説明

リチウム二次電池の正極活物質用の板状粒子、及び同物質膜、並びにリチウム二次電池

【課題】 容量、耐久性、及びレート特性が従来よりも向上した、リチウム二次電池を提供する。
【解決手段】 一般式:xLiMO−(1−x)LiMeO(上記一般式中、0<x<1、0.9≦p≦1.3であって,M及びMeはそれぞれ独立的に、Mn、Ti、Zr、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Al、Mg、Zr、B、及びMoからなる群から選択された少なくとも一つ以上の金属)で表され、層状岩塩構造を有する、リチウム二次電池の正極活物質用の板状粒子あるいは膜であって、(003)面が、板面と交差するように配向している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、層状岩塩構造を有する、リチウム二次電池の正極活物質用の板状粒子(板状粒子の定義は後述する)、及び同物質膜(膜と粒子との区別は後述する)に関する。さらに、本発明は、上述の板状粒子又は膜を含む正極を備えたリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウム二次電池(リチウムイオン二次電池と称されることもある)の正極活物質として、いわゆるα−NaFeO2型の層状岩塩構造を有しているものが、広く用いられている(例えば特開2003−132887号公報等参照)。このような、層状岩塩構造を有する正極活物質においては、(003)面以外の結晶面(例えば(101)面や(104)面)にて、リチウムイオン(Li)の出入りが生じる。かかるリチウムイオンの出入りによって、充放電動作が行われる。
【0003】
なお、この種の正極活物質としては、LiCoO2に代表されるコバルト系が、従来広く用いられてきた。もっとも、近年においては、コバルト系以外の正極活物質材料を用いる試みもなされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の正極活物質においては、リチウムイオンの出入りが良好に行われる結晶面((003)面以外の面:例えば(101)面や(104)面)が、より多く電解質に露出することで、電池特性が向上する。ここで、コバルト系以外の正極活物質材料であるLiMO関連化合物(特に、層状岩塩構造を有しながらも、遷移金属層にもリチウムを有する、リチウム含有量の多いもの)については、いかにすれば特性が向上するかという点に関して、従来不明であった(Mは遷移金属:以下同様)。
【0005】
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明の目的は、より良好な特性の、層状岩塩構造を有するLiMO関連化合物(遷移金属層にリチウムを有さない層状岩塩構造の正極活物質(LiCoO2等)との固溶体を含む)のリチウム二次電池用正極活物質を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面における特徴は、下記一般式で表され、層状岩塩構造を有する、リチウム二次電池の正極活物質用の板状粒子であって、同構造における(003)面が粒子の板面(板面の定義は後述する)と交差するように配向していることにある。
一般式:xLiMO−(1−x)LiMeO
(上記一般式中、0<x<1、0.9≦p≦1.3であって,M及びMeはそれぞれ独立的に、Mn、Ti、Zr、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Al、Mg、Zr、B、及びMoからなる群から選択された少なくとも一つ以上の金属)
【0007】
すなわち、この粒子は、(003)以外の面(例えば(104)面)が前記板面と平行となるように配向するように形成されている。なお、この粒子は、100μm以下(例えば20μm以下)の厚さに形成され得る。
【0008】
LiMOにおける“M”としては、平均酸化状態が“4+”である1種類以上の金属元素であればよく、特に制限されるものではないが、Mn、Zr及びTiから選ばれてなる1種類以上の元素が好ましい。
【0009】
LiMeOにおける“Me”としては、平均酸化状態が“3+”である1種類以上の金属元素であればよく、特に制限されるものではないが、Mn、Ni、Co及びFeから選ばれてなる1種類以上の遷移金属元素が好ましい。
【0010】
pの好ましい範囲は、0.9≦p≦1.3であり、より好ましい範囲は、1.0≦p≦1.1である。pが0.9未満であると、放電容量が低下するので、好ましくない。一方、pが1.3を超えると、放電容量が低下したり、充電時の電池内部のガス発生が多くなったりするので、好ましくない。
【0011】
なお、上記一般式を満たす範囲で、Mg,Al,Si,Ca,Ti,V,Cr,Fe,Cu,Zn,Ga,Ge,Sr,Y,Zr,Nb,Mo,Ag,Sn,Sb,Te,Ba,Bi等の元素が、1種以上含まれていてもよい。
【0012】
ここで、「層状岩塩構造」とは、一般式LiMOで表され、リチウム層とリチウム以外の遷移金属層とが酸素の層を挟んで交互に積層された結晶構造、すなわち、酸化物イオンを介して遷移金属イオン層とリチウム単独層とが交互に積層した結晶構造(典型的にはα−NaFeO型構造:立方晶岩塩型構造の[111]軸方向に遷移金属とリチウムとが規則配列した構造)をいう。但し、一般式LiMeOで表される(Meは遷移金属)層状岩塩化合物においては、前記遷移金属イオン層は、リチウムと遷移金属との混合層で構成される(モル比でリチウム:遷移金属=1:2))。
【0013】
また、「(104)面が前記板面と平行となるように配向する」は、(104)面の法線方向である[104]軸が前記板面の法線方向と平行となるように、(104)面が配向する、とも言い換えることができる。
【0014】
上述の特徴を換言すると、本発明の、リチウム二次電池の正極活物質用の板状粒子においては、層状岩塩構造における[003]軸が、粒子の前記板面の法線と交差する方向となる。すなわち、この粒子は、[003]軸と交差する結晶軸(例えば[104]軸)が前記板面と直交する方向となるように形成されている。
【0015】
また、「板状粒子」とは、外形形状が板状である粒子のことをいう。「板状」という概念は、本明細書にて特段の説明を加えなくても社会通念上明確ではあるが、敢えて付言すると、例えば、以下のように定義づけられる。
【0016】
すなわち、「板状」とは、粒子を水平面(重力が作用する方向である鉛直方向と直交する平面)上に安定的に(外部からの衝撃(当該粒子が前記水平面から飛翔してしまうような強力な衝撃は除く)を受けてもさらに転倒することがないような態様で)載置した状態で、前記水平面と直交する第一の平面及び第二の平面(前記第一の平面と前記第二の平面とは交差し、典型的には直交する。)による当該粒子の断面を観察した場合に、いずれの断面においても、前記水平面に沿った(前記水平面と平行、あるいは前記水平面とのなす角度がα度(0<α<45)となる)方向である幅方向における寸法(かかる寸法は粒子の「幅」と称される。)の方が、当該幅方向と直交する方向である厚さ方向における寸法(かかる寸法は粒子の「厚さ」と称される。)よりも大きい状態をいう。なお、上述の「厚さ」は、前記水平面と当該粒子との間の空隙部分を含まない。
【0017】
