(軸方向と垂直な方向)に弾力が付与される。これにより、径方向における傾斜機能材料10の伸縮による応力を吸収して、傾斜機能材料10や封止部(封止管213と第2端部10bとの溶着部分)のクラック等の不具合を抑制することができるようになる。
【0075】
また、接続部13を傾斜機能材料10の第1端部10aに取り付けた際にスリット13bが拡がり、円筒状部分13aの弾性力によって接続部13と第1端部10aとの確実な接触及び電気的導通を得ることができる。
【0076】
図4は、縮径部を有する傾斜機能材料を例示する模式的断面図である。
図4(a)に表したように、このランプ用電流導入端子部材110における傾斜機能材料10には、第1端部10aに縮径部101が設けられている。接続部13は、この縮径部101に接続されている。
【0077】
縮径部101の径は、傾斜機能材料10の径よりも小さい。これにより、筒状の接続部13によって第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)を接続する場合に、ランプ用電流導入端子部材110の径の増加を抑制することができる。例えば、傾斜機能材料10の径と縮径部101の径との差を、接続部13の肉厚の2倍以上にすると、接続部13の最大外径を傾斜機能材料10の最大外径以下にすることができる。これにより、ランプ用電流導入端子部材110を封止管213内に挿入する際の作業性が向上する。
【0078】
また、接続部13を縮径部101に接続した際、縮径部101の付け根の段差部と、接続部13とのあいだに隙間d1及びd2を設けるようにしてもよい。この隙間d1及びd2は、傾斜機能材料10が膨張した場合の逃げとなり、傾斜機能材料10の膨張によるクラック等の不具合を抑制することができる。
【0079】
なお、図4(b)に表したように、接続部13には、円筒状部分13aにスリット13bが設けられたものを用いてもよい。また、縮径部101の縁にC面取りやR面取りを設けてもよい。また、縮径部101の先端側を球状や半球状にしてもよい。これにより、縮径部101を接続部13に挿入しやすくなる。また、R面取りや球状等に形成することで、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)に軸ずれが発生しても、この軸ずれを吸収して、第1端部10aと接続部13との確実な接触を確保することができる。
【0080】
図5は、棒状の接続部を例示する模式的断面図である。
図5(a)は、円柱型の接続部を例示する模式的断面図、図5(b)は、図5(a)に表したA−A’線の模式的断面図である。
図5(c)は、角柱型の接続部を例示する模式的断面図、図5(d)は、図5(c)に表したB−B’線の模式的断面図である。
【0081】
傾斜機能材料10の第1端部10aには、棒状の接続部15及び16が挿入可能な凹部103及び104が設けられている。すなわち、図5(a)に表した傾斜機能材料10では、円柱型の接続部15が挿入可能な円柱型の凹部103が設けられ、図5(c)に表した傾斜機能材料10では、角柱型の接続部16が挿入可能な角柱型の凹部104が形成されている。
【0082】
図5(a)に表した例では、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)の第1端部10aを対向させた状態で両方の凹部103に接続部15が挿入される。また、図5(c)に表した例では、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)の第1端部10aを対向させた状態で両方の凹部104に接続部16が挿入される。
【0083】
接続部15及び16と、凹部103及び104と、は、嵌合によって接続される。この際、接続部15及び16の挿入深さよりも凹部103及び104の深さを深くしておくことで、傾斜機能材料10の伸縮が発生した際、接続部15及び16と、凹部103及び104とのあいだの滑りによってその伸縮による応力を吸収することができる。
【0084】
図6は、スプリング部を有する接続部を例示する模式的断面図である。
図6(a)に表した接続部17は、傾斜機能材料10の第1端部10aと第2端部10bとをむすぶ方向(軸方向)に沿って伸縮するように構成されている。例えば、接続部17は、スプリング部17aを有している。このスプリング部17aの伸び縮みによって接続部17が軸方向に伸縮する。
【0085】
スプリング部17aの端部は、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)のそれぞれの第1端部10aに直接接続されている。直接接続としては、例えば、圧入、溶接が挙げられる。このようなスプリング部17aを有する接続部17によって第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)を接続することにより、接続部17によって傾斜機能材料10の伸縮による応力を吸収することができ、傾斜機能材料10の伸縮による傾斜機能材料10及び封止部のクラック等の不具合を抑制することができる。
【0086】
また、スプリング部17aの材料として、第1端部10aの材料に含まれる材料と同じ材料を用いるようにしてもよい。これにより、第1端部10aとスプリング部17aとのあいだの伸縮差による応力の発生を低減でき、傾斜機能材料10の径方向の伸縮によるクラック等の不具合の発生を効果的に抑制することができる。
【0087】
図6(b)に表した接続部17では、スプリング部17aの径φ2が、傾斜機能材料10の径φ1以下になっている。これにより、ランプ用電流導入端子部材110を封止管213内に挿入する際の作業性が向上する。
【0088】
なお、接続部17としては、スプリング部17a以外でも可撓性を有する部分を有していてもよい。これにより、スプリング部17aと同様に可撓性によって傾斜機能材料10の伸縮による応力を吸収することができる。
【0089】
図7は、他の接続部を例示する模式的断面図である。
図7(a)〜(d)では、それぞれ他の接続部の構成を例示している。いずれの接続部20にも、第1端部10aと嵌合される嵌合部21を有している。嵌合部21は、円筒状部分21aを有する。円筒状部分21aには、スリット21bが設けられていてもよい。
【0090】
図7(a)〜(d)に例示した傾斜機能材料10の第1端部10aには、縮径部101が設けられている。嵌合部21は、この縮径部101に挿入される。なお、ここでは第1端部10aに縮径部101が設けられているが、縮径部101がなく第1端部10aに嵌合部21が挿入されていてもよい。
【0091】
図7(a)に表した接続部20は、嵌合部21にスプリング部25が取り付けられている。すなわち、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)のそれぞれの縮径部101に挿入された嵌合部21のあいだにスプリング部25が設けられている。スプリング部25は、嵌合部21に挿入固定されていても、溶接等によって直接接続されていてもよい。
【0092】
図7(b)に表した接続部20は、嵌合部21に板バネ部26が取り付けられている。すなわち、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)のそれぞれの縮径部101に挿入された嵌合部21のあいだに板バネ部26が設けられている。板バネ部26は、嵌合部21に挿入固定されていても、溶接等によって直接接続されていてもよい。
【0093】
図7(c)に表した接続部20は、嵌合部21に蛇腹部27が取り付けられている。すなわち、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)のそれぞれの縮径部101に挿入された嵌合部21のあいだに蛇腹部27が設けられている。蛇腹部27は、嵌合部21に挿入固定されていても、溶接等によって直接接続されていてもよい。
【0094】
図7(d)に表した接続部20は、嵌合部21に導電性部材28が取り付けられている。導電性部材28としては、例えば金属の導線、金属箔が用いられる。導電性部材28は、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)のそれぞれの縮径部101に挿入された嵌合部21のあいだに、わずかな弛みを持たせて設けられている。導電性部材28は、嵌合部21に挿入固定されていても、溶接等によって直接接続されていてもよい。
【0095】
図7(a)〜(d)に表したいずれの接続部20であっても、傾斜機能材料10の少なくとも軸方向の伸縮による応力を吸収することができ、傾斜機能材料10の伸縮による傾斜機能材料10及び封止部のクラック等の不具合を抑制することができる。また、スプリング部25、板バネ部26、蛇腹部27及び導電性部材28といった上記応力の吸収作用を有する部分を、嵌合部21を介して容易に縮径部101または第1端部10aに取り付けることができるようになる。
【0096】
ここで、傾斜機能材料10の製造方法の一例について説明する。
図8は、傾斜機能材料の製造方法を例示する模式図である。
