説明

リキリチゲニンを含む肝疾患の予防および治療用組成物

本発明は、本発明の発明の抽出物又は化合物を経口及び静注投与した場合、発明の抽出物又は化合物は、アセトアミノフェン誘導肝毒性動物モデルにおいて、LDH及びALT酵素の血中濃度、肝臓の中心壊死及び炎症を有意に減少させる、甘草抽出物又はそれから単離されたリキリチゲニンを含有する組成物に関する。従って、本発明に係る発明の組成物は肝疾患の予防と治療に有用であり、安全で効果的な肝臓保護剤として使用できる。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
(発明の分野)
本発明は有効成分として甘草根抽出物及びそれから単離されたリキリチゲニンを含有する肝疾患の予防及び治療のための組成物、及びその使用に関する。
【0002】
(背景技術)
肝疾患は、様々な好ましくない環境、例えば汚染物質、アルコール、タバコなどのような毒物に加えて精神的なストレスにさらされている現代の人間において最も頻繁に生じる疾患であり、休養によって回復することもあるが、深刻化して、免疫系の障害のような他の疾患を生じさせることもある。アセトアミノフェン、四塩化炭素、D-ガラクトサミン等のような毒性物質は肝臓に中毒を起こすことが報告されており、特にアセトアミノフェンは新医薬又は新薬剤の治療及び保護の効能を評価する標準肝毒性指標としてよく使用されている(D. J. Jollow等, J. Pharmacol. Exp. Ther. 187, pp195-202, 1973)。
【0003】
アセトアミノフェンの過剰投与は肝細胞の広範囲にわたる壊死のような二次的肝臓損傷を特徴とする肝臓損傷を引き起こすが、一方で有効量のアセトアミノフェンは強力な抗炎症剤及び抗熱剤になる(B. H. Rumack, Hepatology 40, pp10-15, 2004)。アセトアミノフェンのそのような毒性は、肝臓におけるチトクロームP450の働きによる代謝されたアセトアミノフェンの型、すなわちNAPQI(N-アセチル-p-ベンゾキノンイミン)によって引き起こされる。有効量が投与された場合には、GSH(グルタチオン)によって効果的に解毒されうるが、過剰投与された場合には人体から排出されず、肝臓中心壊死、肝細胞の変性、及び炎症細胞の出現を特徴とする肝臓の中毒作用(J. D. Gibson等, Chem. Res. Toxicol., 9, pp580-585 1996)に結果としてなることもある。ヒトGSHの濃度は一定に保たれているが、特異的な異常な状況下で突然降下し、それにより外部毒性物質に対する感受性の増大が生じる(E. Y. park等, Chem. Biol. Interact. 155, pp82-96, 2005)。
NAC(N-アセチルシステイン)は今までアセトアミノフェンによって生じる毒性を治療する唯一の治療剤として知られていた。アセトアミノフェンによって生じる毒性を治療するより有効な薬物はまだ開発中のままである。
【0004】
甘草根、マメ科に属するグリキリザ・ウラレンシスFISCH、グリキリザ・グラブラL.及びその類の根は、グリシルリジンのようなトリテルペンサポニン及びリキリチゲニン、リクイリチン、 ネオリクイリチン、ネオイソリクイリチン等のような複数のフラボノイド類を含有すると報告されており、咳、胃潰瘍、高血圧等の治療に使用されてきた。
しかしながら、上記の引用文献の何れにも毒物によって生じた肝疾患における甘草抽出物又はリキリチゲニンの治療的効果については報告も開示もされていない。上記引用文献の開示は本明細書に援用する。
【0005】
そのため、本発明者は様々なインビトロ及び動物モデル試験によって肝臓保護効能の促進に有効な薬物を見つけ、リキリチゲニンの薬理効果を研究してきたが、最終的に本発明者は肝臓保護剤として甘草抽出物又はリキリチゲニンが肝疾患の治療及び保護に効果的であること発見した。
【0006】
(発明の開示)
技術的課題
一態様において、本発明は活性成分として甘草抽出物又はそれから単離されたリキリチゲニンを含む肝疾患の予防及び治療のための医薬組成物を提供する。
【0007】
また、本発明は哺乳動物の肝細胞を保護することによって肝疾患を治療する方法であって、該哺乳動物に有効量の上記抽出物又はそれから単離された化合物を、薬学的に許容可能な担体と共に投与することを含んでなる方法を提供する。
また、本発明はヒト又は哺乳動物において肝疾患の治療及び予防に使用される医薬の製造又は調製のための上記抽出物又はそれから単離された化合物の使用を提供する。
また、本発明は肝疾患を予防及び改善するために有効な量で、活性成分として上記抽出物又はそれから単離された化合物を、食品学的に許容可能な添加物と共に含んでなる、肝細胞を保護することによって肝疾患を予防及び改善するための健康機能性食品を提供する。
【0008】
(技術的解決法)
従って、本発明の目的は活性成分として甘草抽出物又はそれから単離されたリキリチゲニンを肝疾患の予防と治療に有効な量で、薬学的に許容可能な担体と共に含有する医薬組成物を提供することである。
本発明のもう一つの目的はヒト又は哺乳動物において肝疾患の治療及び予防のために使用される医薬の製造のための甘草抽出物又はそれから単離されたリキリチゲニンの使用を提供することである。
本発明の別の目的は、哺乳動物の肝細胞を保護することによって肝疾患を治療する方法であって、該哺乳動物に有効量の甘草抽出物又はそれから単離されたリキリチゲニンを、薬学的に許容可能な担体と共に投与することを含んでなる方法を提供することである。
