説明

ランプ

【課題】発光管や発光フィラメントを収容した内管を外管に対して同心状に支持するスペーサが内管の先端部から外れ落ちたり、外れ落ちる方向へ移動することを防止すると同時に、スポット照明で制御できない光を発光管側に戻して発光効率を上げる。
【解決手段】スペーサSが、内管2の先端部に突出した排気管5を穴8に挿し通して排気管5に枢支される中心板部7と、外管3内径よりわずかに小さい外径寸法を有する円筒状の外周部9とを有し、中心板部7に、これを排気管5に固定する3本以上の爪片10が形成され、外周部9の1部が外管内面に当接することにより、内管2の先端部付近で内管2を外管3に対して同心状に支持する。前記円筒部の内面は反射面となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光管あるいは発光フィラメントなどを収容する内管と、その内管を収容する外管とが、口金に対して同心状に取り付けられたランプに係り、特に、内管の先端部に、その内管を外管に対して同心状に支持する金属薄板製のスペーサが取り付けられたランプで、特にスポット照明に適したランプに関する。
【背景技術】
【0002】
発光管と、その発光管を収容する内管と、その内管を収容する外管とから成る三重管型のメタルハライドランプや、発光フィラメントを収容する内管と、その内管を収容する外管とから成る二重管型のハロゲンランプは、その製造過程において、口金とその口金に対して同心状に取り付ける内管および外管の基端部との間に、例えば100〜300℃程度の低温で硬化させることができ、1000〜2000℃の高温に耐えることができるスミセラム(朝日化学工業株式会社の商品名)等の低温硬化型のペースト状耐熱性接着剤を塗布充填し、その接着剤を硬化温度に加熱して内管と外管を口金に固定する加工を施すこととしているが、外管に収容された内管は、これを外部から口金と同心状に支持することができないため、その内管に外管をかぶせて、両管の基端部と口金との間に塗布充填されたペースト状の接着剤を低温加熱して硬化させる際に、内管が定位置からずれたり傾いたりして、ランプの配光性が損なわれる製品不良を生ずることがある。
【0003】
そしてその位置ずれや傾きの度合いが一定以上大きくなると、ランプの配光性が損なわれるのみならず、ランプ点灯時に高熱を発する発光管や発光フィラメントを収容した内管と外管との間の間隔が局所的に狭まって、外管に過熱による変形や破損が生ずるおそれがある。
【0004】
そこで、例えば図5および図6に示すように、内管52の先端部52aにその内管52を外管53に対して同心状に支持する金属薄板製のスペーサSを取り付けたランプが提案されている(特許文献1参照)。そのランプは、透光性セラミックで成る発光管51と、その発光管を収容する内管52と、その内管を収容する外管53とが、口金54に対して同心状に取り付けられた三重管型のメタルハライドランプであって、この種のランプは、一般に、内管52が石英ガラスで形成され、外管53が硬質ガラスもしくは石英ガラスで形成され、口金54は内管52と外管53を取り付ける部分がセラミック等の磁器体で形成されている。
【0005】
内管52と外管53は、夫々その先端部52a、53aが球面状に形成された円筒管で成り、内管52は、その先端部52aの中央に、ランプの製造過程で内管52の内部を排気してその内部に不活性ガス等を封入するために使用された排気管(チップ管)55が突出しており、低温硬化型のペースト状耐熱性接着剤を用いて口金54に固定する基端部52bが、ピンチシールによって圧し潰された扁平形状を成している。
【0006】
また、内管52と外管53を取り付ける口金54は、その外周に沿って、外管53の基端部53bを内側に嵌め付ける円筒状の周壁56が形成されると共に、その中央に、内管52の基端部52bを一対の柱状部58、58間に差し込んで内管52を直立状態に取り付ける支柱57が形成されている。
【0007】
