説明

リチウムポリマー電池用の電池セパレータ

【課題】 リチウム電池用の電池セパレータを提供する。
【解決手段】 セパレータは、微孔性膜およびその上のコーティングを有する。コーティングは、ゲル形成ポリマー、第1の溶媒、および第2の溶媒の混合物から作成される。第1の溶媒は、第2の溶媒よりも揮発性である。第2の溶媒は、ゲル形成ポリマーの孔形成剤として作用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムポリマーまたは「ゲル」電池用の電池セパレータに関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムポリマー電池またはリチウムゲル電池は、これまでにも知られており、例えば、特許文献1に記載されている。ここで特許文献1に記載の内容は、引用することにより本明細書の一部をなすものとする。これらのリチウムポリマー電池は、リチウムイオン二次電池とは異なる。2つの著しい相違は、ゲル電解質の使用対液体電解質の使用、および活性電池素子を含有する可撓性パッケージング対素子を含有するための剛性缶(ボタンまたは円筒形または角柱形)である。
【0003】
当初、ポリマー電池開発者の希望は、ゲル電解質をセパレータとして使用することであった。すなわち、ゲル電解質が負極と正極を分離することである。しかしその方式は、少なくとも2つの理由で忘れられている。第一にゲル電解質は、破滅的な短絡の発生を低減する安全機能である、シャットダウン能力を一切提供しなかった。第二に柔軟なゲル電解質は、電池製造工程で扱うのが困難であった。電池は通例、素子のテープからの連続操作で作成され、ゲルのテープは製造工程の厳しさに耐えるための十分な機械的強度を有していなかった。
【0004】
今やゲル電解質セパレータは、続いて液体電解質に含浸されるゲルポリマーコーティング微孔性膜に置換されている。膜の包含は、ゲル電解質セパレータに関する上述の問題を克服する。膜はシャットダウン能力を供給可能であり、電池製造工程の厳しさに耐える機械的強度を有する。コーティングセパレータの例は、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12および特許文献13に述べられており、それぞれの記載内容は引用することにより、本明細書の一部をなすものとする。
【0005】
特許文献8および特許文献1において、セパレータはコーティングを有する微孔性膜を含む。コーティングは、ゲル形成ポリマー、可塑剤、および溶媒の混合物から作成される。溶媒は、混合物が膜に容易かつ均一に塗布されるように、ゲル形成ポリマーおよび可塑剤を溶解する。また溶媒は、他の成分と比べて比較的揮発性であるため、容易に除去できる。残りのコーティングセパレータ(すなわちゲル形成ポリマーおよび可塑剤を含むコーティング)は、多孔性でなく、多孔性にされるまで電解質によって含浸されにくい。可塑剤は孔形成剤である。可塑剤、たとえばエステルベースのフタレートまたは有機カーボネートは、孔を形成するために抽出されねばならない。本抽出ステップは、セパレータのコストに加わる。
したがって、リチウムポリマー電池での使用のためのより安価なコーティングセパレータに対する必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願第2002/0168564号
【特許文献2】米国特許第5,639,573号
【特許文献3】米国特許第5,681,357号
【特許文献4】米国特許第5,688,293号
【特許文献5】米国特許第5,750,284号
【特許文献6】米国特許第5,837,015号
【特許文献7】米国特許第5,853,916号
【特許文献8】米国特許第6,322,923号
【特許文献9】米国特許第6,328,770号
【特許文献10】米国特許第6,337,101号
【特許文献11】国際公開第99/54953号
【特許文献12】国際公開第01/39296号
【特許文献13】国際公開第01/39297号
【特許文献14】米国特許第5,418,091号
【特許文献15】米国特許第5,456,000号
【特許文献16】米国特許第5,460,904号
【特許文献17】米国特許第5,518,838号
【特許文献18】米国特許第5,604,660号
【特許文献19】米国特許第5,631,103号
【特許文献20】米国特許第5,639,573号
【特許文献21】米国特許第5,658,685号
【特許文献22】米国特許第5,849,433号
【特許文献23】米国特許第5,665,265号
