説明

リソグラフィ・インプリント・システム

【課題】 ナノインプリント・モールドを保持するテンププレートのチャネル又は孔に関すること。
【解決手段】ナノインプリント・モールドを保持するテンププレートのチャネル又は孔を使用して部分真空を生成することによって、ナノインプリント・リソグラフィ・テンプレートの近傍に所望の環境を生成維持するための方法及びシステムを対象とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノリソグラフィ・インプリント・システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ナノファブリケーションは、例えばほぼナノメートル以下のフィーチャを有する非常に小さな構造の製造を含む。ナノファブリケーションがかなり大きな影響を及ぼした1つの分野は、集積回路の処理である。半導体処理産業は、基板に形成される単位面積当たりの回路を増加させながら、より高い製造歩留りを求めて懸命に努力し続けているので、ナノファブリケーションはますます重要になっている。ナノファブリケーションは、形成される構造の最小フィーチャ寸法のいっそうの減少を可能にしながら、より優れたプロセス制御を可能にする。ナノファブリケーションが使用されている他の開発分野は、生物工学、光技術、機械システムなどを含む。
【0003】
典型的なナノファブリケーション技術は、一般に、インプリント・リソグラフィと呼ばれる。典型的なインプリント・リソグラフィ・プロセスは、「Method and a Mold to Arrange Features on a Substrate to Replicate Features having Minimal Dimensional Variability」という名称の米国特許出願第10/264,960号として出願された米国特許出願公開第2004/0065957号、「Method of Forming a Layer on a Substrate to Facilitate Fabrication of Metrology Standards」という名称の米国特許出願第10/264,926号として出願された米国特許出願公開第2004/0065252号、「Functional Patterning Material for Imprint Lithography Processes」という名称の米国特許第6,936,194号などの多数の出版物に詳細に説明されおり、これらの特許及び出願公開の全ては本発明の譲受人に譲渡されており、さらにこれらの全ては参照によって本明細書に組み込まれる。
【0004】
前述の米国特許出願公開及び米国特許の各々に開示された基本的なインプリント・リソグラフィ技術は、重合可能層にレリーフ・パターンを形成すること、及びこのレリーフ・パターンに対応するパターンを下の基板に転写することを含む。基板は、基板のパターニングを容易にする所望の位置を得るために、移動ステージに位置付けられる。テンプレートが基板から間隔を空けて配置されて使用され、成形可能な液体がテンプレートと基板の間に存在している。この液体が固化されて、液体と接触したテンプレートの表面の形に一致するパターンが記録された固化層を形成する。次に、テンプレートと基板が間隔を空けて配置されるように、テンプレートは固化層から分離される。次に、基板と固化層が、固化層のパターンに対応するレリーフ像を基板に転写するためのプロセスにかけられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インプリント・リソグラフィをさらに効率的で魅力のあるものにするシステムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これは、請求項のシステムによって達成される。インプリント・リソグラフィは、ナノリソグラフィ・インプリント・プロセス中にテンプレートと基板の間に特定の環境を生成することによって、特に部分真空環境インプリントによっていっそう効率的になる。
【0007】
本発明の好ましい実施態様が従属請求項に特徴付けされている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】基板から間隔を空けて配置されたテンプレートを有するリソグラフィ・システムを示す簡略化された側面図である。
【図2】テンプレートを介した部分真空環境を示し、a)は孔のあるテンプレートの側面図であり、b)は多数の孔のあるa)のテンプレート上面図であり、c)はチャネルの付いたテンプレートの側面図であり、d)はc)の上面図である。
【図3】追加のアドオン・プレートを示す図である。
【図4A】テンプレートのまわりの半密封として作用する上向きエア・ベアリングを使用する部分真空環境を示す図である。
【図4B】テンプレートのまわりの半密封として作用する上向きエア・ベアリングを使用する部分真空環境を示す図である。
【図5】本発明の代替実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の好ましい実施形態が、これから図面を参照して開示される。
