説明

リチウム二次電池及びその製造方法

【課題】本発明は,リチウム二次電池の電極組立体の変形を防止する変形防止手段を備えるリチウム二次電池及びその製造方法に関する。
【解決手段】本発明により,第1電極タップ215が取付けられた第1電極板210,第2電極タップ225が取付けられた第2電極板220,及び第1電極板210及び第2電極板220との間に介在されるセパレータが積層されたまま複数回巻き取られた電極組立体200と,電極組立体200の少なくとも一部に巻取方向に対して直交する方向に取付けられた電極組立体変形防止体300と,電極組立体変形防止体300が取付けられた電極組立体200を収容する開口部を備えたケース110と,ケース100と接合して上記開口部を閉塞し電極組立体200と電気的に接続される端子部が形成されたキャップ組立体400とを含むリチウム二次電池100およびその製造方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,リチウム二次電池及びその製造方法に関し,より詳細には,リチウム二次電池の電極組立体の変形を防止する変形防止手段を備えるリチウム二次電池及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年,セルラーホーン,ノートブックコンピュータ,キャムコーダなどのコンパクトで,かつ,軽量化した電気/電子装置が活発に開発及び生産されている。このような携帯用電気/電子装置は,別途の電源が備えられていない場所でも作動できるように,電池パックを内蔵している。また,内蔵された電池パックは,携帯用電気/電子装置を一定の期間駆動させるために必要な一定のレベルの電圧を出力することができるように,内部に少なくとも1つの電池を備えている。
【0003】
上記の電池パックには,経済的な面を考慮して,最近では,充放電が可能な二次電池が採用されている。代表的な二次電池として,ニッケル-カドミウム(Ni−Cd)電池,ニッケル-水素(Ni−MH)電池及びリチウム(Li)電池とリチウムイオン(Li−ion)電池などのリチウム二次電池などがある。
【0004】
特に,リチウム二次電池は,作動電圧が3.6Vと,携帯用電子装備電源に大いに使われているニッケル-カドミウム電池や,ニッケル-水素電池より3倍も高く,単位重量当たりのエネルギー密度も高いという点で,注目をあつめている。
【0005】
このようなリチウム二次電池は,主に,正極活物質としてリチウム系酸化物を,負極活物質として炭素材を使用している。一般的に,リチウム二次電池は,電解質の種類によって液体電解質電池と高分子電解質電池とに分類され,液体電解質を使用する電池をリチウムイオン電池といい,高分子電解質を使用する電池をリチウムポリマー電池という。また,リチウム二次電池は,様々な形状で製造されているが,代表的な形状として,円筒形,角形及びポーチ形を挙げることができる。
【0006】
通常,上記のリチウム二次電池は,正極活物質がコーティングされた正極電極板,負極活物質がコーティングされた負極電極板及び正極電極板と負極電極板との間に位置してショートを防止し,リチウムイオン(Li ion)の移動のみを可能にするセパレータが巻き取られた電極組立体と,電極組立体を収容するリチウム二次電池用ケースと,リチウム二次電池用ケースの内側に注入されてリチウムイオンの移動を可能にする電解液等からなっている。
【0007】
一方,リチウム二次電池の電極組立体は,金属を基材とする正極集電体及び負極集電体上に正極活物質及び負極活物質を塗布して正極電極板及び負極電極板を形成し,セパレータと共に巻取って形成される。
【0008】
しかし,電極組立体は,金属を基材として形成された正極集電体及び負極集電体からなる正極電極板及び負極電極板を巻き取ることで形成されるので,巻取後に,金属の復元力により,巻取が解ける現象が発生するという問題があった。
【0009】
このような問題の解決のために,電極組立体の巻取方向と同じ方向に,電極組立体の外周部を覆う形態の巻取固定テープを導入する方法が提示された。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら,上記のような巻取固定テープは,リチウム二次電池の充電時に,過充電などの誤作動により発生する電極組立体の膨脹(swelling)現象を防止できないという問題があった。その結果,リチウム二次電池の充電時に,電極組立体が膨脹することにより,正極電極板及び負極電極板がショートするという問題が生じてしまう。
【0011】
