説明

リコンフィギュラブル・イメージセンサ

【課題】 ピクセルを機械的に駆動させるのではなく、意図的に映像にゆがみを与えてイメージセンサに取り込み、後にゆがみはデジタル処理により修正することで、部分ごとにピクセル密度の異なるイメージを得ることができるイメージセンサ、すなわちプログラムによる仮想的に動的なピクセル密度の変更が可能なイメージセンサ(リコンフィギュラブル・イメージセンサ)を得る。
【解決手段】 レンズやミラーの素材に絶縁性流体や電気的特性をもつ流体を用い、2次元静電ヘッドにより流体を制御することで透過、反射する映像にゆがみを与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件はデジタル撮影技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のイメージセンサは、図1の左図に示すような2次元に配列した一定密度のピクセルを用い、入射した映像をデジタル情報に変換していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のデジタル撮影では、映像の中の不要な部分でも同じ密度の資源(ピクセル量)を割いて映像を撮影していたため無駄が生じることもあった。イメージセンサは精密機械であり、映像に応じてピクセルを伸縮させ、有効活用するということも現代の科学技術ではほぼ不可能である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そこで本件では、ピクセルを機械的に駆動させるのではなく、意図的に映像にゆがみを与えてイメージセンサに取り込み、後にゆがみはデジタル処理により修正することで、図1の右図のように、部分ごとにピクセル密度の異なるイメージを得ることができるイメージセンサ、すなわちプログラムによる仮想的に動的なピクセル密度の変更が可能なイメージセンサ(リコンフィギュラブル・イメージセンサ)を提案する。なお、本件で述べるイメージとは、静止画、及び動画を意味する。
【発明の実施形態】
【0005】
以下、この発明の実施形態について詳細に説明する。
【0006】
リコンフィギュラブル・イメージセンサの原理(請求項1の詳細)
撮影時に意図的に映像にゆがみを与え、イメージセンサに取り込む。このときの映像のゆがみ情報は、物理特性に基づく推定、又はセンサー等を用いて実際に計測する。得られたゆがみ情報を基に、撮影したイメージのゆがみを修正すると、部分ごとに異なるピクセル密度を持つイメージとなる。例えば図2に示すように、中心が拡大されるようにゆがみを与えた映像をイメージセンサに取り込むとする。ゆがみ情報を基に、取り込んだイメージのゆがみを修正すると、イメージの中心付近ではピクセル情報を保持したまま縮小され、座標変換後のイメージは中心付近で高密度のピクセル情報を持つことになる。ピクセルの割り当て方法については、ユーザ側のカメラ操作、映像の重要度に応じたフィードバック制御等を用いる。ここで述べた資源割り当ての決定方法は本件請求項を制限するものではない。撮影されたイメージは図15に示すように、ピクセルデータを部分的にピックアップすることで、任意のフォーカス、任意のズーム率のイメージを合成することができる特殊なイメージとなる。リコンフィギュラブル・イメージセンサを用いることで、レンズの中心以外にフォーカスを当てたり、複数の座標にフォーカスを当てたりすることもできる。映像を複数のフォーカスで捉える機能を利用することで、1台のイメージセンサによるオートフォーカス機能や3次元認識が可能となる。なお図2、図15は本件の請求項を制限するものではない。映像は可視光線による映像に限定せず、粒子の流れ(電子の流れ、原子や分子の流れ、素粒子の流れ)を含む。例えば電子顕微鏡の場合は、電子の軌道にゆがみを与え、映像として取り込むことになる。
【0007】
映像にゆがみを与える技術(請求項2の詳細)
