説明

リサイクル原料のサンプリング装置、リサイクル原料のサンプリング方法及びリサイクル原料の評価用サンプル

【課題】リサイクル原料から評価用サンプルを効率的に採取でき、かつ、均一な評価用サンプルを採取して正確な評価を行うことが可能なリサイクル原料のサンプリング装置、サンプリング方法及び評価用サンプルを提供する。
【解決手段】リサイクル原料から評価用サンプルを採取するためのリサイクル原料のサンプリング装置10であって、リサイクル原料の破砕物を貯留する1次貯留槽30と、1次貯留槽30から供給された破砕物を縮分する1次縮分機41と、縮分された破砕物を粉砕する粉砕機43と、粉砕物を貯留する2次貯留槽45と、2次貯留槽45から供給された粉砕物を縮分する2次縮分機47と、を備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば金、銀、銅といった貴金属等の有価物を含有したリサイクル原料の分析評価を行う際に用いられるリサイクル原料のサンプリング装置、リサイクル原料のサンプリング方法及びリサイクル原料の評価用サンプルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器等に使用される電子基板、フレキシブル基板、ICチップ、携帯電話等には、金、銀、銅、パラジウム等が含有されている。また、写真用フィルム、映画用フィルム、レントゲンフィルム及び印画紙等には、銀が含まれている。
そこで、これら電子基板、ICチップ、携帯電話、フレキシブル基板、フィルム及び印画紙等の廃棄物をリサイクル原料として再利用することが提案されている。例えば、前述の廃棄物をロータリーキルン炉等において燃焼して燃焼灰とし、この燃焼灰を銅製錬炉等に投入し、銅製錬の過程で、前述の有価金属を回収することが行われている。
【0003】
電子基板、ICチップ、携帯電話、フレキシブル基板、フィルム及び印画紙等のリサイクル原料においては、リサイクル原料中に含まれる有価金属の含有量によって取引価格が決定されることになる。ここで、リサイクル原料から評価用サンプルを採取する作業を人間が手作業で行った場合には、評価用サンプルを採取する際に有価金属が濃化した部分や有価金属を含まない部分を選別して採取するおそれがあるため、リサイクル原料を正しく評価できないことがあった。よって、リサイクル原料を納品する側の評価と、リサイクル原料を受け入れる側の評価とに乖離が生じてしまうおそれがあった。
【0004】
そこで、リサイクル原料から自動的に評価用サンプルを得るためのサンプリング装置及びサンプリング方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、リサイクル原料を破砕機によって粒度20mm以下に破砕して一次サンプルを採取し、この一次サンプルをマイクロナイザで粒度2mm以下に粉砕し、混合・縮分して評価用サンプルを得る方法が提案されている。
また、特許文献2には、リサイクル原料を破砕機で破砕して一次破砕物とし、この一次破砕物をさらに破砕機で破砕して二次破砕物とし、この二次破砕物を篩に掛けて30mmより大きい破砕物を選別し、この破砕物を再度破砕機で破砕することによって、30mm以下の破砕物をサンプルとして採取する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−106962号公報
【特許文献2】特開2008−152217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載されたサンプリング方法においては、リサイクル原料の全量を破砕機で破砕した上でさらにマイクロナイザで粒度2mm以下に粉砕し、その後、縮分を行っている。よって、リサイクル原料の全量を2mm以下にまで粉砕することになるため、粉砕設備に過大な負荷が作用することになり、サンプリング作業を効率的に行うことができなかった。また、2mm以下にまで粉砕することによって微細な粉塵等が発生し、粉塵を回収する回収装置を設ける必要があった。さらに、リサイクル原料が破砕機に投入され、この破砕機から排出された一次サンプルがそのままマイクロナイザで粉砕された後、一度の混合だけで縮分されるため、得られた粉砕物がリサイクル原料における有価金属の偏在状況の影響を受けることになり、リサイクル原料全体を正しく評価できないおそれがあった。よって、リサイクル原料を納品する側の評価と、リサイクル原料を受け入れる側の評価とに乖離が生じてしまうおそれがあった。
