説明

リサイクル支援システムおよび方法、ならびに、プログラム

【課題】 リサイクル工程の効率化によりリサイクルの促進を図る。
【解決手段】 リサイクル対象となる使用済み製品を回収する回収拠点の拠点端末200から、通信ネットワーク10を介してリサイクル支援装置100にアクセスし、回収した製品の型番およびシリアルNo.などの回収品情報をリサイクル支援装置100に送信する。リサイクル支援装置100は、拠点端末200から受信した回収品情報に基づいて、当該回収品を特定する。リサイクル支援装置100は、予めデータベースに格納してある製品毎の性能情報と状態情報に基づいて、当該回収品の品質チェックをおこない、チェック結果が所定の基準を満たす場合には、当該回収品に対するリサイクル方法としてリユースを選定する。リサイクル支援装置100は、選定したリサイクル方法を示す情報を、通信ネットワーク10を介して拠点端末200に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リサイクル支援システムおよび方法、ならびに、プログラムに関し、特に、効率的な製品再使用を支援するためのリサイクル支援システム、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、メーカなどが製造した製品は、使用者による使用期間が終了すると、多くの場合、廃棄されていた。近時は、環境問題に対する関心が高まっており、メーカなどの事業者においても、環境負荷を低減する必要性が高まっている。環境負荷を低減させる方法として、製品等のリサイクルがおこなわれており、メーカなどによる自社製品のリサイクル事業も重要な業務となっている。
【0003】
リサイクル方法の1つとして、製品から原料素材にリサイクルするマテリアルリサイクルが知られている。マテリアルリサイクルの場合、回収された製品から原料素材を再生するために、何らかの工業的もしくは化学的工程を経る必要があり、この過程でも環境負荷が発生する場合がある。よって、回収された使用済み製品をそのまま、もしくは、整備や修理をすることで再使用(リユース)することが、環境負荷をより低減させるリサイクル方法であるといえる。
【0004】
特に、複合機などの機器の場合、使用済み製品を再生品としてリサイクルさせることが環境負荷の低減に効果的であると考えられる。環境負荷のより効果的な低減のためには、このようなリサイクルの過程を効率化し、リサイクルを促進させる必要がある。このため、リサイクル過程の効率を向上させるために、情報システムを活用した手法が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
このようにして、例えば、事務機器等の製品再使用(リユース)の促進に情報システムが活用されているが、回収された製品をリユース対象とするかマテリアルリサイクル対象とするかの判断は人手によっておこなわれていた。特に、複合機などの機器の場合、例えば、回収品の傷や汚れ、美観などを人間が目視でチェックし、リユース可能であるかどうかの判断をおこなっていた。
【0006】
上述したように、マテリアルリサイクルよりもリユースの方がより環境負荷低減に貢献するため、リサイクル対象の回収品については、可能な限りリユースすることが望ましい。しかしながら、リサイクルの過程において、回収品がリユース可能かマテリアルリサイクルにすべきかの判断が人手によっておこなわれていることが効率を低下させており、リサイクル促進の阻害要因となっていた。
【0007】
また、特に、複合機などの機器をリユースする場合には、外観上の程度もさることながら、動作可能でなければ意味がない。よって、外観上の判断以外に、動作状態もチェックしてリユース可能であるか否かの判断をする必要がある。このような判断を人間の作業によっておこなっていては、効率が悪いばかりでなく、人件費などのコストもかかることになる。そして、このようなコストはリサイクル品(再生品)の販売価格に反映してしまうため、再生品の購入予定者に対するコストメリットが乏しく、再生品の購入が促進されないという問題もある。
【0008】
しかしながら、このような峻別作業を実施しなかったり簡略化したりすると、品質の悪い再生品が多く流通することになる。低品質な再生品が多く出回ると、再生品の評価が低下し、再生品の利用が敬遠されてしまうことにもなりかねない。よって、リユース可能か否かを正確に判断することは、再生品の利用促進に必要不可欠な過程であり、このような過程を効率的かつ低コストで実現できる手法の確立が望まれている。