また,上記のような問題が生じるために,リチウム二次電池の充電時に,電極組立体及びリチウム二次電池の熱的安全性が低下するという問題があった。
【0012】
そこで,本発明は,このような問題に鑑みてなされたもので,その目的は,リチウム二次電池の電極組立体の変形を防止する変形防止手段を備えるリチウム二次電池及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために,本発明のある観点によれば,第1電極タップが取付けられた第1電極板,第2電極タップが取付けられた第2電極板,および,第1電極板と第2電極板との間に介在されるセパレータが積層されたまま複数回巻き取られた電極組立体と,電極組立体の少なくとも一部に,巻取方向に対して直交する方向に取付けられた電極組立体変形防止体と,電極組立体変形防止体が取付けられた電極組立体を収容する開口部を備えたケースと,ケースと接合して上記開口部を閉塞し,電極組立体と電気的に接続される端子部が形成されたキャップ組立体とを含むリチウム二次電池が提供される。
【0014】
上記の電極組立体変形防止体は,少なくとも上記の電極組立体に設けられた第1電極タップと第2電極タップとの間を覆うように取付けられることが好ましい。
【0015】
上記の電極組立体変形防止体は,電極組立体の巻取方向に対して直交する方向に電極組立体の外周部を覆う形態からなることが可能である。
【0016】
上記の電極組立体変形防止体は,電極組立体の巻取方向に対して直交する方向に電極組立体の外周部を覆う第1電極組立体変形防止体と,電極組立体の巻取方向に対して同一の方向に電極組立体の外周部を覆う第2電極組立体変形防止体とからなることも可能である。
【0017】
上記の電極組立体変形防止体は,電極組立体の第1電極タップと第2電極タップとが配設される一側の端面と,当該端面に相対する他側の端面とを通るように,電極組立体の巻取方向と直交する方向に電極組立体に巻き付けられる帯状形状を有し,上記の帯状の電極組立体変形防止体の両端が,電極組立体の同一の側面上に配置されることも可能である。
【0018】
上記の電極組立体変形防止体は,電極組立体の第1電極タップと第2電極タップとが配設される一側の端面を通るように,電極組立体の巻取方向と直交する方向に電極組立体に巻き付けられる帯状形状を有し,上記の電極組立体変形防止体の両端が,相異なる電極組立体の側面上にそれぞれ配置される
【0019】
また,上記の電極組立体変形防止体は,電極組立体の第1電極タップと第2電極タップとが配設される一側の端面に相対する他側の端面を通るように,電極組立体の巻取方向と直交する方向に電極組立体に巻き付けられる帯状形状を有し,上記の電極組立体変形防止体の両端が,相異なる電極組立体の側面上にそれぞれ配置されることも可能である。
【0020】
上記の電極組立体変形防止体は,接着テープからなることが好ましい。
【0021】
また,上記の電極組立体変形防止体の幅は,第1電極タップと第2電極タップとの間の距離の1/2以上であることが好ましい。
【0022】
上記の電極組立体変形防止体は,ポリエチレン(PolyEthylene:PE),ポリプロピレン(PolyPropylene:PP),ポリフェニレンスルフィド(PolyPhenyleneSulfide:PPS)のうちの少なくともいずれかの1つからなることができる
【0023】
上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,第1電極タップが取付けられた第1電極板,第2電極タップが取付けられた第2電極板,および第1電極板と第2電極板との間に介在されるセパレータを積層されたまま複数回巻取って,電極組立体を形成する工程と,電極組立体の少なくとも一部に,巻取方向に対して直交する方向に電極組立体変形防止体を取付ける工程と,電極組立体変形防止体に外周部が覆われた電極組立体をケースに収納する工程とを含むリチウム二次電池の製造方法が提供される。
【0024】
上記の電極組立体変形防止体を取付ける工程では,電極組立体変形防止体が電極組立体の巻取方向に対して直交する方向に電極組立体の外周部を覆う工程を含むことができる。
【0025】
また,上記の電極組立体変形防止体を取付ける工程では,第1電極組立体変形防止体が電極組立体の巻取方向に対して直交する方向に電極組立体の外周部を覆う工程と,第2電極組立体変形防止体が電極組立体の巻取方向に対して同一の方向に電極組立体の外周部を覆う工程とを含むことが可能である。
【0026】
