説明

リアルタイム測位システムにおけるデータベースの負荷低減方法

【課題】リアルタイム測位システムにおけるデータベースの負荷を低減する。
【解決手段】
携帯装置を測位するよう動作可能な測位システムおよび方法は、無線信号を送信するよう動作可能な携帯装置を備える。無線ネットワークが、無線信号を受信し、携帯装置の位置を推定するために使用されるデータを報告するために使用される。測位サーバーが、無線ネットワークによって報告されたデータを無線ネットワークによって処理するために使用される。測位サーバーは、携帯装置に対して複数の測位レポートを生成する。前処理構成要素が測位サーバーと通信するよう動作可能である。測位サーバーによって生成された測位レポートは前処理構成要素に転送される。測位アプリケーションが、前処理構成要素と通信するよう動作可能であり、携帯装置に関する記録を保存するよう動作可能なデータベースとインタフェース接続する。前処理構成要素は、測位レポートを処理し、データ記録中のデータが規定された基準を満たす場合にのみデータ記録を保存する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測位システムに関し、より具体的には、測位システムにおけるデータベースの負荷を低減する方法およびシステムに関する。
なお、本特許出願は、2009年9月21日に同一発明者名で出願され、その全体が明細書に組み込まれる米国暫定特許出願第61/244、217号、発明の名称「リアルタイム測位システムにおけるデータベースの負荷低減方法」に基づく利益を請求するものである。
【背景技術】
【0002】
多数の無線通信システムが今日一般に使用されている。携帯電話、ポケットベル、および、携帯情報端末(PDA)、ノート型コンピュータ等の無線接続された演算装置は仮想上任意の場所でポータブル通信を提供する。また、無線ローカル区域ネットワーク(WLAN:無線LAN)および無線パーソナル区域ネットワーク(WPAN)は、米国電気電子学会(IEEE)の仕様である、802.11(WLAN)(802.11a、802.11b、802.11g、802.11n等)、802.15.1(WPAN)、802.15.4(WPAN−LR)に準拠しており、演算装置および個人用通信機器、ならびに、ホームオートメーション機器など他の機器に無線相互接続を提供する。
【0003】
多くの商業および工業用途において、上記に掲げたネットワーク内および一般の無線ネットワーク内では、RFID(Radio Frequency ID)タグのような携帯無線機器の位置がわかることが望ましい。
【0004】
このような測位システムの代表的なアプリケーションは、リアルタイム位置情報、タグによって送信される温度、圧力(気圧)およびその他テレメトリデータ等の他のデータの記憶装置を含む。
【0005】
測位システムの測位サーバーは、推定されたタグの位置、タグの識別番号、および随意的に、タグ自身によってテレメトリデータとして報告された任意のその他情報を含む測位レポートを生成する。測位レポートは典型的には、測位サーバーによってタグ報告が受信された時間(日付および時刻)のタイムスタンプも含む。
【0006】
位置情報は、測位アプリケーションのエンドユーザが関連付けできる具体的なコンテキストを備えるビジネス関連データに変わるであろう。
【0007】
具体的なデータコンテキストは、位置、マップ、位置内のユーザがよく知っているかまたは関連付けできる名称を備えた領域、タグが付いた対象物(輸液ポンプ、ベッド、自動車または他の任意の種類の資産等)の駆動状態、タグを携行する人のID、または資産が属するカテゴリーであってもよい。
【0008】
アプリケーションが処理しなければならないであろう、測位サーバーが生成した測位レポートの全量は多数のパラメータから導き出され、そのいくつかは以下のとおりである。
a.システムが受信できる携帯装置の数
例えば、この携帯装置はRFID(無線自動識別)タグまたはPDA等の携帯機器であってもよい。
b.携帯装置の伝送速度
c.測位システムによって報告された測位レポートの全数
d.測位アプリケーションに接続された測位システムの数
【0009】
測位システムはすべての測位レポートを単純な方法で解析し、保存する。このようにデータを含む各測位レポートが、保存および処理されると、ごく短時間のうちにリソースが枯渇することとなる。よって、エンドユーザは、より高品位のデータベースサーバーを購入し、データをより頻繁に削除することが必要となる。
【0010】
以下は、発明の背景を示すであろう単純なRTLS(Real Time Location System:リアルタイム測位システム)のシナリオである。
【0011】
ある病院における代表的な測位アプリケーションは5000の資産を管理し、各資産には1個のRFIDタグが付いている。RFIDタグは2分毎に1回の平均点滅頻度で送信する。この報告頻度は、アクティブRFIDタグと、もしくは、無線ネットワークカードを備えたノート型コンピュータ、または、パッシブRFIDリーダないしゲートの近隣で報告するパッシブRFIDタグなど、独立して報告する他のアクティブな構成要素と関連している。
【0012】
以下は、上記シナリオを用いたシステムのデータベース中のレコード数の計算である。
・資産数:5,000
・平均点滅頻度:2分毎に1回、すなわち、1時間に30回
・システムに流入する毎時測位レポート数:30×5,000=150,000レコード
・24時間ごとの測位レポート数:24×150,000=3,600,000レコード
・アプリケーションが必要とする平均履歴を60日と想定した場合のシステム内に保存されるべきレコード数:216,000,000レコード
・前述のパラメータの一つ、例えば資産数、平均報告頻度または必要とされる履歴の変更は、レコードの全数およびシステムパフォーマンスに影響を及ぼす。例えば、3,000のRFIDタグないし他の種類の携帯装置を追加し、かつ、他のすべてのパラメータは変化しないと想定すると、60日ごとの保存および解析を要するレコード数は345,600,000となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで、、上記の問題を克服するためのシステムおよび方法を提供する必要性が存在した。本発明は、測位システムアプリケーションによって保存および解析されたデータの量を低減することによって、データベースの負荷および/またはサイズを大幅に低減することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
測位システムにおける負荷およびデータベースサイズを低減する方法を使用した上記の目的は、本発明に係る方法およびシステムにおいて達成される。
【0015】
本方法は、システムユーザによって設定されたか、あるいは、自己学習システムコンポーネントによって決定されるように、いずれのデータを希薄化し、組み合わせ、またはフィルタリングできるかを判定するシステムによって具現化される。
【0016】
より具体的には、本発明は、RTLSシステムの対象となる所定の区域内で携帯無線機器が測位されるリアルタイム測位システム(RTLS)アプリケーションに適用される。RTLSの一種類において、携帯装置(RFIDタグ、セルラー方式携帯電話、または他の種類の携帯装置等)は、携帯機器を測位するために使用される多数の無線信号を送信し、当該携帯機器は測位サーバーによって測位される。別の種類のRTLSは、パッシブタグに近接したパッシブゲートまたはリーダに応答することによって測位されるパッシブデバイスを備える。ゲートまたはリーダ位置はパッシブデバイスの位置を推定するために使用される。
【0017】
同じく本発明に適用される別の種類のRTLSは、例えば、内蔵GPS受信機を使用するか、または、無線ネットワーク機器によって送信されたビーコン信号を聞くことによって、自身を測位する携帯装置から成る。いくつかのRTLSシステムでは、測位処理は位置関連情報を携帯装置に提供するサーバーの支援を受けて実行してもよい。この位置関連情報は、ディファレンシャルGPS、支援GPSシステム、携帯装置によって携帯装置の位置を計算するために使用可能な任意の他の種類の情報(例:無線マップ、ネットワーク装置の位置等)に関連づけてもよい。
【0018】
また、場合によっては、携帯装置は無線ネットワークから情報を収集し、通常は同一の無線通信ネットワークを使用してこの情報を測位サーバーに転送する。例えば、無線ネットワーク装置は信号(例:ビーコン)を送信し、その信号は携帯装置(例:RFIDタグ、セルラー方式携帯電話、ノート型パソコン等)によって受信される。携帯装置は受信した信号の1個以上のパラメータ(例:RSSI、TOA等)を測定し、この情報を測位サーバーに送信し、測位サーバーは、測定されたパラメータを使用して携帯装置の位置を推定する。
【0019】
したがって、好適な実施形態によると、代表的なRTLSは、無線ネットワークから成り、少なくとも1台の無線携帯機器は無線携帯機器を識別するために使用される固有の識別子(ID)を有し、少なくとも1台のネットワーク装置も識別子を有する。ここで、ネットワーク装置は、信号を送信可能な少なくとも一つのシグナリング構成要素と、信号を受信可能な少なくとも一つの受信構成要素と、当該ネットワーク装置に接続された少なくとも1台の測位サーバーを備える。
【0020】