そして、スペーサSは、内管52の球面状をなす先端部52aの中央に突出した排気管55に接触しないような大きさの中央穴が設けられた円形リング状の中心板部59と、その中心板部59から等間隔で放射状に分岐して内管52の先端部52a側から基端部52b側に向かって長く延びるように形成された3本の帯板部61、61…とを具有し、これら帯板部61の先端部分に、その先端を内側に向かって円弧状に突出するように湾曲させて内管52の外面に当接する円弧部62が形成されると共に、その先端に近い部分を外側に向かって半球状に膨出させて外管53の内面に当接する球面部63が形成された構成となっている。
【0008】
そして、図5のように、スペーサSが取り付けられた内管52に外管53をかぶせると、スペーサSの帯板部61の先端部分が、図6のごとく内管52の円筒状外周部と外管53の円筒状内周部との間に挟まって変形し、その間に一定の間隔が確保されることにより、内管52が外管53に対して同心状に支持される。また変形した帯板部が元の形状に戻ろうとする時のバネ力によってスペーサSと内管52および外管53との接触点に摩擦力を生じランプ軸方向へのスペーサSのずれを防いでいる。
【0009】
これにより、ランプの製造過程で、内管52に外管53をかぶせて、内管52の基端部52bと外管53の基端部53bをペースト状の耐熱性接着剤で口金54に固定する加工を行う際に、内管52が位置ずれや傾きを生ずることが防止される。
【0010】
しかしながら、スペーサSは、図示のように、3本の帯板部61、61…が内管52の先端部52aから基端部52b側へ向かって長く延び、この帯板部が円弧部62と球面部63を夫々内管52の外面と外管53の内面に対して強く圧接させるような構成となっており、内管52に外管53をかぶせる際に、その外管53の内面と、内管2に取り付けられたスペーサSの帯板部61との間に強い摩擦力が生ずるため、外管53をかぶせる作業を円滑に行うことができないほか、外管53の内面に品質クレーム要因となる擦り傷等が生じるおそれがある。
【0011】
一方、スポット照明用の器具に入れて使用する場合には、発光管から照明器具の反射面を介さずに器具外に出る光は配光制御されない迷光となり、スポット照明としては有害な光となる。これに対し、大抵の照明器具では、制御できない光が器具外に漏れることを防ぐように対処されている。例えば、反射鏡の照射口側端面をランプトップ部位置より十分照射側に延長し、ランプトップ部からの光を遮光するキャップをつけることによって対象物照射光の照射範囲外からランプが直接見えないようにするなどの工夫がなされている。
【0012】
また、発光管または発光フィラメントを外囲するガラス管に遮光膜または拡散膜を被覆して開放型照明器具に適用できるタイプのランプも公開されている(特許文献2および特許文献3参照)。さらにこの種のランプはベースを上側に向けて点灯されることが多いため、内管先端部側の発光管細管部はベース側の発光管細管部より低温となる。このような構造のランプでは、発光管発光部の壁面負荷を大きくしても、発光管発光部と細管部との境界部温度が低いために発光管封入物の蒸気圧が上がらないという現象が見られる。
【特許文献1】意匠登録第1318637号公報
【特許文献2】特開2007−073461号公報
【特許文献3】特開2007−179959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、内管の先端部に取り付けられて内管を外管に対して同心状に支持するスペーサを設けたランプにおいて、他の部材を追加せずに照明器具で制御できない光の発生を抑制すると共に発光管細管部を保温して発光管の熱バランスを改善することを技術的課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明は、発光管あるいは発光フィラメントなどを収容する内管と、その内管を収容する外管とが、口金に対して同心状に取り付けられると共に、内管の先端部に、その内管を外管に対して同心状に支持する金属薄板製のスペーサが取り付けられたランプにおいて、前記スペーサが、内管の先端部中央に突出した排気管を穴に挿し通して該排気管に枢支される中心板部と、円筒状の外周部とを具有し、前記排気管に枢支される中心板部の穴の周囲に沿って、該中心板部を前記排気管に固定する複数本の爪片が形成されて内管の先端部付近に保持