先ず図8(a)に表したように、石膏型500の上にアクリル管502を立設し、このアクリル管502内にSiO2とMoとの混合スラリーを流し込む。すると、SiO2とMoとの比重差によって傾斜機能材料10が鋳込み成形される。ここで、混合スラリーの調合割合は、例えば、SiO2を10(グラム)g以上30g以下、Moを10g以上30g以下、純水を15g以上45g以下とする。ただし、SiO2は石英を基準としており、アモルファスを用いる場合には上記の分量を2.2/2.6倍にする。
【0097】
そして、図8(b)に表したように、所定の厚さに形成したのち、脱型し、例えば40℃以上50℃以下で約2日間乾燥し、生加工した後、例えば1100℃以上1250℃以下で約1時間仮焼し、仮焼体に電極挿入孔等を穿設した後、例えば1740℃で約10分間本焼して、図8(c)に表したような傾斜機能材料10を得る。
【0098】
上記の製造方法によって形成される傾斜機能材料10は、第1端部10aと第2端部10bとのあいだで機能が自然変化する。すなわち、この傾斜機能材料10は、第1端部10aから第2端部10bに向けてSiO2に対するMoの組成比が連続的に減少する。
【0099】
図9は、他の傾斜機能材料を例示する模式図である。
すなわち、図9に例示した傾斜機能材料10は、複数のシート状材料150が積層された構成を有する。図9に例示した傾斜機能材料10では、n(nは2以上の整数)層のシート状材料150(1)、150(2)、…、150(n)が積層されている。各シート状材料150(1)、150(2)、…、150(n)は、シート状材料ごとに導電材料(例えば、Mo)と絶縁材料(例えば、SiO2)との存在比率が順に変化している。
【0100】
この傾斜機能材料10では、第2端部10bから第1端部10aに向けてシート状材料150(1)、150(2)、…、150(n)の順に導電材料の存在比率が増加する。これにより、図9に表した傾斜機能材料10では、第2端部10bから第1端部10aに向けて導電材料の存在比率が段階的に増加する。
【0101】
本実施形態に係るランプ用電流導入端子部材110では、図8(c)及び図9のいずれに表した傾斜機能材料10であっても適用可能である。
【0102】
次に、ランプ用電流導入端子部材の熱膨張による伸びについて説明する。
図10は、参考例に係るランプ用電流導入端子部材が適用されたランプの構成を例示する模式的断面図である。
【0103】
このランプ290には、参考例に係るランプ用電流導入端子部材190が用いられている。ランプ用電流導入端子部材190においては、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)の第1端部10aが、導電性のペースト(SiO2とMoとの混合ペースト)によって接合されている。すなわち、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)のそれぞれの第1端部10aを対向させて両者間を導電性のペーストによって接合している。接合された第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)の両側の第2端部10bは、それぞれ封止管213に溶着されている。
【0104】
ここで、接合された第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)の第2端部10bが封止管213に接続された状態での熱膨張による伸びの長さのシミュレーション計算を例示する。
図11は、シミュレーション計算に用いたモデルを例示する模式図である。
ここでは、一例として長さ27mm、直径4mmの傾斜機能材料10を2つ接合し、両端の第2端部10bを、直径8mmの石英製の封止管213の内壁に溶着した状態をモデルとしている。
そして、各傾斜機能材料10及び封止管213を長さ方向に10分割し、それぞれ分割した領域に第1端部10aから第2端部10bに向けてA〜Jの符号を付している。
【0105】
図12は、傾斜機能材料における伸び長さのシミュレーション結果を例示する図である。
図12では、図11に表した各傾斜機能材料10のJ〜A、A〜Jの領域に対応した熱膨張係数、初期長さ、温度及び伸び長さのシミュレーション結果を示している。なお、ここで傾斜機能材料10の自由膨張ひずみは、ε=1.03×10−3である。
図12に表したように、2本の傾斜機能材料10を接合した一端が1000℃、他端が300℃であった場合、2本の傾斜機能材料10の合計の伸び長さは、54.0576mmになる。
【0106】
図13は、封止管における伸び長さのシミュレーション結果を例示する図である。
図13では、図11に表した封止管213のJ〜A、A〜Jの領域の位置に対応した熱膨張係数、初期長さ、温度及び伸び長さのシミュレーション結果を示している。なお、ここで封止管213の自由膨張ひずみは、ε=3.78×10−4である。
図13に表したように、封止管213の一端が1000℃、他端が300℃であった場合、封止管213の全体の伸び長さは、54.0211mmになる。
【0107】
図12及び図13のシミュレーション結果より、接合された第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)の合計の伸び長さの方が、封止管213の全体の伸び長さよりも36.5マイクロメートル(μm)長いことが分かる。また、自由膨張ひずみも、1桁の差がある。これにより、接合された第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)に圧縮の応力が働き、封止管213との溶着部分に引っ張り応力が作用することになる。したがって、この引っ張り応力によって傾斜機能材料10と封止管213との溶着部分にクラック等の不具合が発生する可能性が伺える。
【0108】
図14は、参考例と本実施形態との比較を例示する図である。
図14では、参考例に係るランプ用電流導入端子部材190を用いたランプ290と、本実施形態に係るランプ用電流導入端子部材110を用いたランプ210と、のそれぞれについて発光管または封止管のクラック及び点灯状況を比較した結果を示している。
なお、本実施形態に係るランプ用電流導入端子部材110では、図3に例示したスリット13bを有する接続部13を用い、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)を接続している。また、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)のそれぞれの第1端部10aのあいだに1mmの隙間を設けている。
【0109】
参考例を用いたランプ290を10本作成し、それぞれにランプA01〜A10を付している。また、本実施形態を用いたランプ210を10本作成し、それぞれにランプB01〜B10を付している。それぞれのランプA01〜A10及びB01〜B10について、10分間の点灯と、5分間の消灯と、を繰り返す0N/OFF試験を40時間実施した。図14では、この試験後のそれぞれのランプA01〜A10及びB01〜B10について、クラックの有り/無し、点灯/不点灯、の状態を示している。
【0110】
この試験結果より、参考例を用いたランプ290では、10本中7本にクラックが発生して不点灯になった。一方、本実施形態を用いたランプ210では、10本全てにおいてクラックは発生せず、10本全てにおいて点灯可能な状態を維持した。
【0111】
このように、本実施形態に係るランプ用電流導入端子部材110を用いることで、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)の伸縮による応力を接続部13で吸収できていることが分かる。このため、伸縮による応力を傾斜機能材料10や封止管213等が受けずに済み、クラック等の不具合の発生を抑制することが可能になる。
【0112】
以上説明したように、本実施形態によれば、ランプ用電流導入端子部材110に用いる傾斜機能材料10の伸縮による影響を緩和し、信頼性の高いランプ用電流導入端子部材110及びランプ210を提供することができるようになる。
【0113】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、上記実施形態では、接続部13で接続した第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)として同じ特性のものを用いたが、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)として異なる特性のものを用いてもよい。また、上記実施形態では、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)を接続部13によって接続する例を説明したが、3つ以上の傾斜機能材料10を接続部13によって接続してもよい。また、ランプ用電流導入端子部材110及びランプ210が備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0114】