携帯無線機器は、前記携帯無線機器の近傍(通信範囲内)の1台以上のネットワーク装置によって受信される多数の無線信号を送信するよう動作可能である。なお、ネットワークは、所定の区域内における携帯装置の測位を許容することを目的とした無線通信ネットワーク装置を含む。
【0021】
前記無線信号が前記1台以上の無線ネットワーク装置において受信された後、無線ネットワーク装置は、メッセージを、一般的にはイーサネット(登録商標、以下同じ)等有線ネットワークまたは無線リンクを使用して、測位サーバーに送信する。当該メッセージは、受信した携帯無線機器固有の識別子および無線信号を受信したネットワーク装置の識別子を少なくとも含む。
【0022】
また、測位サーバーへのメッセージは、ネットワーク装置によって測定された無線信号の到着時間(ΤΟA)、ネットワーク装置によって測定された無線信号の受信信号強度インジケーター(RSSI)、到来角、携帯無線機器によって送信され、無線信号等に含められたテレメトリデータ等、異なる種類の追加情報を含んでもよい。一つの実施形態によると、携帯無線機器はGPS(グローバルポジショニングシステム)受信機を備え、無線信号もまたGPSデータを含んでいる。
【0023】
別の実施形態では、無線ネットワーク装置は、携帯機器(例:RFIDタグ、セルラー方式携帯電話、ノート型パソコン等)によって受信される信号(ビーコン等)を送信する。携帯機器は、受信した信号の1個以上のパラメータ(例:RSSI、ΤΟA等)を測定し、その位置の計算を実行するか、または、測定したパラメータを測位サーバーに転送して、携帯装置の位置を計算する。携帯装置は、自己を測位するときは、GPS、ディファレンシャルGPS、支援GPS(A−GPS)の使用、無線マップを使用するフィンガープリント法、ネットワーク装置への距離測定に基づくマルチラテレーション(例:RSSI、往復時間等を使用する等)、TDOAを使用するマルチラテレーション、および他の測位方法など、一つ以上の方法を使用して携帯装置自身の位置を計算してもよい。
【0024】
測位サーバーは様々な方法を使用して携帯無線機器を測位してもよい。一部の例では、測位サーバーは携帯機器自体によって(例:GPSで)推定された位置を単に報告することができる一方、他の場合には、携帯機器によって測位サーバーに報告されたこの位置を(例:別の測位方法で推定された位置を組み合わせて)処理し、測位サーバーによって推定される位置を報告することができる。
【0025】
一旦測位サーバーが携帯装置の位置を計算するか、または、携帯機器自身によって計算された位置を使用すると、測位サーバーは、携帯機器の計算された位置および固有の識別子を含む測位レポートを生成する。このレポートは、場合に応じ他のデータフィールドを含んでもよい。
【0026】
以下はそれらフィールドのいくつかの例である。
・測位時間:測位サーバーが提供する、携帯装置が測位された時間(測位サーバーでタグ報告が受信された時間)を規定するタイムスタンプである。
・携帯機器テレメトリデータ(例:バッテリー状態、動作状態、温度、押しボタン情報等)
・測位方法(例:TDOA、RSSI、距離測定、GPS、A−GPS等)および測位品質
【0027】
代表的なRTLSでは、測位サーバーによって生成されたレポートは、より高いレベルのアプリケーション(測位アプリケーション)に送信され、当該アプリケーションはレポートを処理し、有益な情報をRTLSユーザに提供する。
【0028】
また、多くのRTLSシステムは、所定の条件で携帯機器をトリガするための追加のネットワーク装置も備え、それら機器における様々な動作(例:信号の送信、運転パラメータのプログラム等)を起動する。
【0029】
本発明は、測位サーバーと測位アプリケーションの間を接続するシステムコネクタ(、アプリケーションゲートウェイまたはスタンドアロンアプリケーション)中の前処理構成要素にさらに言及する。また、本発明は、最適なリソース用途と、測位アプリケーションがエンドユーザに報告する資産位置精度への最小の影響の間の均衡を達成する好適な論理に言及する。
【0030】
本発明の実施形態は以下の通り分類することができる。
1.規定されたフィルタリング、希薄化ないし組み合わせの基準が、現在の測位レポートデータと、前回の一つの測位レポートデータないし多数の測位レポートデータの比較に基づく実施形態。
・現在のレポート中に報告された装置の位置と、前回のレポート中の装置の位置の間の距離を計算し、最新レポートと前回の一つ以上のレポートとの間の実際の位置距離に基づいて、いずれのレポートを希薄化ないし組み合わせ可能かを判定する、距離フィルター。
・現在の測位レポート中のタイムスタンプと前回のレポート中のタイムスタンプの時間差を計算し、レポート間の時間差に基づいていずれのレポートを希薄化ないし組み合わせ可能かを判定する、時間ベースのフィルター。
・希薄化される測位レポートと保存される測位レポートとの固定比で、測位レポートを希薄化ないし組み合わせる固定計数ベースのフィルター。
・温度変化フィルター、または、測位レポートとともに報告される湿度、タグのバッテリーレベル、気圧、動作指標、押しボタン指標等、他のテレメトリデータ。温度および/または他のデータは、位置および装置識別子とともに報告された温度および/または他のデータが、所定値の範囲外もしくは範囲内にある場合には、測位レポートを希薄化ないし組み合わせる。
2.規定されたフィルタリング、希薄化ないし組み合わせの基準が、資産またはタグのカテゴリー、一日における時間枠、関心領域(例:待合室、倉庫、建造物の特定の階等)または測位技術(例:TDOA、RSSI、超広帯域(UWB)等)といった固定データに基づく実施形態。
資産はタグを付けることによって測位が可能な任意の可動の物体である。場合によっては、タグは資産自体に埋め込むことができる。
・測位レポートのデータ内容基準、すなわち、温度、湿度、およびバッテリーレベルおよび動作指標等がユーザの前もって定めた範囲内部にあるか外部にあるかによって、測位レポートをフィルタリング、希薄化ないし組み合わせる。
・マップ上の特定領域への装置の近接度によって、携帯装置の測位レポートをフィルタリング、希薄化ないし組み合わせる。
・装置の位置が関心領域の境界範囲内にあるかもしくは境界範囲外にあるかに応じて、携帯装置の測位レポートをフィルタリング、希薄化ないし組み合わせる。このフィルターは、二つ以上の関心領域に適用してもよく、装置が測位された関心領域に応じてフィルタリング基準が異なりうる。
・レポートのタイムスタンプによって、測位レポートをフィルタリング、希薄化ないし組み合わせる。例えば、午前12時から午前6時までのレポートがシステムユーザの関心外にあってはならない。
・カテゴリー、グループまたは測位技術といった資産属性によって、測位レポートをフィルタリング、希薄化ないし組み合わせる。
・携帯装置の種類によって、測位レポートをフィルタリング、希薄化ないし組み合わせる。
3.規定されたフィルタリング、希薄化ないし組み合わせの基準が、システムが、システムを使用中に作成されるパターン(例:移動パターン)に準拠し、静的データを参照するのではなくパターンを参照することを許容する自己学習解析アルゴリズムに基づく実施形態。
この場合、測位レポートをフィルタリング、希薄化ないし組み合わせるために使用される設定基準は、携帯装置の反復的な挙動を記述するパターンを識別するよう動作可能な自己学習アルゴリズムに基づいて、システムによって自動的かつ動的に生成される。以下はいくつかの例示的な実施形態である。
・特定の資産についての測位レポートを、特定時間中の代表的なユーザ関心によって、フィルタリングないし組み合わせる。例えば、システムは、特定の資産に関するデータが週末ではなく午前中に問い合わせられることを学習する。
・システムは、装置の代表的な軌跡(移動パターン)または装置のカテゴリーを学習し、測位レポートを既知の適合経路に接続する。
・場合に応じ、かつ、上記の実施形態を参照して、システムは、資産および装置が静止または移動している代表的な時間枠を調査および記録し、装置が静的にあるか移動しているかによって異なるフィルターレートを適用する。
【0031】
上記に述べた実施形態のための方法は、現在の測位レポート中のデータを一つ以上の前回の測位レポート中のデータと比較することに基づいており、かつ、上述の設定基準に準拠している。この設定基準は、ユーザによって前もって定められても、または、システム自体によって自動的かつ動的に設定されてもよい。
【0032】
簡単に理解できるように、多くの他のフィルタリング、希薄化ないし組み合わせの基準の例もまた本発明の範囲内において規定することができる。
【0033】
上記に述べた方法のいくつかは、現在の測位レポート中のデータを一つ以上の前回の測位レポート中のデータと比較することに基づいており、かつ、上述の設定基準に準拠している。
この設定基準は、ユーザによって前もって定められても、または、システム自体によって自動的かつ動的に設定されてもよい。
【0034】
簡単に理解できるように、多くの他のフィルタリング、希薄化ないし組み合わせの基準の例もまた本発明の範囲内に規定することができる。
【0035】
本発明の実施形態を使用して達成可能ないくつかの特徴を以下に示す。
・データベースサイズは減少し、その結果として、処理、保存、読み取りおよび索引付けするデータがより少ないことから、パフォーマンスが最適化される。