【0009】
本明細書に開示する甘草抽出物は、グリキリザ・ウラレンシス、グリキリザ・グラブラL.及びその類、好ましくはグリキリザ・ウラレンシスの抽出物を含み、抽出物は蒸留水、メタノール、エタノール及びその類のような低級アルコール、又はそれらの混合物、好ましくはメタノールで抽出することによって得られ、より好ましくは甘草のリキリチゲニン豊富な抽出物であり、例えば、
反復カラムクロマトグラフィー法により甘草抽出物を精製し、精製されたリキリチゲニン分画を得る工程;
酸加水分解で処理し、アルカリで溶液のpHを中性化する工程;及び
本発明の目的のリキリチゲニン豊富な抽出物を得るためにカラムクロマトグラフィーにかける工程を含む手順によって調製されてもよい。
【0010】
本発明の他の目的は、活性成分として肝疾患の予防及び治療に有効な量の甘草抽出物又はそれから単離されたリキリチゲニンとDDB(ジメチル-4,4'-ジメトキシ-5,6,5',6'-ジメチレンジオキシビフェニル-2,2'-ジカルボキシレート)の組合せを、 薬学的に許容可能な担体と共に含む医薬組成物を提供することである。
本発明のもう一つの目的は、ヒト又は哺乳動物において肝疾患の治療又は予防に使用する医薬の製造のために甘草抽出物又はそれから単離されたリキリチゲニンとDDBの組合せの使用を提供することである。
本発明の他の目的は、哺乳動物の肝細胞を保護することによって肝疾患を治療する方法であって、該哺乳動物に有効量の甘草抽出物又はそれから単離されたリキリチゲニンとDDBの組合せを、薬学的に許容可能な担体と共に投与することを含んでなる方法を提供することである。
【0011】
本発明の一態様により、活性成分として肝疾患を予防及び改善するために有効な量で、甘草抽出物又はそれから単離されたリキリチゲニンを、食品学的に許容可能な添加物と共に含んでなる、肝細胞を保護することによって肝疾患を予防又は改善するための健康機能性食品が提供される。
本発明の一態様により、活性成分として肝疾患を予防及び改善するために有効な量で、甘草抽出物又はそれから単離されたリキリチゲニンとDDBの組合せを、食品学的に許容可能な添加物と共に含んでなる、肝細胞を保護することによって肝疾患を予防又は改善するための健康機能性食品が提供される。
本明細書で開示する肝疾患は、急性又は慢性肝炎、肝腫脹、肝腫瘍、肝硬変及び肝臓癌、好ましくは急性又は慢性肝炎及び肝硬変である。
【0012】
本発明で使用できる草本は、同一又は類似の目的に使用されており、肝疾患の予防及び治療のために置換できることが当業者にとって明らかである同じ属の植物を含むが、これに限定されるものでない。
肝疾患を治療するための医薬組成物は、組成物の総重量を基に、約0.01から95w/w%、好ましくは0.5から50w/w%の本発明の抽出物又は化合物を含みうる。
本発明の抽出物及び化合物は、以下の好ましい実施態様に従って調製されてもよい。
【0013】
本発明では、上記の甘草抽出物又はそれから単離されたリキリチゲニンは以下の手順によって調製されうる。
例えば、甘草、例えばグリキリザ・ウラレンシスは、洗浄され、乾燥され、1から20倍、好ましくは5から15倍容量の蒸留水、メタノール、エタノール及びその類のようなアルコール類、又はそれらの混合物、好ましくはメタノールと混合され;溶液は0から室温の範囲の温度で、好ましくは室温で、12時間から1週間の範囲の間、好ましくは48から72時間アンフルラージュされ、又は80から120℃の範囲の温度で、好ましくは105℃より上で、1から24時間の範囲の間、好ましくは2から5時間、2から5回環流抽出法により熱され、又はソニケーション、環流又は従来の抽出法によって抽出され;溶液は濾過されて本発明の甘草の粗抽出物を得る。
【0014】
本発明のより好ましいリキリチゲニン豊富な抽出物を得るために、上記工程により調製された甘草の粗抽出物は混合溶媒系で溶出する反復カラムクロマトグラフィーにかけられて甘草のリキリチゲニン豊富な抽出物を得る;精製された抽出物はリクイリチンの糖部分を除去するためにHClのような強力な酸を使用する酸加水分解にかけられる;反応物はNaOHのようなアルカリ溶液で中性化される;及び溶液は混合溶媒系(CHCl及びアセトン)により溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけられ本発明のリキリチゲニン豊富な抽出物を得る。
【0015】
本発明の純粋なリキリチゲニンを得るために、リキリチゲニン豊富な抽出物は更にシリカゲルカラムクロマトグラフィー又は再結晶化法のような精製方法にかけられ、本発明のリキリチゲニンを得る。
本発明の甘草抽出物又はそれから単離されたリキリチゲニンとDDBの組合せを得るために、甘草抽出物及び上記の方法によって調製されたリキリチゲニンは、DDBと、1−20:1から1:10(w/w%)の範囲の混合割合で、好ましくは1−10:1−5(w/w%)、より好ましくは1:1−2(w/w%)で混合され、本発明の混合組成物を得る。
【0016】
本発明のもう一つの目的は、肝疾患の治療又は予防に有効な組成物の調製のために、上記の甘草抽出物又はそれから単離されたリキリチゲニンを上記の通り製造する方法を提供することである。
【0017】
本発明の別の目的は、甘草抽出物からリキリチゲニン豊富な抽出物を調製する方法であって、甘草を洗浄し乾燥する工程;
