説明

リストバンドおよびその製造方法

【課題】柔らかさを保ちながら、強靱性さらには耐水性および耐油性ないし耐脂性を向上させ、長期にわたって使用しても湾曲することなく、表示情報が確実に残ってバーコードその他の内容を読み取り可能であるリストバンドおよびその製造方法を提供すること。
【解決手段】リストバンドを構成する材料の中でも外的要因に最も影響されやすい表面基材に、耐水耐油材料および柔軟材料による積層材料を採用すること、さらに表面基材の下層側に位置して耐引裂き性ないし耐引っ張り性を有する芯材を採用することに着目したもので、第1の耐水耐油材料、柔軟材料および第2の耐水耐油材料を積層した積層材料による表面基材と、表面基材の下層側に積層する耐引裂き性ないし耐引っ張り性を有する芯材と、芯材の下層側に積層するとともに、被巻付け部に接触するエンボス部を有するエンボス材と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリストバンドおよびその製造方法にかかるもので、とくに医療分野などで患者の手首や足首などに巻き付けるようにして取り付けることにより、患者を特定することができるようにしたリストバンドおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、とくに医療用のリストバンドには、入院患者の氏名、生年月日や性別その他必要な情報を記載ないし印字により表示して手首や足首などに巻き付けることにより本人を特定可能とし、検査や治療時に本人の照合を可能としている。
しかしながら、入院期間が2〜3ヶ月など長期になると、リストバンド自体に生活耐性がない場合には、リストバンドの変形や衛生問題はもちろん、表示されている情報が喪失して情報読取り障害など実用上の障害が発生するという問題がある。
【0003】
しかしながら、リストバンドとしては、患者の皮膚に接触することが避けられないため、皮膚刺激を極力低減可能であって柔らかさを求められる。
もちろん、故意に外してしまっては個人情報の管理が不可能となることから、引っ張り強度があって簡単には切れないとともに、固定クリップを用いて被巻付け部に装着する場合にはリストバンド自体を切断しなければ取り外すことができないほどの強靱性、さらには長期にわたって使用しても曲がりないし湾曲することなく、表示情報が確実に残ってバーコードその他の内容を読み取り可能であることも要求される。
さらに、耐水性および耐油性や耐脂性、また長期の付帯に対しては軽くて柔らかく装着していることも忘れてしまうような軽量性も求められるというように、互いに相反する各種特性を具備しなければならないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−363808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上のような諸問題にかんがみなされたもので、柔らかさを保ちながら、強靱性さらには耐水性および耐油性ないし耐脂性を向上させたリストバンドおよびその製造方法を提供することを課題とする。
【0006】
また本発明は、長期にわたって使用しても曲がりないし湾曲することなく、表示情報が確実に残ってバーコードその他の内容を読み取り可能であるリストバンドおよびその製造方法を提供することを課題とする。
【0007】
また本発明は、軽くて柔らかく装着していることを忘れるような軽装感を達成し、装着箇所の皮膚への影響を低減可能なリストバンドおよびその製造方法を提供することを課題とする。
【0008】
また本発明は、柔軟で引っ張り強度が大きく、かつ皮膚との接触面に通気性を確保可能なリストバンドおよびその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち本発明は、リストバンドを構成する材料の中でも外的要因に最も影響されやすい表面基材に、第1の耐水耐油材料(たとえばポリプロピレン)、柔軟材料(たとえばエチレン酢酸ビニル共重合体)および第2の耐水耐油材料(たとえばポリプロピレン)による積層材料を採用すること、さらにこの表面基材の下層側に位置するとともに耐引裂き性ないし耐引っ張り性を有する芯材(たとえば延伸ナイロン)を採用することに着目したもので、第一の発明は、帯状のバンド基材に特定情報を表示可能としているとともに、手首や足首などの被巻付け部に巻き付け可能なリストバンドであって、上記バンド基材は、第1の耐水耐油材料、柔軟材料および第2の耐水耐油材料を積層した積層材料による表面基材と、この表面基材の下層側に積層する耐引裂き性ないし耐引っ張り性を有する芯材と、この芯材の下層側に積層するとともに、上記被巻付け部に接触するエンボス部を有するエンボス材と、を有することを特徴とするリストバンドである。