電極組立体変形防止体を取付ける工程では,帯状形状を有する電極組立体変形防体の一端が,電極組立体の一側の側面に配置され,上記の帯状形状を有する電極組立体変形防止体が,第1電極タップと第2電極タップとが配設される一側の端面,上記一の側面と相対する側面,および上記一側の端面と相対する他側の端面に沿って巻き付けられ,上記帯状形状を有する電極組立体変形防止体の他端が,上記一側の側面に配置される工程を含むこともできる。
【0027】
電極組立体変形防止体を取付ける工程では,帯状形状を有する電極組立体変形防止体の一端が,電極組立体の一側の側面に配置され,上記の帯状形状を有する電極組立体変形防止体が,電極組立体の第1電極タップと第2電極タップとが配設される一側の端面に沿って巻き付けられ,上記の帯状形状を有する電極組立体変形防止体の他端が,上記一側の側面と相対する他側の側面に配置される工程を含むことも可能である。
【0028】
また,電極組立体変形防止体を取付ける工程では,帯状形状を有する電極組立体変形防止体の一端が,電極組立体の一側の側面に配置され,上記の帯状形状を有する電極組立体変形防止体が,電極組立体の第1電極タップと第2電極タップとが配設される端面と相対する他側の端面に沿って巻き付けられ,上記の帯状形状を有する電極組立体変形防止体の他端が,上記一側の側面と相対する他側の側面に配置される工程を含むことも可能である。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば,リチウム二次電池の電極組立体の変形を防止する変形防止手段を備えるリチウム二次電池及びその製造方法を提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0031】
図1は,本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池を説明するための分解斜視図である。
【0032】
図1を参照すると,本実施形態に係るリチウム二次電池100は,リチウム二次電池用ケース110,リチウム二次電池用ケース110の内部に収容されるゼリーロール型の電極組立体200,電極組立体の変形を防止する電極組立体変形防止体300及びリチウム二次電池用ケース110の上部に接合されるキャップ組立体400を含んで構成される。
【0033】
リチウム二次電池用ケース110は,例えば,略直六面体形状を有する金属材からなっており,ケース自体が端子の役割を果たすことが可能である。また,以下では,ケースの形状が略直六面体である場合を用いて説明するが,本発明において,リチウム二次電池用ケースの形状は上記のものに限定されず,例えば略円筒型であっても良い。
【0034】
電極組立体200は,一般に,正極タップとして使われる第1電極タップ215及び負極タップとして使われる第2電極タップ225のうちのいずれかの1つ,例えば,第1電極タップ215が取付けられた第1電極板210と,第1電極タップ215及び第2電極タップ225のうちのもう一方,例えば,第2電極タップ225が取付けられた第2電極板220と,第1電極板210と第2電極板220との間に介在されるセパレータ230とが,積層されたまま複数回巻き取られた形態からなり,リチウム二次電池用ケース110に収容される。第1電極タップ215及び第2電極タップ225が接続される電極組立体200の境界部には,第1電極板210及び第2電極板220間の短絡を防止するために絶縁テープ240で各々を絶縁している。
【0035】
電極組立体変形防止体300は,電極組立体200の巻取が解けることを防止し,また,リチウム二次電池100の充電時に,過充電などの誤作動により生じる電極組立体200の膨脹を防止する。その際,電極組立体変形防止体300は,所定の接着テープからなり,接着テープは,ポリエチレン(PolyEthylene:PE),ポリプロピレン(PolyPropylene:PP),ポリフェニレンスルフィド(PolyPhenyleneSulfide:PPS),または,これらの等価物からなることが好ましい。しかし,本発明において,接着テープの材質が上記のものに限定されるわけではない。
【0036】
また,電極組立体変形防止体300は,電極組立体200の巻取方向に対して直交する方向に電極組立体200の外周部に取付けられる,無端の帯状形状のものである。好ましくは,電極組立体変形防止体300は,少なくとも第1電極タップ215と第2電極タップ225との間を覆う形態でなされることが好ましい。
【0037】
