リアワイパー制御装置
【課題】リアワイパーを動作させるスイッチに対する運転者の操作を必要とせずに、周囲の降雨条件及び車輌の走行状態等に適切な動作をリアワイパーに行わせることができるリアワイパー制御装置を提供する。
【解決手段】水滴の検知又はフロントワイパー動作のいずれかの条件が成立して降雨状態を検知し、シフトレバーが前進位置又は中立位置に操作されているときに、車輌が所定時間以上停止した後にブレーキが解除された場合、降雨が所定時間以上継続している場合、フロントワイパーが高速動作している場合、又は車輌のヘッドライトが点灯している場合、リアワイパー制御装置は車輌のリアワイパーを動作させる。また、フロントワイパーが高速動作している場合及び車輌のヘッドライトが点灯している場合については、リアワイパー制御装置はリアワイパーを所定の時間間隔で間欠動作させてもよい。
【解決手段】水滴の検知又はフロントワイパー動作のいずれかの条件が成立して降雨状態を検知し、シフトレバーが前進位置又は中立位置に操作されているときに、車輌が所定時間以上停止した後にブレーキが解除された場合、降雨が所定時間以上継続している場合、フロントワイパーが高速動作している場合、又は車輌のヘッドライトが点灯している場合、リアワイパー制御装置は車輌のリアワイパーを動作させる。また、フロントワイパーが高速動作している場合及び車輌のヘッドライトが点灯している場合については、リアワイパー制御装置はリアワイパーを所定の時間間隔で間欠動作させてもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輌の後部に設けられて後部の窓(リアウインドウ)に付着した雨滴を除去するリアワイパーの動作を制御するリアワイパー制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車輌の前部の窓(フロントウインドウ)のみでなくリアウインドウにリアワイパーを設け、リアウインドウに付着した雨滴の除去を可能とした車輌が広く普及している。従来の車輌では、フロントウインドウに設けられたフロントワイパーを動作させるためのスイッチが運転席の近傍に設けられ、このフロントワイパーのスイッチとは別に、リアワイパーを動作させるためのスイッチが設けられる場合が多い。このため、フロントワイパーのスイッチに対する操作に加えて、リアワイパーのスイッチを操作することが運転者にとって煩わしいという問題があった。
【0003】
特許文献1においては、降雨時などに、車輌の変速機をリバースギアに投入するのみでリアワイパーが作動する車輌用リアワイパーの駆動装置が提案されている。この駆動装置は、リアワイパーを駆動するモータ装置と、このモータ装置のためのバッテリと、水滴の存在を検知する水滴センサと、変速機をリバースギアに投入したときに作動するリバーススイッチと、水滴センサが水滴の存在を検知し且つリバーススイッチが作動したときにモータ装置にバッテリの電圧を印加するセレクトスイッチを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−49532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の車輌用リアワイパーの駆動装置は、変速機をリバースギアに投入したときにリアワイパーが動作する構成であるため、車輌の後退時のみリアワイパーが動作し、車輌の前進時にリアワイパーを動作させることができないという問題がある。
【0006】
車輌の運転者は、一般に車輌の走行中にはルームミラーを通して車輌の後方確認を行うが、リアウインドウに雨滴が付着していると十分な後方確認を行うことができない。特にルームミラーを通した後方確認は、運転者により無意識的に行われる場合が多く、運転者はリアウインドウの雨滴付着による視界の低下に気付き難いという問題がある。十分な後方確認を行うことができない場合、例えば後方からの他車の接近気付くのが遅れるなど、車輌の安全走行に支障をきたす虞がある。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、リアワイパーを動作させるスイッチに対する運転者の操作を必要とせずに、周囲の降雨条件及び車輌の走行状態等に適切な動作をリアワイパーに行わせることができるリアワイパー制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るリアワイパー制御装置は、車輌の後部に設けられたリアワイパーの動作を制御するリアワイパー制御装置において、前記車輌のウインドウへの水滴の付着が水滴検知センサにより検知されていること、及び、前記車輌の前部に設けられたフロントワイパーが動作していること、の少なくとも一方の条件が成立しているか否かを判定する条件判定手段と、前記車輌のシフトレバーが前記車輌の前進に係る位置又は中立位置に操作されているか否かを判定するシフト位置判定手段と、前記車輌が所定時間以上停車したことを判定する停車判定手段と、前記車輌のブレーキの解除を検知するブレーキ解除検知手段と、前記条件判定手段の判定結果に応じて、前記条件の成立が所定時間以上継続しているか否かを判定する継続判定手段と、前記フロントワイパーの動作速度が所定速度以上であるか否かを判定するフロントワイパー動作判定手段と、前記車輌のライトの点灯を検知する点灯検知手段と、前記条件判定手段の判定結果、前記シフト位置判定手段の判定結果、前記停車判定手段の判定結果、前記ブレーキ解除検知手段の検知結果、前記継続判定手段の判定結果、前記フロントワイパー動作判定手段の判定結果及び前記点灯検知手段の検知結果に基づいて、前記リアワイパーの動作を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るリアワイパー制御装置は、前記制御手段が、前記条件が成立していると前記条件判定手段が判定し、前記シフトレバーが前記車輌の前進に係る位置又は中立位置に操作されていると前記シフト位置判定手段が判定したとき、前記車輌が所定時間以上停車したことが前記停車判定手段により判定された後に前記ブレーキ解除検知手段が前記ブレーキの解除を検知した場合、前記条件の成立が所定時間以上継続していると前記継続判定手段が判定した場合、前記フロントワイパーの動作速度が所定速度以上であると前記フロントワイパー動作判定手段が判定した場合、又は、前記ライトの点灯を前記点灯検知手段が検知した場合のいずれかの場合に前記リアワイパーを動作させるようにしてあることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るリアワイパー制御装置は、車輌の後部に設けられたリアワイパーの動作を制御するリアワイパー制御装置において、前記車輌のウインドウへの水滴の付着が水滴検知センサにより検知されていること、及び、前記車輌の前部に設けられたフロントワイパーが動作していること、の少なくとも一方の条件が成立しているか否かを判定する条件判定手段と、前記車輌のシフトレバーが前記車輌の前進に係る位置又は中立位置に操作されているか否かを判定するシフト位置判定手段と、前記車輌が所定時間以上停車したことを判定する停車判定手段と、前記車輌のブレーキの解除を検知するブレーキ解除検知手段と、前記条件が成立していると前記条件判定手段が判定し、前記シフトレバーが前記車輌の前進に係る位置又は中立位置に操作されていると前記シフト位置判定手段が判定したとき、前記車輌が所定時間以上停車したことが前記停車判定手段により判定された後に前記ブレーキ解除検知手段が前記ブレーキの解除を検知した場合に、前記リアワイパーを動作させる制御手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るリアワイパー制御装置は、車輌の後部に設けられたリアワイパーの動作を制御するリアワイパー制御装置において、前記車輌のウインドウへの水滴の付着が水滴検知センサにより検知されていること、及び、前記車輌の前部に設けられたフロントワイパーが動作していること、の少なくとも一方の条件が成立しているか否かを判定する条件判定手段と、前記車輌のシフトレバーが前記車輌の前進に係る位置又は中立位置に操作されているか否かを判定するシフト位置判定手段と、前記条件判定手段の判定結果に応じて、前記条件の成立が所定時間以上継続しているか否かを判定する継続判定手段と、前記条件が成立していると前記条件判定手段が判定し、前記シフトレバーが前記車輌の前進に係る位置又は中立位置に操作されていると前記シフト位置判定手段が判定したとき、前記条件の成立が所定時間以上継続していると前記継続判定手段が判定した場合に、前記リアワイパーを動作させる制御手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るリアワイパー制御装置は、前記車輌の走行速度を検知する車速検知手段を更に備え、前記車速検知手段が検知した車速が所定速度を超える場合には、前記継続判定手段が、前記所定時間より短い第2の所定時間以上、前記条件が継続して成立しているか否かを判定するようにしてあり、前記制御手段は、前記条件が成立していると前記条件判定手段が判定し、前記シフトレバーが前記車輌の前進に係る位置又は中立位置に操作されていると前記シフト位置判定手段が判定したとき、前記継続判定手段が前記第2の所定時間以上、前記条件が継続して成立していると判定した場合に、前記リアワイパーを動作させるようにしてあることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係るリアワイパー制御装置は、車輌の後部に設けられたリアワイパーの動作を制御するリアワイパー制御装置において、前記車輌のウインドウへの水滴の付着が水滴検知センサにより検知されていること、及び、前記車輌の前部に設けられたフロントワイパーが動作していること、の少なくとも一方の条件が成立しているか否かを判定する条件判定手段と、前記車輌のシフトレバーが前記車輌の前進に係る位置又は中立位置に操作されているか否かを判定するシフト位置判定手段と、前記フロントワイパーの動作速度が所定速度以上であるか否かを判定するフロントワイパー動作判定手段と、前記条件が成立していると前記条件判定手段が判定し、前記シフトレバーが前記車輌の前進に係る位置又は中立位置に操作されていると前記シフト位置判定手段が判定したとき、前記フロントワイパーの動作速度が所定速度以上であると前記フロントワイパー動作判定手段が判定した場合に、前記リアワイパーを動作させる制御手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係るリアワイパー制御装置は、車輌の後部に設けられたリアワイパーの動作を制御するリアワイパー制御装置において、前記車輌のウインドウへの水滴の付着が水滴検知センサにより検知されていること、及び、前記車輌の前部に設けられたフロントワイパーが動作していること、の少なくとも一方の条件が成立しているか否かを判定する条件判定手段と、前記車輌のシフトレバーが前記車輌の前進に係る位置又は中立位置に操作されているか否かを判定するシフト位置判定手段と、前記車輌のライトの点灯を検知する点灯検知手段と、前記条件が成立していると前記条件判定手段が判定し、前記シフトレバーが前記車輌の前進に係る位置又は中立位置に操作されていると前記シフト位置判定手段が判定したとき、前記ライトの点灯を前記点灯検知手段が検知した場合に、前記リアワイパーを動作させる制御手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係るリアワイパー制御装置は、前記制御手段が、前記リアワイパーを所定の時間間隔で間欠動作させるようにしてあることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係るリアワイパー制御装置は、前記水滴検知センサが、車輌のフロントウインドウに付着する水滴を検知するようにしてあることを特徴とする。
【0017】
本発明においては、車輌のウインドウに水滴が付着していると水滴検知センサが検知したこと、及び、フロントワイパーが動作していることの2つの条件のうちの少なくとも一方の条件が成立しているか否かをリアワイパー制御装置が判定する。水滴検知センサにより水滴の付着が検知された場合には、降雨により雨滴が付着したことが推定でき、また、ユーザの操作によってフロントワイパーが動作している場合には降雨状態であることが推定できるため、これらの条件判定により降雨を検知することができる。
またリアワイパー制御装置は、車輌のシフトレバーが前進位置(例えば「D(ドライブ)」又は「2(セカンド)」等の位置)又は中立位置(「N(ニュートラル)」の位置)に操作されているか否かを判定する。
更には、リアワイパー制御装置は、車輌が所定時間(例えば1分など)以上停車したか否かを判定し、ブレーキの解除を検知し、水滴の付着又はリアワイパーの動作が所定時間(例えば30分又は10分等)継続したか否かを判定し、フロントワイパーの動作速度が所定速度以上であるか否かを判定し、車輌のライトが点灯しているか否かを判定する。
これらの複数の判定結果及び検知結果に基づいてリアワイパー制御装置がリアワイパーを動作させることによって、周囲の状況及び車輌の走行状態等に適したリアウインドウの雨滴の除去を行うことが可能となる。
【0018】
また、本発明においては、水滴の検知又はフロントワイパー動作のいずれかの条件が成立して降雨状態を検知し、シフトレバーが前進位置又は中立位置に操作されているときに、車輌が所定時間(例えば1分など)以上停車し、その後にブレーキが解除された場合に、リアワイパー制御装置はリアワイパーを動作させる。これにより、例えば雨天時に車輌が信号待ちなどで停車し、その後に発車のためにブレーキを解除した際に、リアワイパーを動作させることができる。
セダン型の車輌のようにリアウインドウが傾斜して設けられた車輌の場合、及び斜め後方からの降雨の場合等には、車輌の停車中にリアウインドウに雨滴が付着しやすいため、この雨滴の除去を行うことができる。
【0019】
また、本発明においては、水滴の検知又はフロントワイパー動作のいずれかの条件が成立して降雨状態を検知し、シフトレバーが前進位置又は中立位置に操作されているときに、降雨が所定時間(例えば30分など)以上継続している場合、リアワイパー制御装置はリアワイパーを動作させる。これにより、例えば雨が降り始めて運転者がフロントワイパーを動作させて所定時間が経過した後には、リアウインドウに雨滴が付着している可能性が高いが、この雨滴の除去を行うことができる。
【0020】