【特許文献1】特開2003−271842号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、リサイクル過程の効率化によりリサイクルを促進させるリサイクル支援システムおよび方法、ならびに、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点にかかるリサイクル支援システムは、
製品についての性能情報を含む製品情報を記憶する製品情報記憶手段と、
製品の個体毎の状態情報を記憶する状態情報記憶手段と、
リサイクルのために回収された製品(回収品)に関する回収品情報を取得する回収品情報取得手段と、
前記回収品情報取得手段が取得した前記回収品情報と、前記製品情報記憶手段が記憶する前記性能情報と、前記状態情報記憶手段が記憶する前記状態情報と、に基づいて、前記回収品のリサイクル方法を選定するリサイクル方法選定手段と、
前記リサイクル方法選定手段が選定したリサイクル方法を示す情報を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
上記リサイクル支援システムにおいて、
前記回収品情報取得手段は、回収拠点の端末装置から、通信ネットワークを介して前記回収品情報を取得し、
前記出力手段は、選定されたリサイクル方法を示す情報を、前記通信ネットワークを介して、前記回収拠点の端末装置に出力することが望ましい。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点にかかるリサイクル支援方法は、
製品についての製品情報を記憶する製品情報記憶手段と、製品の個体毎の状態情報を記憶する状態情報記憶手段と、リサイクルのために回収された製品(回収品)に関する回収品情報を取得する回収品情報取得手段と、から構成された情報システムを用いて、回収された製品のリサイクルを支援する方法であって、
前記情報システムを制御するコンピュータが、
前記回収品情報取得手段が取得した回収品情報に基づいて、回収品を特定する回収品特定ステップと、
前記製品情報記憶手段から、特定された回収品に対応する製品情報を取得する製品情報取得ステップと、
前記状態情報記憶手段から、特定された回収品に対応する状態情報を取得する状態情報取得ステップと、
前記製品情報取得ステップで取得した製品情報と、前記状態情報取得ステップで取得した状態情報とに基づいて、前記回収品に対するリサイクル方法を選定するリサイクル方法選定ステップと、
選定されたリサイクル方法を示す情報を出力する出力ステップと、
を実行することを特徴とする。
【0013】
上記リサイクル支援方法において、
前記製品情報は、各製品の性能情報を含んでいることが望ましく、この場合、
前記リサイクル方法選定ステップは、取得した前記性能情報と前記状態情報とに基づいて、前記回収品の品質をチェックし、品質チェック結果に応じて、リサイクル方法を選定することが望ましい。
【0014】
上記リサイクル支援方法において、
前記リサイクル方法選定ステップは、品質チェック結果が所定の基準を満たしている場合、前記回収品のリサイクル方法としてリユースを選定することが望ましい。
【0015】
上記リサイクル支援方法において、
前記性能情報は、製品毎の耐用期間を示す情報を含み、
前記状態情報は、個体毎の稼働期間を示す情報を含んでいることが望ましく、この場合、
前記リサイクル方法選定ステップは、前記回収品の使用期間に基づいた品質チェックをおこなうことが望ましい。
【0016】
上記リサイクル支援方法において、
前記性能情報は、製品毎の限界性能を示す情報を含み、
前記状態情報は、個体毎の稼働量を示す情報を含んでいることが望ましく、この場合、
前記リサイクル方法選定ステップは、前記回収品の稼働量に基づいた品質チェックをおこなうことが望ましい。
【0017】
上記リサイクル支援方法において、
前記性能情報は、製品毎の標準故障回数を示す情報を含み、
前記状態情報は、個体毎の異常検出回数を示す情報を含んでいることが望ましく、この場合、
前記リサイクル方法選定ステップは、前記回収品の故障率に基づいた品質チェックをおこなうことが望ましい。
【0018】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点にかかるプログラムは、
コンピュータに、
製品についての性能情報を含む製品情報を記憶する機能と、
製品の個体毎の状態情報を記憶する機能と、
リサイクルのために回収された製品に関する回収品情報を取得する機能と、
前記回収品についての前記性能情報と前記状態情報とに基づいて、当該回収品のリサイクル方法を選定する機能と、
