説明

リグナン抽出物及びリグナン抽出物を含有する組成物を得る製法

植物材料からリグナン抽出物を得る製法が開示される。リグナン抽出物を含む組成物ならびにリグナン抽出物の使用もまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物材料からリグナン抽出物を得る製法に関する。本発明はまた、本明細書に記載された製法から得られるリグナン抽出物を含有する組成物ならびにリグナン抽出物を含む組成物を用いる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リグナン類は、フェニルプロパノイド経路を経てシキミ酸から産生される二次的植物代謝物である。それらは、フラボノイド前駆体から創出され、病原菌及び捕食者に対して植物に耐性を付与する原因となる。リグナン類は、2,3−ジベンジルブタン構造を有する化合物であると定義され、マタイレシノール、セコイソラリシレシノール、ラリシレシノール、イソラリシレシノール、ノルジヒドログアイアレチン酸、ピノレシノール、オリビル及び他の化合物、ならびにジグルコシド類を含むそれらの修飾物が挙げられる。
【0003】
亜麻仁(Linum usitatissimum)は、潜在的に植物エストロゲンリグナン類の最も豊富な供給源である。亜麻仁に見られる一次リグナンは、植物中の天然状態で複合体セコイソラリシレシノールジグルコシド(SDG)として蓄えられている2,3−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシベンジル)ブタン−1,4−ジオール(セコイソラリシレシノール)である。亜麻仁は、任意の他の植物食品よりも75〜800倍大きな濃度でこれら植物エストロゲンを含有する。カテコール性ノルジヒドログアイアレチン酸(catecholic nordihydroguaiaretic)の植物リグナンは、かつて食品産業で使用されていた強力な抗酸化剤である。
【0004】
植物フェノール性化合物は、遊離モノマー類として、又は他の植物化学物質と組み合わせて生じ、それによってエステル類又はグリコシド類を形成する。フェノール酸は、抗酸化活性を有することが知られている。亜麻仁の主要なフェノール性構成成分は、クマル酸(4−グリコシル−桂皮酸)、カフェー酸(3−ヒドロキシ−4−グルコシル桂皮酸)、フェルラ酸(3−メトキシ−4−グルコシル桂皮酸)及びヒドロキシメチルグルタル酸であることが報告されている。これらの化合物は、抗酸化性及び高コレステロール血症性を有する。
【0005】
文献中の多数の報告により、亜麻仁リグナン類の植物化学物質の利益が文書化されている。Rickardらは、5パーセントの亜麻仁食餌レベルで精製リグナンを摂取させることにより、動物において大腸癌及び乳癌発生を有意に軽減することを報告した(Proceedings of the 57th Flax Institute of the United States,(ファーゴ、ノースダコタ州(Fargo,N.D.)):8−13頁(1998))。Demark−Wahnefriedらはまた、亜麻仁の補給が、前立腺癌生物学に対して有益な効果を有し得ることを報告した(Demark−Wahnefriedら、Adult Urology58(1):47−52頁(2001))。
【0006】
さらに、リグナン類は、潜在的な抗酸化性(Mol.& Cell.Biochem.、202:91−100頁(1999))及び抗癌性(Anticancer Research 18:1405−1408頁(1998))に対する多数の報告書と共に、I型及びII型糖尿病の発症を71パーセント予防し(Prasad,K.Proc.of the American Diabetes Association、(1999))、心拍数に影響を及ぼすことなく血圧を下げる能力を有する降圧剤として作用し(米国特許第6,498,145号明細書)、狼瘡腎炎に対する利益を提供し(米国特許第5,827,256号明細書)、動物における高コレステロール血症アテローム硬化症の発症を軽減すること(Atherosclerosis 132:69−76頁(1997))が報告されている。
【0007】
全体が粉砕形態又は脱脂形態の亜麻仁は、動物飼料及びパン、クッキー、ベーグル及びマフィンなどの食品に取り込まれている。それはまた、肉製品の繊維量を補給するために使用されている(国際公開第00/19842号パンフレット)。しかしながら、使用できる量は、亜麻の高含量油及び粘質物が、過剰カロリー摂取及び便通の一因になることから調節される(国際公開第96/30468号パンフレット)。
【0008】
食品中の亜麻の使用に関連する別の問題は、亜麻仁に存在する青酸グリコシドに関連する毒性である。青酸グリコシドは、長時間に亘り過剰に消費される場合、甲状腺腫誘発問題、ヒト臓器に対する損傷、シアニド毒性又は甲状腺の可能なチオシアネート作用をもたらす窒素性二次的植物代謝物である。これらのグリコシド類は、動物及びヒト双方の栄養において重要な天然毒物である。それらは、摂取セレンの毒性効果に対して動物を保護する亜麻仁のユニークな性質に関連している(Smithら、J.Org.Chem.、45:507−510頁(1980))。亜麻仁に存在する主要な青酸グリコシドは、リヌスタチン、ネオリヌスタチン及びリナマリンであり、リヌスタチンは、総青酸グリコシド含量の54〜76パーセントを占める。ヘキサンによる亜麻荒粉の脱脂により、荒粉中の等しい重量に基づく個々の青酸グリコシド全ての高濃度化が起きることが知られている(Maaza & Oomah、Flaxseed in Human Nutrition、Cunnane & Thomson編、AOCS Press、Champaign,III.1995年)。したがって、亜麻に存在する他の化合物から青酸グリコシドを分離することは重要である。
【0009】
リグナン類及び他のフェノール性化合物の調製法は文献に報告されている。1956年、Bakke及びKlostermanは、メタノール−ジオキサンを用いて脱脂亜麻からリグナンを抽出する製法を記載した(Proceedings of the North Dakota Academy of Sciences 10:18−22頁(1956))。しかしながら、リグナン類は、桂皮酸グルコシド及び他の化合物と亜麻中の「複合体」として生じることが知られている。それゆえ、リグナン類は、元々亜麻中の「ポリマー」と称されている。ナトリウム及びバリウムメトキシドは、他の化合物から遊離のリグナン類を放出するメタノリシスのために使用される(Blake及びKlosterman;Thompsonら、Nutr.Cancer 26:59−165頁(1996))。亜麻仁に存在するリグナン類の殆ど全ては、可溶性エステル結合複合体の成分として生じ、遊離グリコシド又はアグリコンとして生じない(Muirら、Proc.of the 58th Flax Institute of the US、ファーゴ、ノースダコタ州、1999年)。リグナン及び桂皮酸を抽出する種々の方法の詳細なレビューは、Muir、上記文献に見ることができる。米国特許第5,705,618号明細書及びPCT出願国際公開第96/30468号パンフレット及び国際公開第00/78771号パンフレットもまた、複合体を含有するリグナンを調製する方法を記載している。しかしながら、これらの製法は、酢酸エチル/水など複雑な溶媒系を含むことなく所望の分離及び純度を達成することが困難なため、工業化のためにスケールアップできず、クロマトグラフィ技法を用いて分離するか、又はサイズ排除クロマトグラフィなど高価な方法を使用することが困難であるという欠点がある。米国特許第6,767,565号明細書は、膜及び樹脂クロマトグラフィ製法を用いるリグナン類の精製のための製法を記載している。しかしながら、この製法は、エタノール中安定性に乏しい高価な樹脂及び膜を使用する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、リグナン類ならびにこれらのリグナン類を含む組成物を単離するためにより効率的な製法の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一の実施形態において、組成物は、20〜45パーセントのセコイソラリシレシノールジグルコシドを有するリグナン抽出物を含む。組成物はまた、組成物の100グラム当り50mg以下の青酸グリコシドを含む。
【0012】
別の実施形態において、組成物は、50パーセント未満であるセコイソラリシレシノールジグルコシド量を有する第一のリグナン抽出物及び50パーセント超であるセコイソラリシレシノールジグルコシド量を有する第二のリグナン抽出物を含む。
【0013】
さらなる実施形態において、リグナン抽出物を製造する製法は、リグナンを含有する植物材料を抽出溶媒と接触させることによって抽出液を形成することを含む。この製法はまた、密度基準分離装置により前記抽出液からリグナン濃縮フラクションを分離することと、前記リグナン濃縮フラクションを水溶液により洗浄することとを含む。この製法はさらに、前記リグナン濃縮フラクションを乾燥することを含み得る。