更に、車輌が所定速度(例えば80km/hなど)以上の高速走行を行っている場合には、車輌の走行に伴う走行風によって車輌の天井の雨滴がリアウインドウへ流れ落ちるため、リアウインドウに雨滴が付着している可能性が高い。そこで本発明においては、車輌が所定速度以上で高速走行しているときには、降雨の継続時間の判定基準を短くし、低速走行時の所定時間より短い第2の所定時間(例えば10分など)以上に亘って降雨が継続している場合に、リアワイパー制御装置はリアワイパーを動作させる。これにより、走行風によって車輌の天井から流れ落ちる雨滴の除去を行うことができる。
【0021】
また、本発明においては、水滴の検知又はフロントワイパー動作のいずれかの条件が成立して降雨状態を検知し、シフトレバーが前進位置又は中立位置に操作されているときに、フロントワイパーが所定速度以上の高速動作している場合、リアワイパー制御装置はリアワイパーを動作させる。これにより、運転者のスイッチ操作によってフロントワイパーが高速動作している場合には、降雨が激しい可能性が高く、リアウインドウに雨滴が付着している可能性が高いが、この雨滴の除去を行うことができる。
【0022】
また、本発明においては、水滴の検知又はフロントワイパー動作のいずれかの条件が成立して降雨状態を検知し、シフトレバーが前進位置又は中立位置に操作されているときに、車輌のライト(ヘッドライトなど)が点灯されている場合、リアワイパー制御装置はリアワイパーを動作させる。夜間にリアウインドウに雨滴が付着した場合、後方の他車輌のヘッドライト及び街灯等の周囲の光を雨滴が乱反射させるため、運転者による後方の視認性をより低下させる虞がある。車輌のライトが点灯されている場合には夜間であると推定できるため、ライトの点灯時にリアワイパーを動作させることによって、夜間における後方の視認性の低下を防止することができる。
【0023】
また、本発明においては、ライトの点灯に応じて夜間にリアワイパーを動作させる場合には、所定の時間間隔(例えば30分間隔など)で間欠動作させる。ライトの点灯に応じてリアワイパーを動作させる場合、降雨量が多いとは限らず、リアウインドウに付着する雨滴量が多いとは限らないため、リアワイパーを間欠動作とすることにより、必要以上のリアワイパーの動作を抑制して、リアワイパーの劣化などを防止することができる。
【0024】
また、本発明においては、水滴を検知するセンサを車輌のフロントウインドウ又はその周辺に設け、フロントウインドウに付着する水滴を検知する構成とする。水滴を検知するセンサはフロントワイパーを動作させる制御装置が備えている場合が多く、リアワイパー制御装置がこのセンサを共用することが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明による場合は、水滴の検知又はフロントワイパー動作のいずれかの条件が成立して降雨状態を検知し、シフトレバーが前進位置又は中立位置に操作されているときに、種々の判定結果及び検知結果に基づく車輌の周囲状況及び走行状態等に応じてリアワイパーを動作させる構成とすることにより、車輌の走行時におけるリアウインドウを通した後方視認性を高めることができるため、車輌の安全走行を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係るリアワイパー制御装置を搭載した車輌の構成を示す模式的平面図である。
【図2】本発明に係るリアワイパー制御装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に係るリアワイパー制御装置によるリアワイパーの動作制御処理を説明するための図表である。
【図4】本発明に係るリアワイパー制御装置が行う降雨検知処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係るリアワイパー制御装置が行う降雨継続判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係るリアワイパー制御装置が行う降雨継続判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明に係るリアワイパー制御装置が行う停車継続判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明に係るリアワイパー制御装置が行うリアワイパーの動作制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明に係るリアワイパー制御装置が行うリアワイパーの動作制御処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。図1は、本発明に係るリアワイパー制御装置を搭載した車輌の構成を示す模式的平面図である。図において1は車輌であり、車輌1のフロントウインドウ1aには雨滴を除去するための2つのフロントワイパー2が設けられ、車輌1のリアウインドウ1bには1つのリアワイパー3が設けられている。車輌1のフロントワイパー2及びリアワイパー3は、車輌1内の適所に搭載されたECU(Electronic Control Unit)5により動作を制御されている。また車輌1のフロントウインドウ1aには、フロントウインドウ1aに付着した雨滴を検知する雨滴検知センサ17が設けてあり、雨滴検知センサ17の検知結果はECU5へ与えられる。
【0028】
図2は、本発明に係るリアワイパー制御装置の構成を示すブロック図である。車輌1の運転席近傍には、運転者がフロントワイパー2を動作させるためのフロントワイパー作動スイッチ(以下、SWと記載する)11と、リアワイパー3を動作させるためのリアワイパー作動SW12とが設けられている。フロントワイパー作動SW11は、運転者の操作に応じてフロントワイパー2のオン/オフを切り替えるのみでなく、フロントワイパー2の動作速度を多段階で調整することができる複数の接点を有する構成である。フロントワイパー作動SW11は、運転者による操作状態(即ち、接点の接続状態)をECU5へ与える。同様にリアワイパー作動SW12は、リアワイパー3のオン/オフ及び動作速度の調整を行うことができる複数の接点を有する構成であり、運転者による操作状態をECU5へ与える。
【0029】
また車輌1には、車速センサ13、シフトレバー位置SW14、ブレーキSW15、ヘッドライト点灯SW16及び雨滴検知センサ17等が搭載されている。車速センサ13は、例えば車輪の回転速などに基づいて車輌1の走行速度(車速)を検知するものであり、検知結果をECU5へ与える。
【0030】
車輌1の運転席近傍にはシフトレバー(図示は省略する)が設けられており、運転者は車輌1の運転状況に応じて「P」、「N」、「D」又は「R」の位置にシフトレバーを移動させることができる。シフトレバー位置SW14は、このシフトレバーの位置に応じて切り替わる複数の接点を有するスイッチであり、シフトレバーの操作位置に係る情報をECU5へ与える。
【0031】
車輌1の運転席近傍にはブレーキ(フットブレーキ又はサイドブレーキ)が設けられており、運転者は車輌1の走行を停止させる場合にブレーキ操作を行う。ブレーキSW15は、ブレーキのオン/オフに応じて切り替わるスイッチであり、ブレーキのオン/オフに係る情報をECU5へ与える。また車輌1の運転席近傍には、運転者が車輌1のヘッドライトを点灯するためのヘッドライト点灯SW16が設けられている。ヘッドライト点灯SW16は、ヘッドライトのオン/オフを切り替えるスイッチであり、ヘッドライトのオン/オフに係る情報をECU5へ与える。
【0032】
雨滴検知センサ17は、雨滴の量を検知するセンサであり、例えば発光素子から出射されてガラス表面にて反射された光を受光素子にて受光する構成とすることができる。この構成では、ガラス表面に雨滴などの水滴が付着した場合に光の乱反射で反射率が変化することを利用し、受光素子にて受光される光の量に応じて雨滴の量を検知することができる。雨滴検知センサ17は、車輌1のフロントウインドウ1a又はその周辺に配され、フロントウインドウ1aに付着した雨滴を検知する。雨滴検知センサ17は、検知した雨滴量をECU5へ通知する。
【0033】
ECU5は、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等の演算処理装置、RAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)等のメモリ素子、並びにフロントワイパー作動SW11〜雨滴検知センサ17等の外部装置との間で情報の授受を行う通信インタフェース等を有している。ECU5は、フロントワイパー作動SW11〜雨滴検知センサ17から与えられる情報に応じて、車輌1に搭載されたフロントワイパー2及びリアワイパー3の動作を制御する処理を行う。
【0034】
ECU5は、フロントワイパー2の動作のオン/オフ及び動作速度に係る情報を有する制御信号をフロントワイパー駆動部21へ与える。フロントワイパー駆動部21は、フロントワイパー2を往復運動させるためのモータ又はアクチュエータ等と、これを駆動する電圧を発生する駆動回路とを有しており、ECU5からの制御信号に応じて駆動回路にて駆動電圧を発生させ、モータ又はアクチュエータ等を動作させることによりフロントワイパー2を動作させる。
【0035】
同様にECU5は、リアワイパー3の動作のオン/オフ及び動作速度に係る情報を有する制御信号をリアワイパー駆動部22へ与える。リアワイパー駆動部22は、リアワイパー3を往復運動させるためのモータ又はアクチュエータ等と、これを駆動する電圧を発生する駆動回路とを有しており、ECU5からの制御信号に応じて駆動回路にて駆動電圧を発生させ、モータ又はアクチュエータ等を動作させることによりリアワイパー3を動作させる。
【0036】
運転者によりフロントワイパー作動SW11がオン操作された場合、ECU5はフロントワイパー駆動部21へ制御信号を与えることによって、フロントワイパー2を動作させる。また運転者によりリアワイパー作動SW12がオン操作された場合、ECU5はリアワイパー駆動部22へ制御信号を与えることによって、リアワイパー3を動作させる。更に、本実施の形態に係るECU5は、リアワイパー作動SW12がオフの状態であっても、車速センサ13〜雨滴検知センサ17から与えられる情報に応じて、車輌1のリアウインドウ1bに雨滴が付着していることを推定し、また車輌1の周囲の状況などを推定し、リアワイパー3を自動的に動作させることができる。
【0037】
図3は、本発明に係るリアワイパー制御装置によるリアワイパー3の動作制御処理を説明するための図表であり、ECU5がリアワイパー3を動作させる条件を示してある。リアワイパー作動SW12がオフ状態においてECU5がリアワイパー3を動作させるパターンは5通りであり、図3には5通りの動作1〜5のそれぞれについて、動作が行われる条件1〜4が対応付けて記載してある。
【0038】
表中に示す条件1の降雨検知と、条件2のシフトレバー前進位置又は中立位置との2つの条件は、全ての動作1〜5について共通の条件である。なお、雨滴検知センサ17にて雨滴が検知されたこと、及び、フロントワイパー作動SW11がオン状態であり車輌1のフロントワイパー2が動作していること、のいずれか一方が成立した場合に、降雨検知の条件1が成立する。また、シフトレバー位置SW14がシフトレバーの「D」又は「N」の位置を示す状態である場合に、シフトレバー前進位置又は中立位置の条件2が成立する。
【0039】
(動作1)
ECU5は、降雨が検知され(条件1が成立)、シフトレバーが前進位置又は中立位置(条件2が成立)であるときに、車輌1が停車状態で所定時間経過した後(条件3が成立)、車輌1のブレーキが解除された(条件4が成立)場合に、リアワイパー3を動作させる。この場合のリアワイパー3の動作は、一回又は数回程度であってよい。なお、ECU5は、車輌1が停車状態であるか否かを車速センサ13が検知する車速から判定することができ、例えば車速が0km/hの場合に停車状態と判定すればよい。ECU5は、車輌1が停車状態となった場合にタイマによる計時を開始し、例えば停車状態で1分経過した場合に条件3が成立したと判定する。またECU5は、車輌1のブレーキが解除されたか否かを、ブレーキSW15の状態に応じて判定する。
【0040】
降雨時に車輌1が信号待ちなどで一定時間停車したとき、特にセダン型などのリアウインドウ1bが傾斜している車輌の場合、又は、斜め後方からの降雨の場合には、リアウインドウ1bに雨滴が付着しやすい。よって、降雨時に車輌1が所定時間停車した後にブレーキが解除された場合、ECU5は、車輌1のリアウインドウ1bに雨滴が付着していることが推定されるため、リアワイパー3を動作させ、車輌1の停車中にリアウインドウ1bに付着した雨滴を除去する。
【0041】
(動作2)
ECU5は、降雨が検知され(条件1が成立)、シフトレバーが前進位置又は中立位置(条件2が成立)であるときに、降雨が所定時間以上継続している(条件3が成立)場合に、リアワイパー3を動作させる。この場合のリアワイパー3の動作は、一回又は数回程度であってよい。なお、ECU5は、車輌1のフロントワイパー2が動作開始した場合、又は、雨滴センサ17が雨滴を検知した場合にタイマによる計時を開始し、例えばフロントワイパー2の動作が30分以上継続された場合、又は、雨滴検知センサ17が雨滴を30分以上継続的に検知している場合に、降雨が継続し、条件3が成立したと判定する。また、所定時間が経過してリアワイパー3を動作させた場合には、ECU5はタイマをリセットして計時を再開してもよく、これにより降雨が継続していれば30分に一回程度の頻度でリアワイパー3を自動的に動作させることができる。
【0042】
降雨が一定時間継続した場合には、車輌1のリアウインドウ1bに雨滴が付着している可能性は高い。よって、フロントワイパー2の動作又は雨滴検知センサ17の検知により降雨が30分以上継続している場合、ECU5は、車輌1のリアウインドウ1bに雨滴が付着していることが推定されるため、リアワイパー3を動作させ、リアウインドウ1bに付着した雨滴の除去を行う。
【0043】
(動作3)
ECU5は、降雨が検知され(条件1が成立)、シフトレバーが前進位置又は中立位置(条件2が成立)であるときに、降雨が所定時間以上継続している(条件3が成立)場合に、リアワイパー3を動作させる。これは上記の動作2と同様であるが、車輌1が高速走行している(条件4が成立)場合には、ECU5は条件3の判定に用いる所定時間を動作2の場合より短い時間とする。例えば動作2においては降雨が30分以上継続した場合にリアワイパー3を動作させ、動作3においては降雨が10分以上継続した場合にリアワイパー3を動作させる。なお、ECU5は、車速センサ13の検知結果に応じて車輌1が高速走行しているか否かを判定することができ、例えば車速が80km/h以上の場合に車輌1が高速走行していると判定する。