選定したリサイクル方法を示す情報を出力する機能と、
を実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、リサイクルのための回収品に対するリサイクル方法がコンピュータ装置により自動的に選定されるので、リサイクル業務の効率が向上し、リサイクルの促進に寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照して説明する。本実施の形態では、製品(例えば、複合機などの事務機器等)を製造・販売する事業体(以下、「事業体R」とする)において、製造した製品のリサイクルを実施する場合を例に以下説明する。本実施形態では、特に、使用済みとなり市場から回収される製品(以下、「回収品」とする)に再生処理を施すことで、再生機として再使用する「製品再使用」(リユース)によるリサイクルをおこなう。
【0021】
本実施の形態にかかるリサイクル支援システムを、図1を参照して以下説明する。図1は、本実施の形態にかかるリサイクル支援システム1の構成を模式的に示す図である。図示するように、リサイクル支援システム1は、通信ネットワーク10を介して相互に接続されたリサイクル支援装置100と、複数の拠点端末200と、から構成される。
【0022】
ここで、リサイクル支援装置100は、本実施の形態におけるリサイクルを実施する事業体Rによって運用されるものとする。また、拠点端末200は、事業体Rの拠点に設置され、運用されるものとする。拠点端末200が設置される拠点は、リサイクル対象品を回収し、リユース対象として再生させる回収拠点とする。
【0023】
リサイクル支援装置100は、例えば、メインフレームやワークステーションなどといった情報処理装置から構成され、事業体Rが実施するリサイクル業務を支援するための情報処理をおこなう。本実施形態では、リサイクルのために回収された製品に関する情報(以下、「回収品情報」とする)を、通信ネットワーク10を介して拠点端末200から受け付け、当該回収品をリユース対象として整備すべきかマテリアルリサイクル対象とすべきかを判別して、当該拠点端末200に提示する。なお、本実施の形態では、事業体Rが製造・販売した複合機を回収・リサイクル対象とする。
【0024】
拠点端末200は、例えば、ワークステーションやパーソナルコンピュータなどといった情報処理装置から構成され、各拠点での業務に用いられる。本実施形態では、事業体Rの回収拠点での業務に用いられる情報処理装置を拠点端末200とする。ここで、回収拠点は、使用済みとなった事業体Rの製品を回収し、回収品に再生処理(整備や修理など)を施すことで、再生機として再生する拠点である。
【0025】
このような回収拠点に設置されている拠点端末200は、回収品情報の入力を受け付け、通信ネットワーク10を介してリサイクル支援装置100に送信するとともに、リサイクル支援装置100による判別処理の結果を、通信ネットワーク10を介して受信する。よって、拠点端末200は、少なくとも、通信ネットワーク10を介してリサイクル支援装置100にアクセスし、リサイクル支援装置100との間で通信が可能な構成を有しているものとする。
【0026】
このような拠点端末200とリサイクル支援装置100とを接続する通信ネットワーク10は、例えば、インターネットなどである。この場合、通信ネットワーク10は、TCP/IP (Transmission Control Protocol/Internet Protocol)などといった所定の通信手順に基づいたデータ通信を媒介する通信ネットワークである。
【0027】
リサイクル支援装置100の構成を、図2を参照して説明する。図2は、リサイクル支援装置100の構成を示すブロック図である。図示するように、リサイクル支援装置100は、制御部110と、通信制御部120と、入力制御部130と、出力制御部140と、プログラム格納部150と、記憶部160と、から構成される。
【0028】
制御部110は、例えば、CPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)やワークエリアとなる所定の記憶装置(RAM(Random Access Memory)など)から構成され、リサイクル支援装置100の各部を制御するとともに、プログラム格納部150に格納されている所定の動作プログラムに基づいて後述する各処理を実行する。
【0029】
