説明

リシール性を有する密封容器

【課題】レトルト殺菌や、高速充填、熱間充填(無菌充填)等にも対応可能な優れた密封性を有すると共に、リシールも可能な密封容器を提供することである。
【解決手段】少なくとも底部2及び側壁部3から成る容器1と、少なくとも該容器の開口部を覆う頂板部11と頂板部11の周縁から垂下し容器側壁部に嵌合するスカート部12から成る蓋10とから成り、前記容器側壁部3と蓋のスカート部12が、該スカート部の下方で全周にわたってレーザ溶着Lされている密封容器において、前記蓋のスカート部12には、破断可能な弱化部15,16により区画され、レーザ溶着部よりも上方に位置し且つ周方向に延びる周方向部分15a,16a、及び該周方向部分15a,16aの少なくとも一方の端部B又はCから下方に延び且つレーザ溶着部Lをまたぐ軸方向部分15b,16b又は15c,16cから成る切り取り領域Rが形成されており、該切り取り領域Rを取り除いた後に、切り取り領域が形成されていない部分18が蓋10と容器1のヒンジ部となることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ溶着により密封され、リシール性を有する密封容器に関するものであり、より詳細には、開封が容易であると共に、優れた密封性を有し、レトルト殺菌、高速充填、熱間充填等にも対応可能な密封容器に関する。
【背景技術】
【0002】
容器を蓋材で密封する方法としては、一般に容器及び蓋材の当接面に接着剤を施して接着する方法のほか、容器及び蓋材の当接面をヒートシール性樹脂から形成し、ヒートシールにより溶着させて密封することが行われており、ヒートシールによる溶着は、簡便な方法であることから一般的に広く採用されているが、熱溶着工程、及びその後に行われる冷却工程に時間がかかるため、生産効率の向上が望まれている。
またヒートシール部が冷却され、完全に密閉されるまでに所定の時間がかかるため、特に自生圧力を有する内容物を充填する場合や熱間充填する場合などでは、シール熱で熱膨張したヘッドスペースの気体が溶融状態のシール部から逃げることで、シール剥離を発生するおそれもある。
更に、特に飲料等の液体を充填するための容器においては、一旦開封した蓋により再度密封できることが要求されており、ヒートシールによる蓋ではリシール性を確保することができない。
【0003】
一方、容器及び蓋材等の溶着方法としては、従来よりレーザによる溶着も知られており、例えば、下記特許文献1には、容器本体に底蓋及び上蓋をレーザ溶着により溶着して一体化することが提案されている。
このようなレーザ溶着による包装体の部材の溶着においては、ヒートシールの場合に比して、レーザビームを照射した後すぐ溶着されるため、溶着に要する時間が短縮されている。また、レーザ溶着による容器及び蓋材の密封方法においては、レーザビームの照射方向によって、容器側壁部の外面側、内面側、或いはフランジ部等種々の溶着箇所を選択することができ、形状に制約を受けることなく確実に溶着を行うことが可能であり、優れた密封性を容器に付与することが可能になり、レトルト殺菌や、高速充填、熱間充填(無菌充填)等にも対応可能な容器を提供することができる。
【0004】
【特許文献1】特開2000−128166号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、蓋をレーザ溶着によって容器に固着する場合、レーザ溶着による部分は強固に接着されているため、易開封性を確保するためにはレーザ溶着部よりも上部においてスコア等の弱化部、把持部及び把持部近傍に破断開始の手がかりとなるスリットを形成する必要があり、レトルト殺菌等にも対応可能な高い密封性を確保することが困難である。
従って本発明の目的は、レーザ溶着により、レトルト殺菌や、高速充填、熱間充填(無菌充填)等にも対応可能な優れた密封性を有し、易開封性を有すると共にリシールも可能な密封容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、少なくとも底部及び側壁部から成る容器と、少なくとも該容器の開口部を覆う頂板部と頂板部の周縁から垂下し容器側壁部に嵌合するスカート部から成る蓋とから成り、前記容器側壁部と蓋のスカート部が、該スカート部の下方で全周にわたってレーザ溶着されている密封容器において、前記蓋のスカート部には、破断可能な弱化部により区画され、レーザ溶着部よりも上方に位置し且つ周方向に延びる周方向部分、及び該周方向部分の少なくとも一方の端部から下方に延び且つレーザ溶着部をまたぐ軸方向部分、から成る切り取り領域が形成されており、該切り取り領域を取り除いた後に、切り取り領域が形成されていない部分が蓋と容器のヒンジ部となることを特徴とする密封容器が提供される。