【0007】
また、特許文献2に記載されたサンプリング方法においては、二次破砕物を篩に掛けて30mmより大きい破砕物をさらに破砕して30mm以下の破砕物とし、この破砕物からサンプリング装置によって評価用サンプルを採取しているので、リサイクル原料の全量を30mm以下にまで破砕することになり、サンプリング作業を効率的に行うことができなかった。また、二次破砕物をそのままの状態で縮分して評価用サンプルを採取しているので、得られた評価用サンプルがリサイクル原料における有価金属の偏在状況の影響を受けることになり、リサイクル原料全体を正しく評価できないおそれがあった。よって、リサイクル原料を納品する側の評価と、リサイクル原料を受け入れる側の評価とに、手動サンプリングほどではないが、乖離が生じてしまうおそれがあった。
【0008】
本発明は、前述した状況に鑑みてなされたものであって、リサイクル原料から評価用サンプルを効率的に採取でき、かつ、リサイクル原料の全体から均一な評価用サンプルを採取して正確な評価を行うことが可能なリサイクル原料のサンプリング装置、リサイクル原料のサンプリング方法及びこのサンプリング方法によってサンプリングされたリサイクル原料の評価用サンプルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を解決するために、本発明に係るリサイクル原料のサンプリング装置は、リサイクル原料から評価用サンプルを採取するためのリサイクル原料のサンプリング装置であって、前記リサイクル原料の破砕物を貯留する1次貯留槽と、該1次貯留槽から供給された前記破砕物を縮分する1次縮分機と、縮分された前記破砕物を粉砕する粉砕機と、この粉砕機で生成された粉砕物を貯留する2次貯留槽と、該2次貯留槽から供給された前記粉砕物を縮分する2次縮分機と、を備えていることを特徴としている。
【0010】
この構成のリサイクル原料のサンプリング装置においては、破砕物を縮分する1次縮分機と、縮分された破砕物を粉砕する粉砕機と、を備えているので、リサイクル原料の全量を粉砕する必要がなく、サンプリング作業を効率的に行うことが可能となるとともに、粉砕機への負荷を軽減することができる。
また、リサイクル原料の破砕物を貯留する1次貯留槽を備えているので、1次縮分機においてリサイクル原料全体から均一な破砕物を得ることができる。
さらに、2次縮分機の前段に、粉砕物を貯留する2次貯留槽を備えているので、2次縮分機においてリサイクル原料全体から均一な粉砕物を得ることができる。
【0011】
ここで、前記1次貯留槽には、貯留された前記破砕物を混合する攪拌機と、貯留された前記破砕物を一定量ずつ前記1次縮分機へと供給する定量供給機と、が設けられ、前記2次貯留槽には、貯留された前記粉砕物を混合する攪拌機と、貯留された前記粉砕物を一定量ずつ前記2次縮分機へと供給する定量供給機と、が設けられていることが好ましい。
この場合、1次貯留槽に、前記破砕物を攪拌混合する攪拌機が設けられているので、1次貯留槽内において前記破砕物を十分に混合することができ、1次縮分機においてリサイクル原料全体から均一な破砕物を得ることができる。さらに、この1次貯留槽が定量供給機を備えているので、1次縮分機における縮分処理を円滑に行うことができる。
また、2次貯留槽に、前記粉砕物を攪拌混合する攪拌機が設けられているので、2次貯留槽内において前記粉砕物を十分に混合することができ、2次縮分機においてリサイクル原料全体から均一な粉砕物を得ることができる。さらに、この2次貯留槽が定量供給機を備えているので、2次縮分機における縮分処理を円滑に行うことができる。
【0012】
また、前記1次貯留槽の前段側に、前記リサイクル原料を破砕する破砕機が設けられていることが好ましい。
この場合、リサイクル原料を破砕して破砕物を生成し、この破砕物を1次貯留槽において攪拌混合することができ、リサイクル原料を一貫して処理することが可能となる。