通信制御部120は、例えば、NIC(Network Interface Card)やルータ、モデム、などといった所定の通信装置から構成され、リサイクル支援装置100と通信ネットワーク10とを接続し、拠点端末200との通信をおこなう。
【0030】
入力制御部130は、例えば、キーボードやポインティング・デバイスなどの所定の入力装置13を接続し、入力装置13から入力された指示などを制御部110に伝達する。
【0031】
出力制御部140は、例えば、ディスプレイ装置やプリンタなどの所定の出力装置14を接続し、制御部110の処理結果などを必要に応じて出力装置14に出力する。
【0032】
プログラム格納部150は、例えば、ハードディスク装置やROM(Read Only Memory)などといった所定の記憶装置から構成され、制御部110が実行する種々の動作プログラムが格納されている。プログラム格納部150に格納される動作プログラムは、リサイクル支援装置100の基本動作を司る任意のOS(Operating System:基本ソフトウェア)の他に、OSと協働して後述する各処理を実現するための動作プログラムを格納する。後述するリサイクル支援装置100による処理は、制御部110がこれらの動作プログラムを実行することで実現される。
【0033】
より詳細には、これらのプログラムを実行することで、制御部110は図3に示すような構成として機能する。図3は、制御部110により実現される機能を示す機能ブロック図である。図示するように、制御部110は、回収品情報受付部111、リサイクル方法選定部112、リサイクル情報提供部113、として機能する。
【0034】
回収品情報受付部111は、通信制御部120との協働により、回収拠点の拠点端末200から、通信ネットワーク10を介して回収品情報を受信して受け付ける。
【0035】
リサイクル方法選定部112は、回収品情報受付部111が受け付けた回収品情報に基づいて回収品を特定し、特定した回収品に好適なリサイクル方法を選定する。本実施の形態では、リサイクル方法として、回収品を整備して再使用するリユースと、回収品を構成する部材を各種素材原料に再生するマテリアルリサイクルを想定する。ここで、リサイクル方法選定部112は、記憶部160との協働により、記憶部160に格納されている種々の製品情報(詳細後述)に基づいて、特定した回収品に対するリサイクル方法を選定する。
【0036】
リサイクル情報提供部113は、リサイクル方法選定部112が選定したリサイクル方法を示す情報を、通信ネットワーク10を介して、拠点端末200に送信して出力する。
【0037】
本実施の形態では、リサイクル支援装置100が、通信ネットワーク10を介してアクセス可能なウェブサイトを提供しているものとし、このウェブサイト上の所定のウェブページを介して、拠点端末200との情報の送受がおこなわれるものとする。よって、リサイクル支援装置100は、ウェブサーバとして機能するものであり、ウェブサイトへのアクセス処理、CGI(Common Gateway Interface)などによるデータベースとの連動や自動応答、などといった、ウェブサイトでの情報送受を実現するために必要な構成を備えているものとする。
【0038】
本実施の形態では、制御部110がプログラム格納部150に格納されているプログラムを実行することにより、制御部110のソフトウェア処理で上記機能が実現されるものとするが、これらの機能はそれぞれ、所定のハードウェア(例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)など)により実現されてもよい。
【0039】
記憶部160は、例えば、半導体記憶装置やハードディスク装置などといった所定の記憶装置から構成され、リサイクル支援の実施に必要な種々のデータを格納する。記憶部160には、データベースが構成され、拠点端末200から収集された回収品情報などが蓄積される。本実施の形態では、図4に示すようなデータベース(DB)が構成される。図示するように、記憶部160には、事業体情報DB161、製品情報DB162、製品状態情報DB163、が構成されている。各データベースの詳細を以下説明する。
【0040】
事業体情報DB161は、事業体Rを構成している各事業体に関する情報を蓄積する。本実施の形態では、少なくとも、事業体Rの回収拠点に該当する事業体についての情報が格納されるものとする。事業体情報DB161には、各事業体に一意に割り当てられている識別情報(事業体ID)を主キーとしたレコードが作成されている。各レコードには、当該事業体の所在地などを示す属性情報や電子メールアドレスなどの連絡情報が記録される他、当該事業体の種別を示す情報(本実施の形態では、少なくとも、回収拠点、販売拠点のいずれであるかを示す)、当該事業体の拠点端末200からリサイクル支援装置100にログインする際に必要となる認証情報(ログインIDやパスワードなど)、などが記録される。
