説明

リジッドプリント配線板へのPARMOD(商標)の塗布のための拡散障壁および接着剤

特定の特性の金属粉または金属粉混合物ならびに反応性有機媒体を含むPARMOD(商標)材料は、プリント配線板基板のような電子部品上に容易にプリントまたは堆積され、低温で硬化して、導電性が高く、充分固着され、充分硬化された純金属成分を形成する。電子部品上のPARMOD(商標)コンダクターの接着性は、電子部品に塗布されたポリイミド塗膜上にPARMOD(商標)をプリントすることによって、増進される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野 本発明は、高い電気伝導度の充分に接着されたトレースを有する低温基板、特に、PARMOD(商標)組成物を、拡散障壁と接着剤とで被覆されたエポキシ−ガラスおよびポリイミド−ガラスラミネートのような温度感受性の基板に塗布することを提供する。
【0002】
発明の背景 PARMOD(商標)技術は、電子部品上に容易にプリントまたは堆積され、低温で硬化して、導電性が高く、充分固着され、充分硬化された純金属成分を形成する、新規なPARMOD(商標)組成物の使用を含む。PARMOD(商標)技術を用いれば、従来のフォトリソグラフィー、メッキおよびエッチング法に特有の有害な廃棄物生成が、完全に取り除かれる。基本的なPARMOD(商標)技術は、1999年3月16日にPaul Kydd等に発行された米国特許第5,882,722号および1998年8月27日に公開されたPaul Kydd等のPCT出願WO98/37133「電気コンダクターを製造するための低温方法および組成物("Low Temperature Method And Compositions For Producing Electrical Conductors")」に開示されている。PARMOD(商標)組成物の必須の構成要素は、1)特定の特性の金属粉または金属粉混合物および2)その中で前記金属粉混合物の固体のコンダクターへの硬化が生じる反応性有機媒体(ROM)、である。
【0003】
金属粉混合物は、金属フレーク;金属粉;および、コロイド状または半コロイド状の金属粉を含む、少なくとも2種の金属粉の混合物を含んでよい。ROMは、400℃未満の温度で対応する金属に容易に分解する金属−有機化合物からなっても、または、金属と反応してそのような化合物を生成できる有機化合物からなってもよい。例には、金属石鹸ならびに対応する脂肪酸、金属アミンおよび金属メルカプト化合物、およびそれらに対応するアミノおよびスルフィド前駆体を含む。
【0004】
これらの組成物の構成要素は適切な比率で秤量され、適切な粘稠度を提供する必要がある場合には、さらに界面活性剤や粘度調節剤が混合され、均一なプリント可能な組成物を提供するために、例えば三本ロールミルで共にミル処理を施される。
【0005】
PARMOD(商標)組成物は、なんらかの便利な技術を用いて電子部品に塗布される。スクリーン印刷およびステンシルは、高い分解能を有する比較的小さな数のリジッド基板には好適である。グラビア印刷、インプレッション印刷およびオフセット印刷は、可撓性基板上における高い生産率のためには好適である。インクジェット印刷および静電印刷は、プリントされるイメージの直接的なコンピュータ制御といったさらなる利点をもたらす。これによって計算材支援設計(CAD)ファイルから直接的に回路をプリントすることが可能となり、特別な機器の必要が取り除かれる。このため、もし所望するのであれば、コード化またはプロトタイプ化に関して、各回路は異なりうる。同じ結果は、コンピュータ制御されたディスペンシング装置を用いて、より低い生産率で達成されうる。この装置は、表面上でニードルを移動させ、ポンプまたは加圧シリンジによって供給されたプリント組成物を分配することによって、ドットまたはラインを作製する。
【0006】
PARMOD(商標)組成物は、続いて、短時間熱にさらされることによって硬化される。この時間は、基板が安全にさらされる温度によって変化するが、組成物が得うる電気伝導度の大部分を達成するためには、1分未満である。ある場合には、PARMOD(商標)組成物は、10秒未満ある温度で硬化される。
【0007】
銀および金は、空気中で硬化されうる。銅および他の貴金属でない金属は保護雰囲気を必要とする。約3ppm未満の酸素を有する窒素が、銅組成物の加工のためには好適であることが見出された。硬化工程中、しかしながら前または後ではない、における水蒸気の添加が、銅組成物を硬化するのに有益であることが見出された。
