説明

リターンベルトの蛇行調整装置

【課題】ベルトコンベヤのリターンベルトの蛇行を防止する。
【解決手段】上位端の取付部1をベルトコンベヤAにおける両側コンベヤフレームBに取付金具2を介し取り付けると共に、取付部から下方に突出する垂直部3及びこの垂直部から連なって下方内向きに突出する傾斜部4により構成したサイドスタンド5と、ベルトコンベヤのリターンベルトaの上側を横切って上記取付部に取付金具9を介し両端を支持したスタンドフレーム8と、このスタンドフレームの両端部に取付金具17を介し上端を支持したインスタンド16と、このインスタンドの下端及び上記サイドスタンドの傾斜部の下端にリターンベルトの両側縁部を所定のトラフ角をもって上方から押さえ込む調芯ローラ30のセンタ軸31の両端を貫通支持するように貫通孔を設けた構成を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ベルトコンベヤにおけるリターンベルトの蛇行調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ベルトコンベヤは、周知のように、コンベヤフレームのキャリヤローラによりキャリヤベルトの裏面が支承され、コンベヤフレームのリターンローラによりリターンベルトの表面が支承されている。
【0003】
ところが、リターンベルトをフラットな状態で支承すると、ベルトに蛇行が発生するので、ベルトに蛇行が発生しないような調芯手段が必要になる。
【0004】
上記の調芯手段としては、通称ラムダ型又はハの字逆押えと称されるものがあり、これはリターンベルトの裏面両側縁部を所定のトラフ角θをもって上方から支える調芯ローラを配置することにより構成される。
【0005】
この原理は、走行中のベルトのその両側縁部を調芯ローラにより押し付けているので、偏りが生じると接触面積の増加に伴ってその押付反力も増し、その押付反力のベルト幅方向の成分を利用してベルトを元の位置に自力で復元させて調芯を行なわせるというものである(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3561301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1の方式によると、リターンベルトの上を横切るように挿入した支持フレームの両端のフランジをコンベヤフレームに固定する。
【0008】
上記の支持フレームには、端から中央部分に近接離反移動自在(レール部材をガイドとしたスライドにより)な左右一対の支持ブロックが設けてあり、この支持ブロックの高所端側と低所側端とに調芯ローラの固定軸の両端を保持させる。
【0009】
なお、支持ブロックをスライド調整自在とした要因は、調芯ローラとリターンベルトとの接触面積を調節して調芯力の調整を行うことにあり、調整後には、ボルトを締め付けて支持フレームに対し支持ブロックが固定される。
【0010】
上記のような構成によると、支持フレームに対し対の支持ブロックを接近、離反スライドさせて調芯力を調整する方式のため、左右の支持ブロックの停止位置決めに手数がかかる、すなわち、左右の支持ブロックの停止位置に若干の相違があると、左右の調芯力にバラツキが発生する。
【0011】
また、支持フレームに対し支持ブロックをスライド自在としてあるので、支持フレームをレールとするので、特殊な形状になって、大幅なコストアップになる以外に、支持ブロックの形状にも制約を受ける問題が発生し、かつ調芯ローラの交換にも著しく手数がかかる問題もあった。
【0012】
そこで、この発明は、上述の問題を解消したリターンベルトの蛇行調整装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、この発明は、上位端の取付部をベルトコンベヤにおける両側コンベヤフレームに取付金具を介し取り付けると共に、上記取付部から下方に突出する垂直部及びこの垂直部から連なって下方内向きに突出する傾斜部により構成したサイドスタンドと、上記ベルトコンベヤのリターンベルトの上側を横切って上記取付部に取付金具を介し両端を支持したスタンドフレームと、このスタンドフレームの両端部に取付金具を介し上端を支持したインスタンドと、このインスタンドの下端及び上記サイドスタンドの傾斜部の下端にリターンベルトの両側縁部を所定のトラフ角をもって上方から押さえ込む調芯ローラのセンタ軸の両端を貫通支持するように貫通孔を設けた構成を採用する。
【0014】