【0007】
本発明の密封容器においては、
1.切り取り領域の2つの軸方向部分の少なくとも一方の下端には、破断可能な弱化部を切り裂くための把持部が形成されていること、
2.蓋が、落とし蓋形状であり、容器側壁部上部内面と密着する内側壁を有すること、
3.蓋が、容器側壁部上部内面と密着するインナーリングを有すること、
4.少なくともレーザ溶着部において、容器又は蓋の一方が着色されていること、
5.少なくともレーザ溶着部において、容器又は蓋の一方が、中間層が着色された多層構造であること、
が好適である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の密封容器においては、容器及び蓋を固着するレーザ溶着部よりも上方にスリット等が形成されておらず、密封性、特に液密性に優れており、レトルト殺菌や、高速充填、熱間充填(無菌充填)等にも対応することができる。
また本発明の密封容器においては、開封のために形成される弱化部がレーザ溶着部をまたいでいるにもかかわらず、容易に弱化部で区画される切取領域を取り除くことができ、易開封性にも優れている。
更に、一旦開封された後、リシールが可能であり、しかもリシール時の密封性にも優れているため、飲料等の液体にも好適に適用可能な密封容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の密封容器の一例の一部断面図である。
【図2】図1に示す本発明の密封容器の密封状態の斜視図である。
【図3】図1に示す本発明の密封容器が開封された状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1乃至3に示す、本発明の密封容器は、概略的にいって容器1及び蓋10から成り、容器1は、底部2及び側壁部3から成っており、側壁部3の上方外面には、環状突起4が形成されている。
一方、蓋10は、容器開口部を覆う頂板部11及び該頂板部11の周縁から垂下するスカート部12から成り、頂板部11には、容器口部の側壁部内面5と密着する内側壁13及び該内側壁13の下端に位置する天面14から成るくぼみが形成されており、落とし蓋形状を構成している。
容器1と蓋10は、容器1の側壁部3に形成された環状突起4の部分で全周にわたってレーザ溶着され、密封される。前記レーザ溶着される部分は、図1においてレーザ溶着部Lで示されている。
本発明の密封容器においては、蓋10のスカート部12において、2本の破断可能な弱化部15及び16で区画される切取領域Rが形成されている。この2本の破断可能な弱化部15及び16は、レーザ溶着部Lよりも上部に位置する周方向に延びる周方向弱化部15a,16a、及びこの周方向弱化部15a,16aの両端部B及びCからそれぞれ下方に延び且つレーザ溶着部Lをまたぐ軸方向弱化部15b,16b及び15c,16cから成っている。
【0011】
軸方向弱化部15b,16b及び15c,16cでそれぞれ区画される切取領域下端には、それぞれ把持部17b,17cが形成されている。
また軸方向弱化部15b,16b及び15c,16cでそれぞれ区画される切取領域Rの間は、後述するように、切取領域Rを取り除いた後に、容器1と蓋10の連結部(ヒンジ部)18となり、この連結部18の反対側の周方向弱化部15aよりも上方のスカート部には、切取領域Rを取り除いた後に、蓋を開封するための摘み19が形成されている。
【0012】
図1及び2について説明したとおり、本発明の密封容器は、把持部17b又は17cの何れか一方を把持し、これを上方に引き上げて、軸方向弱化部15b,16b又は15c,16cを引き裂く。この際、軸方向弱化部15b,16b及び15c,16cで区画される切取領域Rは、レーザ溶着部Lにより容器1と接着されているが、本発明においては、例えば、軸方向弱化部15b,16b又は15c,16cで区画される切取領域の幅を小さくすること等、後述する方法によってレーザ溶着部の剥離に要する強度が弱められているので、レーザ溶着された部分であっても剥離することができる。
軸方向弱化部15b,16b又は15c,16cの引き裂き後、引き続き周方向弱化部15a,16aを引き裂き、更に他方の軸方向弱化部を同様に引き裂くことにより、切取領域Rを蓋から取り除くことが可能になる。切取領域Rが取り除かれると、図3に示すように、溶着部Lは容器スカート部12に残ると共に、蓋10は連結部18で容器1と一体性を確保している。上述したように、切取領域Rを取り除いた後の蓋10のスカート部12’には、連結部18と相対する位置に摘み19が形成されているので、この摘み19を手がかりに蓋10を上方に押し上げると、連結部18がヒンジとしての機能を発揮して、蓋10の開閉が可能になる。