【特許文献24】米国特許第5,716,421号
【特許文献25】米国特許第5,834,135号
【特許文献26】米国特許第6,377,101号
【特許文献27】米国特許第4,650,730号
【特許文献28】米国特許第4,731,304号
【特許文献29】米国特許第5,281,491号
【特許文献30】米国特許第5,240,655号
【特許文献31】米国特許第5,565,281号
【特許文献32】米国特許第5,667,9ll号
【特許文献33】米国特許第5,952,120号
【特許文献34】公開特許公報第2642206号
【特許文献35】日本特許出願第98395/1999号
【特許文献36】日本特許出願第7/56320号
【特許文献37】英国特許出願第9604055.5号
【特許文献38】米国特許第4,464,238号
【非特許文献1】Linden,D.,Handbook of Batteries,2nd Edition,McGraw Hill,New York,NY(1995)
【非特許文献2】Besenhard,J.O.,Handbook of Battery Materials,Wiley−VCH,New York, NY(1999)
【非特許文献3】Gozdz,A.,「Plastic Li−ion(PLION(商標))Rechargeable Cells with Bonded Microporous Separator,」Telecordia Report,April 2000
【非特許文献4】Gozdz,A.ら、「Fabrication and Performance Characteristics of Plastic Li−Ion Batteries With Bonded Untreated Microporous Polyolefin Separators,」198th Meeting of the Electrochemical Society,October 22−27,2000
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、リチウム電池用の電池セパレータに関するものである。セパレータは、微孔性膜およびその上のコーティングを有する。コーティングは、ゲル形成ポリマー、第1の溶媒、および第2の溶媒の混合物から形成される。第1の溶媒は、第2の溶媒よりも揮発性である。第2の溶媒は、ゲル形成ポリマーの孔形成剤として作用する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は、リチウム電池用の電池セパレータであって、微孔性膜と、その上のコーティングであって、前記コーティングがゲル形成ポリマー、第1の溶媒および第2の溶媒を含む混合物から調製され、第1の溶媒が第2の溶媒よりも揮発性であり、前記第2の溶媒がゲル形成ポリマーに孔を形成するのに適している、コーティングと、を含む電池セパレータを提供するものである。
また、本発明は、リチウムポリマー電池であって、負極と、正極と、前記負極と正極の間に挟まれたセパレータであって、前記セパレータが微孔性膜およびその上のコーティングを含み、前記コーティングがゲル形成ポリマー、第1の溶媒および第2の溶媒を含む混合物から作成され、第1の溶媒が第2の溶媒よりも揮発性であり、前記第2の溶媒がゲル形成ポリマーに孔を形成するのに適している、セパレータと、を含むリチウムポリマー電池を提供するものである。
さらに、本発明は、リチウムポリマー電池用の電池セパレータを作成するための方法であって、微孔性膜を供給するステップ(工程)と、ゲル形成ポリマー、第一の溶媒および第二の溶媒を含む混合物であって、第一の溶媒が第二の溶媒よりも揮発性であり、前記第二の溶媒がゲル形成ポリマーに孔を形成するのに適している混合物を供給するステップと、微孔性膜の少なくとも1つの面に混合物をコーティングするステップと、第一の溶媒を放散させるステップであって、それによりゲル形成ポリマーおよび孔を形成する第二の溶媒の非多孔性コーティングによってコーティングされた微孔性膜を形成するステップと、第二の溶媒を放散させるステップであって、それによりゲル形成ポリマーの多孔質コーティングによってコーティングされた微孔性膜を形成するステップと、を含む方法を提供するものである。
