説明

リザーバを有する液体分配先端部

本発明は、液体溶液を収容し分配するための装置を含む。本発明の装置は、試料の漏出又は分配先端部の側部上方への流体移動を最小限にする一方で、試料体積の制御を、したがって試料の塗布を更に容易にするものである。更に、本装置は、適正な試料体積を確実にするものである。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、液体を収容し分配するための装置に関する。
【0002】
〔発明の背景〕
多数の医療及び実験用途において、薬物又は試薬など、一回分の又は正確に測定された服用量の液状剤を供給又は投与することが必要となる。正確な量の試薬流体が要求される、そのような1つの用途は、生理液中の身体分析物を測定するためのシステムを患者が使用することにある。そのようなシステムは通常、試薬物質を含有する試験片を含んでおり、その試験片に生理学的試料が塗布される。計量器は、そのような試験片を受容し、試料の分析物濃度を測定するように構成されている。そのような計量器及び試験片は、それらの使用に先立って、通常、しばしば対照溶液とも呼ばれるモニター薬を使用して試験片の正確さ及び有効性を試験する方法によって検査される。
【0003】
対照溶液は多くの場合、先細部の端部に小さな開口部を付けて構成された分配端を有するプラスチック又はガラス容器にパックされており、ボトルを絞ることにより、その開口部を通じて、対照溶液の比較的不正確な液滴が分配され得る。そのような容器から分配される対照溶液の量を正確に制御することは、一般に困難である。分析物濃度を測定するためのシステム及び装置の開発において、発展は目覚ましいものであるが、これらの発展したシステム及び装置で用いるための、対照溶液の閉じ込め及び分配という分野において、発展は限られたものとなっている。市販の対照溶液容器は通常、大量の、例えば5マイクロリットル〜20マイクロリットルの対照溶液を必要とする診断用試験片に対して確実に機能する先細の分配先端部を有している。しかしながら、そのような容器は、1マイクロリットル未満を使用する今日のより高度な試験片で必要とされる、より少量の分配において、あまり正確でないものとなっている。
【0004】
いくつかの市販の試験片の試料体積の要件が、マイクロリットル未満の水準に達しているため、過剰量の対照溶液が現在の先細の分配先端部によって分配されて、ユーザーに不便さ及び不快さを生じることがある。対照溶液のボトルを圧力下に保つ一方で、大きな液滴を正確に試験片の反応域の上に向けることは、困難となり得る。このことは、年配の患者又は器用さに問題を持つ患者に特に当てはまる。試験片は、分配された過剰な対照溶液を吸収できないため、過剰量は流出する。対照溶液は通常、写実的に血液を模倣する赤色であるため、このことは特に問題をはらんでいる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】対照溶液を収容し分配するために使用される先行技術の容器の例を示す。
【図2】キャップを取り外して示された図1の容器の拡大斜視図である。
【図3】図2の容器の線A−A’に沿った拡大横断面図である。
【図4】反転姿勢で見た図1〜3の容器の斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態による例示的な流体分配容器の側面図である。
【図6】図5の線B−B’に沿った横断面図であり、本発明による容器の内部構造の例示的な実施形態を示す。
【図7】図6に類似した横断面図であり、ここでは対照溶液がリザーバに入る反転姿勢にある容器を示す。
【図8】本発明の更なる実施形態による容器の拡大横断面図である。
【図9】本発明による、図8の分配先端部の第1の実施形態の拡大横断面図である。
【図10】本発明による、図8の分配先端部の第2の実施形態の拡大横断面図である。
【図11】本発明の更なる実施形態による容器の中を通して見た横断面図である。
【図12】特に本発明の流体分配先端部の一実施形態と協働するように設計されたキャップの例示的な実施形態の拡大横断面図である。
【図13】特に本発明の分配先端部の更なる実施形態と協働するように設計されたキャップの更なる例示的な実施形態の拡大横断面図である。
【0006】
〔発明および好適な実施形態の詳細な説明〕
