説明

リストバンド用RFIDシートおよびRFIDリストバンド

【課題】リストバンドのバンド部のみを交換可能とし、個人情報を保存したRFIDタグ6部分を再利用可能とし、再発行のコストを抑えることができる構成が単純なリストバンド用RFIDシートおよびRFIDリストバンドを提供すること。
【解決手段】RFIDタグ6を有するバンド本体3部分にバンド用スリット11を形成すること、バンド用スリット11にリストバンドとしてのバンド部を着脱可能に挿通することに着目したもので、帯状のシート基材2と、もろい部分4Aを残した切込み4を介してこのシート基材2に形成するとともに個人情報を保存可能なRFIDタグ6を有するバンド本体3と、を有し、バンド本体3には、リストバンドのバンド部を挿通するためのバンド用スリット11を形成してあることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリストバンド用RFIDシートおよびRFIDリストバンドにかかるもので、とくに病院や遊園地などで患者や入園者の四肢たとえば手首あるいは足首に環状にゆるく巻き付けて個人情報を表示ないし保持するために用いられるリストバンド用RFIDシートおよびRFIDリストバンドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、病院などにおいて患者の診療科、氏名、年齢、血液型などその個人固有の識別データをリストバンドに印字して表示した上で、患者の四肢たとえば手首あるいは足首に環状にゆるく巻き付けて、患者の特定を確実にすることが行われている。
【0003】
さらに、上記個人情報を電子化して、非接触でデータの書込みおよび読取りが可能なRFIDタグ(Radio Frequency Identification技術によるタグ)をリストバンドに用いることも行われている。
このようなRFIDタグ付きのリストバンドは、リストバンド自体としてRFIDタグが一体化されているため、より大量のデータを保存可能である反面、患者の外泊時や、手術、検査などで、この取り外しが必要な場合には、これを切断して取り外すしか方法がなく、再度のRFIDタグ発行が必要になるという問題がある。
とくにRFIDタグ付きのリストバンドは、プリンターなどにより印字して個人情報を表示する通常のRFIDタグに比較してコストが高く、上記再発行によるコストアップの問題もある。
また、リストバンド自体の構成としては、より単純でその生産工程を簡略化可能なものが要請されているという問題がある。
【0004】
【特許文献1】特開2004−242904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上のような諸問題にかんがみなされたもので、RFIDタグ部分の再利用を可能としたリストバンド用RFIDシートおよびRFIDリストバンドを提供することを課題とする。
【0006】
また本発明は、リストバンドのバンド部のみを交換可能とし、個人情報を保存したRFIDタグ部分を再利用可能としたリストバンド用RFIDシートおよびRFIDリストバンドを提供することを課題とする。
【0007】
また本発明は、個人情報を電子化データとして保持可能であるとともに、当該個人情報を目視可能な文字あるいはバーコードなどにより印字して表示することもできるリストバンド用RFIDシートおよびRFIDリストバンドを提供することを課題とする。
【0008】
また本発明は、再発行のコストを抑えることができるリストバンド用RFIDシートおよびRFIDリストバンドを提供することを課題とする。
【0009】
また本発明は、その構成がより単純でその生産工程を簡略化可能なリストバンド用RFIDシートおよびRFIDリストバンドを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち本発明は、RFIDタグを有するバンド本体部分にバンド用スリットを形成すること、このバンド用スリットにリストバンドとしてのバンド部を着脱可能に挿通することに着目したもので、第一の発明は、人体の四肢の少なくともいずれかひとつに巻き付けるとともに、その人体の個人情報を保持可能なリストバンドを構成するためのリストバンド用RFIDシートであって、帯状のシート基材と、もろい部分を残した切込みを介してこのシート基材に形成するとともに、上記個人情報を保存可能なRFIDタグを有するバンド本体と、を有し、上記バンド本体には、上記リストバンドのバンド部を挿通するためのバンド用スリットを形成してあることを特徴とするリストバンド用RFIDシートである。