【0013】
図1乃至3に示した本発明の密封容器においては、開封前、すなわち切取領域Rを取り除く前においては、容器1と蓋10は、環状のレーザ溶着部により完全に液密性を保持可能な密封性を発現できる。また切取領域Rを取り除いた後においても、蓋10の頂板部に形成された内側壁13が容器1の側壁部2の上部内面と圧着し、十分な密封性を有しているので、リシール性も確保されている。
【0014】
本発明の密封容器においては、レーザ溶着部よりも上方に位置する破断可能な弱化部は、レトルト殺菌などにも耐え得る液密性を確保するために、完全に蓋部材を貫通するスリットを有しないことが望ましく、スコア等の薄肉部であることが望ましい。
また軸方向弱化部15b,16b及び15c,16cの下端且つ把持部17b,17cの近傍には、スリットが形成されていることが好ましく、これにより破断開始が容易になる。
更に、図1乃至3に示した具体例においては、周方向弱化部15a,16aの両端部に軸方向弱化部15b,16b及び15c,16cが形成されていたが、必ずしも両端に形成する必要はなく、いずれか一方であってもよく、この場合、切取領域Rを取り除くことができるように、軸方向弱化部が形成されてない周方向弱化部の端部と溶着部の間に弱化部を形成しておくことが好ましい。
周方向スコア15a,16aによって区画される切取領域の軸方向の幅は容器の大きさ、蓋の材質或いは蓋のスカート部の長さにもよるが、2乃至5mmの範囲にあることが好ましく、周方向長さは蓋スカート部の全周の長さの92乃至98%の範囲にあることが好ましい。これにより、切取領域Rを確実且つ容易に取り除くことができると共に、切取領域Rを取り除いた後の連絡部18の強度等も確保することができる。
【0015】
本発明の密封容器に用いる容器は、図1乃至3に示した、横断面の形状がカップ型容器に限定されず、横断面の形状が四角形、楕円形等の形状を有するトレイ型等、種々の形状を採用することができる。
また本発明の密封容器は液密性に優れているので、飲料等の液体にも好適に使用できるため、容器開口部の口径が小さいボトル形状のものであってもよい。
更に、図1乃至3に示したように、落とし蓋形状のものに限定されず、インナーリングにより開封後の液密性を保持するものであっても勿論よいし、頂板部から円柱状の側壁部が垂下する栓タイプのものであってもよい。また容器側壁の外面と密着することにより、液密性を保持するものであってもよい。
【0016】
図1乃至3に示す具体例においては、容器側壁に環状突起を形成することにより、容器及び蓋を互いに押圧し合う位置関係で固定することができるため、レーザ溶着を容易に行うことが可能になる。勿論、環状突起の形成の代わりに、容器口部の外径Doと蓋の内径diの関係を、Do>diとして、容器及び蓋が互いに押圧し合う位置関係にしてレーザ溶着しても勿論よい。
また図1乃至3に示した具体例では、環状突起は容器側壁部外面に形成されていたが、蓋のスカート部内面に設けられていてもよい。
更に図1乃至3では、形成される環状突起は縦断面の形状が半円形のものが一条形成されていたが、勿論これに限定されるものではなく、縦断面の形状が三角形状のものの他、四角形状等であっても良いし、その個数も複数であってもよい。
【0017】
また前述した通り、レーザ溶着により密封された部分は、一般に容易に剥離することができないが、前述した通り、本発明の密封容器においては、軸方向弱化部15b,16b及び15c、16cで区画される切取領域とレーザ溶着部Lの重複部分における周方向の幅、或いは軸方向の幅を狭め、接着面積を小さくすることによって、剥離強度を弱めることができる。
具体的には、軸方向弱化部15b,16b又は15c、16cで区画される切取領域の周方向幅が溶着部の全周の4%以下であること、或いは軸方向弱化部15b,16b又は15c、16cで区画される切取領域の溶着部との重複部分の軸方向距離が、切取領域の軸方向幅の60%以下であることが好ましい。
【0018】
本発明の密封容器を構成する容器及び蓋は、容器口部に蓋を被せ、容器側壁部外面及び蓋スカート部内面を密着して、レーザ照射により発熱して両者を溶着して密封するものであることから、少なくとも溶着部分のレーザビームの入射側、すなわち蓋がレーザビームを透過可能な透明或いは半透明であることが必要であると共に、レーザビームを熱に変換するために溶着部分の界面及び/または界面近傍に発熱部が設けられていることが必要であり、また容器及び蓋の溶着される部分のそれぞれの樹脂が同種の樹脂であることが好適である。