【0044】
車輌1が高速走行している場合には、車輌1の走行に伴う走行風によって、車輌1の天井に溜まった雨滴がリアウインドウ1bへ流れ落ち、リアウインドウ1bに雨滴が付着する可能性が高い。よって、車輌1が高速走行を行っている際には、雨が降り始めてからリアワイパー3を動作させるまでの所定時間を短くすることにより、リアウインドウ1bに付着する雨滴の除去をより効果的に行うことができる。
【0045】
(動作4)
ECU5は、降雨が検知され(条件1が成立)、シフトレバーが前進位置又は中立位置(条件2が成立)であるときに、車輌1のフロントワイパー2の動作速度が最大(条件3が成立)の場合に、リアワイパー3を動作させる。車輌1の運転者はフロントワイパー作動SW11を操作することによってフロントワイパー2の動作速度を多段階で調整することができ、ECU5はフロントワイパー作動SW11の接続状態に応じてフロントワイパー2の動作速度が最大であるか否かを判定することができる。また動作4においてリアワイパー3を動作させる場合には、上記の3つの条件が成立した際にタイマによる計時を開始し、例えば10分間隔などでリアワイパー3を間欠動作させることが望ましい。
【0046】
運転者の操作によってフロントワイパー2が最大速度で動作している場合、降雨が激しい(降雨量が多い)可能性が高く、車輌1のリアウインドウ1bに雨滴が付着している可能性が高い。よって、フロントワイパー2が最大速度で動作している場合、ECU5は、車輌1のリアウインドウ1bに雨滴が付着していることが推定されるため、リアワイパー3を動作させ、リアウインドウ1bに付着した雨滴の除去を行う。なお、動作4において車輌1が高速走行を行っていることをリアワイパー3の動作のための条件に加えてもよい。
【0047】
(動作5)
ECU5は、降雨が検知され(条件1が成立)、シフトレバーが前進位置又は中立位置(条件2が成立)であるときに、車輌1のヘッドライトが点灯している(条件3が成立)場合に、リアワイパー3を動作させる。車輌1の運転者はヘッドライト点灯SW16を操作することによってヘッドライトのオン/オフをおこなうことができ、ECU5はヘッドライト点灯SW16の接続状態に応じてヘッドライトが点灯されているか否かを判定することができる。また動作5においてリアワイパー3を動作させる場合にも、上記の3つの条件が成立した際にタイマによる計時を開始し、例えば10分間隔などでリアワイパー3を間欠動作させることが望ましい。
【0048】
夜間に車輌1のリアウインドウ1bに雨滴が付着した場合、後方の他車輌のヘッドライト及び街灯等の周囲の光を雨滴が乱反射させ、運転者による後方の視認性を低下させる可能性がある。また運転者がヘッドライト点灯SW16をオン操作し、車輌1のヘッドライトが点灯している場合には、車輌1の周囲環境が夜間であると推定できる。よって、ヘッドライトが点灯している場合にECU5がリアワイパー3を間欠動作させることにより、夜間における後方の視認性の低下を防止することができる。なお、上記の動作1〜4についても、車輌1のヘッドライトが点灯していることをリアワイパー3の動作条件に加え、夜間にのみ上記の動作1〜4を行う構成としてもよい。
【0049】
このように、本実施の形態に係るECU5は、リアワイパー作動SW12がオフ状態の場合であっても、動作1〜5の5つのパターンでリアワイパー3を自動的に動作させ、車輌1のリアウインドウ1bに付着した雨滴を除去することができる。なお、本発明に係るリアワイパー制御装置は、上記の動作1〜5の全てのパターンでリアワイパー3を動作させるものに限らず、動作1〜5の少なくとも1つのパターンでリアワイパー3を動作させるものであればよい。
【0050】
図4は、本発明に係るリアワイパー制御装置が行う降雨検知処理の手順を示すフローチャートである。降雨検知処理は、ECU5にて行われる処理であり、車輌1の周囲が降雨状態であることを検知する処理である。また、図示の降雨検知処理においては、降雨の検知結果を示す変数として降雨フラグを用いているが、この変数はECU5内に設けられたレジスタ又はメモリ等により実現されるものである。なお降雨フラグは、その値が1に設定されている場合に車輌1の周囲が降雨状態であることを示すものである。
【0051】
降雨検知処理において、ECU5は、まず降雨フラグの値を0に初期化する(ステップS1)。次いでECU5は、フロントワイパー作動SW11の状態を取得し(ステップS2)、雨滴検知センサ17の検知結果を取得する(ステップS3)。ECU5は、ステップS2にて取得した情報に基づいて車輌1のフロントワイパー2が動作中であるか否かを判定し(ステップS4)、フロントワイパー2が動作中でない場合には(S4:NO)、ステップS3にて取得した情報に基づいて雨滴が検知されたか否かを判定する(ステップS5)。
【0052】
ECU5は、フロントワイパー2が動作していると判定した場合(S4:YES)、又は、雨滴が検知されたと判定した場合(S5:YES)、降雨フラグを1に設定し(ステップS6)、ステップS8へ処理を進める。またECU5は、フロントワイパー2が動作していないと判定し(S4:NO)、且つ、雨滴が検知されないと判定した場合(S5:NO)、降雨フラグを0に設定して(ステップS7)、ステップS8へ処理を進める。
【0053】
ステップS6又はS7にて降雨フラグを設定した後、ECU5は、例えば車輌のイグニッションスイッチがオフされたか否かなどに応じて、降雨検知処理を終了すべきか否かを判定する(ステップS8)。降雨検知処理を終了すべきでないと判定した場合(S8:NO)、ECU5はステップS2へ処理を戻し、上述の処理を繰り返し行う。降雨検知処理を終了すべきと判定した場合(S8:YES)、ECU5は降雨検知処理を終了する。
【0054】
図5及び図6は、本発明に係るリアワイパー制御装置が行う降雨継続判定処理の手順を示すフローチャートである。降雨継続判定処理は、ECU5にて行われる処理であり、降雨状態が所定時間継続しているか否かを判定する処理である。また、図示の降雨継続判定処理においては、降雨継続の判定結果を示す変数として降雨継続フラグを用いているが、この変数はECU5内に設けられたレジスタ又はメモリ等により実現されるものである。なお降雨継続フラグは、その値が1に設定されている場合に降雨が所定時間以上継続していることを示すものである。また、図示の降雨継続判定処理においては、タイマを用いて計時を行っているが、このタイマはECU5内部に備えられているものとし、図2において図示は省略する。
【0055】
降雨継続判定処理において、ECU5は、まず降雨継続フラグの値を0に初期化し(ステップS11)、タイマの計時を初期化する(ステップS12)。次いでECU5は、図4に示した降雨検知処理の検知結果である降雨フラグの値をチェックし(ステップS13)、降雨フラグの値が0から1に変化したか否か(即ち、雨が降り始めたか否か)を判定する(ステップS14)。
【0056】
降雨フラグの値が0から1に変化した場合(S14:YES)、ECU5は、タイマによる計時をスタートし(ステップS15)、ステップS18へ処理を進める。降雨フラグの値が0から1に変化していない場合(S14:NO)、ECU5は、降雨フラグの値が1から0に変化したか否か(即ち、雨が止んだか否か)を判定する(ステップS16)。降雨フラグの値が1から0に変化した場合(S16:YES)、ECU5は、タイマによる計時をストップすると共に、タイマのリセットを行って(ステップS17)、ステップS18へ処理を進める。降雨フラグの値が1から0に変化していない場合(S16:NO)、即ち降雨フラグに変化がない場合には、ECU5はステップS18へ処理を進める。
【0057】
次いでECU5は、車速センサ13から車輌1の車速を取得し(ステップS18)、取得した車速が80km/h以上であるか否か(即ち、車輌1が高速走行を行っているか否か)を判定する(ステップS19)。ECU5は、車速が80km/h以上の場合(S19:YES)、タイマによる計時の判定基準をなす所定時間を10分に設定し(ステップS20)、また、車速が80km/h未満の場合(S19:NO)、所定時間を30分に設定する(ステップS21)。
【0058】
ステップS20又はS21にて所定時間を設定した後、ECU5は、タイマによる計時が所定時間を超えるか否かを判定する(ステップS22)。ECU5は、タイマによる計時が所定時間を超える場合(S22:YES)、降雨継続フラグの値を1に設定し(ステップS23)、また、タイマによる計時が所定時間を超えない場合(S22:NO)、降雨継続フラグの値を0に設定する(ステップS24)。
【0059】
ステップS23又はS24にて降雨継続フラグを設定した後、ECU5は、例えば車輌のイグニッションスイッチがオフされたか否かなどに応じて、降雨継続判定処理を終了すべきか否かを判定する(ステップS25)。降雨継続判定処理を終了すべきでないと判定した場合(S25:NO)、ECU5はステップS13へ処理を戻し、上述の処理を繰り返し行う。降雨継続判定処理を終了すべきと判定した場合(S25:YES)、ECU5は降雨継続判定処理を終了する。
【0060】
図7は、本発明に係るリアワイパー制御装置が行う停車継続判定処理の手順を示すフローチャートである。停車継続判定処理は、ECU5にて行われる処理であり、車輌1が所定時間継続して停車しているか否かを判定する処理である。また、図示の停車継続判定処理においては、停車継続の判定結果を示す変数として停車継続フラグを用いているが、この変数はECU5内に設けられたレジスタ又はメモリ等により実現されるものである。なお停車継続フラグは、その値が1に設定されている場合に車輌1が所定時間以上継続して停車していることを示すものである。また、図示の停車継続判定処理においては、タイマを用いて計時を行っているが、このタイマはECU5内部に備えられているものとし、図5及び図6に示す処理で用いたタイマとは異なるものである。
【0061】
停車継続判定処理において、ECU5は、まず停車継続フラグの値を0に初期化し(ステップS31)、タイマの計時を初期化する(ステップS32)。次いでECU5は、車速センサ13から車輌1の車速を取得し(ステップS33)、車輌1が減速して車速が0km/hに変化したか否か(即ち走行状態から停車状態に変化したか否か)を判定する(ステップS34)。
【0062】
車速が0km/hに変化した場合(S34:YES)、ECU5は、タイマによる計時をスタートし(ステップS36)、ステップS38へ処理を進める。車速が0km/hに変化していない場合(S34:NO)、ECU5は、車速が0km/hより大きいか否かを判定する(ステップS35)。車速が0km/hより大きい場合(S35:YES)、ECU5は、タイマによる計時をストップすると共に、タイマのリセットを行って(ステップS37)、ステップS38へ処理を進める。車速が0km/h以下の場合(S35:NO)、即ち車輌1が停車している場合、ECU5はステップS38へ処理を進める。
【0063】
次いでECU5は、タイマによる計時が所定時間(1分)を超えるか否かを判定する(ステップS38)。ECU5は、タイマによる計時が1分を超える場合(S38:YES)、停車継続フラグの値を1に設定し(ステップS39)、また、タイマによる計時が1分を超えない場合(S38:NO)、停車継続フラグの値を0に設定する(ステップS40)。
【0064】
ステップS39又はS40にて停車継続フラグを設定した後、ECU5は、例えば車輌のイグニッションスイッチがオフされたか否かなどに応じて、停車継続判定処理を終了すべきか否かを判定する(ステップS41)。停車継続判定処理を終了すべきでないと判定した場合(S41:NO)、ECU5はステップS33へ処理を戻し、上述の処理を繰り返し行う。停車継続判定処理を終了すべきと判定した場合(S41:YES)、ECU5は停車継続判定処理を終了する。
【0065】
図8及び図9は、本発明に係るリアワイパー制御装置が行うリアワイパー3の動作制御処理の手順を示すフローチャートであり、ECU5にて行われる処理である。リアワイパー3の動作制御処理において、ECU5は、まずリアワイパー作動SW12が運転者によりオンに操作されているか否かを判定する(ステップS51)。リアワイパー作動SW12がオンに操作されている場合(S51:YES)、ECU5は、リアワイパー作動SW12がオフされるまで、リアワイパーを継続的に動作させる(ステップS52)。
【0066】
リアワイパー作動SW12がオンに操作されていない場合(S51:NO)、即ちリアワイパー作動SW12がオフに操作されている場合、ECU5は、図4に示す降雨検知処理にて設定された降雨フラグを調べ、この降雨フラグの値が1に設定されているか否かを判定する(ステップS53)。降雨フラグの値が1に設定されている場合(S53:YES)、ECU5は、シフトレバー位置SW14の接続状態を調べ、車輌1のシフトレバーが前進位置又は中立位置に操作されているか否かを判定する(ステップS54)。降雨フラグの値が1に設定されていない場合(S53:NO)、又は、シフトレバーが前進位置若しくは中立位置に操作されていない場合(S54:NO)、ECU5は、リアワイパー3を停止させて(ステップS55)、ステップS65へ処理を進める。
【0067】
また、降雨フラグの値が1に設定されており(S53:YES)、且つ、シフトレバーが前進位置又は中立位置に操作されている場合には(S54:YES)、ECU5は、図7に示した停車継続判定処理にて設定された停車継続フラグを調べると共に、ブレーキSW15の状態を取得し、停車継続フラグの値が1に設定され且つブレーキが解除されているか否か(即ち、停車状態が1分以上継続された後、ブレーキが解除されたか否か)を判定する(ステップS56)。停車継続フラグの値が1に設定され且つブレーキが解除されている場合(S56:YES)、ECU5は、リアワイパー3を一回又は数回動作させ(ステップS57)、停車継続フラグの値を0に設定して(ステップS58)、ステップS65へ処理を進める。
【0068】
停車フラグの値が0に設定されているか、又は、ブレーキが解除されていない場合(S56:NO)、ECU5は、図5及び図6に示した降雨継続判定処理にて設定された降雨継続フラグを調べ、降雨継続フラグの値が1に設定されているか否か(即ち、降雨が所定時間継続しているか否か)を判定する(ステップS59)。降雨継続フラグの値が1に設定されている場合(S59:YES)、ECU5は、リアワイパー3を一回又は数回動作させ(ステップS60)、降雨継続フラグの値を0に設定して(ステップS61)、ステップS65へ処理を進める。