また、本発明は、リチウムポリマー電池を形成する方法であって、負極を供給するステップと、正極を供給するステップと、セパレータを供給するステップであって、前記セパレータが微孔性膜およびその上のコーティングを含み、前記コーティングがゲル形成ポリマー、第1の溶媒および第2の溶媒を含む混合物から作成され、第1の溶媒が第2の溶媒よりも揮発性であり、前記第2の溶媒がゲル形成ポリマーに孔を形成するのに適している、セパレータを供給するステップと、可塑剤用の溶媒中のゲル形成ポリマーのために、セパレータを可塑剤の溶液によって処理するステップと、可塑剤用の溶媒を除去するステップと、処理したセパレータを負極と正極の間に挟むステップと、負極および正極をセパレータに結合させるステップと、を含む方法を提供するものである。
一般に電池は、負極、正極、セパレータ、および電解質を含む。負極および正極はセパレータを間に挟む。電解質はセパレータ内に存し、負極および正極と電気化学的に連通している。次に、これらの構成要素はパッケージ内に密封される。本電池の構成要素については、例えば、非特許文献1および非特許文献2に記載されているものとして知られている。
【0009】
リチウムポリマー(またはゲル)電池については、これまでも知られている。これについては、非特許文献1(Linden,同書),36.37−36.42頁,非特許文献2(Besenhard,同書),513−517頁,特許文献14、特許文献15、特許文献16が挙げられ、これらの記載内容は引用することにより本明細書の一部をなすものとする。ポリマー電池用のセパレータの一部としての微孔性膜の使用も知られている。これについては、特許文献17、特許文献18、特許文献19、特許文献20、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献21、特許文献22、特許文献23、特許文献24、特許文献25、特許文献8、特許文献9、特許文献26、特許文献1、特許文献11、特許文献13、特許文献12、非特許文献3、および非特許文献4が挙げられ、これらの記載内容は引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【0010】
ゲルポリマー電池用セパレータは、その上にコーティングを有する微孔性膜である。コーティングは、微孔性膜についての以下の議論の後で、より詳細に述べられるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0011】
微孔性膜は、すべての適切な微孔性膜をいう。膜は対称膜でも非対称膜でもよい。膜はポリオレフィンから作成できる。ポリオレフィンの例はこれに限定されるわけではないが、ポリエチレン(LDPE、LLDPE、HDPEを含むPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、上述のいずれかのコポリマー、およびその混合物を含む。膜は、乾燥伸張工程(CELGARD(登録商標)工程としても既知)または溶媒抽出工程(ゲル押出または相分離または相反転工程としても既知)のどちらかによって作成できる。膜は以下の特性を有することができる。300秒/100cc以下(好ましくは≦200秒/100cc、最も好ましくは≦150秒/100cc)の透気度(ガーレー);5〜500ミクロン(μ)(好ましくは10〜100μ、最も好ましくは10〜50μ)の範囲の厚さ;0.01〜10ミクロン(μ)(好ましくは0.02〜5μ、最も好ましくは0.02〜0.5μ)の範囲の孔径;および35〜85%(好ましくは40〜80%)の範囲の多孔性。膜は単層膜、三層膜(たとえばPP/PE/PPまたはPE/PP/PE)、または多層膜でもよい。膜は好ましくはシャットダウンセパレータであり、例えば特許文献27;特許文献28;特許文献29;特許文献30;特許文献31;特許文献32;特許文献33;特許文献34;および特許文献35(1994年5月12日提出);特許文献36(1995年3月15日提出)および特許文献37(1996年2月27日提出)が挙げられ、これらの記載内容は引用することにより本明細書の一部をなすものとする。適切な膜は、米国ノースカロライナ州シャーロットのCelgard Inc.;日本、東京の旭化成工業;日本、東京の東燃株式会社;日本、東京の宇部興産;日本、大阪の日東電工;および米国オレゴン州レバノンのEntek Internationalより市販されている。
【0012】