【0008】
PARMOD(商標)加工が特に有用である典型的な電子部品の種類は、電子回路部品用の基板である。これらの組成物が塗布される基板には、リジッド、ガラス繊維強化エポキシ樹脂ラミネート、可撓性回路用のポリイミドフィルム、他のポリマーを主成分とする電子部品、メタルパッドおよび半導体部品が含まれる。
【0009】
PARMOD(商標)組成物の金属への付着は、半田付けに対する必要性と同様に、一般的に清浄な金属表面を必要とする。ROM中の酸性構成要素は、付着を促進させるための溶剤として作用する。メタルパッドをメッキまたは錫メッキすることも効果的である。銅パッド上での有機性半田保護剤の使用も効果的である。半導体への付着には、組成物が適合しうる金属化が必要とされる。
【0010】
多様なPARMOD(商標)組成物が、異なる金属、異なるROM、および異なる基板を含むために発展していくにつれて、PARMOD(商標)および基板のある組み合わせが、基板へのPARMOD(商標)の付着性および硬化されたPARMOD(商標)コンダクターの導電性を低下させる結果を招くことが明らかとなった。例えば、銅PARMOD(商標)は、最低硬化温度である260℃がFR−4の能力範囲内であるにもかかわらず、エポキシ樹脂表面では適切に硬化しない。エポキシ樹脂は、硬化されているPARMOD(商標)混合物に対して、ある有害な効果を及ぼしているようである。
【0011】
本発明の目的は、PARMOD(商標)のイメージが適切に硬化し、基板に確実に固着することを可能にする、一般的に用いられているプリント配線板の基板上の接着障壁塗膜を提供することである。
【0012】
発明の要約 PARMOD(商標)混合物は、幾つかの高温基板、特に塗布されたDuPontのKaptonポリイミドフィルムに塗布されうる。PARMOD(商標)法の低温への展開により、低温エポキシ−ガラスやポリイミド−ガラスラミネートのようなリジッドプリント配線板へのPARMOD(商標)インクの潜在的な塗布がもたらされる。基板との化学的相互作用によって明らかに引き起こされている、結果として生じる回路の悪い電気特性と同様に、あるPARMOD(商標)のかような物質への貧弱な接着性は、本技術を発展させる上で障害である。
【0013】
PARMOD(商標)の基板への付着性は、発生する化学結合に加えて、物理結合を形成させるためのポリマー表面の軟化に、一部は依存しているようである。エポキシおよびポリイミドのガラス転移温度は非常に高いため、硬化温度におけるPARMOD(商標)の付着に関して、それら自身が適切な表面条件を提供しない。
【0014】
本発明は、数多くの基板上におけるPARMOD(商標)の付着性および導電性を改善する。本発明の新規な方法において、例えば回路板/基板などの電子部品は、PARMOD(商標)の塗布前に、接着拡散障壁で被覆される。例えば、可溶性ポリイミド前駆体が、エポキシ−ガラスおよびポリイミド−ガラスラミネートの双方に対して薄い塗膜として塗布される。ポリイミド塗膜は、付着性を改善することによってPARMOD(商標)が堆積する好適な表面を提供し、PARMOD(商標)硬化工程と干渉しない。接着性を増進させることに加えて、塗布されたエポキシ−ガラス基板の電気特性も、非被覆エポキシ−ガラスと比較して劇的に改善される。
【0015】
発明の詳細な説明 PARMOD(商標)組成物は、金属粉混合物および反応性有機媒体(ROM)からなる。これらの組成物は、温度感受性基板に塗布され、基板を損傷させない温度で加熱処理することにより、充分に硬化され、充分に固着された回路トレースに硬化する。PARMOD(商標)組成物は限界温度、それを超えると問題となる金属のバルク抵抗のたった2、3倍の抵抗を有する充分に硬化した電気コンダクターに変化する温度、を示す。電気導電性は、従来のセラミック基板上の厚いフィルム組成物中で、従来の高温金属粉焼結によって得られたものと同等である。驚くべきことには、この硬化プロセスは、従来の厚いフィルム技術において用いられていたものよりも低い、400から500℃の温度、かつ、焼結に要するものよりも1オーダー短い時間で起こる。
【0016】
好適な金属には、銅、銀、金、亜鉛、カドミウム、パラジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、白金、鉄、コバルト、ニッケル、インジウム、錫、アンチモン、鉛、ビスマスおよびこれらの混合物が含まれる。好ましい実施形態においては、金属粉混合物は、金属粉および/または金属フレーク、ならびにコロイド状または半コロイド状の金属粉を含み、組成物は、約60〜85質量%の金属粉混合物を含む、より好ましくは、約70〜80質量%の金属粉混合物を含む。