【0041】
製品情報DB162は、事業体Rが製造・販売した複合機について、製造・販売段階で取得可能な情報(製品情報)を蓄積する。製品情報DB162に記録される情報の例を図5に示す。図示するように、製品情報DB162には、事業体Rが製造・販売した複合機の製品毎に一意に割り当てられている識別情報(例えば、型番など)を主キー(製品ID)としたレコードが作成されている。各レコードには、当該製品の個体毎に割り当てられている識別情報(個体ID)、当該製品の製品名や商品名などを示す情報(名称)、製造時期を示す情報(製造時期)、当該製品の設計上の性能を示す情報(性能情報)、などが記録される。ここで、個体IDは、例えば、複合機の個体毎に一意に割り当てられているシリアルNo.である。また、性能情報として、耐用年数を示す情報(耐用年数)、品質を保証可能な限界性能としての限界使用枚数を示す情報(限界性能)、設計上想定される耐用期間中に起こりうる標準的な故障回数を示す情報(標準故障回数)、などが記録される。
【0042】
製品状態情報DB163は、事業体Rが製造・販売した複合機について、ユーザによる使用時の状態を個体毎に示す情報(製品状態情報)を蓄積する。この製品状態情報は、例えば、販売された複合機と事業体Rの情報処理装置とを、所定の通信ネットワーク(例えば、電話回線網)で接続し、各複合機から定期的に自己の状態を示す情報が事業体Rに送信されることで収集される。この製品状態情報は、例えば、リサイクル支援装置100が直接各複合機から収集して製品状態情報DB163に蓄積する形態が可能である他、他の情報処理装置が収集した製品状態情報を、リサイクル支援装置100の製品状態情報DB163に入力する形態であってもよい。
【0043】
製品状態情報DB163に記録される情報の例を図6に示す。図示するように、製品状態情報DB163には、事業体Rが製造・販売した複合機の個体を特定する情報(例えば、シリアルNo.)を主キー(個体ID)としたレコードが作成されている。各レコードには、当該複合機が使用されていた期間の状態を示す状態情報として、例えば、総稼働時間、総印刷枚数、異常検出回数、などを示す情報が記録される。なお、製品状態情報DB163に記録される情報は、上述したような、各複合機から自動的に送信される情報の他に、例えば、保守作業の記録などが入力されてもよい。
【0044】
このような構成のリサイクル支援システム1の動作を以下説明する。本実施の形態では、拠点端末200からのアクセスに応じてリサイクル支援装置100が「リサイクル支援処理」を実行する。本実施の形態では、リサイクル支援装置100が、回収拠点の拠点端末200のみがアクセス可能なウェブサイト(以下、「専用サイト」とする)を提供しているものとし、回収拠点の拠点端末200が通信ネットワーク10を介してこのウェブサイトにアクセスしたことを契機にリサイクル支援処理が実行される。この場合、リサイクル支援装置100は、事業体情報DB161に記録されている認証情報を用いた認証により、専用サイトへのアクセス制限をおこなうものとする。本実施の形態では、回収拠点に使用済み複合機が回収された際に、回収拠点の担当者が拠点端末200を操作して専用サイトにアクセスする。この場合に実行されるリサイクル支援処理の詳細を、図7に示すフローチャートを参照して説明する。
【0045】
回収拠点の拠点端末200から専用サイトへのアクセスがあると、リサイクル支援装置100のウェブサーバ機能により、回収品を特定する情報を入力するための入力フォーム画面が生成され、通信ネットワーク10を介してアクセス元の拠点端末200に送信する(ステップS101)。
【0046】
回収拠点の拠点端末200では、表示装置上に、入力フォーム画面が表示される。入力フォーム画面には、例えば、回収された複合機の型番やシリアルNo.を入力する領域や、入力した情報の送信を指示するためのボタンなどが表示される。回収拠点の担当者は、拠点端末200を操作し、入力フォーム画面上で、回収した複合機の型番とシリアルNo.を入力し、「送信」ボタンを指示する。これにより、入力された型番とシリアルNo.を示す情報(以下、「回収品情報」とする)が通信ネットワーク10を介してリサイクル支援装置100に送信される。
【0047】