また、サイドスタンドの傾斜部の途中から下端迄が、上記傾斜部の上位端から途中迄に対しコンベヤフレーム側に広がるように曲げた構成を採用することもある。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、この発明のリターンベルトの蛇行調整装置によれば、リターンベルトの上を横切るように挿入したスタンドフレームの取付部を取付金具を介し両側のコンベヤフレームに取り付け、スタンドフレームに具備してあるインスタンド及びサイドスタンドの貫通孔にセンタ軸の両端を貫通させて左右の調芯ローラを支承することで、リターンベルトの両側縁部を所定のトラフ角をもって調芯ローラにより押さえ込む(蛇行を防止するように)ことができる。
このため、ベルトコンベヤのリターンベルトの蛇行調整が極めて容易になる。
【0016】
また、スタンドフレーム、インスタンド及びサイドスタンドを組み立て方式にしてあるので、いくつかのパーツの共用化が図れ、在庫時のスペースが少なくなると共に、計画生産ができるので、即納体制がとれる以外に、破損側のみの交換もできる(据付後のローラやパーツの交換が容易になる)。
【0017】
さらに、サイドスタンドの傾斜部の途中から下端迄が、上記傾斜部の上位端から途中迄に対しコンベヤフレーム側に広がるように曲げた構成としてあるので、調芯ローラの取付や交換の際、傾斜部の貫通孔にセンタ軸の一端を嵌め込んだのち、調芯ローラを押し下げながらセンタ軸の他端をインスタンドの貫通孔に嵌め込む際、傾斜部の下端部の広がりの曲げにより傾斜部の下端側と調芯ローラの端面との突っ張りがなく、スムーズにセットすることができる。
勿論、調芯ローラの交換の際の取り外しも容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、この発明の実施の形態を示す縦断正面図である。
【図2】図2は、同上の要部を示す縦断拡大正面図である。
【図3】図3は、サイドスタンドの部分を示す分解斜視図である。
【図4】図4は、インスタンドの部分を示す分解斜視図である。
【図5】図5は、サイドスタンドの部分の縦断側面図である。
【図6】図6は、インスタンドの部分の縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に示すAは、ベルトコンベヤである。
【0020】
上記のベルトコンベヤAは、周知のようにヘッドプーリ及びテールプーリ(いずれも図示省略)に無端状のベルトaをかけ渡すと共に、両側のコンベヤフレームB上に両端を受架し、かつ締付金具Cにより固定した水平材Dの両センタスタンドEに両端を軸承したセンタローラFと、センタスタンドEとサイドスタンドGとで両端を軸承した登り傾斜のサイドローラHとでベルトaのキャリア側をトラフ形に支承する。
【0021】
また、図1から図3に示すように、上位端から連なって外側方に突出する取付部1をボルトとナットとからなる取付金具2を介しコンベヤフレームBに固定する垂直部3と、この垂直部3から連なって下方内側方に突出する傾斜部4とでサイドスタンド5が構成されている。
【0022】
上記のサイドスタンド5は、金属板片をプレス加工により形成されて軽量化を図ると共に、塗装することで綺麗な仕上がりとなる。勿論、ステンレス仕様にすることで、錆止め塗装が不要になる。
【0023】
上記取付金具2のボルトは、コンベヤフレームBの透孔7から取付部1の長孔6に挿通して、ボルトにねじ込んだナットを締め付ける。
【0024】
8はリターンベルトaの上を横切るように挿入したスタンドフレームで、このスタンドフレーム8の両端は、サイドスタンド5の上端にボルトとナットからなる取付金具9を介し取り付けてある。
【0025】
上記の取り付けは、図示の場合、取付部1の両端縁から連なる突片10の透孔11と、溝形材のスタンドフレーム8の両側板13の端に設けてある透孔12とを合致させて、合致した透孔11、12に取付金具9のボルトを挿通して、ボルトにナットをねじ込んで締め付ける。
【0026】
その際、垂直部3の両側縁に設けてある切欠き15に側板13の端部を嵌め込むと共に、側板13の下縁を切欠き15の下縁に、側板13の上縁を突片10の連成屈曲部分に当接させて、スタンドフレーム8の端を不回転状態に取り付ける。
【0027】
16はスタンドフレーム8の両端部に取付金具17を介し上端を取り付けたインスタンドである。
【0028】
上記の取付は、図示の場合、平面コ字状に金属板をプレス成形して、主板18の両側縁から連なる側板19の透孔20と側板13の透孔21とを合致させて、合致した透孔20、21に取付金具17のボルトを挿通して、ボルトにナットをねじ込んで締め付ける。