【0010】
第二の発明は、帯状のバンド基材に特定情報を表示可能としているとともに、手首や足首などの被巻付け部に巻き付け可能なリストバンドの製造方法であって、上記被巻付け部に接触可能なエンボス部をその裏面側に有するエンボス材の表面側に、耐引裂き性ないし耐引っ張り性を有する芯材を積層し、この芯材の表面側に、第1の耐水耐油材料、柔軟材料および第2の耐水耐油材料を積層した積層材料による表面基材を積層して、上記バンド基材を形成することを特徴とするリストバンドの製造方法である。
【0011】
上記表面基材の表面側に上記特定情報を印字可能な表面処理を施したのち、上記バンド基材に型抜き用切り目を形成して、単葉のリストバンドを型抜き可能とすることができる。
【0012】
上記表面基材の表面側に上記特定情報を印字可能な表面処理を施していることができる。
【0013】
上記表面基材は、上記第1の耐水耐油材料、上記柔軟材料および上記第2の耐水耐油材料の積層厚さの比率を約1:8:1としてあることができる。
【0014】
上記表面基材は、上記第1の耐水耐油材料としてポリプロピレンを採用し、上記柔軟材料としてエチレン酢酸ビニル共重合体を採用し、上記第2の耐水耐油材料としてポリプロピレンを採用することができる。
【0015】
上記芯材は、これを延伸ナイロンからこれを構成することができる。
【0016】
上記エンボス材のエンボス部は、その断面形状が円形ないし楕円形の球状部を有していることができる。
【0017】
上記エンボス材のエンボス部は、その断面形状が円形ないし楕円形の球状部を有しているとともに、この球状部は、上記被巻付け部の皮膚の三角皮丘より大きな形状を有していることができる。
【0018】
上記バンド基材は、上記表面基材および上記芯材の厚さおよび材質を適宜調製することにより、全体の比重を1未満としていることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によるリストバンドおよびその製造方法においては、第1の耐水耐油材料、柔軟材料および第2の耐水耐油材料による積層材料、さらに耐引裂き性ないし耐引っ張り性を有する芯材を採用してバンド基材を構成するようにしたので、積層材料内の柔軟材料による柔軟性を確保しつつ、第1の耐水耐油材料および第2の耐水耐油材料による耐水性および耐油性を保持し、かつ芯材の耐引裂き性ないし耐引っ張り性により強靱性を持たせることが可能となり、入院患者の手首や足首への装着に適正な特性を具備することができる。
【0020】
とくに第一の発明のリストバンドによれば、耐引裂き性ないし耐引っ張り性を有する芯材に対して、その表面側に第1の耐水耐油材料、柔軟材料および第2の耐水耐油材料による積層材料を積層するとともに、その裏面側にエンボス材を積層した構造としたので、リストバンドとして必要な柔軟性、耐水性、耐油性、さらには強靱性、耐引裂き性ないし耐引っ張り性、および皮膚との間の通気性を保持した構成とすることができる。
【0021】
とくに第二の発明のリストバンドの製造方法によれば、被巻付け部に接触可能なエンボス部をその裏面側に有するエンボス材の表面側に、耐引裂き性ないし耐引っ張り性を有する芯材を積層し、この芯材の表面側に、第1の耐水耐油材料、柔軟材料および第2の耐水耐油材料を積層した積層材料による表面基材を積層して、バンド基材を形成するようにしたので、必要な各種特性を兼備したリストバンドを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例によるリストバンド1の平面図である。
【図2】同、図1のII−II線拡大断面図である。
【図3】同、エンボス材15の拡大裏面図である。
【図4】同、エンボス材15におけるエンボス部21の球状部22と被巻付け部における皮膚の三角皮丘23との相関関係を示す拡大説明図である。