ゆがみを与えたレンズやミラーを用いることで撮影前の映像にゆがみを与える。ここで用いられるレンズやミラーは、主に流体状のものであり、液体、気体、流動可能な固体、変形可能な固体等を指す(固体と液体の中間的な性質を持つジェル状、ゲル状の流体、磁気や静電気、熱や光、振動、電流等で状態変化する物質、流動性を持つ微粒子を含む)。また限定的な用途として、固定されたゆがみをもつ固体状のミラーやレンズを含む。以後、これらのレンズやミラーを流体レンズ、流体ミラーとして説明する。図3に示すように入射した映像を、流体レンズ、流体ミラーで透過、反射させることで映像にゆがみを与え、この映像をイメージセンサに取り込む。なお図3は基本的な原理を示したものであり、流体ミラーや流体レンズを用いたカメラシステムの具体的な実施形態を示したものではなく、本請求項を制限するものでもない。なお、本請求項は請求項1のゆがみを与える手法を制限するものではない。流体レンズ、流体ミラーは以下に述べる方法によって電気信号による制御が可能となり、目的に応じて映像に任意のゆがみを与えることが可能となる。
【0008】
透過性のイオン性流体の利用(請求項3の詳細)
映像にゆがみを与えるために、透過性のイオン性流体よりなる流体レンズを用いる。図4に示すように永久磁石や直流電磁石を配置することで、流体レンズに対して外部より直流磁界の勾配を与える。ここに誘導コイルを配置し、流体レンズに直流成分を含む誘導電流を流すと、外部磁界と誘導電流の相互作用により、流体レンズ中のイオンにローレンツ力が働き、部分的にイオン密度に変化が生じ、それに応じて流体レンズの屈折率も部分的に変化する。ここを透過させ映像にゆがみを与える。誘導コイルは流体レンズに対して同心円状のコイルを用いるほか、必要に応じて偏向コイルを用いる。偏向コイルを用いることで、コイルから流体レンズまでの距離に偏りが生じ、流体レンズに偏った誘導電流を流すことができる。複数の偏向コイルを用いることで、流体レンズの2次元(X−Y)の制御を実現する。なお図4は請求項を制限するものではない。
【0009】
磁性流体の利用(請求項4の詳細)
映像にゆがみを与えるために、磁性流体を流体ミラーとして用いる。流体ミラー外部にコイル(磁気ヘッド)を設置して外部磁界を加え、磁性流体液面にゆがみを与える。一般的に磁性流体の反射率は低く、ミラーとしての機能は劣るので、必要に応じて磁性流体の液面に反射率の高い流体による表面処理を施す。なお、表面処理の具体的方法は制限しない。
【0010】
永久磁石の利用(請求項5の詳細)
請求項4に関連し、図5に示すように、磁性流体ミラーにコイル及び永久磁石よりなる磁気ヘッドを配置する。永久磁石により外部磁界を与えることで、磁性流体は常時、強く吸引され、重力や手ぶれの影響が低減され、液漏れを防ぐことができる。磁性流体は永久磁石の磁束に沿ってドーム状のミラーを形成する。ここでコイルに電流を流すと、永久磁石の一方の磁極はコイルの磁界と打ち消しあうことで弱められ、もう一方の磁極は強められる。この磁力の差分により、ドーム状のミラーを形成している磁性流体は変動し、フォーカスが移動する。磁性流体ミラーを用いたカメラシステムの概要を図6に示す。なお図5、図6は請求項を制限するものではなく、図6は本件の磁性流体ミラーによるカメラの具体的な実施形態を示したものではない。
【0011】
偏向コイルの導入(請求項6の詳細)
請求項5の磁気ヘッドに関連し、液面全体の制御するために、図7に示すように磁性流体ミラーに対して同心円状でない偏向コイルを用いる。同心円状のコイルの場合、磁性流体の制御は1次元(図面では上下方向)に制限される。偏向コイルを用いることで、コイルから磁性流体までの距離が左右で異なるため、磁性流体に与える磁力に差分が生じ、左右方向にも力が生じる。上下方向の制御と左右方向の制御は干渉しあい、結果として斜め方向の力となる。4方向の力の組み合わせにより、2次元的な磁性流体ミラーの制御を実現する。なお図7は請求項を制限するものではない。
【0012】
2次元磁気ヘッドの導入(請求項7の詳細)
磁性流体ミラーに関連し、液面制御のために図8に示すような2次元磁気ヘッドを用いる。縦方向の導線と横方向の導線は互いに絶縁されており、隣同士の導線も絶縁されている。2次元磁気ヘッドはスイッチングにより多様な形状のコイルとなり、より高精度な磁性流体ミラーの液面制御を実現する。コンテキストメモリはスイッチングの制御情報を格納しており、これにより磁気ヘッドのスイッチングを高速に行うことができ、高速かつ高精度の液面制御を実現する。なお、図8は請求項を制限するものではない。本請求項は、磁性流体ミラー方式の2次元の液面制御を制限するものではない。コンテキストメモリ、コントローラは必ずしも必要とするものではない。導線の配列方法、コントローラの配置方法は図面に示す方法に制限はしない。磁気ヘッド方式はミラー方式に限定するものではなく、磁性流体が透過性であればレンズ方式として用いることもできる。