10…傾斜機能材料、10a…第1端部、10b…第2端部、13,15,16,17,20…接続部、13a,21a…円筒状部分、13b,21b…スリット、17a,25…スプリング部、21…嵌合部、26…板バネ部、27…蛇腹部、28…導電性部材、101…縮径部、103,104…凹部、110,190…ランプ用電流導入端子部材、150…シート状材料、210,290…ランプ、211…発光管、211a…内部空間、213…封止管、215a,215b…内部電極、217,219…電極線、310…光源装置、311…反射鏡、313…安定器、315…配線、500…石膏型、502…アクリル管
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、傾斜機能材料を用いたランプ用電流導入端子部材及びランプに関する。
【背景技術】
【0002】
メタルハライドランプ等の高輝度放電灯は、SiO2や透光性セラミックス等からなる発光管内にアマルガム、金属ハロゲン化物、キセノン等の発光物質を封入し、発光管に設けられた開口を電極付きの封止部材で閉塞したものである。
【0003】
この封止部材であるランプ用電流導入端子部材には、発光管内に配置される電極(内部電極)との導通性を確保するほか、発光管の開口を確実に密閉して発光管内を所定の圧力に保つための密閉特性が要求される。
【0004】
このような観点から、特許文献1では傾斜機能材料を用いたランプ用電流導入端子部材が開示されている。このランプ用電流導入端子部材は、2本の傾斜機能材料を用い、これらの導電部が対向するように配置して導電性のペーストで接合している。この2本の傾斜機能材料は、発光管の開口に取り付けられた導入管の内部に挿入され、2本の傾斜機能材料の両端側の非導電部と導入管とが溶着される。これにより、上記導通性及び密閉特性を発揮できるほか、傾斜機能材料の導電部を導入管内に密閉でき導電部の酸化防止を図ることができる。
【0005】
しかしながら、傾斜機能材料の両端部を導入管内で溶着する場合、例えば温度によって傾斜機能材料が伸縮すると、その伸縮による応力が傾斜機能材料や導入管に加わる。すなわち、熱膨張係数の違いによって、傾斜機能材料の伸縮量と導入管の伸縮量とに差が発生し、この差が応力として傾斜機能材料や導入管に加わることになる。この応力を吸収しきれないと、傾斜機能材料や導入管にクラック等の不具合を発生させ、ランプの信頼性を低下させる原因になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−308175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、ランプの電流導入用の封止部に用いる傾斜機能材料の伸縮による影響を緩和し、信頼性の高いランプ用電流導入端子部材及びランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、導電性を有する第1端部と、前記第1端部よりも導電性の低い第2端部と、を有する、第1の傾斜機能材料と、導電性を有する第1端部と、前記第1端部よりも導電性の低い第2端部と、を有する第2の傾斜機能材料と、前記第1の傾斜機能材料の前記第1端部と、前記第2の傾斜機能材料の前記第1端部と、を電気的に導通させつつ、前記第1の傾斜機能材料の前記第1端部と前記第2の傾斜機能材料の前記第1端部との間隙の変化を許容する接続部と、を備えたことを特徴とするランプ用電流導入端子部材である。
【0009】
このランプ用電流導入端子部材によれば、接続部によって第1及び第2の傾斜機能材料の第1端部の間隙の変化を吸収することができ、傾斜機能材料の伸縮による傾斜機能材料及びランプの封止部のクラック等の不具合を抑制することができる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、前記第1の傾斜機能材料の前記第1端部と、前記第2の傾斜機能材料の前記第1端部と、は、直接固定されていないことを特徴とするランプ用電流導入端子部材である。
【0011】
このランプ用電流導入端子部材によれば、傾斜機能材料が膨張しても複数の傾斜機能材料どうしの接触が発生しない。
【0012】
第3の発明は、第1の発明において、前記第1の傾斜機能材料の前記第1端部と、前記第2の傾斜機能材料の前記第1端部と、は、接触していないことを特徴特徴とするランプ用電流導入端子部材である。
【0013】
このランプ用電流導入端子部材によれば、傾斜機能材料が膨張しても第1及び第2の傾斜機能材料どうしの接触が発生しない。
【0014】
第4の発明は、第1〜第3のいずれか1つの発明において、前記接続部は、前記第1及び第2の傾斜機能部の前記第1端部の少なくともいずれかと嵌合しており、前記間隙の変化を前記嵌合した部分の滑りによって許容することを特徴とするランプ用電流導入端子部材である。
【0015】
このランプ用電流導入端子部材によれば、傾斜機能材料が伸縮しても第1及び第2の傾斜機能材料のあいだの電気的導通を保持しつつ、傾斜機能材料と接続部とのあいだの滑りによって傾斜機能材料の伸縮による応力を緩和することができる。
【0016】
第5の発明は、第4の発明において、前記接続部は、円筒状部分を有することを特徴とするランプ用電流導入端子部材である。
【0017】
このランプ用電流導入端子部材によれば、簡単な形状によって傾斜機能材料と接続部とのあいだの滑りを実現することができる。
【0018】
第6の発明は、第5の発明において、前記円筒状部分の内周と、前記第1及び第2の傾斜機能材料の前記第1端部の前記少なくともいずれかの外周と、が接触したことを特徴とするランプ用電流導入端子部材である。
【0019】
このランプ用電流導入端子部材によれば、簡単な形状によって傾斜機能材料と接続部とのあいだの滑りを実現できるとともに、傾斜機能材料と接続部との電気的導通も保持することができる。
【0020】
第7の発明は、第6の発明において、前記円筒状部分は、径方向に弾力が付与されてなることを特徴とするランプ用電流導入端子部材である。
【0021】
このランプ用電流導入端子部材によれば、円筒状部分の径方向における傾斜機能材料の伸縮による応力を吸収して、傾斜機能材料のクラック等の不具合を抑制することができる。
【0022】
第8の発明は、第7の発明において、前記円筒状部分は、スリットを有することを特徴とするランプ用電流導入端子部材である。
【0023】
このランプ用電流導入端子部材によれば、円筒状部分の径方向における傾斜機能材料の伸縮による応力を吸収して、傾斜機能材料のクラック等の不具合を抑制することができる。さらに、接続部を傾斜機能材料に取り付けた際にスリットが拡がることで、傾斜機能材料と接続部との電気的な接触を確実にすることができる。
【0024】
第9の発明は、第5〜第8のいずれか1つの発明において、前記嵌合が解除された状態において、前記円筒状部分の少なくとも一部の内径は、前記第1及び第2の傾斜機能材料の前記第1端部の前記少なくともいずれかの少なくとも一部の外径よりも小さいことを特徴とするランプ用電流導入端子部材である。
【0025】
このランプ用電流導入端子部材によれば、傾斜機能材料と接続部との電気的な接触を確実にすることができる。
【0026】
第10の発明は、第5〜第9のいずれか1つの発明において、前記第1端部は、縮径部をその先端に有し、前記接続部は、前記縮径部に接続されたことを特徴とするランプ用電流導入端子部材である。
【0027】
このランプ用電流導入端子部材によれば、径の増加が抑制され、ランプの封止管への挿入を容易に行うことができるようになる。
【0028】
第11の発明は、第10の発明において、前記接続部と、前記縮径部の付け根の段差部と、のあいだに隙間が設けられたことを特徴とするランプ用電流導入端子部材である。
【0029】
このランプ用電流導入端子部材によれば、傾斜機能材料が膨張した場合の逃げを設けることができ、傾斜機能材料の膨張によるクラック等の不具合を抑制することができる。
【0030】
第12の発明は、第10または第11の発明において、前記接続部の最大外径は、前記第1及び第2の傾斜機能材料の最大外径以下であることを特徴とする記載のランプ用電流導入端子部材である。
【0031】
このランプ用電流導入端子部材によれば、ランプ用電流導入端子部材の径が第1及び第2の傾斜機能材料の最大外径よりも大きくならず、封止管への挿入が容易になる。
【0032】
第13の発明は、第5〜第12のいずれか1つの発明において、前記接続部の材料は、前記第1及び第2の傾斜機能材料の前記第1端部に含まれる材料と同じであることを特徴とするランプ用電流導入端子部材である。
【0033】
このランプ用電流導入端子部材によれば、第1端部と接続部とのあいだの伸縮差による応力の発生を低減でき、傾斜機能材料の径方向の伸縮によるクラック等の不具合の発生を抑制できる。
【0034】
第14の発明は、第1〜第3のいずれか1つの発明において、前記接続部は、前記第1の傾斜機能材料の前記第1端部と前記第2の傾斜機能材料の前記第1端部とをむすぶ方向に沿って伸縮可能とされたことを特徴とするランプ用電流導入端子部材である。
【0035】
