リアルタイム遺伝子発現プロフィール解析

【課題】1つ以上の対象となる拡散配列の増幅をリアルタイムでモニタリングする方法を提供する。
【解決手段】(a)核酸サンプルを第1および第2のオリゴヌクレオチドプライマーと接触させるステップと、(b)ステップ(a)で得られた混合物を増幅処理にかけるステップと、(c)混合物の一定分量を採取し、その一定分量における核酸分子を分離し、少なくとも1つの検出可能なマーカーの取り込みを検出するステップとを含む方法。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
感度がよくそして選択的な特定の核酸配列の増幅を特色とするポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、例えば、クローニング、遺伝子発現解析、DNAシーケンシング、遺伝子地図作成および診断学での利用において、ほとんど比類ない重要なリサーチ手段となってきた。
【0002】
PCR法の主要な特質の1つはその速さであり、しばしば標的配列を数分〜数時間以内に増幅する一方、PCR反応のリアルタイムモニタリングをする必要性がある。これは定量PCR法について特に当てはまることであり、検出可能なPCR産物の存在量を、それが増幅されたサンプル中の鋳型の存在量と相関させようとする。それらの方法において、PCR増幅が、産物の存在量がもはや元の鋳型の存在量を反映しなくなる安定期または静止期に達するために、そして増幅効率における配列特異的変動がそのプロセスによって増大するために、増幅におけるある時点での標的産物の量を視覚化可能にすることがしばしば重要となる。
【0003】
さらに、増幅反応のリアルタイムモニタリングが、複数標的の増幅においてはるかに正確な標的DNAの初期濃度の定量を可能にするのは、終濃度の相対値が反応中の過去の相対濃度値を考慮に入れることで決定され得るためである。リアルタイムモニタリングはまた、増幅反応の効率を評価することを可能にし、サンプル中に反応阻害物質が存在するか否かを示すことができる。
【0004】
Hollandら(1991, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 88: 7276-7280)、米国特許第5,210,015号等は、蛍光ベースのアプローチを開示することでPCR中の増幅産物のリアルタイム計測を提供してきた。そのようなアプローチは、インターカレート色素(臭化エチジウム)を用いて二本鎖DNAの存在量を示すか、または蛍光-消光ペア(「Taq-Man」法とも呼ばれる)を含むプローブを用いる(増幅中にプローブが切断されることで蛍光分子が遊離し、その濃度が二本鎖DNAの存在量に比例する)かのどちらかであった。増幅中に、プローブは標的配列とハイブリダイズした際にポリメラーゼのヌクレアーゼ活性によって分解され、蛍光分子を消光分子から解離させ、それによってレポーター分子由来の蛍光を発生させる。
【0005】
Taq-Man法は、レポーター分子-消光分子ペアを含むオリゴヌクレオチドプローブを用い、これは標的ポリヌクレオチド「下流」(つまり、プライマー結合部位の伸長方向)の領域に特異的にアニールする。レポーター分子および消光分子は、互いに十分に近接したプローブ上に存在することで、レポーター分子が励起された場合には必ず、励起状態のエネルギーが無放射的に消光分子に移行して、無放射的に消散するか、またはレポーター分子とは異なる発光周波数で発光する。DNAポリメラーゼによる鎖伸長の間に、プローブは鋳型にアニールして、ポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性によって消化される。プローブが消化された結果、レポーター分子は消光分子から事実上分離し、消光分子はもはやレポーター分子の蛍光を消光するのに十分なほどにはレポーター分子と近接していない。従って、増幅中により多くのプローブが消化されるほど溶液中のレポーター分子の数は増加し、ゆえに消光されないレポーター分子の数が増加する結果となり、これがより強い蛍光シグナルを発する。
【0006】
他の最も一般的に用いられるリアルタイムPCR法は、「分子ビーコン」と呼ばれる技術を用いる。このアプローチもまた、オリゴヌクレオチドプローブ上の消光基-蛍光基ペアの存在に基づく。ビーコン法において、プローブはステムループ構造を有するよう設計され、そして分子の両端を蛍光基およびこの蛍光基の消光基で各々標識する。標的ポリヌクレオチドの非存在下で、分子の片側における相補配列はステム形成を可能にし、分子の標識化末端を引き合わせることにより、蛍光基からの蛍光が消失する。標的ポリヌクレオチド(ビーコンプローブのループおよびステム構造の一部と相補的な配列を有する)の存在下で、プローブの標的物への分子間ハイブリダイゼーションはエネルギー的に分子内ステムループ形成より有利であり、蛍光基と消光基とが分離する結果、蛍光シグナルが蛍光基の励起によって発せられる。より多くの標的が存在するほど、より多くのプローブがそれにハイブリダイズし、より多くの蛍光基が消光から開放され、リアルタイムに増幅プロセスの読み取りを提供する。
【0007】
Taq-Manおよびビーコン技術の双方は、各々の遺伝子標的配列に対して特異的な個々の二重標識プローブを作製する必要があるという点で制限される。
【0008】
リアルタイム増幅における「マルチプレックス」(同一の増幅反応において、複数の遺伝子の解析を実施する)への能力は、一般に使用される蛍光色素の光学分離に制限される。一般的には、マルチプレックスリアルタイム反応において解析され得る遺伝子の最大数は、4つに制限される。さらに、定量解析は増幅の非特異的産物の存在によってしばしば困難となり得る。
【0009】
キャピラリー電気泳動は、遺伝子発現を定量的に検出するのに用いられてきた。Rajevicら(2001, Pflugers Arch. 442(6 Suppl 1):R190-2)は、多くの腫瘍遺伝子の発現における相違を同時に検出するために7種のプライマー対を用いることによって、腫瘍遺伝子の異なる発現を検出する方法を開示する。センスプライマーは蛍光色素で5’末端標識され、マルチプレックス蛍光RT-PCRの結果を、ABI-PRISM 310 Genetic Analyzerにおけるキャピラリー電気泳動によって解析した。Borsonら(1998, Biotechniques 25:130-7)は、産物の迅速な分離および検出のためのキャピラリー電気泳動(CE)と連結した、定量的な競合逆転写PCR(QC-RT-PCR)に基づいた、少量mRNA転写物の信頼性のある定量のための方法を記載する。Georgeら(1997, J. Chromatogr. B. Biomed. Sci. Appl. 695:93-102)は、ESTパターンを生じる蛍光ディファレンシャルディスプレーの同定をするためのキャピラリー電気泳動システム(ABI 310)の利用を記載する。Odinら(1999, J. Chromatogr. B. Biomed. Sci. Appl. 734:47-53)は、PCR増幅cDNAの分離および定量のための多色検出による自動キャピラリーゲル電気泳動を記載する。
【0010】
Omoriら(2000, Genomics 67:140-5)は、オリゴ(dT)プライマーを用いた2種の独立した逆転写cDNAサンプルにおける競合PCRによって、市販のα-グロブリンmRNAの量を測定および比較する。オリゴ(dT)プライマーは、3’オリゴ(dT)配列および5’共通配列を共有する。さらに、各サンプルに対するオリゴ(dT)プライマーはまた、3’オリゴ(dT)配列と5’共通配列との間に独自の29ヌクレオチド配列を含む。第1鎖cDNAの合成後、遺伝子特異的プライマーおよび共通配列と相補的な独自に標識したプライマーを用いてPCRを行って、cDNAを増幅する。増幅したPCR産物を次に、蛍光スキャナーの検出プレート上にスポッティングすることで解析する。
【0011】
当技術分野において、リアルタイムPCR法に必要なのは、PCR反応における産物の全範囲での視覚化を可能にすることである。サンプル特異的な様式で同じ反応における多重産物の増幅プロセスをモニターする方法の必要性と同様に、当技術分野においてリアルタイムPCR法にさらに必要なのは、同じ反応における多重増幅産物についての増幅プロセスのモニタリングを可能にすることである。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、1つ以上の対象となる核酸配列の増幅をモニタリングする方法に関する。より詳細には、本発明は対象となる配列の増幅をリアルタイムでモニタリングする方法に関する。本明細書に記載する方法は、2つ以上のサンプル由来の1つまたは2つ以上の配列の増幅をモニタリングする方法のみならず、1つのサンプル由来の1つの配列または2つ以上の配列の増幅をモニタリングする方法を提供する。本発明のモニタリング法は、1つ以上の元のサンプル中の1つ以上の標的核酸(特に標的RNA種)の存在量の改良した測定を可能にする。
【0013】
本発明は対象となる核酸配列の増幅のモニタリングのための方法を包含し、本方法は:(a)核酸サンプルを第1および第2のオリゴヌクレオチドプライマーと接触させるステップ(ここで第1のオリゴヌクレオチドプライマーは対象となる核酸配列を含有する核酸分子と特異的にハイブリダイズし、かつ第2のオリゴヌクレオチドプライマーは対象となる核酸配列の相補鎖と特異的にハイブリダイズし、ここで、1つのオリゴヌクレオチドプライマーのプライマー伸長産物は、その相補物から解離した場合に、他のプライマーの伸長産物を合成するための鋳型となることができ、そしてここで、第1および第2のプライマーの少なくとも1つが標識されており、好ましくは検出可能なマーカーで標識されている)と;(b)ステップ(a)で得られた混合物を増幅処理にかけるステップ(ここでこの処理は核酸鎖の解離、オリゴヌクレオチドプライマーのアニーリングおよびアニールしたプライマーのポリメラーゼ伸長のサイクルを少なくとも2回含む)と;(c)混合物の一定分量を採取し、その一定分量における核酸分子を分離し、少なくとも1つの検出可能なマーカーの取り込みを検出するステップ(ここで採取はステップ(b)のサイクリング処理中、少なくとも1回のサイクルの後に実施し、ここで、核酸分子を分離するステップおよび取り込みを検出するステップは、ステップ(b)の処理中にリアルタイムで実施し、かつここで、検出はリアルタイムで増幅のモニタリングを可能にする)とを含む。
【0014】
1つの実施形態において、検出可能な標識は、吸光色素、蛍光色素または放射性標識を含む。好ましい実施形態において、検出可能な標識は蛍光色素を含む。
【0015】
1つの実施形態において、ステップ(c)は増幅処理における各々のサイクルの後に実施される。
【0016】
別の実施形態において、核酸分子の分離のステップは、キャピラリー電気泳動を含む。
【0017】
別の実施形態において、サンプルは逆転写反応の産物を含む。
【0018】
別の実施形態において、ステップ(a)〜(c)は、サーマルサイクラー、サンプリング装置、キャピラリー電気泳動装置および蛍光検出器を含むモジュール装置において実施される。好ましい実施形態において、モジュール装置はロボットアームを含む。
【0019】
別の実施形態において、モニタリングはサンプル中の対象となる配列を含む核酸の存在量の測定を可能にする。
【0020】
本発明はさらに、対象となる核酸配列のセットの増幅をモニタリングする方法を包含し、本方法は:(a)反応容器内で核酸サンプルをオリゴヌクレオチドプライマー対のセットと接触させるステップ(ここで、各々の対は対象となる核酸配列を含有する核酸分子と特異的にハイブリダイズする第1のオリゴヌクレオチドプライマー、および対象となる核酸配列の相補鎖と特異的にハイブリダイズする第2のオリゴヌクレオチドプライマーを含み、ここで、1つのオリゴヌクレオチドプライマーのプライマー伸長産物は、その相補物から解離した場合、他のプライマーの伸長産物の合成のための鋳型となることができ;オリゴヌクレオチド対の各々は対象となる核酸配列の1つに特異的であり;そのセットにおける各々のオリゴヌクレオチドプライマー対を選択することで、後の増幅処理において、区別可能なサイズの増幅産物が得られ;そしてオリゴヌクレオチド対の各々における1つのオリゴヌクレオチドは検出可能に標識される)と;(b)ステップ(a)で得られた混合物を、核酸鎖の解離、オリゴヌクレオチドプライマーのアニーリングおよびアニールしたプライマーのポリメラーゼ伸長の反復サイクルを少なくとも2回含む増幅処理にかけるステップ(ここで、増幅処理中、少なくとも1回の反復サイクルの後に、混合物の一定分量を反応容器から採取して、その一定分量中の核酸分子を分離する)と;(c)その一定分量に存在する区別可能なサイズのプライマー伸長産物における検出可能な標識の取り込みを検出するステップ(ここで、この検出は対象となる核酸配列の増幅のリアルタイムプロフィールを提供する)とを含む。
【0021】
1つの実施形態において、検出可能な標識は吸光色素、蛍光色素または放射性標識を含む。好ましい実施形態において、検出可能な標識は蛍光色素を含む。
【0022】
1つの実施形態において、増幅処理における各々のサイクルの後に一定分量を採取し、そして一定分量中の核酸分子を分離および検出する。
【0023】
別の実施形態において、核酸分子の分離のステップはキャピラリー電気泳動を含む。
【0024】
別の実施形態において、サンプルは逆転写反応の産物を含む。
【0025】
別の実施形態において、ステップ(a)〜(c)は、サーマルサイクラー、サンプリング装置、キャピラリー電気泳動装置および蛍光検出器を含むモジュール装置において実施される。好ましい実施形態において、モジュール装置はロボットアームを含む。
【0026】
別の実施形態において、モニタリングはサンプル中の対象となる核酸配列のセットを含む核酸の存在量の測定を可能にする。
【0027】
本発明はさらに、対象となる核酸配列のセットの増幅をモニタリングする方法を包含し、本方法は:(a)鋳型核酸サンプルにアニールした逆転写プライマーの伸長によって、複数の逆転写産物を合成するステップ(ここで、各々の逆転写産物は逆転写プライマーに含まれる共通配列タグを含む)と;(b)反応容器内の逆転写産物を(i)対象となる核酸配列のセットを認識するオリゴヌクレオチドプライマーのセット(ここで、各々のオリゴヌクレオチドプライマーを選択することで、後の増幅処理において区別可能なサイズの増幅産物が得られる)、および(ii)共通配列タグを認識する検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドプライマーと接触させるステップと;(c)ステップ(b)から得られた混合物を、核酸鎖の解離、オリゴヌクレオチドプライマーのアニーリングおよびアニールしたプライマーのポリメラーゼ伸長の反復サイクルを少なくとも2回含む増幅処理にかけるステップ(ここで、増幅処理中、少なくとも1回の反復サイクルの後に、混合物の一定分量を反応容器から採取して、その一定分量中の核酸分子を分離する)と;(d)その一定分量中に存在する区別可能なサイズのプライマー伸長産物における検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドプライマーの取り込みを検出するステップ(ここで、この検出は対象となる核酸配列のセットの増幅のプロフィールを提供する)とを含む。