【0013】
モーションセンサへの応用(請求項8の詳細)
磁性流体は磁束に沿って液面を形成し、磁極付近では図9に示すように突起状の無数のミラーやレンズを形成する。この突起状の液面は磁性流体自身の表面張力や粘性の影響を受けて丸みを帯び、昆虫の複眼レンズのような細かな液面を形成する。これを流体ミラーやレンズとして用い、反射、透過する映像をイメージセンサに取り込み、モーションセンサとして利用する。なお、図9は本件請求項を制限するものではない。
【0014】
誘導反発の利用(請求項9の詳細)
映像にゆがみを与えるために、ミラー材料に液体金属等の反射率の高い導電性流体を用いる。図10に示すように誘導コイルを設置し、ミラーに誘導反発力を与え液面を制御し、反射する映像にゆがみを与える。必要に応じて、偏向コイルを用いることで、2次元の液面制御を実現する。なお、図10は本件請求項を制限するものではない。
【0015】
2次元静電ヘッドの利用(請求項10の詳細)
流体ミラー及び流体レンズの液面制御に2次元静電ヘッドを用いる。静電ヘッドの概要を図11に概要を示す。縦方向の電極と横方向の電極は互いに絶縁されており、隣同士の電極も絶縁されている。流体材料には絶縁率の高い流体や極性をもつ流体等を用いる。静電ヘッドの電極に電圧を加えると流体が電荷を帯び、図12に示すように流体に推進力を与え、流動させることができる。これにより流体液面にゆがみが生じ、ここを透過、反射する映像にゆがみが与えられる。コンテキストメモリは静電ヘッドの制御情報を格納しており、このメモリから制御情報を取得することで高速な液面制御を実現する。静電ヘッドを用いたカメラシステムの概要を図13に示す。なお図11,12,13は本件請求項を制限するものではない。コンテキストメモリ、コントローラは必ずしも必要とはしない。電極、コントローラの配置方法は図に示す方法に制限はしない。また、図13は本請求項の2次元静電ヘッドを用いたカメラシステムの具体的な実施形態を制限したものではない。静電ヘッド方式では、必要に応じて複数の異なる流体を用い、多層構造にして利用する。必要に応じて複数の2次元静電ヘッドで流体を挟み込み、液面を3次元的に制御する。
【0016】
固体ミラー、固体レンズの利用(請求項11の詳細)
固定されたゆがみをもつ固体状のミラーやレンズを用い、反射、透過する映像にゆがみを与える。この方式はピクセル資源の割り当ての柔軟性を失うが、振動や熱や重力に対しての影響を受けにくく、ゆがみ補正が容易である。必要に応じて外力を加えることで多少のゆがみの制御が可能な機能を提供する。
【0017】
流体ミラー、流体レンズの基本的な制御
2次元の液面制御では、局部的に液面を制御しようとしても液面全体に干渉するため、液面全体を同時に制御することは困難である。そこで図14に示すように、フォーカスを平行移動させながらゆがみを与え(以後、走査と呼ぶ)、時間平均して目的のゆがみを得る。低速で走査する場合には、走査のタイミングに同期してフォーカスが移動する。高速に走査する場合には、流体が走査の速度に追従できないため、走査の際に各座標に与えたゆがみの強度に応じて、谷や山ができ、複数のフォーカスが形成される。なお図14は本件請求項を制限するものではない。走査の方法は図の方法に限定はしない。
【0018】
フーリエ級数展開を利用した液面制御(請求項12の詳細)
走査しながらゆがみを制御する方式では、特定の座標に目的のゆがみを与えようとしても、周辺座標に対して非干渉にゆがみを与えることができない。目的のゆがみを与えるには、あらかじめ周辺への干渉に配慮した、各座標への指令値の検討が必要となる。走査して各座標のゆがみを与え、最終的に目標のゆがみを得るためには2次元のフーリエ級数展開を利用し、走査の際に各座標で与えるべきゆがみの強度を決定する。必要に応じて、指令値としてスプライン曲面やベジエ曲面等のパラメータでの定義可能な自由曲面を用い指令値を定義する。なお本請求項は、本件で提案する流体ミラー及び流体ミラーの液面の制御方法を制限するものではない。
【0019】
ゆがみ識別方法(請求項13の詳細)