5から15倍容量の蒸留水、メタノール、エタノール及びその類のようなアルコール、又はそれらの混合物と混合する工程;
0から室温の範囲の温度で、48から72時間、溶液をアンフルラージュする工程;
残留物を濾過し甘草の粗抽出物を得る工程;
混合溶媒系で溶出する反復カラムクロマトグラフィーに抽出物をかけ、リクイリチン豊富な抽出物を得る工程;
強力な酸を使用する酸加水分解に抽出物をかけ、リクイリチンの糖部分を除去する工程;
溶液をアルカリ溶液で中性化する工程;
混合溶媒系(CHCl及びアセトン)により溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーに溶液をかけ、本発明のリキリチゲニン豊富な抽出物を得る工程を含む方法を提供することである。
【0018】
本発明の化合物は、その薬学的に許容可能な塩及び溶媒和物に、当分野でよく知られた従来方法によって変換されうる。塩の場合は、薬学的に許容可能なその遊離酸によって形成された酸付加塩が有用であり、従来方法によって調製できる。例えば、化合物を過剰量の酸溶液に溶解後、塩をメタノール、エタノール、アセトン又はアセトニトリルのような水混和性の有機溶剤によって沈殿させて、その酸付加塩が調製され、さらに等量の化合物と水又はグリコールモノメチルエーテルのようなアルコールに溶解した酸の混合物が熱され、続いて減圧下の蒸発又は濾過によって、その乾燥した塩形態が得られる。
【0019】
上記の方法の遊離酸として、有機酸又は無機酸が使用できる。例えば、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、マレイン酸、コハク酸、シュウ酸、安息香酸、乳酸、グリコール酸、グルコン酸、ガラクツロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、グルクロン酸、アスパラギン酸、アスコルビン酸、カルボニル酸、バニリン酸、ヨウ化水素酸及びその類のような有機酸及び、塩酸、リン酸、硫酸、硝酸、酒石酸及びその類のような無機酸が本明細書で使用できる。
【0020】
更に、本発明の化合物の薬学的に許容可能な金属塩の形態は塩基を使用することによって調製されてもよい。そのアルカリ金属又はアルカリ土金属は従来方法によって調整でき、例えば、化合物を過剰量のアルカリ金属水酸化溶液又はアルカリ土金属水酸化溶液に溶解後、不溶性の塩を濾過し、残りの濾過物を蒸発にかけて、その金属塩を得るまで乾燥する。本発明の金属塩として、ナトリウム、カリウム又はカルシウム塩が薬学的に適しており、対応する銀塩はアルカリ金属塩又はアルカリ土金属塩を硝酸銀のような適した銀塩と反応させることによって調製できる。
【0021】
化合物の薬学的に許容可能な塩は、本明細書に特別に示していないならば、化合物に存在してもよい全ての酸性塩又は有機塩を含む。例えば、本発明の薬学的に許容可能な塩はナトリウム、カルシウム及びカリウム塩のような水酸基の塩、臭化水素塩、硫酸塩、水素硫化塩、リン酸塩、水素リン酸塩、二水素リン酸塩、酢酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸塩、乳酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩(メシル酸塩) 、p-トルエンスルホン酸塩(トシレート)のようなアミノ基の塩を含み、当分野でよく知られた従来方法によって調整できる。
【0022】
本発明の更にもう一つの目的は、上記方法によって得られた上記粗抽出物の微粉砕形態、抽出形態、又は乾燥抽出形態を活性成分として含む肝疾患の予防及び治療のための医薬組成物を提供することである。
【0023】
上記方法によって調整された本発明の発明組成物は、本発明の発明抽出物又は化合物を経口により又は静注により投与した場合に、アセトアミノフェン誘導の肝毒性動物モデルにおいてLDH及びALT酵素の血中濃度、中心壊死及び炎症を有意に減少させる。抽出物の経口投与による急性毒性を試験した場合、抽出物は死亡率、臨床徴候、体重変化、検死の肉眼による所見に明らかな影響がなかった。
【0024】
肝疾患を治療するための医薬組成物は、組成物の総重量を基に、約0.01から99.9w/w%、好ましくは0.1から90w/w%の本願発明の上記粗薬物組成物を含む。
【0025】
本発明の組成物は、使用方法に従って、通常の担体、アジュバント又は希釈剤を含む。該担体は用途及び適用方法に従って適当な剤が使用されることが好ましい。好ましい希釈剤は、Remington's Pharmaceutical Science (Mack Publishing co, Easton PA)の書かれたテキストに列挙されている。
【0026】
以後、以下の製剤方法及び賦形剤は例示的なものにすぎず、限定されるものでない。
本発明による組成物は、薬学的に許容可能な担体、アジュバント又は希釈剤、例えば、乳糖、ブドウ糖、ショ糖、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、デンプン、アカシアゴム、アルギン酸塩、ゼラチン、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシ安息香酸、プロピルヒドロキシ安息香酸、タルク、マグネシウムステアリン酸及びミネラルオイルを含む医薬組成物として提供できる。製剤は、更に 賦形剤、抗凝集剤、潤滑剤、湿潤剤、香味料、乳化剤、保存料及びその類を含んでもよい。本発明の組成物は、患者に投与後、活性成分がすぐに、持続して、又は遅延して放出されるように、当分野でよく知られた如何なる手順を使用して製剤化されてもよい。