キャップ組立体400には,リチウム二次電池用ケース110の開口部と対応する大きさと形状を備える平板型キャッププレート410が設けられている。キャッププレート410の中央部には,端子貫通孔411が形成されており,キャッププレート410の一側には電解液(図示せず)を注入するための電解液注入口412が形成されている。電解液注入口412は,ボール415が挿入されることで密閉される。また,キャッププレート410の他側には,リチウム二次電池100の内部圧力が上昇した場合に,リチウム二次電池100の爆発を防止するための安全ベント417が形成されている。
【0038】
端子貫通孔411には,例えば負極端子として利用可能である電極端子420が挿入されうる。電極端子420の外側にはキャッププレート410との電気的絶縁のためにリング状のガスケット430が設けられている。キャッププレート410の下面には,絶縁プレート440が配置されている。絶縁プレート440の下面には端子プレート450が設けられている。
【0039】
電極端子420は,ガスケット430が電極端子420の外側を覆った状態で端子貫通孔411に挿入されている。電極端子420の底面部は,絶縁プレート440を介した状態で端子プレート450と電気的に接続されている。
【0040】
キャッププレート410の下面には,第1電極板210に接続された第1電極タップ215が熔接されており,電極端子420の下段部には,第2電極板220に接続された第2電極タップ225が熔接されている。
【0041】
一方,電極組立体200の上面には,電極組立体200とキャップ組立体400とを電気的に絶縁させ,それと共に電極組立体200の上部を覆うことができる絶縁ケース460が設けられている。また,絶縁ケース460は,キャッププレート410の電解液注入口412と対応する位置に電解液注入貫通孔462を設けて,電解液を注入できるようになっている。絶縁ケース460は,絶縁性を有する高分子樹脂であって,好ましくは,ポリプロピレンからなることが望ましいが,本発明において,絶縁ケースの材質が上記のものに限定されるわけではない。
【0042】
図2Aは,本発明の第1実施形態に係るリチウム二次電池の電極組立体及び電極組立体変形防止体を説明するための斜視図であり,図2Bは,本発明の第1実施形態に係るリチウム二次電池の電極組立体及び電極組立体変形防止体を説明するための正面図である。
【0043】
図2A及び図2Bを参照すると,本発明の第1実施形態に係るリチウム二次電池100の電極組立体200は,電極組立体200の外周部を覆う形態の電極組立体変形防止体300を備える。
【0044】
その際,電極組立体変形防止体300は,所定の幅を備える接着テープからなり,電極組立体200の巻取方向に対して直交する方向に,電極組立体200の外周部を覆う形態からなることができる。特に,電極組立体変形防止体300は,電極組立体200の第1電極タップ215と第2電極タップ225との間を通り,電極組立体200の外周部を覆う形態からなることが好ましい。
【0045】
このような電極組立体変形防止体300は,電極組立体200の外周部を覆うように形成されることにより,電極組立体200の巻取が解けることを防止し,リチウム二次電池100の充電時に,過充電などの誤作動により生じる電極組立体200の膨脹(swelling)などの変形を防止できる。従って,電極組立体200の膨脹により発生する第1電極板210と第2電極板220との間のショートを防止することができる。
【0046】
また,電極組立体変形防止体300の幅(W)は,電極組立体200の第1電極タップ215と第2電極タップ225との間の距離(D)の1/2以上であることが好ましい。これは,電極組立体変形防止体300の幅(W)が第1電極タップ215と第2電極タップ225との間の距離(D)の1/2より小さい場合では,電極組立体200の膨脹(swelling)を效果的に防止できないためである。
【0047】
また,電極組立体変形防止体300は,ポリエチレン(PolyEthylene:PE),ポリプロピレン(PolyPropylene:PP),ポリフェニレンスルフィド(PolyPhenyleneSulfide:PPS),または,それらの等価物からなることが好ましい。
【0048】
図3Aは,本発明の第2実施形態に係るリチウム二次電池の電極組立体及び電極組立体変形防止体を説明するための斜視図であり,図3Bは,本発明の第2実施形態に係るリチウム二次電池の電極組立体及び電極組立体変形防止体を説明するための正面図である。
【0049】