【0028】
1つの実施形態において、検出可能な標識は、吸光色素、蛍光色素または放射性標識を含む。好ましい実施形態において、検出可能な標識は蛍光色素を含む。
【0029】
1つの実施形態において、増幅処理における各々のサイクルの後に一定分量を採取し、そして一定分量中の核酸分子を分離および検出する。好ましい実施形態において、採取した各々の一定分量について、反応物を反応混合物(プライマー、ヌクレオチドおよびポリメラーゼを含む)の一定分量で再補充して、サンプルの採取による体積損失を補填する。
【0030】
別の実施形態において、一定分量の採取、分離および検出ステップは、増幅のリアルタイムモニタリングを可能にする。
【0031】
別の実施形態において、核酸分子の分離のステップはキャピラリー電気泳動を含む。
【0032】
別の実施形態において、ステップ(a)〜(d)は、サーマルサイクラー、サンプリング装置、キャピラリー電気泳動装置および蛍光検出器を含むモジュール装置において実施される。好ましい実施形態において、モジュール装置はロボットアームを含む。
【0033】
別の実施形態において、モニタリングはサンプル中の対象となる核酸配列のセットを含む核酸の存在量の測定を可能にする。
【0034】
本発明はさらに、サンプルのセットの中で対象となる核酸配列の発現を比較する方法を包含し、本方法は:(a)各サンプルに対し、異なるサンプル特異的な配列タグを含有するオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、サンプルのセットの各々のメンバーから複数の第1鎖cDNAを別々に合成するステップと;(b)ステップ(a)由来の等量の第1鎖cDNAを混合するステップと;(c)ステップ(b)で得られた混合物を反応容器内で以下:(i)ステップ(a)で用いた各々のサンプル特異的な配列タグに対応する、別個の、識別可能で検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドプライマー(ここで、前記プライマーは、サンプル特異的なタグと相補的な配列を含む核酸分子へのプライマーの特異的なアニーリングを可能にするのに十分な、サンプル特異的な配列タグに含まれる配列を含む)、および(ii)対象となる配列を含有する核酸分子へのプライマーの特異的なアニーリングを可能にするのに十分な、対象となる核酸配列と相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドプライマー(ここで、サンプル特異的な配列タグに対応するプライマーおよび対象となる核酸配列と相補的な配列を含有するプライマーは、プライマー伸長産物を生成し、これはその相補物から解離した場合、他のプライマーのプライマー伸長産物の合成のための鋳型となり得る)を含むオリゴヌクレオチドプライマーと接触させるステップと;(d)ステップ(c)の混合物を、核酸鎖の解離、オリゴヌクレオチドプライマーのアニーリングおよびアニールしたプライマーのポリメラーゼ伸長の反復サイクルを少なくとも2回含む増幅処理にかけるステップと;(e)増幅処理中、少なくとも1回の反復サイクルの後に、一定分量を反応容器から採取して、その一定分量中の核酸を分離し、そして各々のサンプル特異的な配列タグに対応する識別可能で検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドプライマーを含むプライマー伸長産物を検出するステップ(ここで、核酸分子の分離および取り込みの検出はステップ(d)の処理中にリアルタイムで実施され、ここで、検出はリアルタイムで増幅のモニタリングを可能にする)と;(f)サンプル特異的なタグに対応する標識由来の検出可能なシグナルを比較し、それによりサンプル間で対象となる遺伝子の発現を比較するステップとを含む。
【0035】
1つの実施形態において、検出可能な標識は、吸光色素、蛍光色素または放射性標識を含む。好ましい実施形態において、検出可能な標識は蛍光色素を含む。
【0036】
1つの実施形態において、一定分量を採取するステップ、その一定分量中の核酸を分離するステップ、およびプライマー伸長産物を検出するステップは、増幅処理中の各々のサイクルの後に実施される。
【0037】
別の実施形態において、核酸分子の分離のステップはキャピラリー電気泳動を含む。
【0038】
別の実施形態において、ステップ(a)〜(c)は、サーマルサイクラー、サンプリング装置、キャピラリー電気泳動装置および蛍光検出器を含むモジュール装置において実施される。
【0039】
別の実施形態において、モジュール装置はロボットアームを含む。
【0040】
本発明はさらに、核酸配列のセットの増幅をモニタリングする方法を包含し、本方法は:(a)逆転写産物のセット中に存在する核酸配列のセットを増幅するステップ〔ここで、増幅は、鎖の解離、オリゴヌクレオチドプライマーのアニーリングおよびアニールしたプライマーのポリメラーゼ伸長の少なくとも2回のサイクルの処理を含み、ここで、セット中の各々の逆転写産物は、逆転写プライマーの伸長によって作製されたものであり、逆転写産物のセットは以下:逆転写産物の1つ以上のサブセットを含み、ここで、各々のサブセットは1つの核酸サンプル由来の複数の逆転写産物を含有し、ここで、逆転写産物の各々のサブセットのメンバーは、逆転写プライマー内に取り込まれたサンプル特異的な配列タグを含み、ここで、増幅は、逆転写産物のセットを以下のオリゴヌクレオチドプライマーの2つのセット:(i)遺伝子特異的プライマーのセット(ここで、セット中の各々の遺伝子特異的プライマーは核酸サンプル中で発現する特定の核酸配列を認識し、そしてここで、セット中の他の遺伝子特異的プライマーで生成する増幅産物とサイズで区別可能な増幅産物が生成されるように、セット中の各々の遺伝子特異的プライマーを選択する)、および(ii)サンプル特異的なプライマーのセット(ここで、各々のサンプル特異的なプライマーは、逆転写プライマー内に取り込まれたサンプル特異的なタグに特異的にハイブリダイズし、そしてここで、サンプル特異的なプライマーのセット中の各々のサンプル特異的なプライマーは、識別できるように標識される)と接触させることを含む〕と;(b)処理中に、プライマー伸長ステップの後、増幅混合物の一定分量を採取し、そしてその一定分量中の核酸を分離するステップと;(c)一定分量中の各々のサンプル特異的なプライマーの取り込みを検出するステップ(ここで、検出は、各サンプルにおいて、遺伝子特異的プライマーのセットによって認識される核酸のセットの増幅をリアルタイムでモニターする)とを含む。
【0041】
1つの実施形態において、検出可能な標識は、吸光色素、蛍光色素または放射性標識を含む。好ましい実施形態において、検出可能な標識は蛍光色素を含む。
【0042】
1つの実施形態において、一定分量を採取し、その一定分量中の核酸を分離し、そしてその中のプライマー伸長産物を検出するステップは、増幅処理中の各々のサイクルの後に実施される。
【0043】
別の実施形態において、核酸分子の分離のステップはキャピラリー電気泳動を含む。
【0044】
別の実施形態において、ステップ(a)〜(c)は、サーマルサイクラー、サンプリング装置、キャピラリー電気泳動装置および蛍光検出器を含むモジュール装置において実施される。好ましい実施形態において、モジュール装置はロボットアームを含む。
【0045】
別の実施形態において、モニタリングは前記の逆転写産物が作製されたサンプル中の対象となる核酸配列のセットを含む核酸の存在量の測定を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は、本明細書で詳細に記載する本発明の異なる態様の好ましい実施形態を図解的に示した図である。
【図2】図2は、本明細書で詳細に記載する本発明の異なる態様の好ましい実施形態を図解的に示した図である。
【図3】図3は、本明細書で詳細に記載する本発明の異なる態様の好ましい実施形態を図解的に示した図である。
【図4】図4は、本明細書で詳細に記載する本発明の異なる態様の好ましい実施形態を図解的に示した図である。
【図5】図5は、本明細書で詳細に記載する本発明の異なる態様の好ましい実施形態を図解的に示した図である。
【図6】図6は、本明細書で詳細に記載する本発明の異なる態様の好ましい実施形態を図解的に示した図である。
【図7】図7は、1回の増幅反応における複数の増幅産物の定量的検出を試験する実験の結果を示す。
【図8】図8は、既知の量の異なるRNAを用いた発現差異解析の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
定義
本明細書で使用する用語「サンプル」は、自然環境から単離され、ポリヌクレオチドを含む生体物質を指す。本発明の「サンプル」は、精製もしくは単離されたポリヌクレオチドから構成されてもよく、またはポリヌクレオチドを含有する組織サンプル、体液サンプルもしくは細胞サンプル等の生体サンプルを含んでもよい。体液は、血液、血漿、唾液、尿、脳脊髄液、洗浄液および白血球泳動サンプルを含む。本発明のサンプルは、ポリヌクレオチドを含むあらゆる植物、動物、細菌またはウイルス材料であり得る。
【0048】
本明細書で使用する「オリゴヌクレオチドプライマー」は、鋳型ポリヌクレオチドにアニールすることおよび鋳型ポリヌクレオチドと相補的な伸長産物を産生するための3’末端を提供することが可能なポリヌクレオチド分子(つまりDNAまたはRNA)を指す。開始および伸長のための条件は、通常、4種の異なるデオキシリボヌクレオシド三リン酸、およびDNAポリメラーゼまたは逆転写酵素等の重合促進剤が、適切なバッファー(「バッファー」は、補因子であるかまたはpH、イオン強度等に作用する置換を含む)中で、適切な温度で存在することを含む。本発明のプライマーは、一本または二本鎖であり得る。プライマーは、増幅における最大効率のためには一本鎖であり、そしてプライマーおよびその相補体は二本鎖ポリヌクレオチドを形成する。本発明において有用な「プライマー」は、ヌクレオチド長が100以下であり、例えば90または80または70または60または50または40または30または20または15または10ヌクレオチド長以下である。
【0049】
本明細書で使用する用語「特異的にハイブリダイズする」は、特定のハイブリダイゼーション条件下において、プローブまたはプライマーが標的配列を含有するサンプル中の標的配列にのみハイブリダイズすることを意味する。特定のハイブリダイズ条件は、増幅処理におけるアニーリングステップのための条件(つまり、予測されるTmに基づいて選択されるアニーリング温度および選択したポリメラーゼ酵素に適切な塩条件)を含む。
【0050】
本明細書で使用する用語「対象となる核酸配列」または「標的配列」は、サンプルにおける核酸配列を指し、その存在または存在量を測定することが望まれるものである。対象となる配列は、ほとんどの場合RNA発現単位または遺伝子の転写物であるが、あらゆる核酸配列であってよく、それらは例えばウイルス、細菌、真菌もしくはより高等な真核生物ゲノムに含まれる配列または人工もしくは合成配列である。
【0051】
本明細書で使用する用語「増幅処理」は、対象となる核酸配列の存在量を特異的に増幅するプロセスを意味する。本発明の増幅処理は、熱変性、オリゴヌクレオチドプライマーの鋳型分子へのアニーリング、およびアニールしたプライマーの核酸ポリメラーゼ伸長の反復サイクルを少なくとも2回、そして好ましくは少なくとも5、10、15、20、25、30、35回またはそれ以上含む。これらの各々のステップに必要な条件および時間は当技術分野においてよく知られている。増幅処理を用いて達成される増幅は、好ましくは指数関数的であるが、しかし直線的にもなり得る。本発明の増幅処理は、好ましくはサーマルサイクラー内で実施され、その多くは市販のものである。
【0052】
本明細書で使用する用語「鎖の解離」は、核酸サンプルの処理を行うことを意味し、そうすることで相補的な二本鎖分子が2本の一本鎖に解離してオリゴヌクレオチドプライマーにアニーリングすることができるようになる。本発明の鎖の解離は、核酸サンプルをそのTm以上に加熱することで達成される。一般的には、核酸ポリメラーゼに適したバッファー中に核酸分子を含むサンプルに関して、94℃まで加熱することは本発明の鎖の解離を達成するのに十分である。例示的なバッファーは、50mM KCl、10mM Tris-HCl(pH8.8@25℃)、0.5〜3mM MgCl2および0.1%BSAを含む。
【0053】
本明細書で使用する用語「プライマーのアニーリング」は、オリゴヌクレオチドプライマーを鋳型核酸鎖にハイブリダイズ可能にすることを意味する。プライマーのアニーリングのための条件は、プライマーの長さおよび配列によって変化し、そしてそのプライマーに対して算出されたTmに基づく。一般的に、増幅処理におけるアニーリングステップは、鎖の解離のステップの後に、プライマー配列に対して算出されたTmに基づく温度まで、そのようなアニーリングを可能にするのに十分な時間に渡って温度を低下させることを含む。Tmは、当業者により広く利用可能な多くのアルゴリズム(例えば、Oligo(商標)、Primer Designおよびインターネットで利用可能なプログラムであり、Primer3およびOligo Calculatorを含む)のいずれかを用いて容易に予測することができる。大抵の増幅処理に関して、アニーリング温度は予測されたTmより約5℃低くなるように選択されるが、Tm付近およびそれ以上の温度(例えば、予測されたTmの1℃〜5℃以下または予測されたTmの1℃〜5℃以上)を使用することができ、同様に予測されたTmの5℃以下または以上の温度(例えば、6℃以下、8℃以下、10℃以下、および6℃以上、8℃以上または10℃以上)を使用することができる。一般的に、アニーリング温度がTmに近いほど、アニーリングがより特異的になる。プライマーアニーリングの時間は、反応物の体積に大きく依存し、体積が大きいほどより長い時間を要するが、さらにプライマーおよび鋳型の濃度にも依存し、鋳型に対するプライマーの相対濃度が高いほど、相対濃度が低い場合に比べて要する時間はより短い。体積および相対的なプライマー/鋳型濃度に依存して、増幅処理中のプライマーアニーリングステップは約1秒〜5分間となり得るが、しかし一般的には10秒〜2分間、好ましくは約30秒〜2分間である。
【0054】