本発明の板状粒子は、通常、平板状に形成される。ここで、「平板状」とは、粒子を水平面上に安定的に載置した状態で、前記水平面と当該粒子との間に形成される空隙の高さが、粒子の厚さよりも小さい状態をいうものとする。これ以上屈曲したものは、この種の板状粒子では通常生じないため、本発明の板状粒子に対しては、上述の定義が適切なものとなる。
【0018】
粒子を水平面上に安定的に載置した状態において、前記厚さ方向は、必ずしも前記鉛直方向と平行な方向になるとは限らない。例えば、粒子を水平面上に安定的に載置した状態における、前記第一の平面又は前記第二の平面による当該粒子の断面形状を、(1)長方形、(2)菱形、(3)楕円形、のいずれの形状に最も近似するかを分類した場合を想定する。この粒子断面形状が(1)長方形に近似するとき、前記幅方向は上述の状態における前記水平面と平行な方向となり、前記厚さ方向は上述の状態における前記鉛直方向と平行な方向となる。
【0019】
一方、(2)菱形や(3)楕円形のときは、前記幅方向は上述の状態における前記水平面と若干の角度(45度以下:典型的には数〜20度程度)をなすこととなる。このときは、前記幅方向は、当該断面による外形線上の2点であって互いの距離が最も長くなるもの同士を結んだ方向となる(かかる定義は上述の(1)長方形の場合は、対角線となってしまうために適切ではない)。
【0020】
また、粒子の「板面」とは、粒子を水平面上に安定的に載置した状態における、当該水平面と対向する面、又は、当該水平面からみて当該粒子よりも上方に位置し当該水平面と平行な仮想平面と対向する面をいう。粒子の「板面」は、板状粒子における最も広い面であるため、「主面(principal surface)」と称されることもある。なお、この板面(主面)と交差する(典型的には直交する)面、すなわち、前記厚さ方向と垂直な方向である板面方向(あるいは面内方向)と交差する面は、粒子を水平面上に安定的に載置した状態における、当該粒子の平面視(当該粒子を水平面上に安定的に載置した状態で前記鉛直方向における上方から見た場合)における端縁に生じることから、「端面」と称される。
【0021】
もっとも、本発明におけるリチウム二次電池の正極活物質用の板状粒子は、その粒子断面形状が上述の(1)長方形に近似することが多い。このため、本発明におけるリチウム二次電池の正極活物質用の板状粒子においては、前記厚さ方向は、粒子を水平面上に安定的に載置した状態における前記鉛直方向と平行な方向と云っても差し支えない。同様に、本発明におけるリチウム二次電池の正極活物質用の板状粒子においては、粒子の「板面」は、粒子の前記厚さ方向と直交する表面と云っても差し支えない。
【0022】
本発明のリチウム二次電池は、本発明の正極活物質用の板状粒子を正極活物質として含む正極と、炭素質材料又はリチウム吸蔵物質を負極活物質として含む負極と、前記正極と前記負極との間に介在するように設けられた電解質と、を備えている。
【0023】
そして、リチウム二次電池の正極を構成するに際しては、例えば、かかる正極活物質用の板状粒子を所定のバインダー中に分散することで、正極活物質層が形成される。そして、この正極活物質層と所定の正極集電体との積層体によって、前記正極が構成される。すなわち、この場合の前記正極は、前記板状粒子を含む前記正極活物質層と、前記正極集電体と、が重ね合わせられることによって構成されている。
【0024】
本発明の他の側面における特徴は、上記一般式で表され、層状岩塩構造を有する、リチウム二次電池の正極活物質膜であって、同構造における(003)面が膜の板面(膜の「板面」の定義は後述する)と交差するように配向していることにある。
【0025】
すなわち、この膜は、(003)以外の面(例えば(104)面)が前記板面と平行となるように配向するように形成されている。この場合、リチウム二次電池の正極は、かかる正極活物質膜と、所定の正極集電体と、が重ね合わせられることによって構成され得る。なお、この膜は、100μm以下(例えば20μm以下)の厚さに形成され得る。
【0026】
上述の特徴を換言すると、本発明の、リチウム二次電池の正極活物質膜においては、層状岩塩構造における[003]軸が、膜の前記板面の法線と交差する方向となる。すなわち、この粒子は、[003]軸と交差する軸(例えば[104]軸)が前記板面と直交する方向となるように形成されている。
【0027】
ここで、膜の「厚さ方向」とは、当該膜を水平面上に安定的に載置した状態における、前記鉛直方向と平行な方向をいう(かかる方向における膜の寸法は「厚さ」と称される。)。膜の「板面」とは、膜の厚さ方向と直交する表面をいう。膜の「板面」は、当該膜における最も広い面であるため、「主面(principal surface)」と称されることもある。なお、この板面(主面)と交差する(典型的には直交する)面、すなわち、前記厚さ方向と垂直な方向である板面方向(あるいは面内方向)と交差する面は、膜を水平面上に安定的に載置した状態における、当該膜の平面視(当該膜を水平面上に安定的に載置した状態で前記鉛直方向における上方から見た場合)における端縁に生じることから、「端面」と称される。なお、上述の「厚さ」は、前記水平面と当該粒子との間の空隙部分を含まない。
【0028】
本発明の正極活物質膜は、通常、平坦に形成される。ここで、「平坦」とは、膜を水平面上に安定的に載置した状態で、前記水平面と当該膜との間に形成される空隙の高さが、膜の厚さよりも小さい状態をいうものとする。これ以上屈曲したものは、この種の正極活物質膜では通常生じないため、本発明の正極活物質膜に対しては、上述の定義が適切なものとなる。
【0029】
本発明のリチウム二次電池は、本発明の正極活物質膜を含む正極と、炭素質材料又はリチウム吸蔵物質を負極活物質として含む負極と、前記正極と前記負極との間に介在するように設けられた電解質と、を備えている。
【0030】
そして、リチウム二次電池の正極を構成するに際しては、例えば、かかる正極活物質膜と所定の正極集電体との積層体(例えば当該活物質膜と導電体膜とを蒸着(例えばスパッタリング)や塗布等によって積層したもの)によって、前記正極が構成される。この場合、前記正極集電体は、前記正極活物質膜の2つの板面のうちの少なくとも一方に設けられ得る。すなわち、前記正極集電体は、前記正極活物質膜の2つの板面のうちの一方にのみ設けられ得る。あるいは、前記正極集電体は、前記正極活物質膜の両面(2つの板面の双方)に設けられ得る。前記正極活物質膜の両面に前記正極集電体がそれぞれ設けられる場合、一方は前記正極活物質膜を支持するために他方よりも厚く形成され、当該他方は前記正極活物質膜におけるリチウムイオンの出入りを阻害しないような構造(メッシュ状や多孔質状等)に形成され得る。
【0031】
上述のように、本発明における「正極活物質用の板状粒子」は、前記正極を構成するに際して、前記正極活物質層中に分散され得るものである。一方、本発明における「正極活物質膜」は、前記正極集電体と重ね合わせられることで前記正極を構成し得る自立膜(形成後に単体で取り扱い可能な膜)である。もっとも、後述する実施例のように、当該膜は、細かく粉砕された後(この粉砕によって得られた粒子は本発明における「正極活物質用の板状粒子」に相当する)に前記正極活物質層中に分散されることもあり得る。このように、「粒子」と「膜」との区別は、前記正極を構成するに際しての適用態様によって、当業者にとって明確である。
【0032】
配向度については、X線回折における、(104)面による回折強度に対する(003)面による回折強度の比率[003]/[104]が、1以下となることが好適である。これにより、リチウムイオンの取り出しが行いやすくなるため、充放電特性の向上が顕著となる。