図3A及び図3Bを参照すると,本発明の第2実施形態に係るリチウム二次電池100の電極組立体変形防止体500は,図2A及び図2Bに図示された電極組立体変形防止体300と構造的に類似している。但し,第1電極組立体変形防止体510及び第2電極組立体変形防止体520の2つの電極組立体変形防止体を備える構造が違うだけである。
【0050】
より詳細に説明すると,電極組立体変形防止体500は,所定の幅を備える接着テープからなり,電極組立体200の巻取方向に対して直行する方向に電極組立体200の外周部を覆う第1電極組立体変形防止体510と,電極組立体200の巻取方向に対して同一の方向に電極組立体200の外周部を覆う第2電極組立体変形防止体520とを備える構造からなることができる。
【0051】
第1電極組立体変形防止体510は,第1電極タップ215と第2電極タップ225との間を通り,電極組立体200の外周部を覆うことが好ましく,その幅(W)は,第1電極タップ215と第2電極タップ225との間の距離(D)の1/2以上であることが好ましい。
【0052】
また,第2電極組立体変形防止体520の幅(W)は,第1電極タップ215と第2電極タップ225との間の距離(D)の1/2以上であることが好ましい。
【0053】
上記の電極組立体変形防止体500は,第1電極組立体変形防止体510及び第2電極組立体変形防止体520により,一層效果的に電極組立体200の膨脹(swelling)などの変形を防止できる。
【0054】
図4Aは,本発明の第3実施形態に係るリチウム二次電池の電極組立体及び電極組立体変形防止体を説明するための斜視図であり,図4Bは,本発明の第3実施形態に係るリチウム二次電池の電極組立体及び電極組立体変形防止体を説明するための側面図である。
【0055】
図4A及び図4Bを参照すると,本発明の第3実施形態に係るリチウム二次電池100の電極組立体変形防止体600は,図2A及び図2Bに図示された電極組立体変形防止体300と構造的に類似している。但し,電極組立体変形防止体600が,略“コの字”形態で,電極組立体200の外周部に取付けられる構造が違うだけである。
【0056】
より詳細に説明すると,電極組立体変形防止体600は,電極組立体200の平坦な側面200aの上部から始まって,電極組立体200の上部の第1電極タップ215と第2電極タップ225との間,電極組立体200の側面200aに相対する側面200b,電極組立体200の底面を過ぎて,側面200aの下部で終わる形態で電極組立体200の外周部に取付けられる。従って,電極組立体変形防止体600は,その側面から見て,略“コの字”形態からなるものである。
【0057】
図5Aは,本発明の第4実施形態に係るリチウム二次電池の電極組立体及び電極組立体変形防止体を説明するための斜視図であり,図5Bは,本発明の第4実施形態に係るリチウム二次電池の電極組立体及び電極組立体変形防止体を説明するための側面図である。
【0058】
図5A及び図5Bを参照すると,本発明の第4実施形態に係るリチウム二次電池100の電極組立体変形防止体700は,図2A及び図2Bに図示された電極組立体変形防止体300と構造的に類似している。但し,電極組立体変形防止体700が略“コの字”形態で,電極組立体200の外周部に取付けられる構造が違うだけである。電極組立体変形防止体700は,電極組立体200の平坦な側面200aの下部から始まって,電極組立体200上部の第1電極タップ215と第2電極タップ225との間を通り,電極組立体200の側面200aに相対する側面200bの下部で終わる形態で電極組立体200の外周部に取付けられる。従って,上記電極組立体変形防止体700は,その側面から見て,略“コの字”形態からなるものである。
【0059】
図6Aは,本発明の第5実施形態に係るリチウム二次電池の電極組立体及び電極組立体変形防止体を説明するための斜視図であり,図6Bは,本発明の第5実施形態に係るリチウム二次電池の電極組立体及び電極組立体変形防止体を説明するための側面図である。
【0060】
図6A及び図6Bを参照すると,本発明の第5実施形態に係るリチウム二次電池100の電極組立体変形防止体800は,図2A及び図2Bに図示された電極組立体変形防止体300と構造的に類似している。但し,電極組立体変形防止体800が略“コの字”形態で,上記電極組立体200の外周部に取付けられる構造が違うだけである。
【0061】
電極組立体変形防止体800は,電極組立体200の平坦な側面200aの上部から始まって,電極組立体200の底部を通り,電極組立体200の側面200aに相対する側面200bの上部で終わる形態で電極組立体200の外周部に取付けられる。従って,電極組立体変形防止体800は,その側面から見て,略“コの字”形態からなるものである。