コーティングは、膜の少なくとも1つの外部表面に添加される。コーティングは、膜の両方の外部表面に塗布されることが好ましい。コーティングは、膜の孔内に実質的に(たとえば≦25体積%)浸透しないことが好ましい。最も好ましくは、コーティングは孔内に浸透しない。ゲル形成ポリマー単独に基づくコーティングの表面密度は、0.12mg/cm2〜0.7mg/cm2、好ましくは0.15mg/cm2〜0.3mg/cm2の範囲であり、および最も好ましくは約0.25mg/cm2である。コーティングは、積層構造、すなわち負極/セパレータ/正極構造の結合を促進するためのものである。加えてコーティングは積層構造内に液体電解質を保持するのに役立ち、それによって電解質漏出の危険を低減する。
【0013】
コーティングはゲル形成ポリマー、第1の溶媒、および第2の溶媒の混合物として膜に塗布される。以下でより詳細に述べるように、ゲル形成ポリマーは、電極への膜の結合および積層構造内への電解質の保持を促進する。溶媒は、第1の溶媒および第2の溶媒の両方とも、好ましくは、150℃以下の温度において少なくとも760mmHgの蒸気圧を有する有機液体である。第1の溶媒は、以下でより詳細に述べるように、ゲル形成ポリマーおよび第二の溶媒を溶解するために使用される。第1の溶媒は、ゲル形成ポリマーおよび第二の溶媒が密接に混合するようにし、膜表面への混合物の均一な塗布を促進する。第一の溶媒は、他の成分の少なくとも20%の溶液を形成できるべきである。第1の溶媒はまた、混合物から容易に放散される。好ましくは第1の溶媒は、≦90℃の沸点を有する。容易に放散されることは、好ましくは、乾燥エネルギー(たとえば熱)をほとんどまたは全く加えずに蒸発する溶媒をいう。以下でさらの詳細に述べる第2の溶媒は、ゲル形成ポリマー用の孔形成剤とも呼ばれる。第1の溶媒と比較した場合、より弱い溶媒または非溶媒である;そしてゲル形成ポリマーを膨潤させるが、ゲル形成ポリマーを完全に溶解する必要はない。第1の溶媒が混合物を出た後、残った成分は膜の表面に非多孔性コーティングを形成する。第2の溶媒がコーティングから放散される場合、ゲル形成ポリマーの多孔性コーティングは、膜の表面に存在する。第2の溶媒が第1の溶媒よりも揮発性が低い(すなわち第1の溶媒ほど容易に放散されない)ので、第1の溶媒が除去されるのに対してそれは残る(または実質的に残る)。好ましくは第2の溶媒は、第1の溶媒よりも約20℃以上高い、好ましくは第1の溶媒よりも約30℃以上高い沸点を有する。好ましくは第2の溶媒は、約150℃以下の沸点を有する。第2の溶媒は、乾燥エネルギー(たとえば熱)の印加により放散できる。
【0014】
ゲル形成ポリマーは、これに限定されるわけではないが、ポリフッ化ビニリデン(PVDF);ポリウレタン、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO);ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアクリルアミド、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidnone)、ポリテトラエチレングリコールジアクリレート、これらのポリマーのコポリマー、および、その併用から選択できる。コモノマー選択の1つの基準は、コモノマーがホモポリマーの表面エネルギーを変更する能力である。表面エネルギーは少なくとも、コポリマーの溶解度に影響を与え、それによって膜へのコポリマーのコーティングに;膜へのコポリマーの結合に影響を与え、それによって電池製造およびその後の性能に;およびコーティングの濡れ性に影響を与え、それによってセパレータへの液体電解質の吸収に;影響を及ぼす。適切なコモノマーは、これに限定されるわけではないが、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、オクトフルオロ−1−ブタン、オクトフルオロイソブタン、およびテトラフルオロエチレンを含む。コモノマー含有率は好ましくは、3〜20重量%、好ましくは7〜15%である。好ましくはゲル形成ポリマーは、ポリフッ化ビニリデンのコポリマーである。好ましくはPVDFコポリマーは、ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレン(PVDF:HFP)のコポリマーであり、最も好ましいのは重量比が91:9のPVDF:HFPである。PVDFポリマーおよびコポリマーは、米国ペンシルバニア州フィラデルフィアのAtochem、ベルギー、ブリュッセルのSolvay SA、および日本、茨城の呉羽化学工業から市販されている。好ましいPVDF:HFPコポリマーは、AtochemによるKYNAR 2800である。
【0015】