【0033】
なお、[003]/[104]が0.005未満となると、サイクル特性が下がる。これは、配向度が高すぎる(すなわち結晶の向きが揃いすぎる)と、リチウムイオンの出入りに伴う結晶の体積変化によって、粒子や膜が割れやすくなるためである、と考えられる(なお、このサイクル特性劣化の理由の詳細については明らかではない。)。
【0034】
また、本発明の正極活物質用板状粒子及び正極活物質膜は、緻密に(例えば気孔率が10%以下に)形成され得る。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、上述の構造を有する前記板状粒子や前記膜において、リチウムイオンの出入りが良好に行われる面((003)面以外の面:例えば(104)面)が、前記板面と平行となるように配向する。これにより、電解質に対する当該面の露出(接触)がより多くなるとともに、当該粒子や膜の表面における(003)面の露出割合が極めて低くなる。
【0036】
したがって、本発明によれば、上述の構造を有する前記板状粒子や前記膜における、良好な特性が得られる。例えば、固体型リチウム二次電池の正極材料として用いられる前記膜において、高容量と高レート特性とが同時に達成され得る。あるいは、液体型リチウム二次電池の正極材料として用いられる前記板状粒子において、粒子サイズを大きくして耐久性の向上及び高容量化を図った場合であっても、高いレート特性が維持され得る。
【0037】
また、本発明によれば、容量、耐久性、及びレート特性が従来よりも向上した、リチウム二次電池を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1A】本発明の一実施形態であるリチウム二次電池の概略構成を示す断面図である。
【図1B】図1Aに示されている正極の拡大断面図である。
【図2A】図1に示されている正極活物質用板状粒子の拡大斜視図である。
【図2B】比較例の正極活物質粒子の拡大斜視図である。
【図2C】比較例の正極活物質粒子の拡大斜視図である。
【図3A】本発明の他の実施形態であるリチウム二次電池の概略構成を示す断面図である。
【図3B】図3Aに示されている正極活物質層の拡大断面図である。
【図4】本発明のさらに他の実施形態であるリチウム二次電池の概略構成を示す断面図である。
【図5】図1Bに示されている正極の変形例の構成を示す断面図である。
【図6A】図1Bに示されている正極の変形例の構成を示す断面図である。
【図6B】図1Bに示されている正極の変形例の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の好適な実施形態を、実施例及び比較例を用いつつ説明する。なお、以下の実施形態に関する記載は、法令で要求されている明細書の記載要件(記述要件・実施可能要件)を満たすために、本発明の具体化の単なる一例を、可能な範囲で具体的に記述しているものにすぎない。よって、後述するように、本発明が、以下に説明する実施形態や実施例の具体的構成に何ら限定されるものではないことは、全く当然である。本実施形態や実施例に対して施され得る各種の変更(modification)の例示は、当該実施形態の説明中に挿入されると、一貫した実施形態の説明の理解が妨げられるので、主として末尾にまとめて記載されている。
【0040】
<リチウム二次電池の構成1:液体型>
図1Aは、本発明の一実施形態であるリチウム二次電池10の概略構成を示す断面図である。
【0041】
図1Aを参照すると、本実施形態のリチウム二次電池10は、いわゆる液体型であって、電池ケース11と、セパレータ12と、電解質13と、負極14と、正極15と、を備えている。
【0042】
セパレータ12は、電池ケース11内を二分するように設けられている。電池ケース11内には、液体の電解質13が収容されているとともに、負極14及び正極15がセパレータ12を隔てて対向するように設けられている。
【0043】
電解質13としては、例えば、電気特性や取り扱い易さから、有機溶媒等の非水系溶媒にリチウム塩等の電解質塩を溶解させた、非水溶媒系の電解液が好適に用いられる。もっとも、ポリマー電解質、ゲル電解質、有機固体電解質、無機固体電解質も、電解質13として問題なく用いることができる。
【0044】
非水電解液の溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピオンカーボネート等の鎖状エステル;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の誘電率の高い環状エステル;鎖状エステルと環状エステルの混合溶媒;等を用いることができ、鎖状エステルを主溶媒とした環状エステルとの混合溶媒が特に適している。
【0045】
非水電解液の調製にあたって上述の溶媒に溶解させる電解質塩としては、例えば、LiClO、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF、LiCFSO、LiCSO、LiCFCO、Li(SO、LiN(RfSO)(Rf′SO)、LiC(RfSO、LiC2n+1SO(n≧2)、LiN(RfOSO[ここでRfとRf′はフルオロアルキル基]、等を用いることができる。これらは、それぞれ単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上述の電解質塩の中でも、炭素数2以上の含フッ素有機リチウム塩が特に好ましい。この含フッ素有機リチウム塩は、アニオン性が大きく、かつイオン分離しやすいので、上述の溶媒に溶解し易いからである。非水電解液中における電解質塩の濃度は、特に限定されないが、例えば、0.3mol/l以上、より好ましくは0.4mol/l以上であって、1.7mol/l以下、より好ましくは1.5mol/l以下であることが望ましい。
【0046】
負極14に係る負極活物質は、リチウムイオンを吸蔵、放出できるものであればよく、例えば、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭等の炭素質材料が用いられる。また、金属リチウムや、ケイ素,スズ、インジウム等を含む合金、リチウムに近い低電位で充放電できるケイ素,スズ等の酸化物、Li2.6Co0.4N等のリチウムとコバルトとの窒化物、等のリチウム吸蔵物質も、負極活物質として用いることができる。さらに、黒鉛の一部は、リチウムと合金化し得る金属や酸化物等と置き換えることもできる。負極活物質として黒鉛を用いた場合には、満充電時の電圧をリチウム基準で約0.1Vとみなすことができるため、電池電圧に0.1Vを加えた電圧で正極15の電位を便宜上計算することができることから、正極15の充電電位が制御しやすく好ましい。
【0047】
図1Bは、図1Aに示されている正極15の拡大断面図である。図1Bを参照すると、正極15は、正極集電体15aと、正極活物質層15bと、を備えている。正極活物質層15bは、結着材15b1と、正極活物質用板状粒子15b2と、から構成されている。
【0048】
なお、図1A及び図1Bに示されているリチウム二次電池10及び正極15の基本的な構成(電池ケース11、セパレータ12、電解質13、負極14、正極集電体15a、及び結着材15b1を構成する材質を含む。)は周知であるので、本明細書においては、その詳細な説明は省略されている。