【0013】
また、前記破砕機は、ロータ式の一軸破砕機とされており、前記破砕物の排出部に、所定寸法以下の前記破砕物が通過可能な分級スクリーンが設けられていることが好ましい。
この場合、破砕機がロータ式の一軸破砕機とされているので、リサイクル原料を効率的に破砕することができる。また、破砕物の排出部に所定寸法以下(例えば50mm×50mm以下)の前記破砕物が通過可能な分級スクリーンが設けられているので、所定寸法よりも大きなサイズの破砕物が1次貯留槽側へと混入することが防止され、後段の1次貯留槽において攪拌混合を効率的に行うことができる。
【0014】
さらに、前記粉砕機は、ハンマー式の一軸粉砕機とされており、前記粉砕物の排出部に、所定寸法以下の前記粉砕物が通過可能な分級スクリーンが設けられていることが好ましい。
この場合、粉砕機がハンマー式の一軸粉砕機とされているので、前記破砕物を効率的に粉砕することができる。また、粉砕物の排出部に所定寸法以下例えば20mm×20mm以下)の前記粉砕物が通過可能な分級スクリーンが設けられているので、所定寸法よりも大きなサイズの粉砕物が2次貯留槽側へと混入することが防止され、後段の2次貯留槽において攪拌混合を効率的に行うことができる。なお、40mm×40mm以下であれば、評価用サンプルとして使用することが可能である。
【0015】
また、前記1次貯留槽の前段側に、前記リサイクル原料の前記破砕物を供給する破砕物供給部を備えていることが好ましい。
この場合、既に破砕処理されたリサイクル原料においても、1次貯留槽において攪拌混合することが可能となり、均一な評価用サンプルを採取することができる。
【0016】
さらに、前記1次貯留槽及び前記2次貯留槽の攪拌機に、ゴム製のライニング部材が装着されていることが好ましい。
この場合、破砕物や粉砕物が前記1次貯留槽及び前記2次貯留槽内に残留することを抑制でき、リサイクル原料のロット切替の際の清掃時間の短縮を図ることができる。
【0017】
また、前記1次縮分機及び前記2次縮分機において排出された前記破砕物及び前記粉砕物を減容処理する減容機を備えていることが好ましい。
例えば、リサイクル原料がフィルム等であった場合には、嵩比重が小さく、その後の焼却処理等の効率が低下してしまうことになる。そこで、これらのリサイクル原料の減容処理を行うことによって、その後の焼却処理等の効率を大幅に向上させることができる。すなわち、このサンプリング装置において、リサイクル原料の前処理も行うことができるのである。
【0018】
また、前記2次縮分機の後段側に、さらに粉砕機、貯留槽及び縮分機が、設けられていてもよい。
リサイクル原料の性状等を考慮して、粉砕機、貯留槽及び縮分機をさらに設けることによって、破砕や粉砕を効率的に行うことができる。また、さらに粒径の小さな評価用サンプルを得ることも可能である。
【0019】
本発明に係るリサイクル原料のサンプリング方法は、リサイクル原料から評価用サンプルを採取するためのリサイクル原料のサンプリング方法であって、前記リサイクル原料の破砕物を貯留するとともに、貯留された前記破砕物を攪拌混合する1次混合工程と、攪拌混合された前記破砕物を縮分する1次縮分工程と、縮分された前記破砕物を粉砕する粉砕工程と、この粉砕工程で生成された粉砕物を貯留するとともに、貯留された前記粉砕物を攪拌混合する2次混合工程と、攪拌混合された前記粉砕物を縮分する2次縮分工程と、を備えていることを特徴としている。
この構成のリサイクル原料のサンプリング方法によれば、リサイクル原料全体から均一な評価用サンプルを得ることができる。また、リサイクル原料の全量を粉砕処理しないため、評価用サンプルを効率的に採取することができる。
【0020】
ここで、前記1次混合工程の前段に、前記リサイクル原料を破砕する破砕工程を備えていることが好ましい。
この場合、破砕工程によって破砕物を得ることが可能となり、リサイクル原料の一貫処理を行うことができる。
【0021】
また、前記リサイクル原料の破砕物を供給する破砕物供給工程を備えていることが好ましい。
この場合、既に破砕処理されたリサイクル原料においても、1次混合工程において攪拌混合することが可能となり、均一な評価用サンプルを採取することができる。