本明細書で使用する用語「ポリメラーゼ伸長」は、核酸ポリメラーゼによる、アニーリングしたプライマーの3’末端における、少なくとも1つの相補的ヌクレオチドの鋳型依存的な取り込みを意味する。ポリメラーゼ伸長は、好ましくは2つ以上のヌクレオチドが増加することであり、好ましくは鋳型の全長に相当するヌクレオチドまでおよびそれを含むものである。ポリメラーゼ伸長のための条件は、ポリメラーゼの独自性により変化する。ポリメラーゼ伸長の温度は、酵素の既知の活性特性に基づく。一般的には、酵素はその至適伸長温度以下で少なくとも活性の一部を保持するが、最も一般的に用いられる耐熱性ポリメラーゼ(例えば、Taqポリメラーゼおよびそれらの変異体)によるポリメラーゼ伸長は、65℃〜75℃で、好ましくは約68〜72℃で実施される。
【0055】
本明細書で使用する用語「一定分量(aliquot)」は、サイクリング処理中に採取された増幅反応物のサンプルを指す。一定分量は、反応物の総体積より少なく、そして好ましくは体積で0.1〜30%である。本発明の1つの実施形態において、採取した各々の一定分量に対し、反応に必要な試薬(例えば、バッファー、塩、ヌクレオチドおよびポリメラーゼ酵素)を含有する等量の反応バッファーが加えられる。
【0056】
本明細書で使用する用語「核酸分子の分離」は、サンプルまたは一定分量中の核酸分子を、サイズまたは荷電に基づいて物理的に分離するプロセスを指す。電気泳動分離が好ましく、そしてキャピラリー電気泳動分離が最も好ましい。
【0057】
本明細書で使用する用語「リアルタイム」は、核酸増幅反応における産物の蓄積の計測が少なくとも開始し、そして好ましくは増幅処理の間またはそれと同時に完了することを意味する。従って、「リアルタイム」であると考えられる計測プロセスに関して、各々の一定分量における増幅産物の計測または検出の開始は少なくとも、増幅プロセスと同時である。「開始する」は、一定分量が採取され、かつ分離装置(例えば、キャピラリー電気泳動キャピラリー)内にセットされて分離が始まることを意味する。計測の完了は、一定分量由来の分離された核酸中の標識種の検出である。分離および検出のために必要な時間が増幅処理の個々のサイクルの時間を超過し得るため、増幅産物の検出において増幅処理の完了を最大120分まで経過する遅延があり得る。好ましくはそのような遅延または遅滞は30分未満であり(例えば、25分、20分、15分、10分、5分、4分、3分、2分、1分以下)、遅延または遅滞がないことを含む。
【0058】
本明細書で使用する用語「キャピラリー電気泳動」は、増幅反応物由来の一定分量中の核酸分子の電気泳動分離を意味し、この分離はキャピラリー管内で実施される。キャピラリー管は内径約10〜300μmのものが使用可能であり、長さが約0.2cm〜約3mの範囲であり得るが、しかし好ましくは0.5cm〜20cmの範囲内、最も好ましくは0.5cm〜10cmの範囲内である。さらに、マイクロ流体マイクロキャピラリー(例えば、CaliperまたはAgilent Technologiesより入手可能)の使用は、特に「キャピラリー電気泳動」の手段の範囲内に意図される。本明細書で使用する用語「逆転写反応」は、in vitro酵素反応を指し、ここで鋳型RNAと相補的なDNA鎖の鋳型依存的な重合が起こる。逆転写は鋳型RNAにアニールしたオリゴヌクレオチドプライマーの伸長により実施され、そして多くの場合、ウイルス逆転写酵素を使用し、それらはAMV(トリ骨髄芽球症ウイルス)逆転写酵素もしくはMMLV(モロニーマウス白血病ウイルス)逆転写酵素、またはRNAを鋳型として使用することが可能な耐熱性DNAポリメラーゼ(例えばTfh DNAポリメラーゼ)等である。逆転写のための条件および方法は当技術分野においてよく知られている。逆転写のための例示的な条件は以下を含む:AMV逆転写酵素については、37〜55℃で、50mM Tris-HCl, pH8.3, 75mM KCl, 3mM MgCl2, 10mM DTT, 0.8mM dNTP, 50Uの逆転写酵素および1〜5μgの鋳型RNAならびにその他の添加物(例えば、BSA、グリセロール、炭水化物(グルコース、トレハロース))を含むバッファー中で反応; MMLV逆転写酵素については、37〜55℃で、50mM Tris-HCl, pH8.3, 30mM KCl, 8mM MgCl2, 10mM DTT, 0.8mM dNTP, 50Uの逆転写酵素および1〜5μgの鋳型RNAならびにその他の添加物(例えば、BSA、グリセロール、炭水化物(グルコース、トレハロース))を含むバッファー中で反応。
【0059】
本明細書で使用する用語「モジュール装置」は、本発明の方法の特定のプロセスが実施される個々のユニットを含む装置を意味する。モジュール装置の個々のユニットは、物理的に接続され得るが、必ずしもその必要はなく、しかし個々のユニットがコンピューターなどの中央制御装置によって制御されることが好ましい。本発明の有用なモジュール装置の例示は、サーマルサイクラーユニット、サンプラーユニットおよび蛍光検出器を備えたキャピラリー電気泳動ユニットを有する。本発明の有用なモジュール装置はまた、サンプルをサイクリング反応から電気泳動ユニットへ移送するためのロボットアームを含む。
【0060】
本明細書で使用する用語「サンプリング装置」は、増幅処理中の増幅物から一定分量を採取する機構を指す。本発明の有用なサンプリング装置は、好ましくはサイクリング反応のコンタミネーションを最小限にするように調整されており、それは例えば、1つのサンプルを採取した後に廃棄されるピペット用チップもしくは針のどちらかを使用すること、または各サンプルを採取した後に針もしくはチップを洗浄するステップを1回以上組み込むことによる。あるいはまた、サンプリング装置はキャピラリー電気泳動に使用するキャピラリーを直接的に増幅反応物と接触させることで、その一定分量をキャピラリー内に充填するようにすることができる。あるいはまた、サンプル装置は特定のサイクルで開く制御可能なバルブと接続した流体路(例えばチューブ)を含み得る。当技術分野で知られるサンプリング装置は、例えばmultipurpose Robbins Scientific Hydra 96 pipettorであり、これは96穴プレートへのまたはそこからのサンプリングに適している。これおよびその他は、本発明の方法に従った使用に容易に適応し得る。
【0061】
本明細書で使用する用語「ロボットアーム」は、好ましくはマイクロプロセッサーによって制御された装置を意味し、これはサンプル、チューブ、またはサンプルを含むプレートを、ある場所から別の場所へ物理的に移送する。各々の場所は、本発明の有用なモジュール装置内のユニットであり得る。本発明の有用なロボットアームの例示は、Mitsubishi RV-E2 Robotic Armである。ロボットアームの制御のためのソフトウェアは、一般的にはそのアームの製造元より入手できる。
【0062】
本明細書で使用する用語「核酸の存在量」は、サンプルまたは一定分量中に存在する特定の標的核酸配列の量を指す。量は一般的に、既知の濃度またはコピー数の標準の量と比較した、標的配列の濃度またはコピー数に関する相対量として計測される。あるいはまた、ある未知のサンプル中の量は、別の未知のサンプル中の量と比較して計測される。本明細書で使用する核酸の存在量は、検出可能な標識(多くの場合は蛍光標識)の強度に基づいて計測される。本発明の方法は、核酸サンプル中の1つ以上の標的配列の相対量を、その標的配列またはそのサンプル由来の配列の増幅プロフィールから推定することを可能にする。
【0063】
本明細書で使用する用語「増幅産物」は、特定のポリヌクレオチド配列の一部のコピーおよび/またはその相補配列であるポリヌクレオチドを指し、これはヌクレオチド配列において鋳型ポリヌクレオチド配列およびその相補配列に相当する。本発明の「増幅産物」は、DNAまたはRNAであり得、そして二本鎖または一本鎖であり得る。
【0064】
本明細書で使用する用語「区別可能なサイズの増幅産物」は、異なるサイズの増幅産物から分割可能な増幅産物を意味する。「異なるサイズ」は、長さが少なくとも1つのヌクレオチド異なる核酸分子を指す。一般的に、本発明の有用な区別可能なサイズの増幅産物は、本発明の既定の方法を用いた分離プロセスに対する分割(resolution)の限界より多くのヌクレオチド以上異なる。例えば、分離の分割限界が1塩基の場合、区別可能なサイズの増幅産物は長さが少なくとも1塩基異なるが、2塩基、5塩基、10塩基、20塩基、50塩基、100塩基以上異なり得る。分割の限界が例えば10塩基の場合、区別可能なサイズの増幅産物は、少なくとも10塩基異なるが、11塩基、15塩基、20塩基、30塩基、50塩基、100塩基以上異なり得る。
【0065】
本明細書で使用する用語「プロフィール」または同義語「増幅曲線」および「増幅プロット」は数学的曲線を意味し、これは増幅処理中の2つ以上のステップにおいて対象となる核酸配列内に取り込まれた検出可能な標識由来のシグナルを表し、サンプルが採取されたサイクル数の関数としてプロットされる。このプロフィールは、好ましくは個々の反応サンプル中の核酸のキャピラリー電気泳動分離の後に検出された各バンドの蛍光をプロットすることによって得られる。ほとんどの市販の蛍光検出器は、検出されたシグナルに基づく曲線が得られるソフトウェアと連動している。
【0066】
本明細書で使用する用語「第1鎖cDNA」は、逆転写反応の産物を意味する。
【0067】
本明細書で使用する用語「サンプル特異的な配列タグ」は、特定のサンプル源由来のポリヌクレオチド分子を特定するために使用するポリヌクレオチド配列を指す。本発明の「サンプル特異的な配列タグ」は、単離または合成したポリヌクレオチドのサンプル源を指し、そして1つのサンプルの単離または合成したポリヌクレオチドと他のサンプルのそれらとを識別する。従って、サンプル特異的な配列タグは識別可能な特異的配列独自性を有する。「特異的配列独自性」は、1つのサンプル特異的な配列が別のサンプル特異的な配列と、少なくとも1ヌクレオチド、例えば少なくとも2または3または4または5または10または15または20以上、60以下のヌクレオチドにおいて異なるものであることを意味する。
【0068】
本明細書で使用する用語「識別可能に標識」は、1つの標識化オリゴヌクレオチドプライマーまたはそれが取り込まれた核酸分子由来のシグナルが、別のそのような標識化プライマーまたは核酸分子由来のシグナルと識別可能であることを意味する。検出可能な標識は、例えば吸光色素、蛍光色素または放射性標識を含み得る。蛍光色素が好ましい。一般的には、蛍光シグナルはピーク発光波長が少なくとも20nm離れていれば、別の蛍光シグナルと識別可能である。特に、ある反応における蛍光の発光ピークが幅広く、狭いかまたはより鋭いピークではない場合には、より大きなピーク分離が好ましい。
【0069】
本明細書で使用する用語「セット」は、核酸サンプル、プライマーまたは他の成分の群を意味する。セットは、既知の数の、そして少なくとも2つのそのような成分を含む。
【0070】
本明細書で使用する用語「サブセット」は、本明細書で定義するセットに含まれる群を意味し、ここで前記サブセット群はセットのすべてのメンバーより少ない。本明細書で使用するサブセットは、1つの成分から構成され得るが、好ましくは1つ以上の成分である。
【0071】
1回の反応において調査され得る遺伝子の数は、産物サイズの計測可能な相違(1〜2塩基)およびPCR産物の分離可能なサイズ(500〜1000bp)に基づいて推定することができ、そして1000程もの大きさであり得るが、好ましくは100〜200であり得る。
【0072】
本発明の詳細な説明
本発明は、1つの個体またはサンプル中および2つ以上の個体またはサンプル間の双方における、遺伝子発現のレベルを解析するための方法に関する。本方法は、サンプル中の対象となる配列の1つ以上のコピーを、それらのコピーをサンプル中に存在する他の配列のバックグラウンドを超えて検出するのに十分に多く、定量的に産生するためのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の能力に依存する。
【0073】
PCRにおいて、2つのオリゴヌクレオチドプライマー、鋳型および耐熱性核酸ポリメラーゼが使用される。一般的なPCRスキームにおいて、オリゴヌクレオチドプライマーの1つが鋳型核酸鎖にアニールする。アニールしたプライマーは、耐熱性鋳型依存的核酸ポリメラーゼによって伸長し、そして重合産物が第2のプライマーと相補的な配列を有することで、重合産物は第2のプライマーの伸長のための鋳型となることができる。重合産物は熱的に変性して鎖を解離し、そしてプライマー対は各々の鎖にアニールして伸長する。各々の伸長産物が後の伸長反応のための鋳型となるために、標的配列は指数関数的に増幅される。
【0074】
反応において生成されるPCR産物の量は、元のサンプル中に存在する鋳型の量を反映し得る。PCRは遺伝子発現の定量的解析における強力な手段である一方、検出される産物の量が元のサンプル中に存在する標的RNAまたはDNAの量を正確に反映することを確実にするためには、定量PCRには注意深くそして時には複雑な制御が必要であることが当技術分野において知られている。定量PCRは、例えばReischlおよびKochanowski, 1995; Mol. Biotechnol. 3:55-71ならびにJungら, 2000, Clin. Chem. Lab. Med. 38:833-836によって記載されている。
【0075】
PCR増幅は、増幅の指数関数期の間にだけ定量的である。指数関数期の後には安定期に移行し、検出される産物の量は初めのサンプル中に存在する標的配列の量を正確に反映しない。プライマーおよびヌクレオチド供給の枯渇、リン酸の蓄積および増幅産物そのものの蓄積はすべて、投入した核酸の量と増幅の指数関数期の後に産出したPCR産物の量との間の非直線性に寄与する。さらに、2つ以上の異なる標的を増幅する場合、1つの産物の別の産物に対する増幅効率における差異は、元のサンプル中に存在する標的分子の相対的な定量において不正確性を生じるだろう。従って、定量PCR法から有意義な結果を得るためには、生成する産物の量だけでなく、産物がどのようにそしていつ生成したかがモニターできることが重要である。
【0076】
本発明の方法は、定量PCRに伴う多くの問題を解決する。例えば、本明細書に提供される方法は、生成した増幅産物の量の測定を可能にし、そして産物が生成された様子を示す曲線を同時に提供する。本方法はまた、所望の産物由来の増幅シグナルと人工産物(プライマーダイマー形成またはミスプライミング事象等)由来の増幅シグナルとを区別することを可能にする。
【0077】
1つの態様において、本発明は1つのサンプルからの単一の標的核酸の増幅をモニタリングする方法を提供する。本発明のこの態様および別の態様は、DNA、RNAまたはこれらの混合物を含むサンプルからのポリヌクレオチド配列の増幅をモニタリングするのに適しているが、サンプル中のRNA転写レベルの計測または比較における適用が最もよく見られるだろう。RNA転写物の計測のためには、逆転写ステップが必要である。逆転写の方法は、当技術分野においてよく知られている。望ましいアッセイに応じて、逆転写は非特異的プライマー(例えば、オリゴdT含有プライマーまたはランダムプライマーの集合体)を用いて実施することができ、あるいは逆転写は対象となる遺伝子に特異的なプライマーを用いて実施することができる。