・データベースサイズの低減によって、必要とされるディスク記憶空間ならびにバックアップに必要とされるディスク空間を減少させる。記憶のために必要な全ディスク空間が低減される。
・加えて、バックアップサイクルはより短くなり、ダウンタイムの減少をきたし、たとえリカバリが必要な場合であってもデータリカバリはより速くなる。
【0036】
上記に述べたそれらの特徴による効果として、ハードドライブコスト、データベース使用許諾コスト、処理時間およびコンピュータハードウェアコスト、保守コストおよび電気コストの低減に起因する全般的なコスト低減を図ることができる。加えて、全般的なシステムパフォーマンス改善が達成される。
【0037】
本発明の上述および他の目的、特徴および利点は、以下の、より詳細には、添付図面とともに説明される本発明の好適な実施形態の記載より明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の好適な実施形態による、前処理構成要素(例:アプリケーションゲートウェイ)に接続された非常に多数の測位サーバーを備えたRFIDタグの位置を報告する、代表的な物理的測位レイアウトを示す。前処理構成要素(例:アプリケーションゲートウェイ)は、すべての測位ソースからデータを収集し、データをデータベースに保存する測位アプリケーション内部形式に変換する。
【図2】本発明の好適な実施形態による前処理構成要素(例:アプリケーションゲートウェイ)およびアプリケーションサーバーの物理的な配置レイアウトを示す。また図2は、この2つの間のプロトコル交換のコンテキストを記載する。
【図3】本発明の好適な実施形態の高レベルのデータフローの説明図であり、測位レポート量の低減、および、最終的に測位アプリケーションに到達する測位レポート量への影響を示す。
【図4】本発明の好適な実施形態による、代表的な測位アプリケーション前処理構成要素(例:アプリケーションゲートウェイ)の論理構成要素を示し、各構成要素間の関係およびデータフローを示すブロック図である。
【図5】本発明の好適な実施形態による、距離フィルター処理および動作フィルター処理を示すフロー図である。
【図6】本発明の好適な実施形態による、レポートの時間差によって、および関心の実際のタイムスロットによってフィルタリングする「時間による無視」フィルターを示すフロー図である。
【図7】本発明の好適な実施形態による、測位アプリケーションが知っている軌跡上の既知の固定された位置を参照する軌跡フィルターへの集約を示すフロー図である。
【図8】希薄化される測位レポートと保存される測位レポートの固定比(ドロップ頻度)によって、測位レポートを希薄化ないし組み合わせる固定計数ベースのフィルター処理を示すフロー図である。
【図9】本発明の好適な実施形態による、領域内の既知の点への近接性によって、または、携帯装置が領域境界の内部にあるか外部にあるかによって測位レポートを希薄化するフィルターを示すフロー図である。
【図10】本発明の好適な実施形態による、測位レポートテレメトリデータコンテンツによるドロップ測位レポートを示すフロー図である。
【図11】本発明に記載のサンプルドロップフィルターに記載された様々なパラメータによって、許可されたドロップを読み出すすべての選択肢を示すブロック図である。類似した要素を示すためには、図面および詳細な説明の全体にわたって共通の参照記号が使用される。
【0039】
本発明は、測位システムに関し、より具体的には、測位アプリケーションによる測位データの低減および/またはそのデータのデータベースへの保存に関する。
【0040】
RTLSシステムにおけるデータベースの主たる用途の一つは、被測位装置(例:タグ)を時間に沿って記録することである。記録は、測位データ、タグのテレメトリ、タグ状態等、多種多様のパラメータを含んでもよい。
【0041】
数千または数万の被測位装置を含む大きなRTLSシステムでは、比較的短時間に保存されるデータの量は、非常に大きく、数十ギガバイトを超える可能性がある。大きなデータベースは遅くなり、それらを取り扱うために記憶容量に加えて大きな演算リソースを必要とする。
【0042】
さらに、非常に大きなデータベースは長いバックアップ時間を必要とし、任意の代表的なクエリーは数億の記録の中からの検索を必要とする。
【0043】
しかしながら、RTLSシステムの性質および被測位装置を理由として、データベースに保存される情報の多くは冗長であり、スマートフィルターを使用してフィルタリング可能である。
【0044】
したがって、本発明の目的は、RTLSシステムのパフォーマンスを大幅に改善するとともに、被測位装置のいかなる貴重な情報も失わないように、データベースのサイズを低減する非常に強力かつ効率的な方法を提供する。
【0045】
代表的なRTLSアプリケーションシステムの実装は、いくつかの重要な要素を含んでいる。これら要素には、RTLS測位システムとRTSLアプリケーションの間のいくつかの通信チャネル、測位システムと測位アプリケーションの間の前処理構成要素(例:アプリケーションゲートウェイ、スタンドアロンアプリケーション等)、およびデータが保存されているデータベースがある。
【0046】
前処理構成要素(例:アプリケーションゲートウェイ、スタンドアロンアプリケーション等)装置は、ユーザによって指定されるかまたは異なる動作条件に基づいてシステムによって自動的に選択された様々なパラメータに基づいて、データをフィルタリング、希薄化ないし組み合わせる一つ以上のSW機能を備える。
【0047】
一実施形態によると、フィルターは距離フィルターおよび動作フィルターである。このフィルターは、二つの測位レポート中の被測位装置間の物理的な距離、および、携帯装置の測位時に携帯装置が静止中かもしくは動作中であるかに基づいて、データを希薄化する。携帯装置の動作状態(例:動作中、静止中、閾値より高い速度、閾値より高い加速度等)は、希薄化基準(例:希薄化率、距離閾値等)を変更するために使用してもよい。
【0048】
別の実施形態では、フィルターは、被測位装置の測位レポート中のタイムスタンプに基づいてレポートを希薄化し、前記希薄化は、レポート間の時間差、時刻および/またはユーザの関心の時間枠に基づいている。
【0049】
別の実施形態は、集約軌跡フィルターから成る。このフィルターは、被測位装置位置をそれぞれが軌跡IDを持つ一つ以上の既知の軌跡と比較する。各軌跡は、システム内で事前に設定されてもよく、または、実行時間中に自己学習アルゴリズムを使用して作成されてもよい。データベースサイズの低減は、携帯装置位置の代わりに、携帯装置が測位された軌跡の軌跡IDのみをデータベースに保存することによって達成される。
【0050】
別の実施形態では、フィルターは固定計数フィルターであり、該フィルターは、システムによって受信された測位レポートの数の固定計数に基づいて、被測位装置の測位レポートを希薄化する。
【0051】
他の実施形態においてまたは前の各実施形態と関連して使用できる追加的なフィルターは、被測位装置の位置を、前もって定められたか、またはRTLSアプリケーション内の実際のマップ上で自己学習した適応型領域のいずれかでありうる規定された領域内の特定の点に属するものとする領域フィルターを備える。別のフィルターは、装置が報告するテレメトリデータに基づいて測位レポートを希薄化するテレメトリデータベースのフィルターを含む。
【0052】
上記の記載から簡単に理解できるように、より程度の高い希薄化を達成するとともに、データベースサイズおよびパフォーマンスを最適化するために、フィルターは多くの異なる方法で組み合わせることができる。
【0053】
他に定義されない限り、本明細書中では使用されるすべての技術的および/または科学的用語は発明が関係する当業者によって一般に理解される同一の意味を持つ。本明細書中に記載されたものと類似または等価の方法および材料が、本発明の実施形態の実施または試験に使用されてもよいが、以下には、例示的な方法および/または材料を記載する。矛盾のある場合には、定義を含めて本特許明細書が優先される。加えて、材料、方法および例は一例であり、必ずしも限定を意図していない。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態は、ほんの一例として図面を参照して、本明細書中に記載されている。ここでは図面を詳細に具体的に参照することによって、示した詳細事項が例であること、および、本発明の実施形態の例示的考察を目的としていることが強調される。この点において、図面とともに解釈される説明によって、本発明の実施形態が実施されうることが明らかになる。
【0055】
用語「携帯装置」または「携帯機器」は、一方向ないし双方向通信手段、スタンドアロンないし他の機器に統合された、バッテリー駆動ないし任意の他のソースによって外部より電力供給される、パッシブ、セミパッシブまたはアクティブRFIDタグを初めとする測位システムによって測位されている任意の携帯型無線機器と、ならびに、位置送受信機(例:超音波、赤外線、低周波磁場インタフェース、優先シリアルインタフェース等)と通信するために使用される通信手段のほかに他の通信手段も備える携帯型無線機器とを意味する。
【0056】