【0022】
さらに、本発明に係るリサイクル原料の評価用サンプルは、前述のリサイクル原料のサンプリング方法によってサンプリングされたことを特徴としている。
この評価用サンプルによれば、リサイクル原料の正確な評価を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、リサイクル原料から評価用サンプルを効率的に採取でき、かつ、リサイクル原料の全体から均一な評価用サンプルを採取して正確な評価を行うことが可能なリサイクル原料のサンプリング装置、リサイクル原料のサンプリング方法及びこのサンプリング方法によってサンプリングされたリサイクル原料の評価用サンプルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態であるリサイクル原料のサンプリング装置の概略説明図である。
【図2】図1に示すリサイクル原料のサンプリング装置に備えられた一軸破砕機の模式図である。
【図3】図1に示すリサイクル原料のサンプリング装置に備えられた1次貯留槽の模式図である。
【図4】本発明の実施形態であるリサイクル原料のサンプリング方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の実施形態について添付した図面を参照にして説明する。図1に、本発明の実施形態であるリサイクル原料のサンプリング装置を示す。
ここで、本実施形態であるリサイクル原料のサンプリング装置において処理されるリサイクル原料としては、例えば、プリント基板、フレキシブル基板、ICチップ、携帯電話、フィルム、印画紙等が挙げられる。これらのリサイクル原料は、金、銀、銅等の有価金属を含有しており、有価金属の含有量によってリサイクル原料自体の価値が決定されることになる。
【0026】
図1に示すリサイクル原料のサンプリング装置10は、リサイクル原料を破砕する破砕機20と、破砕物を移送する第1ベルトコンベア11及び第2ベルトコンベア12と、リサイクル原料の破砕物を貯留する1次貯留槽30と、1次貯留槽30から供給される破砕物を移送する第3ベルトコンベア13と、移送された破砕物を縮分する1次縮分機41と、縮分された破砕物を粉砕する粉砕機43と、この粉砕機43で生成された粉砕物を移送する第4ベルトコンベア14と、この粉砕物を貯留する2次貯留槽45と、2次貯留槽45から供給された粉砕物を縮分する2次縮分機47と、縮分された粉砕物(評価用サンプル)を回収するサンプル回収部49と、を備えている。
【0027】
ここで、本実施形態においては、第1ベルトコンベア11の上方に、外部で破砕されたリサイクル原料の破砕物を供給する破砕物供給部51が設けられている。
さらに、1次縮分機41から排出される破砕物及び2次縮分機47から排出される粉砕物を回収する第6ベルトコンベア16と、これら破砕物及び粉砕物を貯留する貯留槽55と、この貯留槽55から供給される破砕物及び粉砕物を減容処理する減容機57と、減容機57で減容処理された減容品を移送するベルトコンベア58と、減容品をストックする減容品ヤード59と、が設けられている。
また、減容処理できない基板等は、第6ベルトコンベア16が逆転して、第7ベルトコンベア17及び第8ベルトコンベア18を経由してトラックに輸送される。
【0028】
破砕機20は、ロータ式の一軸破砕機とされており、外周面に超硬合金からなる切刃22が設けられた回転ローラ21と、投入されたリサイクル原料を回転ローラ21へと押し付けるプッシャー24と、を備えている。また、回転ローラ21の下方に設けられた排出部27には、所定寸法以下(本実施形態では50mm×50mm以下)の破砕物が通過可能な分級スクリーン25が配設されている。
【0029】
1次貯留槽30は、図3に示すように、破砕物が貯留される槽本体31と、槽本体31の底部側に設けられた攪拌機34と、槽本体31から破砕物を一定量ずつ排出するスクリュー式の定量供給機37と、を備えている。また、槽本体31において、攪拌機34の下部には、ゴム製のライニング部材32が装着されている。本実施形態では、槽本体31の容量は10mとされている。
