説明

リサイクルが容易な多孔体・サテライトナノ粒子複合体及びその製造方法

【課題】回収と繰り返し使用性能に優れ、触媒、抗ウイルス剤、又は坑菌剤として使用できる、環境にやさしい多孔体・サテライトナノ粒子複合体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】多孔体・サテライトナノ粒子複合体は、多孔体10と、多孔体の表面に第1末端21が結合し、第2末端に官能基22を含む分子20と、官能基に結合したサテライトナノ粒子30とを含む。製造方法は、(a)第1溶液に多孔体前駆体を導入して、第2溶液を製造する段階と、(b)第2溶液に、第2末端に官能基を含む分子を導入して、多孔体の外面に分子の第1末端を結合することにより、分子が結合した複合体を含有する第3溶液を製造する段階と、(c)第3溶液にサテライトナノ粒子シードを導入して、分子の第2末端の官能基にサテライトナノ粒子シードを結合する段階と、(d)サテライトナノ粒子シードを成長させる段階を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回収と繰り返し使用性能に優れ、触媒、抗ウイルス剤、又は坑菌剤として使用できる、環境にやさしい多孔体・サテライトナノ粒子複合体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノ粒子は、バルク状態の材料とは異なり、ナノサイズ効果により独特の物理化学的特性を示す。特に、金ナノ粒子や銀ナノ粒子は、サイズがはるかに大きいバルク金属状態のときより、格段に向上した抗菌性、脱臭性、触媒性能を示し、酸化鉄ナノ粒子や半導体ナノ粒子なども坑菌効果があることが知られている。
【0003】
例えば、10nm、50nmサイズの銀ナノ粒子は、B型肝炎を起こすHBV(Hepatitis B Virus)に対する抗菌性及びHBVウイルス粒子の増殖を抑制する効果を発揮することが報告されている(非特許文献1)。
【0004】
また、金ナノ粒子や銀ナノ粒子は、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)を還元剤として用いて芳香族ニトロ化合物を芳香族アミン化合物に還元する反応において優れた触媒効果を発揮することが報告されている(非特許文献2)。
【0005】
一方、シリカ(SiO)、チタニア(TiO)、ジルコニア(ZrO)、アルミナ(Al)などの多孔性ナノ素材は、吸着性能に優れるため、ウイルスやバクテリアを吸着することにより坑菌効果を発揮することが知られており、これを支持体として用いようとする研究が行われている。
【0006】
上記例のナノ粒子は、坑菌剤あるいは触媒としての性能には優れるが、反応終了後にナノ粒子を回収することが難しいことが最も大きな問題であった。回収されずに自然界に排出されるナノ粒子は人体及び環境への有害性が深刻な問題であるため、使用後のナノ粒子の回収はナノ粒子の開発以上に重要な課題である。また、金や銀などの高価な貴金属物質を回収して繰り返し使用することができれば、これによる経済的効果が非常に高いであろう。
【0007】
ナノ粒子の性能が様々な分野で確認されており、かつその使用量が増加する趨勢にあるので、ナノ粒子の性能を実現すると共に効率的に回収してリサイクルする方法も解決しなければならない課題であるが、現在までその解決方法は解明されていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Antiviral Therapy 2008,13,253−262
【非特許文献2】Colloids and Surface A 2002,296,247−257
【非特許文献3】Angewandte Chemie International Edition 2009,48,5875−5879
【非特許文献4】Analytical Chemistry,1995,67,735−743
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、多孔体に対して官能基を含む分子を用いたナノ粒子の効果的な結合、コア・シェル構造などを適用することにより、多孔体表面上の(サテライト)ナノ粒子の特性を効果的に活用して触媒反応又は坑菌反応などに適用できると共に、反応後の回収とリサイクル性能が格段に向上した、触媒、抗ウイルス剤、又は坑菌剤として使用できる、環境にやさしい多孔体・サテライトナノ粒子複合体及びその製造方法を提供することにある。つまり、本発明の目的は、先行研究における問題を解決し、触媒反応又は坑菌反応後に使用済みの複合体を遠心分離又は磁場の付与により全量回収して繰り返し使用できるようにし、環境有害性の問題を解決して経済性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による多孔体・サテライトナノ粒子複合体は、多孔体と、前記多孔体の表面に第1末端が結合し、第2末端に官能基を含む分子と、前記官能基に結合したサテライトナノ粒子とを含み、前記多孔体は、ナノ粒子のクラスタコア及び前記クラスタコアを覆う多孔体シェルからなるコア・シェル構造でもよい。
【0011】