用語「前処理構成要素」は、測位システムと測位アプリケーションの間で通信するハードウェアまたはソフトウェア構成要素のことを言う。前処理構成要素は、測位システムからデータを収集し、かつ、データ正規化および/または内部形式への変換など様々な機能を実行してもよい。また前処理構成要素は、この提案された特許出願中に後に記載するが、測位レポートをフィルタリングおよび/または希薄化するか、もしくは、その情報を組み合わせる。前処理構成要素は、アプリケーションゲートウェイ、アプリケーションの一部またはスタンドアロンアプリケーションとして実装されてもよい。前処理構成要素は、測位サーバーに接続されたインターネットベースのアプリケーションおよび/またはインターネットを介した測位アプリケーションであってもよい。別のシステムアーキテクチャでは、前処理構成要素はトリガまたはデータベース中での保存手順として実装されてもよい。このアーキテクチャは典型的にはあまり一般的ではない。
【0057】
用語「タグセンサデータ」は、携帯装置(例:RFIDタグ)が、自己が接続されているセンサから、識別子に加えて送信する、および携帯装置が送信する他のパラメータ(例:タグの種類、カテゴリー、RFチャネル数、送信電力等)であって、任意の情報を意味する。タグセンサデータの例は、温度、圧力、湿度、光強度、液面、音声信号強度、コンパス情報、重量、バッテリー状態の表示および動作表示(例:速度、加速度、回転速度等)であってもよい。
【0058】
一つのまたは複数の被測位装置を参照するときの用語「被測位」は、システムによって監視、追跡、探求され、かつ、測位された携帯装置に関して報告された任意の情報を意味する。この情報は、携帯装置位置、ならびに、温度、気圧、湿度、バッテリー状態表示および動作表示のような任意のテレメトリを含んでもよい。
【0059】
ここで図面、とりわけ図1を参照して、本発明の実施形態による基本的な測位システムの主な構成要素を記載する。図1は、1台または数台の測位サーバー1を備えるシステムを記載しており、測位サーバーはイーサネット2ネットワークを介して前処理構成要素3に接続されている。前処理構成要素3はイーサネット4ネットワークを介して測位アプリケーションサーバー9と接続され、通信している。前処理構成要素3と測位アプリケーションサーバー9間のインタフェース上で転送されるデータを図2にさらに記載する。
【0060】
また、図1および本発明の実施形態を参照して、アクティブRFIDタグ15およびパッシブRFIDタグ14の位置も示す。
【0061】
アクティブRFIDタグ15は多数の無線信号17を送信し、無線信号は、当該RFIDタグ15との通信範囲にある適切な受信機18によって受信される。それら無線信号は好適には無線信号(例:IEEE802.11x、IEEE802.15.xに準拠した信号、セルラー方式携帯電話信号、超広帯域信号等)であるが、他の好適な実施形態では、超音波信号、赤外線、近接場低周波(LF)信号(例:125KHzで)および任意の他の種類の無線信号による私有のプロトコルまたは異なる信号の組み合わせであってもよい。
【0062】
通信範囲にある受信機18(通信範囲は使用される無線技術、アンテナの種類、伝送電源等に応じて変化しうる)が、タグ15によって送信された無線信号17を受信すると、受信機18は送信されたデータメッセージを解読するとともに、受信した信号17に関するいくつかの測定を実行する。それら測定は、存在検出のような非常に単純な測定、またはRSSI測定、ΤΟA測定、AOA測定、距離測定、または、タグ15位置および/または状態推定するために使用できる任意の他の測定から構成することができる。
【0063】
さらに本実施形態によると、受信機18は、受信したデータメッセージおよび測定したパラメータを通信制御装置19に転送し、通信制御装置19はデータメッセージを解読する。データメッセージは典型的には、識別番号と、タグ状態(例:バッテリー状態、動作状態等)および他のテレメトリフィールド(例:押しボタン情報、温度検知、GPSデータ等)といったテレメトリデータ情報を含む。
【0064】
他の実施形態は、メッセージ解読も実行するとともに、直接的に測位サーバー1に接続された(通信制御装置がない)受信機18を備えてもよい。
【0065】
タグ信号17を受信したすべての受信機18からの測定パラメータ20に伴うメッセージデータは、通信制御装置19によって測位サーバー1に転送される。当業者にとっては、受信機18は、同様に測位サーバー1に接続された1台以上の通信制御装置19に分類されうることは明らかである。
【0066】
したがって、一旦測位サーバー1がメッセージデータおよび対応する測定パラメータ20を受信すると、測位サーバー1は測位処理を開始し、その結果、タグ15の位置の推定値を得る。
【0067】
このタグの位置の推定値は他のタグ情報とともに測位レポート2に含められ、測位レポート2は測位サーバー1によって測位アプリケーションに転送される。
【0068】
典型的には、また、本発明の実施形態によると、測位レポートは、タグの位置、タグ15の識別番号(例:MACアドレス)、測位のタイムスタンプ(タグレポート20が測位サーバーによって受信された時間)およびタグのテレメトリを含む。
【0069】
ある実施形態によると、測位サーバー1はタグ15の位置を推定するために測定されたRSSIを使用してもよい。他の実施形態は、到着時間差(TDOA)、距離測定、到来角(AOA)またはいくつかの技法の組み合わせに基づく他の測位方法を含んでもよい。この場合には、測位レポート2は、タグ15を測位するために使用される測位技術、タグの種類等、他のパラメータを含んでもよい。
【0070】
ここで、パッシブRFIDタグ14に言及すると、パッシブRFIDタグ14はリーダ8に統合され16、リーダ8は応答して無線信号16をリーダ8に返信する。パッシブRFIDタグ14の情報(例:ID、テレメトリフィールド)は、システムの一部でもあるリーダ8によって解読され、典型的にはいくつかのリーダ8が集中した通信制御装置6に転送される。
【0071】
パッシブRFIDタグ14の情報7は最終的には測位サーバー1に送信され、測位サーバー1もリーダ8の物理的位置を知っている。リーダ8の位置は、ユーザによって指定されても(例:リーダが固定装置の場合)、または、測位システム自体によって推定されてもよい(例:リーダ8が携帯型RFIDリーダの場合)。パッシブRFIDタグ14とリーダの間の通信範囲は一般的には短い(2、3メートル以内)ので、リーダ8の位置は、タグ14の位置を推定するために使用することができる。
【0072】
図1をさらに参照すると、測位アプリケーションサーバー9はイーサネット11ネットワークを介してデータベース12に接続されている。
【0073】
測位データおよびタグ14、15の推定された位置は、1台または多数の測位サーバー1から前処理構成要素3へ流れ、この前処理構成要素3から測位アプリケーション9へと流れ、測位アプリケーション9はデータを任意の形式または種類のデータベース12に保存する。
【0074】
簡単に理解できるように、通信帯域幅、通信の種類、プロトコルまたはカテゴリーは、他の好適な実施形態における実際の各実装では様々に異なっていてもよい。
【0075】
ここで図2を参照して、前処理構成要素3、測位アプリケーション9およびこれら二つの構成要素間の通信の物理的レイアウトを説明する。前処理構成要素3と測位アプリケーション9は、イーサネット22、24によるネットワークを介して接続されている。この通信は双方向であり、待ち行列(queue)等の専用通信チャネル24または他の通信方法で前処理構成要素3から測位アプリケーションサーバー9に送信される位置情報と、および、測位アプリケーションサーバー9から前処理構成要素3への通信チャネル22上で測位アプリケーションサーバー9から前処理構成要素3に送信されるフィルター特性および他の通信パラメータとを含んでいる。このフィルター特性は、各測位サーバー1から受信された測位レポートを除去するために必要とされる情報を前処理構成要素に提供する。
【0076】
ここで図3を参照して、ある実施形態の高レベルのデータフローを説明する。この図では、いくつかの測位サーバー1が被測位装置の位置情報を報告し、それぞれは異なる測位方法を使用していてもよく、かつ、各サーバーは専用通信チャネル35〜37上で測位アプリケーションに報告してもよい。すべての携帯装置のすべての位置情報が、1つの通信チャネル39に集約される。他の実施形態では、この通信チャネルの具体的な実装は異なってもよく、待ち行列、データベーステーブルまたは任意の他の私有の通信方法を含んでもよい。矢印40は、1回の時間内のすべての被測位装置の測位レポートの計数を示す。前処理構成要素3は指定された基準に準拠してデータをフィルタリングし、図4乃至図11に記載のように処理する。この図では、前処理構成要素は測位レポート40の全量を希薄化する。これら測位レポートのいくつかは希薄化され、無視(ignore)される。矢印43は希薄化される測位レポートの量を示す。残りの測位レポートは、通信チャネル45を通過し、矢印48はこれら測位レポートの全量を示す。測位アプリケーションサーバー9は通信チャネル11を介してこの情報をデータベース中12に保存する。したがって、また、この好適な実施形態によると、データベース12に保存される測位データの全量は、データベース12に接続された測位サーバーによって報告される測位レポート40の全量よりも少ない(矢印48に示すように)。
【0077】