【0014】
コレステロールレベルの減少、良性前立腺肥厚化の治療、心疾患の治療、高コレステロール血症アテローム硬化症の予防、心疾患の軽減、血中コレステロールの低下、虚血性損傷の軽減、内皮細胞中の酸化窒素発現の増加、マクロファージ中のシクロオキシゲナーゼ活性の抑制、糖尿病に関連する症状の緩和、糖尿病の発症予防又は遅延、血中グルコース濃度の調節、骨密度の増加、骨密度喪失の軽減、関節炎に関連する症状の緩和、前立腺癌の危険性の軽減、転移危険性の軽減、転移の遅延、月経発症に関連する症状の緩和、閉経発症に関連する症状の緩和、血圧の低下、毛髪喪失又は男性型脱毛症を軽減させるための組成物又はリグナン抽出物の使用もまた開示されている。これらの病態を処置するための薬剤を製造するために組成物又は抽出物の使用がさらに記載されている。
【0015】
本発明のさらなる態様は、上記製法から得られたリグナン成分を含有する組成物及び製剤、ならびに組成物及び製剤を用いる方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
リグナン抽出物を単離又は精製する研究が継続されている。Archer Daniels Midland社(デケーター、イリノイ州(Decatur,Illinois))に譲渡された米国特許第6,767,565号明細書(その内容全体が参照として本明細書に組み込まれている)は、亜麻仁からリグナン抽出物を得るために膜及び樹脂の使用を記載している。本発明は、リグナン抽出物を単離するか、又は精製するために製法の改善に関する。種々の実施形態において、本発明は、リグナン抽出物を得る製法ならびにリグナン抽出物を含む組成物及びそれらの使用を開示する。
【0017】
一の実施形態において、製法としては、リグナン含有抽出物及び抽出溶媒を含んでなる抽出液を得るためにリグナン含有植物材料と抽出溶媒とを接触させることと、抽出液から植物材料固体を分離させることと、抽出液中の微生物成分含量を減少させることと;抽出液から0〜100パーセントの抽出溶媒を除去するが、同時に抽出液に水性希釈剤を添加することとを含むことができ;それらからリグナンが得られる。
【0018】
別の一の実施形態において、リグナンを得る製法としては、リグナン含有抽出物及び抽出溶媒を含む抽出液を得るためにリグナン含有植物材料と抽出溶媒とを接触させることと、抽出液から植物固体源を分離させることと;抽出液中の微生物成分含量を減少させることと;抽出液と吸着樹脂とを接触させることと;吸着リグナン含有抽出物を水性希釈剤で洗浄することと;リグナン含有抽出物を溶出させることと;それによってリグナン含有化合物を得ることと;任意に乾燥前に放出リグナンのpHを調整することとを含むことができる。
【0019】
さらなる実施形態において、製法はまた、リグナン含有抽出物及び抽出溶媒を含む抽出液を得るために、リグナン含有植物材料と抽出溶媒とを接触させることと、抽出液から植物材料固体を分離させることと;抽出液中の微生物成分含量を減少させることと;抽出液から0から100パーセントの抽出溶媒を除去するが、同時に抽出液に水性希釈剤を添加することと、を含む、植物材料からリグナンを得る方法を含むことができ、それらからリグナンが得られる。
【0020】
一の実施形態において、亜麻、亜麻仁又は脱脂亜麻などの植物材料は、粉砕、破砕及び/又は細切などの任意の好適な手段により粉末化できる。粉末植物材料は、アルコールなどの好適な抽出溶媒で抽出できる。このアルコールは、水性アルコールであっても水性脂肪族アルコールであってもよい。好適なアルコールは、メタノール、エタノール、イソプロパノール又は任意のそれらの組み合わせから選択できる。別の実施形態において、アセトン水溶液が使用できる。アルコール濃度は、Westcott及びMuirの「Medicinal Lignans from Flax Seed」、Phytochemicals and Phyto−pharmaceuticals、AOCS Press、Campaign,III.、2000年により記載されているように、50〜80容量パーセントの範囲である必要があり、60〜70容量パーセントであってもよい。
【0021】
使用される原材料が脱脂亜麻荒粉である一定の実施形態において、粉末材料をふるい分けして、吸引して、製法により創製された微粉ならびに抽出器に入れる際にばらばらに落下する微粉から、より大きな粒子を除去することができる。このような微粉は、引き続く抽出ステップにおいて幾つかの問題を生じ得る。スクリーニングは、リグナン抽出物の製造に使用される中間部分と2つの異なるポアサイズスクリーンとの組み合わせを用いて達成できる。ふるい分けは、脱脂亜麻荒粉に存在するきょう雑物、凝集微粉及び油脂の脂肪塊を含有し得る粗材料を除去する。一の実施形態において、脱脂亜麻荒粉をスクリーンするために、600ミクロンの第一のスクリーンに加えて2500ミクロンの第二のスクリーンを使用できる。2つのスクリーン間で保持される脱脂亜麻荒粉部分は、リグナン抽出物の製造のために使用できる。微細スクリーンもまた、抽出器を詰まらせ、透過速度を減じる微粒子を除去するために使用できる。中間シフトレバーカットにより、吸引して、「軽量物」フラクションを採取できる。アスピレータの「軽量物」フラクションは、典型的に空気の動きに対してより抵抗性を与えるものであり、したがって気流により運搬される。時には二重の吸引もまた実施される。軽量物フラクションにおいて採取された不規則形状の種皮片は、また気流に対してより少ない抵抗性を与えるより高密度の粒子に比してSDGがより高く、「重量」フラクションとして取り出される。不規則形状の種皮片もまた、密接に充填することにより抽出器のケークを防ぐ。この製法の製造物は、抽出溶媒を排出するために使用されるスクリーンを詰まらせることなく液体−固体抽出器(Crown Ironworks、ミネアポリス、ミネソタ州から入手できるものなど)中で十分に浸出する。吸引条件は、当業者により容易に判定でき、より高密度/空気抵抗のより低い粒子からより低密度/空気抵抗のより高いフラクションの除去を確保する必要がある。
【0022】
一定の他の実施形態において、リグナン抽出物を得るために使用される植物材料は、カボチャ種子;例えば、限定はしないが、コムギ、オオムギ又はエンバクを含む穀物などの繊維に富む植物;マメ、レンチル又はダイズなどのマメ科植物;及びニンニク、アスパラガス、ブロッコリー又はニンジンなどの野菜からなる群から選択できる。
【0023】
抽出は、潜在的に有害な微生物化合物の増殖を最少にし、植物材料からリグナン複合体の抽出を容易にするために好適な温度で実施できる。微生物の増殖を最少にするための好適な温度は、40℃〜70℃の間又は50℃〜60℃の間など、室温から溶媒の沸点の間の範囲である。
【0024】
抽出溶媒対粉末植物材料の比率は、混合物の攪拌を可能にするのに好適である必要がある。この比率は、粉末植物材料の1グラム当り1:1mlから8:1mlの溶媒であり得る。別の比率は、粉末植物材料の1グラム当り2:1mlから6:1mlの溶媒である。
【0025】
抽出処理時間は、約4時間〜8時間である。別の実施形態において、抽出は、約5時間〜7時間の間で実施できる。高温が使用される場合、6時間の抽出時間が適用し得る。別の実施形態において、この処理は、通常の当業者により解されるように、流動式又は向流式の連続方式で実施できる。滞留時間は、亜麻荒粉から最も好適な抽出を得るために変えることができる。このような時間は、時間、温度及び粉末植物材料に対する抽出溶媒の比率によって決定できる。抽出時間は、0.1時間から10時間まで変えることができる。別の実施形態において、0.75時間の滞留時間は、向流抽出器において適用し得る。
【0026】
抽出処理は、所望のリグナン成分、及び固体植物材料を含有する抽出溶媒を含んでなるスラリーの形態を生じる。抽出処理が完了後、所望のリグナン複合体を含有する生じたスラリーの液体フラクション(その後、抽出液)は、固体植物材料から分離できる。分離は、液体から固体を除去するために公知の任意の好適な様式で実施できる。好適な技法の例としては、限定はしないが、ろ過、沈殿、沈降、凝固、遠心分離、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。ろ過が使用される場合、膜、フィルター、又はスクリーンのポア又はメッシュサイズは、除去される材料のサイズに基づいて選択される。選択される膜フィルターのタイプは、抽出処理に使用される溶媒と膜フィルターの適合性に基づいている。
【0027】
植物材料が亜麻である場合、亜麻が抽出中に膨張し、その結果、抽出終了時に大量の溶媒を吸収することが観察されている。したがって、固形植物材料成分内から水性アルコール抽出物を取り出すために、スラリーは、こし取るか、及び/又はプレスできる湿潤荒粉ケークを形成する。このように一の実施形態において、湿潤荒粉ケークは、抽出液を得るためにスクリュープレスなどでプレスされ得る。これは、亜麻湿潤荒粉ケークから得られるリグナン複合体の収量を実質的に増加させる。
