説明

リチウムイオン二次電池

【課題】薄板状大面積でありながら柔軟性を有しているため、配線が容易でセルの内部構造が破壊が発生しにくく、充放電特性にも優れたリチウムイオン二次電池を提供する。
【解決手段】蓄電性ゴム状弾性体を用いたシート状正極1に、セパレーター3を介して部分的に負極2を設け、部分的に設けた負極2の表面の少なくとも一部の表面が、シート状正極1の表面と同一方向側に露出するように配置し、正極1の表面に正極端子4を正極と導電するように設け、負極2の表面に負極端子5を負極と導電するように設けたことを特徴とする。イオンバリア層6を異方導電膜とする事により、多数のセルを平面に配置した集積型電源とする事ができる。また上記の構成は正極と負極を逆としても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電性ゴム状弾性体を用いたリチウムイオン二次電池に関し、特に、全体形状がシート状であって、正極端子及び負極端子が同一の表面にあるリチウムイオン二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、リチウムイオン二次電池は、種々の用途に使用されているが、その構造には、主に角型と円筒型とがある。どちらも、正極と負極との間にセパレーターを挟み、渦巻き状に巻くというものである。そのため、電源は、離れた正極端子、負極端子それぞれからとることになる。しかし、このタイプのリチウムイオン二次電池は正極又は負極に集電体を接触させ、この集電体にて、一般に端部に設けられている端子まで電気を導く必要がある。他方、リチウムイオン二次電池は、機器の限られたスペースに組み込むために、機器に応じて多様な形状に形成したいという要求があり、中でもシート形状のリチウムイオン二次電池は、組み込み自由度が高さから要求が高いものである。しかしながら、リチウムイオン二次電池をシート状に形成した場合、従来のものにあっては、正極端子及び負極端子が電池の側面に配置されるため、特に、電池が大型化(大面積化)すると、電池の正極端子及び負極端子と給電される負荷との位置関係によっては、正極端子及び負極端子と負荷とを電気的に接続する配電線が長くなる場合があり、また、リチウムイオン二次電池本体が衝撃吸収性に欠けるといった問題点があった。このため、外部からの衝撃で配電線が断線したり、また、外部からの衝撃で電池本体に破断が生じた場合は放電機能が喪失して、負荷への給電が停止するといった問題点があった。
【0003】
一方、シート状正極、セパレーター、シート状負極を一体化して、正極端子と負極端子を同一の側面から引き出した薄型のリチウム電池が周知である(特許文献1〜3参照)。これらの周知技術によれば、0.5mm程度の厚さの電池が可能であるが、薄板化による強度の低下の解消が難しく、大面積のものは得られていない。また、特許文献2には、正極端子(正極電池リード)と負極端子(負極電池リード)を同一平面に設けることも示されているが、正極端子と負極端子を同一平面とするためには、複雑な手段を採用する必要があった。
【特許文献1】特開11−154495号公報
【特許文献2】特開2003−187873号公報
【特許文献3】特開2005−149863号公報
【0004】
また、本発明者らは、柔軟性に優れた蓄電性ゴムを用いたリチウム電池を開発し、特許出願(特願2005−330465号)、PCT出願(特許文献4参照)をしたが、蓄電性ゴムを用いたリチウム電池を実用化するに際して、リチウムイオン二次電池の構造をどのようにするかが課題であった。
【特許文献4】WO2006/054779 A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術に存在していた課題を解決しようとするものであり、薄板大面積のリチウムイオン二次電池としても、簡易な構造で同一の平面や曲面に正極端子及び負極端子の配置が可能となって負荷への配電線の短縮化が可能となり、また、電池本体に柔軟性を具備させることにより、耐衝撃性にも優れたリチウムイオン二次電池を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明においては、上記の課題を解決するために、以下の手段を採用する。
(1)蓄電性ゴム状弾性体を用いたシート状正極又はシート状負極に、セパレーターを介して部分的に負極又は正極を設け、前記部分的に設けた負極の表面の少なくとも一部の表面が、前記シート状正極の表面と同一方向側に露出するように配置するか、又は、前記部分的に設けた正極の表面の少なくとも一部の表面が、前記シート状負極の表面と同一方向側に露出するように配置し、前記シート状正極又はシート状負極の表面に一方の極の端子を導電可能に設け、前記部分的に設けた負極又は正極の表面に他方の極の端子を導電可能に設けたことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
(2)前記一方の極の端子及び他方の極の端子は、第一のイオンバリア層を介して前記正極の表面及び負極の表面に設けたことを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
(3)前記シート状正極の裏面及び側面、又はシート状負極の裏面及び側面に第二のイオンバリア層を設けたことを特徴とする前記(1)又は(2)のリチウムイオン二次電池。