ここで図4を参照して、代表的な測位アプリケーションの論理構成要素のブロック図を説明する。それら構成要素は、測位サーバー55からのインタフェースおよびデータフロー、および、測位アプリケーションサーバー24へのインタフェースおよびデータフローを備えた前処理構成要素3を含む。
【0078】
データ55のフロー方向は左から右向き56であり、以下のデータ処理モジュールによって処理されるが、一方、異なる好適な実施形態では、これらモジュールは1台または多数のサーバー上に配備されてもよく、具体的な前処理構成要素の実装にしたがって増加されうる。
・測位レポート受信機70は、測位サーバーと通信し、データを受信し、データは測位レポートパーサー71に転送される。
・測位レポートパーサー71はデータを解析し、画一されたフォーマットへと変換する。また測位レポートパーサー71は、すべての携帯装置の位置情報も前処理構成要素の過渡的キャッシュメモリ80に保存する。測位レポートパーサー71と過渡的キャッシュメモリ80は単一の通信チャネル63を介してのみ通信し、当該チャネルでは、情報はパーサーパフォーマンスを最適化するためにのみ保存されている。また、測位レポートは、チャネル54を介して適応フィルター構成要素66にも報告される。適応フィルター構成要素66は、データを処理し、適応測位レポートフィルター用にフィルター特性を設定する。次に、測位レポートは、データをフィルタリングおよび希薄化する前処理構成要素フィルター71〜78に送られる。
・フィルター73〜78は、フィルターパラメータ構成要素68によって設定された特性にしたがってデータをフィルタリングする。フィルターパラメータ構成要素68の特性は、前処理構成要素API57、または、それと通信(53)する適応フィルター構成要素66のいずれかによって設定することができる。すべてのフィルター73〜78は、中央通信チャネル62を介してフィルターパラメータ構成要素68と通信する。いくつかのフィルターは、データを処理し、希薄化するために昔使われた測位レポートデータを必要とする可能性がある。このデータを含む過渡的データキャッシュメモリ80は、通信チャネル65を介してすべてのフィルター73〜78にアクセス可能である。また、実際のフィルター実装において必要とされるならば、各フィルター構成要素はデータを過渡的データキャッシュメモリ80にも保存できる。
【0079】
測位レポートは、フィルター構成要素を介してシーケンシャルな順序、パラレル、または任意の他の方法のいずれかで処理されることに留意する。フィルターがパラレルに処理される場合は、測位レポートを希薄化するかまたは組み合わせるかを判定するために、統計的手法を使用してもよい。
【0080】
フィルタリングされた測位レポートは、待ち行列、または測位アプリケーションへの他の通信方法といった専用通信チャネル24上で通信される。
【0081】
ここで図5を参照して、本発明の別の実施形態による距離フィルター処理および動作フィルター処理を図示するフローを示す。
【0082】
距離フィルター処理は、被測位装置の測位レポート(LR)が受信されたとき(82)に始まる。この特定の携帯装置位置を点Aとする。次に(83)、同じ被測位装置の前回の測位レポートが過渡的キャッシュメモリまたはデータベースから直接読み出される(84)。この前回位置を点Bとする。次に(86)、点Aと点Bの間の距離が計算される(87)。この計算された点間距離をパラメータDとする。次に(88)、2つの位置の間の最大距離を表し、位置のうち一つの希薄化を許容するフィルター設定であるパラメータFが、ローカルな過渡的データベースから読み出される(90)。次に(91)、パラメータDとパラメータFが比較される(92)。パラメータDがパラメータFより大きい場合(95)は、図3に示すように、測位レポートは処理のため次のフィルターに送られる(96)。パラメータDがパラメータF以下である場合(94)は、測位レポートは希薄化される(97)。その場合測位レポート処理は中止される。
【0083】
動作フィルター処理は、携帯装置の測位レポートが受信されたとき(106)に始まる。動作指標は装置が動作中であることを示す。次に(104)、フィルターは測位レポート構造中の動作指標が設定されているか否かを判定する(101)。装置が動作中である場合は(102)、図3に示すように、測位レポートは測位レポートフローの次のフィルターに送られる。
【0084】
携帯装置が動作中でない場合(100)は、測位レポートは希薄化される(97)。さらに、測位レポート処理は中止される。
【0085】
携帯装置の動作状態(例:動作中、静止中、速度が閾値より高い、加速度が閾値より高い等)を使用して、希薄化基準(例:希薄化率、距離閾値等)を変更することができる。
【0086】
他の実施形態では、上記に記載した2個のフィルターは、単一の処理として、または、測位レポートを順次処理する2個の別々の処理として実施されてもよい。
【0087】
ここで図6を参照すると、図6は、測位レポートを実際の報告時間によって希薄化するフィルター、測位レポートを報告間の時間によって希薄化するフィルター、および、測位レポートを設定可能な関心のタイムスロットによって希薄化するフィルターを説明するフロー図を示している。この図は、本発明の別の実施形態を説明する。
【0088】
測位レポートの頻度フィルター処理は、測位レポートが特定の時刻に受信される(110)と始まる。この時刻を時間Aとする。次に(112)、被測位装置の最後の送信時間が読み出される(113)。この時間を時間Bとする。次に(114)、報告間の最大時間差が読み出される(115)。この値を時間Tとする。別の実施形態では、このフィルターは時間Tを、タグの種類、測位技術、タグカテゴリー、タググループのパラメータ、もしくは、装置に関するかまたは測位レポート中の任意の他のパラメータとして読み出す(130)。また、この好適な実施形態の別の変形例は、ユーザが、実行時間中にこれらパラメータを前処理構成要素APIを介して動的に設定する(129)ことも許容する。
【0089】
次に(118)、時間差である時間A−時間Bが計算される(119)。差が時間Tよりも大きい場合(120)は、測位レポートは処理のため次のフィルターに転送される(121)。時間差が時間Tより小さい場合(122)は、測位レポートは希薄化される(125)。
【0090】
時刻関心フィルター処理は、測位レポートが時刻である時間Aに受信される(134)と始まる。次に(133)、測位レポートを希薄化できる時刻が読み出される(132)。当該時刻を時間Dとする。本発明の一実施形態では、この時間はユーザによって前もって設定されているが、別の好適な実施形態では、システムは自己学習構成要素を使用して、システムユーザが最新の位置情報により関心が高い代表的な時刻に関する情報を収集して、結果的に時間Dの値を判定する。次に(128)、時間Aが時間Dの範囲外か否かが判定される。時間Aが時間Tの範囲内にある場合(126)は、位置情報は希薄化される(125)。時間Aが時間Tの範囲外にある場合(131)は、測位レポートは次のフィルターに転送される(121)。
【0091】
当業者であれば簡単に理解できるように、測位レポートの希薄化の規則は異なる好適な実施形態間で異なりうる。例えば時刻フィルターを参照すると、希薄化は、測位レポート中のタイムスタンプを、当日のいくつかの時刻ウィンドウ、ならびに、当週、当月、当年の様々な日の様々な時間ウィンドウ、または任意の他の好適な時間単位等の特定の時間と比較することに基づいている。
【0092】
ここで図7を参照すると、図7は既知の軌跡フィルターへの集約を示すフロー図であり、かつ、本発明の別の実施形態である。
【0093】
本処理は、被測位装置を含む測位レポートが点Aにおいて受信される(141)と始まる。次に(142)、システムは、代表的な既知の軌跡を含み、点の配列である配列Lとして保存されている(例えばマップ中座標として表される)点のリストを読み出す(143)。読み出される軌跡は、携帯装置の種類、携帯装置が測位されるマップ、携帯装置のカテゴリー、携帯装置のグループ、時刻等のパラメータであってもよい。
【0094】
次に(144)、システムは、フローの次のステップ146およびそれに続くステップ149に使用される許容値パラメータTを読み出す(145)。
【0095】
ステップ149では、フィルターは、点Aが配列Lの任意の点に近接したパラメータT内にあるか否かを確認する。点Aが近接したパラメータ内にある場合(150)は、携帯装置の実際の位置は、代表的な経路配列L上の既知の位置L’を指示する(151)。次に(153)、測位レポートは処理のため次のフィルターに送られる(152)。
【0096】
ステップ149で計算された距離が配列Lの任意の点に近接したパラメータT内にない場合(154)は、携帯装置の測位レポートは、最初はステップ141で報告され、次のフィルターに送られる(152)ことにより管理されている。
【0097】
このフィルターの代表的な実用的用途としては、所定部門から保守部門へのタグ付けされた装置の特有の経路の照会、製造工場内でタグ付けされた装置の供給軌跡の追跡、または、日常巡回パターンの追跡をあげることができるであろう。それらの通常の経路のフィルタリングは、本発明の利点のいくつかを提供する。加えて、既知の経路上に測位された被測位装置の統計的分析は、任意の機関または工場の時間と動作の研究の手助けとなる。
【0098】