このランプ用電流導入端子部材によれば、接続部によって傾斜機能材料の伸縮による応力を吸収することができ、傾斜機能材料の伸縮による傾斜機能材料及びランプの封止部のクラック等の不具合を抑制することができる。
【0036】
第15の発明は、第14の発明において、前記接続部は、可撓性を有することを特徴とするランプ用電流導入端子部材である。
【0037】
このランプ用電流導入端子部材によれば、可撓性を有する接続部によって傾斜機能材料の伸縮による応力を吸収するとともに、傾斜機能材料と接続部とのあいだの電気的導通を確保することができる。
【0038】
第16の発明は、第15の発明において、前記接続部は、スプリング部を有することを特徴とするランプ用電流導入端子部材である。
【0039】
このランプ用電流導入端子部材によれば、接続部のスプリング部によって傾斜機能材料の伸縮による応力を吸収するとともに、複数の傾斜機能材料の軸のずれが発生しても、両者間の電気的導通を確保できる。
【0040】
第17の発明は、第16の発明において、前記スプリング部の最大外径は、前記第1及び第2の傾斜機能材料の最大外径以下であることを特徴とするランプ用電流導入端子部材である。
【0041】
このランプ用電流導入端子部材によれば、ランプ用電流導入端子部材の径が第1及び第2の傾斜機能材料の最大外径よりも大きくならず、封止管への挿入が容易になる。
【0042】
第18の発明は、第16または第17の発明において、前記スプリング部の両側に設けられた前記接続部の端部は、前記第1及び第2の傾斜機能材料の前記第1端部にそれぞれ固定されてなることを特徴とするランプ用電流導入端子部材である。
【0043】
このランプ用電流導入端子部材によれば、第1及び第2の傾斜機能材料とスプリング部との直接接合によって傾斜機能材料と接続部との電気的導通を確保できる。
【0044】
第19の発明は、第1の発明において、前記接続部は、前記第1及び第2の傾斜機能材料の前記第1端部の少なくともいずれかと嵌合した嵌合部と、前記嵌合部に接続されたスプリング部と、を有することを特徴とするランプ用電流導入端子部材である。
【0045】
このランプ用電流導入端子部材によれば、嵌合によってスプリング部と傾斜機能材料とを容易に接続することができ、傾斜機能材料と接続部との電気的導通も確保できるようになる。
【0046】
第20の発明は、第19の発明において、前記スプリング部が、前記嵌合部に溶接されたことを特徴とするランプ用電流導入端子部材である。
【0047】
このランプ用電流導入端子部材によれば、傾斜機能材料は嵌合部と容易に接続され、スプリング部は嵌合部に確実に接続される。これにより、傾斜機能材料と接続部との電気的導通を確保できる。
【0048】
第21の発明は、第16〜第20のいずれか1つの発明において、前記スプリング部の材料が、前記傾斜機能材料の前記第1端部に含まれる材料と同じであることを特徴とするランプ用電流導入端子部材である。
【0049】
このランプ用電流導入端子部材によれば、傾斜機能材料と接続部とのあいだの伸縮差による応力の発生を低減できる。
【0050】
第22の発明は、発光管と、発光管に接続された封止管と、前記封止管に挿入された第1〜第21のいずれか1つの発明のランプ用電流導入端子部材と、を備え、前記ランプ用電流導入端子部材の前記第2端部が、前記封止管と溶着されたことを特徴とするランプである。
【0051】
このランプによれば、接続部によって傾斜機能材料の伸縮による応力を吸収することができ、傾斜機能材料の伸縮による傾斜機能材料及びランプの封止部でのクラック等の不具合を抑制することができる。これにより、封止管とランプ用電流導入端子部材の第2端部との溶着の信頼性及び発光管内部の電極とランプ用電流導入端子部材との電気的導通の信頼性を向上でき、ランプの寿命低下を防止することができる。
【発明の効果】
【0052】
本発明の態様によれば、ランプの電流導入用の封止部に用いる傾斜機能材料の伸縮による影響を緩和することで、信頼性の高いランプ用電流導入端子部材及びランプが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本実施形態に係るランプ用電流導入端子部材が適用されるランプの構成を例示する模式的断面図である。
【図2】本実施形態に係るランプ用電流導入端子部材の構成を例示する模式図である。
【図3】スリットを備えた接続部を例示する模式図である。
【図4】縮径部を有する傾斜機能材料を例示する模式的断面図である。
【図5】棒状の接続部を例示する模式的断面図である。
【図6】スプリング部を有する接続部を例示する模式的断面図である。
【図7】他の接続部を例示する模式的断面図である。
【図8】傾斜機能材料の製造方法を例示する模式図である。
【図9】他の傾斜機能材料を例示する模式図である。
【図10】参考例に係るランプ用電流導入端子部材が適用されたランプの構成を例示する模式的断面図である。
【図11】シミュレーション計算に用いたモデルを例示する模式図である。
【図12】傾斜機能材料における伸び長さのシミュレーション結果を例示する図である。
【図13】封止管における伸び長さのシミュレーション結果を例示する図である。
【図14】参考例と本実施形態との比較を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0055】
図1は、本実施形態に係るランプ用電流導入端子部材が適用されるランプの構成を例示する模式的断面図である。
図2は、本実施形態に係るランプ用電流導入端子部材の構成を例示する模式図である。
本実施形態に係るランプ用電流導入端子部材110は、第1の傾斜機能材料10(1)と、第2の傾斜機能材料10(2)と、接続部13と、を備える。第1の傾斜機能材料10(1)の第1端部10aと、第2の傾斜機能材料10(2)の第1端部10aと、は、接続部13によって接続されている。接続部13は、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)の対向する第1端部10aを電気的に導通させる。また、接続部13は、第1の傾斜機能材料10(1)の第1端部10aと、第2の傾斜機能材料10(2)の第1端部10aと、の間隙の変化を許容する役目を果たす。
ここで、本実施形態において、2つの傾斜機能材料を分けて示す場合には第1の傾斜機能材料10(1)及び第2の傾斜機能材料10(2)と表示し、総称して示す場合には傾斜機能材料10と表示する。
【0056】
ここで、本実施形態に係るランプ用電流導入端子部材110が適用されるランプ210について説明する。
図1(a)はランプの全体を例示する模式的断面図、図1(b)はランプが適用される光源装置を例示する模式的断面図である。
図1(a)に表したように、ランプ210は、発光管211と、その両側に接続された封止管213と、を有する。封止管213の内部には、封止管213と溶着されたランプ用電流導入端子部材110が挿入されている。
【0057】
発光管211は、SiO2や透光性セラミックス等によって中空の内部空間211aを有する球体状に形成されている。封止管213は、発光管211の内部空間211aと連通するように発光管211の両側に接続されている。封止管213の材料は、発光管211の材料と同じであることが望ましい。図1に表した例では、発光管211を中心に、2つの封止管213が対向して設けられている。
【0058】
発光管211の内部空間211aには、水銀、アマルガム、金属ハロゲン化物、キセノン等の発光物質が封入される。すなわち、内部空間211aに発光物質を入れた状態で封止管213内に本実施形態に係るランプ用電流導入端子部材110を挿入し、封止管213と溶着することによって、発光物質を内部空間211aに密封することができる。
【0059】
ランプ用電流導入端子部材110の内部空間211a側の端から内部空間211aには電極線217が延出している。一方の封止管213に挿入されたランプ用電流導入端子部材110の電極線217には内部電極215aが設けられ、他方の封止管213に挿入されたランプ用電流導入端子部材110の電極線217には内部電極215bが設けられている。これらの内部電極215a及び215bは、発光管211の内部空間211aに設けられる2極になる。
【0060】
ランプ用電流導入端子部材110の内部空間211a側とは反対側の端には電極線219が延出している。電極線219は、傾斜機能材料10を介して電極線217と導通している。これにより、ランプ210の外部から2つのランプ用電流導入端子部材110のそれぞれの電極線219に電圧を印加することによって、内部電極215a及び215bのあいだに所定の電圧が印加され、内部空間211aに封入された発光物質の発光が行われる。
【0061】
図1(b)に表したように、光源装置310には、ランプ210に電流を供給する安定器313が設けられている。ランプ210は、必要に応じて設けられた例えば凹型の反射鏡311の内側に配置される。ランプ210から延出する電極線219は、配線315に接続され、この配線315が安定器313と接続されている。したがって、安定器313から供給される電流は、配線315を介して2つの電極線219に送られ、ここからランプ210の内部電極215a及び215bに送られる。これにより、内部電極215a及び215bのあいだに所定の電圧が印加されることになる。