(4)前記シート状正極又はシート状負極に、部分的に凹部を設けて、前記凹部に負極又は正極を配置し、正極の表面及び負極の表面を同一面としたことを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか一項のリチウムイオン二次電池。
(5)前記シート状正極又はシート状負極の凹部が、格子状の溝であり、前記凹部に配置した負極又は正極が、前記格子状の溝に対応した形状の格子状の成型体であり、各格子のうちの所定の格子に一方の極の端子が設けられていることを特徴とする前記(4)のリチウムイオン二次電池。
(6)前記シート状正極又はシート状負極の凹部が、厚さ方向に形成された複数の穴であり、前記凹部に配置した負極又は正極が、前記複数の穴に対応した形状の複数のブロック状の成型体であり、各ブロックのうちの所定のブロックに一方の極の端子が設けられていることを特徴とする前記(4)のリチウムイオン二次電池。
(7)前記シート状正極又はシート状負極の表面に、部分的に負極又は正極を配置したことを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか一項のリチウムイオン二次電池。
(8)前記シート状正極又はシート状負極の表面に配置した負極又は正極が、格子状の凸部を形成し、各格子のうちの所定の格子に一方の極の端子が設けられていることを特徴とする前記(7)のリチウムイオン二次電池。
(9)前記シート状正極又はシート状負極の表面に配置した負極又は正極が、複数のブロック状の凸部を形成し、各ブロックのうちの所定のブロックに一方の極の端子が設けられていることを特徴とする前記(7)のリチウムイオン二次電池。
(10)前記部分的に設けた負極又は正極が、蓄電性ゴム状弾性体であることを特徴とする前記(1)〜(9)のいずれか一項のリチウムイオン二次電池。
(11)前記セパレーターが、ゴム状弾性体であることを特徴とする前記(1)〜(10)のいずれか一項のリチウムイオン二次電池。
(12)前記第一のイオンバリア層が異方性導電部材であることを特徴とする前記(2)〜(11)のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
(13)前記第二のイオンバリア層が、アルミニウム、タンタル、ニオブ、及びチタンより選ばれる金属からなるバルブメタル板であることを特徴とする前記(3)〜(11)のいずれか一項のリチウムイオン二次電池。
(14)前記蓄電性ゴム状弾性体は、ゴム状弾性体からなる支持体に、電子伝導性の分散材、イオン導電性の分散材及び電池活物質を分散させたものであることを特徴とする前記(1)〜(13)のいずれか一項のリチウムイオン二次電池。
(15)前記ゴム状弾性体からなる支持体が、ACM(アクリルゴム)、NBR(ニトリルゴム)、H−MBR(水添加ニトリルゴム)より選ばれるゴムからなることを特徴とする前記(14)のリチウムイオン二次電池。
(16)前記電子伝導性の分散材が、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、及びグラファイト粉末から選ばれる一種以上の炭素粉末であることを特徴とする前記(14)又は(15)のリチウムイオン二次電池。
(17)前記イオン導電性の分散材が、リチウム塩と有機溶媒を含有するイオン導電性の液体を前記ゴム状弾性体からなる支持体に浸透させ、該支持体を膨潤させたものであることを特徴とする前記(14)〜(16)のいずれか一項のリチウムイオン二次電池。
(18)前記イオン導電性の分散材が、ClO4、BF4、又はPF6のリチウム塩を含有することを特徴とする前記(14)〜(17)のいずれか一項のリチウムイオン二次電池。
(19)前記正極に用いる蓄電性ゴムは、電池活物質が、LiMn2O4であることを特徴とする前記(14)〜(18)のいずれか一項のリチウムイオン二次電池。
(20)前記負極に用いる蓄電性ゴムは、電池活物質が、易黒鉛化性系炭素、難黒鉛化性系炭素、及び黒鉛から選ばれる負極活物質であることを特徴とする前記(14)〜(19)のいずれか一項のリチウムイオン二次電池。
(21)前記負極に用いる蓄電性ゴムは、電池活物質が、酸化チタンであることを特徴とする前記(14)〜(19)のいずれか一項のリチウムイオン二次電池。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、蓄電性ゴム状弾性体を用いたシート状正極又はシート状負極に、部分的に負極又は正極を設け、この部分的に設けた負極又は正極の少なくとも一部の表面が、シート状正極又はシート状負極の表面と同一方向側に露出するように配置されているため、正極端子と負極端子の双方を同一の平面や曲面に配置することができ、電池と負荷の配置関係によっては、従来よりも負荷への配電線の短縮化が可能となる。
また、電池本体を蓄電性ゴム状弾性体を用いたシート状正極又はシート状負極で構成したため、柔軟性を具備し、耐衝撃性に優れており、このため、外部からの衝撃に対して破断などが生じに難い構造を容易に実現できる。