【0069】
降雨継続フラグの値が0に設定されている場合(S59:NO)、ECU5は、フロントワイパー作動SW11の接続状態を調べることによって、フロントワイパー2が高速動作しているか否かを判定する(ステップS62)。またECU5は、フロントワイパー2が高速動作していない場合(S62:NO)、ヘッドライト点灯SW16の接続状態を調べることによって、車輌1のヘッドライトが点灯しているか否か(即ち、夜間であるか否か)を判定する(ステップS63)。フロントワイパー2が高速動作している場合(S62:YES)、又は、ヘッドライトが点灯している場合(S63:YES)、ECU5は、リアワイパー3を10分又は30分等の所定時間に一回動作させる間欠動作を行って(ステップS64)、ステップS65へ処理を進める。
【0070】
ステップS52、S55、S58、S61若しくはS64の処理終了後、又は、ステップS63にてヘッドライトが点灯していない場合(S63:NO)、ECU5は、例えば車輌のイグニッションスイッチがオフされたか否かなどに応じて、リアワイパー3の動作制御処理を終了すべきか否かを判定する(ステップS65)。動作制御処理を終了すべきでないと判定した場合(S65:NO)、ECU5はステップS51へ処理を戻し、上述の処理を繰り返し行う。動作制御処理を終了すべきと判定した場合(S65:YES)、ECU5はリアワイパー3の動作制御処理を終了する。
【0071】
以上の構成のリアワイパー制御装置においては、水滴の検知又はフロントワイパー動作のいずれかの条件が成立して降雨状態を検知し、シフトレバーが前進位置又は中立位置に操作されているときに、車輌1が所定時間以上停止した後にブレーキが解除された場合に、ECU5がリアワイパー3を動作させる構成とすることにより、運転者がリアワイパー作動SW12をオン操作していない場合であっても、車輌1の停車中にリアウインドウ1bに付着した雨滴を自動的にリアワイパー3にて除去することができる。ECU5による降雨の検知は、フロントワイパー作動SW11の接続状態及び雨滴検知センサ17の検知結果に応じて容易且つ確実に行うことができる。
【0072】
また、降雨状態を検知し、シフトレバーが前進位置又は中立位置に操作されているときに、降雨が所定時間以上継続している場合に、ECU5がリアワイパー3を動作させる構成とすることにより、運転者がリアワイパー作動SW12をオン操作していない場合であっても、所定時間以上の降雨によりリアウインドウ1bに付着した雨滴をリアワイパー3にて除去することができる。更に、車輌1が所定速度以上の高速走行を行っている場合には、降雨開始からリアワイパー3を動作させるまでの時間を短縮する構成とすることにより、高速走行に伴う走行風によって車輌1の天井からリアウインドウ1bへ流れ落ちる雨滴をリアワイパー3にて除去することができる。
【0073】
また、降雨状態を検知し、シフトレバーが前進位置又は中立位置に操作されているときに、運転者のフロントワイパー作動SW11に対する操作によってフロントワイパー2が高速動作している場合、ECU5がリアワイパー3を動作させる構成とすることにより、運転者がリアワイパー作動SW12をオン操作していない場合であっても、降雨量が多く、リアウインドウ1bへの付着量が多いと推定される雨滴をリアワイパー3にて確実に除去することができる。
【0074】
また、降雨状態を検知し、シフトレバーが前進位置又は中立位置に操作されているときに、運転者のヘッドライト点灯SW16に対する操作によって車輌1のヘッドライトが点灯している場合、ECU5がリアワイパー3を動作させる構成とすることにより、運転者がリアワイパー作動SW12をオン操作していない場合であっても、夜間にリアウインドウ1bに付着した雨滴が光を乱反射させて運転者による後方視認性を低下させることを防止できる。更に、この場合にはECU5がリアワイパー3を間欠動作させる構成とすることにより、必要以上のリアワイパー3の動作を抑制して、リアワイパー3の劣化を防止することができる。
【0075】
本発明に係るリアワイパー制御装置は、これらの複数のパターンでリアワイパー3の動作を制御することができるため、車輌1の走行状態及び周囲環境等に適した動作をリアワイパー3に行わせることができる。よって、本発明に係るリアワイパー制御装置を搭載した車輌1においては、雨天走行時における運転者のリアウインドウ1bを通した後方の視認性が低下することを防止することができ、車輌1の安全走行を実現することができる。
【0076】
なお、本実施の形態においては、フロントワイパー2の動作及び雨滴検知センサ17の検知結果に基づいてECU5が降雨を検知する構成としたが、これに限るものではなく、例えば雨滴検知センサ17を備えずに、フロントワイパー2の動作のみに基づいて降雨を検知する構成としてもよく、逆に雨滴検知センサ17の検知結果のみに基づいて降雨を検知する構成としてもよい。また、車速センサ13が検知する車速が0km/hの場合に車輌1が停車しているとECU5が判定する構成としたが、これに限るものではなく、例えば車速が5km/h以下であれば停車していると判定する構成としてもよい(即ち、車輌1が低速走行している場合をも停車に含めてもよい)。同様に、車速センサ13が検知する車速が80km/h以上の場合に車輌1が高速走行していると判定する構成としたが、高速走行の判定閾値は一例であってこれに限るものではなく、例えば車速が60km/h以上の場合を高速走行と判定してもよい。
【0077】
また、停車継続判定処理では車輌1が1分以上停車したことを判定し、降雨継続判定処理では降雨が10分又は30分以上継続したことを判定する構成としたが、これらの判定時間は一例であってこれに限るものではない。また、フロントワイパー2の動作速度を多段階で調整できる構成のとき、フロントワイパー2が最大速度で動作している場合にECU5がリアワイパー3を動作させる構成としたが、これに限るものではなく、例えば5段階でフロントワイパー2の動作速度を調整できる構成のときに、中速度である3段階目の速度を超える速度でフロントワイパー2が動作している場合にECU5がリアワイパー3を動作させるなどの構成であってもよく、少なくともフロントワイパー2の動作速度が最低速度でない場合にECU5がリアワイパー3を動作させる構成であればよい。
【0078】
また、ヘッドライトの点灯に応じてリアワイパー3を動作させる場合には、リアワイパー3を間欠動作させる構成としたが、これに限るものではなく、通常動作を行う構成であってもよい。また、停車状態が所定時間継続した後にブレーキを解除した場合、降雨が所定時間以上継続した場合、及びフロントワイパー2の動作速度が最大の場合(図3に示す動作1〜4の場合)について、車輌1のヘッドライトが点灯していることをリアワイパー3の動作条件に追加し、本発明のリアワイパー制御装置によるリアワイパー3の動作を夜間限定としてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 車輌
1a フロントウインドウ
1b リアウインドウ
2 フロントワイパー
3 リアワイパー
5 ECU(条件判定手段、停車検知手段、継続判定手段、フロントワイパー動作判定手段、制御手段)
11 フロントワイパー作動SW(フロントワイパー動作判定手段)
12 リアワイパー作動SW
13 車速センサ(停車検知手段、車速検知手段)
14 シフトレバー位置SW(シフト位置判定手段)
15 ブレーキSW(ブレーキ解除検知手段)
16 ヘッドライト点灯SW(点灯検知手段)
17 雨滴検知センサ(水滴検知センサ)
21 フロントワイパー駆動部
22 リアワイパー駆動部
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輌の後部に設けられて後部の窓(リアウインドウ)に付着した雨滴を除去するリアワイパーの動作を制御するリアワイパー制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車輌の前部の窓(フロントウインドウ)のみでなくリアウインドウにリアワイパーを設け、リアウインドウに付着した雨滴の除去を可能とした車輌が広く普及している。従来の車輌では、フロントウインドウに設けられたフロントワイパーを動作させるためのスイッチが運転席の近傍に設けられ、このフロントワイパーのスイッチとは別に、リアワイパーを動作させるためのスイッチが設けられる場合が多い。このため、フロントワイパーのスイッチに対する操作に加えて、リアワイパーのスイッチを操作することが運転者にとって煩わしいという問題があった。
【0003】
特許文献1においては、降雨時などに、車輌の変速機をリバースギアに投入するのみでリアワイパーが作動する車輌用リアワイパーの駆動装置が提案されている。この駆動装置は、リアワイパーを駆動するモータ装置と、このモータ装置のためのバッテリと、水滴の存在を検知する水滴センサと、変速機をリバースギアに投入したときに作動するリバーススイッチと、水滴センサが水滴の存在を検知し且つリバーススイッチが作動したときにモータ装置にバッテリの電圧を印加するセレクトスイッチを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−49532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の車輌用リアワイパーの駆動装置は、変速機をリバースギアに投入したときにリアワイパーが動作する構成であるため、車輌の後退時のみリアワイパーが動作し、車輌の前進時にリアワイパーを動作させることができないという問題がある。
【0006】
車輌の運転者は、一般に車輌の走行中にはルームミラーを通して車輌の後方確認を行うが、リアウインドウに雨滴が付着していると十分な後方確認を行うことができない。特にルームミラーを通した後方確認は、運転者により無意識的に行われる場合が多く、運転者はリアウインドウの雨滴付着による視界の低下に気付き難いという問題がある。十分な後方確認を行うことができない場合、例えば後方からの他車の接近気付くのが遅れるなど、車輌の安全走行に支障をきたす虞がある。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、リアワイパーを動作させるスイッチに対する運転者の操作を必要とせずに、周囲の降雨条件及び車輌の走行状態等に適切な動作をリアワイパーに行わせることができるリアワイパー制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るリアワイパー制御装置は、車輌の後部に設けられたリアワイパーの動作を制御するリアワイパー制御装置において、前記車輌のウインドウへの水滴の付着が水滴検知センサにより検知されていること、及び、前記車輌の前部に設けられたフロントワイパーが動作していること、の少なくとも一方の条件が成立しているか否かを判定する条件判定手段と、前記車輌のシフトレバーが前記車輌の前進に係る位置又は中立位置に操作されているか否かを判定するシフト位置判定手段と、前記車輌が所定時間以上停車したことを判定する停車判定手段と、前記車輌のブレーキの解除を検知するブレーキ解除検知手段と、前記条件判定手段の判定結果に応じて、前記条件の成立が所定時間以上継続しているか否かを判定する継続判定手段と、前記フロントワイパーの動作速度が所定速度以上であるか否かを判定するフロントワイパー動作判定手段と、前記車輌のライトの点灯を検知する点灯検知手段と、前記条件判定手段の判定結果、前記シフト位置判定手段の判定結果、前記停車判定手段の判定結果、前記ブレーキ解除検知手段の検知結果、前記継続判定手段の判定結果、前記フロントワイパー動作判定手段の判定結果及び前記点灯検知手段の検知結果に基づいて、前記リアワイパーの動作を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るリアワイパー制御装置は、前記制御手段が、前記条件が成立していると前記条件判定手段が判定し、前記シフトレバーが前記車輌の前進に係る位置又は中立位置に操作されていると前記シフト位置判定手段が判定したとき、前記車輌が所定時間以上停車したことが前記停車判定手段により判定された後に前記ブレーキ解除検知手段が前記ブレーキの解除を検知した場合、前記条件の成立が所定時間以上継続していると前記継続判定手段が判定した場合、前記フロントワイパーの動作速度が所定速度以上であると前記フロントワイパー動作判定手段が判定した場合、又は、前記ライトの点灯を前記点灯検知手段が検知した場合のいずれかの場合に前記リアワイパーを動作させるようにしてあることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るリアワイパー制御装置は、車輌の後部に設けられたリアワイパーの動作を制御するリアワイパー制御装置において、前記車輌のウインドウへの水滴の付着が水滴検知センサにより検知されていること、及び、前記車輌の前部に設けられたフロントワイパーが動作していること、の少なくとも一方の条件が成立しているか否かを判定する条件判定手段と、前記車輌のシフトレバーが前記車輌の前進に係る位置又は中立位置に操作されているか否かを判定するシフト位置判定手段と、前記車輌が所定時間以上停車したことを判定する停車判定手段と、前記車輌のブレーキの解除を検知するブレーキ解除検知手段と、前記条件が成立していると前記条件判定手段が判定し、前記シフトレバーが前記車輌の前進に係る位置又は中立位置に操作されていると前記シフト位置判定手段が判定したとき、前記車輌が所定時間以上停車したことが前記停車判定手段により判定された後に前記ブレーキ解除検知手段が前記ブレーキの解除を検知した場合に、前記リアワイパーを動作させる制御手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るリアワイパー制御装置は、車輌の後部に設けられたリアワイパーの動作を制御するリアワイパー制御装置において、前記車輌のウインドウへの水滴の付着が水滴検知センサにより検知されていること、及び、前記車輌の前部に設けられたフロントワイパーが動作していること、の少なくとも一方の条件が成立しているか否かを判定する条件判定手段と、前記車輌のシフトレバーが前記車輌の前進に係る位置又は中立位置に操作されているか否かを判定するシフト位置判定手段と、前記条件判定手段の判定結果に応じて、前記条件の成立が所定時間以上継続しているか否かを判定する継続判定手段と、前記条件が成立していると前記条件判定手段が判定し、前記シフトレバーが前記車輌の前進に係る位置又は中立位置に操作されていると