【図5】同、リストバンド1(リストバンド連続体1A)を製造するためのリストバンド製造装置30の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、第1の耐水耐油材料、柔軟材料および第2の耐水耐油材料による積層材料、さらに耐引裂き性ないし耐引っ張り性を有する芯材を採用してバンド基材を構成するようにしたので、必要な各種特性を兼備したリストバンドおよびその製造方法を実現した。
【実施例】
【0024】
つぎに本発明の実施例によるリストバンドおよびその製造方法を図1ないし図5にもとづき説明する。
図1は、リストバンド1の平面図、図2は、図1のII−II線拡大断面図であって、リストバンド1は、帯状のバンド基材2の表面に特定情報を表示可能としているとともに、たとえば入院患者の手首や足首などの被巻付け部(図示せず)に環状に巻き付け可能である。
【0025】
バンド基材2に細長環状の型抜き用切り目3を形成して、バンド基材2から単葉のリストバンド1として型抜き可能としている。
さらに、ミシン目などによる分離用切り目4を介して複数枚のリストバンド1を連続して接続し、帯状のリストバンド連続体1Aとして構成している。
なお、リストバンド1の一方の円弧状端部1B(図1中、左端部)に「ここからはがしてください」という型抜き指示5や「印字方向→」などをあらかじめ印刷し、この一方の円弧状端部1B部分では、バンド基材2を表面から裏面まで貫通して型抜き用貫通切り目3Aとし、型抜き用切り目3の他の部分は、型抜き用半抜き切り目3B(図2を参照)としている。
したがって、未使用時ないし所定のプリンター(たとえば熱転写プリンターなど、図示せず)に装填して移送印字する際に不用意にはがれてしまう不具合を解消するとともに、使用時に簡単にはがすことができるようにしている。
【0026】
リストバンド1は、その長さ方向中央部に印字領域6を配置し、印字領域6の左右には、第1の巻掛け部7および第2の巻掛け部8を形成している。
第1の巻掛け部7には、必要な数の取付け孔9(図示の例では、2個)を形成し、第2の巻掛け部8には、複数個の選択孔10(図示の例では、8個)を貫通形成して、所定の固定クリップ11により、取付け孔9および選択孔10を固定して上記被巻付け部に巻き掛けるようにリストバンド1を取り付け可能としている。
なお、リストバンド1の裏面には位置検出用マーク12をあらかじめ印刷してあり、上記プリンターに装填して移送印字する際のリストバンド1の位置検出を可能としている。
【0027】
とくに図2に示すように、バンド基材2は、表面基材13と、芯材14と、エンボス材15と、を有する。
【0028】
表面基材13は、第1の耐水耐油材料16、柔軟材料17および第2の耐水耐油材料18を積層した積層材料19によりこれを構成する。
第1の耐水耐油材料16としては、たとえばコロナ処理を施したポリプロピレン(PP)を採用する。
柔軟材料17としては、たとえばエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)を採用する。
第2の耐水耐油材料18としては、たとえばポリプロピレン(PP)を採用する。
なお、表面基材13の表面側に特定情報を印字可能であるとともに、その印字情報に恒久耐性を持たせることができるような表面処理20を施している。
【0029】
表面処理20は、上記所定のプリンターで使用するインキあるいはインキリボンの種類や特性に応じて所定のコーティングを行うもので、表面処理剤としては、たとえばポリエステル系、ポリウレタン系、エポキシ系のアクリル樹脂などの表面処理剤、あるいは印刷インキ用ニス、メジューム剤などを用いることができる。
また、バーコードやプリント印字の読取り効果を向上させるために、酸化チタンなどの顔料を加えて白色地肌とし、その白色濃度(PSC値)を75以上に調製することが望ましい。
【0030】
芯材14は、表面基材13の下層側に積層する耐引裂き性ないし耐引っ張り性を有するものであって、たとえば、柔らかくて丈夫な材料、たとえば、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)をはじめとする汎用的なフィルム基材を採用可能であって、好ましくは、これを延伸ナイロン(二軸延伸ナイロン)からこれを構成する。