されていると共に、前記外周部の外径は、外管のうち当該外周部が対峙している部分の外管内径よりわずかに小さく、さらに当該外周部の一部が外管内面に当接しており、前記外周部の内面は反射面となっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、内管の先端部に取り付けられたスペーサの円筒状外周部内面が反射面となっているため、ランプ外管から照明器具で制御できない光が放射されることを抑制すると共に他方より温度が低くなりがちな発光管細管部が反射光によって加熱され、発光管の温度バランスが改善されるので、ランプの発光特性を改善することができる。
【0016】
また、スペーサは、内管の先端部に突出した排気管に枢支される中央板部が、排気管を挿し通す穴の周囲に沿って形成された複数本の爪片で排気管に固定されることにより、内管の先端部から脱落することが防止され、脱落する方向への移動が阻止される。円筒状外周部は、内管の先端部付近の円筒部で内管を外管に対して確実に同心状に支持することができる。また、帯板部を外管の内周部や内管の外周部に対して強く圧接させてスペーサの脱落を防止するという構造をとっていないので、スペーサの外周部と外管内面との間に、内管と外管の同心性を損なわない程度のクリアランスを設けることができ、スペーサが取り付けられた内管に外管をかぶせる作業を円滑に行えるようにすることができると同時に、内管に外管をかぶせる際に外管の内面がスペーサの帯板部と擦れ合って外管に品質クレーム要因となる擦り傷が生ずることも防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に係るランプの最良の実施形態は、発光管や発光フィラメントを収容する内管と、該内管を収容する外管とが、口金に対して同心状に取り付けられると共に、内管を外管に対して同心状に支持する金属薄板製のスペーサが、内管の先端部に取り付けられており、該スペーサは、内管の先端部中央に突出した排気管を円形穴に挿し通して該排気管に枢支される円形リング状の中心板部と、円筒状の外周部とを具有している。
【0018】
スペーサの中心板部には、該中心板部を排気管に固定する爪片が、内管の先端部に突出した排気管を挿し通す円形穴の周囲に沿って等間隔で3本乃至4本形成されている。また、スペーサの外周部は円筒形状で、その末端は発光管発光部の内管先端側端部まで伸びており、その一部が外管円筒部の内面に当接することで、内管を外管に対して同心状に支持する形状に成形されている。
【0019】
また、スペーサは、その素材となるステンレス薄板等の金属薄板を上記中心板部と円筒状外周部とを具有する形状に打ち抜く打抜き成形および深絞り成形によって作製されている。前記円筒状外周部の内面は反射面となっており、さらにスペーサにより内管を外管に対して同心状に支持すると、内管外部へ放出する光をランプごとにバラツキなく反射して発光管細部へ戻し、発光管細部を保温し、発光特性の均一なランプを得ることができる。
【0020】
また、内管の先端部に突出する排気管は、ランプの製造過程において、余長部分をガスバーナ等で焼き切ってチップオフした際に、加熱軟化状態となっている先端部を排気管の軸方向に押圧して先太に形成することにより、その先端部が、排気管先端方向への爪片の移動を阻止するストッパ形状を成している。
【実施例1】
【0021】
図1は本発明に係るランプの一例を一部断面で示す全体図、図2(a)はそのランプの要部を拡大して示す断面図、図2(b)はそのランプに用いるスペーサの平面図である。
本例のランプは、透光性セラミックで成る発光管1と、発光管1を収容する内管2と、内管2を収容する外管3とが、口金4に対して同心状に取り付けられた三重管型のメタルハライドランプであって、内管2は、先端部2aが球面状に形成された石英ガラス製の円筒管で成り、外管3は、先端部3aが平面状に形成された硬質ガラス製の円筒管で成り、口金4は、内管2の基端部2bと外管3の基端部3bを取り付ける部分がセラミックで形成されている。
【0022】