ゆがみは、振動や重力、温度特性等の様々な影響を考慮する必要があり、一般に推定は困難である。このため、必要に応じて液面のゆがみを実際に測定する。図16に示すように、形状が既知の映像や不可視光線、レーザ光線等を反射させ、別途設けたイメージセンサに取り込み、流体ミラーのゆがみ情報を取得する。なお図16は本件請求項を制限するものではなく、映像を反射させる方向を制限はしない。またゆがみ識別用の映像を取得するイメージセンサは、撮影する映像を取得するイメージセンサと共用することもある。本請求項はゆがみ情報の取得方法を制限するものではない。レンズ方式の場合も同様に基準となる映像を取り込み、ゆがみを識別する。
【0020】
明度修正(請求項14の詳細)
ゆがみにより拡大された部分は分散され暗くなり、縮小された部分は明るくなる。このため、撮影時に各座標の露出時間を制御する、又は、撮影後に明度の修正処理を施す、又はフィルタリングすることで、拡大縮小に伴う明度のばらつきを修正する。
【0021】
映像の重ね合わせ(請求項15の詳細)
提案するリコンフィギュラブル・イメージセンサは、イメージの中心以外にフォーカスを当てることができ、カメラの方向変えずにフォーカスのみを移動させることができる。図14に示すように、低速に走査した場合、フォーカスはこの走査に同期して移動することができる。走査しながらイメージを取り込み、デジタル処理により映像を重ね合わせることで高画質な映像を得る。なお図14は本件請求項を制限するものではない。また本請求項はイメージの撮影とイメージの合成のタイミングを制限しない。
【0022】
デジタル映像の保存方法、転送方法(請求項16の詳細)
イメージデータの保存時に、座標変換前のデータを圧縮して保存し、同時にゆがみ情報も保存する。座標変換前のピクセル情報は2次元の配列で保持されており、従来の圧縮技術が利用可能である。イメージデータを転送する場合、転送元では、2次元に配列したゆがみ修正前のイメージ(圧縮または未圧縮のイメージ)を準備する。転送先でフォーカスやズームの設定情報を転送元へ送信する。この情報を基に転送元では、転送先で必要なピクセル情報をピックアップし転送する。転送先では転送されたピクセルデータを合成し、特定のフォーカス、ズーム率の映像を取得することができる。本請求項で提案する圧縮方法、転送方法は、リコンフィギュラブル・イメージセンサにより撮影されたイメージの圧縮方法、転送方法を制限するものではない。
【0023】
MyVision放送技術(請求項17の詳細)
本件で提案するリコンフィギュラブル・イメージセンサで撮影されたイメージは、先に述べたように、複数のフォーカスと連続的なズーム率の情報を持った特殊なイメージである(図15参照)。データ放送の際に、視聴者側からの設定情報(フォーカス設定、ズーム設定、その他)を受信し、必要なピクセル情報だけをピックアップし、視聴者側へ送信する、又は、放送局側から一方的にイメージデータを配信し、同時にゆがみデータやその他の設定情報を配信し、視聴者側では放送局からの設定情報に基づき、必要なピクセル情報だけをイメージデータからピックアップし、目的のイメージを合成することで、視聴者は好みのフォーカス、ズーム率で映像を視聴することができ、自分だけのカスタマイズされた放送(MyVision放送)を楽しむことができる。必要に応じて、文字情報、音声情報、設定情報、制御情報、CM情報等を配信する。本請求項で述べる放送とはインターネット放送や地上波デジタル放送、衛星デジタル放送、有線放送、その他のデジタル放送を含む。
【0024】
ディスプレイへの表示方法、及びユーザインターフェース(請求項18の詳細)
撮影されたイメージをディスプレイに表示する際に、イメージを表示する領域のピクセルサイズ、ズーム設定、フォーカス設定に基づき、イメージデータから必要なピクセルデータをピックアップして表示する。必要に応じてピクセル密度の高く拡大可能な座標に対して、拡大可能であることをユーザに通知するナビゲート機能を提供する。必要に応じて、外部入力装置(マウス等)のボタン操作(クリックやドラッグ)、回転機を有する外部入力装置の回転操作によるコマンドにより、イメージを拡大縮小する機能を提供する。必要に応じてマルチフレーム化し、複数のイメージをディスプレイ上に表示する機能を提供する。必要に応じて、CM情報を表示する機能を提供する。必要に応じて、視聴終了時に設定情報を記憶し、次の視聴時にその設定情報を再設定し、同じフォーカス、ズーム率の映像を視聴できる機能を提供する。