本発明による多孔体・サテライトナノ粒子複合体の製造方法は、(a)第1溶液に多孔体前駆体を導入して、前記多孔体を含有する第2溶液を製造する段階と、(b)前記第2溶液に、第2末端に官能基を含む分子を導入して、前記多孔体の外面に前記分子の第1末端を結合することにより、前記分子が結合した複合体を含有する第3溶液を製造する段階と、(c)前記第3溶液にサテライトナノ粒子シードを導入して、前記分子の第2末端の官能基にサテライトナノ粒子シードを結合する段階と、(d)前記サテライトナノ粒子シードを成長させることにより、多孔体・サテライトナノ粒子複合体を含有する第4溶液を製造する段階と、(e)前記第4溶液から前記多孔体・サテライトナノ粒子複合体を回収する段階とを含み、前記段階(a)の代わりに、ナノ粒子のクラスタを含有する第1溶液に多孔体前駆体を導入して、前記ナノ粒子のクラスタコア及び前記ナノ粒子のクラスタコアを覆う多孔体シェルを含む複合体を含有する第2溶液を製造する段階でもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、磁性体コア及び多孔体シェルの構造を有し、多孔体シェルの表面に結合した分子の官能基によりナノ粒子が均一かつ安定に結合している多孔体・サテライトナノ粒子複合体を、数十nm〜数μmサイズの範囲で効果的に製造することができる。
【0013】
また、本発明によれば、製造された多孔体・サテライトナノ粒子複合体は、多孔体の特性とサテライトナノ粒子の特性を活用して各種有機化学反応で触媒として使用できるだけでなく、ナノ粒子の抗菌性、脱臭性などを利用してウイルス及びバクテリアの捕集と除去にも活用することができる。
【0014】
さらに、本発明によれば、多孔体・サテライトナノ粒子複合体は、遠心分離又は磁場の付与により回収が容易であり、回収後も複合体表面のナノ粒子の物理化学的性質が保存されるので、繰り返し使用が可能な、環境にやさしく経済的な素材を提供する。特に、本発明のコアは、ナノ粒子のクラスタからなるため、磁性に対する即時の反応で容易に回収、リサイクルできるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による多孔体・サテライトナノ粒子複合体の模式図である。
【図2】図2の(a)は磁性ナノ粒子のクラスタと磁性ナノ粒子のクラスタを覆うシリカ多孔体シェルとを含む複合体のTEM画像、図2の(b)は銀サテライトナノ粒子が結合した多孔体・サテライトナノ粒子複合体のTEM画像、図2の(c)は図2の(b)の銀サテライトナノ粒子がさらに成長した多孔体・サテライトナノ粒子複合体のTEM画像である。
【図3】磁性ナノ粒子のクラスタとシリカ多孔体シェルに金サテライトナノ粒子が結合した多孔体・サテライトナノ粒子複合体のTEM画像である。
【図4】銀サテライトナノ粒子が結合した多孔体・サテライトナノ粒子複合体の触媒反応の進行を示す吸光度グラフである。
【図5】回収後のリサイクル時間による400nmの吸光度を測定したグラフである。
【図6】図6の(a)は磁性ナノ粒子のクラスタを含まないシリカ多孔体シェルのTEM画像、図6の(b)は銀サテライトナノ粒子が結合した多孔体・サテライトナノ粒子複合体のTEM画像、図6の(c)は図6の(b)の銀サテライトナノ粒子がさらに成長した多孔体・サテライトナノ粒子複合体のTEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明による多孔体・サテライトナノ粒子複合体は、多孔体と、前記多孔体の表面に第1末端が結合し、第2末端に官能基を含む分子と、前記官能基に結合したサテライトナノ粒子とを含む。直径約500nmの多孔体の表面に数百〜数千個のサテライトナノ粒子が結合していて複合体自体の重量が十分に重いため、低速の遠心分離でも容易に分離して回収することができる。また、気孔が500nmより小さい商用フィルタによっても容易に分離できるので、回収及びリサイクル効率が向上する。
【0017】
前記多孔体は、ナノ粒子のクラスタコア及び前記クラスタコアを覆う多孔体シェルからなるコア・シェル構造でもよい。前記クラスタを構成するナノ粒子は、FeO、Fe、Fe、CoFe、NiFe、MnFe、Fe、Co、Ni、FeCo、及びFePtからなる群から選択される少なくとも1つでもよく、前記ナノ粒子のクラスタコアは、超常磁性を有するものでもよい。図1は、本発明による超常磁性ナノ粒子のクラスタを含む多孔体・サテライトナノ粒子複合体の模式図である。図1の右上部には、官能基を含む分子を用いた多孔体シェルとサテライトナノ粒子の結合関係を拡大して示す。図1に示すように、多孔体・サテライトナノ粒子複合体は、磁性体コア(クラスタコア)11及び多孔体シェル12からなる多孔体10と、多孔体10の表面に結合し、官能基22を含む分子20と、官能基22を介して多孔体10の表面に結合したサテライトナノ粒子30とを含む。多孔体・サテライトナノ粒子複合体は、クラスタの超常磁性により、磁場を付与すると磁石に容易に引き寄せられ、磁場を除去すると溶液中に容易に分散される。本発明においては、このような超常磁性を有するナノ粒子のクラスタをコアとして用いることにより、最終的に製造される多孔体・サテライトナノ粒子複合体が超常磁性を有するようにした。
【0018】
コアとして1つの磁性ナノ粒子を用いた場合、これを覆う多孔体シェルが厚くなければ、多孔体シェルの外部表面積が小さいため十分な数のサテライトナノ粒子の付着が困難であり、多くのサテライトナノ粒子を付着するために多孔体シェルの厚さを増加させると、磁性ナノ粒子が外部磁場に対して反応しないという問題が生じる。よって、本発明においては、コアを磁性ナノ粒子のクラスタで構成した。また、コアとして単一の磁性ナノ粒子を用いた場合は、磁性が非常に弱いため磁場による回収に長時間がかかるのに対して、本発明のように、コアとして磁性ナノ粒子のクラスタを用いた場合は、複合体の磁性が強いため数分以内に磁場による回収を行える。