【0028】
抽出液の収量をさらに増加させるために、例えば、ろ過、沈殿、沈降、凝固、及び/又は遠心分離が分離技法として使用される抽出液から植物材料固体の分離を行った後にもスクリュープレスを使用できる。
【0029】
生じた抽出液は、溶液中に存在する微生物成分レベルを減少させるために、及び/又は最初の分離から除去されなかったあらゆる残留固体を除去するために、膜フィルターを通すことによりさらに浄化できる。この浄化のための膜フィルターの1つのタイプは、ナイロンフィルターであろう;しかし任意の好適なタイプのフィルターを使用してもよい。一の実施形態において、微生物含量の減少パーセントは、約90パーセント〜100パーセント、90パーセント、95パーセントであるが、一方、98〜100パーセントが可能であり、99.9パーセントもまた可能である。
【0030】
ナイロン膜フィルターは、0.1〜10μm又は0.2〜10μmのポアサイズを有し得る。同様のポアサイズ定格を有する膜カートリッジフィルターも使用できる。生じた浄化抽出液は、限定はしないが、下記の実施形態のうちの1つに従ってさらに処理され得る。
【0031】
アルコール性抽出溶媒は、蒸発によるなど、浄化抽出液から除去(すなわち、揮散)できる。蒸発による抽出液の濃縮は、急速に集合して沈降する濃厚な粘性層の形成を生じることにより観察されている。
【0032】
抽出溶媒の蒸発作用を避け、所望の抽出物の有利な処理を可能にするために、抽出溶媒の蒸発/揮散中に抽出液を希釈する水性希釈剤を添加できる。一の実施形態において、水性希釈剤は水であり得る。したがって、所望ならば、抽出液に存在する抽出溶媒の大部分を除去できる。この方法で、抽出物の所望の希釈は、蒸発/揮散中に水の添加により維持できる。
【0033】
一の実施形態において、生じた水性抽出液(すなわち、水性上澄液層)は、粉末を得るために乾燥できる。乾燥は、限定はしないが、蒸発、真空乾燥、凍結乾燥、スプレー乾燥又は任意のそれらの組み合わせなど、任意の好適な方法により実施できる。
【0034】
別の実施形態において吸湿性の低い製造物を得るために、希釈及び/又は蒸発により浄化抽出液中のアルコール含量の減少を行った後、生じた抽出液は、それに存在する糖類(例えば、青酸グリコシド)を除去するために、限外ろ過に供することができる。限外ろ過は、青酸グリコシド及び他の望ましくない化合物を除去するために、少なくとも2つのフィルター容量の水性希釈剤を用いて実施できる。一の実施形態において、水性希釈剤は水であり得る。
【0035】
好適な限外ろ過膜フィルターとしては、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、セルロースアセテートなどの有機ポリマー類又はコポリマー類、もしくはジルコニア、アルミナ又はセラミック材料などの無機材料が挙げられる。所望のリグナン製造物の分子量分布に基づいて、5,000未満の分子量カットオフ(MWCO)を有する膜フィルターを使用できるか、又は別の実施形態において、1,000MWCO膜フィルターを使用できる。
【0036】
高濃度アルコール液中、ポリマー膜の安定性が乏しいため(Shukla,R,Ph.D.論文、University of Illinois at Urbana−Champaign、2000年)、水による希釈又は蒸発によるなどのアルコールの揮散よりアルコール濃度を低下させることも可能であり得る。このように、生じたアルコール含量減少抽出液は、膜フィルターの性能に対して負の作用を有さない。
【0037】
生じた限外ろ過濃縮水は、実質的に青酸発生性糖類が無く、比較的精製された形態で所望のリグナン抽出物を含有する。限外ろ過濃縮水は、直接乾燥できるか、又は1つ以上の以下の技法:真空乾燥機、マイクロ波乾燥機、高周波乾燥機、及び/又は凍結乾燥機による蒸発によりさらに濃縮した後乾燥できる。真空乾燥は、例えば、5〜20ミリバールの絶対圧力、25〜40分の滞留時間及び95〜115°Fの蒸発温度で達成できる。これらの条件下の乾燥は、真空ベルト乾燥機により達成できる。
【0038】
真空ベルト又はバンド乾燥機は、加熱プレート上で乾燥させるために製造物を運搬するための一体型コンベヤベルトを有するハウジングを含む。自動ベルト制御により、正確なベルト操作を確保する。このような乾燥機は、Merk Process(ラウフェンベルグ、独国)から入手できる。これらのベルトは、互いに平行に走行し、振動適用ノズルを有する計量ポンプは、各々個々に制御されたベルトに割り当てられている。減圧沸点下のシフトは、低蒸発温度、すなわち温和な製造物温度を提供する。
ポンプ輸送可能な製造物は、通常、製造物中蒸気発泡の形成をもたらし得る乾燥処理中の高粘性でしばしば粘着性相、ならびに乾燥処理終了時に対してベルト上に残される乾燥ケークにより操作される。製造物が乾燥処理中に供される温度は、製造物の品質に対して重要な影響を有する。これらのベルトは、多くの加熱ゾーン上及び終了時の冷却ゾーン上を走行する。蒸気、加圧水又は熱油は加熱用に使用でき、各ゾーンは、個別に制御でき、加熱表面温度を乾燥される製造物の特定の要件に適合させることができる。このような乾燥機の利用は、製造物の品質喪失を減少させ、望ましくない着色形成を減少させ、ならびに易流動性の高安定性製造物を提供する。
【0039】
別の実施形態において、抽出液は、抽出溶媒を留去する代わりに水性希釈剤で希釈でき、希釈抽出液を、糖類及び他の不純物を除去するために限外ろ過に供することができる。
【0040】
別の実施形態において、本発明は、リグナン含有抽出物及び抽出溶媒を含む抽出液を得るためにリグナン含有植物材料と抽出溶媒とを接触させることと、抽出液から植物固体源を分離させることと、抽出液中の微生物成分含量を減少させることと、抽出液と吸着樹脂とを接触させることと、吸着リグナン含有抽出物を水性希釈剤で洗浄することと、リグナン含有抽出物を溶出させることと、それによってリグナン含有化合物を得ることと、任意に乾燥前に分離リグナンのpHを調整することと、を含むリグナン抽出物を得る製法を開示する。
【0041】
別の実施形態において、精製抽出液を、バッチ中の吸着樹脂又は連続カラムクロマトグラフィタイプの製法で処理できる。青酸発生性糖類及び他の不純物を除去するために、抽出物を吸着樹脂を利用して水性希釈剤で洗浄する。水性希釈剤は水であり得る。
【0042】
樹脂上の吸着リグナン複合体は、傾斜又は単一パーセンテージの製法で水性アルコール(25〜85℃で20〜100容量パーセント)で溶出できる。アルコールは、限定はしないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール又は任意のそれらの組み合わせから選択できる。生じた材料は、例えば、蒸発、真空乾燥、凍結乾燥、スプレー乾燥又はそれらの組み合わせにより乾燥して、重量−重量基準で凡そ20〜45パーセントのリグナンの製造物を製造できる。クロマトグラフィ分離の製造物のpHを調整することにより、リグナン複合体を分解することなく、むしろ製造物の乾燥を促進することが知られている。pHは、任意の好適な酸又はアルカリ試薬で調整できる。一の実施形態において、pH調整作用としては、製造物を乾燥する前に約3.0〜約9.0の間に分離リグナン複合体のpHを調整することを挙げることができる。別の実施形態において、pHは、約7.5〜約8.0の間に調整できる。
【0043】
使用できる好適な樹脂は、限定はしないが、ポリメタクリレート、エチルビニルベンゼン(ethylvinylbenzene)−ジビニルベンゼン、スチレン−ジビニルベンゼン、ポリスチレン又はフェノールホルムアルデヒドポリマー類から選択され、イオン性であっても非イオン性であってもよい。
【0044】
別の実施形態において、抽出液は、吸着樹脂との処理に先立って水性希釈剤で希釈できる。水性希釈剤は水であり得る。
【0045】
別の実施形態において、抽出液のpHは、約3.0〜約9.0の間の値に調整することが望ましいと言える。一の実施形態において、pHは、約7.5〜約8.0の間である。したがって、任意の好適な酸又はアルカリ試薬によるpH調整により、リグナン複合体を分解することなく、むしろ引き続くリグナン製造物の乾燥を促進することが分かっている。
【0046】
別の実施形態において、リグナン抽出物は、図2のフローチャートに記載されるように製造される。脱脂亜麻仁荒粉は、ヘキサン抽出を用いて粉砕亜麻仁(Linum uistatissimum)から油を除去することにより得られた。脱溶媒脱脂亜麻仁荒粉は、粒度/粒子形状を最適にするために任意に機械的に(すなわち、物理的に)分類することができる。このような分類は、本明細書に記載された分離及び吸引の組み合わせにより達成できる。脱溶媒、及び任意に分類された脱脂亜麻仁荒粉は、45〜75℃で60〜95容量パーセントで水性エタノールと混合できる。エタノール/亜麻仁荒粉混合物は、不溶性物を除去するためにろ過すると、エタノール可溶性抽出物を得ることができる。
【0047】