【0029】
その際、主板18の両側上端から突出する突部22を側板13の上縁の切欠き23に落とし込んで係合関係にすることで、スタンドフレーム8に対しインスタンド16を不回転状態に取り付ける。
【0030】
また、インスタンド16の下端及びサイドスタンド5の傾斜部4の下端には、リターン側ベルトaの両側縁部を所定のトラフ角をもって上方から押さえ込む調芯ローラ30のセンタ軸31の両端を貫通支持する貫通孔32、33が設けてある。
【0031】
上記両調芯ローラ30は外方に下り勾配に傾斜した姿勢で軸承(所定のトラフ角をもたせる)するため、スタンドフレーム8に対するインスタンド16の下方への突出長さを短くスタンドフレーム8に対するサイドスタンド5の下方への突出長さを長くしてある。
【0032】
上記センタ軸31の両端の端面形状を小判形(軸の外周対向位置を切削加工して)としてあるので、貫通孔32、33も小判形にしてあり、主板18の貫通孔32を図4に示すように上縁が開放する形状としておくと、サイドスタンド5の貫通孔33にセンタ軸31の片方を挿入し、次いでインスタンド16の貫通孔32にセンタ軸31のもう片方を上方から落とし込みながら挿入することができる。
【0033】
その際、図4、2に示すように、主板18の外側面に当板34を重ねると共に、当板34の透孔35に挿入したビス36を主板18のネジ孔37にねじ込んで当板34を主板18に固定しておくと、センタ軸31の端の外周面に当板34の下縁が当接して、センタ軸31の浮き上がりを止めて、調芯ローラ30の脱落を阻止することができる。
【0034】
上記のように構成することで、サイドスタンド5とインスタンド16とで調芯ローラ30を軸承することにより、キャリヤ側ベルトaの両側縁部を所定のトラフ角θをもって上方から押さえ込んで支えるので、キャリヤ側ベルトaを調芯して蛇行を防止する。
【0035】
また、図1、2に示すように、サイドスタンド5の傾斜部4の下部から下端迄をコンベヤフレームB側(外側方)に広がるように(約20度)曲げておく。
【0036】
すると、調芯ローラ30の取り付け、取り外しにともなうインスタンド16側を、降下、上昇させた際、調芯ローラ30のサイドスタンド5側端面と傾斜部4との衝突を回避してスムーズな取り付け、取り外しが可能になる。
【0037】
なお、スタンドフレーム8、インスタンド16は、金属板や片をプレス加工により形成することで、軽量化を図ることができ、塗装すると綺麗な仕上がりとなる。
【0038】
勿論、ステンレス仕様にすると、錆止め塗装が不要になる。
また、据付後の調芯ローラやパーツの交換が容易になる。
【符号の説明】
【0039】
A ベルトコンベヤ
a ベルト
B コンベヤフレーム
C 締付金具
D 水平材
E センタスタンド
F センタローラ
G サイドスタンド
H サイドローラ
1 取付部
2 取付金具
3 垂直部
4 傾斜部
5 サイドスタンド
6 長孔
7 透孔
8 スタンドフレーム
9 取付金具
10 突片
11 透孔
12 透孔
16 インスタンド
17 取付金具
18 主板
19 側板
20 透孔
21 透孔
22 突部
23 切欠き
30 調芯ローラ
31 センタ軸
32 貫通孔
33 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上位端の取付部をベルトコンベヤにおける両側コンベヤフレームに取付金具を介し取り付けると共に、上記取付部から下方に突出する垂直部及びこの垂直部から連なって下方内向きに突出する傾斜部により構成したサイドスタンドと、上記ベルトコンベヤのリターンベルトの上側を横切って上記取付部に取付金具を介し両端を支持したスタンドフレームと、このスタンドフレームの両端部に取付金具を介し上端を支持したインスタンドと、このインスタンドの下端及び上記サイドスタンドの傾斜部の下端にリターンベルトの両側縁部を所定のトラフ角をもって上方から押さえ込む調芯ローラのセンタ軸の両端を貫通支持するように貫通孔を設けたことを特徴とするリターンベルトの蛇行調整装置。
【請求項2】
上記サイドスタンドの傾斜部の途中から下端迄が、上記傾斜部の上位端から途中迄に対しコンベヤフレーム側に広がるように曲げたことを特徴とする請求項1に記載のリターンベルトの蛇行調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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