【0019】
前記ナノ粒子のクラスタコア11のサイズや形状は特に限定されないが、多孔体10に結合されるサテライトナノ粒子30よりは大きい、直径50nm以上1μm以下の球状のものが、磁性を利用する上で好ましい。
【0020】
本発明においては、シリカからなる多孔体シェル12の厚さは特に限定されない。ただし、多孔体シェル12が厚すぎると、磁性に引き寄せられる力が弱くなり、全重量が重くなるので、磁石による回収が難しくなるため、多孔体シェル12は、その厚さが2nm〜1μmであることが好ましい。
【0021】
多孔体10は、シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナ、及びゼオライトからなる群から選択される少なくとも1つでもよい。多孔体10の表面には、官能基22を含む分子20が容易に結合することができ、多孔性による吸着性能向上効果を期待することができる。また、多孔体シェル12は、クラスタコア11を物理的に保護する機能を果たす。
【0022】
多孔体10の表面に結合する、官能基22を含む分子20としては、トリアルコキシシラン誘導体を使用することができるが、炭化水素数が2〜20である炭素鎖の1つの末端に官能基を有し、他の末端がトリアルコキシシランに結合している。従って、ゾルゲル法を用いて多孔体10の表面に容易に結合することができる。多孔体10として、シリカの代わりに、チタニア、ジルコニア、アルミナを使用する場合は、トリアルコキシチタニウム誘導体、トリアルコキシジルコニア誘導体、トリアルコキシアルミナ誘導体を使用して複合体に官能基を提供することができる。前記第2末端の官能基22は、アミノ基、チオール基、及びカルボキシル基からなる群から選択される少なくとも1つでもよい。
【0023】
サテライトナノ粒子30は、前記第2末端の官能基22と多重結合しており、サテライトナノ粒子30同士が当接連結されてネットワークを形成しているものでもよい。官能基22を介して多孔体10の表面に結合したサテライトナノ粒子30は、サイズが1nm以上100nm以下の場合、ナノ粒子の特性を十分に示し、ナノ粒子が成長してネットワークを形成することができる。
【0024】
本発明によるサテライトナノ粒子30は、従来の一般的な高温熱処理により固定されるのではなく、サテライトナノ粒子シード31をシリカの表面に付着させて常温で成長させることによりサテライトナノ粒子30がシリカ表面の有機分子を覆って成長するようにしており、堅固に固定されるため、経済的で工程が簡単であるという利点がある。また、サテライトナノ粒子30をさらに成長させると、ナノ粒子間のネットワークが形成され、シリカの表面から離れない堅固な構造となる。本発明によるサテライトナノ粒子30は、その表面を最大限露出させた構造を有するため、触媒反応に使用することができ、抗ウイルス剤、坑菌剤などとして使用することができる。
【0025】
サテライトナノ粒子30は、金属ナノ粒子、金属酸化物ナノ粒子、又は半導体ナノ粒子でもよい。前記金属ナノ粒子は、Au、Ag、Pt、Pd、Fe、Co、Ni、及びこれらの合金からなる群から選択される少なくとも1つでもよく、前記金属酸化物ナノ粒子は、FeO、Fe、Fe、CoFe、NiFe、MnFe、TiO、ZrO、CeO、Al、及びMgOからなる群から選択される少なくとも1つでもよく、前記半導体ナノ粒子は、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、GaN、GaP、GaAs、InP、及びInAsからなる群から選択される少なくとも1つのナノ粒子、又はこれらの組み合わせからなるコア・シェル構造のナノ粒子でもよい。
【0026】
本発明の核心の1つは、多孔体10の表面に結合したサテライトナノ粒子30が、ほぼ均一なサイズを有し、かつ官能基22に多重結合で結合するだけでなく、ナノ粒子同士が網状構造を形成するため、解離しない安定した構造を有することである。多孔体10の表面に結合したサテライトナノ粒子30は、多孔体・サテライトナノ粒子複合体の最も外側に存在して表面が露出しており、導電性、抗菌性、脱臭性などのナノ粒子固有の物理化学的性質をそのまま示す。従って、多孔体・サテライトナノ粒子複合体は、特定の有機反応で触媒として使用することもでき、坑菌剤又は脱臭剤として使用することもできる。
【0027】
一方、サテライトナノ粒子30は、官能基22を覆うように官能基22に結合するものでもよい。
【0028】