【0049】
本発明の一実施形態である正極活物質用板状粒子15b2は、遷移金属層にもリチウムを含有した層状岩塩構造を有する粒子、より詳しくは、下記の一般式で表される組成の粒子であって、厚さが2〜100μm程度の板状に形成されている。
一般式:xLiMO−(1−x)LiMeO
(上記一般式中、0<x<1、0.9≦p≦1.3であって,M及びMeはそれぞれ独立的に、Mn、Ti、Zr、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Al、Mg、Zr、B、及びMoからなる群から選択された少なくとも一つ以上の金属)
【0050】
図2Aは、図1に示されている正極活物質用板状粒子15b2の拡大斜視図である。図2B及び図2Cは、比較例の正極活物質粒子の拡大斜視図である。
【0051】
図2Aに示されているように、正極活物質用板状粒子15b2は、厚さ方向(図中上下方向)と直交する表面である板面(上側表面A及び下側表面B:以下「上側表面A」及び「下側表面B」をそれぞれ「板面A」及び「板面B」と称する。)に(003)以外の面(例えば(101)面や(104)面)が露出するように形成されている。
【0052】
すなわち、正極活物質用板状粒子15b2は、(003)以外の面(例えば(104)面)が粒子の板面A及びBと平行となるように配向するように形成されている。なお、粒子の板面方向(面内方向)と交差する端面Cには、(003)面(図中黒色で塗りつぶされた面)が露出していても構わない。
【0053】
これに対し、図2Bに示されている比較例の粒子は、薄板状ではなく等方形状に形成されている。また、図2Cに示されている比較例の粒子は、薄板状であるものの、粒子の厚さ方向における両面(板面A及びB)に(003)が露出するように形成されている。これら比較例の粒子は、従来の製造方法によって製造されたものである。
【0054】
<リチウム二次電池の構成2:全固体型>
図3Aは、本発明の他の実施形態であるリチウム二次電池20の概略構成を示す断面図である。図3Aを参照すると、このリチウム二次電池20は、いわゆる全固体型のものであって、正極集電体21と、正極活物質層22と、固体電解質層23と、負極活物質層24と、負極集電体25と、を備えている。このリチウム二次電池20は、正極集電体21の上に、正極活物質層22、固体電解質層23、負極活物質層24、及び負極集電体25を、この順序で積層することにより形成されている。
【0055】
なお、図3Aに示されているリチウム二次電池20の基本的な構成(正極集電体21、固体電解質層23、負極活物質層24、及び負極集電体25を構成する材質を含む。)は周知であるので、本明細書においては、その詳細な説明は省略されている。
【0056】
図3Bは、図3Aに示されている正極活物質層22の拡大断面図である。図3Bを参照すると、本発明の正極活物質膜としての正極活物質層22は、多数の板状小粒子(あるいは結晶子)22aが面方向に結合した膜状に形成されている。これらの板状小粒子22aも、上述の実施形態における正極活物質用板状粒子15b2と同様の構成を有している(例えば、厚さ方向に沿った法線方向を有する表面(図中上側及び下側表面)に、(003)以外の面(例えば(104)面)が露出するように構成されている。)。
【0057】
<リチウム二次電池の構成3:ポリマー型>
図4は、本発明のさらに他の実施形態であるリチウム二次電池30の概略構成を示す断面図である。図4を参照すると、このリチウム二次電池30は、いわゆるポリマー型のものであって、正極集電体31と、正極活物質層32と、ポリマー電解質層33と、負極活物質層34と、負極集電体35と、を備えている。このリチウム二次電池30は、正極集電体31の上に、正極活物質層32、ポリマー電解質層33、負極活物質層34、及び負極集電体35を、この順序で積層することにより形成されている。本発明の正極活物質膜としての正極活物質層32は、上述の正極活物質層22(図3B参照)と同様に構成されている。
【0058】
<正極活物質用板状粒子・正極活物質層の製造方法の概要>
上述の正極活物質用板状粒子15b2、正極活物質層22、及び正極活物質層32は、以下の製造方法によって、容易かつ確実に形成される。
【0059】
0.5LiMnO−0.5Li(Ni0.33Mn0.33Co0.33)O粉末を用いて100μm以下の厚さのグリーンシートを形成し、このグリーンシートを900℃〜1200℃の範囲内の温度で所定時間焼成することで、(101)あるいは(104)が板面と平行となるように配向した粒子からなる、独立した膜状のシート(自立膜)が形成される。
【0060】
ここで、「独立した」シートとは、焼成後に他の支持体から独立して単体で取り扱い可能なシートのことをいう。すなわち、「独立した」シートには、焼成により他の支持体(基板等)に固着されて当該支持体と一体化された(分離不能あるいは分離困難となった)ものは含まれない。
【0061】
成形体の成形方法としては、例えば、原料粒子を含むスラリーを用いたドクターブレード法が用いられ得る。また、成形体の成形方法としては、熱したドラム上へ原料を含むスラリーを塗布し、乾燥させたものをスクレイパーで掻きとる、ドラムドライヤー法が用いられ得る。また、成形体の成形方法としては、熱した円板面へスラリーを塗布し、これを乾燥させてスクレイパーで掻きとる、ディスクドライヤー法を用いることもできる。また、スプレードライヤーの条件を適宜設定することで得られる中空の造粒体も、曲率をもったシート状成形体とみることができるので、成形体として好適に用いることができる。さらに、原料粒子を含む坏土を用いた押出成形法も成形体の成形方法として利用可能である。
【0062】
このように自立膜状に形成されたグリーンシートにおいては、板面方向すなわち面内方向(厚さ方向と直交する方向)に比べて、厚さ方向に存在する材料の量がきわめて少ない。
【0063】
このため、厚さ方向に複数個の粒子がある初期段階には、ランダムな方向に粒成長する。一方、粒成長が進み厚さ方向の材料が消費されると、粒成長方向は面内の二次元方向に制限される。これにより、面方向への粒成長が確実に促進される。
【0064】
特に、グリーンシートを可能な限り薄く形成したり(例えば数μm以下)、厚さが100μm程度(例えば20μm程度)の比較的厚めであっても粒成長を可能な限り大きく促進したりすることで、面方向への粒成長がより確実に促進される。
【0065】
本プロセスで配向した粒子が得られる理由の詳細については明らかではないが、以下に推定する理由を説明する。シート焼成の際に、結晶の歪エネルギーの最も低い結晶面をグリーンシートの面内に持つ粒子のみが選択的に面内方向へ扁平状(板状)に粒成長することで、アスペクト比が大きく、特定の結晶面(ここでは(101)、(104)面)が板面と平行となるように配向した0.5LiMnO−0.5Li(Ni0.33Mn0.33Co0.33)Oからなる板状結晶粒子が得られる。
【0066】
なお、ここでいう、歪エネルギーとは、粒成長時の内部応力や、欠陥等による応力をいう。層状化合物は、一般に歪エネルギーが大きいことが知られている。
【0067】
特定の方位の粒子の選択な粒成長(優先配向)には、歪エネルギーと表面エネルギーの両方が寄与する。表面エネルギー的には(003)面が最も安定であり、歪エネルギー的には(101)並びに(104)面が安定面である。
【0068】