【0062】
次に、本実施形態に係るランプ用電流導入端子部材110を図2に基づき説明する。
図2(a)は、本実施形態に係るランプ用電流導入端子部材を例示する模式的断面図、図2(b)は、接続部の模式的斜視図である。
図2(a)に表したように、本実施形態に係るランプ用電流導入端子部材110は、第1の傾斜機能材料10(1)と、第2の傾斜機能材料10(2)と、これらを接続する接続部13と、を備える。
【0063】
傾斜機能材料10は、導電性を有する第1端部10aと、第1端部10aに比べて導電性の低い第2端部10bと、を有する。傾斜機能材料10は、第1端部10aと第2端部10bとのあいだで機能が漸次的に変化する材料である。本実施形態のランプ用電流導入端子部材110で適用される傾斜機能材料10では、第1端部10aから第2端部10bに向けて導電性が漸減する。また、傾斜機能材料10では、第1端部10aの熱膨張係数に比べて第2端部10bの熱膨張係数の方が封止管213の熱膨張係数に近い。
【0064】
ランプ210の内部空間211a側に配置される第1の傾斜機能材料10(1)には、電極線217が挿入され、内部空間211aとは反対側に配置される第2の傾斜機能材料10(2)には、電極線219が挿入される。電極線217は、第2端部10bから第1端部10aまで達しない途中まで挿入される。また、電極線219は、第2端部10bから第1端部10aまで達しない途中まで挿入される。したがって、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び(2)が接続部13で接続されても、電極線217と219は、直接接触しない。しかしながら、傾斜機能材料10の第1端部10a側は高い導電性を有しているため、電極線217及び219は、それぞれ第1端部10aと電気的に導通することになる。
【0065】
図2(b)に表したように、接続部13は、円筒状部分13aを有している。接続部13には、導電性を有する材料(例えば、Moを含む金属)が用いられる。なお、接続部13の材料として、第1端部10aの材料に含まれる材料と同じ材料を用いるようにしてもよい。これにより、第1端部10aと接続部13とのあいだの伸縮差による応力の発生を低減でき、傾斜機能材料10の径方向の伸縮によるクラック等の不具合の発生を効果的に抑制することができる。
【0066】
円筒状部分13aの内径と、第1端部10aの外径と、はほぼ等しく設けられ、円筒状部分13aの内側に、第1端部10aの外側が挿入される。すなわち、嵌合が解除された状態において、円筒状部分13aの少なくとも一部の内径は、第1及び第2の傾斜機能材料の10(1)及び10(2)の少なくともいずれかの少なくとも一部の外径よりも小さい。第1及び第2の傾斜機能材料10は、接続部13の円筒状部分13aの両側から嵌合によって接続され、これにより、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)は、接続部13によってほぼ同軸上に接続されることになる。
【0067】
接続部13は、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)のそれぞれの第1端部10aのあいだを電気的に導通させる。すなわち、接続部13と第1端部10aとの嵌合によって、接続部13の円筒状部分13aの内周と、第1端部10aの外周とが接触する。これにより、一方側の傾斜機能材料10の電極線217と、他方側の傾斜機能材料10の電極線219とが、電気的に導通する状態になる。
【0068】
また、接続部13は、第1の傾斜機能材料10(1)の第1端部10aと、第2の傾斜機能材料10(2)の第1端部10aと、の間隙の変化を許容する。例えば、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び(2)の第1端部10aの少なくともいずれかと接続部13とが嵌合によって接続されることで、両者間の滑りによって傾斜機能材料10の伸縮による応力を吸収することができる。ここで、ランプ用電流導入端子部材110の両端に設けられる第2端部10bは、それぞれ封止管213の内壁と溶着される。したがって、ランプ用電流導入端子部材110と封止管213との熱膨張係数の差によって両者間に伸縮の差が発生した場合、この差を接続部13によって吸収することになる。
【0069】
図2(a)に表したように、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)のそれぞれの第1端部10aは、分離している。つまり、それぞれの第1端部10aは直接固定されていないことから、ランプ用電流導入端子部材110に圧縮応力や引っ張り応力が加わった場合、それぞれの第1端部10aが独立して移動できることになる。接続部13は、それぞれの第1端部10aを接続しつつ、それぞれの第1端部10aの独立した移動を許容することで、ランプ用電流導入端子部材110に加わる圧縮及び引っ張り応力を吸収することになる。
【0070】
図2(a)に表したランプ用電流導入端子部材110では、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)の対向する第1端部10aは接触しておらず、あいだに隙間が設けられている。このような隙間が設けられていることで、傾斜機能材料10の伸縮に起因する圧縮及び引っ張り応力を吸収して、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)の接触を防止することができる。
【0071】
なお、ランプ用電流導入端子部材110に加わる引っ張り応力のみを吸収すればよい場合には、対向する第1端部10aが当接していてもよい。また、接続部13として円筒状部分13aを有する例を示しているが、円筒以外の筒状部分を有していてもよい。
【0072】
また、第1端部10aの縁にはC面取りやR面取りが施されていてもよい。また、第1端部10aが球状や半球状になっていてもよい。このような面取りや球状等が形成されることで、第1端部10aに筒状の接続部13を挿入しやすくなる。さらに、第1端部10aにR面取りや球状等が形成されることで、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)に軸ずれが発生しても、この軸ずれを吸収して、第1端部10aと接続部13との確実な接触を確保することができる。
【0073】
図3は、スリットを備えた接続部を例示する模式図である。
図3(a)は、本実施形態に係るランプ用電流導入端子部材を例示する模式的断面図、図3(b)は、接続部の模式的斜視図である。
図3(a)及び(b)に表したように、この接続部13は、円筒状部分13aにスリット13bを有している。スリット13bは、円筒状部分13aの一部を分離する。図3に表したスリット13bでは、軸方向(筒の延びる方向)の全体にわたりスリット13bが設けられているが、軸方向の一部にスリット13bが設けられていてもよい。また、スリット13bは軸方向に限定されず、軸に対して斜めに設けられていたり、軸周りに螺旋状に設けられていてもよい。
【0074】
このようなスリット13bを有する接続部13では、円筒状部分13aの径方向(軸方向と垂直な方向)に弾力が付与される。これにより、径方向における傾斜機能材料10の伸縮による応力を吸収して、傾斜機能材料10や封止部(封止管213と第2端部10bとの溶着部分)のクラック等の不具合を抑制することができるようになる。
【0075】
また、接続部13を傾斜機能材料10の第1端部10aに取り付けた際にスリット13bが拡がり、円筒状部分13aの弾性力によって接続部13と第1端部10aとの確実な接触及び電気的導通を得ることができる。
【0076】
図4は、縮径部を有する傾斜機能材料を例示する模式的断面図である。
図4(a)に表したように、このランプ用電流導入端子部材110における傾斜機能材料10には、第1端部10aに縮径部101が設けられている。接続部13は、この縮径部101に接続されている。
【0077】
縮径部101の径は、傾斜機能材料10の径よりも小さい。これにより、筒状の接続部13によって第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)を接続する場合に、ランプ用電流導入端子部材110の径の増加を抑制することができる。例えば、傾斜機能材料10の径と縮径部101の径との差を、接続部13の肉厚の2倍以上にすると、接続部13の最大外径を傾斜機能材料10の最大外径以下にすることができる。これにより、ランプ用電流導入端子部材110を封止管213内に挿入する際の作業性が向上する。
【0078】
また、接続部13を縮径部101に接続した際、縮径部101の付け根の段差部と、接続部13とのあいだに隙間d1及びd2を設けるようにしてもよい。この隙間d1及びd2は、傾斜機能材料10が膨張した場合の逃げとなり、傾斜機能材料10の膨張によるクラック等の不具合を抑制することができる。
【0079】