本発明による多孔体・サテライトナノ粒子複合体の製造方法は、(a)第1溶液に多孔体前駆体を導入して、前記多孔体を含有する第2溶液を製造する段階と、(b)前記第2溶液に、第2末端に官能基を含む分子を導入して、前記多孔体の外面に前記分子の第1末端を結合することにより、前記分子が結合した複合体を含有する第3溶液を製造する段階と、(c)前記第3溶液にサテライトナノ粒子シードを導入して、前記分子の第2末端の官能基にサテライトナノ粒子シードを結合する段階と、(d)前記サテライトナノ粒子シードを成長させることにより、多孔体・サテライトナノ粒子複合体を含有する第4溶液を製造する段階と、(e)前記第4溶液から前記多孔体・サテライトナノ粒子複合体を回収する段階とを含むものであるか、又は(a)ナノ粒子のクラスタを含有する第1溶液に多孔体前駆体を導入して、前記ナノ粒子のクラスタコア及び前記ナノ粒子のクラスタコアを覆う多孔体シェルを含む複合体を含有する第2溶液を製造する段階と、(b)前記第2溶液に、第2末端に官能基を含む分子を導入して、前記多孔体シェルの外面に前記分子の第1末端を結合することにより、前記分子が結合した複合体を含有する第3溶液を製造する段階と、(c)前記第3溶液にサテライトナノ粒子シードを導入して、前記分子の第2末端の官能基にサテライトナノ粒子シードを結合する段階と、(d)前記サテライトナノ粒子シードを成長させることにより、多孔体・サテライトナノ粒子複合体を含有する第4溶液を製造する段階と、(e)前記第4溶液から前記多孔体・サテライトナノ粒子複合体を回収する段階とを含むものである。前記多孔体前駆体は、多孔体を製造するために必要な物質であって、ゾルゲル反応によりシリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナ、及びゼオライト多孔体を形成するテトラアルコキシシラン、テトラアルコキシチタニウム、テトラアルコキシジルコニウム、及びテトラアルコキシアルミニウムからなる群から選択される少なくとも1つの前駆体でもよい。
【0029】
本発明による多孔体・サテライトナノ粒子複合体の製造方法は、段階(a)の前に、(a’)前記第1溶液に2つ以上のカルボキシル基を含む物質をさらに導入して、超音波分散処理を施す段階をさらに含んでもよい。前記2つ以上のカルボキシル基を含む物質をさらに導入して分散させた場合、クラスタ同士の過度な凝集現象を防止することができる。
【0030】
段階(d)における前記サテライトナノ粒子シードの成長は、段階(c)を経た溶液に前記サテライトナノ粒子の成分を含む前駆体溶液と還元剤を導入して混合することにより行ってもよく、また、前記サテライトナノ粒子が成長して、近接したサテライトナノ粒子に当接連結されてネットワークを形成するまで、又は前記サテライトナノ粒子が成長して、前記官能基を覆うまで行ってもよい。
【0031】
以下、添付図面を参照して、本発明による多孔体・サテライトナノ粒子複合体の製造方法についてより詳細に説明する。
【0032】
まず、コアを構成する超常磁性ナノ粒子のクラスタとして酸化鉄ナノ粒子のクラスタを選択し、非特許文献3に記載された方法により製造した。酸化鉄ナノ粒子のクラスタは、5〜10nmサイズの小さい酸化鉄ナノ粒子が凝集して全直径約300nmのクラスタとなっているものであって、外部磁場に対して速い反応を示す(50〜80emug−1)。本発明においては、このような磁性体を複合ビーズのコアとして用いることにより、最終的に製造される多孔体・サテライトナノ粒子複合体が磁性を有するようにした。磁性体コアは、前述した酸化鉄ナノ粒子のクラスタに限定されるものではなく、超常磁性を有する粒子であれば本発明の一実施例となり得る。
【0033】
次に、多孔体前駆体としてシリカを選択し、ストーバー法を用いて、前記磁性体コア上にシリカ層を直接成長させることにより、磁性体コア及び多孔体シェルから構成された多孔体を製造した。過剰量のテトラエトキシシラン(TEOS)を用いてシリカシェルを製造した後、磁石を用いて磁性体を覆っているシリカとそうでないシリカとを分離して、磁性体コア及び多孔体シェルから構成された多孔体のみを選別した。図2の(a)のように、製造されたシリカシェルは、約100nmの厚さを有し、磁性体コアを中心に均一に形成されていることが分かる。シリカの代わりに、チタニア、ジルコニア、アルミナ、ゼオライトなどの多孔体シェルを製造する際には、各金属のテトラアルコキシ化合物を使用する。
【0034】
前記のように製造したシリカシェルの表面に、官能基としてアミノ基(−NH)を含むトリアルコキシシラン(3−アミノプロピルトリメトキシシラン)を結合して、シリカシェルの表面にアミノ基が露出するようにした。そして、表面に露出したアミノ基を用いてナノ粒子と多重結合するようにした。本実施例においては、金又は銀ナノ粒子を結合するために、炭化水素数が3(すなわち、図1の符号21のn=3)、かつ分子の末端がアミノ基で構成された分子を使用しているが、炭化水素数は、2〜20の範囲内で変更可能であり、分子の官能基は、アミノ基だけでなく、チオール基(−SH)又はカルボキシル基(−COH)からも選択可能である。
【0035】
アミノ基で置換されている多孔体シェルの表面にナノ粒子を結合するために、約1〜3nmの銀ナノ粒子シードをテトラキスヒドロキシメチルホスホニウムクロリド(THPC)を用いて水溶液中で合成した。THPCは、水溶液中で金イオンや銀イオンを還元する還元剤として作用するだけでなく、合成されたナノ粒子の周囲に負電荷を与えるように囲むことが知られている。従って、THPCにより還元された金又は銀ナノ粒子シードは、表面の負電荷により十分に分散していて、アミノ基などの官能基に出会うと強く結合することができる。本発明者らは、このような性質を利用して、THPCにより還元された金又は銀ナノ粒子シードをアミノ基が結合したシリカシェルの表面に結合した。金又は銀ナノ粒子シードを結合する際に、過剰量の金又は銀ナノ粒子シードを入れて多孔体の表面に過剰量の金又は銀ナノ粒子シードが結合するようにし、多孔体に結合せずに残っている金又は銀ナノ粒子シードは分離して金又は銀ナノ粒子シードが結合した多孔体シェルのみを次の段階で使用した。