また、正極又は負極を、格子状若しくはブロック状に設けてリチウムイオン二次電池とした場合には、セパレーターを介して正極と負極の組み合わせが電池内に一つではなく複数存在しているので、電池内部の格子状若しくはブロック状の正極又は負極の一部やそれらの端子に衝撃等により破断が生じて当該箇所が二次電池としての機能を喪失しても、それ以外の正極及び負極やそれらの端子が健全であれば、当該箇所は二次電池としての機能を有するため、リチウムイオン二次電池として機能を確保することが可能であり、衝撃等に対しても二次電池としての信頼性を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のリチウムイオン二次電池は、蓄電性ゴム状弾性体を用いたシート状正極に、セパレーターを介して部分的に負極を設け、前記部分的に設けた負極の表面の少なくとも一部の表面が、前記シート状正極の表面と同一方向側に露出するように配置し、前記シート状正極の表面に正極端子をシート状正極と導電するように設け、前記負極の表面に負極端子を負極と導電するように設けたことを特徴とする。上記の正極と負極を逆にし、負極を、蓄電性ゴム状弾性体を用いたシート状負極として、このシート状負極に、セパレーターを介して部分的に正極を設け、前記部分的に設けた正極の表面の少なくとも一部の表面が、前記シート状負極の表面と同一方向側に露出するように配置しても良い。この場合は、前記シート状負極の表面に負極端子をシート状負極と導電するように設け、前記正極の表面に正極端子を正極と導電するように設けることになる。
なお、シート状正極の表面又はシート状負極の表面は、いずれの面を表面若しくは裏面としても良く、部分的に設けた負極又は正極が、シート状正極又はシート状負極を貫通するような場合は、一方の面だけではなく、それぞれの面に端子を設ける場合も含む。
【0009】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態について説明する。
一実施形態としては、図1、図7、図8及び図9に示すように、シート状正極又はシート状負極に、部分的に厚さ方向に形成された凹部を設けて、この凹部に負極又は正極を配置し、シート状正極の表面と凹部に配置した負極の表面(又はシート状負極の表面と凹部に配置した正極の表面)を同一面としたリチウムイオン二次電池とすることができる。この場合には、部分的に設けた負極又は正極の表面のうち上面のみが、シート状正極又はシート状負極の表面と同一方向側に露出することになる。
本発明においては、正・負極端子を同一面側に設け負荷に接続するために、シート状正極の表面及びシート状正極の凹部に配置した負極の表面、又は、シート状負極の表面及びシート状負極の凹部に配置した正極の表面を同一面とすることが重要であるが、同一面とは、同一平面だけではなく、同一曲面も含む。また、同一面とは、接続する負荷の形状に即して若干の段差がある場合も含み、シート状正極の表面と凹部に配置した負極の表面(又はシート状負極の表面と凹部に配置した正極の表面)が完全に一致しなくても良い。
また、シート状正極又はシート状負極に部分的に設けた凹部に負極又は正極を配置する方法としては、嵌合、注型、二層成形などの方法を採用することが可能である。
このリチウムイオン二次電池は、上面(電極側)をほぼ均一な面とすることができるので、単純なシート体として扱うことができ、電池としてのスペース効率に優れる。
【0010】
上記のような凹部に負極又は正極を配置し、凹部に配置した負極の表面及びシート状正極の表面(又は凹部に配置した正極の表面及びシート状負極の表面)を同一面としたリチウムイオン二次電池の具体例としては、図3に示すように、シート状正極又はシート状負極に、凹部である格子状の溝を設けて、この格子状の溝に対応した形状に成型された格子状の負極又は正極を設けたものが挙げられる。この場合、シート状正極又はシート状負極だけではなく、格子状の負極又は正極にも、蓄電性ゴム状弾性体を用いることができる。なお、シート状正極又はシート状負極の弾性を損なわない場合には、格子状の負極又は正極は、蓄電性ゴム状弾性体でなくても良い。
【0011】
同じく凹部に配置した負極の表面及びシート状正極の表面(又は凹部に配置した正極の表面及びシート状負極の表面)を同一面とした他の具体例としては、図4に示すように、シート状正極又はシート状負極に、厚さ方向に形成された凹部である複数の穴を設けて、この複数の穴に対応した形状に成型された複数のブロック状の負極又は正極を設けたものが挙げられる。この場合、シート状正極又はシート状負極だけではなく、複数のブロック状の負極又は正極にも、蓄電性ゴム状弾性体を用いることができる。図3の場合と同様に、シート状正極又はシート状負極の弾性を損なわない場合には、格子状の負極又は正極は、蓄電性ゴム状弾性体でなくても良い。
【0012】
別の実施形態としては、図2に示すように、シート状正極又はシート状負極の表面に部分的に負極又は正極を配置してリチウムイオン二次電池とすることができる。この場合には、部分的に設けた負極又は正極の表面のうち上面及び側面が、シート状正極又はシート状負極の表面と同一方向側に露出することになる。
シート状正極又はシート状負極の表面に部分的に負極又は正極を配置する方法としては、印刷、貼り合わせ、二層成形などの方法を採用することが可能である。
【0013】
シート状正極又はシート状負極の表面に部分的に負極又は正極を配置した具体例としては、図5に示すように、シート状正極又はシート状負極に、負極又は正極を格子状の凸部を形成するように配置したものが挙げられる。