【0017】
金属フレークは2〜10μm、好ましくは約5μmの長寸法、および、1μm未満の厚さを有する。これらは、対応する金属粉を潤滑剤とともにミル処理をすることによる、その分野において公知の技術によって作製されうる。潤滑剤はしばしば脂肪酸または脂肪酸石鹸である。出発粉末は、所望する粒子サイズおよび純度を得るための化学的な沈殿によって通常は作製される。
【0018】
金属粉およびフレークは、幾つかの機能を発現する。それらはプリントされたイメージにおける骨格構造を形成し、それは、他の成分を共に保持し、混合物がそれを硬化するために加熱されたときに解像度の喪失を妨げる。フレークは、本来、基板の表面に平行な方向に電気導電性をもたらす石壁のような層状構造であると推測され、本発明の目的である充分に硬化された純金属コンダクターを実現するために必要な金属輸送量を減少させるための構成を提供する。それらは、低表面エネルギー、組成物の他の成分が結合し、金属が堆積しうる平滑な表面も提供する。
【0019】
本発明の他の金属粉混合物成分は、100ナノメートル未満の直径を有するコロイド状または半コロイド状の粉末である。コロイド状または半コロイド状の粉末は、好ましくは金属粉混合物の総質量に対して約5から50質量%、より好ましくは金属粉混合物の総質量に対して約10質量%存在する。これらの粉末の第一の機能は、組成物がほとんど固体の純金属コンダクターに硬化するであろう温度を低下させることにある。微細な金属粉の存在は、銀を用いてこの低温プロセスを促進させることに関し有益であり、銅混合物の硬化には必須であることが見出された。
【0020】
反応性有機媒体(ROM)は、金属粉混合物が互いに結合し、充分に硬化されたコンダクターを形成する環境を提供する。多種の有機化合物がROMとして機能しうる。それらが一般的に有し、それらを効果的にする共通の特性は、それらがヘテロ原子を通じての金属への結合を、有するまたは形成しうることである。ヘテロ原子は、酸素、窒素、硫黄、リン、砒素、セレンおよび他の非金属元素でありうり、好ましくは酸素、窒素または硫黄である。この結合は、有機成分を共に保持する結合よりも弱く、熱的に破壊され金属に堆積しうる。多くの場合には反応は可逆であるため、酸または他の有機残留物は金属と反応して以下に模式的に示されるように金属−有機化合物を再形成する。
【0021】
【化1】


【0022】
ここで、Rは反応性有機化合物であり、Mは金属である。
【0023】
そのような化合物の例は、ヘテロ原子が酸素であるカルボン酸の石鹸、ヘテロ原子が窒素であるアミノ化合物、ヘテロ原子が硫黄であるメルカプト化合物である。
【0024】
好ましいROM成分の特定の例は、カルボン酸、ならびに、銀および銅とネオデカン酸および2−エチルヘキサン酸との対応する金属石鹸、例えば式で表されるネオデカン酸銀:
【0025】
【化2】


【0026】
ここで、R1、R2およびR3は共にC919を構成する。および、式で表される2−エチルヘキサン酸銀:
【0027】
【化3】


【0028】
がある。
【0029】
アミン2−エチルヘキサン酸金は窒素化合物の例である。
【0030】
【化4】


【0031】
t−ドデシルメルカプチド金は、硫黄化合物の例である。
【0032】
【化5】


【0033】
ここで、R1、R2およびR3は共にC1123を構成する。
【0034】
これらのROM組成物は、その分野において公知の方法によって調製されうる。上記化合物の全てが、比較的低温でそれぞれの金属に分解しうる。ネオデカン酸銀および2−エチルヘキサン酸銀(オクタン酸銀)に関しては、分解温度は200から250℃の間である。対応する銅化合物に関しては、それは300から315℃の間である。金硫化物は150℃近傍の非常に低い温度で分解する。アミンオクタン酸金は300から500℃の間で分解する。銅および銀化合物は同じ温度で対応する酸から再形成され得るため、反応は上述のように可逆である。
【0035】
ある場合には、本発明の組成物のプリント特性を改善するために、その分野で公知のレオロジー増強化合物を添加することが便利である。スクリーン印刷を容易にするために、α−テルピネオールが銅および銀組成物の粘度減少のために用いられた。α−テルピネオールは、不飽和環に結合したOH基の酸特性のせいで、硬化反応にも関係する。成分および添加物を選択することによって、15センチポアズの粘度の液体インクから固体粉末までの範囲の印刷可能な組成物の範囲を作製することが可能であることが示された。