【0036】
THPCにより還元された金又は銀ナノ粒子は、そのサイズが非常に小さいため、産業的な利用に限界がある。そこで、本発明者らは、小さい金又は銀ナノ粒子のサイズを大きくするために、シリカシェルの表面に付着しているナノ粒子をシードとして用いて、シードを中心にサテライトナノ粒子を成長させる段階をさらに行った。このために、小さい銀ナノ粒子が付着しているシリカシェルを含む溶液に硝酸銀溶液を混合し、還元剤としてホルムアルデヒドを徐々に入れた。硝酸銀に由来する銀イオンは、1〜3nmの小さい銀ナノ粒子、すなわち銀ナノ粒子シードを中心に成長して大きい銀ナノ粒子に還元された。図2に示すように、最終的に製造される銀サテライトナノ粒子のサイズは、硝酸銀やホルムアルデヒドの量を変更することで調節することができた。
【0037】
使用途中で銀サテライトナノ粒子が複合体の表面で解離するかを確認するために、複合体が分散した溶液を超音波バスで2〜3秒間処理した後、複合体を分離し、濾液を原子吸光分析法(AAS)で分析した結果、銀成分は検出限界(0.2ppm)未満であることが確認された。また、触媒活性実験の結果、多孔体・銀サテライトナノ粒子複合体に含まれる銀ナノ粒子は、20分以内に全ての4−ニトロフェノールを4−アミノフェノールに還元したが、比較実験として、多孔体・銀サテライトナノ粒子複合体を入れることなく同様の条件で反応させた場合は、還元反応が全く進まなかった。反応を終了した複合体を磁石で回収して同じ実験を5回繰り返した結果、複合体は、継続して還元反応を進行させるだけでなく、触媒の活性を正常に維持し、反応速度も最初と同様に維持することが分かった。また、ウイルス除去実験の結果、多孔体・銀サテライトナノ粒子複合体は、個別に存在する銀ナノ粒子と類似したウイルス除去効果を発揮しながらも、回収及びリサイクルが可能であり、環境にやさしく経済的な複合素材であることを確認した。このように、本発明は、前記多孔体・サテライトナノ粒子複合体を含む触媒と坑菌もしくは抗ウイルス性複合体を提供する。本発明による触媒と坑菌もしくは抗ウイルス性複合体を使用した場合、触媒反応又は坑菌反応後に磁場を与えるか遠心分離をすることにより、多孔体・サテライトナノ粒子複合体を容易に回収することができる。
【実施例】
【0038】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、実施例は本発明をより明確にするためのものであり、本発明を限定するものではない。
【0039】
実施例1:磁性体コア、多孔体シェル、及び多孔体シェルの表面に銀サテライトナノ粒子が結合した多孔体・銀サテライトナノ粒子複合体の製造
(1)第1段階:超常磁性ナノ粒子のクラスタからなるコアの製造
磁性体コアは、非特許文献3に記載された方法により、FeCl(0.65g,4.0mmol)とクエン酸三ナトリウム(0.20g,0.68mmol)をエチレングリコール20mlに溶解し、酢酸ナトリウム(1.20g)を添加して30分間攪拌した。この溶液をオートクレーブに移して密封し、200℃のオーブンで14時間反応させることにより、超常磁性ナノ粒子のクラスタからなるコアを製造した。この溶液を常温に冷却した後、クラスタをエタノールと蒸留水で1回ずつ洗浄し、磁石で集めてエタノール20mlに分散させた。
【0040】
(2)第2段階:磁性体コア・多孔体シェル(複合体)の合成
第1段階で製造したコア20mlのうち5mlを取り、エタノールを追加して0.5リットルにした。これに蒸留水50ml、クエン酸三ナトリウム0.225gを追加して攪拌し、10分間超音波バスで処理した。これに濃アンモニア水15mlを追加して1時間攪拌した後、TEOS 22.5mlを添加して20℃で14時間攪拌することにより、磁性体コア及び多孔体シェルからなる多孔体(複合体)を製造した。この溶液を遠心分離し、沈殿物をエタノールと水で洗浄した後、再び磁石で分離し、エタノール20mlに分散させた。製造された磁性体コア・多孔体シェル(複合体)のTEM画像を図2の(a)に示した。
【0041】
(3)第3段階:磁性体コア・多孔体シェルの表面への官能基(アミノ基)の結合
磁性体コア・多孔体シェルの表面をアミノ基で置換するために、第2段階で製造された磁性体コア・多孔体シェルを全て100mlのエタノールに分散させた後、3mlの濃アンモニア溶液、3mlの蒸留水、そして0.011mlのアミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)を加えて12時間攪拌した。反応が終了した後、磁石回収方法を用いてエタノールで5回洗浄した後、エタノール20mlに分散させた。
【0042】
(4)第4段階:磁性体コア・多孔体シェルの表面への銀ナノ粒子の結合