【0014】
また、シート状正極又はシート状負極の表面に部分的に負極又は正極を配置した他の具体例としては、図6に示すように、シート状正極又はシート状負極に、負極又は正極を複数のブロック状の凸部を形成するように配置したものが挙げられる。
【0015】
さらに、図3〜6に示すリチウムイオン二次電池においては、図8及び図9に示すように、格子毎、又は、複数のブロック毎に端子を設ければ、セパレーターを介して正極と負極の組み合わせが電池内に一つではなく複数存在しているので、電池内部の格子状若しくはブロック状の正極又は負極の一部やそれらの端子に衝撃等により破断が生じて当該箇所が二次電池としての機能を喪失しても、それ以外の正極及び負極やそれらの端子が健全であれば、当該箇所は二次電池としての機能を有するため(給電又は充電が可能であるため)、リチウムイオン二次電池として機能を確保することが可能であり、衝撃等に対しても二次電池としての信頼性を向上させることが可能となる。
尚、図3〜6に示すリチウムイオン二次電池においては、図8及び図9に示すように、すべての格子毎、又は、複数のすべてのブロック毎に端子を設ける必要はなく、端子配置の有無は、必要に応じて適宜選択できるものである。
【0016】
図8及び図9を用いて、本発明のリチウムイオン二次電池の一実施形態を、さらに具体的に説明する。
図8は、シート状正極に設けられた格子状の溝に格子状の負極を配置し、シート状正極と格子状の負極の表面を同一面としたリチウムイオン二次電池の一実施形態を示す図であり、図9は、図8に示されるリチウムイオン二次電池の要部を示す拡大図である。
本実施形態では、リチウムイオン二次電池のシート状正極(1)に蓄電性ゴムを用い、これに凹部である格子状の溝を設け、この溝にセパレーター(3)を介して格子状の負極(2)を嵌合させ、嵌合した正極(1)の表面及び負極(2)の表面を同一面として、正極(1)の表面に正極端子(4)を設け、負極(2)の表面に負極端子(5)を設けたことを特徴とする。
また、正極と負極の加工方法を逆にして、負極をシート状に加工して格子状の溝を設け、この溝にセパレーターを介して格子状の正極を嵌合させても良い。
【0017】
図8及び図9に示すように、シート状正極(1)の凹部が、その底面に対して側面が垂直になる格子状の溝であり、負極(2)が、格子状の溝に対応した形状に成型した蓄電性ゴムであることが好ましい。このような構造とすることにより、蓄電性ゴムをプレス加工することにより、格子状の溝を設けたシート状正極(1)を作製することができ、この溝に、シート状ゴム等からなるセパレーター(3)を配置して、格子状に別途プレス加工しておいた蓄電性ゴムからなる負極を、厚さ方向に挿入することにより、電池を組み立てることができる。
シート状正極(1)の溝の側面は、完全に垂直でなくても、負極(2)を挿入して、嵌合させることができれば良く、やや傾斜しているものも含む。
【0018】
蓄電性ゴムを用いたシート状正極(1)に設けられる溝とこの溝に配置されるために成型された負極(2)の形状は、図8及び図9では、表面から見た形状が、四角形を組み合わせたものとなっているが、三角形、ひし形を含む四角形、五角形、六角形等の多角形、円、楕円をそれぞれ組み合わせたものなど、種々の平面充填形とすることができる。
【0019】
嵌合した正極(1)の表面及び負極(2)の表面は同一方向側にあり、同一面とされているから、それぞれの表面に正極端子(4)及び負極端子(5)を設け、同一方向側で負荷に接続することができる。上記のように、この場合の同一面とは、同一平面だけではなく、同一曲面も含む。また、同一面とは、接続する負荷の形状に即して若干の段差がある場合も含み、正極(1)の表面及び負極(2)の表面が完全に一致しなくても良い。
【0020】
同一面とした正極の表面及び負極の表面に、それぞれ、正極端子及び負極端子を設ける際には、短絡を防止するために、両者の表面に第一のイオンバリア層(6)を設け、第一のイオンバリア層を介して正極端子及び負極端子を設ける。
第一のイオンバリア層は、厚み方向のみに電子を移動させ、平面横方向には電子を移動させない異方性の導電層であり、異方性導電ゴム等からなる異方性導電部材であることが好ましい。
異方性導電ゴムは、シリコーンゴムなどの中に微細な金属粒子を強磁場中で配合充填し、特定の方向にのみ導電性を持たせたものであって、本発明においては、厚み方向に導通可能な異方性導電ゴムシートを適用することが望ましい。
【0021】
正極(1)及び負極(2)の表面と反対側に位置するシート状正極(1)の裏面及び側面に、第二のイオンバリア層(7)を設ける。第二のイオンバリア層(7)としては、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン等の耐食性を有する金属からなるバルブメタル板を用いることができる。これらの金属の純度は、98%以上が好ましい。
また、第二のイオンバリア層を柔軟性を有するケースとすれば、対象の形状に追従可能な電池とすることができ、機器の設計自由度が高くなる。
【0022】