【0010】
図1を参照すると、基板12上にレリーフ・パターンを形成するシステム8が、基板12を支持するステージ10と、パターニング面18を有するテンプレート14とを含んでいる。さらに他の実施形態では、基板12は基板チャック(図示せず)に結合され、基板チャック(図示せず)は、真空や電磁気式を含んだ、これらに限定されない任意のチャックである。
【0011】
テンプレート14及び/又はモールド16は、石英ガラス、石英、シリコン、有機重合体、シロキサン重合体、硼珪酸ガラス、フルオロカーボン重合体、金属及び硬化サファイアを含んだ、これらに限定されない材料から形成される。図示されるように、パターニング面18は、間隔を空けて配置された複数の凹部17と突出部19によって形成されたフィーチャを備える。しかし、さらに他の実施形態では、パターニング面18は、実質的に滑らかで、かつ/又は平面であることもある。パターニング面18は、基板12上に形成されるべきパターンの基礎を形成する原パターンを設けている。
【0012】
テンプレート14は、テンプレート14の、したがってモールド16の動きを容易にするためにインプリント・ヘッド20に結合される。さらに他の実施形態では、テンプレート14は、テンプレート・チャック(図示せず)に結合され、このテンプレート・チャック(図示せず)は、真空及び電磁気式を含んだ、これらに限定されない任意のチャックである。流体分配システム22は、重合体材料24を基板上に堆積させるために、基板12と選択的に流体連通にされるように結合される。理解されるべきことであるが、重合体材料24は、例えば滴下供給、回転塗布、浸漬塗布、化学気相成長法(CVD)、物理蒸着法(PVD)などのどんな知られた技術を使用して堆積されてもよい。さらに、重合体材料24は、以下でさらに説明される、モールド16と基板12の間の環境を確立する前に、基板12上に分配されてもよく、又は、さらに他の実施形態では、流体分配システム22は、基板12とテンプレート14の間に配置されてもよい。
【0013】
エネルギー28の供給源26は、経路30に沿ってエネルギー28を導くように結合される。インプリント・ヘッド20とステージ10は、モールド16と基板12をそれぞれ重ねて経路30に配置させるように、構成されている。インプリント・ヘッド20、ステージ10、又は両方のうちのいずれかが、重合体材料24で満たされる所望の容積をモールド16と基板12の間に形成するように、モールド16と基板12の間の距離を変えられる。
【0014】
図1を参照すると、所望の容積がモールド16と基板12の間に形成される前に、重合体材料24が基板12上に分配される。しかし、所望の容積が得られた後で、重合体材料24が容積を満たしてもよい。所望の容積が重合体材料24で満たされた後で、基板12の表面25及びパターニング面18の形に従って重合体材料24を固化及び/又は架橋させるエネルギー28、例えば広帯域エネルギーを、供給源26が生成して、パターニングされた層50を基板12上に形成させる。
【0015】
広帯域エネルギーは、紫外波長、熱エネルギー、電磁エネルギー、可視光などを含んだ、これらに限定されない光化学作用成分を含むことができる。使用される光化学作用成分は、当業者には知られており、一般に、インプリント層12が形成された材料に依存する。このプロセスの制御は、メモリ34に格納されたコンピュータ読取可能プログラムに基づいて動作するとともに、ステージ10、インプリント・ヘッド20、流体分配システム22、供給源26とデータ通信するプロセッサ32によって調節される。
【0016】
次の3つの能力は、インプリント・リソグラフィをいっそう効率的で魅力のあるものにするのに役立つと思われる。
1.純粋なヘリウム、又はCO2などの他のプロセス・ガスの雰囲気の生成及び維持、
2.部分又は完全真空インプリント(充填時間、欠陥、酸素中毒を減少させる)、
3.剥離力の減少又は除去。
【0017】
テンプレートの近傍に圧力を生成し維持するというチャンバの概念は、次にガスで加圧されるか、又は排気される密封容積をテンプレートの作用範囲のまわりに作る。テンプレートがウェーハと接触したとき、テンプレートの形状のために、この作用範囲のまわりのエッチバック領域が、都合よくそのような容積を生成する。エッチバック領域はまた、作用範囲よりも約5〜15μm高いので、どんなガス/流体に対しても非常に高い流れ抵抗を生成する。
【0018】
図2a)〜d)は、空気流用のチャネル213又は孔204を有するテンプレート203〜211を使用する部分真空環境を示す。テンプレート205、214の作用範囲202〜212の下に一様な部分真空を誘起するために、流れの多供給源(例えば、孔204)又は周囲のチャネル213を備えることが望ましい。開口204、216を通り抜ける真空の流れは、存在する空気又はガスを引き寄せて除去し、これによって、小さいが長い隙間のためにかなり大きな圧力降下が存在して、作用範囲202、212と基板201、210の間の圧力が下がる。「Single Phase Fluid Imprint Lithography Method」という名称の米国特許出願第10/677,639号として出願された米国特許出願公開第2005/0072755号は、テンプレート203、211と基板201、210の間に流れを生じさせる方法を説明しており、この出願公開は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0019】