膜厚が0.1μm以下では、シート体積に対する表面の割合が大きいため、表面エネルギー支配的な選択成長が起こり、(003)面に配向した粒子が得られる。一方、膜厚が0.1μm以上では、シート体積に占める表面の割合が低下するため、歪エネルギーが支配的になり、(101)並びに(104)面に配向した粒子が得られる。但し、膜厚が100μm以上のシートでは、緻密化が困難になり、粒成長時の内部応力が溜まらないため、選択的な配向は確認されない。
【0069】
本材料においては、粒成長が大きく促進される1000℃以上の温度域では、リチウムの揮発が生じたり、構造的に不安定になることによる分解が生じたりする。よって、例えば、揮発するリチウムを補償するために原料中のリチウム量を過剰にすることや、雰囲気制御(例えば炭酸リチウム等のリチウム化合物を載置した密閉容器内での焼成等)による分解抑制や、Biや低融点ガラス等の助剤添加による低温焼成、等が重要である。
【0070】
したがって、上述のように膜状に形成されたグリーンシートを焼成することで、特定の結晶面が粒子の板面と平行となるように配向した薄板状の多数の粒子が、粒界部にて面方向に結合した自立膜が得られる(本出願人に係る特願2007−283184号参照)。すなわち、実質的に厚さ方向についての結晶粒子の個数が1個となるような自立膜が形成される。ここで、「実質的に厚さ方向についての結晶粒子の個数が1個」の意義は、面方向に隣り合う結晶粒子の一部分(例えば端部)が厚さ方向に互いに重なり合うことを排除しない。この自立膜は、上述のような薄板状の多数の粒子が隙間なく結合した、緻密なセラミックスシートとなり得る。
【0071】
上述の工程によって得られた膜状のシートは、粒界部にて解砕しやすい状態となっている。そこで、上述の工程によって得られた膜状のシートを、所定の開口径のメッシュ上に載置して、その上からヘラで押しつけることで、上述のシートが多数の0.5LiMnO−0.5Li(Ni0.33Mn0.33Co0.33)O粒子に解砕される。
【0072】
あるいは、0.5LiMnO−0.5Li(Ni0.33Mn0.33Co0.33)Oからなる板状結晶粒子は、以下の製造方法によっても得られる。
【0073】
NiO粉末と、MnCO粉末と、Co粉末と、を含有する、20μm以下の厚さのグリーンシートを形成し、このグリーンシートを800℃〜1300℃の範囲内の温度で所定時間焼成することで、(h00)配向した多数の板状の(Ni,Mn,Co)粒子からなる、独立した膜状のシートが形成される。
【0074】
本プロセスで配向した粒子が得られる理由の詳細については、明らかではないが、以下に推定する理由を説明する。上述の、予めリチウムと混合して成形・焼成した場合と同様のメカニズムで、結晶の歪エネルギーの最も低い結晶面である(h00)面をグリーンシートの面内に持つ粒子のみが、選択的に面内方向へ扁平状(板状)に粒成長する。これにより、(h00)配向した(Ni,Mn,Co)粒子からなる板状結晶粒子が得られる。
【0075】
上述の工程によって得られた膜状のシートは、粒界部にて解砕しやすい状態となっている。そこで、上述の工程によって得られた膜状のシートを、所定の開口径のメッシュ上に載置して、その上からヘラで押しつけることで、上述のシートが多数の(Ni,Mn,Co)粒子に解砕される。
【0076】
上述の解砕工程によって得られた、(h00)配向した(Ni,Mn,Co)粒子と、LiCOとを混合して、所定時間加熱することで、(Ni,Mn,Co)粒子にリチウムが導入される。これにより、(104)配向した0.5LiMnO−0.5Li(Ni0.33Mn0.33Co0.33)O粒子である正極活物質用板状粒子15b2が得られる。
【実施例1】
【0077】
<<スラリー調製>>
まず、以下の方法によって、スラリーを調製した。
【0078】
Li1.5Mn0.67Co0.17Ni0.172.5、すなわち0.5LiMnO−0.5Li(Ni0.33Mn0.33Co0.33)Oの組成比となるように、NiO粉末(粒径1−10μm、正同化学工業株式会社製)、MnCO粉末(粒径1−10μm、東ソー株式会社製)、Co粉末(粒径1−5μm、正同化学工業株式会社製)、LiCO粉末(粒径10−50μm、関東化学株式会社製)を混合・粉砕し、大気中、密閉鞘内にて500℃で24時間熱処理することで、0.5LiMnO−0.5Li(Ni0.33Mn0.33Co0.33)O粉末を合成した。
【0079】
この粉末をポットミルで5時間粉砕することで得られた0.5LiMnO−0.5Li(Ni0.33Mn0.33Co0.33)O原料粒子(粒径0.3μm)100重量部と、分散媒(トルエン:イソプロパノール=1:1)100重量部と、バインダー(ポリビニルブチラール:品番BM−2、積水化学工業株式会社製)10重量部と、可塑剤(DOP:Di(2-ethylhexyl)phthalate、黒金化成株式会社製)4重量部と、分散剤(製品名レオドールSP−O30、花王株式会社製)2重量部と、を混合した。この混合物を、減圧下で撹拌することで脱泡するとともに、3000〜4000cPの粘度に調製した。
【0080】
<<テープ成形>>
上記のようにして調製されたスラリーを、ドクターブレード法によって、PETフィルムの上に、乾燥後の厚さが10μmとなるように、シート状に成形した。
【0081】
<<焼成>>
PETフィルムから剥がしたシート状の成形体を、カッターで30mm角に切り出し、突起の大きさが300μmのエンボス加工を施したジルコニア製セッター(寸法90mm角、高さ1mm)の中央に載置した。このセッターを、LiCO粉末1gを載置した鞘の中に入れ、フタを閉めた状態で、1000℃で10時間焼成後、セッターに溶着していない部分を取り出した。
【0082】
焼成後のセラミックスシートを、開口径100μmのふるい(メッシュ)に載せ、ヘラで軽く押し付けながらメッシュを通過させることで解砕し、粉末を得た。得られた粉末をICP(誘導結合プラズマ)発光分光分析装置(株式会社堀場製作所製 製品名ULTIMA2)により成分分析したところ、Li1.5Mn0.67Co0.17Ni0.172.5、すなわち0.5LiMnO−0.5Li(Ni0.33Mn0.33Co0.33)Oであった。得られた粉末に対しXRD測定を行ったところ、[003]/[104]=0.4であった。
【0083】
<<評価>>
XRD(X線回折)測定は、以下の方法で行った:エタノール2gに板状粒子0.1gを加えたものを、超音波分散機(超音波洗浄機)で30分間分散させ、これを25mm×50mmのガラス基板に2000rpmでスピンコートし、板状粒子同士ができるだけ重ならないように、且つ結晶面とガラス基板面とが平行となる状態に配置した。XRD装置(株式会社リガク製 製品名「RINT−TTRIII」)を用い、板状粒子の表面に対してX線を照射したときのXRDプロファイルを測定し、(104)面による回折強度(ピーク高さ)に対する(003)面による回折強度(ピーク高さ)の比率[003]/[104]を求めた。なお、上記方法においては、板状粒子の板面がガラス基板面と面接触し、粒子板面とガラス基板面とが平行になる。このため、上記方法によれば、粒子板面の結晶面に平行に存在する結晶面、すなわち、粒子の板面方向に配向する結晶面による回折プロファイルが得られる。
【0084】
板状粒子についての電池特性の評価のために、以下のようにして電池を作成した。
【0085】