【0078】
この態様において、核酸サンプルは、加熱変性、プライマーのアニーリング、およびプライマー伸長のサイクルを少なくとも2回含むPCR増幅処理を受ける。増幅処理は好ましくは2〜35サイクル、より好ましくは10〜30サイクル、より好ましくは15〜25サイクルを含む。この処理はオリゴヌクレオチドプライマー対を用い、対象となる単一配列がサンプル中に存在する場合、この配列の特異的な増幅がもたらされる。オリゴヌクレオチドプライマーの1つが蛍光標識されることで、各々の二本鎖増幅産物が検出可能な蛍光マーカーを持つ。
【0079】
本発明のこの態様において、サイクリング処理中に、変性、プライマーのアニーリング、およびプライマー伸長の少なくとも1回のサイクルの後、サンプルまたは反応物の一定分量をチューブまたは反応容器から採取して、その一定分量中の核酸を分離および検出する。分離および検出は、サイクリング処理と同時に実施することで、サイクリングが起こっている間に、サイクル数の関数として産物存在量を表す曲線が得られる。本明細書で使用する用語「同時に」は、分離がサイクリング処理進行中に少なくとも開始することを意味する。使用する分離技術(例えばキャピラリー電気泳動)ならびにある反応で分離され得る種類の数およびサイズによって、分離にはほとんどの場合、一定分量当たり約1〜120分が必要となる。従って、分離ステップが各々のサイクルの時間より長くかかる場合、そしてサンプルを例えばすべてのサイクルの後毎に採取する場合には、分離ステップは全サイクリング処理の完了後に完了する。しかしながら、本明細書で使用するように、各サンプルの分離がサイクリング処理中に開始した限り、この状況はやはり「同時」分離であると考えられる。同時分離は最も好ましくはロボットサンプラーを用いることによって実施され、これは、サンプルをサイクリング反応物から採取した後に、迅速にサンプルを分離装置に置くものである。
【0080】
上記の方法において、増幅反応をリアルタイムでモニターすることができ、そして標的産物の存在量と元のサンプルにおける標的配列の量との関係を、他の定量PCR法によって達成されるよりも、より迅速かつより正確に引き出すことが可能である。一定分量の採取(本明細書において「サンプリング」を指す)、核酸分離および検出は、本明細書の以下に記載されるとおりに実施することができる。
【0081】
本方法は、リアルタイムPCR法によって提供される利便性をさらに伸ばし、そしてまたこれらの方法が本来的に有するいくつかの共通して生じる問題を解決する。PCR増幅反応の開始において、PCR産物の量は多くの機器の検出限界以下であり、定量的な差異は観察できない。通常、細胞当たり数コピーのレベルで存在する稀な遺伝子転写物を検出するために、PCR産物をかなり後のステージでモニタリングすることが必要である。一般的には、これらの遺伝子の検出が困難であるのは、それらの稀な転写物が検出可能なレベルにまで増幅する前に反応が停止してしまうためである。増幅曲線の中間区域は、シグナルが検出限界以上で生じ、そして対数期に入る場合には、遺伝子発現における定量的差異を検出するための最良のシグナルを構成する。しかし、反応の指数関数的性質のために、この段階は比較的短く、そして反応が後の静止期に入る前の数サイクルだけ続く。PCR増幅のこの後の静止期において、PCR産物の蓄積は、さらなる基質の欠乏、ポリメラーゼの欠乏、産物によるポリメラーゼ活性の阻害等の因子またはこれらの組み合わせによって飽和に達する。静止期は遺伝子発現における定量的差異を検出するための機会をほとんど提供しない。従って、事前に決定された回数のサイクル後にPCR産物を定量する方法のみが、偶然に増幅の対数期にある遺伝子を同定することができ、ゆえに増幅プロセスにおける初期または後期のどちらかで識別されて検出されるに過ぎない遺伝子を見落とすことだろう。
【0082】
本発明がこの限界を克服するのは、これが各々の独立した増幅断片についての完全な増幅曲線を明示するからである。さらに、これは発現の差異を測定するための定量的な基準を提供する。リアルタイム定量PCRの実施において、実験的に定義されるパラメーター「Ct」は、定量PCR反応から生じるシグナルが「閾値」を超えて初めて生じる時点でのサイクル数を指し、つまりこれが標的核酸配列の増幅の初めての確実な検出である。「確実な」は、シグナルがPCR中の増幅産物の検出可能なレベルを反映することを意味する。Ctは一般的に未知の量の標的核酸の開始量と関連しており、つまり、標的が少量であるほどCtがより後になる。Ctは単純な数式:
Log(コピー数)=aCt +b、ここでaおよびbは定数
により、初めのコピー数またはDNAの開始濃度と関連する。
【0083】
従って、2つの異なるサンプル由来の同一遺伝子の断片に対するCtを計測することによって、これらのサンプル中のこの遺伝子の元の相対濃度を容易に評価することができる。
【0084】
PCR増幅の最も興味深い特性の1つは、1回の反応においていくつかの標的配列の増幅を組み合わせる能力であり、このことはPCRアッセイの時間および費用において有意な節約を提供し得る。いくつかの方法を用いることが可能であり、これらは1回の増幅反応において複数の異なるポリヌクレオチド配列の共増幅を可能にする。例えば、Markoulatosら, 2002, J. Clin. Lab. Anal. 16:47-51およびBroudeら, 2001, Antisense Nucleic Acid Drug Dev. 11:327-332を参照せよ。しかしながら、これらの方法の多くは定量的なデータを提供することはなく、そして主として特定の配列の存在または不存在を検出するために用いられる。マルチプレックスリアルタイムの適用は、蛍光色素の光学分離により1回の反応において組合わせることができる遺伝子の数が制限されている。さらに、これらの方法は多くの場合、特異的増幅産物と非特異的増幅産物とを見分けることが不可能であり、さらに定量的解析を困難にし、そして面倒なアッセイの最適化を要する。
【0085】
別の態様において、本発明は1回の反応で解析可能な遺伝子の数の限界を解消する。特に、本発明はサンプル中の2つ以上のポリヌクレオチド配列の増幅をモニターすることを可能にする。本方法は2つ以上の配列に対する増幅プロフィールをもたらし、これは増幅の対数期の間のシグナル強度を、元のサンプル中に存在するこれらの配列の相対量と関連付けることを可能にする。
【0086】
本発明のこの態様において、オリゴヌクレオチドプライマーのセットが使用され、そして前記セットは2つ以上の対象となる遺伝子に特異的なオリゴヌクレオチドPCRプライマー対から成る。プライマー対の各々のうち1つのプライマーは、蛍光マーカーで蛍光標識される。本発明のこの態様の例示は、図1に概略的に示す。1つの実施形態において、異なるプライマーは同一のマーカーで標識され得る。その場合、異なる増幅産物に対するプライマーは、増幅産物のサイズが区別されるように選択される。本文中で使用される「区別される」は配列長における違いを指し、選択された分離技術を用いて識別することが可能である;わずか1ヌクレオチドが異なる増幅産物は、分離技術(例えば、キャピラリー電気泳動(下記参照))がこの違いを分離することが可能である限り区別される。本発明の有用なPCR産物は、一般的には少なくとも50bpの長さであり、そして約5,000bpの長さであり得る。多くの場合、本発明の有用なPCR断片の長さは、約50〜1000bpの長さであり、好ましくは50〜500bpである。
【0087】
別の実施形態において、PCRプライマー対の各々の1つのメンバーは蛍光基で蛍光標識されており、これは他のプライマー対の各々のメンバーを標識する蛍光基とスペクトルで識別可能である。この実施形態において、予想される増幅産物のサイズが区別されることが可能であるが、しかし区別される必要はない。ある反応において使用されるスペクトルで識別可能な蛍光基は、消失するかまたは同じ反応において他の蛍光基とのエネルギー転移を行うことのないように選択されると思われる。
【0088】
1つのサンプルにおける異なる配列を同時に検出する能力をさらに増強する実施形態において、オリゴヌクレオチド対を選択することで、各々の対が異なるサイズの断片を生じるか、もしくは異なる蛍光基で標識されるかのどちらか、またはその両方となるようにする。この実施形態において、同じサイズの異なる産物はスペクトルで区別される蛍光基を有し、そして同じ蛍光基で標識される異なる産物は異なるサイズを有する。
【0089】
本発明のこの態様において、一度望ましい標識の組み合わせおよび予想される産物のサイズが選択されると、核酸ポリメラーゼ、ヌクレオチドおよび必要なバッファーを含むPCR反応混合液中で、核酸サンプルをプライマー対のセットと接触させる。反応混合液を次に、加熱変性、プライマーのアニーリング、およびプライマー伸長の反復サイクルを含むPCR増幅処理にかける。この処理中に、反応物の一定分量を本明細書に記載するように採取し(下記の「サンプリング」の節を参照)、そして一定分量中の核酸を、これもまた本明細書において以下に記載されるように分離する。本発明のこの態様において、他の態様においてと同様に、分離プロセスはサイクリング反応と同時に実施され、そして増幅された核酸はそれらのマーカーの蛍光によって検出される。
【0090】
分離および検出ステップは、予想される産物サイズおよび使用されるスペクトルで識別可能なマーカーの組み合わせに依存して、サイズ、蛍光マーカーまたはその双方によって増幅産物を同定することを可能にする。従って、産物が同一のマーカーを持つ場合、分離は同一の標識を含む断片の「ラダー」をもたらし、そして断片サイズはある産物を別の産物と識別する。産物が異なる標識を持つ場合、分離は増幅産物を同定する各々の異なる標識を含むバンドをもたらす。最後に、産物が異なるサイズとなるよう、そして区別されるように標識されるよう選択される場合、産物は蛍光の波長および断片のサイズによって一意的に同定される。
【0091】
産物の同定に加え、検出ステップは採取した各々のサイクルに存在する各々の産物の存在量を測定する。この存在量が各々の断片についてプロットされ得ることで、断片特異的な増幅プロフィールが得られ、これは元のサンプルにおいて各々の検出される断片によって示される配列の相対存在量を推定するために使用され得る。
【0092】
本発明の別の態様において、1つのサンプル中に存在する核酸断片のセットの増幅は、核酸断片のセットにおける各々の対象となる核酸に対して特異的なフォワードおよびリバースオリゴヌクレオチドプライマー対のセットを用いることによってモニターされ得る。プライマー対を選択することで、各々の対の増幅産物が同一の反応において他の増幅産物と比較して区別されるサイズとなるようにする。二本鎖DNAにのみ結合する蛍光色素(例えば、SYBR-Green; Molecular Probes Inc., Eugene, OR)の存在下でPCR増幅を実施する。増幅処理中に、反応物の一定分量を採取し、そして一定分量中の核酸を本明細書に記載するように分離する。本発明のこの態様において、他の態様においてと同様に、分離プロセスはサイクリング反応と同時に実施され、そして増幅された二本鎖核酸は蛍光およびサイズによって検出される。各々の増幅断片の存在量は、結合色素の蛍光強度によって同定される。区別されるサイズの増幅産物は、増幅反応を通して各々の対象となる核酸の増幅をモニターできるようにし、それによって各々の対象となる核酸断片についての増幅曲線が得られる。曲線は、核酸断片のセットの各々のメンバーがどのサイクルにおいて増幅の対数期にあるかを示し、それによって元のサンプルにおけるセットの各々のメンバーの相対存在量の推定を可能にする。本発明のこの態様は、図2に概略的に示す。
【0093】
別の態様において、本発明は1つのサンプル中に存在するポリヌクレオチド配列のセットの増幅をモニタリングする別の方法を提供する。この方法において、サンプル中のRNAは、5’末端に10〜40ヌクレオチドのタグ配列を含み、そして特異的な遺伝子標的となり得るかまたはオリゴdTストレッチ(ストレッチは一般的には8〜30ヌクレオチド長、好ましくは12〜24ヌクレオチド)に相当し得るmRNAと相補的な配列を含むプライマーを用いて逆転写される。タグ配列は、調査される生物のゲノム中に見られない配列であるべきであり、そして合成物であり得るか、ランダムであり得るか、または別の種由来であり得る。タグ配列は、あるPCR反応の塩およびアニーリング温度の条件の下で、相補的な配列を含むポリヌクレオチドとの特異的なアニーリングを提供するのに十分な長さであるべきである。これらの条件、特にアニーリング温度は変化するが、そのような温度はタグ配列の既知のまたは推定されるTmに基づいて決定される。市販のプログラムはOligo(商標)、Primer Designおよびインターネットで使用可能なプログラム(Primer3およびOligo Calculatorを含む)を含むが、これらは本発明の有用なポリヌクレオチド配列のTmを推定するために使用することができる。本発明のこの態様および他の態様において有用なタグ配列は、50〜60℃の範囲のTmを有するように選択されるべきである。
【0094】
上記のプライマー(例えば、オリゴdT-TagプライマーまたはmRNA相補体-Tagプライマー)を用いたサンプル中のRNAの逆転写は、逆転写産物の集団を生じ、これらの各々はmRNAに相補的な配列の5’にタグ配列を有する(例えば、オリゴdTストレッチまたはmRNA相補的ストレッチ)。逆転写サンプルに見られるポリヌクレオチド配列のセットを増幅するために、逆転写反応物またはその一定分量を(i)対象となる核酸配列のセットを認識するか、またはそれと特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプライマーのセットおよび(ii)すべての逆転写産物に共通する配列タグを含む検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドプライマーと混合する。本発明のこの態様において、対象となる転写物のセットのメンバーに対して特異的な各々のオリゴヌクレオチドプライマーを選択することで、後の増幅処理において区別されるサイズの増幅産物が生成するようにする。
【0095】
次に、プライマーと逆転写産物との混合物を本発明の先の態様においてと同様に増幅処理にかける。各々の増幅産物は他の予想される断片と区別されるサイズであり、そして各々の増幅産物がまた、検出可能な標識、好ましくは蛍光基を含むことで、分離後に断片が容易に検出され得る。
【0096】