【0027】
例えば、本発明の組成物は油、プロピレングリコール又は注射剤を製造するために一般に使用されるその他の溶媒に溶解できる。担体の好適な例は、生理食塩水、ポリエチレングリコール、エタノール、植物油、イソプロピルミリスチン酸等であるが、これらに限定されない。局所投与の場合は、本発明の化合物は軟膏剤及びクリームの形態に製剤化できる。
【0028】
発明組成物を含む医薬製剤は、経口投与形態(粉末、錠剤、カプセル、軟質カプセル、水性薬、シロップ、エリクシル剤、粉末、サッシュ、顆粒)、又は局所製剤(クリーム、軟膏剤、ローション、ゲル、バーム、パッチ、ペースト、スプレー溶液、エアロゾル及びその類)、座薬剤、又は注射可能な殺菌調製物(溶液、懸濁剤、エマルジョン)のような、如何なる形態に調製されてもよい。
【0029】
医薬投与形態の本発明の発明組成物は薬学的に許容可能な塩の形態で使用されてもよく、単独で又は適切な結合において、加えて他の薬学的に活性な化合物との併用で使用されてもよい。
本発明の望ましい投与量は患者の症状及び体重、重症度、薬物の形態、投与経路と投与期間に依存して変化し、当業者によって選択される。しかしながら、望ましい効果を得るために、本発明の発明組成物の重量/日は、0.01−10g/Kgの範囲の量で、好ましくは1から5g/Kgで投与されることが一般的に推奨される。投与は日に一回又は複数回されてもよい。組成物の場合、粗薬物組成物は、組成物の総重量において、重量により0.01から80%の間、好ましくは重量により0.5から50%で存在する。
【0030】
本発明の医薬組成物は哺乳動物(ラット、マウス、家畜又はヒト)のような実験動物に様々な経路で投与されてもよい。投与の全様式が意図され、例えば、経口投与、直腸投与、又は静脈注射、筋肉注射、 皮下注射、皮内注射、くも膜下腔内注射、硬膜外注射又は脳室内注射で投与されてもよい。
【0031】
本発明の一態様によれば、上記抽出物又は化合物を、活性物質として肝疾患の予防及び改善に有効な量で食品学的に許容可能な添加物と共に含む、肝細胞を保護することによって肝疾患を予防又は改善するための健康機能性食品が提供される。
【0032】
発明の健康機能性食品の粗薬物組成物は、その微粉砕形態、抽出形態、乾燥抽出形態の剤型で使用される。
【0033】
肝疾患の予防及び改善のための健康機能性食品は組成物の総重量を基に、約0.01から95w/w%、好ましくは0.5から80w/w%の本発明の上記発明組成物を含みうる。
【0034】
上記組成物は、肝疾患の予防及び改善のために、食品、添加物又は飲料に加えることができる。肝疾患を予防及び改善する目的の場合、食品又は飲料中の上記粗薬物組成物の量は、健康食品組成品である食品の総重量の一般に0.1から15w/w%、好ましくは1から10w/w%の範囲であり、健康飲料組成物の100mlの割合において1から30g、好ましくは3から10gの範囲である。
【0035】
必須の構成成分として上記の粗薬物組成物を示された割合で含む本発明の健康飲料の提供には、他の液体成分に関して特別な制限はないが、他の成分は様々なデオドラント又は従来の飲料のように天然の糖質などであってよい。上述の天然糖質の例は、グルコース、フルクトース等の単糖類;マルトース、ショ糖等の二糖類;デキストリン、シクロデキストリン、のような一般的な糖、キシリトール及びエリスリトールのような糖アルコールである。上述のもの以外のデオドラントには、タウマチン、レヴァウジオサイドA(levaudioside A)のようなステヴィア抽出物、グリシルリジン等のような天然デオドラント及びサッカリン、アスパルテームなどのような合成デオドラントが好ましくは有用である。上述の天然糖質の量は、本飲料組成物の100mlの割合で、一般に約1から20g、好ましくは5から12gの範囲である。
【0036】
上述の組成物の他の成分は、様々な栄養素、ビタミン、ミネラル、電解質、合成着香料、着色料及び改良剤であり、チーズやチョコレート等の場合、ペクチン酸及びその塩、アルギニン酸及びその塩、有機酸、保護コロイド接着剤、pH調節剤、安定化剤、保存料、グリセリン、アルコール、炭酸飲料等に使用される炭酸化剤である。上述のもの以外の他の成分は、天然フルーツジュース、フルーツジュース飲料、野菜飲料を調製するためのフルーツジュースであってもよく、成分は独立に又は組合わせて使用できる。成分の割合はそれほど重要でないが、通常は100w/w% 本組成物に対し約0から20w/w% の範囲である。
【0037】
上述の粗薬物組成物を含む添加可能な食品の例は、様々な食品、飲料、ガム、複合ビタミン剤、健康増進食品及びその類である。
当業者にとって、本発明の精神又は範囲から逸脱することなしに、本発明の組成物、使用及び調製に様々な修飾及び変異を施すことができることは自明である。
【0038】
(本発明の効果)
本発明は、甘草抽出物又はそれから単離されたリキリチゲニンを含む、本発明の抽出物又は化合物を経口により又は静注により投与した場合に、毒物誘導の肝毒性動物モデルにおいてLDH及びALT酵素の血中濃度、中心壊死及び炎症を有意に減少させる組成物に関する。従って、本発明に係る発明組成物は肝疾患の予防及び治療に有用であり安全で効果的な肝臓保護剤として使用できる。