リサイクル支援装置100では、通信制御部120が通信ネットワーク10を介して拠点端末200から回収品情報を受信すると、回収品情報受付部111により、受信した回収品情報が受け付けられる。
【0048】
このようにして、拠点端末200から回収品情報を取得すると、取得した回収品情報に基づいて、リサイクル方法選定部112が、当該回収品に対応する製品を製品情報および製品状態情報から特定する(ステップS102)。そして、リサイクル方法選定部112は、特定した製品の製品情報(性能情報)と製品状態情報とに基づいて、当該回収品に対するリサイクル方法の選定をおこなう。
【0049】
リサイクル方法選定部112はまず、当該回収品の使用期間に基づいた品質チェックをおこなう。ここでは、当該回収品の使用期間と、設定されている耐用年数との比率により判別する。したがって、リサイクル方法選定部112はまず、記憶部160の製品情報DB162にアクセスし、ステップS102で取得した回収品情報が示す型番に基づいて、当該製品に設定されている耐用年数情報を取得する(ステップS103)。
【0050】
次にリサイクル方法選定部112は、製品状態情報DB163にアクセスし、ステップS102で取得した回収品情報が示すシリアルNo.に基づいて、回収された複合機の総稼働時間情報を取得する(ステップS104)。
【0051】
そして、リサイクル方法選定部112は、取得した総稼働時間情報と耐用年数情報との比率を算出し、算出結果に基づいて品質の合否を判定する。ここでは、例えば、回収品の使用期間(総稼働時間)が耐用年数の2/3以下であれば「合格」と判定する(ステップS105)。
【0052】
使用期間に基づく品質チェックが「合格」である場合(ステップS105:Yes)、リサイクル方法選定部112は、当該回収品の稼働量に基づく品質チェックをおこなう。
【0053】
ここでは、当該回収された複合機の製造段階で想定されている限界性能に基づいて品質チェックをおこなう。この場合、リサイクル方法選定部112はまず、製品情報DB162にアクセスし、当該複合機の限界性能を示す限界使用枚数情報を取得する(ステップS106)。
【0054】
次にリサイクル方法選定部112は、製品状態情報DB163にアクセスし、当該回収品についての総印刷枚数情報を取得する(ステップS107)。
【0055】
リサイクル方法選定部112は、取得した限界使用枚数情報と総印刷枚数情報に基づいて、当該回収品の品質についての合否判定をおこなう。例えば、総印刷枚数が限界使用枚数(限界枚数)の1/2以下であれば「合格」とする(ステップS108)。
【0056】
稼働量に基づく品質チェックが「合格」である場合(ステップS108:Yes)、リサイクル方法選定部112は、当該回収品の故障率に基づく品質チェックをおこなう。
【0057】
ここではまず、リサイクル方法選定部112が製品情報DB162にアクセスし、当該製品で想定されている標準故障回数情報を取得する(ステップS109)。
【0058】
次にリサイクル方法選定部112は、製品状態情報DB163にアクセスし、当該回収品で発生した異常検出回数を示す情報を取得する(ステップS110)。
【0059】
リサイクル方法選定部112は、取得した標準故障回数情報と、異常検出回数情報とに基づいて、当該回収品の品質についての合否判定をおこなう。例えば、当該回収品が使用されている間の異常検出回数が想定されている標準故障回数を下回っていれば「合格」と判定する(ステップS111)。
【0060】
故障率に基づく品質チェックが「合格」である場合(ステップS111:Yes)、リサイクル方法選定部112は、当該回収品をリユース対象としてリサイクル可能であると判断し、当該回収品に好適なリサイクル方法として「リユース」を選定する(ステップS112)。すなわち、本実施の形態では、上記各判定ですべて「合格」となった場合に、当該回収品に対するリサイクル方法としてリユースが選定される。
【0061】
一方、上記各判定のいずれかで「合格」とならなかった場合(ステップS105:No、S108:No、S111:No)、リサイクル方法選定部112は、当該回収品はリユース対象として適さないと判断し、当該回収品に好適なリサイクル方法として「マテリアルリサイクル」を選定する(ステップS113)。
【0062】
すなわち、回収品の機能上の品質が所定の基準を満たしている場合には、複合機として再使用されるリユース対象とし、機能上の品質が所定の基準を満たさない場合には、素材原料に再生するマテリアルリサイクル対象とする。
【0063】