本発明の他の態様においてと同様に、増幅反応物のサンプルはサイクリング処理中に採取され、そしてこの増幅産物は分離および検出される。増幅産物の同定は、これらのサイズによって決定され、そして各々のサイクルにおける各々の増幅産物の存在量は予想されるサイズの産物における標識の強度によって測定される。サンプリングおよび分離によって得られる増幅曲線は、セットの各々のメンバーの増幅についてのプロフィールを提供する。このプロフィールは、どのサイクルで転写物のセットの各々のメンバーまたは対象となる遺伝子が増幅の対数期にあるかを示し、それによって元のサンプルにおけるセットの各々のメンバーの相対存在量を推定することを可能にする。本発明のこの態様は、図3に概略的に示す。
【0097】
別の態様において、本発明は2つのサンプル間で対象となる核酸配列の発現を比較するための方法を提供する。サンプル中のRNAは、5’末端に15〜40ヌクレオチドのタグ配列を含み、そして遺伝子特異的となり得るかまたはオリゴdTストレッチ(ストレッチは一般的には8〜30ヌクレオチド長、好ましくは12〜24ヌクレオチド)に相当し得るmRNAと相補的な配列を含むプライマーを用いて逆転写される。各々のサンプルの逆転写は、逆転写産物の集団を生じ、これらの各々はサンプル特異的な配列タグを有する。サンプル特異的なタグは8〜30ヌクレオチド長の独自の配列であり、好ましくは12〜24ヌクレオチド長であり、上記のPCRアニーリング反応のための塩および温度条件の下で、相補配列に特異的にハイブリダイズまたはアニールする。
【0098】
逆転写反応物を分離した後、相補的なDNA鎖の合成が、その5’末端において8〜40ヌクレオチドの独自の配列タグ(tag 2)の次に遺伝子特異的配列(8〜30ヌクレオチド)を含むプライマーを用いて開始される。DNAポリメラーゼを用いたプライマー伸長の後、未反応のプライマーを熱感受性ヌクレアーゼによって除去し、これは次に上昇させた温度でのインキュベーションによって分解した。本発明のこの態様において、対象となる転写物のセットのメンバーに特異的な相補的DNA鎖のプライミングに使用される各々のオリゴヌクレオチドプライマーを選択することで、後の増幅処理において区別されるサイズの増幅産物が得られる。
【0099】
合成DNAサンプルに見られるポリヌクレオチド配列のセットを増幅するために、反応物またはその一定分量を(i)特定の配列 tag2を含むオリゴヌクレオチドプライマーおよび(ii)すべての逆転写産物に共通する配列タグを含む検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドプライマーと混合する。選択した配列のセットを増幅させるために、2つのプライマーしか使用しないことは、PCR増幅の複雑性を低減させ、そして増幅収率を向上させる。
【0100】
本発明の他の態様においてと同様に、増幅反応物のサンプルはサイクリング処理中に採取され、そして増幅産物を分離および検出する。増幅産物の同定は、これらのサイズによって決定され、そして各々のサイクルでの各々の増幅産物の存在量は予想されるサイズの産物における標識の強度によって測定される。サンプリングおよび分離によって得られる増幅曲線は、セットの各々のメンバーの増幅についてのプロフィールを提供する。このプロフィールは、どのサイクルで転写物のセットの各々のメンバーまたは対象となる遺伝子が増幅の対数期にあるかを示し、それによって元のサンプルにおけるセットの各々のメンバーの相対存在量を推定することを可能にする。本発明のこの態様の例示は、図4および6に概略的に示す。図4において、異なるサイズの増幅産物は同じ蛍光標識で検出される。もう一方の図6では、同じサイズの増幅産物は、サンプル特異的なTagプライマーにおける識別可能な蛍光標識によって識別される。
【0101】
別の態様において、その例示は、図5に概略的に示され、本発明は2つのサンプル間で対象となる核酸配列の発現を比較するための方法を提供する。サンプル中のRNAは、5’末端に8〜30ヌクレオチドのタグ配列を含み、そして遺伝子特異的となり得るかまたはオリゴdTストレッチ(ストレッチは一般的には8〜30ヌクレオチド長、好ましくは12〜24ヌクレオチド)に相当し得るmRNAと相補的な配列を含むプライマーを用いて逆転写される。従って、各々のサンプルの逆転写は逆転写産物の集団を生じ、これらの各々はサンプル特異的な配列タグを有する。サンプル特異的なタグは8〜30ヌクレオチド長の独自の配列であり、好ましくは12〜24ヌクレオチド長であり、上記のPCRアニーリング反応のための塩および温度条件下で、相補配列に特異的にハイブリダイズまたはアニールする。
【0102】
逆転写反応物を分離した後、比較する各々のサンプルについて、等量の逆転写反応物を混合し、そしてこの混合物をPCR増幅処理における鋳型として使用する。この増幅反応のために、以下のようなプライマーを使用する:(i)逆転写ステップに使用する各々のサンプルに特異的な配列タグに対応する別々の識別できるように蛍光標識したオリゴヌクレオチドプライマー(サンプル特異的なタグと相補的な配列を含む核酸分子へのプライマーの特異的なアニーリングを可能にする温度および塩条件下(上記のTm予測の議論を参照せよ)である場合、サンプル特異的な配列は、そのようなアニーリングを可能にするのに十分な長さであるべきである);および(ii)対象となる配列に特異的なオリゴヌクレオチドプライマー(つまり、本明細書に記載されるように、アニーリングを可能にする条件下で、対象となる配列を含有する核酸分子へのプライマーの特異的なアニーリングを可能にするのに十分な、対象となる核酸配列と相補的な配列を含む)。対象となる遺伝子または転写物に特異的なプライマーを一般的に選択することで、50〜5,000bp、好ましくは50〜1000、より好ましくは50〜500bpの産物が増幅により得られるようにする。
【0103】
サイクリング処理中に、サンプルは増幅反応物から採取され、そして増幅された核酸は、本明細書に記載される本発明の他の態様においてと同様に、分離および検出される。分離および検出プロセスは、元の各サンプルについて特異的なプライマーに付着された識別可能な標識を検出するため、このプロセスは各サンプル由来の対象となる遺伝子に対する別々の増幅プロフィールをもたらす。遺伝子特異的または転写物特異的プライマー(これは「上流の」プライマーである)と競合するため、増幅の偏りの影響が減少し、そして増幅プロフィールは、異なる元のサンプル中の対象となる遺伝子の相対存在量を推定したり、また既知の標準との比較における相対存在量を提供するために使用され得る。
【0104】
別の態様において、本発明は核酸配列のセットの増幅をモニタリングするための方法を提供する。この方法において、逆転写産物のセットに存在する核酸配列のセットは、加熱変性、プライマーのアニーリングおよびポリメラーゼ伸長の反復サイクルを少なくとも2回含むPCR増幅処理において増幅される。
【0105】
逆転写産物のセットは逆転写産物のサブセットから構成され、ここで各々のサブセットは1つのRNAサンプル由来の逆転写物の集団である。各々のサブセットは、5’末端に15〜40ヌクレオチドのタグ配列、そして遺伝子特異的となり得るかまたはオリゴdTストレッチ(ストレッチは一般的には8〜30ヌクレオチド長、好ましくは12〜24ヌクレオチド)に相当し得るmRNAと相補的な配列を含むプライマーを用いて、RNAのサンプルを逆転写することによって生成される。次に、等量の逆転写サブセットを混合することで、後の増幅処理のための増幅鋳型として使用される逆転写産物のセットを形成する。
【0106】
この態様についてのPCR増幅処理は、以下のような2つの増幅プライマーのセットと混合した逆転写産物のセットを含む鋳型と接触させることによって実施される;(i)遺伝子特異的プライマーのセットであって、ここでセット中の各々の遺伝子特異的プライマーは、核酸サンプル中の対象となる特異的核酸配列(つまり、発現するかもしくは発現すると考えられる配列)を認識するか、またはそれと特異的にハイブリダイズする(セット中の各々の遺伝子特異的プライマーを選択することで、そのセット中の他の遺伝子特異的プライマーで生成された増幅産物とサイズにおいて区別される増幅産物が生成される);および(ii)サンプル特異的なプライマーのセット。各々のサンプル特異的なプライマーを選択することで、本明細書に記載するようなPCRアニーリング条件下で、1つのサンプル由来の逆転写産物中に取り込まれたサンプル特異的なタグと特異的にハイブリダイズするようにする。サンプル特異的なプライマーのセットにおける各々のサンプル特異的なプライマーもまた、識別できるように標識される。
【0107】
増幅処理のサイクル中に、本明細書において上記に記載される本発明の他の態様についてと同様に、サンプルを採取し、核酸を分離および検出する。検出は、対象となる転写物に相当する各々の区別されるサイズの断片の存在量のプロフィールを提供し、そしてサンプル特異的なプローブへの識別可能な標識は、個々のサンプルから生じるシグナルを識別することを可能にする。従って、この方法は異なるサンプルのセットにおける遺伝子のセットの相対存在量を比較することを可能にする。この方法は、細胞型または組織において関係しているかまたは無関係な遺伝子群における処理(例えば薬剤処理)の効果をモニタリングするのに特に有用である。
【0108】
増幅産物の分離および検出がサイクリング処理と同時に実施されるために、そして分離(例えばCEによる)が非常に迅速なために、本明細書に記載する方法は増幅プロフィールのリアルタイムの作製を可能にし、これは調査するサンプル中の核酸種の相対存在量を測定するのに有用である。
【0109】
A)サンプリング
増幅処理中のサンプリングは、望ましい任意の回数またはパターンで実施され得る。サンプリングは前記処理における各々のサイクルの後に行われるのが好ましいが、しかしより少ない回数(例えば2サイクル毎、3サイクル毎、4サイクル毎等)のサンプリングもまた採用され得る。一定のサンプル間隔が多くの場合望ましい一方で、サンプリングが一定の間隔で実施される必要はない。1つの例示として、サンプリング手順は、初めの5サイクルについては全サイクルの後のサンプリング、そして次に1サイクルおきのサンプリングを含み得る。
【0110】
サンプリングは、反応物から一定分量を手動でピペッティングするような単純なものであり得るが、しかし好ましくは自動化することで一定分量が予定されたサンプリング間隔で機械的に採取されるようにする。本発明のこの態様および他の態様について、サイクリングがマイクロタイターまたはマルチウェルプレート形式において実施されることが好ましいが、そうでなくてもよい。この形式は、複数の反応ウェルを含むプレートを使用し、アッセイプロセスの処理能力を向上させるだけでなく、また、プレートのモジュールの性質およびプレート上におけるウェルの一定のグリッドの配置のため、自動化されたサンプリングステップによく適応する。本発明で有用な一般的なマイクロタイタープレート設計は、例えば12、24、48、96、384またはそれ以上のウェルを有するが、しかし、プレートに物理的に適合し、そして所望の反応物体積(通常10〜100μl)に適合する任意の数のウェルが本発明に従って使用され得る。一般的には、96または384ウェルのプレート形式が好ましい。
【0111】
自動化されたサンプリングプロセスは、プログラムされた手順として容易に実行され、そしてサンプリングにおける人為的ミス(つまりサンプルサイズおよびサンプル本体の追跡におけるミス)ならびにサンプリングする者からの汚染の可能性の双方を回避する。サーマルサイクラーから一定分量を採取することが可能なロボットサンプラーは、当技術分野において利用可能である。例えば、Mitsubishi RV-E2 Robotic Armは、SciClone(商標)Liquid HandlarまたはRobbins Scientific Hydra 96ピペッターと組み合わせて使用され得る。
【0112】
本発明の有用なロボットサンプラーは、サーマルサイクラーと統合することができ、またサンプラーおよびサイクラーは設計においてモジュール式であり得る。サイクラーおよびサンプラーが統合されている場合、サーマルサイクリングおよびサンプリングは同じ場所で起こり、サンプルはプログラムされた間隔でロボットサンプラーによって採取される。サイクラーおよびサンプラーが設計においてモジュール式である場合、サイクラーおよびサンプラーは別々のモジュールである。1つの実施形態において、アッセイプレートは、例えばロボットアームによって、物理的にサイクラーからサンプラーへ動かされ、そしてサイクラーへ戻される。
【0113】
サンプリングステップで採取された一定分量の体積は、例えば増幅反応物の総体積、産物検出の感度および使用した分離の様式に依存して変化し得る。増幅物体積は数μl〜数百μl(例えば、5μl、10μl、20μl、40μl、60μl、80μl、100μl、120μl、150μlまたは200μlまたはそれ以上)まで、好ましくは10〜150μlの範囲、より好ましくは10〜100μlの範囲で変化し得る。一定分量の体積は反応混合物の0.1〜30%まで変化し得る。
【0114】
B)核酸の分離
本発明の核酸の分離は、核酸の分離に適した任意の手段によって達成することができ、例えば、電気泳動、HPLCまたは質量分析法を含む。分離は好ましくはキャピラリー電気泳動(CE)で実施される。
【0115】
CEは、微量のサンプルの分析に有効な分析的分離技術である。CE分離は、「担体電解質」と呼ばれる電気伝導性媒体で充填された径の小さいキャピラリー管において実施される。電場がキャピラリー管の両端の間にかけられ、そしてサンプル中の種は一方の電極からもう一方の電極へ、チューブ内の流体運動の速度に依存するのに加えて、各々の種の電気泳動度に依存した速度で動く。CEはキャピラリー内のゲルまたは液体(バッファー等)を用いて実施され得る。単液様式は「フリーゾーン電気泳動」として知られるが、これにおいて分離はサンプル種の自由溶液の移動度における違いに基づいて分離される。別の溶液様式において、疎水性における違いに基づく有効な分離のためにミセルが使用される。これはミセル動電キャピラリークロマトグラフィー(MECC)として知られる。
【0116】
CEは荷電に基づいて核酸分子を分離し、これはヌクレオチドのサイズまたは数によるそれらの分離を効果的にもたらす。多くの断片が生成される場合、これらはサイズの小さい順にキャピラリーの末端近くの蛍光検出器を通過する。つまり、より小さな断片がより大きなものより先に移動して、初めに検出される。
【0117】
CEは従来の電気泳動より有意に優れた点を、主に分離の速度、必要なサンプルのサイズが小さいこと(1〜50nlのオーダー)、そして高い分割能において提供する。例えば、CEを用いた分離速度は従来のゲル電気泳動より10〜20倍速くなり得、そして泳動後の染色を必要としない。CEは高い分割能を提供し、わずか1塩基対により異なる約10〜1,000bpの範囲の分子を分離する。キャピラリーの広い表面積が効果的に熱を放散させるため、高電圧の使用を可能にするので、高い分割能がある程度までは可能である。さらに、バンド幅の拡大はキャピラリーの内径が小さいために最小限にされる。フリーゾーン電気泳動において、電気浸透または電気浸透流(EOF)の現象が起こる。これは液体の大量流出であり、荷電に関係なくすべてのサンプル分子に影響を与える。特定の条件下において、EOFはフリーゾーンCEにおける分割能および分離速度を向上させるのに寄与し得る。