得られた板状粒子、アセチレンブラック、及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)を、質量比で75:20:5となるように混合して正極材料を調製した。調製した正極材料0.02gを300kg/cm2の圧力で直径20mmの円板状にプレス成形することで、正極を作製した。
【0086】
作製した正極、リチウム金属板からなる負極、ステンレス集電板、及びセパレータを、集電板−正極−セパレータ−負極−集電板の順に配置し、この集積体を電解液で満たすことでコインセルを作製した。電解液は、エチレンカーボネート(EC)及びジエチルカーボネート(DEC)を等体積比で混合した有機溶媒に、LiPFを1mol/Lの濃度となるように溶解することで調製した。
【0087】
上述のようにして作製した電池(コインセル)を用いて、電池容量(放電容量)及び容量維持率の評価を行った。
【0088】
0.1Cレートの電流値で電池電圧が4.8Vとなるまで定電流充電し、その後電池電圧を4.8Vに維持する電流条件で、その電流値が1/20に低下するまで定電圧充電した後10分間休止し、続いて1Cレートの電流値で電池電圧が2.0Vになるまで定電流放電した後10分間休止する、という充放電操作を1サイクルとし、25℃の条件下で合計3サイクル繰り返し、3サイクル目の放電容量を測定した。
【0089】
作製した電池について、試験温度を25℃として、(1)1Cレートの定電流−定電圧で4.8Vまでの充電、及び(2)1Cレートの定電流で2.0Vまでの放電、を繰り返すサイクル充放電を行った。100回のサイクル充放電終了後の電池の放電容量を初回の電池の放電容量で除した値を、容量維持率(%)とした。
【0090】
また、活物質膜(自立膜)についての電池特性の評価のために、以下のようにして電池を作成した。
【0091】
直径16mm程度の自立膜の片面にAuをスパッタリングして集電層(厚さ:500Å)を形成することで、正極板を作製した。作製した正極板、リチウム金属板からなる負極、ステンレス集電板、及びセパレータを、集電板−正極−セパレータ−負極−集電板の順に配置し、この集積体を上述と同様の電解液で満たすことでコインセルを作製した。
【0092】
上述の実施例における熱処理(シート焼成)条件等を変更することで配向性を変化させた各種の実験例についての評価結果を、表1及び表2に示す。なお、上述の実施例と一致するものは、表中、実験例4である。
【表1】

【表2】

【0093】
表1及び表2に示されているように、比較例1においては、熱処理温度が低く且つ短いため、粒成長による配向促進効果が十分に得られず、緻密ではあるが配向しない板状粒子となった。この場合、放電容量が著しく低下した。また、[003]/[104]が0.005未満となる比較例2においては、容量維持率が低くなった。そして、[003]/[104]が0.005〜1.0の範囲にある実験例1〜6においては、良好な放電容量及び容量維持率が得られた。
【0094】
また、実施例の粒子は、きわめて緻密な構造を有している。走査電子顕微鏡観察の画像処理結果から気孔率を測定したところ、10%以下となった。
【0095】
<実施形態による効果>
上述のように、本実施形態の正極活物質用板状粒子15b2、正極活物質層22、及び正極活物質層32においては、リチウムイオンの出入りが良好に行われる(104)面が、板面と平行となるように配向し、表面の大部分にて露出される。一方、リチウムイオンの出入りが行えない(003)面は、端面にわずかに露出するのみである(図2A参照)。すなわち、電解質13(結着材15b1に浸透しているものを含む)への、リチウムイオンの出入りが良好に行われる面の露出がより多くなるとともに、リチウムイオンの出入りが行えない(003)面の露出割合が極めて低くなる。
【0096】
ところで、通常の(図2Bや図2Cに示されているような)正極活物質用粒子においては、粒子径を小さくすると、比表面積が大きくなるためにレート特性が高くなる一方、粒子強度が低くなるために耐久性が低下し、結着材の割合が多くなるために容量も小さくなる。このように、通常の(従来の)正極活物質用粒子においては、レート特性と、耐久性及び容量とが、トレードオフの関係になっていた。
【0097】
これに対し、本実施形態の正極活物質用板状粒子15b2においては、粒子径を大きくして耐久性及び容量を向上させた場合、リチウムイオンが放出されやすい面の総面積も大きくなり、高レート特性が得られる。したがって、本実施形態によれば、容量、耐久性、及びレート特性が、従来よりも向上され得る。
【0098】
特に、携帯電話やノートPCに搭載される、モバイル機器向けのリチウムイオン二次電池においては、長時間の使用に対応した、高容量な電池が求められる。高容量化には活物質粉末の充填率向上が有効であり、充填性のよい粒径10μm以上の大粒子を用いることが好ましい。
【0099】
この点、従来技術では、粒子径を10μm以上に大きくしようとすると、結晶構造上、リチウムイオン及び電子が出入りできない面(003)が表面に広く露出した板状粒子となってしまい(図2C参照)、出力特性に悪影響を及ぼすことがあった。
【0100】
これに対し、本実施形態の正極活物質用板状粒子15b2では、リチウムイオン及び電子の伝導面が表面に広く露出している。このため、本実施形態によれば、出力特性に悪影響を及ぼすことなく大粒子化することができる。したがって、本実施形態によれば、従来よりも高充填された、高容量な正極材シートを提供することができる。
【0101】
なお、正極活物質用板状粒子15b2、正極活物質層22、及び正極活物質層32の厚さは、2〜100μm、より好ましくは5〜50μm、さらに好ましくは5〜20μmが望ましい。100μmより厚いと、レート特性が低下する点や、シート成形性の点から、好ましくない。また、正極活物質用板状粒子15b2の板厚は、2μm以上が望ましい。2μmより薄いと、充填率を上げる効果が小さくなる点で、好ましくない。
【0102】
正極活物質用板状粒子15b2のアスペクト比は、3〜20が望ましい。3より小さいと、配向によるリチウムイオン出入り面の拡大効果が小さくなる。20より大きいと、正極活物質用板状粒子15b2の板面が正極活物質層15bの面内方向と平行になるように正極活物質用板状粒子15b2が充填された場合、正極活物質層15bの厚み方向へのリチウムイオンの拡散経路が長くなることで、レート特性が低下するので、好ましくない。
【0103】
上述の構成を有するリチウム二次電池20においては、板状小粒子22aにおける、リチウムイオンの出入りが行えない(003)面の、固体電解質層23に対する露出(接触)割合が、極めて低くなる。すなわち、特開2003−132887号公報に開示されているような従来の構成とは異なり、このリチウム二次電池20においては、固体電解質層23と対向(接触)する正極活物質層22の表面のほとんど全部が、リチウムイオンの出入りが良好に行われる面(例えば(104)面)となる。
【0104】
したがって、本実施形態によれば、全固体型のリチウム二次電池20における、よりいっそうの高容量化及び高レート特性が達成される。さらに、板状小粒子22aの粒子サイズを大きくすることで、耐久性の向上とともに、さらなる高容量化及び高レート特性が達成される。
【0105】
ポリマー型のリチウム二次電池30においては、液漏れの恐れがある液体型に比べ、薄い電池構成が可能という特徴がある。本実施形態による膜状の正極活物質層32によれば、リチウムイオンの出入りする面を膜表面全面に確保した状態で、実質的に充填率100%が達成される。すなわち、従来よりも、正極部分を非常に薄くすることができ、さらにはより薄い電池が得られる。