図8及び図9のような構造のリチウムイオン二次電池において、例えば、シート状正極(1)を1m×1mとした場合、負極(2)を1cm程度の間隔で設け、シート状正極(正極ゴム)(1)と負極ゴム(2)、イオンバリア層としての異方性導電ゴム(6)とバルブメタル板(7)の4層を組み合わせた電池の膜厚を数mmとし、セパレーターゴムの膜厚は全体の10数%とすることができる。
【0023】
本発明において、正極及び負極に用いる蓄電性ゴム状弾性体は、ゴム状弾性体からなる支持体(以下、「ゴム支持体」という。)に、電子伝導性の分散材、イオン導電性の分散材及び電池活物質を分散させたものである。
支持体に用いるゴム状弾性体の種類は限定されるものではないが、ACM(アクリルゴム)、NBR(ニトリルゴム)、H−MBR(水添加ニトリルゴム)、BR(ブタジエンゴム)、SBR(スチレン-ブタジエンゴム)、IR(イソプレンゴム)、CR(クロロプレンゴム)、IIR(ブチルゴム)、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、CO(ヒドリンゴム)、Q(シリコーンゴム)、FKM(フッ素ゴム)、多硫化ゴム、ウレタンゴムなどを用いることができる。ACM(アクリルゴム)、NBR(ニトリルゴム)、及びH−MBR(水添加ニトリルゴム)から選ばれるゴムが好ましい。また、ゴム状の弾性を有するものであり、電子伝導性の分散材、イオン導電性の分散材及び電池活物質を分散させることができるものであれば、ゴムに限定されない。
【0024】
電子伝導性の分散材として、カーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラックを含む)、活性炭、黒鉛系炭素(黒鉛化メソカーボンビーズ、黒鉛ウィスカー、人造黒鉛、天然黒鉛を含む)、ハードカーボン、易黒鉛化性系炭素(MCMB、コークスを含む)、難黒鉛化性系炭素(フェノール樹脂焼成体、擬等方性炭素を含む)、天然黒鉛の酸処理焼成品、珈琲豆焼成炭、竹焼成炭素、籾殻焼成炭素などを用いることができるが、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、及び黒鉛粉末(グラファイト粉末)から選ばれる一種以上の炭素粉末が好ましい。
また、正極に用いる蓄電性ゴム状弾性体には、電子伝導性の分散材を、ゴム支持体100質量%に対し60〜100質量%分散させることが好ましい。負極に用いる蓄電性ゴム状弾性体には、電子伝導性の分散材を、ゴム支持体100質量%に対し5〜40質量%分散させることが好ましい。電子伝導性の分散材が少ないと、電池として機能しなくなり、また、多すぎるとゴムへの混練が困難になるので、上記の範囲が好ましい。
【0025】
イオン導電性の分散材として、ClO4、B10Cl102−、B12Cl122−、BF4、PF6、AsF6、SbF6、BR4、B(Ar)4、AlC4、CF3SO3、(CF3SO2)2N、(CF3SO2)3Cのリチウム塩を用いることができるが、ClO4、BF4、又はPF6のリチウム塩が好ましい。
ゴム支持体にイオン導電性の分散材(リチウム塩)を予め分散させる方法としては、電子伝導性の分散材及び電池活物質を分散させたゴム支持体を、有機溶媒とリチウム塩を含むイオン導電性の液体に浸漬させて膨潤させる方法を採用することができる。
ゴム支持体に浸透させることができるイオン導電性の液体としては、リチウム電池に従来から非水系電解液として使用されている有機溶媒とリチウム塩(電解質)を含む電解液が挙げられる。
このようなイオン導電性の液体としては、LiBF/PC(プロピレンカーボネート)、LiBF/GBL(γ−ブチロラクトン)、LiBF/PC+DME(1,2−ジメトキシエタン)、LiBF/GBL+DME、LiBF/PC+EMC(エチルメチルカーボネート)、LiBF/PC+MP(プロピオン酸メチル)、LiClO/PC、LiClO/GBL、LiClO/PC+DME、LiClO/PC+DME、LiClO/GBL+DME、LiClO/PC+EMC、LiClO/PC+MP、LiPF/PC、LiPF/GBL、LiPF/GBL+DME、LiPF/PC+EMC、LiPF/PC+MP、LiPF/PC+DME、LiAsF/PC、LiAsF/GBL、LiAsF/PC+DME、LiAsF/GBL+DME、LiAsF/PC+EMC、LiAsF/PC+MP、LiCFSO/PC、LiCFSO/GBL、LiCFSO/PC+DME、LiCFSO/GBL+DME、LiCFSO/PC+EMC、LiCFSO/PC+MP、Li(CFSON/PC、Li(CFSON/GBL、Li(CFSON/PC+DME、Li(CFSON/GBL+DME、Li(CFSO)2N/PC+EMC、Li(CFSON/PC+MP等がある。
また、上記のように、電解液をゴム支持体に浸透させて、このゴム支持体を膨潤させた場合には、イオンバリア層は、電解液が外界に蒸散するのを防止する作用も有する。
なお、イオン導電性の分散材をゴム支持体に分散させる方法は、上記の方法に限定されず、電子伝導性の分散材及び電池活物質と共に、ゴムに練り込む方法等も採用できる。
さらに、イオン導電性の分散材として、固体電解質を用いても良い。
【0026】