以下の説明では、本発明を、分析物濃度測定の用途という状況において、特に血中のグルコース濃度という状況において説明することにする。しかしながら、これは限定することを意図したものではなく、また、当業者には明らかなように、主題の装置、システム、及び方法は、限定するものではないが、血中コレステロールレベル、又は、限定するものではないが、尿、唾液などの他の生物学的物質を含めて、試薬の使用を伴う他の物理的及び化学的特性の測定において有用である。同様に、本発明は、正確な服用を簡便に提供することを同様に必要とする他の物質又は薬剤に関連して使用されてもよい。
【0007】
図1は、本体4と取外し式キャップ6とを含む市販の流体分配容器2の簡略化した斜視図である。キャップ6は、使用されていない間は、図1には図示されないが、分配先端部を清浄に保つために、所望により本体4にネジ止め又はスナップ嵌めされ得る。キャップ6はまた、保管又は輸送の間に流体が容器から流出又は漏出するのを防止するのに役立つ。容器2は、典型的には約3mL〜5mLの範囲の多量の液体対照溶液を保持するものであり、約100回〜200回の投与を供給し、通常ユーザーに約3ヶ月間、継続使用させるものである。
【0008】
容器本体4は、変形可能なプラスチックで構成されていてもよい。しかしながら、例えばガラスなど、他の好適な容器材料が容器本体4に考えられ、したがって包含されることが意図される。「容器」という用語が全体を通じて用いられるが、ボトル又はビンなどの他の用語が同じ意味で用いられてもよく、したがって、本願において「容器」という用語に包含されることが意図される。また、主として、対照溶液を分配するための使用法について本明細書で説明するが、そのような容器が対照溶液以外の液体を分配するために使用されてもよいことは、当業者には明らかとなろう。
【0009】
図2は、図1の容器2の拡大斜視図であり、ここでは突出するネック部分10が現れるようにキャップ6を容器本体4から取り外して示されており、ネック部分10は、キャップ6を受容するように設計された所望によるネジ山12と、先端に位置する小さな分配出口14を含むノズル形状の分配先端部8と、を有している。図3は、図2の先行技術の容器2の線A−A’における拡大横断面図であり、分配される流体を収容する内部空洞16と、所望によるネジ山12を有するネック部分10と、ここでは内部の円錐台形構造18を現す分配先端部8とを含む容器本体4を示しており、この円錐台形構造18は、小さな出口14に通じる、次第に幅狭となるチャネル20を形成し、出口14が貯蔵用空洞16と外部環境とを直接、流体連通させている。
【0010】
図4は、図1〜3の容器2の更なる斜視図であり、容器2はここでは、対照溶液の液滴を分配する通常の使用の間に一般的となる反転姿勢にて示されている。図4は、図2及び3に関連して既に説明した同じ特徴のうちの多数を含んでおり、ノズル形状の分配先端部8の出口14から出現して示された液滴22を更に含んでいる。また、試料受容領域26を有する、簡略化した例示的な試験片24が図4に示されている。
【0011】
ここで図1〜4を参照すると、患者が対照溶液を使用しようとするとき、まずキャップ6が、典型的にはネジ回しの動作又は例えば押し引きする動作などの別の動作を用いて、容器本体4から取り外される。次いで、分配先端部8が、図4に示す姿勢など、新たな試験片24の試料受容領域26の数ミリメートル上に保たれるように、容器本体4が傾けられる。次いでユーザーは、わずかな絞り圧力を容器本体4に加えて、外部環境との流体連通をもたらす出口14を介して、容器2から対照溶液の液滴22を分配するように求められ得る。液滴22はまず出口14から出現し、次いで集積し、その後、分配先端部8の外表面領域から懸架して、表面に対する液体の固有の毛管引力によって出口14を直ちに囲む。この懸架した、あるいは懸垂する液滴は、問題となり得るものであり、これは、そのような滴は1滴でも、比較的大量の液体を含むことがあるためであり、その大量の液体はそれ自体、ごく少量を分配することが望まれる場合、問題となるものである。
【0012】
対照溶液試験を実施するために、ユーザーは次いで、試験片24の試料受容領域26に液滴22を近づける。接触すると、流体は、毛管現象によって試験片24の反応室の中に取り込まれる。
【0013】