また、内管2は、その先端部2aの中央に排気管5が突出し、その排気管5の内部に発光管1から突出しているリード線の先端を収めて発光管1と内管2とを同軸上に位置合わせしている。口金4の中央に形成された支柱6に低温硬化型のペースト状耐熱性接着剤で固定される内管2の基端部2bはピンチシールにより圧潰されて扁平形状を成している。そして、内管2の排気管5を通すように、その内管2を外管3に対して同心状に支持する板厚0.2mmの金属薄板製スペーサSが設けられている。
【0023】
スペーサSは、内管2の先端部2aの中央に突出した排気管5を円形の穴8に挿し通して排気管5に枢支される円形リング状の中心板部7と、円筒状の外周部9とを具有しており、中心板部7には該中心板部7を排気管5に固定する3本の爪片10が、排気管5を挿し通す円形穴8の周囲に沿って120°間隔で形成されている。内管2の先端部2aの中央に突出した排気管5の先端部は、その先端方向への爪片10の移動を阻止するストッパ形状を成しており、スペーサSが排気管から抜け落ちることはない。
【0024】
スペーサSの外周部9は、外管をスムーズにかぶせることができて且つ内管2の径方向移動を効果的に抑制できるように、外周部9と外管3内面との間隔を内管2と外管3との隙間より十分小さくしている。例えば外周部9の外径寸法は、外管円筒部3b内径の最小設計寸法より0.1〜0.5mm小さく設定するのがよい。
【0025】
スペーサSは、ステンレス薄板等の金属薄板を素材とし、外径を打ち抜く打抜き工程と、円筒状の外周部9を形成する深絞り工程と、穴8の周囲に沿って3本の爪片10が形成される中心板部7を所定形状に打ち抜く打抜き成形によって作製されている。
【0026】
スペーサSの外周部9は穴のない円筒状であり、内面が反射面となっている。この外周部の反射面は発光管からの光を内管内の発光管細管部に戻すことが目的であるから、鏡面でなくても良く、通常の冷間圧延で製造されたステンレス薄板を素材としても十分目的は達せられる。
【0027】
また、スペーサSの外周部9は図1において一点鎖線BLの位置まで延長されている。このBL位置は発光管1の発光部端部を通ってランプ軸に垂直な面が内管を切断する位置である。発光管1がこのBL位置から内管先端側まで遮光されていると、発光管から直線的に放出される光のうち、スポット照明器具の反射板で配光制御できる光はランプ外管3の外に出ることができるが、照明器具で配光制御されずに直接器具外に放出される光(いわゆる迷光)はスペーサSの内面で反射されてランプ内管2内に戻る。これにより、スポット照明器具にとって有害な光がランプ外に放出されることを抑制すると共に、その光をランプ内管内に戻して発光管細管部を保温するために利用できる。
【0028】
発光部端部位置の定義は、図1のように発光部と細管部が一体化された発光管を使用した場合には、細管部外径が発光部に向かって拡径を始める位置を発光部端部としている。発光部が略円筒形の形状を有する場合には発光管の外表面において円筒の端面が発光部端部となる。
【0029】
そしてランプ組み立ての際には、スペーサSの中心板部7に穿設された穴8に、内管2の先端部2a中央に突出した排気管5を挿し通して、スペーサSを内管2の先端部2aに接触するまで押し込むと、中心板部7の円形穴8の周囲に沿って形成された爪片10が排気管5の外周部に圧接して、中心板部7が排気管5に固定される。この時、図2(a)に示すとおり、爪片10の先端部が排気管5に接触すると同時に爪片10の折り曲げ部が内管2の先端部2aに接触しているためスペーサSは安定的に内管2の先端部2aに固定され、スペーサSが傾くことはない。これによりスペーサSが内管2の先端部2aから外れ落ちることが防止されると共に、スペーサSの外周部9が内管2の先端部2a付近に配された状態となる。この状態で内管2に外管3をかぶせると、図1および図2(a)のごとく、スペーサSの外周部9が外管3の円筒部3b内面と1点が接触し、残りの部分は外管内面とわずかな隙間を持つことになり、内管2および外管3の間に一定の間隔が確保され、内管2が外管3に対して同心状に支持されるので、内管2が傾きを生ずることが防止される。
【0030】