正極に用いる蓄電性ゴム状弾性体には、電池活物質(正極活物質)として、LiCoO2、LiNi1/2Co1/2O2、LiCrO2、LiNiO2、LiMnO2、LiMn2O4、LiV2O4、LiFeO2、LiVO2、LiScO2、LiYO2、LiCoMnO4、Li2FeMn3O8、Li2CuMn3O8、Li2CrMn3O8、Li2NiMn3O8、LiNiVO4、LiCoVO4、LiCoPO4、LiFePO4、LiNbO3などの遷移金属複合酸化物を用いることができるが、LiMn2O4が好ましい。
負極に用いる蓄電性ゴムには、電池活物質(負極活物質)として、易黒鉛化性系炭素、難黒鉛化性系炭素、黒鉛、酸化スズ系ガラス、LiNb2O5、LiTiO2及びLi7MnN4、Li3FeN2などのリチウム・遷移金属複合窒化物、リチウムインサーション化合物、酸化チタンなどを用いることができるが、易黒鉛化性系炭素、難黒鉛化性系炭素、及び黒鉛、並びに酸化チタンから選ばれる負極活物質が好ましい。酸化チタンとしては、アナターゼ型が好ましい。酸化チタンは、充電時には、リチウムが挿入され、リチウムチタン複合酸化物を形成するが、リチウムチタン複合酸化物はリチウム基準で1.2〜1.4Vで充放電が可能でありグラファイト系より電池電圧は低くなってしまうものの平坦電位、充放電サイクル寿命の点で合理的な活物質である。
また、正極に用いる蓄電性ゴム状弾性体には、電池活物質を、ゴム支持体100質量%に対し10〜50質量%分散させたものが好ましい。負極に用いる蓄電性ゴム状弾性体には、電池活物質を、ゴム支持体100質量%に対し50〜200質量%分散させたものが好ましい。電池活物質が少ないと電池として機能しなくなり、多すぎても電池としての挙動が見られなくなるので、上記の範囲が好ましい。
【0027】
蓄電性ゴムを用いた正極及び負極の成形は、熱プレスにより一次加硫を行い、さらに二次加硫を行うという方法を採用することができる。一次加硫は、165〜175℃で、8〜12分行うことが好ましく、二次加硫は、145〜155℃で、50〜120分行うことが好ましい。
【実施例1】
【0028】
本発明における蓄電性ゴムを用いたリチウムイオン二次電池を、電池上部に取り付けた正負極端子から負荷に接続し、その電池が電源として機能することをLEDを発光させることによって確認した。
【0029】
図10に、蓄電性ゴムを用いたリチウムイオン二次電池の正極と負極を組み合わせた一例を示す。中央が正極で、外側が負極となっている。正極は、直径1.5cm、厚さ5mm、負極は、直径4cm、厚さ10mmとした。
【0030】
正極の材料は、ゴム支持体をACM(アクリルゴム)とし、ACM100wt%に対し、正極活物質としてLiMn2O4を40wt%、導電助材(電子伝導性の分散材)としてグラファイトを55wt%とKB(ケチェンブラック)を20wt%加えたものを用いた。
上記の材料を、円板状に加工し、熱プレスを用い一次加硫を170℃で10分行い、さらにオーブン中で二次加硫を150℃で1時間行い、蓄電性ゴムからなる正極とした。
【0031】
負極の材料は、ゴム支持体をNBR(二トリルゴム)とし、NBR100wt%に対し、負極活物質としてグラファイトKS-15(TIMCAL社製)を55wt%、導電助材(電子伝導性の分散材)としてKB(ケチェンブラック)を20wt%加えたものを用いた。
上記の材料を、円板状に加工し、中央に正極を嵌合する凹部を設け、熱プレスを用い一次加硫を170℃で10分行い、さらにオーブン中で二次加硫を150℃で1時間行い、蓄電性ゴムからなる負極とした。
【0032】
セパレーターにはアクリル系のゴムを用い、セパレーターを介して、前記負極に正極を嵌合させたものをフッ素樹脂製の容器に入れて、LiPF6(1M)/EC+DEC(1:1)(キシダ化学社製)の電解液を注入し、フッ素樹脂製の蓋で封止した。この場合には、負極及び正極の蓄電性ゴムが電解液により膨潤した状態となり、蓄電性ゴム中にイオン導電性の分散材であるPF6のリチウム塩が分散される。そして、フッ素樹脂製の蓋がイオンバリア層として機能する。図11のように、イオンバリア層を介して正極の表面に正極端子を設け、負極の表面に負極端子を設けているが、フッ素樹脂製の蓋がイオンバリア層となる場合、フッ素樹脂製の蓋が絶縁体のため、イオンバリア層を介しての電気的接続が不可能となる。このため、フッ素樹脂製の蓋を貫通して正極と正極端子とを電気的に接続し、また、同様に負極と負極端子とを電気的に接続する必要がある。
【0033】
図11に示すように接続してLEDを点灯させた。電圧0.73Vから定電流1mAで充電し、電圧を3.6Vまで上昇させたところで定電流充電を止め、即座にLEDを接触させた。その時の電圧はLEDに接触させる前で1.9V、接触させたときの電圧は1.8Vであった。
【実施例2】
【0034】
負極を下記のように作製した以外は、実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製した。
負極の材料は、ゴム支持体をACM(アクリルゴム)とし、ACM100wt%に対し、負極活物質として酸化チタン(アナターゼ型、粒径0.15μm、石原産業製)を200wt%、導電助剤(電子導電性の分散材)としてKB(ケッチェンブラック)を20wt%加えたものを用いた。
上記の材料を、円板状に加工し、中央に正極を嵌合する凹部を設け、熱プレスを用い一次加硫を170℃で10分行い、さらにオーブン中で二次加硫を150℃で1時間行い、蓄電性ゴムからなる負極とした。
【0035】