容器2、及び容器2から対照溶液などの流体を分配するための工程は、不利なものである。第1に、容器は、長期間にわたって繰り返し開放され、それにより、対照溶液は、空気中、又は例えば汚染物質を運び得るユーザーの指などの表面上の汚濁物に、繰り返し暴露される。対照溶液のユーザーは多くの場合、器用さに欠けるため、キャップ6を不器用に取り扱い、かつ/又はキャップ6を落とし、場合によっては、キャップ6内に溜まった対照溶液を更に汚染させ、誤った試験結果を生じることがある。対照溶液が汚染されていると判断された場合、対照溶液の容器全体を破棄し、新たな容器を開封しなければならず、ユーザーにかかるコストが増加する。
【0014】
加えて、そのような比較的多量の対照溶液が提供されるので、対照溶液の大部分が使用される前に、対照溶液の有効性が失われ、それによって、患者を治療するコストが同様に増加するという点で、そのような先行技術による対照溶液容器2は、問題となる可能性がある。元の格納容器内で密封された対照溶液の貯蔵寿命は、通常は約1年〜2年であるが、ユーザーが容器2を開放すると、上述した汚染の問題により、貯蔵寿命はわずか数ヶ月に急激に短縮する。更に、ユーザーは、使用後にキャップ6を容器本体4に戻さないこともある。キャップ6を容器本体4に戻し忘れるのが故意であるか偶然であるかにかかわらず、分配ノズルを大気に曝したままにすると、対照溶液が蒸発し、それによって活性成分の相対濃度が変化することがあり、この相対濃度の変化が、結果として誤った値をもたらすことがある。
【0015】
また、そのような先行技術による容器2内から必要量の対照溶液を精密にかつ正確に分配することは困難である。ユーザーは、容器を過度に絞ることによって対照溶液を過剰に塗布することがあり、あるいは十分に絞らないことによって溶液を過少に付けることがあるという点で、分配される量はユーザーに大いに依存する。また、対照溶液の流体は、試験片の充満を促進するために少量の界面活性剤を含有していることがあり、界面活性剤を添加することで表面張力が低下して、対照溶液が分配先端部8の側方に這い上がる傾向を呈することになり得る。これにより、ユーザーが試験片24の受容域26に対照溶液を正確に向けることは、更に困難となり得る。
【0016】
図5は、本発明の一実施形態による例示的な流体分配容器100の側面図である。図5の流体分配容器は、容器本体102と、所望によるネジ山106を有するネック部分104と、ノズル形状の分配先端部108と、スリーブ110と、を含む。図5の線B−B’は、図6に示す横断面図の視線を示している。図示しないが、容器100は、図1に示すキャップ6と類似したキャップを含むと予想され、そのキャップは、ネジ106によって容器本体102のネック部分104に所望によりネジ嵌めされてもよいが、例えば押込み嵌めなど、キャップを取り付ける別の手段が当業者には明らかとなろう。
【0017】
図6は、図5の線B−B’に沿った横断面図であり、ここでは容器100の内部構造の例示的な実施形態を示しており、この容器100は、容器本体102と、所望によるネジ山106を有するネック部分104と、ノズル形状の又は先細の分配先端部108と、スリーブ110と、空洞領域112と、狭く先細となる円錐台形の内部チャネル114と、小さな出口116と、出口116を囲むリザーバ領域118と、を含む。リザーバ118は、スリーブ110の境界によって形成されている。
【0018】
図7は、図6に類似した横断面図であり、ここでは、対照溶液の滴を分配するための、容器100の通常の使用の間に一般的となる反転姿勢にて示されている。図7は、図5及び6に関連して先に説明した同じ要素のうちの多数を含んでおり、その他にもここでは、容器本体102の空洞112内に液体120が存在することを示している。
【0019】
ここで図5、6、及び7を参照すると、目的は、流出を生じることなく、試験片を充満するのに必要な適切な流体体積を提供することである。従来の容器からの対照溶液の分配をユーザーで制御することに対する改善が、例えば円筒状チューブの小片などのスリーブ110を分配先端部108に取り付けることによって達成され得る。スリーブ110を設けることにより、予め決められた一定の容量のリザーバ118が設けられ、必要量の対照溶液を分配することがより容易となる。加えて、スリーブ110によって、図4を参照して議論したような、懸滴についての必要性がなくなるため、スリーブ110は、対照溶液の塗布をユーザーにとってより容易なものにすることができる。
【0020】