また、スペーサSは、外周部9と外管3の内周部との間に内管2と外管3の同心性を損なわない程度のクリアランスを設けているため、スペーサSが取り付けられた内管2に外管3をかぶせる作業を円滑に行えるようにすることができると同時に、内管2に外管3をかぶせる際に外管3の内面がスペーサSの外周部9と擦れ合って外管3に品質クレーム要因となる擦り傷が生ずることも防止できる。また、スペーサSは、ステンレス薄板等の金属薄板を素材とし、前述した加工工程によって簡易に量産することができるので、その製造コストが嵩むこともない。
【0031】
また、図1および図2(a)に示す排気管5は、ランプの製造過程において、余長部分をガスバーナ等で切除した際に、加熱軟化した状態となっている先端部を排気管5の軸方向に押圧して先太に形成することにより、排気管先端方向への爪片10の移動を阻止するストッパ形状に形成されている。
【0032】
これにより、内管2の先端部2aにスペーサSを取り付ける際に、そのスペーサSの中心板部7の穴8に沿って形成された爪片10が、中心板部7の穴8に挿し通す排気管5の先太な先端部で押圧されて、一時的に起立するように弾性変形し、その爪片10の先端が排気管5の先太な先端部を通過すると復元力が作用して、図2(a)のごとく爪片10が排気管5の外周部に圧接し、スペーサSの中心板部7が排気管5に固定される。
【0033】
また、スペーサSの中心板部7は、排気管5の先太な先端部を通過した爪片10の先端が排気管5の先太な先端部に係止されることによって、排気管5の先端方向への移動が確実に阻止されるので、その中心板部7が排気管5から抜け出してスペーサSが内管2の先端部2aから外れ落ちるおそれが全くない。
【実施例2】
【0034】
図3(a)は本発明に係るランプの他の例を示す部分拡大断面図であって、図3(b)はそのランプに用いるスペーサの平面図である。本例のランプは、内管2の先端部2aと外管3の先端部3aとが半球面状である点と、スペーサSの中心板部が外管3の先端部3aに位置し、外周部9の円筒側面部が外管3の円筒部3bに位置している点と、スペーサSの中心板部上部に排気管5を覆うような先端キャップ11が接合されている点と、内管2の先端部2aの中央に突出した排気管5の先端部が、その先端方向への爪片10の移動を阻止するストッパ形状を成していない点で、図1および図2に示す実施例1のランプと相違し、その他の構成は、実施例1のランプと共通している。
【0035】
図3に示す外管3において、一点鎖線LLより上の部分が球面状をなす先端部3aであり、L−Lより下の部分が円筒部3bである。本例に示すスペーサSは、中心板部7が外管3の先端部3aに位置しており、スペーサSの中心板部7と外周部9との境界がスペーサSのように平板であると、外周部9の円筒側面も外管3先端部3aの半球面に接することとなり、外管円筒部3b内径の最小設計寸法より0.1〜0.5mm小さく設定することができない。そのため外周部9の円筒側面部が外管円筒部3b内面に接するようにランプ中心軸に沿った断面を図3に示すような形状にして、外周部9の外径寸法を外管円筒部3b内径の最小設計寸法より0.1〜0.5mm小さく設定している。なお、スペーサSの中心板部7と外周部9との境界部分の絞り形状は、図示の如き山折り形状に限らず、円弧形状等であっても良い。
【0036】
本例のランプは、内管の排気管5を覆う先端キャップ11を備えているため、内管のガラス壁内部を伝わって排気管先端から放出される光も完全に遮光することができる。このように排気管5の先端部を完全に覆ったことで発光管の保温効果にはほとんど差は出ないが、ランプから放出される迷光を完全に遮光することで、スポット照明器具に取り付けた場合のグレア防止効果は大幅に向上する。
【0037】
本例のスペーサは、前述した加工工程に加えて先端キャップ11をスペーサSの中心板部7に溶接する工程により、簡易に量産することができる。
【0038】