【0036】
PARMOD(商標)組成物は、スクリーン、ステンシル、グラビア印刷、ディスペンシング、インクジェット印刷および液体トナーでのエレクトログラフィック印刷によって塗布される。従来の厚いフィルムペーストを塗布するのに用いられていたスクリーン印刷が、評価用サンプルを作製するためにもっとも広く用いられた。約500ポアズの粘度の組成物が、所望するコンダクターパターンの写真定義のオープンイメージをその中に有する精緻なスクリーンを通じてゴムスクイジーによって押し込まれた。生産スクリーンプリンタは50ミクロンほど精緻なパターンを実現できるが、この方法によって実現された解像度は、おおよそ125ミクロン(5mil)のラインアンドスペースであった。テストパターンの多くは12ミクロン厚近傍であったが、50ミクロンまでの厚さの導電性トレースがプリントされた。
【0037】
金属−有機分解化合物またはそれから形成される酸が、上述の金属フレークおよびコロイド状の金属粉成分と混合され、適切な基板上に比較的薄い層としてプリントされ、金属−有機化合物の分解温度を超える限界温度にまで加熱されると、やんわりと凝集していた金属成分の、非常に減少した電気抵抗を有するほとんど固体の金属トレースへの突然の硬化を引き起こす反応が生じる。
【0038】
トレースが限界温度を超えて加熱されると、電気抵抗の非常に迅速な減少、堆積物の機械的凝集力の劇的な増加があり、堆積物の外観が変化する。銅、銀および金混合物は限界温度を超えて加熱され、金属フレークおよび粉末は固体金属の結合ネットワークへと硬化する。トレースの抵抗値は、ポリマー基板上で用いるには充分低い温度において数秒間測定される時間中で、1.0グラムオーム/m2未満の値にまで落ち込む。銅のバルク抵抗は0.15グラムオーム/m2である。
【0039】
抵抗値が落ち込むのと同じ温度で、トレースの機械的特性も同様に劇的に改善される。サンプルに折り目をつけ、スコッチテープでトレースを剥ぎ取ることによって測定されたような不安定で貧弱な接着力から、サンプルは75ミクロン(3mil)基板における鋭角の180°折り曲げ、それに続くテープテストでも残存するほどに柔軟になる。折り目テストは、17%の金属トレースの伸長に相当する。テープテストは、約10ニュートン/cm(線状インチあたり6lb)の接着力に相当する。もっとより高い温度への加熱は、僅かに抵抗値を減少させるに過ぎない。
【0040】
銅は、電気回路におけるコンダクター用の選択物質である。それは、優れた電気導電性、良好な機械的特性、優れた半田性能、そして低コスト、豊富な供給を有する。それは、長年に渡って良好に使用されている利点、非常に多大な背景の経験を有する。銅を主成分とするPARMOD(商標)は、裸のポリイミド−ガラスおよびエポキシ−ガラスに塗布され、350℃未満、好ましくは約260〜300℃で、N2−H2O−H2雰囲気において10分間硬化された。エポキシ−ガラスの場合には、用いられた最高温度は265℃であり、ポリイミド−ガラスの場合には、用いられた最高温度は300℃であった。結果は表1に示される。エポキシ−ガラスサンプルの電気特性は非常に悪く、回路はエポキシ−ガラス基板にはうまく付着しなかった。ポリイミド−ガラス上のサンプルの電気特性は非常に良好で、回路は明るい銅色であった。しかし、サンプルは基板にうまく付着しなかった。
【0041】
基板上の接着拡散障壁塗膜の使用が基板へのPARMOD(商標)の塗布を改善することが見出された。例えばエポキシ−ガラス基板では、塗膜によって、エポキシ−ガラス基板では板の破壊なしには加工されえない温度で、銅PARMOD(商標)サンプルが燃焼することが可能になる。また、塗膜は、基板のエポキシ樹脂によって有機性の揮発物が遊離することに対する障壁を提供する。最後に、塗膜の接着性特性は、PARMOD(商標)回路と基板との間での好適な物理的または化学的結合を招き、基板へのPARMOD(商標)の接着力を増進させる。
【0042】
有機性のポリマーを主成分とする基板を、分解している有機金属PARMOD(商標)混合物から化学的に隔離することが、有益であると見出された。この隔離は、拡散障壁によってもたらされる。さらに、エポキシ樹脂と銅PARMOD(商標)の硬化工程との間の明確な化学的干渉の隔離/遮蔽のため、拡散障壁の使用はエポキシ−ガラス基板への銅PARMOD(商標)の塗布にとって利点となる。