前記シフト位置判定手段が判定したとき、前記条件の成立が所定時間以上継続していると前記継続判定手段が判定した場合に、前記リアワイパーを動作させる制御手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るリアワイパー制御装置は、前記車輌の走行速度を検知する車速検知手段を更に備え、前記車速検知手段が検知した車速が所定速度を超える場合には、前記継続判定手段が、前記所定時間より短い第2の所定時間以上、前記条件が継続して成立しているか否かを判定するようにしてあり、前記制御手段は、前記条件が成立していると前記条件判定手段が判定し、前記シフトレバーが前記車輌の前進に係る位置又は中立位置に操作されていると前記シフト位置判定手段が判定したとき、前記継続判定手段が前記第2の所定時間以上、前記条件が継続して成立していると判定した場合に、前記リアワイパーを動作させるようにしてあることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係るリアワイパー制御装置は、車輌の後部に設けられたリアワイパーの動作を制御するリアワイパー制御装置において、前記車輌のウインドウへの水滴の付着が水滴検知センサにより検知されていること、及び、前記車輌の前部に設けられたフロントワイパーが動作していること、の少なくとも一方の条件が成立しているか否かを判定する条件判定手段と、前記車輌のシフトレバーが前記車輌の前進に係る位置又は中立位置に操作されているか否かを判定するシフト位置判定手段と、前記フロントワイパーの動作速度が所定速度以上であるか否かを判定するフロントワイパー動作判定手段と、前記条件が成立していると前記条件判定手段が判定し、前記シフトレバーが前記車輌の前進に係る位置又は中立位置に操作されていると前記シフト位置判定手段が判定したとき、前記フロントワイパーの動作速度が所定速度以上であると前記フロントワイパー動作判定手段が判定した場合に、前記リアワイパーを動作させる制御手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係るリアワイパー制御装置は、車輌の後部に設けられたリアワイパーの動作を制御するリアワイパー制御装置において、前記車輌のウインドウへの水滴の付着が水滴検知センサにより検知されていること、及び、前記車輌の前部に設けられたフロントワイパーが動作していること、の少なくとも一方の条件が成立しているか否かを判定する条件判定手段と、前記車輌のシフトレバーが前記車輌の前進に係る位置又は中立位置に操作されているか否かを判定するシフト位置判定手段と、前記車輌のライトの点灯を検知する点灯検知手段と、前記条件が成立していると前記条件判定手段が判定し、前記シフトレバーが前記車輌の前進に係る位置又は中立位置に操作されていると前記シフト位置判定手段が判定したとき、前記ライトの点灯を前記点灯検知手段が検知した場合に、前記リアワイパーを動作させる制御手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係るリアワイパー制御装置は、前記制御手段が、前記リアワイパーを所定の時間間隔で間欠動作させるようにしてあることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係るリアワイパー制御装置は、前記水滴検知センサが、車輌のフロントウインドウに付着する水滴を検知するようにしてあることを特徴とする。
【0017】
本発明においては、車輌のウインドウに水滴が付着していると水滴検知センサが検知したこと、及び、フロントワイパーが動作していることの2つの条件のうちの少なくとも一方の条件が成立しているか否かをリアワイパー制御装置が判定する。水滴検知センサにより水滴の付着が検知された場合には、降雨により雨滴が付着したことが推定でき、また、ユーザの操作によってフロントワイパーが動作している場合には降雨状態であることが推定できるため、これらの条件判定により降雨を検知することができる。
またリアワイパー制御装置は、車輌のシフトレバーが前進位置(例えば「D(ドライブ)」又は「2(セカンド)」等の位置)又は中立位置(「N(ニュートラル)」の位置)に操作されているか否かを判定する。
更には、リアワイパー制御装置は、車輌が所定時間(例えば1分など)以上停車したか否かを判定し、ブレーキの解除を検知し、水滴の付着又はリアワイパーの動作が所定時間(例えば30分又は10分等)継続したか否かを判定し、フロントワイパーの動作速度が所定速度以上であるか否かを判定し、車輌のライトが点灯しているか否かを判定する。
これらの複数の判定結果及び検知結果に基づいてリアワイパー制御装置がリアワイパーを動作させることによって、周囲の状況及び車輌の走行状態等に適したリアウインドウの雨滴の除去を行うことが可能となる。
【0018】
また、本発明においては、水滴の検知又はフロントワイパー動作のいずれかの条件が成立して降雨状態を検知し、シフトレバーが前進位置又は中立位置に操作されているときに、車輌が所定時間(例えば1分など)以上停車し、その後にブレーキが解除された場合に、リアワイパー制御装置はリアワイパーを動作させる。これにより、例えば雨天時に車輌が信号待ちなどで停車し、その後に発車のためにブレーキを解除した際に、リアワイパーを動作させることができる。
セダン型の車輌のようにリアウインドウが傾斜して設けられた車輌の場合、及び斜め後方からの降雨の場合等には、車輌の停車中にリアウインドウに雨滴が付着しやすいため、この雨滴の除去を行うことができる。
【0019】
また、本発明においては、水滴の検知又はフロントワイパー動作のいずれかの条件が成立して降雨状態を検知し、シフトレバーが前進位置又は中立位置に操作されているときに、降雨が所定時間(例えば30分など)以上継続している場合、リアワイパー制御装置はリアワイパーを動作させる。これにより、例えば雨が降り始めて運転者がフロントワイパーを動作させて所定時間が経過した後には、リアウインドウに雨滴が付着している可能性が高いが、この雨滴の除去を行うことができる。
【0020】
更に、車輌が所定速度(例えば80km/hなど)以上の高速走行を行っている場合には、車輌の走行に伴う走行風によって車輌の天井の雨滴がリアウインドウへ流れ落ちるため、リアウインドウに雨滴が付着している可能性が高い。そこで本発明においては、車輌が所定速度以上で高速走行しているときには、降雨の継続時間の判定基準を短くし、低速走行時の所定時間より短い第2の所定時間(例えば10分など)以上に亘って降雨が継続している場合に、リアワイパー制御装置はリアワイパーを動作させる。これにより、走行風によって車輌の天井から流れ落ちる雨滴の除去を行うことができる。
【0021】
また、本発明においては、水滴の検知又はフロントワイパー動作のいずれかの条件が成立して降雨状態を検知し、シフトレバーが前進位置又は中立位置に操作されているときに、フロントワイパーが所定速度以上の高速動作している場合、リアワイパー制御装置はリアワイパーを動作させる。これにより、運転者のスイッチ操作によってフロントワイパーが高速動作している場合には、降雨が激しい可能性が高く、リアウインドウに雨滴が付着している可能性が高いが、この雨滴の除去を行うことができる。
【0022】
また、本発明においては、水滴の検知又はフロントワイパー動作のいずれかの条件が成立して降雨状態を検知し、シフトレバーが前進位置又は中立位置に操作されているときに、車輌のライト(ヘッドライトなど)が点灯されている場合、リアワイパー制御装置はリアワイパーを動作させる。夜間にリアウインドウに雨滴が付着した場合、後方の他車輌のヘッドライト及び街灯等の周囲の光を雨滴が乱反射させるため、運転者による後方の視認性をより低下させる虞がある。車輌のライトが点灯されている場合には夜間であると推定できるため、ライトの点灯時にリアワイパーを動作させることによって、夜間における後方の視認性の低下を防止することができる。
【0023】
また、本発明においては、ライトの点灯に応じて夜間にリアワイパーを動作させる場合には、所定の時間間隔(例えば30分間隔など)で間欠動作させる。ライトの点灯に応じてリアワイパーを動作させる場合、降雨量が多いとは限らず、リアウインドウに付着する雨滴量が多いとは限らないため、リアワイパーを間欠動作とすることにより、必要以上のリアワイパーの動作を抑制して、リアワイパーの劣化などを防止することができる。
【0024】
また、本発明においては、水滴を検知するセンサを車輌のフロントウインドウ又はその周辺に設け、フロントウインドウに付着する水滴を検知する構成とする。水滴を検知するセンサはフロントワイパーを動作させる制御装置が備えている場合が多く、リアワイパー制御装置がこのセンサを共用することが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明による場合は、水滴の検知又はフロントワイパー動作のいずれかの条件が成立して降雨状態を検知し、シフトレバーが前進位置又は中立位置に操作されているときに、種々の判定結果及び検知結果に基づく車輌の周囲状況及び走行状態等に応じてリアワイパーを動作させる構成とすることにより、車輌の走行時におけるリアウインドウを通した後方視認性を高めることができるため、車輌の安全走行を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係るリアワイパー制御装置を搭載した車輌の構成を示す模式的平面図である。
【図2】本発明に係るリアワイパー制御装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に係るリアワイパー制御装置によるリアワイパーの動作制御処理を説明するための図表である。
【図4】本発明に係るリアワイパー制御装置が行う降雨検知処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係るリアワイパー制御装置が行う降雨継続判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係るリアワイパー制御装置が行う降雨継続判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明に係るリアワイパー制御装置が行う停車継続判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明に係るリアワイパー制御装置が行うリアワイパーの動作制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明に係るリアワイパー制御装置が行うリアワイパーの動作制御処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。図1は、本発明に係るリアワイパー制御装置を搭載した車輌の構成を示す模式的平面図である。図において1は車輌であり、車輌1のフロントウインドウ1aには雨滴を除去するための2つのフロントワイパー2が設けられ、車輌1のリアウインドウ1bには1つのリアワイパー3が設けられている。車輌1のフロントワイパー2及びリアワイパー3は、車輌1内の適所に搭載されたECU(Electronic Control Unit)5により動作を制御されている。また車輌1のフロントウインドウ1aには、フロントウインドウ1aに付着した雨滴を検知する雨滴検知センサ17が設けてあり、雨滴検知センサ17の検知結果はECU5へ与えられる。
【0028】
図2は、本発明に係るリアワイパー制御装置の構成を示すブロック図である。車輌1の運転席近傍には、運転者がフロントワイパー2を動作させるためのフロントワイパー作動スイッチ(以下、SWと記載する)11と、リアワイパー3を動作させるためのリアワイパー作動SW12とが設けられている。フロントワイパー作動SW11は、運転者の操作に応じてフロントワイパー2のオン/オフを切り替えるのみでなく、フロントワイパー2の動作速度を多段階で調整することができる複数の接点を有する構成である。フロントワイパー作動SW11は、運転者による操作状態(即ち、接点の接続状態)をECU5へ与える。同様にリアワイパー作動SW12は、リアワイパー3のオン/オフ及び動作速度の調整を行うことができる複数の接点を有する構成であり、運転者による操作状態をECU5へ与える。
【0029】
また車輌1には、車速センサ13、シフトレバー位置SW14、ブレーキSW15、ヘッドライト点灯SW16及び雨滴検知センサ17等が搭載されている。車速センサ13は、例えば車輪の回転速などに基づいて車輌1の走行速度(車速)を検知するものであり、検知結果をECU5へ与える。
【0030】
車輌1の運転席近傍にはシフトレバー(図示は省略する)が設けられており、運転者は車輌1の運転状況に応じて「P」、「N」、「D」又は「R」の位置にシフトレバーを移動させることができる。シフトレバー位置SW14は、このシフトレバーの位置に応じて切り替わる複数の接点を有するスイッチであり、シフトレバーの操作位置に係る情報をECU5へ与える。
【0031】
車輌1の運転席近傍にはブレーキ(フットブレーキ又はサイドブレーキ)が設けられており、運転者は車輌1の走行を停止させる場合にブレーキ操作を行う。ブレーキSW15は、ブレーキのオン/オフに応じて切り替わるスイッチであり、ブレーキのオン/オフに係る情報をECU5へ与える。また車輌1の運転席近傍には、運転者が車輌1のヘッドライトを点灯するためのヘッドライト点灯SW16が設けられている。ヘッドライト点灯SW16は、ヘッドライトのオン/オフを切り替えるスイッチであり、ヘッドライトのオン/オフに係る情報をECU5へ与える。
【0032】
雨滴検知センサ17は、雨滴の量を検知するセンサであり、例えば発光素子から出射されてガラス表面にて反射された光を受光素子にて受光する構成とすることができる。この構成では、ガラス表面に雨滴などの水滴が付着した場合に光の乱反射で反射率が変化することを利用し、受光素子にて受光される光の量に応じて雨滴の量を検知することができる。雨滴検知センサ17は、車輌1のフロントウインドウ1a又はその周辺に配され、フロントウインドウ1aに付着した雨滴を検知する。雨滴検知センサ17は、検知した雨滴量をECU5へ通知する。
【0033】
ECU5は、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等の演算処理装置、RAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)等のメモリ素子、並びにフロントワイパー作動SW11〜雨滴検知センサ17等の外部装置との間で情報の授受を行う通信インタフェース等を有している。ECU5は、フロントワイパー作動SW11〜雨滴検知センサ17から与えられる情報に応じて、車輌1に搭載されたフロントワイパー2及びリアワイパー3の動作を制御する処理を行う。