加えて、また、別の実施形態では、特定のフィルター実装は、各測位レポートおよび各被測位装置の複数の代表的な軌跡と経路を読み出すことを含んでもよく、実装は、これら各軌跡を順次確認し、最も一致する軌跡を選択してもよい。
【0099】
代表的な軌跡は、形状、大きさが異なってもよく、および/または、任意の数の点から構成されてもよい。軌跡は交差しても、始点と終点が異なるマップ中にあってもよい。
【0100】
ここで図8を参照すると、固定計数ベースのフィルター処理を図示するフロー図が示される。このフィルターは、希薄化される測位レポートと保存される測位レポートの比によって求められる固定比で測位レポートを希薄化ないし組み合わせる(ドロップ(排除)頻度)。図8は本発明によるこのフィルターの一実施形態を記載する。
【0101】
フィルタリング処理は、測位レポートレポートが受信される(161)と始まる。次に(162)、システムは、希薄化されたシーケンシャルな当該携帯装置の測位レポートの数を読み出す(163)。当該パラメータをパラメータDとする。次に(165)、システムは、当該携帯装置に対してドロップできる測位レポートの最大数であるパラメータIを読み出す(166)。パラメータIは、携帯装置ごとに異なっていてもよく、例えば(176)、パラメータIは、携帯装置の種類、携帯装置のカテゴリー、携帯装置のグループ、携帯装置バッテリーレベル、携帯装置位置、タグを測位するために使用される測位技術、携帯装置動作状態(指標)または任意の他のユーザの好みのパラメータであってもよい。
【0102】
次に(167)、パラメータIおよびパラメータDは、互いに減算される(本実施形態においてはパラメータI−パラメータD)(168)。結果がゼロ(0)より大きい場合(169)は、測位レポートは次のフィルターに送られ、本処理はパラメータDを0にリセットする(171)。
【0103】
パラメータIとパラメータDの減算結果(168)がゼロ(0)以下である場合(173)は、次いで、測位レポートが希薄化され、希薄化カウンタであるパラメータDを1だけ増加する(175)。
【0104】
ここで図9を参照すると、既知の領域内の点への近接性または既知の領域内における存在による、測位レポートの希薄化を示すフロー図であり、図9は、測位された携帯装置の位置を当該領域内の既知の点と称して図示している。図9は本発明の別の実施形態によるフィルターを記載する。
【0105】
本処理は、測位レポートが受信される(181)と始まり、本処理では携帯装置が点Aに測位される。次に(182)、システムは、配列Zに保存された各領域内の固定点を含む領域のリストを読み出す(183)。
【0106】
次に(184)、システムは、領域配列Z中の領域Z’ごとに領域Z’が境界を画成したか否かを判定する(185)。システムは、画成境界がない場合(186)には各領域の許容値パラメータTを読み出す(187)。許容値パラメータTは点で表される。パラメータTはこのフィルター処理の次のステップ188〜189で使用される。読み出された領域リストである配列Zと許容値パラメータであるパラメータTの両方とも、携帯装置の種類、携帯装置が測位されるマップ、携帯装置のカテゴリー、携帯装置のグループ、時刻等のパラメータであってもよい。
【0107】
パラメータTが画成境界のない各領域に読み出された後(188)、ステップ189では、本処理は、点Aが配列Z内の領域内の任意の代表点に近接したパラメータT内にあるか否か、または、点Aが領域配列Zの任意の領域境界Z’内にあるか否かを確認する。点Aが当該近接内または領域境界内にある場合(192)は、携帯装置の実際の位置は、配列Z内の一領域Z’内の点である既知の位置ZLと判断する(193)。次に(194)、点Aは処理のため次のフィルターに送られる(191)。
【0108】
ステップ189で計算された距離が配列Z内の任意の領域に近接したパラメータT内にない場合(190)は、携帯装置の測位レポートは、最初はステップ181で報告され、次のフィルターに送られる(191)ことにより管理されている。
【0109】
上記の記載は、携帯装置が測位可能な少なくとも一つの第1の関心領域の画成を含む別の実施形態を説明する。この携帯装置の位置が、関心領域の境界と比較され、測位レポートは携帯装置が前記関心領域の内部にあるか外部にあるかに応じて希薄化される。例えば、ユーザは携帯装置が所定区域の外部にあるときの測位レポートのみをデータベースに保存することに関心があるかもしれない。この場合でも、携帯装置が当該関心領域内に測位されるときには、携帯装置の位置を当該領域内の既知の点Z’で置換可能である。
【0110】
また、本発明の実施形態による本方法の別の変形例は、前記携帯装置が測位可能な少なくとも二つの関心領域を有するシステムを含んでいる。この場合、測位レポートは、携帯装置がいずれの関心領域に測位されるかに応じて、データベースに保存される。例えば、希薄化基準は各関心領域で異なってもよい。本実施形態の一例は、屋内に一つ、屋外に一つの二つの関心領域を有する測位システムである。ユーザは、携帯装置の位置領域(例:タグ)に基づいて位置履歴のクエリーを行う(問い合わせる)能力を持つことに関心がある。タグが屋外領域にある場合は、報告はより高頻度(データベース中のより多くの測位レポート)となり、タグが屋内領域にある場合は、報告はより低頻度となる。
【0111】
かかるフィルターの代表的な実用的用途は、商品、動物または人の棚卸し数と在庫区域内の位置を組み合わせる在庫管理への適用、任意の所定時間または位置における所定領域の内部または外部の人数を数えるよう設計されたセキュリティへの適用、および、企業内または企業間での装置の領域間の移動の検討である。
【0112】
ここで図10を参照すると、タグセンサコンテンツの測位レポートテレメトリデータによって測位レポートをドロップするフィルターを図示するフロー図が示される。このフィルターは本発明の一実施形態による。
【0113】
本処理は、測位レポート(LR)が受信される(201)と始まる。次に(202)、関心メッセージパラメータであるパラメータPが読み出される(203)。パラメータPおよびその関心範囲は、携帯装置の種類、携帯装置が測位されるマップ、携帯装置のカテゴリー、携帯装置のグループ、携帯装置が測位される領域、この携帯装置を測位するために使用された測位技術、測位レポート中に指示された動作指標状態等など、1個または多数のパラメータの関数であってもよい。
【0114】
次に(205)、システムは、測位レポートがパラメータPを含むか否か、および、測位レポートがユーザの関心範囲内にあるか否かを判定する(207)。測位レポートがパラメータPを含むとともに、関心の範囲内にある場合(209)は、測位レポートは次のフィルターに送られる(210)。パラメータPが存在しないか、または、関心の範囲外にある場合(211)は、測位レポートはドロップされる(212)。
【0115】
他の実施形態は、パラメータPが測位レポート中に存在する場合に、測位レポートを希薄化するフィルターを含んでもよい。
【0116】
例えば、パラメータPはタグのテレメトリデータの一部として送信される緊急押しボタン指示であってもよい。その場合緊急呼び出し(例:押しボタンが押される)は決してフィルタリングないし希薄化されない。
【0117】
当該フィルターの代表的な用途は、温度記録、湿度記録および気圧記録への適用であり、当該適用では正常範囲内にある報告がフィルタリングされる。
【0118】
他の好適な実施形態は、フィルタリング、希薄化ないし組み合わせの基準が他の多くのパラメータに基づくフィルターを含んでもよい。いくつかの例は以下のとおりである。
・測位品質(例:測位品質が悪い測位レポートはより高頻度に希薄化される)
・データベース負荷(例:負荷が高い場合は希薄化が大きい)
・データベースサイズ(例:データベースがスペース限界に近い場合は希薄化が大きい)
・携帯装置の優先度(例:優先度の高い装置は希薄化が少ない)
【0119】
図11は、図5、図6、図7、図8、図9および図10において上記に記載したサンプルの希薄化フィルターに説明した様々なパラメータによる、許容された測位レポートドロップを読み出すためのすべての選択肢を示すブロック図を示す。
【0120】
このブロック図は、データ構造221中に記載された各パラメータを多数の値をもつパラメータとして読み出し可能なことを示す。
・携帯装置のグループ224
・携帯装置のカテゴリー225
・RFIDタグに付いている場合の携帯装置のタグの種類226
・RFIDタグにに付いている場合の携帯装置のタグID227
・携帯装置のバッテリー状態228(例:高、中、低といった前もって定められたバッテリー状態条件)
・携帯装置が測位された時刻229
・測位された携帯装置の動作状態(すなわち携帯装置が動作中であるか否か)222
・携帯装置のメッセージコンテンツ中のパラメータ230
【0121】
いくつかの読み出されたパラメータをデータ構造221中に掲載されているものとしてもよいが、パラメータは掲載されたものに限定されない。これらには以下が含まれる。
・希薄化された固定間隔
・2つの測位レポート間の固定距離
・タグ間、軌跡の点形成、および領域からの距離の許容値
・ユーザの関心の時間間隔
・代表的な軌跡のリスト
・関心のメッセージコンテンツ
・関心のテレメトリ範囲
【0122】