【0062】
図7A〜図7Cは,本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池の製造方法を説明するための斜視図である。
【0063】
図7Aを参照すると,まず,第1電極板210,セパレータ230及び第2電極板220を順次積層し,その一端には巻取軸を結合した後,巻き取って電極組立体200を形成する。勿論,巻取の以前に,第1電極板210には第1電極タップ215が,第2電極板220には第2電極タップ225が取付けられる。
【0064】
電極組立体200を形成した後,図2A,図2B,図3A,図3B,図4A,図4B,図5A,図5B及び図6A,図6Bにそれぞれ図示されたような,電極組立体変形防止体300,500,600,700,800を形成する。
【0065】
その際,電極組立体変形防止体300,500,600,700,800は,ポリエチレン(PE),ポリプロピレン(PP),ポリフェニレンスルフィド(PPS),または,それらの等価物からなることが好ましい。だが,本発明において,電極組立体変形防止体の材質が,上記のものに限定されるわけではない。
【0066】
電極組立体変形防止体300,500,600,700,800を形成した後,電極組立体変形防止体300,500,600,700,800が形成された電極組立体200をリチウム二次電池用ケース110に挿入する。
【0067】
図7Bを参照すると,リチウム二次電池用ケース110に電極組立体200を挿入した後,電極組立体200の上部に絶縁ケース460を接合させる。これは,電極組立体200及びキャップ組立体400を絶縁させ,電極組立体200の上部を覆うためのものである。
【0068】
絶縁ケース460を電極組立体の上部に接合させた後,リチウム二次電池用ケース110の上部に多数の構成要素からなるキャップ組立体400を接合させる。
【0069】
より詳細に説明すると,端子貫通孔411,電解液注入口412,及び安全ベント417を備えるキャッププレート410と,ガスケット430とを通じてキャッププレート410と絶縁され上記端子貫通孔411に挿入される電極端子420と,キャッププレート410の下面に形成された絶縁プレート440及び絶縁プレート440の下面に形成されて,電極端子と電気的に連結される端子プレート450とを備えるキャップ組立体400を準備する。
【0070】
次に,電極組立体200の第1電極タップ215をキャッププレート410の一部分に接合させ,第1電極タップ215とキャッププレート410とを電気的に接続させる。また,第2電極タップ225は,端子プレート450に接合させて,電極端子420と電気的に接続させる。
【0071】
次に,キャップ組立体400のキャッププレート410をリチウム二次電池用ケース110の上部に接合させる。その際,リチウム二次電池用ケース110とキャッププレート410との接合は,レーザー熔接などの方法によりなされることが好ましい。
【0072】
図7Cを参照すると,キャップ組立体400をリチウム二次電池用ケース110の上部に結合した後,電解液注入口412を通じて電解液を注入し,電解液注入口412をボール415により封止してリチウム二次電池100を形成する。
【0073】
上記のように,本実施形態に係るリチウム二次電池100は,電極組立体100の外周部に電極組立体変形防止体300,500,600,700,800を備えることにより,電極組立体200の巻き取りが解けることを防止し,充電時に発生する可能性のある電極組立体200の膨脹による変形を防止して,第1電極板210及び第2電極板220間のショートを防止できる。
【0074】
従って,電極組立体変形防止体300,500,600,700,800によりリチウム二次電池100の安全性が向上することとなる。
【0075】
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は,リチウム二次電池及びその製造方法に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池を説明するための分解斜視図である。
【図2A】本発明の第1実施形態に係るリチウム二次電池の電極組立体及び電極組立体変形防止体を説明するための斜視図である。
【図2B】本発明の第1実施形態に係るリチウム二次電池の電極組立体及び電極組立体変形防止体を説明するための正面図である。