エタノール可溶性抽出物は、実質的に全てのエタノールを留去するために減圧蒸発することにより濃縮できる。この蒸発を実施する温度に依存して、エタノールの留去を可能にするために真空度を調整できる。リグナン複合体を含有する蒸発させた可溶性抽出物を、可溶性及び懸濁可溶性不純物から分離できる。一の実施形態において、可溶性及び懸濁可溶性不純物(すなわち、非リグナン物質)からのリグナン複合体の分離は、密度基準分離装置又は遠心分離装置(例えば、ヒドロクローン(hydroclone)又は連続遠心分離機)により実施されて、リグナン複合体に富んだ粘性液体を凝集及び/又は沈降させることができ、これを、遠心分離装置による分離により上澄液からデカントできる。このような製法は、沈降凝集とも称することができる。
【0048】
別の実施形態において、可溶性及び懸濁可溶性不純物からのリグナン複合体の分離は、リグナン複合体の沈殿、沈降又は凝集により実施できる。沈殿又は沈降タンクの使用は、機械的パーツが含まれないので、遠心分離又はヒドロクローンタイプのシステムと比較して、よりコスト効率が良い。さらに、沈殿、沈降又は凝集の簡便性は、製造物を製造するために、より低コスト基準を提供する。沈殿、沈降又は凝集は、蒸発可溶性抽出物をポンプによりタンクに輸送し、リグナン複合体をタンクの底に沈降、凝集又は沈殿させることによって実施できる。他の実施形態において、リグナン複合体の沈殿、沈降又は凝集は、pHを調整することによって促進させることができる。さらに別の実施形態において、可溶性及び懸濁可溶性不純物からリグナン複合体の分離は、フィルターを用いて実施することができる。当業界に公知の任意のこのようなフィルターとしては、限定はしないが、ポリマー又は無機フィルターなどを使用できる。このようなフィルターのポアサイズは、0.01ミクロンから100ミクロンの範囲であり得る。
【0049】
リグナン複合体を含有する製法中間体は、この製法中間体を水性クエン酸緩衝液と接触させることによって洗浄できる。この製法中間体を洗浄する作用は、濃縮リグナン複合体(すなわち、製法中間体)から青酸グリコシドを除去する。クエン酸緩衝液は、約pH5の0.1パーセントのクエン酸緩衝液を含むことができるか、又は約10パーセントのクエン酸緩衝液まであり得る。青酸グリコシドの除去を最大にし、可溶性リグナンの損失を最小にするために、pHは、3.0から6.0までなど酸性範囲内で変わり得る。他の実施形態において、リグナン複合体の洗浄作用はまた、中性pH条件下の水、あるいは限定はしないが、エチレンジアミンテトラアセテート(すなわち、EDTA)などのキレート剤により実施できる。
【0050】
洗浄された濃縮リグナン複合体は、前加熱の有り無しの任意に減圧下で乾燥できる。
乾燥濃縮リグナン複合体は、特定のサイズに機械的に(すなわち、Fitzmill、ハンマーミル又は他の同様のデバイス)粉砕でき、運送のために複数裏打ちされた複数ドラムに包装するか、食品に入れるか、又はカプセルもしくは錠剤に入れることができる。一の実施形態において、濃縮リグナン複合体は、少なくとも90パーセントの濃縮リグナンが425μm(マイクロメーター)又はそれ以下になるように粉砕できる。蒸発エタノールは、エタノール蒸発からの濃縮蒸気を組み合わせることにより、所望ならば、エタノール液の検査を調整することにより精留せずにリサイクル又は再使用できる。
【0051】
さらなる実施形態において、食品添加物、飲料添加物、錠剤、カプセル、多成分栄養サプリメント又はそれらの任意の組み合わせなど、対象に対する経口投与のためにリグナン抽出物は構成される。例えば、リグナン抽出物を、ヒト摂取用に亜麻仁油サプリメント、魚油サプリメント、オメガ−3脂肪酸サプリメント又は他の食物サプリメントに添加できる。リグナン抽出物は、食品添加物として直接使用できるか、又は食品添加物、食品組成物、飲料添加物又は飲料組成物として使用するために摂取可能な担体と共に混合できる。食品の非限定例としては、限定はしないが、栄養バー、穀物、スナック、チップ、クラッカー、クッキー、ベークド品、乳製品、食品バー、ヌガー又は任意の他の食品が挙げられる。リグナン抽出物はまた、ヒト摂取用、家畜又は動物飼料用の食品組成物など、摂取可能な食品中に又はその食品と併せて混合できる。
【0052】
コレステロールレベルの減少、良性前立腺肥厚化の治療、心疾患の治療、高コレステロール血症アテローム硬化症の予防、心疾患の軽減、血清中コレステロールの低下、虚血性損傷の軽減、内皮細胞中の酸化窒素発現の増加、マクロファージ中のシクロオキシゲナーゼ活性の抑制、糖尿病に関連する症状の緩和、糖尿病の発症予防又は遅延、血中グルコースレベルの調節、骨密度の増加、骨密度喪失の軽減、関節炎に関連する症状の緩和、前立腺癌の危険性の軽減、転移危険性の軽減、転移の遅延、月経発症に関連する症状の緩和、閉経発症に関連する症状の緩和、血圧の低下、毛髪喪失又は男性型脱毛症の軽減に関連する病態の処置を補助するための規則的な投与のために、リグナン抽出物をカプセル、錠剤、カプレット又は液体形態で調製できることもまた考慮されている。リグナン抽出物に富む飲料は、個体にリグナン類の既知の利益を利用させる目的などに対して調製できる。飲料としては、限定はしないが、アップルジュース、グレープジュース、グランベリージュース、オレンジジュース、エネルギードリンク、スポーツドリンク、食事代替飲料、他のフルーツジュース、任意の他のソフトドリンク、及びミルクなどの乳製品、アルコール性飲料又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0053】
なおさらなる実施形態において、リグナン抽出物は、ステロール、イソフラボン、甘味剤、タンパク質単離物、タンパク質濃縮物、非栄養甘味剤、可溶性繊維、非可溶性繊維、スタチン、ビタミンE、プロアントシアニジン、ノコギリヤシ抽出物、ピジウム抽出物、亜麻油、魚油、ビタミンB、ビタミンC、トコフェロール、フィトステロール、ポリフェノール、カテキン、アントシアニン、アスタキサンチン、グルコサミン、及びそれらの任意の組み合わせなどの任意の他の化合物又は食品添加物と組み合わせることができる。
【0054】
なおさらなる実施形態において、本発明の製法の中の1つにより製造されたリグナン抽出物は、色素沈着を改善する試みにおいて化粧、皮膚又は表皮効果に対するなど化粧品に使用できる。化粧品は、本明細書に記載された経口送達又はローション、日焼け止め又は他の局所適用などのために構成できる。
【0055】
以下の非限定的実施例は、本発明をさらに説明するために提供される。これら実施例の幾つかの変型が、本発明の精神内で可能であり、記載された製法における種々の作用が組み合わせて使用できることを、通常の当業者は認識するであろう。
【実施例】
【0056】
実施例1
リグナン抽出物を、図2のフローチャートに記載されるように製造する。脱脂亜麻仁荒粉は、ヘキサン抽出を用いて粉砕亜麻仁(Linum uistatissimum)から油を除去することにより得られた。脱溶媒脱脂亜麻仁荒粉は、本明細書に記載された粒度/粒子形状を最適にするために任意に機械的に(すなわち、物理的に)分類することができる。脱溶媒、及び任意に分類された脱脂亜麻仁荒粉を、45〜75℃で60〜95容量パーセントの水性エタノールと混合した。あらゆる不溶性物を除去するためにエタノール/亜麻仁荒粉混合物を任意にろ過すると、エタノール可溶性抽出物を得ることができる。
【0057】
また、エタノール可溶性抽出物は、減圧蒸発させて実質的に全てのエタノールを除去できる。沈殿又は沈降は、蒸発可溶性抽出物をポンプによりタンクに輸送し、リグナン複合体をタンクの底に凝集、及び/又は沈降又は沈殿させることによって実施できる。任意に、連続分離機又は遠心分離機などの密度基準分離装置もまた、分離を達成するために使用できる。リグナン複合体を含有する製法中間体(図2)は、製法中間体をクエン酸緩衝水溶液と接触させることにより洗浄できる。代わりの実施形態において、酢酸、フマル酸、乳酸、アスコルビン酸などの有機酸を含有する溶液を使用できる。洗浄された濃縮リグナン複合体は、任意に前加熱の有り無しの減圧下、又は任意に凍結乾燥機もしくは減圧ベルト乾燥機を用いて乾燥された。表1は、本実施例において製造されたリグナン抽出物の分析を提供する。
【0058】
本明細書に記載された製法により得られたリグナン抽出物は、SDG又はβ−D−グルコピラノシド、式C324616及び算出された分子量約686.7を有する(2R,3R)−2,3−ビス[(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)]メチル]−1,4−ブタンジイルビス−(9Cl)を含んでなる。このリグナン抽出物は粉末形態であり、褐色、「茶」の様な臭気及び味覚を有し、中性pHで水に僅かに溶解し、70パーセントのエタノールに中等度に溶解し、低吸湿特性を有し得る。
【0059】
5つのバッチのリグナン抽出物を、本実施例の製法により調製した。5つのバッチのリグナン抽出物は、以下の性質を有した。
【0060】
【表1】