レーザビームを透過可能な透明或いは半透明の層を形成し得る樹脂としては、従来包装容器に用いられていた熱可塑性樹脂を用いることができるが、レーザ透過率が70%以上、特に80%以上の熱可塑性樹脂であることが好適であり、このような熱可塑性樹脂としてはオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂等を挙げることができる。レーザ透過率は、使用するレーザ光の波長に対応する光について分光光度計を用いて透過率を測定し求めることができる。
尚、レーザ透過率は、同一の熱可塑性樹脂であっても、層の厚みによって異なるものであり、本発明においては、後述する容器或いは蓋(環状突起を含む)が採りうる厚みの範囲内において70%以上の透過率を有することを意味するものである。
【0019】
またレーザ溶着部分は、上述したレーザビームを透過可能な樹脂の中でも、低−、中−、高−密度のポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体、ポリブテン−1、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン−1共重合体、プロピレン・ブテン−1共重合体、エチレン・プロピレン・ブテン−1共重合体等のオレフィン系樹脂等を用いることが望ましく、特に融点が160℃以下の熱可塑性樹脂を用いることが容易に溶着できるので好適である。
発熱部は、容器或いは蓋の何れか一方に形成されていればよいが、特に容器のレーザ溶着部(環状突起)の界面及び/または界面近傍に形成されていることが溶着効率の点から好ましい。発熱部を構成し得るものとしては、金属箔や金属板等の金属、黒色等の着色塗料から成る塗膜、或いは鉄粉等の酸素吸収剤やカーボンブラック等を含有した樹脂、或いは溶着部自体をレーザ照射により自己発熱可能なポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等を挙げることができるが、生産性等の点から熱可塑性樹脂から成る着色層とすることが好適である。
【0020】
上記発熱部を有する材料としては、レーザビームを透過可能でレーザ溶着可能な熱可塑性樹脂から成る層及び発熱部となる層から成る少なくとも2層を有する積層体が、別途発熱部を形成する必要がないので好適に使用できる。これに限定されないが、例えば、レーザビームを透過可能でレーザ溶着可能な熱可塑性樹脂から成る外層又は内層、及びポリアミド樹脂、鉄系酸素吸収剤含有樹脂或いはアルミニウム箔等の発熱部となる中間層の3層構成等の多層構造を有していることが特に好適である。勿論、溶着部分に黒色の塗膜を形成する等、溶着部分のみに別途発熱部を形成することもできる。また容器を樹脂被覆金属板から成形してもよい。
【0021】
レーザビームを透過可能な層の厚みは、5乃至500μm、特に20乃至100μmの範囲にあることが好ましい。上記範囲よりも厚みが薄い場合には、確実な溶着を行うことができず、一方上記範囲よりも厚みが厚い場合には、レーザビームを通常の条件で発熱部に到達させることが困難になり、やはり確実な溶着を行うことができない。
レーザビームを透過可能な層以外は、容器及び蓋の積層構造、包装体の形態、或いは用途によって適宜設定することができ、一概に規定することができないが、例えば、蓋がレーザビームを透過可能なオレフィン系樹脂の単層から成り、容器が外面側から順に、オレフィン系樹脂(レーザ透過溶着部)/着色剤含有オレフィン系樹脂(発熱部)/オレフィン系樹脂(内層)の積層体から成ることができる。蓋の厚みはこれに限定されないが、200乃至2000μmの範囲にあることが好ましく、容器の溶着部における厚み(環状突起を含む)は、200乃至2000μmの範囲、発熱部の厚みは25乃至300μmの範囲、外層(レーザ透過溶着部)の厚みは20乃至100μmの範囲あることが好ましい。
【0022】
上述した積層体の製造は、共押出法、共射出法、熱接着法、接着剤を用いたドライラミネーション法等従来公知の方法により行うことができる。
本発明の密封容器に用いる容器及び蓋は、フィルム及びシート状の積層材料から真空成形、圧空成形、プラグアシスト成形等の熱成形によって成形されたカップ或いはトレイ等の容器や、絞り成形、インジェクション成形等によって成形することできる。
【0023】
本発明の密封容器においては、前述した容器及び蓋を嵌合し、上部に位置する環状突起部分における当接部分を、蓋側からレーザビームを照射することにより、蓋及び環状突起の当接面を溶融密着させる。