【0031】
エンボス材15は、芯材14の下層側に積層する、たとえばポリエチレン製のエンボスフィルムであって、その裏面は患者の手首や足首などの皮膚表面に直接接触する部分であり、皮膚との間に通気性を確保することにより汗や水分を乾燥させるために各種凹凸形状を呈するエンボス模様(エンボス部21)を、任意の方式による押出し成形により形成している。
このエンボス部21によるエンボス模様は、通気性を確保するとともに、皮膚刺激が極力少なくすることができるように、その断面形状を円形ないし楕円形とする。
なお、皮膚面の清潔性を保つために、無機系あるいは酸化亜鉛系の抗菌剤を練り込むが、皮膚に直接接触するために極力安全な抗菌剤の選定が必要である。
また、ポリエチレンの製造上、酸化防止剤や滑剤などの添加剤を入れる場合があるが、リストバンド1の使用者にアレルギーがある可能性を考慮に入れると、無添加タイプのポリエチレンが望ましい。
【0032】
図3は、エンボス材15の拡大裏面図、図4は、エンボス材15におけるエンボス部21の球状部22と被巻付け部における皮膚の三角皮丘23との相関関係を示す拡大説明図である。
すなわちエンボス部21は、その断面形状が円形ないし楕円形の球状部22を有しているとともに、この球状部22は、被巻付け部における皮膚に所定圧力で当接した際に、皮膚の三角皮丘23(図4中、ハッチング部分を参照)より大きな形状を有しているため、エンボス部21が皮膚を横断して三角皮丘23の間の皮膚溝23Aを直接刺激することを避け、装着時の皮膚刺激を軽減可能である。
また、エンボス部21における凹部が大きすぎる(広すぎる)と、プリンターによるリストバンド1への印字時のヘッド圧によりその表面部(表面処理20部分)への印字に影響が出てくることから、エンボス部21の大きさおよびピッチは、その球状部22が円形あるいは楕円形である場合を含んで、その範囲を300〜1500μm程度に抑える必要がある。
たとえばエンボス材15の球状部22の大きさとしては、断面形状を楕円形とした場合、その断面基底部における短軸長さを300μm程度、長軸長さを500μm程度としてあり、球状部22どうしの間の間隔(凹部)の長さは50〜300μm程度が望ましい。
【0033】
図2に戻って、積層材料19の第2の耐水耐油材料18と芯材14との間は、ポリエチレンなどによる第1の接着層24を介してこれを接着し、芯材14とエンボス材15との間は、ポリエチレンなどによる第2の接着層25を介してこれを接着している。
【0034】
リストバンド1(バンド基材2)における、表面処理20、表面基材13(積層材料19:第1の耐水耐油材料16、柔軟材料17、第2の耐水耐油材料18)、第1の接着層24、芯材14、第2の接着層25、エンボス材15のそれぞれの厚さは、以下の通りである。ただし、それぞれの値について、±10%程度の公差が許容される。
表面処理20: 1〜10μm(たとえば、5μm)、
表面基材13(積層材料19): 100〜200μm(たとえば、150μm)、
第1の耐水耐油材料16: 10〜20μm(たとえば、15μm)、
柔軟材料17: 80〜160μm(たとえば、120μm)、
第2の耐水耐油材料18: 10〜20μm(たとえば、15μm)、
第1の接着層24: 10〜20μm(たとえば、15μm)、
芯材14: 15〜50μm(たとえば、25μm)、
第2の接着層25: 10〜20μm(たとえば、15μm)、
エンボス材15: 100〜160μm(たとえば、130μm)、
リストバンド1の総厚: 250〜445μm(たとえば、300〜340μm)。
なお、表面基材13の積層材料19は、第1の耐水耐油材料16、柔軟材料17および第2の耐水耐油材料18の積層厚さの比率を、0.5〜2:6〜9:0.5〜2(たとえば、約1:8:1)としてある。
【0035】
さらにリストバンド1(バンド基材2)は、表面基材13および芯材14の厚さおよび材質を適宜調製することにより、全体の比重を1未満としている。
リストバンド1全体の比重を1未満とすることによって、リストバンド1が水に浮くほど軽く製造可能であり、装着していることを忘れるような軽装感を付与することができる。