当業者には明らかであるように、上記に記載したフィルターならびにフィルタリングパラメータを組み合わせて、複数のパラメータの組み合わせにしたがって測位レポートを希薄化する非常に高度なフィルターを作成することができる。このように、例えば、測位レポートが特定のコンテンツを含み、かつ、ある特定の時刻に受信される場合は、フィルターは測位レポートを希薄化することができる。
【0123】
本発明は、とりわけその好適な実施形態に関して図示し、詳述してきたが、上述のならびにその他の形態および詳細における変更が、発明の精神および範囲から逸脱することなくなされうることが、当業者によって理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測位システムにおけるデータベースの負荷低減方法において、
少なくとも1台の携帯装置(15)から複数の無線信号(17)を送信するステップであって、前記無線信号(17)が少なくとも前記携帯装置(15)の識別番号を含むステップと、
前記携帯装置(15)によって送信された前記無線信号(17)を少なくとも一つの無線ネットワーク(18、19)によって受信するステップであって、前記無線ネットワーク(18)は前記携帯装置(15)との通信範囲に少なくとも1台のネットワーク装置(18)を備え、前記無線ネットワーク(18)は前記携帯装置(15)の位置を推定するために使用されるデータを報告するよう動作可能なステップと、
前記無線ネットワーク(18)によって報告された前記データを少なくとも1台の測位サーバー(1)によって処理するステップであって、前記少なくとも1台の測位サーバー(1)は、前記無線ネットワーク(18)とインタフェース接続するとともに、前記無線ネットワーク(18)によって報告された前記データを処理するよう動作可能なステップと、
前記少なくとも1台の測位サーバー(1)によって、前記携帯装置(15)の複数の測位レポート(2)を生成するステップであって、前記測位レポート(2)は前記無線ネットワーク(18)によって報告されたデータに基づいているステップと、
前記測位サーバー(1)によって生成された前記複数の測位レポート(2)を前処理構成要素(3)に転送するステップと、
前記携帯装置に関するデータ報告を、前記少なくとも1台の前処理構成要素(3)と通信するよう動作可能であり、前記携帯装置(15)に関するデータ記録を保存するよう動作可能なデータベース(12)とインタフェース接続する少なくとも一つの測位アプリケーション(9)によって、保存するステップであって、前記データ記録は、前記携帯装置(15)の推定位置および識別番号を含むステップと、
前記前処理構成要素(3)において前記測位レポート(2)を処理するステップ、
および
前記データ記録中のデータが規定された基準を満たす場合にのみ、前記測位レポート(2)の前記データ記録を前記データベース12に保存するステップ
を含む方法。
【請求項2】
前記無線信号(17)がテレメトリデータを含み、および前記測位サーバー(1)によって生成された前記複数の測位レポート(2)のうち少なくとも一つが前記テレメトリデータをさらに含み、および前記データベース(12)に保存された前記少なくとも一つの測位レポートの前記データ記録が前記テレメトリデータをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複数の測位レポートを生成するステップが、時間のタイムスタンプを有する、前記測位レポート2のうち少なくとも一つを生成するステップをさらに含み、前記無線ネットワーク(18)によって報告された前記データが前記測位サーバー(1)において受信され、および、前記データベース(12)に保存された前記測位レポート2の前記データ記録が前記タイムスタンプをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記前処理構成要素(3)において処理するステップが、前記測位レポート(2)からのデータを固定データと比較するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記前処理構成要素(3)において処理するステップが、前記携帯装置位置と前記無線ネットワーク(18)の少なくとも一つの関心領域の境界とを比較するステップをさらに含み、前記保存するステップは、携帯装置(15)が前記少なくとも一つの関心領域の内部にあるか外部にあるかによる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記関心領域が単一の点位置によってさらに表され、前記前処理構成要素(3)によって、前記データ記録中の前記携帯装置位置が前記単一の点位置とさらに置き換えられる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも一つの無線ネットワーク(18)が、前記携帯装置(15)を測位できる少なくとも一つの第2の関心領域をさらに含み、前記比較するステップが、前記携帯装置位置と前記少なくとも一つの第1または第2の関心領域の境界との間の比較であり、前記保存するステップがさらに、携帯装置(15)が前記第1または第2の関心領域内に測位されるか否かによる、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記前処理構成要素(3)において前記処理するステップが、前記タイムスタンプを時刻データと比較するステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記テレメトリデータが前記携帯装置(15)のバッテリー状態をさらに含み、前記比較するステップが前記携帯装置(15)の前記バッテリー状態と前もって定められたバッテリー状態条件とを比較するステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記前処理構成要素3において前記処理するステップが第2の測位レポート(2)中のデータを前記第1の測位レポート(2)中のデータと比較するステップをさらに含み、前記第1の測位レポート(2)は前記第2の測位レポート(2)の前に前記測位サーバー(1)によって報告され、および、前記第1の測位レポート(2)は前記データベース(12)に保存されている、請求項3に記載の方法。
【請求項11】
前記比較するステップが、前記第1の測位レポート(2)中の前記携帯装置(15)の位置と前記第2の測位レポート(2)中の前記携帯装置(15)の位置との間の比較であり、
前記データベース(12)に前記第2の測位レポート(2)を保存する前記ステップが、前記第1および第2の測位レポート(2)である前記携帯装置(15)の各位置間の距離による、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記データベース(12)に前記第2の測位レポート(2)を前記保存するステップが、前記第1および前記第2の測位レポート(2)のタイムスタンプの時間差による、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の測位レポート(2)が第1の複数の測位レポート(2)および第2の測位レポート(2)をさらに含み、前記第1の複数の測位レポート(2)は、前記第2の測位レポート(2)の前に前記測位サーバー1によって報告され、および、前記第1の複数の測位レポート(2)は前記データベース(12)に保存されており、前記前処理構成要素(3)において前記処理するステップが前記第2の測位レポート(2)中のデータを前記第1の測位レポート(2)中のデータと比較するステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項14】
前記携帯装置(15)の少なくとも一つの移動パターンが定義されており、前記移動パターンは軌跡によって記述されており、前記軌跡は軌跡IDによって表されており、前記前処理構成要素(3)によって前記処理するステップは、前記測位レポート(2)中の前記携帯装置位置が前記軌跡内にあるか否かを検知するステップをさらに含み、前記データ記録中の前記携帯装置位置が前記軌跡のIDにさらに置き換えられる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記前処理構成要素(3)によって前記処理するステップは自己学習解析アルゴリズムをさらに含み、前記アルゴリズムは移動パターンを識別するのに動作が可能であるとともに、前記パターンは前記携帯装置(15)の各挙動を記述し、および、前記アルゴリズムによって前記識別された移動パターンは軌跡IDによって表される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記携帯装置(15)の前記複数の測位レポート(2)を処理するステップは、少なくとも一つのカウンタによって前記複数の測位レポート(2)を処理するステップを含み、前記カウンタは、前記測位サーバー(1)によって報告された前記携帯装置(15)の測位レポート(2)をカウントし、前記基準は、各測位レポート(2)の前記カウンタの値に基づき、および前記保存するステップは前記カウンタの値にしたがって実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記基準が複数の異なる基準から成り、および、前記保存するステップは、前記測位レポート(2)が前記複数の異なる基準すべてを満たす場合に実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