実際に、スリーブ110で包囲された出口116の周りのリザーバ領域118を充満するために、ユーザーは容器を穏やかに絞るだけでよい。ユーザーはこのことを、容器100を上向きの姿勢に保ちながら達成することができるが、これは、容器本体102を穏やかに絞るだけで、対照溶液をチャネル114に通し、出口116を通じて外へ押しやることができるからである。実質的に上向きの姿勢で使用することにより、ユーザーは、対照溶液がリザーバ領域118の中に移動し、リザーバ118を充満させるのをはっきりと見ることが可能となる。別法として、ユーザーは、流体120を幅狭の先細チャネル114に通し、出口116を通じて外へと分配するために、図7に示すような、ほぼ反転した姿勢へと容器100を傾けて、流体がリザーバ領域118内に達するようにしてもよい。次いで、必要体積の対照溶液の流体120が、毛管現象によってスリーブ110の境界内に保持される。リザーバ118の容積を試験片に必要な体積と一致させることにより、本発明は、対照溶液の浪費を削減している。
【0021】
スリーブ110は、ユーザーがスリーブ110の端部を試験片24の受容部分26に接触させるまで、対照溶液120が中に充満し毛管現象によって保持され得る拡大ゾーン又はリザーバ領域を提供する。試験片24の試料受容部分26とリザーバ領域118の縁部とが接触すると、対照溶液は毛管現象によって試験片24に引き込まれる。リザーバ領域118は、試験片を充満させるのに必要な体積の対照溶液のみを保持するように、寸法が決められている。試験片が対照溶液と流体連通すると、試料の充満が毛管現象によって達成され、したがって、対照溶液が流出する可能性が減じられる。
【0022】
分配先端部108に取り付けられた簡潔なスリーブ110内に、拡大ゾーン又は「リザーバ」領域118を設けることにより、必要体積の対照溶液を一時的に貯蔵することが可能となっている。これにより、ユーザーにとって塗布手順が簡潔になると共に、要求される器用さが最小限となっている。
【0023】
図8は、本発明の更なる実施形態による容器200の拡大横断面図であり、この容器200は、容器本体202と、所望によるネジ山206を有するネック部分204と、一体型の分配先端部208と、出口216に通じる幅狭の先細チャネル214と、拡大リザーバ領域218と、を含む。図8は、対照溶液などの液体の分配に使用するのに好適な、本発明の更なる例示的な実施形態による容器200を示している。この実施形態によれば、分配先端部208は一体に製作されてもよく、それによって、図5〜7に関連して説明した追加の又は別個のスリーブ要素110が除かれる。一体型で製作することには、例えば、複雑さ、時間、及びコストの削減など、多数の利点が存在し得る。分配先端部208は、適切な技術、例えば射出成形を用いて製造されてよい。そのような技術はまた、大量生産性という利点をもたらす。
【0024】
図8の分配先端部208は、出口216によって外部環境と流体連通する(図6及び7のチャネル114と類似した)幅狭の先細内部チャネル214を組み込んでいる。この実施形態において、チャネル214は、流体出口216の軸線に対して同心に心合わせされた環状体であってもよい。ユーザーによって容器本体202の外表面に圧力が加えられることにより、流体が出口216を通じて出現し、拡大リザーバ領域218に充満する。拡大開口部218のおおよその寸法は、幅狭の内部チャネル214の寸法よりも約5倍〜20倍大きくてもよい。本発明によれば、拡大リザーバ領域218は、ユーザーが対照溶液の試験を実施するために、試験片の受容領域を充満させるのに必要な体積の対照溶液を収容するように設計される。
【0025】
図8は、四角い形状の拡大リザーバ領域218を示しており、更に詳細な情報は図9及び10に関連して示されている。図11は、類似した、ただし丸形又は半円形の形状の拡大リザーバ領域318を示している。図8及び11に示す例示的な実施形態は、単に本発明の実施形態について説明することを意図したものであり、また、当業者には明らかなように、拡大リザーバ領域の任意の寸法及び形状、例えば、円筒形、円錐形、又は半球形のリザーバが考えられ、したがって本発明に含まれるように意図されている。
【0026】
図9は、図8の分配先端部208の拡大横断面図であり、この分配先端部208は、流体出口216と、直径d及び高さhを有する拡大リザーバ領域218と、を含む。図10は、図8の分配先端部208の拡大横断面図であり、この分配先端部208は、出口216と、直径d及び高さhを有する拡大リザーバ領域218と、を含む。