【0039】
(本発明の最適な実施態様)
当業者にとって、本発明の精神又は範囲から逸脱することなしに、本発明の組成物、使用及び調製に様々な修飾及び変異を施すことができることは自明である。
本発明は以下の図及び実施例によって、より詳細に説明される。しかしながら、本発明はこれらの実施例にどんな方法であっても制限されないことが理解される。
【0040】
(発明の態様)
以下の実施例及び実験例は、発明の範囲を制限することになしに本発明を更に図示することを意図するものである。
【実施例】
【0041】
(実施例1)
発明の甘草抽出物(EL)の調製
ソウルにあるキョンドン市場で購入した3Kgのグリキリザ・ウラレンシスを洗浄、乾燥し、15リットルの100%メタノールをそれに加えた。溶液は室温で72時間静置し、抽出物を濾過して290gの甘草の粗抽出物(今後ELと示す)を得た。
【0042】
(実施例2)
発明の甘草のリキリチゲニン豊富な抽出物の調製(LEL)
実施例1で調製した290gの抽出物(EL)は、CHClから開始し混合溶媒(CHCl−MeOH=50:1→15:1)までの溶出溶液によるシリカゲルカラムクロマトグラフィー(60cm、230-400メッシュ)にかけ、43gの精製された分画を得た。分画は更に混合溶媒(CHCl−アセトン=20:1→1:1)までの溶出溶液によるシリカゲルカラムクロマトグラフィー(50cm、230-400メッシュ)にかけ、27gのリクイリチン豊富な分画(今後LAFと示す)を得た(分画32−67)。
27gのリクイリチン豊富な分画(LAF)は100℃で2時間、1NのHClと反応させ、リクイリチンの糖部分を加水分解し、反応物は1NのNaOHで中性化した。溶液は混合溶媒系(CHClとアセトン)で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィー(50cm、230-400メッシュ)にかけ、15gの本発明のリキリチゲニン豊富な抽出物(今後LELと示す)を得た。
【0043】
(実施例3)
発明のリキリチゲニンの調製(LQ)
実施例2で調製した27gのリクイリチン豊富な分画(LAF)は更に、混合溶媒(CHCl−MeOH=50:1→15:1)の溶出溶液によるシリカゲルカラムクロマトグラフィー(50cm、230-400メッシュ)にかけ、22gの精製された白色粉末のリクイリチンを得た。
22gのリクイリチンは100℃で2時間、1NのHClと反応させ、リクイリチンの糖部分を加水分解し、反応物は1HのNaOHで中性化した。溶液は混合溶媒系(CHClとアセトン)で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィー(50cm、230-400メッシュ)にかけ、12gの本発明のリキリチゲニン(今後LQと示す)を得た。
【0044】
(実施例4)
発明の組合せの調製
4−1 組合せの調製(C1)
実施例1で調製した乾燥粗抽出物(EL)をDDB(Pharmaking Pharmaceutical社)と、1:1の混合比で混合し、この混合物は試験サンプル(今後C1と示す)として以下の実施例で使用した。
4−2 組合せの調製(C2)
実施例2で調製した乾燥したリキリチゲニン豊富な抽出物(LEL)をDDB(Pharmaking Pharmaceutical社)と、1:1の混合比で混合し、この混合物は試験サンプル(今後C2と示す)として以下の実施例で使用した。
4−3 組合せの調製(C3)
実施例3で調製したリキリチゲニン(LQ)をDDB(Pharmaking Pharmaceutical社)と、1:1の混合比で混合し、この混合物は試験サンプル(今後C3と示す)として以下の実施例で使用した。
【0045】
参考例 実験の準備
1−1 試薬および実験動物
アセトアミノフェン(シグマケミカル社)とBSO(シグマケミカル社)は、実験に使用するために商事会社から購入した。アセトアミノフェンは40%のPEGの蒸留水溶液(No. 400)に溶解し、DDBは0.5%のメチルセルロースの蒸留水溶液(No. 400)に溶解した。140-160g重の雄のスプラーグ-ドーレイラット(Samtako社、韓国) を実験に使用し、餌(Harlan, teklan、米国)と飲み水に自由にアクセスさせた。全動物は22プラスマイナス2℃の温度及び55プラスマイナス5%の湿度、12時間の明暗周期の制御環境で、使用前の少なくとも一週間飼育した。
1−2 統計
全結果は、薬理学的計算を使用して解析した。試験群間の有意性はANOVA(一元配置分散分析)で評価し、Newmann-Keuls検定法(*p<0.5, **p<0.01)で判定した。
【0046】
実験例1 ラットモデルのアセトアミノフェン誘導性肝臓損傷における経口投与した発明抽出物及び化合物の効果
実施例で得られた発明抽出物及び化合物の肝臓損傷における抑制効果を推定するために、以下の実験を手順どおり実施した。
1−1 試験手順
40%のメチルセルロースの蒸留水溶液に溶解したリキリチゲニン(25mg/kg及び5mg/kg)と参考例で調製したDDB溶液(50mg/kg及び100mg/kg)を4日間、日に一回ラットに経口投与した。投与完了後24時間、参考例で調製したアセトアミノフェン溶液(1.2g/kg)をラットに経口投与し、肝毒性を誘発した。