【0030】
1次縮分機41は、いわゆるカットバケット式の縮分機であって、一定間隔をおいて配設されたバケットが一定速度で移動されており、バケット内に落下した破砕物が粉砕機43へと供給され、バケット外に落下した破砕物が第6ベルトコンベア16によって回収される構成とされている。
【0031】
粉砕機43は、ハンマー式の一軸粉砕機とされており、刃が装着されたローターブロックを破砕物に衝突させて粉砕するものである。この粉砕機43の排出部には、所定寸法以下(本実施形態では20mm×20mm以下)の粉砕物が通過可能な分級スクリーンが配設されている。
【0032】
粉砕物が貯留される2次貯留槽45は、前述した1次貯留槽30と同様の構成とされており、粉砕物が貯留される槽本体と、槽本体の底部側に設けられた攪拌機と、槽本体から粉砕物を一定量ずつ排出するスクリュー式の定量供給機と、を備えている。また、槽本体において、攪拌機の下部には、ゴム製のライニング部材が装着されている。本実施形態では、槽本体の容量は1mとされている。すなわち、1次貯留槽30よりも内容積が小さくなるように設計されているのである。
【0033】
2次縮分機47は、いわゆるカットバケット式の縮分機であって、一定間隔をおいて配設されたバケットが一定速度で移動されており、バケット内に落下した粉砕物が評価用サンプルとしてサンプル回収部49へと移送され、バケット外に落下した粉砕物が第6ベルトコンベア16によって回収される構成とされている。
【0034】
次に、前述したリサイクル原料のサンプリング装置10を用いたサンプリング方法について、図4に示すフロー図を参照して説明する。
このリサイクル原料のサンプリング方法においては、リサイクル原料を破砕機20によって破砕して破砕物を生成する破砕工程S1と、破砕物を貯留するとともに貯留された破砕物を攪拌混合する1次混合工程S2と、攪拌混合された破砕物を縮分する1次縮分工程S3と、縮分された破砕物を粉砕する粉砕工程S4と、粉砕物を貯留するとともに貯留された粉砕物を攪拌混合する2次混合工程S5と、攪拌混合された粉砕物を縮分する2次縮分工程S6と、を備えている。
【0035】
粉砕工程S1においては、前述の破砕機20の上部に設けられた投入部28からリサイクル原料を投入し、このリサイクル原料をプッシャー24によって回転ローラ21へと押し付ける。すると、回転ローラ21の外周面に設けられた切刃22によってリサイクル原料が破砕されていく。ここで、排出部27に分級スクリーン25が配設されていることから、この分級スクリーン25を通過可能な大きさ(50mm×50mm以下)となるまで、破砕が繰り返し行われることになる。このようにして、50mm×50mm以下の破砕物が製出される。
【0036】
破砕機20で製出された破砕物は、第1ベルトコンベア11及び第2ベルトコンベア12を介して、1次貯留槽30へと移送される。
1次混合工程S2においては、1次貯留槽30の槽本体31内に貯留された破砕物を攪拌機34によって攪拌混合する。また、破砕物を、定量供給機37によって一定量ずつ1次縮分機41へと供給する。
【0037】
1次縮分工程S3においては、カットバケット式の1次縮分機41により、破砕物全量のうちの5〜20%、本実施形態では約10%分がバケット内に落下して粉砕機43へと移送されることになる。また、バケット外に落下した破砕物は、第6ベルトコンベア16によって回収される。
【0038】
粉砕工程S4においては、粉砕機43に備えられた刃が装着されたローターブロックを破砕物に衝突させて粉砕する。ここで、排出部に分級スクリーンが配設されていることから、この分級スクリーンを通過可能な大きさ(20mm×20mm以下)となるまで、粉砕が繰り返し行われることになり、20mm×20mm以下の粉砕物が製出される。
【0039】
粉砕機43で製出された粉砕物は、第4ベルトコンベア14を介して、2次貯留槽45へと移送される。
2次混合工程S5においては、2次貯留槽45の槽本体内に貯留された粉砕物を攪拌機によって攪拌混合する。また、粉砕物を、定量供給機によって一定量ずつ2次縮分機47へと供給する。
【0040】