【0027】
図9及び10は、本発明による図8の分配先端部208に関する2つの例示的な実施形態を示しており、その相違は、拡大リザーバ領域218の相対的な直径(d)及び高さ(h)の寸法にある。図9は、約1mm〜4mmの範囲の、より一般的には約2mmの直径d、及び、約1mm〜2mmの範囲の、より一般的には約1.6mmの高さhを有し得る拡大リザーバ領域218を示している。そのような寸法は、約5μLの容積容量をもたらすものであり、また、より少量を又はより多量を収容するように適切に寸法を決めてもよい。
【0028】
図10に示すリザーバ領域218の第2の実施形態は、約1mm〜5mmの範囲の、より一般的には約3mmの直径d、及び、約0.5mm〜1.5mmの範囲の、より一般的には約0.7mmの高さhを有する。第2の実施形態の寸法はまた、特に約5μLの対照溶液を保持するように設計されている。
【0029】
図9と10の双方に示した分配先端部の実施形態はそれぞれ、ユーザーが試験に取りかかる準備を整え、したがって新たな試験片の試料受容部分に対してリザーバ領域218の縁部を接触させ、毛管現象によって試験片の反応室の中に流体が引き込まれるようにするまで、十分な量の対照溶液を一時的に保持する。リザーバ領域218は流体を一時的に保持し、ユーザーは試験片を上向きの姿勢の容器と接触させることができ、あるいは別法として、ユーザーは、対照溶液を試験片の上に分配するのが最も楽となる好適な角度に容器を反転させることを選んでもよい。明らかなように、本発明の更なる利点は、上向きの容器を使用して対照溶液を分配できることである。
【0030】
対照溶液又は他の液状剤が使用される用途に応じて、本発明の拡大リザーバ領域の容積は、特異的に設計されることができ、約100nL〜200μLの範囲に及ぶことができる。分析物の検出、また例えば血糖の測定のために試験片センサー上で使用される対照溶液に対し、リザーバ容量は通常、約1μL〜20μLの範囲に及ぶ。拡大リザーバ領域の直径は、したがって、典型的には約1mm〜10mmの範囲内、より典型的には約2mm〜4mmの範囲内にあってもよい。同様に、拡大リザーバ領域の深さ(あるいは、図9にh及び図10にhで示す「高さ」)は、典型的には約0.5mm〜5mmの範囲内、より典型的には約1mm〜2mmの範囲内にあることが可能である。値の範囲が設けられる場合、その範囲の上限と下限との間にあるすべての値、及び、任意の他の明示された値又は明示された範囲の間にある値は、本発明に包含されることを理解されたい。
【0031】
図11は、本発明の更なる実施形態による容器300の横断面図であり、この容器300は、容器本体302と、(所望による)ネジ山306を有するネック部分304と、分配先端部部分308と、小さな流体出口316に通じる幅狭の先細内部チャネル314と、拡大リザーバ領域318と、を含む。図11の容器300は図8の容器200と類似しているが、いくつかの相違点がある。第1の相違点は、流体分配出口を囲むそれぞれの拡大リザーバ領域の形状にある。図11の拡大リザーバ領域318の実施形態は、湾曲した又は半球形の形状をなすように示されているが、図8、9、及び10の例示的な実施形態における拡大リザーバ領域218の形状は、主として正方形又は長方形となるように示されている。リザーバ領域の両形状、並びに、当業者によって考えられる他の形状は、ユーザーが、分析物試験システムの精度及び有効性を確認するために、対照溶液の液滴を試験片の試料受容領域に塗布する準備を整えるまで、少なくとも一時的に、毛管現象によって必要体積の対照溶液を保持できるものである。
【0032】
理解されたいこととして、図9、10、及び11に示す分配先端部の形状は、容量及び断面積の点で好適な形状を例示するものであるが、当業者には明らかなように、容積に関しては、任意の適切な3次元形状、例えば、球形、楕円形、放物体、円筒形、円錐形などが用いられてよく、また、横断面積に関しては、任意の適切な2次元形状、例えば、長方形、三角形、楕円形、平行四辺形などの四辺形、五角形等の多角形などが用いられてよい。
【0033】