投与後24時間、腹腔を切除し肝臓と血液をとりだし、実施例で得られた発明抽出物及び化合物の肝臓損傷における効果を試験した。
1−2 肝臓損傷の指標の試験結果
当分野で知られている肝臓損傷の指標における効果、すなわちALT (R. Rej, Clin. Chem., 24, pp1971-1979, 1978)及びLDH(S. Sherlock等, Blackwell Science, London, p23, 2002)のラットの血中の活性を測定した。
1−2−1 リキリチゲニンとDDBの効果
結果では、アセトアミノフェンで誘導された血中ALT及びLDH酵素の増大した活性は、経口投与量25mg/kg及び50mg/kgで、リキリチゲニンを投与した群で有意に減少し(図1を参照)、投与量50mg/kg及び100mg/kgのDDBの投与群でも、アセトアミノフェンで誘導された血中ALT及びLDH酵素の増大した活性は著しく減少した。
1−2−2 リキリチゲニンとDDBの組合せの効果
実施例4で調製したリキリチゲニンとDDBの組合せは、4日間、50mg/kg/日の投与量でラットに経口投与した。結果では、リキリチゲニンとDDBの組合せはアセトアミノフェンで誘導された血中ALT及びLDH酵素の増大した活性において、それぞれの群より減少させる効果を示した(図2参照)。
1−3 組織病理学的試験の試験結果
肝臓の組織病理学的試験は、アセトアミノフェン誘導の肝臓の壊死及び炎症における発明の抽出物及び化合物の効果を推定するために実施した。
結果では、リキリチゲニンは肝臓の中心壊死及び炎症を著しく減少させ、リキリチゲニンの直接的な保護活性を立証した。DDBは他の毒性物質によって誘導された肝臓の炎症を抑制し、一方で肝臓の中心壊死及び炎症をほとんど減少させなかった。リキリチゲニンとDDBの組合せは、肝臓の壊死及び炎症にそれぞれの群と類似の減少効果を示した(図3及び表1を参照)。

【0047】
実験例2 ラットモデルのアセトアミノフェン誘導性肝臓損傷における静注投与された発明抽出物及び化合物の効果
実施例で得られた発明抽出物及び化合物の肝臓損傷における抑制効果を推定するために、以下の実験を手順どおり実施した。
2−1 試験手順
40%のメチルセルロースの蒸留水溶液に溶解したリキリチゲニン(5mg/kg及び15mg/kgはラットの尾に静注投与した。投与完了後3時間、参考例で調製したアセトアミノフェン溶液(1.2g/kg)をラットに経口投与し、肝毒性を誘発した。
誘発後24時間、腹腔を切除し肝臓と血液をとりだし、実施例で得られた発明抽出物及び化合物の肝臓損傷における効果を試験した。
2−2 試験結果
結果では、アセトアミノフェンで誘導された血中ALT及びLDH酵素の増大した活性は、静注投与量5mg/kg及び15mg/kgで、リキリチゲニンを投与した群で有意に減少した(図4を参照)。
静注投与されたリキリチゲニンは、肝臓の中心壊死及び炎症を著しく減少させ、リキリチゲニンの静注投与が経口投与よりも強力であることを示して立証した(図5及び表1参照)。
【0048】
実験例3 ラットモデルのGSH枯渇性肝臓損傷におけるリキリチゲニンの効果
実施例で得られた発明抽出物及び化合物の肝臓損傷における抑制効果を推定するために、以下の実験を手順どおり実施した。
3−1 試験手順
リキリチゲニン溶液(25mg/kg及び50mg/kg)及びDDB溶液(50mg/kg及び100mg/kg)は2日間、ラットに経口投与された。投与完了後3時間、体重に対し2mモル/kgのBSO(ブチオニンスルホキシイミン)をラットの腹腔内に投与し、ラットのGSH(グルタチオン)レベルを枯渇させた。投与後1時間、参考例で調製したアセトアミノフェン溶液(1.2g/kg)をラットに経口投与し、肝毒性を誘発した。
誘導後12時間、ラットの生存率を推定し、腹腔を切除し肝臓と血液をとりだし、実施例で得られた発明抽出物及び化合物の肝臓損傷における効果を試験した。
3−2 試験結果
GSHレベルの枯渇によって肝毒性が悪化する事実に基づいて、本発明者はGSH枯渇性肝臓損傷におけるリキリチゲニン単独投与及びDDBとの組合せの投与の抑制効果を試験した。
【0049】
結果では、アセトアミノフェンとDDBの組合わせ投与は肝細胞の広範囲の壊死を示した(図6a及び表1の参照)。経口投与されたリキリチゲニンは肝細胞の壊死を著しく減少させたが、一方でDDB投与では減少しなかった(図6b参照)。リキリチゲニンとDDBの組合わせ投与はアセトアミノフェンで誘導された肝臓損傷を強力に抑制し(図6b及び表1の参照)、リキリチゲニンとDDBの組合わせ投与が更にGSH枯渇性肝臓損傷における強力な抑制効果を示すことを立証した。加えて、リキリチゲニンの2日間の静注投与も、肝臓損傷を明らかに抑制した(図6b及び表1参照)。
生存率の観察では、組合せ投与群は、対照群よりも生存率を26.7%に下げ、一方でアセトアミノフェン投与群は生存率に何ら変化を示さなかった。驚くべきことに、リキリチゲニン投与群の生存率は著しく増加し、リキリチゲニンとDDBの組合せ投与群は表1に見られるように更に増加した。
【0050】
実験例4
実施例で得られた発明抽出物及び化合物の肝臓損傷における投与効果を推定するために、以下の実験を手順どおり実施した。
4−1 試験手順
参考例で調製したアセトアミノフェン溶液(1.2g/kg)をラットに経口投与し、肝毒性を誘発した。誘発後1時間、リキリチゲニン溶液を2日間、日に一回ラットに経口投与した。