【図3A】本発明の第2実施形態に係るリチウム二次電池の電極組立体及び電極組立体変形防止体を説明するための斜視図である。
【図3B】本発明の第2実施形態に係るリチウム二次電池の電極組立体及び電極組立体変形防止体を説明するための正面図である。
【図4A】本発明の第3実施形態に係るリチウム二次電池の電極組立体及び電極組立体変形防止体を説明するための斜視図である。
【図4B】本発明の第3実施形態に係るリチウム二次電池の電極組立体及び電極組立体変形防止体を説明するための側面図である。
【図5A】本発明の第4実施形態に係るリチウム二次電池の電極組立体及び電極組立体変形防止体を説明するための斜視図である。
【図5B】本発明の第4実施形態に係るリチウム二次電池の電極組立体及び電極組立体変形防止体を説明するための側面図である。
【図6A】本発明の第5実施形態に係るリチウム二次電池の電極組立体及び電極組立体変形防止体を説明するための斜視図である。
【図6B】本発明の第5実施形態に係るリチウム二次電池の電極組立体及び電極組立体変形防止体を説明するための側面図である。
【図7A】本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池の製造方法を説明するための斜視図である。
【図7B】本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池の製造方法を説明するための斜視図である。
【図7C】本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池の製造方法を説明するための斜視図である。
【符号の説明】
【0078】
100 リチウム二次電池
110 リチウム二次電池用ケース
200 電極組立体
200a 側面
200b 側面
210 第1電極板
215 第1電極タップ
220 第2電極板
225 第2電極タップ
230 セパレータ
240 絶縁テープ
300,500,600,700,800 電極組立体変形防止体
400 キャップ組立体
410 キャッププレート
411 端子通孔
412 電解液注入口
415 ボール
417 安全ベント
420 電極端子
430 ガスケット
440 絶縁プレート
450 端子プレート
460 絶縁ケース
462 電解液注入貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極タップが取付けられた第1電極板,第2電極タップが取付けられた第2電極板,および前記第1電極板と前記第2電極板との間に介在されるセパレータが積層されたまま複数回巻き取られた電極組立体と;
前記電極組立体の少なくとも一部に,巻取方向に対して直交する方向に取付けられた電極組立体変形防止体と;
前記電極組立体変形防止体が取付けられた前記電極組立体を収容する開口部を備えたケースと;
前記ケースと接合して前記開口部を閉塞し前記電極組立体と電気的に接続される端子部が形成されたキャップ組立体と;
を含むことを特徴とする,リチウム二次電池。
【請求項2】
前記電極組立体変形防止体は,少なくとも前記電極組立体に設けられた前記第1電極タップと前記第2電極タップとの間を覆うように取付けられることを特徴とする,請求項1記載のリチウム二次電池。
【請求項3】
前記電極組立体変形防止体は,前記電極組立体の巻取方向と直交する方向に前記電極組立体の外周部を覆う形態からなることを特徴とする,請求項1記載のリチウム二次電池。
【請求項4】
前記電極組立体変形防止体は,前記電極組立体の巻取方向に対して直交する方向に前記電極組立体の外周部を覆う第1電極組立体変形防止体と,
前記電極組立体の巻取方向に対して同一の方向に前記電極組立体の外周部を覆う第2電極組立体変形防止体とからなることを特徴とする,請求項1記載のリチウム二次電池。
【請求項5】
前記電極組立体変形防止体は,前記電極組立体の前記第1電極タップと前記第2電極タップとが配設される一側の端面と,当該端面に相対する他側の端面とを通るように,前記電極組立体の巻取方向と直交する方向に前記電極組立体に巻き付けられる帯状形状を有し,
前記帯状の電極組立体変形防止体の両端が,前記電極組立体の同一の側面上に配置されることを特徴とする,請求項1記載のリチウム二次電池。
【請求項6】
前記電極組立体変形防止体は,前記電極組立体の前記第1電極タップと前記第2電極タップとが配設される一側の端面を通るように,前記電極組立体の巻取方向と直交する方向に前記電極組立体に巻き付けられる帯状形状を有し,