【0061】
本実施例により製造されたリグナン抽出物はまた、本明細書に記載された方法を用いて青酸グリコシド濃度に関して分析(アッセイ)された。典型的に、ヒトにより摂取された青酸グリコシドは、約50mg/成人/日未満であることが推奨される。表1に示されるように、リグナン抽出物は、リグナン抽出物の100g当り総青酸グリコシドを50mg以下含有する。
【0062】
種々のリグナン濃縮抽出物(すなわち、リグナン抽出物1〜6)を、実施例1の製法により製造し、分析した。種々の分析された製造物は、以下の性質を有することが測定された。
【0063】
【表2】

【0064】
【表3】

【0065】
【表4】

【0066】
種々のリグナン濃縮抽出物(すなわち、リグナン抽出物7)を、実施例1の製法により製造し、亜麻仁全体、脱脂亜麻荒粉、分類された亜麻荒粉、及び2つの製法中間体を分析した。種々の分析製造物は、表3に示されるように以下の性質を有することが測定された。
【0067】
【表5】

【0068】
【表6】

【0069】
【表7】

【0070】
分析された全ての化合物は分析に先立って加水分解され、リグナン及びフェノール性化合物はHPLCにより分析された。加水分解の作用は、0.1M NaOHを含有する水中、56パーセントメタノール溶液中に製造物を入れることと、65℃で1時間加熱することと、ならびに希釈酢酸により中和することと、を含んだ。他の測定は、従来の分析法を用いて実施された。
【0071】
実施例2
リグナン製造物を、上記の方法から得られたら、食物、飲料、機能性製剤又は製薬製剤に取り込むことができる。これらの製剤は、例えば、経口送達製剤など、ヒト又は動物に対する任意の投与経路用に調製できる。一の実施形態において、得られたリグナン抽出物を含んでなる製剤は、任意の上記方法から得られた15〜25重量パーセントのリグナン抽出物;60〜84重量パーセントの充填成分;及び1〜25重量パーセントの食事サプリメント栄養剤を含むことができる。
【0072】
他の実施形態において、食物又は他の組成物に入れられたリグナン抽出物は、リグナン抽出物の使用に依って約7から約90重量パーセントのSDGを含むことができる。
【0073】
実施例3
リグナン抽出物は、対象への投与のためにカプセル又は錠剤に入れられる。カプセル又は錠剤は、リグナン抽出物の推奨投与量を使用者に指示する表示又は取扱い説明書を伴うボトルなどの容器に入れることができる。種々の実施形態において、推奨投与量は、1日当り約30〜300mgのSDGである1日当り約86〜860mgのリグナン抽出物であり得るか、又は別の実施形態において、1日当り約30〜600mgのSDGである1日当り約86〜1720mgのリグナン抽出物であり得る。このような量のリグナン抽出物を賦形剤、充填剤又は他の成分と組み合わせる場合、食事サプリメントの推奨投与量は、約250mg〜約1.5グラムであり得る。表示又は取扱い説明書はまた、食事サプリメント、又はリグナン抽出物が、リグナン抽出物の100g当り50mg以下の総青酸グリコシドなど、少量の青酸グリコシドを含有することを使用者に示すために食事サプリメントを含有する容器に関連付けさせ得る。
【0074】
本明細書に記載された種々の実施形態は、一定濃度のSDGを含有することが示されているが、リグナン抽出物中のSDGの濃度が変わり得ることは、通常の当業者にとって明白であろう。例えば、リグナン抽出物の起源となる植物材料の分析されたリグナン又はSDG含量は、限定はしないが、種々の植物材料、植物材料の所在地、植物材料の収穫年、リグナン抽出物を抽出するために使用された抽出方法、又はSDG含量を測定するために使用された加水分解法及び分析法など、多くの因子により変わり、影響を及ぼし得る。例えば、亜麻製造物中のSDG含量は、29〜1055mg/種子100gの間又は200〜1300mg/亜麻仁食物100gの間を含有することが報告されている。さらにSDG含量は、異なる種類の亜麻中0.96〜3.15μmoles/gの範囲であることが報告されている。このように、本明細書に記載された種々の実施形態を用いて、約7〜89パーセントのSDGの任意の所望の濃度を有するリグナン抽出物又は組成物を得ることができ、本明細書に開示された方法を用いて食物、栄養補強性組成物、又は製薬組成物に取り込むことができる。
【0075】
実施例4
別の実施形態において、遠心分離を用いて実施例1の製法により製造された抽出リグナンの効果は、臨床試験で詳細に検査された。この臨床試験では、無作為、プラセボ制御二重ブラインド様式を用いて高コレステロール血症対象(20人の女性、35人の男性、28〜79才)における血漿中脂質を8週間アッセイした。リグナン抽出物は、1日当り各対象に投与されるSDGの以下の用量:0mgのSDG(プラセボ)、300mgのSDG及び600mgのSDGで食事サプリメント錠剤に製剤化された。総コレステロール(TC)及び低密度リポタンパク質コレステロール(LDLC)は、図3〜6に示されるように、プラセボと比較すると、300mg及び600mgSDGの処置により有意に減少した。高密度リポタンパク質コレステロール(HDLC)もまた、図7〜8に示されるように減少した。トリグリセリド(TG)濃度もまた、図9〜10に示されるように減少した。対象におけるリグナン代謝物の血漿中濃度は、図11に示される。
【0076】
この臨床試験によりまた、クレアチニン、血中尿素窒素(BUN)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)及びガンマグルタミルトランスフェラーゼ(GGT)の濃度は、処置群間で同様であることが見られ、これらパラメータの全ては正常な範囲内にあることが示された。このデータは表4に示され、リグナン抽出物は、腎機能又は肝機能に対して注目すべき効果を有さなかったことを示している。
【0077】
【表8】