【0043】
充分に結合した銀PARMOD(商標)回路が、エポキシ−ガラス基板上に作製された。基板へのそのような回路の接着はエポキシ−ガラス基板の正確な源に大いに依存しており、基板の老化や条件によっても影響されうる。本発明の接着拡散障壁層は、乏しい接着および化学特性を有するエポキシ−ガラス基板の場合には、より確かな結合を提供する。
【0044】
好ましい実施形態において、接着拡散障壁物質はLARC−SI、NASA−Langleyで開発された可溶性ポリイミドである。LARC−SIは3,4’−オキシジアニリン(ODA)、および、n−メチルピロリジノン(NMP、1−メチル−2−ピロリジノン)溶液に溶解する4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)と3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)との混合物の重合体である。他の接着拡散障壁物質には、低Tgポリイミド、シリコーン、フルオロカーボン、可溶性ポリイミド、ポリイミドアミドおよびポリアミック酸が含まれる。
【0045】
拡散および接着障壁は、従来のいかなる方法によって基板に塗布されてもよく、例えば、ブラシ塗り、噴霧、ロールコーティング、浸漬、ドクターブレーディング、カーテンコーティングが含まれる。ポリイミド塗膜材料の高いコストのため、薄く均一な塗膜を塗布させる誘因がある。ポリイミド塗膜を塗布するための望ましい方法はスピンコーティングである。スピンコーティングにおいては、基板は表面に垂直な軸の周りを回転させられる。ポリイミドは、スピン手順の前および/または間に基板表面に塗布され、それで遠心力を用いてポリイミドを拡げる。
【0046】
銅PARMOD(商標)は、ポリイミドが塗布されたポリイミド−ガラスおよびエポキシ−ガラスサンプルの双方に塗布された。可溶性ポリイミド(LARC−SI)の薄い塗膜が、LARC−SIをn−メチルピロリジノンとを混合し、ブラシを用いてその混合物をエポキシ−ガラスおよびポリイミド−ガラス基板に塗布することによって調製された。LARC−SIは、始めは低い温度(約120℃)で、続いて全ての溶媒が除去されることを確実にするようなより高い温度(200℃まで)で、空気中において乾燥された。サンプルは、その後260〜300℃で10分間、N2−H2O−H2雰囲気中で硬化された。
【0047】
表1は、種々の非被覆基板および本発明の被覆基板についての銅PARMOD(商標)の比較データを示す。
【0048】
【表1】


【0049】
表1の結果は以下を示す: エポキシガラスは銅PARMOD(商標)の硬化に干渉し、不十分に固着し、不十分に接着したトレースを引き起こす。
【0050】
エポキシ−ガラス基板上にポリイミド塗膜を設けることが、PARMOD(商標)硬化についての干渉を除去し、結果として生じるトレースの許容可能な接着力をも、もたらす。
【0051】
PARMOD(商標)は、ポリイミド−ガラス上において、充分に固着した、低抵抗金属へと適切に硬化するが、接着性は乏しい。
【0052】
ポリイミド−ガラス基板上にポリイミド塗膜を設けることが、充分に接着したトレースをもたらす。
【0053】
表1のデータは、ポリイミドの塗布が、エポキシ−ガラス上に生じる回路の外観、接着力、および電気特性を劇的に改善し、ポリイミド−ガラス上の回路の接着性を劇的に改善することを示している。可溶性ポリイミド塗膜を有するおよび有さないエポキシ−ガラス上の回路の外観における差異は顕著であり、塗膜が基板のエポキシ樹脂の加熱により生じる有機物に対する障壁として作用しているかもしれないことが示唆されている。
【0054】
ポリイミドフィルムに対する良好な接着性には、一般的には接着性塗膜の存在が必要である。FEPテフロン(登録商標)および低いガラス転移温度のポリイミド塗膜が、塗膜上にプリントされて上述のように硬化される、接着するPARMOD(商標)イメージにとって申し分ないことが見出された。銀PARMOD(商標)は、従来のG−10およびFR−4エポキシガラスラミネート上にプリントされ、硬化されうる。イメージは、添加される接着剤なしでもある程度のG−10には接着するかもしれないが、多くの場合には接着塗膜が必要とされる。FEPテフロン(登録商標)および低融点ポリイミドは、銀PARMOD(商標)組成物を用いた使用のためには好ましい塗料である。
【0055】