【0106】
<変形例の例示列挙>
なお、上述の実施形態や具体例は、上述した通り、出願人が取り敢えず本願の出願時点において最良であると考えた本発明の具現化の一例を単に示したものにすぎないのであって、本発明はもとより上述の実施形態や具体例によって何ら限定されるべきものではない。よって、上述の実施形態や具体例に対して、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、種々の変形が施され得ることは、当然である。
【0107】
以下、変形例について幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施形態における各構成要素と同様の構成・機能を有する構成要素については、本変形例においても同一の名称及び同一の符号が付されているものとする。そして、当該構成要素の説明については、上述の実施形態における説明が、矛盾しない範囲で適宜援用され得るものとする。
【0108】
もっとも、変形例とて、下記のものに限定されるものではないことは、いうまでもない。本発明を、上述の実施形態や下記変形例の記載に基づいて限定解釈することは、(特に先願主義の下で出願を急ぐ)出願人の利益を不当に害する反面、模倣者を不当に利するものであって、許されない。
【0109】
また、上述の実施形態の構成、及び下記の各変形例に記載された構成の全部又は一部が、技術的に矛盾しない範囲において、適宜複合して適用され得ることも、いうまでもない。
【0110】
本発明は、上述の実施形態にて具体的に開示された構成に何ら限定されない。例えば、図1Bに示されている正極活物質層15bは、正極活物質膜であってもよい。
【0111】
電解質としては、無機固体、有機ポリマー、あるいはゲルポリマー(有機ポリマーに電解液を染み込ませたゲル状のもの)が用いられ得る。
【0112】
また、上述の例では、正極活物質層22は、全固体型電池に適用されていた。もっとも、本発明は液体型電池においても適用可能である。通常、液体型電池における正極材は、活物質の充填率は60%程度である。これに対し、本発明の活物質膜によれば、リチウムイオンの出入りする面を膜表面全面に確保した状態で、実質的に充填率100%が達成される。すなわち、レート特性の犠牲を最小限に抑えつつ、きわめて高い容量が得られる。
【0113】
なお、正極活物質層22と正極集電体21との界面においては、両者は、ただ接しているだけでもよいし、アセチレンブラック等の導電性結着材からなる薄い層によって接着されていてもよい。後者の場合、正極集電体21が曲がることで、正極活物質層22にはクラックが入ることがあり得る。もっとも、クラックは、電子及びイオンの伝導方向と平行になる。このため、クラックが発生しても、特性上、なんら問題は生じない。
【0114】
正極活物質層22の表面は、平滑に研磨されていてもよい。この場合、研磨後に表面に残留した応力や欠陥を除去する目的で、1000℃以下の熱処理が施されてもよい。これにより、正極集電体21及び固体電解質層23との密着性が向上するとともに、活性な結晶面が露出するため、充放電特性が向上する。
【0115】
例えば、本発明の正極活物質用板状粒子15b2については、正極活物質層15b内にて、複数の大きさ・形状からなるものが適宜配合されてもよい。また、図5に示されているように、本発明の正極活物質用板状粒子15b2と、従来の等軸形状の粒子15b3とを、適当な混合比で混ぜてもよい。例えば、等軸形状の粒子と、その粒径と同程度の厚みを有する正極活物質用板状粒子15b2とを、適当な混合比で混合することで、効率よく粒子が配列することができ、充填率が高められる。
【0116】
上述したように、正極活物質層15bが自立膜状のセラミックスシート(正極活物質膜)である場合、正極集電体15aは、図6Aに示されているように、正極活物質層15bの両板面のうちの一方にのみ設けられていてもよいし、図6Bに示されているように、正極活物質層15bの両板面に設けられていてもよい。
【0117】
図6Bに示されているように、正極集電体15aが正極活物質層15bの両板面に設けられている場合、一方の正極集電体15a1は自立膜状の正極活物質層15bを支持するために他方の正極集電体15a2よりも厚く形成されていてもよい。また、この場合、当該他方の正極集電体15a2は、自立膜状の正極活物質層15bにおけるリチウムイオンの出入りを阻害しないような構造(メッシュ状や多孔質状等)に形成されている。なお、この正極集電体15a2は、図1Bに示されている正極15にも適用可能である。
【0118】
図6Aに示されているように、正極集電体15aが正極活物質層15bの一方の板面にのみ設けられている場合、充放電時の正極15での電池反応においてリチウムイオンの移動方向と電子の移動方向とが反対方向になることで、正極活物質層15b内にて電位勾配が生じる。かかる電位勾配が大きくなると、リチウムイオンが拡散しにくくなる。
【0119】
これに対し、図6Bに示されているように、自立膜状の正極活物質層15bにおける、電解質13に接する側の表面に、リチウムイオンの出入りを阻害しないような正極集電体15a2を設けることで、上述のような電位勾配の形成が抑制される。これにより、電池性能が向上する。
【0120】
本発明は、上述の具体例に示された具体的な組成物に限定されない。例えば、スラリー調製の際に、混合・粉砕する原料の組成比を、0.5LiMnO−0.5Li1.1(Ni0.33Mn0.33Co0.33)Oとなるようにしたこと以外は、実施例1と同様の方法により、配向粉末を得た。かかる配向粉末においても、上述の実験例と同様の良好な特性が得られた。
【0121】
なお、得られた配向粉末について、XRD測定、ならびにICP(誘導結合プラズマ)発光分光分析装置(株式会社堀場製作所製 製品名ULTIMA2)により成分分析によって組成を決定した結果、0.5LiMnO−0.5Li1.1(Ni0.33Mn0.33Co0.33)Oであった。X線回折強度比率[003]/[104]=0.4であった。
【0122】
本発明は、上述の実施形態にて具体的に開示された製造方法に何ら限定されない。例えば、グリーンシートの焼成温度は、800℃〜1300℃の範囲内の温度であればよい(低温の場合は焼成時間を長くすればよい)。また、添加物も、Bi23に限定されない。
【0123】
その他、特段に言及されていない変形例についても、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、本発明の技術的範囲に含まれることは当然である。
【0124】
また、本発明の課題を解決するための手段を構成する各要素における、作用・機能的に表現されている要素は、上述の実施形態や変形例にて開示されている具体的構造の他、当該作用・機能を実現可能ないかなる構造をも含む。さらに、本明細書にて引用した先行出願や各公報の内容(明細書及び図面を含む)は、本明細書の一部を構成するものとして適宜援用され得る。
【符号の説明】
【0125】
10…リチウム二次電池 11…電池ケース
12…セパレータ 13…電解質 14…負極
15…正極 15a…正極集電体 15b…正極活物質層
15b1…結着材 15b2…正極活物質用板状粒子
20…リチウム二次電池 21…正極集電体
22…正極活物質層 22a…正極活物質用板状粒子