【0078】
本実施例において、対象におけるエンテロリグナン類(すなわち、エンテロジオール及びエンテロラクトン)の血漿中濃度もまた分析(アッセイ)された。エンテロジオールの血漿中濃度は、表5に示されるように、補充期間の間、対象群の全ての対象において8.0ng/mlの平均値であり、600mgのSDGを受けた全ての対象において229.8ng/ml(28倍の相違)であった。エンテロリグナン類の血漿中濃度について、遠心分離を用いて実施例1の製法により製造されたリグナン抽出物の投与により、ヒト対象におけるエンテロリグナン類及びエンテロジオール類の血中濃度を上昇させることが示唆される。
【0079】
【表9】

【0080】
実施例5
さらなる実施形態において、遠心分離を用いて実施例1の製法により製造されたリグナン抽出物の効果は、臨床試験で試験された。良性前立腺肥厚化(BPH)病態に患っている60人の男性におけるBPH及び前立腺特異的抗原(PSA)に対するリグナン抽出物の効果を判定するために、試験が実施された。無作為、プラセボ制御二重ブラインド様式を用いた。リグナン抽出物量は、16週間毎日の用量で、0mgリグナン抽出物(プラセボ)、リグナン抽出物中300mgのSDG又はリグナン抽出物中600mgのSDGを提供するために食事サプリメントで製剤化された。クレアチニン、血中尿素窒素(BUN)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)及び血中ガンマグルタミルトランスフェラーゼ(GGT)の濃度は、0ヵ月目、2ヵ月目及び4ヵ月目に測定された。表6に示された結果に基づくと、本試験におけるリグナン抽出物の投与は、腎機能又は肝機能に影響を及ぼさなかった。
【0081】
【表10】

【0082】
一定のBPH症状に対する亜麻リグナンの顕著な軽減効果が見られた。クレアチニン、血中尿素窒素(BUN)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)及び血中ガンマグルタミルトランスフェラーゼ(GGT)の濃度は、0週目、8週目及び16週目に測定され、処置群間及び処置群内で差異は見られなかった。本試験の結果はまた、リグナン抽出物が、表7に示されたようにバイオマーカーの正常なレベルに基づいて腎機能又は肝機能に対して悪影響を及ぼさないことを示した。
【0083】
【表11】

【0084】
【表12】

【0085】
ライフの質(QOL)、国際前立腺症状スコア(IPSS)、及び排尿ブロッキンググレードに対する要約結果は、表8〜9に示される。プラセボに比較して、600mgのSDG処置群は、QOLスコアに対して総合的に有意な改善効果を得た(p=0.0115)。300mgのSDG処置群に関して、QOLスコアは改善されたが、統計的な有意には達しなかった(p=0.1377)。QOLスコアのベースラインからの変化パーセントは、QOLスコア自体として同様の統計的結果を有した(プラセボと比較して、600mg及び300mgのSDG処置に対して、それぞれp=0.0085及び=0.1248)。対象内の有意な処置効果は、全ての群に見られた。しかしながら、SDG処置群は、プラセボ群よりもQOLスコアの低下に対して強い効果及び小さなp値を有した。
【0086】
IPSSのデータは、排尿の罹患経験に関連した7つの問題に基づいて採取された。 各問題は、BPH患者によって経験された排尿症状を示した。各症状は、0から5までのスコアを付けられた。スコアがより高く表れると、症状はより重症であった。このように最悪のIPSSは35であり得る。本試験において、IPSSは、全ての群で有意に低下した。プラセボと比較して、処置群間で総合的に有意な効果に達しなかった。しかしながら、処置4ヵ月後、300mg及び600mgのSDG処置群のIPSSは、プラセボ群よりも有意に低下した(それぞれp=0.002及び0.018)。ベースラインからの変化パーセントの統計的な結果は、IPSS変化と同様であった。IPSS低下効果パーセントは、3ヵ月目及び4ヵ月目のデータに関して300mg及び600mgのSDG処置群の双方において幾らか有意であり(それぞれp=0.056及び0.081);低下効果は、4ヶ月目単独のデータに関して、2つの処置群において有意であった(それぞれp=0.0414及び0.0412)。注目された有意性は主に、プラセボ群のIPSS低下効果は、時間単位の期間後に減少したが、一方、SDG処置群の低下効果は本試験を通して維持されたためであった。
【0087】
群内の効果は、プラセボ及び治療群に現れた。ベースラインと比較して、IPSSは、2ヵ月目、3ヵ月目、又は4ヵ月目に有意に低下した。ベースラインからIPSSの変化パーセントのデータを表8に示す。群内のIPSS低下に対する極めて有意な効果は、プラセボ群ではなく、両処置群において得られた(表8)。
【0088】
排尿ブロッキンググレードは、BPH患者における排尿困難を特定するために使用される。排尿ブロッキンググレードは、IPSSと同一の設定による排尿症状群のスコアを含む。ブロッキンググレードはまた、IPSSの一部に役立つ。表9は、ブロッキンググレードに対する有意な治療効果が、4ヵ月目まで、プラセボと比較して、300mg及び600mgのSDG処置群に関して得られたこと(それぞれp=0.019及び0.012)を示している。有意性の到達は、主としてブロッキンググレード低下に対するプラセボ効果がベースラインに戻る一方、処置群の効果が残存するためであった。ブロッキンググレード低下に対する群内効果で、300mg及び600mgのSDG群のデータは、2ヵ月目、3ヵ月目、又は4ヵ月目におけるベースラインと比較して全て有意に低下した(p>0.005)。プラセボ群に関して、2ヵ月目及び3ヵ月目におけるデータのみが、有意なレベルに達した(p<0.05)。ブロッキンググレード低下に対する有意な処置効果は、4ヵ月目のみに見られた(プラセボと比較して、300mg及び600mgのSDG群に関してそれぞれp=0.024及び0.013)。群内処置効果は、300mg及び600mgのSDG処置群の双方において強力に示した(月ごとのデータに関してp<0.005)。プラセボ群に関して、3ヵ月目におけるデータのみが、有意な値に達した(p<0.05)。
【0089】
【表13】

【0090】
【表14】

【0091】
実施例6
別の実施形態において、遠心分離を用いて実施例1の製法により製造されたリグナン抽出物の効果は、臨床試験で試験された。臨床試験は、25人の男性及び11人の女性における血中コレステロールの作用に対してフィトステロール単独の効果、又はリグナン抽出物と組み合わせた効果を試験するために8週間実施された。無作為、プラセボ制御二重ブラインド様式が、以下の処置群:プラセボ対照、1.3gのステロール、及び1.3gのステロール+300mgのリグナン抽出物に対して被検者を割り当てるために使用された。クレアチニン、血中尿素窒素(BUN)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)及び血中ガンマグルタミルトランスフェラーゼ(GGT)の濃度は、0週目、2週目、4週目、6週目及び8週目に測定された。本実施形態において、処置群間及び処置群内のこれらバイオマーカーの濃度に差異はなく、表10Aに示されるように、亜麻リグナンは腎機能又は肝機能に悪影響を及ぼさないことを示した。表10B〜10Dに示されるように、このデータでは、リグナン抽出物と組み合わせたフィトステロール類は、総コレステロールを13.5パーセント、LDL−Cを18.9パーセント低下させることを示している。
【0092】
【表15】

【0093】
【表16】

【0094】
【表17】

【0095】
【表18】

【0096】
実施例7
さらなる実施形態において、リグナン抽出物中の一定量のSDGを維持するために、本発明の方法により得られたリグナン抽出物などのリグナン抽出物の第一の量、すなわち約20〜45パーセントのSDGは、実質的に純粋なリグナン抽出物、すなわち少なくとも90パーセントのSDGを有するリグナン抽出物などの第二のリグナン抽出物と混合される。90パーセントSDGを有するリグナン抽出物は、参照としてその内容全体が組み込まれている、Westcottらに対する米国特許第5,705,618号明細書に開示されている。
【0097】
表11は、約35パーセントのSDGを有する第一のリグナン抽出物と約90パーセントのSDGを有する第二のリグナン抽出物とを混合することにより製造される種々の濃度のSDG(37.75パーセント〜88.8パーセントのSDG)を含んでなる組成物を開示している。
【0098】
【表19】