リストバンド1における、表面基材13(積層材料19:第1の耐水耐油材料16、柔軟材料17、第2の耐水耐油材料18)、第1の接着層24、芯材14、第2の接着層25、エンボス材15に材料として採用する樹脂の比重は、たとえば以下の通りである。
ポリプロピレン(PP): 0.90〜0.91、
エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA): 0.92〜0.94、
ポリエチレン(PE): 0.92〜0.97、
ナイロン: 1.02〜1.14。
なお、ナイロンの比重が1をこえているが、リストバンド1の総厚に対するその厚さの割合が小さいので、それぞれの層の厚さを適宜設計して、リストバンド1全体の比重を1未満に抑えることができる。
【0036】
なお、入院患者が高圧酸素治療室内での治療を受ける際には衣類とリストバンド1との摩擦から生ずる静電気によるショート火花の危険性があり、これを防止するために、上述の表面処理20、積層材料19(第1の耐水耐油材料16、柔軟材料17、第2の耐水耐油材料18)、芯材14およびエンボス材15の少なくともいずれかに静電防止剤を塗布あるいは混練することが望ましい。かくして、リストバンド1を装着したままでも、静電防止剤によって静電気の帯電を防止し、高圧酸素治療室内での治療を安全に受けることが可能となる。
静電防止材料としては、導電性カーボンブラック、黒鉛、金属酸化物あるいは界面活性剤系の導電材料を、塩化ビニール、酢酸ビコポリマー、アクリル、ウレタンやポリアミド系の樹脂に適量分散させたものを使用することができる。
【0037】
上述のようなリストバンド1(リストバンド連続体1A)は、その各層を押出しラミネート方式あるいはドライラミネート方式により貼り合わせて、これを製造可能である。
【0038】
図5は、リストバンド1(リストバンド連続体1A)を製造するためのリストバンド製造装置30の概略側面図であって、リストバンド製造装置30は、エンボス材成形装置31と、積層材料積層装置32と、リストバンド積層装置33と、を有する。
【0039】
エンボス材成形装置31は、エンボス材15のフィルム材料を一対の押出し成形ロール34により、その裏面側にエンボス部21を形成するように押し出し成形して、エンボス材15を得る。
【0040】
積層材料積層装置32は、第1の耐水耐油材料16、柔軟材料17および第2の耐水耐油材料18を積層ロール35により積層して積層材料19を得る。
【0041】
リストバンド積層装置33において、第1の接着剤供給タンク36から第1の接着層24の材料を供給してエンボス材15と芯材14とを接着し、さらに、第2の接着剤供給タンク37から第2の接着層25の材料を供給して芯材14の上層に積層材料19を接着する。
さらに、表面処理装置38により表面処理20を施し、印刷装置39により「ここからはがしてください」という型抜き指示5や「印字方向→」および位置検出用マーク12などをあらかじめ印刷し、さらに、切り目形成装置40により型抜き用切り目3および分離用切り目4を形成し、単葉のリストバンド1を型抜き可能な帯状のリストバンド連続体1Aを製造する。
【0042】
かくして、入院患者などの手首や足首に長期間装着しても、軽く、柔らかで、必要な強靱さを兼ね備えたリストバンド1を製造することができ、当該リストバンド1は、プリンターによる高品質高耐性印字が可能であり、また、長期入院患者が取り付けて使用しても全く違和感がなく、ないしは装着している感じがほとんどなく、製品形状としても最後まで変形することがないとともに、患者情報を消失することなく完全に読み取り可能な状態を維持することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 リストバンド(実施例、図1、図2)
1A リストバンド1のリストバンド連続体
1B リストバンド1の一方の円弧状端部
2 バンド基材
3 型抜き用切り目
3A 型抜き用切り目3の型抜き用貫通切り目
3B 型抜き用切り目3の型抜き用半抜き切り目
4 分離用切り目
5 型抜き指示
6 印字領域
7 第1の巻掛け部
8 第2の巻掛け部
9 取付け孔
10 選択孔
11 固定クリップ
12 位置検出用マーク
13 表面基材(図2)
14 芯材
15 エンボス材