【0118】
CEは当技術分野でよく知られている方法によって実施することができ、それは例えば米国特許6,217,731号、6,001,230号および5,963,456号に記載され、これらは参照により本明細書に組み入れる。高い処理能のCE装置は市販のものを利用でき、それらは例えばSpectrumedix Corporation(State College, PA)のHTS9610 High Throughput Analysis SystemおよびSCE 9610完全自動化96-キャピラリー電気泳動遺伝子解析システムである。他には、Beckman Instruments Inc(Fullerton, CA)のP/ACE 5000シリーズ、およびABI PRISM 3100遺伝子分析装置(Applied Biosystems, Foster City, CA)を含む。これらの装置の各々は、CEカラムの末端付近でサンプル中の分子からの光の放出をモニターする蛍光検出器を含む。標準的な蛍光検出器は、蛍光放出の多数の異なる波長を識別することが可能であり、増幅サンプルから1回のCEの実施において複数の蛍光標識種を検出する能力を提供する。
【0119】
CE分離の処理能を向上させる別の手段は、複数のキャピラリー、好ましくは多数のキャピラリーを使用することである。キャピラリーアレイ電気泳動(CAE)装置は96のキャピラリー容量(例えば、Molecular DynamicsのMegaBACE機器)およびそれ以上、1000以下のキャピラリーで開発されてきた。近接して並置された複数のキャピラリー間で散乱する光によって引き起こされるDNA由来の蛍光の検出における問題を回避するために、共焦点蛍光スキャナーが使用され得る(Quesadaら, 1991, Biotechniques 10:616-25)。
【0120】
分離(および検出)のための装置は、サーマルサイクリングおよびサンプリングのために使用する装置と別々のものまたは統合されたものであり得る。本発明に従い、分離ステップはサイクリング処理と同時に開始されるため、サンプルは好ましくは増幅反応物から直接採取され、そして分離装置に置かれることで、分離は増幅と同時に進行する。従って、必要なことではないが、分離装置がサーマルサイクリングおよびサンプリング装置と統合されていることが好ましい。1つの実施形態において、この装置はモジュールであり、サーマルサイクリングモジュールおよび分離/検出モジュールを含み、これはサンプルをサーマルサイクリング反応物から採取して分離/検出装置に置くロボットサンプラーを備えている。
【0121】
C)検出
本発明において有用な増幅産物検出法は、蛍光標識の励起スペクトル内の光で照射された場合に、標識されたプライマーによって放射される蛍光強度を計測する。蛍光検出技術は高度に発展し、そして非常に感度が良く、場合によっては1分子に至るまでの実証された検出を伴う。高感度の蛍光検出は、多くの市販のプレートリーダー、マイクロアレイ検出セットアップおよびCE装置の標準的な態様である。CE機器について、励起および発光シグナルの光ファイバー伝送が多くの場合採用される。Spectrumedix、Applied Biosystems, Beckman CoulterおよびAgilentの各社が、本明細書に記載する方法のために必要な蛍光検出に十分な蛍光検出器を備えたCE機器を販売している。
【0122】
2つ以上の異なる蛍光標識由来の蛍光シグナルは、その発光のピーク波長が各々スペクトルにおいて20nm以上離れている場合に、互いに識別され得る。一般的に、特に選択した蛍光基が広い発光波長ピークを有する場合、当業者はピーク波長の間隔がより大きい蛍光基を選択する。このことは、サンプル中に同時に含まれることおよび検出されることが所望される異なる蛍光基が多いほど、それらの発光ピークをより狭くする必要があるということになる。
【0123】
D)蛍光マーカー
本発明において有用な多数の蛍光マーカーは、市販のものを入手可能である。例えば、Molecular Probes, Inc.(Eugene, OR)は、多様な蛍光色素を販売している。非限定的な例示は、数例を挙げると、Cy5、Cy3、TAMRA、R6G、R110、ROX、JOE、FAM、Texas Red(商標)およびOregon Green(商標)を含む。本発明において有用な蛍光色素は、当技術分野でよく知られている方法を用いて、オリゴヌクレオチドプライマーに連結され得る。例えば、蛍光標識をオリゴヌクレオチドに付加するための1つの一般的な方法は、色素のN‐ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステルを標的の活性アミノ基と反応させることである。ヌクレオチドは活性アミノ基を有するように修飾され、それらは例えば核酸塩基にアリルアミノ基を含むことによる。アリルアミンを介した標識は、例えば米国特許5,476,928号および5,958,691号に記載され、これらは参照により本明細書に組み入れる。ヌクレオチド、オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドを蛍光標識する他の手段は、当業者によく知られている。
【0124】
E)増幅したDNAからの蛍光シグナルと元のサンプル中に存在する核酸レベルとの間の相互関係
発現プロファイリングについてPCR増幅を使用することに関する1つの問題点は、起こり得る増幅の偏りである。いくつかの配列は他より高い効率で増幅される。この偏りが、開始サンプルと比較した場合のPCR産物の最終的な発現量を変化させ得る。さらに、RNA抽出の効率および増幅効率を測定することが困難なため、定量PCRは、あるサンプル中の標的RNAの絶対量を測定するためというよりはむしろ、2つのサンプル間の遺伝子発現における相対的な違いを調べるために最も容易に用いられる。検出された蛍光シグナル強度は(例えば、CE分離の後)記録され、そして2つのサンプルにおける標的配列からの各ピークの相対的な割合を測定するために使用され得る。
【0125】
好ましい実施形態において、2つ以上のサンプル由来のcDNAが同じPCR反応において増幅される。各々の標的cDNA分子は、共通のプライマーおよびサンプル特異的なプライマーで増幅され、異なるサンプル由来のcDNAを、同じ共通のプライマーに対して競合するようにする。この競合のために、2つのサンプル由来の増幅産物の量の比は、2つのサンプルの各々における最初の標的ポリヌクレオチドの量の比を反映する。サンプルA由来のシグナルの量のサンプルBのそれに対する比が1であるというのは、サンプル中の標的ポリヌクレオチドの最初の量が同量であることを表し、つまり2つのサンプルにおいて標的ヌクレオチドの発現に差がないということである。A/Bの比が1より大きいというのは、サンプルAにおける標的ポリヌクレオチドの量がサンプルBにおけるものよりも多いことを表す。A/Bの比が1より小さいというのは、サンプルAにおける標的ポリヌクレオチドの量がサンプルBにおけるものよりも少ないことを表す。比が1より大きいかまたは小さい場合、標的ポリヌクレオチドは2つのサンプルにおいて異なった発現をしている。同種の生物由来の2つのサンプルに存在する多くのポリヌクレオチドのレベルがほぼ似ていることが予想され、これは、単一種の同じメンバーまたは異なるメンバーのどちらか由来の2つのサンプル間で比較したほとんどの遺伝子産物について1に近い比をもたらす。本発明の実施において、異なるサンプル由来の同じ遺伝子に対するシグナルに関して、比が2より大きいかまたは0.5より小さいポリヌクレオチドは、2つのサンプルにおいて異なる発現をするポリヌクレオチドであると考えられる。
【0126】
1つの個体からの異なる組織由来の2つのサンプル間または同種の2つの個体由来のサンプル間の発現における違いは、大抵、比較的少数の遺伝子に限定される。従って、本発明に記載する比較方法の能力は、ほとんどの遺伝子において類似した発現のバックグラウンドの中からわずかな個々の遺伝子における違いを解明する能力にある。
【0127】
組織間または同種の個体間における大部分の遺伝子の発現の類似性もまた利点として利用できる。2つのサンプルにおける特定のポリヌクレオチドの比が一般的な比(common ratio)に対してさらに測定され得ることで、2つのサンプル間で発現が異なるか否かを判定するようにする。本明細書で使用する用語「一般的な比」は、2つのサンプル間で発現するすべての遺伝子の相対的な一定の比を意味する。一般的な比の変化は、未処理のサンプルと比較した処理したサンプルにおける特定のシグナル伝達経路の活性化等の特定の事象によって引き起こされる特定の変化というよりはむしろ、開始材料の総量における広範囲の変化を反映する。特定の遺伝子の発現比をこの一般的な比と比較することによって、その特定の遺伝子の発現が比較するサンプル間で異なるか否かが即時に明らかとなるだろう。
【0128】
2つのサンプルが別々のPCR反応において増幅される場合、内部対照が各PCR増幅物について提供され得、そして各サンプルの増幅物はまず、比を計算する前に内部対照に対して標準化される。定量PCRのための内部対照の使用は当技術分野においてよく知られており、例えばAusubelらに記載される。対照には2つの基本型がある:1つ目は、一般的に外在性対照(exogenous control)として知られ(Gillilandら(1990) PCR Protocols, Innisら編集, pp. 60-69, Academic Press;Wangら(1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:9717-9721、これら双方は明確に参照により本明細書に組み入れる)、そして2つ目は内在性対照(endogenous control)として知られる(Dvekslerら(1992) PCR Methods and Applications 6:283-285;Spanakis(1993) Nucleic Acids Research 21:3809-3819、これら双方は明確に参照により本明細書に組み入れる)。
【0129】
外在性対照は、人為的に誘導した核酸分子を使用することを含み、これは抽出ステップまたはPCRステップに、既知の濃度で添加される。定量のための内部標準として働くようにするために外在性核酸を既知の濃度で添加するという概念は、Chellyら(1988)Nature 333:858-860に記載され、これは明確に参照により本明細書に組み入れる。標的配列と同じプライマーで増幅された対照の断片を使用することは、内部標準に対する標的配列の増幅効率をより正確に反映する(例えば、WO 93/02215; WO 92/11273;米国特許5,213,961号および5,219,727号を参照、これらすべては参照により本明細書に組み入れる)。類似の方法が、NASBA(Kievitsら, 1991, J Virol Methods. 35:273-86)またはSDA(Walker, 1994, Nucleic Acids Res. 22:2670-7)等の等温増幅反応を用いた核酸の定量計測に有効であることが証明されてきた。
【0130】
内在性対照を使用することにより、抽出効率における変動を補正することができる。対照の選択は、いくつかの必要条件がそれが機能するのに適合しなくてはならないということにおいて重要である。第1の必要条件は、対照のコピー数が一定に維持されなくてはならないことである。第2の必要条件は、対照がモニターされる配列と類似した効率で増幅されなくてはならないことである。いくつかの構成的に発現する遺伝子が対照の候補として考えられてきたのは、これらの遺伝子の発現が様々な条件を通して比較的一定であるためである。例示は、β-アクチン遺伝子、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子(GAPDH)および16SリボソームRNA遺伝子を含むが、これらに限定されない。
【実施例】
【0131】
実施例1. 1回の増幅反応における複数の増幅産物の定量的検出
サンプルDNA構築物:pcDNA3ベクター(Invitrogen)内にクローニングされたDNA断片を、フォワードプライマー(5'-ATCGAAATTAATACGACTCACTAT-3')およびリバースプライマー(5'-AGCTCTAGCATTTAGGTGACACTA-3')を用いたPCR反応において増幅させた。増幅されたDNA断片をアガロースゲル電気泳動によって精製し、そして精製キット(Qiagen)を用いてゲルから抽出した。独自の配列タグを含む相当するRNA断片を、T7 RNAポリメラーゼ転写キット(Invitrogen)を用いて調製し、そして「RNA Easy」RNA精製キット(Qiagen)によって精製した。RNA断片の濃度は、SmartSpec 3000分光光度計(Bio-Rad)において計測した。
【0132】
固形担体に共有結合したオリゴヌクレオチドの調製:オリゴヌクレオチドTJLF(5'-AATTCCGCGCCGAATAATATTAAGCTCTAGCATTTAG-3')および(5'-AATTCCCGGCGGATTATTTATTAGCTCTAGCATTTAG-3')は、配列タグLFAM 2(5'-CCGCGCCGAATAATATTAA-3')およびLROX(5'-CCCGGCGGATTATTTATTA-3')ならびに5’チオール修飾を含み、ヨードアセチル基を含むポリマービーズに結合させた。オリゴヌクレオチド(12.5μM)を、5×TEバッファー(50mM Tris, 5mM EDTA, pH8.0)および200μM TCEP(Molecular probes)で前洗浄した200μlのThiolink beads(Pierce)と共に、1時間、室温で一定の攪拌を行いながらインキュベートした。未反応のヨードアセチル基は、1% β-メルカプトエタノールで室温においてインキュベートすることによりクエンチした。ビーズを5×TEバッファーで4回、5×TEで75℃にて2回洗浄し、RT(逆転写)バッファーで室温にて1回洗浄し、そしてRTバッファーで95℃にて2回洗浄した(すべての洗浄は1mlのバッファーで)。調製されたビーズは、RTバッファー中に50%懸濁液となるように作成した。
【0133】