前記電極組立体変形防止体の両端が,相異なる前記電極組立体の側面上にそれぞれ配置されることを特徴とする,請求項1記載のリチウム二次電池。
【請求項7】
前記電極組立体変形防止体は,前記電極組立体の前記第1電極タップと前記第2電極タップとが配設される一側の端面に相対する他側の端面を通るように,前記電極組立体の巻取方向と直交する方向に前記電極組立体に巻き付けられる帯状形状を有し,
前記電極組立体変形防止体の両端が,相異なる前記電極組立体の側面上にそれぞれ配置されることを特徴とする,請求項1記載のリチウム二次電池。
【請求項8】
前記電極組立体変形防止体が,接着テープからなることを特徴とする,請求項1記載のリチウム二次電池。
【請求項9】
前記電極組立体変形防止体の幅は,前記第1電極タップ及び前記第2電極タップ間の距離の1/2以上であることを特徴とする,請求項8記載のリチウム二次電池。
【請求項10】
前記電極組立体変形防止体が,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリフェニレンスルフィドのうちの少なくともいずれか1つからなることを特徴とする,請求項8記載のリチウム二次電池。
【請求項11】
第1電極タップが取付けられた第1電極板,第2電極タップが取付けられた第2電極板,および前記第1電極板と前記第2電極板との間に介在されるセパレータを積層されたまま複数回巻取って,電極組立体を形成する工程と;
前記電極組立体の少なくとも一部に,巻取方向に対して直交する方向に電極組立体変形防止体を取付ける工程と;
前記電極組立体変形防止体に外周部が覆われた電極組立体をケースに収納する工程と;
を含むことを特徴とする,リチウム二次電池の製造方法。
【請求項12】
前記電極組立体変形防止体を取付ける工程では,
前記電極組立体変形防止体が,前記電極組立体の巻取方向に対して直交する方向に,前記電極組立体の外周部を覆うように取付けられることを特徴とする,請求項11記載のリチウム二次電池の製造方法。
【請求項13】
前記電極組立体変形防止体を取付ける工程では,
第1電極組立体変形防止体が,前記電極組立体の巻取方向に対して直交する方向に前記電極組立体の外周部を覆うように取付けられる工程と,
第2電極組立体変形防止体が,前記電極組立体の巻取方向に対して同一の方向に前記電極組立体の外周部を覆うように取付けられる工程とを含むことを特徴とする,請求項11記載のリチウム二次電池の製造方法。
【請求項14】
前記電極組立体変形防止体を取付ける工程では,
帯状形状を有する前記電極組立体変形防体の一端が,前記電極組立体の一側の側面に配置され,
前記帯状形状を有する電極組立体変形防止体が,前記第1電極タップと前記第2電極タップとが配設される一側の端面,前記一の側面と相対する側面,および前記一側の端面と相対する他側の端面に沿って巻き付けられ,
前記帯状形状を有する電極組立体変形防止体の他端が,前記一側の側面に配置されることを特徴とする,請求項11記載のリチウム二次電池の製造方法。
【請求項15】
前記電極組立体変形防止体を取付ける工程では,
帯状形状を有する前記電極組立体変形防止体の一端が,前記電極組立体の一側の側面に配置され,
前記帯状形状を有する電極組立体変形防止体が,前記電極組立体の前記第1電極タップと前記第2電極タップとが配設される一側の端面に沿って巻き付けられ,
前記帯状形状を有する電極組立体変形防止体の他端が,前記一側の側面と相対する他側の側面に配置されることを特徴とする,請求項11記載のリチウム二次電池の製造方法。
【請求項16】
前記電極組立体変形防止体を取付ける工程では,
帯状形状を有する前記電極組立体変形防止体の一端が,前記電極組立体の一側の側面に配置され,
前記帯状形状を有する電極組立体変形防止体が,前記電極組立体の前記第1電極タップと前記第2電極タップとが配設される端面と相対する他側の端面に沿って巻き付けられ,
前記帯状形状を有する電極組立体変形防止体の他端が,前記一側の側面と相対する他側の側面に配置されることを特徴とする,請求項11記載のリチウム二次電池の製造方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【公開番号】特開2006−93112(P2006−93112A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−232437(P2005−232437)
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】