必要に応じて、視聴者側でフォーカス、ズーム情報も受信し、放送局側で編集された映像を視聴できる機能を提供する。必要に応じて、設定されたフォーカス、ズーム率におけるイメージの録画機能、複数のイメージの同時録画機能を提供する。必要に応じて、ユーザが設定しているフォーカス、ズームとは異なる設定情報によるイメージの録画機能を提供する。必要に応じて、イメージデータを記憶せず、時間ごとのフォーカス、ズーム設定情報等を記録しておき、イメージ配信元からネットワークを介して、再びその設定でのイメージを受信し視聴する機能を提供する。この際に、フォーカス、ズーム設定を変更可能な機能、その設定での録画の機能を提供する。この際に、必要に応じて、配信するCM情報を変更可能な機能を提供する。必要に応じて、フォーカス、ズーム設定情報を含む電子番組表を表示する機能を提供する。なお、本請求項に述べる、ディスプレイ表示方法やユーザインターフェースは、本件のリコンフィギュラブル・イメージセンサにより撮影されたイメージのディスプレイへの表示方法、ユーザインターフェース、データの転送方法、放送方法、映像の利用方法を制限するものではない。
【0025】
ネットワークカメラ機能(請求項19の詳細)
MyVision放送に関連し、通信機能を持ち、イメージ表示装置及び外部入力装置をもつ携帯端末において、端末の動きに連動しフォーカスを変更してイメージを表示する機能、外部入力コマンドによりフォーカスを変更してイメージを表示する機能、外部入力コマンドによりズーム設定を変更して表示する機能、設定されたフォーカス、ズーム率でイメージを記録する機能を提供する。必要に応じて制御情報、文字情報、音声情報、プロフィール、CM情報、その他の情報を配信する。
【0026】
イメージのデータ構造(請求項20の詳細)
リコンフィギュラブル・イメージセンサで撮影されたイメージデータは、図17に示すように、複数のセクションに分割した分木構造で保持する。分割された各セクションは、異なる密度のピクセル情報を持つこともできる。なお、図17は本件請求項で述べる分木構造を具体的に制限するものではない。また、本請求項で提案するイメージのデータ構造は、本件で提案するリコンフィギュラブル・イメージセンサのデータ構造を制限するものではない。
【0027】
リコンフィギュラブル・流体MEMS(請求項21の詳細)
流体中に粒子を浮遊させ、2次元の磁気ヘッドや静電ヘッドを用い、粒子及び流体を電気的に制御する。ここで述べる粒子とは気体、液体、固体、その中間の状態のものを指す。必要に応じて粒子と流体は互いに物理的性質(誘電率や透磁率、比重、表面張力等)が異なるものを用いる。リコンフィギュラブル・流体MEMSの概要を図18(左図は断面図、右図は上面図)に示す。必要に応じて流体を通過、反射する映像をイメージセンサに取り込み観測し、フィードバック制御等を行う。電気信号により、粒子や流体を機械的に駆動させ、微細なレベルでの物質の搬送や機械工作等の機能を実現する。例えばエッチング溶液の微粒子を搬送し、材料の特定の箇所をエッチングし、これで生成した微小な部品を搬送し、組み立て作業を行うなどの機能が実現される。なお、図18は本件請求項を制限するものではない。必要に応じて2次元ヘッドは片面のみ用いる場合もある。磁気ヘッド方式の場合のコントローラは図8のようになる。なお図8は本請求項を制限するものではない。
【応用例】
【0028】
本発明を利用した応用例としては、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、顕微鏡、望遠鏡、天体望遠鏡、ピックアップレンズ等が挙げられる。なお、これらは本件で提案するリコンフィギュラブル・イメージセンサの応用例を制限するものではない。
【発明の効果】
【0029】
以上のリコンフィギュラブル・イメージセンサにより、効果的な撮影が可能となり、これまでにない映像配信サービスが実現することができる。リコンフィギュラブル・流体MEMSでは、半導体工場で大規模に行われていたMEMSの製造を卓上サイズのMEMSプラントで実現し、プログラムにより設計試作することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のイメージと、ピクセル密度の異なるイメージ
【図2】提案するイメージセンサの撮影プロセスの説明図