銀ナノ粒子シードは、1mlのAgNO(1wt/v%)溶液と5mlのNaOH溶液(0.1M)を45mlの水中に入れて攪拌し、これに0.012mlのTHPC(80wt%)を徐々に混合して製造した。銀ナノ粒子シード溶液全体から20mlを取り、5mlのアミノ基が結合した磁性体コア・多孔体シェルと混合することにより、銀ナノ粒子シードを多孔体(シリカ)シェル表面のアミノ基に結合させた。結合せずに残っている銀ナノ粒子シードは、磁石回収方法により分離して廃棄した。小さい銀ナノ粒子シードをさらに成長させるために、50mlのAgNO溶液(0.01wt/v%)中に銀ナノ粒子シードが結合した磁性体コア・多孔体シェル溶液5mlを入れて攪拌した。2つの溶液を十分に混合した後、0.1mlのホルムアルデヒドを入れ、銀ナノ粒子シードをさらに成長させた。最終的に製造された多孔体・銀サテライトナノ粒子複合体のTEM画像を図2の(b)に示したが、銀サテライトナノ粒子のサイズは5〜10nmであった。図2の(c)は、図2の(b)よりも銀ナノ粒子をさらに大きく成長させたものであって、200mlのAgNO溶液(0.01wt/v%)と0.2mlのホルムアルデヒドを用いて得られたものであり、製造された銀ナノ粒子は約30nmであった。製造された多孔体・銀サテライトナノ粒子複合体は、5mlの蒸留水にそれぞれ分散させ、下記のように触媒活性実験及びウイルス除去実験を行った。
【0043】
第4段階で製造した多孔体・銀サテライトナノ粒子複合体に対して、磁性を有する多孔性複合ビーズ表面の官能基と銀ナノ粒子間の結合安定性を2回調べた。5回以上十分に洗浄した多孔体・銀サテライトナノ粒子複合体を蒸留水に分散させ、2〜3秒間超音波バスで処理した。この溶液に磁石を当てて多孔体・銀サテライトナノ粒子複合体を集め、濾液を取って原子吸光分析法で元素分析を実施した結果、銀成分は検出限界(0.2ppm)未満であった。さらに、これに対してICP分析を実施した結果、23ppbと26ppbであって、飲料水基準にも合格する数値であった。従って、本発明の複合体は、ナノ粒子を環境に全く放出せず、回収と繰り返し使用が可能な、環境にやさしく経済的な複合素材であることが確認された。
【0044】
実施例2:磁性体コア、多孔体シェル、及び多孔体シェルの表面に金サテライトナノ粒子が結合した多孔体・金サテライトナノ粒子複合体の製造
実施例1の第1段階〜第3段階を同様に行い、金サテライトナノ粒子を第4段階と同様の方法で磁性体コア・多孔体シェルの表面に結合した。金ナノ粒子シードは、2mlのHAuCl・4HO(2wt/v%)溶液と5mlのNaOH溶液(0.1M)を45mlの水中に入れて攪拌し、これに0.012mlのTHPC(80wt%)を徐々に混合して製造した。製造された全溶液のうち20mlの金ナノ粒子シード溶液と2mlのアミノ基が結合した磁性体コア・多孔体シェルを混合することにより、小さい金ナノ粒子シードをシリカシェル表面のアミノ基に結合させた。磁性体コア・多孔体シェルの表面にある金ナノ粒子シードは、20mlのHAuCl・4HO(0.01wt/v%)と0.05mlのホルムアルデヒドを加えて攪拌することにより、さらに大きい金ナノ粒子(〜5nm)に成長したが、図3にそのTEM画像を示した。
【0045】
実施例3:磁性体コアが含まれないシリカ多孔体・銀サテライトナノ粒子複合体の製造
実施例1の第1段階及び第2段階を省略し、シリカビーズに対して第3段階及び第4段階を行うことにより、磁性体コアが含まれないシリカビーズの表面に銀ナノ粒子を結合させた。
【0046】
シリカビーズは、ストーバー法を用いて製造したが、エタノール500mlに蒸留水50mlと濃アンモニア水15mlを追加して1分間攪拌した後、TEOS60mlを添加して20℃で15時間攪拌して製造した。反応が終了した後、シリカビーズは、エタノールで3回洗浄した後、エタノール1000mlに分散させた。合成されたシリカビーズのサイズは〜480nmであることをTEM画像から確認し、これを図6の(a)に示した。
【0047】
銀ナノ粒子をシリカビーズの表面に付着するために、実施例1の第3段階と同様の方法でシリカビーズの表面にアミノ基を結合させた。このために、合成したシリカビーズのうち500mlを取り、これに蒸留水50mlと濃アンモニア水15mlを追加して1分間攪拌した後、APTMSを添加して20℃で15時間攪拌した。このような方法でアミノ基が結合したシリカビーズをエタノールで3回洗浄した後、エタノール85mlに分散させた。
【0048】
最後に、実施例1の第4段階と同様の方法で、アミノ基が結合したシリカビーズの表面に銀ナノ粒子を結合することにより、シリカビーズ・銀サテライトナノ粒子複合体を製造した。銀ナノ粒子シード溶液10mlを取り、1mlのアミノ基が結合したシリカビーズと混合することにより、銀ナノ粒子シードをシリカビーズ表面のアミノ基に結合させた。結合せずに残っている銀ナノ粒子シードは、遠心分離方法により分離して廃棄した。小さい銀ナノ粒子シードをさらに成長させるために、50mlのAgNO溶液(0.01wt/v%)中に銀ナノ粒子シードが結合したシリカビーズ溶液1mlを入れて攪拌した。2つの溶液を十分に混合した後、0.02mlのホルムアルデヒドを入れ、銀ナノ粒子シードをさらに成長させた。最終的に製造されたシリカビーズ・銀サテライトナノ粒子複合体のTEM画像を図6の(b)に示したが、銀ナノ粒子のサイズは5〜10nmであった。図6の(c)は、図6の(b)よりも銀ナノ粒子をさらに大きく成長させたものであって、200mlのAgNO溶液(0.01wt/v%)と0.08mlのホルムアルデヒドを用いて得られたものであり、製造された銀ナノ粒子のサイズは約30nmであった。
【0049】
実施例1の多孔体・銀サテライトナノ粒子複合体の触媒活性実験