【0099】
実施例8
遠心分離を用いて実施例1の製法により製造されたリグナン製造物の分子量は、ゲル透過(サイズ排除)クロマトグラフィにより決定された。Phenomenex(トランス、カリフォルニア州(Torrance,CA)):ポリ(エチレングリコール)パート番号AL0−2774及びポリ(エチレンオキシド)パート番号AL0−2775から入手された標準的キットを用いた。Phenomenex PolySep−GFC−P4000、300×7.8mmのゲル透過クロマトグラフィカラムを用いた。50パーセントアセトニトリル/50パーセント水の溶媒混液は、流速0.350mL/分での溶出のために使用された。標品は、蒸発光散乱検出により測定された。サンプルは、280ナノメートルでのUV−可視検出により測定された。SEC(サイズ排除クロマトグラフィ)パッケージと共にShimadzu Scientific InstrumentsからのClass−VPソフトウェアバージョン7.2.1SP1は、サンプルの分子量パラメータを算出するために使用された。これらのクロマトグラムは、図1A〜1Dに示される。
【0100】
実施例9
本発明の実施形態により製造された5つのリグナン抽出物を、それらの構成物に関して分析し、この結果を表12に提供する。ロットA〜Cは、凝集/沈殿による実施例1の実施形態を用いて製造し、ロットD〜Eは、遠心分離を用いる実施例1の実施形態を用いて製造する。
【0101】
【表20】