【図3】リコンフィギュラブル・イメージセンサを用いたカメラの構成
【図4】イオン性流体レンズの説明図
【図5】磁性流体ミラーの説明図
【図6】磁性流体ミラーを用いたカメラの構成図
【図7】磁性流体ミラーで用いる偏向コイルの説明図
【図8】2次元磁気ヘッドの説明図
【図9】複眼レンズの説明図
【図10】誘導反発方式の説明図
【図11】2次元静電ヘッド方式の説明図
【図12】2次元静電ヘッド方式の断面図
【図13】2次元静電ヘッド方式のカメラ構成
【図14】流体ミラー及び流体レンズの液面制御の説明図
【図15】マルチフォーカス、マルチズームの説明図
【図16】ミラー方式におけるゆがみ情報の取得方法
【図17】分木構造のデータ構造をもつイメージの説明図
【図18】リコンフィギュラブル・流体MEMSの断面図と上面図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像にゆがみを与えて撮影し、後にゆがみ修正することで座標ごとに異なるピクセル密度を持つイメージを得る撮影方法
【請求項2】
請求項1に関連し、流体レンズ、流体ミラーを用いて映像にゆがみを与える技術
【請求項3】
請求項2の流体レンズの実現方法として、レンズの素材に透過性のイオン性流体を用い、電流と磁界の相互作用により屈折率に変化を与え、透過する映像にゆがみを与える技術。
【請求項4】
請求項2の流体ミラーの実現方法として、ミラーの素材に磁性流体を用い、磁気ヘッドにより反射する映像にゆがみを与える技術。必要に応じて反射率の高い素材で表面処理を行う。
【請求項5】
請求項4に関連し、重力や手ぶれの影響を低減するための永久磁石の導入
【請求項6】
請求項4、5に関連し、2次元の液面制御を行うための偏向コイルの導入
【請求項7】
請求項4に関連し、高精度の2次元の液面制御を行うための2次元磁気ヘッドの導入
【請求項8】
請求項4に関連した、複眼レンズ型磁性流体ミラーのモーションセンサへの利用
【請求項9】
請求項2の流体ミラーの実現方法として、ミラーの素材に導電性流体を用い、誘導反発により液面制御を行い、反射する映像にゆがみを与える技術
【請求項10】
請求項2の流体ミラー及び流体レンズの実現方法として、流体の素材に絶縁性流体や電気的極性をもつ流体を用い、2次元静電ヘッドにより流体を制御することで、ここを透過、反射する映像にゆがみを与える技術。
【請求項11】
請求項2のミラー及びレンズの実現方法として、あらかじめ固定されたゆがみを持つ固体のミラー、レンズを用い、ここを反射、透過する映像にゆがみを与える技術
【請求項12】
パラメータによる定義が可能な自由曲面を液面制御の指令値として用い、2次元のフーリエ級数展開を利用し、走査の際に各座標に与えるべきゆがみを決定し、ゆがみの合成により、最終的に目標のゆがみを得る液面制御法
【請求項13】
ゆがみを補正するためのゆがみ情報の取得方法
【請求項14】
部分的な映像の拡大縮小により生じる明度の差分を補正する技術
【請求項15】
走査する際に複数の映像を撮影し、結合させることで高画質の映像を得る静止画撮影技術
【請求項16】
リコンフィギュラブル・イメージセンサにより撮影された映像の保存方法、及び転送方法。
【請求項17】
リコンフィギュラブル・イメージセンサにより撮影された映像に関連し、視聴者の好みのフォーカス設定、ズーム設定により視聴可能な次世代デジタル放送(MyVision放送)。
【請求項18】
リコンフィギュラブル・イメージセンサにより撮影された映像のディスプレイへの表示方法、及びユーザインターフェース
【請求項19】
リコンフィギュラブル・イメージセンサにより撮影された映像を収集するネットワークカメラ機能
【請求項20】
リコンフィギュラブル・イメージセンサにより撮影されたイメージのデータ構造
【請求項21】
請求項7、請求項10に関連し、流体レンズ、流体ミラーを応用した、リコンフィギュラブル・流体MEMS

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−129411(P2006−129411A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−347571(P2004−347571)
【出願日】平成16年11月1日(2004.11.1)
【出願人】(596071235)
【Fターム(参考)】