実施例 以下に記載する実施例は、好ましい組成物の各構成要素およびそれらを塗布する条件が、所望する結果を提供するためにどのように作用するかを示すものである。実施例は、本発明の性質をより象徴化するために役立つものであり、その技術的範囲に限定するものとして解釈されるべきではなく、技術的範囲は付属する請求項においてのみ定められる。
【0056】
実施例1 銅PARMOD(商標)インクが、51.5gの直径3ミクロンの銅粉(Cerac)、31.78gのコロイド状銅粉、11.5gのネオデカン酸、および5.2gの□−テルピネオールを混合することによって、調製された。銅PARMOD(商標)インクは、裸の0.0625インチ厚FR−406エポキシ−ガラスラミネート(Allied Signal)上にスクリーン印刷され、246℃から260℃の範囲の温度で6分間オーブン硬化された。プリントされたトレースの電気抵抗は非常に高かった。トレースは、金属の接着性および粘着性に関するテープテストに合格しなかった。
【0057】
実施例2 銅インクトレースがラミネートにプリントされる前に、Virginia Power Corporationから入手した可溶性ポリイミドLARC−SI(Langley Research Center−可溶性イミド[NASA])でラミネートを被覆した以外は、実施例1の手順が繰り返された。
【0058】
樹脂(LARC−SI)をさらに約23質量%の樹脂になるようにNMPで希薄させ、ブラシを用いて基板に塗布することによって、約0.001インチ厚のLARC−SI塗膜を基板に付着させた。樹脂は、PARMOD(商標)のプリントおよび硬化に先立って、30〜60分間、空気中約120℃で乾燥された。
【0059】
実施例3 非被覆の、0.065インチ厚のポリイミドガラスラミネート(Allied SignalによるP−95)が用いられたことを除いては、実施例1の手順が繰り返された。非被覆P−95ラミネートに塗布された銅PARMOD(商標)トレースが高い導電性金属に硬化され、(エポキシ基板について見られたような)化学的干渉は観察されなかった。結果として生じたトレースは、非被覆ポリイミド基板には接着しなかった。
【0060】
実施例4 LARC−SIが塗布された0.065インチ厚のポリイミドガラスラミネート(Allied SignalによるP−95)を用いた以外は、実施例3の手順が繰り返された。LARC−SIが塗布されたP−95ラミネートに塗布された銅PARMOD(商標)トレースは許容できる抵抗を示し、テープテストは汚れておらず、トレースは基板に充分に接着していることが示された。
【0061】
実施例5 使用されたポリイミド塗膜がProbimide30Aポリアミド−イミド(Arch Chemical Co.)である以外は、実施例4の手順が繰り返された、または、従われた。Probimide30Aは、NMPで約1センチポアズにまで薄められ、エアブラシを用いて、P−95ラミネート上に薄い均一な塗膜を実現するように塗布された。塗膜は、溶媒を除去するために約110o℃で空気中90分を超えない時間、乾燥された後、ポリイミドアミドによるよく知られた雰囲気水分の吸収を取り除くためにデシケータ中で貯蔵された。Probimideで被覆されたP−95ラミネート上にプリントされ、硬化された銅PARMOD(商標)インクは、特にProbimideで被覆されたラミネートの一面から多面への貫通孔において、優れた接着力を示した。
【0062】
実施例6 NMP中の10質量%LARC−SI溶液が、全表面を濡らすようなブラッシングによって、G−10エポキシガラスラミネートに塗布された。基板は、その後、約300rpmで回転され、ポリイミドの薄い均一塗膜が作製された。数百のサンプル回路が、銅PARMOD(商標)を用いてこれらの基板に首尾よくプリントされた。
【0063】
実施例7 銀PARMOD(商標)組成物が、以下の成分を一緒に混合することによって、調製された。
【0064】
銀フレーク 1.2g ネオデカン酸銀 0.30g α−テルピネオール 0.18g ネオデカン酸 2滴 混合物は、その後、2ロールミルで30分間ミル処理された。
【0065】
実施例8 銀PARMOD(商標)組成物が、以下の成分を一緒に混合することによって、調製された。
【0066】
銀フレーク 1.2g ネオデカン酸銀 0.30g α−テルピネオール 0.16g 混合物は、その後、2ロールミルで30分間ミル処理された。
【0067】