【0011】
上記バンド本体の表面に上記個人情報を印字可能とすることができる。
【0012】
上記バンド本体は、上記RFIDタグを有する第1の基材と、この第1の基材に積層するとともに上記個人情報を印字可能な第2の基材と、を有することができる。
【0013】
第二の発明は、人体の四肢の少なくともいずれかひとつに巻き付けるとともに、その人体の個人情報を保持可能なRFIDリストバンドであって、上記個人情報を保存可能なRFIDタグを有するとともに、もろい部分を残した切込みを介して帯状のシート基材に形成したバンド本体と、このバンド本体に形成したバンド用スリットに挿通可能なバンド部と、を有し、上記RFIDタグを再利用可能とすることを特徴とするRFIDリストバンドである。
【0014】
当該リストバンド用RFIDシートおよびRFIDリストバンドは、病院などにおける患者の特定のために使用することができることはもちろん、遊園地の入場券その他、個人の特定が必要な任意の場合に使用することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によるリストバンド用RFIDシートおよびRFIDリストバンドにおいては、RFIDタグを有するバンド本体部分にバンド用スリットを形成するようにしたので、このバンド用スリットにリストバンドとしてのバンド部を挿通し、バンド本体をいわゆるバックル状に着脱可能とすることにより、RFIDタグ自体の再利用を可能とし、コストの低下および使用の融通性を拡大することができる。
【0016】
とくに第一の発明によれば、シート基材に任意の枚数のバンド本体(RFIDタグ)を準備することができ、任意の形態のプリンターに装填可能であり、電子化データの保持とともに、印字による目視可能な表示も可能である。
さらに、シート基材における切込みのもろい部分を破くことにより、シート基材から同一層内にあるそれぞれのバンド本体を取り出して容易にこれを形成することができ、リストバンド用RFIDシート全体の構成を単純にして、その生産工程も簡略化することが可能である。
【0017】
とくに第二の発明によれば、バンド用スリットに挿通しているバンド部を交換することにより、RFIDタグのデータをそのままにして再利用する場合、あるいはデータを変更して再利用する場合など、RFIDタグ部分の再利用の融通性を拡大可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、個人情報を保存可能なRFIDタグを有するバンド本体に、リストバンドのバンド部を挿通するためのバンド用スリットを形成したので、RFIDタグ部分の再利用を可能とし、その構成がより単純でその生産工程を簡略化可能であるとともに、コストの低下を図ることができるリストバンド用RFIDシートおよびRFIDリストバンドを実現した。
【実施例】
【0019】
つぎに本発明の第1の実施例によるリストバンド用RFIDシート1およびRFIDリストバンド15を図1ないし図4にもとづき説明する。
図1は、リストバンド用RFIDシート1の平面図、図2は、図1のII−II線断面図(ただし、理解の弁のため厚さ方向を極端に厚く描いてある)であって、リストバンド用RFIDシート1は、帯状のシート基材2と、シート基材2内に複数枚形成したバンド本体3と、を有する。
【0020】
シート基材2は、任意の紙材料や合成樹脂材料などからなるシート状の帯状基材であって、バンド本体3部分と基本的には同一の積層構造を有し、これをロール状に巻いて任意のプリンター(図示せず)に装填し、その表面に所定情報を印字することができるものである。
シート基材2に切込み4を形成することにより、この切込み4の部分で上記バンド本体3を形成可能とする。
ただし、切込み4には、もろい部分4Aを残してあり、リストバンド用RFIDシート1の状態ではバンド本体3がシート基材2に一体化しており、シート基材2にバンド本体3を保持可能であるとともに、このもろい部分4Aを破くことにより、バンド本体3をシート基材から分離可能としてある。
なお、切込み4としては、等間隔にもろい部分ないし切込みを形成した一般的なミシン目のような構成であってもよい。
なお、シート基材2の裏面側には、位置検出用マーク5をあらかじめ印刷してあり、上記任意のプリンターに装填して印字を行うときの位置検出に用いる。
【0021】