第1の溶媒は、これに限定されるわけではないが、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、アセトン、低分子量グリム、およびその併用から選択できる。第1の溶媒は、コーティングを形成する混合物の主要な成分である。混合物は、第1の溶媒が混合物の80〜99重量%、好ましくは85〜95%、および最も好ましくは86〜88%を形成する希釈溶液である。好ましい第1の溶媒はアセトンである。
【0016】
第2の溶媒は、ゲル形成ポリマーの孔形成剤である。第1の溶媒は、第2の溶媒(たとえば第2の溶媒は、同じ温度において第1の溶媒よりも低い蒸気圧を有する)よりも揮発性である。第2の溶媒は、これに限定されるわけではないが、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、およびその混合物から選択される。第2の溶媒に加えて、多少の水を加えてもよい。ゲル形成ポリマーの第二の溶媒に対する重量比は、1:0.5〜1:4、好ましくは1:2〜1:3の範囲である。水を第二の溶媒に加えた場合、水の第二の溶媒に対する比は、0.25:1〜2:1、好ましくは0.5:1である。第二の溶媒は可塑剤ではない。可塑剤はたとえば、フタレートベースエステル、環状カーボネート、ポリマー性カーボネート、およびその混合物である。フタレートベースエステルは、これに限定されるわけではないが、ジブチルフタレートから選択される。環状カーボネートは、これに限定されるわけではないが、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、およびその混合物から選択される。ポリマー性カーボネートは、これに限定されるわけではないが、ポリビニレンカーボネートおよび直鎖プロピレンカーボネートから選択される。
上述のコーティングセパレータの製造では、混合物が調製される。混合物は、たとえばコーティング、浸漬、噴霧など、どの従来の方法で膜に塗布してもよい。好ましくは混合物は、両側ディップコーティング工程によって塗布される。第一の溶媒は好ましくは、熱の使用なしに蒸発させられる。その後、第二の溶媒は好ましくは、熱の印加により乾燥器内で蒸発させられる。コーティングセパレータの抵抗の均一性は、電池製造者にとって最も重要である。マクマリン数によって測定されるように、抵抗の均一性は、コーティング工程中の相対湿度(%RH)を制御することによって制御される。%RHが45%以下、好ましくは15〜45%、および最も好ましくは38〜44%である場合に、コーティング密度が約0.25mg/cm2で、マクマリン数(マクマリン数の議論については特許文献38を参照、参照により本明細書に組み入れられている)が5〜12、好ましくは5〜6の範囲内に制御されることが決定されている。
【0017】
上述のセパレータを用いたリチウムポリマー電池の製造において、上述のセパレータの負極と正極の間への積層化の前に、溶媒および/または可塑剤によってセパレータを処理してコーティングを可塑化(または軟化)すると、それらを共に積層化させる場合にコーティングが電極に結合できるようになる。積層化は、通常ニップローラーによって加えられる熱および圧力の印加によって起こる。処理は好ましくは、可塑剤および溶媒を含む溶液による。本溶液は好ましくは、10〜30重量%の、最も好ましくは15〜20%の可塑剤を溶液中に含む。可塑剤は、アルキレンカーボネート、ジアルキルフタレート、ジアルキルスクシナート、ジアルキルアジペート、ジアルキルセバケート、トリアルキルホスフェート、ポリアルキレングリコールエーテル、およびその混合物を含む。溶媒は、低級アルコール、ケトン、エステル、脂肪族炭化水素、ハロゲン化溶媒、塩素化炭化水素、塩素化フッ化炭素、およびその混合物を含む。溶液は、コーティング、浸漬、または噴霧などのどの従来方法によっても塗布できる。
【0018】
上述のことは、以下の実施例により、さらに詳細に説明する。
【実施例】
【0019】
以下の実施例において、混合物は、アセトン 280〜285ポンド(127〜130kg);PVDF:HFPコポリマー(ペンシルバニア州フィラデルフィアのAtofina Chemicals,Inc.によるKynar Flex(登録商標) 2800) 8.5ポンド(3.8kg);イソプロパノール 22.7ポンド(10.3kg);および水 11.3ポンド(5.1kg)を含む。混合物は、両側ディップコーティング工程によって塗布される。アドオンは約0.25mg/cm2の範囲で制御した。アセトンを蒸発させた。イソプロパノール/水は、乾燥器中で蒸発することによって除去した。コーティングおよび乾燥ステップ中の相対湿度パーセントが15〜44%に制御される場合に、(マクマリン数によって測定された)セパレータの均一性が向上することが決定されている。