全ての試験ラットはアセトアミノフェン投与前24時間、飢餓状態においた。誘導後24時間、腹腔を切除し肝臓と血液をとりだし、実施例で得られた発明抽出物及び化合物の肝臓損傷における効果を試験した。
4−2 試験結果
結果では、経口投与されたリキリチゲニンはリキリチゲニンの代わりにPEG400(40%)で投与されたネガティブ対照群よりも肝細胞の壊死を著しく抑制し(図7を参照)、肝細胞損傷におけるリキリチゲニンの直接的な投与効果が立証された。
【0051】
以下に製剤方法及び賦形剤の種類を記載するが、本発明はそれらに限定されるものではない。代表的な調製の例は以下の通りである。
(注射剤の調製)
リキリチゲニン(LQ) 10mg
マンニトール 180mg
NaHPO-12HO 26mg
注射用蒸留水 適量
注射剤は、活性成分の溶解し、pHを約7.5に調節し、そして2mlアンプルに全ての成分を充填し、及び従来の注射剤調整法によって殺菌することによって調整された。
【0052】
(粉末剤の調整)
リキリチゲニン 25mg
DDB 50mg
コーンスターチ 20mg
乳糖 30mg
ステアリン酸マクネシウム 適量
粉末剤は上記成分を混合し、密封包装に充填することによって調整した。
【0053】
(錠剤の調整)
リキリチゲニン(LQ) 100mg
コーンスターチ 10mg
乳糖 50mg
ステアリン酸マクネシウム 適量
錠剤は上記成分を混合し、錠剤化することによって調整した。
【0054】
(カプセル剤の調整)
リキリチゲニン 25mg
DDB 50mg
乳糖 50mg
コーンスターチ 28mg
タルク 2mg
ステアリン酸マクネシウム 適量
錠剤は上記成分を混合し、従来のゼラチン調整法によってゼラチンカプセルに充填することによって調整した。
【0055】
(軟質カプセル剤の調整)
リキリチゲニン 500mg
ポリエチレングリコール400 400mg
濃グリセリン 55mg
蒸留水 35mg
PEG及び濃グリセリンは共に混合し、その後それに蒸留水を加えた。混合物は60℃で約1500rpmでスピードで均一に混合するために撹拌し、混合物はカプセルの内容物として使用するために室温に冷却した。カプセルのコーティングは、従来の調整法、例えば、全成分すなわち132mgのゼラチン、52mgの濃グリセリン、6mgの70%ジソルビトール溶液、エチルバニリンのような着色剤、カルナバワックスのようなコーティング基質と共に混合して、軟質カプセルを作成した。
【0056】
(懸濁剤の調整)
リキリチゲニン(LQ) 500mg
高マルトースシロップ 10g
糖 30mg
CMC Na 100mg
レモンフレーバー 適量
蒸留水 100ml
懸濁剤は当分野で知られた従来の調整法で調整した。成分は1000mlの褐色ボトルに充填し、従来の液剤調整法によって殺菌した。
【0057】
(液剤の調整)
リキリチゲニン(LQ) 1000mg
糖類 20g
多糖類 20g
レモンフレーバー 20g
液剤は、活性成分を溶解し、その後全ての成分を1000mlアンプルに充填し、従来の液剤調整法によって殺菌することによって調整した。
【0058】
(健康食品の調整)
リキリチゲニン(LQ) 1000mg
ビタミン混合物 適量
ビタミンA 酢酸 70mg
ビタミンE 1.0mg
ビタミンB 0.13mg
ビタミンB 0.15mg
ビタミンB 0.5mg
ビタミンB12 0.2mg
ビタミンC 10mg
ビオチン 10mg
ニコチン酸アミド 1.7mg
葉酸 50mg
パントテン酸カルシウム 0.5mg
ミネラル混合物 適量
硫酸鉄 1.75mg
酸化亜鉛 0.82mg
炭酸マグネシウム 25.3mg
リン酸1カリウム 15mg
リン酸2カルシウム 55mg
クエン酸カリウム 90mg
炭酸カルシウム 100mg
塩化マグネシウム 24.8mg
上述のビタミンとミネラルの混合物は多くの様式に変化しうる。そのような変化は本発明の精神と範囲から逸脱するものとはならない。
【0059】
(健康飲料の調整)
リキリチゲニン(LQ) 1000mg
クエン酸 1000mg
オリゴサッカロイド 100g
アプリコット濃縮 2g
タウリン 1g
蒸留水 900ml
健康飲料の調整は活性成分を溶解し、混合し、85℃で1時間撹拌し、濾過し、その後全成分を1000mlアンプルに充填し、従来の健康飲料の調整法によって殺菌することによって調整される。
【0060】
記載された発明は、同じものは多くの方法に変化しうることは明らかである。そのような変化は本発明の精神と範囲から逸脱するものとはならず、当業者にとって自明の全てのそのような修飾は請求の範囲内に含まれることを意図する。
【0061】
(産業上の利用可能性)
本発明に記載の通り、本発明の発明の抽出物又は化合物を経口及び静注投与した場合、発明の抽出物又は化合物は、アセトアミノフェン誘導肝毒性動物モデルにおいて、LDH及びALT酵素の血中濃度、肝臓の中心壊死及び炎症を有意に減少させる。本発明に係る発明の組成物は肝疾患の予防と治療に有用であり、安全で効果的な肝臓保護剤として使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
本発明の上記及び他の目的、特徴及び他の利点は、不随する図に関連した以下の詳細な記載からより明確に理解される。
【図1】図1は、ラットのアセトアミノフェン誘導肝臓損傷におけるリキリチゲニン(LQ)投与群とDDB投与群の4日間投与後の肝保護効果の比較を示す。