2次縮分工程S6においては、カットバケット式の2次縮分機47により、粉砕物全量のうちの0.5〜3%、本実施形態では約1%がバケット内に落下し、評価用サンプルとして採取されることになる。また、バケット外に落下した粉砕物は、第6ベルトコンベア16によって回収される。
【0041】
このようにして、リサイクル原料全量を100kgとした場合に、1次縮分工程S3において10kgの破砕物が得られ、この10kgの破砕物が粉砕工程S4で粉砕され、2次縮分工程S6において1kgの粉砕物が評価用サンプルとして採取されることになる。
【0042】
また、1次縮分工程S3及び2次縮分工程S6においてバケット外に落下して第6ベルトコンベア16によって回収された破砕物及び粉砕物は、貯留槽55に移送され、この貯留槽55から減容機57に供給され、減容処理が施されることになる。
【0043】
さらに、本実施形態では、第1ベルトコンベア11の上方に、外部で破砕されたリサイクル原料の破砕物を供給する破砕物供給部51が設けられており、破砕状態で納入されるリサイクル原料から評価用サンプルを採取することが可能な構成とされている。
【0044】
このような構成とされた本発明の実施形態であるリサイクル原料のサンプリング装置10及びリサイクル原料のサンプリング方法によれば、破砕物を縮分する1次縮分機41と、縮分された破砕物を粉砕する粉砕機43と、を備えているので、リサイクル原料の全量を粉砕する必要がなく、サンプリング作業を効率的に行うことが可能となるとともに、粉砕機43への負荷を軽減することができる。
【0045】
また、リサイクル原料の破砕物を貯留するとともに破砕物を攪拌混合する1次貯留槽30を備えているので、1次縮分機41においてリサイクル原料全体から均一な破砕物を得ることができる。さらに、この1次貯留槽30が定量供給機37を備えているので、1次縮分機41における縮分処理を円滑に行うことができる。
また、2次縮分機47の前段に、粉砕物を貯留するとともに粉砕物を攪拌混合する2次貯留槽45を備えているので、2次縮分機47においてリサイクル原料全体から均一な粉砕物(評価用サンプル)を得ることができる。さらに、この1次貯留槽45が定量供給機を備えているので、2次縮分機47における縮分処理を円滑に行うことができる。
【0046】
また、1次貯留槽30の前段側に、リサイクル原料を破砕する破砕機20が設けられているので、リサイクル原料を破砕して破砕物を生成し、この破砕物を1次貯留槽30に供給することができ、リサイクル原料を一貫して処理することができる。
さらに、破砕機20がロータ式の一軸破砕機とされているので、リサイクル原料を効率的に破砕することができる。
また、破砕機20の排出部27に50mm×50mm以下の破砕物が通過可能な分級スクリーン25が設けられているので、50mm×50mmよりも大きなサイズの破砕物が1次貯留槽30側へと混入することが防止され、1次貯留槽30において攪拌混合を効率的に行うことができる。
【0047】
さらに、粉砕機43がハンマー式の一軸粉砕機とされているので、50mm×50mm以下とされた破砕物を効率的に粉砕することができる。
また、粉砕機43の排出部に20mm×20mm以下の粉砕物が通過可能な分級スクリーンが設けられているので、20mm×20mmよりも大きなサイズの粉砕物が2次貯留槽45側へと混入することが防止され、2次貯留槽45において攪拌混合を効率的に行うことができる。
【0048】
さらに、1次貯留槽30においては、攪拌機34の下部にゴム製のライニング部材32が装着されているので、破砕物が槽本体31に残存することが抑制され、ロット切替時の清掃時間の短縮を図ることができる。
同様に、2次貯留槽45においては、攪拌機の下部にゴム製のライニング部材が装着されているので、粉砕物が槽本体に残存することが抑制され、ロット切替時の清掃時間の短縮を図ることができる。
【0049】
また、本実施形態では、1次縮分機41及び2次縮分機47においてバケット外に落下した破砕物及び粉砕物を回収する第6ベルトコンベア16と、回収された破砕物及び粉砕物を貯留する貯留槽55と、この貯留槽55から供給された破砕物及び粉砕物を減容処理する減容機57と、を備えているので、フィルムや紙等の嵩比重が小さなリサイクル原料であっても、その後の焼却処理において効率的に処理することが可能となる。また、リサイクル原料のサンプリング作業と焼却処理前の減容処理とを、一貫して行うことができる。