触媒活性実験は、2mlの4−ニトロフェノール溶液(0.2mM)に0.2mlの水素化ホウ素ナトリウム溶液(30mM)を入れ、0.1mlの多孔体・銀サテライトナノ粒子複合体(図2の(b))を触媒として入れて十分に振盪した後、UVで観察した。UVスペクトルは2分毎に記録し、反応が完全に終了した後に多孔体・銀サテライトナノ粒子複合体を磁石で回収し、同一条件の反応に5回まで繰り返し使用した。図4は、多孔体・銀サテライトナノ粒子複合体が最初に用いられたときの反応の進行状態を示す。400nmでの吸光ピークは、ニトロフェニルのニトロ基によるものであるが、時間が経過することにより還元反応が進んで吸光強度が減少するのに対して、還元により生成されたアミノ基による290nmの吸光強度は増加することが分かる。前記実験条件では、20分以内に全ての4−ニトロフェノールが4−アミノフェノールに還元されることが観察されたが、比較実験として、多孔体・銀サテライトナノ粒子複合体を入れることなく同様の条件で反応させた結果、還元反応が全く進まないことが観察された。図5は、時間による400nmの吸光度を測定して触媒反応の反応速度を示すグラフであり、多孔体・銀サテライトナノ粒子複合体が触媒として5回まで繰り返し使用されても、反応速度が減少せず、依然として反応を完了できることを示す。
【0050】
実施例1の多孔体・銀サテライトナノ粒子複合体のウイルス除去実験
平均30nmサイズの銀ナノ粒子が結合している多孔体・銀サテライトナノ粒子複合体のウイルス除去性能を調べるために、蒸留水1ml当たり1×10個の複合体が分散した溶液を製造した(試料1)。比較用として、平均40nmサイズの銀ナノ粒子を非特許文献4に記載された方法により合成し、蒸留水1ml当たり5×1010個の銀ナノ粒子が分散した溶液を製造した(試料2)。4つの試験管に植物性ウイルスであるバクテリオファージMS2(1011PFU/ml)溶液0.5mlを入れ、そのうち2つの試験管には試料1を0.5mlずつ入れ、残りの2つの試験管には試料2を0.5mlずつ入れて、25℃でそれぞれ5分間と30分間振盪した。所定の時間に磁石を試験管に当てて複合体を集め、濾液に残っているウイルスの量を分析した。銀ナノ粒子の場合は、遠心分離を利用してナノ粒子を沈殿させ、濾液に残っているウイルスの量を分析した。各試料の濾液中に残っているウイルスの量を下記表1にlog reductionで示した。5分経過後も30分経過後も、試料1の方が試料2よりも優れた除去性能を示した。さらに、複合体試料1は、回収と繰り返し使用が可能な点を考慮するとはるかに優れた素材として評価される。
【0051】
【表1】

【0052】
以上、本発明をいくつかの実施例を中心に説明したが、これらは例示に過ぎず、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0053】
10 クラスタコア及び多孔体シェルからなるコア・シェル構造の多孔体
11 超常磁性ナノ粒子のクラスタコア(磁性体コア)
12 多孔体シェル
20 官能基を含む分子
21 n=2〜20の炭化水素鎖
22 官能基
30 サテライトナノ粒子
31 サテライトナノ粒子シード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔体と、
前記多孔体の表面に第1末端が結合し、第2末端に官能基を含む分子と、
前記官能基に結合したサテライトナノ粒子と
を含む、多孔体・サテライトナノ粒子複合体。
【請求項2】
前記多孔体は、ナノ粒子のクラスタコア及び前記クラスタコアを覆う多孔体シェルからなるコア・シェル構造である、請求項1に記載の多孔体・サテライトナノ粒子複合体。
【請求項3】
前記クラスタを構成するナノ粒子は、FeO、Fe、Fe、CoFe、NiFe、MnFe、Fe、Co、Ni、FeCo、及びFePtからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項2に記載の多孔体・サテライトナノ粒子複合体。
【請求項4】
前記ナノ粒子のクラスタコアは、超常磁性を有するものである、請求項2に記載の多孔体・サテライトナノ粒子複合体。
【請求項5】
前記ナノ粒子のクラスタコアは、直径50nm以上1μm以下の球状のものである、請求項2に記載の多孔体・サテライトナノ粒子複合体。
【請求項6】
前記多孔体シェルは、その厚さが2nm〜1μmである、請求項2に記載の多孔体・サテライトナノ粒子複合体。
【請求項7】
前記多孔体は、シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナ、及びゼオライトからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の多孔体・サテライトナノ粒子複合体。
【請求項8】
前記分子は、2〜20個の炭化水素鎖を含み、前記第2末端の官能基は、アミノ基、チオール基、及びカルボキシル基からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の多孔体・サテライトナノ粒子複合体。
【請求項9】
前記サテライトナノ粒子は、前記第2末端の官能基と多重結合しており、前記サテライトナノ粒子同士が当接連結されてネットワークを形成しているものである、請求項1に記載の多孔体・サテライトナノ粒子複合体。
【請求項10】
前記サテライトナノ粒子は、そのサイズが1nm〜100nmである、請求項1に記載の多孔体・サテライトナノ粒子複合体。
【請求項11】
前記サテライトナノ粒子は、金属ナノ粒子、金属酸化物ナノ粒子、又は半導体ナノ粒子である、請求項1に記載の多孔体・サテライトナノ粒子複合体。
【請求項12】