【0020】
【表1】

【0021】
本発明は、その技術的思想および本質的な特徴から逸脱することなく他の形式で具現化することも可能であろう。したがって、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって定められるべきであり、上述の説明に限定されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム電池用の電池セパレータであって、
微孔性膜と、
その上のコーティングであって、前記コーティングがゲル形成ポリマー、第1の溶媒および第2の溶媒を含む混合物から調製され、第1の溶媒が第2の溶媒よりも揮発性であり、前記第2の溶媒がゲル形成ポリマーに孔を形成するのに適している、コーティングと、
を含む電池セパレータ。
【請求項2】
前記第2の溶媒が水を含む、請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項3】
前記ゲル形成ポリマーが、ポリフッ化ビニリデン、ポリウレタン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリテトラエチレングリコールジアクリレート、これらのポリマーのコポリマー、および、その混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項4】
前記ゲル形成ポリマーが、ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンのコポリマーである、請求項3に記載の電池セパレータ。
【請求項5】
前記第1の溶媒が、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、アセトン、低分子量グリム、および、その混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項6】
前記第2の溶媒が、ブタノール、プロパノール、イソプロパノール、および、その混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項7】
リチウムポリマー電池であって、
負極と、
正極と、
前記負極と正極の間に挟まれたセパレータであって、前記セパレータが微孔性膜およびその上のコーティングを含み、前記コーティングがゲル形成ポリマー、第1の溶媒および第2の溶媒を含む混合物から作成され、第1の溶媒が第2の溶媒よりも揮発性であり、前記第2の溶媒がゲル形成ポリマーに孔を形成するのに適している、セパレータと、
を含むリチウムポリマー電池。
【請求項8】
前記セパレータ内に含浸され、前記負極および前記正極と電気化学的に連通している電解質をさらに含む、請求項7のリチウムポリマー電池。
【請求項9】
前記第2の溶媒が水を含む、請求項7のリチウムポリマー電池。
【請求項10】
前記ゲル形成ポリマーが、ポリフッ化ビニリデン、ポリウレタン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリテトラエチレングリコールジアクリレート、これらのポリマーのコポリマー、およびその混合物からなる群より選択される、請求項7のリチウムポリマー電池。
【請求項11】
前記ゲル形成ポリマーが、ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンのコポリマーである、請求項10のリチウムポリマー電池。
【請求項12】
前記第一の溶媒が、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、アセトン、低分子量グリム、および、その混合物からなる群より選択される、請求項7のリチウムポリマー電池。
【請求項13】
前記第2の溶媒が、ブタノール、プロパノール、イソプロパノール、および、その混合物からなる群より選択される、請求項7のリチウムポリマー電池。
【請求項14】
リチウムポリマー電池用の電池セパレータを作成するための方法であって、
微孔性膜を供給するステップと、
ゲル形成ポリマー、第一の溶媒および第二の溶媒を含む混合物であって、第一の溶媒が第二の溶媒よりも揮発性であり、前記第二の溶媒がゲル形成ポリマーに孔を形成するのに適している混合物を供給するステップと、
微孔性膜の少なくとも1つの面に混合物をコーティングするステップと、