ステップS112またはS113でリサイクル方法を選定すると、リサイクル方法選定部112は、選定したリサイクル方法をリサイクル情報提供部113に通知する。
【0064】
リサイクル情報提供部113は、リサイクル方法選定部112からの通知に基づいて、リサイクル方法選定部112が選定したリサイクル方法を示すウェブページ(以下、「選定結果ページ」とする)を作成し、通信制御部120との協働により、アクセス元の拠点端末200に通信ネットワーク10を介して送信し(ステップS114)、処理を終了する。
【0065】
リサイクル支援装置100にリサイクル方法の選定を依頼した拠点端末200では、選定されたリサイクル方法を示す画面が表示されるので、回収拠点の担当者は、選定された方法で当該回収品のリサイクルを実施する。すなわち、選定されたリサイクル方法が「リユース」であれば、当該回収品に対する整備作業を開始し、再生品として販売可能な状態にする。一方、選定されたリサイクル方法が「マテリアルリサイクル」の場合は、当該回収品がマテリアルリサイクルされるよう処理する。
【0066】
以上説明したように、本発明を上記実施の形態の如く適用することで、製品のリサイクルをおこなう場合に、当該製品を特定する情報を入力するだけで、好適なリサイクル方法が自動的に選定される。よって、従来、人手によっておこなわれていた作業が自動化され、リサイクル業務の効率が向上するとともに、回収品の再生にかかるコストが削減される。これらの効果により、高品質の再生品を効率的かつ安価で供給することができ、製品のリサイクルを促進させることができる。
【0067】
上記実施の形態は一例であり、本発明の適用範囲はこれに限られない。すなわち、種々の応用が可能であり、あらゆる実施の形態が本発明の範囲に含まれる。
【0068】
上記実施の形態で示した判定基準は一例であり、任意の判定基準を採用してもよい。この場合、例えば、製品毎に判定基準を予め設定し、設定した判定基準を示す情報を記憶部160に格納しておいてもよい。
【0069】
また、上記実施の形態では、複合機を回収・リサイクル対象とした場合を例示したが、対象となる製品はこれに限られず任意である。
【0070】
上記実施の形態では、リサイクル支援装置100により、回収品の性能に基づく品質チェックをおこなったが、回収拠点の担当者により評価された回収品の外観上の品質を示す情報を、回収品情報とともに回収拠点から取得することで、外観上の品質を加味した判定をおこなってもよい。
【0071】
また、上記実施の形態では、リサイクル支援装置100により、一元的に各回収拠点で回収した回収品のリサイクル方法を選定したが、各拠点端末200がリサイクル支援装置100と同等の機能を備えることにより、拠点端末200で回収品のリサイクル方法を選定してもよい。
【0072】
上記実施の形態にかかるリサイクル支援装置100は、専用装置によって実現可能なことはもとより、汎用のコンピュータシステムによって構成することもできる。この場合、上記各処理を実現するためのプログラムを汎用コンピュータシステムにインストールしてOSとの協働により実行することで、汎用コンピュータシステムを上記リサイクル支援装置100として機能させることができる。
【0073】
このようなプログラムの提供方法は任意であり、CD−ROMなどの記録媒体に格納して提供可能なことはもとより、例えば、インターネットなどの通信媒体を介して提供してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施の形態にかかる「リサイクル支援システム」の構成を模式的に示す図である。
【図2】図1に示す「リサイクル支援装置」の構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示すリサイクル支援装置の制御部によって実現される機能構成を示す機能ブロック図である。
【図4】図2に示すリサイクル支援装置の記憶部に構成されるデータベースを示す図である。
【図5】図4に示す「製品情報DB」に記録される情報の例を示す。
【図6】図4に示す「製品状態情報DB」に記録される情報の例を示す。
【図7】本発明の実施の形態にかかる「リサイクル支援処理」を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0075】
1 リサイクル支援システム
100 リサイクル支援装置
111 回収品情報受付部
112 リサイクル方法選定部
113 リサイクル情報提供部
161 事業体情報DB
162 製品情報DB
163 製品状態情報DB