【0102】
【表21】

【0103】
【表22】

【0104】
本明細書に述べられた全ての刊行物は、参照としてその全体が本明細書に組み込まれている。
【0105】
前述の本発明は、明瞭性及び理解目的のために幾つか詳細に記載されているが、形態及び詳細の種々の変更が、本発明及び添付の請求項の範囲から逸脱することなく成し得ることは、本開示の読み取りから当業者によって認識されるであろう。例えば、一定の植物種、抽出物、組成物、製法及びそれらの使用が記載されているが、例示的な実施形態のいずれかの種々の化学的置換又は修飾が、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく成し得ることは、通常の当業者によって認識されるであろう。さらに、本発明の製法における任意の成分、化合物、組成物、又は作用は、組み合わせて成し得る。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1A】本発明の製法を用いて製造されるリグナン抽出物の分子量分布を示す図である。
【図1B】本発明の製法を用いて製造されるリグナン抽出物の分子量分布を示す図である。
【図1C】本発明の製法を用いて製造されるリグナン抽出物の分子量分布を示す図である。
【図1D】本発明の製法を用いて製造されるリグナン抽出物の分子量分布を示す図である。
【図2】本発明のリグナンを抽出する製法の一の実施形態における作用を示すフローチャートである。
【図3】本発明のリグナン抽出物の一の実施形態における総コレステロール(TC)の低下能力を示すグラフである。
【図4】本発明のリグナン抽出物の一の実施形態における総コレステロール(TC)の低下能力を示すグラフである。
【図5】本発明のリグナン抽出物の一の実施形態における低密度リポタンパク質コレステロール(LDLC)の低下能力を示すグラフである。
【図6】本発明のリグナン抽出物の一の実施形態における低密度リポタンパク質コレステロール(LDLC)の低下能力を示すグラフである。
【図7】本発明のリグナン抽出物の一の実施形態における高密度リポタンパク質コレステロール(HDLC)の上昇能力を示すグラフである。
【図8】本発明のリグナン抽出物の一の実施形態における高密度リポタンパク質コレステロール(HDLC)の上昇能力を示すグラフである。
【図9】本発明のリグナン抽出物の一の実施形態におけるトリグリセリド(TG)の低下能力を示すグラフである。
【図10】本発明のリグナン抽出物の一の実施形態におけるトリグリセリド(TG)の低下能力を示すグラフである。
【図11】本発明のリグナン抽出物の一の実施形態により処置された対象におけるリグナン代謝物の血漿レベルを示すチャートである。
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
50パーセント未満のセコイソラリシレシノールジグルコシド量を有する第1のリグナン抽出物と、
50パーセント超のセコイソラリシレシノールジグルコシド量を有する第2のリグナン抽出物とを含む組成物。
【請求項2】
前記組成物が、50〜600mgのセコイソラリシレシノールジグルコシドを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、食物、飲料、カプセル、錠剤、及びカプレットからなる群から選択される請求項1又は請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
ステロール、イソフラボン、甘味剤、タンパク質単離物、タンパク質濃縮物、非栄養甘味剤、可溶性繊維、非可溶性繊維、スタチン、ビタミンE、プロアントシアニジン、ノコギリヤシ抽出物、ピジウム抽出物、亜麻油、魚油、ビタミンB、ビタミンC、トコフェロール、フィトステロール、ポリフェノール、カテキン、アントシアニン、アスタキサンチン、グルコサミン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される化合物をさらに含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
20〜45%のセコイソラリシレシノールジグルコシドを有するリグナン抽出物を含む組成物であって、
100gの組成物当り50mg以下の青酸グリコシドを含む組成物。
【請求項6】
前記組成物が、300〜600mgのセコイソラリシレシノールジグルコシドを含む請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物を含む容器であって、当該組成物の推奨使用量を使用者に指示する表示を有する容器。
【請求項8】
前記第1のリグナン抽出物が、30から40パーセントのセコイソラリシレシノールジグルコシドであり、前記第2のリグナン抽出物が、少なくとも90パーセントのセコイソラリシレシノールジグルコシドである請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
コレステロールレベルの減少、良性前立腺肥厚化の治療、心疾患の治療、高コレステロール血症アテローム硬化症の予防、心疾患の軽減、血中コレステロールの低下、虚血性損傷の軽減、内皮細胞中の酸化窒素発現の増加、マクロファージ中のシクロオキシゲナーゼ活性の抑制、糖尿病に関連する症状の緩和、糖尿病の発症予防又は遅延、血中グルコース濃度の調節、骨密度の増加、骨密度喪失の軽減、関節炎に関連する症状の緩和、前立腺癌の危険性の軽減、転移危険性の軽減、転移の遅延、月経発症に関連する症状の緩和、閉経発症に関連する症状の緩和、血圧の低下、毛髪喪失又は男性型脱毛症を軽減させるための薬剤の製造において請求項1〜6又は8のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項10】
46〜89パーセントのセコイソラリシレシノールジグルコシドを含むリグナン抽出物。
【請求項11】
コレステロールレベルの減少、良性前立腺肥厚化の治療、心疾患の治療、高コレステロール血症アテローム硬化症の予防、心疾患の軽減、血中コレステロールの低下、虚血性損傷の軽減、内皮細胞中の酸化窒素発現の増加、マクロファージ中のシクロオキシゲナーゼ活性の抑制、糖尿病に関連する症状の緩和、糖尿病の発症予防又は遅延、血中グルコース濃度の調節、骨密度の増加、骨密度喪失の軽減、関節炎に関連する症状の緩和、前立腺癌の危険性の軽減、転移危険性の軽減、転移の遅延、月経発症に関連する症状の緩和、閉経発症に関連する症状の緩和、血圧の低下、毛髪喪失又は男性型脱毛症を軽減させるための薬剤の製造において請求項10に記載のリグナン抽出物の使用。
【請求項12】
請求項1〜6又は請求項8のいずれか一項に記載の組成物、又は請求項10に記載のリグナン抽出物を対象に投与することを含む、コレステロールレベルの減少、良性前立腺肥厚化の治療、心疾患の治療、高コレステロール血症アテローム硬化症の予防、心疾患の軽減、血中コレステロールの低下、虚血性損傷の軽減、内皮細胞中の酸化窒素発現の増加、マクロファージ中のシクロオキシゲナーゼ活性の抑制、糖尿病に関連する症状の緩和、糖尿病の発症予防又は遅延、血中グルコース濃度の調節、骨密度の増加、骨密度喪失の軽減、関節炎に関連する症状の緩和、前立腺癌の危険性の軽減、転移危険性の軽減、転移の遅延、月経発症に関連する症状の緩和、閉経発症に関連する症状の緩和、血圧の低下、毛髪喪失又は男性型脱毛症を軽減させる方法。
【請求項13】
少なくとも100,000の分子量を有するリグナン複合体を含む組成物を、対象に投与することを含むコレステロールレベルの減少、良性前立腺肥厚化の治療、心疾患の治療、高コレステロール血症アテローム硬化症の予防、心疾患の軽減、血中コレステロールの低下、虚血性損傷の軽減、内皮細胞中の酸化窒素発現の増加、マクロファージ中のシクロオキシゲナーゼ活性の抑制、糖尿病に関連する症状の緩和、糖尿病の発症予防又は遅延、血中グルコース濃度の調節、骨密度の増加、骨密度喪失の軽減、関節炎に関連する症状の緩和、前立腺癌の危険性の軽減、転移危険性の軽減、転移の遅延、月経発症に関連する症状の緩和、閉経発症に関連する症状の緩和、血圧の低下、毛髪喪失又は男性型脱毛症を軽減させる方法。
【請求項14】
少なくとも100,000の分子量を有するリグナン複合体を対象に投与することを含む良性前立腺肥厚化を治療する方法。
【請求項15】
少なくとも100,000の分子量を有するリグナン複合体を対象に投与することを含むヒトの血中コレステロールを減少させる方法。
【請求項16】
少なくとも100,000の分子量を有するリグナン複合体を対象に投与することを含む血圧を低下させる方法。
【請求項17】
リグナン複合体を対象に投与することを含む国際前立腺症状スコアを低下させる方法。
【請求項18】
前記対象がヒトである請求項12〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記投与が経口的に実施される請求項12〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
リグナンを含有する植物材料を抽出溶媒に接触させることによって抽出液を形成することと、
密度基準分離装置により前記抽出液からリグナン濃縮フラクションを分離することと、
前記リグナン濃縮フラクションを水溶液により洗浄することと、
前記リグナン濃縮フラクションを乾燥させることを含むリグナン抽出物を製造する製法。
【請求項21】
前記抽出液の一部を、前記リグナン濃縮フラクションからデカントすることをさらに含む請求項20に記載の製法。
【請求項22】
前記水溶液が、水性クエン酸緩衝溶液を含む請求項20又は21に記載の製法。
【請求項23】
前記抽出溶媒の一部を前記抽出液から除去することをさらに含む請求項20〜22のいずれか一項に記載の製法。
【請求項24】
前記抽出溶媒の一部を前記抽出液から除去することが、抽出溶媒を蒸発させることと、蒸発した抽出溶媒を再使用することを、さらに含む請求項23に記載の製法。
【請求項25】
前記抽出溶媒がアルコールを含む請求項20〜24のいずれか一項に記載の製法。
【請求項26】
前記リグナン濃縮フラクションを粉砕することをさらに含む請求項20〜25のいずれか一項に記載の製法。
【請求項27】
前記リグナン濃縮フラクションを包装することをさらに含む請求項20〜26のいずれか一項に記載の製法。
【請求項28】
前記リグナン濃縮フラクションを、食品、カプセル、錠剤、カプレット、又は飲料に入れることをさらに含む請求項20〜27のいずれか一項に記載の製法。
【請求項29】
前記リグナン濃縮フラクションが、少なくとも35重量パーセントのセコイソラリシレシノールジグルコシドを含有する請求項20〜28のいずれか一項に記載の製法。
【請求項30】
前記リグナン濃縮フラクションが、当該リグナン濃縮フラクション100g当り50mg以下の青酸グリコシドを含んでいる請求項20〜29のいずれか一項に記載の製法。
【請求項31】
前記密度基準分離装置が、連続分離機(hydroclone)、沈降タンク、遠心分離機及びフィルターからなる群から選択される請求項20〜30のいずれか一項に記載の製法。
【請求項32】
前記リグナン濃縮フラクションの乾燥は、真空ベルト乾燥機、マイクロ波乾燥機、高周波乾燥機、及び凍結乾燥機からなる群から選択される乾燥機中で行う請求項20〜31のいずれか一項に記載の製法。
【請求項33】
前記リグナン含有植物材料をふるい分けすることと、前記リグナン含有植物材料を吸引することと、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される作用をさらに含む請求項20〜32のいずれか一項に記載の製法。
【請求項34】
2枚のワイヤメッシュスクリーンが、前記リグナン含有植物材料をふるい分けするために使用される請求項33に記載の製法。
【請求項35】
前記2枚のワイヤメッシュスクリーンが、500ミクロンスクリーン及び2500ミクロンスクリーンを含む請求項34に記載の製法。
【請求項36】
前記リグナン濃縮フラクションと、ステロール、イソフラボン、甘味剤、タンパク質単離物、タンパク質濃縮物、非栄養甘味剤、可溶性繊維、非可溶性繊維、スタチン、ビタミンE、プロアントシアニジン、ノコギリヤシ抽出物、ピジウム抽出物、亜麻油、魚油、ビタミンB、ビタミンC、トコフェロール、フィトステロール、ポリフェノール、カテキン、アントシアニン、アスタキサンチン、グルコサミン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される化合物とを混合することを、さらに含む請求項20〜35のいずれか一項に記載の製法。
【請求項37】
請求項20〜36のいずれか一項に記載の製法により製造された製造物。
【請求項38】
コレステロールレベルの減少、良性前立腺肥厚化の治療、心疾患の治療、高コレステロール血症アテローム硬化症の予防、心疾患の軽減、血中コレステロールの低下、虚血性損傷の軽減、内皮細胞中の酸化窒素発現の増加、マクロファージ中のシクロオキシゲナーゼ活性の抑制、糖尿病に関連する症状の緩和、糖尿病の発症予防又は遅延、血中グルコース濃度の調節、骨密度の増加、骨密度喪失の軽減、関節炎に関連する症状の緩和、前立腺癌の危険性の軽減、転移危険性の軽減、転移の遅延、月経発症に関連する症状の緩和、閉経発症に関連する症状の緩和、血圧の低下、毛髪喪失又は男性型脱毛症を軽減させるための請求項37に記載の製造物の使用。
【請求項39】
コレステロールレベルの減少、良性前立腺肥厚化の治療、心疾患の治療、高コレステロール血症アテローム硬化症の予防、心疾患の軽減、血中コレステロールの低下、虚血性損傷の軽減、内皮細胞中の酸化窒素発現の増加、マクロファージ中のシクロオキシゲナーゼ活性の抑制、糖尿病に関連する症状の緩和、糖尿病の発症予防又は遅延、血中グルコース濃度の調節、骨密度の増加、骨密度喪失の軽減、関節炎に関連する症状の緩和、前立腺癌の危険性の軽減、転移危険性の軽減、転移の遅延、月経発症に関連する症状の緩和、閉経発症に関連する症状の緩和、血圧の低下、毛髪喪失又は男性型脱毛症を軽減させるための薬剤の製造のための請求項38に記載の製造物の使用。
【請求項40】
クエン酸、エチレンジアミンテトラアセテート、酢酸、フマル酸、乳酸及び任意のこれらの組み合わせからなる群から選択される化合物により亜麻抽出物を洗浄することを含む、亜麻抽出物から青酸グリコシドを除去する方法。
【請求項41】
前記化合物が、pH3.0〜6.0の間のpHを有する請求項40に記載の方法。
【請求項42】
請求項1〜6又は8のいずれか一項に記載の組成物、もしくは請求項37に記載の製造物における組成物の有効量を対象に投与することを含む、対象の血漿中のエンテロラクトン、エンテロジオール又はそれらの組み合わせを上昇させる方法。
【請求項43】
請求項1〜6又は8のいずれか一項に記載の組成物、もしくは請求項37に記載の製造物における組成物を300mg/日〜600mg/日、対象に投与することにより、対象の血漿中のエンテロラクトン、エンテロジオール又はそれらの組み合わせを上昇させる方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図6A】
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【図7】
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【図7A】
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【図8】
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【図8A】
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【図9】
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【図9A】
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【図10】
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【公表番号】特表2009−518311(P2009−518311A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543544(P2008−543544)
【出願日】平成18年12月4日(2006.12.4)
【国際出願番号】PCT/US2006/046317
【国際公開番号】WO2007/065023
【国際公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(507303309)アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド カンパニー (16)
【Fターム(参考)】