実施例9 実施例8の銀PARMOD(商標)組成物が、GaroliteG1O/FR−4ラミネート基板上にスクリーン印刷された。サンプルは大気雰囲気の箱炉中に載置され、5分間225℃に加熱された。結果として生じる銀フィルムは、23.7cm長×0.396mm幅のトレースあたり2.3Ωの抵抗を有していた。銀トレースのテープテストは良好であった。この基板はインクの金属箔への変換と干渉せず、基板への金属箔の良好な接着が得られた。
【0068】
実施例10 実施例7の銀PARMOD(商標)組成物が、0.031インチ厚のFR−406ラミネート基板(Allied Signal)上にスクリーン印刷された。サンプルは大気雰囲気の箱炉中に載置され、6分間250℃に加熱された。結果として生じる銀フィルムは、23.7cm長×0.396mm幅のトレースあたり4.7Ωの抵抗を有しており、これは約12.0μΩ-cmの抵抗率に相当する。銀トレースのテープテストは悪かった。銀は連続的な金属箔に「硬化」されなかった。トレースの底は基板に接着していたが、銀は連続的な箔を形成していなかったため、「不適切に硬化された」銀のトップ層がテープから除去された。基板は、銀インクの連続的な金属箔への変質と干渉していたようである。
【0069】
実施例11 実施例8の銀PARMOD(商標)組成物が、Precision Laminates0.004”FR−4インナー層ラミネート基板上にスクリーン印刷された。サンプルは大気雰囲気の箱炉中に載置され、5分間225℃に加熱された。結果として生じる銀フィルムは、23.7cm長×0.396mm幅のトレースあたり3.0Ωの抵抗を有していた。銀トレースのテープテストは悪く、結果は実施例10と類似していた。
【0070】
実施例12 実施例8の銀PARMOD(商標)組成物が、Allied Signal0.004インチ厚FR−4インナー層ラミネート基板上にスクリーン印刷された。サンプルは大気雰囲気の箱炉中に載置され、5分間225℃に加熱された。結果として生じる銀フィルムは、23.7cm長×0.396mm幅のトレースあたり2.9Ωの抵抗を有していた。銀トレースのテープテストは悪く、結果は実施例10と類似していた。
【0071】
実施例13 実施例8の銀PARMOD(商標)組成物が、Allied SignalFR−406ラミネート基板上にスクリーン印刷された。サンプルは大気雰囲気の箱炉中に載置され、5分間225℃に加熱された。結果として生じる銀フィルムは、23.7cm長×0.396mm幅のトレースあたり4.3Ωの抵抗を有していた。銀トレースのテープテストは悪く、結果は実施例10と類似していた。
【0072】
実施例14 実施例8の銀PARMOD(商標)組成物が、GaroliteG11高温エポキシ−ガラスラミネート基板上にスクリーン印刷された。サンプルは大気雰囲気の箱炉中に載置され、5分間250℃に加熱された。結果として生じる銀フィルムは、23.7cm長×0.396mm幅のトレースあたり1.9Ωの抵抗を有しており、これは約4.5μΩ-cmの抵抗率に相当する。銀トレースのテープテストは悪かった。しかしながら、前の実施例とは異なり、銀は連続的な金属箔へと変質しており、基板から完全に除去された。この基板は、インクの硬化工程には干渉しなかったが、結果として生じる金属箔との良好な接着も提供しなかった。
【0073】
実施例15 実施例8の銀PARMOD(商標)組成物が、FEPテフロンで被覆されたKaptonFNポリイミド基板上にスクリーン印刷された。サンプルは大気雰囲気の箱炉中に載置され、5分間260℃に加熱された。結果として生じる銀フィルムは、23.7cm長×0.396mm幅のトレースあたり1.5Ωの抵抗を有しており、これは約3.8μΩ-cmの抵抗率に相当する。銀トレースのテープテストは良好であった。この基板はインクの金属箔への変換と干渉せず、基板への金属箔の良好な接着が得られた。
【0074】
実施例16 実施例8の銀PARMOD(商標)組成物が、低融点ポリイミドで被覆されたKaptonEKJポリイミド基板上にスクリーン印刷された。サンプルは大気雰囲気の箱炉中に載置され、4分間260℃に加熱された。結果として生じる銀フィルムは、23.7cm長×0.396mm幅のトレースあたり1.3Ωの抵抗を有しており、これは約3.2μΩ-cmの抵抗率に相当する。銀トレースのテープテストは良好であった。この基板はインクの金属箔への変換と干渉せず、基板への金属箔の良好な接着が得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 A)基板上に所望するパターンにコンダクター前駆体を塗布する、ただし前記基板は拡散および接着障壁である塗布層を有し、 B)前記基板を、約10分より短い時間、約450℃よりも低い限界温度にオーブンで加熱する、の手順を含み、 前記塗布されたコンダクター前駆体パターンは、充分に硬化され、充分に固着した純金属コンダクターに変換され、 前記コンダクター前駆体は、反応性有機媒体と金属粉混合物を含む、基板上に固体の純金属コンダクターを製造する方法。