第一の溶媒を放散させるステップであって、それによりゲル形成ポリマーおよび孔を形成する第二の溶媒の非多孔性コーティングによってコーティングされた微孔性膜を形成するステップと、
第二の溶媒を放散させるステップであって、それによりゲル形成ポリマーの多孔質コーティングによってコーティングされた微孔性膜を形成するステップと、
を含む方法。
【請求項15】
前記コーティングが浸漬コーティングを含む、請求項14の方法。
【請求項16】
前記第2の溶媒を放散させる際に加熱工程を含む、請求項14の方法。
【請求項17】
前記第2の溶媒が水を含む、請求項14の方法。
【請求項18】
前記ゲル形成ポリマーが、ポリフッ化ビニリデン、ポリウレタン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリテトラエチレングリコールジアクリレート、これらのポリマーのコポリマー、および、その混合物からなる群より選択される、請求項14の方法。
【請求項19】
前記ゲル形成ポリマーが、ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンのコポリマーである、請求項14の方法。
【請求項20】
前記第1の溶媒が、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、アセトン、低分子量グリム、およびその混合物からなる群より選択される、請求項14の方法。
【請求項21】
前記第2の溶媒が、ブタノール、プロパノール、イソプロパノール、および、その混合物からなる群より選択される、請求項14の方法。
【請求項22】
リチウムポリマー電池を形成する方法であって、
負極を供給するステップと、
正極を供給するステップと、
セパレータを供給するステップであって、前記セパレータが微孔性膜およびその上のコーティングを含み、前記コーティングがゲル形成ポリマー、第1の溶媒および第2の溶媒を含む混合物から作成され、第1の溶媒が第2の溶媒よりも揮発性であり、前記第2の溶媒がゲル形成ポリマーに孔を形成するのに適している、セパレータを供給するステップと、
可塑剤用の溶媒中のゲル形成ポリマーのために、セパレータを可塑剤の溶液によって処理するステップと、
可塑剤用の溶媒を除去するステップと、
処理したセパレータを負極と正極の間に挟むステップと、
負極および正極をセパレータに結合させるステップと、
を含む方法。
【請求項23】
前記セパレータを可塑剤の溶液によって処理するステップが、前記溶液中にセパレータを浸漬することを含む、請求項22の方法。
【請求項24】
前記可塑剤用の溶媒を除去することが、溶媒を蒸発させることを含む、請求項22の方法。
【請求項25】
前記セパレータに結合させるステップが、熱および圧力によって積層化することを含む、請求項22の方法。
【請求項26】
前記ゲル形成ポリマーが、ポリフッ化ビニリデン、ポリウレタン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリテトラエチレングリコールジアクリレート、これらのポリマーのコポリマー、および、その混合物からなる群より選択される、請求項22の方法。
【請求項27】
前記ゲル形成ポリマーが、ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンのコポリマーである、請求項26の方法。
【請求項28】
前記第1の溶媒が、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、アセトン、低分子量グリム、および、その混合物からなる群より選択される、請求項22の方法。
【請求項29】
前記第2の溶媒が、ブタノール、プロパノール、イソプロパノール、および、その混合物からなる群より選択される、請求項22の方法。

【公開番号】特開2011−119276(P2011−119276A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44180(P2011−44180)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【分割の表示】特願2004−158524(P2004−158524)の分割
【原出願日】平成16年5月28日(2004.5.28)
【出願人】(500108987)セルガード,インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】