上記のように作製したリチウムイオン二次電池を用いてLEDを点灯させた。図12に、点灯させたLEDを示す。電圧0±0.05Vから定電流0.1mAで充電し、電圧を3.0Vまで上昇させたところで定電流充電を止め、即座にLEDを接触させた。LED点灯後、電圧が1.7Vに低下したところで点灯がほぼ確認できなくなったためLEDをはずした。その後、再度電圧が3.0Vになるまで充電させ、LEDを接触させ1.7Vまで電圧が下がるまで放電した。これを3回繰り返したがいずれも、LEDは点灯した。
【0036】
図13に、本発明のリチウムイオン二次電池のアプリケーションの例を示す。
個別に多数の電源を必要とする電光掲示板やLED表示灯など、特に平面状の機器について適し、これらでは、直接近いところから電力供給を受けられるので、電力線を引き回す必要が無く、内部損失を低減できる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明のリチウムイオン二次電池は、柔軟性に優れ、薄く大面積である蓄電性ゴムを電極としているので、折り曲げ可能であり、フレキシブルディスプレイの電源や、自由に切って使える電池として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】シート状正極又はシート状負極に部分的に設けた凹部に負極又は正極を配置し、その表面を同一面としたリチウムイオン二次電池を示す原理的な図である。
【図2】シート状正極又はシート状負極の表面に部分的に負極又は正極を配置したリチウムイオン二次電池を示す原理的な図である。
【図3】シート状正極又はシート状負極の格子状の溝に、格子状の負極又は正極を配置し、その表面を同一面としたリチウムイオン二次電池の例を示す図である。
【図4】シート状正極又はシート状負極の複数の穴(凹部)に、ブロック状に負極又は正極を配置し、その表面を同一面としたリチウムイオン二次電池の例を示す図である。
【図5】シート状正極又はシート状負極の表面に、負極又は正極を格子状の凸部を形成するように配置したリチウムイオン二次電池の例を示す図である。
【図6】シート状正極又はシート状負極の表面に、負極又は正極を複数のブロック状の凸部を形成するように配置したリチウムイオン二次電池の例を示す図である。
【図7】図1に示される同一面とした正極及び負極の表面に、イオンバリア層を介して正極端子及び負極端子を設けたリチウムイオン二次電池を示す基本構造図である。
【図8】シート状正極の格子状の溝に格子状の負極を嵌合し、正極と負極の表面を同一面としたリチウムイオン二次電池の一実施形態を示す図である。
【図9】図8に示されるリチウムイオン二次電池の要部を示す拡大図である。
【図10】実施例で用いた試作したリチウムイオン二次電池を示す図である。
【図11】リチウムイオン二次電池上部の端子への接続例を示す図である。
【図12】リチウムイオン二次電池を用いて点灯させたLEDを示す図である。
【図13】本発明のリチウムイオン二次電池のアプリケーションの例を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
1 シート状正極
2 負極
3 セパレーター
4 正極端子
5 負極端子
6 第一のイオンバリア層
7 第二のイオンバリア層(バルブメタル板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電性ゴム状弾性体を用いたシート状正極又はシート状負極に、セパレーターを介して部分的に負極又は正極を設け、前記部分的に設けた負極の表面の少なくとも一部の表面が、前記シート状正極の表面と同一方向側に露出するように配置するか、又は、前記部分的に設けた正極の表面の少なくとも一部の表面が、前記シート状負極の表面と同一方向側に露出するように配置し、前記シート状正極又はシート状負極の表面に一方の極の端子を導電可能に設け、前記部分的に設けた負極又は正極の表面に他方の極の端子を導電可能に設けたことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
【請求項2】
前記一方の極の端子及び他方の極の端子は、第一のイオンバリア層を介して前記正極の表面及び負極の表面に設けたことを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項3】
前記シート状正極の裏面及び側面、又はシート状負極の裏面及び側面に第二のイオンバリア層を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項4】
前記シート状正極又はシート状負極に、部分的に凹部を設けて、前記凹部に負極又は正極を配置し、正極の表面及び負極の表面を同一面としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項5】
前記シート状正極又はシート状負極の凹部が、格子状の溝であり、前記凹部に配置した負極又は正極が、前記格子状の溝に対応した形状の格子状の成型体であり、各格子のうちの所定の格子に一方の極の端子が設けられていることを特徴とする請求項4に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項6】