図3を参照すると、テンプレート302に穴をあけることができないか、チャネルのための加工をすることができないとき、テンプレート302の外側にさらなるプレート304を追加する。その結果、この追加されたプレート304とテンプレート302の間の小さな隙間305が、作用範囲306と基板301の間に必要な空気圧降下を生成することができる。小さな隙間を5〜50ミクロンの範囲に維持するために、この追加延長部分はエア・ベアリングを有してもよく、このエア・ベアリングが合わせ面と連係する。
【0020】
図4は、基板402とテンプレート403の間に部分圧力を生成する部分圧力インプリント・ツールの断面図を示す。予め真空を負荷されたエア・ベアリング410は、空気に取って代わる適切なプロセス・ガス(例えば、He)で満たされるミニ環境405を実質的に密封することができる。このエア・ベアリング境界410は、プレート406に隣接して位置付けされる。エア・ベアリング基準面406と、対応するテンプレート・ステージ404との釣り合いのとれた状態で、加圧ガス407がエア・ベアリング環410を通して流されている間に、チャネル(図示せず)が、環境405から排気408する。いったんウェーハに対してインプリントが完了すると、上向きエア・ベアリングは、ウェーハI/Oエンドエフェクタのアクセスを可能にするように下げられてもよい。
【0021】
図5は、テンプレート502と基板501の間に部分He環境を生成するためにノズルのシステムが使用される実施形態を示す。
【0022】
上で説明された本発明の実施形態は例示である。本発明の範囲内にあって、上で説明された開示に多くの変更及び修正が加えられる可能性がある。したがって、本発明の範囲は、上述の説明によって限定されるべきでなく、むしろ同等の全範囲を加えて添付の特許請求の範囲を参照して決定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノリソグラフィ・インプリント・プロセス中にテンプレートと基板の間に特定の環境を生成するためのシステムであって、
前記基板と、
前記基板に接近して配置された少なくとも1つの孔を有するテンプレートであって、そのテンプレート上のナノインプリント・モールドと前記基板の対応する位置との間に空間容積を生成する、テンプレートと、
前記ナノインプリント・モールドと前記基板との間の前記空間容積中のガスを部分排気させる手段とを備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記孔は前記テンプレートのアクティブ領域と前記基板の間に空気流を提供することを特徴とする請求項1記載のシステム
【請求項3】
前記孔は前記テンプレートのアクティブ領域から外部環境に向かって空気流を提供することを特徴とする請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記テンプレートは、前記ナノインプリント・モールドの周囲に配置された前記テンプレートを貫通する複数の孔をさらに備え、前記部分真空環境を作成する手段は、前記ナノインプリント・モールドと前記基板を囲む前記所望の容積内にガスの前記部分真空環境を生成するために前記複数の孔を利用することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記テンプレートは、前記ナノインプリント・モールドのまわりの前記テンプレートに形成されたチャネルをさらに備え、前記チャネルは前記排気させる手段に結合されていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記部分真空環境を作成する手段は、前記テンプレートの側面と物体の側面との間に前記インターフェース隙間を生成するように前記テンプレートのまわりに配置された、前記エア・ベアリング面を有する前記物体をさらに備え、それによって、前記インターフェース隙間を上向きに通過する空気流が前記テンプレートと前記基板との間からガスを排気することを特徴とする請求項1に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−179655(P2010−179655A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−63842(P2010−63842)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【分割の表示】特願2009−504231(P2009−504231)の分割
【原出願日】平成19年4月2日(2007.4.2)
【出願人】(503193362)モレキュラー・インプリンツ・インコーポレーテッド (94)
【Fターム(参考)】