本発明においては、前述したように、嵌合状態において、容器及び蓋に形成された環状突起の当接面が互いに押圧するような位置関係になっているので、レーザ照射に際して特別な固定具を用いる必要はないが、勿論、更に嵌合を強固にするために固定具を用いることもできる。
【0024】
本発明に用いるレーザビームとしては、ガスレーザ、固体レーザ、或いは半導体レーザ等を使用することができ、中でも半導体レーザを好適に使用することができる。
レーザ発振器の出力は20乃至150W、特に30乃至100Wの範囲にあることが好ましく、またレーザビームの波長は200nm乃至20μm、特に400nm乃至15μmの範囲にあることが好ましい。これは商業的には樹脂の透過性とレーザビームを吸収して発熱する物質の性質、およびレーザ発振器の出力、値段、安全性により決まる。
本発明においては、レーザビームのスポット径が0.2乃至3mm、特に0.5乃至2mmの範囲にあることが包装体の密閉性の点から好ましい。
またレーザビームの焦点距離は10乃至200mm、特に50乃至150mmの範囲にあることが好ましく、レーザビームを透過可能な層の厚み+30乃至70mmの範囲にあることが溶着による密閉性を確保しつつ、樹脂の劣化を防止する上で好ましい。
またレーザビームの掃引速度は、50乃至300mm/秒、特に100乃至200mm/秒の範囲にあることが、溶着による密閉性を確保しつつ、樹脂の劣化を防止する上で好ましい。
【0025】
また溶着についての条件は、溶着部分が融点以上になる発熱量を得られるならば、様々な条件で溶着が可能であり、例えば、溶着時間を短くしようとするならば、レーザ出力を上げて回転スピードを上げれば良く、高出力のレーザが使用できない状況ならば、溶着部分への照射時間を長くすればよく、容器の場合には、容器の回転スピードを落とせば良い。更に、充分に溶融できるレーザ出力が得られているならば、レーザ光径を大きくして、溶着幅を大きくすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の密封容器は、優れた密封性を有するため、レトルト殺菌や、高速充填、熱間充填(無菌充填)等が必要な内容物に特に好適に適用できる。
またリシールが可能であり、しかもリシール時の密封性にも優れているため、飲料等の液体にも適用可能な密封容器を提供することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 容器、2 底部、3 側壁部、4 環状突起、10 蓋、11 頂板部、12 スカート部、13 内側壁、14 天面、15 弱化部、16 弱化部、17 把持部、18 連結部、19 摘み。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも底部及び側壁部から成る容器と、少なくとも該容器の開口部を覆う頂板部と頂板部の周縁から垂下し容器側壁部に嵌合するスカート部から成る蓋とから成り、前記容器側壁部と蓋のスカート部が、該スカート部の下方で全周にわたってレーザ溶着されている密封容器において、
前記蓋のスカート部には、破断可能な弱化部により区画され、レーザ溶着部よりも上方に位置し且つ周方向に延びる周方向部分、及び該周方向部分の少なくとも一方の端部から下方に延び且つレーザ溶着部をまたぐ軸方向部分、から成る切り取り領域が形成されており、該切り取り領域を取り除いた後に、切り取り領域が形成されていない部分が蓋と容器のヒンジ部となることを特徴とする密封容器。
【請求項2】
前記切り取り領域の2つの軸方向部分の少なくとも一方の下端には、破断可能な弱化部を切り裂くための把持部が形成されている請求項1記載の密封容器。
【請求項3】
前記蓋が、落とし蓋形状であり、容器側壁部上部内面と密着する内側壁を有する請求項1又は2記載の密封容器。
【請求項4】
前記蓋が、容器側壁部上部内面と密着するインナーリングを有する請求項1又は2記載の密封容器。
【請求項5】
少なくともレーザ溶着部において、容器又は蓋の一方が着色されている請求項1乃至4の何れかに記載の密封容器。
【請求項6】
少なくともレーザ溶着部において、容器又は蓋の一方が、中間層が着色された多層構造である請求項1乃至4の何れかに記載の密封容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−66863(P2012−66863A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214813(P2010−214813)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】