逆転写反応:10μlの修飾化ビーズ(TJLFまたはTJLR1)を1μlのdNTP(10mM)、1μlのサンプルRNA(VS31(53pg)およびVS67(1.1pg)、TJLFビーズ、VS68(0.058pg)およびVS67(0.094pg)、TJLR1ビーズ)と混合し、70℃で5分間加熱して4℃で冷却し、そして10μlの反応混合液(4倍に希釈した1μlのSuperscript reverse transcriptase(Invitrogen)、2μlの0.1M DTT、4μlの5×反応バッファー(Invitrogen)、10μlの水)を添加した。反応混合液は、42℃で1時間、65℃で10分間インキュベートした。RNAは、3.5μlの0.5M NaOHを添加して65℃で5分間加熱した後に3.5μlの1M Tris(pH7.5)を添加することによって加水分解した。ビーズを100μlのPCRバッファーで洗浄した。
【0134】
第2鎖合成: 10μlのPCRバッファー(Pwo DNAポリメラーゼ(Roche)のためのもの)、2mlの25mM MgCl2、2μlの10mM dNTP、0.5μlの Pwo DNAポリメラーゼ(Roche)、0.5μlのHot-Start Taqポリメラーゼ(Qiagen)、1μlの100μMオリゴヌクレオチド(LHA(5'-CCATACGACGTCCCAGACTA-3')、サンプルRNAの5’末端に存在する配列と一致する)を含み、水により100μlとした100μlの反応混合液を10μlのビーズと混合し、95℃で5分間加熱して、2回の反応サイクル(95℃で30秒、56℃で30秒、72℃で2分間)にかけた。ビーズを100μlのPCRバッファーで洗浄し、そして50μlの同じバッファーで溶出した。
【0135】
PCR増幅:PCR反応は、以下のように組み立てられる:20μlの合成DNA、8μlの10×PCRバッファー、3.2μlの25mM MgCl2、0.8μlの100μM LHAプライマー、1μlの100μM LFAMプライマー(FAMで5’標識された、5'-CCGCGCCGAATAATATTAA-3')およびLROXプライマー(ROXで5’標識された、5'-CCCGGCGGATTATTTATTA-3')、0.5μlのTaqポリメラーゼ、0.5μlのPwoポリメラーゼ、2μlの10mM dNTP、65μlの水;ミネラルオイルで重層し、35サイクル(95℃で30秒、60℃で15秒、72℃で1分30秒)に渡って増幅した。15サイクル目から、反応を各サイクルの最終ステップの後に中断して、10μlの一定分量を採取し、反応物を10μlの反応混合物(サンプルDNA以外は上記と同じ組成)で補充した。サンプルに1μlの50×TEバッファーを添加し、ホルムアミドで10倍希釈して、96キャピラリー電気泳動システム(Spectrumedix)で解析を実施する前に、95℃で5分間変性させた。PCR産物の定量は、対応する泳動のクロマトグラムにおけるピーク面積の積分によって測定した。図7に示す増幅曲線は、PCR産物量をサイクル数に対してプロットすることで再現した。
【0136】
実施例2.既知量のサンプルRNAを用いた異なる発現の解析
対照RNAの2つのサンプルをヌクレアーゼ非含有水中で調製した:
サンプル1:VS31 RNA 53pg/μlおよびVS32 RNA 42pg/μlを含み、
サンプル2:VS31 RNA 53pg/μlおよびVS32 RNA 102pg/μlを含む。
【0137】
3μlの各サンプルを、1.25μl の20mM dNTP、1μlの100μMプライマー(サンプル1に対してJLFam(5'-CCGCGCCGAATAATATTAAGCTCTAGCATTTAG-3')、およびサンプル2に対してJLRox1(5'-CCCGGCGGATTATTTATTAGCTCTAGCATTTAG-3'))ならびにヌクレアーゼ非含有水と混合して10μlとした。RNAを80℃で2分間に渡り変性させ、氷上で冷却した。15μlの反応混合液を添加して、42℃で1時間インキュベートした。
【0138】
RT反応混合液:
5×バッファー 5μl
0.1mM DTT 2.5μl
Superscript II RT(200 U/μl) 0.5μl(RNAの量によって25〜100 U)
80%トレハロース 6.4μl
10mg/ml BSA 0.5μl
SUPERase In(20 U/μl) 1μl
【0139】
RT反応の最終組成:RNA, 50mM Tris-HCl, pH8.3, 75mM KCl, 3mM MgCl2, 10μM DTT, 50U SS II RT, 20%トレハロース, 0.25mg/ml BSA, 1mM dNTP, 15.7%グリセロール, 5μMプライマー, 1U SUPERase In
【0140】
RNAの分解:
1UのRNAseH(Invitrogen)を各々のチューブに添加して、37℃で20分間インキュベートした後に、75℃で15分間インキュベートして、RNAse Hを失活させた。5μl EXO-SAP-ITヌクレアーゼ(USB)をRT反応液に添加し、37℃で20分間インキュベートして未使用のプライマーを分解することにより後のPCR解析における干渉を回避し、次に80℃で15分間インキュベートすることにより酵素を失活させた。
【0141】
第2鎖合成:
5μlのRT反応液をSSS反応混合液と混合した:
10×Ventバッファー 5.0μl
20mM dNTP 0.5μl
DMSO 1.0μl
Q液 10μl
100μM-HA 0.5μl
Ventポリメラーゼ 0.5μl Vent DNAポリメラーゼ(New England Biolabs)
水 27.5μl
【0142】
第2鎖は、記載するようにサーモサイクラーにおいて調製した。
1× 94℃/5分* 50℃/5分** 68℃/5分* *94℃で第2鎖プライマーを添加
2× 95℃/2分 40℃/5分 68℃/5分 **72℃でVentを添加
1× 72℃/10分
【0143】
PCR増幅:
20μlの調製cDNAを下記のものと混合した:
10×Ventバッファー 7.0μl
20mM dNTP 0.7μl
DMSO 4μl
Q液(Qiagen) 15.0μl
LHA(100mM) 0.8μl
LFAM2プライマー(100mM) 1μl (Fam(Applied Biosystems)で5’標識されている)
LROXプライマー (100mM) 1μl (Rox(Applied Biosystems)で5’標識されている)
Taqポリメラーゼ(Qiagen)0.5μl
Ventポリメラーゼ 0.5μl
水 全量を100μlとする
【0144】
反応混合液をミネラルオイルで重層し、35サイクルに渡りPCR増幅にかけた(95℃で30秒、60℃で15秒、72℃で1分30秒)。15サイクル目から、反応を各サイクルの最終ステップの後に中断して、10μlの一定分量を採取し、反応物を10μlの反応混合物(サンプルDNA以外は上記と同じ組成)で補充した。サンプルに1μlの50×TEバッファーを添加し、ホルムアミドで10倍に希釈して、標識したDNAサイズ標準(50〜1000bp, Bio Ventures)と混合し、そして96キャピラリー電気泳動システム(Spectrumedix)で解析を実施する前に95℃で5分間変性させた。PCR産物の定量は、対応する泳動のクロマトグラムにおけるピーク面積の積分によって測定し、共注入した標準の量によって標準化した。図8に示す増幅曲線は、PCR産物量をサイクル数に対してプロットすることで再現した。データは予想された結果と一致しており、つまり、VS31 RNA(図におけるRNA 1)に対する閾値サイクル数(Ct)がサンプル間で等しく、そしてVS32 RNA(図におけるRNA 2)については、サンプル2に対するCtがサンプル1に対するCtより小さい。
【0145】
本発明の実行が採用するのは、特記しない限り、分子生物学、微生物学および組み換えDNA技術の従来の技術であり、それらは当技術分野の範囲内である。そのような技術は、文献にすべて開示されている。例えば、Sambrook, FritschおよびManiatis, 1989, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 第2版;Oligonucleotide Synthesis(M.J. Gait, 編, 1984);Polynucleotide Hybridization(B.D. HarnesおよびS.J. Higgins, 編, 1984);A Practical Guide to Molecular Cloning(B. Perbal, 1984);ならびにシリーズ, Mathods in Enzymology(Academic Press, Inc.);Short Protocols In Molecular Biology,(Ausubelら, 編, 1995)を参照せよ。本明細書に記載するすべての特許、特許出願および出版物は、上記および下記の双方ともに、参照により本明細書に組み入れる。
【0146】
他の実施形態
本発明が、その好ましい実施形態に関して特に示され、そして記載されると同時に、添付の特許請求の範囲によって包含される本発明の範囲から逸脱することなく、形式および詳細における様々な変更がなされることが、当業者によって理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象となる核酸配列の増幅をモニタリングする方法であって、前記方法が:
(a)核酸サンプルを第1および第2のオリゴヌクレオチドプライマーと接触させるステップ(ここで、前記第1のオリゴヌクレオチドプライマーは前記対象となる核酸配列を含有する核酸分子と特異的にハイブリダイズし、かつ前記第2のオリゴヌクレオチドプライマーは前記対象となる核酸配列の相補物に含まれる配列と特異的にハイブリダイズし、ここで、1つのオリゴヌクレオチドプライマーのプライマー伸長産物は、その相補物から解離した場合に、他のプライマーの伸長産物を合成するための鋳型となることができ、そしてここで、前記第1および前記第2のプライマーの少なくとも1つが検出できるように標識されている)と;
(b)ステップ(a)で得られた混合物を増幅処理にかけるステップ(ここで、前記処理は、核酸鎖の解離、オリゴヌクレオチドプライマーのアニーリング、およびアニールしたプライマーのポリメラーゼ伸長のサイクルを少なくとも2回含む)と;
(c)前記混合物の一定分量を採取し、前記一定分量における核酸分子を分離し、前記の少なくとも1つの蛍光標識の取り込みを検出するステップ(ここで、前記採取は、ステップ(b)の前記サイクリング処理中、少なくとも1回の前記サイクルの後に実施され、ここで、前記核酸分子の分離および前記取り込みの検出は、ステップ(b)の前記処理中にリアルタイムで実施され、かつここで、前記検出はリアルタイムで前記増幅のモニタリングを可能にする)
とを含む、方法。
【請求項2】
前記検出可能な標識が吸光色素、蛍光色素または放射性標識を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記検出可能な標識が蛍光色素を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(c)が前記増幅処理中の各々のサイクルの後に実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記核酸分子の分離がキャピラリー電気泳動を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記サンプルが逆転写反応の産物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ステップ(a)〜(c)が、サーマルサイクラー、サンプリング装置、キャピラリー電気泳動装置および蛍光検出器を含むモジュール装置において実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記モジュール装置がロボットアームを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記モニタリングが、前記サンプル中の前記対象となる配列を含む核酸の存在量の測定を可能にする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
対象となる核酸配列のセットの増幅をモニタリングする方法であって、前記方法が:
(a)反応容器内で核酸サンプルをオリゴヌクレオチドプライマー対のセットと接触させるステップであって、
各々の前記対は、前記対象となる核酸配列を含有する核酸分子と特異的にハイブリダイズする第1のオリゴヌクレオチドプライマー、および前記対象となる核酸配列の相補物に含まれる配列と特異的にハイブリダイズする第2のオリゴヌクレオチドプライマーを含み、ここで、1つのオリゴヌクレオチドプライマーのプライマー伸長産物は、その相補物から解離した場合、他のプライマーの伸長産物の合成のための鋳型となることができ;
各々の前記オリゴヌクレオチド対は、対象となる核酸配列の1つに特異的であり;
前記セットにおける各々のオリゴヌクレオチドプライマー対を選択することで、後の増幅処理において、区別可能なサイズの増幅産物が得られるようにし;そして
各々の前記オリゴヌクレオチド対における1つのオリゴヌクレオチドは検出できるように標識される、ステップと;
(b)ステップ(a)で得られた混合物を、核酸鎖の解離、オリゴヌクレオチドプライマーのアニーリング、およびアニールしたプライマーのポリメラーゼ伸長の反復サイクルを少なくとも2回含む増幅処理にかけるステップ(ここで、増幅処理中に、少なくとも1回の前記反復サイクルの後に、前記混合物の一定分量を前記反応容器から採取して、前記一定分量中の核酸分子を分離する)と;
(c)前記一定分量中に存在する区別可能なサイズのプライマー伸長産物における検出可能な標識の取り込みを検出するステップ(ここで、前記検出が前記対象となる核酸配列の増幅のリアルタイムプロフィールを提供する)
とを含む、方法。
【請求項11】
前記検出可能な標識が、吸光色素、蛍光色素または放射性標識を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記検出可能な標識が蛍光色素を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記増幅処理における各々のサイクルの後に一定分量が採取され、そして前記一定分量中の核酸分子が分離および検出される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記核酸分子の分離がキャピラリー電気泳動を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記サンプルが逆転写反応の産物を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記ステップ(a)〜(c)が、サーマルサイクラー、サンプリング装置、キャピラリー電気泳動装置および蛍光検出器を含むモジュール装置において実施される、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記モジュール装置がロボットアームを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記モニタリングが、前記サンプル中の前記対象となる核酸配列のセットを含む核酸の存在量の測定を可能にする、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