【0034】
ECU5は、フロントワイパー2の動作のオン/オフ及び動作速度に係る情報を有する制御信号をフロントワイパー駆動部21へ与える。フロントワイパー駆動部21は、フロントワイパー2を往復運動させるためのモータ又はアクチュエータ等と、これを駆動する電圧を発生する駆動回路とを有しており、ECU5からの制御信号に応じて駆動回路にて駆動電圧を発生させ、モータ又はアクチュエータ等を動作させることによりフロントワイパー2を動作させる。
【0035】
同様にECU5は、リアワイパー3の動作のオン/オフ及び動作速度に係る情報を有する制御信号をリアワイパー駆動部22へ与える。リアワイパー駆動部22は、リアワイパー3を往復運動させるためのモータ又はアクチュエータ等と、これを駆動する電圧を発生する駆動回路とを有しており、ECU5からの制御信号に応じて駆動回路にて駆動電圧を発生させ、モータ又はアクチュエータ等を動作させることによりリアワイパー3を動作させる。
【0036】
運転者によりフロントワイパー作動SW11がオン操作された場合、ECU5はフロントワイパー駆動部21へ制御信号を与えることによって、フロントワイパー2を動作させる。また運転者によりリアワイパー作動SW12がオン操作された場合、ECU5はリアワイパー駆動部22へ制御信号を与えることによって、リアワイパー3を動作させる。更に、本実施の形態に係るECU5は、リアワイパー作動SW12がオフの状態であっても、車速センサ13〜雨滴検知センサ17から与えられる情報に応じて、車輌1のリアウインドウ1bに雨滴が付着していることを推定し、また車輌1の周囲の状況などを推定し、リアワイパー3を自動的に動作させることができる。
【0037】
図3は、本発明に係るリアワイパー制御装置によるリアワイパー3の動作制御処理を説明するための図表であり、ECU5がリアワイパー3を動作させる条件を示してある。リアワイパー作動SW12がオフ状態においてECU5がリアワイパー3を動作させるパターンは5通りであり、図3には5通りの動作1〜5のそれぞれについて、動作が行われる条件1〜4が対応付けて記載してある。
【0038】
表中に示す条件1の降雨検知と、条件2のシフトレバー前進位置又は中立位置との2つの条件は、全ての動作1〜5について共通の条件である。なお、雨滴検知センサ17にて雨滴が検知されたこと、及び、フロントワイパー作動SW11がオン状態であり車輌1のフロントワイパー2が動作していること、のいずれか一方が成立した場合に、降雨検知の条件1が成立する。また、シフトレバー位置SW14がシフトレバーの「D」又は「N」の位置を示す状態である場合に、シフトレバー前進位置又は中立位置の条件2が成立する。
【0039】
(動作1)
ECU5は、降雨が検知され(条件1が成立)、シフトレバーが前進位置又は中立位置(条件2が成立)であるときに、車輌1が停車状態で所定時間経過した後(条件3が成立)、車輌1のブレーキが解除された(条件4が成立)場合に、リアワイパー3を動作させる。この場合のリアワイパー3の動作は、一回又は数回程度であってよい。なお、ECU5は、車輌1が停車状態であるか否かを車速センサ13が検知する車速から判定することができ、例えば車速が0km/hの場合に停車状態と判定すればよい。ECU5は、車輌1が停車状態となった場合にタイマによる計時を開始し、例えば停車状態で1分経過した場合に条件3が成立したと判定する。またECU5は、車輌1のブレーキが解除されたか否かを、ブレーキSW15の状態に応じて判定する。
【0040】
降雨時に車輌1が信号待ちなどで一定時間停車したとき、特にセダン型などのリアウインドウ1bが傾斜している車輌の場合、又は、斜め後方からの降雨の場合には、リアウインドウ1bに雨滴が付着しやすい。よって、降雨時に車輌1が所定時間停車した後にブレーキが解除された場合、ECU5は、車輌1のリアウインドウ1bに雨滴が付着していることが推定されるため、リアワイパー3を動作させ、車輌1の停車中にリアウインドウ1bに付着した雨滴を除去する。
【0041】
(動作2)
ECU5は、降雨が検知され(条件1が成立)、シフトレバーが前進位置又は中立位置(条件2が成立)であるときに、降雨が所定時間以上継続している(条件3が成立)場合に、リアワイパー3を動作させる。この場合のリアワイパー3の動作は、一回又は数回程度であってよい。なお、ECU5は、車輌1のフロントワイパー2が動作開始した場合、又は、雨滴センサ17が雨滴を検知した場合にタイマによる計時を開始し、例えばフロントワイパー2の動作が30分以上継続された場合、又は、雨滴検知センサ17が雨滴を30分以上継続的に検知している場合に、降雨が継続し、条件3が成立したと判定する。また、所定時間が経過してリアワイパー3を動作させた場合には、ECU5はタイマをリセットして計時を再開してもよく、これにより降雨が継続していれば30分に一回程度の頻度でリアワイパー3を自動的に動作させることができる。
【0042】
降雨が一定時間継続した場合には、車輌1のリアウインドウ1bに雨滴が付着している可能性は高い。よって、フロントワイパー2の動作又は雨滴検知センサ17の検知により降雨が30分以上継続している場合、ECU5は、車輌1のリアウインドウ1bに雨滴が付着していることが推定されるため、リアワイパー3を動作させ、リアウインドウ1bに付着した雨滴の除去を行う。
【0043】
(動作3)
ECU5は、降雨が検知され(条件1が成立)、シフトレバーが前進位置又は中立位置(条件2が成立)であるときに、降雨が所定時間以上継続している(条件3が成立)場合に、リアワイパー3を動作させる。これは上記の動作2と同様であるが、車輌1が高速走行している(条件4が成立)場合には、ECU5は条件3の判定に用いる所定時間を動作2の場合より短い時間とする。例えば動作2においては降雨が30分以上継続した場合にリアワイパー3を動作させ、動作3においては降雨が10分以上継続した場合にリアワイパー3を動作させる。なお、ECU5は、車速センサ13の検知結果に応じて車輌1が高速走行しているか否かを判定することができ、例えば車速が80km/h以上の場合に車輌1が高速走行していると判定する。
【0044】
車輌1が高速走行している場合には、車輌1の走行に伴う走行風によって、車輌1の天井に溜まった雨滴がリアウインドウ1bへ流れ落ち、リアウインドウ1bに雨滴が付着する可能性が高い。よって、車輌1が高速走行を行っている際には、雨が降り始めてからリアワイパー3を動作させるまでの所定時間を短くすることにより、リアウインドウ1bに付着する雨滴の除去をより効果的に行うことができる。
【0045】
(動作4)
ECU5は、降雨が検知され(条件1が成立)、シフトレバーが前進位置又は中立位置(条件2が成立)であるときに、車輌1のフロントワイパー2の動作速度が最大(条件3が成立)の場合に、リアワイパー3を動作させる。車輌1の運転者はフロントワイパー作動SW11を操作することによってフロントワイパー2の動作速度を多段階で調整することができ、ECU5はフロントワイパー作動SW11の接続状態に応じてフロントワイパー2の動作速度が最大であるか否かを判定することができる。また動作4においてリアワイパー3を動作させる場合には、上記の3つの条件が成立した際にタイマによる計時を開始し、例えば10分間隔などでリアワイパー3を間欠動作させることが望ましい。
【0046】
運転者の操作によってフロントワイパー2が最大速度で動作している場合、降雨が激しい(降雨量が多い)可能性が高く、車輌1のリアウインドウ1bに雨滴が付着している可能性が高い。よって、フロントワイパー2が最大速度で動作している場合、ECU5は、車輌1のリアウインドウ1bに雨滴が付着していることが推定されるため、リアワイパー3を動作させ、リアウインドウ1bに付着した雨滴の除去を行う。なお、動作4において車輌1が高速走行を行っていることをリアワイパー3の動作のための条件に加えてもよい。
【0047】
(動作5)
ECU5は、降雨が検知され(条件1が成立)、シフトレバーが前進位置又は中立位置(条件2が成立)であるときに、車輌1のヘッドライトが点灯している(条件3が成立)場合に、リアワイパー3を動作させる。車輌1の運転者はヘッドライト点灯SW16を操作することによってヘッドライトのオン/オフをおこなうことができ、ECU5はヘッドライト点灯SW16の接続状態に応じてヘッドライトが点灯されているか否かを判定することができる。また動作5においてリアワイパー3を動作させる場合にも、上記の3つの条件が成立した際にタイマによる計時を開始し、例えば10分間隔などでリアワイパー3を間欠動作させることが望ましい。
【0048】
夜間に車輌1のリアウインドウ1bに雨滴が付着した場合、後方の他車輌のヘッドライト及び街灯等の周囲の光を雨滴が乱反射させ、運転者による後方の視認性を低下させる可能性がある。また運転者がヘッドライト点灯SW16をオン操作し、車輌1のヘッドライトが点灯している場合には、車輌1の周囲環境が夜間であると推定できる。よって、ヘッドライトが点灯している場合にECU5がリアワイパー3を間欠動作させることにより、夜間における後方の視認性の低下を防止することができる。なお、上記の動作1〜4についても、車輌1のヘッドライトが点灯していることをリアワイパー3の動作条件に加え、夜間にのみ上記の動作1〜4を行う構成としてもよい。
【0049】
このように、本実施の形態に係るECU5は、リアワイパー作動SW12がオフ状態の場合であっても、動作1〜5の5つのパターンでリアワイパー3を自動的に動作させ、車輌1のリアウインドウ1bに付着した雨滴を除去することができる。なお、本発明に係るリアワイパー制御装置は、上記の動作1〜5の全てのパターンでリアワイパー3を動作させるものに限らず、動作1〜5の少なくとも1つのパターンでリアワイパー3を動作させるものであればよい。
【0050】
図4は、本発明に係るリアワイパー制御装置が行う降雨検知処理の手順を示すフローチャートである。降雨検知処理は、ECU5にて行われる処理であり、車輌1の周囲が降雨状態であることを検知する処理である。また、図示の降雨検知処理においては、降雨の検知結果を示す変数として降雨フラグを用いているが、この変数はECU5内に設けられたレジスタ又はメモリ等により実現されるものである。なお降雨フラグは、その値が1に設定されている場合に車輌1の周囲が降雨状態であることを示すものである。
【0051】
降雨検知処理において、ECU5は、まず降雨フラグの値を0に初期化する(ステップS1)。次いでECU5は、フロントワイパー作動SW11の状態を取得し(ステップS2)、雨滴検知センサ17の検知結果を取得する(ステップS3)。ECU5は、ステップS2にて取得した情報に基づいて車輌1のフロントワイパー2が動作中であるか否かを判定し(ステップS4)、フロントワイパー2が動作中でない場合には(S4:NO)、ステップS3にて取得した情報に基づいて雨滴が検知されたか否かを判定する(ステップS5)。
【0052】
ECU5は、フロントワイパー2が動作していると判定した場合(S4:YES)、又は、雨滴が検知されたと判定した場合(S5:YES)、降雨フラグを1に設定し(ステップS6)、ステップS8へ処理を進める。またECU5は、フロントワイパー2が動作していないと判定し(S4:NO)、且つ、雨滴が検知されないと判定した場合(S5:NO)、降雨フラグを0に設定して(ステップS7)、ステップS8へ処理を進める。
【0053】
ステップS6又はS7にて降雨フラグを設定した後、ECU5は、例えば車輌のイグニッションスイッチがオフされたか否かなどに応じて、降雨検知処理を終了すべきか否かを判定する(ステップS8)。降雨検知処理を終了すべきでないと判定した場合(S8:NO)、ECU5はステップS2へ処理を戻し、上述の処理を繰り返し行う。降雨検知処理を終了すべきと判定した場合(S8:YES)、ECU5は降雨検知処理を終了する。
【0054】
図5及び図6は、本発明に係るリアワイパー制御装置が行う降雨継続判定処理の手順を示すフローチャートである。降雨継続判定処理は、ECU5にて行われる処理であり、降雨状態が所定時間継続しているか否かを判定する処理である。また、図示の降雨継続判定処理においては、降雨継続の判定結果を示す変数として降雨継続フラグを用いているが、この変数はECU5内に設けられたレジスタ又はメモリ等により実現されるものである。なお降雨継続フラグは、その値が1に設定されている場合に降雨が所定時間以上継続していることを示すものである。また、図示の降雨継続判定処理においては、タイマを用いて計時を行っているが、このタイマはECU5内部に備えられているものとし、図2において図示は省略する。
【0055】
降雨継続判定処理において、ECU5は、まず降雨継続フラグの値を0に初期化し(ステップS11)、タイマの計時を初期化する(ステップS12)。次いでECU5は、図4に示した降雨検知処理の検知結果である降雨フラグの値をチェックし(ステップS13)、降雨フラグの値が0から1に変化したか否か(即ち、雨が降り始めたか否か)を判定する(ステップS14)。
【0056】
降雨フラグの値が0から1に変化した場合(S14:YES)、ECU5は、タイマによる計時をスタートし(ステップS15)、ステップS18へ処理を進める。降雨フラグの値が0から1に変化していない場合(S14:NO)、ECU5は、降雨フラグの値が1から0に変化したか否か(即ち、雨が止んだか否か)を判定する(ステップS16)。降雨フラグの値が1から0に変化した場合(S16:YES)、ECU5は、タイマによる計時をストップすると共に、タイマのリセットを行って(ステップS17)、ステップS18へ処理を進める。降雨フラグの値が1から0に変化していない場合(S16:NO)、即ち降雨フラグに変化がない場合には、ECU5はステップS18へ処理を進める。
【0057】
次いでECU5は、車速センサ13から車輌1の車速を取得し(ステップS18)、取得した車速が80km/h以上であるか否か(即ち、車輌1が高速走行を行っているか否か)を判定する(ステップS19)。ECU5は、車速が80km/h以上の場合(S19:YES)、タイマによる計時の判定基準をなす所定時間を10分に設定し(ステップS20)、また、車速が80km/h未満の場合(S19:NO)、所定時間を30分に設定する(ステップS21)。
【0058】