また、基板系の減容処理に不適な原料は、第6ベルトコンベア16、第7ベルトコンベア17、第8ベルトコンベア18を経由してトラックに移送される。
【0050】
さらに、本実施形態では、1次貯留槽30の前段側に、リサイクル原料の破砕物を供給する破砕物供給部51が設けられているので、既に破砕処理されたリサイクル原料においても、1次貯留槽30において攪拌混合することが可能となり、均一な評価用サンプルを採取することができる。
【0051】
以上、本発明の実施形態であるリサイクル原料のサンプリング装置及びリサイクル原料のサンプリング方法について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、処理するリサイクル原料の性状については、実施形態に限定されることはなく、様々な性状のものに適用することができる。
【0052】
また、2次縮分機によって評価用サンプルを採取する構成として説明したが、これに限定されることはなく、2次縮分機の後段側に、さらに粉砕機、貯留槽及び縮分機が、設けられていてもよい。この場合、リサイクル原料の性状等を考慮して、粉砕機、貯留槽及び縮分機をさらに設けることによって、破砕や粉砕を効率的に行うことができる。また、さらに粒径の小さな評価用サンプルを得ることも可能となる。
【0053】
また、1次縮分機及び2次縮分機を、カットバケット式のものとして説明したが、これに限定されることはなく、他の方式の縮分機であってもよい。
さらに、破砕物の大きさを50mm×50mm以下とし、粉砕物の大きさを20mm×20mm以下とするものとして説明したが、破砕物の大きさや粉砕物の大きさは、リサイクル原料の性状に応じて適宜設定変更してもよい。
【実施例】
【0054】
次に、本発明の効果を確認するために行った確認実験の結果について説明する。
リサイクル原料として、フレキシブル基板、フィルム、プリント基板の3種類を準備した。比較例1として、これらのリサイクル原料から手作業で評価用サンプルを採取し、有価金属について分析評価した。本発明例1として、本実施形態であるリサイクル原料のサンプリング装置を用いて評価用サンプルを採取し、有価金属について分析評価した。そして、上記リサイクル原料を納入した業者側の分析値との偏差を確認した結果を表1に示す。
【0055】
【表1】

【0056】
フレキシブル基板、フィルム、プリント基板のすべてのリサイクル原料において、本発明例1の方が業者側の分析値との差が少なかった。手作業で評価用サンプル採取した比較例1では、有価金属が偏在した部分を採取することになり、リサイクル原料全体の評価を正しく行うことができなかったと推測される。
【0057】
次に、上述したフレキシブル基板、フィルム、プリント基板の混合物をリサイクル原料として準備した。
比較例2では、1次貯留槽及び2次貯留槽を設けずに、破砕機で得られた破砕物を1次縮分機で縮分し、粉砕機で得られた粉砕物を2次縮分機で縮分して、複数(4ヶ)の評価用サンプルを採取した。
本発明例2では、1次貯留槽及び2次貯留槽を備えた本実施形態であるリサイクル原料のサンプリング装置を用いて複数(4ヶ)の評価用サンプルを採取した。
複数の評価用サンプルについて、有価金属の分析を行い、分析値の変動係数CVを算出した。結果を表2に示す。
【0058】
【表2】

【0059】
本発明例2は、比較例2に対して変動係数がすべて低く、バラツキが小さく分析値が安定していることが確認された。
【符号の説明】
【0060】
10 リサイクル原料のサンプリング装置
20 1次貯留槽
25 分級スクリーン
30 1次貯留槽
32 ライニング部材
34 攪拌機
37 定量供給機
41 1次縮分機
45 2次貯留槽
47 2次縮分機
51 破砕物供給部
57 減容機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リサイクル原料から評価用サンプルを採取するためのリサイクル原料のサンプリング装置であって、