【図2】図2はラットのアセトアミノフェン誘導肝臓損傷における各々リキリチゲニン(LQ)投与群とDDB投与群及びそれらの組合せの4日間投与後の肝保護効果の比較を示す。
【図3】図3はリキリチゲニン(LQ)及びDDBの組合せの4日間投与後の、ラットのアセトアミノフェン誘導肝臓損傷の組織化学的解析の結果を示す(CV、PS、N、HD)。
【図4】図4は、尾静脈に2日間静注投与後のアセトアミノフェン誘導肝臓損傷におけるALT及びLDHの濃度におけるリキリチゲニン投与の効果を表す。
【図5】図5は、リキリチゲニン(LQ)の尾静脈に2日間静注投与後のアセトアミノフェン誘導肝臓損傷における組織化学的解析結果を表す(CV、N、HD、H)。
【図6】図6a及び6bは、リキリチゲニン(LQ)の経口の2日間投与後のGSH枯渇ラットのアセトアミノフェン誘導の肝臓損傷における組織化学的解析結果を表す(CV、PS、N、HD)。
【図7】図7は、リキリチゲニン(LQ)の経口による3日間投与後のラットのアセトアミノフェン誘導肝臓損傷の組織学的解析結果を表す(CV、PS、N、HD)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
甘草抽出物又はそれから単離されたリキリチゲニンを活性成分として肝疾患の予防と治療に有効な量で、薬学的に許容可能な担体と共に含む医薬組成物。
【請求項2】
前記甘草がグリキリザ・ウラレンシス又はグリキリザ・グラブラL.である請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記抽出物が蒸留水、低級アルコール、又はそれらの混合物により抽出される請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記抽出物が甘草のリキリチゲニン豊富な抽出物であって、
反復カラムクロマトグラフィー法により甘草抽出物を精製し、精製されたリキリチゲニン分画を得る工程;
酸加水分解で処理し、アルカリで溶液のpHを中性化する工程;及び
目的のリキリチゲニン豊富な抽出物を得るためにカラムクロマトグラフィーにかける工程を含む手順によって調製される抽出物である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記抽出物又はリキリチゲニンが更にDDB(ジメチル-4,4'-ジメトキシ-5,6,5',6'-ジメチレンジオキシビフェニル-2,2'-ジカルボキシレート)を含む請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記肝疾患が急性又は慢性肝炎、肝腫脹、肝腫瘍、肝硬変又は肝臓癌である請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
ヒト又は哺乳動物において肝疾患の治療及び予防のために使用される医薬の製造における甘草抽出物又はそれから単離されたリキリチゲニンの使用。
【請求項8】
哺乳動物において肝細胞を保護することによって肝疾患を治療する方法であって、該哺乳動物に有効量の甘草抽出物又はそれから単離されたリキリチゲニンを、薬学的に許容可能な担体と共に投与することを含んでなる方法。
【請求項9】
甘草抽出物からリキリチゲニン豊富な抽出物を調製する方法であって、
甘草を洗浄し乾燥する工程;
5から15倍容量の蒸留水、メタノール、エタノール及びその類のようなアルコール、又はそれらの混合物と混合する工程;
0から室温の範囲の温度で、48から72時間、溶液をアンフルラージュする工程;
残留物を濾過し甘草の粗抽出物を得る工程;
混合溶媒系で溶出する反復カラムクロマトグラフィーに抽出物をかけ、リクイリチン豊富な抽出物を得る工程;
強力な酸を使用する酸加水分解に抽出物をかけ、リクイリチンの糖部分を除去する工程;
溶液をアルカリ溶液で中性化する工程;
混合溶媒系(CHCl及びアセトン)により溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーに溶液をかけ、本発明のリキリチゲニン豊富な抽出物を得る工程を含む方法。
【請求項10】
甘草抽出物又はそれから単離されたリキリチゲニンを、活性成分として肝疾患を予防及び改善するために有効な量で、食品学的に許容可能な添加物と共に含んでなる、肝細胞を保護することによって肝疾患を予防及び改善するための健康機能性食品。
【請求項11】
前記抽出物又はリキリチゲニンが更にDDB(ジメチル-4,4'-ジメトキシ-5,6,5',6'-ジメチレンジオキシビフェニル-2,2'-ジカルボキシレート)を含む請求項10に記載の健康機能性食品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−522382(P2009−522382A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−550216(P2008−550216)
【出願日】平成19年1月5日(2007.1.5)
【国際出願番号】PCT/KR2007/000081
【国際公開番号】WO2007/081115
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(507171856)ソウル ナショナル ユニバーシティー インダストリー ファンデーション (14)
【Fターム(参考)】