前記シート状正極又はシート状負極の凹部が、厚さ方向に形成された複数の穴であり、前記凹部に配置した負極又は正極が、前記複数の穴に対応した形状の複数のブロック状の成型体であり、各ブロックのうちの所定のブロックに一方の極の端子が設けられていることを特徴とする請求項4に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項7】
前記シート状正極又はシート状負極の表面に、部分的に負極又は正極を配置したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項8】
前記シート状正極又はシート状負極の表面に配置した負極又は正極が、格子状の凸部を形成し、各格子のうちの所定の格子に一方の極の端子が設けられていることを特徴とする請求項7に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項9】
前記シート状正極又はシート状負極の表面に配置した負極又は正極が、複数のブロック状の凸部を形成し、各ブロックのうちの所定のブロックに一方の極の端子が設けられていることを特徴とする請求項7に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項10】
前記部分的に設けた負極又は正極が、蓄電性ゴム状弾性体であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項11】
前記セパレーターが、ゴム状弾性体であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項12】
前記第一のイオンバリア層が異方性導電部材であることを特徴とする請求項2〜11のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項13】
前記第二のイオンバリア層が、アルミニウム、タンタル、ニオブ、及びチタンより選ばれる金属からなるバルブメタル板であることを特徴とする請求項3〜12のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項14】
前記蓄電性ゴム状弾性体は、ゴム状弾性体からなる支持体に、電子伝導性の分散材、イオン導電性の分散材及び電池活物質を分散させたものであることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項15】
前記ゴム状弾性体からなる支持体が、ACM(アクリルゴム)、NBR(ニトリルゴム)、H−MBR(水添加ニトリルゴム)より選ばれるゴムからなることを特徴とする請求項14に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項16】
前記電子伝導性の分散材が、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、及びグラファイト粉末から選ばれる一種以上の炭素粉末であることを特徴とする請求項14又は15に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項17】
前記イオン導電性の分散材が、リチウム塩と有機溶媒を含有するイオン導電性の液体を前記ゴム状弾性体からなる支持体に浸透させ、該支持体を膨潤させたものであることを特徴とする請求項14〜16のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項18】
前記イオン導電性の分散材が、ClO4、BF4、又はPF6のリチウム塩を含有することを特徴とする請求項14〜17のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項19】
前記正極に用いる蓄電性ゴムは、電池活物質が、LiMn2O4であることを特徴とする請求項14〜18のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項20】
前記負極に用いる蓄電性ゴムは、電池活物質が、易黒鉛化性系炭素、難黒鉛化性系炭素、及び黒鉛から選ばれる負極活物質であることを特徴とする請求項14〜19のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項21】
前記負極に用いる蓄電性ゴムは、電池活物質が、酸化チタンであることを特徴とする請求項14〜19のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池。

【図2】
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【図7】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−147177(P2008−147177A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−297435(P2007−297435)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【出願人】(304036754)国立大学法人山形大学 (59)
【出願人】(000136354)株式会社フコク (97)
【Fターム(参考)】