バンド本体3は、電子化した個人情報を保存可能なRFIDタグ6を有するもので、とくに図2に示すように、裏側基材7と、表側基材8と、両層の間の接着剤層9により接着したRFIDインレット10と、を有し、RFIDインレット10がRFIDタグ6をその内部に収容している。裏側基材7および表側基材8は、タグとしての十分な剛性を有する材料からこれを構成するとともに、とくに表側基材8は、その表面に印字可能な特性を有するものである。
さらに、バンド本体3では、RFIDインレット10の部位を避けて、左右一対のバンド用スリット11を所定長さにわたって形成してある。このバンド用スリット11は、バンド本体3を貫通してこれを形成している。
【0022】
RFIDタグ6は、所定の波長を有する電波により非接触でデータの書込みおよび読取りが可能なタグであって、図1に示すように、RFIDタグ6は、ICチップ12と、アンテナ13と、を有し、ICチップ12内に所定量のデータ(個人情報)を書き込んで保持可能であるとともに、このデータを読み取り可能である。
【0023】
なお、バンド本体3における表側基材8の表面(印字領域14)に所定の個人情報を目視可能な文字あるいはバーコードなどにより印字可能であるが、この個人情報は、ICチップ12内のデータに対応した固定情報あるいは可変情報である。
【0024】
こうした構成のリストバンド用RFIDシート1を用いてRFIDリストバンド15を作成使用する場合を、図3および図4にもとづき説明する。
図3は、RFIDリストバンド15の平面図、図4は、シート基材2からバンド本体3を分離して取り出した状態を示す図2と同様の断面図であって、バンド本体3の左右一対のバンド用スリット11に帯状のバンド部16を挿通してバンド本体3と一体化するとともに、たとえば、バンド部16に形成した複数個の固定用孔部17のいずれかに固定具18を挿通してその端部を固定具18により固定することにより、人体の四肢の少なくともいずれかひとつ(たとえば手首H)に巻き付ける。
【0025】
かくして、RFIDリストバンド15としての使用が可能であるとともに、患者の外泊時などには、バンド部16の切断あるいは固定具18の破壊などによりバンド部16を取り外した場合に、バンド本体3の部分を保存しておいて、再来のときに新たなバンド部16をバンド本体3のバンド用スリット11に挿通してRFIDリストバンド15として再生が可能である。
したがって、RFIDタグ6付きのバンド本体3を無駄にすることなく、再生のコストもバンド部16のみの分でよく、コストダウンが可能である。
もちろん、RFIDタグ6におけるICチップ12のデータをすべて消去して、新たなRFIDタグ6として新しい個人情報を書き込むことも可能である。
【0026】
なおリストバンド用RFIDシート1は、上述のようなバンド本体3を帯状のシート基材2に複数枚形成した構成であるため、任意のプリンターに装填して印字領域14に必要な個人情報を連続的に、かつ必要に応じて印字することができる。
また、シート基材2にバンド本体3を切込み4を介して形成するようにしたので、一般的なラベル基材のように台紙(ともに図示せず)などをラベル基材に仮着する工程を省略可能であって、生産工程を簡略化しつつ、台紙などの材料を削減することができ、材料コストおよび生産コストを低減可能である。
さらに、上記台紙およびラベル基材の仮着工程において、これらの基材を互いに押圧する必要があってRFIDタグ6に不良品が発生する可能性があるが、本発明では、この仮着工程を省略可能であるためにRFIDタグ6の不良品発生率を低下させることができる。
【0027】
図5は、本発明の第2の実施例によるリストバンド用RFIDシート20の断面図であって、リストバンド用RFIDシート20は、前記帯状のシート基材2に相当する帯状のシート基材21と、シート基材21内に複数枚形成しているバンド本体22と、を有する。
さらに、図1に示した第12の実施例によるリストバンド用RFIDシート1と同様に、前記もろい部分4Aを残して形成した切込み4においてそれぞれのバンド本体22をシート基材21から分離可能としている。
【0028】
シート基材22(バンド本体22)は、前記RFIDタグ6を有する第1の基材23と、この第1の基材23に積層するとともに個人情報を印字可能な第2の基材24と、を有する。
第1の基材23は、図2に示した前記バンド本体3を有するシート基材2と事実上同様の構成であって、前述したように、裏側基材7と、表側基材8と、両層の間の接着剤層9により接着したRFIDインレット10と、を有し、RFIDインレット10がRFIDタグ6をその内部に収容している。なお、第1の基材23の最上層に剥離剤層25を設けている。