ステップS20又はS21にて所定時間を設定した後、ECU5は、タイマによる計時が所定時間を超えるか否かを判定する(ステップS22)。ECU5は、タイマによる計時が所定時間を超える場合(S22:YES)、降雨継続フラグの値を1に設定し(ステップS23)、また、タイマによる計時が所定時間を超えない場合(S22:NO)、降雨継続フラグの値を0に設定する(ステップS24)。
【0059】
ステップS23又はS24にて降雨継続フラグを設定した後、ECU5は、例えば車輌のイグニッションスイッチがオフされたか否かなどに応じて、降雨継続判定処理を終了すべきか否かを判定する(ステップS25)。降雨継続判定処理を終了すべきでないと判定した場合(S25:NO)、ECU5はステップS13へ処理を戻し、上述の処理を繰り返し行う。降雨継続判定処理を終了すべきと判定した場合(S25:YES)、ECU5は降雨継続判定処理を終了する。
【0060】
図7は、本発明に係るリアワイパー制御装置が行う停車継続判定処理の手順を示すフローチャートである。停車継続判定処理は、ECU5にて行われる処理であり、車輌1が所定時間継続して停車しているか否かを判定する処理である。また、図示の停車継続判定処理においては、停車継続の判定結果を示す変数として停車継続フラグを用いているが、この変数はECU5内に設けられたレジスタ又はメモリ等により実現されるものである。なお停車継続フラグは、その値が1に設定されている場合に車輌1が所定時間以上継続して停車していることを示すものである。また、図示の停車継続判定処理においては、タイマを用いて計時を行っているが、このタイマはECU5内部に備えられているものとし、図5及び図6に示す処理で用いたタイマとは異なるものである。
【0061】
停車継続判定処理において、ECU5は、まず停車継続フラグの値を0に初期化し(ステップS31)、タイマの計時を初期化する(ステップS32)。次いでECU5は、車速センサ13から車輌1の車速を取得し(ステップS33)、車輌1が減速して車速が0km/hに変化したか否か(即ち走行状態から停車状態に変化したか否か)を判定する(ステップS34)。
【0062】
車速が0km/hに変化した場合(S34:YES)、ECU5は、タイマによる計時をスタートし(ステップS36)、ステップS38へ処理を進める。車速が0km/hに変化していない場合(S34:NO)、ECU5は、車速が0km/hより大きいか否かを判定する(ステップS35)。車速が0km/hより大きい場合(S35:YES)、ECU5は、タイマによる計時をストップすると共に、タイマのリセットを行って(ステップS37)、ステップS38へ処理を進める。車速が0km/h以下の場合(S35:NO)、即ち車輌1が停車している場合、ECU5はステップS38へ処理を進める。
【0063】
次いでECU5は、タイマによる計時が所定時間(1分)を超えるか否かを判定する(ステップS38)。ECU5は、タイマによる計時が1分を超える場合(S38:YES)、停車継続フラグの値を1に設定し(ステップS39)、また、タイマによる計時が1分を超えない場合(S38:NO)、停車継続フラグの値を0に設定する(ステップS40)。
【0064】
ステップS39又はS40にて停車継続フラグを設定した後、ECU5は、例えば車輌のイグニッションスイッチがオフされたか否かなどに応じて、停車継続判定処理を終了すべきか否かを判定する(ステップS41)。停車継続判定処理を終了すべきでないと判定した場合(S41:NO)、ECU5はステップS33へ処理を戻し、上述の処理を繰り返し行う。停車継続判定処理を終了すべきと判定した場合(S41:YES)、ECU5は停車継続判定処理を終了する。
【0065】
図8及び図9は、本発明に係るリアワイパー制御装置が行うリアワイパー3の動作制御処理の手順を示すフローチャートであり、ECU5にて行われる処理である。リアワイパー3の動作制御処理において、ECU5は、まずリアワイパー作動SW12が運転者によりオンに操作されているか否かを判定する(ステップS51)。リアワイパー作動SW12がオンに操作されている場合(S51:YES)、ECU5は、リアワイパー作動SW12がオフされるまで、リアワイパーを継続的に動作させる(ステップS52)。
【0066】
リアワイパー作動SW12がオンに操作されていない場合(S51:NO)、即ちリアワイパー作動SW12がオフに操作されている場合、ECU5は、図4に示す降雨検知処理にて設定された降雨フラグを調べ、この降雨フラグの値が1に設定されているか否かを判定する(ステップS53)。降雨フラグの値が1に設定されている場合(S53:YES)、ECU5は、シフトレバー位置SW14の接続状態を調べ、車輌1のシフトレバーが前進位置又は中立位置に操作されているか否かを判定する(ステップS54)。降雨フラグの値が1に設定されていない場合(S53:NO)、又は、シフトレバーが前進位置若しくは中立位置に操作されていない場合(S54:NO)、ECU5は、リアワイパー3を停止させて(ステップS55)、ステップS65へ処理を進める。
【0067】
また、降雨フラグの値が1に設定されており(S53:YES)、且つ、シフトレバーが前進位置又は中立位置に操作されている場合には(S54:YES)、ECU5は、図7に示した停車継続判定処理にて設定された停車継続フラグを調べると共に、ブレーキSW15の状態を取得し、停車継続フラグの値が1に設定され且つブレーキが解除されているか否か(即ち、停車状態が1分以上継続された後、ブレーキが解除されたか否か)を判定する(ステップS56)。停車継続フラグの値が1に設定され且つブレーキが解除されている場合(S56:YES)、ECU5は、リアワイパー3を一回又は数回動作させ(ステップS57)、停車継続フラグの値を0に設定して(ステップS58)、ステップS65へ処理を進める。
【0068】
停車フラグの値が0に設定されているか、又は、ブレーキが解除されていない場合(S56:NO)、ECU5は、図5及び図6に示した降雨継続判定処理にて設定された降雨継続フラグを調べ、降雨継続フラグの値が1に設定されているか否か(即ち、降雨が所定時間継続しているか否か)を判定する(ステップS59)。降雨継続フラグの値が1に設定されている場合(S59:YES)、ECU5は、リアワイパー3を一回又は数回動作させ(ステップS60)、降雨継続フラグの値を0に設定して(ステップS61)、ステップS65へ処理を進める。
【0069】
降雨継続フラグの値が0に設定されている場合(S59:NO)、ECU5は、フロントワイパー作動SW11の接続状態を調べることによって、フロントワイパー2が高速動作しているか否かを判定する(ステップS62)。またECU5は、フロントワイパー2が高速動作していない場合(S62:NO)、ヘッドライト点灯SW16の接続状態を調べることによって、車輌1のヘッドライトが点灯しているか否か(即ち、夜間であるか否か)を判定する(ステップS63)。フロントワイパー2が高速動作している場合(S62:YES)、又は、ヘッドライトが点灯している場合(S63:YES)、ECU5は、リアワイパー3を10分又は30分等の所定時間に一回動作させる間欠動作を行って(ステップS64)、ステップS65へ処理を進める。
【0070】
ステップS52、S55、S58、S61若しくはS64の処理終了後、又は、ステップS63にてヘッドライトが点灯していない場合(S63:NO)、ECU5は、例えば車輌のイグニッションスイッチがオフされたか否かなどに応じて、リアワイパー3の動作制御処理を終了すべきか否かを判定する(ステップS65)。動作制御処理を終了すべきでないと判定した場合(S65:NO)、ECU5はステップS51へ処理を戻し、上述の処理を繰り返し行う。動作制御処理を終了すべきと判定した場合(S65:YES)、ECU5はリアワイパー3の動作制御処理を終了する。
【0071】
以上の構成のリアワイパー制御装置においては、水滴の検知又はフロントワイパー動作のいずれかの条件が成立して降雨状態を検知し、シフトレバーが前進位置又は中立位置に操作されているときに、車輌1が所定時間以上停止した後にブレーキが解除された場合に、ECU5がリアワイパー3を動作させる構成とすることにより、運転者がリアワイパー作動SW12をオン操作していない場合であっても、車輌1の停車中にリアウインドウ1bに付着した雨滴を自動的にリアワイパー3にて除去することができる。ECU5による降雨の検知は、フロントワイパー作動SW11の接続状態及び雨滴検知センサ17の検知結果に応じて容易且つ確実に行うことができる。
【0072】
また、降雨状態を検知し、シフトレバーが前進位置又は中立位置に操作されているときに、降雨が所定時間以上継続している場合に、ECU5がリアワイパー3を動作させる構成とすることにより、運転者がリアワイパー作動SW12をオン操作していない場合であっても、所定時間以上の降雨によりリアウインドウ1bに付着した雨滴をリアワイパー3にて除去することができる。更に、車輌1が所定速度以上の高速走行を行っている場合には、降雨開始からリアワイパー3を動作させるまでの時間を短縮する構成とすることにより、高速走行に伴う走行風によって車輌1の天井からリアウインドウ1bへ流れ落ちる雨滴をリアワイパー3にて除去することができる。
【0073】
また、降雨状態を検知し、シフトレバーが前進位置又は中立位置に操作されているときに、運転者のフロントワイパー作動SW11に対する操作によってフロントワイパー2が高速動作している場合、ECU5がリアワイパー3を動作させる構成とすることにより、運転者がリアワイパー作動SW12をオン操作していない場合であっても、降雨量が多く、リアウインドウ1bへの付着量が多いと推定される雨滴をリアワイパー3にて確実に除去することができる。
【0074】
また、降雨状態を検知し、シフトレバーが前進位置又は中立位置に操作されているときに、運転者のヘッドライト点灯SW16に対する操作によって車輌1のヘッドライトが点灯している場合、ECU5がリアワイパー3を動作させる構成とすることにより、運転者がリアワイパー作動SW12をオン操作していない場合であっても、夜間にリアウインドウ1bに付着した雨滴が光を乱反射させて運転者による後方視認性を低下させることを防止できる。更に、この場合にはECU5がリアワイパー3を間欠動作させる構成とすることにより、必要以上のリアワイパー3の動作を抑制して、リアワイパー3の劣化を防止することができる。
【0075】
本発明に係るリアワイパー制御装置は、これらの複数のパターンでリアワイパー3の動作を制御することができるため、車輌1の走行状態及び周囲環境等に適した動作をリアワイパー3に行わせることができる。よって、本発明に係るリアワイパー制御装置を搭載した車輌1においては、雨天走行時における運転者のリアウインドウ1bを通した後方の視認性が低下することを防止することができ、車輌1の安全走行を実現することができる。
【0076】
なお、本実施の形態においては、フロントワイパー2の動作及び雨滴検知センサ17の検知結果に基づいてECU5が降雨を検知する構成としたが、これに限るものではなく、例えば雨滴検知センサ17を備えずに、フロントワイパー2の動作のみに基づいて降雨を検知する構成としてもよく、逆に雨滴検知センサ17の検知結果のみに基づいて降雨を検知する構成としてもよい。また、車速センサ13が検知する車速が0km/hの場合に車輌1が停車しているとECU5が判定する構成としたが、これに限るものではなく、例えば車速が5km/h以下であれば停車していると判定する構成としてもよい(即ち、車輌1が低速走行している場合をも停車に含めてもよい)。同様に、車速センサ13が検知する車速が80km/h以上の場合に車輌1が高速走行していると判定する構成としたが、高速走行の判定閾値は一例であってこれに限るものではなく、例えば車速が60km/h以上の場合を高速走行と判定してもよい。
【0077】
また、停車継続判定処理では車輌1が1分以上停車したことを判定し、降雨継続判定処理では降雨が10分又は30分以上継続したことを判定する構成としたが、これらの判定時間は一例であってこれに限るものではない。また、フロントワイパー2の動作速度を多段階で調整できる構成のとき、フロントワイパー2が最大速度で動作している場合にECU5がリアワイパー3を動作させる構成としたが、これに限るものではなく、例えば5段階でフロントワイパー2の動作速度を調整できる構成のときに、中速度である3段階目の速度を超える速度でフロントワイパー2が動作している場合にECU5がリアワイパー3を動作させるなどの構成であってもよく、少なくともフロントワイパー2の動作速度が最低速度でない場合にECU5がリアワイパー3を動作させる構成であればよい。
【0078】
また、ヘッドライトの点灯に応じてリアワイパー3を動作させる場合には、リアワイパー3を間欠動作させる構成としたが、これに限るものではなく、通常動作を行う構成であってもよい。また、停車状態が所定時間継続した後にブレーキを解除した場合、降雨が所定時間以上継続した場合、及びフロントワイパー2の動作速度が最大の場合(図3に示す動作1〜4の場合)について、車輌1のヘッドライトが点灯していることをリアワイパー3の動作条件に追加し、本発明のリアワイパー制御装置によるリアワイパー3の動作を夜間限定としてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 車輌
1a フロントウインドウ
1b リアウインドウ
2 フロントワイパー
3 リアワイパー
5 ECU(条件判定手段、停車検知手段、継続判定手段、フロントワイパー動作判定手段、制御手段)
11 フロントワイパー作動SW(フロントワイパー動作判定手段)
12 リアワイパー作動SW
13 車速センサ(停車検知手段、車速検知手段)
14 シフトレバー位置SW(シフト位置判定手段)
15 ブレーキSW(ブレーキ解除検知手段)
16 ヘッドライト点灯SW(点灯検知手段)
17 雨滴検知センサ(水滴検知センサ)
21 フロントワイパー駆動部
22 リアワイパー駆動部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輌の後部に設けられたリアワイパーの動作を制御するリアワイパー制御装置において、
前記車輌のウインドウへの水滴の付着が水滴検知センサにより検知されていること、及び、前記車輌の前部に設けられたフロントワイパーが動作していること、の少なくとも一方の条件が成立しているか否かを判定する条件判定手段と、
前記車輌のシフトレバーが前記車輌の前進に係る位置又は中立位置に操作されているか否かを判定するシフト位置判定手段と、
前記車輌が所定時間以上停車したことを判定する停車判定手段と、
前記車輌のブレーキの解除を検知するブレーキ解除検知手段と、