23…固体電解質層 24…負極活物質層 25…負極集電体
30…リチウム二次電池 31…正極集電体 32…正極活物質層
33…ポリマー電解質層 34…負極活物質層 35…負極集電体
A…板面(上側表面) B…板面(下側表面) C…端面
【先行技術文献】
【特許文献】
【0126】
【特許文献1】特開平9−22693号公報
【特許文献2】特開2003−132887号公報
【特許文献3】特開2003−346809号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式:xLiMO−(1−x)LiMeO
(上記一般式中、0<x<1、0.9≦p≦1.3であって,M及びMeはそれぞれ独立的に、Mn、Ti、Zr、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Al、Mg、Zr、B、及びMoからなる群から選択された少なくとも一つ以上の金属)
で表され、層状岩塩構造を有する、リチウム二次電池の正極活物質用の板状粒子であって、
(003)面が、粒子の板面と交差するように配向していることを特徴とする、リチウム二次電池の正極活物質用の板状粒子。
【請求項2】
請求項1に記載の、リチウム二次電池の正極活物質用の板状粒子であって、
(003)以外の面が、前記板面と平行に配向していることを特徴とする、リチウム二次電池の正極活物質用の板状粒子。
【請求項3】
請求項2に記載の、リチウム二次電池の正極活物質用の板状粒子であって、
(104)面が、前記板面と平行に配向しており、
X線回折における、(104)面による回折強度に対する(003)面による回折強度の比率[003]/[104]が、1以下となることを特徴とする、リチウム二次電池の正極活物質用の板状粒子。
【請求項4】
請求項3に記載の、リチウム二次電池の正極活物質用の板状粒子であって、
[003]/[104]が、0.005以上となることを特徴とする、リチウム二次電池の正極活物質用の板状粒子。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項に記載の、リチウム二次電池の正極活物質用の板状粒子であって、
気孔率が10%以下であることを特徴とする、リチウム二次電池の正極活物質用の板状粒子。
【請求項6】
一般式:xLiMO−(1−x)LiMeO
(上記一般式中、0<x<1、0.9≦p≦1.3であって,M及びMeはそれぞれ独立的に、Mn、Ti、Zr、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Al、Mg、Zr、B、及びMoからなる群から選択された少なくとも一つ以上の金属)
で表され、層状岩塩構造を有する、リチウム二次電池の正極活物質膜であって、
(003)面が、膜の板面と交差するように配向していることを特徴とする、リチウム二次電池の正極活物質膜。
【請求項7】
請求項6に記載の、リチウム二次電池の正極活物質膜であって、
(003)以外の面が、前記板面と平行となるように配向していることを特徴とする、リチウム二次電池の正極活物質膜。
【請求項8】
請求項7に記載の、リチウム二次電池の正極活物質膜であって、
(104)面が、前記板面と平行に配向しており、
X線回折における、(104)面による回折強度に対する(003)面による回折強度の比率[003]/[104]が、1以下となることを特徴とする、リチウム二次電池の正極活物質膜。
【請求項9】
請求項8に記載の、リチウム二次電池の正極活物質膜であって、
[003]/[104]が、0.005以上となることを特徴とする、リチウム二次電池の正極活物質膜。
【請求項10】
請求項6〜請求項9のうちのいずれか1項に記載の、リチウム二次電池の正極活物質膜であって、
気孔率が10%以下であることを特徴とする、リチウム二次電池の正極活物質膜。
【請求項11】
一般式:xLiMO−(1−x)LiMeO
(上記一般式中、0<x<1、0.9≦p≦1.3であって,M及びMeはそれぞれ独立的に、Mn、Ti、Zr、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Al、Mg、Zr、B、及びMoからなる群から選択された少なくとも一つ以上の金属)
で表され、層状岩塩構造を有し、(003)面が板面と交差するように配向した、板状粒子を、正極活物質として含む、正極と、
炭素質材料又はリチウム吸蔵物質を負極活物質として含む、負極と、
前記正極と前記負極との間に介在するように設けられた、電解質と、
を備えたことを特徴とする、リチウム二次電池。
【請求項12】
請求項11に記載の、リチウム二次電池であって、
(003)以外の面が、前記板面と平行に配向していることを特徴とする、リチウム二次電池。
【請求項13】
請求項12に記載の、リチウム二次電池であって、
(104)面が、前記板面と平行に配向しており、
X線回折における、(104)面による回折強度に対する(003)面による回折強度の比率[003]/[104]が、1以下となることを特徴とする、リチウム二次電池。
【請求項14】
請求項13に記載の、リチウム二次電池であって、
[003]/[104]が、0.005以上となることを特徴とする、リチウム二次電池。
【請求項15】
請求項11〜請求項14のうちのいずれか1項に記載の、リチウム二次電池であって、
気孔率が10%以下であることを特徴とする、リチウム二次電池。
【請求項16】
一般式:xLiMO−(1−x)LiMeO
(上記一般式中、0<x<1、0.9≦p≦1.3であって,M及びMeはそれぞれ独立的に、Mn、Ti、Zr、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Al、Mg、Zr、B、及びMoからなる群から選択された少なくとも一つ以上の金属)
で表され、層状岩塩構造を有し、(003)面が板面と交差するように配向した、正極活物質膜を含む、正極と、
炭素質材料又はリチウム吸蔵物質を負極活物質として含む、負極と、
前記正極と前記負極との間に介在するように設けられた、電解質と、
を備えたことを特徴とする、リチウム二次電池。
【請求項17】
請求項16に記載の、リチウム二次電池であって、
(003)以外の面が、前記板面と平行となるように配向していることを特徴とする、リチウム二次電池。
【請求項18】
請求項17に記載の、リチウム二次電池であって、
(104)面が、前記板面と平行に配向しており、
X線回折における、(104)面による回折強度に対する(003)面による回折強度の比率[003]/[104]が、1以下となることを特徴とする、リチウム二次電池。
【請求項19】
請求項18に記載の、リチウム二次電池であって、
[003]/[104]が、0.005以上となることを特徴とする、リチウム二次電池。
【請求項20】
請求項16〜請求項19のうちのいずれか1項に記載の、リチウム二次電池であって、
気孔率が10%以下であることを特徴とする、リチウム二次電池。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【公開番号】特開2012−3879(P2012−3879A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−135824(P2010−135824)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】