なお、図4(b)に表したように、接続部13には、円筒状部分13aにスリット13bが設けられたものを用いてもよい。また、縮径部101の縁にC面取りやR面取りを設けてもよい。また、縮径部101の先端側を球状や半球状にしてもよい。これにより、縮径部101を接続部13に挿入しやすくなる。また、R面取りや球状等に形成することで、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)に軸ずれが発生しても、この軸ずれを吸収して、第1端部10aと接続部13との確実な接触を確保することができる。
【0080】
図5は、棒状の接続部を例示する模式的断面図である。
図5(a)は、円柱型の接続部を例示する模式的断面図、図5(b)は、図5(a)に表したA−A’線の模式的断面図である。
図5(c)は、角柱型の接続部を例示する模式的断面図、図5(d)は、図5(c)に表したB−B’線の模式的断面図である。
【0081】
傾斜機能材料10の第1端部10aには、棒状の接続部15及び16が挿入可能な凹部103及び104が設けられている。すなわち、図5(a)に表した傾斜機能材料10では、円柱型の接続部15が挿入可能な円柱型の凹部103が設けられ、図5(c)に表した傾斜機能材料10では、角柱型の接続部16が挿入可能な角柱型の凹部104が形成されている。
【0082】
図5(a)に表した例では、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)の第1端部10aを対向させた状態で両方の凹部103に接続部15が挿入される。また、図5(c)に表した例では、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)の第1端部10aを対向させた状態で両方の凹部104に接続部16が挿入される。
【0083】
接続部15及び16と、凹部103及び104と、は、嵌合によって接続される。この際、接続部15及び16の挿入深さよりも凹部103及び104の深さを深くしておくことで、傾斜機能材料10の伸縮が発生した際、接続部15及び16と、凹部103及び104とのあいだの滑りによってその伸縮による応力を吸収することができる。
【0084】
図6は、スプリング部を有する接続部を例示する模式的断面図である。
図6(a)に表した接続部17は、傾斜機能材料10の第1端部10aと第2端部10bとをむすぶ方向(軸方向)に沿って伸縮するように構成されている。例えば、接続部17は、スプリング部17aを有している。このスプリング部17aの伸び縮みによって接続部17が軸方向に伸縮する。
【0085】
スプリング部17aの端部は、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)のそれぞれの第1端部10aに直接接続されている。直接接続としては、例えば、圧入、溶接が挙げられる。このようなスプリング部17aを有する接続部17によって第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)を接続することにより、接続部17によって傾斜機能材料10の伸縮による応力を吸収することができ、傾斜機能材料10の伸縮による傾斜機能材料10及び封止部のクラック等の不具合を抑制することができる。
【0086】
また、スプリング部17aの材料として、第1端部10aの材料に含まれる材料と同じ材料を用いるようにしてもよい。これにより、第1端部10aとスプリング部17aとのあいだの伸縮差による応力の発生を低減でき、傾斜機能材料10の径方向の伸縮によるクラック等の不具合の発生を効果的に抑制することができる。
【0087】
図6(b)に表した接続部17では、スプリング部17aの径φ2が、傾斜機能材料10の径φ1以下になっている。これにより、ランプ用電流導入端子部材110を封止管213内に挿入する際の作業性が向上する。
【0088】
なお、接続部17としては、スプリング部17a以外でも可撓性を有する部分を有していてもよい。これにより、スプリング部17aと同様に可撓性によって傾斜機能材料10の伸縮による応力を吸収することができる。
【0089】
図7は、他の接続部を例示する模式的断面図である。
図7(a)〜(d)では、それぞれ他の接続部の構成を例示している。いずれの接続部20にも、第1端部10aと嵌合される嵌合部21を有している。嵌合部21は、円筒状部分21aを有する。円筒状部分21aには、スリット21bが設けられていてもよい。
【0090】
図7(a)〜(d)に例示した傾斜機能材料10の第1端部10aには、縮径部101が設けられている。嵌合部21は、この縮径部101に挿入される。なお、ここでは第1端部10aに縮径部101が設けられているが、縮径部101がなく第1端部10aに嵌合部21が挿入されていてもよい。
【0091】
図7(a)に表した接続部20は、嵌合部21にスプリング部25が取り付けられている。すなわち、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)のそれぞれの縮径部101に挿入された嵌合部21のあいだにスプリング部25が設けられている。スプリング部25は、嵌合部21に挿入固定されていても、溶接等によって直接接続されていてもよい。
【0092】
図7(b)に表した接続部20は、嵌合部21に板バネ部26が取り付けられている。すなわち、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)のそれぞれの縮径部101に挿入された嵌合部21のあいだに板バネ部26が設けられている。板バネ部26は、嵌合部21に挿入固定されていても、溶接等によって直接接続されていてもよい。
【0093】
図7(c)に表した接続部20は、嵌合部21に蛇腹部27が取り付けられている。すなわち、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)のそれぞれの縮径部101に挿入された嵌合部21のあいだに蛇腹部27が設けられている。蛇腹部27は、嵌合部21に挿入固定されていても、溶接等によって直接接続されていてもよい。
【0094】
図7(d)に表した接続部20は、嵌合部21に導電性部材28が取り付けられている。導電性部材28としては、例えば金属の導線、金属箔が用いられる。導電性部材28は、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)のそれぞれの縮径部101に挿入された嵌合部21のあいだに、わずかな弛みを持たせて設けられている。導電性部材28は、嵌合部21に挿入固定されていても、溶接等によって直接接続されていてもよい。
【0095】
図7(a)〜(d)に表したいずれの接続部20であっても、傾斜機能材料10の少なくとも軸方向の伸縮による応力を吸収することができ、傾斜機能材料10の伸縮による傾斜機能材料10及び封止部のクラック等の不具合を抑制することができる。また、スプリング部25、板バネ部26、蛇腹部27及び導電性部材28といった上記応力の吸収作用を有する部分を、嵌合部21を介して容易に縮径部101または第1端部10aに取り付けることができるようになる。
【0096】
ここで、傾斜機能材料10の製造方法の一例について説明する。
図8は、傾斜機能材料の製造方法を例示する模式図である。
先ず図8(a)に表したように、石膏型500の上にアクリル管502を立設し、このアクリル管502内にSiO2とMoとの混合スラリーを流し込む。すると、SiO2とMoとの比重差によって傾斜機能材料10が鋳込み成形される。ここで、混合スラリーの調合割合は、例えば、SiO2を10(グラム)g以上30g以下、Moを10g以上30g以下、純水を15g以上45g以下とする。ただし、SiO2は石英を基準としており、アモルファスを用いる場合には上記の分量を2.2/2.6倍にする。
【0097】
そして、図8(b)に表したように、所定の厚さに形成したのち、脱型し、例えば40℃以上50℃以下で約2日間乾燥し、生加工した後、例えば1100℃以上1250℃以下で約1時間仮焼し、仮焼体に電極挿入孔等を穿設した後、例えば1740℃で約10分間本焼して、図8(c)に表したような傾斜機能材料10を得る。
【0098】
上記の製造方法によって形成される傾斜機能材料10は、第1端部10aと第2端部10bとのあいだで機能が自然変化する。すなわち、この傾斜機能材料10は、第1端部10aから第2端部10bに向けてSiO2に対するMoの組成比が連続的に減少する。
【0099】
図9は、他の傾斜機能材料を例示する模式図である。
すなわち、図9に例示した傾斜機能材料10は、複数のシート状材料150が積層された構成を有する。図9に例示した傾斜機能材料10では、n(nは2以上の整数)層のシート状材料150(1)、150(2)、…、150(n)が積層されている。各シート状材料150(1)、150(2)、…、150(n)は、シート状材料ごとに導電材料(例えば、Mo)と絶縁材料(例えば、SiO2)との存在比率が順に変化している。
【0100】