図11の容器300と図8の容器200との第2の主な相違は、所望により、それらの製造にある。容器200の分配先端部208は、所望により容器本体202及びネック領域204とは別に製造される、別の成形可能な構成要素として示されているのに対して、容器300の分配先端部308の領域は、単一の要素として成形されてもよく、すなわち、例えば容器本体302及びネック領域304と組み合わされてもよい。容器300を単一の部品として成形することにより、容器並びに製造及び組立てプロセスの複雑さを減じることができる。当業者には明らかなように、本発明を組み込んだ容器の製作手順における相違は想像できるものであり、したがって本願に含まれるように意図されている。
【0034】
図12は、特に本発明の流体分配先端部402の実施形態と協働するように設計されたキャップ408の例示的な実施形態の拡大断面図400であり、このキャップ408は、流体出口404と、直径d及び高さhを有する拡大リザーバ領域406と、対応する深さpを有するキャップ内部突出部410と、を含む。
【0035】
図13は、特に本発明の流体分配先端部502の実施形態と協働するように設計されたキャップ508の更なる例示的な実施形態の拡大断面図500であり、このキャップ508は、流体出口504と、基礎直径d及び高さhを有する円錐形状の拡大リザーバ領域506と、対応する深さpを有するキャップ内部突出部510と、を含む。
【0036】
図12及び13は、本発明による分配先端部設計の例示的な実施形態を示しており、ここでこの設計は、特に先端部開口部を密封するように設計された容器キャップ(それぞれ品目410及び510)内に相補的な(complimentary)特徴を組み込むと共に、輸送の間にも容器が液密となるようにし、保管を確実なものにしている。一実施形態において、キャップ突出部410、510は、密封を確実にするために、それぞれ分配先端部部分402、502との、雄雌構造の協働関係を有してもよい。
【0037】
図12及び13から分かるように、内部突出部410及び510は、特に、協働する分配先端部の受容部分、拡大リザーバ領域406及び506とそれぞれ連結するように設計されている。拡大リザーバ領域406及び506は、突出部410、510を受けるように寸法及び形状が決められている。図12が示すこととして、拡大領域406の寸法及び形状は、対照溶液を試験センサーに塗布する準備をユーザーが整えるまで、特に、適切な体積の対照溶液を保持するように設計されているだけでなく、内部突出部410と協働して、確かでかつ信頼できる密封を確実にするための手段を提供し、それによって、使用されていない間に対照溶液が容器から漏出する可能性を実質的に排除している。内部突出部の深さpは、拡大リザーバ領域406の高さhと協働し、リザーバ領域406の直径dもまた、内部突出部410の対応する直径と協働する。したがって、対照溶液の容器が使用されていないとき、キャップ408は容器本体に固定されて、主に容器本体の分配先端部部分402と接触することができる。内部突出部410は、リザーバ領域406に滑り嵌めされ、それによって流体出口404上に確かな密封を形成する。
【0038】
同様に、図13は、円錐形状の内部突出部510の深さpを示しており、この深さpは、リザーバ領域506の高さhに対応している。したがって、ユーザーが、分配先端部502において対照溶液の容器にキャップ508を取り付けると、突出部510はリザーバ領域506によって受容され、確かな密封を流体出口504全体にわたって形成する。図12及び13は、特定の設計の密封機能を組み込んだ容器キャップの例示的な実施形態を示している。
【0039】
本発明は、液体溶液を収容し分配するための装置を含む。液体溶液は、いかなる種類の薬剤、試薬、又は対照溶液であってもよい。多種多様な液体が様々な種類の用途及び環境で用いられるため、本発明のシステムで使用され得る、考えられるすべての液体を列挙することは、本開示の範囲を越える。しかしながら、主題のシステムは、高頻度又は低頻度の使用で液体の1回分の服用を必要とする任意の用途で使用され得る。以下の主題の方法を説明する必要上、液体は、生理液の試料中の分析物濃度を測定するための、システムの性能評価用の対照溶液である。そのような対照溶液の例が、米国特許第5,187,100号及び同第5,605,837号において開示されており、これらの特許のすべての内容が本願に組み込まれる。
【0040】
試料体積の制御が容易となり、したがって試料の塗布が容易となり、対照溶液の試験手順においてユーザーが自信を高めることを含めて、本発明によって多数の利点がもたらされる。また、必要体積に近い体積の対照溶液を与えることだけで、試料の漏出又は分配先端部の側部上方への流体の移動を最小限にすることも、本発明の分配先端部の目的である。更に、対照溶液試験が実施されるごとに、その体積の流体が、少なくとも一時的に分配先端部の拡大領域に集まった状態に保持され、適切な試料体積の確保が支援される。