16 第1の耐水耐油材料
17 柔軟材料
18 第2の耐水耐油材料
19 積層材料
20 表面処理
21 エンボス部
22 エンボス部21の球状部
23 皮膚の三角皮丘(図4)
23A 三角皮丘23の間の皮膚溝
24 第1の接着層
25 第2の接着層
30 リストバンド製造装置(図5)
31 エンボス材成形装置
32 積層材料積層装置
33 リストバンド積層装置
34 押出し成形ロール
35 積層ロール
36 第1の接着剤供給タンク
37 第2の接着剤供給タンク
38 表面処理装置
39 印刷装置
40 切り目形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状のバンド基材に特定情報を表示可能としているとともに、
手首や足首などの被巻付け部に巻き付け可能なリストバンドであって、
前記バンド基材は、
第1の耐水耐油材料、柔軟材料および第2の耐水耐油材料を積層した積層材料による表面基材と、
この表面基材の下層側に積層する耐引裂き性ないし耐引っ張り性を有する芯材と、
この芯材の下層側に積層するとともに、前記被巻付け部に接触するエンボス部を有するエンボス材と、
を有することを特徴とするリストバンド。
【請求項2】
前記表面基材の表面側に前記特定情報を印字可能な表面処理を施していることを特徴とする請求項1記載のリストバンド。
【請求項3】
前記表面基材は、
前記第1の耐水耐油材料、前記柔軟材料および前記第2の耐水耐油材料の積層厚さの比率を約1:8:1としてあることを特徴とする請求項1または2記載のリストバンド。
【請求項4】
前記表面基材は、
前記第1の耐水耐油材料としてポリプロピレンを採用し、
前記柔軟材料としてエチレン酢酸ビニル共重合体を採用し、
前記第2の耐水耐油材料としてポリプロピレンを採用したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のリストバンド。
【請求項5】
前記芯材は、
これを延伸ナイロンからこれを構成したことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のリストバンド。
【請求項6】
前記エンボス材のエンボス部は、
その断面形状が円形ないし楕円形の球状部を有していることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のリストバンド。
【請求項7】
前記エンボス材のエンボス部は、
その断面形状が円形ないし楕円形の球状部を有しているとともに、
この球状部は、前記被巻付け部の皮膚の三角皮丘より大きな形状を有していることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のリストバンド。
【請求項8】
前記バンド基材は、
全体の比重を1未満としていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のリストバンド。
【請求項9】
帯状のバンド基材に特定情報を表示可能としているとともに、
手首や足首などの被巻付け部に巻き付け可能なリストバンドの製造方法であって、
前記被巻付け部に接触可能なエンボス部をその裏面側に有するエンボス材の表面側に、耐引裂き性ないし耐引っ張り性を有する芯材を積層し、
この芯材の表面側に、第1の耐水耐油材料、柔軟材料および第2の耐水耐油材料を積層した積層材料による表面基材を積層して、
前記バンド基材を形成することを特徴とするリストバンドの製造方法。
【請求項10】
前記表面基材の表面側に前記特定情報を印字可能な表面処理を施したのち、
前記バンド基材に型抜き用切り目を形成して、単葉のリストバンドを型抜き可能とすることを特徴とする請求項9記載のリストバンドの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−11041(P2013−11041A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145928(P2011−145928)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)サトーホールディングス株式会社 (1,153)
【Fターム(参考)】