前記リサイクル原料の破砕物を貯留する1次貯留槽と、該1次貯留槽から供給された前記破砕物を縮分する1次縮分機と、縮分された前記破砕物を粉砕する粉砕機と、この粉砕機で生成された粉砕物を貯留する2次貯留槽と、該2次貯留槽から供給された前記粉砕物を縮分する2次縮分機と、
を備えていることを特徴とするリサイクル原料のサンプリング装置。
【請求項2】
前記1次貯留槽には、貯留された前記破砕物を混合する攪拌機と、貯留された前記破砕物を一定量ずつ前記1次縮分機へと供給する定量供給機と、が設けられ、
前記2次貯留槽には、貯留された前記粉砕物を混合する攪拌機と、貯留された前記粉砕物を一定量ずつ前記2次縮分機へと供給する定量供給機と、が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のリサイクル原料のサンプリング装置。
【請求項3】
前記1次貯留槽の前段側に、前記リサイクル原料を破砕する破砕機が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリサイクル原料のサンプリング装置。
【請求項4】
前記破砕機は、ロータ式の一軸破砕機とされており、前記破砕物の排出部に、所定寸法以下の前記破砕物が通過可能な分級スクリーンが設けられていることを特徴とする請求項3に記載のリサイクル原料のサンプリング装置。
【請求項5】
前記粉砕機は、ハンマー式の一軸粉砕機とされており、前記粉砕物の排出部に、所定寸法以下の前記粉砕物が通過可能な分級スクリーンが設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のリサイクル原料のサンプリング装置。
【請求項6】
前記1次貯留槽の前段側に、前記リサイクル原料の前記破砕物を供給する破砕物供給部を備えていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のリサイクル原料のサンプリング装置。
【請求項7】
前記1次貯留槽及び前記2次貯留槽の攪拌機に、ゴム製のライニング部材が装着されていることを特徴とする請求項2から請求項6のいずれか一項に記載のリサイクル原料のサンプリング装置。
【請求項8】
前記1次縮分機及び前記2次縮分機において排出された前記破砕物及び前記粉砕物を減容処理する減容機を備えていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のリサイクル原料のサンプリング装置。
【請求項9】
リサイクル原料から評価用サンプルを採取するためのリサイクル原料のサンプリング方法であって、
前記リサイクル原料の破砕物を貯留するとともに、貯留された前記破砕物を攪拌混合する1次混合工程と、
攪拌混合された前記破砕物を縮分する1次縮分工程と、
縮分された前記破砕物を粉砕する粉砕工程と、
この粉砕工程で生成された粉砕物を貯留するとともに、貯留された前記粉砕物を攪拌混合する2次混合工程と、
攪拌混合された前記粉砕物を縮分する2次縮分工程と、
を備えていることを特徴とするリサイクル原料のサンプリング方法。
【請求項10】
前記1次混合工程の前段に、前記リサイクル原料を破砕する破砕工程を備えていることを特徴とする請求項9に記載のリサイクル原料のサンプリング方法。
【請求項11】
前記リサイクル原料の破砕物を供給する破砕物供給工程を備えていることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載のリサイクル原料のサンプリング方法。
【請求項12】
請求項9から請求項11のいずれか一項に記載のリサイクル原料のサンプリング方法によってサンプリングされたことを特徴とするリサイクル原料の評価用サンプル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−223905(P2010−223905A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−74354(P2009−74354)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【Fターム(参考)】