この傾斜機能材料10では、第2端部10bから第1端部10aに向けてシート状材料150(1)、150(2)、…、150(n)の順に導電材料の存在比率が増加する。これにより、図9に表した傾斜機能材料10では、第2端部10bから第1端部10aに向けて導電材料の存在比率が段階的に増加する。
【0101】
本実施形態に係るランプ用電流導入端子部材110では、図8(c)及び図9のいずれに表した傾斜機能材料10であっても適用可能である。
【0102】
次に、ランプ用電流導入端子部材の熱膨張による伸びについて説明する。
図10は、参考例に係るランプ用電流導入端子部材が適用されたランプの構成を例示する模式的断面図である。
【0103】
このランプ290には、参考例に係るランプ用電流導入端子部材190が用いられている。ランプ用電流導入端子部材190においては、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)の第1端部10aが、導電性のペースト(SiO2とMoとの混合ペースト)によって接合されている。すなわち、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)のそれぞれの第1端部10aを対向させて両者間を導電性のペーストによって接合している。接合された第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)の両側の第2端部10bは、それぞれ封止管213に溶着されている。
【0104】
ここで、接合された第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)の第2端部10bが封止管213に接続された状態での熱膨張による伸びの長さのシミュレーション計算を例示する。
図11は、シミュレーション計算に用いたモデルを例示する模式図である。
ここでは、一例として長さ27mm、直径4mmの傾斜機能材料10を2つ接合し、両端の第2端部10bを、直径8mmの石英製の封止管213の内壁に溶着した状態をモデルとしている。
そして、各傾斜機能材料10及び封止管213を長さ方向に10分割し、それぞれ分割した領域に第1端部10aから第2端部10bに向けてA〜Jの符号を付している。
【0105】
図12は、傾斜機能材料における伸び長さのシミュレーション結果を例示する図である。
図12では、図11に表した各傾斜機能材料10のJ〜A、A〜Jの領域に対応した熱膨張係数、初期長さ、温度及び伸び長さのシミュレーション結果を示している。なお、ここで傾斜機能材料10の自由膨張ひずみは、ε=1.03×10−3である。
図12に表したように、2本の傾斜機能材料10を接合した一端が1000℃、他端が300℃であった場合、2本の傾斜機能材料10の合計の伸び長さは、54.0576mmになる。
【0106】
図13は、封止管における伸び長さのシミュレーション結果を例示する図である。
図13では、図11に表した封止管213のJ〜A、A〜Jの領域の位置に対応した熱膨張係数、初期長さ、温度及び伸び長さのシミュレーション結果を示している。なお、ここで封止管213の自由膨張ひずみは、ε=3.78×10−4である。
図13に表したように、封止管213の一端が1000℃、他端が300℃であった場合、封止管213の全体の伸び長さは、54.0211mmになる。
【0107】
図12及び図13のシミュレーション結果より、接合された第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)の合計の伸び長さの方が、封止管213の全体の伸び長さよりも36.5マイクロメートル(μm)長いことが分かる。また、自由膨張ひずみも、1桁の差がある。これにより、接合された第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)に圧縮の応力が働き、封止管213との溶着部分に引っ張り応力が作用することになる。したがって、この引っ張り応力によって傾斜機能材料10と封止管213との溶着部分にクラック等の不具合が発生する可能性が伺える。
【0108】
図14は、参考例と本実施形態との比較を例示する図である。
図14では、参考例に係るランプ用電流導入端子部材190を用いたランプ290と、本実施形態に係るランプ用電流導入端子部材110を用いたランプ210と、のそれぞれについて発光管または封止管のクラック及び点灯状況を比較した結果を示している。
なお、本実施形態に係るランプ用電流導入端子部材110では、図3に例示したスリット13bを有する接続部13を用い、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)を接続している。また、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)のそれぞれの第1端部10aのあいだに1mmの隙間を設けている。
【0109】
参考例を用いたランプ290を10本作成し、それぞれにランプA01〜A10を付している。また、本実施形態を用いたランプ210を10本作成し、それぞれにランプB01〜B10を付している。それぞれのランプA01〜A10及びB01〜B10について、10分間の点灯と、5分間の消灯と、を繰り返す0N/OFF試験を40時間実施した。図14では、この試験後のそれぞれのランプA01〜A10及びB01〜B10について、クラックの有り/無し、点灯/不点灯、の状態を示している。
【0110】
この試験結果より、参考例を用いたランプ290では、10本中7本にクラックが発生して不点灯になった。一方、本実施形態を用いたランプ210では、10本全てにおいてクラックは発生せず、10本全てにおいて点灯可能な状態を維持した。
【0111】
このように、本実施形態に係るランプ用電流導入端子部材110を用いることで、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)の伸縮による応力を接続部13で吸収できていることが分かる。このため、伸縮による応力を傾斜機能材料10や封止管213等が受けずに済み、クラック等の不具合の発生を抑制することが可能になる。
【0112】
以上説明したように、本実施形態によれば、ランプ用電流導入端子部材110に用いる傾斜機能材料10の伸縮による影響を緩和し、信頼性の高いランプ用電流導入端子部材110及びランプ210を提供することができるようになる。
【0113】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、上記実施形態では、接続部13で接続した第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)として同じ特性のものを用いたが、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)として異なる特性のものを用いてもよい。また、上記実施形態では、第1及び第2の傾斜機能材料10(1)及び10(2)を接続部13によって接続する例を説明したが、3つ以上の傾斜機能材料10を接続部13によって接続してもよい。また、ランプ用電流導入端子部材110及びランプ210が備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0114】
10…傾斜機能材料、10a…第1端部、10b…第2端部、13,15,16,17,20…接続部、13a,21a…円筒状部分、13b,21b…スリット、17a,25…スプリング部、21…嵌合部、26…板バネ部、27…蛇腹部、28…導電性部材、101…縮径部、103,104…凹部、110,190…ランプ用電流導入端子部材、150…シート状材料、210,290…ランプ、211…発光管、211a…内部空間、213…封止管、215a,215b…内部電極、217,219…電極線、310…光源装置、311…反射鏡、313…安定器、315…配線、500…石膏型、502…アクリル管
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有する第1端部と、前記第1端部よりも導電性の低い第2端部と、を有する、第1の傾斜機能材料と、
導電性を有する第1端部と、前記第1端部よりも導電性の低い第2端部と、を有する第2の傾斜機能材料と、
前記第1の傾斜機能材料の前記第1端部と、前記第2の傾斜機能材料の前記第1端部と、を電気的に導通させつつ、前記第1の傾斜機能材料の前記第1端部と前記第2の傾斜機能材料の前記第1端部との間隙の変化を許容する接続部と、
を備えたことを特徴とするランプ用電流導入端子部材。
【請求項2】
前記第1の傾斜機能材料の前記第1端部と、前記第2の傾斜機能材料の前記第1端部と、は、直接固定されていないことを特徴とする請求項1記載のランプ用電流導入端子部材。
【請求項3】
前記第1の傾斜機能材料の前記第1端部と、前記第2の傾斜機能材料の前記第1端部と、は、接触していないことを特徴とする請求項1記載のランプ用電流導入端子部材。
【請求項4】
前記接続部は、前記第1及び第2の傾斜機能部の前記第1端部の少なくともいずれかと嵌合しており、前記間隙の変化を前記嵌合した部分の滑りによって許容することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のランプ用電流導入端子部材。