第2の基材24は、第1の基材23の上層に仮着しているもので、最上層基材26と、最上層基材26の裏面側の接着剤層27と、を有する。
最上層基材26の表面に印字領域28を設けて、個人情報(ICチップ12内のデータに対応した固定情報あるいは可変情報)を印字可能としている。
さらに、前述のリストバンド用RFIDシート1(第1の実施例)と同様に、バンド本体21を貫通して前記バンド用スリット11を形成してある。
【0029】
こうした構成のリストバンド用RFIDシート20においては、シート基材21からバンド本体22を切込み4において分離することにより、既述のバンド本体3と同様にして、RFIDリストバンドを構成することができる。
ただし、RFIDタグ6付きのバンド本体22の再利用にあたって、第2の基材24の部分を第1の基材23から剥離するとともに、新たな第2の基材24を第1の基材23に貼り付けることによって印字領域28の印字内容を変更可能であり、電子化データの変更ないし新たな書込みとともに、さらに再利用の態様がより広い、融通性を持たせたリストバンド用RFIDシート20とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1の実施例によるリストバンド用RFIDシート1の平面図である。
【図2】同、図1のII−II線断面図である。
【図3】同、RFIDリストバンド15の平面図である。
【図4】同、シート基材2からバンド本体3を分離して取り出した状態を示す図2と同様の断面図である。
【図5】本発明の第2の実施例によるリストバンド用RFIDシート20の断面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 リストバンド用RFIDシート(第1の実施例、図1〜図4)
2 帯状のシート基材
3 バンド本体
4 切込み
4A 切込み4のもろい部分
5 位置検出用マーク
6 RFIDタグ
7 裏側基材
8 表側基材
9 接着剤層
10 RFIDインレット
11 バンド用スリット
12 ICチップ
13 アンテナ
14 印字領域
15 RFIDリストバンド(図3、図4)
16 バンド部
17 固定用孔部
18 固定具
20 リストバンド用RFIDシート(第2の実施例、図5)
21 帯状のシート基材
22 バンド本体
23 第1の基材
24 第2の基材
25 剥離剤層
26 最上層基材
27 接着剤層
28 印字領域
H 手首

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の四肢の少なくともいずれかひとつに巻き付けるとともに、その人体の個人情報を保持可能なリストバンドを構成するためのリストバンド用RFIDシートであって、
帯状のシート基材と、
もろい部分を残した切込みを介してこのシート基材に形成するとともに、前記個人情報を保存可能なRFIDタグを有するバンド本体と、
を有し、
前記バンド本体には、前記リストバンドのバンド部を挿通するためのバンド用スリットを形成してあることを特徴とするリストバンド用RFIDシート。
【請求項2】
前記バンド本体の表面に前記個人情報を印字可能としたことを特徴とする請求項1記載のリストバンド用RFIDシート。
【請求項3】
前記バンド本体は、
前記RFIDタグを有する第1の基材と、
この第1の基材に積層するとともに前記個人情報を印字可能な第2の基材と、を有することを特徴とする請求項1記載のリストバンド用RFIDシート。
【請求項4】
人体の四肢の少なくともいずれかひとつに巻き付けるとともに、その人体の個人情報を保持可能なRFIDリストバンドであって、
前記個人情報を保存可能なRFIDタグを有するとともに、もろい部分を残した切込みを介して帯状のシート基材に形成したバンド本体と、
このバンド本体に形成したバンド用スリットに挿通可能なバンド部と、
を有し、
前記RFIDタグを再利用可能とすることを特徴とするRFIDリストバンド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−176745(P2008−176745A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−11972(P2007−11972)
【出願日】平成19年1月22日(2007.1.22)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】