【請求項2】 前記拡散および接着障壁は、低Tgポリイミド、シリコーン、フルオロカーボン、可溶性ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリアミック酸、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】 前記拡散および接着障壁は、1またはそれ以上のポリイミドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】 前記拡散および接着障壁は、3,4’−オキシジアニリンおよび4,4’−オキシジフタル酸二無水物と3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物との混合物の重合体を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項5】 前記拡散および接着障壁は、LARC−SIを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】 前記拡散および接着障壁は、FEPテフロン(登録商標)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】 前記拡散および障壁は、ブラシ塗り、噴霧、ロールコーティング、浸漬、ドクターブレーディング、スピンコーティング、カーテンコーティングまたはラミネート加工によって、前記基板に塗布される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】 前記コンダクター前駆体は、スクリーン印刷、ステンシル印刷、グラビア印刷、インプレッション印刷(impression printing)、オフセット印刷、平板印刷、ディスペンシング、ドクターブレーディング、インクジェット印刷、ゼログラフィーコピーおよび静電印刷からなる群より選択される技術によって前記基板に塗布される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】 前記コンダクター前駆体は銅を主成分とする組成物であり、前記オーブンの雰囲気は、酸素の体積が100ppm、好ましくは20ppmより少ない窒素である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】 前記コンダクター前駆体が加熱されているが加熱段階の前後ではない期間中に、水蒸気が約5モルパーセントの範囲まで前記窒素に加えられる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】 前記基板は、約450℃を上回る温度に感受性があるポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】 前記基板は、約450℃を上回る温度に感受性がある半導体を含む、請求項1の方法。
【請求項13】 前記コンダクター前駆体は、前記コンダクター間の電気的接続を築くために、金属コンダクターおよび誘電性絶縁体に塗布される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】 前記コンダクター前駆体は、手順A)において薄い基板材料の連続ウェブに塗布され、手順B)においてオーブン中で連続ウェブとして硬化され、さらに、 C)前記薄い基板材料の連続ウェブを、最終製品に切断する、 手順を含む、請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2003−506882(P2003−506882A)
【公表日】平成15年2月18日(2003.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−515074(P2001−515074)
【出願日】平成12年8月3日(2000.8.3)
【国際出願番号】PCT/US00/21200
【国際公開番号】WO01/010572
【国際公開日】平成13年2月15日(2001.2.15)
【出願人】
【氏名又は名称】パレレック,インコーポレイテッド
【Fターム(参考)】