200 拠点端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品についての性能情報を含む製品情報を記憶する製品情報記憶手段と、
製品の個体毎の状態情報を記憶する状態情報記憶手段と、
リサイクルのために回収された製品(回収品)に関する回収品情報を取得する回収品情報取得手段と、
前記回収品情報取得手段が取得した前記回収品情報と、前記製品情報記憶手段が記憶する前記性能情報と、前記状態情報記憶手段が記憶する前記状態情報と、に基づいて、前記回収品のリサイクル方法を選定するリサイクル方法選定手段と、
前記リサイクル方法選定手段が選定したリサイクル方法を示す情報を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とするリサイクル支援システム。
【請求項2】
前記回収品情報取得手段は、回収拠点の端末装置から、通信ネットワークを介して前記回収品情報を取得し、
前記出力手段は、選定されたリサイクル方法を示す情報を、前記通信ネットワークを介して、前記回収拠点の端末装置に出力する、
ことを特徴とするリサイクル支援システム。
【請求項3】
製品についての製品情報を記憶する製品情報記憶手段と、製品の個体毎の状態情報を記憶する状態情報記憶手段と、リサイクルのために回収された製品(回収品)に関する回収品情報を取得する回収品情報取得手段と、から構成された情報システムを用いて、回収された製品のリサイクルを支援する方法であって、
前記情報システムを制御するコンピュータが、
前記回収品情報取得手段が取得した回収品情報に基づいて、回収品を特定する回収品特定ステップと、
前記製品情報記憶手段から、特定された回収品に対応する製品情報を取得する製品情報取得ステップと、
前記状態情報記憶手段から、特定された回収品に対応する状態情報を取得する状態情報取得ステップと、
前記製品情報取得ステップで取得した製品情報と、前記状態情報取得ステップで取得した状態情報とに基づいて、前記回収品に対するリサイクル方法を選定するリサイクル方法選定ステップと、
選定されたリサイクル方法を示す情報を出力する出力ステップと、
を実行することを特徴とするリサイクル支援方法。
【請求項4】
前記製品情報は、各製品の性能情報を含み、
前記リサイクル方法選定ステップは、取得した前記性能情報と前記状態情報とに基づいて、前記回収品の品質をチェックし、品質チェック結果に応じて、リサイクル方法を選定する、
ことを特徴とする請求項3に記載のリサイクル支援方法。
【請求項5】
前記リサイクル方法選定ステップは、品質チェック結果が所定の基準を満たしている場合、前記回収品のリサイクル方法としてリユースを選定する、
ことを特徴とする請求項4に記載のリサイクル支援方法。
【請求項6】
前記性能情報は、製品毎の耐用期間を示す情報を含み、
前記状態情報は、個体毎の稼働期間を示す情報を含み、
前記リサイクル方法選定ステップは、前記回収品の使用期間に基づいた品質チェックをおこなう、
ことを特徴とする請求項4または5に記載のリサイクル支援方法。
【請求項7】
前記性能情報は、製品毎の限界性能を示す情報を含み、
前記状態情報は、個体毎の稼働量を示す情報を含み、
前記リサイクル方法選定ステップは、前記回収品の稼働量に基づいた品質チェックをおこなう、
ことを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載のリサイクル支援方法。
【請求項8】
前記性能情報は、製品毎の標準故障回数を示す情報を含み、
前記状態情報は、個体毎の異常検出回数を示す情報を含み、
前記リサイクル方法選定ステップは、前記回収品の故障率に基づいた品質チェックをおこなう、
ことを特徴とする請求項4乃至7のいずれか1項に記載のリサイクル支援方法。
【請求項9】
コンピュータに、
製品についての性能情報を含む製品情報を記憶する機能と、
製品の個体毎の状態情報を記憶する機能と、
リサイクルのために回収された製品に関する回収品情報を取得する機能と、
前記回収品についての前記性能情報と前記状態情報とに基づいて、当該回収品のリサイクル方法を選定する機能と、
選定したリサイクル方法を示す情報を出力する機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−252234(P2006−252234A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−68624(P2005−68624)
【出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】