携帯装置(15)がRFIDタグ(15)である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記測位システムが少なくとも異なる2種類の前記RFIDタグ(15)をさらに備え、前記RFIDタグの種類が前記測位サーバー(1)によって前記測位レポート(2)中に報告される方法において、
前記規定された基準が前記タグの種類によって異なる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記測位システムが、少なくとも二つの異なる位置技術によって前記RFIDタグ(15)を測位する能力をさらに含み、前記ロケーションテクノロジーが前記測位サーバー(1)によって前記測位レポート(2)中に報告される方法において、
前記規定された基準が前記ロケーションテクノロジーによって異なる
請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記無線信号(17)が、IEEE802.11x無線信号、セルラー方式無線信号、IEEE802.15.x信号、超広帯域信号、超音波信号および赤外線信号のうち少なくとも一つである、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記前処理構成要素(3)がアプリケーションゲートウェイの一部である、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記低減するステップが前記データベース(12)のサイズを低減するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記携帯装置(15)が、無線信号を受信する手段(17)、前記受信無線信号(17)のパラメータを測定する手段、およびその位置を推定する手段をさらにを含む方法であって、
前記位置が、前記受信無線信号(17)の前記測定パラメータにしたがって前記携帯装置(15)によって推定され、前記携帯装置(15)による前記推定位置は前記少なくとも1台の測位サーバー(1)に報告され、前記測位サーバー(1)は前記携帯装置(15)による推定位置にしたがって測位レポート2を生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記携帯装置位置を推定する前記手段がGPS受信機を備える、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記少なくとも1台のネットワーク装置(18)が無線ビーコン(17)を送信する手段をさらに含み、前記携帯装置(15)が前記無線ビーコン(17)を受信する手段をさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記少なくとも1台のネットワーク装置(18)が無線ビーコン(17)を送信する手段をさらに含み、
前記携帯装置(15)が、無線信号を受信する手段(17)、前記受信無線信号(17)のパラメータを測定する手段および前記測定パラメータを前記測位サーバー(1)に報告する手段をさらに含み、
前記測位サーバー(1)は、前記携帯装置(15)によって報告された前記測定パラメータにしたがって測位レポート(2)を生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
携帯装置(15)を測位するよう動作可能な測位システムにおいて、
無線信号(17)を送信するよう動作可能な少なくとも1台の携帯装置(15)であって、前記無線信号(17)が前記携帯装置(15)の識別番号を少なくとも含む携帯装置(15)と、
少なくとも一つの無線ネットワーク(18)であって、前記無線ネットワーク(18)は、前記携帯装置(15)との通信範囲に少なくとも1台のネットワーク装置(18)を備え、前記少なくとも1台のネットワーク装置(18)は、前記携帯装置(15)によって送信された前記無線信号(17)を受信するよう動作可能であり、および前記無線ネットワークは、前記携帯装置(15)の位置を推定するために使用されるデータを報告するよう動作可能なネットワーク(18)と、
少なくとも1台の測位サーバー(1)であって、前記少なくとも1台の測位サーバー(1)は、前記無線ネットワークとインタフェース接続するとともに前記無線ネットワーク(18)によって報告された前記データを処理するよう動作可能であり、前記携帯装置(15)は、複数の無線信号(17)を送信し、前記複数の無線信号(17)は、前記無線ネットワークよって受信され、前記少なくとも1台の測位サーバー(1)は、前記携帯装置(15)の複数の測位レポート(2)を生成し、前記測位レポート(2)は前記無線ネットワークよって報告されたデータに基づいている測位サーバー(1)と、
前記少なくとも1台の測位サーバー(1)と通信するよう動作可能な少なくとも1台の前処理構成要素(3)であって、前記測位サーバー(1)によって生成された前記複数の測位レポート(2)が前記前記前処理構成要素(3)に転送される前処理構成要素(3)と、
前記少なくとも1台の前処理構成要素(3)と通信するよう動作可能であり、前記携帯装置(15)に関するデータ記録を保存するよう動作可能なデータベース(12)とインタフェース接続する少なくとも一つの測位アプリケーション(9)であって、前記データ記録は、前記携帯装置(15)の推定位置および識別番号を含む測位アプリケーション(9)と、
を備え、
前記前処理構成要素は前記データベースの負荷を低減するよう動作可能であり、前記低減が、前記前処理構成要素(3)において前記測位レポート(2)を処理するステップと、
前記データ記録中のデータが規定された基準を満たす場合にのみ、前記測位レポート(2)の前記データ記録を前記データベース(12)に保存するステップとを含む、測位システム。
【請求項29】
前処理構成要素測位システムにおける前処理構成要素(3)において、
前記測位システムは、携帯装置(15)を測位するよう動作可能であり、前記測位システムは無線信号(17)を送信するよう動作可能な少なくとも1台の携帯装置(15)であって、前記無線信号17が前記携帯装置15の識別番号を少なくとも含む携帯装置(15)と、
少なくとも一つの無線ネットワーク(18)であって、前記無線ネットワーク(18)は、前記携帯装置15との通信範囲に少なくとも1台のネットワーク装置(18)を備え、前記少なくとも1台のネットワーク装置(18)は、前記携帯装置(15)によって送信された前記無線信号(17)を受信するよう動作可能であり、および前記無線ネットワーク(18)は前記携帯装置(15)の位置を推定するために使用されるデータを報告するよう動作可能な無線ネットワーク(18)と、
少なくとも1台の測位サーバー(1)であって、前記少なくとも1台の測位サーバー(1)は、前記無線ネットワーク(18)とインタフェース接続するとともに前記無線ネットワーク(18)によって報告された前記データを処理するよう動作可能であり、前記携帯装置(15)は、複数の無線信号(17)を送信し、前記複数の無線信号(17)は、前記無線ネットワーク(18)によって受信され、前記少なくとも1台の測位サーバー(1)は前記携帯装置(15)の複数の測位レポート(2)を生成し、前記測位レポート(2)は前記無線ネットワーク(18)によって報告されたデータに基づいている測位サーバー(1)と、
前記少なくとも1台の測位サーバー(1)と通信するよう動作可能な少なくとも1台の前処理構成要素(3)であって、前記測位サーバー(1)によって生成された前記複数の測位レポート(2)が前記前処理構成要素(3)に転送される前処理構成要素(3)と、
前記少なくとも1台の前処理構成要素(3)と通信するよう動作可能であり、前記携帯装置(15)に関するデータ記録を保存するよう動作可能なデータベース(12)とインタフェース接続する少なくとも一つの測位アプリケーション(9)であって、前記データ記録は、前記携帯装置(15)の推定位置および識別番号を含む測位アプリケーション(9)と、
を備え、
前記前処理構成要素(3)は、前記測位レポート(2)を処理し、前記データ記録中のデータが規定された基準を満たす場合にのみ前記測位レポート(2)の前記データ記録を前記データベース(12)に保存する、前処理構成要素(3)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2013−505458(P2013−505458A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530404(P2012−530404)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【国際出願番号】PCT/IL2010/000749
【国際公開番号】WO2011/033504
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(512072522)エアロスカウト、リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】AEROSCOUT LTD
【住所又は居所原語表記】3 Pekeris St. Park Tamar, 76702 Rehovot, Israel
【Fターム(参考)】