【請求項5】
前記接続部は、円筒状部分を有することを特徴とする請求項4記載のランプ用電流導入端子部材。
【請求項6】
前記円筒状部分の内周と、前記第1及び第2の傾斜機能材料の前記第1端部の前記少なくともいずれかの外周と、が接触したことを特徴とする請求項5記載のランプ用電流導入端子部材。
【請求項7】
前記円筒状部分は、径方向に弾力が付与されてなることを特徴とする請求項6記載のランプ用電流導入端子部材。
【請求項8】
前記円筒状部分は、スリットを有することを特徴とする請求項7記載のランプ用電流導入端子部材。
【請求項9】
前記嵌合が解除された状態において、前記円筒状部分の少なくとも一部の内径は、前記第1及び第2の傾斜機能材料の前記第1端部の前記少なくともいずれかの少なくとも一部の外径よりも小さいことを特徴とする請求項5〜8のいずれか1つに記載のランプ用電流導入端子部材。
【請求項10】
前記第1端部は、縮径部をその先端に有し、
前記接続部は、前記縮径部に接続されたことを特徴とする請求項5〜9のいずれか1つに記載のランプ用電流導入端子部材。
【請求項11】
前記接続部と、前記縮径部の付け根の段差部と、のあいだに隙間が設けられたことを特徴とする請求項10記載のランプ用電流導入端子部材。
【請求項12】
前記接続部の最大外径は、前記第1及び第2の傾斜機能材料の最大外径以下であることを特徴とする請求項10または11に記載のランプ用電流導入端子部材。
【請求項13】
前記接続部の材料は、前記第1及び第2の傾斜機能材料の前記第1端部に含まれる材料と同じであることを特徴とする請求項5〜12のいずれか1つに記載のランプ用電流導入端子部材。
【請求項14】
前記接続部は、前記第1の傾斜機能材料の前記第1端部と前記第2の傾斜機能材料の前記第1端部とをむすぶ方向に沿って伸縮可能とされたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のランプ用電流導入端子部材。
【請求項15】
前記接続部は、可撓性を有することを特徴とする請求項14記載のランプ用電流導入端子部材。
【請求項16】
前記接続部は、スプリング部を有することを特徴とする請求項15記載のランプ用電流導入端子部材。
【請求項17】
前記スプリング部の最大外径は、前記第1及び第2の傾斜機能材料の最大外径以下であることを特徴とする請求項16記載のランプ用電流導入端子部材。
【請求項18】
前記スプリング部の両側に設けられた前記接続部の端部は、前記第1及び第2の傾斜機能材料の前記第1端部にそれぞれ固定されてなることを特徴とする請求項16または17に記載のランプ用電流導入端子部材。
【請求項19】
前記接続部は、前記第1及び第2の傾斜機能材料の前記第1端部の少なくともいずれかと嵌合した嵌合部と、前記嵌合部に接続されたスプリング部と、を有することを特徴とする請求項1記載のランプ用電流導入端子部材。
【請求項20】
前記スプリング部は、前記嵌合部に溶接されたことを特徴とする請求項19記載のランプ用電流導入端子部材。
【請求項21】
前記スプリング部の材料は、前記傾斜機能材料の前記第1端部に含まれる材料と同じであることを特徴とする請求項16〜20のいずれか1つに記載のランプ用電流導入端子部材。
【請求項22】
発光管と、
前記発光管に接続された封止管と、
前記封止管に挿入された請求項1〜21のいずれか1つに記載のランプ用電流導入端子部材と、
を備え、
前記ランプ用電流導入端子部材の前記第2端部は、前記封止管と溶着されたことを特徴とするランプ。
【請求項1】
導電性を有する第1端部と、前記第1端部よりも導電性の低い第2端部と、を有する、第1の傾斜機能材料と、
導電性を有する第1端部と、前記第1端部よりも導電性の低い第2端部と、を有する第2の傾斜機能材料と、
前記第1の傾斜機能材料の前記第1端部と、前記第2の傾斜機能材料の前記第1端部と、を電気的に導通させつつ、前記第1の傾斜機能材料の前記第1端部と前記第2の傾斜機能材料の前記第1端部との間隙の変化を許容する接続部と、
を備えたことを特徴とするランプ用電流導入端子部材。
【請求項2】
前記第1の傾斜機能材料の前記第1端部と、前記第2の傾斜機能材料の前記第1端部と、は、直接固定されていないことを特徴とする請求項1記載のランプ用電流導入端子部材。
【請求項3】
前記第1の傾斜機能材料の前記第1端部と、前記第2の傾斜機能材料の前記第1端部と、は、接触していないことを特徴とする請求項1記載のランプ用電流導入端子部材。
【請求項4】
前記接続部は、前記第1及び第2の傾斜機能部の前記第1端部の少なくともいずれかと嵌合しており、前記間隙の変化を前記嵌合した部分の滑りによって許容することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のランプ用電流導入端子部材。
【請求項5】
前記接続部は、円筒状部分を有することを特徴とする請求項4記載のランプ用電流導入端子部材。
【請求項6】
前記円筒状部分の内周と、前記第1及び第2の傾斜機能材料の前記第1端部の前記少なくともいずれかの外周と、が接触したことを特徴とする請求項5記載のランプ用電流導入端子部材。
【請求項7】
前記円筒状部分は、径方向に弾力が付与されてなることを特徴とする請求項6記載のランプ用電流導入端子部材。
【請求項8】
前記円筒状部分は、スリットを有することを特徴とする請求項7記載のランプ用電流導入端子部材。
【請求項9】
前記嵌合が解除された状態において、前記円筒状部分の少なくとも一部の内径は、前記第1及び第2の傾斜機能材料の前記第1端部の前記少なくともいずれかの少なくとも一部の外径よりも小さいことを特徴とする請求項5〜8のいずれか1つに記載のランプ用電流導入端子部材。
【請求項10】
前記第1端部は、縮径部をその先端に有し、
前記接続部は、前記縮径部に接続されたことを特徴とする請求項5〜9のいずれか1つに記載のランプ用電流導入端子部材。
【請求項11】
前記接続部と、前記縮径部の付け根の段差部と、のあいだに隙間が設けられたことを特徴とする請求項10記載のランプ用電流導入端子部材。
【請求項12】
前記接続部の最大外径は、前記第1及び第2の傾斜機能材料の最大外径以下であることを特徴とする請求項10または11に記載のランプ用電流導入端子部材。
【請求項13】
前記接続部の材料は、前記第1及び第2の傾斜機能材料の前記第1端部に含まれる材料と同じであることを特徴とする請求項5〜12のいずれか1つに記載のランプ用電流導入端子部材。
【請求項14】
前記接続部は、前記第1の傾斜機能材料の前記第1端部と前記第2の傾斜機能材料の前記第1端部とをむすぶ方向に沿って伸縮可能とされたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のランプ用電流導入端子部材。
【請求項15】
前記接続部は、可撓性を有することを特徴とする請求項14記載のランプ用電流導入端子部材。
【請求項16】
前記接続部は、スプリング部を有することを特徴とする請求項15記載のランプ用電流導入端子部材。
【請求項17】
前記スプリング部の最大外径は、前記第1及び第2の傾斜機能材料の最大外径以下であることを特徴とする請求項16記載のランプ用電流導入端子部材。
【請求項18】
前記スプリング部の両側に設けられた前記接続部の端部は、前記第1及び第2の傾斜機能材料の前記第1端部にそれぞれ固定されてなることを特徴とする請求項16または17に記載のランプ用電流導入端子部材。
【請求項19】
前記接続部は、前記第1及び第2の傾斜機能材料の前記第1端部の少なくともいずれかと嵌合した嵌合部と、前記嵌合部に接続されたスプリング部と、を有することを特徴とする請求項1記載のランプ用電流導入端子部材。
【請求項20】
前記スプリング部は、前記嵌合部に溶接されたことを特徴とする請求項19記載のランプ用電流導入端子部材。
【請求項21】
前記スプリング部の材料は、前記傾斜機能材料の前記第1端部に含まれる材料と同じであることを特徴とする請求項16〜20のいずれか1つに記載のランプ用電流導入端子部材。
【請求項22】
発光管と、
前記発光管に接続された封止管と、
前記封止管に挿入された請求項1〜21のいずれか1つに記載のランプ用電流導入端子部材と、
を備え、
前記ランプ用電流導入端子部材の前記第2端部は、前記封止管と溶着されたことを特徴とするランプ。
【図12】
【図13】
【図14】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図14】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−212536(P2012−212536A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76783(P2011−76783)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
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