前記金属ナノ粒子は、Au、Ag、Pt、Pd、Fe、Co、Ni、及びこれらの合金からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項11に記載の多孔体・サテライトナノ粒子複合体。
【請求項13】
前記金属酸化物ナノ粒子は、FeO、Fe、Fe、CoFe、NiFe、MnFe、TiO、ZrO、CeO、Al、及びMgOからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項11に記載の多孔体・サテライトナノ粒子複合体。
【請求項14】
前記半導体ナノ粒子は、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、GaN、GaP、GaAs、InP、及びInAsからなる群から選択される少なくとも1つのナノ粒子、又はこれらの組み合わせからなるコア・シェル構造のナノ粒子である、請求項11に記載の多孔体・サテライトナノ粒子複合体。
【請求項15】
前記サテライトナノ粒子は、前記官能基を覆うように前記官能基に結合するものである、請求項1に記載の多孔体・サテライトナノ粒子複合体。
【請求項16】
(a)第1溶液に多孔体前駆体を導入して、前記多孔体を含有する第2溶液を製造する段階と、
(b)前記第2溶液に、第2末端に官能基を含む分子を導入して、前記多孔体の外面に前記分子の第1末端を結合することにより、前記分子が結合した複合体を含有する第3溶液を製造する段階と、
(c)前記第3溶液にサテライトナノ粒子シードを導入して、前記分子の第2末端の官能基にサテライトナノ粒子シードを結合する段階と、
(d)前記サテライトナノ粒子シードを成長させることにより、多孔体・サテライトナノ粒子複合体を含有する第4溶液を製造する段階と、
(e)前記第4溶液から前記多孔体・サテライトナノ粒子複合体を回収する段階と
を含む、多孔体・サテライトナノ粒子複合体の製造方法。
【請求項17】
(a)ナノ粒子のクラスタを含有する第1溶液に多孔体前駆体を導入して、前記ナノ粒子のクラスタコア及び前記ナノ粒子のクラスタコアを覆う多孔体シェルを含む複合体を含有する第2溶液を製造する段階と、
(b)前記第2溶液に、第2末端に官能基を含む分子を導入して、前記多孔体シェルの外面に前記分子の第1末端を結合することにより、前記分子が結合した複合体を含有する第3溶液を製造する段階と、
(c)前記第3溶液にサテライトナノ粒子シードを導入して、前記分子の第2末端の官能基にサテライトナノ粒子シードを結合する段階と、
(d)前記サテライトナノ粒子シードを成長させることにより、多孔体・サテライトナノ粒子複合体を含有する第4溶液を製造する段階と、
(e)前記第4溶液から前記多孔体・サテライトナノ粒子複合体を回収する段階と
を含む、多孔体・サテライトナノ粒子複合体の製造方法。
【請求項18】
段階(a)の前に、
(a’)前記第1溶液に2つ以上のカルボキシル基を含む物質をさらに導入して、超音波分散処理を施す段階をさらに含む、請求項17に記載の多孔体・サテライトナノ粒子複合体の製造方法。
【請求項19】
段階(d)における前記サテライトナノ粒子シードの成長は、
段階(c)を経た溶液に前記サテライトナノ粒子の成分を含む前駆体溶液と還元剤を導入して混合することにより行う、請求項16又は17に記載の多孔体・サテライトナノ粒子複合体の製造方法。
【請求項20】
段階(d)における前記サテライトナノ粒子シードの成長は、
前記サテライトナノ粒子が成長して、近接したサテライトナノ粒子に当接連結されてネットワークを形成するまで行う、請求項16又は17に記載の多孔体・サテライトナノ粒子複合体の製造方法。
【請求項21】
段階(d)における前記サテライトナノ粒子シードの成長は、
前記サテライトナノ粒子が成長して、前記官能基を覆うまで行う、請求項16又は17に記載の多孔体・サテライトナノ粒子複合体の製造方法。
【請求項22】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の多孔体・サテライトナノ粒子複合体を含む触媒。
【請求項23】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の多孔体・サテライトナノ粒子複合体を含む坑菌又は抗ウイルス性複合体。
【請求項24】
請求項2〜6のいずれか1項に記載の多孔体・サテライトナノ粒子複合体を使用して触媒反応又は坑菌反応させた後、磁場を与えることにより、前記多孔体・サテライトナノ粒子複合体を回収する、多孔体・サテライトナノ粒子複合体の回収方法。
【請求項25】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の多孔体・サテライトナノ粒子複合体を使用して触媒反応又は坑菌反応させた後、遠心分離することにより、前記多孔体・サテライトナノ粒子複合体を回収する、多孔体・サテライトナノ粒子複合体の回収方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−219095(P2012−219095A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−27289(P2012−27289)
【出願日】平成24年2月10日(2012.2.10)
【出願人】(304039548)コリア・インスティテュート・オブ・サイエンス・アンド・テクノロジー (36)
【Fターム(参考)】