対象となる核酸配列のセットの増幅をモニタリングする方法であって、前記方法が:
(a)鋳型核酸サンプルにアニールした逆転写プライマーの伸長によって、複数の逆転写産物を合成するステップ(ここで、各々の前記逆転写産物は前記逆転写プライマーに含まれる共通配列タグを含む)と;
(b)反応容器内で前記逆転写産物を(i)前記対象となる核酸配列のセットを認識するオリゴヌクレオチドプライマーのセット(ここで、各々のオリゴヌクレオチドプライマーを選択することで、後の増幅処理において区別可能なサイズの増幅産物を生成するようにする)、および(ii)前記共通配列タグを含む検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドプライマーと接触させるステップと;
(c)ステップ(b)から得られた混合物を、核酸鎖の解離、オリゴヌクレオチドプライマーのアニーリング、およびアニールしたプライマーのポリメラーゼ伸長の反復サイクルを少なくとも2回含む増幅処理にかけるステップ(ここで、増幅処理中に、少なくとも1回の前記反復サイクルの後に、前記混合物の一定分量を前記反応容器から採取して、前記一定分量中の核酸分子を分離する)と;
(d)前記一定分量中に存在する区別可能なサイズのプライマー伸長産物における前記検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドプライマーの取り込みを検出するステップ(ここで、前記検出が前記対象となる核酸配列のセットの増幅のプロフィールを提供する)
とを含む、方法。
【請求項20】
前記検出可能な標識が、吸光色素、蛍光色素または放射性標識を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記検出可能な標識が蛍光色素を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記増幅処理における各々のサイクルの後に一定分量が採取され、そして前記一定分量中の核酸分子が分離および検出される、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
一定分量の採取、分離および検出のステップが、前記増幅のリアルタイムモニタリングを可能にする、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記核酸分子の分離がキャピラリー電気泳動を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記ステップ(a)〜(d)が、サーマルサイクラー、サンプリング装置、キャピラリー電気泳動装置および蛍光検出器を含むモジュール装置において実施される、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記モジュール装置がロボットアームを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記モニタリングが、前記サンプル中の前記対象となる核酸配列のセットを含む核酸の存在量の測定を可能にする、請求項19に記載の方法。
【請求項28】
対象となる核酸配列のセットの増幅をモニタリングする方法であって、前記方法が:
(a)鋳型核酸サンプルにアニールした逆転写プライマーの伸長によって、複数の逆転写産物を合成するステップ(ここで、各々の前記逆転写産物は前記逆転写プライマーに含まれる第1の共通配列タグを含む)と;
(b)第2の共通配列タグを含むオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、相補的cDNA鎖を合成するステップ(ここで、各々のオリゴヌクレオチドプライマーを選択することで、後の増幅処理において区別可能なサイズの増幅産物を生成するようにする)と;
(c)反応容器内でステップ(a)および(b)の核酸合成産物を、前記第1および第2の共通配列タグを含むオリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドプライマーのセットと接触させるステップ(ここで、前記第1および第2のオリゴヌクレオチドの1つは検出可能に標識されている)と;
(d)ステップ(c)から得られた混合物を、核酸鎖の解離、オリゴヌクレオチドプライマーのアニーリング、およびアニールしたプライマーのポリメラーゼ伸長の反復サイクルを少なくとも2回含む増幅処理にかけるステップ(ここで、増幅処理中に、少なくとも1回の前記反復サイクルの後に、前記混合物の一定分量を前記反応容器から採取して、前記一定分量中の核酸分子を分離する)と;
(e)前記一定分量中に存在する区別可能なサイズのプライマー伸長産物における前記検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドプライマーの取り込みを検出するステップ(ここで、前記検出が前記対象となる核酸配列のセットの増幅のプロフィールを提供する)
とを含む、方法。
【請求項29】
前記検出可能な標識が、吸光色素、蛍光色素または放射性標識を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記検出可能な標識が蛍光色素を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記増幅処理における各々のサイクルの後に一定分量が採取され、そして前記一定分量中の核酸分子が分離および検出される、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
一定分量の採取、分離および検出のステップが、前記増幅のリアルタイムモニタリングを可能にする、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記核酸分子の分離がキャピラリー電気泳動を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記ステップ(a)〜(d)が、サーマルサイクラー、サンプリング装置、キャピラリー電気泳動装置および蛍光検出器を含むモジュール装置において実施される、請求項28に記載の方法。
【請求項35】
前記モジュール装置がロボットアームを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記モニタリングが、前記サンプル中の前記対象となる核酸配列のセットを含む核酸の存在量の測定を可能にする、請求項28に記載の方法。
【請求項37】
サンプルのセットの中で対象となる核酸配列の発現を比較する方法であって、前記方法が:
(a)各サンプルに対して異なるサンプル特異的な配列タグを含むオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、前記サンプルのセットの各々のメンバーから複数の第1鎖cDNAを別々に合成するステップと;
(b)ステップ(a)由来の等量の前記第1鎖cDNAを混合するステップと;
(c)ステップ(b)で得られた混合物を反応容器内で以下:
(i)ステップ(a)で用いた各々のサンプル特異的な配列タグに対応する、分離した、識別可能で検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドプライマー(ここで前記プライマーは、前記サンプル特異的なタグを含む核酸分子への前記プライマーの特異的なアニーリングを可能にするのに十分な、前記サンプル特異的な配列タグに含まれる配列を含む)、および
(ii)前記対象となる配列を含む核酸分子への前記プライマーの特異的なアニーリングを可能にするのに十分な、前記対象となる核酸配列と相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドプライマー(ここで、サンプル特異的な配列タグに対応する前記プライマー、および対象となる前記核酸配列と相補的な配列を含む前記プライマーは、プライマー伸長産物を生成し、これはその相補物から解離した場合、他のプライマーのプライマー伸長産物の合成のための鋳型となり得る)
を含むオリゴヌクレオチドプライマーと接触させるステップと;
(d)ステップ(c)の混合物を、核酸鎖の解離、オリゴヌクレオチドプライマーのアニーリング、およびアニールしたプライマーのポリメラーゼ伸長の反復サイクルを少なくとも2回含む増幅処理にかけるステップと;
(e)前記増幅処理中に、少なくとも1回の前記反復サイクルの後に、一定分量を前記反応容器から採取し、前記一定分量中の核酸を分離し、そして各々のサンプル特異的な配列タグに対応する識別可能で検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドプライマーを含むプライマー伸長産物を検出するステップ(ここで、前記核酸分子の分離および前記取り込みの検出は、ステップ(d)の前記処理中にリアルタイムで実施され、ここで、前記検出はリアルタイムで前記増幅のモニタリングを可能にする)と;
(f)前記サンプル特異的なタグに対応する前記標識由来の検出可能なシグナルを比較することによって、前記サンプル間で前記対象となる遺伝子の発現を比較するステップ
とを含む、方法。
【請求項38】
前記検出可能な標識が、吸光色素、蛍光色素または放射性標識を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記検出可能な標識が蛍光色素を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
一定分量を採取し、前記一定分量中の核酸を分離し、そしてプライマー伸長産物を検出する前記ステップが、前記増幅処理中の各々のサイクルの後に実施される、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記核酸分子の分離がキャピラリー電気泳動を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
前記ステップ(a)〜(c)が、サーマルサイクラー、サンプリング装置、キャピラリー電気泳動装置および蛍光検出器を含むモジュール装置において実施される、請求項37に記載の方法。
【請求項43】
前記モジュール装置がロボットアームを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
核酸配列のセットの増幅をモニタリングする方法であって、前記方法が:
(a)逆転写産物のセット中に存在する核酸配列のセットを増幅するステップであって、
前記増幅は、鎖の解離、オリゴヌクレオチドプライマーのアニーリング、およびアニールしたプライマーのポリメラーゼ伸長の少なくとも2回のサイクルの処理を含み、ここで、前記セット中の各々の逆転写産物は、逆転写プライマーの伸長によって作製されたものであり、前記逆転写産物のセットは以下:逆転写産物の1つ以上のサブセットを含み、ここで、各々のサブセットは1つの核酸サンプル由来の複数の逆転写産物を含み、ここで、逆転写産物の各々のサブセットのメンバーは、前記逆転写プライマー内に取り込まれたサンプル特異的な配列タグを含み、
ここで、前記増幅は前記逆転写産物のセットを以下のオリゴヌクレオチドプライマーの2つのセット:
(i)遺伝子特異的プライマーのセット(ここで、前記セット中の各々の遺伝子特異的プライマーは核酸サンプル中で発現する特定の核酸配列を認識し、そしてここで、前記セット中の他の遺伝子特異的プライマーと共に生成する増幅産物とサイズで区別可能な増幅産物が生成されるように、前記セット中の各々の遺伝子特異的プライマーを選択する)、および
(ii)サンプル特異的なプライマーのセット(ここで、各々のサンプル特異的なプライマーは、前記逆転写プライマー内に取り込まれたサンプル特異的なタグに特異的にハイブリダイズし、そしてここで、前記サンプル特異的なプライマーのセット中の各々のサンプル特異的なプライマーは、識別可能に標識されている)と接触させることを含む、ステップと;
(b)前記処理中に、プライマー伸長ステップの後に、増幅混合物の一定分量を採取し、そして前記一定分量中の核酸を分離するステップと;
(c)前記一定分量中の各々のサンプル特異的なプライマーの取り込みを検出するステップ
とを含む方法であって、
ここで、前記検出は、各サンプルにおいて、前記遺伝子特異的プライマーのセットによって認識される核酸のセットの増幅をリアルタイムでモニターする、方法。
【請求項45】
一定分量を採取し、前記一定分量中の核酸を分離し、そしてプライマー伸長産物を検出する前記ステップが、前記増幅処理中の各々のサイクルの後に実施される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記サンプル特異的プライマーが、蛍光色素、吸光色素または放射性標識で識別可能に標識されている、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記サンプル特異的プライマーが、蛍光色素で識別可能に標識されている、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記核酸分子の分離がキャピラリー電気泳動を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項49】
前記ステップ(a)〜(c)が、サーマルサイクラー、サンプリング装置、キャピラリー電気泳動装置および蛍光検出器を含むモジュール装置において実施される、請求項44に記載の方法。
【請求項50】
前記モジュール装置がロボットアームを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記モニタリングが、前記逆転写産物が作製されたサンプル中の前記対象となる核酸配列のセットを含む核酸の存在量の測定を可能にする、請求項44に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−99332(P2013−99332A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−267086(P2012−267086)
【出願日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【分割の表示】特願2006−507112(P2006−507112)の分割
【原出願日】平成16年3月11日(2004.3.11)
【出願人】(505188630)プリメラディーエックス インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】