また図4は図3のスペーサSから爪片10を省略し、中央板部7と先端キャップ11とを一体化したスペーサを使用したランプを示す部分拡大断面図である。本例のスペーサS3は、発光管発光部端部位置BLから内管先端までを完全に遮光しており、照明器具で制御できない光をランプ外管から放出しないと共にその光を内管内に戻して発光管細管部を保温している。外周部9の外径寸法は図3のスペーサSと同様、外管円筒部3b内径の最小設計寸法より0.1mm〜0.5mm小さく設定されており、外管3に対するスペーサS3のずれを抑制している。一方、中央穴の少し先端側部分では、先端キャップの内径寸法を排気管5外径の最大設計寸法より0.1〜0.5mm大きく設定されており、スペーサS3に対する内管のずれを抑制している。このような形状のスペーサであっても、外管に対して内管を同心状に位置決めすると共に照明器具で制御できない光を遮光することができる。
【0039】
以上のように、本発明によれば、外管に対する内管の傾きを抑制すると同時に、他の部材を追加せずに照明器具で制御できない光の発生を抑制することができ、さらに発光管細管部を保温して発光管の熱バランスを改善することができる。また排気管5を基準として外管3と内管2とを同軸合わせしているため、発光管リードを排気管内部に挿入して発光管の位置決めを行なっているランプであれば、同時に外管3と発光管1とを同軸に合わせていることになる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、発光管とその発光管を収容する内管とその内管を収容する外管とから成る三重管型のメタルハライドランプや、発光フィラメントを収容する内管とその内管を収容する外管とから成る二重管型のハロゲンランプ等の品質・信頼性の向上に資するものである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係るランプの一例を示す全体図
【図2】図1のランプの部分拡大断面図とそのランプに用いるスペーサの平面図
【図3】本発明に係るランプの他の例を示す部分拡大断面図とそのランプに用いるスペーサの平面図
【図4】本発明に係るランプの他の例を示す部分拡大断面図
【図5】従来のランプを示す斜視図
【図6】図5のランプの部分拡大断面図
【符号の説明】
【0042】
1…発光管
2…内管
3…外管
4…口金
5…排気管
〜S…スペーサ
7…中心板部
8…穴
9…外周部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光管あるいは発光フィラメントなどを収容する内管と、その内管を収容する外管とが、
口金に対して同心状に取り付けられると共に、内管の先端部に、その内管を外管に対して同心状に支持する金属薄板製のスペーサが設けられたランプにおいて、
前記スペーサが、内管の先端部中央に突出した排気管を穴に挿し通して該排気管に枢支される中心板部と、円筒状の外周部とを具有し、前記排気管に枢支される中心板部の穴の周囲に沿って、該中心板部を前記排気管に固定する複数本の爪片が形成されて内管の先端部付近に保持されていると共に、前記外周部の外径は、外管のうち当該外周部が対峙している部分の外管内径よりわずかに小さく、さらに当該外周部の一部が外管内面に当接しており、前記外周部の内面は反射面となっていることを特徴とするランプ。
【請求項2】
前記排気管の先端部が、その先端方向への前記爪片の移動を阻止するストッパ形状を成している請求項1記載のランプ。
【請求項3】
前記排気管が先太に形成されることにより、その先端部が前記ストッパ形状を成している請求項2記載のランプ。
【請求項4】
前記外周部のベース側末端位置は、前記外管内において、外管トップ側の発光部端部を通ってランプ軸に垂直な面が内管を切断する位置まで延長されている請求項1から3のいずれかに記載のランプ。
【請求項5】
前記スペーサの前記中心板部に前記排気管を覆う先端キャップが接合されている請求項4に記載のランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−108666(P2010−108666A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−277623(P2008−277623)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(000000192)岩崎電気株式会社 (533)
【Fターム(参考)】