前記条件判定手段の判定結果に応じて、前記条件の成立が所定時間以上継続しているか否かを判定する継続判定手段と、
前記フロントワイパーの動作速度が所定速度以上であるか否かを判定するフロントワイパー動作判定手段と、
前記車輌のライトの点灯を検知する点灯検知手段と、
前記条件判定手段の判定結果、前記シフト位置判定手段の判定結果、前記停車判定手段の判定結果、前記ブレーキ解除検知手段の検知結果、前記継続判定手段の判定結果、前記フロントワイパー動作判定手段の判定結果及び前記点灯検知手段の検知結果に基づいて、前記リアワイパーの動作を制御する制御手段と
を備えること
を特徴とするリアワイパー制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記条件が成立していると前記条件判定手段が判定し、前記シフトレバーが前記車輌の前進に係る位置又は中立位置に操作されていると前記シフト位置判定手段が判定したとき、
前記車輌が所定時間以上停車したことが前記停車判定手段により判定された後に前記ブレーキ解除検知手段が前記ブレーキの解除を検知した場合、
前記条件の成立が所定時間以上継続していると前記継続判定手段が判定した場合、
前記フロントワイパーの動作速度が所定速度以上であると前記フロントワイパー動作判定手段が判定した場合、
又は、
前記ライトの点灯を前記点灯検知手段が検知した場合
のいずれかの場合に前記リアワイパーを動作させるようにしてあること
を特徴とする請求項1に記載のリアワイパー制御装置。
【請求項3】
車輌の後部に設けられたリアワイパーの動作を制御するリアワイパー制御装置において、
前記車輌のウインドウへの水滴の付着が水滴検知センサにより検知されていること、及び、前記車輌の前部に設けられたフロントワイパーが動作していること、の少なくとも一方の条件が成立しているか否かを判定する条件判定手段と、
前記車輌のシフトレバーが前記車輌の前進に係る位置又は中立位置に操作されているか否かを判定するシフト位置判定手段と、
前記車輌が所定時間以上停車したことを判定する停車判定手段と、
前記車輌のブレーキの解除を検知するブレーキ解除検知手段と、
前記条件が成立していると前記条件判定手段が判定し、前記シフトレバーが前記車輌の前進に係る位置又は中立位置に操作されていると前記シフト位置判定手段が判定したとき、前記車輌が所定時間以上停車したことが前記停車判定手段により判定された後に前記ブレーキ解除検知手段が前記ブレーキの解除を検知した場合に、前記リアワイパーを動作させる制御手段と
を備えること
を特徴とするリアワイパー制御装置。
【請求項4】
車輌の後部に設けられたリアワイパーの動作を制御するリアワイパー制御装置において、
前記車輌のウインドウへの水滴の付着が水滴検知センサにより検知されていること、及び、前記車輌の前部に設けられたフロントワイパーが動作していること、の少なくとも一方の条件が成立しているか否かを判定する条件判定手段と、
前記車輌のシフトレバーが前記車輌の前進に係る位置又は中立位置に操作されているか否かを判定するシフト位置判定手段と、
前記条件判定手段の判定結果に応じて、前記条件の成立が所定時間以上継続しているか否かを判定する継続判定手段と、
前記条件が成立していると前記条件判定手段が判定し、前記シフトレバーが前記車輌の前進に係る位置又は中立位置に操作されていると前記シフト位置判定手段が判定したとき、前記条件の成立が所定時間以上継続していると前記継続判定手段が判定した場合に、前記リアワイパーを動作させる制御手段と
を備えること
を特徴とするリアワイパー制御装置。
【請求項5】
前記車輌の走行速度を検知する車速検知手段を更に備え、
前記車速検知手段が検知した車速が所定速度を超える場合には、前記継続判定手段が、前記所定時間より短い第2の所定時間以上、前記条件が継続して成立しているか否かを判定するようにしてあり、
前記制御手段は、
前記条件が成立していると前記条件判定手段が判定し、前記シフトレバーが前記車輌の前進に係る位置又は中立位置に操作されていると前記シフト位置判定手段が判定したとき、前記継続判定手段が前記第2の所定時間以上、前記条件が継続して成立していると判定した場合に、前記リアワイパーを動作させるようにしてあること
を特徴とする請求項4に記載のリアワイパー装置。
【請求項6】
車輌の後部に設けられたリアワイパーの動作を制御するリアワイパー制御装置において、
前記車輌のウインドウへの水滴の付着が水滴検知センサにより検知されていること、及び、前記車輌の前部に設けられたフロントワイパーが動作していること、の少なくとも一方の条件が成立しているか否かを判定する条件判定手段と、
前記車輌のシフトレバーが前記車輌の前進に係る位置又は中立位置に操作されているか否かを判定するシフト位置判定手段と、
前記フロントワイパーの動作速度が所定速度以上であるか否かを判定するフロントワイパー動作判定手段と、
前記条件が成立していると前記条件判定手段が判定し、前記シフトレバーが前記車輌の前進に係る位置又は中立位置に操作されていると前記シフト位置判定手段が判定したとき、前記フロントワイパーの動作速度が所定速度以上であると前記フロントワイパー動作判定手段が判定した場合に、前記リアワイパーを動作させる制御手段と
を備えること
を特徴とするリアワイパー制御装置。
【請求項7】
車輌の後部に設けられたリアワイパーの動作を制御するリアワイパー制御装置において、
前記車輌のウインドウへの水滴の付着が水滴検知センサにより検知されていること、及び、前記車輌の前部に設けられたフロントワイパーが動作していること、の少なくとも一方の条件が成立しているか否かを判定する条件判定手段と、
前記車輌のシフトレバーが前記車輌の前進に係る位置又は中立位置に操作されているか否かを判定するシフト位置判定手段と、
前記車輌のライトの点灯を検知する点灯検知手段と、
前記条件が成立していると前記条件判定手段が判定し、前記シフトレバーが前記車輌の前進に係る位置又は中立位置に操作されていると前記シフト位置判定手段が判定したとき、前記ライトの点灯を前記点灯検知手段が検知した場合に、前記リアワイパーを動作させる制御手段と
を備えること
を特徴とするリアワイパー制御装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記リアワイパーを所定の時間間隔で間欠動作させるようにしてあること
を特徴とする請求項6又は請求項7に記載のリアワイパー制御装置。
【請求項9】
前記水滴検知センサは、車輌のフロントウインドウに付着する水滴を検知するようにしてあること
を特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1つに記載のリアワイパー制御装置。
【請求項1】
車輌の後部に設けられたリアワイパーの動作を制御するリアワイパー制御装置において、
前記車輌のウインドウへの水滴の付着が水滴検知センサにより検知されていること、及び、前記車輌の前部に設けられたフロントワイパーが動作していること、の少なくとも一方の条件が成立しているか否かを判定する条件判定手段と、
前記車輌のシフトレバーが前記車輌の前進に係る位置又は中立位置に操作されているか否かを判定するシフト位置判定手段と、
前記車輌が所定時間以上停車したことを判定する停車判定手段と、
前記車輌のブレーキの解除を検知するブレーキ解除検知手段と、
前記条件判定手段の判定結果に応じて、前記条件の成立が所定時間以上継続しているか否かを判定する継続判定手段と、
前記フロントワイパーの動作速度が所定速度以上であるか否かを判定するフロントワイパー動作判定手段と、
前記車輌のライトの点灯を検知する点灯検知手段と、
前記条件判定手段の判定結果、前記シフト位置判定手段の判定結果、前記停車判定手段の判定結果、前記ブレーキ解除検知手段の検知結果、前記継続判定手段の判定結果、前記フロントワイパー動作判定手段の判定結果及び前記点灯検知手段の検知結果に基づいて、前記リアワイパーの動作を制御する制御手段と
を備えること
を特徴とするリアワイパー制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記条件が成立していると前記条件判定手段が判定し、前記シフトレバーが前記車輌の前進に係る位置又は中立位置に操作されていると前記シフト位置判定手段が判定したとき、
前記車輌が所定時間以上停車したことが前記停車判定手段により判定された後に前記ブレーキ解除検知手段が前記ブレーキの解除を検知した場合、
前記条件の成立が所定時間以上継続していると前記継続判定手段が判定した場合、
前記フロントワイパーの動作速度が所定速度以上であると前記フロントワイパー動作判定手段が判定した場合、
又は、
前記ライトの点灯を前記点灯検知手段が検知した場合
のいずれかの場合に前記リアワイパーを動作させるようにしてあること
を特徴とする請求項1に記載のリアワイパー制御装置。
【請求項3】
車輌の後部に設けられたリアワイパーの動作を制御するリアワイパー制御装置において、
前記車輌のウインドウへの水滴の付着が水滴検知センサにより検知されていること、及び、前記車輌の前部に設けられたフロントワイパーが動作していること、の少なくとも一方の条件が成立しているか否かを判定する条件判定手段と、
前記車輌のシフトレバーが前記車輌の前進に係る位置又は中立位置に操作されているか否かを判定するシフト位置判定手段と、
前記車輌が所定時間以上停車したことを判定する停車判定手段と、
前記車輌のブレーキの解除を検知するブレーキ解除検知手段と、
前記条件が成立していると前記条件判定手段が判定し、前記シフトレバーが前記車輌の前進に係る位置又は中立位置に操作されていると前記シフト位置判定手段が判定したとき、前記車輌が所定時間以上停車したことが前記停車判定手段により判定された後に前記ブレーキ解除検知手段が前記ブレーキの解除を検知した場合に、前記リアワイパーを動作させる制御手段と
を備えること
を特徴とするリアワイパー制御装置。
【請求項4】
車輌の後部に設けられたリアワイパーの動作を制御するリアワイパー制御装置において、
前記車輌のウインドウへの水滴の付着が水滴検知センサにより検知されていること、及び、前記車輌の前部に設けられたフロントワイパーが動作していること、の少なくとも一方の条件が成立しているか否かを判定する条件判定手段と、
前記車輌のシフトレバーが前記車輌の前進に係る位置又は中立位置に操作されているか否かを判定するシフト位置判定手段と、
前記条件判定手段の判定結果に応じて、前記条件の成立が所定時間以上継続しているか否かを判定する継続判定手段と、
前記条件が成立していると前記条件判定手段が判定し、前記シフトレバーが前記車輌の前進に係る位置又は中立位置に操作されていると前記シフト位置判定手段が判定したとき、前記条件の成立が所定時間以上継続していると前記継続判定手段が判定した場合に、前記リアワイパーを動作させる制御手段と
を備えること
を特徴とするリアワイパー制御装置。
【請求項5】
前記車輌の走行速度を検知する車速検知手段を更に備え、
前記車速検知手段が検知した車速が所定速度を超える場合には、前記継続判定手段が、前記所定時間より短い第2の所定時間以上、前記条件が継続して成立しているか否かを判定するようにしてあり、
前記制御手段は、
前記条件が成立していると前記条件判定手段が判定し、前記シフトレバーが前記車輌の前進に係る位置又は中立位置に操作されていると前記シフト位置判定手段が判定したとき、前記継続判定手段が前記第2の所定時間以上、前記条件が継続して成立していると判定した場合に、前記リアワイパーを動作させるようにしてあること
を特徴とする請求項4に記載のリアワイパー装置。
【請求項6】
車輌の後部に設けられたリアワイパーの動作を制御するリアワイパー制御装置において、
前記車輌のウインドウへの水滴の付着が水滴検知センサにより検知されていること、及び、前記車輌の前部に設けられたフロントワイパーが動作していること、の少なくとも一方の条件が成立しているか否かを判定する条件判定手段と、
前記車輌のシフトレバーが前記車輌の前進に係る位置又は中立位置に操作されているか否かを判定するシフト位置判定手段と、
前記フロントワイパーの動作速度が所定速度以上であるか否かを判定するフロントワイパー動作判定手段と、
前記条件が成立していると前記条件判定手段が判定し、前記シフトレバーが前記車輌の前進に係る位置又は中立位置に操作されていると前記シフト位置判定手段が判定したとき、前記フロントワイパーの動作速度が所定速度以上であると前記フロントワイパー動作判定手段が判定した場合に、前記リアワイパーを動作させる制御手段と
を備えること
を特徴とするリアワイパー制御装置。
【請求項7】
車輌の後部に設けられたリアワイパーの動作を制御するリアワイパー制御装置において、
前記車輌のウインドウへの水滴の付着が水滴検知センサにより検知されていること、及び、前記車輌の前部に設けられたフロントワイパーが動作していること、の少なくとも一方の条件が成立しているか否かを判定する条件判定手段と、
前記車輌のシフトレバーが前記車輌の前進に係る位置又は中立位置に操作されているか否かを判定するシフト位置判定手段と、
前記車輌のライトの点灯を検知する点灯検知手段と、
前記条件が成立していると前記条件判定手段が判定し、前記シフトレバーが前記車輌の前進に係る位置又は中立位置に操作されていると前記シフト位置判定手段が判定したとき、前記ライトの点灯を前記点灯検知手段が検知した場合に、前記リアワイパーを動作させる制御手段と
を備えること
を特徴とするリアワイパー制御装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記リアワイパーを所定の時間間隔で間欠動作させるようにしてあること
を特徴とする請求項6又は請求項7に記載のリアワイパー制御装置。
【請求項9】
前記水滴検知センサは、車輌のフロントウインドウに付着する水滴を検知するようにしてあること
を特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1つに記載のリアワイパー制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2010−247654(P2010−247654A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−98983(P2009−98983)
【出願日】平成21年4月15日(2009.4.15)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月15日(2009.4.15)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]