【0041】
本明細書に示す流体分配先端部の例示的な実施形態は、ユーザーが試験センサーの試料受容領域に試料を向けるのを容易にする。また、試料の塗布が改善されることにより、偶発的な漏出の後始末をする必要性が実質的に排除される。本発明の流体分配先端部はまた、ユーザーが器用である要件を最小にし、対照溶液の試験手順を容易にする。加えて、協働的なキャップ設計により、非使用時にも輸送及び貯蔵の間にも容器が液密に維持されることが確実となる。
【0042】
また、本発明の分配先端部を組み込んだ対照溶液容器は、未使用の対照溶液が汚染される危険性を減じ、それによってより信頼性の高い測定システムを提供することができ、加えて、貯蔵寿命を最大にすることにより、ユーザーにとって更に費用効果的なものとなる。汚染された対照溶液は、不正確な結果を生じることがあり、廃棄されるべきである。
【0043】
〔実施の態様〕
(1) 分配先端部と、前記分配先端部から分配される液体を収容するための中空内部とを有する、変形可能な容器本体と、
液滴の通過を可能にする出口に通じた先細内部チャネルと、
前記出口を囲むリザーバであって、所定体積の液体を保持するように寸法が決められた、リザーバと、を備える、液体分配容器。
(2) 前記リザーバ領域が、約1.0mm〜10.0mmの範囲の直径、及び約0.1mm〜5.0mmの範囲の深さを有する、実施態様1に記載の容器。
(3) 前記リザーバ領域が、約2.0mm〜4.0mmの範囲の直径、及び約1.0mm〜2.0mmの範囲の深さを有する、実施態様1に記載の容器。
(4) 液体の前記所定体積が約100nL〜200μLの範囲にある、実施態様1に記載の容器。
(5) 液体の前記所定体積が約1μL〜20μLの範囲にある、実施態様1に記載の容器。
(6) 前記リザーバが前記容器本体から取外し可能である、実施態様1に記載の容器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分配先端部と、前記分配先端部から分配される液体を収容するための中空内部とを有する、変形可能な容器本体と、
液滴の通過を可能にする出口に通じた先細内部チャネルと、
前記出口を囲むリザーバであって、所定体積の液体を保持するように寸法が決められた、リザーバと、を備える、液体分配容器。
【請求項2】
前記リザーバ領域が、約1.0mm〜10.0mmの範囲の直径、及び約0.1mm〜5.0mmの範囲の深さを有する、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記リザーバ領域が、約2.0mm〜4.0mmの範囲の直径、及び約1.0mm〜2.0mmの範囲の深さを有する、請求項1に記載の容器。
【請求項4】
液体の前記所定体積が約100nL〜200μLの範囲にある、請求項1に記載の容器。
【請求項5】
液体の前記所定体積が約1μL〜20μLの範囲にある、請求項1に記載の容器。
【請求項6】
前記リザーバが前記容器本体から取外し可能である、請求項1に記載の容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2011−501722(P2011−501722A)
【公表日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530096(P2010−530096)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際出願番号】PCT/US2008/080092
【国際公開番号】WO2009/052243
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(510108582)ライフスキャン・スコットランド・リミテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】LifeScan Scotland, Ltd.
【住所又は居所原語表記】Beechwood Park North, Inverness, Inverness−shire  IV23ED, UK
【Fターム(参考)】